2021-004949
断熱箱体
- 審判番号
- 2021-004949
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-161180外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年04月16日
- 審決日
- 2022年04月06日
- 公報発行日
- 2022年07月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】東芝ライフスタイル株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人 サトー国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (F25D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 14項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成24年6月28日に出願された特願2012-145406号の一部を平成28年7月26日に新たな特許出願(特願2016-146295号)とし、その一部を平成30年2月7日に新たな特許出願(特願2018-20024号)とし、さらにその一部を令和1年9月4日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年7月30日付け 拒絶理由通知
令和2年10月1日 意見書、手続補正書の提出
令和3年1月21日付け 拒絶査定
令和3年4月16日 審判請求書、同時に手続補正書の提出
令和4年1月5日付け 当審による拒絶理由通知
令和4年2月10日 意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、令和4年2月10日の手続補正により補正された特許請求の範囲からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりものである。
「【請求項1】矩形箱状に形成されて一面が開口している内箱と、矩形箱状に形成されて一面が開口している外箱との間に予め形成された真空断熱パネルおよび現場発泡により充填される発泡断熱材を設けて構成される断熱壁を備え、前面が開口し上下方向に長い矩形箱状をなす断熱箱体であって、前記断熱壁は、前記発泡断熱材が前記真空断熱パネルよりも薄くなっているとともに、前記真空断熱パネルが存する部位において局部的に前記発泡断熱材の断面積を大きくした複数の断面積増大部が設けられており、前記断面積増大部は、断熱箱体において棚を設置するための棚保持部、収納容器を保持するための容器保持部、あるいは、収納室を仕切る仕切部となるものであり、前記開口側の端部が、前記真空断熱パネルの前記開口側の端部まで到達しないとともに、前記開口側とは逆側の端部が、前記内箱の背面まで到達しており、前記外箱の背面において前記断面積増大部から上下方向にずれた位置に前記発泡断熱材の原液を注入する注入口が設けられており、前記真空断熱パネルの前記外箱側の面に、当該真空断熱パネルの厚みの範囲内となる大きさで放熱パイプを通すための凹部を形成し、当該真空断熱パネルと外箱との間に、断熱箱体の上下方向に延びて配設される前記放熱パイプを通している断熱箱体。」
第3 当審による拒絶理由
(進歩性)本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用例に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用例一覧>
1.特開2005-283059号公報
2.実願昭58-82482号(実開昭59-186788号)のマイクロフィルム
3.実願昭57-194243号(実開昭59-98292号)のマイクロフィルム
4.特開2008-75944号公報
・請求項1
・引用例1ないし4
請求項1に係る発明は、引用例1に記載された発明、引用例2及び引用例3にみられるような周知技術1、引用例2ないし引用例4にみられるような周知技術2、及び引用例4の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 当審の判断
1.引用例1
当審による拒絶理由に引用され、本願の原々々出願前に頒布された引用例1(特開2005-283059号公報)には、「冷蔵庫」に関して以下の記載がある(下線は理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)。
(1)引用例1の記載
ア「【0018】
断熱箱体21には、前面を開口した複数の貯蔵室が形成されている。これらの貯蔵室は、冷蔵室、野菜室、冷凍室、アイスボックスに区画形成され、庫内に配置された冷却器によりそれぞれに適した所定の低温温度に冷却される。なお、断熱箱体の壁厚は、20mm~50mm程度である。
【0019】
断熱扉は図示していないが、各貯蔵室の前面開口を開閉するように設けられている。断熱扉は、断熱箱体21と同様に、金属製の外箱と合成樹脂製の内箱と、外箱の内側に接着剤により貼り付けられた複数の真空断熱パネルと、外箱と内箱との間に充填された発泡断熱材とからなっている。ここで、発泡断熱材24は、例えば硬質ウレタンフォーム、フェノールフォームやスチレンフォーム等の硬質樹脂フォームが例示される。
【0020】
この中で、シクロペンタン及び水を混合発泡剤とする硬質ポリウレタンフォームが好ましい。硬質ポリウレタンフォームは、ポリオールを基本原料として、発泡剤、整泡剤、反応触媒の存在下でイソシアネートを反応させて得られるものである。
【0021】
真空断熱パネル1は、コア材3と、吸着部材4と、コア材3及び吸着部材4を収納し且つガスバリヤ性フィルムからなる外被材2とを備えて構成されている。この真空断熱パネル1は、コア材3と吸着部材4とを外被材2に挿入した状態で、外被材2の内部を減圧し、外被材2の周縁部を熱融着することにより封止することによって作製されている。真空断熱パネル1の形状は、特に限定されず、適用される箇所と作業性に応じて各種形状及び厚さのものが適用可能である。」
イ「【0039】
上記の仕様、条件に基づいて作製した真空断熱パネル1を上記の接着剤7の塗布条件で外箱22に配設した後、1昼夜常温(5~10℃)環境に立掛けて放置し、その後60℃恒温室に立掛けて放置して、真空断熱パネル1の剥れ具合を検討した。その結果を表2に示す。60℃恒温室放置10時間放置後まで、隙、剥れ、落下がなく、貼りつけ固定状態は良好であった。
【0040】
また、上記の条件で真空断熱パネル1に接着剤7を塗布して貼りつけ固定した外箱22を前組し、発泡断熱材24を注入した断熱箱体21は、真空断熱パネル1の外箱22からの剥れが生じないため、外観が良好であった。」
ウ「【0047】
1…真空断熱パネル、2…外被材、3…コア材、4…吸着部材、5…吸着剤、6…包装材、7…本発明で用いた接着剤、8…従来用いられてきた接着剤、9…接着層、21…断熱箱体、22…外箱、23…内箱、24…発泡断熱材。」
エ
[図:0001385786000001.jpg]
[図:0001385786000002.jpg]
(2)引用例1の記載から分かること
ア 上記(1)アの段落【0021】の記載から、真空断熱パネル1は、予め形成されたものであることが分かる。
イ 上記(1)エの図1の記載から、断熱箱体21は、上下方向に長い矩形箱状に形成されて一面が開口している内箱23及び外箱22を備えることが分かる。
ウ 上記(1)イの段落【0040】、及び上記(1)エの図2の記載を併せみると、内箱23と外箱22との間において、予め形成した真空断熱パネル1を外箱22に貼り付け固定して前組した後に、発泡断熱材24を注入して断熱箱体21を構成することが分かる。
エ 上記(1)エの図2の記載から、断熱箱体の壁において、発泡断熱材24が真空断熱パネル1よりも薄くなっているとともに、真空断熱パネル1が存在する部位において、局部的に発泡断熱材24の断面積を大きくした複数の断面積増大部が設けられていることが分かる。
(3)引用発明
上記(1)及び(2)からみて、引用例1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「矩形箱状に形成されて一面が開口している内箱23と、矩形箱状に形成されて一面が開口している外箱22との間に予め形成された真空断熱パネル1および外箱22に真空断熱パネル1を貼りつけ固定して前組した後に充填される発泡断熱材24を設けて構成される断熱箱体21の壁を備え、前面が開口し上下方向に長い矩形箱状をなす断熱箱体21であって、断熱箱体21の壁は、発泡断熱材24が真空断熱パネル1よりも薄くなっているとともに、真空断熱パネル1が存する部位において局部的に発泡断熱材24の断面積を大きくした複数の断面積増大部が設けられている、断熱箱体21。」
2.引用例2
当審による拒絶理由に引用され、本願の原々々出願前に頒布された引用例2(実願昭58-82482号(実開昭59-186788号)のマイクロフィルム)には、「断熱箱体」に関して以下の記載がある。
(1)引用例2の記載
ア「(イ) 産業上の利用分野
本考案は側壁に棚受等のリブを一体形成した合成樹脂製内箱を備えた断熱箱体に関する。」(明細書第1ページ第16ないし18行)
イ「(ニ) 実施例
(1)は前面開口の縦長直方体状である短形状の断熱箱体で、第2図の冷蔵庫などの本体として用いられ、長手方向の相対向した一対の側壁、即ち左右側壁(2A)(2A)に棚受等のリブ(6)を内方に突出形成した前面開口の合成樹脂製内箱(2)と、内箱(2)を組込んだ前面開口の金属製外箱(3)と、内箱(2)と外箱(3)との間隔内に現場発泡にて充填した断熱材(4)とより構成している。内箱(2)は真空成形等で成形されるが、断熱材(4)中に含まれるフロンガスにて侵蝕される材質の場合には外側に耐フロン性のポリエチレン袋(5)が被せられて断熱材(4)が充填される。外箱(3)の背壁の左右端部寄りで上下の中央部付近には内箱(2)と外箱(3)とのそれぞれの左右側壁間の間隔に対応して注入口(7)(7)が形成されており、内箱(2)と外箱(3)とを組合わせたものを開口を下にした状態でこの注入口(7)(7)に発泡機の注入ノズル(8)(8)が挿通されてこのノズルから前記左右両側壁間の間隔に発泡性断熱材の原液が吐出される。」(明細書第3ページ第4行ないし第4ページ第2行)
ウ
[図:0001385786000003.jpg]
[図:0001385786000004.jpg]
3.引用例3
当審による拒絶理由に引用され、本願の原々々出願前に頒布された引用例3(実願昭57-194243号(実開昭59-98292号)のマイクロフィルム)には、「断熱箱体」に関して以下の記載がある。
(1)引用例3の記載
ア「従来例の構成を第1図~第3図に従って説明する。図において、1はプラスチックで真空成形された内箱2と、鉄板よりなる内箱2をとりまく外箱と、及び両箱2,3間に注入発泡してなる硬質ウレタンフォームの発泡断熱材4とから形成される断熱箱体である。5は外箱3の背面に配設した左右対象の2つの注入口で、発泡機ヘッド6より硬質ウレタンフォーム原料が注入される。前記内箱2の側壁には内方に突出した棚受け7が一体で構成され、断熱材4側からみると深い溝8が形成されている。そして、両箱2,3間に断熱材4を充填発泡するとき、注入口5を上面に向けて、注入口5より発泡機ヘッド6で硬質ウレタンフォーム原料が注入される。」(明細書第1ページ第16行ないし第2ページ第9行)
イ
[図:0001385786000005.jpg]
[図:0001385786000006.jpg]
4.引用例4
当審による拒絶理由に引用され、本願の原々々出願前に頒布された引用例4(特開2008-75944号公報)には、「冷蔵庫」に関して以下の記載がある。
(1)引用例4の記載
ア「【0015】
図1は本発明にかかる要部の仕切部材取付部分とドアヒンジ用の取付け金具部分を示した概要説明図で場所は図3のA部とB部に該当する。図2は仕切部材取付部分とドアヒンジ用の取付け金具部分を斜め背面からみた概要説明図、図3は冷蔵庫本体を示した概要説明図をそれぞれ示している。
【0016】
冷蔵庫本体1は図2、図3で示す如く外箱3と内箱5とで構成され、外箱3は天井パネル3a,背面パネル3b、両側面パネル3cとからなる形状となっている。
【0017】
内箱5は合成樹脂の材質で一体成形され、天井部5a,底面部5b,背面部5c,両側面部5dとからなり、前方が大きく開放された形状となっている。外箱3と内箱5の前方合わせ目9は内側からシール材によってシールされる一方、内部空間内には断熱材(図示していない)が全領域にわたって充填されている。
【0018】
断熱材は充填時は流動性で一定時間経過後に発泡,硬化するようウレタンフォーム等が用いられている。
【0019】
内箱5には、両サイドに棚板取付け用の凹凸に形成された棚板取付部5eと後述する仕切部材取付部21が設けられる一方、仕切部材11と仕切壁13がそれぞれ後付けによって取付けられている。したがって、仕切部材11と仕切壁13とによって第1、第2、第3の庫内15、17、19が構成され、第3の庫内19は仕切壁13によって独立した庫内に作られている。
【0020】
仕切部材11は角柱状に形成され両端は、内箱5から内部空間内にL形状に突出した仕切部材取付部21に取付けねじ23によって固定支持されている。
【0021】
仕切部材取付部21は、図1に示すように外箱3の背面パネル3bに設けられた注入口25からの断熱材原液を直接受け止め矢印イの如く上方及び下方へ向けて誘導する断熱材誘導受面27を備えている。」
イ
【図1】
[図:0001385786000007.jpg]
【図2】
[図:0001385786000008.jpg]
【図3】
[図:0001385786000009.jpg]
【図6】
[図:0001385786000010.jpg]
5.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明における「内箱23」は、本願発明における「内箱」に相当し、以下同様に、「外箱22」は「外箱」に、「真空断熱パネル1」は「真空断熱パネル」に、「発泡断熱材24」は「発泡断熱材」に、「断熱箱体21」は「断熱箱体」に、「断熱箱体21の壁」は「断熱壁」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明における「外箱22に真空断熱パネル1を貼りつけ固定して前組した後に充填される」、「発泡断熱材24」は、本願発明における「現場発泡により充填される」「発泡断熱材」に相当する。
したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
「矩形箱状に形成されて一面が開口している内箱と、矩形箱状に形成されて一面が開口している外箱との間に予め形成された真空断熱パネルおよび現場発泡により充填される発泡断熱材を設けて構成される断熱壁を備え、前面が開口し上下方向に長い矩形箱状をなす断熱箱体であって、前記断熱壁は、前記発泡断熱材が前記真空断熱パネルよりも薄くなっているとともに、前記真空断熱パネルが存する部位において局部的に前記発泡断熱材の断面積を大きくした複数の断面積増大部が設けられている断熱箱体。」
[相違点1]
本願発明においては、「前記断面積増大部は、断熱箱体において棚を設置するための棚保持部、収納容器を保持するための容器保持部、あるいは、収納室を仕切る仕切部となるものであり、前記開口側の端部が、前記真空断熱パネルの前記開口側の端部まで到達しないとともに、前記開口側とは逆側の端部が、前記内箱の背面まで到達して」いるのに対して、引用発明においては、断面積増大部が、断熱箱体において棚を設置するための棚保持部、収納容器を保持するための容器保持部、あるいは、収納室を仕切る仕切部であるのか不明であるとともに、断面積増大部の内箱23の開口側の端部と真空断熱パネル1の開口側端部との位置関係、及び断面積増大部の開口側とは逆側の端部と内箱23の背面との位置関係が不明である点。
[相違点2]
本願発明においては、「前記外箱の背面において前記断面積増大部から上下方向にずれた位置に前記発泡断熱材の原液を注入する注入口が設けられて」いるのに対して、引用発明においては、発泡断熱材24を充填するにあたって、発泡断熱材24の注入口を断熱箱体21のどの部分に設けるか不明である点。
[相違点3]
本願発明においては、「前記真空断熱パネルの前記外箱側の面に、当該真空断熱パネルの厚みの範囲内となる大きさで放熱パイプを通すための凹部を形成し、当該真空断熱パネルと外箱との間に、断熱箱体の上下方向に延びて配設される前記放熱パイプを通している」のに対して、引用発明においては、真空断熱パネル1の外箱22側の面に、真空断熱パネル1の厚みの範囲内となる大きさで放熱パイプを通すための凹部を形成し、真空断熱パネル1と外箱22との間に、断熱箱体21の上下方向に延びて配設される前記放熱パイプを通しているか不明である点。
上記相違点1ないし3について検討する。
[相違点1について]
冷蔵庫の断熱壁に、棚受け等(本願発明の「棚保持部」に相当)を形成するための複数の断面積増大部を設けるとともに、複数の断面積増大部の開口部側の端部を内箱の開口部まで到達しないようにすること、及び開口側とは逆側の端部を内箱の背面まで到達させることは、引用例2における上記2.(1)アの記載、及びウの第2図の記載における棚受けを形成する「リブ6」や、引用例3における上記3.(1)アの記載、及びイの第1図、第2図に記載の「棚受け7」にみられるように周知(以下「周知技術1」という。)であって、引用発明の断熱箱体21において引用例1の図1、図2に示された複数の断面積増大部は、その形状や間隔からみて棚受け等に用いられるとするのが自然であるから、引用発明と周知技術1とは、冷蔵庫の断熱壁の内箱側に棚受け等に用いられる断面積増大部を設けるという技術分野において共通する。
そうすると、引用発明に周知技術1を適用して、引用発明における複数の断面積増大部を内箱23の開口部まで到達しないようにすること、及び複数の断面積増大部の開口側とは逆の端部を内箱23の背面まで到達させることに困難性はない。
また、その際に、複数の断面積増大部を内箱23の開口部まで到達しない程度を、真空断熱パネル1の開口側の端部まで到達しない範囲とすることは、当業者が適宜なし得ることである。
[相違点2について]
冷蔵庫において、内箱と外箱との間に発泡断熱材の原液を注入する注入口を外箱の背面側に設けることは、引用例2における上記2.(1)ウの第3図の記載における「注入口7」、引用例3における上記3.(1)イの第2図の記載における「注入口5」、及び引用例4における上記4.(1)イの図1及び図2の記載における「注入口25」、及び図6の記載における「注入口109」にみられるように周知(以下「周知技術2」という。)であって、そのうち引用例4における上記4.(1)イの図1及び図2に記載の「注入口25」、及び図6に記載の「注入口109」は、棚板取付け部5e(本願発明における「断面積増大部」に相当。)から冷蔵庫の上下方向にずれた位置に設けられていること(以下「引用例4の記載事項」という。)が看取できる。
そうすると、引用発明において、発泡断熱材24の注入口を断熱箱体21の背面に設けることは、周知技術2に照らせば冷蔵庫の技術分野において一般的になされていることであり、そのようにすることに困難性はない。
また、本願発明における「前記外箱の背面において前記断面積増大部から上下方向にずれた位置に前記発泡断熱材の原液を注入する注入口が設けられて」いることに関して、本願発明は、断熱箱体に発泡断熱材を注入する方法として特定されているわけでもなく、ただ物として特定されているに過ぎず、その効果についても出願当初の明細書等に記載されているわけでもないから、引用発明において、引用例4の記載事項を参酌して、発泡断熱材24の注入口を設ける位置を複数の断面積増大部の間の上下方向にずれた位置に設けることは、当業者が適宜なし得ることである。
[相違点3について]
冷蔵庫の外箱と内箱との間の断熱構造であって、外箱側の内面に接するように真空断熱パネルを設けた上、内箱側に発泡断熱材を充填したものにおいて、「真空断熱パネルの外箱側の面に、当該真空断熱パネルの厚みの範囲内となる大きさで放熱パイプを通すための凹部を形成し、当該真空断熱パネルと外箱との間に、断熱箱体の上下方向に延びて配設される前記放熱パイプを通」すことは、例えば、特開2012-63038号公報(図5等を参照。)、特開2008-116126号公報(図3及び図4等を参照。)、特開2011-58657号公報(図1及び図2等を参照。)、及び特開2011-122739号公報(図2及び図3等を参照。)にみられるように本願の原々々出願前に周知(以下「周知技術3」という。)であって、そのうち上記特開2012-63038号公報には、真空断熱材に放熱パイプを収納する溝を設けることにより側面板等(外箱)と真空断熱材との間に隙間がないようにして、発泡断熱材が側面板等と真空断熱材との間に入って発泡して側面板が変形するのを防止することにつき記載(段落【0005】及び段落【0006】の記載を参照。)されており、上記特開2008-116126号公報には、真空断熱材212に放熱パイプ埋め込み用溝を作ることにより冷凍室の侵入熱量を低減することについて記載(段落【0049】の記載を参照。)されている。
そうすると、引用発明において、外箱側の内面に接するように真空断熱パネルを設け、内箱側に発泡断熱材を充填するものである冷蔵庫の外箱と内箱との間の断熱構造の技術分野において共通する上記周知技術3を適用して、真空断熱パネル1の外箱22側の面に断熱箱体21の上下方向に延びるように放熱パイプを通すとともに、発泡断熱材が側面板等と真空断熱材との間に入って発泡して側面板が変形するのを防止する、あるいは冷凍室の侵入熱量を低減する等の冷蔵庫の技術分野における冷蔵庫における一般的な課題を考慮して、真空断熱パネル1の外箱22側の面に、当該真空断熱パネル1の厚みの範囲内となる大きさで放熱パイプを通すための凹部を形成することにより、上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。
したがって、本願発明は、引用発明及び上記周知技術1ないし3に基いて当業者が容易に発明し得たことである。
そして、本願発明は、引用発明及び周知技術1ないし3から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、及び周知技術1ないし3に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-004949