特許拒絶査定不服審判
2024-010517
変換に基づく画像コーディング方法及びその装置
- 審判番号
- 2024-010517
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-525469
- 請求日
- 2024年06月26日
- 審決日
- 2026年02月02日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
- 【請求人代理人】青木 篤
- 【請求人代理人】三橋 真二
- 【請求人代理人】鶴田 準一
- 【請求人代理人】南山 知広
- 【請求人代理人】渡辺 陽一
- 【請求人代理人】中村 和広
- 【請求人代理人】河合 章
- 審判長/審判官
- 審判長 畑中 高行
- 審判官 伊藤 隆夫
- 審判官 坂東 大五郎
- 分類
- P18 .161-WZ (H04N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条の2
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条の2、特許法第184条の4第3項、特許法第184条の4第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-525469「変換に基づく画像コーディング方法及びその装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 5月 6日国際公開、WO2021/086151、令和 5年 1月 5日国内公表、特表2023-500298〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)11月2日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2019年11月1日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和4年 6月13日 :手続補正書の提出
令和5年 8月22日付け:拒絶理由通知書
令和5年11月28日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 2月21日付け:拒絶査定
令和6年 6月26日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和7年 6月17日付け:拒絶理由通知書(当審)
令和7年12月23日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~9に係る発明は、令和7年12月23日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。なお、記号A~Gは、分説するために当審で付したものであり、記号A~Gに対応する発明特定事項を、以下、構成A~構成Gという。
(本願発明)
A デコーディング装置により実行される画像デコーディング方法において、
B レジデュアル情報に基づいて現在ブロックに対する変換係数を導出するステップと、
C LFNST(low frequency non-separable transform)インデックスに基づいて前記変換係数にLFNSTを適用することにより、修正された変換係数を導出するステップであって、
C1 前記LFNSTインデックスは、変換セット内の複数のLFNSTマトリックスの1つを示し、
C2 前記変換セットは、前記現在ブロックのイントラ予測モードに基づいて決定される、ステップと、
D 前記修正された変換係数に対する逆1次変換に基づいて前記現在ブロックに対するレジデュアルサンプルを導出するステップと、
E 前記レジデュアルサンプルに基づいて復元ピクチャを生成するステップと、を含み、
F 前記LFNSTインデックスがビットストリームから取得されるかどうかは、前記現在ブロックのツリータイプがデュアルツリークロマであるかどうかに基づいて決定され、
F1 前記現在ブロックの前記ツリータイプが前記デュアルツリークロマであることに基づいて、MIP(matrix-based intra prediction)モードが前記現在ブロックに適用されるかどうか、及び前記現在ブロックに対応するLFNSTの適用幅及びLFNSTの適用高さが16以上であるかどうかにかかわらず、前記LFNSTインデックスが前記ビットストリームから取得されることが決定され、
F2 前記現在ブロックの前記ツリータイプが前記デュアルツリークロマでないことに基づいて、前記LFNSTインデックスが前記ビットストリームから取得されるかどうかは、前記MIPモードが前記現在ブロックに適用されるかどうか、又は前記現在ブロックに対応する前記LFNSTの適用幅及び前記LFNSTの適用高さが16以上であるかどうかに基づいて決定され、
G 前記LFNSTの1番目のビンに対するコンテクストインクリメントは、前記現在ブロックの前記ツリータイプに基づいて決定される、
A 画像デコーディング方法。
第3 当審の拒絶の理由
令和7年6月17日付けで当審が通知した拒絶理由のうちの理由1は、概略、次のとおりのものである。
(拡大先願)この出願の請求項1~9に係る発明は、その出願の日前の外国語特許出願(特許法第184条の4第3項の規定により取り下げられたものとみなされたものを除く。)であって、その出願後に国際公開がされた下記の外国語特許出願(引用文献等1)の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の外国語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記外国語特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない(同法第184条の13参照)。
なお、引用文献2は、引用文献等1で参照されている「JVET_P2001_v9」に対応する文献である。
引用文献等1:PCT/CN2020/124317(国際公開第2021/083188、特表2022-553789号)
引用文献2:Benjamin Bross et al., "Versatile Video Coding (Draft 7)", Joint Video Experts Team (JVET), 2019-10-17, [JVET-P2001-v9] (version 9), pp.80-83,178-180,297-313
第4 引用文献等の記載
1 引用文献等1
(1)引用文献等1の記載事項
引用文献等1であるPCT/CN2020/124317(以下「先願」という。)は、2020年10月28日を国際出願日とし、本願の優先日後の2021年5月6日に国際公開(国際公開第2021/083188号参照)がされ、 その後特許法第184条の4第1項に規定する翻訳文(特表2022-553789号公報参照)が提出されたものであって、2019年10月28日にされた国際特許出願PCT/CN2019/113646(以下「先願優先基礎出願」という。)を基礎としたパリ条約による優先権主張を伴うものであり、その国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は強調のために当審で付したものである。
「[00189] 5.9 Embodiment on signaling lfnst_idx when dual tree chroma
[00190] Below modifications are based on JVET_P2001_v9. Modifications are shown by highlighting text using boldface italics.
[00191] 7.3.9.5 Coding unit syntax
…
[図:0001436631000001.jpg]
[図:0001436631000002.jpg]
…
[00196] The examples described above may be incorporated in the context of the methods described below, e.g., methods 1100, 1200, 1300, 1400, 2300 and/or 2400, which may be implemented at a video encoder and/or decoder.」
(当審による仮訳:
[00189] 5.9 デュアルツリークロマのときのlfnst_idxのシグナリングに関する実施形態
[00190] 以下の修正は、JVET_P2001_v9に基づく。変更は、太字斜体を使用してテキストを強調することによって示される。
[00191] 7.3.9.5 符号化ユニットシンタックス
…
[図:0001436631000003.jpg]
[図:0001436631000004.jpg]
…
[00196] 上記で説明した例は、ビデオエンコーダおよび/またはデコーダにおいて実装され得る、以下で説明する方法、たとえば、方法1100、1200、1300、1400、2300および/または2400の文脈に組み込まれ得る。)
(2)先願優先基礎出願の記載事項
先願優先基礎出願の明細書又は図面(以下、「先願優先基礎出願明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている。
「[00178] 5.9 Embodiment on signaling lfnst_idx when dual tree chroma
[00179] Below modifications are based on JVET_P2001_v9. Modifications are shown by highlighting text using boldface italics.
[00180] 7.3.9.5 Coding unit syntax
…
[図:0001436631000005.jpg]
…
[00185] The examples described above may be incorporated in the context of the methods described below, e.g., methods 1100, 1200, 1300 and 1400, which may be implemented at a video encoder and/or decoder.」
(当審による仮訳:
[00178] 5.9 デュアルツリークロマのときのlfnst_idxのシグナリングに関する実施形態
[00179] 以下の修正は、JVET_P2001_v9に基づく。変更は、太字斜体を使用してテキストを強調することによって示される。
[00180] 7.3.9.5 符号化ユニットシンタックス
…
[図:0001436631000006.jpg]
…
[00185] 上記で説明した例は、ビデオエンコーダおよび/またはデコーダにおいて実装され得る、以下で説明する方法、たとえば、方法1100、1200、1300および1400の文脈に組み込まれ得る。)
(3)先願発明
上記(1)、(2)より、先願明細書等と先願優先基礎出願明細書等に共通して記載されている発明として、以下の発明(以下、「先願発明」という。)を認定する。なお、各構成の末尾の()内に、先願明細書等及び先願優先基礎出願明細書等における記載箇所を示した。また、1a~1bは説明のために当審で付したものであり、以下、構成1a~構成1bという。
(先願発明)
1a JVET_P2001_v9に基づく、ビデオデコーダにおいて実装され得る方法であって(先願明細書の[00190]、[00196]、先願優先基礎出願明細書等の[00179]、[00185])、
1b lfnst_idxを取得することは、(treeType==DUAL_TREE_CHROMA||(!intra_mip_flag[x0][y0]||Min(lfnstWidth,lfnstHeight)>=16))という条件が真であることに基づく(先願明細書の[00191]、先願優先基礎出願明細書等の[00180])、
1a 方法。
2 引用文献2
(1)引用文献2の記載事項
引用文献2であるBenjamin Bross et al., "Versatile Video Coding (Draft 7)", Joint Video Experts Team (JVET), 2019-10-17, [JVET-P2001-v9] (version 9)には、以下の記載がある。なお、下線は強調のために当審で付したものである。
ア「7.3.9.11 Residual coding syntax
[図:0001436631000007.jpg]
…
[図:0001436631000008.jpg]
」(第80~83頁)
(当審による仮訳:
7.3.9.11 レジデュアルコーディングシンタックス
[図:0001436631000009.jpg]
…
[図:0001436631000010.jpg]
)
イ「8.4.5 Decoding process for intra blocks
8.4.5.1 General decoding process for intra blocks
…
3. When controlPara is not equal to 2, the scaling and transformation process as specified in clause 8.7.2 is invoked with the luma location ( xTbY, yTbY ) set equal to ( xTbY + nW * xPartIdx, yTbY + nH * yPartIdx ), the variable cIdx, the transform width nTbW and the transform height nTbH set equal to nW and nH as inputs, and the output is an (nW)x(nH) array resSamples.
4. When controlPara is not equal to 1, the picture reconstruction process for a colour component as specified in clause 8.7.5 is invoked with the transform block location ( xTbComp, yTbComp ) set equal to ( xTb0 + nW
* xPartIdx, yTb0 + nH * yPartIdx ), the transform block width nTbW, the transform block height nTbH set equal to nW and nH, the variable cIdx, the (nW)x(nH) array predSamples[ x ][ y ] with x = xPartPbIdx * nW..( xPartPbIdx +1 ) * nW - 1, y = 0..nH - 1, and the (nW)x(nH) array resSamples as inputs, and the output is a modified reconstructed picture before in-loop filtering.」(第178~180頁)
(当審による仮訳:
8.4.5 イントラブロックの復号処理
8.4.5.1 イントラブロックの一般的な復号処理
…
3. controlParaが2に等しくないとき、8.7.2節で指定されたスケーリングおよび変換プロセスは、(xTbY+nW*xPartIdx, yTbY+nH*yPartIdx)に等しく設定されたルーマ位置(xTbY, yTbY)、変数cIdx、nWおよびnHに等しく設定された変換幅nTbWおよび変換高さnTbHを入力として呼び出され、出力は(nW)x(nH)配列resSamplesである。
4. controlParaが1に等しくない場合、(xTb0+nW*xPartIdx, yTb0+nH*yPartIdx)に等しく設定された変換ブロック位置(xTbComp, yTbComp)、nWおよびnHに等しく設定された変換ブロック幅nTbW、変換ブロック高さnTbH、変数cIdx、x=xPartPbIdx*nW..(xPartPbIdx+1)*nW-1, y=0..nH-1である(nW)x(nH)配列predSamples[x][y]、および(nW)x(nH)配列resSamplesを入力として、8.7.5節で指定された色成分のためのピクチャ再構成プロセスが呼び出され、出力は、ループ内フィルタリング前の修正された再構成ピクチャである。)
ウ「8.7.2 Scaling and transformation process
…
resSamples[ x ][ y ] = res[ x ][ y ] (8-926)」(第297~298頁)
(当審による仮訳:
8.7.2 スケーリング及び変換プロセス
…
resSamples[ x ][ y ] = res[ x ][ y ] (8-926))
エ「8.7.3 Scaling process for transform coefficients
…
The (nTbW)x(nTbH) array dz is set equal to the (nTbW)x(nTbH) array TransCoeffLevel[ xTbY ][ yTbY ][ cIdx ].
…
- The value dnc[ x ][ y ] is derived as follows:
dnc[ x ][ y ] = ( dz[ x ][ y ] * ls[ x ][ y ] +bdOffset ) >> bdShift (8-945)
- The scaled transform coefficient d[ x ][ y ] is derived as follows:
d[ x ][ y ] = Clip3( CoeffMin, CoeffMax, dnc[ x ][ y ] ) (8-946)」(第298~299頁)
(当審による仮訳:
8.7.3 変換係数のスケーリング処理
…
(nTbW)x(nTbH)配列dzは、(nTbW)x(nTbH)配列TransCoeffLevel[xTbY][yTbY][cIdx]に等しく設定される。
…
- 値dnc[x][y]は以下のように導出される。
dnc[x][y]=(dz[x][y]*ls[x][y]+bdOffset)>> bdShift (8-945)
- スケーリングされた変換係数d[x][y]は、以下のように導出される。
d[x][y]=Clip3(CoeffMin,CoeffMax,dnc[x][y] ) (8-946))
オ「8.7.4 Transformation process for scaled transform coefficients
8.7.4.1 General
…
u[ x ] = d[ xC ][ yC ] (8-954)
- The one-dimensional low frequency non-separable transformation process as specified in clause 8.7.4.2 is invoked with the input length of the
scaled transform coefficients nonZeroSize, the transform output length nTrS set equal to nLfnstOutSize, the list of scaled non-zero transform coefficients u[ x ] with x = 0..nonZeroSize - 1, and the intra prediction mode for LFNST set selection predModeIntra as inputs, and the list v[ x ] with x = 0..nLfnstOutSize - 1 as output.
- The array d[ x ][ y ] with x = 0..nLfnstSize - 1, y = 0..nLfnstSize - 1 is derived as follows:
- If predModeIntra is less than or equal to 34, the following applies:
d[ x ][ y ] = ( y < 4 ) ? v[ x + ( y << log2LfnstSize ) ] : (8-955)
( ( x < 4 ) ? v[ 32 + x + ( ( y - 4 ) << 2 ) ] : d[ x ][ y ] )
…
The (nTbW)x(nTbH) array r of residual samples is derived as follows:
1. When nTbH is greater than 1, each (vertical) column of scaled transform coefficients d[ x ][ y ] with x = 0..nonZeroW - 1, y = 0..nonZeroH - 1 is transformed to e[ x ][ y ] with x = 0..nonZeroW - 1, y = 0..nTbH - 1 by invoking the one-dimensional transformation process as specified in clause 8.7.4.4 for each column x = 0..nonZeroW - 1 with the height of the transform block nTbH, the non-zero height of the scaled transform coefficients nonZeroH, the list d[ x ][ y ] with y = 0..nonZeroH - 1 and the transform type variable trType set equal to trTypeVer as inputs, and the output is the list e[ x ][ y ] with y = 0..nTbH - 1.
…
res[ x ][ y ] = ( r[ x ][ y ] + ( 1 << ( bdShift - 1 ) ) ) >> bdShift (8-965)」(第299~302頁)
(当審による仮訳:
8.7.4 スケーリングされた変換係数の変換プロセス
8.7.4.1 一般
…
u[ x ] = d[ xC ][ yC ] (8-954)
- 8.7.4.2節で指定された1次元低周波非分離変換プロセスは、スケーリングされた変換係数の入力長nonZeroSize、nLfnstOutSizeに等しく設定された変換出力長nTrS、x=0..nonZeroSize-1であるスケーリングされた非0変換係数のリストu[x]、およびLFNSTセット選択のためのイントラ予測モードpredModeIntraを入力とし、x=0..nLfnstOutSize-1であるリストv[x]を出力として呼び出される。
- x=0..nLfnstSize-1, y=0..nLfnstSize-1である配列d[x][y]は以下のように導出される。
- predModeIntraが34以下である場合、以下が適用される。
d[ x ][ y ] = ( y < 4 ) ? v[ x + ( y << log2LfnstSize ) ] : (8-955)
( ( x < 4 ) ? v[ 32 + x + ( ( y - 4 ) << 2 ) ] : d[ x ][ y ] )
…
残差サンプルの(nTbW)x(nTbH)配列rは以下のように導出される。
1. nTbHが1より大きいとき、x=0..nonZeroW-1, y=0..nonZeroH-1であるスケーリングされた変換係数d[x][y]の各(垂直)列は、変換ブロックの高さnTbH、スケーリングされた変換係数の0でない高さnonZeroH、y=0..nonZeroH-1であるリストd[x][y]、およびtrTypeVerに等しく設定された変換タイプ変数trTypeを入力として、各列x=0.. nonZeroW -1について8.7.4.4節で指定された1次元変換プロセスを呼び出すことによって、x=0.. nonZeroW -1, y=0..nTbH-1であるe[x][y]に変換され、出力は、y=0..nTbH-1であるリストe[x][y]である。
…
res[ x ][ y ] = ( r[ x ][ y ] + ( 1 << ( bdShift - 1 ) ) ) >> bdShift (8-965))
カ「8.7.4.3 Low frequency non-separable transformation matrix derivation process
…
The variable lfnstTrSetIdx is specified in Table 8-20 depending on predModeIntra.
…
The transformation matrix lowFreqTransMatrix is derived based on nTrS, lfnstTrSetIdx, and lfnst_idx as follows:」(第302~313頁)
(当審による仮訳:
8.7.4.3 低周波非分離変換行列導出処理
…
変数lfnstTrSetIdxは、predModeIntraに応じて表8-20に指定される。
…
変換行列lowFreqTransMatrixは、nTrS、lfnstTrSetIdx、及びlfnst_idxに基づいて以下のように導出される。)
キ「9.3.4.2 Derivation process for ctxTable, ctxIdx and bypassFlag
9.3.4.2.1 General
Input to this process is the position of the current bin within the bin string, binIdx.
Outputs of this process are ctxTable, ctxIdx and bypassFlag.
The values of ctxTable, ctxIdx and bypassFlag are derived as follows based on the entries for binIdx of the corresponding syntax element in Table 9-87:
- If the entry in Table 9-87 is not equal to "bypass", "terminate" or "na", the values of binIdx are decoded by invoking the DecodeDecision process as specified in clause 9.3.4.3.2 and the following applies:
- ctxTable is specified in Table 9-4
- The variable ctxInc is specified by the corresponding entry in Table 9-87 and when more than one value is listed in Table 9-87 for a binIdx, the assignment process for ctxInc for that binIdx is further specified in the clauses given in parenthesis.
…
Table 9-87 - Assignment of ctxInc to syntax elements with context coded bins
[図:0001436631000011.jpg]
…
[図:0001436631000012.jpg]
」(第399~402頁)
(当審による仮訳:
9.3.4.2 ctxTable、ctxIdxおよびbypassFlagの導出プロセス
9.3.4.2.1 一般
このプロセスへの入力は、ビンストリング内の現在のビンの位置binIdxである。
このプロセスの出力はctxTable、ctxIdxおよびbypassFlagである。
ctxTable、ctxIdxおよびbypassFlagの値は、表9-87中の対応するシンタックス要素のbinIdxのためのエントリに基づいて以下のように導出される:
- 表9-87のエントリが、”バイパス”、”終端”、または”na”に等しくない場合、binIdxの値は、9.3.4.3.2節で指定されたDecodeDecisionプロセスを呼び出すことによって復号され、以下が適用される:
- ctxTableは表9-4で指定される。
- 変数ctxIncは、表9-87中の対応するエントリによって指定され、1つのbinIdxについて2つ以上の値が表9-87中に列挙されるとき、そのbinIdxについてのctxIncのための割り当てプロセスは、括弧内に与えられた節においてさらに指定される。
…
表9-87 - コンテキスト符号化されたビンを有するシンタックス要素へのctxIncの割り当て
[図:0001436631000013.jpg]
…
[図:0001436631000014.jpg]
)
(2)引用文献2に記載された技術事項
ア 上記(1)イによれば、引用文献2には、イントラブロックの復号処理が記載されているといえる。
イ 上記(1)アによれば、引用文献2には、レジデュアルコーディングシンタックスに基づいてTransCoeffLevel[x0][y0][cIdx][xC][yC]を導出することが記載されているといえる。
また、上記(1)エによれば、引用文献2には、(nTbW)x(nTbH)配列dzは、(nTbW)x(nTbH)配列TransCoeffLevel[xTbY][yTbY][cIdx]に等しく設定され、dnc[x][y]はdz[x][y]から導出され、スケーリングされた変換係数d[x][y]はdnc[x][y]から導出されることが記載されているといえる。
よって、引用文献2には、レジデュアルコーディングシンタックスに基づいて、スケーリングされた変換係数d[x][y]を導出することが記載されているといえる。
ウ 上記(1)オによれば、引用文献2には、u[x]=d[xC][yC]とし、スケーリングされた非0変換係数のリストu[x]を入力とし、v[x]を出力として、1次元低周波非分離変換プロセスを呼び出し、d[x][y]はv[x]から導出されることが記載されているといえる。
よって、引用文献2には、d[xC][yC]に基づいて1次元低周波非分離変換プロセスを呼び出し、d[x][y]を導出することが記載されているといえる。
エ 上記(1)カによれば、引用文献2には、変数lfnstTrSetIdxは、predModeIntraに応じて指定され、変換行列lowFreqTransMatrixは、lfnstTrSetIdx、及びlfnst_idxに基づいて導出されることが記載されているといえる。
オ 上記(1)オによれば、引用文献2には、d[x][y]を入力として1次元変換プロセスを呼び出すことにより、残差サンプルの(nTbW)x(nTbH)配列rを導出すること、及び、res[x][y]はr[x][y]から導出されることが記載されているといえる。
また、上記(1)ウによれば、引用文献2には、resSamples[x][y]は、res[x][y]から導出されることが記載されているといえる。
よって、引用文献2には、d[x][y]を入力として1次元変換プロセスを呼び出して、resSamples[x][y]を導出することが記載されているといえる。
カ 上記(1)イによれば、引用文献2には、(nW)x(nH)配列resSamplesを入力として、色成分のためのピクチャ再構成プロセスを呼び出し、ループ内フィルタリング前の修正された再構成ピクチャを出力とすることが記載されているといえる。
キ 上記(1)キによれば、引用文献2には、lfnst_idxのbinIdxが0であるビンに対するctxIncは、treeTypeに基づいて決定されることが記載されているといえる。
ク 上記ア~キの事項を総合すると、引用文献2には以下の技術事項(以下、「文献2技術事項」という。)が記載されているといえる。なお、2a~2gは説明のために当審で付したものであり、以下、構成2a~構成2gという。
(文献2技術事項)
2a イントラブロックの復号処理において、
2b レジデュアルコーディングシンタックスに基づいて、スケーリングされた変換係数d[x][y]を導出し、
2c d[xC][yC]に基づいて1次元低周波非分離変換プロセスを呼び出し、d[x][y]を導出し、
2c1 変数lfnstTrSetIdxは、predModeIntraに応じて指定され、変換行列lowFreqTransMatrixは、lfnstTrSetIdx、及びlfnst_idxに基づいて導出され、
2d d[x][y]を入力として1次元変換プロセスを呼び出して、resSamples[x][y]を導出し、
2e (nW)x(nH)配列resSamplesを入力として、色成分のためのピクチャ再構成プロセスを呼び出し、ループ内フィルタリング前の修正された再構成ピクチャを出力とし、
2f lfnst_idxのbinIdxが0であるビンに対するctxIncは、treeTypeに基づいて決定される、
2g 技術事項。
第5 対比
以下、本願発明と先願発明を対比する。
1 構成Aについて
先願発明の構成1aの「JVET_P2001_v9」が、画像のデコーディング方法を規定しているものであることは当業者にとって明らかである。
よって、先願発明の構成1aの「JVET_P2001_v9に基づく、ビデオデコーダにおいて実装され得る方法」は、「デコーディング装置により実行される画像デコーディング方法」であるといえる。
2 構成B~E、Gについて
先願発明は、構成B~E、Gを明示的に含むとはされていない。
3 構成F~F2について
(1)先願発明の構成1bの「lfnst_idx」は、本願発明の構成Fの「LFNSTインデックス」に相当する。
また、先願発明の構成1bの「treeType」は、本願発明の構成Fの「現在ブロックのツリータイプ」に相当する。
そして、先願発明の構成1bによれば、先願発明では、lfnst_idxが取得されるかどうかは、treeTypeがDUAL_TREE_CHROMAであるか否かに基づいて決定されるといえ、これは、本願発明の構成Fの「LFNSTインデックス」が「ビットストリームから取得されるかどうか」は、「現在ブロックのツリータイプがデュアルツリークロマであるかどうかに基づいて決定され」に相当する。
(2)先願発明の構成1bの「intra_mip_flag[x0][y0]」は、MIP(matrix-based intra prediction)モードが現在ブロックに適用されるかどうかを示すものといえる。
また、先願発明の構成1bの「lfnstWidth」及び「lfnstHeight」は、本願発明の構成F1の「現在ブロックに対応するLFNSTの適用幅及びLFNSTの適用高さ」に相当する。
そして、先願発明の構成1bによれば、先願発明では、treeTypeがDUAL_TREE_CHROMAである場合は、intra_mip_flag[x0][y0]が偽であるか否か、及び、Min(lfnstWidth,lfnstHeight)>=16であるか否かにかかわらず、lfnst_idxは取得されるといえ、これは、本願発明の構成F1の「前記現在ブロックの前記ツリータイプが前記デュアルツリークロマであることに基づいて、MIP(matrix-based intra prediction)モードが前記現在ブロックに適用されるかどうか、及び前記現在ブロックに対応するLFNSTの適用幅及びLFNSTの適用高さが16以上であるかどうかにかかわらず、前記LFNSTインデックスが前記ビットストリームから取得されることが決定され」に相当する。
(3)先願発明の構成1bによれば、先願発明では、treeTypeがDUAL_TREE_CHROMAでない場合、intra_mip_flag[x0][y0]が偽であるか、または、Min(lfnstWidth,lfnstHeight)>=16であるかに基づいて、lfnst_idxを取得するかどうかが決定されるといえ、これは、本願発明の構成F2の「前記現在ブロックの前記ツリータイプが前記デュアルツリークロマでないことに基づいて、前記LFNSTインデックスが前記ビットストリームから取得されるかどうかは、前記MIPモードが前記現在ブロックに適用されるかどうか、又は前記現在ブロックに対応する前記LFNSTの適用幅及び前記LFNSTの適用高さが16以上であるかどうかに基づいて決定され」に相当する。
4 まとめ
以上によれば、本願発明と先願発明の一致点及び相違点は以下のとおりである。
(一致点)
A デコーディング装置により実行される画像デコーディング方法において、
F LFNSTインデックスがビットストリームから取得されるかどうかは、現在ブロックのツリータイプがデュアルツリークロマであるかどうかに基づいて決定され、
F1 前記現在ブロックの前記ツリータイプが前記デュアルツリークロマであることに基づいて、MIP(matrix-based intra prediction)モードが前記現在ブロックに適用されるかどうか、及び前記現在ブロックに対応するLFNSTの適用幅及びLFNSTの適用高さが16以上であるかどうかにかかわらず、前記LFNSTインデックスが前記ビットストリームから取得されることが決定され、
F2 前記現在ブロックの前記ツリータイプが前記デュアルツリークロマでないことに基づいて、前記LFNSTインデックスが前記ビットストリームから取得されるかどうかは、前記MIPモードが前記現在ブロックに適用されるかどうか、又は前記現在ブロックに対応する前記LFNSTの適用幅及び前記LFNSTの適用高さが16以上であるかどうかに基づいて決定される、
A 画像デコーディング方法。
(相違点)
本願発明は、「レジデュアル情報に基づいて現在ブロックに対する変換係数を導出するステップと、LFNST(low frequency non-separable transform)インデックスに基づいて前記変換係数にLFNSTを適用することにより、修正された変換係数を導出するステップであって、前記LFNSTインデックスは、変換セット内の複数のLFNSTマトリックスの1つを示し、前記変換セットは、前記現在ブロックのイントラ予測モードに基づいて決定される、ステップと、前記修正された変換係数に対する逆1次変換に基づいて前記現在ブロックに対するレジデュアルサンプルを導出するステップと、前記レジデュアルサンプルに基づいて復元ピクチャを生成するステップ」(構成B~E)、を含み、「前記LFNSTの1番目のビンに対するコンテクストインクリメントは、前記現在ブロックの前記ツリータイプに基づいて決定される」(構成G)のに対し、先願発明は、これらの構成を明示的に含むとはされていない点。
第6 判断
以下、上記相違点について検討する。
1 先願発明は、構成1aのとおり、「JVET_P2001_v9に基づく、ビデオデコーダにおいて実装され得る方法」であるから、先願明細書等及び先願優先基礎出願明細書等に接した当業者は、先願発明は、「JVET_P2001_v9」で規定される復号の処理を行うことを前提とした発明であることを認識するといえる。
そして、当該「JVET_P2001_v9」である引用文献2には、上記第4の2(2)クで述べたとおりの文献2技術事項が記載されているから、先願明細書等及び先願優先基礎出願明細書等に接した当業者は、先願発明は、文献2技術事項の復号処理を行うものであることを認識するといえる。
2 次に、相違点の構成である構成B~E、Gについて検討する。
(1)構成Bについて
文献2技術事項の構成2bの「レジデュアルコーディングシンタックスに基づいて、スケーリングされた変換係数d[x][y]を導出し」は、構成Bの「レジデュアル情報に基づいて現在ブロックに対する変換係数を導出するステップ」に相当する。
(2)構成C~C2について
構成2c1の「lfnst_idx」は、構成Cの「LFNST(low frequency non-separable transform)インデックス」に相当する。
また、構成2cの「1次元低周波非分離変換プロセス」は、構成Dの「LFNST」に相当する。
さらに、構成2c、2c1によれば、文献2技術事項は、lfnst_idxに基づいて変換行列を導出し、d[xC][yC]に1次元低周波非分離変換プロセスを適用することにより、d[x][y]を導出するといえる。
ここで、1次元低周波非分離変換プロセスによりd[xC][yC]は修正されるといえるから、当該導出されたd[x][y]は、「修正された変換係数」といえる。
よって、文献2技術事項の構成2c、2c1は、構成Cの「LFNST(low frequency non-separable transform)インデックスに基づいて前記変換係数にLFNSTを適用することにより、修正された変換係数を導出するステップ」に相当する。
また、構成2c1の「変数lfnstTrSetIdx」は、変換のセットを示すものであるから、当該「変数lfnstTrSetIdx」が示す変換のセットは、構成C1、C2の「変換セット」に相当する。
さらに、構成2c1の「predModeIntra」は、現在ブロックのイントラ予測モードを示すものであるから、当該「predModeIntra」が示す現在ブロックのイントラ予測モードは、構成C2の「現在ブロックのイントラ予測モード」に相当する。
そして、構成2c1によれば、「変数lfnstTrSetIdxは、predModeIntraに応じて指定され」るから、文献2技術事項では、変換のセットは、現在ブロックのイントラ予測モードに基づいて決定されるといえる。
また、構成2c1の「変換行列lowFreqTransMatrix」は、LFNSTのマトリックスであるといえる。
さらに、上述のとおり、「変数lfnstTrSetIdx」は、変換のセットを示すものであり、また、構成2c1によれば、「変換行列lowFreqTransMatrixは、lfnstTrSetIdx、及びlfnst_idxに基づいて導出され」るから、変換のセット内には複数のLFNSTのマトリックスがあり、lfnst_idxは、当該変換のセット内の複数のLFNSTのマトリックスのうちの1つを示すといえる。
よって、文献2技術事項の構成2c1は、構成C1、C2の「前記LFNSTインデックスは、変換セット内の複数のLFNSTマトリックスの1つを示し、前記変換セットは、前記現在ブロックのイントラ予測モードに基づいて決定される」ことに相当する。
(3)構成Dについて
構成2dの「1次元変換プロセス」は、復号処理であることを考慮すると逆方向の変換であるといえるから、構成Dの「逆1次変換」に相当する。
また、構成2dの「resSamples[x][y]」は、構成Dの「前記現在ブロックに対するレジデュアルサンプル」に相当する。
よって、文献2技術事項の構成2dの「d[x][y]を入力として1次元変換プロセスを呼び出して、resSamples[x][y]を導出し」は、構成Dの「前記修正された変換係数に対する逆1次変換に基づいて前記現在ブロックに対するレジデュアルサンプルを導出するステップ」に相当する。
(4)構成Eについて
構成2eの「再構成ピクチャ」は、構成Eの「復元ピクチャ」に相当する。
よって、文献2技術事項の構成2eの「(nW)x(nH)配列resSamplesを入力として、色成分のためのピクチャ再構成プロセスを呼び出し、ループ内フィルタリング前の修正された再構成ピクチャを出力とし」は、構成Eの「前記レジデュアルサンプルに基づいて復元ピクチャを生成するステップ」に相当する。
(5)構成Gについて
まず、構成Gについて、発明の詳細な説明の【0320】には、「また、別の例によると、LFNSTインデックスの1番目及び2番目のビンの両方に対してコンテクストに基づくCABACコーディングが適用される。このようなコンテクストコーディングされたビンによるLFNSTインデックスのctxIncの割り当てを表で示すと次の通りである。」(なお、下線は強調のために当審で付したものである。)と記載されているから、構成Gの「前記LFNSTの1番目のビン」とは、「LFNSTインデックス」の1番目のビンを意味していると解される。
そして、構成2fの「lfnst_idxのbinIdxが0であるビン」は、構成Gの「前記LFNSTの1番目のビン」に相当する。
また、構成2fの「ctxInc」は、構成Gの「コンテクストインクリメント」に相当する。
さらに、構成2fの「treeType」は、構成Gの「前記現在ブロックの前記ツリータイプ」に相当する。
よって、文献2技術事項の構成2fの「lfnst_idxのbinIdxが0であるビンに対するctxIncは、treeTypeに基づいて決定される」は、構成Gの「前記LFNSTの1番目のビンに対するコンテクストインクリメントは、前記現在ブロックの前記ツリータイプに基づいて決定される」に相当する。
(6)まとめ
以上によれば、文献2技術事項の構成2b~2fは、本願発明の構成B~E、Gに相当するものである。
3 したがって、先願発明も構成B~E、Gに相当する構成を含んでいるといえ、上記相違点は、実質的な相違点であるとはいえない。
よって、本願発明は、先願発明と実質的に同一である。
第7 請求人の主張について
請求人は、令和7年12月23日提出の意見書において、以下の主張を行っている。
「(a)新請求項1に係る発明は、
『前記LFNSTの1番目のビンに対するコンテクストインクリメントは、前記現在ブロックの前記ツリータイプに基づいて決定される』との発明特定事項を備えています。
(b)これに対し、引用文献等1、2は、(a)に記載の発明特定事項を記載していません。また、この発明特定事項は、課題解決のための具体化手段における微差でないと考えます。」
「(c1)審判長殿は、
『先願発明は、構成1aのとおり、「JVET_P2001_v9」に基づくものであるから、先願発明は、「JVET_P2001_v9」で規定される処理を行っているといえる。
そして、当該「JVET_P2001_v9」である引用文献2には、上記2(2)イ(キ)で述べたとおりの文献2技術事項が記載されており、当該文献2技術事項の構成2b~2eは、本願の構成B~Eに相当するものである。
したがって、先願発明も、構成B~Eのステップを行っているといえ、上記相違点は、実質的な相違点であるとはいえない。』と指摘しています。
しかしながら、引用文献等1が引用文献2に基づいている場合でも、引用文献等2に記載されている内容を単に引用することは、引用文献等2に基づく修正そのものに関連するのではなく、引用文献等1と2との組み合わせに基づく拡大先願を適用することになると、審判請求人は考えます。したがって、理由1は2つの引用文献等の組み合わせに基づいているため、この理由1は撤回されるべきだと、審判請求人は考えます。
(c2)また、審判長殿が「3 対比」の「(2)構成B~Eについて」において「先願発明は、構成B~Eを明示的に含むとはされていない」と指摘しているとおり、引用文献等1の先願優先基礎出願明細書等は、新請求項1に記載された、構成B~Eに対応する技術的事項を記載していません。
すなわち、引用文献等1の先願優先基礎出願明細書等は、新請求項1に記載された、補正前の請求項1の構成B~Eと構成F~F2とを組み合わせた実施形態に対応する実施形態を記載していないと、審判請求人は考えます。
したがって、引用文献等1は拡大先願の引用文献等として適格でないと、審判請求人は考えます。」
以下、当該主張について検討する。
当該主張のうち、上記(a)、(b)については上記第6の2(5)で述べたとおりであり、構成G(上記(a)の構成)は、引用文献2に記載されている構成(構成2f)である。
また、上記(c1)、(c2)についても上記第6の1で述べたとおりであり、先願発明は、構成1aのとおり、「JVET_P2001_v9に基づく、ビデオデコーダにおいて実装され得る方法」であるから、先願明細書等及び先願優先基礎出願明細書等に接した当業者は、先願発明は、「JVET_P2001_v9」で規定される復号の処理を行うことを前提とした発明であり、文献2技術事項の復号処理を行うものであることを認識するといえる。
よって、請求人の主張は採用することができない。
第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、先願発明と実質的に同一であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-010517