2021-002261
薬剤送達装置
- 審判番号
- 2021-002261
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-124003外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年02月19日
- 審決日
- 2023年01月24日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アムジエン・インコーポレーテツド
- 【請求人代理人】弁理士法人川口國際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (A61M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 24項目
第1 手続の経緯
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本願は、2013年(平成25年)11月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年 3月 7日、(US)アメリカ合衆国、2012年11月21日、(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2015-544105号の一部を平成30年 6月29日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 7月 2日提出 手続補正書
平成31年 4月22日付け 拒絶理由通知書
令和 元年10月 7日提出 意見書及び手続補正書
令和 元年12月 9日付け 拒絶理由通知書(最後の拒絶理由)
令和 2年 5月11日提出 意見書及び手続補正書
令和 2年10月14日付け 令和 2年 5月11日の手続補正
についての補正の却下の決定、及び
拒絶査定
令和 3年 2月19日提出 審判請求書、同時に手続補正書
令和 3年11月10日付け 拒絶理由通知書
令和 4年 4月11日提出 意見書及び手続補正書
令和 4年 5月26日付け 拒絶理由通知書
令和 4年 8月30日提出 意見書及び手続補正書
第2 本願発明
本願の請求項1~30に係る発明は、令和 4年 8月30日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~30に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】着用可能な薬剤送達装置であって、前記薬剤送達装置は、開口部を有するハウジングと、着用可能な薬剤送達装置を患者の皮膚に連結するために前記ハウジングの表面に配置された粘着剤と、続きを表示(全14行)前記ハウジングに対し移動可能であるブラントカニューレとを含み、前記ブラントカニューレは、円筒壁および少なくとも1つの側面ポートを有し、前記円筒壁は、前記ブラントカニューレの第1の端部と第2の端部の間に軸路を画成し、前記壁は、前記軸路に流体連通する開口部を画成するように少なくとも1つの第1のテーパー領域を前記第1の端部に有し、前記少なくとも1つの側面ポートは、前記軸路を通って前記ブラントカニューレの第1の端部から出る流体の流れの遮断に抵抗するように前記壁に形成されており、前記ブラントカニューレは、患者の皮膚のテンティングに少なくとも部分的に起因する流体の流れの遮断を含み、前記テンティングは、前記ブラントカニューレが患者の皮膚を通るにしたがい、前記ブラントカニューレが患者の皮膚に摩擦的に係合し、引きずることによって引き起こされ、前記少なくとも1つの側面ポートは、前記流体を患者の組織に通すのに必要な圧力を低下させることによって、皮膚のテンティングに少なくとも部分的に起因する流体の流れの遮断に抵抗するように構成されており、前記少なくとも1つの側面ポートはそれぞれ、前記ブラントカニューレの前記第1の端部の前記第1のテーパー領域に隣接して配置されており、前記薬剤送達装置はさらに、薬剤送達中に前記ブラントカニューレの前記第2の端部と流体連通するように動作可能な貯留部を含み、前記ブラントカニューレは、最初は前記ハウジング内に格納されており、次に作動状態において患者の皮膚に導入するため前記ハウジングの前記開口部を通して前記ブラントカニューレを配置するように、前記着用可能な薬剤送達装置が自動化されている、着用可能な薬剤送達装置。」
第3 拒絶の理由
令和 4年 5月26日付けで当審が通知した拒絶理由のうち、本願発明に対する理由2は、概略次のとおりである。
本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び周知の技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
1.米国特許出願公開第2009/0048563号明細書
2.米国特許出願公開第2012/0265166号明細書(周知技術を示す文献)
3.特開2008-43445号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2003-260139号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2011-251081号公報(周知技術を示す文献)
第4 引用文献の記載事項及び引用発明等
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1 引用文献1について
(1)記載事項
ア 引用文献1には、次の事項が記載されている(和訳及び下線は当審で付した。以下同様である。)。
(ア)「[0001] The present invention generally relates to a device which is adapted for application to a skin surface of a subject and comprises a transcutaneous device unit and an attachable process unit. In a specific aspect a transcutaneous drug delivery device is provided in combination with a drug delivery unit. In a further aspect a transcutaneous sensor device is provided in combination with a unit processing or transmitting data acquired from the sensor.」
(「[0001] 本発明は、一般に、対象者の皮膚表面に適用するように適合され、経皮デバイスユニットおよび取り付け可能なプロセスユニットを備えるデバイスに関する。特定の態様では、経皮薬剤送達デバイスは薬剤送達ユニットと組み合わせて提供される。さらなる態様では、経皮センサデバイスが、センサから取得したデータを処理または送信するユニットと組み合わせて提供される。」)
(イ)「[0006] The disposable pumps generally comprises a skin-contacting mounting surface adapted for application to the skin of a subject by adhesive means, and with the infusion needle arranged such that in a situation of use it projects from the mounting surface to thereby penetrate the skin of the subject, whereby the place where the needle penetrates the skin is covered while the appliance is in use. The infusion needle may be arranged to permanently project from the mounting surface such that the needle is inserted simultaneously with the application of the infusion pump, this as disclosed in U.S. Pat. Nos. 2,605,765, 4,340,048 and in EP 1 177 802, or the needle may be supplied with the device in a retracted state, i.e. with the distal pointed end of the needle “hidden” inside the pump device, this allowing the user to place the pump device on the skin without the possibility of observing the needle, this as disclosed in U.S. Pat. Nos. 5,858,001 and 5,814,020. In addition to pumps, alternative means for transporting a fluid drug may be used, e.g. iontophoresis as discussed below.」
(「[0006] 使い捨てポンプは、一般に、接着手段によって対象者の皮膚に適用するように適合された皮膚接触取り付け面を備え、注入針は、使用状態において取り付け面から突出し、それによって対象者の皮膚を貫通するように配置される。これにより、器具の使用中に針が皮膚を貫通する場所が覆われる。注入針は、米国特許第2,605,765号、第4,340,048号、及び欧州特許第1177802号に開示されているように、注入ポンプの適用と同時に針が挿入されるよう、取付面から恒久的に突出するように構成することができる。または、米国特許第5,858,001号、及び米国特許代5,814,020号に開示されるように、その針は引き込まれた状態、すなわち、ポンプデバイス内に針の尖った遠位端が“隠れて”、使用者が針を見ることなく皮膚上にポンプデバイスを配置することができる状態で、デバイスと共に供給されてもよい。ポンプに加えて、液体薬剤を輸送するための代替手段、例えば、以下で説明するイオントフォレシスが使用されてもよい。」)
(ウ)「[0019] Thus, corresponding to a first aspect, a medical device is provided comprising a transcutaneous device unit and a process unit. The transcutaneous device unit comprises a first housing, a lower surface adapted for application to a skin surface of a subject, and a transcutaneous device. The process unit comprises a second housing comprising a lower surface adapted to face towards the skin surface of the subject, and a process assembly. The first and second housings are adapted to be coupled to each other such that at least a portion of the lower surface of the second housing is free to move relative to the skin surface when the first unit is attached to the skin surface and the first and second housings are coupled to each other. The coupling may be substantially rigid. The transcutaneous device unit may comprise a flexible patch portion having an upper surface and a lower surface with an adhesive, wherein at least a portion of the patch faces the lower surface of the second housing and is free to move relative thereto when the units are coupled to each other.」
(「[0019] したがって、第1の態様に対応して、経皮デバイスユニットおよびプロセスユニットを備える医療デバイスが提供される。経皮デバイスユニットは、第1のハウジングと、対象者の皮膚表面に適用するように適合された下面と、経皮デバイスとを備える。処理ユニットは、対象者の皮膚表面に面するように適合された下面を含む第2のハウジングと、処理アセンブリとを含む。第1および第2のハウジングは、第1のユニットが皮膚表面に取り付けられ、第1および第2のユニットが皮膚表面に取り付けられたときに、第2のハウジングの下面の少なくとも一部が皮膚表面に対して自由に動くように、互いに連結されるように適合される。その連結は実質的に固定されていてもよい。経皮デバイスユニットは、接着剤を有する上面および下面を有する可撓性パッチ部分を備えることができ、パッチの少なくとも一部は、第2のハウジングの下面に面し、ユニットが互いに連結されるときに、そこへ自由に動くことができる。」)
(エ)「[0025] In an exemplary embodiment the transcutaneous device unit comprises a flexible sheet member with an upper and a lower surface, the lower surface being provided with a medical grade adhesive allowing the transcutaneous device unit to be attached to a skin surface of a subject, wherein the first housing comprises a lower surface attached to the upper surface of the flexible sheet member, e.g. by adhesive or by welding. The sheet may be from a woven or non-woven material or from a laminate thereof and preferably possesses good breathability providing a high degree of wearer comfort. One or more layers, e.g. the layer providing the upper surface, may be weldable allowing for attachment of the first housing by welding.」
(「[0025] 例示的な実施形態では、経皮デバイスユニットは、上面および下面を有する可撓性シート部材を備え、下面には、経皮デバイスユニットを対象者の皮膚表面に取り付けることを可能にする医療グレードの接着剤が設けられている。第1のハウジングは、例えば接着剤または溶接によって、可撓性シート部材の上面に取り付けられた下面を備える。シートは、織布又は不織布材料又はその積層体であってもよく、好ましくは高い着用快適性を提供し、良好な通気性を有する。1つ又はそれ以上の層、例えば上部表面を提供する層は、溶接によって、第1ハウジングの取付を可能にすることができるよう溶接可能であってもよい。」)
(オ)「[0028] The transcutaneous drug delivery device (which term also covers the similar terms transcutaneous access device and transcutaneous access tool traditionally used in this technical field)may be in the form of e.g. a pointed hollow infusion needle, a micro needle array, or a combination of a relatively flexible per se blunt cannula with a pointed insertion needle may provide a pointed transcutaneous device, the insertion needle being retractable after insertion of the blunt portion of the transcutaneous device. In the latter case the portion of the transcutaneous device actually placed in the subject does not necessarily comprise a pointed end allowing the combined transcutaneous device to be inserted through the skin, such a pointed end being withdrawn during insertion of the transcutaneous device. The cannula is advantageously soft and flexible relative to the insertion needle which typically is a solid steel needle. In the disclosure of the present invention as well as in the description of the exemplary embodiments, reference will mostly be made to a transcutaneous device in the form of an infusion needle. The length of the transcutaneous device may be chosen in accordance with the actual application, e.g. a hollow steel needle which may be inserted at a substantially right angle relative to the skin surface may have an inserted length of 2-8 mm, preferably 3-5 mm, whereas a cannula which may also be inserted at an oblique angle relative to the skin surface may be somewhat longer, e.g. 4-20 mm. Indeed, the first housing may comprise more than one transcutaneous drug delivery device.」
(「[0028] 経皮薬剤送達デバイス(この用語は、この技術分野で伝統的に使用されている同様の用語である経皮アクセスデバイスおよび経皮アクセスツールも含む)は、例えば先の尖った中空注入針、マイクロニードルアレイ、または比較的可撓性の本質的にブラントなカニューレと先の尖った挿入針の組みあわせの形態であってもよく、先の尖った経皮デバイスを提供してもよい。挿入針は、経皮デバイスのブラントな部分の挿入後に引き込み可能である。後者の場合、対象者に実際に配置される経皮デバイスの部分は、組み合わされた経皮デバイスが皮膚を通して挿入されることを可能にする尖端を必ずしも備えず、そのような尖端は、経皮デバイスの挿入中に引き抜かれる。カニューレは、典型的には中実の鋼針である挿入針に比べて有利に柔らかく、可撓性である。本発明の開示および例示的な実施形態の説明では、ほとんどの場合、注入針の形態の経皮的装置が参照される。経皮デバイスの長さは、実際の用途に応じて選択することができる。例えば、皮膚表面に対して実質的に直角に挿入できる中空鋼針は、挿入長が2~8mm、好ましくは3~5mmであるのに対し、皮膚表面に対して斜めの角度でも挿入できるカニューレは、4~20mm等、やや長くてもよい。実際、第1のハウジングは、1つ以上の経皮薬剤送達デバイスを含み得る。」)
(カ)「[0036] FIGS. 1-3 shows in perspective views the sequences of use for a first embodiment of a drug delivery device,」
(「[0036] 図1-3は薬物送達デバイスの第一の実施形態のための使用順序を斜視図で示す。」)
(キ)「[0038] FIG. 5 shows an exploded view of the needle unit of FIG. 4,」
(「[0038] 図5は、図4の針ユニットの分解図を示す。」)
(ク)「[0039] FIG. 6 shows a perspective view of the needle unit of FIG. 4 in a first state,」
(「[0039] 図6は、第1の状態にある図4の針ユニットの透視図を示す。」)
(ケ)「[0040] FIG. 7 shows a perspective view of the needle carrier of FIG. 5,」
(「[0040] 図7は、図5の針キャリアの斜視図を示す。」)
(コ)「[0041] FIG. 8 shows a perspective view of the needle unit of FIG. 4 in a second state,」
(「[0040] 図8は、第2の状態における図4の針ユニットの斜視図を示す。」)
(サ)「[0042] FIG. 9 shows a side view of the needle unit of FIG. 4,」
(「[0042] 図9は図4の針ユニットの側面図を示す。」)
(シ)「[0043] FIG. 10 shows a further perspective view of the needle unit of FIG. 4,」
(「[0043] 図10は、図4の針ユニットの更なる斜視図である。」)
(ス)「[0044] FIG. 11 shows perspective view of the interior of the reservoir unit of FIG. 4,」
(「[0044] 図11は、図4のリザーバユニットの内部の斜視図を示す。」)
(セ)「[0071] The needle unit comprises a flexible patch portion 10 with a lower adhesive mounting surface adapted for application to the skin of a user, and a housing portion 20 in which a hollow infusion needle (not shown) is arranged. The needle comprises a skin-penetrating distal end, e.g. pointed, adapted to penetrate the skin of a user, and is adapted to be arranged in fluid communication with the reservoir unit. In the shown embodiment the pointed end of the needle is moveable between an initial position in which the pointed end is retracted relative to the mounting surface, and an extended position in which the pointed end projects relative to the mounting surface. Further, the needle is moveable between the extended position in which the pointed end projects relative to the mounting surface, and a retracted position in which the pointed end is retracted relative to the mounting surface. The needle unit further comprises user-gripable actuation means in the form of a first strip-member 21 for moving the pointed end of the needle between the initial and the second position when the actuation means is actuated, and user-gripable retraction in the form of a second strip-member 22 means for moving the pointed end of the needle between the extended and the retracted position when the retraction means is actuated. As can be seen, the second strip is initially covered by the first strip. The housing further comprises user-actuatable male coupling means 31 in the form of a pair of resiliently arranged hook members adapted to cooperate with corresponding female coupling means on the reservoir unit, this allowing the reservoir unit to be releasable secured to the needle unit in the situation of use. The flexible patch portion comprises a flexible sheet 12 and a flexible support plate 11 extending from the housing, the support plate further comprising a flexible ridge formed support member 13 extending from the housing. The support plate as well as the housing may be fully or partly attached to the flexible sheet, e.g. by welding or adhesives. In case the housing and/or plate are only partly attached (i.e. corresponding to one or more areas located between the sheet and the housing and/or plate) the sheet will be able to partially move relative to the housing and/or plate. In use a peripheral portion of the sheet extends from the assembled device as the reservoir unit covers only the support plate of the upper surface of the patch. The adhesive surface is supplied to the user with a peelable protective sheet.」)
(「[0071] 針ユニットは、使用者の皮膚への適用に適した下部接着剤取り付け面を有する可撓性パッチ部分10と、中空の注入針(図示せず)が配置されるハウジング部分20とを備える。針は、例えば、尖っており、使用者の皮膚を貫通するように適合され、リザーバユニットと流体連通するように配置されるように適合されている、皮膚を貫通する遠位端を含む。図示の実施形態では、針の尖端は、尖端が取り付け面に対して後退する初期位置と、尖端が取り付け面に対して突出する伸長位置との間で移動可能である。さらに、針は、尖った端部が取り付け面に対して突出する伸長位置と、尖った端部が取り付け面に対して後退する後退位置との間で移動可能である。針ユニットは、作動手段が作動したときに針の尖った端部を初期位置と第2位置との間で移動させるための第1のストリップ部材21の形態の使用者が把持可能な作動手段と、使用者が把持可能な第2のストリップ部材22の手段の形態の後退手段とをさらに備える。第2のストリップ部材22の手段は、引き込み手段が作動されたときに針の尖った端部を伸長位置と引き込み位置との間で移動させるためのものである。図からわかるように、最初は、第2のストリップが第1のストリップによって覆われている。ハウジングは、リザーバユニット上の対応する雌連結手段と協働するように適合された一対の弾性的に配置されたフック部材の形態の使用者が作動可能な雄連結手段31をさらに備え、これにより、使用状態においてリザーバユニットが針ユニットに解放可能に固定されることが可能になる。可撓性パッチ部分は、可撓性シート12と、ハウジングから延びる可撓性支持プレート11とを含み、支持プレートは、ハウジングから延びる可撓性リッジ形成支持部材13をさらに備える。支持プレートは、ハウジングと同様に、完全にまたは部分的に、例えば溶接または接着剤によって、可撓性シートに取り付けられてもよい。ハウジング及び/またはプレートが部分的にしか取り付けられていない(すなわち、シートとハウジング及び/またはプレートとの間に位置する1つまたはそれ以上の領域に対応する)場合、シートはハウジングおよび/またはプレートに対して部分的に動くことができる。使用中、リザーバユニットがパッチの上面の支持プレートのみを覆うので、シートの周辺部分が組み立てられたデバイスから延びる。接着面には、剥がせる保護シートが使用者に供給される。」)
(ソ)「[0073] First step in the mounting procedure is to assemble the two units by simply sliding the reservoir unit into engagement with the needle unit (FIG. 2). When the hook members properly engage the reservoir unit a “click” sound is heard (FIG. 3) signalling to the user that the two units have been properly assembled. If desired, a visual or audible signal may also be generated. Thereafter the user removes the peelable sheet 14 to uncover the adhesive surface where after the device can be attached to a skin surface of the user, typically the abdomen. Infusion of drug is started by gripping and pulling away the actuation strip 21 as indicated by the arrow whereby the needle is inserted followed by automatic start of the infusion. The needle insertion mechanism may be supplied in a pre-stressed state and subsequently released by the actuation means or the needle insertion may be “energized” by the user. A “beep” signal confirms that the device is operating and drug is infused. The reservoir unit is preferably provided with signal means and detection means providing the user with an audible alarm signal in case of e.g. occlusion, pump failure or end of content.」
(「[0073] 取り付け手順の最初のステップは、リザーバユニットを単にスライドさせて針ユニットと係合させて、2つのユニットを組み立てることである(図2)。フック部材がリザーバユニットに正しくかみ合うと、2つのユニットが適切に組み立てられたことを使用者に知らせる“カチッ”という音がする(図3)。必要に応じて、視覚信号または可聴信号も生成することができる。その後、使用者は剥離シート14を剥がして接着面を露出させ、その後デバイスを使用者の皮膚表面、典型的には腹部に取り付けることができる。薬剤の注入は、矢印で示されるように作動ストリップ21をつかんで引き離すことによって開始され、それによって針が挿入され、続いて注入が自動的に開始される。針挿入機構は、予め応力が加えられた状態で供給され、続いて作動手段によって解放されてもよく、または針挿入が使用者によって“エネルギーを与えられ”てもよい。“ビープ”信号は、デバイスが動作しており、薬剤が注入されていることを確認する。リザーバユニットには、信号手段と検出手段が設けられていることが好ましく、例えば、閉塞、ポンプ故障、またはコンテンツ終了の場合に、可聴警報信号が使用者に提供される。」)
(タ)「[0076] FIG. 4 shows a further embodiment of medical device 500 substantially corresponding to the embodiment of FIG. 1, the device comprising a transcutaneous device unit 502 and a process unit 505, More specifically, the transcutaneous device unit comprises a flexible patch portion (in the shown embodiment formed by a perforated sheet member 570) comprising an upper surface and a lower surface, the lower surface being adapted for application to the skin of a subject, a first housing 503 comprising a first coupling with two male coupling elements 511, and a transcutaneous device arranged in the housing (see below). In contrast to the embodiment of FIG. 1, this embodiment does not comprise a support plate but instead two supporting ridge members 561 extend from the first housing and are attached to the upper surface of the sheet member. The supports serve as attachment supports for the first housing, however, they may also serve to control the distance between the lower surface or the process unit and the patch. When the second unit is configured to accommodate at least partially the support members, e.g. in corresponding cut-out portions or grooves 504 (see FIG. 12), the supports may also serve to laterally stabilize the connection between the two units. The process unit comprises a second housing 501 with a lower surface and a second coupling arranged at a peripheral portion of the second housing, and a process assembly, e.g. a pump assembly as will be described below. In the shown embodiment the process unit has a generally flat rectangular shape with a cut-off end portion defining the interface with the transcutaneous device unit and also comprising the coupling in the form of two female coupling elements 506 arranged at each side of the end portion. Corresponding to FIGS. 1-3, the first and second couplings can be connected to each other with the upper surface of the patch facing towards the lower surface of the second housing. Due to the peripheral arrangement of the second coupling the flexible patch portion facing towards the lower surface of the second housing is free to move relative thereto, the degree of freedom being determined by the flexibility of the patch and supports if so provided and, of course, the surface to which the transcutaneous device unit is mounted.」
(「[0076] 図4は図1の実施形態に実質的に対応する医療デバイス500のさらなる実施形態を示す。そのデバイスは、経皮デバイスユニット502およびプロセスユニット505を備え、より具体的には、経皮デバイスユニットは、上面および下面を備える可撓性パッチ部分(図示の実施形態では、穿孔シート部材570によって形成される)と、対象者の皮膚への適用に適合されるその下面と、2つの雄連結要素511を伴う第1のカップリングを含む第1のハウジング503と、ハウジング内に配置された経皮デバイス(以下を参照)とを備える。図1の実施形態とは対照的に、この実施形態は支持プレートを備えておらず、代わりに、2つの支持リッジ部材561が第1のハウジングから延在し、シート部材の上面に取り付けられている。その支持体は、第1ハウジングの取り付け支持体として機能するが、下面またはプロセスユニットとパッチとの間の距離を制御するためにも機能し得る。第2のユニットは、例えば対応する切り欠き部あるいは溝504(図12参照)の中に、支持部材を少なくとも部分的に収容するように構成される場合には、支持体はまた、2つのユニット間の連結を横方向に安定化するのに役立つ。プロセスユニットは、下面を備えた第2のハウジング501、及び第2のハウジングの周辺部分に配置された第2のカップリングを備えた第2ハウジング501と、プロセスアセンブリ、例えば以下に説明するようなポンプアセンブリとを備える。示された実施形態では、プロセスユニットは、経皮デバイスユニットとのインターフェースを画定し、端部分の各側に配置された2つの雌連結要素506の形態のカップリングも含む切断端部分を備えた、ほぼ平坦な長方形の形状を有する。図1-3に対応して、第1および第2のカップリングは、第2のハウジングの下面に面するパッチの上面で互いに接続することができる。第2のカップリングの周辺配置により、第2ハウジングの下面に面する可撓性パッチ部分は、そこへ相対的に自由に動くことができるが、その自由度は、パッチ及びもし設けられていれば支持体の可撓性、並びに、当然のことながら、経皮的装置ユニットが搭載された面によって決定される。」)
(チ)「[0090] In FIG. 12 an exploded view of the reservoir unit 505 of FIG. 4 is shown, the unit comprising an upper housing member 507, a lower housing member 508 with a transparent area 509 and grooves 504 to receive the ridge members 561 extending from the needle unit, a flexible reservoir 760 with a rounded edge portion 762 on which a septum member 761 is mounted, a pump assembly 300 with actuator and a circuit board (not shown) arranged above the reservoir and comprising electronic components for controlling actuation of the pump. The upper and lower housing members comprise reservoir mounting means in the form of opposed upper and lower ridge portions 780 (the lower not seen) adapted to engage and mount the reservoir in the housing. Each ridge portion comprises a central cut-out portion 781 adapted to engage the septum member on its opposed surfaces when the housing members are assemble thereby locking the reservoir in place within the housing. The degree of locking will be determined by the pressure exerted on the septum member, the elastic properties of the septum member and the friction between the ridge and the septum member. On each side of the cut-out portion the ridge portions comprise a straight portion 782 which may aid in mounting the reservoir in the housing. The straight portions may engage the initially prefilled reservoir to help lock it in place, however, as the reservoir is emptied and flattens this grip may lessen. In contrast, the engagement with the septum is adapted to properly hold the reservoir in place as the reservoir is emptied. The straight portions may also be adapted to pinch and fully flatten the reservoir thus serving as an additional mounting means. Additional mounting means (not shown) may engage and grip the reservoir at other locations, e.g. along the welded edges 765.」
(「[0090] 図12では、図4のリザーバユニット505の分解図が示され、そのユニットは、上部ハウジング部材507、透明領域509と針ユニットから延びるリッジ材561を受容するためのおよび溝504とを有する下部ハウジング部材508、隔壁部材761が取り付けられる丸みを帯びたエッジ部分762を有する可撓性リザーバ760、アクチュエータを備えたポンプアセンブリ300、及び、リザーバの上に配置され、ポンプの作動を制御するための電子部品を備える回路基板(図示せず)を備える。上部および下部ハウジング部材は、ハウジング内のリザーバと係合して装着するように適合された対向する上部および下部リッジ部分780(下部は示されていない)の形態のリザーバ装着手段を備える。各リッジ部分は、ハウジング部材が組み立てられてハウジング内の所定位置にリザーバをロックするときに、対向面上の隔壁部材と係合するように適合された中央切欠部781を有する。ロックの程度は、隔壁部材に加えられる圧力、隔壁部材の弾性特性、及び、リッジと隔壁部材との間の摩擦によって決定される。切欠部の各側で、リッジ部分は、ハウジング内にリザーバを取り付けるのを助けることができる直線部分782を備える。直線部分は、最初に事前に充填されたリザーバを所定の位置にロックするのを助けるが、リザーバが空になり平らになると、このグリップが弱くなる可能性がある。対照的に、隔壁との係合は、リザーバが空になったときにリザーバーを所定の位置に適切に保持するように適合されている。直線部分はまた、リザーバを挟んで完全に平らにするように適合されてもよく、したがって、追加の装着手段として機能する。
追加の装着手段(図示せず)は、例えば溶接エッジ765に沿った他の位置でリザーバに係合して把持することができる。」)
(ツ)「[0091] In the above described embodiments, the transcutaneous device has been in the form of a unitary needle device (e.g. an infusion needle as shown or a needle sensor (not shown)), however, the transcutaneous device may also be in the form of a cannula or a sensor in combination with an insertion needle which is withdrawn after insertion thereof. For example, the first needle portion may be in the form of a (relatively soft) infusion cannula (e.g. a TeflonR cannula) and a there through arranged removable insertion needle. This type of cannula needle arrangement is well known from so-called infusion sets, such infusion sets typically being used to provide an infusion site in combination with (durable) infusion pumps.」(ただし、引用文献1の原文において、上記「TeflonR」の「R」は、登録商標を示すRを丸で囲んだマークである。以下同様である。)
(「[0091] 上述の実施形態では、経皮デバイスは単一の針デバイス(例えば、図示の注入針または針センサ(図示せず))の形態であったが、経皮デバイスは、挿入後に引き抜かれる挿入針と組み合わされたカニューレまたはセンサの形態であってもよい。例えば、第1の針部分は、(比較的軟質な)注入カニューレ(例えば、テフロン(登録商標)カニューレ)と、そこを通るように配置された取り外し可能な挿入針の形態であってもよい。このタイプのカニューレ針構成は、いわゆる注入セットからよく知られており、そのような注入セットは通常、(耐久性のある)注入ポンプと組み合わせて注入部位を提供するために使用される。」)
(テ)「[0092] Thus, FIGS. 13A and 13B show in a schematic representation how a cannula and insertion needle combination can be arranged within a housing 601 of in a given medical device 600 (partly shown), e.g. an infusion device or an infusion set. More specifically, the medical device comprises a transcutaneous assembly 650 comprising a combination of a relatively soft cannula 651 (which e.g. may be of the soft “TeflonR” type) carried by a lower member 653 and a pointed insertion needle 661 (e.g. made from medical grade stainless steel) slidably arranged within the cannula and carried by an upper member 663, both members being mounted to allow axial displacement of the cannula respectively the insertion needle. The cannula comprises a proximal inlet (not shown) allowing it to be or to be arranged in fluid communication with a fluid source. The medical device further comprises a base plate 620 with an opening 621 for the cannula as well as a release member 622. The lower member comprises an elastomeric seal 652 through which the insertion needle is arranged. The cannula and the insertion needle may be straight or curved dependent upon how the two members are mounted in the device, e.g. arcuate corresponding to a pivoting axis or straight corresponding to linear movement as illustrated. The upper member comprises a coupling member 667 locking the members together in an initial position with distal end of the insertion needle extending from the distal opening of the cannula as shown in FIG. 13A, and the base plate comprises coupling member 657 for locking the lower member in an extended position with distal end of the cannula extending through the opening in the base plate (see FIG. 13B). Between the housing of the device and the upper member a first spring 668 is arranged biasing the upper member upwards. Correspondingly, the device also comprises a second spring 658 biasing the lower member upwardly. The medical device further comprises a gripping tab 676 and a pulling member 677 corresponding to the embodiment shown in FIG. 1.」
(「[0092] したがって、図13Aと13Bは、カニューレと挿入針の組み合わせが、(部分的に図示されている)所与の医療デバイス600、例えば輸液デバイス又は輸液セット、のハウジング601内にどのように配置され得るかを概略図で示している。より具体的には、医療デバイスは、下部部材653によって担持される比較的軟質なカニューレ651(例えば、軟質な“テフロン(登録商標)”タイプであってもよい)と、カニューレ内にスライド可能に配置されて上部部材663によって担持される尖った挿入針661(例えば、医療グレードのステンレス鋼から作られる)との組み合わせを含む経皮アセンブリ650を備えており、両方の部材は、カニューレ、挿入針それぞれの、軸方向の移動を可能にするために備え付けられている。カニューレは、近位入口(図示せず)を含み、それを流体源と流体連通させる、または流体源と流体連通させるように配置することができる。医療デバイスは、カニューレ用の開口621と解放部材622を備えたベースプレート620をさらに備える。下部部材は、エラストマーシール652を含み、それを通して挿入針が配置される。カニューレと挿入針は、2つの部材がどのようにデバイスに取り付けられているかに応じて、真っ直ぐでも湾曲していてもよく、例えば、旋回軸に対応する弓形または図のように直線運動に対応する直線である。上部部材は、図13Aに示されるように、挿入針の遠位端がカニューレの遠位開口部から延びる初期位置で部材を一緒にロックする連結部材667を備える。そして、ベースプレートは、カニューレの遠位端がベースプレートの開口部を通って延在する状態で、下部部材を伸長位置にロックするための連結部材657を備える(図13Bを参照。)。デバイスのハウジングと上部部材との間に、上部部材を上方に付勢する第1のばね668が配置される。それに対応して、デバイスはまた、下部部材を上方に付勢する第2のばね658を備える。医療デバイスはさらに、把持タブ676と、図1に示される実施形態に対応する引っ張り部材677とを備える。」)
(ト)「[0093] In a situation of use the assembly is moved downwardly, either manually or by a releasable insertion aid, e.g. a spring loaded member acting through an opening in the housing (not shown) whereby the cannula with the projecting insertion needle is inserted through the skin of a subject. In this position the lower member engages the coupling member 657 to thereby lock the cannula in its extended position, just as the coupling member 667 is released by the release member 622 thereby allowing the upper member to return to its initial position by means of the first spring.」
(「[0093] 使用状態において、アセンブリは、手動で、または、例えば、ハウジング(図示せず)の開口部を通して作動するばね荷重部材である解放可能な挿入補助具によって下向きに動かされ、それによって、突き出た挿入針を有するカニューレが対象者の皮膚を通して挿入される。この位置では、下部部材は連結部材657と係合することによりカニューレをその伸長位置にロックし、連結部材667が解放部材622によって解放されることにより上部部材が第1ばねの手段によってその初期位置に戻ることを可能にする。」)
(ナ)「[0094] When the user intends to remove the delivery device from the skin surface, the user grips the gripping portion of the tab and pulls it in a first direction substantially in parallel with the skin surface, by which action the flexible strip 677 releases the coupling member 657 from the lower member whereby the lower member and thereby the cannula is retracted by means of the second spring. When the cannula has been withdrawn from the skin, the user uses the now unfolded tab to pull off the entire delivery device from the skin surface, for example by pulling the tab in a direction away from the skin surface.」
(「[0094] 使用者が送達デバイスを皮膚表面から取り外そうとするとき、使用者はタブの把持部分を握り、それを皮膚表面と実質的に平行な第1の方向に引っ張り、その動作によって、可撓性ストリップ677が連結部材657を下部部材から解放し、それによって下部部材ひいてはカニューレが第2のばねによって引っ込められる。カニューレが皮膚から引き抜かれると、使用者は、例えばタブを皮膚表面から離れる方向に引っ張ることにより、展開されたタブを使用して、送達デバイス全体を皮膚表面から引き離す。」)
(ニ)「[0095] In the above description of the preferred embodiments, the different structures and means providing the described functionality for the different components have been described to a degree to which the concept of the present invention will be apparent to the skilled reader. The detailed construction and specification for the different components are considered the object of a normal design procedure performed by the skilled person along the lines set out in the present specification.」
(「[0095] 好ましい実施形態の上記の説明において、異なる構成要素に対して説明された機能を提供する異なる構造および手段が、本発明の概念が当業者に明らかとなる程度まで説明された。異なる構成要素の詳細な構造および仕様は、本明細書に記載された方針に沿って当業者によって実行される通常の設計手順の対象であると考えられる。」)
(ヌ)「[0105] FIGS. 24A-24D show a skin-mountable device 1800 comprising a soft catheter 1820 in which is arranged an insertion needle 1830. More specifically, the device comprises an arrangement in which one loaded main spring 1810 loads two secondary springs 1811, 1812 for insertion of the soft catheter 1820 for subcutaneous drug delivery. In the shown embodiment it is a pull-spring 1811 for the insertion needle, and for the soft catheter it is a push-spring 1822. The main spring is placed levelled on top of a patch sheet 1801. When e.g. a reservoir unit 1802 is connected it releases the loaded main spring that inserts the soft catheter with its needle. The insertion loads two springs for pull out of the needle respectively the soft catheter. The needle is pulled out by spring 1811 immediately after insertion of the soft catheter with its insertion needle, whereas the soft catheter is pulled out when the reservoir unit is removed from the skin-mountable device, this actuating the a release mechanism 1815. Instead of the “vertical” arrangement of the catheter, the catheter may be arranged inclined (see unit 1803). Accordingly, a medical device is provided comprising a first actuated (or actuatable) spring, second and third non-actuated springs, a cannula and a needle with a skin-penetrating distal end arranged there within (see FIG. 24A). When the first spring is released the combined cannula and needle is inserted, and the second and third spring is actuated (see FIG. 24B). When the second spring is released the needle is withdrawn (see FIG. 24C). This action may be automatically coupled to detection of the cannula having reached its extended position. When the third spring is released the cannula is withdrawn (see FIG. 24D). An advantage of this invention is that only one main spring is loaded, which loads two secondary springs which are unloaded before use. A further advantage is that soft catheter with its needle is hidden before use, and that needle and soft catheter are pulled out at end of use when the device is disposed off.」
(「[0105] 図24A-24Dは、挿入針1830が配置された軟性カテーテル1820を含む皮膚に取り付け可能なデバイス1800を示している。より具体的には、デバイスは、皮下薬剤送達用の軟性カテーテル1820の挿入のために、1つの荷重がかけられた主ばね1810が2つの二次ばね1811、1812に荷重をかける構成を備える。図示の実施形態では、それは挿入針用のプルスプリング1811であり、軟性カテーテル用のそれはプッシュスプリング1822である。主ばねは、パッチシート1801の上に水平に配置されている。例えばリザーバユニット1802が接続されている場合には、それは、針と一緒に軟性カテーテルを挿入する、荷重がかかっている主ばねを解放する。挿入は、それぞれ軟性カテーテルから針を引き抜くための2つのばねに荷重をかける。軟性カテーテルを挿入針と共に挿入した直後に、針がばね1811によって引き抜かれる一方、リザーバユニットが皮膚に取り付け可能なデバイスから取り外されると軟性カテーテルが引き抜かれるが、これは、解放機構1815を作動させている。カテーテルの“垂直”配置の代わりに、カテーテルを傾けて配置することができる(ユニット1803を参照。)。したがって、第1作動(または作動可能)ばね、第2および第3非作動ばね、カニューレ、および皮膚を貫通する遠位端がそこの内部に配置された針を含む医療デバイスが提供される(図24Aを参照。)。第1ばねが解放されると、結合されたカニューレと針が挿入され、第2及び第3ばねが作動する(図24Bを参照。)。第2ばねが解放されると、針が引き出される(図24Cを参照。)。この動作は、カニューレが伸展位置に達したことの検出に自動的に結びつく。第3ばねが解放されると、カニューレが引き出される(図24Dを参照。)。本発明の利点は、使用前には荷重がかけられていない2つの副ばねに荷重をかける1つの主ばねだけに荷重がかけられていることである。さらなる利点は、使用前に針を備えた軟性カテーテルが隠され、装置が廃棄されるときに針と軟性カテーテルが使用終了時に引き抜かれることである。」)
(ネ)「[0106] FIGS. 25A-25D show a skin-mountable device 1900 comprising a soft catheter 1920 in which is arranged an insertion needle 1930, and embodying a multi step concept with a single loaded spring 1910 for insertion of a soft catheter for subcutaneous drug delivery. In accordance with this concept one single spring is loaded and has a multi step function: (a) The spring is loaded (alternatively the spring may be supplied pre-loaded) and a first locking structure 1911 is ready to be disengaged from the catheter assembly (see FIG. 25A). (b) When the first locking structure is released the soft catheter with its insertion needle is inserted, and a second locking structure 1912 is ready to be disengaged (see FIG. 25B). (c) When the second locking structure is disengaged the insertion needle is pulled proximally, and a third locking structure 1913 is ready to be disengaged (see FIG. 25C). (d) When the third locking structure is disengaged the soft catheter is pulled out (see FIG. 25D). The steps (a)-(c) or (b)-(c) may be combined and performed automatically when a user actuation means is actuated, e.g. as described above for the concept disclosed with reference to FIGS. 24A-24D, the needle may be pulled out automatically when the cannula has reached its extended position. An advantage of this concept is that one spring is loaded, and provides all actuation for inserting and withdrawing the catheter/needle. A further advantage is that the soft catheter with the needle is hidden before use, and that the needle and soft catheter are pulled out at end of use when the device is disposed off.」
(「0106」 図25A-25Dは、挿入針1930が配置された軟性カテーテル1920を含み、皮下薬剤送達用の軟性カテーテルの挿入のための単一荷重ばね1910を有する多段階概念を具現化する、皮膚に取り付け可能なデバイス1900を示す。この概念に従って、1つの単一ばねが、荷重をかけられており、多段階機能を有する:(a)ばねは荷重をかけられ(あるいは、ばねは予め荷重をかけられた状態で供給されてもよい)、第1のロック構造1911がカテーテルアセンブリから解放される準備ができている(図25Aを参照。)。(b)第1のロック構造が解放されると、挿入針と共に軟性カテーテルが挿入され、第2のロック構造1912が解除される準備が整う (図25Bを参照。)。(c)第2のロック構造が解除されると、挿入針が近位に引っ張られ、第3のロック構造1913が解除される準備が整う(図25Cを参照。)。(d)第3のロック構造が解除されると、軟性カテーテルが引き出される(図25Dを参照。)。使用者作動手段が作動したときに、ステップ(a)~(c)または(b)~(c)が組み合わされて、自動的に実行されてもよく、例えば、図24A-25Dを参照して開示された概念について上述したように、カニューレがその延長位置に到達したとき、針が自動的に引き抜かれてもよい。この概念の利点は、1つのばねは、荷重をかけられており、そして、カテーテル/針の挿入と引き抜きのためのすべての作動を提供することである。更なる利点は、使用前に針と共に軟性カテーテルが隠されていること、及び針と軟性カテーテルが使用終了時、装置を廃棄するときに引き抜かれることである。」)
(ノ)「7. A medical device as in claim 1, wherein the transcutaneous device unit comprises a flexible sheet member with an upper and a lower surface, the lower surface comprising an adhesive allowing the transcutaneous device unit to be attached to the skin surface of the subject, the first housing comprising a lower surface attached to the upper surface of the flexible sheet member.」
(「7.経皮デバイスユニットは、上面および下面を有する可撓性シート部材を含み、下面は、経皮デバイスユニットを対象者の皮膚表面に取り付けることを可能にする接着剤を含み、第1のハウジングは、対象の皮膚表面に取り付けられる下面を含むことを特徴とする、請求項1に記載の医療デバイス。」)
(ハ)「10. A medical device as in claim 1, wherein the transcutaneous device unit comprises a transcutaneous drug delivery device (530, 651), and the process unit comprises a reservoir (760) adapted to contain a fluid drug, and an expelling assembly (300) adapted for cooperation with the reservoir to expel fluid drug out of the reservoir and through the skin of the subject via the transcutaneous drug delivery device when the two units are coupled to each other.」
(「10.経皮デバイスユニットは経皮薬剤送達デバイス(530、651)を含み、プロセスユニットは、流体薬剤を収容するように適合されたリザーバ(760)と、2つのユニットが互いに結合されている場合、リザーバと協働するように適合され、流体薬剤がリザーバから出て経皮薬剤送達デバイスを介して対象者の皮膚を通過するように流体薬剤を放出する放出アセンブリ(300)とを備えていることを特徴とする、請求項1に記載の医療デバイス。」)
イ 引用文献1には次の図が示されている。
(ア)図1
[図:0001398617000001.jpg]
(イ)図2
[図:0001398617000002.jpg]
(ウ)図3
[図:0001398617000003.jpg]
(エ)図13A
[図:0001398617000004.jpg]
(オ)図13B
[図:0001398617000005.jpg]
(カ)図24A
[図:0001398617000006.jpg]
(キ)図24B
[図:0001398617000007.jpg]
(ク)図24C
[図:0001398617000008.jpg]
(ケ)図24D
[図:0001398617000009.jpg]
(コ)図25A
[図:0001398617000010.jpg]
(サ)図25B
[図:0001398617000011.jpg]
(シ)図25C
[図:0001398617000012.jpg]
(ス)図25D
[図:0001398617000013.jpg]
(2)認定事項
ア 上記(1)ア(テ)の段落[0092]における「図13Aと13Bは、カニューレと挿入針の組み合わせ」が「所与の医療デバイス600」の「ハウジング601内にどのように配置され得るかを概略図で示している。」との記載を踏まえると、上記(1)イ(エ)の図13Aの図示内容から、最初は、カニューレ651がハウジング601内に格納されていることが看取できる。
イ 上記(1)ア(テ)の段落[0092]における、「図13Aと13Bは、カニューレと挿入針の組み合わせ」が「所与の医療デバイス600」の「ハウジング601内にどのように配置され得るかを概略図で示している。」との記載、「カニューレ用の開口621」を「備えたベースプレート620」との記載、「カニューレの遠位端がベースプレートの開口部を通って延在する状態」との記載、及び上記(1)イ(エ)~(オ)の図13A~13Bの図示内容を踏まえると、「ハウジング601」の「ベースプレート620」に「カニューレ」が通る「開口621」が設けられている。
ウ 上記(1)ア(オ)の段落[0028]における「比較的可撓性の本質的にブラントなカニューレと先の尖った挿入針の組みあわせの形態」との記載、及び「挿入針は、経皮デバイスのブラントな部分の挿入後に引き込み可能である。」との記載、上記(1)ア(ツ)の段落[0091]における「第1の針部分は、(比較的軟質な)注入カニューレ」と「そこを通るように配置された取り外し可能な挿入針の形態であってもよい。」との記載、上記(1)ア(テ)の段落[0092]における「医療デバイスは、下部部材653によって担持される比較的軟質なカニューレ651(例えば、軟質な「テフロン(登録商標)」タイプであってもよい)と、カニューレ内にスライド可能に配置されて上部部材663によって担持される尖った挿入針661(例えば、医療グレードのステンレス鋼から作られる)との組み合わせを含む経皮アセンブリ650を備えており、両方の部材は、カニューレ、挿入針それぞれの、軸方向の移動を可能にするために備え付けられている。」との記載、「カニューレと挿入針は」「直線運動に対応する直線である。」との記載、「挿入針の遠位端がカニューレの遠位開口部から延びる初期位置」との記載、上記(1)ア(ト)の段落[0093]における「突き出た挿入針を有するカニューレが対象者の皮膚を通して挿入される。」との記載、及び上記(1)イ(エ)~(オ)の図13A~13Bの図示内容を踏まえると、「比較的軟質なカニューレ651」は、「ハウジング601」に対し移動可能なブラントカニューレ651である。
エ 上記(1)ア(ツ)の段落[0091]における「第1の針部分は、(比較的軟質な)注入カニューレ」と「そこを通るように配置された取り外し可能な挿入針の形態であってもよい。このタイプのカニューレ針構成は、いわゆる注入セットからよく知られており、そのような注入セットは通常、(耐久性のある)注入ポンプと組み合わせて注入部位を提供するために使用される。」との記載、上記(1)ア(テ)の段落[0092]における「医療デバイスは、下部部材653によって担持される比較的軟質なカニューレ651(例えば、軟質な「テフロン(登録商標)」タイプであってもよい)と、カニューレ内にスライド可能に配置されて上部部材663によって担持される尖った挿入針661(例えば、医療グレードのステンレス鋼から作られる)との組み合わせを含む経皮アセンブリ650を備えており、両方の部材は、カニューレ、挿入針それぞれの、軸方向の移動を可能にするために備え付けられている。カニューレは、近位入口(図示せず)を含み、それを流体源と流体連通させる、または流体源と流体連通させるように配置することができる。」との記載、「カニューレと挿入針は」「直線運動に対応する直線である。」との記載、及び上記(1)イ(エ)~(オ)の図13A~13Bの図示内容、並びに、通常、上記(1)ア(ツ)の段落[0091]に記載されたような「カニューレ針構成」における針取り外し後の流体送達中のカニューレでは、取り外し前の針が挿通されていた軸路に注入ポンプから供給された流体が流れて、カニューレの遠位端部の開口と流体連通する技術常識を踏まえると、「カニューレ651」の壁は第1の端部と第2の端部の間に軸路を画成し、前記軸路に流体連通する開口を前記第1の端部に有し、流体送達中に前記第2の端部は流体源に連通している。
オ 上記(1)ア(テ)の段落[0092]における「カニューレ651」との記載、「カニューレは、近位入口(図示せず)を含み、それを流体源と流体連通させる、または流体源と流体連通させるように配置することができる。」との記載、上記(1)ア(ハ)の請求項10における「経皮デバイスユニットは経皮薬剤送達デバイス(」「651)を含み、プロセスユニットは、流体薬剤を収容するように適合されたリザーバ(760)と、2つのユニットが互いに結合されている場合、リザーバと協働するように適合され、流体薬剤がリザーバから出て経皮薬剤送達デバイスを介して対象者の皮膚を通過するように流体薬剤を放出する放出アセンブリ(300)とを備えている」との記載から、上記「カニューレ651」に流れる流体は「薬剤」であり、上記「流体源」は「リザーバ」である。
カ 上記(1)ア(ヌ)の段落[0105]における「挿入針1830が配置された軟性カテーテル1820を含む皮膚に取り付け可能なデバイス1800」との記載、「デバイスは、皮下薬剤送達用の軟性カテーテル1820の挿入のために、1つの荷重がかけられた主ばね1810が2つの二次ばね1811、1812に荷重をかける構成を備える。」との記載、「第1作動(または作動可能)ばね、第2および第3非作動ばね、カニューレ、および皮膚を貫通する遠位端がそこの内部に配置された針を含む医療デバイスが提供される」との記載、「第1ばねが解放されると、結合されたカニューレと針が挿入され、第2及び第3ばねが作動する」との記載、上記(1)ア(ネ)の段落[0106]における「1つの単一ばねが、荷重をかけられており、多段階機能を有する:(a)ばねは荷重をかけられ(あるいは、ばねは予め荷重をかけられた状態で供給されてもよい)、第1のロック構造1911がカテーテルアセンブリから解放される準備ができている」との記載、「第1のロック構造が解放されると、挿入針と共に軟性カテーテルが挿入」との記載、「使用者作動手段が作動したときに、ステップ(a)~(c)または(b)~(c)が組み合わされて、自動的に実行されてもよく」との記載、及び上記(1)イ(カ)~(ス)における図24A~25Dの図示内容を踏まえると、荷重をかけられたばねを解放することにより、最初は「医療デバイス」のハウジング内に格納されている「カニューレ」が、前記ハウジングの開口部を通って皮膚に貫通する作動が自動的に実行されている。
キ 上記(1)ア(ツ)の段落[0091]における「挿入後に引き抜かれる挿入針と組み合わされたカニューレ」との記載、上記(1)ア(テ)の段落[0092]における「カニューレ内にスライド可能に配置されて上部部材663によって担持される尖った挿入針661」との記載、上記(1)ア(ト)の段落[0093]における「突き出た挿入針を有するカニューレが対象者の皮膚を通して挿入される」との記載、及び上記(1)イ(エ)~(オ)の図13A~13Bの図示内容を参酌すると、カニューレは、軸路に配置された挿入針661とともに挿入され、挿入後に、挿入針661は引き抜かれる。
(3)上記(1)ア(ア)、(ウ)、(ツ)~(ニ)、(ハ)、(2)イ(エ)~(オ)の記載事項、及び上記(2)ア~オ、キの認定事項を総合し、主に図13A-13Bの実施形態に着目すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「対象者の皮膚表面に適用するように適合され、経皮デバイスユニットおよび取り付け可能なプロセスユニットを備え、経皮薬剤送達デバイスが薬剤送達ユニットと組み合わせて提供される医療デバイスであって、前記医療デバイスは、開口621が設けられたハウジング601と、前記ハウジング601に対し移動可能であるブラントカニューレ651とを含み、前記ブラントカニューレ651の壁は、前記カニューレの第1の端部と第2の端部の間に軸路を画成し、前記壁は、前記軸路に流体連通する開口部を前記第1の端部に有し、前記医療デバイスはさらに、薬剤送達中に前記ブラントカニューレ651の近位入口と流体連通するリザーバを含み、前記ブラントカニューレ651は、最初はハウジング内に配置されており、次に使用状態では前記開口621を通して、対象者の皮膚を通して挿入されるようにバネ荷重部材である解放可能な挿入補助具によって動かされる、医療デバイスであって、前記ブラントカニューレは、軸路に配置された挿入針661とともに挿入され、挿入後に、挿入針661は引き抜かれる、医療デバイス。」
(4)上記(1)ア(イ)~(エ)、(セ)~(ソ)、(ノ)の記載事項を総合し、主に図1-3の第1の実施形態に着目すると、引用文献1には、次の事項(以下「引用文献1に記載された事項1」という。)が記載されていると認められる。
「医療デバイスを対象者の皮膚に取り付けるための接着剤が下面に設けられている可撓性シート部材が、ハウジングの下面に取り付けられていること。」
(5)上記(1)ア(ヌ)~(ネ)、イ(カ)~(ス)の記載事項、及び上記(2)カの認定事項を総合し、主に図24A-25Dの実施形態に着目すると、引用文献1には、次の事項(以下「引用文献1に記載された事項2」という。)が記載されていると認められる。
「荷重をかけられたばねを解放することにより、最初は医療デバイスのハウジング内に格納されているカニューレが、前記ハウジングの開口部を通って皮膚に貫通する作動が、自動的に実行される構成。」
2 引用文献2について
(1)記載事項
ア 引用文献2には、次の事項が記載されている。
(ア)「[0061] FIGS. 5a-c illustrate the insertion of sprinkler cannula 6 through a passageway 213 of skin adherable cradle 20 and into subcutaneous tissue 4. FIG. 5a illustrates a cross sectional view of the cradle 20 adhered to the skin, where the cradle 20 includes a protrusion which includes the passageway 213. FIG. 5b illustrates the insertion of a cannula cartridge 90 through the cradle passageway 213, where the cannula cartridge 90 can be composed of at least a penetrating member 92 (e.g., a needle) and sprinkler cannula 6 that includes holes 66. After inserting the cannula into the body, a cannula hub may be rigidly connected to the cradle 20 and the penetrating member 92 may then be retracted leaving the soft sprinkler cannula 6 placed within the subcutaneous tissue 4. FIG. 5c illustrates the connection of the dispensing patch 10 to the cradle 20. The patch 10 can be comprised of a first portion (e.g., a reusable part 100) having operating switches/buttons 15 according to some embodiments of the present disclosure, and a second portion (e.g., a disposable part 200). A recess 216 at the bottom of the patch may include a connecting lumen 215 which upon connection of the patch 10 to the cradle 20, the recess 216 receives the cradle protrusion and the connecting lumen 215 enables fluid communication between the reservoir, located in the second portion, and the sprinkler cannula 6. The patch 10 can be disconnected, and reconnected from and to the cradle 20 upon patient's discretion.」
「[0061] 図5a~cは、皮膚接着クレードル20の通路213を通り皮下組織4内に向かうスプリンクラーカニューレ6の挿入を示す。図5aは、皮膚に接着されたクレードル20の断面図を示し、クレードル20は、通路213を含む突起を含む。図5bは、クレードル通路213を通るカニューレカートリッジ90の挿入を示しており、カニューレカートリッジ90は、少なくとも貫通部材92(例えば、針)と、穴66を含むスプリンクラーカニューレ6とから構成することができる。カニューレを体内に挿入した後、カニューレハブをクレードル20にしっかりと接続することができ、貫通部材92を引き込んで、軟性のスプリンクラーカニューレ6を皮下組織4内に配置したままにすることができる。図5cは、クレードル20への分配パッチ10の接続を示す。パッチ10は、本開示のいくつかの実施形態による操作スイッチ/ボタン15を有する第1の部分(例えば、再利用可能な部分100)と、第2の部分(例えば、使い捨て部分200)とから構成され得る。パッチの底部の凹部216は、パッチ10をクレードル20に接続する際に、凹部216がクレードル突出部を受け入れ、接続管腔215が第2の部分に位置するリザーバとスクリンクラーカニューレ6との間の流体連通を可能にする接続管腔215を含むことができる。パッチ10は、患者の裁量によりクレードル20から切り離したり、クレードル20に再接続したりできる。」
(イ)「[0073] FIGS. 9a-c illustrate a spatial view of a cradle 20 before (see FIG. 9a) and after (see FIGS. 9b-c) attachment to a sprinkler cannula 6, according to some embodiments of the disclosure. FIG. 9a illustrates cradle 20 which may comprise a protrusion provided with a passageway 213. Two snaps/latches 23 and 23', for example, provide connection (preferably rigid) of the sprinkler cannula 6 to the cradle 20 after insertion of the cannula 6 through the passageway 213. FIGS. 9b and 9c illustrate the sprinkler cannula 6 connected to cradle 20. The sprinkler cannula 6 may comprise a hole/opening at its tip 68 and a plurality of holes 66 along its longitudinal axis.」
(「[0073] 図9a-cは、本開示のいくつかの実施形態による、スプリンクラーカニューレ6への付着の前(図9aを参照。)および後(図9b-cを参照。)のクレードル20の空間的な図を示している。図9aは、通路213に設けられた突出部を含んでいてもよいクレードル20を示す。例えば、2つのスナップ/ラッチ23および23’は、通路213を通してカニューレ6を挿入した後、スプリンクラーカニューレ6のクレードル20への接続(好ましくは剛性)を提供する。図9bおよび9cは、クレードル20に接続されたスプリンクラーカニューレ6を示す。スプリンクラーカニューレ6は、その先端68に穴/開口部と、その縦軸に沿った複数の穴66とを備えることができる。」)
(ウ)「[0079] FIG. 15a illustrates a cross sectional view of a dispensing patch 10 comprised of two parts (100, 200) according to some embodiments, which is provided with a conventional cannula 6' known in the art. The cannula 6' is provided with a single fluid exit at the cannula tip 68. As fluid is dispensed through the cannula 6', a depot 59 is formed at the cannula tip 68 and subsequently the fluid absorption process begins. In some embodiments, the absorption process may include diffusion of the drug (e.g., insulin) molecules in accordance with Fick's laws. Thus, the diffusion rate may be proportional to the effective diffusion area. For simplification, this principle can be illustrated in the following numerical example where a single depot of 10 U insulin with a concentration of 100 U/ml (V=100 mm3) has a surface area of about 104 mm2 (under the approximation of a spherical depot). FIG. 15b illustrates the dispensing patch 10 that delivers fluid into the body through sprinkler cannula 6 that is located within the subcutaneous tissue 4. The fluid is delivered through the cannula tip 68 and through the plurality of holes 66 located along the longitudinal axis of the cannula 6 forms depot 59 at the cannula tip 68 and a plurality of depots at the holes 66 along the cannula side walls. The same volume of the depot of 10 U (100 mm3) described above, can now be divided, for example, into 10 depots (n=10) of 1 U each (V=10×10 mm3=100 mm3) and the total diffusion area of these 10 depots is about 224 mm2 (i.e., more than twice of a single depot's). FIG. 15c illustrates sprinkler cannula 6 inserted within the subcutaneous tissue 4 in an angled/tilted direction. The drug depots 59 emerge from the sprinkler cannula holes 66 and from the cannula tip 68.」
(「[0079] 図15aは、いくつかの実施形態による2つの部分(100、200)からなる分配パッチ10の断面図を示し、これは当該技術分野で知られている従来のカニューレ6'を備える。カニューレ6’は、カニューレ先端68に単一の流体出口を備える。カニューレ6'を通して流体が分配されると、カニューレ先端68にデポー59が形成され、続いて流体吸収プロセスが始まる。いくつかの実施形態では、吸収プロセスは、フィックの法則による薬剤(例えば、インスリン)分子の拡散を含み得る。したがって、拡散速度は有効拡散面積に比例し得る。簡単にするために、この原理は、100U/ml (V=100mm3) の濃度の10Uインスリンの単一デポーが約104mm2(球形の近似の下で)の表面積を持つ次の数値例で説明できる。図15bは、皮下組織4内に配置されたスプリンクラーカニューレ6を通して体内に流体を送達する分配パッチ10を示す。流体は、カニューレ先端68を通って送達され、カニューレ6の縦軸に沿って配置された複数の穴66を通ってカニューレ先端68にデポー59を形成し、カニューレ側壁に沿って穴66に複数のデポーを形成する。上記の10U (100mm3) のデポーの同じ体積は、たとえば、それぞれ1U (V=10×10mm3=100mm3) の10デポー(n=10) に分割でき、これらの10デポーの合計拡散面積は、約224mm2 (つまり、単一のデポーの2倍以上) です。図15cは、斜め/傾斜した方向で皮下組織4内に挿入されたスプリンクラーカニューレ6を示す。薬剤デポー59は、スプリンクラーカニューレの穴66およびカニューレの先端68から出現する。」
(エ)「[0080] FIG. 16 illustrates sprinkler cannula 6 that includes holes 66 having unidirectional valves. The sprinkler cannula 6 is connected to cradle 20, emerging from a cradle opening 214. Drug depots 59 can be formed at the cannula side walls and at the cannula tip 68.」
(「[0080] 図16は、一方向弁を有する穴66を含むスプリンクラーカニューレ6を示している。スプリンクラーカニューレ6はクレードル20に接続され、クレードル開口部214から出てくる。薬剤デポー59は、カニューレ側壁およびカニューレ先端68に形成することができる。」)
イ 引用文献2には次の図が示されている。
(ア)図5b
[図:0001398617000014.jpg]
(イ)図9c
[図:0001398617000015.jpg]
(ウ)図15b
[図:0001398617000016.jpg]
(エ)図15c
[図:0001398617000017.jpg]
(オ)図16
[図:0001398617000018.jpg]
(2)認定事項
ア 上記(1)ア(イ)における「スプリンクラーカニューレ6は、その先端68に穴/開口部と、その縦軸に沿った複数の穴66とを備える」との記載、上記(1)ア(ウ)における「流体は、カニューレ先端68を通って送達され、カニューレ6の縦軸に沿って配置された複数の穴66を通ってカニューレ先端68にデポー59を形成し、カニューレ側壁に沿って穴66に複数のデポーを形成する。」との記載、「薬剤デポー59は、スプリンクラーカニューレの穴66およびカニューレの先端68から出現する。」との記載、上記(1)ア(エ)における「薬剤デポー59は、カニューレ側壁およびカニューレ先端68に形成することができる。」との記載、及び上記(1)イ(ア)~(エ)における図9c、15b、15c、16の図示内容を総合し、主に図9c、15b、15c、16の図示内容に着目すると、「スプリンクラーカニューレ」において、側面に設けられた「穴66」のうち最遠位に配置された「穴66」の遠位側近傍から遠位端まで延びる遠位端部は、テーパー領域であって、側面に設けられた「穴66」が、当該テーパー領域に隣接して配置されている。
イ 上記(1)ア(イ)における「スプリンクラーカニューレ6は、その先端68に穴/開口部と、その縦軸に沿った複数の穴66とを備える」との記載、上記(1)ア(ウ)における「皮下組織4内に配置されたスプリンクラーカニューレ6を通して体内に流体を送達する分配パッチ10」との記載、「流体は、カニューレ先端68を通って送達され、カニューレ6の縦軸に沿って配置された複数の穴66を通ってカニューレ先端68にデポー59を形成し、カニューレ側壁に沿って穴66に複数のデポーを形成する。」との記載、「薬剤デポー59は、スプリンクラーカニューレの穴66およびカニューレの先端68から出現する。」との記載、上記(1)ア(エ)における「薬剤デポー59は、カニューレ側壁およびカニューレ先端68に形成することができる。」との記載、上記(1)イ(ア)~(エ)における図9c、15b、15c、16の図示内容を踏まえると、「先端68」の穴及び「穴66」により複数の流路が確保されている。
ウ 上記(1)ア(ア)における「カニューレカートリッジ90は、少なくとも貫通部材92(例えば、針)と、穴66を含むスプリンクラーカニューレ6とから構成する」との記載、「貫通部材92を引き込んで、軟性のスプリンクラーカニューレ6を皮下組織4内に配置したままにすることができる。」との記載、及び図5bの図示内容を踏まえると、「スプリンクラーカニューレ6」は軸路に配置された「針」と共に挿入され、挿入後、「針」が引き込まれる。
(3)上記(1)の記載事項及び上記(2)の認定事項から、引用文献2には次の事項(以下「引用文献2に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。
「軸路に配置された針と共に挿入され、挿入後、針が引き込まれるスプリンクラーカニューレであって、先端68の穴及び穴66により複数の流路が確保されているスプリンクラーカニューレにおいて、遠位端部がテーパー領域であって、側面に設けられた穴66が当該テーパー領域に隣接して配置されていること。」
3 引用文献3について
(1)記載事項
ア 引用文献3には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0018】 図1に示すように、本実施形態の留置針組立体1は、被穿刺者に穿刺される内針2と、この内針2を固定する内針基3と、カテーテルチューブ4及びカテーテル基5から構成されたカテーテル6と、カテーテル6に接続されたクランプチューブ7と、コネクター8と、止血弁9とを備えて構成されている。」
(イ)「【0020】 内針基3は、内針2の後端部に取り付けられている。穿刺者はカテーテル6を被穿刺者に穿刺する際、この内針基3を保持しながら作業を行い、また穿刺後は、クランプチューブ7を保持した状態で内針基3を取り外すことにより内針2を本体部分から抜去することができる。なお、内針2を抜去した際、止血弁9により血液の外部への漏れが防止される。」
(ウ)「【0024】 これによれば、穿刺側先端の径が内針2の径とほぼ等しく、テーパー部24では徐々に径が太くなるため、カテーテルチューブ穿刺部21における穿刺抵抗が低減され、被穿刺者への痛みを緩和することができる。さらに、カテーテルチューブ本体22の径は細くしないので、治療のために十分な流量を確保することが可能となる。」
(エ)「【0031】 さらに、本実施形態のカテーテル6では、カテーテルチューブ本体22に側孔23を設け、この側孔23の数と大きさによってカテーテルチューブ4を流れる液体の流量を調整することができるので、適切な数と大きさの側孔23を備えたカテーテル6を選択することにより、治療に必要となる流量を確保することができる。」
(オ)「【0032】 なお、カテーテルチューブ穿刺部21の形状は図3に示す形状に限らず、他の形状とすることもできる。例えば、図4(a)に示すカテーテルチューブ穿刺部21Aでは、テーパー部24を全体に形成するとともに、テーパー部24を滑らかな流線型の形状とし、カテーテルチューブ4の径が徐々に細くなるように変化させている。また、図4(b)に示すカテーテルチューブ穿刺部21Bでは、テーパー部24を全体に形成するとともに、テーパー部24を緩やかな円錐形状とし、カテーテルチューブ4の径が徐々に細くなるように変化させている。」
(カ)「【0033】 このように、テーパー部24は図3に示すようなカテーテルチューブ穿刺部21の一部に形成するだけでなく、図4(a)、(b)に示すように全体に形成してもよい。また、テーパー部24の形状は、挿入抵抗を出来るだけ低く抑える意味では、滑らかな流線型の形状とすることが望ましいが、緩やかな円錐形状としてもよく、その他、滑らかな曲線や直線、又はこれらを複合させた形状等を用いることができる。」
イ 引用文献3には次の図が示されている。
(ア)図1
[図:0001398617000019.jpg]
(イ)図4
[図:0001398617000020.jpg]
(2)認定事項
ア 上記(1)ア(エ)の段落【0031】における「カテーテルチューブ本体22に側孔23を設け」との記載、上記(1)ア(オ)の段落【0032】における「カテーテルチューブ穿刺部21Aでは、テーパー部24を全体に形成するとともに、テーパー部24を滑らかな流線型の形状とし、カテーテルチューブ4の径が徐々に細くなるように変化させている。」との記載、「カテーテルチューブ穿刺部21Bでは、テーパー部24を全体に形成するとともに、テーパー部24を緩やかな円錐形状とし、カテーテルチューブ4の径が徐々に細くなるように変化させている。」との記載、及び上記(1)イ(イ)の図4の図示内容を総合し、主に図4の図示内容に着目すると、「カテーテルチューブ4」の遠位端部に「テーパー部24」が形成されており、「側孔23」は「テーパー部24」に隣接して配置されている。
イ 上記(1)ア(ア)の段落【0018】における「被穿刺者に穿刺される内針2と、この内針2を固定する内針基3と、カテーテルチューブ4及びカテーテル基5から構成されたカテーテル6」との記載、上記(1)ア(イ)の「穿刺者はカテーテル6を被穿刺者に穿刺する際、この内針基3を保持しながら作業を行い、また穿刺後は」「内針2を本体部分から抜去することができる。」との記載、及び上記(1)イ(ア)の図1の図示内容を踏まえると、「カテーテルチューブ4」は、軸路に配置された「内針2」と共に挿入され、挿入後、「内針2」が抜去される。
ウ 上記(1)ア(ウ)の段落【0024】における「カテーテルチューブ本体22の径は細くしないので、治療のために十分な流量を確保することが可能となる。」との記載、上記(1)ア(エ)の段落【0031】における「さらに、本実施形態のカテーテル6では、カテーテルチューブ本体22に側孔23を設け、この側孔23の数と大きさによってカテーテルチューブ4を流れる液体の流量を調整することができるので、適切な数と大きさの側孔23を備えたカテーテル6を選択することにより、治療に必要となる流量を確保することができる。」との記載、及び上記(1)イ(ア)~(イ)の図1、4における図示内容を踏まえると、「カテーテルチューブ4」の先端及び「側孔23」により、複数の流路が確保されている。
(3)上記(1)の記載事項、及び上記(2)の認定事項から、引用文献3には次の事項(以下「引用文献3に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。
「軸路に配置された内針2と共に挿入され、挿入後、内針2が抜去されるカテーテルチューブ4であって、先端及び側孔23により、複数の流路が確保されているカテーテルチューブ4において、遠位端部がテーパー部24であって、側孔23が当該テーパー部に隣接して配置されていること。」
4 引用文献4について
(1)記載事項
ア 引用文献4には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0012】図中1はキャップ状のカテーテルハブである。図中2はカテーテルハブ1の先に接合されている可撓性を有した管状のカテーテル本体である。静脈留置カテーテルの基本構造はカテーテルハブ1とカテーテル本体2から成る。カテーテルハブ1とカテーテル本体2の接合方法は自由であり接着等でもかまわないが、本実施の形態では図示しないカシメキャップを用いている。図中6は後端に後持部7を有する内針である。内針6はカテーテルハブ1の後からカテーテル本体2に挿入して針先を突出させた状態で後持部7をカテーテルハブ1に装着される。静脈留置カテーテルに内針6を装着した状態で血管3内に内針6とカテーテル本体2を挿入させた後、後持部7をカテーテルハブ1からはずして内針6のみを抜去することにより、カテーテル本体2を血管3内に留置する。静脈の血管3内の血流が心臓に還る方に向けてカテーテル本体2を挿入留置するのである(図12、図13参照)。カテーテル本体2を留置したならば、点滴や輸血や採血などの図示しない流入又は流出用の装置から延長された管をカテーテルハブ1の後部に接続させる。」
(イ)「【0013】図中4はカテーテル本体2の先端部分に形成された先端孔であり、図中5はカテーテル本体2の先端付近の周側面部分に形成された側面孔である。本発明の静脈留置カテーテルの構造的な特徴は、カテーテル本体2の先端及び先端付近に複数の液体流出入用の孔、すなわち先端孔4と側面孔5、を組み合わせて形成したことにある。これらの流出入用の孔は内針6の装着時においては、先端孔4は内針6が挿入されて塞がれ、側面孔5は内針6によって内側から塞がれ、刺貫挿入時には内針6と一体化して血管3内にスムーズに入ってゆくことができる。挿入後に内針6を抜去することにより、先端孔4と側面孔5が開きカテーテル本体2とカテーテルハブ1の内部流路が開放される。血管3内の血流は図では左から右へ流れているので右が心臓の方向となるので、カテーテル本体2は右向きに挿入留置されている。なお、図12、図13において、血管3内の実線矢印は血流を、太矢印は血管内の圧力をあらわし、カテーテル本体2内の実線矢印は流入の流れを、破線矢印は流出の流れをあらわしている。」
(ウ)「【0014】静脈留置カテーテルの側面孔5の実施の形態として、図8はカテーテル本体2の先端付近の周側面部分に側面孔5が1個形成されたものであり、図9はカテーテル本体2の先端付近の周側面部分に側面孔5を2個均等に配して形成された静脈留置カテーテルであり、図10と図11はカテーテル本体2の先端付近の周側面部分に側面孔5を4個均等に配して形成された静脈留置カテーテルである。この4個の側面孔5は交互に高さを少し変えているのはカテーテル本体の強度に配慮したためである。側面孔5の形は円形(図7等参照)、四角形(図14参照)、長方形(図15参照)、楕円形(図16参照)、三角形(図17参照)等がある。やや変わったデザインとしては側面孔5をカテーテル本体2の先端付近の周側面部分に縦に配置したものや(図18参照)、不定形の側面孔5(図19参照)などがある。しかしこれらはあくまでも例示にすぎず、側面孔5の形や大きさや配置は図示したものに限定されるものではなく、その他のさまざまなバリエーションも本発明の範囲に含まれる。」
(エ)「【0015】先端孔4の面積はカテーテル本体2の内周の面積とほぼ等しい。側面孔5の総面積とはすべての側面孔5の面積を合わせたものである。側面孔5の総面積を少なくとも先端孔4の面積以上にするには、先端孔4の面積を側面孔5の数で割った数値よりも側面孔5の1個当たりの面積を大きく設定すればよい。」
(オ)「【0016】【発明の効果】上記した請求項1記載の発明によれば、カテーテル本体の先端孔が狭閉されて流量が低下し停止した場合でも、液体は側面孔を通じて流出又は流入することができるので、常に順調で安定した流出入を達成させることができる。」
(カ)「【0017】上記した請求項2記載の発明によれば、カテーテル本体の先端孔が狭閉されて流量が低下し停止した場合でも、液体は側面孔を通じて流出又は流入することができるので、常に順調で安定した流出入を達成させることができる。また、もしカテーテル本体が血管を塞いでも、流路は確保され血流を妨げない。また、血管内の圧力が高い場合でも、カテーテル本体の先端付近内部に生じる血流によってカテーテル本体の上方にある液体を一緒に引き出すため、常に順調で安定した流入を達成させることができる。」
(キ)「【0018】上記した請求項3記載の発明によれば、先端孔が完全に閉塞しても、側面孔によって先端孔と同様の流出入を維持することができ、流出入する流量が先端孔単独の場合よりも低下することはないので、常に順調で安定した流出入を達成させることができる。」
イ 引用文献4には次の図が示されている。
(ア)図1
[図:0001398617000021.jpg]
(イ)図7
[図:0001398617000022.jpg]
(ウ)図8
[図:0001398617000023.jpg]
(エ)図9
[図:0001398617000024.jpg]
(オ)図10
[図:0001398617000025.jpg]
(カ)図11
[図:0001398617000026.jpg]
(キ)図12
[図:0001398617000027.jpg]
(ク)図13
[図:0001398617000028.jpg]
(ケ)図14
[図:0001398617000029.jpg]
(コ)図15
[図:0001398617000030.jpg]
(サ)図16
[図:0001398617000031.jpg]
(シ)図17
[図:0001398617000032.jpg]
(ス)図18
[図:0001398617000033.jpg]
(セ)図19
[図:0001398617000034.jpg]
(2)認定事項
ア 上記(1)ア(イ)の段落【0013】における「5はカテーテル本体2の先端付近の周側面部分に形成された側面孔である。」との記載、及び上記(1)イ(イ)~(オ)、(キ)~(セ)の図7、9~10、12~19の図示内容を総合し、主に図7、9~10、12~19の図示内容に着目すると、「カテーテル本体2」において、「側面孔5」の遠位側近傍から遠位端まで延びる遠位端部はテーパー領域であり、「側面孔5」は当該テーパー領域に隣接して配置されている。
イ 上記(1)ア(ア)の段落【0012】における「静脈留置カテーテルに内針6を装着した状態で血管3内に内針6とカテーテル本体2を挿入させた後、後持部7をカテーテルハブ1からはずして内針6のみを抜去する」との記載、及び上記(1)イ(ア)の図1の図示内容を踏まえると、「カテーテル本体2」は、軸路に配置された「内針6」と共に挿入され、挿入後、「内針6」が抜去される。
ウ 上記(1)ア(オ)の段落【0016】における「カテーテル本体の先端孔が狭閉されて流量が低下し停止した場合でも、液体は側面孔を通じて流出又は流入することができるので、常に順調で安定した流出入を達成させることができる。」との記載、上記(1)ア(カ)の段落【0017】における「カテーテル本体の先端孔が狭閉されて流量が低下し停止した場合でも、液体は側面孔を通じて流出又は流入することができるので、常に順調で安定した流出入を達成させることができる。」との記載、上記(1)ア(キ)の段落【0018】における「先端孔が完全に閉塞しても、側面孔によって先端孔と同様の流出入を維持することができ、流出入する流量が先端孔単独の場合よりも低下することはないので、常に順調で安定した流出入を達成させることができる。」との記載、及び上記(1)イ(イ)~(オ)、(カ)~(セ)の図7、9、10、12~19の図示内容を踏まえると、「カテーテル本体」の「先端孔」及び「側面孔」により、複数の流路が確保されている。
(2)上記(1)の記載事項、及び上記(2)の認定事項から、引用文献4には次の事項(以下「引用文献4に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。
「軸路に配置された内針6と共に挿入され、挿入後、内針6が抜去されるカテーテル本体2であって、先端孔及び側面孔5により、複数の流路が確保されているカテーテル本体2において、遠位端部がテーパー領域であって、側面孔5が当該テーパー領域に隣接して配置されていること。」
5 引用文献5について
(1)記載事項
ア 引用文献5には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0020】 留置針装置10は、シールド20を備える。シールド20は、シールド筒21と、シールド筒21の一端(前端)に固定された外ハブ25とを有する。シールド筒21は、内径が一定の略円筒形状を有する。シールド筒21の外ハブ25とは反対側端(後端)近傍の内周面には、周方向に連続する係止突起22が形成されている。外ハブ25は略漏斗形状を有し、そのシールド筒21とは反対側端(前端)に軟質の外針30が固定されている。外針30は略円筒形状を有し、その先端の近傍に、その外周面を貫通する一対の第1側孔31が形成されている。一対の第1側孔31は、外針30の内腔と連通している。シールド筒21及び外ハブ25の材料としては、特に制限はないが、硬質材料が好ましく、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン等を用いることができる。シールド筒21及び外ハブ25が透明又は透光性を有すると、その内腔内の血液やハブ40を透視することができるので好ましい。外針30の材料としては、特に制限はないが、軟質材料が好ましく、例えば、ポリプロピレン、ポリウレタン系エラストマー、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂等を用いることができる。外針30が透明又は透光性を有すると、その内腔内の血液や内針50を透視することができるので好ましい。なお、外ハブ25及び外針30を、上記の軟質材料を用いて一体に形成してもよい。」
(イ)「【0027】 図1、図2A及び図2Bでは、ハブ40はシールド20の内腔の前端側に位置している。シールド20に対するハブ40のこの位置を本発明では「初期位置」と呼ぶ。初期位置では、ハブ40の前部41に保持された内針50は外針30を貫通し、その先端は外針30の先端から外部に露出している。内針50の内腔52は、ハブ40の縦貫路43を介してチューブ60と連通するとともに、ハブ40の横貫路47を介して、Oリング49よりも前端側のハブ40の外面とシールド20の内面との間の空間12、及び、内針50の外周面と外針30の内周面との間の隙間13(後述する図5を参照)と連通する。」
(ウ)「【0030】 図5は、ハブ40が初期位置にあるときの外針30及び内針50の先端及びその近傍を示した断面図である。図2Aと異なり、図5では、第1側孔31及び第2側孔51の位置が分かるように、外針30のみを断面として示している。図5に示されているように、外針30の内径は、外針30の長手方向において一定ではなく、外針30の先端から所定の領域33で小さく、この領域33よりも後側ではこれより大きい。従って、領域33では、外針30の内周面と内針50の外周面とは密着し、領域33より後側では、外針30の内周面と内針50の外周面との間に隙間13が形成されている。本発明では、領域33を「密着領域」と呼ぶ。第1側孔31は、密着領域33内に形成されている。また、ハブ40が初期位置にあるとき、第2側孔51は、密着領域33よりも後側に位置している。この結果、第2側孔51は隙間13と連通している。一方、第1側孔31は、第2側孔51と連通せず、且つ、隙間13とも連通しない。」
(エ)「【0032】 図1、図2A及び図2Bに示すように、ハブ40が初期位置にある留置針装置10を、ストッパー70の一対の把持部73を2本の指で挟んで保持する。一対の把持部73は容易に弾性変形してシールド筒21の外周面に密着するので、留置針装置10を安定して保持することができる。この状態で、外針30の先端から突出した内針50を患者の血管に穿刺する。穿刺する際に内針50は反力を受けるが、内針50を保持するハブ40の後端(弾性片48)がストッパー70の挿入部72の先端に当接するので、内針50及びハブ40はシールド20に対して変位することはできない。」
(オ)「【0038】 その後、シールド20からストッパー70を引き抜き、これと同時に又はこれに続いて、シールド20からチューブ60を引っ張る。チューブ60の前端にはハブ40が接続されているので、チューブ60を引っ張ることによって、ハブ40及びこれに保持された内針50がシールド20に対して後方に移動する。」
(カ)「【0041】 図7A及び図7Bに示されているように、ハブ40が後退位置にあるとき、ハブ40の嵌合溝48a(図3A、図3B、図3Cを参照)とシールド筒21の係止突起22とが嵌合している。また、ハブ40に保持された内針50は外針30から抜き去られ、シールド20の内腔内に収納されている。」
(キ)「【0045】 外針30の先端近傍に第1側孔31が形成されているので、外針30の先端の開口が血管の内壁に接触して塞がっても、血液は第1側孔31を通じて流れることができる。従って、常に血液の流路が確保され、血液流量の低下を防ぐことができる。」
(ク)「【0048】 例えば、上記の本実施形態では、第1側孔31の数は2であったが、本発明はこれに限定されず、1つでも又は3つ以上であってもよい。第1側孔31の形状、寸法、周方向の配置位置なども特に制限はない。但し、第1側孔31は、密着領域33内に形成されており、且つ、密着領域33よりもシールド20側には形成されていないことが必要である。」
イ 引用文献5には次の図が示されている。
(ア)図1
[図:0001398617000035.jpg]
(イ)図5
[図:0001398617000036.jpg]
(ウ)図7A
[図:0001398617000037.jpg]
(エ)図7B
[図:0001398617000038.jpg]
(2)認定事項
ア 上記(1)ア(ア)の段落【0020】における「外針30は略円筒形状を有し、その先端の近傍に、その外周面を貫通する一対の第1側孔31が形成されている。」との記載、「外針30の材料としては」「軟質材料が好ましく」との記載、上記(1)ア(キ)の段落【0045】における「外針30の先端近傍に第1側孔31が形成されている」との記載、上記(1)イ(ア)~(ウ)の図5、7A~7Bにおける図示内容を総合し、主に図5、7A~7Bにおける図示内容に着目すると、「軟質材料」の「外針30」において、「第1側孔31」の遠位側近傍から遠位端まで延びる遠位端部はテーパー領域であり、「第1側孔31」は当該テーパー領域に隣接して配置されている。
イ 上記(1)ア(イ)の段落【0027】における「初期位置では」「内針50は外針30を貫通し、その先端は外針30の先端から外部に露出している。」との記載、上記(1)ア(オ)の段落【0038】における「その後」「内針50が」「後方に移動する。」との記載、上記(1)ア(カ)の段落【0041】における「内針50は外針30から抜き去られ」との記載、及び上記(1)イ(ア)~(エ)の図1、5、7A、7Bの図示内容を踏まえると、「外針30」は、軸路に配置された「内針50」と共に挿入され、挿入後、「内針50」が抜き去られる。
ウ 上記(1)ア(キ)の段落【0045】における「外針30の先端近傍に第1側孔31が形成されているので、外針30の先端の開口が血管の内壁に接触して塞がっても、血液は第1側孔31を通じて流れることができる。従って、常に血液の流路が確保され、血液流量の低下を防ぐことができる。」との記載、及び上記(1)イ(ウ)~(エ)の図7A~7Bの図示内容を踏まえると、「外針30の先端の開口」及び「第1側孔31」により、複数の流路が確保されている。
(3)上記(1)の記載事項、及び上記(2)の認定事項から、引用文献5には次の事項(以下「引用文献5に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。
「軸路に配置された内針50と共に挿入され、挿入後、内針50が抜き去られる軟質材料の外針30であって、先端の開口及び第1側孔31により、複数の流路が確保されている外針30において、遠位端部がテーパー領域であって、第1側孔31が当該テーパー領域に隣接して配置されていること。」
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「経皮デバイスユニットおよび取り付け可能なプロセスユニットを備え、経皮薬剤送達デバイスが薬剤送達ユニットと組み合わせて提供される医療デバイス」は、「対象者の皮膚表面に適用するように適合され」るものであり、「対象者」が身につけるものといえるから、本願発明の「着用可能な薬剤送達装置」に相当する。
イ 引用発明の「開口621が設けられたハウジング601」は、本願発明の「開口部を有するハウジング」に相当する。
ウ 引用発明の「ハウジングに対し移動可能であるブラントカニューレ651」は、本願発明の「ハウジングに対し移動可能であるブラントカニューレ」に相当する。
エ 引用発明の「カニューレの壁は、前記カニューレの第1の端部と第2の端部の間に軸路を画成」することは、本願発明の「ブラントカニューレは」「壁」「を有し」、「壁は、前記ブラントカニューレの第1の端部と第2の端部の間に軸路を画成」することに相当する。
オ 引用発明の「壁は、前記軸路に流体連通する開口部を前記第1の端部に有」することと、本願発明の「壁は、前記軸路に流体連通する開口部を画成するように少なくとも1つの第1のテーパー領域を前記第1の端部に有」することとは、壁は、軸路に流体連通する開口部を第1の端部に有することの限りにおいて一致する。
カ 引用発明の「医療デバイスはさらに、薬剤送達中に前記カニューレの近位入口と流体連通するリザーバを含」むことは、本願発明の「薬剤送達装置はさらに、薬剤送達中に前記ブラントカニューレの前記第2の端部と流体連通するように動作可能な貯留部を含」むことに相当する。
キ 引用発明の「ブラントカニューレは、最初はハウジング内に配置されており、次に使用状態では前記開口621を通して、対象者の皮膚を通して挿入されるようにバネ荷重部材である解放可能な挿入補助具によって動かされる」ことは、本願発明の「ブラントカニューレは、最初は前記ハウジング内に格納されており、次に作動状態において患者の皮膚に導入するため前記ハウジングの前記開口部を通して前記ブラントカニューレを配置する」ことに相当する。
以上によれば、本願発明と引用発明とは、
「着用可能な薬剤送達装置であって、前記薬剤送達装置は、開口部を有するハウジングと、前記ハウジングに対し移動可能であるブラントカニューレとを含み、前記ブラントカニューレは、壁を有し、前記壁は、前記ブラントカニューレの第1の端部と第2の端部の間に軸路を画成し、前記壁は、前記軸路に流体連通する開口部を前記第1の端部に有し、前記薬剤送達装置はさらに、薬剤送達中に前記ブラントカニューレの前記第2の端部と流体連通するように動作可能な貯留部を含み、前記ブラントカニューレは、最初は前記ハウジング内に格納されており、次に作動状態において患者の皮膚に導入するため前記ハウジングの前記開口部を通して前記ブラントカニューレを配置する、着用可能な薬剤送達装置。」
である点で一致し、以下の点で相違している。
<相違点1>
本願発明は「着用可能な薬剤送達装置を患者の皮膚に連結するために前記ハウジングの表面に配置された粘着剤」を含むのに対し、引用発明は「対象者の皮膚表面に適用するように適合され」るものであるものの、ハウジングの表面に配置された粘着剤を含むか否か明らかでない点。
<相違点2>
本願発明は、ブラントカニューレの壁が、「円筒壁」を有するのに対して、引用発明は、ブラントカニューレ651の壁が円筒壁であるか否か明らかでない点。
<相違点3>
本願発明は、「ブラントカニューレ」が「少なくとも1つの側面ポートを有し」、第1の端部に「前記軸路に流体連通する開口部を画成するように少なくとも1つの第1のテーパー領域」を有し、「前記少なくとも1つの側面ポートは、前記軸路を通って前記ブラントカニューレの第1の端部から出る流体の流れの遮断に抵抗するように前記壁に形成されており、前記ブラントカニューレは、患者の皮膚のテンティングに少なくとも部分的に起因する流体の流れの遮断を含み、前記テンティングは、前記ブラントカニューレが患者の皮膚を通るにしたがい、前記ブラントカニューレが患者の皮膚に摩擦的に係合し、引きずることによって引き起こされ、前記少なくとも1つの側面ポートは、前記流体を患者の組織に通すのに必要な圧力を低下させることによって、皮膚のテンティングに少なくとも部分的に起因する流体の流れの遮断に抵抗するように構成されており、前記少なくとも1つの側面ポートはそれぞれ、前記ブラントカニューレの前記第1の端部の前記第1のテーパー領域に隣接して配置されて」いるのに対して、引用発明の「ブラントカニューレ」は、そのような構成を有しない点。
<相違点4>
「ブラントカニューレは、最初はハウジング内に格納されており、次に作動状態において患者の皮膚に導入するため前記ハウジングの開口部を通して前記ブラントカニューレを配置するように、前記着用可能な薬剤送達装置」において、本願発明では、「自動化されている」のに対して、引用発明では、自動化されているか明らかでない点。
第6 判断
上記相違点1~4について検討する。
1 上記相違点1について
引用文献1の上記「第4 1(1)ア(ツ)」の段落[0091]には、「上述の実施形態では、経皮デバイスは単一の針デバイス(例えば、図示の注入針または針センサ(図示せず))の形態であったが、経皮デバイスは、挿入後に引き抜かれる挿入針と組み合わされたカニューレまたはセンサの形態であってもよい。」と記載されているところ、上記「第4 1(1)ア(カ)」~「第4 1(1)ア(ス)」の摘記事項、及び「第4 1(1)ア(タ)」の段落[0076]の「図4は図1の実施形態に実質的に対応する医療デバイス500のさらなる実施形態を示す。」との記載、並びに「第4 1(1)ア(チ)」の段落[0090]の「図12では、図4のリザーバユニット505の分解図が示され」との記載を踏まえると、引用文献1の明細書で、上記「上述の実施形態」が指し得る実施形態は、全て図1-3の実施形態を引用するものである。そうすると、引用発明は、図1-3の実施形態を前提としたものということができる。そして、上記「第4 1(4)」に示したとおり、引用文献1に記載された事項1は図1-3の実施形態から認定しているから、引用発明は、引用文献1に記載された事項1を前提にしているといえる。
よって、上記相違点1は実質的な相違点ではない。
また、仮に実質的な相違点であるとしても、引用発明に、引用文献1に記載された事項1を適用して、上記相違点1に係る本願発明の事項とすることは、当業者にとって容易である。
2 上記相違点2について
カニューレの壁の形状として、円筒は、例示するまでもない周知の技術である。
したがって、引用発明に上記周知の技術を適用して、上記相違点2に係る本願発明の事項とすることは当業者が容易に想到し得た事項である。
3 上記相違点3について
例えば、上記「第4 2(3)」に示したとおり、引用文献2には、引用文献2に記載された事項の「軸路に配置された針と共に挿入され、挿入後、針が引き込まれるスプリンクラーカニューレであって、先端68の穴及び穴66により複数の流路が確保されているスプリンクラーカニューレにおいて、遠位端部がテーパー領域であって、側面に設けられた穴66が当該テーパー領域に隣接して配置されていること。」が記載され、また、上記「第4 3(3)」に示したとおり、引用文献3には、引用文献3に記載された事項の「軸路に配置された内針2と共に挿入され、挿入後、内針2が抜去されるカテーテルチューブ4であって、先端及び側孔23により、複数の流路が確保されているカテーテルチューブ4において、遠位端部がテーパー部24であって、側孔23が当該テーパー部に隣接して配置されていること。」が記載され、また、上記「第4 4(3)」に示したとおり、引用文献4には、引用文献4に記載された事項の「軸路に配置された内針6と共に挿入され、挿入後、内針6が抜去されるカテーテル本体2であって、先端孔及び側面孔5により、複数の流路が確保されているカテーテル本体2において、遠位端部がテーパー領域であって、側面孔5が当該テーパー領域に隣接して配置されていること。」が記載され、さらに、上記「第4 5(3)」に示したとおり、引用文献5には、引用文献5に記載された事項の「軸路に配置された内針50と共に挿入され、挿入後、内針50が抜き去られる軟質材料の外針30であって、先端の開口及び第1側孔31により、複数の流路が確保されている外針30において、遠位端部がテーパー領域であって、第1側孔31が当該テーパー領域に隣接して配置されていること。」が記載されているように、カニューレにおいて、第1の端部の領域がテーパー領域であって、少なくとも1つの側面ポートをそれぞれ当該テーパー領域に隣接して配置することは、周知の技術である。
ここで、引用発明の「ブラントカニューレ」も、引用文献2~5に記載された事項のカニューレも、軸路に配置された針と共に挿入され、挿入後、針が引き抜かれるものであり、また、カニューレにおいて、患部へのスムーズな挿入や流路の確保あるいは適正な流量の送出は周知の課題であって、引用発明も内在する課題である。そうすると、上記課題を解決すべく、引用発明に上記周知の技術を適用して、第1の端部の領域をテーパー領域とし、少なくとも1つの側面ポートをそれぞれ当該テーパー領域に隣接して配置することは当業者にとって容易である。
また、皮膚にカニューレ等の管を挿入する際に、管と皮膚との摩擦等に起因して皮膚のテンティングを生じることは技術常識である。そして、引用発明のカニューレに上記周知の技術を適用したカニューレは、少なくとも1つの側面ポートが、軸路を通って前記カニューレの第1の端部から出る流体の流れの遮断に抵抗し、前記カニューレは、患者の皮膚のテンティングに少なくとも部分的に起因する流体の流れの遮断を含み、前記テンティングは、前記カニューレが患者の皮膚を通るにしたがい、前記カニューレが患者の皮膚に摩擦的に係合し、引きずることによって引き起こされ、前記少なくとも1つの側面ポートは、前記流体を患者の組織に通すのに必要な圧力を低下させることによって、皮膚のテンティングに少なくとも部分的に起因する流体の流れの遮断に抵抗するように構成されていると表現できるものである。
したがって、引用発明において上記周知の技術を適用して、上記相違点3に係る本願発明の事項とすることは当業者が容易に想到し得た事項である。
4 上記相違点4について
引用発明の「カニューレは、最初はハウジング内に配置されており、次に使用状態では前記開口621を通して、対象者の皮膚を通して挿入されるようにバネ荷重部材である解放可能な挿入補助具によって動かされる」ことにおいて、引用文献1に記載された事項2(上記「第4 1(5)」を参照。)の「荷重をかけられたばねを解放することにより、最初は医療デバイスのハウジング内に格納されているカニューレが、前記ハウジングの開口部を通って皮膚に貫通する作動が、自動的に実行される構成。」を適用して、上記相違点4に係る本願発明の事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得た事項である。
5 効果について
本願発明の奏する効果は、引用発明、周知の技術、及び技術常識から、当業者が予測し得た範囲のものである。
6 小括
したがって、本願発明は、引用発明、周知の技術(例えば、引用文献2~5に記載された事項を参照。)、及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
第7 請求人の主張について
令和4年8月30日提出の意見書における請求人の主張について、以下検討する。
1 請求人は「本拒絶理由(進歩性欠如との拒絶理由)は、引用文献1の軟質カニューレ651(拒絶理由通知(特に相違点3)において、請求項1の「ブラントカニューレ」に対応すると認められるもの)を、請求項1のように「少なくとも一つの側面ポート」を含むように修正すれば、「カニューレにおいて、患部へのスムーズな挿入や流路の確実な確保は極めて周知の課題であるから、当業者にとって容易に想到し得たであろう」との主張が前提である。
この進歩性拒絶の根拠は推測に過ぎず、本願明細書を読んだことで得られた洞察に基づく、許されない後知恵による再構成と考えるべきである。以下に詳細を説明する。
まず引用文献1の軟質カニューレ651が流量不足の影響を受けやすいことを示す又は示唆する先行技術文献の証拠はない。
さらに、本願の出願時、当業者が、引用文献1の軟質カニューレ651のような着用可能な薬物送達装置の内部から配置されるカニューレが流量不足の影響を受けやすいことを理解したことを示す先行技術文献の証拠は存在しない。」と主張する。
しかしながら、上記「第6 4」で示したとおり、カニューレにおいて、患部へのスムーズな挿入や流路の確保あるいは適正な流量の送出は周知の課題であって(例えば、引用文献2の段落[0061](摘示「第4 2(1)ア(ア)」)における「皮下組織4内に向かうスプリンクラーカニューレ6の挿入」との記載、段落[0079](摘示「第4 2(1)ア(ウ)」)における「流体は、カニューレ先端68を通って送達され、カニューレ6の縦軸に沿って配置された複数の穴66を通ってカニューレ先端68にデポー59を形成し、カニューレ側壁に沿って穴66に複数のデポーを形成する。」との記載、引用文献3の段落【0020】(摘示「第4 3(1)ア(イ)」)における「カテーテル6を被穿刺者に穿刺する」との記載、段落【0031】(摘示「第4 3(1)ア(エ)」)における「カテーテルチューブ本体22に側孔23を設け、この側孔23の数と大きさによってカテーテルチューブ4を流れる液体の流量を調整することができる。」との記載、引用文献4の段落【0012】(摘示「第4 4(1)ア(ア)」)における「血管3内に内針6とカテーテル本体2を挿入」との記載、段落【0016】(摘示「第4 4(1)ア(オ)」)における「液体は側面孔を通じて流出又は流入することができるので、常に順調で安定した流出入を達成させることができる。」との記載、引用文献5の段落【0032】(摘示「第4 5(1)ア(エ)」)における「外針30の先端から突出した内針50を患者の血管に穿刺する。」との記載、段落【0045】(摘示「第4 5(1)ア(キ)」)における「外針30の先端近傍に第1側孔31が形成されているので、外針30の先端の開口が血管の内壁に接触して塞がっても、血液は第1側孔31を通じて流れることができる。従って、常に血液の流路が確保され、血液流量の低下を防ぐことができる。」との記載を参照。)、引用発明も、当然、内在する課題である。
よって、請求人の上記主張は採用することができない。
2 請求人は「さらに、引用文献1の軟質カニューレ651に1つ以上の側面ポートを形成することに成功する見込みを与える先行技術文献の証拠はない。
当業者であれば、引用文献1の軟質カニューレ651に1つ以上の側面ポートを形成すると、引用文献1の軟質カニューレ651の壁の柱状強度が低下することを懸念していたであろう。
この柱状強度の低下により、引用文献1の軟質カニューレ651は、患者の皮膚への挿入時にねじれやすい状態になるおそれがある。
このねじれ(kink)は、今度は、引用文献1の軟質カニューレ651の先端が患者の皮下組織内の所望の深さまたは位置に到達することを潜在的に妨げ得る。
さらに、引用文献1のようなウェアラブル装置の場合、挿入が、人または外部の「挿入装置」によって提供される挿入力の補助なしに、装置自体の作用によってのみ達成される(例えば、引用文献2の段落[0030]参照)ので、引用文献1では、ねじれの影響を軽減する能力が制限される可能性がある。
例えば、引用文献1の挿入機構を駆動するバネのサイズを大きくすることは、不可能な場合がある。なぜならば、引用文献1の装置の外側ハウジングのサイズを大きくし、ひいては引用文献1の装置が装着される患者の四肢の可動性を妨げる可能性があるからである。
これらの潜在的な問題を考慮すると、裏付けとなる証拠無しに、当業者が引用文献1の軟質カニューレ651の壁から材料を除去して1つ以上の側面ポートを形成することに成功する見込みがあったと仮定するのは不適切である。」と主張する。
しかしながら、引用発明の「ブラントカニューレ」も、引用文献2~5に記載された事項に示されるカニューレも、軸路に配置された針と共に挿入され、挿入後、針が引き抜かれるものであるし(引用発明における「前記ブラントカニューレは、軸路に配置された挿入針661とともに挿入され、挿入後に、挿入針661は引き抜かれる」との記載、引用文献2に記載された事項における「軸路に配置された針と共に挿入され、挿入後、針が引き込まれるスプリンクラーカニューレ」との記載、引用文献3に記載された事項における「軸路に配置された内針2と共に挿入され、挿入後、内針2が抜去されるカテーテルチューブ4」との記載、引用文献4に記載された事項における「軸路に配置された内針6と共に挿入され、挿入後、内針6が抜去されるカテーテル本体2」との記載、引用文献5に記載された事項における「軸路に配置された内針50と共に挿入され、挿入後、内針50が抜き去られる軟質材料の外針30」との記載を参照。)、また、引用発明に、例えば引用文献2~5に記載された事項に示される周知の技術(カニューレにおいて、第1の端部の領域がテーパー領域であって、少なくとも1つの側面ポートがそれぞれ当該テーパー領域に隣接して配置されているようにすること)を適用する際に、側面ポートの配置を、カニューレに必要な強度を維持できる程度のものとすることは、当業者であれば当然考慮する事項であるから、請求人の上記主張は採用することができない。
第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、周知の技術、及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-002261