審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2023-021642

色変化洗剤組成物および使用方法

審判番号
2023-021642
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-518325外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年12月20日
審決日
2025年05月13日
公報発行日
2025年10月31日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (C11D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-518325「色変化洗剤組成物および使用方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 4月 1日国際公開、WO2021/061755、令和 4年11月17日国内公表、特表2022-548319〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2020年(令和2年)9月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2019年9月23日(US)米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 4年 3月22日 :翻訳文提出 令和 5年 3月24日付け:拒絶理由通知書 令和 5年 6月26日 :意見書、手続補正書の提出 令和 5年 8月25日付け:拒絶査定 令和 5年12月20日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和 6年 6月14日 :上申書の提出 第2 令和5年12月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年12月20日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「【請求項1】 アルカリ性源と、 pH感受性染料であって、前記pH感受性染料が10.1未満のpHで色変化を示す、pH感受性染料と を含む、色変化アルカリ性洗剤組成物であって、 前記組成物は、スルフェート又はスルホネート界面活性剤を含まず、 前記pH感受性染料が、アゾ染料であり、 前記組成物は、少なくとも10のpHを有する使用溶液の形態で用いられる、色変化アルカリ性洗剤組成物。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和5年6月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 アルカリ性源と、 pH感受性染料であって、前記pH感受性染料が10.1未満のpHで色変化を示す、pH感受性染料と を含む、色変化アルカリ性洗剤組成物であって、 前記組成物は、スルフェート又はスルホネート界面活性剤を含まず、 前記pH感受性染料が、アゾ染料である、色変化アルカリ性洗剤組成物。」 2 補正の適否(下線は、合議体による。) 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「組成物」の使用形態について、本件明細書の段落0047の「有効量は・・・好ましくは少なくとも約10のpHを有する使用組成物を提供する」との記載等に基づき、上記のとおり「少なくとも10のpHを有する使用溶液の形態で用いられる」とする限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と、補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献とその記載事項 ア 引用文献1 (ア)引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開昭51-20905号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。下線は、合議体による。 a 第1頁左欄第4~7行 「2 特許請求の範囲 PH指示薬と吸湿性を有するが潮解性の少ない無機化合物を必須成分とする粒状組成物を粒状又は粉末状洗浄剤に配合してなる洗浄剤組成物。」 b 第1頁左欄第9行~右欄第17行 「本発明は洗浴のPHの変化によつて色の変る洗浄剤組成物に関し、使用時において発色が速やかであり、貯蔵時においては高温多湿の雰囲気においても長期間変色を示さない洗浄剤組成物の提供を目的とする。 従来、洗浄剤にPH指示薬を配合し、洗浴のPHの変化すなわち洗浄力の低下を色の変化により知覚し洗浴の管理及び洗浄剤の適切で且つ経済的な使用を図ることが提案されており、(特公昭42-14636号)、また現実に広く使用されている。 しかしながら、洗浄剤に配合するPH指示薬の量は洗浄剤に対し重量でわずか約0.025~0.05%であるので粉末の状態で均一に配合するのは非常に困難であり、また、配合物を洗浴中に添加しても、PH指示薬の迅速な溶解発色が得られないという欠点がある。そのためにPH指示薬を水溶性の高分子を用いて粒状化する方法も考えられているが、この方法では均一な混合は改良されるも迅速な溶解発色は十分ではない。 更に、多くの洗浄剤はアルカリビルダーが多量に配合されているために、梅雨時、夏期、台風期等の高温多湿時や浴室等の多湿の場所に保存する際にはかなりの水分を空中から吸収することが避けられず、そのため洗浄剤のアルカリ分が吸湿水分にとけて、洗浄剤中のPH指示薬に作用してPH指示薬を発色させ、使用前に変色してしまい、洗浄剤の変質の印象を与える等の重大な欠点を有する。」 c 第2頁左上欄第3行~右上欄第3行 「すなわち、本発明は指示薬と吸湿性を有するが潮解性の少ない無機化合物を必須成分とする粒状組成物を粒状又は粉末状洗浄剤に配合してなる洗浄剤組成物である。 本発明を詳細に説明すると、本発明で使用する洗浄剤とは、水又は水性媒体中において物品の汚れを除去する作用を有するすべての薬剤を指すものであつて、その用途によつて大別すると、衣類、食器、家具洗浄用等の家庭用洗浄剤、厨房用洗浄剤、洗毛、洗繊、精練用等の繊維工業用洗浄剤、金属材料、機械部品洗浄用等の金属、機械工業用洗浄剤、ラウンドリー用のクリーニング工業用洗浄剤、その他パイプ、製紙工業用、車体、船艙甲板洗浄用、ガラス、陶磁器洗浄用、鑵瓶洗浄用、建造物、道路、トンネル洗浄用の洗浄剤等があげられる。 組成物にはアニオン系、ノニオン系、カチオン系、及び両性界面活性剤、アルカリ性薬剤、及びそれらの組合せによるもの及びそれらにビルダー類の配合されたもの等、従来公知のものを意味する。」 d 第2頁右上欄第4行~右下欄第13行 「本発明に使用するPH指示薬としては見かけ上の弱酸または弱塩基であつて、その解離型分子が正規型分子と異なつた可視吸収を示すもの及びその化学構造を分子中に有するものがすべて使用され、たとえば次のごときものがその代表的なものである。 (a)フタレイン系指示薬、たとえばフエノールフタレイン、・・・、ブロムチモール-(4-スルホ)フタレイン等。 (b)スルホンフタレイン系指示薬、たとえば、フエノールレッド、・・・、ブロムチモールブルー等。 (c)アゾ系指示薬、たとえば、トロペオリンooo、アリザリンエローR、メチルレッド等。 (d)その他の指示薬、たとえばキノリンブルー、ナイルブルー、インジゴカルミン等。 (e)PH指示性重合体、たとえば、特願昭45-103279号に使用されているようなPH指示性重合体。」 e 第2頁右下欄第14行~第3頁右上欄第1行 「本発明に使用する無機化合物は吸湿性を有すること、潮解性が比較的少ないこと及び水溶性であること(溶解度の大小を問わない)が必要である。ごれらの無機化合物としては (1)リンの酸素酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアルミニウム塩、 (2)ケイ素の酸素酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又はアルミニウム塩、 (3)アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、 (4)その他の無機化合物、等である。 具体的に例示すると、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の第1~第5正リン酸塩、酸性及び中性ピロリン酸塩、ポリメタリン酸塩、ポリリン酸塩等;ナトリウム、カリウム等のメタケイ酸塩、オルトケイ酸塩、2ケイ酸塩、3ケイ酸塩、;カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム等の酸化物、水酸化物;炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム等である。 上記無機化合物はいずれも有効であるが、特に上記化合物のうち、ポリリン酸又はポリメタリン酸のナトリウム塩、例えばトリポリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等のリンの酸素酸のアルカリ金属塩、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウムが最良の結果を与えるものであった。これらの化合物は単独でも複数の混合物としても使用できる。」 f 第3頁右上欄第2行~左下欄第6行 「本発明において使用する必須成分は上記の通りであるが、更に必要に応じて界面活性剤、湿潤剤等を添加して造粒物の洗浄浴中での濡れや溶解性の向上を図つたり、中性無水芒硝等の中性ビルダー類を増量剤として加えて、造粒物の洗浄剤に対する配合量を増して、洗浄剤への配合誤差を減少させたり、配合及び分布を均一にしたり、造粒物を数多く点在させることによる商品価値の向上を図ることもできる。更に従来公知の染料、顔料、螢光増白剤、重合体給合色素等を適当量配合することにより造粒物の外観を変えて商品価値を向上させたり、洗浄浴のPHによる変色の差をより明白にしたり、呈色をマスキングすることからPH変色域を若干移動させることもできる。 次に前記必須成分の配合割合について説明すると、PH指示薬に対する前記無機化合物の使用量は、PH指示薬1重量割合に対し前記無機化合物0.25~40、好ましくは1~20重量割合である。本発明に使用する粒状物の必須成分は上記二成分を必須成分とするが、通常はその他PH指示薬の濃度調整用、造粒性改良用及びその他の目的で多くの場合各種の補助物質が便用されるので、これらの補助物質の量も考慮すると、粒状物中のPH指示薬含有率は約0.1~10重量%の範囲であることが適当である。」 g 第3頁右下欄第2~15行 「以上の如くして得られる粒状組成物の洗浄剤への配合割合は、粒状組成物中のPH指示薬の含有量、発色力、洗浄剤の使用量によつて一概には規定できないが、要するに洗浴中でのPH指示薬の発色、変色が肉眼では容易に識別し得る程度が最小限必要であり、通常は洗浴中でのPH指示薬濃度が約0.2~1.0ppmになる量である。そして具体的には、粒状組成物の洗浄剤への添加量は洗浄剤100重量割合に対し、約0.5~5重量割合である。 以上の如くして得られた本発明の洗浄剤組成物を用いて物品を洗浄すると、洗浴の洗浄力の変化に従つて洗浴の色が変化し所期の目的が達せられる。」 h 第4頁右上欄第2行~左下欄第9行 「次に実施例等をあけて本発明を具体的に説明する。なお、文中、部又は%とあるのは重量を示す。 実施例1 構造式 [図:0001427349000001.jpg] で表わされるPH指示薬(ブロムチモールカルボキシフタレイン)20部、ヘキサメタリン酸ソーダ30.0部、中性無水芒硝67.5部及びローダミンBポリ塩化ビニル染付顔料0.5部を高速混合機にて均一に混合し、水10部を加えてから混練機にて50℃、10分間十分に混練する。これを混練機より連続的に排出し、解砕機にて破砕し、得られた小粒状物を80℃にて連続流動乾燥機により乾燥する。乾燥後8メツシユ及び32メツシユの篩で篩分けし8メツシユパス32メツシユオンの粒状物55部を得た。該粒状物2部を、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ25.0部、トリポリン酸ソーダ30.0部、メタケイ酸ソーダ10.0部、中性無水芒硝33.9部、カルボキシメチルセルロースソーダ塩10部及び蛍光増白剤0.1部からなる粒状粉末洗浄剤100部に加え均一に混合して赤色粒状物が点在する洗浄剤組成物を得た。」 i 第5頁左上欄下から第4行~右上欄第9行 「使用例 実施例1で得た洗浄剤組成物約50gを水30lを入れた家庭用電気洗濯機に加えかきまぜると直ちに鮮明な青色を呈しPHは9.8を示した(これに対し、同一のPH指示薬を伺ら処理することなく粉末のまま洗浄剤に加えたものは十分な青色を呈するまでにかなりの時間を要した)。この中に汚れた衣類を入れて洗濯したところある時点で洗浴の青色が急激にうすれ、汚れ特有の灰褐色を示した。その時のPHは8.0を示した、引続き、この洗浴中に同一の洗浄剤組成物約30gを追加したところ洗浴は再び青色を示しPHは9.7となつた。」 (イ)引用発明1 ここで、引用文献1に、一貫して「トリポリン酸ソーダ」とされている化合物は、一般的な化合物名ではなく、引用文献1における「ポリリン酸」の例示であることから(摘示(ア)e参照)、「トリポリリン酸ソーダ」の誤記であると認められる。 したがって、上記(ア)の、hの実施例1とiの使用例の記載から、引用文献1には、 「PH指示薬(ブロムチモールカルボキシフタレイン)20部、 ヘキサメタリン酸ソーダ30.0部、 中性無水芒硝67.5部、 ローダミンBポリ塩化ビニル染付顔料0.5部、 水10部を混練、破砕して得た小粒状物を、乾燥後、篩分けして得た8メツシユパス32メツシユオンの粒状物55部の、 該粒状物2部を、 アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ25.0部、 トリポリリン酸ソーダ30.0部、 メタケイ酸ソーダ10.0部、 中性無水芒硝33.9部、 カルボキシメチルセルロースソーダ塩10部及び 蛍光増白剤0.1部からなる粒状粉末洗浄剤100部に加え、 均一に混合して得た赤色粒状物が点在する洗浄剤組成物であって、 該洗浄剤組成物約50gを水30lを入れた家庭用電気洗濯機に加えかきまぜると直ちに鮮明な青色を呈しPHは9.8を示し、 この中に汚れた衣類を入れて洗濯したところある時点で洗浴の青色が急激にうすれ、汚れ特有の灰褐色を示した時のPHは8.0を示し、 この洗浴中に同一の洗浄剤組成物約30gを追加したところ洗浴は再び青色を示しPHは9.7となつた、 洗浄剤組成物。」の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 イ 引用文献2 (ア)引用文献2に記載された事項 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特公昭42-14636号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。下線は、合議体による。 a 第1頁左欄第2~22行 「洗剤殊に合成洗剤には使用中における溶液のpHの変化によつてその最適使用条件から逸脱するものが多い。然し一般使用者に対して使用中にその洗剤溶液が最適使用条件から逸脱したかしないかを知らしめる工夫のなされた洗剤は未だ知られていない。 衣料用のアルカリ性合成洗剤に於ては従来はその気泡力の低下をもつて一般には洗浄力の目安とされていたが、近時起泡力の小なる洗剤が普及するに及びこの目安を失うに至つた。しかし本発明者の知見によれば、衣料の汚れ殊に垢汚れを完全に除去するには洗剤溶液のpHは少くとも8~9以上を要し、これ以下にpHが低下すると洗滌力も急激に低下し完全な洗濯は不可能となる。従つて使用者をして理想的な洗濯をなさしめるにはこの洗滌力低下の危険pH帯域を何等かの手段で知覚せしめなければならない。 以上の如き洗剤溶液のpH値の変化を知らしめる必要性はアルカリ性合成洗剤のみに限られることではなく他の洗剤例えば野菜洗滌用、食器洗滌用等に用いられる中性洗剤類について同様である。」 b 第1頁右欄第15~32行 「更に以上のような洗剤以外の例えば工業用の酸洗剤、アルカリ洗剤等においてもその洗滌力は溶液の酸度、アルカリ度に支配されるのであるから、矢張りpHの変化を視覚し得ると非常に都合がよい。 本発明は上記の使用上の要請に基き案出されたものであり、それぞれの洗剤にその最適の使用条件から外れる附近のpH価で変色する指示薬を添加し、溶液の変化により使用者にこの危険線を視覚認知させようとするものであつて、次の要旨を包合している。 1 pHの変化によって使用条件の変化する洗剤組成物中に最適使用条件から外れる附近のpH価で変色する指示薬を含有せしめたる変色性洗剤。 2 アルカリ性合成洗剤組成物中にpH8~9の間において変色する指示薬を含有せしめたる変色性洗剤。」 c 第1頁右欄第36行~第2頁第8行 「本発明に使用し得る指示薬としては例えば次の如きものが挙げられる。 [図:0001427349000002.jpg] [図:0001427349000003.jpg] 」 d 第2頁左欄第1~26行 「これ等の指示薬は単独で用いても数種併用してもよい。数種類の指示薬を併用すると、各指示薬独自の呈色の合成された色相が表われて変色するので変色を非常に狭いpH範囲で視覚し得る利点がある。 例えば溶液のpHがほゞ9.5以上のとき完全な洗滌力を示し、それ以下では次第に洗滌力を減じ8.5附近になると適性効果を期し得ないような洗剤にフェノールフタレンを添加しておくと溶液の赤色はpH8.5附近において急に褪色して無色となり溶液中に浸出した汚れのみが目立つようになる。そしてこの時は前述のように洗剤力の低下の基だしくなつた時であるから洗濯している人はこれを視覚により感知し、洗剤を増量するなり或は溶液を取りかえるかすればよい。又中性洗剤に例えばRosolic acid aurine を加えておくと使用最適pH範囲(pH7~8)では溶液は黄と赤の中間色を呈しているがpHが7以下になると溶液は急激に黄変し使用最適範囲を逸脱したことを示す。以上2例のような現象は他の指示薬についても同様である。更に先にも言及したように2種以上の指示薬を併用するときは独自の呈色変化を示し、変色もシャープとなり、例えばフエノールフタレンとメチルグリーンを併用する場合にはpHが低下し8.8附近になると液色は紫から濃紺に急激に変色する。」 e 第2頁右欄第5~25行 「実施例 アルキルベンゼンスルフオン酸ソーダ 30% トリポリ燐酸ソーダ 40% 蛍光染料 1% CMC 1% 芒硝 28% 以上の組成から成るアルカリ性合成洗剤は、適性使用濃度におけるpHは9.9を示すが一回使用でpHは9.4に洗滌力は94%に、2回使用でpHは8.7に洗滌力は89%に夫々低下した。そしてこれ以上のpHの低下即ち洗滌力の低下が起ると十分な洗滌効果は期し難い。しかし一般使用者がこの点を知る目安はない。本例においてはフエノールフタレン33部メチルグリーン67部の混合比の指示薬をアルコール溶液として洗剤に対して0.05%加えた。然る処この指示薬を添加した洗剤の溶液は鮮かな紫色を呈したが使用につれpHが低下し8.8附近に達すると急激に変色し固有変色の濃紺と汚れの色とが合わさつて汚ない濃黒紺色となり、これ以上の洗滌が危険であることを明かに示した。」 f 第2頁右欄第26~29行 「特許請求の範囲 1 pHの変化によつて使用条件の変化する洗剤組成物中に最適使用条件から外れる附近のpH価で変色する指示薬を含有せしめたる変色性洗剤。」 (イ)引用発明2 上記(ア)fの実施例の記載から、引用文献2には、 「適性使用濃度におけるpHが9.9を示す アルキルベンゼンスルフオン酸ソーダ 30% トリポリ燐酸ソーダ 40% 蛍光染料 1% CMC 1% 芒硝 28% の組成から成るアルカリ性合成洗剤に対して、 フエノールフタレン33部メチルグリーン67部の混合比の指示薬をアルコール溶液として0.05%加えた、 その溶液は鮮かな紫色を呈する、アルカリ性合成洗剤であって、 使用につれpHが低下し8.8附近に達すると急激に変色する、 アルカリ性合成洗剤。」の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 ウ 周知文献 (ア)周知技術を示す文献に記載された事項 本願の優先日前に頒布された刊行物である、社団法人日本化学会編、化学便覧 応用化学編 第5版、日本、丸善株式会社、1995年3月15日発行、第II-254~II-265頁「10.8 界面活性剤」の項(以下「周知文献」という。)には、次の記載がある。下線は、合議体による。 a 第II-260頁右欄第8~15行 「a. 洗浄剤としての応用 界面活性剤がしばしばdetergentとよばれることからもわかるように、洗浄剤は界面活性剤の応用のもっとも典型的な例である。表10.137に代表的な界面活性剤の洗浄剤への適用性を示す。洗浄作用は複雑な作用であるため、洗浄剤ほど界面活性剤以外の他の成分の助けを借りなければならない製品は少ない。洗浄剤の種類も多いが、量的にも金額的にも大きいものは、家庭用の衣類の洗剤である。」 b 第II-260頁右欄第38~40行 「図10.29に本酵素の活性特性を示す。アルカリ側に至適pHを有し、洗剤として使用するのに適していることがわかる。」 c 第II-261頁 「 [図:0001427349000004.jpg] [図:0001427349000005.jpg] 」 d 第II-261頁左欄最下行~第II-262頁左欄第18行 「家庭用の衣類洗濯用洗剤に用いられる界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、硫酸アルキル(ポリオキシエチレン)塩、α-オレフィンスルホン酸塩、硫酸アルキル塩などの陰イオン界面活性剤が中心である。非イオン界面活性剤であるアルキル(ポリオキシエチレン)エーテルは、従来から油汚れの洗浄力に優れるなどの特徴の有ることが知られていたが、そのもの自体が液体であることから洗剤の粉末化がむずかしく、なかなか使用されなかった。しかし最近、この界面活性剤を粉末化する優れた無機粉体が開発され、家庭用の衣類の洗剤に初めて大量に使用されるようになった。衣類の洗濯用洗剤における界面活性剤の働きは、衣類と洗濯液との濡れをよくすること、油汚れと繊維との接触角を大きくしはがれやすくすること(ローリングアップ現象)、油汚れを乳化や可溶化によって落として水中に保持すること、固体汚れを洗濯液中に分散することなどである。 衣料用洗剤には、界面活性剤の洗浄力を助けるビルダーとよばれる重要な成分が含まれている。一つは硬水中のカルシウムイオンやマグネシウムイオンの補足剤で、通常はゼオライトが用いられる。これらの金属イオンは、陰イオン界面活性剤とクラフト点の高い塩を形成して、この界面活性剤を水に不溶にし、その働きを奪ってしまうので、それを防ぐ必要があるからである。もう一つのビルダー成分は、洗濯液のpHをアルカリ性に保つための成分で、ケイ酸ナトリウムや炭酸ナトリウムが用いられる。人体由来の油汚れは、脂肪酸やそのグリセリドが主であるため、アルカリ性にすることによって水溶性にしたり、加水分解したりして繊維からの脱落を容易にするのである。」 (3)引用発明1との対比・判断 ア 本件補正発明と引用発明1との対比 (ア)「アルカリ性源」について 本件補正発明の「アルカリ性源」について、本件明細書段落0009には、「・・・いくつかの実施形態では、アルカリ性源は、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属メタケイ酸塩および/またはアルカリ金属ケイ酸塩を含む。・・・」と記載されている。 したがって、引用発明1の「メタケイ酸ナトリウム」は、本件補正発明の「アルカリ性源」に相当する。 (イ)「pH感受性染料」について 引用発明1の「PH指示薬(ブロムチモールカルボキシフタレイン)」は、上記摘示(2)ア(ア)iより、pH9.8で鮮明な青色を呈し、pH8.0で青色が急激にうすれ、pH9.7で再び青色をを示すpH指示薬である。 したがって、引用発明1の「PH指示薬(ブロムチモールカルボキシフタレイン)」は、本件補正発明の「pH感受性染料」と、「10.1未満のpHで色変化を示す、pH感受性染料」である点で共通する。 (ウ)「洗剤組成物」について 引用発明1の「洗浄剤」なる用語について、引用文献1には、「本発明を詳細に説明すると、本発明で使用する洗浄剤とは、水又は水性媒体中において物品の汚れを除去する作用を有するすべての薬剤を指すものであって、その用途によって大別すると、衣類、食器、家具洗浄用等の家庭用洗浄剤、・・・」と記載されており(摘示(2)ア(ア)c 第2頁左上欄第7~11行)、用いられる界面活性剤は「組成物にはアニオン系、ノニオン系、カチオン系、及び両性界面活性剤、アルカリ性薬剤、及びそれらの組合せによるもの及びそれらにビルダー類の配合されたもの等、従来公知のものを意味する。」とされている(摘示(2)ア(ア)c 第2頁左上欄第19行~右上欄第3行参照)。 これに対し、本件補正発明の「洗剤組成物」について、本件明細書段落0037には、「適切な指示薬を選択することで、洗浄剤使用組成物が繰り返し使用される際のpH値によって色が変化し得る。」とも記載されており、「洗浄剤」と「洗剤」の意味内容に相違はないものと認められる。 そして、引用発明1の「洗浄剤組成物」は、水を入れることで青色を呈しPHは9.8を示しているから、「アルカリ性」の組成物であり、青色が急激にうすれた時のPHは8.0を示しているから、「色変化」の組成物でもある。 そうすると、引用発明1の「洗浄剤組成物」は、本件補正発明の「色変化アルカリ性洗剤組成物」に相当する。 (エ)「界面活性剤」について 本件補正発明においては、洗剤組成物に含まれる「界面活性剤」について、「前記組成物は、スルフェート又はスルホネート界面活性剤を含まず、」と特定されている。 これに対し、引用発明1は、アニオン系の界面活性剤である「アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ」を含んでおり、これは、本件補正発明の組成物は「含まず」とされる「スルホネート界面活性剤」に相当するものである。 (オ)「使用溶液」の「pH」について 引用発明1は、「該洗浄剤組成物約50gを水30lを入れた家庭用電気洗濯機に加えかきまぜると直ちに鮮明な青色を呈しPHは9.8を示し・・・洗浴は再び青色を示しPHは9.7となつた洗浄剤組成物」であることから、引用発明1の「洗浴」は、本件補正発明の「使用溶液」に相当し、「引用発明1」の洗浄剤組成物は、9.7~9.8程度のpHを有する洗浴で用いられるものといえる。 (カ)したがって、本件補正発明と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「アルカリ性源と、 pH感受性染料であって、前記pH感受性染料が10.1未満のpHで色変化を示す、pH感受性染料と を含む、色変化アルカリ性洗剤組成物であって、 前記組成物は、少なくとも9.8のpHを有する使用溶液の形態で用いられる、色変化アルカリ性洗剤組成物。」 <相違点1-1> 「pH感受性染料」について、本件補正発明は、「アゾ染料」であるのに対し、引用発明1では、「アゾ染料」でなく、「ブロムチモールカルボキシフタレイン」である点。 <相違点1-2> 「色変化アルカリ性洗剤組成物」は、本件補正発明では、「スルフェート又はスルホネート界面活性剤」を含まないのに対し、引用発明1では、「スルホネート界面活性剤」である「アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ」を含む点。 <相違点1-3> 「色変化アルカリ性洗剤組成物」が用いられる使用溶液のpHは、本件補正発明は、「少なくとも10」であるのに対し、引用発明1は、「9.7~9.8程度」である点。 イ 以下、引用発明1との相違点について検討する。 (ア)相違点1-1及び相違点1-3について まず、使用溶液のpHについて、引用発明1における洗浴のpHは9.8であるところ、洗濯に使用した後にpHが8.0を示し、この洗浴中に洗浄剤組成物を追加してpHを9.7とするものである(摘示(2)ア(ア)i)。そして、引用文献1には、「洗浴のpHの変化すなわち洗浄力の低下」であることが記載されており(摘示(2)ア(ア)a、及びg)、引用発明1では、洗浄力の低下をpHの低下として、洗浄力の向上をpHの上昇として、知覚しているものと認められる。 さらに、摘示(2)ア(ア)cに記載されるとおり、「アルカリビルダーが多量に配合される」場合も想定されており、その場合には、洗浴のpHは高くなるものと認められる。 そうすると、引用発明1の洗剤組成物を、洗浄力の向上等を目的として、少なくとも10のpHを有する洗浴に用いることは、当業者が容易に想到し得る事項であると認められる。 次に、pH指示薬の種類について、引用文献1には、pH指示薬について、上記摘示(2)ア(ア)dのとおり、「その解離型分子が正規型分子と異なつた可視吸収を示すもの及びその化学構造を分子中に有するものがすべて使用され」得ること、「(c)アゾ系指示薬、たとえば、トロペオリンooo、アリザリンイエローR、メチルレッド等」が、「代表的なもの」の一系統として記載されている(第2頁右下欄第7-8行)。ここで、「アゾ系指示薬」は、本件明細書段落0037の記載「pH指示薬(pH感受性染料)」のとおり、本件補正発明の「アゾ染料」に相当する。そして、引用発明1におけるpH指示薬は、洗浴のpHが低下し、すなわち洗浄力が低下したことを知覚することを目的として配合されているから(摘示(2)ア(ア)a、b、及びg)、使用開始時の洗浴のpHよりも低い10以下の変色域が必要であるところ、これらアゾ系指示薬の中には、上記摘示(2)ア(ア)dに例示のトロペオリンooo(pH7.4以下で灰色がかった淡赤色、pH8.8以上で薄黄緑色を呈する。化学大辞典6共立出版株式会社1963年発行縮刷版第572頁参照)のように、pH10以下で変色するものがあることも技術常識である。 また、上記摘示(2)ア(ア)fのとおり、引用文献1にはさらに、「更に従来公知の染料、顔料、螢光増白剤、重合体給合色素等を適当量配合することにより造粒物の外観を変えて商品価値を向上させたり、洗浄浴のPHによる変色の差をより明白にしたり、呈色をマスキングすることからPH変色域を若干移動させることもできる。」とも記載されており、所望のpH範囲における変色や商品価値の向上を目的として、引用文献1に代表的なものとして記載される「アゾ系指示薬」を選択することに、当業者が格別の創意を要したものとは認められない。 以上まとめると、引用発明1において、洗剤組成物を、洗浄力の向上等を目的として、少なくとも10のpHを有する使用溶液に用いることは、当業者が容易に想到し得る事項であり、その際に、10以下のpHに変色域を有するような「アゾ系指示薬」を選択することにも、特段の困難性はないから、相違点1-1及び相違点1-3は、当業者が容易に想到し得たことである。 (イ)相違点1-2について 本件補正発明の「界面活性剤」について、本件明細書の【0030】には「組成物 本開示は、pH感受性色変化指示薬染料を含む洗剤組成物に関する。本開示はまた、色変化洗剤組成物を製造および使用する方法を記載する。洗剤組成物の例示的な範囲は、表1A~1Cに、洗剤組成物の重量百分率で示される。 【表1】 [図:0001427349000006.jpg] 【表2】 [図:0001427349000007.jpg] 【表3】・・・」 と記載されており、表1Aは、表1Bとの対比において界面活性剤を必須としない例示であると認められる。 また、本件明細書の段落0129の「実施例1 対照:Ecolabから市販されているアルカリ性器物洗浄用洗剤 試験:市販のアルカリ性器物洗浄用洗剤+アリザリンイエローR」の記載に基づいて、本件明細書の他の箇所を参照しても、具体的に用いられた「アルカリ性器物洗浄用洗剤」における界面活性剤の有無と種類は、特定されていない。 さらに、本件明細書には、段落0071から「界面活性剤」、段落0073から「アニオン性界面活性剤」の例示がされ、「【0074】 特許請求される洗剤組成物における使用に好適なアニオン性スルフェート界面活性剤としては、・・・ 【0075】 特許請求される洗剤組成物における使用に好適なアニオン性スルホネート界面活性剤には、・・・」として、スルフェート又はスルホネート界面活性剤を、好適なものとする記載もされている。 このように、本件明細書には、スルフェート又はスルホネート界面活性剤は、好適なアニオン性界面活性剤として記載されている。 本件補正発明は、洗剤組成物に含まれる「界面活性剤」について、「前記組成物は、スルフェート又はスルホネート界面活性剤を含まず、」として、前記のとおり本件明細書に好適なアニオン性界面活性剤として記載される「スルフェート又はスルホネート界面活性剤」を含まないことを特定するにすぎず、「スルフェート又はスルホネート界面活性剤」以外の任意の界面活性剤を含有し得るものである。 また、引用文献1には、「組成物にはアニオン系、ノニオン系、カチオン系、及び両性界面活性剤、アルカリ性薬剤、及びそれらの組合せによるもの及びそれらにビルダー類の配合されたもの等、従来公知のものを意味する。」との例示がされており(摘示(2)ア(ア)c 第2頁左上欄第19行~右上欄第3行参照)、特定の界面活性剤を必須とするものではない。 そして、周知文献に記載されるとおり、陰イオン系、非イオン系の界面活性剤に、pH10程度のアルカリ性での使用に適した、衣料用洗剤の適用が広く知られており、「スルフェート又はスルホネート界面活性剤」を含まない、例えば、非イオン界面活性剤であるアルキル(ポリオキシエチレン)エーテルも、本願の優先日前に周知であった(摘示(2)ウ(ア)a~d)。 そうすると、洗剤に用いる界面活性剤の有無と種類の選択は、洗剤の組成を設定するにあたり、当業者が当然行う事項であるから、引用文献1に記載された「アニオン系、ノニオン系、カチオン系、及び両性界面活性剤、アルカリ性薬剤、及びそれらの組合せによるもの及びそれらにビルダー類の配合されたもの」から、周知のアルキル(ポリオキシエチレン)エーテル等の、「スルフェート又はスルホネート界面活性剤」以外のものを選択することは、当業者が当然試みるであろう設計事項であり、引用発明1において、「スルフェート又はスルホネート界面活性剤」を含まない組成とすることが、当業者にとって格別困難であったとはいえない。 (ウ)効果について a 本件補正発明の効果 本件明細書の段落0133に、「洗浄条件:1500ppmの市販のアルカリ性器物洗浄用洗剤、50ppmのアリザリンイエローR、5gpgの水硬度、187ppmの高温点汚れおよび62ppmの塩(塩化ナトリウム)、70℃の洗浄温度」と記載され、段落0134には、「結果を、図1、図2、および表1に示す。pH10.7(赤色)~10.1以下(黄色)で、赤色から黄色への色変化が観察される。表1は、サイクル3~45で記録されたpH値を示す。」として、「45サイクル試験」で、「3サイクルごとに試料を取り出し、色変化を観察し、pHを測定」した「結果」として、測定されたpHは、10.72から9.65までの数値の低下が記載され、「赤色から黄色への色変化が観察される」と記載されている。 ここで、本件明細書の段落0129の「実施例1 対照:Ecolabから市販されているアルカリ性器物洗浄用洗剤 試験:市販のアルカリ性器物洗浄用洗剤+アリザリンイエローR」の記載に基づいて、本件明細書の他の箇所を参照しても、具体的に用いられた「アルカリ性器物洗浄用洗剤」における界面活性剤の有無と種類は、特定されていない。 b 引用発明1の効果 引用発明1である実施例1の使用例では、「実施例1で得た洗浄剤組成物約50gを水30lを入れた家庭用電気洗濯機に加えかきまぜると直ちに鮮明な青色を呈しPHは9.8を示し」、「この中に汚れた衣類を入れて洗濯したところある時点で洗浴の青色が急激にうすれ、汚れ特有の灰褐色を示した。その時のPHは8.0を示した、引続き、この洗浴中に同一の洗浄剤組成物約30gを追加したところ洗浴は再び青色を示しPHは9.7となつた」(摘示(2)ア(ア)i)のであり、引用発明1について、pH感受性染料としてアゾ染料を、アルカリ性洗剤として「スルフェート又はスルホネート界面活性剤」以外のものを、それぞれ選択し、少なくとも10のpHを有する使用溶液に用いた場合にも、pHの低下に伴い、色変化が観察されることは、当然予想される効果であると認められる。 ウ 小括 そうすると、本件補正発明の効果は、当業者の予測できた範囲内のものであると認められる。 (4)引用発明2との対比・判断 ア 本件補正発明と引用発明2との対比 (ア)「アルカリ性源」について 本件明細書には、段落0047に「有効量の1つ以上のアルカリ性源が洗剤組成物中に提供される。本明細書において、有効量は、少なくとも約9、好ましくは少なくとも約10のpHを有する使用組成物を提供する量を指す。」と記載されており、段落0043には、「アルカリ性源」「実施形態では、洗剤組成物は、アルカリ性源を含む。例示的なアルカリ性源には、アルカリ金属炭酸塩および/またはアルカリ金属水酸化物が含まれる。・・・」と例示されている。 一方で、引用発明2は、「適性使用濃度におけるpHが9.9を示す」ことから、「有効量」の「アルカリ性源」が含まれているものであり、引用発明2の「トリポリ燐酸ソーダ」は、弱アルカリ性の無機化合物であるから、本件補正発明の「アルカリ性源」に相当する。 (イ)「pH感受性染料」について 引用発明2の「フエノールフタレン33部メチルグリーン67部の混合比の指示薬」は、引用文献2の上記摘示(2)イ(ア)eより、pH9.9で鮮やかな紫色を呈し、pH8.8で固有変色が濃紺のpH指示薬である。 したがって、引用発明2の「フエノールフタレン33部メチルグリーン67部の混合比の指示薬」は、本件補正発明の「pH感受性染料」と、「10.1未満のpHで色変化を示すpH感受性染料」である点で共通する。 (ウ)「洗剤組成物」について 引用発明2の「アルカリ性合成洗剤」は、「以上の組成から成る」ものであるから「組成物」である。そして、引用発明2の「アルカリ性合成洗剤」は、適正使用濃度で鮮やかな紫色を呈し、「使用につれpHが低下し8.8附近に達すると急激に変色」するから、「色変化」といえる。 一方で、本件明細書には、「洗剤」について特段の定義は置かれておらず、「合成洗剤」とは、「洗剤」である点で一致する。 そうすると、引用発明2の「アルカリ性合成洗剤」は、本件補正発明の「色変化アルカリ性洗剤組成物」に相当する。 (エ)「界面活性剤」について 本件補正発明においては、洗剤組成物に含まれる「界面活性剤」について、「前記組成物は、スルフェート又はスルホネート界面活性剤を含まず、」と特定されている。 これに対し、本件補正発明において、「界面活性剤」は、必須成分とはされていないが、引用発明2は、アニオン系の界面活性剤である「アルキルベンゼンスルフオン酸ソーダ」を含んでおり、これは、本件補正発明の組成物は「含まず」とされる「スルホネート界面活性剤」に相当するものである。 (オ)「使用溶液」の「pH」について 引用発明2は、適性使用濃度におけるpHが9.9を示すことが記載され、鮮やかな紫色を呈した洗剤溶液は、「使用につれてpHが低下し8.8附近に達する」(摘示(2)イ(ア)e)アルカリ性合成洗剤であることから、引用発明2の「指示薬をアルコール溶液として0.05%加えた、その溶液」は、本件補正発明の「使用溶液」に相当し、「引用発明2」の洗剤は、9.9のpHを有する使用溶液で用いられている。 そうすると、本件補正発明と引用発明2とは、洗剤組成物が「少なくとも9.9」のpHを有する使用溶液の形態で用いられる点で、共通している。 (カ)したがって、本件補正発明と引用発明2との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「アルカリ性源と、 pH感受性染料であって、前記pH感受性染料が10.1未満のpHで色変化を示す、pH感受性染料と を含む、色変化アルカリ性洗剤組成物であって、 前記組成物は、少なくとも9.9のpHを有する使用溶液の形態で用いられる、色変化アルカリ性洗剤組成物。」 <相違点2-1> 「pH感受性染料」について、本件補正発明は、「アゾ染料」であるのに対し、引用発明2では、「アゾ染料」でなく、「フエノールフタレン33部メチルグリーン67部の混合比の指示薬」である点。 <相違点2-2> 「色変化アルカリ性洗剤組成物」は、本件補正発明では、「スルフェート又はスルホネート界面活性剤」を含まないのに対し、引用発明2では、「スルホネート界面活性剤」である「アルキルベンゼンスルフオン酸ソーダ」を含む点。 <相違点2-3> 「色変化アルカリ性洗剤組成物」が用いられる使用溶液のpHは、本件補正発明は、「少なくとも10」であるのに対し、引用発明2は、「9.9」である点。 イ 以下、引用発明2との相違点について検討する。 (ア)相違点2-1及び相違点2-3について まず、使用溶液のpHについて、引用発明2における使用溶液のpHは9.9であるところ、「一回使用でpHは9.4に洗滌力は94%に、2回使用でpHは8.7に洗滌力は89%に夫々低下した。そしてこれ以上のpHの低下即ち洗滌力の低下が起ると十分な洗滌効果は期し難い」ことが記載されている(摘示(2)イ(ア)e)。 また、引用文献2には、「例えば溶液のpHがほゞ9.5以上のとき完全な洗滌力を示し、それ以下では次第に洗滌力を減じ8.5附近になると適性効果を期し得ないような洗剤にフェノールフタレンを添加しておくと溶液の赤色はpH8.5附近において急に褪色して無色となり溶液中に浸出した汚れのみが目立つようになる。そしてこの時は前述のように洗剤力の低下の基だしくなつた時であるから洗濯している人はこれを視覚により感知し、洗剤を増量するなり或は溶液を取りかえるかすればよい。」とも記載されている(摘示(2)イ(ア)d)。 さらに、引用文献2には、アルカリ洗剤では洗浄力がアルカリ度に支配されること、pHの変化を視覚し得ると非常に都合がよいことが記載されており(摘示(2)イ(ア)b)、洗浄力の低下をpHの低下として、洗浄力の向上をpHの上昇として、視覚するものと認められる。 そうすると、引用発明2の洗剤組成物を、洗浄力の向上等を目的として、少なくとも10のpHを有する使用溶液に用いることも、当業者が容易に想到し得る事項であると認められる。 次に、pH指示薬の種類について、引用文献2には、pH指示薬について、上記摘示(2)イ(ア)b~cのとおり、「それぞれの洗剤にその最適の使用条件から外れる附近のpH価で変色する指示薬を添加し、溶液の変化により使用者にこの危険線を視覚認知させようとするものであ」ること、「本発明に使用し得る指示薬としては例えば次の如きものが挙げられる」として、「変色点が7.6-8.9、変色が黄-赤であるトロペオリン」が記載されている。 ここで、「トロペオリン」がアゾ系指示薬であることについては、摘示(2)ア(ア)dの第2頁右下欄第7-8行を参照されたい。また、「アゾ系指示薬」は、本件明細書段落0037の記載「pH指示薬(pH感受性染料)」のとおり、本件補正発明の「アゾ染料」に相当する。そして、引用発明2におけるpH指示薬は、「衣料の汚れ殊に垢汚れを完全に除去するには洗剤溶液のpHは少くとも8~9以上を要し、これ以下にpHが低下すると洗滌力も急激に低下し完全な洗濯は不可能となる」ことを、「使用者をして理想的な洗濯をなさしめるにはこの洗滌力低下の危険pH帯域を何等かの手段で知覚」させることを目的として配合されているから(摘示(2)イ(ア)a)、使用開始時の使用溶液のpHよりも低い10以下の変色域が必要であるところ、これらアゾ系指示薬の中には、上記摘示(2)ア(ア)dに例示のトロペオリンooo(pH7.4以下で灰色がかった淡赤色、pH8.8以上で薄黄緑色を呈する。化学大辞典6共立出版株式会社1963年発行縮刷版第572頁参照、上記摘示(2)イ(ア)cの「変色点が7.6-8.9、変色が黄-赤であるトロペオリン」)のように、pH10以下で変色するものがあることも技術常識である。 また、上記摘示(2)イ(ア)dのとおり、引用文献2にはさらに、「これ等の指示薬は単独で用いても数種併用してもよい。数種類の指示薬を併用すると、各指示薬独自の呈色の合成された色相が表われて変色するので変色を非常に狭いpH範囲で視覚し得る利点がある。例えば溶液のpHがほゞ9.5以上のとき完全な洗滌力を示し、それ以下では次第に洗滌力を減じ8.5附近になると適性効果を期し得ないような洗剤にフェノールフタレンを添加しておくと溶液の赤色はpH8.5附近において急に褪色して無色となり溶液中に浸出した汚れのみが目立つようになる。そしてこの時は前述のように洗剤力の低下の基だしくなつた時であるから洗濯している人はこれを視覚により感知し、洗剤を増量するなり或は溶液を取りかえるかすればよい。」とも記載されており、所望のpH範囲における変色の視覚化を目的として、引用文献2に代表的なものとして記載される、pH8.9に変色域のあるアゾ染料である「トロペオリン」を選択することに、当業者が格別の創意を要したものとは認められない。 以上まとめると、引用発明2において、洗剤組成物を、洗浄力の向上等を目的として、少なくとも10のpHを有する使用溶液に用いることは、当業者が容易に想到し得る事項であり、その際に、10以下のpHに変色域を有するような「アゾ系指示薬」を選択することにも、特段の困難性はないから、相違点2-1及び相違点2-3は、当業者が容易に想到し得たことである。 (イ)相違点2-2について 本件補正発明は、洗剤組成物に含まれる「界面活性剤」について、「前記組成物は、スルフェート又はスルホネート界面活性剤を含まず、」として、前記のとおり本件明細書に好適なアニオン性界面活性剤として記載される「スルフェート又はスルホネート界面活性剤」を含まないことを特定するにすぎず、「スルフェート又はスルホネート界面活性剤」以外の任意の界面活性剤を含有し得るものであることは、上記(3)イ(イ)で検討したとおりである。 引用文献2には、摘示(2)イ(ア)bのとおり、「酸洗剤、アルカリ洗剤等においてもその洗浄力は溶液の酸度、アルカリ度に支配されるのであるから、pHの変化を視覚し得ると非常に都合がよい」と記載されており(摘示(2)イ(ア)b)、特許請求の範囲に「1 pHの変化によつて使用条件の変化する洗剤組成物中に最適使用条件から外れる附近のpH価で変色する指示薬を含有せしめたる変色性洗剤」とされ(摘示(2)イ(ア)f)、「2 アルカリ性合成洗剤組成物中にpH8~9の間において変色する指示薬を含有せしめたる変色性洗剤」(摘示(2)イ(ア)b)と記載されていることからも、アルカリ性合成洗剤は、特定の界面活性剤を必須とするものではない。 そして、周知文献に記載されるとおり、陰イオン系、非イオン系の界面活性剤に、pH10程度のアルカリ性での使用に適した、衣料用洗剤の適用が広く知られており、「スルフェート又はスルホネート界面活性剤」を含まない、例えば、非イオン界面活性剤であるアルキル(ポリオキシエチレン)エーテルも、本願の優先日前に周知であった(摘示(2)ウ(ア)a~d)。 そうすると、洗剤に用いる界面活性剤の有無と種類の選択は、洗剤の組成を設定するにあたり、当業者が当然行う事項であるから、引用文献2に記載された「アルカリ性合成洗剤」として、周知のアルキル(ポリオキシエチレン)エーテル等の、「スルフェート又はスルホネート界面活性剤」以外のものを選択することは、当業者が当然試みるであろう設計事項であり、引用発明2において、「スルフェート又はスルホネート界面活性剤」を含まない組成とすることが、当業者にとって格別困難であったとはいえない。 (ウ)効果について a 本件補正発明の効果 本件明細書の段落0133に、「洗浄条件:1500ppmの市販のアルカリ性器物洗浄用洗剤、50ppmのアリザリンイエローR、5gpgの水硬度、187ppmの高温点汚れおよび62ppmの塩(塩化ナトリウム)、70℃の洗浄温度」と記載され、段落0134には、「結果を、図1、図2、および表1に示す。pH10.7(赤色)~10.1以下(黄色)で、赤色から黄色への色変化が観察される。表1は、サイクル3~45で記録されたpH値を示す。」として、「45サイクル試験」で、「3サイクルごとに試料を取り出し、色変化を観察し、pHを測定」した「結果」として、測定されたpHは、10.72から9.65までの数値の低下が記載され、「赤色から黄色への色変化が観察される」と記載されている。 ここで、本件明細書の段落0129の「実施例1 対照:Ecolabから市販されているアルカリ性器物洗浄用洗剤 試験:市販のアルカリ性器物洗浄用洗剤+アリザリンイエローR」の記載に基づいて、本件明細書の他の箇所を参照しても、具体的に用いられた「アルカリ性器物洗浄用洗剤」における界面活性剤の有無と種類は、特定されていない。 b 引用発明2の効果 引用発明2である実施例では、「アルカリ性合成洗剤は、適性使用濃度におけるpHは9.9を示すが一回使用でpHは9.4に洗滌力は94%に、2回使用でpHは8.7に洗滌力は89%に夫々低下した。そしてこれ以上のpHの低下即ち洗滌力の低下が起ると十分な洗滌効果は期し難い。しかし一般使用者がこの点を知る目安はない。本例においてはフエノールフタレン33部メチルグリーン67部の混合比の指示薬をアルコール溶液として洗剤に対して0.05%加えた。然る処この指示薬を添加した洗剤の溶液は鮮かな紫色を呈したが使用につれpHが低下し8.8附近に達すると急激に変色し固有変色の濃紺と汚れの色とが合わさつて汚ない濃黒紺色となり、これ以上の洗滌が危険であることを明かに示した」(摘示(2)イ(ア)e)のであり、引用発明2について、pH感受性染料としてアゾ染料を、アルカリ性洗剤として「スルフェート又はスルホネート界面活性剤」以外のものを、それぞれ選択し、少なくとも10のpHを有する使用溶液に用いた場合にも、pHの低下に伴い、色変化が観察されることは、当然予想される効果であると認められる。 ウ 小括 そうすると、本件補正発明の効果は、当業者の予測できた範囲内のものであると認められる。 (5)請求人の主張について ア 審判請求書の引用文献1についての主張 請求人は、「引用文献1には、メタケイ酸ナトリウムなどのアルカリ性源とpH指示薬とを含むアルカリ性洗剤組成物が記載されています。pH指示薬としては、アゾ染料であるアリザリンイエローR等であってもよいことが記載されています。しかしながら、引用文献1の実施例のアルカリ性洗剤組成物は、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを250部含み(4頁右上欄~左下9行)、組成物が「スルフェート又はスルホネート界面活性剤を含まず」という構成を有すべきことは記載又は示唆されていません。さらに、引用文献1には、組成物が「少なくとも10のpHを有する使用溶液の形態で用いられる」ことは記載又は示唆されていません。例えば、引用文献1の実施例のアルカリ性洗浄剤組成物のpHは9.8であり、少なくとも10のpHを有する洗浄剤組成物は開示されていません(5頁左上欄17~20行)。」 として、本件補正発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないと主張している。 しかしながら、上記主張の「「スルフェート又はスルホネート界面活性剤を含まず」という構成」は上記(イ)で、「「少なくとも10のpHを有する使用溶液の形態で用いられる」こと」は上記(ウ)で、それぞれ検討したとおりであり、上記主張は採用できない。 以上のとおりであるから、審判請求書における請求人の主張を検討しても、本件補正発明は引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 審判請求書の引用文献2についての主張 請求人は、「引用文献2には、トリポリリン酸ナトリウムなどのアルカリ性源と、アゾ染料であるトロペオリンなどのpH指示薬とを含むアルカリ性洗剤組成物が記載されています。しかしながら、引用文献2もまた、組成物がスルフェート又はスルホネート界面活性剤を含まず、少なくとも10のpHを有する使用溶液の形態で用いられることを記載又は示唆していません。より具体的には、引用文献2の実施例のアルカリ性洗浄剤組成物は、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを30重量%含み、pHは9.9です(2頁右欄11~14行)。」として、本件補正発明は、引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないと主張している。 しかしながら、上記主張の「スルフェート又はスルホネート界面活性剤を含まず」という構成は上記(イ)で、「少なくとも10のpHを有する使用溶液の形態で用いられること」は上記(ウ)で、それぞれ検討したとおりであり、上記主張は採用できない。 ウ 上申書の主張 請求人は、請求項1の「色変化アルカリ性洗剤組成物」について「かつ、リンを含まず、」との規定する補正の準備があるとの趣旨の主張をしている。 しかしながら、このような補正は審判請求時にされるべきものであるから、当該主張は採用できない。また、仮に採用したとしても、本件補正発明において、「トリポリリン酸ソーダ」を、リンを含まない他のアルカリビルダーに置換することを妨げる特段の事情は存在しないから、本件補正発明を請求人主張のとおりに補正したとしても、上記した拒絶理由は解消しない。 したがって、請求人の主張は採用できない。 エ 以上のとおりであるから、審判請求書における請求人の主張を検討しても、本件補正発明は引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (6)小括 したがって、上記(3)及び(4)において検討したとおり、本件補正発明は、引用文献1、または、引用文献2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和5年12月20日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~22に係る発明は、令和5年6月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~22に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶理由は、請求項1に係る発明(本願発明)に対する、拒絶理由2(進歩性)として、以下の理由が含まれている。 この出願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開昭51-20905号公報 2.特公昭42-14636号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1~2の記載事項、及び周知文献の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)ア 引用文献1、イ 引用文献2、及びウ 周知文献にそれぞれ記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2(1)で検討したとおり、本件補正発明の「組成物」の使用形態について、「少なくとも10のpHを有する使用溶液の形態で用いられる」とした特定を削除するものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む本件補正発明は、前記第2の[理由]2(3)ア、及び(4)アに記載したとおり、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本願発明の発明特定事項を全て含む本件補正発明は、前記第2の[理由]2(3)イ、及び(4)イに記載したとおり、引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-021642

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決51件(エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド)
  • 2025-009146拒絶査定不服審判 / 2026-08-05 / 原査定取消(特許/登録すべき)原油の生産および処理に使用するための抗汚染組成物
    同じ当事者: エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
  • 2025-001165拒絶査定不服審判 / 2026-07-28 / 原査定取消(特許/登録すべき)構造化アルコキシル化シロキサンを含む起泡性アルコール/水混合組成物
    同じ当事者: エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
  • 2024-008678拒絶査定不服審判 / 2026-07-14 / 原査定取消(特許/登録すべき)高濃縮液体配合物における粘弾性を制御するためのEO/POブロックコポリマー界面活…
    同じ当事者: エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
  • 2024-012205拒絶査定不服審判 / 2026-04-21 / 原査定取消(特許/登録すべき)分枝状ポリアミンを使用してリップスティックを除去するための組成物および方法
    同じ当事者: エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
  • 2024-002170拒絶査定不服審判 / 2026-03-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)殺ウイルス有効性に対するアニオン性界面活性剤の影響
    同じ当事者: エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
検索でもっと見る →
同じ根拠条文の審決7,656件(特許法29条2項)
  • 2025-002345拒絶査定不服審判 / 2026-03-19 / 請求不成立グラフトコポリマー及び有益剤を含有する洗濯洗剤組成物
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2023-013846拒絶査定不服審判 / 2025-08-21 / 請求不成立低レベルの中鎖から長鎖の直鎖アルコールを有する高発泡洗剤用の界面活性剤パッケージ
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2022-010134拒絶査定不服審判 / 2024-06-11 / 請求不成立界面活性剤として適した組成物
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2022-003785拒絶査定不服審判 / 2024-06-04 / 請求不成立水解性洗浄材
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2022-003123拒絶査定不服審判 / 2023-11-14 / 請求不成立アルカリ性洗剤の金属保護を強化するためのアミノカルボキシレートの使用
    共通の条文: 特許法29条2項
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)223件(121・C11D)
  • 2025-007301拒絶査定不服審判 / 2026-08-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)凍結融解安定性の油中水型乳化洗浄剤及び/又は研磨組成物
    共通の審決分類: 121・C11D
  • 2024-018732拒絶査定不服審判 / 2026-08-12 / 原査定取消(特許/登録すべき)繊維製品用洗浄剤キット、繊維製品用洗浄剤組成物、及び繊維製品の洗浄方法
    共通の審決分類: 121・C11D
  • 2024-020868拒絶査定不服審判 / 2026-08-12 / 原査定取消(特許/登録すべき)消泡剤及び非イオン性界面活性剤を含む低粘度液体洗剤組成物
    共通の審決分類: 121・C11D
  • 2025-002911拒絶査定不服審判 / 2026-08-05 / 原査定取消(特許/登録すべき)高いコア:壁比を有する送達粒子を含む消費者製品
    共通の審決分類: 121・C11D
  • 2025-009846拒絶査定不服審判 / 2026-08-04 / 原査定取消(特許/登録すべき)異性化糖の使用により洗浄剤組成物の起泡特性を増大させる方法
    共通の審決分類: 121・C11D

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存