商標拒絶査定不服審判
2021-011080
アトモス
- 審判番号
- 2021-011080
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-063220
- 請求日
- 2021年08月20日
- 審決日
- 2023年03月14日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日本無機株式会社
- 【請求人代理人】山尾 憲人
- 【請求人代理人】勝見 元博
- 審判長/審判官
- 審判長 森山 啓
- 審判官 鈴木 雅也
- 審判官 青野 紀子
- 分類
- T18 .261-Z (W07) / T18 .262-Z (W07) / T18 .263-Z (W07) / T18 .264-Z (W07)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第10条第1項、商標法第6条第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-63220拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「アトモス」の文字を標準文字で表してなり、第7類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成28年3月24日に登録出願された商願2016-32454に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、令和2年5月21日に登録出願されたものである。
本願は、令和2年7月7日付けで拒絶理由の通知がされ、同年8月21日に意見書及び手続補正書が提出され、さらに、同3年2月22日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年5月21日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対して、令和3年8月20日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
なお、指定商品については、原審において令和2年8月21日に手続補正書が提出されたが、これについては、願書に記載した指定商品の要旨を変更するものとして、同3年1月5日付けで補正の却下の決定がなされた。
その後、指定商品については、原審における令和3年2月22日の手続補正書により、第7類「半導体・電子部品・液晶ディスプレイ・プリント基板の製造工程における半導体・電子部品・液晶ディスプレイ・プリント基板の製造装置用の防塵・ガス除去用フィルター,半導体製造装置用エアフィルター,電子部品製造装置用エアフィルター,液晶ディスプレイ製造装置用エアフィルター,プリント基板製造装置用エアフィルター」と補正されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した国際登録第1291176号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、2015年7月3日にAustraliaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2016年(平成28年)1月4日に国際商標登録出願、第9類「semiconductor exposure apparatus; liquid crystal exposure apparatus; parts and accessories for semiconductor exposure apparatus; parts and accessories for liquid crystal exposure, parts and accessories for semiconductor exposure apparatus; parts and accessories for liquid crystal exposure apparatus;」を含む第9類及び第42類の国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿の記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和2年3月6日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、本願商標と引用商標とは、観念は比較できないとしても、称呼が同一であり、外観については、本願商標「アトモス」の片仮名と、引用商標の要部である「ATOMOS」の欧文字が、文字種において相違するとしても、取引者、需要者に対し出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえない。したがって、これらを総合して考察すると、両商標は類似の商標であって、かつ、本願商標に係る指定商品と引用商標に係る指定商品は、同一又は類似の商品であるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する旨認定判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本願商標と引用商標との類否について
(ア)本願商標について
本願商標は、上記1のとおり、「アトモス」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は辞書等に掲載のない語であり、特定の意味を想起させる語として知られているものとも認められないことからすれば、特定の意味を認識させない一種の造語として認識されるというのが相当である。
そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して「アトモス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標について
引用商標は、別掲のとおり、角の丸い頂点を有する逆ハート型の図形(図形の中心に、黒丸及び逆三角形を有している。以下「図形部分」という。)と「ATOMOS」の欧文字(以下「文字部分」ということがある。)及びその下に薄い線(以下「下線」という。)を配してなるところ、図形部分と文字部分とは、上下に離れて配置され、大きさも異なり、また、下線は図形部分と文字部分に比して薄い色で書されているため、これらは、視覚上分離して看取されるものといえる。
そして、構成中の図形部分及び下線は、特定の意味合いを表すものとして認識されているというべき事情は認められないものであり、これよりは、特定の称呼及び観念を生じないものである。
一方、「ATOMOS」の欧文字は、一般的な辞書等に掲載のない語であり、特定の意味を想起させる語として知られているものとも認められないことからすれば、特定の意味を認識させない一種の造語として認識されるというのが相当である。
また、図形部分、文字部分及び下線とが、特定の意味合いを有する等の観念上の結びつきを有するものとも認められないことから、これらが常に一体不可分のものとしてのみ看取されると判断しなければならない特段の事情は見いだせない。
さらに、引用商標の構成中の「ATOMOS」の文字が、その指定商品及び指定役務との関係において、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を有さないと判断しなければならない事情も見いだせないから、「ATOMOS」の文字部分は、取引者、需要者に対して強く支配的な印象を与えるものと判断するのが相当である。
なお、下線は、文字部分を装飾するために配置されたありふれた線と看取されるものであるから、引用商標の構成において、下線が、強く支配的な印象を与えるとする格別な事情はないものである。
そうすると、引用商標は、その構成中の「ATOMOS」の文字部分を分離抽出し、これを引用商標の要部として本願商標と比較することが許されるというべきであり、「ATOMOS」の文字に相応して「アトモス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(ウ)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標は、それぞれ上記(ア)及び(イ)のとおりの構成よりなるところ、両商標は、その全体の外観構成において相違するものの、本願商標と、引用商標の要部である「ATOMOS」の文字部分とを比較すると、両者は片仮名と欧文字の差異があるとしても、いずれも普通に用いられる方法で表されていることに加え、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記することが一般的に行われていることからすると、両者における文字種の相違が、取引者、需要者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえないものである。
次に、称呼においては、本願商標「アトモス」の文字から「アトモス」の称呼を生じ、引用商標の要部である「ATOMOS」の文字部分から「アトモス」の称呼を生じることから、両者は、「アトモス」の称呼を共通にするものである。
そして、観念においては、本願商標と引用商標の要部である「ATOMOS」は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することができない。
以上からすると、本願商標と引用商標の要部である「ATOMOS」は、観念において比較することができないとしても、「アトモス」の称呼を共通にするものであり、また、称呼を共通にすることによる類似性を凌駕するほどの外観上の顕著な差異を有するとはいえないものであるから、外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、商品の出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標というのが相当である。
イ 本願商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について
(ア)本願商標の指定商品について
本願商標の指定商品中の「半導体・液晶ディスプレイの製造工程における半導体・液晶ディスプレイの製造装置用の防塵・ガス除去用フィルター,半導体製造装置用エアフィルター,液晶ディスプレイ製造装置用エアフィルター」(以下「本願商品」という。)は、専ら、半導体又は液晶ディスプレイを製造する工程における、半導体又は液晶ディスプレイの製造装置に使用するための商品(防塵・ガス除去用フィルター及びエアフィルター)である。
そして、半導体又は液晶ディスプレイを製造する工程においては、その製品の品質を高く保つために、製造装置や製造工場にも清浄度が求められ、例えば、クリーンルーム内において、微粒子やガス等を除去し、きれいな空気を循環させる等のため、防塵・ガス除去用フィルター、エアフィルター等のフィルターをクリーンルームに設置、あるいは、製造装置用に備えたり、内蔵するなどして、製造環境内のゴミを徹底的に除去する工夫がなされているところ、本願商品は、半導体又は液晶ディスプレイ製造装置のための部品又は付属品であるといえる。
(イ)引用商標の指定商品について
引用商標の指定商品及び指定役務中、「semiconductor exposure apparatus; liquid crystal exposure apparatus; parts and accessories for semiconductor exposure apparatus; parts and accessories for liquid crystal exposure, parts and accessories for semiconductor exposure apparatus; parts and accessories for liquid crystal exposure apparatus;」(参考訳:半導体露光装置,液晶露光装置,半導体露光装置用の部品及び付属品,液晶露光用の部品及び付属品,半導体露光装置用の部品及び付属品,液晶露光装置用の部品及び付属品。以下、これらをまとめて「引用商品」という。)は、半導体露光装置及び液晶露光装置並びにそれらの部品及び付属品であるところ、半導体露光装置とは、半導体製造工程において、シリコンウエハーの基板上に集積回路のパターンを焼き付ける装置であり、また、液晶露光装置とは、ガラス基板上に微細な画素パターンを焼き付けて、ディスプレイやテレビ等の液晶パネルを製造する装置である。
そうすると、引用商品は、半導体、又は液晶ディスプレイ若しくはパネル(以下「液晶ディスプレイ等」という。)を製造する工程において使用されるものであるから、半導体製造装置又は液晶ディスプレイ製造装置と極めて密接な関連を有するものである。
(ウ)本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本願商品と引用商品との類否について検討すると、本願商品と引用商品とは、共に、専ら、半導体又は液晶ディスプレイ等の製造工程において使用する商品であるといえ、これらの用途は一致する。
そして、半導体露光装置又は液晶露光装置の部品及び付属品中には、防塵・ガス除去用フィルター及びエアフィルター(以下「フィルター」ということがある。)が含まれるものであり、本願商品と、引用商品中のフィルターは、いずれも、フィルターメーカーが製造、販売しているから、生産部門及び販売部門を共通にするものである。
また、本願商品と、引用商品中のフィルターは、いずれも、フィルターメーカーが、半導体製造装置メーカー、半導体メーカー、液晶ディスプレイ等製造装置メーカー、液晶ディスプレイ等メーカー等の需要者に販売するものであるから、需要者の範囲を共通にするものである。
さらに、本願商品と、引用商品中のフィルターは、いずれも、繊維素材、合成樹脂、金属等の原材料を共通にすることがあり、かつ、フィルターは、半導体又は液晶ディスプレイ等の製造工程において、製造装置又は露光装置用に、塵やガス等を除去し、クリーンな空気を供給するという機能を有する商品であるという点で、品質を共通にするものである。
そうすると、本願商品と引用商品とは、その用途は一致し、生産部門、販売部門、需要者の範囲、原材料及び品質を共通にする場合があって、本願商品及び引用商品に本願商標及び引用商標が使用された場合には、これらに接する取引者、需要者が商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるから、両者は互いに類似する商品である。
(2)小括
以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、かつ、その指定商品は引用商標の指定商品及び指定役務中、引用商品と類似する商品であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)請求人の主張の主張について
ア 請求人は、本願商標と引用商標は、称呼「アトモス」で共通し得ることは否定できないとしても、観念を生じさせず、外観において、顕著に相違するから、互いに類似しない旨主張する。
しかしながら、上記(1)アのとおり、引用商標は、その構成中、「ATOMOS」の文字部分を分離抽出し、これを要部として本願商標と比較することが許されるというべきである。
そして、本願商標「アトモス」と引用商標の要部である「ATOMOS」は、いずれも普通に用いられる方法で表され、また、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記することが一般的に行われていることからすると、両者における文字種の相違が、取引者、需要者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえないものである。
そうすると、本願商標と引用商標の要部である「ATOMOS」は、観念において比較することができないとしても、「アトモス」の称呼を共通にするものであり、また、称呼を共通にすることによる類似性を凌駕するほどの外観上の顕著な差異を有するとはいえないものであるから、外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、商品の出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標というのが相当である。
イ 請求人は、引用商品は第9類に属するものとして登録されており、第7類の本願商品とは非類似の商品として判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、商標法上、商品及び役務の区分は、商品又は役務の類似の範囲を定めるものではないとされており(商標法第6条第3項)、商品の類否の判断に関しては、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると判断するべき取引の実情、すなわち、商品の生産部門、販売部門、品質、原材料、用途、需要者の範囲が一致するかどうかなどを総合的に考察して行うべきところ、本願商品と引用商品の取引の実情は、上記(1)イのとおり、共通する場合があるから、両商品は互いに類似する商品である。
ウ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することはできない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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