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特許拒絶査定不服審判

2021-004230

基板支持部材及び給電端子

審判番号
2021-004230
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-107453外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年04月01日
審決日
2021年10月04日
公報発行日
2022年01月28日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (H01L) / P18 .121-Z (H01L) / P18 .575-Z (H01L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2016-107453「基板支持部材及び給電端子」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月 7日出願公開,特開2017-216287〕について,次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は,成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は,平成28年 5月30日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。 令和元年 9月17日付け:拒絶理由通知書 令和元年11月14日 :意見書,手続補正書の提出 令和2年 4月24日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書 令和2年 7月 6日 :意見書,手続補正書の提出 令和2年12月22日付け:令和2年 7月 6日の手続補正についての補正の却下の決定,拒絶査定 令和3年 4月 1日 :審判請求書,手続補正書の提出 第2 令和3年 4月 1日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和3年 4月 1日にされた手続補正(以下,「本願補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本願補正について(補正の内容) (1)本願補正後の特許請求の範囲の記載 本願補正により,特許請求の範囲の請求項4の記載は,次のとおり補正された。(当審注:下線部は,補正箇所である。) 「(1)少なくとも2つの導電性の剛性端子と,前記剛性端子同士を接続するより線状の導電性の可撓性端子とを有する,又は(2)より線状の導電性の可撓性端子と,導電性の剛性端子とからなり, 前記剛性端子の径をR1,前記可撓性端子の径をR2としたとき,R2/R1が0.1~0.95であり, 前記可撓性端子は,ニッケル線のより線,または,ニッケル被覆銅線のより線からなり,前記ニッケル線および前記ニッケル被覆銅線の線径は0.1mm~0.4mmであることを特徴とする給電端子。」 (2)本願補正前の特許請求の範囲 本願補正前の,令和元年11月14日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項6(本願補正によって補正された請求項4に対応。)の記載は次のとおりである。 「(1)少なくとも2つの導電性の剛性端子と,前記剛性端子同士を接続するより線状の導電性の可撓性端子とを有する,又は(2)より線状の導電性の可撓性端子と,導電性の剛性端子とからなる,ことを特徴とする給電端子。」 2 補正の適否 本願補正は,本願補正前の請求項6に記載された発明を特定するために必要な事項である「剛性端子の径」と「可撓性端子の径」との比,及び,「可撓性端子」について,前記のとおり限定を付加するものであって,補正前の請求項6に記載された発明と補正後の請求項4に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから,特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで,本願補正後の請求項4に記載される発明(以下,「本願補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について,以下,検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明は,前記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された特開2007-035886号公報(平成19年2月8日出願公開。以下,「引用文献1」という。)には次の記載がある(当審注:下線は当審が付与した。以下、同様である。)。 「【発明を実施するための最良の形態】 ・・・ 【0038】 尚,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,種々の変形が可能である。例えば,図3に示すように,半導体製造装置として,電極20と,電極20を給電対象として電力を供給する給電部材217bとを備えるヒータ210としてもよい。 【0039】 具体的には,ヒータ210は,基体11と,抵抗発熱体12と,電極20と,管状部材13と,抵抗発熱体12に接合される端子14と,電極20に接合される端子214と,抵抗発熱体12に端子14を介して接続する給電部材217aと,電極20に端子214を介して接続する給電部材217bと,コネクター18と,抵抗発熱体12用の電源19と,電極20用の電源219とを備える。図3において,図1と実質的に同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。 ・・・ 【0042】 給電部材217a,217bは,接続部材215a,215bと,連結部材16とを備える。接続部材215a,215bは,第一の棒状部材152a,152bと,ケーブル部材153と,第二の棒状部材154とを備える。このように,接続部材は,図1に示したような全体が棒状のものに限られず,棒状部材とケーブル部材とを組み合わせたものを用いてもよい。 【0043】 第一の棒状部材152a,152b及び第二の棒状部材154の形状は限定されず,略円柱状や略角柱状等の柱状や,略円管状や略角管状等の管状といった棒状の部材を用いることができる。 ・・・ 【0048】 このようにして,接続部材や連結部材がケーブル部材を備えることにより,ケーブル部材153を備える給電部材217a,217bとすることができる。これによれば,給電部材217a,217bに柔軟性を持たせることができる。そのため,給電部材217a,217bを給電対象である抵抗発熱体12や電極20に接続させた際に,電源側端部154cの位置が完全に固定されることを防止できる。よって,電源側端部154cの位置に要求される精度を緩和できる。例えば,コネクター18等,ヒータ210のような半導体製造装置を組み立てるためのアセンブリ部品に対する給電部材217a,217bの位置決めの精度を緩和でき,ある程度の自由度を持たせることができる。 【0049】 しかも,給電部材217a,217bの一部をケーブル部材153とし,給電対象側端部152d,152g,電源側端部154cはそれぞれ,第一の棒状部材152a,152b,第二の棒状部材154で構成しているため,給電部材217a,217bの自立性を維持できる。よって,端子14,214を介した給電対象の抵抗発熱体12や電極20と給電部材217a,217bとの接続や,コネクター18を介した電源19,219と給電部材217a,217bとの接続を容易にできる。これらの結果,ヒータ210製造の歩留まりの低下や製造工程の煩雑化を抑制できる。又,給電により給電部材217a,217bに熱が加わり,熱膨張を起こす場合であっても,ケーブル部材153がこの熱膨張を吸収することができる。そのため,給電部材217a,217b全体が撓んでしまうことを防止できる。よって,給電対象である抵抗発熱体12や電極20と給電部材217a,217bとの接続部分の強度低下を抑制できる。特に,端子14,214と給電部材217a,217bとの接合部分の強度低下を抑制でき,ヒータ210の耐久性を向上できる。 ・・・ 【0058】 また,ケーブル部材153の形態は限定されず,例えば,図5(a)に示すような複数の線材を撚って形成された撚り線ケーブル153aや,図5(b)に示すような複数の線材を編んで形成された編み線ケーブル153b等を用いることができる。編み線ケーブル153aは,例えば,線材を格子状に編むことができる。又,複数の線材を撚って形成された撚り線ケーブルを更に撚って形成した撚り線ケーブルや,撚り線ケーブルを編んだ編み線ケーブル等を用いることもできる。又,ケーブル部材153の断面形状も限定されず,円形,矩形,楕円形等のものを用いることができる。 【0059】 第一の棒状部材152a,152b,第二の棒状部材154及びケーブル部材153は,ニッケル,金,白金,又は,銅の少なくとも1つを含むことが好ましい。これによれば,給電部材217a,217bの高温での使用耐性を向上できる。第一の棒状部材152a,152b,第二の棒状部材154及びケーブル部材153全体がニッケル,金,白金,銅等で形成されていてもよく,その表面だけがニッケル,金,白金,銅等でコーティングされていてもよい。又,第一の棒状部材152a,152b及び第二の棒状部材154と,ケーブル部材153とは異なる材料を用いてもよいが,同種材料を用いることが好ましい。」 「【図3】 [図:0001380827000001.jpg] 」 「【図5】 [図:0001380827000002.jpg] 」 (3) 引用文献1に記載された発明 前記(2)の記載事項から,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「接続部材215aと,連結部材16とを備え,前記接続部材215aは,略円柱状の第一の棒状部材152aと,ケーブル部材153と,略円柱状の第二の棒状部材154とを備える給電部材217aであって, 前記ケーブル部材153は,複数の線材を撚って形成された撚り線ケーブル153aであり,全体がニッケルで形成されている給電部材217a。」 (4)対比 本願補正発明と引用発明1とを対比する。 ア 引用文献1の【0059】の「第一の棒状部材152a,152b,第二の棒状部材154及びケーブル部材153は,ニッケル,金,白金,又は,銅の少なくとも1つを含むことが好ましい。」との記載によれば,引用発明1の「略円柱状の第一の棒状部材152a」及び「略円柱状の第二の棒状部材154」は,導電性及び剛性を有しているといえるから,本願補正発明の「2つの導電性の剛性端子」に相当する。 イ 引用発明1の「ケーブル部材153」は,「複数の線材を撚って形成された撚り線ケーブル153aであり,全体がニッケルで形成されている」から,本願補正発明の「ニッケル線のより線」からなる「より線状の導電性の可撓性端子」に相当する。 ウ 引用発明1の「給電部材217a」は,本願補正発明の「給電端子」に相当し,本願補正発明と引用発明1とは,「(1)少なくとも2つの導電性の剛性端子と,前記剛性端子同士を接続するより線状の導電性の可撓性端子とを有する」点で共通する。 エ 以上から,本願補正発明と引用発明1との一致点及び相違点は,次のとおりである。 <一致点> 「(1)少なくとも2つの導電性の剛性端子と,前記剛性端子同士を接続するより線状の導電性の可撓性端子とを有し, 前記可撓性端子は,ニッケル線のより線からなる給電端子。」 <相違点> 相違点1:本願補正発明は,「前記剛性端子の径をR1,前記可撓性端子の径をR2としたとき,R2/R1が0.1~0.95であ」るのに対し,引用発明1は,そのような構成を有しているかどうか不明である点。 相違点2:「ニッケル線」について,本願補正発明は,「線径は0.1mm~0.4mmである」のに対し,引用発明1は,そのような構成を有しているかどうか不明である点。 (5)判断 以下,相違点について検討する。 ア 相違点1について 引用文献1の【図3】から,「略円柱状の第一の棒状部材152a」及び「略円柱状の第二の棒状部材154」の横方向の幅(径)よりも,「ケーブル部材153」の横方向の幅(径)が小さいことが見て取れるから,「略円柱状の第一の棒状部材152a」及び「略円柱状の第二の棒状部材154」の径をR1,「ケーブル部材153」の径をR2としたときに,R2/R1の値は1未満であるといえる。 そうすると,引用発明1における「R2/R1」の範囲は,本願補正発明の「0.1~0.95」との範囲と重複している。 よって,相違点1は実質的な相違点ではない。 また,相違点1が実質的な相違点であったとしても,引用発明1において,1未満であるR2/R1を具体的にどの値とするかは,当業者が必要に応じて適宜設定し得る事項にすぎないから,R2/R1を0.1~0.95の範囲とすることは,当業者であれば格別困難なこととはいえない。 イ 相違点2について 引用文献1の【0048】の「このようにして,接続部材や連結部材がケーブル部材を備えることにより,ケーブル部材153を備える給電部材217a,217bとすることができる。これによれば,給電部材217a,217bに柔軟性を持たせることができる。」との記載によれば,引用発明1の「ケーブル部材153」には,柔軟性を備えることが必要であるといえる。 また,引用発明1の「ケーブル部材153」は,「給電部材217a」を構成する部材であるから,当該「ケーブル部材153」に電流が流れることは自明の事項である。 そして,「ケーブル部材153」の線径を変えると,「ケーブル部材153」の柔軟性や「ケーブル部材153」に流すことができる電流量が変わることは技術常識である。 そうすると,引用発明1において,「ケーブル部材153」の線径は,当業者であれば,「ケーブル部材153」の柔軟性,「ケーブル部材153」に流す電流量等を考慮して適宜設定する設計的事項であるといえるから,当該「ケーブル部材153」の線径を0.1mm~0.4mmとすることは,当業者が適宜なし得る数値範囲の最適化にすぎない。 ウ そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本願補正発明の奏する作用効果は,引用発明1の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。 エ 請求人は,審判請求書の「513 本願発明1,4の作用効果」及び「551 本願発明1,4の進歩性の考察」において,本願発明4によれば,可撓性端子は,ニッケル線のより線,または,ニッケル被覆銅線のより線からなり,ニッケル線およびニッケル被覆銅線の線径は0.1mm~0.4mmであるので,可撓性端子の強度及び耐久性を確保するとともに,熱膨張時の応力を可撓性端子によって十分に緩和することが可能となる。線径が0.4mmを超えると,可撓性が低下し,応力緩和の効果が低下するおそれがある。一方,線径が0.1mm未満であると,強度や耐久性が低下するおそれがある(本願/当初明細書段落0032,0033参照)。引用発明1におけるケーブル部材153を,本願発明4のように限定することにより,上記で述べた作用効果を奏する発明を得ることができることは,当業者であっても容易に想到し得ることではない旨主張している。 しかし,本願発明4のニッケル線およびニッケル被覆銅線の線径の上限を0.4mmとし,下限を0.1mmとする理由については,本願明細書には何ら記載も示唆もされていないから,請求人の主張する,ニッケル線およびニッケル被覆銅線の線径を0.1mm~0.4mmとすることによる作用効果(以下,単に「作用効果」という。)は,本願明細書の記載に基づくものではない。 また,請求人が主張する上記作用効果が,本願明細書の記載及び技術常識から自明なものであったとしても,当該作用効果は,当業者であれば引用文献1の記載及び技術常識から予測し得るものであり,格別顕著なものであるとはいえない。 したがって,請求人の上記主張は採用できない。 オ よって,本願補正発明は,引用発明1に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本願補正についてのむすび 以上のとおりであるから,本願補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって,前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和3年 4月 1日にされた手続補正は,前記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,令和元年11月14日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項6に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,その請求項6に記載された事項により特定される,前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は,この出願の請求項1,6に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された以下の引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない,また,この出願の請求項1~6に係る発明は,引用文献1に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない,というものである。 引用文献1:特開2007-035886号公報 3 引用文献1の記載事項及び引用文献1に記載された発明 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は,前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりであり,また,引用文献1に記載された発明(引用発明1)は,同2(3)において認定したとおりのものである。 4 対比・判断 本願発明は,前記第2の[理由]2で検討した本願補正発明から,「前記可撓性端子の長さは,前記筒状シャフトの軸方向の長さの1/35~1/1.05であり,前記剛性端子の径をR1,前記可撓性端子の径をR2としたとき,R2/R1が0.1~0.95であり,前記可撓性端子は,ニッケル線のより線,または,ニッケル被覆銅線のより線からなり,前記ニッケル線および前記ニッケル被覆銅線の線径は0.1mm~0.4mmである」との限定事項を削除,すなわち,前記相違点1及び相違点2に係る本願補正発明の特定事項を削除したものである。 そうすると,本願発明と引用発明1との間に相違点はないから,本願発明は引用発明1である。また,仮に,本願発明と引用発明1との間に相違点があったとしても,その相違点は微差であるから,本願発明は,引用発明1に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない,又は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。 よって,結論のとおり審決する。

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2021-004230

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