特許拒絶査定不服審判
2022-011723
貯蔵庫
- 審判番号
- 2022-011723
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-070348
- 請求日
- 2022年07月28日
- 審決日
- 2023年01月23日
- 公報発行日
- 2023年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】東芝ライフスタイル株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人サトー
- 審判長/審判官
- 審判長 間中 耕治
- 審判官 槙原 進
- 審判官 西村 泰英
- 分類
- P18 .113-Z (F25D) / P18 .121-Z (F25D) / P18 .561-Z (F25D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第50条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021- 70348「貯蔵庫」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 7月15日出願公開、特開2021-103084〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成25年6月7日にした特願2013-120791号(以下、「原出願1」という)の一部を平成30年4月10日に特願2018-75342号(以下、「原出願2」という。)として新たな特許出願とし、その一部を令和元年11月20日に特願2019-209561号(以下、「原出願3」という。)として新たな特許出願としたものについて、さらに、その一部を令和3年4月19日に新たな特許出願としたものであって、その手続の主な経緯は、以下のとおりである。
令和4年1月4日付けで特許法第50条の2の通知を伴う拒絶理由通知
令和4年3月8日に意見書及び手続補正書の提出
令和4年4月26日付けで令和4年3月8日にされた手続補正についての補正の却下の決定及び拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和4年7月28日に拒絶査定不服審判の請求及びその請求と同時に手続補正書の提出
第2 令和4年7月28日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年7月28日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された。(下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。)
「 【請求項1】
内部に貯蔵室を有し、その貯蔵室に通じる開口部を前面に有する庫本体と、
この庫本体の前記開口部を開閉するように設けられ、前記貯蔵室に面する背面部から当該貯蔵室側に突出する中空の部位を有する扉と、
前記中空の部位に設けられて、その扉の開放時に前記貯蔵室を照明する照明装置と、を備え、
前記照明装置は、前記中空の部位の内部において、当該照明装置よりも前記貯蔵室側に断熱材が配置され、当該照明装置よりも前記扉側に設けられた部材によって位置ずれが抑制された状態で設けられており、前記貯蔵室内に光を照射するための開口が設けられている壁部とは逆側の壁部に光源が設けられている貯蔵庫。
【請求項2】
前記扉は、少なくとも上段、中段、下段を含む三段の収容部を庫内側に有しており、
前記中空の部位の上下方向の範囲は、前記上段の収容部および前記下段の収容部に掛かっていない請求項1記載の貯蔵庫。
【請求項3】
前記中空の部位の上下方向の範囲は、少なくともその一部に、前記中段の収容部に対応する高さを含んでいる請求項2記載の貯蔵庫。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、願書に最初に添付された特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
内部に貯蔵室を有し、その貯蔵室に通じる開口部を前面に有する庫本体と、
この庫本体の前記開口部を開閉するように設けられ、前記貯蔵室に面する背面部に当該貯蔵室側に突出する中空の部位を有する扉と、
前記中空の部位に設けられて、その扉の開放時に前記貯蔵室を照明する照明装置と、を備え、
前記照明装置は、前記中空の部位の内部に設けられており、前記貯蔵室内に光を照射するための開口が設けられている壁部とは逆側の壁部に、光源が設けられている貯蔵庫。
【請求項2】
前記光源は、前記扉の縦方向に複数並んでおり、
当該複数の光源は、いずれも前記開口に設けられているシェードを透過する請求項1記載の貯蔵庫。
【請求項3】
前記貯蔵室は、上下方向に並んだ複数の棚を有し、
前記複数の光源は、前記複数の棚で仕切られて上下方向に並んだ複数の貯蔵空間のうち、1つの空間に対応する位置に設けられた光源と、別の貯蔵空間に対応する位置に設けられた光源とを含む請求項2記載の貯蔵庫。
【請求項4】
前記扉は、少なくとも上段、中段、下段を含む三段の収容部を庫内側に有しており、
前記中空の部位の上下方向の範囲は、前記上段の収容部および前記下段の収容部に掛かっていない請求項1から3のいずれか一項記載の貯蔵庫。
【請求項5】
前記中空の部位の上下方向の範囲は、少なくともその一部に、前記中段の収容部に対応する高さを含んでいる請求項4記載の貯蔵庫。」
2 補正の適否
(1)本件補正により、本件補正前の請求項1において、「前記照明装置は、前記中空の部位の内部に設けられており」と記載されていたのを、本件補正後の請求項1において、「前記照明装置は、前記中空の部位の内部において、当該照明装置よりも前記貯蔵室側に断熱材が配置され、当該照明装置よりも前記扉側に設けられた部材によって位置ずれが抑制された状態で設けられており」と補正され、「照明装置」が、「当該照明装置よりも前記扉側に設けられた部材によって位置ずれが抑制された状態で設けられ」ること(以下、「特定事項A」という。)が新たに追加された。
(2)特定事項Aに関し、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、以下の記載がある。
「【0017】
図4は、上記照明装置25,26の詳細を、扉2の照明装置25で代表して示しており、スロート部21,22の内部には基板ホルダ27を組込んでいる。この基板ホルダ27は、全体にスロート部21,22の内面に添う形状のもので、前側(図4では下側)が開口し先細で後側(同上側)が閉塞された容器状を成しており、スロート部21,22の内面に固着して固定している。又、この基板ホルダ27は、全体に例えば灰色で遮光性を有するものであり、スロート部21,22の外側(ポケット部23,24側とは反対側)に面する外側面部に開口部28を形成しており、この開口部28に対応してスロート部21,22の外側部にもそれとほゞ同じ大きさで同じ形状の開口部29を形成している。更に、この基板ホルダ27の開口部28に面する内側面部の内側には、基板保持爪30を設けている。
【0018】
これに対して、扉2,16の外板13,17の内部には、コネクタハウジング31を組込んでいる。このコネクタハウジング31は、基部31aが外板13,17の内面に添うもので、この基部31aをその外板13,17の内面に固着して固定している。又、コネクタハウジング31の基部31aより後方(図4では上方)には、直方体状のケース部31bを形成しており、更に、そのケース部31bの後壁部のほゞ中央にはリード線挿通孔31cを形成し、このリード線挿通孔31cにシール32を介してリード線33を密に挿通している。すなわち、ケース部31bのリード線挿通孔31cは、リード線33を挿通する状態でシール32により密閉している。」
「【0020】
この構成で、外板13,17の内部に前記発泡断熱材15,19(例えば発泡ポリウレタン)を注入し、内板14,18を外板13,17に組合わせ結合する。又、このとき、前記基板ホルダ27の前側の開口縁部にはシール35を貼着しておき、このシール35を、コネクタハウジング31のケース部31bの後面(リード線挿通孔31cの周囲部分)に圧接させることにより、基板ホルダ27の内部を外板13,17の内部から密に封止している。これにより、外板13,17の内部に注入した発泡断熱材15,19は、基板ホルダ27の内部に侵入することなく、扉2では外板13と内板14との間、扉16では外板17と内板18との間に、それぞれ充填される。
【0021】
この後、照明装置25,26の光源であるLED36を実装した回路基板37が有するリード線38の先端部に設けた出力側のコネクタ39を、前記入力側のコネクタ34に接続し、回路基板37を基板ホルダ27の開口部28から基板保持爪30に係合させて装着する。そして、基板ホルダ27の開口部28には、シェード40を装着して開口部28,29を閉塞する。
なお、スロート部21,22の余剰空間には、発泡スチロール等の断熱材41を装填している。」
「【図4】
[図:0001396172000001.jpg]
」
(3)審判請求書の「3.補正の根拠の明示」に記載された、請求人が本件補正の根拠とする当初明細書等の段落【0018】及び【0020】並びに図4の記載には、照明装置25,26がスロート部21,22の内部において照明装置25,26よりも前記扉2,16側に設けられた部材によって位置ずれが抑制された状態で設けられていることを示す直接的な記載はない。
そして、照明装置25,26は、LED36が実装された回路基板37と、回路基板37が係合保持される基板ホルダ27とからなるから(当初明細書等の段落【0017】及び【0021】並びに図4を参照。)、上記特定事項Aの「当該照明装置よりも前記扉側に設けられた部材」に該当する部材は、コネクタハウジング31と認められる。しかしながら、コネクタハウジング31は、基部31aが扉2,16の外板13,17の内面に固着されて固定され、照明装置25,26の基板ホルダ27とは、シール35を介して接しているものの、シール35は、外板13,17の内部に注入した発泡断熱材15,19が、基板ホルダ27の内部に侵入するのを防止するために設けられたものであって(当初明細書等の段落【0018】及び【0020】並びに図4を参照。)、コネクタハウジング31によって照明装置25,26の位置を規制することまでは認められない。
さらに、照明装置25,26の光源を司る回路基板37について検討してみても、照明装置25,26の光源を構成する回路基板37は、スロート部21,22の内面に固着した基板ホルダ27により固定されているのであるから(当初明細書等の段落【0017】及び図4を参照。)、コネクタハウジング31によって照明装置25,26の光源を司る回路基板37への何らかの位置ずれを抑制する関係にあるとは、認めることができない。
(4)そうすると、本件補正により追加された特定事項Aは、当初明細書等には記載がなく、本願の出願時の技術常識を考慮しても当初明細書等から自明な事項であるとはいえないから、本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
(5)したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし5に係る発明は、本願の願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 本願の出願日の遡及について
(1)本願は、上記第1に示したとおり、原出願1の一部を新たな出願とした原出願2の一部を新たな出願とした原出願3の一部をさらに新たな出願としたものであるから、本願の出願日が原出願1の出願日にまで遡及するには、本願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項が、原出願1~3の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であることが必要であるので、以下に検討する。
(2)本願の請求項2の発明特定事項は、次の事項(以下、「請求項2の特定事項」という。)を含むものである。
「前記光源は、前記扉の縦方向に複数並んでおり、
当該複数の光源は、いずれも前記開口に設けられているシェードを透過する」
(3)本願の請求項3の発明特定事項は、次の事項(以下、「請求項3の特定事項」という。)を含むものである。
「前記貯蔵室は、上下方向に並んだ複数の棚を有し、
前記複数の光源は、前記複数の棚で仕切られて上下方向に並んだ複数の貯蔵空間のうち、1つの空間に対応する位置に設けられた光源と、別の貯蔵空間に対応する位置に設けられた光源とを含む」
(4)原出願1について、その願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という)には、請求項2の特定事項及び請求項3の特定事項に関し、それぞれ次の記載がある。なお、下線は当審で付したものである。
ア 「【0019】
この後、照明装置25,26の光源であるLED36を実装した回路基板37が有するリード線38の先端部に設けた出力側のコネクタ39を、前記入力側のコネクタ34に接続し、回路基板37を基板ホルダ27の開口部28から基板保持爪30に係合させて装着する。そして、基板ホルダ27の開口部28には、シェード40を装着して開口部28,29を閉塞する。
なお、スロート部21,22の余剰空間には、発泡スチロール等の断熱材41を装填している。
【0020】
図1は、以上のようにして照明装置25を組込んだ扉2を開放状態で表しており、この図1に矢印Lで示すように、照明装置25のLED36からシェード40を透して前記冷蔵室6に照射される光の照射角度は、上下方向に傾かせており、中でも下向きに傾かせている(扉16側も、図示しないが同様である)。
【0021】
この照射角度Lについては、回路基板37を同方向に傾かせて設置することにより実現するようにしており、そのほか、回路基板37は傾かせずにシェード40に光の屈折を同方向にするものを使用したり、LED36に脚(リード)の長い砲弾形状のものを使用して、その脚の例えば一方を曲げることにより、LED36を同方向に傾けて実装したり、回路基板37に小さく複数に分けたものを使用して、それらを同方向に傾かせて設置したりすることでも実現できる。」
イ「【図1】
[図:0001396172000002.jpg]
」
ウ「【図3】
[図:0001396172000003.jpg]
【図4】
[図:0001396172000004.jpg]
」
(5)原出願2について、その当初明細書等には、請求項2の特定事項及び請求項3の特定事項に関し、段落【0021】~【0023】及び図1には、上記(4)と同じ記載がある。
(6)原出願3について、その当初明細書等には、請求項2の特定事項及び請求項3の特定事項に関し、段落【0021】~【0023】及び図1には、上記(4)と同じ記載があり、さらに次の記載がある。
「【請求項2】
前記LEDは、前記扉の縦方向に複数並んでおり、該複数のLEDはいずれも前記シェードを透過するように設けられた請求項1記載の貯蔵庫。
【請求項3】
前記貯蔵室は、上下方向に並んだ複数の棚を有し、
前記複数のLEDは、前記複数の棚で仕切られて上下方向に並んだ複数の貯蔵空間のうち、1つの空間に対応する位置に設けられたLEDと、別の貯蔵空間に対応する位置に設けられたLEDとを含む請求項2記載の貯蔵庫。」
(7)そして、本願の請求項2の特定事項及び請求項3の特定事項は、上記(6)の原出願3の当初明細書等における請求項2及び請求項3に記載されているから、原出願3の当初明細書等に記載された事項の範囲内であるといえるので、本願は、原出願3の特許出願の時にしたものとみなされる。
しかしながら、上記(4)の原出願1の当初明細書等における段落【0019】~【0021】及び図1の記載、並びに、上記(5)の原出願2の当初明細書等における段落【0021】~【0023】及び図1の記載には、「回路基板37に小さく複数に分けた」との記載があり、LEDが複数存在することが認められるものの、LEDが、扉の縦方向に複数並んでいることまでは、記載も示唆もされておらず、原出願1又は原出願2の出願時における技術常識を考慮しても自明な事項であるとは、認められない。
(8)したがって、原出願3の特許請求の範囲の記載は、原出願1及び原出願2に対し、原出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内であるといえないので、原出願3は、原出願1又は原出願2の特許出願の時にしたものとみなすことはできないから、本願は、原出願3の特許出願の時である令和元年11月20日にしたものとみなされるのみである。
3 原査定の拒絶の理由
原査定における請求項1についての拒絶の理由は、以下のとおりである。
<理由1(新規性:特許法第29条第1項第3号)について>
本願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
<理由2(進歩性:特許法第29条第2項)について>
本願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献7に記載された発明及び引用文献6に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1:特開2014-238218号公報
引用文献6:中国特許出願公開第102384625号明細書
引用文献7:特開平11-83306号公報
4 引用文献
(1)引用文献1
ア 引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1には、次の記載がある。(なお、下線は理解の一助として当審において付したものである。以下、同様。)
「【0010】
以下、冷蔵庫に適用した一実施形態につき、図面を参照して説明する。
まず、図1には、冷蔵庫全体のうちの上半部を示しており、1が庫本体、2が扉を示している。このうち、庫本体1は、外箱3に内箱4を組合わせ、この外箱3と内箱4との間に断熱材5を充填して成るもので、内箱4の内部の最上部が冷蔵室6となっており、その下方が野菜室7となっている。これらの冷蔵室6及び野菜室7は貯蔵室であり、それぞれ前面は各貯蔵室に通じる開口部8,9となっている。
・・・
【0012】
一方、扉2は、冷蔵室6の前面の開口部8を開閉するものであり、図2に示すように、外板13に内板14を組合わせ、この外板13と内板14との間に発泡断熱材15を充填して成るもので、左側に存在する。そして、右側にも今一枚の扉16があって、この扉16も、冷蔵室6の前面の開口部8を開閉するものであり、外板17に内板18を組合わせ、この外板17と内板18との間に発泡断熱材19を充填して成るものである。
【0013】
すなわち、冷蔵室6の前面の開口部8は、扉2と扉16の2枚の扉で開閉するようにしており、詳しくは図示しないが、扉2は左端部を庫本体1に軸支し、扉16は右端部を庫本体1に軸支して、それぞれその各軸支部分を中心に回動する開き戸式で且つ観音開き式に開閉可能に設けている。なお、左側の扉2には、左右間の仕切部材20を、扉2の開放に支障を来たさない可動構造で取付けている。
【0014】
扉2,16は、それぞれ冷蔵室6に面する背面部である内板14,18の背面にスロート部21,22を有している。これらのスロート部21,22は、図3に扉2のスロート部21で代表して示すように、内板14,18の各背面の周囲部から矩形の枠状に突出するもので、中空である。又、これらのスロート部21,22の各囲繞空間には、ポケット部23,24を複数段に設けている(ポケット部24は図2に示す)。そして、これらのスロート部21,22の各軸支部分側で上下方向に延びる一辺部の上下の中間部には、それぞれ照明装置25,26を設けている。
【0015】
図4は、上記照明装置25,26の詳細を、扉2の照明装置25で代表して示しており、スロート部21,22の内部には基板ホルダ27を組込んでいる。この基板ホルダ27は、全体にスロート部21,22の内面に添う形状のもので、前側(図4では下側)が開口し先細で後側(同上側)が閉塞された容器状を成しており、スロート部21,22の内面に固着して固定している。又、この基板ホルダ27は、全体に例えば灰色で遮光性を有するものであり、スロート部21,22の外側(ポケット部23,24側とは反対側)に面する外側面部に開口部28を形成しており、この開口部28に対応してスロート部21,22の外側部にもそれとほゞ同じ大きさで同じ形状の開口部29を形成している。更に、この基板ホルダ27の開口部28に面する内側面部の内側には、基板保持爪30を設けている。」
「【0019】
この後、照明装置25,26の光源であるLED36を実装した回路基板37が有するリード線38の先端部に設けた出力側のコネクタ39を、前記入力側のコネクタ34に接続し、回路基板37を基板ホルダ27の開口部28から基板保持爪30に係合させて装着する。そして、基板ホルダ27の開口部28には、シェード40を装着して開口部28,29を閉塞する。
なお、スロート部21,22の余剰空間には、発泡スチロール等の断熱材41を装填している。」
「【0022】
又、図2には、照明装置25,26に対応して庫本体1の断熱壁中に設けた扉開閉検知手段であるスイッチ42,43を示しており、これらは例えばタクトスイッチやマイクロスイッチであって、詳しくは図示しないが、ともに庫本体1の内部に突出した突子が扉2,16の閉鎖によりスロート部21,22(各軸支部分側の一辺部)で押圧されることによって、扉2,16の閉鎖を検知し、その突子の押圧が扉2,16の閉鎖により解除されることにより、扉2,16の開放を検知するようになっている。照明装置25,26は、このスイッチ42,43が扉2,16の開放を検知したときにLED36を発光させ、扉2,16の閉鎖を検知したときにLED36を消光させるようになっている。」
【0023】
次に、上記構成の冷蔵庫の作用を述べる。
上記構成の冷蔵庫においては、扉2,16を開放すると、スイッチ42,43が扉2,16の開放を検知することにより、照明装置25,26のLED36を発光させ、図5に照射域S1,S2で示すように、冷蔵室6を照明する。」
「
[図:0001396172000005.jpg]
[図:0001396172000006.jpg]
[図:0001396172000007.jpg]
[図:0001396172000008.jpg]
」
イ 上記アの記載から認められる事項
図4から、冷蔵室6内に光を照射するための開口部29が設けられているスロート部21,22の外側部とは逆側のスロート部21,22のポケット部23,24側の部分(以下、「内側部」という。)に、光源であるLED36が設けられていることが看取できる。
ウ 引用発明1
上記ア及びイから、本願発明に倣って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「内部に冷蔵室6を有し、その冷蔵室6に通じる開口部8を前面に有する庫本体1と、
この庫本体1の前記開口部8を開閉するように設けられ、前記冷蔵室6に面する背面部である内板14,18に当該冷蔵室6側に突出する中空のスロート部21,22を有する扉2,16と、
前記中空のスロート部21,22に設けられて、その扉2,16の開放時に前記冷蔵室6を照明する照明装置25,26と、を備え、
前記照明装置25,26は、前記中空のスロート部21,22の内部に設けられており、前記冷蔵室6内に光を照射するための開口部29が設けられている前記中空のスロート部21,22の外側部とは逆側の前記中空のスロート部21,22の内側部に、光源であるLED36が設けられている冷蔵庫。」
(2)引用文献7
ア 引用文献7の記載
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献7には、次の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、貯蔵室内を照明するための庫内灯を備えた冷蔵庫に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】一般に冷蔵庫には、貯蔵室の奥壁に庫内灯を設置した構成のものがある。しかしながら、この構成の場合、貯蔵室内の貯蔵品が後方から照明されるため、逆光で貯蔵品を見難くなる。尚、冷蔵庫には、貯蔵室の天井壁に奥側に位置して凹部を形成し、この凹部内に庫内灯を収納した構成のものもあるが、この構成の場合でも事情は同じである。
【0003】本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、貯蔵品の見え具合を高めることができる冷蔵庫を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の冷蔵庫は、前面が開口する貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、この冷蔵庫本体に装着され前記貯蔵室の前面を開閉する扉と、前記貯蔵室の室壁に前端上部に位置して設けられた凹部と、この凹部内に収納された庫内灯とを備えたところに特徴を有している。
・・・
【0007】請求項3記載の冷蔵庫は、前面が開口する貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、この冷蔵庫本体に装着され前記貯蔵室の前面を開閉する扉と、この扉の内面に設けられ前記貯蔵室内に突出するビードと、このビード内に収納された庫内灯と、前記ビードに設けられ前記庫内灯からの光を投射する窓部とを備えたところに特徴を有している。
【0008】上記手段によれば、扉のビード内に庫内灯が収納されているので、庫内灯の影響で貯蔵室内の貯蔵スペースが削られることが防止される。しかも、扉が開放されると、ビードの窓部から光が投射され、貯蔵室内の貯蔵品が前方から照明されるので、貯蔵品の見え具合が向上する。」
「【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1実施例を図1ないし図4に基づいて説明する。まず、図4において、冷蔵庫本体1は、前面が開口する矩形箱状をなすものであり、図1に示すように、鉄板製の外箱2とプラスチック製の内箱3とを組合わせ、外箱2と内箱3との空間部に発泡性断熱材4を充填することから構成されている。
【0017】冷蔵庫本体1内には、図4に示すように、貯蔵室に相当する冷蔵室5,冷凍室6,野菜室7が形成されている。これら各室5~7は、冷蔵庫本体1内に断熱プレート8,9を配設することに伴い区画されたものであり、冷凍室6内には、L字状の断熱プレート10が配設され、冷凍室6内の右側部には仕様切替室11が区画形成されている。尚、符号12は、断熱プレート8,9,10の前面に取付けられた横板を示している。また、符号13は、冷蔵室5内にセットされた棚板を示している。
【0018】冷蔵庫本体1の右側部には、図2に示すように、冷蔵室5の上下端部に位置して一対のヒンジ金具14が固定されており(上端部のヒンジ金具14のみ図示する)、これら各ヒンジ金具14には、扉15の回転軸(図示せず)が回動可能に装着されている。
【0019】この扉15は、図1に示すように、鉄板製の外板15aとプラスチック製の内板15bとの間に発泡性断熱材15cを充填することから構成されたものであり、内板15bには、図2に示すように、後方へ突出する矩形枠状のビード15dが一体形成され、このビード15dには、貯蔵品が収納されるポケット15eが上下方向に複数段に設けられている。また、内板15bには、図1に示すように、ビード15dを囲む矩形枠状のガスケット15fが装着されており、扉15を図2の矢印A方向へ回動操作すると、ガスケット15fが冷蔵室5の前端面に圧接し、冷蔵室5の前面が扉15により気密状態に閉塞される。」
「【0031】次に本発明の第3実施例を図6ないし図10に基づいて説明する。尚、上記第1実施例と同一の部材については同一の符号を付して説明を省略し、以下、異なる部材についてのみ説明を行う。・・・
【0033】ビード15dの回動中心側の一辺部には、図8に示すように、複数のポケット15e側の面部に位置して2個のシェード25が装着されている。これら各シェード25は、透明な合成樹脂をレンズ状に形成してなるものであり、図6に示すように、ポケット15e相互間に配置されている。尚、図8は、扉15を冷蔵庫本体1から除去して示す後面図であり、ビード15dの回動中心側の一辺部は、扉15の装着状態での右辺部に相当する。
【0034】ビード15dの右辺部には、図8に示すように、複数のポケット15eと反対側の面部に位置して1個のシェード26が装着されている。このシェード26は、透明な合成樹脂をレンズ状に形成してなるものであり、図10に示すように、2個のシェード25を跨ぐ長さ寸法に設定されている。尚、各シェード25,26は窓部に相当するものである。
【0035】ビード15dの右辺部内には、図9に示すように、縦長なベース板27が配設されている。このベース板27は、合成樹脂により形成されたものであり、ベース板27の上下端部には取付金具28が固定されている(上端部の取付金具28のみ図示する)。
【0036】これら各取付金具28は、熱伝導率が高いアルミニウム等により形成されたものであり、二股状の取付部28aと、取付部28aから横方向へ延びる熱伝導部28bと、熱伝導部28bに繋がる湾曲状の加熱部28cとから構成されている。尚、符号15gは、ガスケット15fが挿着される挿着凹部を示しており、各取付金具28の加熱部28cは、挿着凹部15gに沿って湾曲している。
【0037】両取付金具28の取付部28aには庫内灯29が取付けられている。この庫内灯29は蛍光灯からなるものであり、扉15の開放に伴い庫内灯29に電源が供給されると、ポケット15e側に位置する各シェード25から扉15の内面へ向かって光が投射され、ポケット15e内の貯蔵品が照明される。これと共に、ポケット15eと反対側に位置するシェード26から冷蔵室5内へ向かって光が投射され、冷蔵室5内の貯蔵品が前方から照明される。尚、庫内灯29は、直径寸法6mm程度のものが選定されている。
・・・
【0040】また、扉15のビード15d内に庫内灯29を収納したので、庫内灯29の影響で冷蔵室5内の貯蔵スペースが削られることが防止される。これと共に、冷蔵室5内の断熱材に影響を及ぼさないので、断熱性能が損われることが防止される。しかも、扉15を開放すると、ビード15d内の庫内灯29から長尺なシェード26を通して冷蔵室5内に光が投射され、冷蔵室5内の貯蔵品が前方から照明されるので、貯蔵品の見え具合が向上する。
【0041】また、ビード15dのうち扉15の回動中心側に位置する一辺部に庫内灯29を収納した。このため、扉15を開放すると、庫内灯29から長尺なシェード26を通して冷蔵室5側およびポケット15e側の双方に光が投射されるので、冷蔵室5内の貯蔵品およびポケット15e内の貯蔵品の双方が照明される。
・・・
【0045】また、上記第1ないし第3実施例においては、庫内灯24が装着される貯蔵室として冷蔵室5を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば冷凍室6,野菜室7,仕様切替室11であっても良い。」
「
[図:0001396172000009.jpg]
」
「
[図:0001396172000010.jpg]
[図:0001396172000011.jpg]
[図:0001396172000012.jpg]
[図:0001396172000013.jpg]
[図:0001396172000014.jpg]
」
イ 上記アの記載から認められる事項
(ア)上記アの段落【0035】~【0037】、【0040】及び【0041】並びに図8~10の記載によると、冷蔵庫は、合成樹脂により形成されたベース板27の上下端部に固定された熱伝導率が高いアルミニウム等により形成された取付金具28に、蛍光灯からなる庫内灯29が取り付けられた構成を有する照明装置を備えたことが認められる。
また、同記載によると、照明装置は、ビード15dに設けられるものであって、ビード15dの右辺部内に設けられることが認められる。
(イ)上記アの段落【0033】~【0034】並びに図8~10の記載を上記(ア)と合わせみると、照明装置の蛍光灯からなる庫内灯29は、シェード25が位置するビード15dのポケット15e側の面部と、シェード26が位置するビード15dのポケット15eと反対側の面部との間に設けられていることが認められる。
ウ 引用発明2
上記ア及びイから、本願発明に倣って整理すると、引用文献7には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「内部に冷蔵室5を有し、その冷蔵室5に通じる開口部を前面に有する冷蔵庫本体1と、
この冷蔵庫本体1の前記開口部を開閉するように設けられ、前記冷蔵室5に面するプラスチック製の内板15bに当該冷蔵室5側に突出する矩形枠状のビード15dを有する扉15と、
前記ビード15dに設けられて、その扉15の開放時に前記冷蔵室5を照明する照明装置と、を備え、
前記照明装置は、前記ビード15dの右辺部内に設けられており、シェード25が位置する前記ビード15dのポケット15e側の面部と、シェード26が位置する前記ビード15dの前記ポケット15eと反対側の面部との間に、蛍光灯からなる庫内灯29が設けられている冷蔵庫。」
(3)引用文献6
ア 引用文献6の記載
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1には、次の記載がある。なお、翻訳文は当審によるものである。
「
[図:0001396172000015.jpg]
・・・
[図:0001396172000016.jpg]
」
<翻訳文>
「[0001] 本発明は、冷凍機器の分野に関し、特に、冷蔵庫用ドア及びそれを有する冷蔵庫に関するものである。
背景技術
[0002] 現在、冷蔵庫の照明装置は、一般にトップライトとサイドライトの2つの形態に分けられ、トップライトは一般に箱の上壁に設置され、サイドライトは一般に2つでそれぞれ箱の左右の側壁に設置される。トップライトやサイドライトは箱の表面から飛び出しているため、冷蔵庫の有効収納スペースを占拠してしまい、スペースの無駄遣いになってしまいます。また、冷蔵庫を開けると、一般的にトップライトやサイドライトが直接ユーザーの目に入るため、ユーザーに不快感を与えていました。
・・・
[0004] このため、本発明の目的は、冷蔵庫のドアを提案することであり、前記ドアは、使用者の視覚に影響を与えることなく、開放時に箱の内部を照らすことができるようにすることである。」
「
[図:0001396172000017.jpg]
・・・
[図:0001396172000018.jpg]
・・・
[図:0001396172000019.jpg]
[図:0001396172000020.jpg]
」
<翻訳文>
「[0028] 以下、本発明の第1の側面の実施形態に係る冷蔵庫1000のドア100について、図1~図3を参照して説明すると、冷蔵庫1000は、前面開放型の箱体200を備え、ドア100は、箱体200を開閉するためのドアヒンジにより箱体200に回転可能に取り付けられる。
・・・
[0031] 本発明の一実施形態において、ドア100は、図1~図3に示すように、ドアインサート2に隣接するドアヒンジ側に形成され、ドアインサート2の裏面から突出するように後方に延びるランプ取付部4をさらに備え、ランプ取付部4には少なくとも一つのランプ3が互いに間隔をあけて取り付けられていることを特徴とする。このように、ドア100を開けると、ランプ取付部4のランプ3が発する光が箱体200の後方に向けられるので、ドアを開けて食品を取り出す際に光が使用者の目に直接当たらず、直接光によって使用者の目を刺すことがなく、冷蔵庫のデザインの人間味を反映して、より快適で実用的な冷蔵庫とすることができる。
・・・
[0034] 有利には、ランプ3は、LEDランプである。LEDランプは、長寿命で低消費電力であるため、使用コストを削減できるだけでなく、省エネルギーで低炭素の概念に合致し、また、小型軽量であるため、ドア2のランプ取付部4への配置が良く、ドアを開けたときにLEDランプにより箱体200内の明るさが均一になり、ガラス棚と組み合わせたときに照明効果がより好ましく、美しいものとなる。オプションとして、LEDスポットランプも使用することができ、ドア100が開かれたときに、光が箱体200内の例えばガラス棚に当たって美的効果を生み出すことができ、その正確な設定は特定のデザインによって決定することができます。」
「
[図:0001396172000021.jpg]
[図:0001396172000022.jpg]
」
イ 引用文献6の記載事項
上記アから、引用文献6には、次の技術的事項(以下、「引用文献6の記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「ドアヒンジにより回動可能にドア100が取り付けられた冷蔵庫1000において、ドア100には、ドアインサート2に隣接するドアヒンジ側に形成され、ドアインサート2の裏面から突出するように後方に延びるランプ取付部4が備えられ、ランプ取付部4にはLEDランプが取り付けられて、ドア開けた時にLEDランプの光が箱体200の後方にのみ向けられるようにすること。」
5 理由1(新規性)について
(1)対比
本願発明と引用発明1とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
ア 後者の「冷蔵室6」は、前者の「貯蔵室」に相当し、以下同様に、「開口部8」は「開口部」に、「庫本体1」は「庫本体」に、「背面部である内板14,18」は「背面部」に、「中空のスロート部21,22」は「中空の部位」に、「扉2,16」は「扉」に、「照明装置25,26」は「照明装置」に、「開口部29」は「開口」に、「光源であるLED36」は「光源」に、「冷蔵庫」は「貯蔵庫」に、それぞれ相当する。
イ 後者の「中空のスロート部21,22の外側部」及び「中空のスロート部21,22の内側部」は、いずれも前者の「壁部」といえる。
そして、後者の「前記冷蔵室6内に光を照射するための開口部29が設けられている前記中空のスロート部21,22の外側部とは逆側の前記中空のスロート部21,22の内側部に、光源であるLED36が設けられている」ことは、前者の「前記貯蔵室内に光を照射するための開口が設けられている壁部とは逆側の壁部に、光源が設けられている」ことに相当する。
以上のことから、本願発明と引用発明1との一致点は次のとおりであり、相違点は認められない。
[一致点]
「内部に貯蔵室を有し、その貯蔵室に通じる開口部を前面に有する庫本体と、
この庫本体の前記開口部を開閉するように設けられ、前記貯蔵室に面する背面部に当該貯蔵室側に突出する中空の部位を有する扉と、
前記中空の部位に設けられて、その扉の開放時に前記貯蔵室を照明する照明装置と、を備え、
前記照明装置は、前記中空の部位の内部に設けられており、前記貯蔵室内に光を照射するための開口が設けられている壁部とは逆側の壁部に、光源が設けられている貯蔵庫。」
(2)判断
上記(1)のとおり、本願発明と引用発明1との間に相違点は認められないから、本願発明は、引用発明1である。
したがって、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当するものである。
6 理由2(進歩性)について
(1)対比
本願発明と引用発明2とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
ア 後者の「冷蔵室5」は、前者の「貯蔵室」に相当し、以下同様に、「開口部」は「開口部」に、「冷蔵庫本体1」は「庫本体」に、「プラスチック製の内板15b」は「背面部」に、「矩形枠状のビード15d」は「中空の部位」に、「扉15」は「扉」に、「照明装置」は「照明装置」に、「ビード15dの右辺部内」は「中空の部位の内部」に、「蛍光灯からなる庫内灯29」は「光源」に、「冷蔵庫」は「貯蔵庫」に、それぞれ相当する。
イ 後者の「内部に冷蔵室5を有し、その冷蔵室5に通じる開口部を前面に有する冷蔵庫本体1」は、前者の「内部に貯蔵室を有し、その貯蔵室に通じる開口部を前面に有する庫本体」に相当する。
ウ 後者の「この冷蔵庫本体1の前記開口部を開閉するように設けられ、前記冷蔵室5に面するプラスチック製の内板15bに当該冷蔵室5側に突出する矩形枠状のビード15dを有する扉15」は、前者の「この庫本体の前記開口部を開閉するように設けられ、前記貯蔵室に面する背面部に当該貯蔵室側に突出する中空の部位を有する扉」に相当する。
エ 後者の「前記ビード15dに設けられて、その扉15の開放時に前記冷蔵室5を照明する照明装置」は、前者の「前記中空の部位に設けられて、その扉の開放時に前記貯蔵室を照明する照明装置」に相当する。
オ 後者の「前記照明装置は、前記ビード15dの右辺部内に設けられており、シェード25が位置する前記ビード15dのポケット15e側の面部と、シェード26が位置する前記ビード15dの前記ポケット15eと反対側の面部との間に、蛍光灯からなる庫内灯29が設けられている」ことと、前者の「前記照明装置は、前記中空の部位の内部に設けられており、前記貯蔵室内に光を照射するための開口が設けられている壁部とは逆側の壁部に、光源が設けられている」こととは、「前記照明装置は、前記中空の部位の内部に設けられており、所定の箇所に、光源が設けられている」という限りにおいて一致する。
以上のことから、本願発明と引用発明2との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「内部に貯蔵室を有し、その貯蔵室に通じる開口部を前面に有する庫本体と、
この庫本体の前記開口部を開閉するように設けられ、前記貯蔵室に面する背面部に当該貯蔵室側に突出する中空の部位を有する扉と、
前記中空の部位に設けられて、その扉の開放時に前記貯蔵室を照明する照明装置と、を備え、
前記照明装置は、前記中空の部位の内部に設けられており、所定の箇所に、光源が設けられている貯蔵庫。」
[相違点1]
照明装置の光源が設けられている「所定の箇所」に関し、本願発明では、「前記貯蔵室内に光を照射するための開口が設けられている壁部とは逆側の壁部」であるのに対して、引用発明2では、「シェード25が位置する前記ビード15dのポケット15e側の面部と、シェード26が位置する前記ビード15dの前記ポケット15eと反対側の面部との間」である点。
(2)判断
ア 相違点1の検討
引用文献6の記載事項は、扉に設けられて、扉の開放時に貯蔵室を照明する照明装置を備えた冷蔵庫の点で引用発明2と技術分野が共通し、照明装置からに光が使用者の目に入ってまぶしく感じられることを防止する課題の点でも共通するから、引用発明2に引用文献6の記載事項を適用する動機付けがあるものといえる。
ここで、引用発明2において、シェード26が位置するビード15dのポケット15eと反対側の面部は、シェード26から光を照射するために開口が設けられていることは明らかであり、ビード15dのポケット15e側の面部は、貯蔵室内に光を照射するための開口が設けられている壁部とは逆側の壁部といえる。
そして、引用発明2に引用文献6の記載事項を適用したものにおいて、照明装置として採用されるLEDランプは、照射方向が全方向ではなく指向性を有するものであり、照射したい方向に向けて設置されるのが技術常識である。
また、引用発明2のビード15dのポケット15e側の面部は、LEDランプの設置箇所となり得るものであり、点光源であるLEDランプから光を拡散して均一照明するのに必要な距離を、ビード15dのポケット15eと反対側の面部に位置するシェード26から離すことにより確保しやすいこと等を考慮すると、引用発明2に引用文献6の記載事項を適用し、ビード15dの内部において、ビード15dのポケット15e側の面部(貯蔵室内に光を照射するための開口が設けられている壁部とは逆側の壁部)に、LEDランプを設け、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 効果について
そして、本願発明は、全体としてみても、引用発明2及び引用文献6の記載事項から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。
ウ まとめ
したがって、本願発明は、引用発明2及び引用文献6の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当するものであり、又は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-011723