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特許拒絶査定不服審判

2021-012255

多層構造体

審判番号
2021-012255
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-559764外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年09月13日
審決日
2023年03月07日
公報発行日
2023年08月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (B32B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2018-559764「多層構造体」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月7日国際公開、WO2017/207221、令和元年6月27日国内公表、特表2019-517938〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)5月8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年(平成28年)6月3日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概略は次のとおりである。 令和元年11月18日付け:拒絶理由通知書 令和2年 2月25日 :意見書、手続補正書の提出 令和2年 7月28日付け:拒絶理由通知書 令和2年11月12日 :意見書、手続補正書の提出 令和3年 4月27日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (令和3年 5月11日 :原査定の謄本の送達) 令和3年 9月13日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和4年 2月 8日 :上申書の提出 令和4年 8月30日付け:拒絶理由通知書 令和4年12月 6日 :意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明について 1 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年12月6日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 (i)第1の外部層としての第1のポリエチレン層であって、前記第1のポリエチレン層が機械方向にのみ配向しているもの;(ii)第2の外部層としての第2のポリエチレン層;(iii)第1の外部層と第2の外部層との間のエチレンおよびビニルアルコールのコポリマー(EVOH)製の層;および(iv)EVOH層の各側上の結合層を含む多層構造体であって、 前記結合層がエチレンの1種以上のコポリマーを含み、 前記第1のポリエチレン層(i)が、層A及び層Bを任意に層Eと組み合わせて含む多層フィルムであり、かつ前記第2のポリエチレン層(ii)が配向しておらず、前記エチレンおよびビニルアルコールのコポリマー(EVOH)製の層(iii)が、1~10g/m2の坪量を有することを特徴とする、前記多層構造体。 (層A):890~980kg/m3の密度を有するポリエチレンポリマーをベースとし、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)もしくは直線状低密度ポリエチレン(LLDPE)または高圧低密度ポリエチレン(LDPE)との、もしくはエチレンベースのプラストマーとのブレンド、またはエチレンベースのプラストマーの高圧低密度ポリエチレン(LDPE)とのブレンドである。 (層B):940~970kg/m3の密度を有する高密度ポリエチレン(HDPE)または925~940kg/m3の密度を有する中密度ポリエチレン(MDPE)、または910~950kg/m3の密度を有する直線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはそれらの、もしくはプラストマーとのブレンド製である。 (層E):940~970kg/m3の密度を有する高密度ポリエチレン(HDPE)または925~940kg/m3の密度を有する中密度ポリエチレン(MDPE)、または910~950kg/m3の密度を有する直線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはそれらの、もしくはプラストマーとのブレンド製であって、層Bと同一であってもよく、または層Bとは異なっていてもよい。」 2 拒絶の理由 当審において令和4年8月30日付けで通知した拒絶理由は、次のとおりのものである。 この出願の請求項1~16に係る発明は、引用文献1に記載された発明、及び引用文献2~4に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 引用文献1:国際公開第2014/016221号 引用文献2:特表2013-536102号公報 引用文献3:特開平6-328541号公報 引用文献4:特開昭57-182435号公報 3 文献に記載された発明 (1)引用文献1 引用文献1には以下の記載がある(訳文は当審が作成したものである。)。 「本発明の目的は、バリア層が埋め込まれた多層ラミネートと、それから作られた包装を提供することであり、これにより、個々のラミネート層の層厚を同時に薄くすることでバリア特性を改善し、丸いラミネートチューブの製造を手順的に簡単、迅速かつ安価に行うことができる。特にチューブでは、ラミネートを安価に製造でき、個別に印刷して改善することができ、さらに、それから作られた物品の感触が改善され、環境適合性が改善されます。」(明細書3ページ28~末行) 「特に、当該問題は、埋め込みバリア層を有するチューブ用の多層積層体によって達成され、当該積層体において、積層体は、積層体の一方の側の境界をなす外側カバー層と、積層体の他方の側の境界をなす内側カバー層とを有し、それらの間にバリア層が位置づけられ、そこにおいて積層体はバリア層に対して非対称な構造を有し、特にカバー層、具体的には外側と内側のカバー層、に関し、そこで、特に内側カバー層の分子配向が外側カバー層の分子配向と異なっており、それぞれが機械方向(MD)と機械方向に対して横断方向(CD)とでの延伸または伸張に関連している。これが意味するのは、外側カバー層は配向を有し、一方で内側カバー層は配向を有しない、または、外側カバー層の配向が、内側カバー層の配向とは異なり、特に大きい。 本発明の本質的な概念は、本発明によって、筒状パイプの製造におけるラップシールの製造工程における配向されたカバー層の収縮の効果は、チューブのための積層体の外部と境界となる2つのカバー層を、外側カバー層の伸張または延伸が内側カバー層の伸張または延伸とは異なり、特により大きくなるように、異なる方法で実装することによって、驚くほど簡単に影響され得ることが見いだされた。さらに本発明によれば、もし外側カバー層が二軸配向または二軸伸張されて、一方で内側カバー層が延伸または伸張を一軸にされているかまったくされていないときには、有利である。」(明細書4ページ6~29行) 「ここで、アルミニウム層が埋め込まれたチューブ用の多層積層体に基づいて本発明を以下に説明するが、任意にポリアミドと組み合わせたエチレンビニルアルコールコポリマーのバリア層も、以下の多層積層体に良好に使用できることに留意されたい。」(明細書5ページ16~20行) 「さらに重要な本発明の側面は、本発明の積層体が、少なくともその内側と外側のカバー層に関して非対称に構成されていることであり、そこでは、外側カバー層がすべての事例において配向された共押出されたカバー層であり、当該外側カバー層は、一軸にまたは好ましくは二軸に、すなわち機械方向と機械方向を横切る方向に延伸されており、一方で内側カバー層は配向されていないまたは弱い配向を有し、及び/または外側カバー層よりも延伸されており、またはそれに代わって一軸延伸されているか外側カバー層よりも低い配向比で延伸されている。 それに関して、一軸の外側カバー層は好ましくないが、しかしいくつかの状況においては配向されていない内側カバー層と組み合わさることができる。」(明細書7ページ22~34行) 「本発明に従って使用される材料は、以下の表に列挙されており、それぞれの層に単独で存在していてもよいし、組み合わせて存在していてもよい。 [図:0001399833000001.jpg] [図:0001399833000002.jpg] [図:0001399833000003.jpg] [図:0001399833000004.jpg] [図:0001399833000005.jpg] 」(明細書12ページ24行~13ページ42行) 「図1は、本発明による積層体の最も単純な形態の概略図を示しており、そこではアルミニウム層50が、チューブの意図された形成の事例においてはそのようなチューブの外側において外側中間材料層40aが積層されており、それに対して共押出されたカバー層30aが設けられ、その内部には中心の配向されたポリマー層20oが設けられ、その両側は同じく配向されたスキン層10oでカバーされる。仮想的なチューブの内側方向においてアルミニウム層50が内側中間層材料40iに接続され、配向していないスキン層10nが設けられ、配向していないポリマー層20nが設けられる。このポリマー層20nに再び配向していないスキン層10nが設けられる。このように、本発明に係る積層体は、アルミニウム層50に対してそれぞれ設けられた層が、特に外側カバー層と内側カバー層の分子配向において、非対称的に形成されている。」(明細書19ページ1~14行) 「参照符号のリスト 10o 配向されたスキン層 10n 配向されていないスキン層 20o 配向されたポリマー層 20n 配向されていないポリマー層 30a 共押出されて配向された外側カバー層 30i 配向されていない内側カバー層 40a 外側中間層材料 40i 内側中間層材料 43 第1結合層 45 第2結合層 47 第3結合層 50 埋め込まれたバリア層 55 内側バリア層 60 結合層 70 追加バリア層」(明細書24ページ1~16行) 「図1 [図:0001399833000006.jpg] 」 以上の記載から、特に明細書12ページ24行~13ページ42行における使用される材料についての記載、明細書24ページ1~16行の参照符号のリストに注目すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 積層体の一方の側の外部との境界をなす、共押出されて配向された外側カバー層30aと、 積層体の他方の側の外部との境界をなす、配向されていない内側カバー層30iと、 外側カバー層30aと内側カバー層30iとの間の埋め込まれたバリア層50と、 埋め込まれたバリア層50の一方の側上の、第1結合層43または第2結合層45と、 埋め込まれたバリア層50の他方の側上の、第1結合層43または第2結合層45と、 を含む多層構造体であって、 外側カバー層30aが、配向されたスキン層10o、配向されたポリマー層20o、配向されたスキン層10oからなり、 配向されたスキン層10oの材料として、ポリオレフィン、例えばポリエチレン(PE)、特にHDPE、LDPEまたはLLDPE、及び/またはポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PETP)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、前記の材料の混合物を用いることができ、 配向されたポリマー層20oの材料として、ポリオレフィン、例えばポリエチレン(PE)、特にHDPE、LDPEまたはLLDPE、及び/またはポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)を用いることができ、 内側カバー層30iが、配向されていないスキン層10n、配向されていないポリマー層20n、配向されていないスキン層10nからなり、 配向されていないスキン層10nの材料として、ポリオレフィン、例えばポリエチレン(PE)、特にHDPE、LDPEまたはLLDPE、及び/またはポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PETP)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、前記の材料の混合物を用いることができ、 配向されていないポリマー層20nの材料として、ポリオレフィン、例えばポリエチレン(PE)、特にHDPE、LDPEまたはLLDPE、及び/またはポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)を用いることができ、 第1結合層43の材料として、無水マレイン酸(MA)、エチレンメタクリレート(EMA)、エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)、アイオノマー、ターポリマー(エチレン-アクリル酸-無水マレイン酸)、エチレン-ビニルアセテート(EVA)、変性オレフィン、前記の材料の混合物を用いることができ、 第2結合層45の材料として、無水マレイン酸(MA)、エチレンメタクリレート(EMA)、エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)、アイオノマー、ターポリマー(エチレン-アクリル酸-無水マレイン酸)、エチレン-ビニルアセテート(EVA)、ポリオレフィン、特にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、変性オレフィン、前記の材料の混合物を用いることができ、 埋め込まれたバリア層50の材料として、ポリアミド、特にアモルファス及び/または芳香族の及び/または部分的に芳香族のポリアミド、エチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、特に配向されたポリエチレンテレフタレート(OPET)、アルミナ、SiOX、AlOX、前記の材料の混合物を用いることができる、 積層体。 (2)引用文献2 引用文献2には以下の記載がある(下線は強調のため当審が付した。)。 「【0004】 スタンディングパウチとして機能させるために、パウチを作るのに使用されるフィルムは、バッグが変形及び型崩れせずに立つことができるように十分な剛性を示さなければならない。さらにそれらは容易に破れないように適切な靱性を示さなければならない。加えて、それらは業界で使用される一般的なヒートシール装置を用いてシール可能であるべきである。一部の用途では、パウチが水分、光、及び/又は酸素の透過に対するバリア性をもたらすことも望まれる。 【0005】 現在、市場のSUPの大部分は、剛性又は他の所望の特性を実現するために別の材料が積層されたポリエチレン(PE)フィルム(単一又は共押出(mono and coex))でできている。多くの場合、こうした他の材料はテレフタル酸ポリエチレン(PET)である。ポリプロピレン及び/又はアルミニウム箔及び/又はポリアミド(ナイロン)が使用される他の構造体もある。しかし、ポリエチレンのみで製造されるスタンディングパウチはない。 【0006】 ポリエチレン樹脂のみを使用してスタンディングパウチとしての使用が可能なフィルムが得られれば、サステイナビリティ(sustainability)の目的ために望ましいであろう。一般に、ポリエチレンを使用すると、企業は、十分な耐穿刺性(puncture resistance)を保ちながらフィルムをダウンゲージ(down-gauge)することが可能になる。これにより、パッケージ材料を輸送するのに必要なエネルギー量が低減するだけでなく、埋め立て地へ送られるゴミの体積が低減することになる。さらに、ポリエチレンのような1種類の樹脂を含むフィルム構造体はより容易に再生できる。」 「【0017】 発明の詳細な説明 本明細書で使用する用語「ポリマー」は、同種であるか又は異種であるかにかかわらずモノマーを重合させることによって調製されるポリマー化合物を指す。このようにポリマーという総称は、1種のモノマーのみから調製されるポリマーを指すのに通常は使用される用語「ホモポリマー」、並びに2種以上の異なるモノマーから調製されるポリマーを指す「コポリマー」を包含する。 【0018】 「ポリエチレン」はエチレンモノマーに由来している50重量%を超える単位を含むポリマーを意味することとする。これはポリエチレンホモポリマー又はコポリマー(2種以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。当技術分野において既知のポリエチレンの一般的な形態としては、低密度ポリエチレン(LDPE);直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE);超低密度ポリエチレン(ULDPE);超低密度ポリエチレン(VLDPE);直鎖及び実質的に直鎖の両方の低密度樹脂(m-LLDPE)を含めた、シングルサイト触媒による直鎖状低密度ポリエチレン;並びに高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。これらのポリエチレン材料は一般に当技術分野において既知である;しかし以下の説明はこれらの様々なポリエチレン樹脂のいくつかの間の違いを理解するのに役立つと思われる。」 「【0046】 本発明の全体の積層フィルム構造体及びモノフィルム構造体は、ポリエチレンホモポリマー及びコポリマー以外のポリマーが実質的に存在しないことを特徴とする。「実質的に存在しない」とは、フィルム構造体の1%未満、好ましくは0.5%未満がポリエチレン以外の樹脂を含むことを意味する。最も好ましくは、フィルム構造体においてポリエチレン以外の樹脂がないこととなる。」 以上の記載から、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。 積層フィルム構造体において、ポリエチレンホモポリマー及びコポリマー以外のポリマーが実質的に存在しないようにすることで、1種類の樹脂を含み、より容易に再生できるものとすること。 (3)EVOH層について ア 特開2015-182265号公報(以下「引用文献5」という。) 引用文献5には以下の記載がある(下線は強調のため当審が付した。)。 「【0001】 本発明は、例えば、ブロックハム、生肉、惣菜や工業製品等の包装用底材として好適に使用できる深絞り用複合フィルムに関するものである。」 「【0028】 本発明の中間層には酸素バリアー性を付与する目的で少なくとも1層のエチレン酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂層(EVOH層)を備えてもよい。 【0029】 EVOH層中のエチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂(EVOH)のエチレン含有率は特に限定されるものではないが、製膜安定性の観点から、32モル%以上が好ましく、38モル%以上がより好ましく、47モル%以下が好ましく、44モル%以下がより好ましい。 ・・・ 【0031】 EVOH層の厚みは、5μm以上が好ましく、7μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましい。また、30μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。EVOH層の厚みを5μm以上とすることによりフィルムに十分な酸素バリアー性を付与することができ、また、EVOH層を20μm以下とすることにより、耐ピンホール性の低下や不必要に価格が高くなることを抑制することができる。」 イ 大阪市立工業研究所 ほか、「プラスチック読本」、改訂第18版、(株)プラスチックス・エージ、1992年(平成4年)8月15日、148ページ(以下「引用文献6」という。) 引用文献6(148ページ「表5 EVOH樹脂の一般的性質」)には、EVOH樹脂の密度(エチレン共重合比率)として、「1.19g/cm3」(32mol%)、「1.17g/cm3」(38mol%)、「1.14g/cm3」(44mol%)の記載がある。 ウ 周知技術について 上記アから、次の事項は周知技術であるといえる。 酸素バリアー性を付与するためのEVOH層の厚みを、酸素バリアー性や価格を考慮して決めること。 エ EVOH層の坪量について 引用文献6に記載されたEVOH樹脂の密度(上記イ)によると、引用文献5の【0031】に例示されたEVOH層の厚み(5μm、7μm、10μm、20μm、25μm、30μm)のうち、5μmのときの坪量は、5.7g/cm2、5.85g/cm2、5.95g/cm2(それぞれ、密度(エチレン共重合比率) 1.14g/cm3(44mol%)、1.17g/cm3(38mol%)、1.19g/cm3(32mol%))、7μmのときの坪量は、7.98g/cm2、8.19g/cm2、8.33g/cm2(それぞれ、密度(エチレン共重合比率) 1.14g/cm3(44mol%)、1.17g/cm3(38mol%)、1.19g/cm3(32mol%))程度と計算される。 4 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「外側カバー層30a」は、積層体の一方の側の外部との境界をなすから、本願発明の「第1の外部層」に相当し、以下同様に、「内側カバー層30i」は、積層体の他方の側の外部との境界をなすから、本願発明の「第2の外部層」に、引用発明の「第1結合層43」及び「第2結合層45」は「結合層」に、「多層構造体」は「多層構造体」に相当する。 引用発明の「外側カバー層30a」が「共押出されて配向された」ことと、本願発明の「第1の外部層」が「機械方向にのみ配向している」こととは、第1の外部層としての層であって、層が配向している限りで一致する。 引用発明の「外側カバー層30a」が、「配向されたスキン層10o、配向されたポリマー層20o、配向されたスキン層10oからなり、配向されたスキン層10oの材料として、ポリオレフィン、例えばポリエチレン(PE)、特にHDPE、LDPEまたはLLDPE、及び/またはポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PETP)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、前記の材料の混合物を用いることができ、配向されたポリマー層20oの材料として、ポリオレフィン、例えばポリエチレン(PE)、特にHDPE、LDPEまたはLLDPE、及び/またはポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)を用いることができ」ることと、本願発明の「第1の外部層」が、「第1のポリエチレン層であって」、「前記第1のポリエチレン層(i)が」、「890~980kg/m3の密度を有するポリエチレンポリマーをベースとし、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)もしくは直線状低密度ポリエチレン(LLDPE)または高圧低密度ポリエチレン(LDPE)との、もしくはエチレンベースのプラストマーとのブレンド、またはエチレンベースのプラストマーの高圧低密度ポリエチレン(LDPE)とのブレンドである」「層A」及び「940~970kg/m3の密度を有する高密度ポリエチレン(HDPE)または925~940kg/m3の密度を有する中密度ポリエチレン(MDPE)、または910~950kg/m3の密度を有する直線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはそれらの、もしくはプラストマーとのブレンド製である」「層B」を「任意に」「940~970kg/m3の密度を有する高密度ポリエチレン(HDPE)または925~940kg/m3の密度を有する中密度ポリエチレン(MDPE)、または910~950kg/m3の密度を有する直線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはそれらの、もしくはプラストマーとのブレンド製であって、層Bと同一であってもよく、または層Bとは異なっていてもよい」「層Eと組み合わせて含む多層フィルムであ」ることとは、第1の外部層としての層が、複数の層を含む多層フィルムである限りで一致する。 引用発明の「埋め込まれたバリア層50」が、「外側カバー層30aと内側カバー層30iとの間」にあり、「材料として、ポリアミド、特にアモルファス及び/または芳香族の及び/または部分的に芳香族のポリアミド、エチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、特に配向されたポリエチレンテレフタレート(OPET)、アルミナ、SiOX、AlOX、前記の材料の混合物を用いることができる」ことと、本願発明の「エチレンおよびビニルアルコールのコポリマー(EVOH)製の層」及び「EVOH層」が、「第1の外部層と第2の外部層との間」にあり、「1~10g/m2の坪量を有する」こととは、中間層が、第1の外部層と第2の外部層との間にある限りで一致する。 以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> (i)第1の外部層としての層であって、層が配向しているもの;(ii)第2の外部層;(iii)第1の外部層と第2の外部層との間の中間層;および(iv)中間層の各側上の結合層を含む多層構造体であって、 第1の外部層としての層が、複数の層を含む多層フィルムであり、第2の外部層である層(ii)が配向していない、前記多層構造体。 <相違点1> 第1の外部層としての層であって、層が配向していることに関して、本願発明は、「第1の外部層」が「機械方向にのみ配向している」のに対し、引用発明は、「外側カバー層30a」が「共押出されて配向された」ものである点。 <相違点2> 第1の外部層としての層が、複数の層を含む多層フィルムであることに関して、本願発明は、「第1の外部層」が、「第1のポリエチレン層であって」、「前記第1のポリエチレン層(i)が」、「890~980kg/m3の密度を有するポリエチレンポリマーをベースとし、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)もしくは直線状低密度ポリエチレン(LLDPE)または高圧低密度ポリエチレン(LDPE)との、もしくはエチレンベースのプラストマーとのブレンド、またはエチレンベースのプラストマーの高圧低密度ポリエチレン(LDPE)とのブレンドである」「層A」及び「940~970kg/m3の密度を有する高密度ポリエチレン(HDPE)または925~940kg/m3の密度を有する中密度ポリエチレン(MDPE)、または910~950kg/m3の密度を有する直線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはそれらの、もしくはプラストマーとのブレンド製である」「層B」を、「任意に」「940~970kg/m3の密度を有する高密度ポリエチレン(HDPE)または925~940kg/m3の密度を有する中密度ポリエチレン(MDPE)、または910~950kg/m3の密度を有する直線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはそれらの、もしくはプラストマーとのブレンド製であって、層Bと同一であってもよく、または層Bとは異なっていてもよい」「層Eと組み合わせて含む多層フィルムであ」るのに対して、引用発明は、「外側カバー層30a」が、「配向されたスキン層10o、配向されたポリマー層20o、配向されたスキン層10oからなり、配向されたスキン層10oの材料として、ポリオレフィン、例えばポリエチレン(PE)、特にHDPE、LDPEまたはLLDPE、及び/またはポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PETP)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、前記の材料の混合物を用いることができ、配向されたポリマー層20oの材料として、ポリオレフィン、例えばポリエチレン(PE)、特にHDPE、LDPEまたはLLDPE、及び/またはポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)を用いることができ」る点。 <相違点3> 本願発明の「第2の外部層」が「第2のポリエチレン層」であるのに対して、引用発明の「内側カバー層30i」はそのように特定されていない点。 <相違点4> 中間層が、第1の外部層と第2の外部層との間にあることに関して、本願発明は、「エチレンおよびビニルアルコールのコポリマー(EVOH)製の層」及び「EVOH層」が、「第1の外部層と第2の外部層との間」にあり、「1~10g/m2の坪量を有する」のに対して、引用発明は、「埋め込まれたバリア層50」が、「外側カバー層30aと内側カバー層30iとの間」にあり、「材料として、ポリアミド、特にアモルファス及び/または芳香族の及び/または部分的に芳香族のポリアミド、エチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、特に配向されたポリエチレンテレフタレート(OPET)、アルミナ、SiOX、AlOX、前記の材料の混合物を用いることができる」点。 <相違点5> 本願発明の「結合層」が「エチレンの1種以上のコポリマーを含」むのに対して、引用発明の「第1結合層43」及び「第2結合層45」はそのように特定されていない点。 5 判断 (1)相違点1について 引用文献1の「さらに重要な本発明の側面は、本発明の積層体が、少なくともその内側と外側のカバー層に関して非対称に構成されていることであり、そこでは、外側カバー層がすべての事例において配向された共押出されたカバー層であり、当該外側カバー層は、一軸にまたは好ましくは二軸に、すなわち機械方向と機械方向を横切る方向に延伸されており、一方で内側カバー層は配向されていないまたは弱い配向を有し、及び/または外側カバー層よりも延伸されており、またはそれに代わって一軸延伸されているか外側カバー層よりも低い配向比で延伸されている。それに関して、一軸の外側カバー層は好ましくないが、しかしいくつかの状況においては配向されていない内側カバー層と組み合わさることができる。」(明細書7ページ23~34行)の記載から、引用文献1には、外側カバー層を、機械方向と機械方向を横切る方向の二軸又はいずれかの方向の一軸に延伸して配向することが記載されている。 引用発明における外側カバー層30aを配向させる方向として、引用文献1に記載された方向からいずれを選択するかは当業者が適宜決め得ることであり、また、機械方向のみに配向させたものが特殊なものでもない。 そうすると、引用発明における外側カバー層30aを、機械方向のみに配向しているものとすることは当業者が容易になし得たことである。 (2)相違点2~5について 引用発明と引用文献2記載事項とは、プラスチック材料の積層体に関するという点で共通するものである。そして、プラスチック材料を再生、リサイクルしたいという課題は一般に知られたものである。 そうすると、引用発明において、引用文献2記載事項を参酌し、より容易に再生できるものとするために、ポリエチレンホモポリマー及びコポリマー以外のポリマーが実質的に存在しないようにすることを考慮して、外側カバー層30a、内側カバー層30i、埋め込まれたバリア層50、第1結合層43または第2結合層45の材料として、ポリエチレンホモポリマー及びコポリマーを選択する動機付けがある。 この点を踏まえ、以下、各相違点2~5について、述べる。 ア 相違点2について ポリエチレンの技術分野において、密度が890~980kg/m3に含まれるポリエチレン、密度が940~970kg/m3に含まれる高密度ポリエチレン(HDPE)、密度が910~950kg/m3に含まれる直線状低密度ポリエチレン(LLDPE)はよく知られている。 また、引用発明において、引用文献2記載事項を参酌し、より容易に再生できるものとするために、ポリエチレンホモポリマー及びコポリマー以外のポリマーが実質的に存在しないようにすることを考慮して、引用発明の「外側カバー層30a」の「複数の層」のうち、「配向されたスキン層10o」に例示された材料から、「HDPE」や、「LLDPE」や、「HDPE」と「LDPE」との「混合物」や、「LLDPE」と「LDPE」との「混合物」を選択して、相違点2に係る本願発明の「層A」の構成とし、また、引用発明の「外側カバー層30a」の「複数の層」のうち、「配向されたポリマー層20o」に例示された材料から、「HDPE」や、「LLDPE」や、これらを組み合わせたものを選択して、相違点2に係る本願発明の「層B」の構成として、引用発明の「外側カバー層30a」を、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 イ 相違点3について 引用発明において、引用文献2記載事項を参酌し、より容易に再生できるものとするために、ポリエチレンホモポリマー及びコポリマー以外のポリマーが実質的に存在しないようにすることを考慮して、引用発明の「内外側カバー層30i」の「配向されていないスキン層10n」に例示された材料から、「ポリエチレン(PE)」を選択して、相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 ウ 相違点4について 引用文献1の明細書5ページ16~20行には、バリア層としてエチレンビニルアルコールコポリマーが良好に使用できる旨が記載されていること、及び引用発明において、引用文献2記載事項を参酌し、より容易に再生できるものとするために、ポリエチレンホモポリマー及びコポリマー以外のポリマーが実質的に存在しないようにすることを考慮すると、引用発明の「埋め込まれたバリア層50」に例示された材料からエチレンモノマーに由来している単位を含むポリマーである「EVOH」を選択することに格別の困難性はない。 上記3(3)ウで示したとおり、酸素バリアー性を付与するためのEVOH層の厚みを、酸素バリアー性や価格を考慮して決めることは周知技術であるから、EVOH層の厚さをどの程度とするかは、当業者が適宜決め得ることであり、また、EVOH層の坪量として、1~10g/cm2に含まれるものが特殊なものでもない(上記3(3)エ)。 そうすると、引用発明における埋め込まれたバリア層50を、エチレンおよびビニルアルコールのコポリマー(EVOH)製の層とし、1~10g/m2の坪量を有するものとして、相違点4に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 エ 相違点5について 引用発明において、引用文献2記載事項を参酌し、より容易に再生できるものとするために、ポリエチレンホモポリマー及びコポリマー以外のポリマーが実質的に存在しないようにすることを考慮して、引用発明の「第1結合層43」及び「第2結合層45」に例示された材料から「エチレンメタクリレート(EMA)」、「エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)」、「ターポリマー(エチレン-アクリル酸-無水マレイン酸)」、「エチレン-ビニルアセテート(EVA)」、「変性オレフィン」を選択して、相違点5に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (3)効果の予測性 これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献2記載事項及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 (4)小括 したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第3 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-012255

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