特許拒絶査定不服審判
2021-013198
アップリンク波形取得方法、アップリンク波形フィードバック方法、端末および基地局
- 審判番号
- 2021-013198
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-523656
- 請求日
- 2021年09月30日
- 審決日
- 2022年05月11日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】大唐移▲動▼通信▲設▼▲備▼有限公司
- 【請求人代理人】武田 幸子
- 審判長/審判官
- 審判長 伊藤 隆夫
- 審判官 丸山 高政
- 審判官 衣鳩 文彦
- 分類
- P18 .113-Z (H04L) / P18 .572-Z (H04L) / P18 .575-Z (H04L) / P18 .121-Z (H04L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-523656「アップリンク波形取得方法、アップリンク波形フィードバック方法、端末および基地局」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 5月17日国際公開、WO2018/086480、令和 2年 1月16日国内公表、特表2020-501408〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)11月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年11月8日 中華人民共和国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。
令和 元年 6月13日 手続補正書
令和 2年 8月25日付け 拒絶理由通知書
12月 8日 意見書・手続補正書
令和 3年 5月18日付け 拒絶査定
9月30日 審判請求書・手続補正書
12月14日 前置報告書
以下では、令和3年5月18日付け拒絶査定を「原査定」といい、同年9月30日付け手続補正書による補正を「本件補正」という。
第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正前の、令和2年12月8日の手続補正書による手続補正によって補正された特許請求の範囲は請求項1~11からなり、そのうち、請求項1~請求項6は「アップリンク波形取得方法」の発明を記載し、請求項7は「端末」の発明を記載し、請求項8~10は「アップリンク波形フィードバック方法」の発明を記載し、請求項11は「基地局」の発明を記載している。
他方、本件補正後の特許請求の範囲は請求項1~10からなり、そのうち、請求項1~5は「アップリンク波形取得方法」の発明を記載し、請求項6は「端末」の発明を記載し、請求項7~9は「アップリンク波形フィードバック方法」の発明を記載し、請求項10は「基地局」の発明を記載している。
これらの請求項のうち、「端末」の発明を記載した本件補正後の請求項6及び本件補正前の請求項7は、それぞれ、以下の(1)及び(2)のとおりである。
(1)本件補正後の請求項6の記載
本件補正後の特許請求の範囲の請求項6の記載は以下のとおりである。なお、下線部は補正箇所を示す。
「【請求項6】
端末の情報伝送用のアップリンク波形を取得することに用いられる取得モジュールと、
前記アップリンク波形に基づいて、情報の伝送を行うことに用いられる伝送モジュールとを含む端末において、
前記取得モジュールは、
プロトコルによって予め指定された所定条件とアップリンク波形との対応関係に基づいて、端末の現在の情報伝送用のアップリンク波形を特定することに用いられる第1特定サブモジュール、または、
ネットワーク側から端末に対し特定され、所定メッセージによって送信された情報伝送用のアップリンク波形を受信することに用いられる第1受信サブモジュール、または、
ネットワーク側から端末の報知情報に基づいてフィードバックされた端末の情報伝送用のアップリンク波形を受信することに用いられる第2受信サブモジュールを含み、
前記第1特定サブモジュールは、プロトコルによって予め指定されたリンク種類とアップリンク波形との対応関係、および、端末の現在のリンク種類に基づいて、情報伝送用のアップリンク波形を特定することに用いられ、
第1受信サブモジュールは、ネットワーク側から周波数帯域、端末のサービス種類、リンク種類、またはセル半径の大きさに基づいて特定され、所定メッセージによって送信された端末の情報伝送用のアップリンク波形を受信することに用いられ、
前記第2受信サブモジュールは、アップリンク電力情報を含む報知情報をネットワーク側に送信することに用いられる第1送信ユニットと、ネットワーク側から前記報知情報に基づいて特定されてフィードバックされた端末の情報伝送用のアップリンク波形を受信することに用いられる第1受信ユニットとを含み、
前記第1送信ユニットは、報知情報を生成するための、パス損失、ダウンリンク参照信号受信電力、またはダウンリンク参照信号受信品質を含む参照データの参照値を取得することに用いられる取得サブユニットと、前記参照値に基づいて、参照値または参照値と予め設定された閾値との差を含む前記報知情報を生成することに用いられる生成サブユニットと、前記報知情報をネットワーク側に送信することに用いられる送信サブユニットとを含む端末。」
(2)本件補正前の請求項7の記載
本件補正前の特許請求の範囲の請求項7の記載は以下のとおりである。
「【請求項7】
端末の情報伝送用のアップリンク波形を取得することに用いられる取得モジュールと、
前記アップリンク波形に基づいて、情報の伝送を行うことに用いられる伝送モジュールとを含む端末において、
前記取得モジュールは、
プロトコルによって予め指定された所定条件とアップリンク波形との対応関係に基づいて、端末の現在の情報伝送用のアップリンク波形を特定することに用いられる第1特定サブモジュール、または、
ネットワーク側から端末に対し特定され、所定メッセージによって送信された情報伝送用のアップリンク波形を受信することに用いられる第1受信サブモジュール、または、
ネットワーク側から端末の報知情報に基づいてフィードバックされた端末の情報伝送用のアップリンク波形を受信することに用いられる第2受信サブモジュールを含み、
前記第1特定サブモジュールは、プロトコルによって予め指定されたリンク種類とアップリンク波形との対応関係、および、端末の現在のリンク種類に基づいて、情報伝送用のアップリンク波形を特定することに用いられ、
前記第2受信サブモジュールは、アップリンク電力情報を含む報知情報をネットワーク側に送信することに用いられる第1送信ユニットと、ネットワーク側から前記報知情報に基づいて特定されてフィードバックされた端末の情報伝送用のアップリンク波形を受信することに用いられる第1受信ユニットとを含み、
前記第1送信ユニットは、報知情報を生成するための、パス損失、ダウンリンク参照信号受信電力、ダウンリンク参照信号受信品質、またはアップリンク電力ヘッドルームを含む参照データの参照値を取得することに用いられる取得サブユニットと、前記参照値に基づいて、参照値または参照値と予め設定された閾値との差を含む前記報知情報を生成することに用いられる生成サブユニットと、前記報知情報をネットワーク側に送信することに
用いられる送信サブユニットとを含む端末。」
2 本件補正の目的
(1)本件補正は、本件補正後の請求項6(本件補正前の請求項7)について、以下の補正事項A及びBを含む。
補正事項A:本件補正前の「第1受信サブモジュール」について、本件補正後では「第1受信サブモジュールは、ネットワーク側から周波数帯域、端末のサービス種類、リンク種類、またはセル半径の大きさに基づいて特定され、所定メッセージによって送信された端末の情報伝送用のアップリンク波形を受信することに用いられ」ると補正すること。
補正事項B:「取得サブユニット」が「報知情報を生成するため」に取得する「参照データの参照値」は、本件補正前では「パス損失、ダウンリンク参照信号受信電力、ダウンリンク参照信号受信品質、またはアップリンク電力ヘッドルーム」を含むものであったが、本件補正後では「パス損失、ダウンリンク参照信号受信電力、またはダウンリンク参照信号受信品質」を含むものであると補正すること。
(2)補正事項Aは、「第1受信サブモジュール」の用途を限定するものである。
(3)補正事項Bは、「参照データの参照値」が含み得るものの選択肢から、「アップリンク電力ヘッドルーム」なる選択肢を削除するものである。
(4)前記(1)~(3)によれば、本件補正後の請求項6についての本件補正の目的は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当する。
3 本件補正の適否
前記2(4)のとおり、本件補正後の請求項6についての本件補正の目的は特許請求の範囲の減縮に該当するので、本件補正後の請求項6に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法17条の2条第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、前記1(1)の記載のとおりのものであるが、後の参照での便宜のため、以下のように分説する。
「【請求項6】
A 端末の情報伝送用のアップリンク波形を取得することに用いられる取得モジュールと、
B 前記アップリンク波形に基づいて、情報の伝送を行うことに用いられる伝送モジュールとを含む端末において、
C 前記取得モジュールは、
C1 プロトコルによって予め指定された所定条件とアップリンク波形との対応関係に基づいて、端末の現在の情報伝送用のアップリンク波形を特定することに用いられる第1特定サブモジュール、または、
C2 ネットワーク側から端末に対し特定され、所定メッセージによって送信された情報伝送用のアップリンク波形を受信することに用いられる第1受信サブモジュール、または、
C3 ネットワーク側から端末の報知情報に基づいてフィードバックされた端末の情報伝送用のアップリンク波形を受信することに用いられる第2受信サブモジュールを含み、
D 前記第1特定サブモジュールは、プロトコルによって予め指定されたリンク種類とアップリンク波形との対応関係、および、端末の現在のリンク種類に基づいて、情報伝送用のアップリンク波形を特定することに用いられ、
E 第1受信サブモジュールは、ネットワーク側から周波数帯域、端末のサービス種類、リンク種類、またはセル半径の大きさに基づいて特定され、所定メッセージによって送信された端末の情報伝送用のアップリンク波形を受信することに用いられ、
F 前記第2受信サブモジュールは、アップリンク電力情報を含む報知情報をネットワーク側に送信することに用いられる第1送信ユニットと、ネットワーク側から前記報知情報に基づいて特定されてフィードバックされた端末の情報伝送用のアップリンク波形を受信することに用いられる第1受信ユニットとを含み、
G 前記第1送信ユニットは、報知情報を生成するための、パス損失、ダウンリンク参照信号受信電力、またはダウンリンク参照信号受信品質を含む参照データの参照値を取得することに用いられる取得サブユニットと、前記参照値に基づいて、参照値または参照値と予め設定された閾値との差を含む前記報知情報を生成することに用いられる生成サブユニットと、前記報知情報をネットワーク側に送信することに用いられる送信サブユニットとを含む
H 端末。」
(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1について
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された特開2009-246502号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。なお、下線は強調のために当審が付した。
a 「【背景技術】
【0002】
W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)やHSPA(High Speed Packet Access)の後継となる通信方式、すなわちEvolved UTRA and UTRAN(別名: LTE(Long Term Evolution),或いは,Super 3G)が、W-CDMAの標準化団体3GPP(3rd Generation Partnership Project)により議論されている。例えば、E-UTRAでは、下りリンクについてはOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、上りリンクについてはSC-FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)が採用されている。」
b 「【発明が解決しようとする課題】
【0008】
Evolved UTRA and UTRANの次世代の無線通信システムにおける通信方式の検討が開始されようとしている。この次世代の通信方式は、IMT-Advanced(International Mobile Telecommunication- Advanced)、あるいは4G(4th generation)と呼ばれてもよい。
【0009】
次世代の無線通信システムには、様々な環境下における通信がサポートされるべきである。例えば、様々な環境のうち、主要な展開環境には、マイクロセル、屋内セル、ホットスポットセルが含まれる。
【0010】
また、次世代の無線通信システムには、様々な環境及び要求されるQoS等に応じて、サービスを提供することが要求される。ここで、サービスには、データレートの高速化、QoS要求条件により要求される様々なトラヒックへの対応等が含まれる。また、カバレッジエリアを増大させることが要求される。例えば、様々な環境には、図2に示すように、マクロセル、マイクロセル、屋内セル、ホットスポットセルが含まれる。図2には、屋内セル/ホットスポットセルが含まれる屋内/ホットスポットレイヤ、マイクロセルが含まれるマイクロレイヤ、マクロセルが含まれるマクロレイヤが示される。次世代の無線通信システムでは、これらの様々な環境下における通信がサポートされるべきである。また、QoSには、データレート、所要の誤り率、遅延等が含まれる。また、データレートは、ユーザスループットと呼ばれてもよい。
【0011】
また、次世代の無線通信システムには、ネットワークコストの低減が要求される。例えば、伝送容量の大容量化、広いカバレッジエリアを実現することにより達成される。
【0012】
また、次世代の無線通信システムには、3G(3rd Generation)システムとの互換性をもつことが望ましい。例えば、E-UTRAのフルサポート、W-CDMAやE-UTRAなどの既存の3Gシステムとのハンドオーバを実現できることが望ましい。
【0013】
上述した要求条件のうち、E-UTRAが適用されるシステムよりも、ユーザスループットをさらに高速にする観点からは、上りリンクにおいては、E-UTRAで適用されるシングルキャリア方式よりも、マルチキャリア方式の方が好ましい。例えば、高速伝送を実現するためにシングルユーザMIMO(Multiple Input Multiple Output)を適用する場合には、マルチパス干渉への耐性に優れたOFDMベースのマルチキャリア方式の方が優れるためである。
【0014】
一方、広いカバレッジエリアを実現する観点からは、PAPRを低減することができるシングルキャリア方式の方が好ましい。また、E-UTRAをフルサポートする要求条件を満足させる観点からは、シングルキャリア方式の方が好ましい。
【0015】
そこで、本発明は、上述した課題に鑑み、その目的は、環境に応じて、カバレッジエリア及びデータレートを制御することができるユーザ装置及び基地局装置並びに通信制御方法を提供することにある。」
c 「【0034】
本実施例に係るユーザ装置100nは、送信データ生成部102と、チャネル符号化部104と、データ変調部106と、無線アクセス方式切替部108と、直並列変換部(S/P)110と、DFT-Spread OFDM処理部112と、CP(cyclic Prefix)付与部122と、多重部124と、復調部126と、復号部128とを有する。また、DFT-Spread OFDM処理部112は、離散フーリエ変換部(DFT: Discrete Fourier Transform)114と、サブキャリアマッピング部116と、波形整形フィルタ118と、高速逆フーリエ変換部(IFFT)120とを有する。
【0035】
基地局装置200により送信された下りリンクの信号は、復調部126に入力される。復調部126は、入力されたOFDMA信号を復調する。そして、復調部126は、復調されたOFDMA信号を復号部128に入力する。復号部128は、復調部126により入力されたOFDMA信号を復号する。このOFDMA信号は、報知チャネルで伝送される信号であってもよいし、下りリンク制御チャネルにより送信される信号であってもよい。このOFDMA信号には、無線アクセス方式切替え信号と、ロールオフ率と、リソースブロック番号と、伝送フォーマットとが含まれるようにしてもよい。ここで、伝送フォーマットには、符号化率と、変調方式とが含まれるようにしてもよい。復号部128は、送信データ生成部102、チャネル符号化部104及びデータ変調部106に、伝送フォーマットを入力する。また、復号部128は、無線アクセス方式切替え信号を無線アクセス方式切替部108に入力する。また、復号部128は、リソースブロック番号をサブキャリアマッピング部116に入力する。また、復号部128は、ロールオフ率を波形整形フィルタ118に入力する。
【0036】
送信データ生成部102は、上りリンクで送信するデータを生成する。送信データ生成部102は、生成した上りリンクで送信するデータをチャネル符号化部104に入力する。
【0037】
チャネル符号化部104は、送信データ生成部102により入力された送信データを、復号部128により入力された伝送フォーマットに基づいてチャネル符号化処理を行う。チャネル符号化部104は、チャネル符号化処理が行われた送信データを、データ変調部106に入力する。例えば、チャネル符号化部104は、伝送フォーマットに含まれる符号化率により、チャネル符号化処理を行う。
【0038】
データ変調部106は、チャネル符号化部104により入力されたチャネル符号化処理が行われた送信データを、復号部128により入力された伝送フォーマットに基づいて変調する。データ変調部106は、変調されたチャネル符号化処理が行われた送信データを、無線アクセス方式切替部108に入力する。例えば、データ変調部106は、伝送フォーマットに含まれる変調方式により、データ変調を行う。
【0039】
無線アクセス方式切替部108は、データ変調部106により入力された変調されたチャネル符号化処理が行われた送信データを、復号部128により入力された無線アクセス方式切替え信号に基づいて、シングルキャリア方式により送信するシングルキャリアモード又はマルチキャリア方式により送信するマルチキャリアモードに切り替える。無線アクセス方式切替部108は、無線アクセス方式切替え信号にシングルキャリア方式を示す情報が含まれる場合には、入力された変調された送信データを離散フーリエ変換部114に入力する。また、無線アクセス方式切替部108は、無線アクセス方式切替信号にマルチキャリア方式を示す情報が含まれる場合には、入力された変調されたチャネル符号化処理が行われた送信データを直並列変換部(S/P)110に入力する。
【0040】
離散フーリエ変換部114は、入力された送信データの系列をQシンボル毎にブロック化して高速フーリエ変換を行うことにより、周波数領域に変換する。そして、離散フーリエ変換部114は、周波数領域において得られたQ個のシングルキャリアの信号をサブキャリアマッピング部116に入力する。
【0041】
直並列変換部(S/P)110は、入力された送信データの系列を並列的な複数の信号系列に変換する。そして、直並列変換部110は、並列的な複数の信号系列を、サブキャリアマッピング部116に入力する。
【0042】
サブキャリアマッピング部116は、離散フーリエ変換部114により入力されたシングルキャリアの信号又は直並列変換部110により入力された並列的な複数の信号系列に変換された各信号を、復号部128により入力されたリソースブロック番号に基づいて、各サブキャリアに割り当て、周波数領域の信号を生成する。例えば、サブキャリアマッピング部116は、シングルキャリアの信号をリソースブロック番号に該当するサブキャリアに割り当てる。また、例えば、サブキャリアマッピング部116は、並列的な複数の信号系列に変換された各信号を、リソースブロック番号に該当するサブキャリアに割り当てる。例えば、割り当てられるサブキャリアは、飛び飛びのサブキャリアであってもよいし、連続したサブキャリアであってもよい。サブキャリアマッピング部116は、サブキャリアにマッピングされた信号を、波形整形フィルタ118に入力する。
【0043】
波形整形フィルタ118は、復号部128により入力されたロールオフ率に基づいて、入力された信号の波形整形を行う。そして、波形整形された信号は、IFFT120に入力される。
【0044】
IFFT120では、入力された信号を高速逆フーリエ変換し、OFDM方式の変調を行う。OFDM方式の変調が行われた信号は、CP付与部122に入力される。
【0045】
CP付与部122は、OFDM方式の変調が行われた信号にサイクリックプリフィックスを付加し、OFDM方式におけるシンボルを作成する。CP付与部122は、作成したOFDM方式におけるシンボルを多重部124に入力する。
【0046】
多重部124は、OFDM方式におけるシンボルとパイロット信号とを多重する。多重された信号は、送信無線機に入力される、送信無線機は、OFDM方式におけるシンボルとパイロット信号とが多重された信号を送信する。」
d 「【0048】
本実施例に係る基地局装置200は、スケジューラ202と、上り無線アクセス方式、リソースブロック割り当て情報信号生成部204と、OFDM信号生成部206と、同期検出・チャネル推定部208と、CP除去部210と、高速フーリエ変換部212と、サブキャリアデマッピング部214と、無線アクセス方式切替部216と、周波数領域等化部218と、逆離散フーリエ変換部(IDFT: inverse discrete Fourier transform)220と、チャネル等化部222と、並直列変換部(P/S)224と、無線アクセス方式切替部226と、データ復調部228と、データ復号部230とを有する。」
e 「【0055】
また、例えば、スケジューラ202は、当該基地局装置200のセルの構成に基づいて、在圏するユーザ装置100nに対して、上りリンクのデータをシングルキャリア方式により送信させるかマルチキャリア方式により送信させるかを決定するようにしてもよい。具体的には、セル構成が屋内セル又はホットスポットセルである場合には、マルチキャリア方式により送信させると決定する。セル半径が小さいので、カバレッジエリアよりも、ピークデータレートの方を優先させるためである。また、セル構成がマクロセル又はマイクロセルである場合には、シングルキャリア方式により送信させると決定する。屋内セル又はホットスポットセルと比べて、カバレッジエリアを確保する必要があるためである。」
f 「【0059】
スケジューラ202は、決定した無線アクセス方式、ロールオフ率、該ユーザに割り当てるリソースブロック、MCSセットを、上り無線アクセス方式、リソースブロック割り当て情報信号生成部204に入力する。また、スケジューラ202は、該ユーザに割り当てるリソースブロックを示す情報をサブキャリアデマッピング部214に入力する。例えば、リソースブロックを示す情報には、リソースブロック番号が含まれるようにしてもよい。また、決定した無線アクセス方式が含まれる無線アクセス方式切替え信号を、無線アクセス方式切替部216及び226に入力する。また、スケジューラ202は、ロールオフ率をサブキャリアデマッピング部214に入力する。また、スケジューラ202は、MCSセットをデータ復調部228及びデータ復号部230に入力する。
【0060】
上り無線アクセス方式、リソースブロック割り当て情報信号生成部204は、スケジューラ202により入力された情報に基づいて、無線アクセス方式切替え信号、ロールオフ率、リソースブロック番号、伝送フォーマットが含まれる情報信号を生成する。そして、上り無線アクセス方式、リソースブロック割り当て情報信号生成部204は、生成した情報信号を、OFDM信号生成部206に入力する。
【0061】
OFDM信号生成部206は、入力された情報信号からOFDM信号を生成し、送信無線機に入力する。送信無線機は、OFDM信号を送信する。例えば、制御情報は報知チャネルによりセル内の全ユーザに通知されるようにしてもよい。」
g 図5
一実施例に係るユーザ装置を示す部分ブロック図
[図:0001389043000001.jpg]
(イ)前記(ア)の記載によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「環境に応じて、カバレッジエリア及びデータレートを制御することができるユーザ装置であって(【0015】)、
環境には、マクロセル、マイクロセル、屋内セル、ホットスポットセルが含まれ(【0010】)、
ユーザスループットを高速にする観点からは、上りリンクにおいては、マルチキャリア方式の方が好ましく(【0013】)、
広いカバレッジエリアを実現する観点からは、シングルキャリア方式の方が好ましく(【0014】)、
ユーザ装置100nは、送信データ生成部102と、チャネル符号化部104と、データ変調部106と、無線アクセス方式切替部108と、直並列変換部110と、DFT-Spread OFDM処理部112と、CP付与部122と、多重部124と、復調部126と、復号部128とを有し、DFT-Spread OFDM処理部112は、離散フーリエ変換部114と、サブキャリアマッピング部116と、波形整形フィルタ118と、IFFT120とを有し(【0034】)、
基地局装置200により送信された下りリンクの信号は、復調部126に入力され、復調部126は、復調されたOFDMA信号を復号部128に入力し、復号部128は、復調部126により入力されたOFDMA信号を復号し、このOFDMA信号には、無線アクセス方式切替え信号が含まれ、復号部128は、無線アクセス方式切替え信号を無線アクセス方式切替部108に入力し(【0035】)、
送信データ生成部102は、上りリンクで送信するデータを生成し、送信するデータをチャネル符号化部104に入力し(【0036】)、
チャネル符号化部104は、送信データ生成部102により入力された送信データを、チャネル符号化処理を行って、データ変調部106に入力し(【0037】)、
データ変調部106は、チャネル符号化部104により入力されたチャネル符号化処理が行われた送信データを変調して、無線アクセス方式切替部108に入力し(【0038】)、
無線アクセス方式切替部108は、データ変調部106により入力された送信データを、無線アクセス方式切替え信号に基づいて、シングルキャリア方式により送信するシングルキャリアモード又はマルチキャリア方式により送信するマルチキャリアモードに切り替え、無線アクセス方式切替え信号にシングルキャリア方式を示す情報が含まれる場合には送信データを離散フーリエ変換部114に入力し、無線アクセス方式切替信号にマルチキャリア方式を示す情報が含まれる場合には送信データを直並列変換部110に入力し(【0039】)、
離散フーリエ変換部114は、入力された送信データの系列を周波数領域に変換して、サブキャリアマッピング部116に入力し(【0040】)、
直並列変換部110は、入力された送信データの系列を並列的な複数の信号系列に変換して、サブキャリアマッピング部116に入力し(【0041】)、
サブキャリアマッピング部116は、離散フーリエ変換部114により入力されたシングルキャリアの信号又は直並列変換部110により入力された並列的な複数の信号系列に変換された各信号を、各サブキャリアに割り当て、周波数領域の信号を生成して、波形整形フィルタ118に入力し(【0042】)、
波形整形フィルタ118は、入力された信号の波形整形を行い、波形整形された信号は、IFFT120に入力され(【0043】)、
IFFT120では、入力された信号を高速逆フーリエ変換し、OFDM方式の変調を行い、変調が行われた信号は、CP付与部122に入力され(【0044】)、
CP付与部122は、OFDM方式の変調が行われた信号にサイクリックプリフィックスを付加し、OFDM方式におけるシンボルを作成して、多重部124に入力し(【0045】)、
多重部124は、OFDM方式におけるシンボルとパイロット信号とを多重し、多重された信号は、送信無線機に入力され、送信無線機は、OFDM方式におけるシンボルとパイロット信号とが多重された信号を送信し(【0046】)、
基地局装置200は、スケジューラ202と、上り無線アクセス方式、リソースブロック割り当て情報信号生成部204と、OFDM信号生成部206とを有し(【0048】)、
スケジューラ202は、当該基地局装置200のセル構成が屋内セル又はホットスポットセルである場合には、セル半径が小さいので、カバレッジエリアよりも、ピークデータレートの方を優先させるために、マルチキャリア方式により送信させると決定し、また、セル構成がマクロセル又はマイクロセルである場合には、シングルキャリア方式により送信させると決定し(【0055】)、
スケジューラ202は、決定した無線アクセス方式を、上り無線アクセス方式、リソースブロック割り当て情報信号生成部204に入力し(【0059】)、
上り無線アクセス方式、リソースブロック割り当て情報信号生成部204は、スケジューラ202により入力された情報に基づいて、情報信号を生成して、OFDM信号生成部206に入力し(【0060】)、
OFDM信号生成部206は、入力された情報信号からOFDM信号を生成し、送信無線機に入力し、送信無線機は、OFDM信号を送信する(【0061】)、
ユーザ装置。」
イ 引用文献2について
周知事項を示すために当審で引用する特開2013-110745号公報には、以下の記載がある。なお、下線は強調のために当審が付した。
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、離散フーリエ変換拡散直交周波数分割多重(DFT-S-OFDM)方式としても知られているシングルキャリア周波数分割多元接続(SC-FDMA)方式を用いて、送信元と受信機との間のリンクを推定する方法及びデバイスに関する。」
前記記載によれば、「SC-FDMAはDFT-S-OFDMとしても知られていること」(以下、「周知事項1」という。)が周知であったと認められる。
ウ 引用文献3について
周知事項を示すために当審で引用する特表2016-506125号公報には、以下の記載がある。なお、下線は強調のために当審が付した。
「【0004】
直交周波数分割多重(OFDM)は、無線通信システムで使用されるMCM技術の例である。OFDMは、全体の帯域幅を、周波数で重複するいくつかの直交するサブバンドへと分割し、高速フーリエ変換(FFT)によって効率的に実施されることがある。実際の無線通信システムでは、サイクリックプレフィックス直交周波数分割多重(CP-OFDM)、(すなわち、CPを有するOFDM)がマルチパスチャネルに対処するために使用される。十分に長いサイクリックプレフィックス(CP)では、単純なワンタップ(one-tap)周波数領域等化器(FDE)は、マルチパスチャネル障害を軽減するためには十分である。しかし、OFDMにおける方形パルスの大きなサイドローブは、システムが完全に同期されておらず、かつ過度の帯域外放出(OOBE:out-of-band emission)が存在するとき、実際には、大きなキャリア間干渉を含む困難な問題が発生し、それは、動的なチャネルアクセス能力でのネットワークにおけるOFDMの有効性を制限する。」
前記記載によれば、「CP(サイクリックプレフィックス)を有するOFDMのことをCP-OFDMということ」(以下、「周知事項2」という。)が周知であったと認められる。
(3)本件補正発明と引用発明との対比
以下では、本件補正発明の各分説毎に、引用発明との対比を行う。
ア 分説Aについて
(ア)本件補正発明の「アップリンク波形」について、本願の明細書には以下の記載がある。なお、下線は強調のために当審で付した。
「【背景技術】
【0002】
関連のLTE(Long Term Evolution)システムにおいて、ダウンリンク波形にはCP-OFDMA(Cyclic Prefix-Orthogonal Frequency Division Multiplexing)が用いられ、アップリンク波形にはDFT-s-OFDM(Discrete Fourier Transform-spread-Orthogonal Frequency Division Multiplexing)が用いられる。
【0003】
一方、5G NR(New Radio)では、少なくとも40GHz以下のeMBB(enhanced Mobile BroadBand)サービスのアップリンクについて、CP-OFDMAとDFT-s-OFDMの2種類の波形をサポートすることが決められている。DFT-s-OFDMは、主に、カバレッジ制限のあるシーンに対して用いられる。端末とも称されるUE(User Equipment)は、同時に2種類の波形をサポートすることが必須である。UEのアップリンク波形に対する認識は、ネットワーク側とUEでは一致する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、アップリンク波形取得方法、アップリンク波形フィードバック方法、端末および基地局を提供する。」
「 【0116】
図2は、本開示の実施例における端末のモジュール図を示す。図2に示す本開示の実施例は、端末20を提供する。当該端末20は、端末の情報伝送用のアップリンク波形を取得することに用いられる取得モジュール21と、前記アップリンク波形に基づいて、情報の伝送を行うことに用いられる伝送モジュール22とを含む。」
上記記載によれば、本件補正発明の「アップリンク波形」は端末(UE)がアップリンクで情報の伝送を行う際に用いる波形のことであり、該波形には、少なくともCP-OFDMAとDFT-s-OFDMの2種類が含まれると解釈され、「アップリンク波形」の「取得」は、アップリンク波形に対する認識をネットワーク側とUEとで一致させることであると解釈される。
(イ)引用発明の「ユーザ装置100n」は、「基地局装置200により送信された下りリンクの信号」に含まれる「無線アクセス方式切替え信号」(【0035】)を用いて、「無線アクセス方式切替え信号に基づいて、シングルキャリア方式により送信するシングルキャリアモード又はマルチキャリア方式により送信するマルチキャリアモードに切り替え」るものである(【0039】)。
引用発明の各モードの動作は、以下のa及びbのとおりである。
a シングルキャリアモード、すなわち、「無線アクセス方式切替え信号にシングルキャリア方式を示す情報が含まれる場合」では、「送信データを離散フーリエ変換部114に入力し」(【0039】)、その後、サブキャリアマッピング部116、波形整形フィルタ118、IFFT120での処理(【0040】、【0042】~【0044】)を経て、CP付与部122にてサイクリックプリフィックスを付加して(【0045】)、送信無線機から送信される(【0046】)。
上記の動作(図5も参照)は、技術常識によれば、3GPPが策定したE-UTRAに関する規格によるSC-FDMAでの送信に他ならない。(なお、3GPP、E-UTRA及びSC-FDMAについては引用文献1の【0002】も参照。)
そして、SC-FDMAは、周知事項1によれば、「DFT-S-OFDM」としても知られている。
b マルチキャリアモード、すなわち、「無線アクセス方式切替信号にマルチキャリア方式を示す情報が含まれる場合」では、「送信データを直並列変換部110に入力し」(【0039】)、その後、サブキャリアマッピング部116、波形整形フィルタ118、IFFT120での処理(【0041】~【0044】)を経て、CP付与部122にてサイクリックプリフィックスを付加して(【0045】)、送信無線機から送信される(【0046】)。
上記の動作(図5も参照)は、技術常識によれば、3GPPが策定したE-UTRAに関する規格によるOFDMでの送信に他ならない。
そして、上記の動作は、CP付与部122にてサイクリックプリフィックスが付されているから、周知事項2によれば、「CP-OFDM」と呼ぶべきものである。
(ウ)引用発明の「ユーザ装置100n」は、本件補正発明の「端末」に相当することが明らかである。
前記(イ)によれば、引用発明の「ユーザ装置100n」は、「基地局装置200」が送信した「無線アクセス方式切替え信号」に基づいて、アップリンク送信を「DFT-S-OFDM」で行うか「CP-OFDM」で行うかを決定しており、「基地局装置200」は明らかにネットワーク側の装置であるから、前記(ア)の解釈に鑑みれば、引用発明は、本件補正発明でいう「アップリンク波形を取得すること」を行っていると解される。
そうすると、引用発明における「基地局装置200により送信された下りリンクの信号」から「無線アクセス方式切替え信号」を得るための「復調部126」及び「復号部128」(【0035】)と、「無線アクセス方式切替え信号」に基づいてアップリンク送信を「DFT-S-OFDM」で行うか「CP-OFDM」で行うかを切り替える「無線アクセス方式切替部108」(【0039】)とは、本件補正発明の「取得モジュール」に相当し、本件補正発明と引用発明とは「端末の情報伝送用のアップリンク波形を取得することに用いられる取得モジュール」を含む点で一致する。
イ 分説Bについて
前記ア(イ)a及びbの動作に鑑みれば、引用発明の「離散フーリエ変換部114」、「直並列変換部110」、「サブキャリアマッピング部116」、「波形整形フィルタ118」、「IFFT120」、「CP付与部122」及び「送信無線機」は、本件補正発明の「前記アップリンク波形に基づいて、情報の伝送を行うことに用いられる伝送モジュール」に相当する。
よって、本件補正発明と引用発明とは「前記アップリンク波形に基づいて、情報の伝送を行うことに用いられる伝送モジュールとを含む端末」である点で一致する。
ウ 分説C、C1~C3について
(ア)本件補正発明の「ネットワーク側から端末に対し特定され、所定メッセージによって送信された情報伝送用のアップリンク波形を受信する」(分説C2)について、本願の明細書には以下の記載がある。なお、下線は強調のために当審で付した。
「 【0087】
方式2:ネットワーク側から端末に対し特定され、所定メッセージによって送信された情報伝送用のアップリンク波形を受信する。」
「 【0090】
例えば、当該所定メッセージが放送メッセージである場合、基地局は、セル半径の大きさに基づいて、端末に用いられるアップリンク波形を特定し、放送メッセージによって自セルの端末に通知する。例えば、セルの半径が比較的小さい(セルの半径が所定値より小さい)場合、基地局は、自セルの端末に用いられるアップリンク波形がCP-OFDMであることを放送メッセージによって通知し、そうでない場合、自セルの端末に用いられるアップリンク波形がDFT-s-OFDMであることを放送メッセージによって通知する。」
上記記載によれば、本件補正発明の「情報伝送用のアップリンク波形を受信する」とは、基地局から端末に「アップリンク波形がCP-OFDM又はDFT-s-OFDMであることを通知されること」であると解され、本件補正発明で受信される「情報伝送用のアップリンク波形」は、アップリンクをCP-OFDM又はDFT-s-OFDMのいずれで送信するかを示す情報であると解釈される。
(イ)引用発明の「無線アクセス方式切替え信号」は、「シングルキャリア方式により送信するシングルキャリアモード又はマルチキャリア方式により送信するマルチキャリアモードに切り替え」る信号であり、換言すれば、上りリンクの送信を「マルチキャリア方式」又は「シングルキャリア方式」(すなわち、CP-OFDM又はDFT-S-OFDM)のいずれで送信するかを示す情報であるから、前記(ア)の解釈によれば、本件補正発明の「情報伝送用のアップリンク波形」(分説C2)に相当する。
そして、引用発明の「無線アクセス方式切替え信号」は、ネットワーク側(基地局装置200)から「ユーザ装置100n」に対して送信された「下りリンクの信号」を復調及び復号することにより得られるから、引用発明の「下りリンクの信号」は本件補正発明の「所定メッセージ」に相当し、本件補正発明の「情報伝送用のアップリンク波形」と引用発明の「無線アクセス方式切替え信号」とは「ネットワーク側から端末に対し特定され、所定メッセージによって送信された」ものである点で一致する。
さらに、引用発明において「無線アクセス方式切替え信号」を得るために用いられる「復調部126」及び「復号部128」は、本件補正発明の「情報伝送用のアップリンク波形を受信することに用いられる第1受信サブモジュール」に相当する。
よって、本件補正発明と引用発明とは「前記取得モジュール」が「ネットワーク側から端末に対し特定され、所定メッセージによって送信された情報伝送用のアップリンク波形を受信することに用いられる第1受信サブモジュール」を含む点(分説C2)で一致する。
(ウ)本件補正発明の「取得モジュール」は、分説C1に規定される「第1特定サブモジュール」、「または」、分説C2に規定される「第1受信サブモジュール」、「または」、分説C3に規定される「第2受信サブモジュール」を含むと規定されていることから、本件補正発明の「第1受信サブモジュール」に相当する「復調部126」及び「復号部128」を含む引用発明は、本件補正発明の「第1特定サブモジュール」及び「第2受信サブモジュール」に対応する構成の有無によらず、「前記取得モジュールは、」「プロトコルによって予め指定された所定条件とアップリンク波形との対応関係に基づいて、端末の現在の情報伝送用のアップリンク波形を特定することに用いられる第1特定サブモジュール、または、」「ネットワーク側から端末に対し特定され、所定メッセージによって送信された情報伝送用のアップリンク波形を受信することに用いられる第1受信サブモジュール、または、」「ネットワーク側から端末の報知情報に基づいてフィードバックされた端末の情報伝送用のアップリンク波形を受信することに用いられる第2受信サブモジュールを含」む点(分説C、C1~C3)で本件補正発明と一致する。
エ 分説Dについて
前記ウ(ウ)によれば、引用発明における「第1特定サブモジュール」に対応する構成の有無は、本件補正発明と引用発明との一致点に影響しない。
そうすると、分説Dは「第1特定サブモジュール」(分説C1)の用途を限定するものであるから、分説Dは本件補正発明と引用発明との相違点にはなり得ない。
オ 分説Eについて
前記ウ(イ)によれば、本件補正発明と引用発明とは「第1受信サブモジュール」が「ネットワーク側から」「特定され、」「所定メッセージによって送信された端末の情報伝送用のアップリンク波形を受信することに用いられ」る点で一致する。
カ 分説F及びGについて
前記ウ(ウ)によれば、引用発明における「第2受信サブモジュール」に対応する構成の有無は、本件補正発明と引用発明との一致点に影響しない。
そうすると、分説Fは「第2受信サブモジュール」(分説C3)の構成を限定し、分説Gは「第2受信サブモジュール」に含まれる「第1送信ユニット」の用途を限定するものであるから、分説F及びGは本件補正発明と引用発明との相違点にはなり得ない。
キ 分説Hについて
前記ア(ウ)のとおり、本件補正発明と引用発明とは「端末」である点で一致する。
ク 前記ア~キによれば、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
〈一致点〉
「端末の情報伝送用のアップリンク波形を取得することに用いられる取得モジュールと、
前記アップリンク波形に基づいて、情報の伝送を行うことに用いられる伝送モジュールとを含む端末において、
前記取得モジュールは、
プロトコルによって予め指定された所定条件とアップリンク波形との対応関係に基づいて、端末の現在の情報伝送用のアップリンク波形を特定することに用いられる第1特定サブモジュール、または、
ネットワーク側から端末に対し特定され、所定メッセージによって送信された情報伝送用のアップリンク波形を受信することに用いられる第1受信サブモジュール、または、
ネットワーク側から端末の報知情報に基づいてフィードバックされた端末の情報伝送用のアップリンク波形を受信することに用いられる第2受信サブモジュールを含み、
前記第1特定サブモジュールは、プロトコルによって予め指定されたリンク種類とアップリンク波形との対応関係、および、端末の現在のリンク種類に基づいて、情報伝送用のアップリンク波形を特定することに用いられ、
第1受信サブモジュールは、ネットワーク側から周波数帯域、端末のサービス種類、リンク種類、またはセル半径の大きさに基づいて特定され、所定メッセージによって送信された端末の情報伝送用のアップリンク波形を受信することに用いられ、
前記第2受信サブモジュールは、アップリンク電力情報を含む報知情報をネットワーク側に送信することに用いられる第1送信ユニットと、ネットワーク側から前記報知情報に基づいて特定されてフィードバックされた端末の情報伝送用のアップリンク波形を受信することに用いられる第1受信ユニットとを含み、
前記第1送信ユニットは、報知情報を生成するための、パス損失、ダウンリンク参照信号受信電力、またはダウンリンク参照信号受信品質を含む参照データの参照値を取得することに用いられる取得サブユニットと、前記参照値に基づいて、参照値または参照値と予め設定された閾値との差を含む前記報知情報を生成することに用いられる生成サブユニットと、前記報知情報をネットワーク側に送信することに用いられる送信サブユニットとを含む
端末。」である点。
〈相違点〉
本件補正発明の「端末の情報伝送用のアップリンク波形」(分説E)は、「周波数帯域、端末のサービス種類、リンク種類、またはセル半径の大きさに基づいて」特定されるのに対し、引用発明の「無線アクセス方式切替え信号」は、「セル構成が屋内セル又はホットスポットセルである場合」には「マルチキャリア方式」すなわち「CP-OFDM」と決定され、「セル構成がマクロセル又はマイクロセルである場合」には「シングルキャリア方式」すなわち「DFT-S-OFDM」と決定される(【0055】)点。
(4)相違点についての判断
ア 分説Eにおける前記相違点に係る「端末の情報伝送用のアップリンク波形」が「ネットワーク側から周波数帯域、端末のサービス種類、リンク種類、またはセル半径の大きさに基づいて特定され」るとの発明特定事項は、ネットワーク側における「アップリンク波形」の特定のしかたを限定するに過ぎず、端末の動作とは無関係の事項である。
したがって、前記相違点は実質的な相違点とはいえない。
イ 仮に、前記相違点に係る構成が端末の発明を特定し得るものだとしても、以下のとおりである。
(ア)引用発明は、「マクロセル、マイクロセル、屋内セル、ホットスポットセル」といった「環境」を想定し、「環境に応じてカバレッジエリア及びデータレートを制御する」上で、「ユーザスループット」すなわち「データレート」を高速にする観点からは「マルチキャリア方式」すなわち「CP-OFDM」が好ましく、「広いカバレッジエリア」を実現する観点からは「シングルキャリア方式」すなわち「DFT-S-OFDM」が好ましいとしている。
換言すれば、引用発明が「無線アクセス方式切替え信号」により無線アクセス方式を切り替えるのは、「環境」(すなわち、マクロセル、マイクロセル、屋内セル、ホットスポットセルのいずれであるか)に応じてデータレート及びカバレッジエリアを制御するためと解される。
(イ)引用発明の「基地局装置200」が有する「スケジューラ202」(【0048】)は、「屋内セル又はホットスポットセル」において「マルチキャリア方式」(すなわち「CP-OFDM」)を選択する際に「セル半径が小さい」ことを理由としている(【0055】)。加えて、引用発明では、「広いカバレッジエリアを実現する観点からは、シングルキャリア方式の方が好まし」い(【0014】)とされている。すなわち、引用発明の「無線アクセス方式切替え信号」をシングルキャリア方式とするかマルチキャリア方式とするかは、「セル半径」の大きさの観点から決められているといえる。
そうすると、引用発明の「無線アクセス方式切替え信号」を決定する構成を、セル構成(環境)に基づいて(すなわち「屋内セル又はホットスポットセル」であるか「マクロセル又はマイクロセル」であるかに基づいて)行われる構成に代えて、セル半径の大きさに基づいて行われる構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。
ウ 本件補正発明の効果について検討しても、引用発明の構成から自明に得られるものであり、格別のものとは認められない。
エ 請求人は、審判請求書にて、「引用文献3には、「プロトコルによって予め指定されたリンク種類とアップリンク波形との対応関係」、および「ネットワーク側から端末の報知情報に基づいてフィードバックされた端末の情報伝送用のアップリンク波形」が記載されていませんので、特徴(A)及び(C)が開示されていません。」(4頁)と主張する。なお、該主張中の「引用文献3」はこの審決の「引用文献1」のことであり(以下同じ)、「特徴(A)及び(C)」は、分説C1及びC3に対応するものと解される。
しかしながら、前記(3)ウ(ウ)のとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
オ 請求人は、審判請求書にて、「また、本願の明細書の記載によれば、本願のアップリンク波形は、CP-OFDM又はDFT-s-OFDMなど、「直交周波数分割多重方式」で特徴づけられるアップリンク波形です。引用文献3(引用文献3の明細書の段落0051)の技術は、無線アクセス方式の決定のみに関し、すなわち、上りリンクのデータを、シングルキャリアにより送信させるかマルチキャリアにより送信させるかを決定し、ユーザ装置のCP-OFDM又はDFT-s-OFDMなどの「直交周波数分割多重方式」で特徴づけられたアップリンク波形を決定することに関しません。」(4頁)と主張する。
しかしながら、前記(3)ア(イ)のとおり、引用発明の「シングルキャリア」及び「マルチキャリア」は、それぞれ「DFT-S-OFDM」及び「CP-OFDM」のことであるから、請求人の主張は採用できない。
カ 請求人は、審判請求書にて、「なお、「上りリンクのデータを、シングルキャリアにより送信させるかマルチキャリアにより送信させるか」に基づき、CP-OFDM又はDFT-s-OFDMなどの「直交周波数分割多重方式」で特徴づけられるアップリンク波形を全く決定できないことを当業者は知っています。従いまして、引用文献3では、特徴(B)の「ネットワーク側から周波数帯域、端末のサービス種類、リンク種類、またはセル半径の大きさに基づいて特定され、所定メッセージによって送信された端末の情報伝送用のアップリンク波形を受信する」について開示も示唆もされていません。」(4頁)と主張する。
請求人の主張は判然としないが、前記オのとおり、引用発明の「シングルキャリア」及び「マルチキャリア」は、それぞれ「DFT-S-OFDM」及び「CP-OFDM」のことであるから、引用発明において「上りリンクのデータを、シングルキャリアにより送信させるかマルチキャリアにより送信させるか」に基づき、CP-OFDM又はDFT-s-OFDMなどの「直交周波数分割多重方式」で特徴づけられるアップリンク波形を全く決定できない、ということはない。
また、前記アのとおりであるから、請求人のいう「特徴(B)」(分説Eに対応)は本件補正発明の「端末」を限定するものではなく、これによって本件補正発明と引用発明との相違は生じない。仮に「特徴(B)」が本件補正発明の「端末」を限定しているとしても、前記イのとおり、当業者が容易になし得ることである。
よって、請求人の主張は採用できない。
キ 前記ア~カによれば、本件補正発明は引用発明と同一であり、仮に前記相違点が認められるとしても、本件補正発明は当業者が引用発明に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条1項3号又は同条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明
1 本願発明
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項7に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
第4 原査定の概要
原査定の概要は、以下のとおりである。
1.(新規性)この出願の請求項1~11に係る発明は、引用文献3~5のいずれかに記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の請求項1~11に係る発明は、引用文献3~5のいずれかに記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献3.特開2009-246502号公報
引用文献4.特表2010-508791号公報
引用文献5.特開2011-223111号公報
第5 引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献3(この審決における「引用文献1」)の記載は、前記第2[理由]3(2)のとおりである。
第6 本願発明と引用発明との対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]3で検討した本件補正発明から、「第1受信サブモジュール」の用途に係る限定事項(本件補正発明の分説Eに対応)を削除し、「参照データの参照値」が含み得るものの選択肢(本件補正発明の分説Gに対応)に「アップリンク電力ヘッドルーム」を加えたものである。
そして、前記第2[理由]3(3)クに示した相違点は、本件補正発明の分説Eに係るものであるところ、本願発明は分説Eを発明特定事項としていない。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加し、選択肢を減じたものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]3(3)及び(4)に記載したとおり、引用発明と同一である(仮に前記相違点が認められるとしても、当業者が容易に発明をすることができたものである)から、前記相違点に係る分説Eを発明特定事項としない本願発明は、引用発明と同一である。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明と同一であるから、特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-013198