2021-002352
YAG、窒化物及びPFS蛍光体を用いた色嗜好度の向上したLED光源
- 審判番号
- 2021-002352
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-512013外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年02月23日
- 審決日
- 2022年07月22日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】コンシューマー ライティング (ユー.エス.),エルエルシー
- 【請求人代理人】関口 一哉
- 分類
- P18 .113-WZ (G02B) / P18 .121-WZ (G02B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
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本願は、2015年(平成27年)1月21日(パリ条約による優先権主張2014年9月9日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の概要は、以下のとおりである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし18に係る発明は、令和4年2月22日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし18に記載された事項により特定されるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「 【請求項1】合成光源であって、約400nm~約460nmの範囲内にピーク波長を有する1以上の青色光源と、約530nm~約557nmの範囲内にピーク波長を有する1種以上の黄緑色ガーネット蛍光体と、続きを表示(全12行)約610nm~約680nmの範囲内にピーク波長を有する1種以上の狭帯域赤色ダウンコンバータとを含み、合成光源が120以上の照明嗜好指数(LPI)を有し、LPIは以下の式で表される、合成光源。[図:0001392484000001.jpg](式中、Duvはu-v空間での完全放射体軌跡からの色度点の距離を、NSVは以下の式[図:0001392484000002.jpg](式中、ΔCabはCRVの半径方向成分であり、知覚された彩度又は飽和度のシフトを表し、iはマンセル系の10の主な色相カテゴリの色相カテゴリを表す)で表される照明源の正味飽和値を、HDVは以下の式:[図:0001392484000003.jpg](式中、Δhabは、CRVの方位成分であり、知覚された色相のシフトを表し、iは、マンセル系の10の主な色相カテゴリの色相カテゴリを表し、Δhab,avg,iは、色相i内の全ての色の平均Δhab値である、)で表される色相歪みを、表す)」
第3 拒絶の理由
令和3年11月19日付けで当審が通知した請求項1についての拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
[理由1](新規性)本件出願の請求項1に係る発明は、その優先日前日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
[理由2](進歩性)本件出願の請求項1に係る発明は、その優先日前日本国内または外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.国際公開第2013/048865号
第4 引用文献について
引用文献1の記載
1 引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
「[図:0001392484000004.jpg][図:0001392484000005.jpg]」
(訳:9. 約400nm~約480nmの範囲の放射光を放射することができる光源及び光源と放射結合した蛍光体材料を備える照明装置であって、蛍光体材料が、一般式RE2-yM1+yA2-yScySin-wGewO12+δ:Ce3+の組成物を含む第1の蛍光体(式中、REはランタニドイオン又はY3+から選択され、MはMg、Ca、Sr又はBaから選択され、AはMg又はZnから選択され、0≦y≦2、2.5≦n≦3.5、0≦w≦1及び-1.5≦δ≦1.5である。)と、マンガン(Mn4+)がドープされた複合フッ化物を含む第2の蛍光体と、約520nm~約680nmに発光ピークを有する蛍光体組成物を含む第3の蛍光体とのブレンドを含んでいる、照明装置。
(訳は、特表2015-5053273号公報における該当箇所(【請求項9】)の記載を使用、以下同じ。))
「[図:0001392484000006.jpg]」
(訳:【0029】 蛍光体ブレンドは、赤色線発光体である第2の蛍光体及び約520nm~約680nmの広い波長域のピーク発光を有する第3の蛍光体をさらに含む。第2の蛍光体は線発光体であり、赤色光を発生する複合フッ化物であってもよい。好適な例としては、Mn4+がドープされた複合フッ化物が挙げられ、例えば、(Na,K,Rb,Cs,NH4)2[(Ti,Ge,Sn,Si,Zr,Hf)F6]:Mn4+などである。特定の例において、Mn4+がドープされた複合フッ化物は、下記の実例となる一部のブレンド実施例に使用されるK2[SiF6]:Mn4+(「PFS」)である。(特表2015-5053273号公報【0024】))
「[図:0001392484000007.jpg]」
(訳:【0031】 ある実施形態では、第3の蛍光体は、一般式(A,Ce)3M5-aO12-3/2aのガーネットであってもよい(式中、0≦a≦0.5であり、AはY、Gd、Tb、La、Sm、Pr又はLuを含み、MはSc、Al又はGaを含む。)。かかるガーネットの例は、Y3Al5O12:Ce3+(YAG)である。このガーネットYAGは、約525nm~約645nmの広い波長域の発光ピークを有する。(特表2015-5053273号公報【0026】))
「[図:0001392484000008.jpg]」
(訳:【0065】 表2に挙げた配合に従い様々な蛍光体組成物を製造した。個々の蛍光体の発光スペクトルを得て、表3に示す様々なブレンドに関する発光スペクトルを予測するための計算に使用した。さらに、計算には、光源によって放射される可視光も含めた。図6及び図7は、表3におけるブレンドの実施例1及び2の予測される発光スペクトルを示している。スペクトル強度に基づく各蛍光体の予測される量を光源からの発光のスペクトルの寄与とともに表4に示し、例えば、青色LEDのピーク波長は、430nm、440nm及び450nmである。さらに、これらのブレンドに対して予測されるスペクトルから算出されるスペクトルの特徴も表4に示す。図6及び図7は、それぞれ表4のブレンド実施例4及び3に対応する。有利にも、これらのブレンドは、明度が高く、CRI値が高く、2500K~3000Kに一致させることができる低いCCTの白色光を発生させる。(特表2015-5053273号公報【0061】))
「[図:0001392484000009.jpg]」
「[図:0001392484000010.jpg][図:0001392484000011.jpg]」
図7は以下のとおりである。
[図:0001392484000012.jpg]
2 引用発明
引用文献1には、【0065】、表2及び表3の実施例1、4、表4のサンプル1~3、6、7、9~11、図7から、次の発明(以下「引用発明A」という。)が記載されていると認められる。
「ピーク波長が、430nm、440nm及び450nmである青色LEDと、YAG(式:Y3Al5O12:Ce3+)、PFS(式:K2[SiF6]:Mn4+)の蛍光体ブレンドを含む照明装置。」
また、引用文献1には、請求項9から、次の発明(以下「引用発明B」という。)が記載されていると認められる。
「約400nm~約480nmの範囲の放射光を放射することができる光源及び光源と放射結合した蛍光体材料を備える照明装置であって、蛍光体材料が、一般式RE2-yM1+yA2-yScySin-wGewO12+δ:Ce3+の組成物を含む第1の蛍光体(式中、REはランタニドイオン又はY3+から選択され、MはMg、Ca、Sr又はBaから選択され、AはMg又はZnから選択され、0≦y≦2、2.5≦n≦3.5、0≦w≦1及び-1.5≦δ≦1.5である。)と、マンガン(Mn4+)がドープされた複合フッ化物を含む第2の蛍光体と、約520nm~約680nmに発光ピークを有する蛍光体組成物を含む第3の蛍光体とのブレンドを含んでいる、照明装置。」
第5 対比・判断
1 引用発明Aを主引用例とした場合
(1)対比
ア 引用発明Aの「ピーク波長が430nm、440nm及び450nmである青色LED」は、本願発明の「約400nm~約460nmの範囲内にピーク波長を有する1以上の青色光源」に、
引用発明Aの「照明装置」は、本願発明の「合成光源」に、
それぞれ相当する。
イ また、YAG(式:Y3Al5O12:Ce3+)は、約530nm~約557nmの範囲内にピーク波長を含むこと、PFS(式:K2[SiF6]:Mn4+)は、約610nm~約680nmの範囲内にピーク波長を含むことは、技術常識である(例えば、引用文献1の図7参照。)。
そうすると、引用発明Aの「YAG(式:Y3Al5O12:Ce3+)」は、本願発明の「約530nm~約557nmの範囲内にピーク波長を有する1種以上の黄緑色ガーネット蛍光体」に、
引用発明Aの「PFS(式:K2[SiF6]:Mn4+)」は、本願発明の「約610nm~約680nmの範囲内にピーク波長を有する1種以上の狭帯域赤色ダウンコンバータ」に、
それぞれ相当する。
ウ 以上のことから、本願発明と引用発明Aとの一致点および相違点は次のとおりである。
【一致点】
「合成光源であって、約400nm~約460nmの範囲内にピーク波長を有する1以上の青色光源と、約530nm~約557nmの範囲内にピーク波長を有する1種以上の黄緑色ガーネット蛍光体と、約610nm~約680nmの範囲内にピーク波長を有する1種以上の狭帯域赤色ダウンコンバータとを含む、合成光源。」
【相違点】
本願発明は、「合成光源が120以上の照明嗜好指数(LPI)を有し、LPIは以下の式で表される」「
[図:0001392484000013.jpg]
(式中、Duvはu-v空間での完全放射体軌跡からの色度点の距離を、NSVは以下の式
[図:0001392484000014.jpg]
(式中、ΔCabはCRVの半径方向成分であり、知覚された彩度又は飽和度のシフトを表し、iはマンセル系の10の主な色相カテゴリの色相カテゴリを表す)で表される照明源の正味飽和値を、HDVは以下の式:
[図:0001392484000015.jpg]
(式中、Δhabは、CRVの方位成分であり、知覚された色相のシフトを表し、iは、マンセル系の10の主な色相カテゴリの色相カテゴリを表し、Δhab,avg,iは、色相i内の全ての色の平均Δhab値である、)で表される色相歪みを、表す)」であるのに対し、引用発明Aはそのようなものか明らかでない点。
(2)判断
相違点について
ア(ア)照明嗜好指数(LPI)は、本願の明細書【0024】には「照明嗜好指数(LPI)と呼ばれる、新しい定量的な検証された色嗜好度の測定基準がここに提示される。」と記載され、本願の出願人が提示した新たな色嗜好度の測定基準である。そこで、具体的にどのようなものが、どのような照明嗜好指数(LPI)の値になるのか、さらに本願の明細書を参酌する。本願の明細書【0082】には「最大LPI値が約137であり(約559nmのDomYAGに対応)、Duvが約-0.010であり、CCT=2700Kのグループ1DoE(YAG+PFS)の特定のSPD2400が図24に示し、約450nmの青色LEDのピーク波長2402、約531nmのYG YAG:Ce蛍光体のピーク波長2404、約631nmのNR PFS蛍光体のピーク波長2406が示される。さらに、各々類似したCCTを有するreveal(登録商標)白熱灯のSPD604と黒体発光体のSPD602と比較する。特に、1以上の実施形態では、140以上のLPIは、631nmで固定されたPFS蛍光体のピーク波長よりも好ましい波長を有するYAG及び狭帯域赤色ダウンコンバータによって又は、異なるピーク波長を有する2以上の狭帯域赤色ダウンコンバータを使用することによって達成することができる。」と記載されていることから、約450nmの青色LEDのピーク波長2402、約531nmのYG YAG:Ce蛍光体のピーク波長2404、約631nmのNR PFS蛍光体のピーク波長2406の分光パワー分布(SPD)のものは、LPI値が約137であるといえる。
そうすると、引用発明Aは、青色LEDのピーク波長が、430nm、440nm及び450nmであり、YAG(式:Y3Al5O12:Ce3+)、PFS(式:K2[SiF6]:Mn4+)の蛍光体ブレンドを含む照明装置であること、さらに、可視光領域における分光パワー分布(SPD)が、図面を考慮すると、最大LPI値が約137のもの(本願の図24)と引用発明A(引用文献1の図7)とで酷似していることからも、引用発明Aにおける照明嗜好指数(LPI)は、約137からは大きく外れないといえ、相違点は実質的な相違点とはいえない。
以上から、本願発明は、引用発明Aである。
(イ)したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明であり、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができない。
イ 仮に、上記アのようにいえないとして、以下検討する。
(ア)a 照明嗜好指数(LPI)について、本願の明細書を参酌すると、本願明細書の【0026】には「LPIは、消費者の嗜好を定量化する予測的測定基準である。」との記載があり、照明嗜好指数(LPI)とは、そもそも、消費者の嗜好を定量化するための、理論的な根拠がある基準ではない。このことは、同【0026】の「86名の参加者による観察者の評価」が、「観察者には、全体的に好ましい照明環境を選ぶように頼んだ。」と、非常に漠然とした依頼に基づくものであること、本願の図2の評価結果から、全員が、照明嗜好指数(LPI)が120以上のものを好んだわけでもなく、むしろ照明嗜好指数(LPI)の値が低い照明を好む者もいたことからも裏付けられる。そして、「嗜好」とは、「たしなみこのむこと。このみ。」(広辞苑第四版)ということであって、技術的なものではないということからしても、本願発明の式で表される照明嗜好指数(LPI)の数値をある一定以上にすることに技術的意義があるとはいえない。
b そうすると、引用発明Aにおいて、相違点に係る本願発明の構成とすることは、単なる設計事項にすぎない。
(イ)さらに、仮に上記(ア)のようにいえない場合について検討する。
a 本願の明細書【0026】、図2から、照明嗜好指数(LPI)が127以上のものは、89%の観察者が好むものであることが把握できることから、本願発明の「合成光源が120以上の照明嗜好指数(LPI)を有し」とは、「多くの観察者が好む(白色度と演色性の両方を考慮した)照明」を定量的に表現したものといえる。
一方、白色LED照明の技術分野において、色味(白色)と併せて演色(物の色の見え方)を考慮することは周知技術である(例えば、特開2006-49799号公報(特に、【0148】の「図40には、・・・(略)・・・暖色系白色光を放つ実施例3の発光装置」、「演色性の良好な白色光を放つ発光装置を提供できることがわかる。この発光スペクトルの形状は、紫色LEDによる400~410nmの波長領域の発光ピークと、希土類イオンの5d-4f電子遷移に基づく発光を放つ実施例3のRGB蛍光体による440~460nm、520~540nm及び610~640nmの波長領域の発光ピーク」との記載、【0149】の「図41には、・・・(略)・・・白色光を放つ実施例3の発光装置」、「太陽光に近い白色光を放つ発光装置」、「この発光スペクトルの形状は、紫色LEDによる400~410nmの波長領域の発光ピークと、希土類イオンの5d-4f電子遷移に基づく発光を放つ実施例3のRGB蛍光体による440~460nm、520~540nm及び610~640nmの波長領域における発光ピーク」との記載、図40、図41参照。)、特開2011-71333号公報(特に、【0045】-【0053】、図3、図4、図6参照。)を参照されたい。)。
加えて、本願の明細書の【0067】には「いくつかのさらなる従来型のランプの種類は、黄色波長域にくぼみを生成するのに十分に離れたピーク波長を有する緑色及び赤色蛍光体を有する1以上のLEDを含み、例えば、食肉、野菜及び農産物(例えば、果物)の色を強調するために食料品店での用途で使用される。図11は、黄色波長域にくぼみを生成するのに十分に離れたピーク波長を有し、CCT=2837K、CRI=74及びLPI=124である、緑色及び赤色蛍光体を有する既知光源のSPDのプロット1100を含むグラフを示す。」と記載され、従来型のランプでもLPI=124であり、120以上の照明嗜好指数(LPI)のランプ自体は、従来から知られているともいえる。
b そして、引用発明Aも白色光を生成する照明装置である以上、観察者の多くが好む、白色度と演色性の両方を考慮した照明となるように蛍光体の量等を調整することは、当業者が当然に行う事項であるといえる。
そうすると、上記aの事情も考慮すれば、引用発明Aにおいて、相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ)効果について
そして、相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明A及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(エ)したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
2 引用発明Bを主引用例とした場合
(1)対比
ア 引用発明Bの「約400nm~約480nmの範囲の放射光を放射することができる光源」は、本願発明の「約400nm~約460nmの範囲内にピーク波長を有する1以上の青色光源」に、
引用発明Bの「照明装置」は、本願発明の「合成光源」に、
それぞれ相当する。
イ 以上のことから、本願発明と引用発明Bとの一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「合成光源であって、約400nm~約460nmの範囲内にピーク波長を有する1以上の青色光源と、を含む、合成光源。」
【相違点】
本願発明は、「約530nm~約557nmの範囲内にピーク波長を有する1種以上の黄緑色ガーネット蛍光体と、約610nm~約680nmの範囲内にピーク波長を有する1種以上の狭帯域赤色ダウンコンバータとを含み、合成光源が120以上の照明嗜好指数(LPI)を有し、LPIは以下の式で表される」「
[図:0001392484000016.jpg]
(式中、Duvはu-v空間での完全放射体軌跡からの色度点の距離を、NSVは以下の式
[図:0001392484000017.jpg]
(式中、ΔCabはCRVの半径方向成分であり、知覚された彩度又は飽和度のシフトを表し、iはマンセル系の10の主な色相カテゴリの色相カテゴリを表す)で表される照明源の正味飽和値を、HDVは以下の式:
[図:0001392484000018.jpg]
(式中、Δhabは、CRVの方位成分であり、知覚された色相のシフトを表し、iは、マンセル系の10の主な色相カテゴリの色相カテゴリを表し、Δhab,avg,iは、色相i内の全ての色の平均Δhab値である、)で表される色相歪みを、表す)」のに対し、引用発明Bはそのようなものか明らかでない点。
(2)判断
以下、相違点について検討する。
ア 第2の蛍光体として、引用文献1の[0029]には「第2の蛍光体は線発光体であり、赤色光を発生する複合フッ化物であってもよい。好適な例としては、Mn4+がドープされた複合フッ化物が挙げられ、例えば、(Na,K,Rb,Cs,NH4)2[(Ti,Ge,Sn,Si,Zr,Hf)F6]:Mn4+などである。特定の例において、Mn4+がドープされた複合フッ化物は、下記の実例となる一部のブレンド実施例に使用されるK2[SiF6]:Mn4+(「PFS」)である。」旨記載され、第3の蛍光体として、引用文献1の[0031]には「第3の蛍光体は、一般式(A,Ce)3M5-aO12-3/2aのガーネットであってもよい(式中、0≦a≦0.5であり、AはY、Gd、Tb、La、Sm、Pr又はLuを含み、MはSc、Al又はGaを含む。)。かかるガーネットの例は、Y3Al5O12:Ce3+(YAG)である。このガーネットYAGは、約525nm~約645nmの広い波長域の発光ピークを有する。」と記載されている。
イ また、本願発明の照明嗜好指数(LPI)の数値をある120以上にすることについては、上記1(2)イ(ア)a及び記1(2)イ(イ)aで説示したとおりである。
ウ そして、引用発明Bも白色光を生成する照明装置である以上、観察者の多くが好む、白色度と演色性の両方を考慮した照明となるように、YAGやPFSなどの蛍光体を適宜選択した上で、量等を調整することは、当業者が適宜なし得た事項であるといえる。
そうすると、引用発明Bにおいて、相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
エ 効果について
そして、相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明B及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
オ したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第6 審判請求人の主張について
1 審判請求人は、令和4年2月22日付けの意見書において、
「しかし、このような好ましい色とするために検討するべきパラメータは無限にあり、その中から本願発明のように特定のパラメータを規定することは当業者が適宜行う設計事項の範囲を明らかに超えています。そして、前述のとおり引用文献には本願発明で規定するパラメータはもちろん、このようなパラメータを考慮することで好ましい色を得るという思想すら何ら開示も示唆もされていません。」
旨主張している。
2 上記第5で検討したとおり、同様の青色光源、黄緑色ガーネット蛍光体、狭帯域赤色ダウンコンバータを用いれば、同様の合成光源が本願発明を同様な照明嗜好指数となるものといえる。
また、パラメータが無限にあるとしても、上記第5で検討したように、結局、本願発明は、白色LED照明の技術分野において、一般的なパラメータである、色味(白色)と併せて演色(物の色の見え方)を考慮し、多くの人にとって好ましい照明にしたにすぎない。
以上のとおりであるから、審判請求人の主張を採用することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、また、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり結審する。
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