特許拒絶査定不服審判
2019-008587
銅不動態化剤を有する層状構造
- 審判番号
- 2019-008587
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-531559外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年06月26日
- 審決日
- 2020年11月19日
- 公報発行日
- 2021年06月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ボレアリス エージー
- 【請求人代理人】林 一好
- 【請求人代理人】芝 哲央
- 【請求人代理人】岩池 満
- 分類
- P18 .537-Z (C08L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条6項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項、特許法第163条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2017-531559「銅不動態化剤を有する層状構造」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 6月23日国際公開、WO2016/096354、平成30年 1月11日国内公表、特表2018-500421〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
この出願は、2015年11月25日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2014年12月15日(EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成30年6月13日付けで拒絶理由が通知され、同年9月28日に意見書及び手続補正書が提出され、平成31年2月20日付けで拒絶査定がされ、令和1年6月26日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、同年8月8日に手続補正書(方式)が提出され、特許法第163条第2項に基づいて、審査官から同年8月27日付けで拒絶理由が通知され、何ら応答がなかったものである。
第2 特許請求の範囲の記載
この出願の特許請求の範囲の記載は、令和1年6月26日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】
銅導体と、前記銅導体に隣接するポリマー層とを含む層状構造であって、前記ポリマー層は、50ppmから600ppmのベンゾトリアゾール化合物を含むポリマー組成物を含み、
前記ポリマー組成物は、加水分解可能なシラン基含有単位を有するコモノマーを含んだエチレンのポリマーを含み、
前記ベンゾトリアゾール化合物は式(1)の化合物である、
【化1】
ここで、R1は少なくとも6個の炭素原子を含むアルキル基であり、ここでR1は少なくとも1つのアミン基を含み、R2は水素原子又はアルキル基である、層状構造。
【請求項2】
請求項1に記載の層状構造を有するケーブル。
【請求項3】
前記式(1)の化合物において、R1は12個以上の炭素原子を有するアルキル基であり、R2はメチル基である、請求項2に記載のケーブル。
【請求項4】
前記式(1)の化合物は、2つの異性体、N,N-ビス(2-エチルヘキシル)-4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-メチルアミン(CAS番号80584-90-3)およびN,N-ビス(2-エチルヘキシル)-5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-メチルアミン(CAS番号80595-74-0)の混合物である、請求項2又は3に記載のケーブル。
【請求項5】
前記式(1)の化合物は、50ppmから400ppmの量で前記ポリマー組成物中に存在する、請求項2から4のいずれか一項に記載のケーブル。
【請求項6】
エチレンの前記ポリマーは、高圧ラジカル重合プロセスにおいて作製される、請求項2から5のいずれか一項に記載のケーブル。
【請求項7】
前記ポリマー層は前記ポリマー組成物を含む絶縁層であり、前記ポリマー組成物は、シラン基含有単位を有するコモノマーを有するエチレンのポリマーの縮合反応によって架橋される、請求項2から6のいずれか一項に記載のケーブル。
【請求項8】
前記縮合反応は、酸性の縮合反応触媒を用いて行われる、請求項7に記載のケーブル。
【請求項9】
前記酸性の縮合反応触媒は芳香族スルホン酸である、請求項8に記載のケーブル。
【請求項10】
前記絶縁層中のポリマー組成物の熱間硬化は、7日間の周囲条件、RH50の後に175%未満である、請求項8または9に記載のケーブル。
【請求項11】
絶縁層はジャケット層に覆われる、請求項2から10のいずれか一項に記載のケーブル。
【請求項12】
前記ケーブルは電力ケーブルである、請求項2から11のいずれか一項に記載のケーブル。
【請求項13】
前記電力ケーブルは低電圧電力ケーブルである、請求項12に記載のケーブル。
【請求項14】
移動によってケーブルの銅導体を不動態化するためのプロセスであって、前記プロセスは、
請求項2から13のいずれか一項に記載のケーブルを生成するステップを含む、プロセス。」
第3 令和1年8月27日付けの拒絶理由の概要
令和1年8月27日付けの拒絶理由は、以下の理由を含むものである。
「1.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
・・・
(1)
・請求項 11-14
・備考
請求項11には、「絶縁層はジャケット層に覆われる、請求項2から10のいずれか一項に記載のケーブル。」が規定されているが、請求項11が引用する請求項2-6には、「絶縁層」という用語が用いられていないので、請求項11がこれら請求項を引用する場合、「絶縁層」とは何を指しているのか把握できない(・・・)。
・・・
よって、請求項11-14に係る発明は明確でない。
(2)
・請求項 14
・備考
請求項14には、「移動によってケーブルの銅導体を不動態化するためのプロセス」と記載されているが、「移動」とは何の移動を意味しているのか把握できない(・・・)。
よって、請求項14に係る発明は明確でない。」
第4 当審の判断
当審は、上記拒絶理由のとおり、この出願は、特許請求の範囲の記載が下記1及び2の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に適合するものではないので、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていないと判断する。
それらの理由は以下のとおりである。
1 上記拒絶理由の(1)について
請求項11には、「絶縁層はジャケット層に覆われる、請求項2から10のいずれか一項に記載のケーブル。」という記載がされており、請求項11に係るケーブルの発明は、請求項2~10のいずれかのケーブルという記載を引用して、絶縁層はジャケット層に覆われることをさらに特定した発明である。
そこで、請求項2の記載をみてみると、請求項2には、「請求項1に記載の層状構造を有するケーブル。」と記載がされており、絶縁層という記載はない。また、請求項2が引用する請求項1には、「銅導体と、前記銅導体に隣接するポリマー層とを含む層状構造であって、前記ポリマー層は、50ppmから600ppmのベンゾトリアゾール化合物を含むポリマー組成物を含み、
前記ポリマー組成物は、加水分解可能なシラン基含有単位を有するコモノマーを含んだエチレンのポリマーを含み、
前記ベンゾトリアゾール化合物は式(1)の化合物である、
【化1】
ここで、R1は少なくとも6個の炭素原子を含むアルキル基であり、ここでR1は少なくとも1つのアミン基を含み、R2は水素原子又はアルキル基である、層状構造。」と記載がされているだけであり、絶縁層という記載はない。
そうすると、請求項11に係る発明で特定される絶縁層とは何を表しているのか明らかであるとはいえないから、絶縁層はジャケット層に覆われることをさらに特定した請求項11に係る発明は明確であるとはいえない。
したがって、特許請求の範囲の請求項11の記載は、特許を受けようとする発明が明確であるとはいえないから、特許法第36条第6項第2号に適合するものではない。
2 上記拒絶理由の(2)について
請求項14には、「移動によってケーブルの銅導体を不動態化するためのプロセスであって、前記プロセスは、
請求項2から13のいずれか一項に記載のケーブルを生成するステップを含む、プロセス。」という記載がされており、請求項14に係るプロセスの発明は、請求項2~13のいずれかのケーブルという記載を引用して、移動によってケーブルの銅導体を不動態化するためのプロセスは、請求項2から13のいずれかのケーブルを生成するステップを含むことを特定した発明である。
そこで、請求項2の記載をみてみると、請求項2には、「請求項1に記載の層状構造を有するケーブル。」と記載がされており、銅導体を不動態化することに関する記載はない。また、請求項2が引用する請求項1には、「 銅導体と、前記銅導体に隣接するポリマー層とを含む層状構造であって、前記ポリマー層は、50ppmから600ppmのベンゾトリアゾール化合物を含むポリマー組成物を含み、
前記ポリマー組成物は、加水分解可能なシラン基含有単位を有するコモノマーを含んだエチレンのポリマーを含み、
前記ベンゾトリアゾール化合物は式(1)の化合物である、
【化1】
ここで、R1は少なくとも6個の炭素原子を含むアルキル基であり、ここでR1は少なくとも1つのアミン基を含み、R2は水素原子又はアルキル基である、層状構造。」と記載がされているだけであり、ケーブルの銅導体を不動化するプロセスのために何が移動するのかは明らかではない。
そうすると、請求項14に係る発明では、ケーブルの銅導体を不動化するプロセスのために何が移動するのかが明らかであるとはいえないから、請求項14に係る発明は明確であるとはいえない。
したがって、特許請求の範囲の請求項14の記載は、特許を受けようとする発明が明確であるとはいえないから、特許法第36条第6項第2号に適合するものではない。
3 まとめ
よって、この出願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に適合するものではないから、この特許出願は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない。
第5 むすび
以上のとおり、この特許出願が、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていないものであるから、この出願は、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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