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意匠拒絶査定不服審判

2025-004224

GUI

審判番号
2025-004224
法域
意匠
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
意願2023-025879
登録番号
1829399
請求日
2025年03月17日
審決日
2026年05月13日
公報発行日
2026年06月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】フェラーリ ソシエタ ペル アチオニ
  • 【請求人代理人】弁理士法人ITOH
審判長/審判官
  • 審判長 綿貫 浩一
  • 審判官 富永 亘
  • 審判官 重坂 舞
分類
D18 .121-WY (N3-1)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
意匠法3条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
意匠法第3条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

意願2023- 25879「GUI」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、画像の部分について意匠登録を受けようとする、令和5年(2023年)12月12日(パリ条約による優先権主張2023年6月12日(WO)世界知的所有権機関)の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。 令和 6年(2024年) 5月29日付け 拒絶理由の通知 同年 9月 4日 意見書 同年 12月12日付け 拒絶査定 令和 7年(2025年) 3月17日 審判請求書の提出 第2 本願の意匠 本願の意匠は、意匠に係る画像を「GUI」とし、その画像(以下「本願意匠」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものであって、意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表した部分が意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙第1参照) 第3 原審における拒絶の理由及び引用の意匠 原審における令和6年5月29日付けの拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。 「本願意匠は、願書における【意匠に係る物品】の欄の記載を「GUI」、【意匠に係る物品の説明】の欄の記載を「本GUIは、例えば、自動車の自動運転時等に用いるものであり、仮想空間内において、当該自動車の運転手や車両運行監視センターの監視者等のユーザーが、本画像に表された自動車の形状によって当該自動車の種別、また、道路の路肩に対する当該自動車の走行位置、あるいは、当該自動車が前進しているかといった走行状況等を確認するための画像である。」とし、機器がその機能を発揮した結果として自動車の状態等を表示するための画像であって、自動車とその周辺環境をモチーフとした画像のうち、自動車と道路の端部について意匠登録を受けようとするものです。 ここで、本願出願前から公然知られた下記意匠1の自動車及びその周辺環境をモチーフとして、下記意匠2のようなGUIとしたものが、本願出願前から公然知られています。 そうすると、本願意匠はこの手法を用いて、本願出願前から公然知られた下記意匠3の自動車及びその周辺環境をモチーフとしてGUIとしたものに過ぎません。 したがって本願意匠は、当業者であれば容易に創作をすることができたものと認められます。 なお、本願はパリ条約に基づく優先権の主張を伴うものですが、優先権証明書には、【意匠に係る物品の説明】の欄の記載と同一と認められる記載が存在しないため、優先権証明書の意匠は本願意匠と同一のものとはいえず、優先権主張の効果は認められません。 意匠1: 著者の氏名 西川 淳 表題 フェラーリ初の4ドアスポーツ「プロサングエ」がデビュー【ニュース】 - webCG 掲載箇所 ウェブページ上から1枚目の画像 媒体のタイプ [online] 掲載年月日 2022年9月14日 検索日 [2024年5月29日検索] 情報の情報源 インターネット 情報のアドレス URL:https://www.webcg.net/articles/-/46971 に掲載された自動車の意匠 意匠3(意匠2と順番が前後しています。): 著者の氏名 椿山和雄 表題 フェラーリ、新作ワンオフ「KC23」誕生 グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで一般初公開へ - Car Watch 掲載箇所 ウェブページ上から、3~6枚目の画像 媒体のタイプ [online] 掲載年月日 2023年7月11日 検索日 [2024年5月28日検索] 情報の情報源 インターネット 情報のアドレス URL: https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1515717.html に掲載された自動車の意匠 意匠2: DM/219 474 2022年11月25日 グラフィカル・ユーザー・インターフェース(登録番号DM/219474 Graphical user interface)の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第RH04518699号)」 第4 請求人の主張 請求人は、令和7年3月17日提出の審判請求書において、要旨以下のとおり主張した。 「第2 本願意匠が登録されるべき理由 1.本願の優先権主張の効果が認められるべきであること (1)第一国の画像意匠の用途及び機能について 第一国出願時の、現実空間における自動運転技術や運転支援技術は、急速に発展し、従来はドライバーや車両運行監視センターの監視者が目視で行っていた、例えば自動車の形状によって当該自動車の種別、また、道路の路肩に対する当該自動車の走行位置、あるいは、当該自動車が前進しているかといった走行状況等の把握を人工衛星や車載センサーが行い、検出結果を車載ディスプレイに表示することが一般的に行われています。 そして、第一国出願時において、例えば、下記[参考資料]のとおり、現実世界の情報を仮想空間上に再現する「デジタルツイン」技術を活用し、仮想空間に様々な交通環境を再現して、仮想空間上で自動運転車の安全性評価や実証実験、技術開発が行われていることから、現実空間で自動運転技術に用いられる画像が仮想空間でも用いられることは、当業者であれば、当然に想定し得るものと思料いたします。 [参考資料] 表題 自動運転技術を仮想空間で開発・テストするシミュレータはなぜ必要か 「NVIDIA DRIVE Constellation」 取り組みとその仕組み 掲載年月日 2020年6月2日 情報のアドレス URL:https://robotstart.info/2020/06/02/nvidia-drive-constellation.html (関連部分のスクリーンショットを本審判請求書に添付いたします。) さらに、走行中の車両と道路との位置関係を俯瞰(当審注:ふかん。以下括弧書きで読み方のみ記載。)的に表示した画像は、本願出願前に、例えば、以下の登録意匠にみられます。 (登録意匠例1)意匠登録1715034号 公報発行日:令和4年(2022年)5月17日 [図:0001436240000001.jpg] (登録意匠例2)意匠登録1729404号 公報発行日:令和4年(2022年)11月9日 [図:0001436240000002.jpg] そうすると、第一国出願の願書に添付した図面に表された画像には、道路及び走行中の自動車が俯瞰(ふかん)的に表れていますので、上記のとおり、自動運転技術や運転支援技術の急速な発展、及び仮想空間上で自動運転車の安全性評価や実証実験、技術開発も考慮すれば、第一国出願の画像の意匠の用途及び機能は、本願の[意匠に係る物品の説明]の欄の記載と同様に、「例えば、自動車の自動運転時等に用いるものであり、仮想空間内において、当該自動車の運転手や車両運行監視センターの監視者等のユーザーが、本画像に表された自動車の形状によって当該自動車の種別、また、道路の路肩に対する当該自動車の走行位置、あるいは、当該自動車が前進しているかといった走行状況等を確認するための画像である」ことは、本願の画像意匠が属する分野における通常の知識を有する者であれば、当然に導き出すことができるものと思料いたします。 (2)本願意匠と第一国出願の意匠との同一性について 本願の第一国出願と第二国出願では、それぞれの画像意匠の用途、機能等の説明の記載に関して異なりますが、それは、各国において規定が異なるからであり、このような、願書記載事項に要請される説明の有無に係る規定の違いがあったとしても、実質的に創作された意匠が同一と判断されるのであれば、パリ条約設立の理念に基づいて優先権を確保することができるよう、下記の意匠審査基準が策定されたものと思料いたします。 意匠審査基準 第VII部 4.優先権主張の効果の認否における意匠の同一 4.1優先権主張の効果の認否における「意匠の同一」について 「審査官は、我が国への意匠登録出願の意匠が、第一国の最初の出願(以下、「第一国出願」という。)の意匠と同一と判断する場合に限り、パリ条約による優先権等の主張の効果を認める。当該判断における「意匠の同一」の基本的な考え方については、以下のとおり。 (1)意匠の表現形式にかかわらず第一国出願の意匠と我が国の意匠登録出願の意匠とが同一の意匠であればよい。 (2)第一国出願の意匠と我が国の意匠登録出願の意匠が同一の意匠であるか否かは、その意匠の属する分野における通常の知識に基づいて、第一国出願の願書の記載及び願書に添付した図面等を総合的に判断することにより行う。 (3)第一国出願の意匠の認定(意匠に係る物品等、物品等の形状、模様、色彩、意匠登録を受けようとする部分の意匠全体に対する位置・大きさ・範囲等)は、第一国の法令等も考慮して行う。」 (下線は審判請求人において追記いたしました。) そうすると、上記基準(3)に規定の趣旨に沿って、第一国出願の画像意匠の用途及び機能について、当該用途及び機能の説明が記載されていない点は、第一国の法令等によるものであることから、第一国の画像意匠の用途及び機能は、我が国の当業者の視点から判断されるべきものと思料いたします。 そうであるならば、本願意匠は、第一国出願の意匠と、形状等が同一であり、また、用途及び機能についても実質的に同一であって、上記審査基準(1)の要件を満たし、更に、その他、意匠審査基準に記載された「パリ条約による優先権の主張の要件」を全て満たしていることから、本願は、第一国出願を基礎とした優先権の主張の効果が認められるべきものと思料いたします。 そして、本願意匠の創作非容易性等の判断基準日は、優先日である令和5年(2023年)6月12日となることから、意匠3(掲載年月日:令和5年(2023年)7月12日)は、本願の出願前に公然知られた形状等とは認められず、本願意匠の創作非容易性の判断資料から除外されるべきものと思料いたします。 以上のことから、上記で述べたとおり、第一国の画像意匠の用途及び機能は、我が国の当業者であれば、当然に我が国の画像意匠の用途及び機能と実質的に同一の内容を導き出すことができ、また、第一国の画像意匠と第二国の画像意匠の形態等が同一であることから、本願の優先権主張の効果は認められるべきと思料いたします。 なお、上記、第1の3.(2)拒絶査定の要点に記載のとおり、原審は、「第一国の法令で用途及び機能を記載することが認められていない場合であっても、そのような画像の出願を日本で一律に優先権を認めないわけではなく、意匠に係る物品や図面等を総合的に判断して導き出せる範囲内の用途及び機能の記載であれば認められる」と述べられました。 本願の第一国出願である国際登録出願においては、画像意匠について、当該画像の用途及び機能の説明を願書に記載することは要求されていません。また、画像意匠の出願において、画像の用途機能の説明を必須としているのか、また、必須としているのであればどの程度の明確性が要求されるのかについては、締約国ごとに制度が異なるものであるところ、国際登録出願においては、指定する締約国ごとに意匠の説明(DESCRIPTION)の欄を書き分けることもできません。 したがって、指定する全ての締約国の基準を満たす説明で国際登録出願を行うことは事実上不可能です。 そうすると、本件国際登録出願においては、出願時に画像意匠の用途及び機能の説明がなされないことについて、上述のような事情があるにもかかわらず、日本国では一定程度の明確性を持った用途及び機能の説明を要求され、かつ、その用途及び機能の説明を願書に追加して出願したところ、優先権主張の効果が認められないとするのでは、一つの出願で複数の国又は地域を指定する国際登録出願人にとってあまりに酷であり、昨今の知的財産制度の国際的な調和の流れ及びジュネーブ改正協定設置の目的からも逸脱する懸念もあるものと思料いたします。 したがって、第一国出願の意匠の認定においては、上記審査基準(2)及び(3)に規定の趣旨に沿って、国際登録出願特有の願書の記載要件も考慮の上、柔軟にご認定いただきたく、切にお願いいたします。 2.原審の認定及び判断の誤り 上記、第1の3.(2)拒絶査定の要点に記載のとおり、原審は、拒絶理由通知に対する意見書における審判請求人の主張が認められない理由として、以下のとおり第一から第三の3つの理由を挙げられました。 第一に、「自動車の自動運転時に用いるもの」であるならば現実空間又は拡張現実で用いられる画像と推認されるため、「仮想空間内」で用いられるものであることは想定できない。 第二に、自動車の種別を確認するという用途も、1つの車種しか表れていないため想定できない。 第三に、道路の路肩に対する当該自動車の走行位置を確認するという用途も、仮にそのような用途であるならば、登録意匠例1、2で示されたように、車体を平面や背面から見た車体を表すのが通常であり、車体を斜めから見た車体を表している本願のGUIからは、その用途を直接的に導き出すことができない。 しかしながら、第一の理由について、上記、第2の「1.本願の優先権主張の効果が認められるべきであること」で述べたように、第一国出願時において、例えば仮想空間上で自動運転車の安全性評価や実証実験、技術開発が行われていることから、現実空間で自動運転技術に用いられる画像が仮想空間でも用いられることは、当然に想定し得るものと思料いたします。 また、第二の理由について、例えば、確認対象の車両にズームインする場合など、画像上に1つの車種しか表示されないことも十分にあり得ますので、1つの車種しか表れていないからといって、そのことが自動車の種別を確認するという用途を想定できない理由にはなり得ないものと思料いたします。 さらに、第三の理由について、意匠審査基準第III部第1章4.の「(1)工業上利用することができることについて」においても、「現実に工業上利用されていることを要せず、その可能性を有していれば足りる」旨記載されています。 そうすると、既登録例に、例えば、道路の路肩に対する当該自動車の走行位置を確認するために、車体を平面や背面から見た車体を表す画像があったとしても、斜めから見た車体の画像によって、道路の路肩に対する当該自動車の走行位置を確認する用途を、意匠の創作として、当業者であれば本願意匠から当該用途を当然に導き出すことができないと判断することは、到底受け入れることができません。 3.本願の画像意匠が創作容易ではないことについて (1)上述のとおり、意匠3が、本願の画像意匠の創作非容易性の判断資料から除外されるべきものであることから、本願の画像意匠は、本願の画像意匠に表された自動車の形状と全くことなる自動車の形状が表された意匠1及び2に基づいて、当業者であれば容易に創作することができた意匠とは到底いえないと思料いたします。 (2)仮に、本願について優先権主張の効果が認められないとしても、本願意匠は、原審が提示した意匠1ないし意匠3に基づいて容易に創作できたものということはできないと思料いたします。 以下、その理由を申し述べます。 [図:0001436240000003.jpg] 意匠1 [図:0001436240000004.jpg] 意匠2 [図:0001436240000005.jpg] 意匠3 原審は、本願意匠が、意匠審査基準第第IV部第1章 画像を含む意匠「6.3.2.1 画像を含む意匠の分野におけるありふれた手法の例」における「(f)物品等の枠を超えた構成要素の利用・転用」により創作された意匠であるとご認定されたものと推察いたします。 しかしながら、上記審査基準では、「物品等の枠を超えた構成要素の利用・転用」とは「既存の様々なものをモチーフとし、ほとんどそのままの画像に利用・転用することをいう。」とされ、以下の事例が記載されています。 [図:0001436240000006.jpg] そうすると、本願の画像意匠に表された自動車のベースとなるモチーフが意匠3の自動車であったとしても、意匠3は、実車を4方向から撮影した写真版であるのに対して、本GUIに表された自動車は、線図で表され、更に、ホイール等の細部の形状はデフォルメされていることから、意匠3の軽微な改変とは到底いうことができず、当該自動車の形状は、視認性等GUIが要する要件に合致するよう創意工夫を凝らしたものであって、当業者の立場からみた意匠の着想の新しさや創作性が認められるべきものと思料いたします。 [図:0001436240000007.jpg] 本願意匠 この点につき、原審では、「確かに線図で表され、ホイールのスポーク部を省略する等、細部の形状等に改変が加えられていますが、当該改変は、拒絶理由通知の意匠2でも行われているため、格別の着想の新しさや独創性を認めることはできません」と判断されていますが、実写のデザインから、ホイール等の細部の形状がデフォルメされている点は、意匠3の軽微な改変とは到底いうことができず、本願の画像意匠は、着想の新しさや独創性が認められるべきと思料いたします。 そうすると、本願意匠は、意匠3をほとんどそのままの本願の画像意匠に利用・転用したものとはいえず、結果、本願意匠は、意匠1ないし意匠3に基づき、当業者が容易に創作することができた意匠とは到底いえないと思料いたします。 第3 まとめ 以上のとおり、本願意匠は、優先権主張の効果の認否にかかわらず、意匠法第3条第2項に規定する意匠には該当しないものと確信いたしております。 したがって、本願意匠には、拒絶すべき理由がないので、原査定を取消し、本願の意匠は登録されるべきものです。 参考資料(1/2) (当審注:別紙第3参照)」 第5 当審の判断 本願意匠は、令和5年(2023年)12月12日(パリ条約による優先権主張2023年6月12日(WO)世界知的所有権機関)の意匠登録出願であって、引用例の公知日は、意匠1は、2022年9月14日であり、意匠2は、2022年11月25日であり、引用例3は、2023年7月11日であるから、意匠3の公知日は、第一国出願の日の後、第二国(日本国)出願の前である。 そうすると、本願意匠が、意匠法第3条第2項に掲げる意匠に該当するか否かは、本願意匠について、パリ条約による優先権の主張の効果が認められるか否かによるから、まず本願意匠が、本願に添付された優先権主張証明書に表された第一国である世界知的所有権機関に出願の意匠(以下「第一国意匠」という(別紙第2参照)。)と実質的に同一の意匠であるか否か、本願について優先権の主張の効果が認められるか否かについて検討し、その後、本願意匠が、意匠法第3条第2項に掲げる意匠に該当するか否かについて判断することとする。 1 本願意匠 (1)本願意匠に係る画像 本願意匠は、「GUI」であり、願書の【意匠の説明】によれば、本願は、画像の部分について意匠登録を受けようとするものであり、【意匠に係る物品の説明】の記載を「本GUIは、例えば、自動車の自動運転時等に用いるものであり、仮想空間内において、当該自動車の運転手や車両運行監視センターの監視者等のユーザーが、本画像に表された自動車の形状によって当該自動車の種別、また、道路の路肩に対する当該自動車の走行位置、あるいは、当該自動車が前進しているかといった走行状況等を確認するための画像である。」とする。 (2)本願意匠の態様 本願意匠の態様は、「画像図」の1図に示されており、縦横比約1:1.5の略横長長方形状の破線で示される外形枠線(以下「フレーム」という。)の内側に、略中央下寄り付近に右斜め上に正面を向けて表れ、フレームに比して横幅約1:0.4、同縦幅約1:0.3の自動車と、その自動車の左斜め上と右斜め下に1本ずつ、いずれも、フレームの右寄り中段付近を消失点として、左下方向に向けて、わずかに湾曲しながら延びる線が実線で示され、自動車の左側の実線より上方及び消失点の右側に、複数の樹木や丘と推認できるものが破線で示されている。 2 第一国意匠 以下、対比のために、第一国意匠の、本願部分に相当する部分(以下「第一国意匠部分」という。)について、以下のとおり認定する。 (1)意匠に係る画像 第一国意匠は、「Graphical user interface」である。 (2)第一国意匠の態様 第一国意匠の態様は、「正面図」の1図に示されており、縦横比約1:1.5の略横長長方形状の破線で示されるフレームの内側に、略中央下寄り付近に右斜め上に正面を向けて表れ、フレームに比して横幅約1:0.4、同縦幅約1:0.3の自動車と、その自動車の左斜め上と右斜め下に1本ずつ、いずれも、フレームの右寄り中段付近を消失点として、左下方向に向けて、わずかに湾曲しながら延びる線が実線で示され、自動車の左側の実線より上方及び消失点の右側に、複数の樹木や道路標識と推認できるものが破線で示されている。 3 本願意匠と第一国意匠の対比 (1)本願意匠と第一国意匠(以下「両意匠」という)の意匠に係る物品 本願意匠は「GUI」であり、第一国意匠は、「Graphical user interface」であって、表記は異なるが、GUIは、Graphical user interfaceの略語であるから、両意匠の意匠に係る物品は、一致する。 一方、本願意匠は、【意匠に係る物品の説明】に、「本GUIは、例えば、自動車の自動運転時等に用いるものであり、仮想空間内において、当該自動車の運転手や車両運行監視センターの監視者等のユーザーが、本画像に表された自動車の形状によって当該自動車の種別、また、道路の路肩に対する当該自動車の走行位置、あるいは、当該自動車が前進しているかといった走行状況等を確認するための画像である。」と記載しているが、第一国意匠には、説明の記載はない。 (2)両意匠の態様 両意匠の態様は、一致する。 4 両意匠が優先権の認否において同一と認められるかについて 両意匠の意匠に係る物品は、一致するから同一であり、態様についても一致するから同一であるが、本願意匠にのみ、画像の用途及び機能についての説明の記載がある点で、第一国意匠と相違する。 (1)両意匠の同一性について 本願意匠の【意匠に係る物品】の説明に記載されている内容は、前記3 (1)のとおりであり、本願意匠の態様は同(2)のとおりであるところ、自動車の自動運転開発にあたり、仮想空間上で実証実験などをすることは、請求人が審判請求書に添付する「参考資料」にもあるとおり、本願出願前に当業者であれば当然想定し得たものと認められる。 また、走行中の車両と道路との位置関係を俯瞰(ふかん)的に表示した画像は、請求人が審判請求書に添付する「登録意匠例1」及び「登録意匠例2」のとおり、本願出願前に公然知られていた。 そうすると、道路及び自動車を俯瞰(ふかん)的に表示し、道路のレーンと車との関係が明確に表れる画像によって、道路と車両の位置関係を運転者等に情報提供する画像が、「登録意匠例1」及び「登録意匠例2」のように本願出願前より公然知られていることから、同様の要素が含まれた画像で、俯瞰(ふかん)態様という同様の表示形式の画像であれば、同様の用途及び機能を有するであろうことは、この意匠の属する分野における通常の知識に基づき当然に導き出すことができる。 そうであるから、本願の【意匠に係る物品の説明】は、この意匠の属する分野における通常の知識に基づき、第一国意匠から当然に導き出すことができる同一の範囲内といえ、本願意匠は、第一国意匠を変更しない、同一の意匠というべきである。 (2)第一国出願時の説明の記載について 請求人は、前記第4「第2 1.(2)」に記載のとおり主張するが、「GUIDE TO THE INTERNATIONAL REGISTRATION INDUSTRIAL DESIGNS UNDER THE HAGUE AGREEMENT(ハーグ協定に基づく意匠の国際登録に関するガイド)」 第9欄:説明 第7規則(5)(a)第405節(c)04.39では、「説明は、当該説明が技術的なものでない場合、操作又は意匠の利用可能性について言及することができる。」としており、指定締約国が求める要件にしたがって、Descriptionに用途及び機能の説明などを記載することは可能である。したがって、国際意匠登録出願であっても、用途及び機能を記載できる。 そのうえで、第一国出願である国際意匠登録出願では、画像意匠について、当該画像の用途及び機能の説明を願書に記載することは要求されないことから、第一国出願に用途及び機能の説明がないにもかかわらず第二国出願(日本国への出願)で説明が追加された、ということだけをもって、意匠が同一ではないと判断するのは妥当でなく、第一国出願の願書の記載及び願書に添付した図面等を総合的に判断するべきである。 そうすると、前記4(1)のとおりであるから、第一国意匠を変更しない同一の意匠というべきであって、優先権主張は認められ、創作非容易性の判断基準日は、優先日である令和5(2023)年6月12日になる。 5 本願意匠が意匠法第3条第2項に該当するかについて 前記のとおり、本願については優先権の主張が認められるから、第一国の出願日を本願の出願の日とみなすことができる。 そして、意匠3は、本願の出願の日とみなすことができる2023年6月12日より後の2023年7月11日にインターネットホームページに掲載された意匠であって、意匠3は、先行の公知意匠、すなわち、本願の出願前に公知になった意匠とは認められないので、本願意匠は意匠法第3条第2項に該当しない。 第6 むすび 以上のとおりであって、本願については、パリ条約による優先権の主張の効果は認められるものであって、引用意匠をもって、本願意匠を、意匠法第3条第2項に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-004224

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