審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2021-001663

ロボット掃除機

審判番号
2021-001663
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-560524外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年02月05日
審決日
2021年10月26日
公報発行日
2022年04月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A47L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-560524「ロボット掃除機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月23日国際公開、WO2017/200305、令和 1年 6月20日国内公表、特表2019-516483〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)5月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年5月17日 韓国、2016年10月27日 韓国)を国際出願日とする出願であって、令和2年1月14日付けで拒絶理由が通知され、令和2年5月13日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和2年10月1日付けで拒絶査定がされ、これに対して令和3年2月5日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、その審判の請求と同時に手続補正がされ、令和3年2月18日に審判請求書の手続補正書が提出されたものである。 第2 令和3年2月5日の手続補正についての補正の却下の決定 〔補正の却下の決定の結論〕 令和3年2月5日の手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 〔理由〕 1 本件補正発明 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、本件補正前(令和2年5月13日の手続補正書)の請求項1に、 「掃除区域を走行し、掃除区域内の床の異物を吸入する本体と、 前記本体に配置され、前記本体前方の所定の領域の映像を獲得する映像獲得部と、 前記本体に配置され、前記所定の領域内に第1パターンの光を下向きに照射する第1パターン照射部と、 前記本体に配置され、前記第1パターン照射部の下側に配置され、前記所定の領域内に第2パターンの光を上向きに照射する第2パターン照射部と、 前記第1パターンの光が前記床と交差し、前記第2パターンの光が障害物と交差する時、前記障害物と前記床との間の空間がある障害物を認識する障害物情報獲得部とを含む、ロボット掃除機。」 とあったものを、 「掃除区域を走行し、掃除区域内の床の異物を吸入する本体と、 前記本体に配置され、前記本体前方の所定の領域の映像を獲得する映像獲得部と、 前記本体に配置され、前記所定の領域内に第1パターンの光を下向きに照射する第1パターン照射部と、 前記本体に配置され、前記第1パターン照射部の下側に配置され、前記所定の領域内に第2パターンの光を上向きに照射する第2パターン照射部と、 前記第1パターンの光が前記床と交差し、前記第2パターンの光が障害物と交差する時、前記障害物と前記床との間の空間がある障害物を認識する障害物情報獲得部とを含み、 前記本体の側面視で、前記第1パターンの光が照射される経路と、前記第2パターンの光が照射される経路とが、交差し、 前記第1パターンの光が照射される経路と、前記第2パターンの光が照射される経路とが交差する地点(d1)は、前記映像獲得部により映像が獲得され始める前記床上の地点(d2)よりも、前記本体よりさらに近接した地点に位置し、 第1パターンの光が床と交差する地点(d3)と、前記映像獲得部により映像が獲得され始める前記床上の地点(d2)との間の距離(d3-d2)が、前記第1パターンの光が照射される経路と、前記第2パターンの光が照射される経路とが交差する地点(d1)と、前記映像獲得部により映像が獲得され始める前記床上の地点(d2)との間の距離(d2-d1)より大きい、ロボット掃除機。」 と補正することを含むものである(下線は補正箇所を示すために請求人が付与した。)。 上記補正は、本件補正前の請求項1に記載される発明の発明特定事項である「第1パターンの光」、「第2パターンの光」及び「映像獲得部」に関して、「前記本体の側面視で、前記第1パターンの光が照射される経路と、前記第2パターンの光が照射される経路とが、交差し、前記第1パターンの光が照射される経路と、前記第2パターンの光が照射される経路とが交差する地点(d1)は、前記映像獲得部により映像が獲得され始める前記床上の地点(d2)よりも、前記本体よりさらに近接した地点に位置し、第1パターンの光が床と交差する地点(d3)と、前記映像獲得部により映像が獲得され始める前記床上の地点(d2)との間の距離(d3-d2)が、前記第1パターンの光が照射される経路と、前記第2パターンの光が照射される経路とが交差する地点(d1)と、前記映像獲得部により映像が獲得され始める前記床上の地点(d2)との間の距離(d2-d1)より大きい」ことを限定したものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)否かについて検討する。 2 引用文献、引用発明 (1)引用文献1記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された米国特許出願公開第2015/0168954号明細書(公開日:2015年6月18日。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。 ア 「[0002]1. Field of the Invention [0003]This disclosure presents a system and method through which a mobile device, such as a robot, can detect obstacles while navigating in an environment using a laser pattern to augment the visible field of a visual sensor and measure the distance to objects.」(当審訳:[0002]1.発明の属する技術分野 [0003]本開示は、ロボットなどのモバイルデバイスが、視覚センサの視野を増強し、障害物までの距離を測定するために、レーザパターンを使用して環境内をナビゲートしながら障害物を検出することができるシステムおよび方法を提示する。) イ 「[0041]In one embodiment, a frame f1 is represented by a matrix of grayscale pixel values. The dimensions of the matrix correspond to the dimensions, in pixels, of the image received from a visual sensor. The visual sensor can receive multiple channels of data, such as RGB color data, and use a model or math filter to convert the multiple-channel image to a single-channel image, such as a grayscale image. In one embodiment, the model or filter attempts to extract the “laser on” pixels from the “laser off” pixels. If multiple channels are used, the filter can be used to differentiate among several laser wavelengths, even if multiple wavelengths appear in the same image. For example, in one implementation, a first laser wavelength is used to detect obstacles that are relatively low to the floor surface, and a second laser wavelength is used to detect obstacles that are relatively high off the floor surface. In one embodiment, the filter performs a weighted addition of the channels, wherein each channel's weighting is proportional to the relative intensity of the laser's wavelength as detected by the channel. One embodiment of the filter performs a median filter using some window size, such as 5 pixels by 5 pixels or 7 pixels by 7 pixels. More complex filters can be used to account for the point-spread pattern of the laser, which may, for example, correspond to a dot, a line, or a Gaussian distribution. The resulting filtered frame corresponds to the intensity of the filtered laser light in the image.」(当審訳:[0041]一実施形態では、フレームf1は、グレースケール画素値の行列によって表される。マトリクスの寸法は、視覚センサから受信された画像のピクセル単位の寸法に対応する。視覚センサは、RGBカラーデータなどの複数チャネルのデータを受信し、モデルまたは数学フィルタを使用して、複数チャネル画像をグレースケール画像などの単一チャネル画像に変換することができる。一実施形態では、モデルまたはフィルタは、「レーザオフ」ピクセルから「レーザオン」ピクセルを抽出しようと試みる。複数のチャネルが使用される場合、フィルタは、複数の波長が同じ画像に現れる場合であっても、いくつかのレーザ波長を区別するために使用されることができる。例えば、一実装形態では、第1のレーザ波長は、床面に対して比較的低い障害物を検出するために使用され、第2のレーザ波長は、床面から離れた比較的高い障害物を検出するために使用される。一実施形態では、フィルタは、チャネルの重み付け加算を実行する。各チャネルの重み付けは、チャネルによって検出されるレーザの波長の相対強度に比例する。フィルタの一実施形態は、5ピクセル×5ピクセルまたは7ピクセル×7ピクセルなど、いくつかのウィンドウサイズを使用してメディアンフィルタを実行する。より複雑なフィルタを使用して、例えば、ドット、線、またはガウス分布に対応するレーザの点拡散パターンを考慮することができる。結果として得られるフィルタリングされたフレームは、画像内のフィルタリングされたレーザ光の強度に対応する。) ウ 「Covering Entire Device Profile [0063]With a single laser stripe, it can be relatively difficult to guarantee detection of all objects that may collide with a mobile device of a given height. For example, a single laser stripe aimed at a floor surface should enable the detection of an obstacle near the ground, but it is relatively unlikely to detect an overhanging obstacle, such as a seat of a chair or a tabletop of a coffee table. To cover the full forward-facing profile of the mobile device, multiple laser stripes can be used. [0064]FIG. 2 illustrates a configuration of the system in which two laser stripes can provide coverage of the full forward-facing profile of a mobile device. A robot 200 is supported by a floor surface 201. A visual sensor 202 having a field of view 209 is coupled to the robot 200. The robot 200 is equipped with a first stripe-producing laser 203 and a second stripe-producing laser 204. The first laser 203 is located approximately at the top of the robot 200 and emits a first beam 205 that is directed in a generally downward direction. The second laser 204 is located approximately at the bottom of the robot 100 and emits a second beam 206 directed in a generally upward direction. When the first beam 205 and/or the second beam 206 intersects an obstacle that lies within the field of view 209 of the visual sensor 202, the robot 200 can detect the obstacle. As FIG. 1 illustrates, the robot 200 can detect a first obstacle 207 that lies in the path of the top portion of the robot 200 because the beam 206 intersects the obstacle 207 within the field of view 209 of the visual sensor 202. Furthermore, the robot can detect a second obstacle 208 that lies in the path of the bottom portion of the robot 200 because the beam 205 intersects the obstacle 208 within the field of view 209 of the visual sensor 202. In this fashion, the robot 200 obtains obstacle detection covering its full forward-facing profile.」(当審訳:デバイスプロファイル全体のカバー [0063]単一のレーザストライプでは、所与の高さのモバイルデバイスと衝突し得るすべての障害物の検出を保証することは比較的困難であり得る。 例えば、床面に向けられた単一のレーザストライプは、地面近くの障害物の検出を可能にすべきであるが、椅子のシート又はコーヒーテーブルのテーブルトップのような張り出した障害物を検出する可能性は比較的低い。 モバイルデバイスの前方の断面を全てカバーするために、複数のレーザストライプを使用することができる。 [0064]図2は、2つのレーザストライプがモバイルデバイスの全ての前方の断面の範囲を提供することができるシステムの構成を示す。 ロボット200は、床面201に支持されている。視野209を有する視覚センサ202は、ロボット200に結合される。ロボット200は、第1のストライプ生成レーザ203および第2のストライプ生成レーザ204を備える。第1レーザ203は、ロボット200のほぼ上部に配置され、概ね下向きの方向に向けられた第1ビーム205を放射する。第2レーザ204は、ロボット100(当審注:「200」の誤記である。)のほぼ底部に配置され、概ね上向き方向に向けられた第2ビーム206を放射する。第1ビーム205および/または第2のビーム206が、視覚センサ202の視野209内にある障害物と交差するとき、ロボット200は、障害物を検出することができる。図1が示すように、ロボット200は、ビーム206が視覚センサ202の視野209内で障害物207と交差するので、ロボット200の上部の経路にある第1の障害物207を検出することができる。さらに、ロボットは、ビーム205が視覚センサ202の視野209内で障害物208と交差するので、ロボット200の底部の経路にある第2の障害物208を検出することができる。このようにして、ロボット200は、その前方に面する断面全体をカバーする障害物検出部を得る。) エ 「FIG2 [図:0001382906000001.jpg] 」 (2)引用発明 上記記載を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「ロボット200と、 ロボット200に結合された視野209を有する視覚センサ202と、 ロボット200のほぼ上部に配置され、概ね下向きの方向に向けられた第1ビーム205を放射する第1レーザ203と、 ロボット200のほぼ底部に配置され、概ね上向き方向に向けられた第2ビーム206を放射する第2レーザ204と、 ビーム206が視覚センサ202の視野209内で障害物207と交差することで、ロボット200の上部の経路にある第1の障害物207を検出し、ビーム205が視覚センサ202の視野209内で障害物208と交差することで、ロボット200の底部の経路にある第2の障害物208を検出する障害物検出部とを含むモバイルデバイス。」 3 対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「視覚センサ202」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本件補正発明の「映像獲得部」に相当し、以下同様に、「第1レーザ203」は「第1パターン照射部」に、「第2レーザ204」は「第2パターン照射部」に、それぞれ相当する。 (2)引用発明の「ロボット200」は、走行することが明らかであるから、引用発明の「ロボット200」と、本件補正発明の「掃除区域を走行し、掃除区域内の床の異物を吸入する本体」とは、走行する本体の限りで一致する。また、引用発明の「モバイルデバイス」と、本件補正発明の「ロボット掃除機」とは、モバイルデバイスの限りで一致する。 (3)引用発明の「ロボット200に結合された視野209を有する視覚センサ202」は、ロボット200の前方の所定の領域の映像を獲得するから、本件補正発明の「前記本体に配置され、前記本体前方の所定の領域の映像を獲得する映像獲得部」に相当する。 (4)引用発明の「ロボット200のほぼ上部に配置され、概ね下向きの方向に向けられた第1ビーム205を放射する第1レーザ203」は、第1ビーム205が所定のパターンを有していることが明らかであるから、本件補正発明の「前記本体に配置され、前記所定の領域内に第1パターンの光を下向きに照射する第1パターン照射部」に相当する。 (5)引用発明の「ロボット200のほぼ底部に配置され、概ね上向き方向に向けられた第2ビーム206を放射する第2レーザ204」は、FIG.2を参照すると、第1レーザ203の下側に配置されており、第2ビーム206が所定のパターンを有していることが明らかであるから、本件補正発明の「前記本体に配置され、前記第1パターン照射部の下側に配置され、前記所定の領域内に第2パターンの光を上向きに照射する第2パターン照射部」に相当する。 (6)引用発明の「ビーム206が視覚センサ202の視野209内で障害物207と交差することで、ロボット200の上部の経路にある第1の障害物207を検出し、ビーム205が視覚センサ202の視野209内で障害物208と交差することで、ロボット200の底部の経路にある第2の障害物208を検出する障害物検出部」は、引用文献1の[0041]に「第2のレーザ波長は、床面から離れた比較的高い障害物を検出するために使用される。」と記載されており、ビーム206が所定のパターンを有していることが明らかであるから、本件補正発明の「前記第1パターンの光が前記床と交差し、前記第2パターンの光が障害物と交差する時、前記障害物と前記床との間の空間がある障害物を認識する障害物情報獲得部」に相当する。 (7)引用発明の「ロボット200のほぼ上部に配置され、概ね下向きの方向に向けられた第1ビーム205を放射する第1レーザ203と、ロボット200のほぼ底部に配置され、概ね上向き方向に向けられた第2ビーム206を放射する第2レーザ204と」を備える態様は、FIG.2を参照すると、第1レーザ203から放射される第1ビーム205と、第2レーザ204から放射される第2ビーム206とが交差し、第1ビーム205と、第2ビーム206とが交差する地点が、視覚センサ202の視野209の床状の地点よりも、ロボット200に近接した地点に位置しているから、本件補正発明の「前記本体の側面視で、前記第1パターンの光が照射される経路と、前記第2パターンの光が照射される経路とが、交差し、前記第1パターンの光が照射される経路と、前記第2パターンの光が照射される経路とが交差する地点(d1)は、前記映像獲得部により映像が獲得され始める前記床上の地点(d2)よりも、前記本体よりさらに近接した地点に位置」する態様に相当する。 そうすると、本件補正発明と引用発明との間には、次の一致点及び相違点がある。 <一致点> 「走行する本体と、 前記本体に配置され、前記本体前方の所定の領域の映像を獲得する映像獲得部と、 前記本体に配置され、前記所定の領域内に第1パターンの光を下向きに照射する第1パターン照射部と、 前記本体に配置され、前記第1パターン照射部の下側に配置され、前記所定の領域内に第2パターンの光を上向きに照射する第2パターン照射部と、 前記第1パターンの光が前記床と交差し、前記第2パターンの光が障害物と交差する時、前記障害物と前記床との間の空間がある障害物を認識する障害物情報獲得部とを含み、 前記本体の側面視で、前記第1パターンの光が照射される経路と、前記第2パターンの光が照射される経路とが、交差し、 前記第1パターンの光が照射される経路と、前記第2パターンの光が照射される経路とが交差する地点(d1)は、前記映像獲得部により映像が獲得され始める前記床上の地点(d2)よりも、前記本体よりさらに近接した地点に位置する、モバイルデバイス。」 <相違点1> 走行する本体について、本件補正発明は「掃除区域を走行し、掃除区域内の床の異物を吸入する本体」であるのに対して、引用発明は、そのように特定されていない点。 <相違点2> 本件補正発明は「第1パターンの光が床と交差する地点(d3)と、前記映像獲得部により映像が獲得され始める前記床上の地点(d2)との間の距離(d3-d2)が、前記第1パターンの光が照射される経路と、前記第2パターンの光が照射される経路とが交差する地点(d1)と、前記映像獲得部により映像が獲得され始める前記床上の地点(d2)との間の距離(d2-d1)より大きい」のに対して、引用発明は、視覚センサ202の視野209について具体的に特定されていない点。 <相違点3> モバイルデバイスについて、本件補正発明は、「ロボット掃除機」であるのに対して、引用発明は、ロボット掃除機と特定されていない点。 4 判断 以下相違点について検討する <相違点1及び3について> 掃除区域を走行し、掃除区域内の床の異物を吸入する自走式のロボット掃除機は、周知(例えば、原査定の拒絶の理由に引用された米国特許出願公開第2016/0104044号明細書(以下「引用文献2」という。)の[0002]~[0007]等参照。)である。 そして、自走式のロボット掃除機は障害物検出部を有することが通常であるから、引用発明のモバイルデバイスを、周知のロボット掃除機とすることで、上記相違点1及び3に係る本件補正発明の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 <相違点2について> 引用文献2のFIG.8(b)は、(a)の場合に取得した画像を示す図であって、pattern projection unit 150から投射された光が床に形成する位置がreference position L0である([0040])から、FIG.8(b)の画像は、reference position L0より下側に十分な画像を有しており、reference position L0に対して、手前側の画像を十分に取得することが示されているといえる。 そして、引用発明の視覚センサ202の視野209は、障害物を検知するのに十分な程度に設計上決定されるものであるから、引用発明において、上記引用文献2を参照して、第1レーザ203の第1ビーム205が床に形成する位置より手前側の画像を十分に取得すること、すなわち、視覚センサ202の視野209を大きくとることで、上記相違点2に係る本件補正発明の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 <本件補正発明の奏する効果について> そして、全体としてみても、本件補正発明が奏する効果は、引用発明から、当業者が予測できる範囲内のものであって、格別なものでない。 <請求人の主張について> 請求人は審判請求書において、本件補正発明は、距離(d2-d1)が感知できない領域であるから、引用発明より障害物を感知できない領域を減らすことができる旨主張する。 しかし、本件明細書(例えば、【0063】、【0107】等)には、映像獲得部で獲得された映像上の第1パターンの光の位置により障害物を検知することが記載されており、障害物が存在する場合、映像獲得部で獲得された映像上の第1パターンの光の位置は、「第1パターンの光が床と交差する地点(d3)」より上側に位置することとなる。 そうすると、距離(d3-d1)の範囲は、そもそも障害物の感知に寄与しない範囲であるから、請求人の当該主張は、当を得ないものである。 したがって、本件補正発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 5 むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~22に係る発明は、令和2年5月13日付けの手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1~22に記載されたとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2〔理由〕1 」に補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定における拒絶の理由の概要は次のとおりである。 (進歩性)本願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ・請求項1 ・引用文献等1 ・請求項2~6、8、10、11~17、19、20 ・引用文献等1、2 ・請求項7 ・引用文献等1~3 ・請求項9、18 ・引用文献等1、2、4 ・請求項21、22 ・引用文献等1~5 <引用文献等一覧> 1.米国特許出願公開第2015/0168954号明細書 2.米国特許出願公開第2016/0104044号明細書 3.韓国公開特許第10-2015-0065972号公報 4.中国実用新案第205031182号明細書 5.韓国公開特許第10-2013-0141979号公報 3 引用文献、引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、前記第2の〔理由〕の2に記載したとおりである。 4 当審の判断 本件補正発明は、上記第2の〔理由〕の1で述べたように、「第1パターンの光」、「第2パターンの光」及び「映像獲得部」に関して、「前記本体の側面視で、前記第1パターンの光が照射される経路と、前記第2パターンの光が照射される経路とが、交差し、前記第1パターンの光が照射される経路と、前記第2パターンの光が照射される経路とが交差する地点(d1)は、前記映像獲得部により映像が獲得され始める前記床上の地点(d2)よりも、前記本体よりさらに近接した地点に位置し、第1パターンの光が床と交差する地点(d3)と、前記映像獲得部により映像が獲得され始める前記床上の地点(d2)との間の距離(d3-d2)が、前記第1パターンの光が照射される経路と、前記第2パターンの光が照射される経路とが交差する地点(d1)と、前記映像獲得部により映像が獲得され始める前記床上の地点(d2)との間の距離(d2-d1)より大きい」ことを限定したものであるから、本願発明の発明特定事項をすべて含んでいる。 そして、本願発明の発明特定事項をすべて含んでいる本件補正発明が、上記第2の〔理由〕の4に記載したとおり、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、実質的に同様の理由により、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 まとめ したがって、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2021-001663

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決213件(エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド)
  • 2024-017898拒絶査定不服審判 / 2026-08-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)衣類処理装置
    同じ当事者: エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
  • 2025-017365拒絶査定不服審判 / 2026-07-15 / 原査定取消(特許/登録すべき)無線LANシステムにおいて制限されたターゲットウエイクタイムベースの通信実行方法…
    同じ当事者: エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
  • 2025-012644拒絶査定不服審判 / 2026-03-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)非免許帯域において端末が任意接続過程に基づいて下りリンク信号を受信する方法及びそ…
    同じ当事者: エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
  • 2024-010517拒絶査定不服審判 / 2026-02-02 / 請求不成立変換に基づく画像コーディング方法及びその装置
    同じ当事者: エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
  • 2023-007462拒絶査定不服審判 / 2025-12-22 / 原査定取消(特許/登録すべき)衣類処理装置
    同じ当事者: エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
検索でもっと見る →
同じ根拠条文の審決7,656件(特許法29条2項)
  • 2025-000349拒絶査定不服審判 / 2026-06-22 / 請求不成立清掃用シート及び掃除部材
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2025-000444拒絶査定不服審判 / 2026-04-27 / 請求不成立温熱清掃具
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-012286拒絶査定不服審判 / 2025-11-14 / 請求不成立フィルタ装置及び電気機器
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2023-021619拒絶査定不服審判 / 2025-11-12 / 請求不成立電気掃除装置、電気掃除装置用のプログラム、電気掃除機、電気掃除機用のプログラム、…
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-009035拒絶査定不服審判 / 2025-09-26 / 請求不成立吸口体およびこれを備えた電気掃除機
    共通の条文: 特許法29条2項
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)354件(121・A47L)
  • 2024-015339拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)洗浄装置
    共通の審決分類: 121・A47L
  • 2025-011313拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)清掃装置
    共通の審決分類: 121・A47L
  • 2025-008383拒絶査定不服審判 / 2026-07-29 / 原査定取消(特許/登録すべき)装置ベース、貯水可能な装置及び清掃ロボット
    共通の審決分類: 121・A47L
  • 2024-016797拒絶査定不服審判 / 2026-06-22 / 原査定取消(特許/登録すべき)電動機器
    共通の審決分類: 121・A47L
  • 2025-000349拒絶査定不服審判 / 2026-06-22 / 請求不成立清掃用シート及び掃除部材
    共通の審決分類: 121・A47L

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存