2021-012539
簡易メンブレンアッセイ法及びキット
- 審判番号
- 2021-012539
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-227082外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年09月17日
- 審決日
- 2022年05月10日
- 公報発行日
- 2022年07月29日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (G01N) / P18 .537-Z (G01N) / P18 .575-Z (G01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 24項目
第1.手続の経緯
本願は、平成14年6月27日(以下「原出願日」という。)に出願した特願2002-187781号の一部を平成18年3月31日に新たな特許出願(特願2006-99040号)とし、さらにその一部を平成20年8月22日に新たな特許出願(特願2008-214432号)とし、さらにその一部を平成24年9月7日に新たな特許出願(特願2012-196836号)とし、さらにその一部を平成27年3月3日に新たな特許出願(特願2015-41608号)とし、さらにその一部を平成28年5月30日に新たな特許出願(特願2016-107732号;以下「原出願6」という。)とし、さらにその一部を平成29年1月19日に新たな特許出願(特願2017-7522号)とし、さらにその一部を令和元年12月17日に新たな特許出願(特願2019-227082号)としたものであって、令和2年1月16日に手続補正書が提出され、同年10月29日付けで拒絶の理由が通知され、令和3年3月4日に意見書及び手続補正書(これによる補正を以下「審査時補正」という。)が提出されたところ、同年6月9日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、同年9月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされ、令和4年4月13日に上申書(以下、単に「上申書」という。)が提出されたものである。
第2.本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1~9に対する補正であり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、審査時補正により補正された下記(1)のものから、下記(2)のものへと補正された。ここで、各構成単位冒頭の「pA」などは当審で付した分説番号であり、以下該各構成単位について該分説番号を用いて「構成pA」などという。
(1)審査時補正により補正された請求項1
審査時補正により補正された請求項1(以下「本件補正前請求項1」という。)は次のとおりである。
「 【請求項1】pA 被測定物を捕捉するための捕捉試薬が結合したメンブレンを備えたアッセイ装置を用いる、検体試料中の被測定物のラテラルフロー式簡易メンブレンアッセイ法であって、pC 検体試料を濾過フィルターを用いて濾過した後に前記メンブレン上に滴下し、pD 前記検体試料中の被測定物の存在を検出あるいは定量することを含み、pE 前記濾過フィルターが検体試料中の生体成分がメンブレン上あるいはメンブレン中に付着することを防ぐことにより偽陽性を防止することを特徴とするpF 方法。」
(2)本件補正により補正された請求項1
本件補正により補正された請求項1(以下「本件補正請求項1」という。)は次のとおりである。下線は補正箇所を示す。分説番号については上記(1)と同様である。
「 【請求項1】A 被測定物を捕捉するための捕捉試薬が結合したメンブレンを備えたアッセイ装置を用いる、検体試料中の被測定物のラテラルフロー式簡易メンブレンアッセイ法であって、B 前記検体試料が、咽頭拭い液、鼻腔拭い液、鼻腔吸引液又は便懸濁液から得られる試料であり、C 前記検体試料を濾過フィルターを用いて濾過した後に前記メンブレン上に滴下し、D 前記検体試料中の被測定物の存在を検出あるいは定量することを含み、E 前記濾過フィルターが前記検体試料中の生体成分がメンブレン上あるいはメンブレン中に付着することを防ぐことにより偽陽性を防止することを特徴とするF 方法。」
2 補正の適否
(1)本件補正
本件補正は次のとおり。
ア 補正事項1
構成pA(A)に含まれる「検体試料」についての特定事項に関する構成Bを加入する補正。
イ 補正事項2
構成pC、pEにおける「検体試料」に対し「前記」を付加する補正。
(2)新規事項の有無についての検討
ア 補正事項1について
本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲または図面(以下「当初明細書等」という。)の【0017】には、
「本発明の検査方法により分析するための検体試料は、咽頭あるいは鼻腔拭い液を適当な緩衝液中に浮遊させた溶液、鼻腔吸引液、便懸濁液、血漿、血清、尿、唾液、羊水、髄液、膿、臓器抽出液、各種組織抽出液等の生体試料、食品抽出液、培養上清、上水、下水、湖水、河川水、海水、土壌抽出液、汚泥抽出液及びそれらを適当な緩衝液で希釈した溶液を用いることができるがこれらに限定されない。」
との記載があり、補正事項1に係る構成Bの特定事項が該段落の、特に前記当審にて付した下線部の記載によって裏付けられることは明らかである。
イ 補正事項2について
当初明細書等の【0006】には、
「本発明の方法により、被測定物を捕捉するための捕捉物質が結合したメンブレンを備えたアッセイ装置を用いる簡易メンブレンアッセイ法において偽陽性の発生を大きく減らすことができた。これは以下のような理由によると考えられる。被測定物を捕捉するための捕捉物質が結合したメンブレンを備えたアッセイ装置を用いる簡易メンブレンアッセイ法では、被測定物が存在すると予測される部位、例えば患者の咽頭や鼻腔等から拭い液を採取して緩衝液に浮遊したり、被測定物を含む鼻汁や尿等の分泌物や排泄物から一部を採取し、緩衝液で希釈して、メンブレンアッセイ用の試料を作製するが、この場合、前記試料中に被測定物の他、検体採取部位から剥落した細胞や分泌物、排泄物の成分等が混入することがある。このような混入物にはプロテオグルカン、糖脂質等の粘性物質をはじめ、様々な生体成分が含まれているため、前記試料をそのまま膜等のメンブレン上に添加すると、上記成分の一部がメンブレン上あるいはメンブレン中に付着すると考えられる。特にメンブレンとして孔径または保留粒子径が0.1~10μmのものが使用されることが多いが、この孔径または保留粒子径に匹敵する大きさの成分が添加されると、メンブレン中の細孔を塞ぎ溶液中の成分の移動を阻害することが考えられる。このような現象により非特異的な反応が起こり、被測定物が検体中に存在しないにも係わらず陽性と判定してしまう、いわゆる偽陽性が起こると考えられる。本発明の方法によりこのような偽陽性を効率よく抑制することができ、信頼性の高い簡易検査方法を確立することができた。」、
同【0031】~【0032】には
「ノズル(I)には2枚の孔径(保留粒子径)0.67μmのガラス繊維の間に孔径0.45μmのニトロセルロースメンブレンを挟んだフィルターを装填し・・・検体試料を各ノズルを通過して濾過した後、3.で作成したメンブレンアッセイ装置のAホールとBホールにそれぞれ150μLずつ滴加し、ニトロセルロースメンブレンの下部に備えられた液体吸収部材に試料が完全に吸収されるまで放置」
との記載があり、補正事項2に係る、構成Bで特定した検体試料を対象として構成Cの工程を実行すること、構成Eの作用を期待することについては、当初明細書の該記載(特に当審にて付した下線部の記載)により裏付けられるといえる。
ウ 小括
上記ア、イのとおりであるから、補正事項1・2は何れも当初明細書等の記載の範囲内においてしたものであり、新規事項を追加するものではない。
(3)補正の目的要件違反についての検討
ア 補正事項1、2について
補正事項1は、本件補正前請求項1に記載した発明特定事項である「検体試料」について構成Bのとおりの限定を加えるものであり、補正事項2も同様である。
そして、本件補正前後において発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であることは明らかである。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(4)中括
以上(2)・(3)のとおりであるから、本件補正は特許法第17条の2第3項の規定に適合し、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とする、適法なものである。
また、本件補正により請求項5についても、上記補正事項1・2と同様の補正がなされているが、該補正も、上記(2)・(3)と同様の理由により適法なものである。
3 本件補正発明の独立特許要件についての検討
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1~9に係る発明は、その請求項1~9に記載された事項により特定されるものと認められるところ、上記2で説示したとおり、本件補正は、そのうち請求項1(本件補正請求項1)について、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むと認められるから、本件補正請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下に検討する。
(1)本件補正発明について
本件補正後の請求項1に記載された発明は、上記1(2)に記載したとおりのものであり、以下、この発明を「本件補正発明」という。
(2)引用文献に記載された事項
(2-1)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶理由において提示された、本願の原出願日前に公知となった国際公開第00/072012号(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 引用文献1の記載事項
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引用文献1の記載事項は次のとおり(摘記に続き当審訳を示す。)。以下では、項目番号により「記載1-01-14」などと引用する。(下線は当審で付与した。以下同様。)
(記載1-01-14) 「Doctors often depend on accurate and timely detection of certain analytes to treat and manage physical disorders. For example, certain species of the bacteria streptococcus cause scarlet fever and tonsillitis. If a doctor can quickly and accurately detect the presence of these bacteria, then he or she can quickly and successfully treat the infected patient.」(明細書1頁14~20行)
(当審訳:「医者はしばしば、身体的異常を治療及び管理するために特定アナライトの正確且つタイミング良い検出を頼りにしている。例えば、連鎖球菌の特定種は猩紅熱及び扁桃炎を引き起こす。医者が前記病原菌の存在を迅速且つ正確に検出できたなら、その医者は感染患者を迅速に、うまく治療することができる。」)
(記載1-02-10) 「Group A streptococcus antigens are not available for detection, however, without pretreating a sample obtained from a patient. Different tests for Group A streptococcus employ different approaches to pretreatment . In one approach, a test operator pretreats a sample in a cup separate from the immunological testing device. Typically the operator first obtains secretions from a patient's throat using a sample-collecting device, such as a swab. The operator then places the swab in a cup and adds acid. The acid breaks down the cell walls of Group A streptococcus present in the sample, releasing antigens. After adding other reagents, if necessary, the operator transfers some or all of the solution from the cup into an opening on the immunological testing device. The operator then reads the testing device and determines if Group A streptococcus antigens are present.」(明細書2頁10行~3頁3行)
(当審訳:「しかしながら、A群連鎖球菌抗原は患者から得た試料を予処理しない限り検出に使用できない。A群連鎖球菌のための別の検査では、予処理のために異なるアプローチを使用している。1つのアプローチでは、検査オペレーターは免疫学的検査デバイスとは別のカップにおいて試料を予処理する。典型的には、オペレーターはまず患者の喉からの分泌物を試料収集デバイス(例えば、スワブ)を用いて得る。次に、オペレーターはスワブをカップに置き、酸を添加する。酸は試料中に存在するA群連鎖球菌の細胞壁を壊して、抗原を遊離させる。必要により他の試薬を添加した後、オペレーターはカップから溶液の一部または全部を免疫学的検査デバイスの開口部に移す。次に、オペレーターは検査デバイスを読取り、A群連鎖球菌が存在するかどうか調べる。」)
(記載1-09-07) 「Samples pretreated using the present invention may be derived from any desired source, including blood, saliva, ocular lens fluid, cerebral fluid, sweat, urine, milk, ascites fluid, mucous, synovial fluid, peritoneal fluid, amniotic fluid, or the like. The fluid can be processed prior to use, such as preparing plasma from blood, diluting viscous fluids, or the like; methods of treatment can also involve separation, filtration, distillation, concentration, inactivation of interfering components, and the addition of reagents. Besides physiological fluids, other liquid samples such as water, food products, and the like can be used. In addition, a solid can be used once it is modified to form a liquid medium .」(明細書9頁7~20行)
(当審訳:「本発明を用いて予処理される試料は、血液、唾液、眼レンズ流体、脳脊髄液、汗、尿、乳、腹水、粘液、滑液、腹膜液、羊水等を含めた所望のソースから誘導され得る。前記流体は、例えば血液から血漿を作成したり、粘性流体を希釈する等して使用前に処理され得る。処理方法には干渉成分の分離、濾過、蒸留、濃縮または不活化及び試薬の添加も含まれ得る。生理学的流体の他に、水、食品等のような他の液体試料を使用し得る。更に、液体媒体を形成するように加工した固体をも使用することができる。」)
(記載1-18-28) 「An application pad, if present, is in fluid flow contact with one end of the chromatographic material, referred to as the proximal end, such that the pretreated sample can pass or migrate from the application pad to the chromatographic material; fluid flow contact can include physical contact of the application pad to the chromatographic material as well as the separation of the pad from the chromatographic strip by an intervening space or additional material which still allows fluid flow between the pad and the strip. Substantially all of the application pad can overlap the chromatographic material to enable the pretreated sample to pass through substantially any part of the application pad to the proximal end of the strip of chromatographic material. The application pad can be any material which can transfer the pretreated sample to the chromatographic material and which can absorb a volume of pretreated sample that is equal to or greater than the total volume capacity of the chromatographic material.
Materials preferred for use in the application pad include nitrocellulose, porous polyethylene frit or pads and glass fiber filter paper. The material must also be chosen for its compatibility with the analyte and assay reagents.」(明細書18頁28行~19頁20行)
(当審訳:「適用パッドは、それが存在する場合、予処理試料が適用パッドからクロマトグラフィー材料に前進したり移動できるようにクロマトグラフィー材料の一端(近端と呼ぶ)と流体流接触状態にある。流体流接触(fluid flow contact)には、適用パッドのクロマトグラフィー材料への物理的接触、及びパッドとクロマトグラフィーストリップの間に流体を流し得る介在スペースまたは追加の材料によるクロマトグラフィーストリップからのパッドの分離が含まれ得る。適用パッドの実質的に全部をクロマトグラフィー材料で覆って、予処理試料を適用パッドの実質的に一部からクロマトグラフィー材料ストリップの近端に流すことができる。適用パッドは、予処理試料をクロマトグラフィー材料に移すことができ、クロマトグラフィー材料の総容積キャパシティーと同等またはそれ以上の容量の予処理試料を吸収することができる任意の材料であり得る。
適用パッドに使用するための好ましい材料には、ニトロセルロース、多孔質ポリエチレンフリットまたはパッド、及びガラス繊維濾紙が含まれる。材料は、アナライトとアッセイ試薬の適合性に関しても選択しなければならない。」)
(記載1-19-30) 「If present, the application pad receives the pretreated sample, and the wetting of the application pad by the sample will perform at least two functions. First, it will dissolve or reconstitute a predetermined amount of any reagent contained by the pad. Secondly, it will initiate the transfer of both the test sample and any freshly dissolved reagent to the chromatographic material . In some instances, the application pad serves a third function as both an initial mixing site and a reaction site for the pretreated sample and any reagent present in the pad. The application pad may also serve as a filter for particulate material in the sample.」(明細書19頁30行~20頁10行)
(当審訳:「存在する場合、適用パッドは予処理試料を受容し、試料による適用パッドの吸上げは少なくとも2つの機能を発揮する。第1は、パッドに含まれる所定量の試薬が溶解または再構成される。第2に、検査試料及び溶解したばかりの試薬がクロマトグラフィー材料へ移動し始める。幾つかの場合では、適用パッドは、パッド中に存在する予処理試料及び試薬に対する最初の混合サイト及び反応サイトとして第3の機能を果たす。適用パッドは試料中の粒状材料に対するフィルターとても機能し得る。」)
(記載1-20-21)「An immunochromatographic device can also include a filtration means.The filtration means can be a separate material placed above or before the application pad or between the application pad and the chromatographic material, or the material of the application pad itself can be chosen for its filtration capabilities. The filtration means can include any filter or trapping device used to remove particles above a certain size from the pretreated sample. For example, the filter means can be used to remove red blood cells from a sample of whole blood, such that plasma is the fluid received by the application pad and transferred to the chromatographic material.」(明細書20頁21行~21頁1行)
(当審訳:「免疫クロマトグラフィーデバイスは濾過手段をも含み得る。濾過手段は、適用パッドの上またその前、または適用パッドとクロマトグラフィー材料の間に置かれる別の材料であり得る。また、適用パッドそのものの材料をその濾過可能性に関して選択することもできる。濾過手段は、ある大きさ以上の粒子を予処理試料から除去するために使用されるフィルターまたはトラップ手段を含み得る。例えば、フィルター手段は、血漿が適用パッドにより受容される流体であり、クロマトグラフィー材料に移されるように全血試料から赤血球を除去するために使用され得る。」)
(記載1-21-27) 「The chromatographic material of an immunochromatographic assay device can be any suitably absorbent, porous, or capillary possessing material through which a solution containing the analyte can be transported by a wicking action. Natural, synthetic, or naturally occurring materials that are synthetically modified, can be used as the chromatographic material including, but not limited to: cellulose materials such as paper, cellulose, and cellulose derivatives such as cellulose acetate and nitrocellulose; fiberglass; cloth, both naturally occurring (e.g., cotton) and synthetic (e.g., nylon); porous gels such as silica gel, agarose, dextran, and gelatin; porous fibrous matrixes; starch based materials, such as Sephadex? brand cross-linked dextran chains; ceramic materials; films of polyvinyl chloride and combinations of polyvinyl chloride-silica; and the like. The chromatographic material should not interfere with the production of a detectable signal. The chromatographic material should have a reasonable inherent strength, or strength can be provided by means of a supplemental support.」(明細書21頁27行~22頁15行)
(当審訳:「免疫クロマトグラフィーアッセイデバイスのクロマトグラフィー材料は、アナライト含有溶液を吸上げ作用により移すことができる適当な吸収性、多孔性または毛細管作用を有する材料であり得る。天然材料、合成材料、または合成的に修飾した天然材料をクロマトグラフィー材料として使用することができ、この中にはセルロース材料(例えば、紙、セルロース、及び酢酸セルロースやニトロセルロースのようなセルロース誘導体)、ファイバーガラス、天然布(例えば、綿)及び合成布(例えば、ナイロン)、多孔質ゲル(例えば、シリカゲル、アガロース、デキストラン及びゼラチン)、多孔質繊維マトリックス、澱粉ベースの材料(例えば、Sephadex(登録商標)ブランドの架橋デキストラン鎖)、セラミック材料、ポリ塩化ビニル及びポリ塩化ビニル?シリカの組合せのフィルム等が含まれるが、これらに限定されない。クロマトグラフィー材料は検出可能な信号の発生を妨害してはならない。クロマトグラフィー材料は妥当な固有強度を有していなければならず、または強度は補助支持体を用いて与えられ得る。」)
(記載1-22-24) 「A symbol or line indicative of the analyte can be formed by directly or indirectly attaching the analyte ' s capture reagent to the chromatographic material. Direct attachment methods include adsorption, absorption and covalent binding such as by use of (i) a cyanogen halide, e.g., cyanogen bromide or (ii) by use of glutaraldehyde . Depending on the assay, it may be preferred, however, to retain or immobilize the desired reagent on the chromatographic material indirectly through the use of insoluble microparticles to which the reagent has been attached. The means of attaching a reagent to the microparticles encompasses both covalent and non-covalent means, that is adhered, absorbed, or adsorbed. By "retained and immobilized" is meant that the particles, once on the chromatographic material, are not capable of substantial movement to positions elsewhere within the material. The particles can be selected by one skilled in the art from any suitable type of particulate material composed of polystyrene, polymethylacrylate, polyacrylamide, polypropylene, latex, polytetrafluoroethylene, polyacrylonitrile, polycarbonate, glass or similar materials. The size of the particles is not critical, although generally it is preferred that the average diameter of the particles be smaller than the average pore or capillary size of the chromatographic material .」(明細書22頁24行~23頁18行)
(当審訳:「アナライトを示す記号及びラインは、アナライト捕捉試薬をクロマトグラフィー材料に直接的または間接的に結合することにより形成され得る。直接的結合方法には、吸収、吸着、及び例えば(i)ハロゲン化シアン(例えば、臭化シアン)を用いるまたは(ii)グルタルアルデヒドを用いる共有結合が含まれる。しかしながら、アッセイに応じて、試薬を結合させた不溶性微粒子を用いて間接的にクロマトグラフィー材料上に所望の試薬を保持または固定化することが好ましいことがある。試薬を微粒子に結合させる手段には、付着、吸収または吸着する共有及び非共有結合が含まれる。「保持及び固定」は、一旦クロマトグラフィー材料上に結合させた粒子が該材料内の他の場所に実質的に移動し得ないことを意味する。粒子は、ポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリプロピレン、ラテックス、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ガラスまたは類似材料からなる適当な種類の粒状材料から当業者により選択され得る。粒子の大きさは臨界的でなく、通常粒子の平均直径はクロマトグラフィー材料の孔または毛細管の平均寸法よりも小さいことが好ましい。」)
(記載1-24-09) 「As shown in fig. 1, an apparatus comprising a first embodiment of the present invention includes a testing device 10 and a generally cylindrical container 12. The testing device 10 is a particular type of device which is commonly referred to as a test pack. The testing device 10 thus has a generally rectangular housing 14 including upper and lower plastic housing parts 16 and 18. A test element 20 is visible through a pair of output windows 22 and 24 in the upper housing part 16.The test element 20 in this embodiment is an assay element that responds to a test sample by providing a first visible output signal in the first window 22 to indicate the presence or absence of a specified amount in analyte in the test sample, and further by providing a second visible output signal in the second window 24 to indicate when the assay is complete. Such a test element may comprise any suitable structure in any suitable configuration known in the art.」(明細書24頁9~25行)
(当審訳:「図1に示すように、本発明の第1具体例の装置は検査デバイス10及び通常円筒形の容器12を含む。前記検査デバイス10は、一般的に検査パックと呼ばれる特殊タイプのデバイスである。従って、前記検査デバイス10は、上部及び下部プラスチックハウジング部16、18を含む通常長方形のハウジング14を有する。検査素子20は上部ハウジング部16にある一対の出力窓22、24を介して目視できる。この具体例の検査素子20は、検査試料中のアナライトの特定量の存在及び不在を示すべく第1窓22に第1可視出力を与えることにより、更にアッセイが終了したときを報せるべく第2窓24に第2可視出力を与えることにより検査試料に応答するアッセイ素子である。前記検査素子は、適当な構造物を当業界で公知の適当な配置で含み得る。」)
(記載1-24-26) 「The upper housing part 16 defines a receiving well 26 in which the housing 14 receives and supports the container 12 in accordance with the present invention. The container 12 includes a disc 30 that snaps under a plurality of overhangs 32 defined by the upper housing part 16 at the periphery of the receiving well 26. The disc 30 has a key feature 34 that aligns with a mating key feature 36 in the upper housing part 16. The mating key features 34 and 36 ensure proper orientation of the container 12 and the housing 14 when the container 12 is first inserted into the receiving well 26. The container 12 is thus snapped into interlocked engagement with the housing 14 in a predetermined pretreatment orientation relative to the housing 14. The mating key features 34 and 36 are configured so that the container 12 may be rotated about its longitudinal central axis 37 relative to the housing 14 when the disc 30 is received under the overhangs 32.」(明細書24頁26行~25頁12行)
(当審訳:「上部ハウジング部16は受容ウェル26を規定し、そのウェルにおいてハウジング14は本発明に従って容器12を受容し、支持する。前記容器12はディスク30を含み、このディスク30は受容ウェル26の周囲で上部ハウジング部16により規定される複数のオーバーハング32の下に係止する。前記ディスク30は、上部ハウジング部16の合わせキー要素36と整列するキー要素34を有する。合わせキー要素34、36により、まず容器12を受容ウェル26に挿入したときに容器12及びハウジング14が正しく位置づけられる。すなわち、容器12はハウジング14に対して所定の予処理位置でハウジング14と連動係合されて係止される。合わせキー要素34、36は、ディスク30がオーバーハング32の下に受容されたときに容器12がハウジング14に対してその縦中心軸37の周りを回転し得るように構成されている。」)
(記載1-25-13) 「As shown in fig 2, the container 12 includes a shear pin 38 that projects longitudinally from the bottom wall 40 of the container 12 at a location laterally offset from the axis 37. The shear pin 38 is received in a pin capture hole 42 at the bottom of the receiving well 26 when the container 12 is moved to the pretreatment orientation in the foregoing manner . To render the interior compartment 43 of the container 12 in fluid communication with the testing device 10, an operator rotates the container 12 so that the shear pin 38 is sheared off to form a hole at the bottom of the container 12. The newly formed hole at the bottom of the container 12 allows a pretreated sample in the container 12 to drain from the container 12 through a drain hole 44 at the bottom of the receiving well 26 upon rotation of the container 12 fully from the pretreatment orientation to a predetermined testing orientation which is offset from the pretreatment orientation 180 degrees about the axis 37.」(明細書25頁13~30行)
(当審訳:「図2に示すように、容器12は、軸37から横方向に偏位した位置で容器12の底壁40から縦方向に突出しているシャーピン38を含む。前記シャーピン38は、容器12が前記したように予処理位置に移動したときに受容ウェル26の底部のピン捕獲ホール42中に受容される。容器12の内部コンパートメント43を検査デバイス10と流体連通させるために、オペレーターはシャーピン38が剪断変形されて容器12の底部に孔を形成するように容器12を回転させる。容器12の底部の新たに形成された孔により、容器12中の予処理試料は、容器12を予処理位置から該予処理位置180から偏位している所定の検査位置に軸37の周りを180゜回転させたときに受容ウェル26の底部の排出孔44を介して容器12から排出される。」)
(記載1-26-25) 「In step 3B, a sample on a sample-collecting device 54 --in this case a swab- -is placed inside the container compartment 43.」(明細書26頁25~27行)
(当審訳:「ステップ3Bでは、試料収集デバイス54(この場合は、スワブ)上の試料を容器コンパートメント43内に置く。」)
(記載1-27-18) 「In step 3F, the test operator rotates the container 12, shearing off the pin 38 and creating an opening in the bottom wall 40 (Fig. 2) of the container 12. The liquid contents then drain through the opening and the drain hole 44 (Fig. 1) so that the analyte, if present, is detected by the particular test element 20 contained in the testing device 10.」(明細書27頁18~24行)
(当審訳:「ステップ3Fでは、検査オペレーターは容器12を回転させて、ピン38を剪断変形させ、容器12の底壁40(図2)に開口部を形成する。その後、液体内容物は前記開口部及び排出孔44(図1)を介して排出し、よってアナライトが存在する場合にはそのアナライトは検査デバイス10中に収容されている特殊検査素子20により検出される。」
(記載1-28-08) 「A second embodiment of the present invention is shown in Figs. 4, 5, and 6A-6E. This container 60 is molded or built to incorporate a semi-permeable membrane 62 as part or all of the bottom wall of the container 60. Such a membrane may be formed of any suitable material known in the art. A plurality of projections 64 extend outwardly from the peripheral wall 66 of the container 60. These projections 64 serve to ensure proper alignment of the container and a corresponding test pack housing 68 when the container 60 is first inserted downward into a receiving well 70 in the housing 68. The projections 64, in conjunction with channels 72 incorporated into the housing 68 at the periphery of the receiving well 70, also serve to guide subsequent rotational and downward movements that bring the semi-permeable membrane 62 into contact with a pad 74 (shown schematically in Fig. 6A) inside the test pack housing 68. When the container 60 is first inserted downward into the receiving well 70, there is an air gap between the semi-permeable membrane 62 and the pad 74. The pretreated sample is placed in fluid communication with the testing elements 74 and 75 in the housing 68 only when the container 60 is rotated and pushed downward so that the semi-permeable membrane contacts the pad 74 inside the housing 68.」(明細書28頁8~31行)
(当審訳:「本発明の第2具体例を図4、5及び6A~6Eに示す。容器60は、半透膜62を該容器60の底壁の一部または全部として含むように成形または作製されている。前記膜は当業界で公知の好適な材料から形成され得る。複数の突起64が容器60の周壁66から外向きに延びている。これらの突起64は、まず容器60をハウジング68の受容ウェル70に下向きに挿入したときに容器及び対応する検査パックハウジング68が正しく整列されるように働く。また、チャネル72と共同して受容ウェル70の周囲でハウジング68に挿入される前記突起64はその後の回転及び下降運動を案内するようにも働き、その運動により半透膜62は検査パックハウジング68内のパッド74(図6Aに概略的に示す)と接触する。まず容器60を下向きに受容ウェル70に挿入したときには、半透膜62とパッド74の間に空隙が存在する。容器60を半透膜がハウジング68内のパッド74と接触するように回転させ、下向きに押したときのみ、予処理試料はハウジング68内の検査素子74,75と流体連通状態に置かれる。」)
(記載1-29-29) 「In step 6B, a sample on a sample-collecting device 90- -in this case a swab- -is placed inside the compartment 89. In step 6C, a reagent is added to pretreat the sample. While Fig. 6C illustrates adding one reagent to the sample, more than one reagent may be necessary for pretreatment . The test operator allows the desired pretreatment time to expire. The container 60 is than rotated about the axis 83 (step 6D) so that the projections 64 are moved off the ends of the arcuate ledges 88 (Fig. 5) , and is pushed further axially downward (step 6E) from the pretreatment orientation to a predetermined testing orientation in which the semi-permeable membrane 62 contacts the pad 74 inside the housing 68. The liquid contents then flow from the compartment 89 through the semi-permeable membrane 62, and any analyte present in the liquid is detected by the testing elements 74 and 75 in the housing 68.」(明細書29頁29行~30頁16行)
(当審訳:「ステップ6Bでは、試料収集デバイス(この場合は、スワブ)上の試料をコンパートメント89内に置く。ステップ6Cでは、試薬を添加して試料を予処理する。図6Cでは1つの試薬を試料に添加しているが、予処理のために1つ以上の試薬が必要であり得る。検査オペレーターは所望の予処理時間が経過するのを待つ。次いで、突起64はアーチ状押縁88(図5)の端部を外れるように容器60を軸83の周りに回転させ(ステップD)、更に予処理位置から半透膜62がハウジング68内のパッド74と接触する所定の検査位置まで軸方向に下向きに押す(ステップE)。その後、液体内容物は半透膜62を介してコンパートメント89から流出し、液体中に存在するアナライトはハウジング68中の検査素子74,75により検出される。」)
(記載1-30-19) 「A third embodiment of the present invention is depicted in Figs. 7A-7F. This container 100 is molded or built to incorporate a pierceable membrane 102 as part or all of the bottom wall of the container 100. A plurality of pins 104 extend outwardly from the peripheral wall 106 of the container 100. These pins 104 serve to ensure proper alignment of the container 100 and a corresponding test pack housing 110 when the container 100 is first inserted downward into a receiving well 112 in the housing 110. The pins 104, in conjunction with channels 114 in the receiving well 112, also serve to guide subsequent rotational and downward movements that cause the membrane 102 to be pierced by a cannula at the bottom of the well 112.」(明細書30頁19行~31頁2行)
(当審訳:「本発明の第3具体例を図7A~7Fに示す。容器100は、穿孔可能膜102を該容器100の底壁の一部または全部として含むように成形または作製されている。複数のピン104が容器100の周壁106から外向きに延びている。これらのピン104は、まず容器100をハウジング110の受容ウェル112に下向きに挿入したときに容器100及び対応する検査パックハウジング110が正しく整列されるように働く。また、前記ピン104は受容ウェル112のチャネル72と共同してその後の回転及び下降運動を案内するように働き、その運動により膜102はウェル112の底部のカニューレにより穿孔される。」)
(記載1-31-24) 「Figs. 7A-7F illustrate one possible sequence of steps for pretreating a sample using the container 100. In step 7A, the projections 104 on the container 100 are aligned with the channels 114 at the top of the receiving well 112. The container 100 is then pushed axially downward to a predetermined pretreatment orientation. The interior compartment 120 of the container 100 is not yet in fluid connection with the testing element 122 in the housing 110, permitting the operator to pretreat a sample for a desired pretreatment time.」(明細書31頁24行~32頁2行)
(当審訳:「図7A~7Fは、容器100を使用して試料を予処理するための1つの考えられる一連のステップを示す。ステップ7Aでは、容器100の突起104を受容ウェル112の上部のチャネル114と整列させる。その後、容器100を所定の予処理位置まで軸方向に下向きに押す。容器100の内部コンパートメント120はまだハウジング110の検査素子122と流体連通状態になく、オペレーターは試料を所望の予処理時間予処理することができる。」)
(記載1-32-10) 「The test operator allows the desired pretreatment time to expire, and removes the swab 124 (step 7D) . Then the container 100 is rotated about its axis 125 (step 7E) and is pushed further axially downward (step 7F) to a predetermined testing orientation so that the cannula in the well 112 pierces the membrane 102. The liquid contents then flow through newly opened hole, and any analyte present in the liquid is detected by the testing element 122 of the testing device.」(明細書32頁10~18行)
(当審訳:「検査オペレーターは所望の予処理時間が経過するのを待ち、スワブ124を取出す(ステップ7D)。次いで、容器100をその軸125の周りに回転させ(ステップ7E)、更に壁112のカニューレが膜102を穿孔するように所定の検査位置まで軸方向に下向きに押す(ステップ7E)。その後、液体内容物は新たに形成した孔を介して流出し、液体中に存在するアナライトは検査デバイスの検査素子122により検出される。」)
(記載1-33-09) 「A fourth embodiment of the invention includes a container 150 which is connected to the housing 152 of a test pack 154. This container 150 also is rendered in fluid connection with a testing element in the test pack 154 in accordance with the present invention, as shown in Figs. 10 and 11A-11D. The container 150 is generally cylindrical.
The top 156 of the container 150 is open to permit insertion of a sample-collecting device and the introduction of a reagent. The bottom wall 160 of the container 150 incorporates a first circular drain hole 162 that is laterally offset from the longitudinal central axis 163 of the container 150.
The test pack housing 152 has a well 166 in which the container 150 is connected to the housing 152 and supported for rotation about the axis 163 relative to the housing 152. The well 166 has a bottom wall 168 that incorporates both a valve seat 170 and a second circular drain hole 172. Both the valve seat 170 and second drain hole 172 are laterally offset from the axis 163, with the second drain hole 172 preferably being laterally opposite the valve seat 170. As shown in Fig. 10, the container 150 has a predetermined pretreatment orientation in which the valve seat 170 is received closely within the first drain hole 162 in the bottom wall 160 of the container 150. The first drain hole 162 is then closed by the valve seat 170. Figs. 11A-11D illustrate one possible sequence of steps for pretreating a sample using this embodiment. In step 11A, a sample on a sample-collecting device 180--in this case a swab--is placed in the compartment 155.
In step 11B, a reagent is added to pretreat the sample. While Fig. 11B illustrates adding one reagent to the sample, more than one reagent may be necessary for pretreatment .
The test operator allows the desired pretreatment time to expire. Then the sample-collecting device 180 is removed (step 11C) and the container 150 is rotated about the axis 163 relative to the housing 152 from the pretreatment orientation to a predetermined testing orientation in which the drain hole 162 in the bottom wall 160 of the container 150 is positioned over the drain hole 172 in the bottom wall 168 of the receiving well 166. The pretreated sample then flows through the second drain hole 172 and contacts the testing element 182 of the testing device 154. The testing orientation is preferably identified by alignment indicators 190 and 192 on the container 150 and the housing 152, respectively. Similar visible orientation indicators can be used on any of the other embodiments of the invention.」(明細書33頁9行~34頁27行)
(当審訳:「本発明の第4具体例は、検査パック154のハウジング152に接続されている容器150を含む。この容器150は、図10及び図11A~11Dに示すように本発明に従って検査パック154の検査素子と流体流通状態になる。
容器150は通常円筒形である。容器150の頂部156は、試料収集デバイスを挿入し、試薬を導入できるように開放されている。容器150の底壁160は、容器150の縦中心軸150から横方向に偏位している第1円形排出孔16を含む。
検査パックハウジング152は壁166を有し、この壁において容器150はハウジング152に連結しており、ハウジング152に対して軸163の周りを回転させるために支持されている。壁166は、弁座170及び第2円形排出孔172の両方を含む底壁168を有する。弁座170及び第2排出孔172は軸163から横方向に偏位しており、第2排出孔172は好ましくは弁座170と横方向に対向している。図10に示すように、容器150は、弁座170が容器150の底壁160中の第1排出孔162内に密接に受容される所定の予処理位置を有する。その後、第1排出孔162は弁座170により閉鎖される。
図11A~11Dは、上記具体例を使用して試料を予処理するための1つの考えられる一連のステップを示す。ステップ11Aでは、試料収集デバイス(この場合は、スワブ)上の試料を容器コンパートメント155内に置く。
ステップ11Bでは、試薬を添加して試料を予処理する。図11Bでは1つの試薬を試料に添加しているが、予処理のために1つ以上の試薬が必要であり得る。
検査オペレーターは所望の予処理時間が経過するまで待つ。その後、試料収集デバイス180を取出し(ステップ11C)、容器150を予処理位置から容器150の底壁160中の排出孔162が受容ウェル166の底壁168中の排出孔172の上に位置づけられる所定の検査位置に容器150をハウジング152に対して軸163の周りを回転させる。こうすると、予処理試料は第2排出孔172を介して流出し、検査デバイス154の検査素子182と接触する。検査位置は、好ましくはそれぞれ容器150及びハウジング152上の整列インジケーター190、192により同定される。本発明の他の具体例に対して類似の可視位置インジケーターを使用することができる。」)
(記載1-37-22) 「As shown in phantom view in Fig. 12B, a swab 220 is receivable between the projections 202 in a position centered on the axis 215. During a selected pretreatment time, the operator of the test can rotate the swab 220 in either direction about the axis 215. The operator can also move the swab 220 axially so that the swab 220 contacts the projections 202 both above and below the liquid level. By moving the swab 220 rotatably, axially, or both, the operator exerts compressive, frictional, and other forces on the swab 220 and sample. Specifically, the projections 202 in the preferred embodiment are oriented so as to compress the swab 220 radially therebetween. This causes the swab 220 to undergo a pumping action which expels liquid as the swab 220 compresses and expands upon being rotated about the axis 215 between the projections 202.」(明細書37頁22行~38頁5行)
(当審訳:「図12Bのファントム図に示すように、スワブ220は軸215の中心にある位置で突起202間で受容可能である。特定の予処理時間の間、検査オペレーターはスワブ220を軸215の周りにいずれかの方向に回転させる。オペレーターは、スワブ220が液体レベルの上及び下で突起202と接触するようにスワブ220を軸方向に移動させることもできる。スワブを回転方向及び/または軸方向に移動させることにより、オペレーターはスワブ220及び試料に対して圧縮力、摩擦力または他の力を与える。具体的には、好ましい具体例の突起202は、スワブ220を突起間で放射方向に圧縮するように配置されている。こうすると、突起202間で軸215の周りを回転させたときにスワブ220が圧縮、膨張するので、スワブ220はポンプ作用を受け、液体を放出する。」)
(記載1-38-21) 「a) Manipulation of flexible cup.
Five drops of acetic acid and 5 drops of sodium nitrite solution were added to a flexible cup. A swab seeded with Group A streptococcus (20,000 organisms) was then placed in the cup. After 1 minute, the swab was squeezed by pinching the outside of the cup to force liquid from the swab into the solution below. Next, 0.33 ml of the pretreated sample were pipetted onto a chromatographic strip binding assay specific for antigens of Group A streptococcus . After 5 minutes, the optical intensity of the labeled streptococcus antigens was determined. After 10 minutes the optical intensity of the labeled streptococcus antigens was again determined.
b) Method of the present invention.
Five drops of acetic acid and 5 drops of sodium nitrite solution were added to a container of the present invention (the embodiment depicted in Figs. 12A and 12B) . A swab seeded with Group A streptococcus (20,000 organisms) was then placed in the container. After 1 minute, the swab was rotated 5 times with the swab immersed and 5 times with the swab positioned above the liquid level. The contents were then poured from the container into a cup, from which 0.33 ml of the pretreated sample were pipetted onto a chromatographic strip binding assay specific for antigens of Group A streptococcus . After 5 minutes, the optical intensity of the labeled streptococcus antigens was determined. After 10 minutes the optical intensity of the labeled streptococcus antigens was again determined. The results of this comparison of optical intensity are presented in the following table:
・・・
The present invention encompasses variations of the methods described above. Rather than attach a container of the present invention to a test -device housing before pretreating the sample, a test operator can pretreat the sample in the container and then attach the container to the test-device housing.」(明細書38頁21行~39頁29行)
(当審訳:「a)可撓性カップの操作
酢酸5滴及び亜硝酸ナトリウム溶液5滴を可撓性カップに添加した。次いで、A群連鎖球菌(20、000生物)を接種したスワブをカップに置いた。1分後、カップの外側を挟むことによりスワブを絞り、スワブからの液体を下の溶液に流した。次いで、予処理試料0.33mlを、A群連鎖球菌抗原に対して特異的なクロマトグラフィーストリップ結合アッセイにピペットで移した。5分後、標識連鎖球菌抗原の光学強度を測定した。10分後、標識連鎖球菌抗原の光学強度を再び測定した。
b)本発明の方法
酢酸5滴及び亜硝酸ナトリウム溶液5滴を本発明の容器(図12A及び12B示す具体例)に添加した。次いで、A群連鎖球菌(20、000生物)を接種したスワブを容器に置いた。1分後、スワブを浸漬させてスワブを5回回転させ、スワブを液体レベルの上に置いてスワブを5回回転させた。次いで、内容物を容器からカップに注ぎ、そこから予処理試料0.33mlをA群連鎖球菌抗原に対して特異的なクロマトグラフィーストリップ結合アッセイにピペットで移した。5分後、標識連鎖球菌抗原の光学強度を測定した。10分後、標識連鎖球菌抗原の光学強度を再び測定した。光学強度の比較の結果を下表に示す。
・・・
本発明は、上記した方法の変更を包含する。試料を予処理する前に本発明の容器を検査デバイスハウジングに取付けるよりむしろ、検査オペレーターは容器において試料を予処理した後、その容器を検査デバイスハウジングに取付けることができる。」)
(図1-1)
図1は次のとおり。
[図:0001386050000001.jpg]
(図1-6A)
図6Aは次のとおり。
[図:0001386050000002.jpg]
(図1-6B)
図6Bは次のとおり。
[図:0001386050000003.jpg]
(図1-6C)
図6Cは次のとおり。
[図:0001386050000004.jpg]
イ 引用文献1の看取・認定事項
上記アで摘記した引用文献1の記載事項から、以下の事項を看取・認定できる。以下、項目名の「認定事項ア」などにより引用する。
(認定事項ア)記載1-24-09によれば、図1において、符号16の要素は「上部プラスチックハウジング部」、符号18の要素は「下部プラスチックハウジング部」であるから、検査デバイス10(の長方形のハウジング14)は、該図の状態で符号18の要素が下面となるように水平に載置して使用されるものであると理解される。
そして、検査デバイス10に取り付けられた容器12から、試料が検査デバイス10の排出孔44を介して検査デバイス10内に排出され(記載1-25-13)、検査デバイス10内の検査素子20によって、出力窓22を介して試料中のアナライトの存否を示す第1可視出力が与えられる(記載1-24-09)のであるから、水平に載置される検査デバイス10内には検査素子20が水平に設けられているといえる。
そして、検査デバイス10は記載1-21-27によれば、「免疫クロマトグラフィーアッセイデバイス」であり、検査素子20はそのための、「例えば紙・セルロース」などの「セルロース材料」などからなる「クロマトグラフィー材料」であると理解される。
また、記載1-22-24には、「アナライトを示す記号及びライン」を形成すべく「アナライト捕捉試薬」が「クロマトグラフィー材料に直接的または間接的に結合」されることが記載されている。
そうすると、引用文献1に記載された検査デバイス10は、「検査デバイス内に水平に載置された、セルロース材料などからなり、アナライトを示す記号及びラインを形成すべく、アナライト捕捉試薬が結合されたクロマトグラフィー材料からなる検査素子を備える検査デバイスを用い、検査デバイス内に排出された試料中のアナライトの存非を、検査デバイスの出力窓を介して検査素子が第1可視出力を与えることで示す、免疫クロマトグラフィーアッセイを行う」装置であるといえる。
(認定事項イ)図6A及び該図に関する記載1-28-08、並びに記載1-18-28、記載1-24-26、記載1-25-13から、「適用パッド(パッド74)は、ニトロセルロース、多孔質ポリエチレンフリットまたはパッド、及びガラス繊維濾紙からなり、検査デバイスにおける、容器を受容する受容ウェル(26、70)の直下に載置され、適用パッドからクロマトグラフィー材料に前進したり移動できるようにクロマトグラフィー材料の一端(近端と呼ぶ)と流体流接触状態にあり、実質的に全部がクロマトグラフィー材料で覆われてもよく、検査デバイスの受容ウェルが受容・支持した容器底部の孔から排出された予処理試料を受容するものである」ものであると理解される。
ウ 引用文献1に記載された発明
上記ア、イによれば、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。ここで、分説番号は上述のとおりである。また、各構成単位末尾括弧内には、認定の根拠となった記載箇所や認定事項を示した。
「a 検査デバイス内に水平に載置された、セルロース材料などからなり、アナライトを示す記号及びラインを形成すべく、アナライト捕捉試薬が結合されたクロマトグラフィー材料からなる検査素子を用い、検査デバイス内に排出された試料中のアナライトの存否を、検査デバイスの出力窓を介して検査素子が第1可視出力を与えることで示す、免疫クロマトグラフィーアッセイを行う方法であって、(認定事項ア)b 予処理された試料は、患者の唾液や粘液等を含むソースから誘導されたものであり、(記載1-09-07)例えば猩紅熱や扁桃炎を引き起こす病原菌であるA群連鎖球菌を検出するため、オペレーターが患者の喉からの分泌物を収集し、酸や、必要により試薬を添加した試料であり、(記載1-02-10)c1 検査デバイスの受容ウェルが受容・支持した容器底部の孔から排出された予処理試料は、ニトロセルロース、多孔質ポリエチレンフリットまたはパッド、及びガラス繊維濾紙からなり、検査デバイスにおける、容器を受容する受容ウェル(26、70)の直下に載置され、適用パッドからクロマトグラフィー材料に前進したり移動できるようにクロマトグラフィー材料の一端(近端と呼ぶ)と流体流接触状態にあり、実質的に全部がクロマトグラフィー材料で覆われてもよい、適用パッドに受容され、(認定事項イ)c2 前記免疫クロマトグラフィーデバイスである検査デバイスは適用パッドの上または前に、或る大きさ以上の粒子を予処理試料から除去するための濾過手段を設けるものであり、(記載1-20-21)d 予処理試料は適用パッドの実質的に一部から、検査素子であるクロマトグラフィー材料ストリップの近端に流され、(記載1-18-28)試料中のアナライトの特定量の存在及び不存在が、検査デバイスの第1窓を介し、第1可視出力として与えられ、(記載1-24-09)e 前記濾過手段は、ある大きさ以上の粒子を予処理試料から除去するために使用されるフィルターまたはトラップ手段を含む、(記載1-20-21)f 免疫クロマトグラフィーアッセイを行う方法(認定事項ア)。」
(2-2)引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶理由において提示された、本願の原出願日前に公知となった特表平9-511058号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 引用文献2の記載事項
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(記載2-5-1)「【発明の詳細な説明】
被検体の検出
本発明は、唾液サンプル中の被検体、特に抗体または抗原等の特異的な結合分子の検出方法に関するものである。本発明は、特に、予め貯蔵または凍結されていない新鮮な唾液サンプル中の被検体の検出に関するものである。」(5頁1~5行)
(記載2-7-7)「本発明の第一の概念においては、唾液サンプルを被検体と特異的な結合複合体(specific binding complex)を形成できる特異的な結合物質と接触させて、特異的な結合複合体の存在を検出することからなる、唾液サンプル中の被検体の存在を検出する方法において、この唾液サンプルを初めにパルミチン酸および/またはステアリン酸のポリオキシエチレンソルビタン誘導体からなる溶液と接触させることを特徴とする方法を提供するものである。」(2頁7~12行)
(記載2-8-26)「被検体は、特異的な結合物質と反応して特異的な結合複合体を形成できる特異的な結合分子であってもよい。特異的な結合複合体の例としては、抗体-抗原複合体が挙げられ、すなわち、被検体は抗体または抗原のいずれかであってもよい。」(8頁26行~9頁1行)
(記載2-9-25)「特異的な結合物質は、簡便にかつ好ましく固体支持体に結合する。適当な固体支持体としては、ニトロセルロース膜、ガラスまたはポリマーの固体支持体が挙げられる。上記を目的として最も一般的に使用されるポリマーは、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはポリプロピレンであるが、本発明はこれらに限定されない。固体支持体は、ストリップ、チューブ、ビーズ、ディスク若しくはマイクロプレート、または免疫検定を行うのに適した他の表面の形態を有している。
特に有用な固体支持体は、サンプルを固体支持体上に添加すると、被検体はニトロセルロース膜の上面に特異的な結合物質によって固定化されるがサンプルの残りは膜を通過して吸収パッドに吸収されるように、吸収パッドによって裏打ちされたニトロセルロース膜からなるものである。これにより、不必要な材料は特異的な結合複合体が検出される領域から除去される。」(8頁26行~9頁9行)
(記載2-12-13)「唾液を基礎とした検定から信頼性のある結果を得る問題をさらに調査することによって、偽陽性の結果を生じる可能性のある原因の一つとして、試験試薬に非特異的に結合して偽陽性の結果を生じるムチンや粒状材料が唾液サンプル中に存在することが示唆された。したがって、本発明の方法に、特異的な結合複合体の存在を検出しようとする前にサンプルを濾過する段階を含むことが好ましい。
具体的には、フィルターは、約1~15μm、好ましくは3~8μmの有効孔径を有する。これは、どのようなタイプのフィルターを用いても達成されるが、好ましいタイプは、プラスチック材料から作製され約5~10μmの典型的な実際の孔径を有するフリット(frit)である。このようなタイプのフリット(frit)では、フリットは比較的深く細孔が整列していない(out of alignment)ので、有効孔径は実際の孔径より小さい。
唾液サンプルからの粒状材料の除去は、特異的な結合物質が結合した基材がコンタミされないようにすることを補助する。このようなことは、基材が膜である際には、粒状物質が膜の細孔を塞いで結合していないサンプルが膜を通過して試験表面から除去されることを妨げる、即ち、サンプルに関する流れ時間(flow through time)が増加してしまうため、特に重要である。
濾過段階前に含まれるさらなる段階としては、サンプルを綿または綿毛のパッド等の粗いフィルターに通す一次分離段階がある。これにより、恐らく高分子量のムコ多糖が除去されることにより、唾液サンプルの粘度が減少する。粘度が減少したサンプルは、粘性のある唾液サンプルを膜の細孔を通過させることは困難であり、これによりこのような段階がないと試験にはかなりより長いがかかってしまうので、特異的な結合分子が膜基材上に固定化される際に有用である。さらに、このような段階を含まないと、残渣はしばしば試験表面上に残り、これが特異的な結合反応をまたは検出段階を妨害する。
これらの予備濾過段階は、唾液からムチンや粒状材料を除去するのには完全には効果的でないと考えられ、流れ時間(flow through time)が遅く、サンプルを予め濾過しても多くの偽陽性の結果が得られることが多い。
しかしながら、サンプルを基材表面上に吸着させた後に単に基材表面を拭きとることによって本発明の試験で得られる偽陽性の結果の数は減少できることが示された。最も予期できないことであったが、すべての混入物が従来試みられていた濾過段階によって除去されると考えられていたが今回はそうではないと考えられる。」
(12頁13行~13頁16行)
イ 引用文献2の記載事項から認定される事項
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上記アの摘記事項から、引用文献2には次の技術事項(以下「引用文献2技術事項」という。)が記載されているといえる。
「唾液サンプルを被検体と特異的な結合複合体を形成できる特異的な結合物質と接触させて、特異的な結合複合体の存在を検出することによる、(記載2-7-7)唾液サンプル中の抗体または抗原等の特異的な結合分子の検出方法であって、(記載2-5-1)ストリップまたは免疫検定を行うのに適した他の表面の形態を有している、ニトロセルロース膜、ガラスまたはポリマー(セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはポリプロピレン)からなる固体支持体に、特異的な結合物質を結合して検出するものであって、(記載2-9-25)唾液サンプル中に存在し、偽陽性の結果を生じる可能性のある、試験試薬に非特異的に結合して偽陽性の結果を生じるムチンや粒状材料の除去のため、前記のとおり特異的な結合複合体の存在を検出しようとする前にサンプルを濾過する段階を含む、(記載2-12-13)方法。」
(3)本件補正発明と引用発明との対比
ア(ア)構成aの「アナライト」、「アナライト捕捉試薬」、「セルロース材料などからな」る「クロマトグラフィー材料」及び「検査素子」、「検査デバイス」、「免疫クロマトグラフィーアッセイを行う方法」は、それぞれ構成Aの「被測定物」、「捕捉試薬」、「メンブレン」、「アッセイ装置」、「簡易メンブレンアッセイ法」に相当することが明らかである。
同様に、構成aの「免疫クロマトグラフィーアッセイを行う方法」は、構成Fの(「免疫クロマトグラフィーアッセイを行う方法」に該当する)「方法」にも相当する。
(イ)構成aで「検査素子」は「検査デバイス内に水平に載置された」もので、この状態の「検査デバイス」を用い免疫クロマトグラフィーアッセイを行うのであるから、構成aの「免疫クロマトグラフィーアッセイを行う方法」は、構成Aにいう「ラテラルフロー式」に相当する。
イ(ア)構成bの「予処理された試料」は、構成c1で、実際に検査デバイスを用いて検査される対象となる試料とされるものであるから、これは構成Aの「検体試料」及び構成Bの「前記検体試料」に相当する。
(イ)構成bで「患者の唾液や粘液等を含むソース」として例示される「患者の喉からの分泌物」は、構成Bの「咽頭拭い液」に相当する。
ウ(ア)構成c1の「ニトロセルロース、多孔質ポリエチレンフリットまたはパッド、及びガラス繊維濾紙からなり、検査デバイスにおける、容器を受容する受容ウェル(26、70)の直下に載置され、適用パッドからクロマトグラフィー材料に前進したり移動できるようにクロマトグラフィー材料の一端(近端と呼ぶ)と流体流接触状態にある適用パッド」は、「クロマトグラフィー材料」と同様にメンブレン材料からなるものであり、「クロマトグラフィー材料の一端」と「流体流接触状態」にあり、さらに「実質的に全部がクロマトグラフィー材料で覆われてもよい」、すなわち検査素子であるクロマトグラフィー材料と物理的に接触する態様も含むものであるから、「クロマトグラフィー材料」と少なくとも連続的なメンブレン材料を構成するものということができる。
よって、構成c1の「適用パッド」も構成Cの「前記メンブレン」に相当するといえる。
(イ)構成c1で、「検査デバイスの受容ウェルが受容・支持した容器底部の孔から排出された予処理試料は」「検査デバイスにおける、容器を受容する受容ウェル(26、70)の直下に載置され」た「適用パッドに受容され」るのであるから、予処理試料は、適用パッドからみて上方の「容器底部の孔」から、その下方の「適用パッド」に対し、下方に流下されるといえ、この工程は、構成Cの「前記検体試料を・・・前記メンブレン上に滴下」する工程に相当するといえる。
(ウ)構成c2の「適用パッドの上または前に」設けられる「或る大きさ以上の粒子を予処理試料から除去するための濾過手段」は、構成Cの「フィルター」に相当する。
また、前記構成c2の「濾過手段」が適用パッドの上に存在することにより、上記(イ)で説明した予処理試料の下方への流下工程において、流下する予処理試料が適用パッドに受容される前に通過するものであることが明らかである。
よって、構成c2に特定される「濾過手段」の配置を前提とした構成c1の、「検査デバイスの受容ウェルが受容・支持した容器底部の孔から排出された予処理試料」が「適用パッドに受容」される工程は、構成Cの、「前記検体試料を濾過フィルターを用いて濾過した後に前記メンブレン上に滴下」する構成に相当するといえる。
エ 構成dの「予処理試料は適用パッドの実質的に一部から、検査素子であるクロマトグラフィー材料ストリップの近端に流され、試料中のアナライトの特定量の存在及び不存在が、検査デバイスの第1窓を介し、第1可視出力として与えられ」る工程においては、アナライトの存在及び不存在の情報を与えることが少なくとも構成Dの「被検査物の存在を検出」することに相当するし、与える情報が「『特定量の』存在及び不存在」であることは、定量的情報も含むことから、構成Dの「定量」にも相当する。よって、前記構成dの工程は、構成Dの「前記検体試料中の被測定物の存在を検出あるいは定量する」工程に相当する。
オ 構成eの「ある大きさ以上の粒子」は、構成bによれば唾液を含むソースから誘導された予処理された試料に含まれるものであるから、構成Eの「検体試料中の生体成分」に相当する。
そして、構成cで「前記免疫クロマトグラフィーデバイスである検査デバイスは適用パッドの上または前に・・・設ける」とされる構成eの「前記濾過手段」が、「フィルターまたはトラップ手段を含」み、「ある大きさ以上の粒子を予処理試料から除去するために使用される」ことは、記載1-20-21において「例えば、フィルター手段は、血漿が適用パッドにより受容される流体であり、クロマトグラフィー材料に移されるように全血試料から赤血球を除去するために使用され得る。」と例示されることからも理解されるように、「ある大きさ以上の粒子」が「適用パッド」から、メンブレン(の一部)に相当する「クロマトグラフィー材料」に流出しないように試料中から除去するために使用されることに他ならない。
よって、構成eで、「前記濾過手段は、ある大きさ以上の粒子を予処理試料から除去するために使用される」ことは、構成Eの「前記濾過フィルターが前記検体試料中の生体成分がメンブレン上あるいはメンブレン中に付着することを防ぐ」ことに相当するといえる。
(4)一致点・相違点
上記(3)から、本件補正発明と引用発明とは、下記アの点で一致し、下記イの点で相違する。
ア 一致点
「A 被測定物を捕捉するための捕捉試薬が結合したメンブレンを備えたアッセイ装置を用いる、検体試料中の被測定物のラテラルフロー式簡易メンブレンアッセイ法であって、B 前記検体試料が、咽頭拭い液、鼻腔拭い液、鼻腔吸引液又は便懸濁液から得られる試料であり、C 前記検体試料を濾過フィルターを用いて濾過した後に前記メンブレン上に滴下し、D 前記検体試料中の被測定物の存在を検出あるいは定量することを含み、E’前記濾過フィルターが前記検体試料中の生体成分がメンブレン上あるいはメンブレン中に付着することを防ぐF 方法。」
イ 相違点1(構成E)
濾過フィルターが前記検体試料中の生体成分がメンブレン上あるいはメンブレン中に付着することを防ぐことにより、本件補正発明は「偽陽性を防止する」のに対し、引用発明は偽陽性が防止されているかどうか不明である点。
(5)相違点1の検討
ア(ア)引用文献2には、上記(2)の(2-2)イで認定した引用文献2技術事項が記載されている。
(イ)引用文献2技術事項は、「ストリップまたは免疫検定を行うのに適した他の表面の形態を有している、ニトロセルロース膜、ガラスまたはポリマー(セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはポリプロピレン)からなる固体支持体」を用い、特異的な結合物質を結合して検出する検出法に関するものであり、この検出法に、本件補正発明や引用発明の属する、ラテラルフロー式簡易メンブレンアッセイ法からなる免疫クロマトグラフィーが含まれることは明らかである。
(ウ)また、引用文献2技術事項は、生体物質試料のうち特に唾液試料についてのものであるが、ムチンは、咽喉を含む気道や消化管からも分泌される粘液全般の主成分であることは技術常識であるし、咽喉拭い液に粒状物質が含まれ得ること、少なくとも含まれることが想定しうることも、引用発明の構成b及びc2において特定されるように、技術常識である。
(エ)そして、引用文献2技術事項では、偽陽性の結果を生じる可能性のある、試験試薬に非特異的に結合して偽陽性の結果を生じるムチンや粒状材料を除去する、すなわち、ムチンや粒状材料を除去して偽陽性を防止することが示されているといえる。
(オ)よって、咽頭拭い液を含む生体分泌物のラテラルフロー式簡易メンブレンアッセイ法に係る引用発明に触れた当業者にとって、クロマトグラフィー材料に試料が移行する前に濾過手段によって粒状物質を除去することによって偽陽性が防止されることは、引用文献2技術事項に基づいて認識されることである。
(カ)また、本件補正発明によってもたらされる効果は、引用発明及び引用文献2に記載された事項から当業者が予測し得る程度のものである。
イ 除去されるべき「偽陽性」の要因となる生体成分は、メンブレンの孔径等構造上の条件、構成Bに列挙される検体試料の種類や検出対象であるアナライトの種類、予処理の種類、メンブレン上の結合物質の種類、及びそれらの組み合わせによっても相違することが明らかであるから、本件補正発明において特定される事項のみからは濾過フィルターの特性は定まらず、この点においても、本件補正発明は任意の特性の濾過フィルターを含むものである。
そうすると、引用発明も本件補正発明の「濾過フィルター」に相当する構成を備えるのであるから、上記相違点1は実質的なものではないともいえる。
(6)請求人の主張について
審判請求書における請求人の主張は概略次のとおりである。
ア 本件補正発明と引用発明との相違点
(ア)相違点s1
引用文献1における検体試料は予備処理がなされた試料である点において、そのような予備処理を行わない(つまり検体試料中の生体成分がメンブレン上あるいはメンブレン中に付着してしまう状態となる)本願発明とは異なる。また、引用文献1においてフィルター手段を用いる態様では、様々な生体成分がメンブレン上あるいはメンブレン中に付着することを原因とする偽陽性という誤判断の発生が示唆されているとはいえない。つまり、引用文献1の記載から、「濾過フィルターは生体成分がメンブレン上あるいはメンブレン中に付着することを原因とする偽陽性を防ぐ」ことは記載も示唆も全くされておらず、当業者はそのような課題を把握できない。
(イ)相違点s2
本願明細書に記載の通り、「ラテラルフロー式メンブレンアッセイ法」とは、メンブレンに対して被測定物を含む溶液を水平方向に展開させるものである(段落0002、0009)。
一方、令和2年10月29日付拒絶理由通知書で引用文献1にラテラルフロー式メンブレンアッセイ法が記載しているとの指摘はされていない。
イ 相違点について
(ア)相違点s1について
引用文献2の13頁9行以降には、
「これら予備濾過段階は、唾液からムチンや粒状材料を除去するのには完全には効果的ではないと考えられ、流れ時間(flowthrough time)が遅く、サンプルを予め濾過しても多くの偽陽性の結果が得られることが多い。しかしながら、サンプルを基材表面上に吸着させた後に単に基材表面を拭きとることによって本発明の試験で得られる偽陽性の結果の数は減少できることが示された。最も予期できないことであったが、すべての混入物が従来試みられていた濾過段階によって除去されると考えられていたが今回はそうではないと考えられる。」
と記載されている。
つまり、引用文献2は、一部ではなく全文を参照すると「粘性を有する唾液サンプル中の被検体を免疫学的手法により検出を行うために、サンプルを濾過することで偽陽性が抑えられなかった」ことが記載されているものであり、拒絶理由通知における「粘性を有する唾液サンプル中の被検体を免疫学的手法により検出を行うためにサンプルを濾過することで偽陽性が抑えられることが記載され」という認定は明らかに失当である。
(イ)相違点s2について
引用文献2において、メンブレンに対して被測定物を含む溶液がどのように展開しているかは不明であり、ラテラルフロー式アッセイ法については記載されていない。
したがって、引用文献2には、本願発明の「メンブレンに対して被測定物を含む溶液を水平方向に展開させる」ラテラルフロー式メンブレンアッセイ法を用いることについては記載も示唆もされていない。
ウ 当審の見解
(ア)相違点s1について
引用文献2の上記記載2-12-13には、「偽陽性の結果を生じる可能性のある原因の一つとして、試験試薬に非特異的に結合して偽陽性の結果を生じるムチンや粒状材料が唾液サンプル中に存在することが示唆された。したがって、本発明の方法に、特異的な結合複合体の存在を検出しようとする前にサンプルを濾過する段階を含むことが好ましい。」と明確に記載されている。
上記記載2-12-13には、前記記載に続き、さらに事前濾過について、
「唾液サンプルからの粒状材料の除去は、特異的な結合物質が結合した基材がコンタミされないようにすることを補助する。このようなことは、基材が膜である際には、粒状物質が膜の細孔を塞いで結合していないサンプルが膜を通過して試験表面から除去されることを妨げる、即ち、サンプルに関する流れ時間(flow through time)が増加してしまうため、特に重要である。濾過段階前に含まれるさらなる段階としては、サンプルを綿または綿毛のパッド等の粗いフィルターに通す一次分離段階がある。これにより、恐らく高分子量のムコ多糖が除去されることにより、唾液サンプルの粘度が減少する。粘度が減少したサンプルは、粘性のある唾液サンプルを膜の細孔を通過させることは困難であり、これによりこのような段階がないと試験にはかなりより長いがかかってしまうので、特異的な結合分子が膜基材上に固定化される際に有用である。さらに、このような段階を含まないと、残渣はしばしば試験表面上に残り、これが特異的な結合反応をまたは検出段階を妨害する。」
との、濾過による効果について述べ、さらに、
「これらの予備濾過段階は、唾液からムチンや粒状材料を除去するのには完全には効果的でないと考えられ、」
とした上で、それら濾過工程のみでは不十分であるとの趣旨で、請求人が上記イ(ア)で挙げる、「基材表面を拭きとる」という処理も必要なことを述べているのであるということが、当該記載2-12-13の文理解釈上明らかである。
よって、相違点s1についての請求人の上記イ(ア)の主張は失当である。
(イ)相違点s2について
a.引用発明が「ラテラルフロー式メンブレンアッセイ法」に相当する構成を備えることについては、上記(3)アで説示したとおりである。よって、相違点s2が認定されるべきであるとする請求人の主張はあたらない。
なお、請求人は、令和2年10月29日付拒絶理由通知書で引用文献1に「ラテラルフロー式メンブレンアッセイ法」が開示される旨の言及がないことを指摘するが、同拒絶理由通知の対象である、令和2年1月16日に提出された手続補正書におり補正された特許請求の範囲において、同アッセイ法のみを必須の構成要件とする請求項が存在しないため、特段の言及がなされていないにすぎず、該言及がないことが引用文献1に同アッセイ法の開示がない理由とはならない。
(7)上申書における主張について
上申書における請求人の主張は、令和4年2月7日付けの前置報告書に記載された、本件補正発明の進歩性欠如に関する拒絶の理由に対する反論であり、上記(2)~(6)で説示した判断を左右するものではない。
(8)まとめ
以上(2)~(7)のとおり、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 むすび
上記3において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2の1(1)に摘記した本件補正前請求項1に記載されたとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の、本願発明に対する拒絶の理由は、概略、次のとおりである。
(1)理由(進歩性)
本願発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項並びに技術常識に基づいて、当業者が容易に発明ですることができたものである。
(2)引用文献等
1.国際公開第00/72012号
2.特表平9-511058号公報
3 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1及び引用文献2の記載事項は、上記第2の3(2)(2-1)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は実質的に、本件補正発明の発明特定事項から、構成Bを省いたものである。
上記第2の3(3)・(4)で説示したとおり、本件補正発明と引用発明との相違点は、構成Eに係る上記(4)イに相違点1として記載したとおりのものである。
そうすると、構成Bを省いた本願発明と引用発明との相違点も前記相違点1と変わりはなく、引用発明において当該相違点1の構成とすることが当業者にとって容易になし得たものであること、または、該相違点1が実質的なものといえないことは上記第2の3(5)で説示したとおりである。
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-012539