商標拒絶査定不服審判
2024-016727
ニシキ
- 審判番号
- 2024-016727
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-082242
- 請求日
- 2024年10月21日
- 審決日
- 2025年02月04日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】錦工業株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人山内特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 渡邉 潤
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T18 .261-WY (W0712) / T18 .262-WY (W0712) / T18 .263-WY (W0712) / T18 .264-WY (W0712)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023- 82242拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和5年7月25日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 3月19日付け:拒絶理由通知書
令和6年 5月 1日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 5月 2日付け:手続補正指示書
令和6年 6月12日 :手続補正書の提出
令和6年 8月15日付け:拒絶査定
令和6年10月21日 :審判請求書の提出
第2 本願商標
本願商標は、別掲1の構成よりなり、第7類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものであり、その後、指定商品については、上記1の手続補正により、第7類及び第12類に属する別掲2に記載のとおりの商品に補正されたものである。
第3 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第0618148号商標(以下「引用商標」という。)は、「ニシキ」の片仮名と「NISHIKI」の欧文字を上下二段に書してなり、昭和37年4月4日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同38年6月22日に設定登録され、その後、平成18年1月4日に指定商品を第7類及び第9類に属する別掲3に記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がされ、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
第4 原査定の拒絶の理由の要旨
本願商標の構成中、「NISHIKI」の欧文字と、引用商標とは、全体の外観については相違するものの、それぞれ「NISHIKI」の文字のつづりを共通にすることから、外観において近似するものといえ、また、観念については比較できないものの、「ニシキ」の称呼を共通にするものであるから、これらを総合して考慮すると、両者は互いに類似する商標であると判断するのが相当ある。そして、本願の指定商品と引用商標の指定商品中の「油圧式くい抜き機のオイルリザーバータンクのエアーベントに使用する空気清浄器,油圧式ジャッキのオイルリザーバータンクのエアーベントに使用する空気清浄器,油圧式荷役機械器具のオイルリザーバータンクのエアーベントに使用する空気清浄器,油圧式土木機械器具のオイルリザーバータンクのエアーベントに使用する空気清浄器」とは、その生産部門、販売部門又は需要者の範囲等を共通にする類似の商品と認められる。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定、判断したものである。
第5 当審の判断
1 本願商標と引用商標との類否について
(1)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、黄色の三角形と青色の三角形とを互いに向かい合うようにして配した図形(以下「図形」という。)の右側に、「NISHIKI」の欧文字を、斜め右方向に傾斜させて黒色で横書きしてなるものであるところ、図形と「NISHIKI」の欧文字は、重なることなく配置され、色彩が異なることから、それぞれが、視覚上、分離して看取、把握され得るものである。
そして、本願商標の構成中の図形は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないため、特定の称呼及び観念は生じないものである。
また、本願商標の構成中の「NISHIKI」の欧文字は、一般の辞書等に載録された特定の意味合いを表す語ではなく、特定の意味合いを表す語として一般に使用されているような特別な事情はないことから、一種の造語からなるものと認識されるものであり、本願の指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を有さないと判断するべき特段の事情はない。
そうすると、本願商標の構成中の図形と「NISHIKI」の欧文字は、重なることなく配置され、視覚上、分離して看取、把握され得るものであり、観念的な関連性は見いだせないものであるから、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとはいえないものとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、その構成中の「NISHIKI」の欧文字に相応して、「ニシキ」の称呼を生じ、これよりは特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、上記第3のとおり、「ニシキ」の片仮名と「NISHIKI」の欧文字を上下二段に書してなるところ、その構成中の「ニシキ」の文字は、「NISHIKI」の欧文字の読みを片仮名で表したものと理解される。
したがって、引用商標は、その構成文字に相応して「ニシキ」の称呼を生じ、これよりは特定の観念を生じないものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標とを比較すると、外観においては、両商標は、構成全体を見た場合、図形及び「ニシキ」の片仮名の有無の差異があるものの、本願商標の構成中の「NISHIKI」の欧文字と、引用商標の構成中の「NISHIKI」の欧文字は、書体に差異があるとしても、つづりを共通にするから、外観上、近似した印象を与えるものである。
また、本願商標及び引用商標から生じる「ニシキ」の称呼は同一であり、称呼を共通にするものである。
そして、観念においては、本願商標と引用商標のからは、いずれも、特定の観念を生じないから、観念において比較できないものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、「ニシキ」の称呼を共通にし、外観において近似した印象を与えるため、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し、全体的に考察すれば、両商標は、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
(4)本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
ア 本願の指定商品について
本願の指定商品は、別掲2のとおり、「クレーン及び高所作業用自動車を構成するフレーム」等と認められるものである。
イ 引用商標の指定商品について
引用商標の指定商品は、別掲3のとおり、内燃機関等の「空気吸い込み用に使用する空気清浄器(陸上の乗物用のもの。)」及び油圧式金属加工機械器具等の「オイルリザーバータンクのエアーベントに使用する空気清浄器」である。
(ア)引用商標の指定商品中、内燃機関等の「空気吸い込み用に使用する空気清浄器(陸上の乗物用のもの。)」について
引用商標の指定商品の表示中の「内燃機関」とは、「シリンダー内で燃料を爆発燃焼させ、その熱エネルギーで仕事をする原動機。ガソリン機関・ディーゼル機関など。」(「広辞苑 第七版」発行者:株式会社岩波書店)を意味する語であるところ、例えば、自動車のエンジンには、エンジン内にゴミや砂などが入らないよう、空気をきれいにしてクリーンな空気をエンジンに供給するために、空気取り入れ口にエアフィルターが取り付けられている(別掲4(1))。
また、引用商標の指定商品の表示中の「空気圧縮機」とは、「圧縮空気を造る機械。エアーコンプレッサー。」(「広辞苑 第七版」発行者:株式会社岩波書店)を意味する語であるところ、エアーコンプレッサーには、故障防止のため、空気中の塵や水分、油分などの不純物を取り除く吸込フィルターが取り付けられている(同(2))。
そして、引用商標の指定商品の表示中の「空気清浄器」は「空気清浄機」とも表記されるものであり、これは、ほこり等の除去効果がある機器である(同(3))。
以上を踏まえると、本願の指定商品中、第7類「内燃機関の空気吸い込み用に使用する空気清浄器(陸上の乗物用のもの。),空気圧縮機の空気吸い込み用に使用する空気清浄器(陸上の乗物用のもの。)」は、「内燃機関又は空気圧縮機にきれいな空気を取り込むために使用するフィルター」と認められるものである。
(イ)引用商標の指定商品中、油圧式金属加工機械器具等の「オイルリザーバータンクのエアーベントに使用する空気清浄器」について
引用商標の指定商品の表示中の「オイルリザーバータンク」は、例えば、自動車の場合、ブレーキオイル等を入れる容器を意味する語である(別掲5(1))。
また、引用商標の指定商品の表示中の「エアーベント」とは、「空気抜き弁」ともいわれ、配管の輸送効率の向上等のため、水や油などの液体配管に混合する空気を排出するためのバルブを意味する語である(同(2))。
さらに、引用商標の指定商品の表示中の「リザーバータンク」には、「エアブリーザ」又は「空気呼吸器」といわれる、油タンクの内圧を保ちつつ外部の塵を除去する機器が設置され、当該機器には、外部からの粉塵を除去するためのフィルタが内蔵されている(同(3))。
そして、引用商標の指定商品の表示中の「空気清浄器」は「空気清浄機」とも表記されるものであり、これは、ほこり等の除去効果がある機器である(別掲4(3))。
以上を踏まえると、引用商標の指定商品中、第7類「油圧式金属加工機械器具のオイルリザーバータンクのエアーベントに使用する空気清浄器,油圧式くい抜き機のオイルリザーバータンクのエアーベントに使用する空気清浄器,油圧式ゴム製品製造機械器具のオイルリザーバータンクのエアーベントに使用する空気清浄器,油圧式パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具のオイルリザーバータンクのエアーベントに使用する空気清浄器,油圧式プラスチック加工機械器具のオイルリザーバータンクのエアーベントに使用する空気清浄器,油圧式ジャッキのオイルリザーバータンクのエアーベントに使用する空気清浄器,油圧式化学機械器具のオイルリザーバータンクのエアーベントに使用する空気清浄器,油圧式荷役機械器具のオイルリザーバータンクのエアーベントに使用する空気清浄器,油圧式鉱山機械器具のオイルリザーバータンクのエアーベントに使用する空気清浄器,油圧式土木機械器具のオイルリザーバータンクのエアーベントに使用する空気清浄器,油圧式廃棄物圧縮装置のオイルリザーバータンクのエアーベントに使用する空気清浄器,油圧式木材切断機のオイルリザーバータンクのエアーベントに使用する空気清浄器,油圧式立体駐車装置のオイルリザーバータンクのエアーベントに使用する空気清浄器」及び第9類「油圧式扉開閉器のオイルリザーバータンクのエアーベントに使用する空気清浄器」は、「油圧式金属加工機械器具等の各種機器のオイルを入れる容器にある空気抜き弁において、粉塵を除去するために使用するフィルター」と認められるものである。
ウ 本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本願の指定商品は、上記アのとおり、「クレーン及び高所作業用自動車を構成するフレーム」等と認められ、引用商標の指定商品は、上記イのとおり、「内燃機関又は空気圧縮機にきれいな空気を取り込むために使用するフィルター」及び「油圧式金属加工機械器具等の各種機器のオイルを入れる容器にある空気抜き弁において、粉塵を除去するために使用するフィルター」と認められるものであるところ、クレーン車を取り扱っているメーカー(別掲6)が、一般的に上記イのようなフィルターを製造、販売しているという事実を確認することはできないことから、本願の指定商品と引用商標の指定商品の生産部門及び販売部門が一致するものとは認められない。
また、本願の指定商品と引用商標の指定商品の品質及び用途は、上記ア及びイのとおり、明らかに異なるものである。
さらに、本願の指定商品の需要者は、クレーン及び高所作業用自動車を製造する者であると認められるところ、引用商標の指定商品に係る商品を購入する者は、内燃機器等又はこれが搭載された機器を使用している者であると想定されることから、両商品の需要者の範囲が一致するとはいい難い。
加えて、両商品は、完成品と部品の関係にない。
そうすると、本願の指定商品と引用商標の指定商品は、生産部門及び販売部門が一致するものとは認められず、品質及び用途は明らかに異なり、需要者の範囲が一致するとはいい難く、完成品と部品の関係にはないから、これらの取引の実情に照らせば、非類似の商品というのが相当である。
(5)小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標ではあるものの、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものではないから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではないから、本願商標が同号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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