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特許拒絶査定不服審判

2021-000169

GOA回路

審判番号
2021-000169
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-507227外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年01月06日
審決日
2021年09月16日
公報発行日
2022年03月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G09G) / P18 .575-Z (G09G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-507227「GOA回路」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 2月15日国際公開、WO2018/028008、令和 1年 9月19日国内公表、特表2019-526824〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 10項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、2016年(平成28年)8月30日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年8月8日、中華人民共和国)、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成31年 2月26日 :翻訳文の提出
令和 2年 3月18日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 6月15日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年11月 4日付け:拒絶査定(同年11月9日送達、以下「原査定」という。)
令和 3年 1月 6日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和3年1月6日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和3年1月6日にされた手続補正を却下する。

[補正の却下の決定の理由]

1 補正の内容

令和3年1月6日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてした補正であり、この補正により、以下に示すとおり、本件補正前の請求項1が、本件補正後の請求項1に補正された。

<本件補正前の請求項1>

「 【請求項1】
カスケード接続された複数のGOAユニットを含み、各GOAユニットはいずれも正逆方向走査制御モジュールと、前記正逆方向走査制御モジュールに電気的に接続された出力モジュールと、前記出力モジュールに電気的に接続されたプルダウンモジュールと、前記正逆方向走査制御モジュール、出力モジュール及びプルダウンモジュールにいずれも電気的に接続されたプルダウン制御モジュールとを含み、
n及びmはいずれも正の整数とし、第1段と最終段のGOAユニット以外の第n段のGOAユニットにおいて、
前記正逆方向走査制御モジュールは、前段である第n-1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号、次段である第n+1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号、及び第1の定電圧電位に接続され、前段である第n-1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号又は次段である第n+1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号に基づいて、出力モジュールに第1の定電圧電位を出力し、さらに前記出力モジュールをオンに制御し、GOA回路の正方向走査又は逆方向走査を実現し、
前記出力モジュールは、第n段のGOAユニットの作用期間に第n段のGOAユニットのゲート走査駆動信号を出力し、
前記プルダウンモジュールは、第n段のGOAユニットの非作用期間に前記第n段のGOAユニットのゲート走査駆動信号の電位をプルダウンし、
前記プルダウン制御モジュールは、第n段のGOAユニットの作用期間にプルダウンモジュールをオフにし、出力モジュールをオンに維持し、第n段のGOAユニットの非作用期間にプルダウンモジュールをオンにし、出力モジュールをオフにし、
前記正逆方向走査制御モジュールは、ゲートが前段である第n-1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号に接続され、ソースが第1の定電圧電位に接続され、ドレインが第1のノードに電気的に接続された第1の薄膜トランジスタと、ゲートが次段である第n+1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号に接続され、ソースが第1の定電圧電位に接続され、ドレインが第1のノードに電気的に接続された第3の薄膜トランジスタとを含み、
前記GOA回路は、さらに電圧安定化モジュールを含み、前記電圧安定化モジュールは、ゲートが第1の定電圧電位に接続され、ソースが第1のノードに電気的に接続され、ドレインが前記出力モジュールに電気的に接続された第5の薄膜トランジスタを含む、ことを特徴とするGOA回路。」

<本件補正後の請求項1>

「 【請求項1】
カスケード接続された複数のGOAユニットを含み、各GOAユニットはいずれも正逆方向走査制御モジュールと、前記正逆方向走査制御モジュールに電気的に接続された出力モジュールと、前記出力モジュールに電気的に接続されたプルダウンモジュールと、前記正逆方向走査制御モジュール、出力モジュール及びプルダウンモジュールにいずれも電気的に接続されたプルダウン制御モジュールとを含み、
n及びmはいずれも正の整数とし、第1段と最終段のGOAユニット以外の第n段のGOAユニットにおいて、
前記正逆方向走査制御モジュールは、前段である第n-1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号、次段である第n+1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号、及び第1の定電圧電位に接続され、前段である第n-1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号又は次段である第n+1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号に基づいて、出力モジュールに第1の定電圧電位を出力し、さらに前記出力モジュールをオンに制御し、GOA回路の正方向走査又は逆方向走査を実現し、
前記出力モジュールは、第n段のGOAユニットの作用期間に第n段のGOAユニットのゲート走査駆動信号を出力し、
前記プルダウンモジュールは、第n段のGOAユニットの非作用期間に前記第n段のGOAユニットのゲート走査駆動信号の電位をプルダウンし、
前記プルダウン制御モジュールは、第n段のGOAユニットの作用期間にプルダウンモジュールをオフにし、出力モジュールをオンに維持し、第n段のGOAユニットの非作用期間にプルダウンモジュールをオンにし、出力モジュールをオフにし、
前記正逆方向走査制御モジュールは、ゲートが前段である第n-1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号に接続され、ソースが第1の定電圧電位に接続され、ドレインが第1のノードに電気的に接続された第1の薄膜トランジスタと、ゲートが次段である第n+1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号に接続され、ソースが第1の定電圧電位に接続され、ドレインが第1のノードに電気的に接続された第3の薄膜トランジスタとを含み、
前記GOA回路は、さらに電圧安定化モジュールを含み、前記電圧安定化モジュールは、ゲートが第1の定電圧電位に接続され、ソースが第1のノードに電気的に接続され、ドレインが前記出力モジュールに電気的に接続された第5の薄膜トランジスタを含み、
前記第1の薄膜トランジスタのソースに接続される第1の定電圧電位、前記第3の薄膜トランジスタのソースに接続される第1の定電圧電位及び前記第5の薄膜トランジスタのゲートに接続される第1の定電圧電位は、同一の定電圧電位である、ことを特徴とするGOA回路。」

(下線は、補正箇所を示す。)

2 補正の目的

本件補正は、本件補正前の「第1の薄膜トランジスタ」のソースに接続される「第1の定電圧電位」、「第3の薄膜トランジスタ」のソースに接続される「第1の定電圧電位」及び「第5の薄膜トランジスタ」のゲートに接続される「第1の定電圧電位」が、「同一の定電圧電位」であるとの限定を行うものであり、かつ本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であることから、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正である。

そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。

3 独立特許要件の判断

(1) 本願補正発明

本願補正発明は、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。

(2) 引用文献に記載された発明の認定等

ア 引用文献4に記載された事項と引用発明の認定

(ア) 引用文献4に記載された事項

原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された中国特許出願公開第104575436号明細書(以下、原査定において引用された順番に従って、この文献を「引用文献4」という。)には、以下の事項が記載されている。翻訳文は当審によるもので、以下同様である。

「
[図:0001382143000001.jpg]
」

(技術分野

[0001] 本発明は、回路駆動技術に関し、特に、シフトレジスタユニット及びそれを用いたゲート駆動回路(ゲートドライバIC)並びに表示装置に関する。)

「
[図:0001382143000002.jpg]
[図:0001382143000003.jpg]
」

([0044] [第1実施例]

[0045] 第1実施例は、本発明のシフトレジスタユニットの基本的な回路であり、ゲート駆動回路の基本的なカスケード回路を構成する。図2は、第1実施例のシフトレジスタユニットの回路図である。以下の実施例は、スイッチングトランジスタがいずれもN型トランジスタであるものとして説明する。もちろん、P型トランジスタを用いて、本発明の実施形態を実現することも可能である。

[0046] 本発明の第1実施例の構造を詳細に説明する図2に示されるように、シフトレジスタユニットは以下の構成を含むことができる。

[0047] 入力モジュール:第1クロック信号(ck4及びck2のいずれか一つ)に基づき、入力信号OUT_N-1を、第1ノードPU(プルアップノード)に提供する。

[0048] 第1制御モジュール:前記入力信号OUT_N-1及び第3クロック信号ck1に基づき、前記第3クロック信号ck1を前記シフトレジスタユニットの出力ノードOUT_Nに提供することによってプルアップ出力を実現し、次に第2クロック信号(ck4及びck2のうちの他方)に基づき、電源電圧(VGL)を前記出力ノードに提供することによってプルダウン出力を実現する。

[0049] 第2制御モジュール:第4クロック信号ck3に基づき、前記出力ノードのレベルを前記電源電圧(VGL)に保持する。

[0050] ここで、前記第1制御モジュールは、第1トランジスタT1を含み、前記第1トランジスタT1はプルアップ出力後に引き続き導通してプルダウン出力を行い、前記第2制御モジュールは第2トランジスタT2を含み、前記出力ノードのレベルを保持することに用いられる。)

「
[図:0001382143000004.jpg]
」

([0051] 以下では図2を参照しながら、本実施例のシフトレジスタの各構成部分をそれぞれ詳細に説明する。

[0052] 図2に示すように、入力モジュールは、ゲートがクロック信号ck4に接続され、ソースが入力信号OUT_N-1に接続され、ドレインが第1ノードPUに接続される第3トランジスタT3と、ゲートがクロック信号ck2に接続され、ドレインが入力信号OUT_N+1に接続され、ソースが第1ノードPUに接続される第4トランジスタT4を含んでもよい。ここで注意すべきことは、第1トランジスタT1のゲートとドレインとの間に第1コンデンサC1を有し、プルアップノードPUの電圧保持容量となることである。入力信号OUT_N-1は、シフトレジスタユニットの現在の出力信号OUT_Nの前段の出力信号であり、その初期値はSTVであり、例えば順方向シフトの場合に信号SIUであり、逆方向シフトの場合に信号SIDである。入力信号OUT_N+1は、シフトレジスタユニットの現在のステージの出力信号OUT_Nの次のステージの出力信号である。

[0053] 第1制御モジュールは、ゲートが第1ノードPUに接続され、ソースがクロック信号ck1に接続され、ドレインがシフトレジスタユニットの出力ノードOUT_Nに接続される第1トランジスタT1と、ゲートが前記第1ノードPUに接続され、ソースが第2コンデンサC2の一端及び第2ノードPD(プルダウンノード)に接続され、ドレインが前記第2コンデンサC2の他端及び電源電圧(VGL)に接続される第7トランジスタT7を含むことができ、前記第2コンデンサC2は、第2ノードPDの電圧保持容量として機能する。

[0054] 当業者であれば、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2は、トランジスタ間の固有寄生容量であってもよいし、追加したコンデンサであってもよいことが分かるだろう。

[0055] 第2制御モジュールは、ゲートが第2ノードPDに接続され、ドレインが電源電圧VGLに接続され、ソースが前記出力ノードOUT_Nに接続される第2トランジスタT2と、ゲート及びドレインがクロック信号ck3に接続され、ソースが第2ノードPDに接続される第5トランジスタT5と、ゲートが前記第2ノードPDに接続され、ソースが第1ノードPUに接続され、ドレインが前記電源電圧(VGL)に接続される第6トランジスタT6を含むことができる。)

「
[図:0001382143000005.jpg]
」

([0059] 図3は、本実施例のシフトレジスタユニットが順方向シフトを行う時の信号タイミングを示す。次に図2及び図3を参照して、本実施例のシフトレジスタユニットの動作原理を説明する。

[0060] 図3に示すように、第1段階(t1)において、ck4はSIUのパルスと同期し、SIUとck4はハイレベルであり、残りのクロック信号はローレベルである。有効なSIU(NMOSトランジスタの場合はハイレベル)が入力されると、ck4によって制御される第3トランジスタT3がオンし、SIUのハイレベル信号を第1トランジスタT1のゲートに伝達し、第1トランジスタT1がオンし、第1コンデンサC1を充電する。同時に、この信号は第7のトランジスタT7もオンにする。このとき、第1ノードPUの電圧は高くなり、第2ノードPDの電圧は、第1ノードPUの電圧によって徐々に低くなり、第2コンデンサC2の両端はいずれもローレベルである。このとき、ck1はローレベルであり、第1トランジスタT1がオンすることにより、第1コンデンサC1が充電され、出力ノードOUT_Nの電圧Out1はローレベルである。

[0061] 第2段階(t2)において、ck1はハイレベルであり、残りのクロック信号はローレベルであり、SIU信号はローレベルになる。出力ノードOUT_Nの電圧Out1は、ローレベルからハイレベルに遷移する。第1コンデンサC1のブートストラップ効果は、第1ノードPUの電圧をポンピングし、このとき、第1トランジスタT1はck1の高レベルを出力ノードOUT_Nに完全に出力することができる。このとき、第7トランジスタT7がターンオンされるので、第2ノードPDの電圧はローレベルにされる。

[0062] 第3段階(t3)において、ck2はハイレベルであり、残りのクロック信号はローレベルであり、SIU信号はローレベルを保持する。ck2はハイレベルであり、第4トランジスタT4がオンする。第4トランジスタT4が導通するため、第1ノードPUの電圧はもはやブートストラップされないが、依然として第1トランジスタT1の導通を維持することができ、出力ノードOUT_Nの電圧Out1は、ハイレベルからローレベルとする。したがって、クロック信号ck4、ck1及びck2のハイレベル期間において、第一トランジスタT1はいずれもオンし、第2ノードPDの電圧はいずれもローレベルであり、且つ第2トランジスタT2はいずれもオフとなる。

[0063] 第4段階(t4)において、ck3はハイレベルであり、残りのクロック信号はローレベルであり、SIU信号はローレベルを保持する。ck3はハイレベルであり、第5トランジスタT5がオンすることにより、第2ノードPDのレベルが引き上げられるとともに、第2コンデンサC2が充電され、第2トランジスタT2がオンし、出力ノードOUT_Nのローレベルが維持される。第6トランジスタ(T6)は、第1ノードPUの電圧を低くし、第1トランジスタT1をオフ状態にする。

[0064] 第5段階(t5)において、ck4はハイレベルであり、残りのクロック信号はローレベルであり、SIU信号はハイレベルになる。この時、ck4によって制御される第3トランジスタT3がオンされ、前述した第1段階の過程が繰り返されて、シフトレジスタ部の次のサイクルの動作が開始される。)

「
[図:0001382143000006.jpg]
[図:0001382143000007.jpg]
」

([0065] 図4は第1実施例のゲート駆動回路のカスケード接続図を示す。本実施形態のシフトレジスタユニットは、カスケード接続によりゲート駆動回路を構成することにより、シフトレジスタユニットのシフトにより各画素行の連続的な走査を実現する。図において、SIU及びSIDはそれぞれ順方向及び逆方向走査の入力起動パルスである。)

「
[図:0001382143000008.jpg]
」

([0076] 本実施例のシフトレジスタユニットのカスケード構造に基づき、制御信号と入力信号のタイミングを調整するだけで、順方向走査と逆方向走査の切り替えを実現することができ、回路の制御信号を減少させ(他の従来のシフトレジスタはほとんど2本の方向制御信号を印加する必要がある)、狭額縁及び高解像度の表示パネルの配線に有利である。)

「図2
[図:0001382143000009.jpg]
」
「図3
[図:0001382143000010.jpg]
」
「図4
[図:0001382143000011.jpg]
」

(イ) 引用発明の認定

上記(ア)の記載事項を総合すると、引用文献4には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「シフトレジスタユニットのカスケード接続により構成されたゲート駆動回路([0065]、[0076])であって、順方向走査と逆方向走査の切り替えを実現し([0076])、
前記シフトレジスタユニットは、入力モジュール、第1制御モジュール、第2制御モジュールを含み([0046]~[0049])、
前記入力モジュールは、ゲートがクロック信号ck4に接続され、ソースが入力信号OUT_N-1に接続され、ドレインが第1ノードPUに接続される第3トランジスタT3と、ゲートがクロック信号ck2に接続され、ドレインが入力信号OUT_N+1に接続され、ソースが第1ノードPUに接続される第4トランジスタT4を含み([0052])、
前記第1制御モジュールは、ゲートが第1ノードPUに接続され、ソースがクロック信号ck1に接続され、ドレインがシフトレジスタユニットの出力ノードOUT_Nに接続される第1トランジスタT1と、ゲートが前記第1ノードPUに接続され、ソースが第2コンデンサC2の一端及び第2ノードPD(プルダウンノード)に接続され、ドレインが前記第2コンデンサC2の他端及び電源電圧(VGL)に接続される第7トランジスタT7を含み([0053])、
前記第2制御モジュールは、ゲートが第2ノードPDに接続され、ドレインが電源電圧VGLに接続され、ソースが前記出力ノードOUT_Nに接続される第2トランジスタT2と、ゲート及びドレインがクロック信号ck3に接続され、ソースが第2ノードPDに接続される第5トランジスタT5と、ゲートが前記第2ノードPDに接続され、ソースが第1ノードPUに接続され、ドレインが前記電源電圧(VGL)に接続される第6トランジスタT6を含み ([0055])、
第2段階(t2)において、出力ノードOUT_Nの電圧Out1は、ローレベルからハイレベルに遷移し、第1コンデンサC1のブートストラップ効果は、第1ノードPUの電圧をポンピングし、第1トランジスタT1はck1の高レベルを出力ノードOUT_Nに完全に出力することができるとともに、第7トランジスタT7がターンオンされ、第2ノードPDの電圧はローレベルにされ([0061])、
第4段階(t4)において、ck3はハイレベルであり、第5トランジスタT5がオンすることにより、第2ノードPDのレベルが引き上げられるとともに、第2トランジスタT2がオンし、出力ノードOUT_Nのローレベルが維持されるとともに、第6トランジスタ(T6)は、第1ノードPUの電圧を低くし、第1トランジスタT1をオフ状態にする([0063])、
ゲート駆動回路。」

イ 引用文献2に記載された事項の認定

(ア) 引用文献2に記載された事項

原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された中国特許出願公開第104766584号明細書(以下、原査定において引用された順番に従って、この文献を「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。

「
[図:0001382143000012.jpg]
」

([0004] アクティブ型液晶ディスプレイにおいて、各画素は1つの薄膜トランジスタ(TFT)に電気的に接続され、薄膜トランジスタのゲート(Gate)は水平走査線に接続され、ドレイン(Drain)は垂直方向のデータ線に接続され、ソース(Source)は画素電極に接続される。水平走査線に十分な電圧を印加することにより、該水平走査線に電気的に接続された全てのTFTをオンにし、それによりデータ線における信号電圧を画素に書き込むことができ、異なる液晶の透過率を制御してさらに色と輝度を制御する効果を達成する。現在のアクティブ型液晶表示パネルの水平走査線の駆動は、主に外付けの集積回路基板(Integrated Circuit、IC)によって完了され、外付けのICは各段の水平走査線の段階的な充電及び放電を制御することができる。GOA技術(Gate Driver on Array)、即ちアレイ基板行駆動技術は、液晶表示パネルのアレイ製造プロセスを用いてゲート駆動回路をTFTアレイ基板に製造することができ、ゲートに対して行ごとに走査する駆動方式を実現する。GOA技術は外付けICのボンディング(bonding)工程を減少させることができ、生産能力を向上させ且つ製品コストを低減させる可能性があり、且つ液晶表示パネルを狭額縁又は無額縁の表示製品にさらに適合させることができる。)

「
[図:0001382143000013.jpg]
」

([0061]本発明は正逆走査機能を有するGOA回路を提供する。図1は、本発明の正逆走査機能を有するGOA回路の第1実施例を示し、カスケード接続された複数のGOAユニット回路を含み、各段のGOAユニット回路はいずれも以下を含む。:プルアップ制御モジュール100、プルアップモジュール200、プルダウンモジュール300、第一プルダウンモジュール400、ブートストラップコンデンサモジュール500、及びプルダウン維持モジュール600。

[0062]Nを正の整数とし、第一段及び最終段のGOAユニット回路以外の第N段のGOAユニット回路において:

[0063]前記プルアップ制御モジュール100は、GOA回路を制御して順方向走査又は逆方向走査を行うことに用いられ、ゲートが前段の第N-1段のGOAユニット回路の段伝送信号ST(N-1)に接続され、ソースが正電圧定電圧源VDDに接続され,ドレインが第1ノードQ(N)に電気的に接続される第11薄膜トランジスタT11と、ゲートが後段の第N+1段のGOAユニット回路の段伝送信号ST(N+1)に接続され,ソースが正電圧定電圧源VDDに接続され、ドレインが第1のノードQ(N)に電気的に接続される第12薄膜トランジスタT12を含む。前記第11薄膜トランジスタT11は、順方向走査を制御することに用いられ、第12薄膜トランジスタT12は、逆方向走査を制御することに用いられる。

[0064]前記プルアップモジュール200は、ゲートが第1ノードQ(N)に電気的に接続され、ソースがクロック信号CK(M)に電気的に接続され、ドレインが走査駆動信号G(N)を出力する第21薄膜トランジスタT21を含む。

[0065]前記ダウンリンクモジュール300は、ゲートが第1ノードQ(N)に電気的に接続され、ソースがクロック信号CK(M)に電気的に接続され、ドレインが段伝送信号ST(N)を出力する第22薄膜トランジスタT22を含む。)

「図1
[図:0001382143000014.jpg]
」

[0064]、[0065]の記載及び図1から、走査駆動信号G(N)を出力する第21薄膜トランジスタT21と、段伝送信号ST(N)を出力する第22薄膜トランジスタT22は、いずれもゲートが第1ノードQ(N)に接続され、ソースがクロック信号CK(M)に接続されており、走査駆動信号G(N)と段伝送信号ST(N)は同じ信号であることが読み取れる。

したがって、上記記載及び図1から、「プルアップ制御モジュール100」の「第11薄膜トランジスタT11」のゲートが前段の第N-1段のGOAユニット回路の走査駆動信号G(N-1)に接続され、「第12薄膜トランジスタT12」のゲートが後段の第N+1段のGOAユニット回路の走査駆動信号G(N+1)に接続されている構成についても読み取れる。

(イ) 周知技術の認定

引用文献2の上記(ア)の摘記箇所の記載に例示されるように、次の2つの事項は、いずれも周知技術であると認める(以下「周知技術A」、「周知技術B」という。)。

<周知技術A>

「液晶表示パネルのアレイ製造プロセスを用いてゲート駆動回路をTFTアレイ基板に製造するGOA技術(Gate Driver on Array)。([0004])」

<周知技術B>

「ゲートが前段の第N-1段のGOAユニット回路の走査駆動信号G(N-1)に接続され、ソースが正電圧定電圧源VDDに接続され,ドレインが第1ノードQ(N)に電気的に接続される第11薄膜トランジスタT11と、ゲートが後段の第N+1段のGOAユニット回路の走査駆動信号G(N+1)に接続され,ソースが正電圧定電圧源VDDに接続され、ドレインが第1のノードQ(N)に電気的に接続される第12薄膜トランジスタT12を含む、GOA回路を制御して順方向走査又は逆方向走査を行うことに用いられるプルアップ制御モジュール100([0063]~[0065]、図1)。」

ウ 引用文献7に記載された事項の認定

(ア) 引用文献7に記載された事項

原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された中国特許出願公開第104851383号明細書(以下、原査定において引用された順番に従って、この文献を「引用文献7」という。)には、以下の事項が記載されている。

「
[図:0001382143000015.jpg]
」

(技術分野

[0001] 本発明は表示技術分野に関し、具体的には、シフトレジスタ、ゲート駆動回路及び表示装置に関する。)

「
[図:0001382143000016.jpg]
」

([0039] 図3に示される実施例と図1に示される実施例との相違点は、図3に示されるシフトレジスタの回路において、出力ユニットn型のトランジスタT9を含み、且つハイレベル信号をトランジスタT9のゲートに印加し、セット及びリセットユニットとプルダウンユニットがトランジスタT9を介してプルアップノードPUに接続されることである。トランジスタT9を導入するため、出力段階Bの期間において、プルアップノードPUをより高い高レベル(VGHより大きい)にする時、トランジスタT9はコンデンサC1に対して電流制限クランプの役割を果たすことができる。)

「図1
[図:0001382143000017.jpg]
」
「図3
[図:0001382143000018.jpg]
」

(イ) 周知技術の認定

引用文献7の上記(ア)の摘記箇所の記載に例示されるように、次の事項は、周知技術であると認める(以下「周知技術C」という。)。

<周知技術C>

「シフトレジスタの回路において、出力ユニットn型のトランジスタT9を含み、且つハイレベル信号をトランジスタT9のゲートに印加し、セット及びリセットユニットとプルダウンユニットがトランジスタT9を介してプルアップノードPUに接続すること([0039])。」

(3) 対比

ア 本願補正発明と引用発明の対比

本願補正発明と引用発明を対比する。

(ア)引用発明の「シフトレジスタユニット」と本願補正発明の「GOAユニット」は、「シフトレジスタユニット」という点で共通する。

そして、引用発明の「シフトレジスタユニット」は、入力信号OUT_N-1及び入力信号OUT_N+1に接続されており、第1段と最終段以外の第n段のシフトレジスタユニットであることは明らかであるから、本願補正発明の「n及びmはいずれも正の整数とし、第1段と最終段のGOAユニット以外の第n段のGOAユニット」と、「n及びmはいずれも正の整数とし、第1段と最終段のシフトレジスタユニット以外の第n段のシフトレジスタユニット」という点で共通する。

(イ) 引用発明の「前記入力モジュールは、ゲートがクロック信号ck4に接続され、ソースが入力信号OUT_N-1に接続され、ドレインが第1ノードPUに接続される第3トランジスタT3と、ゲートがクロック信号ck2に接続され、ドレインが入力信号OUT_N+1に接続され、ソースが第1ノードPUに接続される第4トランジスタT4を含む」ことと、本願補正発明の「前記正逆方向走査制御モジュールは、前段である第n-1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号、次段である第n+1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号、及び第1の定電圧電位に接続され、前段である第n-1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号又は次段である第n+1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号に基づいて、出力モジュールに第1の定電圧電位を出力し、さらに前記出力モジュールをオンに制御し、GOA回路の正方向走査又は逆方向走査を実現し」、「前記正逆方向走査制御モジュールは、ゲートが前段である第n-1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号に接続され、ソースが第1の定電圧電位に接続され、ドレインが第1のノードに電気的に接続された第1の薄膜トランジスタと、ゲートが次段である第n+1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号に接続され、ソースが第1の定電圧電位に接続され、ドレインが第1のノードに電気的に接続された第3の薄膜トランジスタとを含」むことは、「前記正逆方向走査制御モジュールは、前段である第n-1段のシフトレジスタユニットのゲート走査駆動信号、次段である第n+1段のシフトレジスタユニットのゲート走査駆動信号に接続され、前段である第n-1段のシフトレジスタユニットのゲート走査駆動信号又は次段である第n+1段のシフトレジスタユニットのゲート走査駆動信号に基づいて、前記出力モジュールをオンに制御し、ゲート駆動回路の正方向走査又は逆方向走査を実現し」、「前記正逆方向走査制御モジュールは、第1のトランジスタと、第3のトランジスタとを含」むという点で共通する。

(ウ) 引用発明の「第1制御モジュール」に含まれる「第1トランジスタT1」は、「ゲートが第1ノードPUに接続され、ソースがクロック信号ck1に接続され、ドレインがシフトレジスタユニットの出力ノードOUT_Nに接続される」もので、「第2段階(t2)」において、「出力ノードOUT_Nの電圧Out1」を、「ローレベルからハイレベルに遷移」させるものである。

そして、引用発明の「第2段階(t2)」は、本願補正発明の「作用期間」に相当する。

よって、本願補正発明の「第n段のGOAユニットの作用期間に第n段のGOAユニットのゲート走査駆動信号を出力する」「前記出力モジュール」と、「第n段のシフトレジスタユニットの作用期間に第n段のシフトレジスタユニットのゲート走査駆動信号を出力する」「前記出力モジュール」という点で共通する。

(エ) 引用発明の「第2制御モジュール」に含まれる「第2トランジスタT2」は、「ゲートが第2ノードPDに接続され、ドレインが電源電圧VGLに接続され、ソースが前記出力ノードOUT_Nに接続される」もので、「第4段階(t4)」において、「出力ノードOUT_Nのローレベル」を維持するものである。

そして、引用発明の「第4段階(t4)」は、本願補正発明の「非作用期間」に相当する。

よって、本願補正発明の「第n段のGOAユニットの非作用期間に前記第n段のGOAユニットのゲート走査駆動信号の電位をプルダウン」する「プルダウンモジュール」と、「第n段のシフトレジスタユニットの非作用期間に前記第n段のシフトレジスタユニットのゲート走査駆動信号の電位をプルダウン」する「プルダウンモジュール」という点で共通する。

(オ) 引用発明の「第1制御モジュール」に含まれる「第7トランジスタT7」と「第2制御モジュール」に含まれる「第5トランジスタT5」及び「第6トランジスタT6」は、「第2段階(t2)」において、第1ノードPUの電圧をハイレベルとし第2ノードPDの電圧はローレベルとすることで、「第1トランジスタT1」をオンにし、「第2トランジスタT2」をオフにするものであり、「第4段階(t4)」において、第1ノードPUの電圧をローレベルとし第2ノードPDの電圧はハイレベルとすることで、「第1トランジスタT1」をオフにし、「第2トランジスタT2」をオンにするものである。

よって、本願補正発明の「第n段のGOAユニットの作用期間にプルダウンモジュールをオフにし、出力モジュールをオンに維持し、第n段のGOAユニットの非作用期間にプルダウンモジュールをオンにし、出力モジュールをオフに」する「プルダウン制御モジュール」と、「第n段のシフトレジスタユニットの作用期間にプルダウンモジュールをオフにし、出力モジュールをオンに維持し、第n段のシフトレジスタユニットの非作用期間にプルダウンモジュールをオンにし、出力モジュールをオフに」する「プルダウン制御モジュール」という点で共通する。

(カ) 上記(ア)~(オ)の相当関係からみて、引用発明の「入力モジュール」、「第1制御モジュール」及び「第2制御モジュール」からなる回路は、本願補正発明の「正逆方向走査制御モジュール」、「出力モジュール」、「プルダウンモジュール」及び「プルダウン制御モジュール」からなる回路に相当する。

そして、引用発明の上記各「モジュール」は、第1ノードPUを介して、互いに電気的に接続されているから、本願補正発明の上記各「モジュール」が、互いに電気的に接続されている構成に相当する。

よって、引用発明の「シフトレジスタユニットのカスケード接続により構成されたゲート駆動回路であって、順方向走査と逆方向走査の切り替えを実現し、前記シフトレジスタユニットは、入力モジュール、第1制御モジュール、第2制御モジュールを含」むことと、本願補正発明の「カスケード接続された複数のGOAユニットを含み、各GOAユニットはいずれも正逆方向走査制御モジュールと、前記正逆方向走査制御モジュールに電気的に接続された出力モジュールと、前記出力モジュールに電気的に接続されたプルダウンモジュールと、前記正逆方向走査制御モジュール、出力モジュール及びプルダウンモジュールにいずれも電気的に接続されたプルダウン制御モジュールとを含」むことは、「カスケード接続された複数のシフトレジスタユニットを含み、各シフトレジスタユニットはいずれも正逆方向走査制御モジュールと、前記正逆方向走査制御モジュールに電気的に接続された出力モジュールと、前記出力モジュールに電気的に接続されたプルダウンモジュールと、前記正逆方向走査制御モジュール、出力モジュール及びプルダウンモジュールにいずれも電気的に接続されたプルダウン制御モジュールとを含」むという点で共通する。

(キ) 引用発明の「ゲート駆動回路」と本願補正発明の「GOA回路」は、「ゲート駆動回路」という点で共通する。

イ 一致点及び相違点

上記アの検討を総合すると、本願補正発明と引用発明の両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点1~3において相違する。

<一致点>

カスケード接続された複数のシフトレジスタユニットを含み、各シフトレジスタユニットはいずれも正逆方向走査制御モジュールと、前記正逆方向走査制御モジュールに電気的に接続された出力モジュールと、前記出力モジュールに電気的に接続されたプルダウンモジュールと、前記正逆方向走査制御モジュール、出力モジュール及びプルダウンモジュールにいずれも電気的に接続されたプルダウン制御モジュールとを含み、

n及びmはいずれも正の整数とし、第1段と最終段のシフトレジスタユニット以外の第n段のシフトレジスタユニットにおいて、 前記正逆方向走査制御モジュールは、前段である第n-1段のシフトレジスタユニットのゲート走査駆動信号、次段である第n+1段のシフトレジスタユニットのゲート走査駆動信号に接続され、前段である第n-1段のシフトレジスタユニットのゲート走査駆動信号又は次段である第n+1段のシフトレジスタユニットのゲート走査駆動信号に基づいて、前記出力モジュールをオンに制御し、ゲート駆動回路の正方向走査又は逆方向走査を実現し、

前記出力モジュールは、第n段のシフトレジスタユニットの作用期間に第n段のシフトレジスタユニットのゲート走査駆動信号を出力し、

前記プルダウンモジュールは、第n段のシフトレジスタユニットの非作用期間に前記第n段のシフトレジスタユニットのゲート走査駆動信号の電位をプルダウンし、

前記プルダウン制御モジュールは、第n段のシフトレジスタユニットの作用期間にプルダウンモジュールをオフにし、出力モジュールをオンに維持し、第n段のシフトレジスタユニットの非作用期間にプルダウンモジュールをオンにし、出力モジュールをオフにし、

前記正逆方向走査制御モジュールは、第1のトランジスタと、第3のトランジスタとを含む、

ゲート駆動回路、である点。

<相違点1>

「カスケード接続された複数のシフトレジスタユニット」を含む「ゲート駆動回路」が、本願補正発明は、「複数のGOAユニット」を含む「GOA回路」であるのに対して、引用発明は、GOA技術(Gate Driver on Array)を用いて作製されたものか不明な点。

<相違点2>

「前段である第n-1段のシフトレジスタユニットのゲート走査駆動信号、次段である第n+1段のシフトレジスタユニットのゲート走査駆動信号に接続され、前段である第n-1段のシフトレジスタユニットのゲート走査駆動信号又は次段である第n+1段のシフトレジスタユニットのゲート走査駆動信号に基づいて、前記出力モジュールをオンに制御し」、「正方向走査又は逆方向走査を実現」する「正逆方向走査制御モジュール」が、本願補正発明は、「ゲートが前段である第n-1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号に接続され、ソースが第1の定電圧電位に接続され、ドレインが第1のノードに電気的に接続された第1の薄膜トランジスタと、ゲートが次段である第n+1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号に接続され、ソースが第1の定電圧電位に接続され、ドレインが第1のノードに電気的に接続された第3の薄膜トランジスタとを含」むものであるのに対して、引用発明は、そのような構成ではない点。

<相違点3>

本願補正発明では、「前記GOA回路は、さらに電圧安定化モジュールを含み、前記電圧安定化モジュールは、ゲートが第1の定電圧電位に接続され、ソースが第1のノードに電気的に接続され、ドレインが前記出力モジュールに電気的に接続された第5の薄膜トランジスタを含み、前記第1の薄膜トランジスタのソースに接続される第1の定電圧電位、前記第3の薄膜トランジスタのソースに接続される第1の定電圧電位及び前記第5の薄膜トランジスタのゲートに接続される第1の定電圧電位は、同一の定電圧電位である」のに対して、引用発明では、そのような構成を有していない点。

(4) 当審の判断

ア 相違点1についての判断

上記相違点1について検討する。

前記(2)イの「(イ)周知技術の認定」において周知技術Aとして示したとおり、液晶表示パネルのアレイ製造プロセスを用いてゲート駆動回路をTFTアレイ基板に製造するGOA技術(Gate Driver on Array)は、本願優先日前に周知である。

よって、引用発明に当該周知技術Aを適用して、上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点2についての判断

上記相違点2について検討する。

前記(2)イの「(イ)周知技術の認定」において周知技術Bとして示したとおり、ゲートが前段の第N-1段のGOAユニット回路の走査駆動信号G(N-1)に接続され、ソースが正電圧定電圧源VDDに接続され、ドレインが第1ノードQ(N)に電気的に接続される第11薄膜トランジスタT11と、ゲートが後段の第N+1段のGOAユニット回路の走査駆動信号G(N+1)に接続され、ソースが正電圧定電圧源VDDに接続され、ドレインが第1のノードQ(N)に電気的に接続される第12薄膜トランジスタT12を含む、GOA回路を制御して順方向走査又は逆方向走査を行うことに用いられるプルアップ制御モジュール100を有するGOAユニット回路は、本願優先日前に周知である。

そして、当該周知技術Bの「第11薄膜トランジスタT11」、「第12薄膜トランジスタT12」、「正電圧定電圧源VDD」、「第1ノードQ(N)」、「走査駆動信号」は、それぞれ本願補正発明の「第1の薄膜トランジスタ」、「第3の薄膜トランジスタ」、「第1の定電圧電位」、「第1のノード」、「ゲート走査駆動信号」に相当する。

引用発明における入力モジュールと周知技術Bにおけるプルアップ制御モジュール100は、いずれもゲート駆動回路のシフトレジスタの一部を構成する回路であり、走査駆動信号を出力するトランジスタのゲートの電位を制御して、前記トランジスタのオンオフを制御するとともに、順方向走査と逆方向走査の切替えが可能であるという機能においても共通するものであるから、引用発明の入力モジュールの構成として、前記周知技術Bを適用して、上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

ウ 相違点3についての判断

上記相違点3について検討する。

前記(2)ウの「(イ)周知技術の認定」において周知技術Cとして示したとおり、シフトレジスタの回路において、出力ユニットn型のトランジスタT9を含み、且つハイレベル信号をトランジスタT9のゲートに印加し、セット及びリセットユニットとプルダウンユニットがトランジスタT9を介してプルアップノードPUに接続することは、本願優先日前に周知である。

そして、当該周知技術Cの「トランジスタT9」、「ハイレベル信号」は、それぞれ本願補正発明の「電圧安定化モジュール」、「第1の定電圧電位」に相当する。

引用発明と周知技術Cは、いずれもシフトレジスタの回路に関するものであり、当該周知技術Cの構成から、トランジスタT9がない場合に比べて、ある場合の方が、プルアップノードPUの充放電が早くなり、シフトレジスタ回路の出力が安定化することは明らかであるから、引用発明においても、シフトレジスタの回路の出力が安定化させるために、周知技術Cを適用することは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、周知技術Bにおける「正電圧定電圧源VDD」は「走査駆動信号G(N)を出力する第21薄膜トランジスタT21」をオンにするためのものであり、周知技術Cにおける「ハイレベル信号」は「トランジスタT9」をオンにするためのものであり、いずれもトランジスタをオンにするための電圧を供給するものであること、回路設計において電源線や配線はなるべく共用化して構成を簡略化することは、一般によく行われていることを踏まえれば、引用発明に、周知技術B、Cを適用する際に、前記「正電圧定電圧源VDD」と前記「ハイレベル信号」を供給する電源線を共用化して、同じ定電圧電位として、上記相違点3に係る構成とすることに格別の困難性があるものではない。

エ 小括

したがって、上記相違点1~3に係る本願補正発明の構成は、引用発明、周知技術A~Cに基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

そして、本願補正発明によって奏される効果は、引用発明、周知技術A~Cから当業者が予測し得る程度のものにすぎない。

よって、本願補正発明は、引用発明、周知技術A~Cに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

オ 請求人の主張について

請求人は、審判請求の理由において、次の主張をしている。

(審判請求書7頁13行~8頁5行)

「しかしながら、審判請求人は、審査官殿は、正逆方向走査制御モジュール及びVDDを公開している引用文献2、5と、電圧安定化モジュール及びVGHを公開している引用文献6、7と、を単に列挙したに過ぎないと思料いたします。即ち、引用文献2、5が公開しているのは、いずれもVDD(本願請求項1の第1の定電圧電位に相当)が正逆方向走査制御モジュールにしか接続されていないことであって、『電圧安定化モジュール』を開示も教示もしていません。当然ながら、『前記第1の薄膜トランジスタのソースに接続される第1の定電圧電位、前記第3の薄膜トランジスタのソースに接続される第1の定電圧電位(正逆方向走査制御モジュールに接続される第1の定電圧電位)及び前記第5の薄膜トランジスタのゲートに接続される第1の定電圧電位(電圧安定化モジュールに接続される第1の定電圧電位)は、同一の定電圧電位である』についても開示や教示は一切ありません。また、引用文献6、7が公開しているのは、いずれもVGH(本願請求項1の第1の定電圧電位に相当)が電圧安定化モジュールにしか接続されていないことであり、引用文献6、7が公開する構成は、本願の明細書の段落[0004]-[0005]及び図1の従来の構成に相似しています。
このような状況下で、引用文献2、5と引用文献6、7を組み合わせたとしても、『前記第1の薄膜トランジスタのソースに接続される第1の定電圧電位、前記第3の薄膜トランジスタのソースに接続される第1の定電圧電位及び前記第5の薄膜トランジスタのゲートに接続される第1の定電圧電位は、同一の定電圧電位である』という技術的特徴を含む請求項1に係る発明を想到することはないと思料いたします。」

請求人の主張は、要約すると、引用文献2、5が公開しているのは、いずれもVDD(本願請求項1の第1の定電圧電位に相当)が正逆方向走査制御モジュールにしか接続されていないことであって、また引用文献6、7が公開しているのは、いずれもVGH(本願請求項1の第1の定電圧電位に相当)が電圧安定化モジュールにしか接続されていないことである、というものである。

しかしながら、引用発明に周知技術B、周知技術Cを適用し、その際、トランジスタをオンにするために必要とされる電圧を、同じ定電圧電位として、電源線を共用化することは、「イ 相違点2についての判断」や「ウ 相違点3についての判断」で検討したとおり、格別困難性があるものでない。

したがって、当該主張は採用できない。

(5) まとめ

以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものであり、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明

本件補正は上記第2において説示したとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和2年6月15日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。

「 【請求項1】
カスケード接続された複数のGOAユニットを含み、各GOAユニットはいずれも正逆方向走査制御モジュールと、前記正逆方向走査制御モジュールに電気的に接続された出力モジュールと、前記出力モジュールに電気的に接続されたプルダウンモジュールと、前記正逆方向走査制御モジュール、出力モジュール及びプルダウンモジュールにいずれも電気的に接続されたプルダウン制御モジュールとを含み、
n及びmはいずれも正の整数とし、第1段と最終段のGOAユニット以外の第n段のGOAユニットにおいて、
前記正逆方向走査制御モジュールは、前段である第n-1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号、次段である第n+1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号、及び第1の定電圧電位に接続され、前段である第n-1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号又は次段である第n+1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号に基づいて、出力モジュールに第1の定電圧電位を出力し、さらに前記出力モジュールをオンに制御し、GOA回路の正方向走査又は逆方向走査を実現し、
前記出力モジュールは、第n段のGOAユニットの作用期間に第n段のGOAユニットのゲート走査駆動信号を出力し、
前記プルダウンモジュールは、第n段のGOAユニットの非作用期間に前記第n段のGOAユニットのゲート走査駆動信号の電位をプルダウンし、
前記プルダウン制御モジュールは、第n段のGOAユニットの作用期間にプルダウンモジュールをオフにし、出力モジュールをオンに維持し、第n段のGOAユニットの非作用期間にプルダウンモジュールをオンにし、出力モジュールをオフにし、
前記正逆方向走査制御モジュールは、ゲートが前段である第n-1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号に接続され、ソースが第1の定電圧電位に接続され、ドレインが第1のノードに電気的に接続された第1の薄膜トランジスタと、ゲートが次段である第n+1段のGOAユニットのゲート走査駆動信号に接続され、ソースが第1の定電圧電位に接続され、ドレインが第1のノードに電気的に接続された第3の薄膜トランジスタとを含み、
前記GOA回路は、さらに電圧安定化モジュールを含み、前記電圧安定化モジュールは、ゲートが第1の定電圧電位に接続され、ソースが第1のノードに電気的に接続され、ドレインが前記出力モジュールに電気的に接続された第5の薄膜トランジスタを含む、ことを特徴とするGOA回路。」

第4 原査定における拒絶の理由

原査定の拒絶の理由のうち、理由3(進歩性)については、次のとおりである。

本願発明は、下記引用文献4に記載された発明、下記引用文献2に記載された周知技術及び下記引用文献7に記載された周知技術に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

記

引用文献2.中国特許出願公開第104766584号明細書

引用文献4. 中国特許出願公開第104575436号明細書

引用文献7.中国特許出願公開第104851383号明細書

第5 引用文献に記載された発明の認定等

引用文献4に記載された発明は、前記第2の3(2)アの「(イ) 引用発明の認定」において、引用発明として示したとおりであり、引用文献2に記載された周知技術は、前記第2の3(2)イの「(イ) 周知技術の認定」において周知技術A、Bとして認定したとおりであり、引用文献7に記載された周知技術は、前記第2の3(2)ウの「(イ) 周知技術の認定」において周知技術Cとして認定したとおりである。

第6 対比・判断

本願発明は、本願補正発明(前記第2の3の「(1) 本願補正発明」参照。)から、「前記第1の薄膜トランジスタのソースに接続される第1の定電圧電位、前記第3の薄膜トランジスタのソースに接続される第1の定電圧電位及び前記第5の薄膜トランジスタのゲートに接続される第1の定電圧電位は、同一の定電圧電位である」との限定を省いたものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに当該発明特定事項の一部を限定したものに相当する本願補正発明が、前記第2の3の「(4) 当審の判断」において説示したとおり、引用発明、周知技術A~Cに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同様の理由により、本願発明も引用発明、周知技術A~Cに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明、周知技術A~Cに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-000169

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