2021-008588
ユーザ機器装置が基地局からのMACメッセージを要求するための方法
- 審判番号
- 2021-008588
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-176388外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年06月30日
- 審決日
- 2022年08月10日
- 公報発行日
- 2022年09月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】京セラ株式会社
- 【請求人代理人】キュリーズ特許業務法人
- 分類
- P18 .113-WY (H04W) / P18 .121-WY (H04W) / P18 .537-WY (H04W)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
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本願は、2017年(平成29年)10月10日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2016年10月11日 アメリカ合衆国(US)、2016年10月12日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする特願2019-518976号の一部を令和2年10月21日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年10月21日 上申書の提出
令和2年11月11日付け 拒絶理由通知書
令和3年 1月20日 意見書の提出
令和3年 3月26日付け 拒絶査定
令和3年 6月30日 審判請求書の提出
令和4年 2月22日付け 拒絶理由通知書(当審)
令和4年 4月25日 意見書及び手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和3年3月26日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
理由1.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
理由1(サポート要件)、理由2(明確性)について
・請求項1-9
請求項1の「制御情報」の具体的内容が不明瞭である。
請求項において、「制御情報」がどのような内容であるのか、具体的に示されたい。
また、発明の詳細な説明の段落[0030]には「RRC接続再構成メッセージを受信すると、UE装置106は、MAC(Media Access Control)メッセージをターゲット基地局104がUE装置106に送信するという要求を生成する。いくつかの例では、要求は、ターゲット基地局104に送信されることになるMAC PDU(Protocol Data Unit)のサブヘッダに位置するLCID(Logical Channel Identifier)を含む。」と記載され、段落[0031]には「いくつかの例では、LCID自体が、ターゲット基地局104がUE競合解決識別MAC制御要素などの特定のMAC制御要素を送信することを要求するように定義される。」と記載されており、発明の詳細な説明には、ユーザ装置が、UE競合解決識別MAC制御要素を要求するために、LCID(制御情報)を送信することが開示されているといえる。
一方、請求項1には「ソース基地局からターゲット基地局へのユーザ機器(UE)装置のRACH(Random Access Channel)レスハンドオーバ手順において、前記UE装置が、前記ターゲット基地局に対して、制御情報を送信すること」、「前記UE装置が、前記制御情報の送信に応じて、UE競合解決識別MAC(Media Access Control)制御要素を前記ターゲット基地局から受信すること」と記載されている。
ここで、請求項1の「制御情報」には、制御情報の内容を特定する事項が付加されていないから、請求項1の「制御情報」が、LCID以外の情報も含まれることは技術常識である。
してみると、出願時の技術常識に照らしても、請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
請求項1と同様の記載が存在する請求項4、7、及び、これらを引用する請求項2-3、5-6、8-9も同様である。
よって、請求項1-9に係る発明は明確でなく、発明の詳細な説明に記載したものでない。
第3 当審拒絶理由の概要
令和4年2月22日付けの拒絶理由通知書で通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
理由1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
・請求項1ないし9に対して、引用文献1
<優先権主張について>
本願は、米国特許出願第62/406721号(優先日2016年10月11日)及び米国特許出願第62/407243号(優先日2016年10月12日)を優先権主張の基礎とする優先権主張を伴う出願であるが、優先権主張の基礎となるいずれの出願にも、本願の請求項1ないし9に係る発明は記載されていない。
優先権主張の基礎となるいずれの出願においても、RACHレスハンドオーバ手順において、eNBがUEに対してRAR message又はMAC messageを送信すること、すなわち、UEがRAR message又はMAC messageをeNBから受信することは記載されているものの、本願の請求項1ないし9に係る発明の特に「UE競合解決識別MAC(Media Access Control)制御要素」を受信又は送信することは記載されていない。
したがって、本願の請求項1ないし9に係る発明について、優先権主張の効果は認められず、特許法第29条に係る規定の適用にあたっては、判断の基準日を原出願の出願日である2017年10月10日とした。
引用文献等一覧
1.3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN); Overall description; Stage 2 (Release 14),3GPP TS 36.300 V14.4.0 (2017-09),2017年9月25日アップロード,インターネット <URL:https://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/36_series/36.300/36300-e40.zip>(以下、「引用文献1」という。)
第4 本願発明
本願の請求項1ないし9に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明9」という。)は、令和4年4月25日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】ソース基地局からターゲット基地局へのユーザ機器(UE)装置のRACH(Random Access Channel)レスハンドオーバ手順において、前記UE装置が、前記ターゲット基地局に対して、制御情報を送信することと、前記UE装置が、前記制御情報の送信に応じて、前記RACHレスハンドオーバ手順を完了するためのMAC(Media Access Control)情報を前記ターゲット基地局から受信することと、を含む方法。【請求項2】続きを表示(全28行)前記ターゲット基地局が、前記制御情報を前記UE装置から受信することに応じて、前記MAC情報を前記UE装置に送信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。【請求項3】前記UE装置が、前記MAC情報を受信したとき、前記RACHレスハンドオーバ手順を完了することをさらに含む、請求項1に記載の方法。【請求項4】ユーザ機器(UE)装置を含み、前記UE装置は、ソース基地局からターゲット基地局への前記UE装置のRACH(Random Access Channel)レスハンドオーバ手順において、前記ターゲット基地局に対して、制御情報を送信する送信部と、前記制御情報の送信に応じて、前記RACHレスハンドオーバ手順を完了するためのMAC(Media Access Control)情報を前記ターゲット基地局から受信する受信部と、を備える、システム。【請求項5】前記ターゲット基地局は、前記制御情報を前記UE装置から受信することに応じて、前記MAC情報を前記UE装置に送信する送信部を備える、請求項4に記載のシステム。【請求項6】前記UE装置は、さらに、前記MAC情報を受信したとき、前記RACHレスハンドオーバ手順を完了する制御部を備える、請求項4に記載のシステム。【請求項7】ユーザ機器(UE)装置であって、ソース基地局からターゲット基地局へのユーザ機器(UE)装置のRACH(Random Access Channel)レスハンドオーバ手順において、前記ターゲット基地局に対して、制御情報を送信する送信部と、前記制御情報の送信に応じて、前記RACHレスハンドオーバ手順を完了するためのMAC(Media Access Control)情報を前記ターゲット基地局から受信する受信部と、を含む、UE装置。【請求項8】ユーザ機器(UE)装置を制御するプロセッサであって、ソース基地局からターゲット基地局へのユーザ機器(UE)装置のRACH(Random Access Channel)レスハンドオーバ手順において、前記ターゲット基地局に対して、制御情報を送信する処理と、前記制御情報の送信に応じて、前記RACHレスハンドオーバ手順を完了するためのMAC(Media Access Control)情報を前記ターゲット基地局から受信する処理と、を実行する、プロセッサ。【請求項9】基地局であって、ユーザ機器(UE)装置を他の基地局から前記基地局へのRACH(Random Access Channel)レスハンドオーバ手順において、前記UE装置から制御情報を受信する受信部と、前記制御情報の受信に応じて、前記RACHレスハンドオーバ手順を完了するためのMAC(Media Access Control)情報を前記UE装置に送信する送信部と、を含む、基地局。」
第5 原査定について
1 理由1(サポート要件)について
(1)本願発明1について
本件補正後の請求項1には、「制御情報」について、以下の記載がある。
「ソース基地局からターゲット基地局へのユーザ機器(UE)装置のRACH(Random Access Channel)レスハンドオーバ手順において、前記UE装置が、前記ターゲット基地局に対して、制御情報を送信すること」
この記載によれば、請求項1の「制御情報」は、RACH(Random Access Channel)レスハンドオーバ手順において、UE装置がターゲット基地局に対して送信するものである。
また、本件補正後の請求項1には、「制御情報」について、以下の記載がある。
「前記UE装置が、前記制御情報の送信に応じて、前記RACHレスハンドオーバ手順を完了するためのMAC(Media Access Control)情報を前記ターゲット基地局から受信すること」
この記載によれば、請求項1の「制御情報」は、その送信に応じて、UE装置がRACHレスハンドオーバ手順を完了するためのMAC(Media Access Control)情報をターゲット基地局から受信するものである。
これに対し、発明の詳細な説明には、本件補正後の請求項1における「制御情報」に関連して、以下の記載がある。
ア 「【0004】ハンドオーバ手順がRACH手順を含まない場合(RACHレスハンドオーバ)に、ソース基地局からターゲット基地局へのハンドオーバを実行するために、UE装置は、ターゲット基地局がMAC(Media Access Control)メッセージを送信すべきであるという要求を生成する。」
イ 「【0030】RRC接続再構成メッセージを受信すると、UE装置106は、MAC(Media Access Control)メッセージをターゲット基地局104がUE装置106に送信するという要求を生成する。」
ウ 「【0035】・・・(中略)・・・UE装置106は、・・・(中略)・・・ターゲット基地局104に要求を送信する。」
エ 「【0036】ターゲット基地局104は、・・・(中略)・・・要求を受信する。要求を受信すると、ターゲット基地局104は、受信した要求に従ってMACメッセージを生成するために制御部204を利用する。」
オ 「【0037】ターゲット基地局104は、・・・(中略)・・・要求されたMACメッセージを含むMACメッセージ・・・(中略)・・・をUE装置106に送信する。・・・(中略)・・・UE装置106は、・・・(中略)・・・MACメッセージを受信する。UE装置106が要求されたMACメッセージをいつ受信するかに少なくとも部分的に基づいて、ハンドオーバ手順(例えば、ソース基地局102からターゲット基地局104へ)がUEデバイス106に対していつ完了するかを判定するために、UE装置は制御部204を使用する。」
上記「ア」ないし「オ」の記載によれば、RACHレスハンドオーバにおいて、UE装置106は、ターゲット基地局104に対して、ターゲット基地局104がMACメッセージを送信するという「要求」を送信することにより、MACメッセージをターゲット基地局104から受信するものである。そして、当該MACメッセージは、その受信に基づいてハンドオーバ手順の完了を判定するものである。
さらに、上記「要求」について、発明の詳細な説明には以下の記載がある。
カ 「【0030】・・・(中略)・・・いくつかの例では、要求は、ターゲット基地局104に送信されることになるMAC PDU(Protocol Data Unit)のサブヘッダに位置するLCID(Logical Channel Identifier)を含む。」
キ 「【0031】いくつかの例では、LCID自体が、ターゲット基地局104がUE競合解決識別MAC制御要素などの特定のMAC制御要素を送信することを要求するように定義される。」
ク 「【0031】・・・(中略)・・・要求は、サブヘッダ(例えば、サブヘッダ2)と、RRC接続再構成完了メッセージを含む対応するMAC SDU 330とを含む同じMAC PDU320で送信されてもよい。」
ケ 「【0031】・・・(中略)・・・他の例では、RRC接続再構成完了メッセージなどのRRCメッセージは、ターゲット基地局104が特定のMACメッセージを送信すべきであることを暗黙的に要求するために使用される。」
上記「カ」及び「キ」の記載によれば、送信される上記「要求」の一例は、「LCID」を含むものであり、「LCID」は、特定のMACメッセージを送信するという動作を要求する情報であるから、制御情報といえる。
また、上記「ク」の記載によれば、送信される上記「要求」の他の例は、「サブヘッダ(例えば、サブヘッダ2)と、RRC接続再構成完了メッセージを含む対応するMAC SDU 330とを含む同じMAC PDU320」であり、「サブヘッダ(例えば、サブヘッダ2)と、RRC接続再構成完了メッセージを含む対応するMAC SDU 330とを含む同じMAC PDU320」は、特定のMACメッセージを送信するという動作を要求する情報である制御情報を含むといえる。
また、上記「ケ」の記載によれば、送信される上記「要求」の更に他の例は、「RRC接続再構成完了メッセージなどのRRCメッセージ」であり、「RRC接続再構成完了メッセージなどのRRCメッセージ」は、特定のMACメッセージを送信するという動作を要求する情報である制御情報を含むといえる。
以上のことから、上記「要求」は、RACHレスハンドオーバ手順において、UE装置がターゲット基地局に対して送信するものであるとともに、上記「要求」の送信に応じて、UE装置がRACHレスハンドオーバ手順を完了するためのMACの情報をターゲット基地局から受信するものである。また、上記「要求」は、特定のMACメッセージを送信するという動作を要求する情報である制御情報を含むといえる。したがって、上記「要求」の送信は、請求項1における「制御情報」の送信に対応するものであり、上記「要求」に含まれる、特定のMACメッセージを送信するという動作を要求する情報である制御情報は、請求項1における「制御情報」に対応するものである。
そして、当該特定のMACメッセージを送信するという動作を要求する情報である制御情報の具体例として、上記「カ」ないし「ケ」に複数の例が記載されているから、これらを包括した記載として「制御情報」とすることは、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えるものであるとはいえない。
したがって、出願時の技術常識に照らしても、請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない、ということはできない。
よって、本願発明1は、発明の詳細な説明に記載したものである。
(2)本願発明2ないし9について
本願発明2ないし9は、本願発明1と同様の「制御情報」に係る発明特定事項を備えるものであり、本願発明1と同様に、本願発明2ないし9は、発明の詳細な説明に記載したものである。
2 理由2(明確性)について
本件補正後の請求項1には「制御情報」との記載があるが、請求項1の「前記UE装置が、前記制御情報の送信に応じて、前記RACHレスハンドオーバ手順を完了するためのMAC(Media Access Control)情報を前記ターゲット基地局から受信する」との記載によれば、「制御情報」は、その送信に応じてMAC情報をターゲット基地局から受信するものであるから、MAC情報の送信を要求する制御情報であることが明らかであり、その内容は明確である。したがって、本願発明1は、明確である。
また、本願発明2ないし9は、本願発明1と同様の「制御情報」に係る発明特定事項を備えるものであり、本願発明1と同様に、本願発明2ないし9は、明確である。
3 まとめ
したがって、原査定の理由1及び2は、いずれも維持することができない。
第6 当審拒絶理由について
当審拒絶理由では、優先権主張の効果は認められないとした上で、請求項1ないし9に係る発明は、引用文献1に記載された発明であり、また引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨を通知している。
これに対して、本件補正により、本件補正前の請求項1における「UE競合解決識別MAC(Media Access Control)制御要素を前記ターゲット基地局から受信する」との記載は、「前記RACHレスハンドオーバ手順を完了するためのMAC(Media Access Control)情報を前記ターゲット基地局から受信する」との記載に補正された。また、請求項4、7ないし9についても同様に補正された。
この結果、本願発明1ないし9は、優先権主張の基礎となる米国特許出願第62/406721号(優先日2016年10月11日)に記載されているものとなったため、優先権主張の効果が認められるものとなった。
そして、当審拒絶理由の引用文献1は、本願優先日の後に公知となったものであるから、引用文献1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号及び第2項における「特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明」には当たらない。
したがって、この拒絶の理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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