特許拒絶査定不服審判
2023-008549
表面検査装置
- 審判番号
- 2023-008549
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-149924
- 請求日
- 2023年05月25日
- 審決日
- 2024年04月02日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】フロンティアシステム株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人京都国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 三崎 仁
- 審判官 櫃本 研太郎
- 審判官 ▲高▼見 重雄
- 分類
- P18 .56 -Z (G01N) / P18 .572-Z (G01N) / P18 .574-Z (G01N) / P18 .575-Z (G01N) / P18 .537-Z (G01N) / P18 .121-Z (G01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-149924「表面検査装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年12月 9日出願公開、特開2021-185389〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件出願(以下「本願」という。)は、令和2年3月6日(以下「遡及日」という。)に出願した特願2020-38383号の一部を令和3年9月15日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和4年 10月11日付け:拒絶理由通知
令和4年 12月14日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 3月24日付け:拒絶査定
令和5年 5月25日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和5年5月25日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年5月25日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1) 令和4年12月14日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件補正前発明」という。)は、以下のとおりである。なお、当審において本件補正発明の各構成単位冒頭に「A」などの分説番号を付した。以下、該各構成単位について、該分説番号を用い「構成A」などということがある。
「 【請求項1】
1A 被検査物の表面を検査する装置であって、
1B 被検査物を所定の一方向に搬送する搬送部と、
1C 前記一方向と非平行な方向に前記被検査物の表面を横断するスリット光を照射する第1スリット光照射部と、
1D 前記被検査物の表面における前記スリット光の照射領域を含む所定の二次元領域を視野に捉えるように配置され、予め決められた周期で該領域の画像データを取得する二次元カメラと、
1E 前記二次元カメラにより取得される二次元領域の画像データから、前記スリット光が照射されている領域である照射領域、前記スリット光が照射されていない領域である非照射領域、及び前記スリット光の照射領域と前記非照射領域の境界領域のうちの、予め決められた2つの領域の前記一方向に所定の長さを有する画像データを第1画像データ及び第2画像データとして抽出する画像データ抽出部と
を備え、
1F 前記第1画像データ及び前記第2画像データの、前記所定の長さ及び/又は前記搬送部による前記被検査物の搬送速度が可変であり、
1G 前記予め決められた周期が、前記所定の長さのn(nは2以上の整数)分の1だけ前記被検査物が搬送される周期であり、
前記所定の長さがnの整数倍であることを特徴とする表面検査装置。」
(2) 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)は、以下のとおりである。分説番号について、本件補正前発明と同様。(下線は、補正箇所を示すため、当審で付した。)
「 【請求項1】
2A 被検査物の表面を検査する装置であって、
2B 被検査物を所定の一方向に搬送する搬送部と、
2C 前記一方向と非平行な方向に前記被検査物の表面を横断するスリット光を照射する第1スリット光照射部と、
2D 前記被検査物の表面における前記スリット光の照射領域を含む所定の二次元領域を視野に捉えるように配置され、予め決められた周期で該領域の画像データを取得する二次元カメラと、
2E 前記二次元カメラにより取得される二次元領域の画像データから、前記スリット光が照射されている領域である照射領域、前記スリット光が照射されていない領域である非照射領域、及び前記スリット光の照射領域と前記非照射領域の境界領域のうちの、予め決められた2つの領域の前記一方向に複数画素分の長さを有する画像データを第1画像データ及び第2画像データとして抽出する画像データ抽出部と
を備え、
2F 前記第1画像データ及び前記第2画像データの、前記所定の長さ及び/又は前記搬送部による前記被検査物の搬送速度が可変であり、
2G 前記予め決められた周期が、前記複数画素の数の半分以下である整数の画素が捉える前記被検査物の長さだけ該被検査物が搬送される周期であることを特徴とする表面検査装置。」
2 補正の適否について
(1)本件補正
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、以下に挙げる補正事項を含むものである。
ア 補正事項1
本件補正前発明の構成1Eにおける「所定の長さ」が、「複数画素分の長さ」(構成2E)であることを限定する補正。
イ 補正事項2
本件補正前発明の構成1Gにおける「前記所定の長さのn(nは2以上の整数)分の1だけ前記被検査物が搬送される周期であり、前記所定の長さがnの整数倍である」との事項を、「前記複数画素の数の半分以下である整数の画素が捉える前記被検査物の長さだけ該被検査物が搬送される周期である」との事項(構成2G)にする補正。
(2)補正の目的
ア 上記補正事項1は、本件補正前発明を特定するために必要な事項である「画像データ」の「前記一方向」の長さについて上記アのとおり限定を付加するものであって、本件補正前発明と本件補正発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、補正事項1は、特許法第17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ 補正事項2については、本件補正前発明の構成1Gが必ずしも不明確とはいえないものの、請求人の審判請求書における「今般の補正は拒絶査定で言及された記載不備を解消するとともに、補正前の請求項に記載した発明特定事項を限定するもの」(前者が補正事項2に対応)との主張を受け入れ、特許法第17条の2第5項4号の明りようでない記載の釈明を目的とする。
なお、明りようでない記載の釈明でないとするなら、以下のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないことから、特許法第17条の2第5項の各号に掲げる事項を目的とするものでなく、この点においても、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものとなる。
本件補正前発明における「周期」には、「所定の長さ」が例えば10画素分の長さである場合に、3は10の「n(nは2以上の整数)分の1」でないことから、3画素が捉える被検査物の長さだけ搬送される周期が含まれない。一方、上記補正事項2に係る補正により、本件補正発明における「周期」は、「複数画素分の長さ」が前述と同様に10画素分の長さである場合に、10画素の半分以下である3画素が捉える被検査物の長さだけ搬送される周期でありうることとなるから、本件補正発明の「周期」は、補正事項2に係る補正により、本件補正前発明の「周期」よりも概念的に拡張されるとも解される。
ウ 以上のとおり、特許請求の範囲の請求項1についての本件補正は、少なくとも補正事項1の点において、特許法第17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むことから、本件補正発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(ア)サポート要件(特許法第36条第6項第1号)について
a 本件補正発明の構成2Gの「周期」と「画素」との関係について、発明の詳細な説明では以下の記載がある。なお、下線は当審において付与した。以下同様。
「【0022】
図1に本実施例の表面検査装置1の概略構成を示す。表面検査装置1は、大別して、搬送部2、スリット光照射部3、撮影部4、及び制御・処理部5から構成される。搬送部2は、ロール状の被検査物11を送出する送り出しローラ21、該被検査物11を巻き取る巻き取りローラ22、及び両者の間に配置され被検査物11を搬送する搬送ローラ23(図1には4本の搬送ローラ231~234を図示)、及び搬送速度を計測するためのロータリーエンコーダ24を備えている。本実施例のロータリーエンコーダ24には、撮影部4により撮影される画像データにおける1画素に相当する距離だけ被検査物11が搬送される毎に所定の信号を出力するものを用いる。あるいは、これに代えて、撮影部4により撮影される画像データにおける1画素に相当する距離の奇数分の1だけ被検査物11が搬送される毎に所定の信号を出力するものを用いてもよい。」
「【0034】
対象領域及び搬送速度が決定すると、撮影周期設定部55は、被検査物11の対象領域を撮影する周期を設定する画面を表示する。撮影周期はロータリーエンコーダ24からの出力信号との関係で定められる。この画面には、撮影周期の初期値として「1」があらかじめ入力されている。この「1」は、ロータリーエンコーダ24から信号が出力される毎に撮影部4により被検査物11の表面を撮影することを意味する。
【0035】
本実施例では、被検査物11の表面の対象領域として被検査物11の進行方向に1画素分の長さを持つ領域を設定したため、撮影周期の初期値をそのまま使用すればよい。一方、対象領域候補を複数画素分の長さを持つ領域とした場合には、撮影周期の値をその画素数と同数あるいはそれ以下に設定する。撮影周期の値を画素数と同数にした場合には、被検査物11が対象領域の長さ分、搬送される毎に撮影部4により被検査物11が撮影される。一方、上記画素数が「2」であり、撮影周期の値が「1」である場合には、被検査物11が対象領域の長さの半分、搬送される毎に撮影部4により被検査物11が撮影される。
【0036】
上述のとおり、本実施例のロータリーエンコーダ24は、撮影部4により撮影される画像データにおける1画素に相当する距離だけ被検査物11が搬送される毎に所定の信号を出力する。従って、上記のように撮影周期を設定することにより、撮影部4が繰り返し取得した画像データから抽出される対象領域の画像データを撮影順につなぎ合わせたときに被検査物11の表面を切れ目なく撮影した画像データが得られる。言い換えると、対象領域の長さ、又はその整数分の1の長さだけ被検査物11が搬送されるごとに被検査物11の表面を撮影するように、撮影部4による撮影周期が決定される。」
b 上記aに示した発明の詳細な説明からすると、「領域」の「画像データ」が「一方向に複数画素分の長さを有する」場合、「周期」は、「対象領域の長さ」、「対象領域の長さの半分」、又は対象領域の長さの「整数分の1の長さだけ被検査物11が搬送されるごとに被検査物11の表面を撮影する」であり、これにより「撮影部4が繰り返し取得した画像データから抽出される対象領域の画像データを撮影順につなぎ合わせたときに被検査物11の表面を切れ目なく撮影した画像データが得られる」ものが記載されているといえる。しかしながら、構成2Gのように、「前記複数画素の数の半分以下である整数の画素が捉える前記被検査物の長さだけ該被検査物が搬送される周期」については、発明の詳細な説明に記載も示唆もされていない。
c 上記イの結果として、本件補正発明の構成2Gにおいて「複数画素の数」が、例えば10であって、周期が3画素や4画素だけ搬送される周期である場合が本件補正発明には含まれる。しかしながら、3や4は10の整数分の1ではないから、このような態様は、上記bに示す、発明の詳細な説明において想定されないものである。
d よって、本件補正発明は、補正事項1及び2に関連し、発明の詳細な説明に記載されたものでないことから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(イ)明確性要件(特許法第36条第6項第2号)について
a 本件補正発明の構成2Fには、「前記所定の長さ」と記載されているが、これより前に「所定の長さ」が記載されておらず、当該「前記所定の長さ」の指し示すものが不明確である。
b よって、本件補正発明は、補正事項1に関連し、明確でないことから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(ウ)引用文献の記載事項
a 引用文献1
(a)原査定の拒絶の理由で引用された本願の遡及日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、国際公開第2016/121878号(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の記載がある。
「[0001] 本発明は食品や工業製品などの様々な物品の外観を検査する為の光学式外観検査装置と、これに好適に使用できる撮影手段に関する。特に物品を撮影した画像データを解析して、物品表面のキズ・バリや歪み等の凹凸欠陥、或いは表面に透過して見える異物の有無を検査する為の光学式外観検査装置、及びこれに好適に使用できる撮影手段に関する。」
「[0077] また、撮影手段51として使用しているカメラは、撮像素子としてCMOSイメージセンサを備えており、フォトダイオードが縦横方向に複数配置された面状の撮像素子を備えている。例えば横方向(走査方向に対する幅方向)2048画素、縦方向(走査方向)2048画素の撮像素子を使用する事ができる。このようなイメージセンサを備えた撮影手段51において、横方向の視野を200mmとした場合には、縦方向の視野も200mmとなることから、この縦方向の視野内で、撮影に使用するフォトダイオード列を複数指定すれば、当該撮影手段51を走査させることにより、複数ラインにおける画像データを取得する事ができる。また、この縦方向の視野内において、撮影に使用するフォトダイオード列の位置(ライン)を変更すれば、あたかも複数のラインセンサを使用しているように動作させることができ、また画角の開き角度によって角度を変更しているような動作を行う事ができる。」
「[0079] また、撮影手段51から取得した撮影画像を、検査対象物Wの撮影位置と相関させる為に、前記検査対象物移動手段11による検査対象物Wの水平移動距離や移動速度を検出する移送検出手段54を設けるのが望ましい。かかる移送検出手段54としては、ロータリーエンコーダやリニアエンコーダ等を使用する事ができる。そしてこの移送検出手段54は、検査対象物Wの搬送経路における何れかの場所に設置する事ができ、望ましくは検査対象物Wの水平移動距離や速度を正確に計測する為に、当該外観検査ステーション20に設置し、特に望ましくは撮影手段51における撮影領域の近傍に設置する。そして、この移送検出手段54による検出信号を処理手段53に送ることにより、検査対象物移動手段11による検査対象物Wの移動速度の変動による撮像分解能のばらつきを抑制すると共に、撮影手段51においてライン状に取得した画像を、解析に使用する画像データ(面画像)に展開する際に、その位置補正を可能とすることができる。」
「[0082] 次に、図2を参照しながら、前記外観検査ステーション20における光学式外観検査装置50での処理内容を説明する。図2(A)は外観検査ステーション20を示す斜視図であり、図2(B)は検査対象物Wに対する光の照射具合と読み取り位置を示す要部拡大平面図であり、図2(C)は処理装置において解析する為の画像データを示す平面図である。
[0083] 先ず、この外観検査ステーション20では、検査対象物Wは、コンベアー等の検査対象物移動手段11によって搬送されており、当該検査対象物移動手段11の下方には照明手段52が設けられている。この照明手段52はライン照明であって、検査対象物Wの幅方向(移送方向に対して交差する向き)全体にわたって光を照射する。この照明手段52の光は、検査対象物Wを透過しており、これにより検査対象物Wの上方に設けられた撮影手段51は検査対象物Wの透過光を撮影する事ができる。そして検査対象物Wは照明手段52と撮影手段51との間を通過する。
[0084] 図2(B)に示す様に、撮影手段51では、透過光によって照らされている領域において、明るい領域A1と、その輪郭領域A2と、透過光によって照射されていない領域であって輪郭領域の近傍領域の領域A3において、検査対象物Wの幅方向(走査方向と交差する方向)に延伸するラインで撮影した画像データを取得する。各ラインにおける撮影は、検査対象物Wを移送しながら行われ、少なくとも1回の撮影で取得する画素数分移動するごとに撮影される。この検査対象物Wの移送距離は、前記ロータリーエンコーダ等の移送検出手段54により検出される。よって一定距離移動したとの信号を移送検出手段54から取得した時点で、前記撮影手段51は所定のラインにおける画像を撮影する事ができる。
[0085] そして、図2(B)に示した各ラインにおける撮影が、検査対象物Wの全体について行われた後に、検査対象が移動するごとに撮影したライン状の画像を繋ぎ合わせて、図2(C)に示すような面画像に展開した画像データD1~D3を形成する。即ち、透過光によって照らされている領域において、明るい領域A1を撮影した画像で形成した画像データD1と、透過光によって照射されていない領域であって輪郭領域の近傍領域の領域A2を撮影した画像で形成した画像データD2と、透過光によって照射されていない領域であって輪郭領域の近傍領域の領域A3を撮影した画像で形成した画像データD3とを形成する。かかる画像データの形成は、撮影手段51が撮影するごとに、処理装置はライン状の画像を取得して、これを面画像に展開する他、撮影ごとのライン状の画像データを撮影手段51において記録しておき、面画像に合成したのちに処理手段53に送るようにしても良い。このように形成した各ラインにおける夫々の面画像(画像データ)は、検査対象物Wに対する光の照射方向を異ならせた状態を撮影したものとなる。よって、撮影手段51における1回の走査で取得可能でありながらも、光の照射角度を異ならせて、撮影手段51を複数回走査させた場合と同じ画像データを取得する事ができる。」
「[0091] 図4は他の実施の形態における光学式外観検査装置150を示しており、当該光学式外観検査装置150も、前記図1に示した光学式外観検査システム60の外観検査ステーション20に設置する事ができる。この実施の形態に示す光学式外観検査装置150は、特に撮影手段151としてCCDイメージセンサを用いたカメラを使用し、また照明手段152は透過光ではなく反射光を撮影するように構成している。図4(A)は他の実施の形態にかかる光学式外観検査装置150を示す要部拡大斜視図であり、図4(B)は撮影した画像から複数ラインにおいてライン状の画像を抽出する処理内容を示す概念図であり、図4(C)は、ライン状の画像から合成した、解析対象となる画像データを示す平面図である。
[0092] この実施の形態においても、検査対象物Wは、コンベアー等の検査対象物移動手段11によって搬送される。搬送されてきた検査対象物Wに対しては、その上方に設けられた照明手段152から光を照射している。そして、照明手段152と同様に検査対象物Wの上方に設けた撮影手段151では、少なくとも光で照射している照射範囲と、当該照射範囲の近傍であって、光が照射されていない領域を含んで、検査対象物Wの幅方向全体が写るようにして画像を撮影する。この撮影した画像は、前述の実施の形態と同じように、ロータリーエンコーダ等の移送検出手段が計測した移送距離等と関連付けられている。
[0093] そして一定のエリアを撮影した画像から、図4(B)に示す様に、任意に設定した領域内から、ライン状の画像を抽出する。即ち、照明手段152から照射された光で照らされている領域A1、その輪郭領域A2と、光が照射されていない領域であって輪郭領域の近傍領域A3の夫々のラインから、ライン状の画像(L1~L3)を抽出する。即ち、光で照らされている領域A1からライン状の画像L1を抜き出し、光で照らされている領域A1の輪郭領域A2からライン状の画像L2を抜き出し、光が照射されていない領域であって輪郭領域の近傍領域A3からライン状の画像L3を抜き出す。
[0094] そして抽出したライン状の画像を、それぞれ繋ぎ合わせて、図4(C)に示すような面画像からなる画像データを夫々合成する。即ち、光で照らされている領域A1から抜き出したライン状の画像L1を繋ぎ合わせた画像データD11と、光で照らされている領域A1の輪郭領域A2から抜き出したライン状の画像L2を繋ぎ合わせた画像データD12と、光が照射されていない領域であって輪郭領域の近傍領域A3から抜き出したライン状の画像L3を繋ぎ合わせた画像データD13とを、それぞれ合成する。そして、この合成した夫々の面画像(画像データ)について、色及び/又は明るさの変化を解析することで、検査対象物Wにおける夫々の外観上の欠陥の有無を判断する事ができる。」
「[0103] 次に、図8及び9を参照しながら、本実施の形態にかかる光学式外観検査装置で好適に使用可能な撮影手段について説明する。かかる撮影手段は、図8に示す様に、走査方向に交差する向きに複数のフォトダイオードを配列したフォトダイオード列を、平行な状態で、走査方向に複数並べて構成している。図8には、A~D列からなる4列のフォトダイオード列を示しており、各列は配列方向に並んだ9個のフォトダイオードで構成されている。このように構成した撮影手段で撮影する事により、4列×9個の合計36画素の画像を撮影する事ができる。
[0104] 特に、この実施の形態にかかる撮影手段は、更に画像処理部を伴って構成されており、この画像処理部によって、36画素の画像サイズを小さくする処理を実行する。具体的には、走査方向に並んでいる画素から、最大輝度、最小輝度、平均輝度等の予め設定した条件の輝度の画素を算出乃至は抽出する処理を、配列方向に並んだすべての画素について実行する。そして、この条件によって演算乃至は抽出した画素を連結した1列の画像データを生成し、この1列の画像データを表面検査に使用する。図8はフォトダイオードの配列を示しているが、これを各フォトダイオードが撮影した画素として見た場合に、輝度が最も低い画素を抽出する。図8において、フォトダイオードの配列を画素の配列として見た場合、A1~D1の画素において最も輝度が低いB1画素を抽出し、隣に配列されたA2~D2の画素においても、最も輝度が低いC2画素を抽出する。そしてこのような演算乃至は抽出処理をA9~D9の画素まで実行し、B1、C2、A3、B4、C5、D6、B7、C8、A9の画素からなる1列の画像データを生成する。その結果36画素の画像を9画素の画像データに合成することができ、よってデータ量を減じ、処理速度を高める事ができる。なお、かかる画素の抽出は、処理手段において実行する事もできる。
[0105] 図9は、実際に検査対象物を撮影した画像から、1列の画像データを演算乃至は抽出する処理を示す略図である。図9(A)に示す様に、検査対象物Wを撮影して、走査方向に並んだ10列の画素からなる画像を撮影する。各列は光学素子に応じた画素で構成する事ができる。そして図9(B)に示す様に、この撮影した画素から、走査方向に並んだ各列の画素を比較して、図9(C)に示す様に、最も輝度が高い画素を抽出する。この処理を各列における画素の配列方向まで実施し、抽出した画素を1列に組み合わせることにより、1列の画像データを生成する事ができる。そして、この生成した1列の画像データを検査に使用する事から、検査に使用する画像データを大幅に低減し、処理速度を向上させることができる。
[0106] このような撮影手段を使用した検査装置では、検査対象物の移送距離を、おおよそ1回の撮影で撮影した画素列分とすることにより、検査スピードを高める事ができる。即ち、図9では9画素分または10画素分ずつ検査対象物を移送させて撮影する事により、1回の撮影ごとの移送距離を大きくして大量の検査対象物を検査する事ができる。
[0107] 一方で、検査対象物の移送距離を、1回の撮影で撮影した画素列よりも短くした場合には、何れかの領域については、その周辺を含めた広い範囲についての画像を取得することができる。例えば、図9に示す様に走査方向に10列のフォトダイオード列が並んでいる場合には、1乃至は5列づつ移送させて撮影を行うことができる。そして、この撮影画素の中から目的に合った画素(予め条件設定した画素)を抽出することから、撮影漏れの無い、より精度の高い画像データを取得する事ができる。よって、この場合には、表面検査を高精度に実施する事ができる。」
「図1
[図:0001411016000001.jpg]
」
「図2
[図:0001411016000002.jpg]
」
「図4
[図:0001411016000003.jpg]
」
「図9
[図:0001411016000004.jpg]
」
(b)看取・認定事項
上記(ア)の摘記事項及び図面から、以下の事項を認定することができる。
(b-1) 図4(A)・(B)からは、[0091]~[0092]等の「照明手段152」が、[0083]等に記載の「照明手段52」と同様に、「ライン照明であって、検査対象物Wの幅方向(移送方向に対して交差する向き)全体にわたって光を照射する」([0083])ものであることが看て取れる。
(b-2) [0092]の記載「この撮影した画像は、前述の実施の形態と同じように、ロータリーエンコーダ等の移送検出手段が計測した移送距離等と関連付けられている。」からすると、「撮影手段151」は、[0079]や[0084]に記載された「撮影手段51」及び「ロータリーエンコーダやリニアエンコーダ等」「の移送検出手段54」の構成に対応する構成を備えているものと認められる。
(b-3) [0083]の「検査対象物Wの幅方向(移送方向に対して交差する向き)」、[0084]の「検査対象物Wの幅方向(走査方向と交差する方向)」から、「移送方向」と「走査方向」とは、いずれも、「幅方向」と交差する方向である他、図2や[0085]の記載から、「走査」は、移送される「検査対象物W」を撮影することで行われるといえることから、「走査方向」と「移送方向」は、同じ方向を指すものと認められる。
(b-4) 「撮影手段51」は、[0084]の記載や図2(A)・(B)に示されるように、検査対象物Wの幅方向(走査方向と交差する方向)に延伸するラインで撮影した画像データを取得するものであるから、[0084]の「1回の撮影で取得する画素数分移動する」における「画素数」は、[0085]の各「ライン」の「走査方向」すなわち「移送方向」(上記(b-3))の画素数を指すものと認められる。
(b-5) [0103]~[0107]、図9には、「本実施の形態にかかる光学式外観検査装置で好適に使用可能な撮影手段」について記載されているところ、「かかる撮影手段は、図8に示す様に、走査方向に交差する向きに複数のフォトダイオードを配列したフォトダイオード列を、平行な状態で、走査方向に複数並べて構成している。」([0103])とあるように、フォトダイオードを配列した撮影手段であることから、[0103]~[0107]、図9に記載される撮影手段は、[0077]、[0079]、[0082]~[0085]、図2等に記載された「光学式外観検査装置50」における、「フォトダイオードが縦横方向に複数配置された面状の撮像素子を備え」ている「CMOSイメージセンサを備え」た「撮影手段51」([0077])に好適に使用可能なものであると認められる。
すると、[0107]に記載された「走査方向に10列のフォトダイオード列が並んでいる場合には、1乃至は5列づつ移送させて撮影を行うことができる。」との構成についても、上述のとおり「撮影手段51」で使用可能な構成であり、当該構成を使用する「撮影手段51」においては、上記(b-4)の認定事項も踏まえると、[0084]の「各ラインにおける撮影は、検査対象物Wを移送しながら行われ、少なくとも1回の撮影で取得する画素数分移動するごとに撮影される。」における「1回の撮影で取得する画素数」が「10」であり、「1回の撮影で取得する画素数分移動するごと」を下限とする撮影頻度が、「1乃至は5」画素分移動するごとに撮影されることとなるものと認められる。
(c)引用発明
上記(a)及び(b)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、各構成単位冒頭に、本願発明の分説番号「A~G」に概ね対応させて、「a~g」を用いた分説記号を付し、各構成単位の末尾の括弧内に認定の根拠となる記載箇所を示した。
「a 物品を撮影した画像データを解析して、物品表面のキズ・バリや歪み等の凹凸欠陥を検査する為の光学式外観検査装置であって、([0001])
b 検査対象物Wを移送方向に搬送するコンベアー等の検査対象物移動手段11と、([0083]、図1・2)
c ライン照明であって、検査対象物Wの幅方向(移送方向に対して交差する向き)全体にわたって光を照射する照明手段152と、([0083]、[0091]~[0092]、(b-1))
df 少なくとも光で照射している照射範囲と、当該照射範囲の近傍であって、光が照射されていない領域を含んで、検査対象物Wの幅方向全体が写るようにして画像を撮影し、検査対象物Wが一定距離移動したとの信号を、検査対象物Wの水平移動距離や移動速度を検出するロータリーエンコーダ等の移送検出手段54から取得した時点で、画像を撮影する事ができる、CCDイメージセンサを用いたカメラである撮影手段151とを備え、([0091]~[0092]、(b-2))
e 一定のエリアを撮影した画像から、照明手段152から照射された光で照らされている領域A1からライン状の画像L1を抜き出し、光で照らされている領域A1の輪郭領域A2からライン状の画像L2を抜き出し、光が照射されていない領域であって輪郭領域の近傍領域A3からライン状の画像L3を抜き出し、([0093]、図4)
ae 光で照らされている領域A1から抜き出したライン状の画像L1を繋ぎ合わせた面画像からなる画像データD11と、光で照らされている領域A1の輪郭領域A2から抜き出したライン状の画像L2を繋ぎ合わせた面画像からなる画像データD12と、光が照射されていない領域であって輪郭領域の近傍領域A3から抜き出したライン状の画像L3を繋ぎ合わせた面画像からなる画像データD13とを、それぞれ合成し、この合成した夫々の面画像(画像データ)について、色及び/又は明るさの変化を解析することで、検査対象物Wにおける夫々の外観上の欠陥の有無を判断する、([0094]、図4)
光学式外観検査装置。」
(d)引用文献1技術事項
上記(a)及び(b)から、引用文献1には、次の技術的事項(以下「引用文献1技術事項」という。)が記載されていると認められる。なお、各構成単位の末尾の括弧内に認定の根拠となる記載箇所を示した。
「光学式外観検査装置において、繋ぎ合わせられることで面画像に展開した画像データD1~D3を形成するライン状の画像は、各ライン状の画像の移送方向の画素数が10画素であり、1乃至は5画素分移動するごとに撮影されること。([0085]、[0107]、(b-4・b-5))」
b 引用文献2
原査定の拒絶の理由で引用された本願の遡及日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった刊行物である、特開2003-042972号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに次の記載がある。
「【0002】
【従来の技術】基板などの表面における欠陥の有無を検査するための欠陥検査装置として、搬送される基板に対向するように設けられたラインセンサカメラによって、連続的に撮像して得られる2次元画像に基づいて欠陥検査が行われるものが知られている。
【0003】例えば、特開平11-341367号公報には、画素ずらし手法により高解像度の画像を撮像可能なラインカメラセンサが開示されている。かかるラインカメラセンサでは、複数の画素110から構成される画素列111a、111b(図8参照)を有するライン撮像素子111が備えられており、画素列111a、111bのそれぞれの撮像するタイミングをずらせることによって、被写体をその搬送方向に1/2画素ピッチで撮像した画像信号を得ることができる(図9参照)。
【0004】ここで、かかるラインセンサカメラでは、ライン撮像素子を構成する画素の大きさ(アパーチャサイズ)がP×Pであって(図10参照)、画素ずらしが行われないで撮像された場合には、サンプリング定理により、搬送方向については空間周波数1/2P(Hz)未満の信号周波数の再現が可能である。
【0005】一方、搬送方向に1/2画素ピッチで撮像されるように画素ずらしが行われて撮像された場合(図11参照;以下、「条件1」と称する)には、サンプリング定理により、搬送方向については空間周波数1/P(Hz)未満の信号周波数の再現が可能である。このように、画素ずらしが行われた場合には、画素ずらしが行われない場合よりも高周波数領域の信号を再現することができるようになる。
【0006】なお、画素の大きさがP/2×P/2であって、画素ずらしが行われないで撮像された場合(図12参照;以下、「条件2」と称する)には、サンプリング定理により、搬送方向については空間周波数1/P(Hz)未満の信号周波数の再現が可能であり、「条件1」の場合と同様になる。」
「【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施の形態に係る欠陥検査装置の主要部の概略構成を示す図である。図2は、ライン撮像素子の概略構成を示す図である。
【0016】本実施の形態の欠陥検査装置1は、搬送される基板2上の欠陥の有無を検査するためのものであり、図1に示すように、ライン撮像素子11(図2参照)を有するラインセンサカメラ10と、基板2を搬送するための搬送機構20と、コントローラ30とを備えている。
【0017】ラインセンサカメラ10では、結像機構(図示せず)によって検査対象物である基板2の像をライン撮像素子11上に結像することができる。ここで、ライン撮像素子11は、図2に示すように、基板2の搬送方向に対して垂直な方向(ラインカメラ走査方向)に配置された複数の画素11aによって構成されている。。なお、それぞれの画素11aの大きさはP×Pである。
【0018】搬送機構20は、水平に延在するように両端が駆動ローラ21および従動ローラ22に架け渡された環状ベルト23と、駆動ローラ21を回転駆動するためのモータ24とを有しており、モータ24はコントローラ30に接続されている。従って、モータ24によって駆動ローラ21が回転駆動されると、環状ベルト23とともに、その上に載置された基板2が搬送されるようになっている。
【0019】次に、欠陥検査装置1の制御系について、図1を参照して説明する。
【0020】コントローラ30には、欠陥検査装置1に係る各種動作の制御プログラムやデータなどが格納されたROM、欠陥検査装置1の各部の動作を制御する信号を生成するために各種演算を実行するCPU、ラインセンサカメラ10から供給された画像データやCPUでの演算結果などのデータを一時保管するRAMなどの部材が含まれている。これら各種部材およびソフトウェアによって、タイミング制御部31と、記憶部32と、強調部33と、内挿部34と、欠陥判断部35とが形成されている。なお、コントローラ30には、ラインセンサカメラ10と、搬送機構20のモータ24とがそれぞれ接続されている。
【0021】タイミング制御部31は、ラインセンサカメラ10による撮像するタイミング(撮像周期)と搬送機構20による基板2の搬送タイミング(搬送速度)とを制御するためのものである。上述の両者のタイミングを制御することによって、基板を搬送しつつ、所定の画素ピッチで基板2の表面を撮像することができる。記憶部32は、ラインセンサカメラ10により基板2を撮像することによって得られた画像信号を記憶するためのものである。」
「【0025】次に、本実施の形態に係る欠陥検査装置1における欠陥検査の手順について、図3を参照して説明する。図3は、欠陥検査装置1における欠陥検査が行われるときの手順を示すフローチャートである。
【0026】まず、ステップS1において、搬送機構20の搬送速度およびラインセンサカメラ10の撮像周期がタイミング制御部31によって制御されることにより、基板2がその搬送方向に1/2画素ピッチで撮像されるように画素ずらしが行われて撮像される。
【0027】ここで、ライン撮像素子11の画素11aの視野(撮像領域)の重複状態について、図4および図5を参照して説明する。図4は、画素ずらしが行われない場合の画素の視野の重複状態を示す図である。図5は、1/2画素ずらしが行われた場合の画素の視野の重複状態を示す図である。なお、図4および図5では、1画素あたりの視野を□で示しており、ライン撮像素子11の一端部の2つの画素11aについてのみ描いている。」
「図1
[図:0001411016000005.jpg]
」
「図2
[図:0001411016000006.jpg]
」
「図5
[図:0001411016000007.jpg]
」
c 引用文献3
原査定の拒絶の理由で引用された本願の遡及日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった刊行物である、特開平11-341367号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面とともに次の記載がある。
「【0003】ここで画素サイズを変えないで感光素子の性能を維持したまま、解像度を上げた画像を得る方法として、画素ずらしと呼ばれる方法が従来より知られている。これは、撮像した画像に対して、感光素子の画素間の周期の1/n(nは正整数)だけ位置をずらした画像を撮像し元の画像と合成して、解像度を上げた画像を得る方法である。
【0004】この、画素ずらしと呼ばれる方法は、エリアセンサを使った撮像装置に適用され、既に実現している。エリアセンサで画素ずらしによる高解像度の画像を得る方法としては、被写体を移動させて複数回撮像した画像を合成する方法、エリアセンサカメラを移動させて複数回撮像した画像を合成する方法、光学素子によりエリアセンサ素子の面上での結像位置をずらして複数回撮像した画像を合成する方法、ビームスプリッターで像を分けて複数のエリアセンサカメラで撮像した画像を合成する方法などがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ラインセンサを使った撮像装置で画素ずらしを適用したものは今までなく、エリアセンサを使った場合との相違点やラインセンサを使った場合の特有の問題点についての検討も行われていなかった。
【0006】エリアセンサが、画素を2次元に並べた感光素子であるのに対して、ラインセンサは画素を1次元的に並べた感光素子である。従って、ラインセンサが2次元的な画像を得るためには、その画素の並び方向と垂直な方向に被写体あるいはラインセンサ自体を動かさなければならないという特徴がある。」
「【0018】ここで、上述した構成の請求項1の発明のラインセンサカメラ(1)による動作等を図1を用いて具体的に説明すると、まず、被写体(4)が搬送装置(2)により撮像される撮影位置a(4a)付近まで運ばれてくると、位置検出手段(図示せず)がそれを検知し撮像開始信号をラインセンサカメラ(1)に送る。また、照明光照射手段(図示せず)からの照明光により照らされた撮像位置a(4a)および撮像位置b(4b)の像はそれぞれ、結像手段(3)によりラインセンサ素子(11)上の画素列a(11a)およびb(11b)上で結像する。そして電気回路部分(12)は、前記搬送装置(2)に近接するパルス発生器(70)からの電気信号パルス(Sp)が与えるタイミングで、ラインセンサ素子(11)の各画素列a、b(11a、11b)から画像データを読み出す。
【0019】次に図2、図3に示すラインセンサ素子(11)は各画素列a、b(11a、11b)からなり、その各画素列a、b(11a、11b)は、感光領域となる多数の画素(10)からなっている。この各画素(10)の感光領域のサイズをu×v、画素の並び方向の周期をPu、画素列a、b(11a、11b)間の周期をPvとする。上記図1で示した被写体(4)の搬送方向(Y)に被写体(4)を搬送するとその像は、図2、図3に示すように、画素列a(11a)から画素列b(11b)の方向(Y’)に動いていくものとし、図2に示すように、画素(10)の並びの方向に1/2周期シフトさせた場合と、図3に示すように、シフトさせない場合とがある。
【0020】また、図4に示すように、電気回路部分(12)が画素列a、b(11a、11b)のそれぞれからデータを読み出すタイミングを与える水平同期信号パルスa、b(S4a、S4b)であり、その両パルス(S4a、S4b)とも、搬送装置(2)が搬送した距離に応じて出す信号パルス(Sp)をもとに発生するものとする。そして画素列a(11a)を駆動する水平同期信号パルスa(S4a)は、被写体(4)の撮像開始位置が撮像位置a(4a)に来たことを知らせる撮像開始信号が来た時点(ts)から発生し始めるものとする。また画素列b(11b)を駆動する水平同期信号パルスb(S4b)は、撮像開始信号が来た時点(ts)から時間Tiだけ遅れて発生し始めるものとする。上記両パルス(S4a、S4b)とも信号パルスの周期はTvとする。」
「【0022】また、図12に示すようにy方向に1/2周期シフトする方法で画素ずらしの画像データを撮像したい場合には、そのラインセンサ素子(11)は図3のようなシフトしない画素列a、b(11a、11b)の配置のものを使用し、時間Tiを、被写体(4)の像がラインセンサ素子(11)上で(Pv+v/2)だけ進む時間とし、周期Tvを被写体(4)の像がラインセンサ素子(11)でvだけ進む時間とすればよい。このとき画素列a(11a)の各画素(10)の視野は、図12に示すように実線で示す四角形のようになり、画素列b(11b)の各画素(10)の視野は破線で示す四角形のようになり、両四角形がy方向に1/2周期ずれた形となる。」
「【0024】更に、図14に示すように前記3事例のシフト方法を全て重ね合わせて画素ずらしの画像データを撮像したい場合には、そのラインセンサ素子(11)は図2のような画素列a(11a)と画素列b(11b)とが1/2シフトした配置のものを使用し、時間Tiを、被写体(4)の像がラインセンサ素子(11)上でPvだけ進む時間とし、周期Tvを被写体(4)の像がラインセンサ素子(11)上でv/2だけ進む時間とすればよい。このとき画素列a(11a)の各画素(10)の視野中心は図14に示す□または●になり、画素列b(11b)の各画素(10)の視野は図14に示す○または■になる。撮像は図14のようにしておき、画像合成のときに使用するデータを選ぶ事もできる。例えば□と○のデータのみを使えば図13に示すようなxとy方向にシフトした形と等価な画像を合成することができる。」
「図3
[図:0001411016000008.jpg]
」
「図4
[図:0001411016000009.jpg]
」
「図12
[図:0001411016000010.jpg]
」
「図14
[図:0001411016000011.jpg]
」
d 引用文献2・3の記載に裏付けられる周知技術
上記b・cに示した引用文献2・3の記載により、「光学式外観検査装置において、繋ぎ合わせられることで面画像とされるライン状の画像を、被検査物が、ライン状の画像の被検査物の搬送方向の長さの1/2分だけ被検査物の移動するごとに撮像すること」は、本願の遡及日前に周知技術であったことが裏付けられる。
(エ)引用発明との対比
上記2(2)ウ(イ)に説示したように、本件補正発明の構成2Fにおける「前記所定の長さ」の指し示すものは不明確であるが、これより前に「長さ」の記載としては、構成2Eの「複数画素分の長さ」があり、他にはないことから、構成2Fの「前記所定の長さ」は、構成2Eの「複数画素分の長さ」を指すものと解して、以下に対比を行う。
a 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(a)構成2A
引用発明の構成aの「物品」や構成bの「検査対象物W」は、構成2Aの「被検査物」に相当し、構成aの「物品を撮影した画像データを解析して、物品表面のキズ・バリや歪み等の凹凸欠陥を検査する為の光学式外観検査装置」は、構成2Aの「被検査物の表面を検査する装置」に相当する。
(b)構成2B
引用発明の構成bの「移送方向」は、構成2Bの「所定の一方向」に相当し、構成bの「検査対象物Wを移送方向に搬送するコンベアー等の検査対象物移動手段11」は、構成2Bの「被検査物を所定の一方向に搬送する搬送部」に相当する。
(c)構成2C
引用発明の構成cの「検査対象物Wの幅方向(移送方向に対して交差する向き)」は、構成2Cの「前記一方向と非平行な方向」に相当し、構成cの「ライン照明であって、検査対象物Wの幅方向(移送方向に対して交差する向き)全体にわたって」「照射」される「光」は、構成2Cの「前記一方向と非平行な方向に前記被検査物の表面を横断するスリット光」に相当する。そして、構成cの「照明手段152」は、構成2Cの「第1スリット光照射部」に相当する。
(d)構成2D
引用発明の構成dfの「光で照射している照射範囲」のうち、「検査対象物W」の表面との共通部分は、構成2Dの「前記被検査物の表面における前記スリット光の照射領域」に相当する。すると、構成dfおける「少なくとも光で照射している照射範囲と、当該照射範囲の近傍であって、光が照射されていない領域を含んで、検査対象物Wの幅方向全体が写るように」することは、構成2Dの「前記被検査物の表面における前記スリット光の照射領域を含む所定の二次元領域を視野に捉えるように配置され」ることに相当する構成を含む。
構成dfの「検査対象物Wが一定距離移動したとの信号を、検査対象物Wの水平移動距離や移動速度を検出するロータリーエンコーダ等の移送検出手段54から取得した時点で、画像を撮影する事」は、「一定距離」が構成2Dの「周期」に相当するから、構成2Dの「予め決められた周期で該領域の画像データを取得する」ことに相当する。
構成dfの「CCDイメージセンサを用いたカメラである撮影手段151」は、構成2Dの「二次元カメラ」に相当する。
(e)構成2E
引用発明の構成eの「照明手段152から照射された光で照らされている領域A1」、「光で照らされている領域A1の輪郭領域A2」、「光が照射されていない領域であって輪郭領域の近傍領域A3」は、それぞれ構成2Eの「前記スリット光が照射されている領域である照射領域」、「前記スリット光の照射領域と前記非照射領域の境界領域」、「前記スリット光が照射されていない領域である非照射領域」に相当する。
構成eの上記「領域A1」及び「輪郭領域A2」が、構成2Eの「予め決められた2つの領域」に相当し、構成eの「ライン状の画像L1」、「ライン状の画像L2」が、それぞれ構成2Eの「第1画像データ」、「第2画像データ」に相当する。
構成eの「ライン状の画像L1」、「ライン状の画像L2」は、それぞれ「領域A1」、「輪郭領域A2」からライン状に抜き出した画像であるから、「領域A1」、「輪郭領域A2」の移送方向にライン幅分の長さを有していることが明らかである。してみると、構成eの「ライン状の画像L1」、「ライン状の画像L2」をそれぞれ「領域A1」、「輪郭領域A2」「から抜き出」すことは、構成2Eの「前記二次元カメラにより取得される二次元領域の画像データから」「予め決められた2つの領域の前記一方向に複数画素分の長さを有する画像データを第1画像データ及び第2画像データとして抽出する」ことと、≪前記二次元カメラにより取得される二次元領域の画像データから、予め決められた2つの領域の前記一方向に所定の長さを有する画像データを第1画像データ及び第2画像データとして抽出する≫点で共通する。
(f)構成2G
引用発明の構成aの「光学式外観検査装置」は、構成2Gの「表面検査装置」に相当する。
b 以上のことから、本件補正発明と引用発明とは、以下の点で一致する。
(一致点)
「2A 被検査物の表面を検査する装置であって、
2B 被検査物を所定の一方向に搬送する搬送部と、
2C 前記一方向と非平行な方向に前記被検査物の表面を横断するスリット光を照射する第1スリット光照射部と、
2D 前記被検査物の表面における前記スリット光の照射領域を含む所定の二次元領域を視野に捉えるように配置され、予め決められた周期で該領域の画像データを取得する二次元カメラと、
2E’ 前記二次元カメラにより取得される二次元領域の画像データから、前記スリット光が照射されている領域である照射領域、前記スリット光が照射されていない領域である非照射領域、及び前記スリット光の照射領域と前記非照射領域の境界領域のうちの、予め決められた2つの領域の前記一方向に所定の長さを有する画像データを第1画像データ及び第2画像データとして抽出する画像データ抽出部と
を備える、
2G’ 表面検査装置。」
本件補正発明と引用発明とは、以下の点で相違する。
(相違点1)(構成2E)
所定の一方向における画像データの長さについて、本件補正発明は、「複数画素分の長さ」であるのに対し、引用発明の「ライン状の画像L1」及び「ライン状の画像L2」の移送方向における長さが不明である点。
(相違点2)(構成2F)
本件補正発明では、「前記第1画像データ及び前記第2画像データの、前記所定の長さ及び/又は前記搬送部による前記被検査物の搬送速度が可変であ」るのに対し、引用発明では、「ライン状の画像L1」及び「ライン状の画像L2」の移送方向における長さ及び/又は検査対象物Wの移動速度が可変であるか不明である点。
(相違点3)(構成2G)
予め決められた周期が、本件補正発明では、「前記複数画素の数の半分以下である整数の画素が捉える前記被検査物の長さだけ該被検査物が搬送される周期である」のに対し、引用発明において、「一定距離」(構成df)と「ライン状の画像L1」及び「ライン状の画像L2」の移送方向における長さとの関係が不明である点。
(オ)判断
以下、相違点について検討する。
a 相違点1・3について
引用発明の「ライン状の画像L1」及び「ライン状の画像L2」と、上記(ウ)a(d)の引用文献1技術事項「光学式外観検査装置において、繋ぎ合わせられることで面画像に展開した画像データD1~D3を形成するライン状の画像は、検査対象物の移送方向における各ライン状の画像の画素数が10画素であり、1乃至は5画素分移動するごとに撮影されること。」の「ライン状の画像」とは、いずれも光学式外観検査装置において検査対象物を移送しながら撮影されたものであって、それぞれ繋ぎ合わせて面画像からなる画像データとする(構成ae)点で共通するものである。してみると、引用文献1技術事項に基づき、引用発明の「ライン状の画像L1」及び「ライン状の画像L2」の移送方向における長さを10画素分(複数画素分)の長さとするとともに、構成dfの「一定距離」を、1乃至は5画素分(前記複数画素の数の半分以下である整数の画素が捉える前記被検査物の長さ)であるようにし、相違点1・3に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
b 相違点2について
引用発明は、検査対象物Wの水平移動距離や移動速度を検出するロータリーエンコーダ等の移送検出手段54からの検査対象物Wが一定距離移動したとの信号に基づき画像を撮影するものであるから、移動速度が一定でなくとも問題なく機能する構成であることが明らかである。そして、被検査物を搬送しながら撮像を行う外観検査装置において、搬送速度を可変とすることは、常套手段であるから(必要であれば、特開2002-174592号公報の【0085】~【0086】、特開2014-163771号公報の【0037】等を参照。)、引用発明において、検査対象物Wの移送速度を可変として相違点2に係る本件補正発明の構成を備えるものとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
c 効果について
本件補正発明の効果について、本願明細書には、
「【発明の効果】
【0019】
本発明に係る表面検査装置では、厚さが異なる被検査物の表面を検査する場合でも検出器の位置を細かく調整する必要がなく、また、被検査物に対する光の照射状態が異なる複数の測定データを一度の測定で取得することができる。」と記載されているが、引用文献1の[0092]に「撮影手段151では、少なくとも光で照射している照射範囲と、当該照射範囲の近傍であって、光が照射されていない領域を含んで、検査対象物Wの幅方向全体が写るようにして画像を撮影する。」、[0093]に「そして一定のエリアを撮影した画像から、図4(B)に示す様に、任意に設定した領域内から、ライン状の画像を抽出する。即ち、照明手段152から照射された光で照らされている領域A1、その輪郭領域A2と、光が照射されていない領域であって輪郭領域の近傍領域A3の夫々のラインから、ライン状の画像(L1~L3)を抽出する。即ち、光で照らされている領域A1からライン状の画像L1を抜き出し、光で照らされている領域A1の輪郭領域A2からライン状の画像L2を抜き出し、光が照射されていない領域であって輪郭領域の近傍領域A3からライン状の画像L3を抜き出す。」と記載されているように、引用発明においても、二次元領域を広く撮影するから、厚さが異なる被検査物の表面を検査する場合でも検出器の位置を細かく調整する必要はなく、光の照射状態が異なる複数の領域から複数のライン状の画像を抜き出すものであり、格別顕著なことではない。
d 請求人の主張について
(a)請求人は、令和5年5月25日に提出された審判請求書において、概ね次の主張をしている。
(a-1) 主張1
本件補正発明では、第1画像データと第2画像データとして、それぞれ被検査物の搬送方向に複数画素分の長さを有する画像データを取得し、該複数画素の数の半分以下である整数の画素が捉える被検査物の長さだけ該被検査物が搬送される毎に、二次元カメラで被検査物を撮影するから、被検査物の表面の全ての位置が複数回ずつ撮影され、画像データを平均したり合計したりすることで、撮影回毎のばらつきの影響を低減した画像が得られる。一方、引用発明は、このような構成を備えない。また、隙間なく撮影するという目的からは、被検査物の走査方向において1画素のみが重複するように被検査物を撮影すれば十分であり、第1画像データ及び第2画像データを構成する画素数の半分以上が重複するように動機づけられることはない。引用文献2・3にも当該構成は記載されていない。
(a-2) 主張2
引用文献1には、移送検出手段が、移動速度の変動のばらつきを抑制したり画像データの位置を補正したりするために検査対象物の移動距離や速度を計測することを意味する記載があるのみで、本件補正発明のように検査対象物の搬送速度そのものを変更することは記載も示唆もされていない。
(b) 請求人の主張に対する当審の見解
(b-1) 主張1について
本件補正発明は、画像データを平均したり合計したりすることについて特定されておらず、画像データを平均したり合計したりすることで、撮影回毎のばらつきの影響を低減した画像が得られるとの主張は、本件補正発明に基づかない主張である。
また、上記aで検討したとおり、画像データとして、被検査物の搬送方向に複数画素分の長さを有する画像データを取得し、該複数画素の数の半分以下である整数の画素が捉える被検査物の長さだけ該被検査物が搬送される毎に、二次元カメラで被検査物を撮影することに相当する構成は引用文献1に記載されている。
よって、主張1は採用することができない。
(b-2) 主張2について
引用文献1には、移動速度の変動のばらつきを抑制したり画像データの位置を補正したりできることからも、上記bで検討したとおり、移動速度が一定でなくとも問題なく機能する構成であることは明らかといえる。そして、上記bに説示したように、検査対象物の搬送速度を可変とすることは常套手段であって、引用発明において係る構成を採用する点に、何ら技術的困難性は認められない
よって、主張2は採用することができない。
e したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献1技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(カ)小括
以上(ア)・(イ)・(オ)より、本件補正発明は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしておらず、かつ、同法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和5年5月25日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし19に係る発明は、令和4年12月14日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし19に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明である本願発明は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(1)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
本願発明に対する原査定の拒絶の理由は、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2・3の記載に裏付けられる周知技術に基づいて、その出願(遡及日)前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1~3及びその記載事項は、上記第2の[理由]2(ウ)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 構成1A~1D
本願発明の構成1A~1Dは、本件補正発明の構成2A~2Dと同一であるから、構成1A~1Dと引用発明との対比は、上記第2の[理由]2(エ)a(a)~(d)のとおりである。
イ 構成1E
引用発明の構成eの「照明手段152から照射された光で照らされている領域A1」、「光で照らされている領域A1の輪郭領域A2」、「光が照射されていない領域であって輪郭領域の近傍領域A3」は、それぞれ構成1Eの「前記スリット光が照射されている領域である照射領域」、「前記スリット光の照射領域と前記非照射領域の境界領域」、「前記スリット光が照射されていない領域である非照射領域」に相当する。
構成eの上記「領域A1」及び「輪郭領域A2」が、構成1Eの「予め決められた2つの領域」に相当し、構成eの「ライン状の画像L1」、「ライン状の画像L2」が、それぞれ構成2Eの「第1画像データ」、「第2画像データ」に相当する。
構成eの「ライン状の画像L1」、「ライン状の画像L2」は、それぞれ「領域A1」、「輪郭領域A2」からライン状に抜き出した画像であるから、「領域A1」、「輪郭領域A2」の移送方向にライン幅分の長さを有していることが明らかであり、当該ライン幅分の長さが、構成1Eの「所定の長さ」に相当する。
してみると、構成eの「ライン状の画像L1」、「ライン状の画像L2」をそれぞれ「領域A1」、「輪郭領域A2」「から抜き出」すことは、構成2Eの「前記二次元カメラにより取得される二次元領域の画像データから」「予め決められた2つの領域の前記一方向に所定の長さを有する画像データを第1画像データ及び第2画像データとして抽出する」ことに相当する。
ウ 構成1G
引用発明の構成aの「光学式外観検査装置」は、構成1Gの「表面検査装置」に相当する。
エ 以上のことから、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致する。
(一致点)
「1A 被検査物の表面を検査する装置であって、
1B 被検査物を所定の一方向に搬送する搬送部と、
1C 前記一方向と非平行な方向に前記被検査物の表面を横断するスリット光を照射する第1スリット光照射部と、
1D 前記被検査物の表面における前記スリット光の照射領域を含む所定の二次元領域を視野に捉えるように配置され、予め決められた周期で該領域の画像データを取得する二次元カメラと、
1E 前記二次元カメラにより取得される二次元領域の画像データから、前記スリット光が照射されている領域である照射領域、前記スリット光が照射されていない領域である非照射領域、及び前記スリット光の照射領域と前記非照射領域の境界領域のうちの、予め決められた2つの領域の前記一方向に所定の長さを有する画像データを第1画像データ及び第2画像データとして抽出する画像データ抽出部と
を備える、
1G’ 表面検査装置。」
本願発明と引用発明とは、以下の点で相違する。
(相違点4)
本願発明では、「前記第1画像データ及び前記第2画像データの、前記所定の長さ及び/又は前記搬送部による前記被検査物の搬送速度が可変であ」るのに対し、引用発明では、「ライン状の画像L1」及び「ライン状の画像L2」の移送方向における長さ及び/又は検査対象物Wの移動速度が可変であるか不明である点。
(相違点5)
予め決められた周期が、本願発明では、「前記所定の長さのn(nは2以上の整数)分の1だけ前記被検査物が搬送される周期であり、前記所定の長さがnの整数倍である」のに対し、引用発明において、「一定距離」(構成df)と「ライン状の画像L1」及び「ライン状の画像L2」の移送方向における長さとの関係が不明である点。
オ 判断
(ア) 相違点4について
相違点4は、第2の[理由]2(エ)bに示した相違点2と同一であるから、第2の[理由]2(オ)bに説示したとおり、引用発明において、検査対象物Wの移送速度を可変として相違点2に係る本件補正発明の構成を備えるものとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(イ) 相違点5について
上記第2の[理由]2(ウ)dに説示したとおり、「光学式外観検査装置において、繋ぎ合わせられることで面画像とされるライン状の画像を、解像度を高めるため、被検査物が、ライン状の画像の被検査物の搬送方向の長さの1/2分だけ被検査物の移動するごとに撮像すること」は、本願の出願前における周知技術である。
引用発明において、ライン状の画像を繋ぎ合わせた面画像からなる画像データとして、より高い解像度のものを得ることは、自明の課題であるから、当該課題を解決するため、上記周知技術に基づき、構成dfの「一定距離」を、「ライン状の画像L1」及び「ライン状の画像L2」の移送方向における長さの1/2であるようにし、相違点5に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
カ 小括
よって、本願発明は、引用発明及び引用文献2・3の記載に裏付けられる周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-008549