特許拒絶査定不服審判
2023-005318
冷蔵庫内の画像データ処理方法、冷蔵庫および冷蔵庫の撮像システム
- 審判番号
- 2023-005318
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-139594外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年04月03日
- 審決日
- 2025年01月16日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (F25D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-139594「冷蔵庫内の画像データ処理方法、冷蔵庫および冷蔵庫の撮像システム」拒絶査定不服審判事件〔令和4年3月4日出願公開、特開2022-35347〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年8月20日の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
令和4年3月24日 :手続補正書の提出
令和4年6月15日付け :拒絶理由通知書
令和4年7月14日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年8月30日付け :拒絶理由通知書
令和4年10月20日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年1月11日付け :拒絶査定
令和5年4月3日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和6年5月30日付け :拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶理由通知」という。)
令和6年7月12日 :面接記録
令和6年7月30日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1ないし請求項7に係る発明は、令和6年7月30日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項7に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1及び請求項2に係る発明(以下、「本願発明1」及び「本願発明2」という。)は、その請求項1及び請求項2に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
[本願発明1]
「前方に開口を備える貯蔵室と、
該開口を開閉し、ドア収納部が設けられた回転式のドアと、
前記貯蔵室の外側に配され、広角視野のレンズを有する撮像装置と、を備え、
前記ドアが開かれた状態で該撮像装置が撮像した1つの画像データには、前記貯蔵室及び前記ドア収納部の収納物が含まれるように前記レンズが配置され、撮像された前記貯蔵室及び前記ドア収納部の収納物の画像を使用者に確認可能にさせる冷蔵庫の冷蔵庫内の画像データ処理方法であって、
前記撮像装置によって撮像された1つの画像データから、食品収納領域としての前記貯蔵室及び前記ドア収納部をそれぞれ含む複数の部分を切り出す切出処理を実行する冷蔵庫内の画像データ処理方法。」
[本願発明2]
前方に開口を備える貯蔵室と、
該開口を開閉し、ドア収納部が設けられた回転式のドアと、
前記貯蔵室の外側に配され、広角視野のレンズを有する撮像装置と、を備え、
前記ドアが開かれた状態で該撮像装置が撮像した1つの画像データには、前記貯蔵室及び前記ドア収納部の収納物が含まれるように前記レンズが配置され、撮像された前記貯蔵室及び前記ドア収納部の収納物の画像を使用者に確認可能にさせる冷蔵庫。
第3 当審拒絶理由通知における拒絶の理由
当審拒絶理由通知における拒絶の理由のうち、理由2は、大略、次のとおりのものである。
2 (進歩性)本願の請求項1ないし請求項11に記載された発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.特開2003-42626号公報
引用文献2.特開2018-13272号公報
引用文献3.特開2017-161210号公報
第4 引用文献
1.引用文献1
当審拒絶理由通知で引用した引用文献1には、「冷蔵庫」に関して、次の記載事項、図示事項及び認定事項がある(下線は当審が付したものである。以下同様。)。
(1)「【0004】本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、少ないカメラ台数で多くの場所を撮影することが可能で、コストの上昇を抑えることができる冷蔵庫を提供するにある。」
(2)「【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1実施例について、図1ないし図17を参照して説明する。まず、図1及び図2において、冷蔵庫本体1のキャビネット2の内部には、上から順に、それぞれ貯蔵室を構成する冷蔵室3、野菜室4、製氷室5及び切替室6、冷凍室7が設けられている。このうち製氷室5と切替室6とは、左右に並べて配置されている。
【0013】上記冷蔵室3内には、棚8が着脱可能にセットされている。この冷蔵室3の前面開口部を開閉する扉9は、一端部(図3の右端部)が図示しないヒンジにより枢支された回動式であり、内側に3段のドアポケット10が設けられている。冷蔵室3の開口部の縁部には、図3に示すように、その扉9の開閉に応動する扉スイッチ11が設けられている。この場合、この扉スイッチ11は、扉9が完全に閉じた状態から少し開くことで開放状態を検出(オン)し、扉9が完全に閉じることで閉鎖状態を検出(オフ)する構成となっている。
【0014】上記野菜室4、製氷室5、切替室6及び冷凍室7には、それぞれ前後方向へ移動する引出し12~15が設けられていて、各引出し12~15の前部に、対応する室の前面開口部を開閉する扉12a~15aが設けられている。これら野菜室4、製氷室5、切替室6及び冷凍室7の各開口部の縁部にも、対応する扉12a~15aに応動する扉スイッチ16(図2参照)が設けられている。なお、切替室6の扉スイッチ16は示されていない。この場合、これら各扉スイッチ16も、対応する扉12a~15aが完全に閉じた状態から少し開くことで開放状態を検出(オン)し、扉12a~15aが完全に閉じることで閉鎖状態を検出(オフ)する構成となっている。
【0015】上記製氷室5には、図示はしないが自動製氷機が配設されていて、この自動製氷機により製造された氷が、引出し13内に収容される。切替室6は、冷凍温度帯から冷蔵温度帯までのうち、使用者が好みの温度帯に切り替えて使用できる構成となっている。
【0016】冷蔵庫本体1のキャビネット2の上部には、カメラユニット20が設置されている。このカメラユニット20のベースブロック21は、キャビネット2の上面の前部において、左右方向(幅方向)のほぼ中央部に位置させて設けられていて、このベースブロック21にアーム22が固定状態に設けられている。アーム22はキャビネット2の前方へ向けて突出していて、そのアーム22の前端部に、1台のカメラ23が設置されている。このカメラ23は、第1のモータ24により図2の矢印X方向(前後方向)へ回転されると共に、第2のモータ25により図1のY方向(左右方向)へ回転されるようになっている。カメラ23は下部に下向きのレンズ23aを有していて、透明なカメラカバー26により覆われている。」
(3)「【0021】次に上記構成の作用を説明する。
(冷蔵室3内を撮影する場合)撮影のタイミングを示す図10において、冷蔵室3の扉9が開放されると、扉スイッチ11によりこれが検出される。すると、制御装置42は、カメラ23の位置を確認し、カメラ23が第1の撮影位置(図4の位置)にある場合にはそのままで、また、カメラ23が第1の撮影位置以外にある場合には、第1及び第2のモータ24,25を駆動して第1の撮影位置まで移動させる。これと同時に、カメラ23により一定時間間隔T1(例えば0.2秒)毎に冷蔵室3内の撮影を開始する。撮影した画像データは、画像メモリ43に記憶させる。この場合、画像メモリ43に、順次更新しながら常に最新の一定枚数N1(例えば8枚)の画像データを保存していき、古いものは順次削除していく。」
(4)「【0026】(冷蔵室3の扉9のドアポケット10を撮影する場合)使用者が、冷蔵室3の扉9のドアポケット10を撮影したい場合には、操作パネル30におけるドアポケット撮影用スイッチ32を1回押圧操作する。すると、制御装置42は、カメラ23の位置を確認し、カメラ23が第4の撮影位置(図7の位置)にある場合にはそのままで、また、カメラ23が第4の撮影位置以外にある場合には、第1及び第2のモータ24,25を駆動して第4の撮影位置まで移動させる。
【0027】そして、使用者は、冷蔵室3の扉9を、ドアポケット10の撮影に適した位置、例えばほぼ90度開放した位置に保持し、この状態でドアポケット撮影用スイッチ32を再度押圧操作する。これにより、カメラ23によるドアポケット10の撮影が行われ、撮影された画像データは画像メモリに記憶される。
【0028】なおこの場合、使用者がドアポケット撮影用スイッチ32を再度押圧操作することで撮影することに代えて、冷蔵室3の扉9がドアポケット10の撮影に適した位置にあることを検出する検出スイッチを設け、制御装置42が、その検出スイッチの検出に基づきドアポケット10を自動的に撮影することもできる。」
(5)「【0046】図22及び図23は本発明の第3実施例を示したものであり、この第3実施例は、上記した第1及び第2実施例とは次の点が異なっている。すなわち、アーム22の先端部に設けられたカメラ23は、冷蔵庫本体1側で、かつ斜め下向きに向けられた状態で固定されていて、駆動手段となる第1及び第2のモータは設けられておらず、また、カメラカバー26には、冷蔵室用及びドアポケット用凹レンズ27,28は設けられていない。カメラ23のレンズ48は広角レンズであり、その視野内には、扉9が開放された冷蔵室3内と、野菜室4、製氷室5、切替室6及び冷凍室7からそれぞれ引き出された各引出し12~15内が入っていて、これらの範囲を1枚で撮影することができるようになっている。図22においては、冷蔵室3の扉9が開放されていると共に、冷凍室7の引出し15が引き出された状態が示されている。撮影のタイミングは、第1実施例または第2実施例と同様とする。
【0047】図23の(a)には、図22の状態で、カメラ23により撮影された画像の一例が示されている。この(a)の画像は、画像処理前のもので、撮影した全体の画像が示されている。(b)は画像処理後の画像で、必要な部分の画像を、拡大及び歪み処理したものである。ここでは、例として冷凍室7の引出し15内の画像が示されている。この場合、冷凍室7の引出し15の他、冷蔵室3内、野菜室4の引出し12内、製氷室5の引出し13内、及び切替室6の引出し14内の画像も同様にして表示することができる。
【0048】上記した第3実施例によれば、1台のカメラ23で、しかも固定されたままで、冷蔵庫本体1の庫内の複数箇所を撮影することができる。
【0049】本発明は、上記した各実施例にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。冷蔵室3の扉9は、一枚扉の例を示したが、2枚の左右両開き(いわゆる観音開き)式であっても良い。この場合、ドアポケット10も左右2箇所となるが、カメラ23を第2のモータ25により左右両側に回転させれば、どちらのドアポケット10も撮影することができる。カメラ23を駆動する駆動手段としては、モータに代えてソレノイドとすることもできる。」
(6)「【図22】
[図:0001421731000001.jpg]
」
(7)「【図23】
[図:0001421731000002.jpg]
」
(8) (3)及び(5)の記載事項から、引用文献1の第3実施例は、カメラユニットには、前記扉9が開放されると、野菜室4、製氷室5、切替室6及び冷凍室7から各引出し12~15が引き出された状態で該カメラユニット20に設置されたカメラ23により1枚で撮影された全体の画像に、前記冷蔵室3内及び前記各引出し12~15内の画像が含まれるように、広角レンズが設けられるものといえる。
(9) (7)の冷蔵室3内及び引出し15内の図示事項、並びに、冷蔵庫の冷蔵室、扉及び引出しには収納物が収納されるという一般常識を踏まえると、冷蔵室3内及び引出し15内の画像を撮影することは、冷蔵室3内及び引出し15内の収納物の画像を使用者に確認可能にさせることといえる。
これら記載事項、図示事項及び認定事項を総合すると、引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「 前面開口部を備える冷蔵室3と、
該前面開口部を開閉する、ドアポケット10が設けられた回動式の扉9と
キャビネット2の上部に設置された、広角レンズを有するカメラユニット20と、を備え、
前記扉9が開放されると、野菜室4、製氷室5、切替室6及び冷凍室7から各引出し12~15が引き出された状態で該カメラユニット20に設置されたカメラ23により1枚で撮影された全体の画像に、前記冷蔵室3内及び前記各引出し12~15内の画像が含まれるように前記広角レンズが設けられ、前記冷蔵室3内及び前記各引出し12~15内の画像を撮影できるようになっており、
必要な部分の画像を、拡大及び歪み処理して表示することができる
冷蔵庫本体1。」
2.引用文献2
当審拒絶理由通知で引用した引用文献2には、「冷蔵庫」に関して、次の記載事項がある。
(1)「【0040】
実施の形態1において、画像取得部117は、高画角レンズ、特に画角が180°以上となる魚眼レンズを使用することで、食品棚113の全範囲及び第2ドア111bに設置された第2ポケット119を視認することが可能となり、より取得画像の視認性を向上することができる。」
この記載事項からみて、引用文献2には以下の技術事項(以下、「引用文献2の技術事項」という。)が記載されている。
「高画角レンズ、特に画角が180度以上となる魚眼レンズを用いることで、食品棚113の全範囲及び第2ドア111bに設置された第2ポケット119を視認することが可能となり、取得画像の視認性を向上することができること。」
第5 対比・判断
1.本願発明1
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「開口部」は、その機能、構成及び技術的意義からみて前者の「開口」に相当し、同様に、後者の「冷蔵室3」は前者の「貯蔵室」に相当する。
そうすると、後者の「前面開口部を備える冷蔵室3」は、前者の「前方に開口を備える貯蔵室」に相当する。
後者の「ドアポケット10」は、その機能、構成及び技術的意義からみて前者の「ドア収納部」に相当し、同様に、「扉9」は「ドア」に相当する。
そうすると、後者の「該前面開口部を開閉する、ドアポケット10が設けられた回動式の扉9」は、前者の「該開口を開閉し、ドア収納部が設けられた回転式のドア」に相当する。
後者の「キャビネット2の上部」は、上から順に貯蔵室を構成する冷蔵室3、野菜室4及び製氷室5、並びに切替室6、冷凍室7が設けられるキャビネット2の上部であるから、前者の「前記貯蔵室の外側」に相当する。また、後者の「設置された」は前者の「配され」に、「広角レンズ」は「広角視野のレンズ」に、「カメラユニット20」は「撮像装置」に、それぞれ相当する。
そうすると、後者の「キャビネット2の上部に設置された、広角レンズを有するカメラユニット20」は、前者の「前記貯蔵室の外側に配され、広角視野のレンズを有する撮像装置」に相当する。
後者の「前記扉9が開放されると、野菜室4、製氷室5、切替室6及び冷凍室7から各引出し12~15が引き出された状態」は、その機能、構成及び技術的意義からみて前者の「前記ドアが開かれた状態」に相当する。同様に、後者の「該カメラユニット20に設置されたカメラ23により1枚で撮影された全体の画像」は、カメラユニット20で撮像した1枚の画像データといえるから、前者の「該撮像装置が撮像した1つの画像データ」に相当する。
また、後者の「前記冷蔵室3内及び前記各引出し12~15内の画像が含まれるように前記広角レンズが設けられ、前記冷蔵室3内及び前記各引出し12~15内の画像を撮影できるようになって」いることは、第4、1.、(9)の認定事項を踏まえると、前記冷蔵室3内及び前記各引出し12~15内の収納物が画像に含まれるように前記広角レンズが設けられ、撮影された前記冷蔵室3内及び前記各引出し12~15内の収納物の画像を使用者に確認可能にさせることであるから、前者の「前記貯蔵室及び前記ドア収納部の収納物が含まれるように前記レンズが配置され、撮像された前記貯蔵室及び前記ドア収納部の収納物の画像を使用者に確認可能にさせる」こととは、
「前記貯蔵室及び収納部の収納物が含まれるように前記レンズが配置され、撮像された前記貯蔵室及び前記収納部の収納物の画像を使用者に確認可能にさせる」ことという限りで一致する。
そして、後者の「前記扉9が開放されると、野菜室4、製氷室5、切替室6及び冷凍室7から各引出し12~15が引き出された状態で該カメラユニット20に設置されたカメラ23により1枚で撮影された全体の画像に、前記冷蔵室3内及び前記各引出し12~15内の画像が含まれるように前記広角レンズが設けられ、前記冷蔵室3内及び前記各引出し12~15内の画像を撮影できるようになって」いることは、冷蔵庫本体1における野菜室4、製氷室5、切替室6及び冷凍室7の各引出し12~15の画像を処理することであるから、前者の「前記ドアが開かれた状態で該撮像装置が撮像した1つの画像データには、前記貯蔵室及び前記ドア収納部の収納物が含まれるように前記レンズが配置され、撮像された前記貯蔵室及び前記ドア収納部の収納物の画像を使用者に確認可能にさせる冷蔵庫の冷蔵庫内の画像データ処理方法」とは、「前記ドアが開かれた状態で該撮像装置が撮像した1つの画像データには、前記貯蔵室及び前記収納部の収納物が含まれるように前記レンズが配置され、撮像された前記貯蔵室及び前記収納部の収納物の画像を使用者に確認可能にさせる冷蔵庫」という限りで一致する。
後者の「必要な部分の画像を、拡大及び歪み処理して表示する」ことは、カメラユニット20に設置されたカメラ23によって撮影された、冷蔵室3、野菜4、製氷室5、切替室6及び冷凍室7から引き出された各引き出し12~15である複数の食品収納領域を含む一枚の画像データから、必要な部分の画像を切り出し、拡大及び歪み処理をして表示することであるから、前者の「前記撮像装置によって撮像された1つの画像データから、食品収納領域としての前記貯蔵室及び前記ドア収納部をそれぞれ含む複数の部分を切り出す切出処理を実行する」こととは、少なくとも、「前記撮像装置によって撮像された1つの画像データから、食品収納領域としての前記貯蔵室及び前記収納部をそれぞれ含む部分を切り出す切出処理を実行する」こと、という限りで一致する。
後者の「冷蔵庫本体1」は、その機能、構成及び技術的意義を踏まえると、前者の「冷蔵庫内の画像データ処理方法」とは、「冷蔵庫」という限りで一致する。
そうすると、両者は、
「 前方に開口を備える貯蔵室と、
該開口を開閉し、ドア収納部が設けられた回転式のドアと、
前記貯蔵室の外側に配され、広角視野のレンズを有する撮像装置と、を備え、
前記ドアが開かれた状態で該撮像装置が撮像した1つの画像データには、前記貯蔵室及び前記収納部の収納物が含まれるように前記レンズが配置され、撮像された前記貯蔵室及び前記収納部の収納物の画像を使用者に確認可能にさせる冷蔵庫であって、
前記撮像装置によって撮像された1つの画像データから、食品収納領域としての前記貯蔵室及び前記収納部をそれぞれ含む部分を切り出す切出処理を実行する冷蔵庫。」である点で一致し、次の2点で相違する。
[相違点1]
収納物及び画像の切り出しに関して、前者は「前記ドアが開かれた状態で該撮像装置が撮像した1つの画像データには、前記貯蔵室及び前記ドア収納部の収納物が含まれるように前記レンズが配置され、撮像された前記貯蔵室及び前記ドア収納部の収納物の画像を使用者に確認可能にさせ」、「食品収納領域としての前記貯蔵室及び前記ドア収納部をそれぞれ含む複数の部分を切り出す切出処理を実行する」のに対し、後者は、「前記扉9が開放されたと共に、野菜室4、製氷室5、切替室6及び冷凍室7から各引出し12~15が引き出された状態で該カメラユニット20に設置されたカメラ23より撮影された1つの画像には、前記冷蔵室3内及び前記各引出し12~15内の画像が含まれるように前記広角レンズが設けられ、前記冷蔵室3内及び前記各引出し12~15内の画像を撮影できるようになっており」、「必要な部分の画像を、拡大及び歪み処理して表示することができる」点。
[相違点2]
前者は「冷蔵庫内の画像データ処理方法」であるのに対し、後者は「冷蔵庫本体1」である点。
(2)判断
上記相違点について判断する。
上記相違点1について検討する。引用文献1の段落【0046】に記載されるとおり、引用発明は、第1実施例及び第2実施例と異なり、カメラ23は冷蔵庫本体側で固定され、駆動手段となる第1及び第2のモータは設けられていないものである。広角レンズであるカメラ23のレンズ48の視野内には、扉9が開放された冷蔵庫3内と、野菜室4、製氷室5、扉9が開放された冷蔵室3内と、野菜室4、製氷室5、切替室6及び冷凍室7からそれぞれ引き出された各引出し12~15内が入っていて、これらの範囲を一枚の画像で撮影することができるものである。さらに、段落【0048】には「1台のカメラで、しかも固定されたままで、冷蔵庫本体1の庫内の複数箇所を撮影することができる。」と記載されている。そうすると、引用発明は、冷蔵庫本体1に固定した、広角レンズを備えたカメラ23により、貯蔵品を収納する複数の箇所を一枚の画像で撮影するものといえる。
また、段落【0046】には、「撮影のタイミングは、第1実施例または第2実施例と同様とする。」ことが記載されている。そして、第1実施例について、段落【0026】には、扉9のドアポケット10を撮影する場合が記載され、段落【0027】及び【0028】には、冷蔵庫3の扉9がドアポケット10の撮影に適した位置で、カメラ23により扉9のドアポケット10の撮影を行うことが記載されている。
また、引用文献2の技術事項のように、貯蔵室とドア収納部の画像を取得できるように撮像装置及び魚眼レンズを設けることは、従来から知られている。
そうすると、引用文献1の段落【0027】及び【0028】の記載を踏まえれば、引用発明においても、冷蔵室3の扉9のドアポケット10の撮影に適した位置でカメラ23により当該扉9のドアポケット10を撮影できることは、容易に想起し得ることである。
また、引用発明は、貯蔵品を収納する複数の箇所を撮影した一枚の画像から、「必要な部分の画像を、拡大及び歪み処理して表示することができる」ものであるから、撮影した複数の箇所に対応させて、複数の部分の画像を拡大及び歪み処理すること、すなわち、複数の部分を切り出す切出処理を実行することは、当業者であれば容易に想起できることである。
そうすると、引用文献2の技術事項のような技術が従来から知られている以上、引用発明において、冷蔵庫3内と扉9のドアポケット10を一枚の画像で撮影し、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
上記相違点2について検討する。引用発明は、カメラ23が設置されたカメラユニット20により、扉9が開放されると撮影を開始し、撮影された画像につて、必要な部分の画像を、拡大及び歪み処理して表示することができる冷蔵庫本体1である。そして画像の拡大及び歪み処理は、画像データの処理により行うことは、当業者であれば自明である。そうすると、引用発明は、「冷蔵庫内の画像データ処理方法」を実質的に含むものといえる。そうすると、相違点2は実質的な相違ではない。
また、本願発明1は、全体としてみても、引用発明及び引用文献2の技術事項から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。
したがって、本願発明1は、引用発明及び引用文献2の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
2.本願発明2
(1)対比
本願発明2と引用発明とを対比すると、後者の「開口部」は、その機能、構成及び技術的意義からみて前者の「開口」に相当し、同様に、後者の「冷蔵室3」は前者の「貯蔵室」に相当する。
そうすると、後者の「前面開口部を備える冷蔵室3」は、前者の「前方に開口を備える貯蔵室」に相当する。
後者の「ドアポケット10」は、その機能、構成及び技術的意義からみて前者の「ドア収納部」に相当し、同様に、「扉9」は「ドア」に相当する。
そうすると、後者の「該前面開口部を開閉する、ドアポケット10が設けられた回動式の扉9」は、前者の「該開口を開閉し、ドア収納部が設けられた回転式のドア」に相当する。
後者の「キャビネット2の上部」は、上から順に貯蔵室を構成する冷蔵室3、野菜室4及び製氷室5、並びに切替室6、冷凍室7が設けられるキャビネット2の上部であるから、前者の「前記貯蔵室の外側」に相当する。また、後者の「設置された」は前者の「配され」に、「広角レンズ」は「広角視野のレンズ」に、「カメラユニット20」は「撮像装置」に、それぞれ相当する。
そうすると、後者の「キャビネット2の上部に設置された、広角レンズを有するカメラユニット20」は、前者の「前記貯蔵室の外側に配され、広角視野のレンズを有する撮像装置」に相当する。
後者の「前記扉9が開放されたと共に、野菜室4、製氷室5、切替室6及び冷凍室7から各引出し12~15が引き出された状態」は、その機能、構成及び技術的意義からみて前者の「前記ドアが開かれた状態」に相当する。同様に、後者の「該カメラユニット20に設置されたカメラ23により1枚で撮影された全体の画像」は、カメラユニット20で撮像した1枚の画像データといえるから、前者の「該撮像装置が撮像した1つの画像データ」に相当する。
また、後者の「前記冷蔵室3内及び前記各引出し12~15内の画像が含まれるように前記広角レンズが設けられ、前記冷蔵室3内及び前記各引出し12~15内の画像を撮影できるようになって」いることは、第4、1.、(8)の認定事項を踏まえると、前記冷蔵室3内及び前記各引出し12~15内の収納物が画像に含まれるように前記広角レンズが設けられ、撮影された前記冷蔵室3内及び前記各引出し12~15内の収納物の画像を使用者に確認可能にさせることであるから、前者の「前記貯蔵室及び前記ドア収納部の収納物が含まれるように前記レンズが配置され、撮像された前記貯蔵室及び前記ドア収納部の収納物の画像を使用者に確認可能にさせる」こととは、「前記貯蔵室及び収納部の収納物が含まれるように前記レンズが配置され、撮像された前記貯蔵室及び前記収納部の収納物の画像を使用者に確認可能にさせる」こと、という限りで一致する。
そうすると、後者の「前記扉9が開放されたと共に、野菜室4、製氷室5、切替室6及び冷凍室7から各引出し12~15が引き出された状態で該カメラユニット20に設置されたカメラ23により1枚で撮影された全体の画像には、前記冷蔵室3内及び前記各引出し12~15内の画像が含まれるように前記広角レンズが設けられ、前記冷蔵室3内及び前記各引出し12~15内の画像を撮影できるようになって」いることと、前者の「前記ドアが開かれた状態で該撮像装置が撮像した1つの画像データには、前記貯蔵室及び前記ドア収納部の収納物が含まれるように前記レンズが配置され、撮像された前記貯蔵室及び前記ドア収納部の収納物の画像を使用者に確認可能にさせる」こととは、「前記ドアが開かれた状態で該撮像装置が撮像した1つの画像データには、前記貯蔵室及び前記収納部の収納物が含まれるように前記レンズが配置され、撮像された前記貯蔵室及び前記収納部の収納物の画像を使用者に確認可能にさせる」こと、という限りで一致する。
後者の「冷蔵庫本体1」は、前者の「冷蔵庫」に相当する。
そうすると、両者は、
「 前方に開口を備える貯蔵室と、
該開口を開閉し、ドア収納部が設けられた回転式のドアと、
前記貯蔵室の外側に配され、広角視野のレンズを有する撮像装置と、を備え、
前記ドアが開かれた状態で該撮像装置が撮像した1つの画像データには、前記貯蔵室及び前記収納部の収納物が含まれるように前記レンズが配置され、撮像された前記貯蔵室及び前記収納部の収納物の画像を使用者に確認可能にさせる冷蔵庫。」である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点3]
画像データに含まれる収納物に関して、前者は「前記ドアが開かれた状態で該撮像装置が撮像した1つの画像データには、前記貯蔵室及び前記ドア収納部の収納物が含まれるように前記レンズが配置され、撮像された前記貯蔵室及び前記ドア収納部の収納物の画像を使用者に確認可能にさせる」のに対し、後者は、「前記扉9が開放されたと共に、野菜室4、製氷室5、切替室6及び冷凍室7から各引出し12~15が引き出された状態で該カメラユニット20に設置されたカメラ23より撮影された1つの画像には、前記冷蔵室3内及び前記各引出し12~15内の画像が含まれるように前記広角レンズが設けられ、前記冷蔵室3内及び前記各引出し12~15内の画像を撮影できるようになって」いる点。
(2)判断
上記相違点3について検討する。引用文献1の段落【0046】に記載されるとおり、引用発明は、第1実施例及び第2実施例と異なり、カメラ23は冷蔵庫本体側で固定され、駆動手段となる第1及び第2のモータは設けられていないものである。広角レンズであるカメラ23のレンズ48の視野内には、扉9が開放された冷蔵庫3内と、野菜室4、製氷室5、扉9が開放された冷蔵室3内と、野菜室4、製氷室5、切替室6及び冷凍室7からそれぞれ引き出された各引出し12~15内が入っていて、これらの範囲を一枚の画像で撮影することができるものである。さらに、段落【0048】には「1台のカメラで、しかも固定されたままで、冷蔵庫本体1の庫内の複数箇所を撮影することができる。」と記載されている。そうすると、引用発明は、冷蔵庫本体1に固定した、広角レンズを備えたカメラ23により、貯蔵品を収納する複数の箇所を一枚の画像で撮影するものといえる。
また、段落【0046】には、「撮影のタイミングは、第1実施例または第2実施例と同様とする。」ことが記載されている。そして、第1実施例について、段落【0026】には、扉9のドアポケット10を撮影する場合が記載され、段落【0027】及び【0028】には、冷蔵庫3の扉9がドアポケット10の撮影に適した位置で、カメラ23により扉9のドアポケット10の撮影を行うことが記載されている。
また、引用文献2の技術事項のように、貯蔵室とドア収納部が含まれるように撮像装置及びレンズを設けることは従来から知られている。
そうすると、引用文献1の段落【0027】及び【0028】の記載を踏まえれば、引用発明においても、冷蔵室3の扉9のドアポケット10の撮影に適した位置でカメラ23により当該扉9のドアポケット10を撮影できることは、容易に想起し得ることである。
そうすると、引用文献2の技術事項のような技術が従来から知られている以上、引用発明において、冷蔵庫3内と扉9のドアポケット10を一枚の画像で撮影し、相違点3に係る本願発明2の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
また、本願発明2は、全体としてみても、引用発明及び引用文献2の技術事項から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。
したがって、本願発明2は、引用発明及び引用文献2の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
3.審判請求人の主張について
令和6年7月30日に提出した意見書(以下、「意見書」という。)において、審判請求人は、大略次のことを主張する。
(1) 引用文献1は、第1実施例においてドアポケット10の撮影が着想されているにも拘らず第3実施例においてドアポケット10が撮影されていない。したがって、引用文献1は、「ドアが開かれた状態で撮像装置が撮像した1つの画像データには、貯蔵室及びドア収納部の収納物が含まれるようにレンズ」を配置する本構成への想到について、むしろ阻害要因を与える。
(2) 引用文献1は、第3実施例を含めたすべての実施例において、ユーザへの提示に耐え得る品質で多くの場所を撮影するために、それが困難な場所を撮影対象から除外するものである。冷蔵室3,引出室12~15,ドアポケット10のすべての撮影の試みについてはまったく開示しておらずむしろ何れかの場所の除外は必須であることが示唆され、特に、冷蔵室3及びドアポケット10を1度に撮影することも検討していないため、本願発明とは技術思想が根本的に異なる。
(3) 本願発明は、「前記ドアが開かれた状態で該撮像装置が撮像した1つの画像データには、前記貯蔵室及び前記ドア収納部の収納物が含まれるように前記レンズが配置され」ることで、貯蔵室とドア収納部との撮像に要する時間を短縮でき、撮影機能の使い勝手の向上に繋がるという、特有の課題を解決するものであるが、引用文献1には、記載も示唆もない。
(4) 引用文献2は、ドアポケット116,119を障害と認識していますから、引用文献2に接した当業者は、冷蔵室と引出室を1回で撮影する引用文献1の視野にドアポケットを追加しようとする動機づけを得ることはできない。
そこで、これら主張について検討する。
(1)主張(1)について
引用文献1の段落【0046】は「この第3実施例は、上記した第1及び第2実施例とは次の点が異なっている。すなわち、アーム22の先端部に設けられたカメラ23は、冷蔵庫本体1側で、かつ斜め下向きに向けられた状態で固定されていて、駆動手段となる第1及び第2のモータは設けられておらず、また、カメラカバー26には、冷蔵室用及びドアポケット用凹レンズ27,28は設けられていない。カメラ23のレンズ48は広角レンズであ」ることが記載されている。この記載から、第3実施例(引用発明)は、駆動手段を設けられていない、広角レンズであるレンズ48を備えたカメラ23により、第1実施例及び第2実施例と同じ機能を果たす実施例と理解できる。
そして、引用文献1の第1実施例は、段落【0021】に「(冷蔵庫3内を撮影する場合)」と記載され、段落【0024】に「(野菜室4、製氷室5、切替室6及び冷凍室7の引出し12~15を撮影する場合)」と記載され、段落【0026】に「(冷蔵庫3の扉9のドアポケット10を撮影する場合)」と記載されるとおり、冷蔵庫3内と、野菜室4、製氷室5、切替室6及び冷凍室7の引出し12~15と、冷蔵庫3の扉9のドアポケット10を撮影するものであるから、第1実施例を同じ機能を果たす第3実施例は、広角レンズであるレンズ48を備えた、固定されているカメラ23により冷蔵庫3の扉9のドアポケット10を撮影すると理解し得る。そして、段落【0046】ないし【0048】には、実施例3において冷蔵庫3の扉9のドアポケット10が撮影できない旨の記載はなく、ドアポケット10が撮影できないという事情も認められないから、実施例3において、広角レンズであるレンズ48を備えたカメラで冷蔵庫3の扉9のドアポケット10を撮影できるという理解は合理的に導き出せる。
また、【図23】に冷蔵庫3内と冷凍室7の引出し15内を撮影するものが図示され、段落【0047】には、「ここでは、例として冷凍室7の引出し15内の画像が示されている。この場合、冷凍室7の引出し15の他、冷蔵室3内、野菜室4の引出し12内、製氷室5の引出し13内、及び切替室6の引出し14内の画像も同様にして表示することができる。」と記載され、さらに、段落【0048】には、「上記した第3実施例によれば、1台のカメラ23で、しかも固定されたままで、冷蔵庫本体1の庫内の複数箇所を撮影することができる。」と記載されていることを踏まえれば、実施例3は、【図23】で図示される箇所以外の冷蔵庫本体1内の複数箇所が撮影できると理解し得る。そして、上述したとおり、実施例3において冷蔵庫3の扉9のドアポケット10が撮影できない旨の記載はなくドアポケット10が撮影できないという事情も認められないのであるから、当該複数箇所の1つとして「冷蔵庫3の扉9のドアポケット10」が選択できないとする合理的な理由を、引用文献1から導き出すことはできない。
また、請求人も「実際にドアポケット10が写っている可能性があります。」(意見書3.(3)(3-2))と述べるとおり、実施例3も、冷蔵庫のドアポケット10の撮影に適した位置において撮影するという第1実施例のタイミングが採用できることは、当業者であれば容易に想起できることである。
そして、引用文献2の技術事項のとおり、貯蔵室とドア収納部が含まれるように撮像装置及びレンズを設けることは従来から知られているから、引用発明において、引用文献2の技術事項を踏まえて、相違点1に係る本願発明の発明特定事項及び相違点3に係る本願発明2の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
したがって、審判請求人の主張(1)に係る主張は当を得ない。
(2)主張(2)について
本願発明1は、請求項1の記載からみて、撮像された貯蔵室及びドア収納部の収納物の画像を使用者に確認可能にさせる冷蔵庫の冷蔵庫内の画像データ処理方法に係る発明である。本願発明2も、請求項2の記載からみて、撮像された貯蔵室及び前記ドア収納部の収納物の画像を使用者に確認可能にさせる冷蔵庫に係る発明である。したがって、本願発明1及び本願発明2は、貯蔵室及びドア収納部以外の場所を撮像することの特定はない。
また、引用発明は、引用文献1の段落【0048】に記載されるとおり、「1台のカメラ23で、しかも固定されたままで、冷蔵庫本体1の複数箇所を撮影」するものであるから、冷蔵庫の複数箇所といえる貯蔵室とドア収納部を撮像する本願発明1及び本願発明2と技術思想が根本的に異なると解することもできない。
そして、相違点1の判断及び「(1)主張(1)について」で上述したとおり、引用発明において、引用文献2の技術事項を踏まえて、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項及び相違点3に係る本願発明2の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
したがって、審判請求人の主張(2)に係る主張は当を得ない。
(3)主張(3)について
引用文献1の段落【0004】に記載されるとおり、引用発明はカメラ1台で複数箇所を撮影するものであるから、撮影機能の使い勝手が向上するという効果を奏することは、当業者であれば予測し得ることといえる。また、実施例3は、「1台のカメラ23で、冷蔵庫本体1の複数箇所を撮影」するものであるから、冷蔵庫本体1を複数回撮影することと比べ撮像に要する時間が短縮できることは、当業者であれば当然予測し得ることである。
そうすると、審判請求人が主張する特有の課題の解決である「貯蔵室とドア収納部との撮像に要する時間を短縮でき、撮影機能の使い勝手の向上に繋がる」ことは、引用発明及び引用文献2の技術事項から予測し得たことである。
したがって、審判請求人の主張(3)に係る主張は当を得ない。
(4)主張(4)について
引用文献2の技術事項は、「高画角レンズを用いることで、食品棚113の全範囲及び第2ドア111bに設置された第2ポケット119を視認することが可能となり、取得画像の視認性を向上することができること。」である。また、引用文献2には、第2ポケット119が食品棚113を写す際の障害と認識されることの記載はなく、示唆もない。そうすると、該引用文献2の技術事項は、高画角レンズを用いて食品棚113の全範囲及び第2ドア111bの第2ポケット119の画像を取得し、視認性を向上させることが開示されていると解するのが自然である。
そして、このような引用文献2の技術事項が従来知られていることに鑑みれば、引用発明において、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項及び相違点3に係る本願発明2の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
したがって、審判請求人の主張(4)に係る主張は当を得ない。
そうすると、意見書における審判請求人の主張は当を得ない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1及び本願発明2は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-005318