2021-010495
冷蔵庫
- 審判番号
- 2021-010495
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2020-014805外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 1703540
- 請求日
- 2021年08月06日
- 審決日
- 2021年11月17日
- 公報発行日
- 2022年01月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ホシザキ株式会社
- 分類
- D18 .121-WY (C6-5)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 8項目
第1 手続の経緯
本願は、令和2年7月17日の意匠登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 本願意匠
本願意匠は、意匠に係る物品を「冷蔵庫」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、物品の部分について意匠登録を受けようとする部分を、「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等(形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合)又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。
「この意匠登録出願の意匠は冷蔵庫にかかるものですが、この種物品分野において、テーブル型冷蔵庫にやや縦長の長方形状の扉を観音開きとなるように二つ配し、隣り合った辺に手掛け部を設けることは、例えば下記意匠1に見られるように本願出願前からごく普通に見受けられ、また、扉の手掛け部をL字状とすることも、例えば下記意匠2に見られるように本願出願前からありふれているところ、本願意匠は、上記手法を用い、観音開きの冷蔵庫扉の手掛け部をL字状とした程度にすぎませんので、当業者であれば容易に創作できたものと認められます。意匠1特許庁発行の意匠公報記載意匠登録第1423282号の意匠意匠2特許庁発行の意匠公報記載意匠登録第1509877号の意匠」
第4 当審の判断
以下において、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。
1 本願意匠の認定
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「冷蔵庫」である。
(2)本願部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分は、手掛け部を含む扉部分であり、用途及び機能は、冷蔵室内の食材等の保冷並びに出し入れの際の冷蔵室の閉鎖及び開放である。
また、位置、大きさ及び範囲は、正面視の左端にフロントパネルを有する機械室部を、その余の部分である冷蔵室部に設けた、左右一対の観音開きの扉のうちの右側の扉部分であって、冷蔵庫全体の左右幅に対する右側の扉部分の左右幅の比率を約2.6:1とし、冷蔵庫本体の高さ(脚部を除いた高さ)に対する扉部分の高さの比率を約1.1:1の大きさで配したものである。
(3)本願部分の形状等
本願部分の形状等は、主に以下のとおりである。
ア 全体は、正面視わずかに縦長の略長方形状板体である。
イ 扉面は平坦で、正面視における縦横の比率が約1.1:1のわずかに縦長の長方形状である。
ウ 開放側端部の、正面側上下にわたり底面視略直角台形状の切り欠き部を形成し、開放側先端面上下にわたり底面視略逆さL字状の手掛け部を配設したものである。
エ 略直角台形状の切り欠き部は、扉の左右幅に対する略直角台形状の切り欠き部全体の左右幅の比率が、底面視において、約10.4:1であって、略台形状部の斜辺と水平短辺の長さの比率が1:1である。
オ 手掛け部について
オ-1 形状等について
底面視略逆さL字状の角を小さなR形状にしたものである。
オ-2 構成比率について
手掛け部の奥行き長さ(底面視における上下方向の長さ、L字の長辺)と、幅の長さ(底面視における左右方向の長さ、L字の短辺)の比率を約2.1:1とし、手掛け部の奥行き長さを、扉の厚み長さと同じ長さとし、手掛け部の前面と扉面を、間隔をあけて面一状としたものである。
また、指先を掛けるための開口部となる、略直角台形状切り欠き部から略逆さL字状手掛け部のL字の短辺を除いた横幅は、底面視において、略直角台形状切り欠き部の横幅に対し約0.6:1と広く、略直角台形状切り欠き部の上辺の角に相当する稜線が表れる態様とするものである。
そして、正面視に表れる、扉の略直角台形状の切り欠き部の角部と略逆さL字状手掛け部のL字の短辺によって視認される稜線は4本で、それらの左右幅の比率は、扉の開放側端部から順に約2:1:2である。
2 引用意匠の認定
原査定における拒絶の理由で引用された、意匠1及び意匠2の意匠に係る物品及び形状等は、概要以下のとおりである。
意匠1及び意匠2の出典については、前記第3に記載のとおりである。
(1)意匠1(別紙第2参照)
なお、意匠1の本願部分に対応する部分を意匠1部分という。
ア 意匠1部分の意匠に係る物品
意匠1部分の意匠に係る物品は「冷蔵庫」である。
イ 意匠1部分の用途及び機能
手掛け部を含む扉部分であり、用途及び機能は、冷蔵室内の食材等の保冷並びに出し入れの際の冷蔵室部の開放及び閉鎖である。
ウ 意匠1部分の位置、大きさ及び範囲
正面視の左端にフロントパネルを有する機械室部を、その余の部分である冷蔵室部に設けた、左右一対の観音開きの扉のうちの右側の扉部分であって、冷蔵庫全体の左右幅に対する右側の扉部分の左右幅の比率を約2.6:1とし、冷蔵庫本体の高さ(脚部を除いた高さ)に対する扉部分の高さの比率を約1.1:1の大きさで配したものである。
エ 意匠1部分の形状等
(エ-1)全体は、正面視わずかに縦長の略長方形状板体である。
(エ-2)扉面は、平坦で、正面視における縦横の比率が約1.2:1のわずかに縦長の長方形状である。
(エ-3)手掛け部は、開放側先端面上下にわたり底面視上下で長さの異なる略H字状型材をはめ込んで配設したものである。
(エ-4)ヒンジ部は、開放側の反対側先端面上下にわたり底面視略コの字状の型材をはめ込んで配設したものである。
(2)意匠2(別紙第3参照)
なお、意匠2の扉の手掛け部を意匠2部分という。
ア 意匠2部分の意匠に係る物品
意匠2部分の意匠に係る物品は「冷却庫」である。
イ 意匠2部分の用途及び機能
扉の手掛け部であり、用途及び機能は、凹部に指先をかけて扉を開閉するためのものである。
ウ 意匠2部分の位置、大きさ及び範囲
略縦長直方体状の冷却庫の、正面視上方から冷却庫全体の高さの約10分の1の幅の横長長方形状パネル、その下方左端から冷却庫全体の幅の約3分の1の幅の縦長長方形状パネル及び脚部を除いた範囲に配された扉の、開放側先端面上下にわたり底面視略逆さL字状の型材を取り付けたものであって、正面視における扉の左右幅に対する手掛け部の幅の比率は、約21:1である。
エ 意匠2部分の形状等
(エ-1)形状等について
底面視略逆さL字状の角を小さなR形状にしたものである。
(エ-2)構成比率について
手掛け部の奥行き長さ(底面視における上下方向の長さ、L字の長辺)と、幅の長さ(底面視における左右方向の長さ、L字の短辺)の比率を約1:1とし、手掛け部の奥行き長さを、扉の厚み長さと同じ長さとし、手掛け部の前面と扉面を、間隔をあけて面一状としたものである。
また、指先を掛けるための開口部となる、略直角台形状切り欠き部から略逆さL字状手掛け部のL字の短辺を除いた横幅は、底面視において、略直角台形状切り欠き部の横幅に対し約0.4:1と狭く、正面視において、略直角台形状切り欠き部の上辺の角に相当する稜線は、略逆さL字状手掛け部の短辺に隠れる態様とするものである。
そして、正面視に表れる、扉の略直角台形状の切り欠き部の角部と略逆さL字状手掛け部のL字の短辺によって視認される稜線は3本で、それらの左右幅の比率は、扉の開放側端部から順に約1.5:1である。
3 本願部分の創作非容易性について
本願部分の位置、大きさ及び範囲並びに形状等は、上記1に示すとおりであるところ、冷却庫を含む「冷蔵庫」等の物品分野において、正面視の左端にフロントパネルを有する機械室部を、その余の部分に扉を2枚配した正面視略横長長方形状の冷蔵室部を設け、正面視略横長長方形状の冷蔵室部に配された、左右一対の観音開きの扉のうちの右側、右開きの扉部分であって、冷蔵庫全体の左右幅に対する扉部分の左右幅の比率を約2.6:1とし、冷蔵庫本体の高さ(脚部を除いた高さ)に対する扉部分の高さの比率を約1.1:1の大きさで配したものであって、その形状等を、全体を、正面視やや縦長の略長方形状板体とし、正面視においてわずかに縦長の長方形状としたものは、意匠1に見られるように、本願出願前より公然知られている。
また、扉の手掛け部について、開放側先端面上下にわたり底面視略逆さL字状の角を小さなR形状にしたものも、意匠2に見られるように、本願出願前より見受けられる。
しかし、本願部分の形状等は、下記のとおり、意匠1及び意匠2に表されていない形状等を有しており、意匠1の扉の手掛け部を意匠2に見られるようにL字状とした程度にすぎないということはできない。
すなわち、(1)扉の開放側端部の、正面側上下にわたり底面視略直角台形状の切り欠き部を形成し、開放側先端面上下にわたり底面視略逆さL字状の手掛け部を配設したものであって、(2)指先を掛けるための開口部となる、略直角台形状切り欠き部から略逆さL字状手掛け部のL字の短辺を除いた横幅は、底面視において、略直角台形状切り欠き部の横幅に対し約0.6:1と広く、略直角台形状切り欠き部の上辺の角に相当する稜線が表れる態様とするものであり、(3)底面視略逆さL字状の手掛け部は、手掛け部の奥行き長さ(底面視における上下方向の長さ、L字の長辺)と、幅の長さ(底面視における左右方向の長さ、L字の短辺)の比率を約2.1:1とし、手掛け部の奥行き長さを、扉の厚み長さと同じ長さとしたものである。また、(4)正面視における、扉の略直角台形状の切り欠き部の角部と略逆さL字状手掛け部のL字の短辺によって視認される稜線は4本で、それらの左右幅の比率は、扉端部から順に約2:1:2である。
そうすると、(1)ないし(4)の点はいずれも、原審拒絶理由通知書に記載された意匠1及び意匠2表れていないのであるから、意匠1及び意匠2を組み合わせても、本願部分の形状等を導き出すことはできない。
また、扉の開放側端部の、正面側上下にわたり底面視略直角台形状の切り欠き部を形成する形状等は、意匠2にみられるものの、本願部分の(2)の形状等のように指先を掛けるための開口部を広く形成し、(4)のように表れるものは、本願出願前には見られないから、本願部分の形状等は、当該物品分野におけるありふれた手法を用いて創作したものとも、ありふれた手法による創作に加えられた改変が軽微な改変にすぎないともいうことはできない。
したがって、本願意匠は、当業者が公然知られた形状等に基づいて容易に創作することができたものとはいえない。
第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものに該当しないので、原査定の拒絶の理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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