意匠拒絶査定不服審判
2025-019423
炊飯器
- 審判番号
- 2025-019423
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2024-018704
- 登録番号
- 1821008
- 請求日
- 2025年12月04日
- 審決日
- 2026年02月04日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】東芝ライフスタイル株式会社
- 【請求人代理人】吉岡 健治
- 審判長/審判官
- 審判長 富永 亘
- 審判官 清水 玲香
- 審判官 渡邉 久美
- 分類
- D18 .113-WY (C5-4)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2024- 18704「炊飯器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和6年(2024年)9月10日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は、以下のとおりである。
令和7年(2025年) 4月25日付け 拒絶理由の通知
同年 6月16日 意見書の提出
同年 9月 1日付け 拒絶査定
同年 12月 4日 審判請求書の提出
第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「炊飯器」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)
第3 原査定における拒絶の理由及び引用の意匠
令和7年(2025年)4月25日付けの原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。別紙第2参照)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、としたものである。
引用意匠
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1685214号
(意匠に係る物品、炊飯器)の意匠
第4 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも「炊飯器」であるから、一致する。
(2)両意匠の形状等
両意匠の形状等を比較すると、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
ア 共通点
(共通点ア)全体
両意匠の全体形状は、本体、蓋及び取っ手からなる略隅丸直方体であって、正面視、縦横及び奥行きの長さの比率を、約1:1.2:1.5、蓋と本体の高さの比率を、約0.4:1としたものである点、
(共通点イ)蓋の態様
蓋について、平面視、上面は略角丸縦長長方形で、側面視において正面側から後方に向かって上方向に傾斜し、蓋周側面は、上面縁から蓋下端にかけて、正面側は垂直に近く、背面側は緩やかな上方向への傾斜面を形成しており、平面視において、その傾斜面が、正面側は細く、背面側は太い帯状部として上面周縁を囲むように表れている点、
(共通点ウ)本体の態様
本体下端近傍は下方に向かって窄まり、底面の4隅に、略短円柱状の脚部を設けている点、
(共通点エ)取っ手、操作ボタン、蒸気口
平面視において、蓋上面中央より上に略横長長円形状の蒸気口、本体正面中央上寄りに略横長長方形の開閉ボタン、本体上方に、両側面中央を支点として水平に係止する略コの字状の取っ手を設けている点、
において共通する。
イ 相違点
(相違点ア)蓋の態様
上面の態様について、本願意匠は、ほぼ平坦であるのに対し、引用意匠は、僅かに上方に膨出している別部材をはめ込んでいる点、
周側面について、本願意匠は、緩やかな弧状を形成し丸みを帯びた態様としているのに対し、引用意匠は、上方に向かって直線的に窄まる態様とした点、
平面から見た外形状について、本願意匠は、上下左右対称の略隅丸長方形であるのに対し、引用意匠は、上辺より下辺をやや短かくした、上下非対称の略隅丸台形である点、
(相違点イ)本体の態様
下方に向かって窄まる本体下端近傍の態様について、本願意匠は、曲面を形成しているのに対し、引用意匠は、下方に向かって直線的に窄まる態様とした点、
本体背面について、側面視、本願意匠は、ほぼ平坦な垂直面を形成しているのに対し、引用意匠は、略扁平な直方体状の後方部材が突出している点、
取っ手について、本願意匠は、本体背面中央上寄りの小板片で受けているところ、引用意匠は、本体背面の後方部材上面で受けている点、
(相違点ウ)蒸気口
蒸気口について、平面視、本願意匠は上寄りに設けているのに対し、引用意匠は中央寄りに設けている点、またその形状について、本願意匠は細長く帯状であるのに対し、引用意匠は短く太い略トラック形状である点、
において相違する。
2 類否判断
両意匠は炊飯器であるから、需要者は、主に、この種物品を購入し米を炊く目的で使用する一般消費者や、取引業者等であり、全体の外形形状及び上面等が、需要者の注意を引く部分という前提に基づいて、両意匠の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し、判断する。
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は一致するから、同一である。
(2)両意匠の形状等の類否判断
ア 共通点の評価
(共通点ア)から(共通点エ)は、全体の形状等に係るものであるが、下記参考意匠に見られるとおり、本願出願前から公然知られた態様であり、両意匠にのみ見られる態様とはいえず、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
参考意匠(別紙第3参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1687976号
(意匠に係る物品、Electric cooker)の意匠
イ 相違点の評価
(相違点ア)について、蓋の態様は、通常の使用に際し、特に需要者の目につきやすい上部における相違であり、また、上面や周側面が湾曲しているか平坦であるか等の相違は、需要者に別異の美感を与えるものといえるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
(相違点イ)について、本体下方や背面の態様は、正面や上方の態様と比較して、視認しにくい部位ではあるものの、いずれも意匠全体の印象に少なからず影響を与えるものといえることから、両意匠の類否判断に一定程度影響を与えるものである。
(相違点ウ)について、蒸気口は、全体から見れば小さな部位ではあるものの、設置場所や安全対策に影響する部分であることから、需要者が注意を払う部位といえ、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
(3)形状等の類否判断
両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し判断した場合、(共通点ア)から(共通点エ)が両部分の類否判断に与える影響は、いずれも小さいのに対し、(相違点ア)から(相違点ウ)が両部分の類否判断に与える影響は大きいか、一定程度あって、総じて需要者に別異の美感を与えているから、両意匠の形状等は、類似しない。
したがって、形状等を全体として総合的に観察した場合、両意匠の形状等は、共通点よりも相違点が両意匠の類否判断に与える影響が大きいものであるから、両意匠の形状等は類似しない。
3 小括
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品は一致するが、形状等については、共通点は両意匠の類否判断に与える影響が小さいのに対し、相違点は需要者に別異の印象を起こさせるものであるから、両意匠は、類似しない。
第5 むすび
したがって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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