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特許拒絶査定不服審判

2024-014042

内面形状測定機、及び内面形状測定機のアライメント方法

審判番号
2024-014042
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-046504
請求日
2024年09月02日
審決日
2026年03月31日
公報発行日
2026年06月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社東京精密
  • 【請求人代理人】松浦 憲政
  • 【請求人代理人】大原 一樹
  • 【請求人代理人】松村 潔
  • 【請求人代理人】松浦 憲三
審判長/審判官
  • 審判長 道祖土 新吾
  • 審判官 小島 寛史
  • 審判官 柳 重幸
分類
P18 .121-Z (G01B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-46504「内面形状測定機、及び内面形状測定機のアライメント方法」拒絶査定不服審判事件〔令和3年9月27日出願公開、特開2021-148498〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、令和2年3月17日の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和5年 9月19日付け:拒絶理由通知書 同年11月24日 :意見書、手続補正書の提出 令和6年 1月17日付け:拒絶理由通知書 同年 3月13日 :意見書、手続補正書の提出 同年 5月31日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同年 6月 4日 :原査定の謄本の送達) 同年 9月 2日 :審判請求書の提出 2 本願発明について (1) 本願発明の認定 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年3月13日に提出された手続補正書により補正された請求項1に記載された次に示す事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 第1の方向に平行な回転軸を中心に回転する回転体と、 前記回転体に支持される直動傾斜ステージであって、前記回転体に対する前記第1の方向に直交する平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更可能な直動傾斜ステージと、 前記第1の方向に平行に延びる接触式又は非接触式のプローブであって、第1の直動機構によって前記第1の方向に移動可能なプローブにより、前記直動傾斜ステージに固定されて前記回転体とともに回転するワークの穴の内側面の変位を検出する変位検出器と、 光源から前記第1の方向に出射した光であって、前記ワークの前記穴の第1の開口から入射して前記穴を通過した光の光量を取得する光量取得部と、 前記取得した光量に基づく前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれ情報を出力する出力部と、 前記ずれ情報に基づいて前記直動傾斜ステージを制御し、前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれが目標値以内となるように前記平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更するステージ制御部と、 を備える内面形状測定機。」 (2) 本願発明の分説 検討の便宜上、本願発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Fまでに分説する。また、参考図として、本願の【図1】を元に部材名を記入したものを掲載する。 <本願発明の分説> A 第1の方向に平行な回転軸を中心に回転する回転体と、 B 前記回転体に支持される直動傾斜ステージであって、前記回転体に対する前記第1の方向に直交する平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更可能な直動傾斜ステージと、 C 前記第1の方向に平行に延びる接触式又は非接触式のプローブであって、第1の直動機構によって前記第1の方向に移動可能なプローブにより、前記直動傾斜ステージに固定されて前記回転体とともに回転するワークの穴の内側面の変位を検出する変位検出器と、 D 光源から前記第1の方向に出射した光であって、前記ワークの前記穴の第1の開口から入射して前記穴を通過した光の光量を取得する光量取得部と、 E 前記取得した光量に基づく前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれ情報を出力する出力部と、 F 前記ずれ情報に基づいて前記直動傾斜ステージを制御し、前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれが目標値以内となるように前記平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更するステージ制御部と、 X を備える内面形状測定機。 <参考図> 【図1】 [図:0001435683000001.jpg] (3) 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。なお、下線は、当合議体において付したものである。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、ワークに形成された細穴の内面形状を測定するための技術に関する。 【背景技術】 【0002】 接触式又は非接触式のプローブとワークとを相対移動させることでワークの形状を測定する形状測定装置において、回転軸を中心にワークを回転させてワークの真円度を測定する内面形状測定機が知られている。内面形状測定機では、回転軸とワークの軸心とを一致させる必要がある。 【0003】 特許文献1には、回転テーブル上に載置されたワークの孔の内周部に検出器の接触子を当接させて孔の真円度を測定する技術が開示されている。特許文献1に記載の技術では、検出器の接触子をワークの外周面に当接させ、回転テーブルを回転させながら低倍率でワークの振れを見て、振れが小さくなるようにワークの載置位置を調整している。 …(中略)… 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 内面形状測定機を用いて極小径穴を測定する場合、極小径穴のアライメントが課題となる。即ち、プローブを極小径穴に挿入してワークを回転させると、プローブと穴壁とが衝突するという課題があった。 【0006】 これに対し、特許文献1に記載の技術のように、穴と同軸形状部分を利用してアライメントする場合は、測定可能な測定対象物の形状に制限があった。 【0007】 また、作業者が観察顕微鏡で確認しながら挿入する場合には、作業者の熟練が必要となる。この場合、自動化が困難であり、操作ミスによってプローブと穴壁とが衝突する可能性があった。 【0008】 本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、穴の位置を適切にアライメントする内面形状測定機、及び内面形状測定機のアライメント方法を提供することを目的とする。 【0009】 上記目的を達成するための内面形状測定機の一の態様は、第1の方向に平行な回転軸を中心に回転する回転体と、回転体に支持される直動傾斜ステージであって、回転体に対する第1の方向に直交する平面内の位置及び平面に対する傾斜を変更可能な直動傾斜ステージと、第1の方向に平行に延びる接触式又は非接触式のプローブであって、第1の直動機構によって第1の方向に移動可能なプローブにより、直動傾斜ステージに固定されて回転体とともに回転するワークの細穴の内側面の変位を検出する変位検出器と、光源から第1の方向に出射した光であって、ワークの細穴の第1の開口から入射して細穴を通過した光の光量を取得する光量取得部と、取得した光量に基づく細穴の中心軸と回転軸とのずれ情報を出力する出力部と、を備える内面形状測定機である。 【0010】 本態様によれば、出力されたずれ情報に基づいて穴の位置を適切にアライメントすることができる。穴が500μm以下の径を有する極小径穴である場合に特に有効である。 【0011】 ずれ情報に基づいて直動傾斜ステージを制御し、細穴の中心軸と回転軸とのずれを目標値以内にするステージ制御部を備えることが好ましい。これにより、穴の位置を自動的にアライメントすることができる。 …(中略)… 【発明の効果】 【0026】 本発明によれば、穴の位置を適切にアライメントすることができる。」 3 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する理由1(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 理由1(進歩性の欠如) 本願発明は、その出願前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.特開2018-163093号公報(主たる引用文献) 引用文献2.特開2010-107413号公報 引用文献3.特開平9-273926号公報(周知技術を示す文献) 4 引用文献の記載事項及び引用発明等の認定 (1) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定 ア 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2018-163093号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。なお、当合議体により、後記イの引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。 (ア) 【0001】~【0008】 「【技術分野】 【0001】 本発明は検出器、表面性状測定機、及び真円度測定機に係り、特に測定を高速化及び自動化する技術に関する。 【背景技術】 【0002】 真円度測定機において、測定対象物の外周面を測定する際には、検出器本体と測定対象 物との衝突を防止するため、検出器本体から一定の角度を持たせた姿勢のスタイラスを使用していた。このような検出器において、続いて測定対象物の細穴の内側面を測定する際には、スタイラスと測定対象物との衝突を防止するために、スタイラス角度を検出器の軸線方向に沿った姿勢に変更する必要があった。 【0003】 また、測定対象物の上面を測定する際と外周面に設けられた細溝の上下面を測定する際にも、同様の姿勢変更が必要であった。 【0004】 従来、このような姿勢変更は測定者が手動で実施していたために時間がかかり、またこれらの測定を自動的に実施することは困難であるという課題があった。 【0005】 このような課題に対し、特許文献1には、この姿勢変更を自動的に実施するために、真円度測定機本体に固定された突起物を設け、この突起物にスタイラスを当接させることで姿勢変更を行う真円度測定機が提案されている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0006】 【特許文献1】 特開2016-65751号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 しかしながら、特許文献1に記載の装置では、姿勢変更のための突起物の追加が必要となるという問題点がある。また、突起物に当接させて目的の姿勢へ移行させるための制御等によりシステムが複雑化し、コストがかかるという問題点もあった。さらに、姿勢変更のための時間が必要であるという問題もあった。 【0008】 本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、複数の面を自動的に測定し、測定に要する時間を短縮する検出器、表面性状測定機、及び真円度測定機を提供することを目的とする。」 (イ) 【0023】~【0033】、【図1】 「【0023】 <真円度測定機の構成> 図1は、本実施形態に係る表面性状測定機の全体構成を示す図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は側面図である。また、図1(C)は、図1(B)に示す状態から姿勢を変更した状態の側面図である。図1に示すように、真円度測定機10は、本体ベース(基台)12上に測定対象物となるワークWを載置する回転ステージ(回転台)14が設けられている。回転ステージ14は、X方向微動つまみ(不図示)及びY方向微動つまみ(不図示)によってX方向及びY方向に微動送りがされ、X方向傾斜つまみ(不図示)及びY方向傾斜つまみ(不図示)によってX方向及びY方向に傾斜が調整されるようになっている。」 「【図1】 [図:0001435683000002.jpg] 」 「【0024】 なお、X方向、Y方向、及びZ方向は互いに直交する方向であり、X方向は水平方向(後述するアーム20の移動方向)、Y方向はX方向に直交する水平方向、Z方向は鉛直方向(後述するキャリッジ18の移動方向)である。 【0025】 本体ベース12の内部には、回転ステージ14に連結されるモータ(不図示)が備えられている。回転ステージ14は、Z方向に平行な回転軸を中心に回転する。 【0026】 回転ステージ14の上面には、ワークWが載置される。図1(A)及び(B)に示すワークWは、一定の外径と内径とを有する円筒形状を有している。ワークWは、その中心軸が回転ステージ14の回転軸と同軸上となるように載置される。回転ステージ14に載置されたワークWは、回転ステージ14とともに回転軸を中心に回転する。 【0027】 また、本体ベース12上には、鉛直方向(Z方向)に延びるコラム(支柱)16が立設され、コラム16にはキャリッジ18が鉛直方向(Z方向)に移動自在に支持されている。キャリッジ18は、モータ(不図示)の駆動によりZ方向に移動する。 【0028】 キャリッジ18には、アーム(径方向移動軸)20が水平一軸方向(X方向)に移動自在に支持されている。アーム20は、モータ(不図示)の駆動によりX方向に移動する。 【0029】 また、アーム20は、X方向に平行な旋回軸周りに旋回自在に支持されている。 【0030】 アーム20の先端には検出器ホルダ22が設けられており、検出器ホルダ22には検出器24が着脱可能に取り付けられる。検出器24は、例えば、差動変圧器を用いた電気マイクロメータが使用される。検出器24の詳細については後述する。 【0031】 キャリッジ18のZ方向の移動及びアーム20のX方向の移動により、検出器24のZ方向及びX方向の位置を変更することができる。また、アーム20の旋回により、検出器24の向きを変更することができる。 【0032】 図1(B)に示した状態は、検出器24の検出器軸aはZ方向に平行であり、検出器24の第1の姿勢と呼ぶ。また、図1(C)は、図1(B)に示した状態からアーム20を図中左回りに90度旋回させた状態を示している。この状態では、検出器24の検出器軸aはY方向に平行であり、検出器24の第2の姿勢と呼ぶ。 【0033】 このように構成された真円度測定機10において、回転ステージ14(相対移動部の一例)を回転することで、ワークWと検出器24とを相対的に移動させる。そして、検出器24の検出結果に基づいて、ワークWの表面性状を測定する(表面性状測定部の一例)ことができる。特に、検出器24の第1の姿勢において、ワークWの円柱外側面、円筒内側面、及び細穴内側面の真円度を測定することができる。また、第2の姿勢において、ワークWの上面及び細溝上下面の表面性状を測定することができる。」 (ウ) 【0045】~【0061】、【図7】、【図8】 「【0045】 <検出器の構成> 図7は、本実施形態に係る検出器24の構成の一例を示す図である。検出器24は、円筒状の検出器本体100、スタイラス102、接触子104、保持部106、回転軸108、測定部110、及びアーム部112を有する。」 「【図7】 [図:0001435683000003.jpg] 」 「【0046】 検出器24は、スタイラス102が回転変位する際の接触子104の主たる変位方向(X方向)及び回転軸108に直交する軸である検出器軸aを有する。 【0047】 検出器本体100(本体部の一例)は、円筒形状であり、中心軸である本体軸bを有する。検出器本体100は、保持部106及び測定部110を収納している。なお、本実施形態において検出器軸aと本体軸bとは同軸上にある。 【0048】 保持部106は、スタイラス102を保持しており、回転軸108によって揺動自在に保持される。ここでは、保持部106は、図中紙面に垂直な(Y方向に平行な)回転軸108まわりに回転自在(揺動自在)に検出器本体100に軸支されている。また、スタイラス102は、不図示のバネにより図中左右方向に(検出器軸aに対して直交する方向に)付勢される。 【0049】 検出器本体100からは、保持部106によって保持されたスタイラス102が延出している。スタイラス102は、ワークWの表面に接触する接触子104を先端に支持している。スタイラス102と接触子104とを介在する部材を設けてもよい。 【0050】 スタイラス102は、接触子104を有する一端から図中上方向(検出器軸aと同方向)に延びる第1部分102Aと、第1部分102Aの他端において第1部分102Aと接続され、保持部106に保持される第2部分102Bとを有している。 【0051】 第1部分102Aの中心軸であるスタイラス軸cは、本体軸bとは平行である。また、スタイラス軸cは、検出器本体100の外周面の図中下方向(本体軸bと同方向)に沿った延長面である仮想延長面S上に配置されている。 【0052】 すなわち、保持部106は、スタイラス軸cと本体軸b(検出器軸a)とを平行に、かつスタイラス軸cと本体軸b(検出器軸a)とを本体軸b(検出器軸a)及び回転軸108に直交する方向(第1方向の一例)にオフセットしてスタイラス102の第1部分102Aを保持している。また、そのオフセット量は、検出器本体100の円筒形状の半径に等しい。 【0053】 第2部分102Bは、第1部分102Aと接続され、図中右方向へ延びる第3部分102Cと、第3部分102Cと接続され、図中上方向へ延びて保持部106に保持される第 4部分102Dとを有している。ここでは、第1部分102Aと第2部分102Bとを一体に形成しているが、別部材としてもよい。 【0054】 接触子104は、図中右方向から左方向(X方向)に、ワークWに接触する。ワークWに対する接触子104の接触点は、仮想延長面Sに対して検出器本体100とは反対側に存在する。すなわち、本体軸bとワークWに対する接触子104の接触点との水平方向(第1方向)の距離は、本体軸bと検出器本体100の外周面との水平方向の距離よりも大きい。 【0055】 保持部106には、保持部106の回転に伴って変位するアーム部112が設けられている。スタイラス102の回転変位によって保持部106が回転変位し、この変位がアーム部112を介して測定部110に伝えられる。 【0056】 測定部110は、いわゆるてこ式検出器を用いている。測定部110は、アーム部112の変位量、すなわちスタイラス102の回転変位量に基づいて接触子104の図中左右方向の変位を不図示のセンサにおいて測定する。例えば、アーム部112が検出器軸aと平行になる位置における出力を0とし、図7の右側にアーム部112が変位した場合にはプラスの値を出力し、左側にアーム部112が変位した場合にはマイナスの値を出力する。 【0057】 なお、ここでは測定部110が双方向型検出器の場合を示したが、これに限らず、片方向のみの検出機能を有する片方向型検出器で構成されてもよい。この場合、ワークWの測定面に対して接触子104を接触させる方向(向き)に応じて検出器24の向きを変更すればよい。 【0058】 このように構成された検出器24によれば、スタイラス102の姿勢変更を行うことなく、ワークWの細穴内側面の真円度測定、円柱外側面の測定、及び円筒内側面の測定を行うことができる。すなわち、図8(A)に示すように、ワークWの細穴内側面の真円度測定において、スタイラス102とワークWが衝突することはなく、図8(B)及び図8(C)に示すように、ワークWの円柱外側面の測定及び円筒内側面の測定において、検出器本体100の下端100AとワークWが衝突することもない。」 「【図8】 [図:0001435683000004.jpg] 」 「【0059】 したがって、複数の面を自動的に測定し、測定に要する時間を短縮することができる。 【0060】 また、ワークWに対する接触子104の接触点P1(図6(A)参照)が接触子104の常に同じ位置になるので、接触子104の摩耗による変化に対して高精度な測定を維持することができる。 【0061】 さらに、後述する円弧補正が一定となるため、高精度な測定を行うことができる。」 イ 引用発明の認定 前記アに摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。 <引用発明> 「真円度測定機10であって、(【0023】) 本体ベース(基台)12上に測定対象物となるワークWを載置する回転ステージ(回転台)14が設けられており、回転ステージ14は、X方向微動つまみ及びY方向微動つまみによってX方向及びY方向に微動送りがされ、X方向傾斜つまみ及びY方向傾斜つまみによってX方向及びY方向に傾斜が調整されるようになっており、(【0023】) ここで、X方向、Y方向、及びZ方向は互いに直交する方向であり、X方向は水平方向(後述するアーム20の移動方向)、Y方向はX方向に直交する水平方向、Z方向は鉛直方向(後述するキャリッジ18の移動方向)であり、(【0024】) 本体ベース12の内部には、回転ステージ14に連結されるモータが備えられており、回転ステージ14は、Z方向に平行な回転軸を中心に回転し、(【0025】) 回転ステージ14の上面には、ワークWが載置され、ワークWは、一定の外径と内径とを有する円筒形状を有しており、ワークWは、その中心軸が回転ステージ14の回転軸と同軸上となるように載置され、回転ステージ14に載置されたワークWは、回転ステージ14とともに回転軸を中心に回転し、(【0026】) 本体ベース12上には、鉛直方向(Z方向)に延びるコラム(支柱)16が立設され、コラム16にはキャリッジ18が鉛直方向(Z方向)に移動自在に支持されており、キャリッジ18は、モータの駆動によりZ方向に移動し、(【0027】) キャリッジ18には、アーム(径方向移動軸)20が水平一軸方向(X方向)に移動自在に支持されており、アーム20は、モータの駆動によりX方向に移動し、X方向に平行な旋回軸周りに旋回自在に支持されており、(【0028】、【0029】) アーム20の先端には検出器ホルダ22が設けられており、検出器ホルダ22には検出器24が着脱可能に取り付けられ、検出器24は、例えば、差動変圧器を用いた電気マイクロメータが使用され、(【0030】) 検出器24は、円筒状の検出器本体100、スタイラス102、接触子104、保持部106、回転軸108、測定部110、及びアーム部112を有し、(【0045】) 検出器本体100からは、保持部106によって保持されたスタイラス102が延出しており、スタイラス102は、ワークWの表面に接触する接触子104を先端に支持しており、(【0049】) スタイラス102は、接触子104を有する一端から検出器軸aと同方向に延びる第1部分102Aと、第1部分102Aの他端において第1部分102Aと接続され、保持部106に保持される第2部分102Bとを有しており、(【0050】) 第1部分102Aの中心軸であるスタイラス軸cは、本体軸b(検出器軸a)とは平行であり、(【0051】、【0052】) キャリッジ18のZ方向の移動及びアーム20のX方向の移動により、検出器24のZ方向及びX方向の位置を変更することができ、また、アーム20の旋回により、検出器24の向きを変更することができ、(【0031】) 回転ステージ14を回転することで、ワークWと検出器24とを相対的に移動させ、そして、検出器24の検出結果に基づいて、ワークWの表面性状を測定することができ、特に、検出器24の検出器軸aがZ方向に平行である検出器24の第1の姿勢において、ワークWの円柱外側面、円筒内側面、及び細穴内側面の真円度を測定することができる、(【0033】、【0032】) 真円度測定機10。(【0023】)」 (2) 引用文献2の記載事項及び引用文献2技術事項の認定 ア 引用文献2に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2010-107413号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。 (ア) 【0001】~【0008】 「【技術分野】 【0001】 本発明は、ワークの形状を測定する形状測定装置に関する。 【背景技術】 【0002】 接触式の形状測定装置において、形状測定に用いられる接触式プローブは、鉛直下方に延びる棒状のスタイラス、及びスタイラスの下端に設けられた接触子を有する。測定時、接触子がワーク(被測定物)の近傍に位置するように、スタイラスは、その姿勢を保持したまま、X-Y-Z軸方向に走査される。形状測定装置は、接触子がワークに接触した位置情報を収集し、それら位置情報に基づきワークの形状を求める。 【0003】 接触式プローブは、上記のような構成を有しているため、ワークの孔の内面形状を測定する場合、その孔がスタイラスの軸と平行となるように、ワークが載置されている必要がある。 【0004】 特許文献1には、ワークの水平出し(レベリング)を行う方法が、開示されている。特許文献1に記載の方法は、接触式プローブによりワークの真円度を測定し、その真円度に基づき、ワークの水平出しを行うものである。ここで、例えば、ワークは、その水平面に垂直な方向に延びる貫通孔を有しているものとする。このような場合、上記方法による水平出しと同時に、ワークの貫通孔は、スタイラスの軸と平行にすることができる。 【0005】 【特許文献1】 特開2001-201341号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、上記特許文献1に記載の方法では、真円度を正確に測定する必要があり、ワークの水平出しに多くの時間を要する。また、特許文献1に記載の方法では、測定対象のワークは、その貫通孔が水平面に対して垂直に設けられた円柱状に限られてしまう。 【0007】 真円度を測定することなく、貫通孔の口元を接触プローブにて測定し、貫通孔をスタイラスの軸と平行にする方法も考えられるが、その処理には多くの時間を要する。 【0008】 本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、短時間で貫通孔を有するワークを、その貫通孔が所定軸方向に平行となるように、載置可能に構成された形状測定装置を提供することを目的とする。」 (イ) 【0015】~【0026】、【図1】、【図2】 「【0015】 [第1実施形態] (第1実施形態に係る形状測定装置の構成) 図1は、本実施形態に係る形状測定装置(三次元測定装置)の全体構成を示す斜視図である。この形状測定装置は、非接触型の測定機本体1と、この測定機本体1を駆動制御すると共に、必要なデータ処理を実行するコンピュータシステム2と、計測結果をプリントアウトするプリンタ3とにより構成されている。」 「【図1】 [図:0001435683000005.jpg] 」 「【0016】 測定機本体1は、次のように構成されている。即ち、架台11上には、測定テーブル13が装着されており、この測定テーブル13は、図示しないY軸駆動機構によってY軸方向に駆動される。架台11の両側縁中央部には上方に延びる支持アーム14、15が固定されており、この支持アーム14、15の両上端部を連結するようにX軸ガイド16が固定されている。このX軸ガイド16には、撮像ユニット17が支持されている。撮像ユニット17は、図示しないX軸駆動機構によってX軸ガイド16に沿って駆動される。撮像ユニット17の下端部には、CCDカメラ18aが測定テーブル13と対向するように装着されている。また、撮像ユニット17の内部には、図示しない照明装置及びフォーカシング機構の他、CCDカメラ18aのZ軸(第1軸)方向の位置を移動させるZ軸駆動機構と、撮影位置でのCCDカメラ18aのZ方向の位置を検知する位置センサ19が内蔵されている。 【0017】 さらに、撮像ユニット17の下方には、接触式プローブユニット18bが設けられている。図2は、後述する回転テーブル13aの近傍の概略拡大図である。接触式プローブユニット18bは、図2に示すように、Z軸方向に平行に延びる棒状のスタイラス18ba、及びスタイラス18baの下方先端に設けられた接触子18bbを有する。接触式プローブユニット18bは、スタイラス18ba及び接触子18bbをX軸-Y軸-Z軸に移動可能に構成されている。接触式プローブユニット18bは、接触子18bbがワーク12に接触することによりその位置情報を取得する。」 「【図2】 [図:0001435683000006.jpg] 」 「【0018】 測定テーブル13は、図2に示すように、Z軸方向に平行にその上方に光を照射する光源13bを有する。例えば、測定テーブル13は、光を透過する透明あるいは半透明の筐体であって、光源13bは、そのテーブル13の内部に設けられている。 【0019】 ワーク12は、図2に示すように、ステージ13上に載置された回転テーブル13aに取り付けられている。ワーク12は、円柱状であり、その中心に貫通孔12aを有する。 【0020】 回転テーブル13aは、その上面にワーク12を取り付け可能に構成されている。回転テーブル13aは、Z軸に直交するX軸周り及びY軸周りに回転可能に構成されている。つまり、回転テーブル13aは、その上面に取り付けたワーク12を回転させ、XY平面に対して傾斜可能に構成されている。このような回転テーブル13aの動作は、後述するCPU(制御部)35の制御に従って行われる。なお、回転テーブル13aは、例えば透明あるいは半透明で構成され、光源13bからの光を透過するように構成されている。 【0021】 回転テーブル13aを透過した光は、図2に示すように、ワーク12の貫通孔12aを介してCCDカメラ18aに照射される。CCDカメラ18aは、光学系18aa、及び光学系18aaを介した光を受光する受光素子18abにて構成されている。 【0022】 コンピュータシステム2は、図1に示すように、コンピュータ本体21、キーボード22、ジョイスティックボックス(以下、J/Sと呼ぶ)23、マウス24及びCRT25を備えて構成されている。コンピュータ本体21は、例えば図3に示すように構成されている。即ち、CCDカメラ18aから入力されるワーク12の画像情報は、インタフェース(以下、I/Fと呼ぶ)31を介して画像メモリ32に格納される。 …(中略)… 【0024】 一方、キーボード22、J/S23、及びマウス24から入力されるコード情報及び位置情報は、I/F34を介してCPU35に入力される。CPU35は、ROM37に格納されたマクロプログラム及びHDD38からI/F39を介してRAM40に格納された測定実行プログラム、貫通孔の垂直出し実行プログラム等の各種制御プログラムに従って、測定実行処理、貫通孔の垂直出し処理等を実行する。 【0025】 ここで、貫通孔の垂直出し処理とは、ワーク12の貫通孔12aがZ軸(垂直方向)に平行となるようにワーク12を配置する処理を意味する。 【0026】 CPU35は、測定実行処理に従って、I/F41を介して測定機本体1(撮像ユニット17、接触式プローブユニット18b)を制御する。CPU35は、貫通孔の垂直出し処理に従って、I/F42を介して回転テーブル13aを制御する。CPU35は、回転テーブル13aの回転角度を撮像ユニット17(CCDカメラ18a)にて測定された輝度に基づき制御する。CPU35は、回転テーブル13aによりワーク12を所定角度ずつ回転させる毎に、撮像ユニット17(CCDカメラ18a)により輝度を測定させ、その輝度が最大となる角度に回転テーブル13aの回転角度を設定する。」 (ウ) 【0028】~【0036】、【図4】~【図7】 「【0028】 (第1実施形態に係る形状測定装置の貫通孔の垂直出し処理) 次に、図4~図7を参照して形状測定装置(三次元測定装置)による貫通孔の垂直出し処理について説明する。図4は、貫通孔の垂直出しの処理を示すフローチャートである。図5は、貫通孔の垂直出し処理に係る回転テーブル13aのX軸周りの回転角、及びY軸周りの回転角を示す図である。図6及び図7は、貫通孔の垂直出し処理に係るX軸周り、Y軸周りの走査時間及びそれらに対応する輝度を示す図である。なお、貫通孔の垂直出し処理が実行される前、回転テーブル13aのX軸及びY軸周りの回転角は、原点(0°,0°)に設定されているものとする。」 「【図4】 [図:0001435683000007.jpg] 【図5】 [図:0001435683000008.jpg] 」 「【0029】 先ず、制御部35は、図5に示すように、回転テーブル13aのX軸周りの回転角を初期角度-θ1だけ回転させる(ステップS101)。続いて、制御部35は、回転テーブル13aのX軸周りの回転角を+φ1回転させる(ステップS102)。次に、制御部35は、撮像ユニット17(CCDカメラ18a)によりワーク12の貫通孔12aを透過した光を受光させ、その受光された光に基づく輝度情報Dxk(k=1~n)をHDD38に格納する(ステップS103)。続いて、制御部35は、所定範囲に亘る回転テーブル13aのX軸周りの回転が完了したか否かを判断する(ステップS104)。例えば、制御部35は、図5に示すように、X軸周りの回転角が最終角度+θ1になっていれば、所定範囲に亘るX軸周りの回転が完了したと判断する。 【0030】 ステップS104において、制御部35は、所定範囲に亘る回転テーブル13aのX軸周りの回転が完了していないと判断すると(ステップS104,N)、再びステップS102からの処理を繰り返し実行する。一方、制御部35は、所定範囲に亘る回転テーブル13aのX軸周りの回転が完了したと判断すると(ステップS104,Y)、最大の輝度を受光した回転テーブル13aのX軸周りの回転角を示すX軸輝度最大角度Xrot1を特定する(ステップS105)。例えば、回転テーブル13aのX軸周りの走査時間に対する輝度情報Dxk(k=1~n)は、図6に示すように、X軸周りの回転角-θ1~+θ1に亘って一つのピークをもつ形状となる。そのピークにおけるX軸周りの回転角が、X軸輝度最大角度Xrot1となる。」 「【図6】 [図:0001435683000009.jpg] 」 「【0031】 続いて、制御部35は、図5に示すように、回転テーブル13aのX軸周りの回転角をX軸輝度最大角度Xrot1に設定する(ステップS106)。 【0032】 ステップS106に続き、制御部35は、図5に示すように、回転テーブル13aのY軸周りの回転角を初期角度-θ2だけ回転させる(ステップS107)。続いて、制御部35は、回転テーブル13aのY軸周りの回転角を+φ2回転させる(ステップS108)。次に、制御部35は、撮像ユニット17(CCDカメラ18a)によりワーク12の貫通孔12aを透過した光を受光させ、その受光された光に基づく輝度情報Dyk(k=1~n)をHDD38に格納する(ステップS109)。続いて、制御部35は、所定範囲に亘る回転テーブル13aのY軸周りの回転が完了したか否かを判断する(ステップS110)。例えば、制御部35は、図5に示すように、回転テーブル13aのY軸周りの回転角が最終角度+θ2になっていれば、所定範囲に亘るY軸周りの回転が完了したと判断する。 【0033】 ステップS109において、制御部35は、所定範囲に亘る回転テーブル13aのY軸周りの回転が完了していないと判断すると(ステップS110,N)、再びステップS108からの処理を繰り返し実行する。一方、制御部35は、回転テーブル13aのY軸周りの回転が完了したと判断すると(ステップS110,Y)、最大の輝度を受光した回転テーブル13aのY軸周りの回転角を示すY軸輝度最大角度Yrotを特定する(ステップS111)。例えば、Y軸周りの走査時間に対する輝度情報Dyk(k=1~n)は、図7に示すように、Y軸周りの回転角-θ2~+θ2に亘って一つのピークをもつ形状となる。そのピークにおけるY軸周りの回転角が、Y軸輝度最大角度Yrot1となる。」 「【図7】 [図:0001435683000010.jpg] 」 「【0034】 続いて、制御部35は、図5に示すように、回転テーブル13aのY軸周りの回転角をY軸輝度最大角度Yrot1に設定する(ステップS112)。上記ステップS106、及びステップS112において設定したX軸輝度最大角度Xrot1、及びY軸輝度最大角度Yrot1にて、ワーク12の貫通孔12aは、Z軸に平行となる。以上で、制御部35は、第1実施形態の形状測定装置による貫通孔の垂直出し処理を終了する。 【0035】 上記ステップS101~S112を要約すると、制御部35は、回転テーブル13aによりワーク12をX軸周りに所定角度ずつ回転させる毎に、撮像ユニット17(CCDカメラ18a)により輝度を測定させ、その輝度が最大となる角度Xrot1に回転テーブル13aのX軸周りの回転角度を設定する。その後、制御部35は、回転テーブル13aによりワーク12をY軸周りに所定角度ずつ回転させる毎に、撮像ユニット17(CCDカメラ18a)により輝度を測定させ、その輝度が最大となる角度Yrot1に回転テーブル13aのY軸周りの回転角度を設定する。 【0036】 上記の貫通孔の垂直出し処理終了の後、制御部35は、接触式プローブユニット18bにてワーク12の貫通孔12aの内径の形状を測定する。」 イ 引用文献2技術事項の認定 前記アに摘記した引用文献2の記載事項から、引用文献2には、次の技術事項(以下、「引用文献2技術事項」)が記載されていると認められる。 <引用文献2技術事項> 「非接触型の測定機本体1と、この測定機本体1を駆動制御すると共に、必要なデータ処理を実行するコンピュータシステム2と、計測結果をプリントアウトするプリンタ3とにより構成されている形状測定装置であって、(【0015】) 測定機本体1の構成として、架台11上には、測定テーブル13が装着されており、この測定テーブル13は、Y軸駆動機構によってY軸方向に駆動され、架台11の両側縁中央部には上方に延びる支持アーム14、15が固定されており、この支持アーム14、15の両上端部を連結するようにX軸ガイド16が固定されており、このX軸ガイド16には、撮像ユニット17が支持されており、撮像ユニット17の下端部には、CCDカメラ18aが測定テーブル13と対向するように装着されており、(【0016】) 撮像ユニット17の下方には、接触式プローブユニット18bが設けられており、(【0017】) 測定テーブル13は、Z軸方向に平行にその上方に光を照射する光源13bを有し、(【0018】) ワーク12は、ステージ13上に載置された回転テーブル13aに取り付けられており、ワーク12は、円柱状であり、その中心に貫通孔12aを有し、(【0019】) 回転テーブル13aは、Z軸に直交するX軸周り及びY軸周りに回転可能に構成されており、つまり、回転テーブル13aは、その上面に取り付けたワーク12を回転させ、XY平面に対して傾斜可能に構成されており、(【0020】) 回転テーブル13aを透過した光は、ワーク12の貫通孔12aを介してCCDカメラ18aに照射され、(【0021】) CCDカメラ18aから入力されるワーク12の画像情報は、インタフェース(以下、I/Fと呼ぶ)31を介して画像メモリ32に格納され、(【0022】) コンピュータシステム2において、CPU35は、測定実行プログラム、貫通孔の垂直出し実行プログラム等の各種制御プログラムに従って、測定実行処理、貫通孔の垂直出し処理等を実行し、(【0024】) ここで、貫通孔の垂直出し処理とは、ワーク12の貫通孔12aがZ軸(垂直方向)に平行となるようにワーク12を配置する処理を意味し、(【0025】) CPU35は、貫通孔の垂直出し処理に従って、I/F42を介して回転テーブル13aを制御し、回転テーブル13aの回転角度を撮像ユニット17(CCDカメラ18a)にて測定された輝度に基づき制御する、(【0026】) 形状測定装置。(【0015】)」 (3) 引用文献4に記載された事項及び技術常識1の認定 ア 引用文献4に記載された事項 当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である実願平2―64373号(実開平4-24064号)のマイクロフィルム(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。 (ア) 明細書6頁5行~7頁11行、第1図 「〔実施例〕 以下、添付図面に示す一実施例に基きこの考案を詳細に説明する。 第1図は、この実施例に係る自動分析装置を示すものであり、符号20は図示しない駆動装置により回転制御を受ける反応テーブル、21は該反応テーブル20に所定の順序で配列される反応容器、22は光源、23は光源22から照射される光束、24は反応容器21を透過した光束を波長分解して各波長の光量を測定する多波長光度計、25は該光度計24の出力に基づき反応容器21内の試料による吸光度変化量を算出する吸光度積算装置、26は分析結果等を表示する表示装置、27は印字表示のためのプリンタ装置である。 そして、前記吸光度積算装置25は、光度計24から入力した各波長の光量電圧値(V1,V2,V3…)と予め定めた基準電圧値V0とを比較して、当該基準電圧値V0を越える光量電圧があったとき後段へ出力する比較回路30と、該比較回路30の出力に基づき透過光電圧(V1,V2,V3…)のサンプリングタイミングを決定するタイミング決定回路31と、該タイミング決定回路31からの指令信号に基づき透過光電圧値(V1,V2,V3…)を所定タイミングでメモリ回路に格納していくサンプリング回路32とを備えて構成されている。」 「(第1図) [図:0001435683000011.jpg] 」 (イ) 明細書7頁17行~8頁18行、第2~3図 「次に、以上のように構成された自動分析装置の作動を説明する。 第2図に示すように、いま、二つの反応容器21A,21Bが順次光束23を横切って図中矢印方向へ移動する場合、透過光の検出電圧レベルは第3図に示すような台形波形となる。」 「(第2図) [図:0001435683000012.jpg] 」 「第3図に示す検出電圧(光量電圧)は、光度計24で波長分解された複数の波長の中で最も変換電圧値の高いもの(即ち最も光量が強いもの)を例示するもので、他の波長についても同様の電圧波形が得られるが、光量が十分でない場合は、透過光サンプリングを開始できないので、この実施例では最も光量が大きな波長の電圧値に基づきサンプリング開始を決定する。 ここで、比較回路30は、各波長の電圧値と基準電圧値V0とを比較し、時間t1において、ある特定波長の電圧値が予め定めた閾値(即ち基準電圧V0)を越えたときに後段へ出力し、その出力を受けてタイミング決定回路31は、それから所定時間(例えば680μsec)経過後の時間t2から透過光サンプリングを開始するよう決定する。」 「(第3図) [図:0001435683000013.jpg] 」 イ 技術常識1の認定 前記アに示した引用文献4の摘記事項に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって技術常識であったと認められる。(以下「技術常識1」という。) ここで、引用文献4には、「二つの反応容器21A,21Bが順次光束23を横切って図中矢印方向へ移動する場合、透過光の検出電圧レベルは第3図に示すような台形波形となる。」と記載されているところ、台形の上底と下底を結ぶ傾斜部が存在することにより、この区間において、透過光の光量から反応容器の変位を測定可能であることが理解できる。 <技術常識1> 「光透過部を有する部材に対して光源から光を照射して、光透過部を透過した光量を測定することにより、測定される光の進行方向と直交する方向における当該部材の変位を測定可能であること。」 5 本願発明と引用発明の対比 (1) 対比分析 本願発明と引用発明を対比する。 ア 構成Xの観点(内面形状測定機) (ア) 構成Xは、「内面形状測定機」の発明であることを特定するものである。 (イ) 引用発明の「真円度測定機10」は、「ワークWの表面性状を測定することができ、特に、検出器24の検出器軸aがZ方向に平行である検出器24の第1の姿勢において、ワークWの」「円筒内側面、及び細穴内側面の真円度を測定することができる」ものであるから、本願発明の「内面形状測定機」に相当する。 (ウ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Xの観点について、次の点において一致する。 「内面形状測定機」の発明である点。 イ 構成Aの観点(回転体) (ア) 構成Aは、「第1の方向に平行な回転軸を中心に回転する回転体」を備えることである。 (イ) 引用発明の「Z方向」は、本願発明の「第1の方向」に相当するから、引用発明の「Z方向に平行な回転軸を中心に回転」する「回転ステージ14」は、本願発明の「第1の方向に平行な回転軸を中心に回転する回転体」に相当する。 (ウ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Aの観点について、次の点において一致する。 「第1の方向に平行な回転軸を中心に回転する回転体」を備える点。 ウ 構成Bの観点(直動傾斜ステージ) (ア) 構成Bは、「前記回転体に支持される直動傾斜ステージであって、前記回転体に対する前記第1の方向に直交する平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更可能な直動傾斜ステージ」を備えることである。 (イ) 引用発明においては、「本体ベース(基台)12上に測定対象物となるワークWを載置する回転ステージ(回転台)14が設けられて」いる。 これに対して、本願発明の構成Cにおいて、「ワーク」は「前記直動傾斜ステージに固定されて前記回転体とともに回転する」ものとされている。 そうすると、引用発明の「測定対象物となるワークWを載置する回転ステージ(回転台)14」は、本願発明の「直動傾斜ステージ」と、「ワークが固定されるステージ」である点において共通する。 (ウ) また、引用発明において、「回転ステージ14は、X方向微動つまみ及びY方向微動つまみによってX方向及びY方向に微動送りがされ、X方向傾斜つまみ及びY方向傾斜つまみによってX方向及びY方向に傾斜が調整されるようになって」おり、このことは、「回転ステージ14」がXY平面内の位置及びXY平面に対する傾斜を変更可能であることを意味する。 そして、引用発明において「X方向、Y方向、及びZ方向は互いに直交する方向」であること、及び、前記(イ)の検討を踏まえると、本願発明と引用発明は、「ワークが固定されるステージの前記第1の方向に直交する平面内の位置及び前記平面に対する傾斜が変更可能である」点において共通する。 (エ) 以上の検討結果を踏まえると、本願発明と引用発明の構成Bの観点における一致点及び相違点は、次のa及びbのとおりである。 a 構成Bの観点における一致点 「ワークが固定されるステージの前記第1の方向に直交する平面内の位置及び前記平面に対する傾斜が変更可能である」点。 b 構成Bの観点における相違点 ワークが固定されるステージの位置及び傾斜を変更可能とする構成について、 本願発明においては、「前記回転体に支持される直動傾斜ステージであって、前記回転体に対する前記第1の方向に直交する平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更可能な直動傾斜ステージ」を備えるのに対して、 引用発明においては、「測定対象物となるワークWを載置する回転ステージ(回転台)14」が「X方向微動つまみ及びY方向微動つまみによってX方向及びY方向に微動送りがされ、X方向傾斜つまみ及びY方向傾斜つまみによってX方向及びY方向に傾斜が調整されるようになって」いる点。 エ 構成Cの観点(変位検出器) (ア) 構成Cは、「前記第1の方向に平行に延びる接触式又は非接触式のプローブであって、第1の直動機構によって前記第1の方向に移動可能なプローブにより、前記直動傾斜ステージに固定されて前記回転体とともに回転するワークの穴の内側面の変位を検出する変位検出器」を備えることである。 (イ) 引用発明において、「検出器24は、円筒状の検出器本体100、スタイラス102、接触子104、保持部106、回転軸108、測定部110、及びアーム部112を有し」、「検出器本体100からは、保持部106によって保持されたスタイラス102が延出しており、スタイラス102は、ワークWの表面に接触する接触子104を先端に支持して」いるところ、引用発明の「スタイラス102」及び「接触子104」を合わせた構成は、本願発明の「接触式」「のプローブ」に相当する。 また、引用発明において、「スタイラス102」の有する「第1部分102Aの中心軸であるスタイラス軸cは、本体軸b(検出器軸a)とは平行であ」ることは、「検出器24の検出器軸aがZ方向に平行である検出器24の第1の姿勢」において、本願発明における「接触式又は非接触式のプローブ」が「前記第1の方向に平行に延びる」ことに相当する。 (ウ) 引用発明の「モータの駆動によりZ方向に移動」する「キャリッジ18」は、本願発明の「第1の直動機構」に相当する。 そして、引用発明は、「キャリッジ18のZ方向の移動及びアーム20のX方向の移動により、検出器24のZ方向及びX方向の位置を変更することができ」るものであるから、キャリッジ18のZ方向の移動により、「検出器24」の有する「スタイラス102」及び「接触子104」もZ方向の位置を変更することができるといえるところ、このことは、本願発明の「第1の直動機構によって前記第1の方向に移動可能なプローブ」に相当する構成を有することを意味する。 (エ) また、引用発明は、「回転ステージ14を回転することで、ワークWと検出器24とを相対的に移動させ、そして、検出器24の検出結果に基づいて、ワークWの表面性状を測定することができ、特に、検出器24の検出器軸aがZ方向に平行である検出器24の第1の姿勢において、ワークWの」「円筒内側面、及び細穴内側面の真円度を測定することができる」ものであるところ、「真円度を測定する」ことは、円筒内側面又は細穴内側面の変位を検出することにより真円形状との差異の程度を求めることであるから、引用発明は、本願発明の「プローブにより、」「前記回転体とともに回転するワークの穴の内側面の変位を検出する」ことに相当する構成を有するといえる。 そうすると、引用発明の「検出器24」は、検出対象のワークが固定されるステージが直動傾斜ステージではない点を措くと、本願発明の「変位検出器」に相当する。 (オ) 以上の検討結果を踏まえると、本願発明と引用発明の構成Cの観点における一致点及び相違点は、次のa及びbのとおりである。 a 構成Cの観点における一致点 「前記第1の方向に平行に延びる接触式又は非接触式のプローブであって、第1の直動機構によって前記第1の方向に移動可能なプローブにより、前記回転体とともに回転するワークの穴の内側面の変位を検出する変位検出器」を備える点。 b 構成Cの観点における相違点 ワークが固定されるステージについて、本願発明においては、「前記直動傾斜ステージ」であるのに対して、引用発明においては、「回転ステージ14」(回転体)である点。 オ 構成D、Eの観点(光量取得部、出力部) (ア) 構成Dは、「光源から前記第1の方向に出射した光であって、前記ワークの前記穴の第1の開口から入射して前記穴を通過した光の光量を取得する光量取得部」を備えることであり、構成Eは、「前記取得した光量に基づく前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれ情報を出力する出力部」を備えることである。 (イ) 引用発明は、本願発明の構成D、Eに相当する構成を備えていないから、本願発明と引用発明は、次の点において相違する。 <構成D、Eの観点における相違点> 本願発明においては、 「光源から前記第1の方向に出射した光であって、前記ワークの前記穴の第1の開口から入射して前記穴を通過した光の光量を取得する光量取得部と、 前記取得した光量に基づく前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれ情報を出力する出力部」を備えるのに対して、 引用発明においては、「光量取得部」、「出力部」に相当する構成を有しない点。 カ 構成Fの観点(ステージ制御部) (ア) 構成Fは、「前記ずれ情報に基づいて前記直動傾斜ステージを制御し、前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれが目標値以内となるように前記平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更するステージ制御部」を備えることである。 (イ) 引用発明において「ワークWは、一定の外径と内径とを有する円筒形状を有しており、ワークWは、その中心軸が回転ステージ14の回転軸と同軸上となるように載置され」るものであるから、「回転ステージ14」が「X方向微動つまみ及びY方向微動つまみによってX方向及びY方向に微動送りがされ、X方向傾斜つまみ及びY方向傾斜つまみによってX方向及びY方向に傾斜が調整されるようになって」いることは、回転ステージ14の上面に載置されたワークWの姿勢を、「その中心軸が回転ステージ14の回転軸と同軸上となる」ように微調整するためのものであることが明らかである。 そうすると、引用発明は、ワークWの穴の中心軸と回転ステージ14の回転軸とのずれが目標値以内となるように、回転ステージ14のXY平面内の位置及びXY平面に対する傾斜を変更することが可能な構成を有するといえる。 (ウ) したがって、本願発明と引用発明は、「前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれが目標値以内となるように前記ワークが固定されるステージの前記平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更することが可能な構成である」点で共通する。 (エ) 一方、引用発明は、本願発明の「ステージ制御部」に相当する構成を有していない。 (オ) 以上の検討結果を踏まえると、本願発明と引用発明の構成Fの観点における一致点及び相違点は、次のa及びbのとおりである。 a 構成Fの観点における一致点 「前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれが目標値以内となるように前記ワークが固定されるステージの前記平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更することが可能な構成である」点。 b 構成Fの観点における相違点 「前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれが目標値以内となるように前記ワークが固定されるステージの前記平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更することが可能な構成」について、 本願発明においては、「前記ずれ情報に基づいて前記直動傾斜ステージを制御し、前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれが目標値以内となるように前記平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更するステージ制御部」を備えるのに対して、 引用発明においては、「ステージ制御部」に相当する構成を有しておらず、X方向微動つまみ、Y方向微動つまみ、X方向傾斜つまみ及びY方向傾斜つまみにより回転ステージ14の位置及び傾斜を調整するものである点。 (2) 一致点及び相違点 前記(1)の対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次のア及びイに示すとおりである。 ア 一致点 「第1の方向に平行な回転軸を中心に回転する回転体と、 前記第1の方向に平行に延びる接触式又は非接触式のプローブであって、第1の直動機構によって前記第1の方向に移動可能なプローブにより、前記回転体とともに回転するワークの穴の内側面の変位を検出する変位検出器と、を備え、 前記ワークが固定されるステージの前記第1の方向に直交する平面内の位置及び前記平面に対する傾斜が変更可能であり、 前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれが目標値以内となるように前記ワークが固定されるステージの前記平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更することが可能な構成である、 内面形状測定機」である点。 イ 相違点 本願発明においては、 (ア) ワークが固定されるステージの位置及び傾斜を変更可能とする構成について、「前記回転体に支持される直動傾斜ステージであって、前記回転体に対する前記第1の方向に直交する平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更可能な直動傾斜ステージ」を備え、 (イ) ワークが固定されるステージが、「前記直動傾斜ステージ」であり、 (ウ) 「光源から前記第1の方向に出射した光であって、前記ワークの前記穴の第1の開口から入射して前記穴を通過した光の光量を取得する光量取得部と、 前記取得した光量に基づく前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれ情報を出力する出力部」を備え、 (エ) 「前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれが目標値以内となるように、前記ワークが固定されるステージの前記平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更することが可能な構成」について、「前記ずれ情報に基づいて前記直動傾斜ステージを制御し、前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれが目標値以内となるように前記平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更するステージ制御部」を備えるのに対して、 引用発明においては、 (ア) ワークが固定されるステージの位置及び傾斜を変更可能とする構成について、「測定対象物となるワークWを載置する回転ステージ(回転台)14」が「X方向微動つまみ及びY方向微動つまみによってX方向及びY方向に微動送りがされ、X方向傾斜つまみ及びY方向傾斜つまみによってX方向及びY方向に傾斜が調整されるようになって」おり、 (イ) ワークが固定されるステージが、「回転ステージ14」(回転体)であり、 (ウ) 「光量取得部」、「出力部」に相当する構成を有しておらず、 (エ) 「前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれが目標値以内となるように、前記ワークが固定されるステージの前記平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更することが可能な構成」について、「ステージ制御部」に相当する構成を有しておらず、X方向微動つまみ、Y方向微動つまみ、X方向傾斜つまみ及びY方向傾斜つまみにより調整するものである点。 6 判断 前記相違点について検討する。 (1) 直動傾斜ステージの観点(相違点における(ア)及び(イ))について 前記5(1)ウ(ウ)において検討したとおり、引用発明において、「回転ステージ14は、X方向微動つまみ及びY方向微動つまみによってX方向及びY方向に微動送りがされ、X方向傾斜つまみ及びY方向傾斜つまみによってX方向及びY方向に傾斜が調整されるようになって」おり、このことは、「回転ステージ14」がXY平面内(第1の方向に直交する平面内)の位置及びXY平面に対する傾斜を変更可能であることを意味する。 そして、前記5(1)カ(イ)において検討したとおり、引用発明において「ワークWは、その中心軸が回転ステージ14の回転軸と同軸上となるように載置され」るものであるから、「回転ステージ14」がXY平面内の位置及びXY平面に対する傾斜を変更可能であることは、回転ステージ14の上面に載置されたワークWの姿勢を、「その中心軸が回転ステージ14の回転軸と同軸上となる」ように微調整するためのものであることが明らかであるところ、位置及び傾斜を変更するに際して、回転ステージ14全体の位置及び傾斜を変更可能とするか、回転ステージ14のうちワークWの載置される部位を回転ステージ14とは別部材(直動傾斜ステージ)として、回転ステージ14に対する当該部位の位置及び傾斜を変更可能とするかは、回転ステージ14全体の大きさ等に応じて、当業者が適宜選択できる設計事項にすぎない。 したがって、引用発明において、本願発明の「直動傾斜ステージ」に相当する構成(相違点の(ア)及び(イ)に係る本願発明の構成)を備えるようにすることは、当業者が適宜なし得た程度のことである。 (2) 光量取得部等の観点(相違点における(ウ)、(エ))について ア 本願発明と引用文献2技術事項の対比 (ア)a 引用文献2技術事項の「光源13b」から「Z軸方向に平行にその上方に」「照射」された「光」は、本願発明の「光源から前記第1の方向に出射した光」に相当する。 b そして、引用文献2技術事項の「回転テーブル13aを透過し」、「ワーク12の貫通孔12aを介してCCDカメラ18aに照射され」た「光」は、本願発明の「前記ワークの前記穴の第1の開口から入射して前記穴を通過した光」に相当する。 c 前記a及びbを踏まえると、引用文献2技術事項の「CCDカメラ18a」は、本願発明の「光源から前記第1の方向に出射した光であって、前記ワークの前記穴の第1の開口から入射して前記穴を通過した光の光量を取得する光量取得部」に相当する。 (イ)a 本願明細書の【0073】には、「出力部63は、光量取得部61が取得した入射光量P1(細穴の中心軸と回転体の回転軸とのずれ情報の一例)をステージ制御部62に出力する(出力工程の一例)。」と記載されているから、本願発明の「ずれ情報」には、光量取得部が取得した光量自体も含まれると解される。 b そして、引用文献2技術事項において、「CCDカメラ18aから入力されるワーク12の画像情報は、インタフェース(以下、I/Fと呼ぶ)31を介して画像メモリ32に格納され」、「回転テーブル13aの回転角度を撮像ユニット17(CCDカメラ18a)にて測定された輝度に基づき制御する」から、「撮像ユニット17(CCDカメラ18a)にて測定された輝度」は、「CCDカメラ18aから入力されるワーク12の画像情報」に含まれており、「CCDカメラ18a」から出力されたものといえる。 そして、前記aの解釈を踏まえると、当該「輝度」は、本願発明の「前記取得した光量に基づく前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれ情報」と、「前記取得した光量に基づく前記穴の中心軸と当該中心軸と方向を一致させるべき軸とのずれ情報」である点で共通する。 c そうすると、引用文献2技術事項は、本願発明の発明特定事項の表現を用いると、「前記取得した光量に基づく前記穴の中心軸と当該中心軸と方向を一致させるべき軸とのずれ情報を出力する出力部」を備えるといえる。 その一方で、引用文献2技術事項において、「測定テーブル13」は、Z軸周りに回転可能なものではなく、本願発明の「回転軸」に相当する構成を有しない。 (ウ) 引用文献2技術事項の「貫通孔の垂直出し処理に従って、I/F42を介して回転テーブル13aを制御し、回転テーブル13aの回転角度を撮像ユニット17(CCDカメラ18a)にて測定された輝度に基づき制御する」「CPU35」は、本願発明の「前記ずれ情報に基づいて前記直動傾斜ステージを制御し、前記穴の中心軸と前記回転軸とのずれが目標値以内となるように前記平面(当合議体注:「前記第1の方向に直交する平面」を意味する。)内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更するステージ制御部」と、「前記ずれ情報に基づいてワークが固定されるステージを制御し、前記穴の中心軸と当該中心軸と方向を一致させるべき軸との傾斜のずれが小さくなるように前記第1の方向に直交する平面に対する傾斜を変更する制御部」である点において共通する。 その一方で、引用文献2技術事項の「CPU35」は、本願発明の「平面内の位置」「を変更する」ことに相当する機能は有していない。 (エ) 前記(ア)~(ウ)から、引用文献2技術事項は、本願発明の発明特定事項の表現を用いると、少なくとも次の構成(以下「傾斜ずれ変更構成」という。)を有すると認められる。 <傾斜ずれ変更構成> 「光源から前記第1の方向に出射した光であって、前記ワークの前記穴の第1の開口から入射して前記穴を通過した光の光量を取得する光量取得部と、 前記取得した光量に基づく前記穴の中心軸と当該中心軸と方向を一致させるべき軸とのずれ情報を出力する出力部と、 前記ずれ情報に基づいてワークが固定されるステージを制御し、前記穴の中心軸と当該中心軸と方向を一致させるべき軸との傾斜のずれが小さくなるように前記第1の方向に直交する平面に対する傾斜を変更する制御部と、 を備える」構成。 イ 引用発明と引用文献2技術事項等の組合せについて (ア) 引用発明と引用文献2技術事項は、プローブにより測定対象物の内面形状を測定する形状測定機に関する点において共通している。 また、引用発明において「ワークWは、その中心軸が回転ステージ14の回転軸と同軸上となるように載置され」るものであるところ、「ワークWの」「円筒内側面、及び細穴内側面の真円度を測定する」ためには、ワークWの中心軸を回転ステージ14の回転軸と同軸上に正確に位置させる必要があるため、引用発明は、ワークWの中心軸の位置及び傾斜について、それぞれ回転ステージ14の回転軸の位置及び傾斜と、正確かつ容易に一致させるようにするという課題を内在するといえる。 そうすると、ワークWの中心軸の傾斜を回転ステージ14の回転軸の傾斜と正確かつ容易に一致させるという観点から、引用発明に対して引用文献2技術事項における傾斜ずれ変更構成を適用する動機付けは存在するということができる。 (イ) また、前記4(3)イにおいて技術常識1として認定したとおり、「光透過部を有する部材に対して光源から光を照射して、光透過部を透過した光量を測定することにより、測定される光の進行方向と直交する方向における当該部材の変位を測定可能であること。」は技術常識であるから、引用発明に対して引用文献2技術事項における傾斜ずれ変更構成を適用する際に、ワークWの中心軸の位置を回転ステージ14の回転軸の位置と正確かつ容易に一致させるべく、「撮像ユニット17(CCDカメラ18a)にて測定された輝度」(ずれ情報)に基づいて、ワークWの中心軸の傾斜だけでなく位置についても変更するように制御することは、当業者が容易になし得たことというべきである。 ここで、制御技術一般において、理想状態とのずれを目標値以内とするように制御することは慣用手段であるから、ワークWの中心軸と回転ステージ14の回転軸との位置及び傾斜のずれを目標値以内とするように制御することも、当業者であれば適宜なし得た設計変更の範囲内といえる。 (ウ) そして、前記(1)において検討したとおり、回転ステージ14のうちワークWの載置される部位を回転ステージ14とは別部材(直動傾斜ステージ)として、回転ステージ14に対する当該部位の位置及び傾斜を変更可能とした場合には、位置及び傾斜の変更制御の対象は、必然的に直動傾斜ステージとなる(本願発明の「ステージ制御部」に相当する構成を有することになる。)。 (エ) なお、引用文献1の【図8】(A)及び(C)には、「一定の外径と内径とを有する円筒形状を有して」いる「ワークW」の例として、有底のものが例示されているが、「一定の外径と内径とを有する円筒形状を有して」いる「ワークW」として、当業者は貫通孔を有するものも当然に観念することができるから、引用文献1の【図8】(A)及び(C)に有底のものが例示されていることは、引用発明に対して引用文献2技術事項を適用する妨げとはならない。 (オ) したがって、引用発明において、相違点の(ウ)及び(エ)に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (3) 総合評価 前記(1)及び(2)において検討したとおり、引用発明において、前記相違点に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、引用文献2技術事項及び技術常識1に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本願発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2技術事項及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 7 請求人の主張について (1) 請求人の主張内容 請求人は、審判請求書において、概略、次のとおりの主張をしている。 拒絶査定において審査官が「ずれが目標値以内となるようにするにあたって、平面内の位置及び前記平面に対する傾斜を変更することは、当業者にとって自明な選択である。」と判断しているが、そもそも引用文献2には、平面内の位置を変更すること(すなわち「貫通孔の水平出し処理」)については開示も示唆もないので、当該判断は失当である。仮に、引用文献3に記載された周知技術に基づいて引用文献2に記載された発明を変更したものを、引用文献1に記載された発明に適用するならば、「容易の容易」に該当するだけでなく、引用文献2より把握できる技術思想から離れて認定するものであり、妥当ではない。 (2) 請求人の主張についての検討 前記6(2)イにおいて説示したとおり、引用発明に対して引用文献2技術事項における傾斜ずれ変更構成を適用するにあたり、技術常識1を踏まえれば、請求人が主張する「貫通孔の水平出し処理」についても、当業者が容易に想到し得たことであって、原査定の備考欄に記載された審査官の判断に誤りはない。 また、請求人は、原査定の理由が「引用文献3に記載された周知技術に基づいて引用文献2に記載された発明を変更したものを、引用文献1に記載された発明に適用する」というものであると仮定したうえで主張しているが、そのように仮定できる根拠は示されておらず、原査定がそのような理由に基づいて判断されたものとは認められない。また、当審においても、前記6(2)イにおいて説示したとおり、そのような理由により判断していない。 したがって、前記(1)に示した請求人の主張は採用することができない。 8 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-014042

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