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特許拒絶査定不服審判

2021-009483

エッチング後残留物を除去するための洗浄組成物

審判番号
2021-009483
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-527392外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年07月16日
審決日
2022年08月09日
公報発行日
2023年01月27日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (C11D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第1項第4号、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-527392「エッチング後残留物を除去するための洗浄組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 5月31日国際公開、WO2018/098139、令和 2年 5月14日国内公表、特表2020-513440〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)11月21日(優先権主張外国庁受理2016年11月25日 (US)米国)を国際出願日とする出願であって、令和元年8月1日に手続補正書が提出され、令和2年7月10日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内の同年10月9日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年3月10日付けで拒絶査定がなされ(謄本送達は同月16日)、これに対して、同年7月16日に拒絶査定不服の審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 令和3年7月16日受付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正却下の決定の結論] 令和3年7月16受付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本件補正の内容 特許法第17条の2第1項第4号に該当する手続補正である令和3年7月16日受付けの手続補正(以下「本件補正」ともいう。)は、特許請求の範囲についてするものであって、そのうち請求項1についての補正は以下のとおりである。 (1)本件補正前の請求項1(すなわち、令和2年10月9日受付けの手続補正書の請求項1) 「 【請求項1】 式[NR1R2R3R4]OH(式中、R1、R2、R3及びR4は互いに同じ又は異なり、H、及びC1-C6アルキルからなる群から選択される)を有する塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基と; 腐食抑制剤と; 少なくとも2種以上の酸又はその塩の組み合わせと を含むストック組成物であって、少なくとも1種の前記酸又はその塩がリンを含有する組成物。」 (2)本件補正後の請求項1(すなわち、令和3年7月16日付け手続補正書の請求項1) 「 【書類名】特許請求の範囲 【請求項1】 式[NR1R2R3R4]OH(式中、R1、R2、R3及びR4は互いに同じ又は異なり、H、及びC1-C6アルキルからなる群から選択される)を有する塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基と; 腐食抑制剤と; 少なくとも2種以上の酸又はその塩の組み合わせと を含む洗浄組成物を形成するためのストック組成物であって、少なくとも1種の前記酸又はその塩がリンを含有し、 組成物中の式[NR1R2R3R4]OHを有する塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基の量が5重量%-20重量%の間であり、 ストック組成物のpHが10-14の間である、組成物。」(以下、「本件補正発明」ともいう。) (3)本件補正の前後の両請求項を対比すると、本件補正は、補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「ストック組成物」なる事項について「洗浄組成物を形成するためのストック組成物」及び「ストック組成物のpHが10-14の間である」と限定し、補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「式[NR1R2R3R4]OHを有する塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基」なる事項について「式[NR1R2R3R4]OHを有する塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基の量が5重量%-20重量%の間であり」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。 そして、本件補正前の請求項1に係る発明と本件補正発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものといえる。 そこで、上記本件補正発明が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(すなわち、いわゆる独立特許要件を満たすか)について以下検討する。 2.独立特許要件の検討 (1)引用文献及びその記載事項 引用文献A:特開2011-170952号公報(原査定の引用文献2) A.引用文献A 原査定で引用され本願優先日前に頒布された引用文献Aには、次の記載がある。 (1a)「【請求項1】 カルボキシル基を分子内に有するキレート剤(A1)、ホスホン酸基もしくはリン酸基を分子内に有するキレート剤(A2)、および脂肪族アルカノールアミン(B)を必須成分とすることを特徴とする磁気ディスク基板用洗浄剤。」 (1b)「【0066】 本発明の洗浄剤は、水溶性有機溶剤(H)を含有することにより洗浄剤中の成分が基板表面に残留することを防止することで洗浄性が更に向上する。 水溶性有機溶剤(H)としては、20℃における水に対する溶解度(g/100gH2O)が3以上、好ましくは10以上の有機溶剤が挙げられる。 【0067】 その他、酸化防止剤、防錆剤、pH調整剤、緩衝剤、消泡剤、防腐剤、ハイドロトロープ剤等を適宜添加することができる。」 (1c)「【0076】 以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。特に限定がない限り以下において部は重量部を示す。ポリマーのGPCによる分子量の測定条件は前述の方法により測定した。 なお、以下において超純水は比抵抗値が18MΩ・cm以上のものを使用した。 ・・・ 【0078】 [製造例2] 温度調節及び攪拌が可能な反応容器にイソプロピルアルコール300部、超純水100部を仕込み、窒素置換後、75℃に昇温した。撹拌下で、アクリル酸の75%水溶液407部及びジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレートの15%イソプロピルアルコール溶液95部を3.5時間かけて同時に滴下した。滴下終了後、75℃で5時間撹拌した後、系内が固化しないように超純水を間欠的に投入し、イソプロピルアルコールが検出できなくなるまで水とイソプロピルアルコールの混合物を留去した。 得られたポリアクリル酸水溶液にDBU約450部を加えてpHが7.0になるまで中和し、超純水で濃度40%になるように調整することにより、アニオン性界面活性剤であるポリアクリル酸DBU塩(C1-2)の40%水溶液を得た。なお、(C1-2)のMwは10,000であった。 ・・・ 【0082】 実施例1~12および比較例1~4 表1に記載の配合部数の各配合成分を均一撹拌・混合し、実施例1~12および比較例1~4の洗浄剤を作製した。 【0083】 【表1】 [図:0001392584000001.jpg] 【0084】 なお、表1中のキレート剤(A)、脂肪族アルカノールアミン(B)、アルカリ成分(E)の略号は下記の通りである。 (A1-1):エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA) (A1-2):ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA) (A2-1):1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP) (A2-2):ニトリロトリスメチレンホスホン酸(NTMP) MEA:モノエタノールアミン MDEA:N-メチルジエタノールアミン MIPA:モノイソプロパノールアミン BEA:N-ベンジルエタノールアミン TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド 【0085】 得られた洗浄剤を超純水で50倍希釈して性能評価のための洗浄液とし、以下の方法で、pH、ニッケルイオンの再析出防止性(再析出防止性-1)、鉄イオンの再析出防止性(再析出防止性-2)、、シリカ粒子洗浄性(洗浄性-1)、酸化セリウム粒子の洗浄性(洗浄性-2)、ダイヤモンド粒子の洗浄性(洗浄性-3)、アルミナ粒子の洗浄性(洗浄性-4)、酸化ニッケル粒子の洗浄性(洗浄性-5)を評価した結果を表2に示す。 【0086】 【表2】 [図:0001392584000002.jpg] 【0087】 <pHの測定方法> 洗浄液のpHを25℃でpHメーター(東亜ディーケーケー社製HM-30R)で測定した。 【0088】 <ニッケルイオンの再析出防止性(再析出防止性-1)の評価方法> 水酸化ニッケル0.5gを0.5重量%硝酸水溶液49.5gで溶解させ、0.6重量%ニッケルイオン水溶液を作成し、25℃に保持した。 実施例または比較例の洗浄液1,000gをガラス製ビーカーに入れ、上記の0.6重量%ニッケルイオン水溶液を撹拌しながら50gずつ添加して、混合した。25℃で12時間静置後、混合液を観察し、固形物の析出がないか目視で確認した。固形物が析出する場合は沈殿が見られる。 固形物の析出がない場合は、50gのニッケルイオン水溶液を追加し12時間静置後に同様に観察した。固形物の析出が見られるまで上記操作を繰り返し、固形物の析出が見られた重量(g)を、再析出防止性として下記評価基準で評価した。 【0089】 5:250g 4:200g 3:150g 2:100g 1:50g 【0090】 <鉄イオンの再析出防止性(再析出防止性-2)の評価方法> 水酸化ニッケルの代わりに水酸化第二鉄を用いる以外は、上記ニッケルの再析出防止性と同様におこない、鉄イオンの再析出防止性を評価した。 【0091】 <シリカ粒子の洗浄性(洗浄性-1)の評価方法> 研磨剤として市販のコロイダルシリカスラリー(粒径約30nm)100部及びウレタン製の研磨布を用いて、3.5インチのNi-Pメッキされた磁気ディスク用基板を研磨した。超純水で表面をすすぎ、窒素でブローして乾燥させることにより、汚染基板を作製した。 実施例、比較例の洗浄剤1,000gを1Lガラス製ビーカーにとり、作製した汚染基板を浸漬し、超音波洗浄機(200kHz)内で、30℃、5分間洗浄を行った。洗浄後、基板を取り出し、超純水で再び1分間リンスを行った後、窒素ガスでブローして乾燥し、アルミ基板表面を表面検査装置(ビジョンサイテック社製「Micro-Max VMX-6100」)で観察し、パーティクル付着数を数えた。 また、洗浄液の代わりにブランクとして超純水で同様に試験した。 その際のブランクのパーティクル付着数は150個であった。 以下の評価基準で洗浄性試験を評価し、評価結果を表2に示した。 なお、本評価は大気からの汚染を防ぐため、クラス1,000(HED-STD-209D、米国連邦規格、1988年)のクリーンルーム内で実施した。 【0092】 [洗浄性試験の評価基準] 5:パーティクル付着数がブランクの1/100未満 4:パーティクル付着数がブランクの1/100~1/20 3:パーティクル付着数がブランクの1/20~1/5 2:パーティクル付着数がブランクの1/5~1/2 1:パーティクル付着数がブランクの1/2以上 【0093】 <酸化セリウム粒子の洗浄性(洗浄性-2)の評価方法> 洗浄性-1の評価方法において、研磨剤としてコロイダルシリカスラリーを市販の酸化セリウムスラリー(フジミインコーポレーティド社製、CEPOL-120)に変更し、基板を2.5インチの磁気ディスク用ガラス基板に変更した以外は洗浄性-1と同様にして評価した。判断基準も洗浄性-1と同様である。 【0094】 <ダイヤモンド粒子の洗浄性(洗浄性-3)の評価方法> 洗浄性-1の評価方法において、研磨剤としてコロイダルシリカスラリーを市販のダイヤモンドスラリー(ユシロ化学工業製、ユシロンテックWD)に変更した以外は洗浄性-1 と同様にして評価した。判断基準も洗浄性-1と同様である。 【0095】 <アルミナ粒子の洗浄性(洗浄性-4)の評価方法> 洗浄性-1の評価方法において、研磨剤としてコロイダルシリカスラリーをアルミナ懸濁液(フジミインコーポレーティド社製、Disk-liteを超純水で3倍希釈したもの)に変更した以外は洗浄性-1と同様にして評価した。判断基準も洗浄性-1と同様である。 なお、このアルミナは、アルミナ砥粒とアルミ基板の研磨くず由来を想定したものである。 【0096】 <酸化ニッケル粒子の洗浄性(洗浄性-5)の評価方法> 洗浄性-1の評価方法において、研磨剤としてコロイダルシリカスラリーを酸化ニッケル懸濁液(和光純薬製の酸化ニッケルを1wt%となるように超純水に懸濁させたもの)に変更した以外は洗浄性-1と同様にして評価した。判断基準も洗浄性-1と同様である。 なお、この酸化ニッケルは、Ni-Pメッキしたアルミ基板の研磨くず由来を想定したものである。 【0097】 表1で明らかなように、本発明のキレート剤(A1)、(A2)および脂肪族アルカノールアミン(B)を用いた実施例1~12はいずれも、金属イオンの再析出防止並びにパーティクルの洗浄性が優れていることがわかる。 一方、カルボキシル基を分子内に含有するキレート剤(A1)とホスホン酸基もしくはリン酸基を分子内に含有するキレート剤(A2)とを併用しない比較例1、2は、金属イオンの再析出残さに対する洗浄性が十分でない。また、脂肪族アルカノールアミン(B)を使用しない比較例3並びに比較例4は、パーティクルの除去性が十分でないため、洗浄性が劣る。」 (2)引用文献Aに記載された発明 上記引用文献Aには実施例8として「(A1-1):エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)を3.0重量部、(A2-1):1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)を3.0重量部、MEA:モノエタノールアミンを20.0重量部、アニオン性界面活性剤であるポリアクリル酸DBU塩(C1-2)を1.0重量部、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロキサイドを5.5重量部及び水を67.5重量部からなり、性能評価のための洗浄液とするために超純水で50倍希釈し、使用時のpHが12.0である、洗浄剤。」の発明(以下、「引用発明」という。)が、記載されている(摘記1c参照)。 (3)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「(A1-1):エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)」及び「(A2-1):1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)」は、いずれも酸であり、「(A2-1):1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)」リンを含有するから、本件補正発明の「少なくとも2種以上の酸又はその塩の組み合わせと を含む」及び「少なくとも1種の前記酸又はその塩がリンを含有し」に相当する。 引用発明の「TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド」は本件補正発明の「式[NR1R2R3R4]OH(式中、R1、R2、R3及びR4は互いに同じ又は異なり、H、及びC1-C6アルキルからなる群から選択される)を有する塩基」においてR1、R2、R3及びR4がC1アルキルであるものに相当し、引用発明の組成の部数(重量部)の合計は100であるから、引用発明の「TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロキサイドを5.5重量部」は、本件補正発明の「式[NR1R2R3R4]OH(式中、R1、R2、R3及びR4は互いに同じ又は異なり、H、及びC1-C6アルキルからなる群から選択される)を有する塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基」及び「組成物中の式[NR1R2R3R4]OHを有する塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基の量が5重量%-20重量%の間であり」に相当する。 引用発明の「性能評価のための洗浄液とするために超純水で50倍希釈する、洗浄剤」は本件補正発明の「洗浄組成物を形成するためのストック組成物」に相当する。 そうすると、本件補正発明と引用発明は「式[NR1R2R3R4]OH(式中、R1、R2、R3及びR4は互いに同じ又は異なり、H、及びC1-C6アルキルからなる群から選択される)を有する塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基と; 少なくとも2種以上の酸又はその塩の組み合わせと を含む洗浄組成物を形成するためのストック組成物であって、少なくとも1種の前記酸又はその塩がリンを含有し、 組成物中の式[NR1R2R3R4]OHを有する塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基の量が5重量%-20重量%の間である、組成物。」である点で一致し、下記の点で相違する。 <相違点1> 本件補正発明は腐食抑制剤を含有するのに対し、引用発明はそのような特定がない点。 <相違点2> ストック組成物のpHが、本件補正発明では10-14であるのに対し、引用発明は超純水で50倍希釈した使用時のpHが12.0である点。 (4)相違点の検討 <相違点1>について 引用文献Aには、引用発明の洗浄剤は防錆剤を添加できることが記載されており(摘記1b参照)、防錆剤は金属の腐食を抑制する作用を有する成分からなるものであるから、本件補正発明の「腐食抑制剤」と共通する成分を包含するものである。 そうすると、引用発明において上述の洗浄剤に防錆剤を添加し、腐食抑制剤を含有するものとすることは、引用文献Aに示唆されていることから、当業者が容易に想到し得る程度の事項といえる。 <相違点2>について 引用発明の洗浄剤は、使用時のpHが12.0であり、使用時に超純水で50倍に希釈されたものである。そうすると、pHの定義である水素イオン濃度は10倍~100倍希釈の間であるから、使用前は、pHが13.0から14.0の間となっているといえる。 そうすると、相違点2は実質的な相違点とはならない。 (5)本件補正発明の効果について 本願明細書の表1及び表5からみて、本件補正発明が腐食抑制剤に相当する防錆剤を含むことにより、本件補正発明の効果が、腐食抑制剤に相当する防錆剤を含まない引用発明と比較して、当業者の予測を超える顕著なものであるとはいえない。 また、本件補正発明の腐食抑制剤を本願明細書【0033】に記載のようにCu及びCoなどの接触金属を保護することができるものであると限定して解釈しても、引用発明を上記防錆剤を含有するものとすれば、接触金属を保護することは明らかであり、本件補正発明の効果が、腐食抑制剤に相当する防錆剤を含まない引用発明と比較して、当業者の予測を超える顕著なものであるとはいえない。 そして、本願明細書の表1及び表5に示される、本件補正発明の窒化チタンハードマスクに対する高いエッチング速度選択性、制御可能であるが、低い窒化アルミニウムエッチング速度、並びに低いが実質的に等しくされた銅及びコバルトエッチング速度を有するという効果は、引用発明において腐食抑制剤に相当する防錆剤を含むものとして、本件補正発明のような洗浄剤とすれば、当然に奏されるものであり、当業者が予測し得ない顕著なものであるとはいえない。 (6)審判請求人の主張 請求人は、令和3年7月16日付け審判請求書において、「本願発明が引用文献1-7に対して新規性及び進歩性を有することは令和2年10月9日付の意見書に記載したとおりです。 ・・・ 補正後の本願発明は、引用文献に記載の発明との差異がより明確化されています。 以上の通り、出願人は、補正後の本願発明が引用文献1-7に対して新規性及び進歩性を有するものと確信致します。」と主張する。 そして、上記意見書には「引用文献2も本願発明とは無関係です。引用文献2は、磁気ディスク基板の洗浄剤に関するものです。したがって、そもそも、引用文献2の技術分野は、本願発明の技術分野とは異なります。さらに、引用文献2の発明は、必須構成として脂肪族アルカノールアミン(B)を必要としますが(請求項1)、本願発明は、そのような脂肪族アルカノールアミンなしで予想外に有意な効果を発揮することができます。なお、引用文献2の脂肪族アルカノールアミンは、本願発明の請求項1に記載の第四級トリアルキルアルカノールアミン塩と、名前の一部こそ共通していますが、これらは互いに完全に異なる物質です。」と主張し、ここで、引用文献2は上記引用文献Aである。 しかし、本件補正発明は、補正後の請求項1の記載からみて、洗浄組成物を形成するためのストック組成物であって、磁気ディスク基板の洗浄剤を含まないような特定はなく、本件補正発明の洗浄組成物の引用文献Aの洗浄剤は技術分野が異なるとはいえない。 また、引用文献Aの脂肪族アルカノールアミンは、本件補正発明の第四級トリアルキルアルカノールアミン塩と、これらは互いに完全に異なる物質であるが、本件補正発明は脂肪族アルカノールアミンを含まないような特定はないから、本件補正発明は、補正後の請求項1の記載からみて、そのような脂肪族アルカノールアミンなしで予想外に有意な効果を発揮することができるという主張は、請求項の記載に基づくものではない。 したがって、請求人の上記主張は採用できない。 (7)小括 したがって、本件補正発明は、引用文献Aに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3.むすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 上記第2のとおり、本件補正は却下されたので、本願発明は、令和2年10月9日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定されるとおりのものであって、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は前記第2 1.(1)に示したとおりである。 2 原査定の拒絶理由 原査定の拒絶の理由は、「令和2年7月10日付け拒絶理由通知書に記載した理由2」を含むものであって、要するに、この出願の請求項1~10に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。 そして、該拒絶の理由において引用された刊行物は次のとおりである。 <引用文献等一覧> 引用文献2:特開2011-170952号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2は上記引用文献Aであって、引用文献Aの記載事項は、前記「第2 2(1)」に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記「第2 1(1)」で検討した本件補正発明の「ストック組成物」なる事項について「洗浄組成物を形成するためのストック組成物」及び「ストック組成物のpHが10-14の間である」との限定がなく、本件補正発明の「式[NR1R2R3R4]OHを有する塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基」なる事項について「式[NR1R2R3R4]OHを有する塩基又は第四級トリアルキルアルカノールアミン塩基の量が5重量%-20重量%の間であり」との限定がないものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに上記事項によって限定したものに相当する本件補正発明が、前記「第2 2(7)」に記載したとおり、当該引用文献Aに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、当該引用文献A(引用文献2)に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-009483

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  • 2024-018732拒絶査定不服審判 / 2026-08-12 / 原査定取消(特許/登録すべき)繊維製品用洗浄剤キット、繊維製品用洗浄剤組成物、及び繊維製品の洗浄方法
    共通の審決分類: 121・C11D
  • 2024-020868拒絶査定不服審判 / 2026-08-12 / 原査定取消(特許/登録すべき)消泡剤及び非イオン性界面活性剤を含む低粘度液体洗剤組成物
    共通の審決分類: 121・C11D
  • 2025-002911拒絶査定不服審判 / 2026-08-05 / 原査定取消(特許/登録すべき)高いコア:壁比を有する送達粒子を含む消費者製品
    共通の審決分類: 121・C11D
  • 2025-009846拒絶査定不服審判 / 2026-08-04 / 原査定取消(特許/登録すべき)異性化糖の使用により洗浄剤組成物の起泡特性を増大させる方法
    共通の審決分類: 121・C11D

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