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特許拒絶査定不服審判

2021-011175

プローバ

審判番号
2021-011175
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-024517外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年08月23日
審決日
2022年04月13日
公報発行日
2022年07月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H01L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020- 24517「プローバ」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 5月14日出願公開,特開2020- 74496〕について,次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は,成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は,平成28年8月5日に出願した特願2016-154213号(以下,「原出願」という。)の一部を令和2年2月17日に新たな特許出願としたものであって,その手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年 3月17日 :手続補正書 令和3年 2月10日付け:拒絶理由通知書 同年 4月13日 :意見書,手続補正書 同年 5月18日付け:拒絶査定 同年 8月23日 :審判請求書,手続補正書 同年10月21日付け:前置報告書 同年11月 2日 :上申書 第2 令和3年8月23日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和3年8月23日にされた手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により,特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおり補正された。(当審注:下線部は,補正箇所である。) 「【請求項1】 搬送ユニットが配される搬送エリアと, 複数の測定部が配される測定エリアと, 前記測定エリアの前記搬送エリアとは反対側に配されるメンテナンスエリアと, を備え, 前記複数の測定部にはそれぞれテストヘッドが配置され, 前記テストヘッドは前記メンテナンスエリア側に引き出し可能に構成され, 前記搬送ユニットが搬送先の前記測定部に搬送するウエハの搬送方向と,前記テストヘッドの引き出し方向とが一直線状である,プローバ。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の,令和3年4月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 搬送ユニットが配される搬送エリアと, 複数の測定部が配される測定エリアと, 前記測定エリアの前記搬送エリアとは反対側に配されるメンテナンスエリアと, を備え, 前記複数の測定部にはそれぞれテストヘッドが配置され, 前記テストヘッドは前記メンテナンスエリア側に引き出し可能に構成され, 前記搬送ユニットが搬送先の前記測定部に搬送する搬送物の搬送方向と,前記テストヘッドの引き出し方向とが一直線状である,プローバ。」 2 補正の適否 本件補正は,本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「搬送物」について,上記のとおり「ウエハ」と限定するものであって,補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから,特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで,本件補正後の請求項1に記載される発明(以下,「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について,以下,検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は,上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項及び引用発明 ア 引用文献1について (ア)原査定の拒絶の理由で引用された原出願の出願日前に頒布された引用文献である,特開2015-88555号公報(平成27年5月7日出願公開。以下,「引用文献1」という。)には,以下の事項が記載されている(当審注:下線は当審が付与した。以下,同様である。)。 「【技術分野】 【0001】 本発明は,複数のテストヘッドを有するウエハ検査装置の整備用台車及びウエハ検査装置の整備方法に関する。」 「【背景技術】 【0002】 多数の半導体デバイスが形成された半導体ウエハ(以下,単に「ウエハ」という。)において各半導体デバイスの電気的特性検査を行うために,ウエハ検査装置としてのプローバが用いられている。プローバはウエハと対向するプローブカードを備え,プローブカードは複数の柱状接触端子であるコンタクトプローブを有する(例えば,特許文献1参照。)。このプローバでは,プローブカードの各コンタクトプローブが半導体デバイスにおける電極パッドや半田バンプに接続された半導体デバイスへ検査信号を流すことによって半導体デバイスの電気回路の導通状態等を検査する。 【0003】 プローブカードの各コンタクトプローブへは検査回路であるメインボードを搭載したテストヘッドから検査信号が流されるが,近年,ウエハの検査効率を向上するために,それぞれにプローブカードが装着された複数のテストヘッドを備え,搬送ステージによって一のテストヘッドへウエハを搬送中に他のテストヘッドでウエハの半導体デバイスを検査可能なウエハ検査装置が開発されている。このウエハ検査装置では,フットプリント削減の観点から複数のテストヘッドを収容するセルが多段積みで配置される。 【0004】 各テストヘッドのメインボードは一種の消耗品であるために定期的に交換する必要があるが,メインボードを交換するためにはテストヘッドをウエハ検査装置から整備用台車の上に引き出す必要がある。」 「【発明を実施するための形態】 【0016】 以下,本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。 【0017】 まず,本実施の形態に係るウエハ検査装置の整備用台車について説明する。 【0018】 図1は,本実施の形態に係る整備用台車が適用されるウエハ検査装置の構成を概略的に示す斜視図である。 【0019】 図1において,ウエハ検査装置10は,複数の検査室(セル)11が多段,例えば,4段に配置されたセルタワー12と,該セルタワー12に隣接して配置され,搬送機構(図示しない)を内蔵してウエハの各セル11への搬出入を行うローダ13とを備える。セルタワー12及びローダ13はそれぞれ直方体状を呈し,高さは,例えば,2.4mである。 【0020】 ウエハ検査装置10では,セルタワー12におけるローダ13との隣接面の反対側(以下,「外側」という。)には作業者が各セル11の整備作業を行うことが可能な空間が確保され,後述する整備用台車27が配置される。 【0021】 図2は,図1におけるセルタワーの各セルに内蔵される構成要素を説明するための図であり,図2(A)はテストヘッドの斜視図であり,図2(B)は各セルにおけるテスタヘッド,ポゴフレーム及びプローブカードの配置状態を示す正面図である。 【0022】 図2(A)において,テストヘッド15は,直方体状の筐体からなる本体16と,本体16の長手方向の側面上部から側方へ突出するフランジ17とを有し,本体16は検査回路であるメインボード(図示しない)を収容する。 【0023】 また,図2(B)に示すように,各セル11は,内部において,テストヘッド15と,プローブカード18と,プローブカード18及びメインボードを電気的に接続するポゴピン(図示しない)を保持するポゴフレーム19とを有する。プローブカード18及びポゴフレーム19,並びにポゴフレーム19及びテストヘッド15の間にはシール部材20,21が配置され,該シール部材20,21に囲まれた空間が減圧されることにより,プローブカード18及びポゴフレーム19が真空吸着によってテストヘッド15へ装着される。 ・・・ 【0026】 ところで,テストヘッド15の重量は約70kgfであり,作業者の力だけでは取り扱いが困難であるため,テストヘッド15は,セル11内において当該テストヘッド15の長手方向(以下,単に「長手方向」という。)に沿って配置されるスライドレール(図示しない)によってフランジ17を介して支持され,スライドレールの上面に設けられた複数のボール台座によって長手方向に引きだし可能に構成される。」 「【図1】 [図:0001386011000001.jpg] 」 「【図2】 [図:0001386011000002.jpg] 」 上記【図1】には,検査室(セル)11が,上下方向に4段,前記上下方向と直交する幅方向に6列の多段多列に配置されていることが見て取れる。 そして,上記【0020】には,「ウエハ検査装置10では,セルタワー12におけるローダ13との隣接面の反対側(以下,「外側」という。)には作業者が各セル11の整備作業を行うことが可能な空間が確保され」と記載され,上記【0026】には,「テストヘッド15は,セル11内において当該テストヘッド15の長手方向(以下,単に「長手方向」という。)に沿って配置されるスライドレール(図示しない)によってフランジ17を介して支持され,スライドレールの上面に設けられた複数のボール台座によって長手方向に引きだし可能に構成される。」と記載されていることからすると,テストヘッドは,セルタワー12の前記長手方向に引きだされるものであり,セルタワー12の上記長手方向であって,セルタワー12におけるローダ13との隣接面の反対側に,作業者が各セル11の整備作業を行うことが可能な空間が確保されており,また,上記上下方向と直交する幅方向は,上記長手方向とも直交するといえる。 (イ)引用発明 上記(ア)によれば,引用文献1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「検査室(セル)11を,上下方向に4段,前記上下方向及びテストヘッド15が引きだされる方向である長手方向(以下,単に「長手方向」という。)のそれぞれに直交する幅方向(以下,単に「幅方向」という。)に6列の多段多列に配置した,直方体状を呈するセルタワー12と, 前記セルタワー12に隣接して配置され,搬送機構を内蔵してウエハの各セル11への搬出入を行う,直方体状を呈するローダ13と, 前記セルタワー12の前記長手方向であって,前記セルタワー12におけるローダ13との隣接面の反対側に確保され,作業者が各セル11の整備作業を行うことが可能であり,整備用台車27が配置される空間と, を備える,多数の半導体デバイスが形成された半導体ウエハにおいて各半導体デバイスの電気的特性検査を行うための,ウエハ検査装置10としてのプローバであって, 前記テストヘッドには,プローブカードのコンタクトプローブへ検査信号を流してウエハの半導体デバイスを検査するメインボードが搭載され, プローブカード18及びポゴフレーム19が真空吸着によってテストヘッド15へ装着され, 前記メインボードは一種の消耗品であるために定期的に交換する必要があるため,メインボードを交換するためにテストヘッドをウエハ検査装置から整備用台車の上に引き出す必要があり, 前記テストヘッド15は,セル11内において当該テストヘッド15の長手方向に沿って配置されるスライドレールによってフランジ17を介して支持され,スライドレールの上面に設けられた複数のボール台座によって長手方向に引きだし可能に構成される, ウエハ検査装置10としてのプローバ。」 イ 引用文献2について (ア)原査定の拒絶の理由で引用された原出願の出願日前に頒布された引用文献である,特開2015-130422号公報(平成27年7月16日出願公開。以下,「引用文献2」という。)には,以下の事項が記載されている。 「【0024】 図1及び図2において,ウエハ検査装置10は検査室11を備え,該検査室11は,ウエハの半導体デバイスの電気的特性の検査を行う検査領域12と,検査室11に対するウエハや後述するプローブカード18の搬出入を行う搬出入領域13と,検査領域12及び搬出入領域13の間に設けられた搬送領域14とを有する。 【0025】 検査領域12には複数のウエハ検査用インターフェースとしてのテスタ15が配置され,各テスタ15は水平に配列された複数のテスタからなるテスタ列を構成し,各テスタ15の下部にはプローブカード18が装着される。 【0026】 搬出入領域13は複数の収容空間16に区画され,各収容空間16には複数のウエハを収容する容器,例えば,FOUPを受け入れるポート16a,プローブカード18が搬入され且つ搬出されるローダ16cやウエハ検査装置10の各構成要素の動作を制御するコントローラ16dが配置される。 【0027】 搬送領域14には移動自在な搬送ロボット17(搬送装置)が配置される。搬送ロボット17は,搬出入領域13のポート16aからウエハを受け取って各テスタ15へ搬送し,また,半導体デバイスの電気的特性の検査が終了したウエハを各テスタ15からポート16aへ搬送する。さらには,搬送ロボット17は各テスタ15から品種の交換やメンテナンスを必要とするプローブカード18を搬出入領域13のローダ16cへ搬送し,また,新規やメンテナンス済みのプローブカード18をローダ16cから各テスタ15へ搬送する。 【0028】 このウエハ検査装置10では,各テスタ15が搬送されたウエハの半導体デバイスの電気的特性の検査を行うが,搬送ロボット17が一のテスタ15へ向けてウエハを搬送している間に,他のテスタ15は他のウエハの半導体デバイスの電気的特性の検査を行うことができるので,ウエハの検査効率を向上することができる。」 「【図1】 [図:0001386011000003.jpg] 【図2】 [図:0001386011000004.jpg] 」 「【図10】 [図:0001386011000005.jpg] 」 上記【図1】,【図2】及び【図10】には,検査領域12に,ウエハ検査用インターフェースとしてのテスタ15が,上下方向に3段,前記上下方向と直交する幅方向に6列の多段多列に配置されていること,及び,前記検査領域12の前記上下方向及び前記幅方向のそれぞれに直交する方向に隣接して,前記搬送領域14が配置されることが見て取れる。 (イ)以上から,引用文献2には,以下の事項が記載されているといえる。 「ウエハの半導体デバイスの電気的特性の検査を行う検査領域12と, 検査室11に対するウエハやプローブカード18の搬出入を行う搬出入領域13と, 検査領域12及び搬出入領域13の間に設けられた搬送領域14と, を有するウエハ検査装置10であって, 前記検査領域12には,ウエハ検査用インターフェースとしてのテスタ15が,上下方向に3段,前記上下方向と直交する幅方向に6列の多段多列に配置されており, 前記検査領域12の前記上下方向及び前記幅方向のそれぞれに直交する方向に隣接して,前記搬送領域14が配置され, 各テスタ15の下部にはプローブカード18が装着され, 前記搬出入領域13には,ウエハを収容する容器,例えば,FOUPを受け入れるポート16aが配置され, 前記搬送領域14には移動自在な搬送ロボット17(搬送装置)が配置され,搬送ロボット17は,搬出入領域13のポート16aからウエハを受け取って各テスタ15へ搬送する, ウエハ検査装置10。」 ウ 周知文献 (ア)周知文献1 a 原出願の出願日前に頒布された文献である特開2013-191737号公報(平成25年9月26日出願公開。以下,「周知文献1」という。)には,以下の事項が記載されている。 「【0021】 図1は,本発明の実施の形態に係るウエハ検査装置の外観を示す斜視図である。このウエハ検査装置10は,ウエハに形成された全半導体デバイスについてプローブカードの全プローブを一度に当接させて電気的特性検査を行う一括接触型の検査装置であって,共用できる装置についてはできるだけ共用するという概念の下,開発されたものである。従って,複数の検査室を有し,検査室以外の別の場所に設けられた位置合わせ装置によってウエハの位置合わせが行われる。 【0022】 図1において,ウエハ検査装置10は,当該ウエハ検査装置10の背面においてウエハの搬出入を行う搬出入領域S10と,該搬出入領域S10に対向して正面に設けられた検査領域S40と,搬出入領域S10と検査領域S40との間に設けられた搬送領域S30とから主として構成されている。 【0023】 搬出入領域S10は,複数の載置機構に対向して複数の単位搬出入領域に仕切られており,検査領域S40も複数の検査室に対応して複数の単位検査領域に仕切られている。すなわち,搬出入領域S10及び検査領域S40は,それぞれマンション風に複数の部屋に仕切られており,その間の搬送領域S30をウエハ搬送機構(後述する図2参照)が移動する。 【0024】 図2は,図1のII-II線に沿う断面図である。 【0025】 図2において,搬出入領域S10には載置機構として,例えば複数のフープFの受け入れ機構が設けられている。また,搬出入領域S10の図中左端には位置合わせ装置(以下,「アライメント室」という。)12を有するアライメント領域S20が形成されており,右端には針跡検査装置17を有する針跡検査領域S50が設けられている。また,搬送領域S30にはウエハ搬送機構13が設けられており,検査領域S40には複数の検査室14が設けられている。 【0026】 ウエハ搬送機構13は,例えば,基台上に設けられた回転体と,回転体上でそれぞれ個別に一方向に往復移動する上下二枚の搬送アームと,基台及び搬送アームを昇降させる昇降機構と,これらを搬送領域S30に沿って往復移動させる移動機構とを備えており,上側の搬送アームに,例えばウエハWを載置して搬送する。 【0027】 ウエハ検査装置10では,搬送機構13がフープFから未検査のウエハを受け取ってアライメント室12へ搬送し,該アライメント室12は,搬送機構13の搬送アームに対するウエハのアライメントを行い,搬送機構13がアライメント後のウエハを所定の検査室14へ搬入する。検査室14は,後述するウエハ検査用インターフェース18を有し,該ウエハ検査用インターフェース18は,ウエハWに形成された複数の半導体デバイスの電気的特性検査を行う。 【0028】 さらに,搬送機構13は検査済みのウエハを所定の検査室14から搬出入領域S10の一端に位置する針跡検査領域S50内に設けられた針跡検査装置17へ受け渡し,針跡検査装置17は検査済みのウエハにおける各半導体デバイスの電極における針跡(プローブ25の接触痕)の検査を行い,その後,搬送機構13が検査後のウエハWを搬出入領域S10のフープFへ搬入する。」 「【図1】 [図:0001386011000006.jpg] 【図2】 [図:0001386011000007.jpg] 」 上記【図1】及び【図2】には,検査領域S40に,上下方向に3段,前記上下方向と直交する方向に6列の多段多列の検査室14が配置されていること,及び,前記検査領域S40の前記上下方向及び前記幅方向のそれぞれに直交する方向に隣接して,前記搬出入領域S10が配置されていることが見て取れる。 b 以上から,周知文献1には,以下の事項が記載されているといえる。 「ウエハ検査装置10の背面においてウエハの搬出入を行う搬出入領域S10と, 該搬出入領域S10に対向して正面に設けられた検査領域S40と, 搬出入領域S10と検査領域S40との間に設けられた搬送領域S30とから主として構成されているウエハ検査装置10であって, 前記検査領域S40は,上下方向に3段,前記上下方向と直交する方向に6列の多段多列の検査室14に対応して複数の単位検査領域に仕切られており, 前記検査領域S40の前記上下方向及び前記幅方向のそれぞれに直交する方向に隣接して,前記搬出入領域S10が配置され, 前記ウエハ搬送機構13は,基台上に設けられた回転体と,回転体上でそれぞれ個別に一方向に往復移動する上下二枚の搬送アームと,基台及び搬送アームを昇降させる昇降機構と,これらを搬送領域S30に沿って往復移動させる移動機構とを備えており,上側の搬送アームは,ウエハWを載置して搬送するものであり, 前記搬送機構13がアライメント後のウエハを所定の検査室14へ搬入し,検査室14は,ウエハ検査用インターフェース18を有し,該ウエハ検査用インターフェース18は,ウエハWに形成された複数の半導体デバイスの電気的特性検査を行う, ウエハ検査装置10。」 (イ)周知文献2 a 原出願の出願日前に頒布された文献である特開2014-77671号公報(平成26年5月1日出願公開。以下,「周知文献2」という。)には,以下の事項が記載されている。 「【0023】 図1は,本実施の形態に係るプローブカード取り付け方法が適用されるウエハ検査装置の構成を概略的に示す水平断面図であり,図2は,図1における線II-IIに沿う断面図である。 【0024】 図1及び図2において,ウエハ検査装置10は検査室11を備え,該検査室11は,ウエハの半導体デバイスの電気的特性検査を行う検査領域12と,検査室11に対するウエハや後述するプローブカード20の搬出入を行う搬出入領域13と,検査領域12及び搬出入領域13の間に設けられた搬送領域14とを有する。 【0025】 検査領域12には複数のウエハ検査用インターフェースとしてのテスター15が配置される。具体的には,水平に配列された複数のテスターからなるテスター列の3層構造を有し,テスター列の各々に対応して1つのテスター側カメラ16(第2のカメラ)が配置される。各テスター側カメラ16は対応するテスター列に沿って水平に移動し,テスター列を構成する各テスター15の前に位置して後述する搬送ステージ18が搬送するプローブカード20等の位置を確認する。 【0026】 搬出入領域13は複数の収容空間17に区画され,各収容空間17には複数のウエハを収容する容器,例えば,FOUPを受け入れるポート17a,ウエハの位置合わせを行うアライナー17b,プローブカード20が搬入され且つ搬出されるローダ17cやウエハ検査装置10の各構成要素の動作を制御するコントローラ17dが配置される。 【0027】 搬送領域14には該搬送領域14だけでなく検査領域12や搬出入領域13へも移動自在な搬送ステージ18が配置される。搬送ステージ18は,搬出入領域13のポート17aからウエハを受け取って各テスター15へ搬送し,また,半導体デバイスの電気的特性の検査が終了したウエハを各テスター15からポート17aへ搬送する。さらには,搬送ステージ18は各テスター15からメンテナンスを必要とするプローブカード20を搬出入領域13のローダ17cへ搬送し,また,新規やメンテナンス済みのプローブカード20をローダ17cから各テスター15へ搬送する。」 「【図1】 [図:0001386011000008.jpg] 【図2】 [図:0001386011000009.jpg] 」 上記【図1】及び【図2】から,検査領域12には,上下方向に3段,前記上下方向と直交する方向に6列の多段多列の検査室14が配置されていること,及び,前記検査領域12の前記上下方向及び幅方向のそれぞれに直交する方向に隣接して,前記搬送領域14が配置されることが見て取れる。 b 以上から,周知文献2には,以下の事項が記載されているといえる。 「ウエハの半導体デバイスの電気的特性検査を行う検査領域12と, 検査室11に対するウエハやプローブカード20の搬出入を行う搬出入領域13と, 検査領域12及び搬出入領域13の間に設けられた搬送領域14とを有するウエハ検査装置10であって, 前記検査領域12には,複数のウエハ検査用インターフェースとしてのテスター15が,上下方向に3段,前記上下方向と直交する幅方向に6列の多段多列に配置されており, 前記検査領域12の前記上下方向及び幅方向のそれぞれに直交する方向に隣接して,前記搬送領域14が配置され, 前記搬送領域14には該搬送領域14だけでなく検査領域12や搬出入領域13へも移動自在な搬送ステージ18が配置され, 前記搬送ステージ18は,搬出入領域13のポート17aからウエハを受け取って各テスター15へ搬送し,また,半導体デバイスの電気的特性の検査が終了したウエハを各テスター15からポート17aへ搬送する, ウエハ検査装置10。」 (3)引用発明との対比 本件補正発明と引用発明を対比する。 ア 引用発明の「ローダ13」は,「搬送機構を内蔵してウエハの各セル11への搬出入を行う」ものであるから,本件補正発明の「搬送ユニット」に相当する。 また,引用発明の「ローダ13」が位置する領域は,「搬送機構を内蔵してウエハの各セル11への搬出入を行う」ための領域であるから,本件補正発明の「搬送ユニットが配される搬送エリア」に相当する。 イ 引用発明の「検査室(セル)11」は,「上下方向に4段,前記上下方向及びテストヘッド15が引きだされる方向である長手方向(以下,単に「長手方向」という。)のそれぞれに直交する幅方向(以下,単に「幅方向」という。)に6列の多段多列に配置」されているから,複数あるといえ,また,上記「検査室(セル)11」は,「多数の半導体デバイスが形成された半導体ウエハにおいて各半導体デバイスの電気的特性検査を行うための」ものであるから,各半導体デバイスの電気的特性を測定するものであるといえる。 したがって,引用発明の複数の「検査室(セル)11」は,本件補正発明の「複数の測定部」に相当する。 また,引用発明の「セルタワー12」が位置する領域は,複数の「検査室(セル)11」が配置されている領域であるから,本件補正発明の「複数の測定部が配される測定エリア」に相当する。 ウ 引用発明の「整備用台車27が配置される空間」は,「作業者が各セル11の整備作業を行うことが可能」な領域であるから,メンテナンスエリアであるといえる。 また,引用発明の「ローダ13」は,「前記セルタワー12の,前記長手方向であって,作業者が各セル11の整備作業を行うことが可能であり,整備用台車27が配置される空間に面する外側とは反対側の面に隣接して配置される」ものであるから,「整備用台車27が配置される空間」は,「セルタワー12」が位置する領域の,「ローダ13」が位置する領域とは反対側に配されているといえる。 そうすると,引用発明の「セルタワー12」が位置する領域の,「ローダ13」が位置する領域とは反対側に配されている「整備用台車27が配置される空間」は,本件補正発明の「前記測定エリアの前記搬送エリアとは反対側に配されるメンテナンスエリア」に相当する。 エ 引用発明の「テストヘッド15」は,本件補正発明の「テストヘッド」に相当する。 そして,引用発明の「テストヘッド15」は,「セル11内において当該テストヘッド15の長手方向に沿って配置されるスライドレールによってフランジ17を介して支持され,スライドレールの上面に設けられた複数のボール台座によって長手方向に引きだし可能に構成される」ものであるから,「検査室(セル)11」にはそれぞれ「テストヘッド15」が配置されているといえる。 そうすると,引用発明の「検査室(セル)11」にはそれぞれ「テストヘッド15」が配置されていることは,本件補正発明の「前記複数の測定部にはそれぞれテストヘッドが配置され」ていることに相当する。 オ 引用発明の「テストヘッド15」は,「各セル11内において当該テストヘッド15の長手方向に沿って配置されるスライドレールによってフランジ17を介して支持され,スライドレールの上面に設けられた複数のボール台座によって長手方向に引きだし可能に構成される」ものであり,また,上記「テストヘッド15」は,「ウエハ検査装置から整備用台車の上に引き出」されるものであるから,「整備用台車27が配置される空間」側に「引きだし可能に構成され」ているといえる。 そうすると,引用発明の「テストヘッド15」は,「整備用台車27が配置される空間」側に「引きだし可能に構成され」ていることは,本件補正発明の「前記テストヘッドは前記メンテナンスエリア側に引き出し可能に構成され」ていることに相当する。 カ 引用発明の「ウエハ検査装置10としてのプローバ」は,本件補正発明の「プローバ」に対応する。 キ 以上から,本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は,次のとおりである。 <一致点> 「搬送ユニットが配される搬送エリアと, 複数の測定部が配される測定エリアと, 前記測定エリアの前記搬送エリアとは反対側に配されるメンテナンスエリアと, を備え, 前記複数の測定部にはそれぞれテストヘッドが配置され, 前記テストヘッドは前記メンテナンスエリア側に引き出し可能に構成される,プローバ。」 <相違点> 相違点1:本件補正発明は,「前記搬送ユニットが搬送先の前記測定部に搬送するウエハの搬送方向と,前記テストヘッドの引き出し方向とが一直線状である」のに対し,引用発明は,そのような構成を有しているか不明である点。 (4)判断 以下,相違点について検討する。 ア 引用文献2に記載されたウエハ検査装置の「搬送ロボット17」,「『移動自在な搬送ロボット17(搬送装置)が配置され』る『搬送領域14』」,「『上下方向に3段,前記上下方向と直交する幅方向に6列の多段多列に配置され』る『テスタ15』」,「『ウエハ検査用インターフェースとしてのテスタ15が,上下方向に3段,前記上下方向と直交する幅方向に6列の多段多列に配置されて』いる『検査領域12』」は,それぞれ,本件補正発明の「搬送ユニット」,「搬送ユニットが配される搬送エリア」,「複数の測定部」,「複数の測定部が配される測定エリア」に相当する。 そして,引用文献2に記載された検査装置では,「テスタ15」が,上下方向に3段,前記上下方向と直交する幅方向に6列の多段多列に配置されていることから,上記「テスタ15」にウエハを搬送する場合に,上記上下方向,あるいは上記上下方向と直交する幅方向からウエハを搬送すると,隣接する他のテスタ15の存在が邪魔となることは明らかである。 したがって,引用文献2に記載された検査装置においては,「テスタ15」へのウエハの搬送は,前記上下方向及び前記幅方向のそれぞれに直交する「長手方向」に沿って行われているものと解することが,技術常識に照らして,自然かつ合理的と認められる。 イ ここで,上記引用文献2に記載された事項と同様の事項が上記(2)ウ(ア)及び(イ)における周知文献1及び2に記載されていることからすると,「搬送ユニットが配される搬送エリアと,複数の測定部が配される測定エリアと,前記測定エリアの前記搬送エリアとは反対側に配されるメンテナンスエリアと,を備え」る検査装置において,「測定部」へのウエハの搬送が,前記上下方向及び前記幅方向のそれぞれに直交する「長手方向」に沿って行われることは,本件補正発明の原出願の出願日において周知技術であったといえる。 ウ そうすると,引用発明の具体化に際し,「搬送機構を内蔵してウエハの各セル11への搬出入を行う,直方体状を呈するローダ13」における「ウエハ」の搬送方向を,上記「長手方向」とすることは,当業者であれば通常採り得る構成にすぎず,このとき,引用発明の「ウエハ」の搬送方向である「長手方向」と,「テストヘッド15」が引きだされる「長手方向」とは,同じ方向といえる。 そして,ウエハ検査装置としてのプローバにおいて,検査室に搬送されたウエハの半導体デバイスと,テストヘッドに装着されているプローブカードのコンタクトプローブとの位置合わせを行うことは技術常識であり,また,当該位置合わせにおける移動量が少ない方が,スループットが上がることは,当業者にとって自明の事項であるから,引用発明において,当該位置合わせにおける移動量が少なくすむように,「検査室(セル)11」に搬送される「ウエハ」の搬送方向と,「プローブカード18」が装着されている「テストヘッド」の搬送方向を一致させること,すなわち,「ローダ13」が搬送先の「検査室(セル)11」に搬送する「ウエハ」の搬送方向と,「テストヘッド15」の引き出し方向とを一直線状とすることは,当業者であれば適宜なし得る事項にすぎない。 エ したがって,引用発明,引用文献2に記載された事項及び周知技術に基づいて,上記相違点1に係る本件補正発明の構成を採用することは当業者が容易になし得たことである。 (5)請求人の主張 ア 請求人は,審判請求書の【請求の理由】3.(3)(キ)において,「本願発明は,『前記搬送ユニットが搬送先の前記測定部に搬送するウエハの搬送方向と,前記テストヘッドの引き出し方向とが一直線状である』構成を採用したことにより,高精度が求められるテストヘッドの位置決めの際に考慮しなくてはならないアッベ誤差を抑制することができるという格別の効果を奏するものである(段落[0111])」と主張している。 しかし,上記(4)で検討したとおり,引用発明において,「ローダ13」が搬送先の「検査室(セル)11」に搬送する「ウエハ」の搬送方向と,「テストヘッド15」の引き出し方向とを一直線状とすることは,当業者であれば適宜なし得る事項にすぎないものであるところ,請求人の主張する「アッベ誤差の抑制」は,測定部に搬送するウエハの搬送方向と,テストヘッドの引き出し方向とが一直線状となることで,その位置関係から直ちに生じるものである(本願明細書【0111】参照。)から,その効果を格別のものと認めることはできない。 しかも,「アッベの原理」は技術常識であり,他方,本願明細書の発明の詳細な説明には,「被メンテナンス装置の引出方向と前記搬送物の搬送方向とが同じ方向であ」ることで,誤差が顕著に小さくなったという具体的な測定結果は示されていないから,「測定部に搬送するウエハの搬送方向と,テストヘッドの引き出し方向とが一直線状である」構成を備えたことにより,格別の効果が奏されるとする請求人の主張を採用することはできない。 イ 請求人は,令和3年11月2日付け上申書の【上申の内容】1.(イ)において,「引用文献2には,搬送ロボット17がテスタ15に向けてプローブカード18だけでなくウエハを搬送することが記載されているものの(段落0027),搬送ロボット17がウエハをテスタ15へ搬送する際に,搬送ロボット17がプローブカード18をテスタ15へ搬送する場合と同様な動作を行うか否かについては具体的に明示されておらず(段落0052),搬送ロボット17がウエハをテスタ15へ搬送する際に,ウエハとテスタ15とがどのような位置関係にあるかについては不明である。しかも,引用文献2においては,ウエハとテスタ15との位置関係については不明であり,これらの位置合わせを行うべき必要性や必然性がない」と主張する。 しかし,請求人が主張しているように,引用文献2の【0027】には,搬送ロボット17がテスタ15に向けてプローブカード18だけでなくウエハを搬送することが記載されている。そうすると,プローブカード18とウエハは同様の動作によって搬送されているとするのが相当である。 そして,上記(4)で検討したとおり,引用発明において,「ローダ13」が搬送先の「検査室(セル)11」に搬送する「ウエハ」の搬送方向と,「テストヘッド15」の引き出し方向とを一直線状とすることは,引用発明,引用文献2に記載された事項及び周知技術に基づいて当業者が容易になし得たことである。 ウ したがって,請求人の上記主張はいずれも採用できない。 (6)よって,本件補正発明は,引用発明及び引用文献2に記載された事項及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび 以上のとおりであるから,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって,上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和3年8月23日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1~3に係る発明は,令和3年4月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は,この出願の請求項1~3に係る発明は,原出願の出願日前に頒布された以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。 引用文献1.特開2015-088555号公報 引用文献2.特開2015-130422号公報 3 引用文献の記載事項及び引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1,2,周知文献1,2の記載事項及び引用発明は,前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は,前記第2の[理由]2で検討したとおり,本件補正発明の「ウエハ」を「搬送物」との上位概念にしたものである。 そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含んだものに相当する本件補正発明が,前記第2の[理由]2(3),(4)に記載したとおり,引用発明及び引用文献2に記載された事項及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,引用発明及び引用文献2に記載された事項及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり,本願発明は,特許法第29条2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。 よって,結論のとおり審決する。

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2021-011175

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