2020-700815
パワーモジュール用基板
- 審判番号
- 2020-700815
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-518331外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6687109
- 請求日
- 2020年10月21日
- 審決日
- 2022年02月08日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P1651.121-YAA(H01L) / P1651.841-YAA(H01L) / P1651.853-YAA(H01L) / P1651.537-YAA(H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第7項、特許法第126条第7項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 17項目
第1 手続の経緯
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特許第6687109号の請求項1ないし2に係る特許についての出願は、2017年5月17日(優先権主張 2016年5月19日 日本)を国際出願日とする出願であって、令和2年4月6日にその特許権の設定登録がされ、同年4月22日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
なお、令和3年3月3日の訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取下げたものとみなす。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和3年10月13日の訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、以下の訂正事項のとおりである。なお、下線部は訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
特許権者は、特許請求の範囲の請求項1を、以下の事項により特定されるとおりに訂正することを請求する。
「【請求項1】セラミックス基板と、このセラミックス基板の一方の面に形成され、回路パターンを有する回路層と、を備えたパワーモジュール用基板であって、前記回路層は、Cu又はCu合金からなり、前記回路層の厚さが0.1mm以上1.0mm以下の範囲内とされており、この回路層と前記セラミックス基板の界面には、前記セラミックス基板側から順に、SnがCu中に固溶したCu-Sn層と、Tiを含有するTi含有層とが積層されており、前記回路層の前記回路パターンの端部の断面形状において、前記セラミックス基板の表面と前記Cu-Sn層の端面がなす角度θが80°以上100°以下の範囲内とされ、前記Cu-Sn層又は前記Ti含有層の前記回路層の端面からの最大突出長さLが2μm以上9.8μm以下の範囲内とされていることを特徴とするパワーモジュール用基板。」(当審注:下線は訂正箇所を示す。)
(2)訂正事項2
明細書の段落【0009】に
「前記回路層は、Cu又はCu合金からなり、この回路層と前記セラミックス基板の界面には、前記セラミックス基板側から順に、SnがCu中に固溶したCu-Sn層と、Tiを含有するTi含有層とが積層されており、前記回路層の前記回路パターンの端部の断面形状において、前記セラミックス基板の表面と前記Cu-Sn層の端面がなす角度θが80°以上100°以下の範囲内とされ、前記Cu-Sn層又は前記Ti含有層の前記回路層の端面からの最大突出長さLが2μm以上15μm以下の範囲内とされている」
と記載されているのを
「前記回路層は、Cu又はCu合金からなり、前記回路層の厚さが0.1mm以上1.0mm以下の範囲内とされており、この回路層と前記セラミックス基板の界面には、前記セラミックス基板側から順に、SnがCu中に固溶したCu-Sn層と、Tiを含有するTi含有層とが積層されており、前記回路層の前記回路パターンの端部の断面形状において、前記セラミックス基板の表面と前記Cu-Sn層の端面がなす角度θが80°以上100°以下の範囲内とされ、前記Cu-Sn層又は前記Ti含有層の前記回路層の端面からの最大突出長さLが2μm以上9.8μm以下の範囲内とされている」
に訂正する。
(3)訂正事項3
明細書の段落【0057】の表1に
「【表1】[図:0001384030000001.jpg]」
と記載されているのを、
「【表1】[図:0001384030000002.jpg]」
に訂正する。ここで、訂正事項3に係る表1の訂正は、次の訂正事項3-1ないし訂正事項3-11からなる。
ア 訂正事項3-1
訂正前の表1に「本発明例2」「本発明例4」「本発明例8」と記載されているのを、それぞれ「参考例2」「参考例4」「参考例8」に訂正する。
イ 訂正事項3-2
訂正前の表1の本発明例3の形態の欄に「図3(c)」と記載されているのを、「-」に訂正する。
ウ 訂正事項3-3
訂正前の表1の本発明例5の形態の欄に「図3(c)」と記載されているのを、「-」に訂正する。
エ 訂正事項3-4
訂正前の表1の本発明例7の形態の欄に「図4(d)」と記載されているのを、「図4(a)」に訂正する。
オ 訂正事項3-5
訂正前の表1の本発明例8の形態の欄に「図4(d)」と記載されているのを、「図4(b)」に訂正する。
カ 訂正事項3-6
訂正前の表1の本発明例9の形態の欄に「図4(d)」と記載されているのを、「図4(b)」に訂正する。
キ 訂正事項3-7
訂正前の表1の本発明例10の形態の欄に「図4(d)」と記載されているのを、「図4(a)」に訂正する。
ク 訂正事項3-8
訂正前の表1の本発明例11の形態の欄に「図4(e)」と記載されているのを、「-」に訂正する。
ケ 訂正事項3-9
訂正前の表1の本発明例12の形態の欄に「図4(f)」と記載されているのを、「図4(b)」に訂正する。
コ 訂正事項3-10
訂正前の表1の本発明例13の形態の欄に「図3(c)」と記載されているのを、「-」に訂正する。
サ 訂正事項3-11
訂正前の表1の比較例1ないし3の形態の欄にそれぞれ「図3(c)」と記載されているのを、「-」に訂正する。
(4)訂正事項4
明細書の段落【0058】の表2に
「【表2】[図:0001384030000003.jpg]」
と記載されているのを、
「【表2】[図:0001384030000004.jpg]」
に訂正する。ここで、この表2の訂正は、次の訂正事項4-1ないし訂正事項4-11からなる。
ア 訂正事項4-1
訂正前の表2に「本発明例15」「本発明例17」「本発明例21」と記載されているのを、それぞれ「参考例15」「参考例17」「参考例21」に訂正する。
イ 訂正事項4-2
訂正前の表2の本発明例16の形態の欄に「図3(c)」と記載されているのを、「-」に訂正する。
ウ 訂正事項4-3
訂正前の表2の本発明例18の形態の欄に「図3(c)」と記載されているのを、「-」に訂正する。
エ 訂正事項4-4
訂正前の表2の本発明例20の形態の欄に「図4(d)」と記載されているのを、「図4(a)」に訂正する。
オ 訂正事項4-5
訂正前の表2の本発明例21の形態の欄に「図4(d)」と記載されているのを、「図4(b)」に訂正する。
カ 訂正事項4-6
訂正前の表2の本発明例22の形態の欄に「図4(d)」と記載されているのを、「図4(b)」に訂正する。
キ 訂正事項4-7
訂正前の表2の本発明例23の形態の欄に「図4(d)」と記載されているのを、「図4(a)」に訂正する。
ク 訂正事項4-8
訂正前の表2の本発明例24の形態の欄に「図4(e)」と記載されているのを、「-」に訂正する。
ケ 訂正事項4-9
訂正前の表2の本発明例25の形態の欄に「図4(f)」と記載されているのを、「図4(b)」に訂正する。
コ 訂正事項4-10
訂正前の表2の本発明例26の形態の欄に「図3(c)」と記載されているのを、「-」に訂正する。
サ 訂正事項4-11
訂正前の表2の比較例4ないし6の形態の欄にそれぞれ「図3(c)」と記載されているのを、「-」に訂正する。
(5)訂正事項5
明細書の段落【0059】に、
「セラミックス基板としてAlNを用いた表1の結果において、セラミックス基板の表面とCu-Sn層の端面とがなす角度θが80°以上100°以下の範囲内であり、Cu-Sn層又はTi含有層の前記回路層の端面からの最大突出長さLが2μm以上15μm以下の範囲内であった本発明例では、部分放電開始電圧が高く、部分放電特性及び耐電圧特性のよいパワーモジュール用基板が得られることが分かった。」
と記載されているのを、
「セラミックス基板としてAlNを用いた表1の結果において、セラミックス基板の表面とCu-Sn層の端面とがなす角度θが80°以上100°以下の範囲内であり、Cu-Sn層又はTi含有層の前記回路層の端面からの最大突出長さLが2μm以上9.8μm以下の範囲内であった本発明例では、部分放電開始電圧が高く、部分放電特性及び耐電圧特性のよいパワーモジュール用基板が得られることが分かった。」
に訂正する。
(6)一群の請求項について
訂正前の請求項1ないし2は、請求項2が訂正の対象である請求項1を直接引用する関係にあるから、一群の請求項であり、これら訂正前の請求項1ないし2に対応する訂正後の請求項1ないし2も一群の請求項である。
したがって、本件訂正請求は、一群の請求項〔1-2〕について請求されたものである。また、明細書に係る訂正は、一群の請求項〔1-2〕について請求されたものである。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、請求項1に記載されている「回路層」の「厚さ」を「0.1mm以上1.0mm以下の範囲内」に限定すると共に、請求項1に記載されている「最大突出長さ」の範囲を2μm以上15μm以下から「2μm以上9.8μm以下」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
明細書の段落【0017】に「回路層12の厚さは0.1mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されており」と記載されていること、及び、明細書の段落【0039】及び段落【0057】の表1の本発明例5及び本発明例9から最大突出長さLが2μm以上9.8μm以下であることが導き出せるから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
また、訂正事項1は上述のとおり、訂正前の請求項1に係る発明について特許請求の範囲を減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るためのものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正事項3について
ア 訂正事項3-1について
訂正事項3-1は、上記訂正事項1の訂正に伴い特許請求の範囲の記載と本件特許明細書中の実施例の記載との整合を図るため、実施例でなくなった本発明例2、本発明例4、本発明例8を、それぞれ参考例2、参考例4、参考例8とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項3-1は、上述のとおり特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るためのものであって、上記訂正事項1と同様、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項3-2について
本件特許明細書の段落【0025】に「図3(c)」は「角度θが90°を超えて100°以下の範囲とされ」ることが記載されているから、本発明例3の形態が「図3(c)」であることは、本発明例3の「角度θ」が「85°」であることに対応しておらず不明瞭であった。訂正事項3-2は、本発明例3の形態を、図3(a)、図3(c)、図4(a)、図4(b)、図4(c)に該当しない「-」と訂正することにより上記不明瞭さを正すものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
なお、本発明例に対応する図を示すことは、本発明例をより理解するための付記であって、本発明例に対応する図がないからといって直ちに本発明例が不明確になるわけではない(以下、訂正事項3-3、3-8、3-10、3-11、4-2、4-3、4-8、4-10、4-11についても同様である)。
そして、訂正事項3-2は、上述のとおり明瞭でない記載の釈明を目的とし、訂正前の不明瞭さを正すものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
ウ 訂正事項3-3について
本件特許明細書の段落【0025】に「図3(c)」は「角度θが90°を超えて100°以下の範囲とされ」ることが記載されているから、本発明例5の形態が「図3(c)」であることは、本発明例5の「角度θ」が「81°」であることに対応しておらず不明瞭であった。訂正事項3-3は、本発明例5の形態を、図3(a)、図3(c)、図4(a)、図4(b)、図4(c)に該当しない「-」と訂正することにより上記不明瞭さを正すものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項3-3は、上述のとおり明瞭でない記載の釈明を目的とし、訂正前の不明瞭さを正すものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
エ 訂正事項3-4について
訂正事項3-4は、本発明例7の形態の欄に本件特許の図面に存在しない「図4(d)」が記載されており不明瞭であったものを、「図4(a)」に訂正することにより上記不明瞭さを正し、本発明例7の形態を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、明細書の段落【0026】に「図4(a)」は「角度θが90°を超えて100°以下の範囲」と記載されているから、「角度θ」が「93°」である本発明例7の形態を「図4(a)」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
オ 訂正事項3-5について
訂正事項3-5は、本発明例8の形態の欄に本件特許の図面に存在しない「図4(d)」が記載されており不明瞭であったものを、「図4(b)」に訂正することにより上記不明瞭さを正し、本発明例8の形態を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、明細書の段落【0027】に「図4(b)」は「角度θが80°以上90°未満の範囲」と記載されているから、「角度θ」が「87°」である本発明例8の形態を「図4(b)」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
カ 訂正事項3-6について
訂正事項3-6は、本発明例9の形態の欄に本件特許の図面に存在しない「図4(d)」が記載されており不明瞭であったものを、「図4(b)」に訂正することにより上記不明瞭さを正し、本発明例9の形態を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、明細書の段落【0027】に「図4(b)」は「角度θが80°以上90°未満の範囲」と記載されているから、「角度θ」が「82°」である本発明例9の形態を「図4(b)」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
キ 訂正事項3-7について
訂正事項3-7は、本発明例10の形態の欄に本件特許の図面に存在しない「図4(d)」が記載されており不明瞭であったものを、「図4(a)」に訂正することにより上記不明瞭さを正し、本発明例10の形態を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、明細書の段落【0026】に「図4(a)」は「角度θが90°を超えて100°以下の範囲」と記載されているから、「角度θ」が「99°」である本発明例10の形態を「図4(a)」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
ク 訂正事項3-8について
訂正事項3-8は、本発明例11の形態の欄に本件特許の図面に存在しない「図4(e)」が記載されており不明瞭であったものを図3(a)、図3(c)、図4(a)、図4(b)、図4(c)に該当しない「-」と訂正することにより上記不明瞭さを正すものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項3-8は、上述のとおり明瞭でない記載の釈明を目的とし、訂正前の不明瞭さを正すものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
ケ 訂正事項3-9について
訂正事項3-9は、本発明例12の形態の欄に本件特許の図面に存在しない「図4(f)」が記載されており不明瞭であったものを、「図4(b)」に訂正することにより上記不明瞭さを正し、本発明例12の形態を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、明細書の段落【0027】に「図4(b)」は「角度θが80°以上90°未満の範囲」と記載されているから、「角度θ」が「86°」である本発明例12の形態を「図4(b)」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
コ 訂正事項3-10について
本件特許明細書の段落【0025】に「図3(c)」は「角度θが90°を超えて100°以下の範囲とされ」ることが記載されているから、本発明例13の形態が「図3(c)」であることは、本発明例13の「角度θ」が「87°」であることに対応しておらず不明瞭であった。訂正事項3-10は、本発明例3の形態を、図3(a)、図3(c)、図4(a)、図4(b)、図4(c)に該当しない「-」と訂正することにより上記不明瞭さを正すものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項3-10は、上述のとおり明瞭でない記載の釈明を目的とし、訂正前の不明瞭さを正すものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
サ 訂正事項3-11について
本件特許明細書の段落【0025】に「図3(c)」は「角度θが90°を超えて100°以下の範囲とされ」ることが記載されているから、比較例1ないし3の形態が「図3(c)」であることは、比較例4ないし6の「角度θ」がそれぞれ「87°」「65°」「112°」であることに対応しておらず不明瞭であった。訂正事項3-11は、比較例1ないし3の形態を、図3(a)、図3(c)、図4(a)、図4(b)、図4(c)に該当しない「-」と訂正することにより上記不明瞭さを正すものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項3-11は、上述のとおり明瞭でない記載の釈明を目的とし、訂正前の不明瞭さを正すものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
シ 訂正事項3についてのまとめ
上記アないしサによれば、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(4)訂正事項4について
ア 訂正事項4-1について
訂正事項4-1は、上記訂正事項1の訂正に伴い特許請求の範囲の記載と本件特許明細書中の実施例の記載との整合を図るため、実施例でなくなった本発明例15、本発明例17、本発明例21を、それぞれ参考例15、参考例17、参考例21とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項4-1は、上述のとおり特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るためのものであって、上記訂正事項1と同様、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項4-2について
本件特許明細書の段落【0025】に「図3(c)」は「角度θが90°を超えて100°以下の範囲とされ」ることが記載されているから、本発明例16の形態が「図3(c)」であることは、本発明例16の「角度θ」が「87°」であることに対応しておらず不明瞭であった。訂正事項4-2は、本発明例16の形態を、図3(a)、図3(c)、図4(a)、図4(b)、図4(c)に該当しない「-」と訂正することにより上記不明瞭さを正すものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項4-2は、上述のとおり明瞭でない記載の釈明を目的とし、訂正前の不明瞭さを正すものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
ウ 訂正事項4-3について
本件特許明細書の段落【0025】に「図3(c)」は「角度θが90°を超えて100°以下の範囲とされ」ることが記載されているから、本発明例18の形態が「図3(c)」であることは、本発明例18の「角度θ」が「80°」であることに対応しておらず不明瞭であった。訂正事項3-3は、本発明例18の形態を、図3(a)、図3(c)、図4(a)、図4(b)、図4(c)に該当しない「-」と訂正することにより上記不明瞭さを正すものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項4-3は、上述のとおり明瞭でない記載の釈明を目的とし、訂正前の不明瞭さを正すものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
エ 訂正事項4-4について
訂正事項4-4は、本発明例20の形態の欄に本件特許の図面に存在しない「図4(d)」が記載されており不明瞭であったものを、「図4(a)」に訂正することにより上記不明瞭さを正し、本発明例20の形態を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、明細書の段落【0026】に「図4(a)」は「角度θが90°を超えて100°以下の範囲」と記載されているから、「角度θ」が「92°」である本発明例20の形態を「図4(a)」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
オ 訂正事項4-5について
訂正事項4-5は、本発明例21の形態の欄に本件特許の図面に存在しない「図4(d)」が記載されており不明瞭であったものを、「図4(b)」に訂正することにより上記不明瞭さを正し、本発明例21の形態を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、明細書の段落【0027】に「図4(b)」は「角度θが80°以上90°未満の範囲」と記載されているから、「角度θ」が「85°」である本発明例21の形態を「図4(b)」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
カ 訂正事項4-6について
訂正事項4-6は、本発明例22の形態の欄に本件特許の図面に存在しない「図4(d)」が記載されており不明瞭であったものを、「図4(b)」に訂正することにより上記不明瞭さを正し、本発明例22の形態を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、明細書の段落【0027】に「図4(b)」は「角度θが80°以上90°未満の範囲」と記載されているから、「角度θ」が「82°」である本発明例22の形態を「図4(b)」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
キ 訂正事項4-7について
訂正事項4-7は、本発明例23の形態の欄に本件特許の図面に存在しない「図4(d)」が記載されており不明瞭であったものを、「図4(a)」に訂正することにより上記不明瞭さを正し、本発明例23の形態を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、明細書の段落【0026】に「図4(a)」は「角度θが90°を超えて100°以下の範囲」と記載されているから、「角度θ」が「99°」である本発明例23の形態を「図4(a)」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
ク 訂正事項4-8について
訂正事項4-8は、本発明例24の形態の欄に本件特許の図面に存在しない「図4(e)」が記載されており不明瞭であったものを、図3(a)、図3(c)、図4(a)、図4(b)、図4(c)に該当しない「-」と訂正することにより上記不明瞭さを正すものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項4-8は、上述のとおり明瞭でない記載の釈明を目的とし、訂正前の不明瞭さを正すものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
ケ 訂正事項4-9について
訂正事項4-9は、本発明例25の形態の欄に本件特許の図面に存在しない「図4(f)」が記載されており不明瞭であったものを、「図4(b)」に訂正することにより上記不明瞭さを正し、本発明例12の形態を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、明細書の段落【0027】に「図4(b)」は「角度θが80°以上90°未満の範囲」と記載されているから、「角度θ」が「86°」である本発明例25の形態を「図4(b)」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
コ 訂正事項4-10について
本件特許明細書の段落【0025】に「図3(c)」は「角度θが90°を超えて100°以下の範囲とされ」ることが記載されているから、本発明例26の形態が「図3(c)」であることは、本発明例26の「角度θ」が「88°」であることに対応しておらず不明瞭であった。訂正事項4-10は、本発明例26の形態を、図3(a)、図3(c)、図4(a)、図4(b)、図4(c)に該当しない「-」と訂正することにより上記不明瞭さを正すものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項4-10は、上述のとおり明瞭でない記載の釈明を目的とし、訂正前の不明瞭さを正すものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
サ 訂正事項4-11について
本件特許明細書の段落【0025】に「図3(c)」は「角度θが90°を超えて100°以下の範囲とされ」ることが記載されているから、比較例4ないし6の形態が「図3(c)」であることは、比較例4ないし6の「角度θ」がそれぞれ「87°」「67°」「115°」であることに対応しておらず不明瞭であった。訂正事項4-11は、比較例4ないし6の形態を、図3(a)、図3(c)、図4(a)、図4(b)、図4(c)に該当しない「-」と訂正することにより上記不明瞭さを正すものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項4-11は、上述のとおり明瞭でない記載の釈明を目的とし、訂正前の不明瞭さを正すものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
シ 訂正事項4についてのまとめ
上記アないしサによれば、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(5)訂正事項5について
訂正事項5は、上記訂正事項1の訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項5は、上述のとおり特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るためのものであって、上記訂正事項1と同様、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
3 特許異議申立人の主張
(1)訂正事項3について
ア 特許異議申立人は、令和3年11月30日に提出した意見書において、訂正事項3-2、訂正事項3-3及び訂正事項3-10による訂正は表1の本発明例3、本発明例5及び本発明例13の形態の欄を「-」に訂正するものであるが、同欄は「図4(b)」である可能性もあるから、本発明例3、本発明例5及び本発明例13の形態において「-」のみが正しいとする根拠はなく、そのため、上記訂正は、特許法第120条の5第2項に掲げるいずれの目的にも該当せず、また、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものでもない旨主張している。
しかし、表1は、「角度θ」及び「最大突出長さL」を特定の範囲にすることにより「部分放電開始電圧」を高くできることを示したものであり、「形態」はその断面形状を具体例として例示したものにすぎない。そのため、本発明例3、本発明例5及び本発明例13における形態の欄に「-」又は「図4(b)」のいずれを選択しても、課題を解決する手段の構成に差異はない。
そして、上記「2(3)イ、ウ、コ」において検討したとおり、同欄の記載を「-」とすることにより、上記訂正前にあった他の記載と対応しない関係が解消される以上、上記訂正は明瞭でない記載の釈明に該当するものである。また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全体の記載から、本発明例3、本発明例5及び本発明例13の形態の欄として「-」は整合するから、同欄の記載を「-」とする上記訂正は特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
イ 特許異議申立人は、令和3年11月30日に提出した意見書において、訂正事項3-4及び訂正事項3-7による訂正は表1の本発明例7及び本発明例10の形態の欄を「図4(a)」に訂正するものであるが、同欄は「図3(c)」、「図4(c)」及び「-」である可能性もあるから、本発明例7及び本発明例10の形態において「図4(a)」のみが正しいとする根拠はなく、そのため、上記訂正は、特許法第120条の5第2項に掲げるいずれの目的にも該当せず、また、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものでもない旨主張している。
しかし、上記「ア」における検討と同様に、「形態」はその断面形状を具体例として例示したものにすぎないから、本発明例7及び本発明例10における形態の欄に「図3(c)」、「図4(a)」、「図4(c)」及び「-」のいずれを選択しても、課題を解決する手段の構成に差異はない。
そして、上記「2(4)エ、キ」において検討したとおり、同欄の記載を「図4(a)」とすることにより、上記訂正前にあった他の記載と対応しない関係が解消される以上、上記訂正は明瞭でない記載の釈明に該当するものである。また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全体の記載から、本発明例7及び本発明例10の形態の欄として「図3(c)」、「図4(a)」、「図4(c)」及び「-」のいずれも該当するから、同欄の記載を「図4(a)」とする上記訂正は特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許異議申立人は、令和3年11月30日に提出した意見書において、訂正事項3-5、訂正事項3-6及び訂正事項3-9による訂正は表1の本発明例8、本発明例9及び本発明例12の「形態」の欄を「図4(b)」に訂正するものであるが、同欄は「-」である可能性もあるから、本発明例8、本発明例9及び本発明例12の形態において「図4(b)」のみが正しいとする根拠はなく、そのため、上記訂正は、特許法第120条の5第2項に掲げるいずれの目的にも該当せず、また、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものでもない旨主張している。
しかし、上記「ア」における検討と同様に、「形態」はその断面形状を具体例として例示したものにすぎないから、本発明例8、本発明例9及び本発明例12における形態の欄に「図4(b)」及び「-」のいずれを選択しても、課題を解決する手段の構成に差異はない。
そして、上記「2(3)オ、カ、ケ」において検討したとおり、同欄の記載を「図4(b)」とすることにより、上記訂正前にあった他の記載と対応しない関係が解消される以上、上記訂正は明瞭でない記載の釈明に該当するものである。また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全体の記載から、本発明例8、本発明例9及び本発明例12の形態の欄として「図4(b)」は整合するから、同欄の記載を「図4(b)」とする上記訂正は特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
エ 特許異議申立人は、令和3年11月30日に提出した意見書において、訂正事項3-8による訂正は表1の本発明例11の「形態」の欄を「-」に訂正するものであるが、同欄は「図3(c)」、「図4(a)」、「図4(c)」である可能性もあるから、本発明例11の形態において「-」のみが正しいとする根拠はなく、そのため、上記訂正は、特許法第120条の5第2項に掲げるいずれの目的にも該当せず、また、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものでもない旨主張している。
しかし、上記「ア」における検討と同様に、「形態」はその断面形状を具体例として例示したものにすぎないから、本発明例24における形態の欄に「図3(c)」、「図4(a)」、「図4(c)」及び「-」のいずれを選択しても、課題を解決する手段の構成に差異はない。
そして、上記「2(3)ク」において検討したとおり、同欄の記載を「-」とすることにより、上記訂正前にあった他の記載と対応しない関係が解消される以上、上記訂正は明瞭でない記載の釈明に該当するものである。また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全体の記載から、本発明例11の形態の欄として「-」は整合するから、同欄の記載を「-」とする上記訂正は特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
オ 以上のとおりであるから、訂正事項3は特許法第120条の5第2項に掲げるいずれの目的にも該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものではないとする特許異議申立人の主張を採用することはできない。
(2)訂正事項4について
ア 特許異議申立人は、令和3年11月30日に提出した意見書において、訂正事項4-2及び訂正事項4-3による訂正は表1の本発明例16及び本発明例18の「形態」の欄を「-」に訂正するものであるが、同欄は「図4(b)」である可能性もあるから、本発明例16及び本発明例18の形態において「-」のみが正しいとする根拠はなく、そのため、上記訂正は、特許法第120条の5第2項に掲げるいずれの目的にも該当せず、また、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものでもない旨主張している。
しかし、表1は、「角度θ」及び「最大突出長さL」を特定の範囲にすることにより「部分放電開始電圧」を高くできることを示したものであり、「形態」はその断面形状を具体例として例示したものにすぎない。そのため、本発明例16及び本発明例18における「形態」の欄に「-」又は「図4(b)」のいずれを選択しても、課題を解決する手段の構成に差異はない。
そして、上記「2(4)イ、ウ」において検討したとおり、同欄の記載を「-」とすることにより、上記訂正前にあった他の記載と対応しない関係が解消される以上、上記訂正は明瞭でない記載の釈明に該当するものである。また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全体の記載から、本発明例16及び本発明例18の形態の欄として「-」は整合するから、同欄の記載を「-」とする上記訂正は特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
イ 特許異議申立人は、令和3年11月30日に提出した意見書において、訂正事項4-4による訂正は表1の本発明例20の「形態」の欄を「図4(a)」に訂正するものであるが、同欄は「図3(a)」、「図3(c)」、「図4(c)」及び「-」である可能性もあるから、本発明例20の形態において「図4(a)」のみが正しいとする根拠はなく、そのため、上記訂正は、特許法第120条の5第2項に掲げるいずれの目的にも該当せず、また、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものでもない旨主張している。
しかし、上記「ア」における検討と同様に、「形態」はその断面形状を具体例として例示したものにすぎないから、本発明例20における「形態」の欄に「図3(a)」、「図3(c)」、「図4(a)」、「図4(c)」及び「-」のいずれを選択しても、課題を解決する手段の構成に差異はない。
そして、上記「2(4)エ」において検討したとおり、同欄の記載を「図4(a)」とすることにより、上記訂正前にあった他の記載と対応しない関係が解消される以上、上記訂正は明瞭でない記載の釈明に該当するものである。また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全体の記載から、本発明例20の形態の欄として「図4(a)」は整合するから、同欄の記載を「図4(a)」とする上記訂正は特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許異議申立人は、令和3年11月30日に提出した意見書において、訂正事項4-5、訂正事項4-6及び訂正事項4-9による訂正は表1の本発明例21、本発明例22及び本発明例25の形態の欄を「図4(b)」に訂正するものであるが、同欄は「-」である可能性もあるから、本発明例21、本発明例22及び本発明例25の形態において「図4(b)」のみが正しいとする根拠はなく、そのため、上記訂正は、特許法第120条の5第2項に掲げるいずれの目的にも該当せず、また、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものでもない旨主張している。
しかし、上記「ア」における検討と同様に、「形態」はその断面形状を具体例として例示したものにすぎないから、本発明例21、本発明例22及び本発明例25における「形態」の欄に「図4(b)」及び「-」のいずれを選択しても、課題を解決する手段の構成に差異はない。
そして、上記「2(4)オ、カ、ケ」において検討したとおり、同欄の記載を「図4(b)」とすることにより、上記訂正前にあった他の記載と対応しない関係が解消される以上、上記訂正は明瞭でない記載の釈明に該当するものである。また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全体の記載から、本発明例21、本発明例22及び本発明例25の形態の欄として「図4(b)」は整合するから、同欄の記載を「図4(b)」とする上記訂正は特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
エ 特許異議申立人は、令和3年11月30日に提出した意見書において、訂正事項4-8による訂正は表1の本発明例24の形態の欄を「-」に訂正するものであるが、同欄は「図3(c)」、「図4(a)」、「図4(c)」である可能性もあるから、本発明例11の形態において「-」のみが正しいとする根拠はなく、そのため、上記訂正は、特許法第120条の5第2項に掲げるいずれの目的にも該当せず、また、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものでもない旨主張している。
しかし、上記「ア」における検討と同様に、「形態」はその断面形状を具体例として例示したものにすぎないから、本発明例24における「形態」の欄に「図3(c)」、「図4(a)」、「図4(c)」及び「-」のいずれを選択しても、課題を解決する手段の構成に差異はない。
そして、上記「2(4)ク」において検討したとおり、同欄の記載を「-」とすることにより、上記訂正前にあった他の記載と対応しない関係が解消される以上、上記訂正は明瞭でない記載の釈明に該当するものである。また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全体の記載から、本発明例11の形態の欄として「-」は整合するから、同欄の記載を「-」とする上記訂正は特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
オ 特許異議申立人は、令和3年11月30日に提出した意見書において、訂正事項4-10による訂正は表1の本発明例26の形態の欄を「-」に訂正するものであるが、同欄は「図3(a)」、「図4(b)」である可能性もあるから、本発明例26の形態において「-」のみが正しいとする根拠はなく、そのため、上記訂正は、特許法第120条の5第2項に掲げるいずれの目的にも該当せず、また、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものでもない旨主張している。
しかし、上記「ア」における検討と同様に、「形態」はその断面形状を具体例として例示したものにすぎないから、本発明例26における「形態」の欄に「図3(a)」、「図4(b)」及び「-」のいずれを選択しても、課題を解決する手段の構成に差異はない。
そして、上記「2(4)コ」において検討したとおり、同欄の記載を「-」とすることにより、上記訂正前にあった他の記載と対応しない関係が解消される以上、上記訂正は明瞭でない記載の釈明に該当するものである。また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全体の記載から、本発明例26の形態の欄として「-」は整合するから、同欄の記載を「-」とする上記訂正は特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
カ 以上のとおりであるから、訂正事項4は特許法第120条の5第2項に掲げるいずれの目的にも該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものではないとする特許異議申立人の主張を採用することはできない。
4 訂正の適否についてのむすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
なお、訂正前の請求項1ないし2について特許異議の申立がされているので、訂正前の請求項1ないし2に係る本件訂正に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されていない。
よって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-2〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記「第2」のとおり本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1ないし2に係る発明(以下「本件発明1」ないし「本件発明2」という。)は、その訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。なお、下線部は訂正箇所を示す。
「【請求項1】セラミックス基板と、このセラミックス基板の一方の面に形成され、回路パターンを有する回路層と、を備えたパワーモジュール用基板であって、前記回路層は、Cu又はCu合金からなり、前記回路層の厚さが0.1mm以上1.0mm以下の範囲内とされており、この回路層と前記セラミックス基板の界面には、前記セラミックス基板側から順に、SnがCu中に固溶したCu-Sn層と、Tiを含有するTi含有層とが積層されており、前記回路層の前記回路パターンの端部の断面形状において、前記セラミックス基板の表面と前記Cu-Sn層の端面がなす角度θが80°以上100°以下の範囲内とされ、前記Cu-Sn層又は前記Ti含有層の前記回路層の端面からの最大突出長さLが2μm以上9.8μm以下の範囲内とされていることを特徴とするパワーモジュール用基板。【請求項2】前記回路層の前記回路パターンの端部の断面形状において、前記Cu-Sn層の端面の延長上に前記Ti含有層の端面が位置していることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール用基板。」
第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
1 取消理由通知の概要
訂正前の請求項1ないし2に係る特許に対して、当審が令和3年8月11日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
(進歩性)請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された引用文献1、2及び4に記載された発明に基いて、本件特許出願の優先日当時その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、また、請求項2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された引用文献1ないし4に記載された発明に基いて、本件特許出願の優先日当時その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1ないし2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
2 引用文献1の記載事項、引用発明
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ア 引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。以下同様)。
(ア)「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、高い信頼性、放熱性を要する電子部品のパワーモジュール等に使用される回路基板に関する。」
(イ)「【0006】(2)セラミックス基板の全面にろう材ペーストを塗布し、それを覆うように全面に金属板を接合し、回路面とする金属板上に回路パターンをエッチングレジストにより形成させた後、エッチング処理して不要回路、接合材を部分除去するフルエッチ法。【0007】(3)セラミックス基板上にろう材ペーストを目的とする回路形状にパターン印刷し、その全面を覆うように金属板を接合し、接合体の金属板上に回路パターンをエッチングレジストにより形成させた後、エッチング処理して金属回路を形成させるパターン印刷法。」
(ウ)「【0012】すなわち本発明は、セラミックス基板の片面に金属回路が、その反対面に金属放熱板が接合層を介して形成されてなる回路基板であって、接合層が金属部材の端部から金属部材の厚みの0.1倍以上、1.0倍以下の長さはみ出している回路基板である。【0013】さらに、本発明は接合層とセラミックス基板のなす角が90度以下である上記の回路基板である。」
(エ)「【0017】本発明において、セラミックス基板に形成される金属回路もしくは金属回路と金属放熱板について説明すると、その材質は、銅、ニッケル、アルミニウム、モリブデン、タングステン等の純金属もしくは合金が用いられる。その金属回路又は金属放熱板の厚みは0.1~2.0mmが好ましい。」
(オ)「【0018】本発明において重要なことは、図1に示す回路基板断面略図において、金属回路の厚みをT、接合層のはみ出し幅をwとした場合に、w/Tが0.1~1.0であることである。また、w/Tを1.0より大きくしても残留応力低減の効果は得られない。また図2に示すように接合層と基板とのなす接触角を90度以下に好ましくは45度以下にすると、更に残留応力を低減する効果がありクラック防止に有効である。」
(カ)「【0020】本発明に係る接合層はろう材ペーストを用いて形成されたものである。ここで使用されるろう材ペーストは、例えば金属回路又は金属放熱板の材質がCuである場合、AgもしくはCuもしくはAgとCuを含むろう材である。また基板が窒化アルミニウム、又は窒化珪素である場合、適宜Ti、Zr等からなる活性金属成分をろう材に添加することが出来る。」
(キ)「図1[図:0001384030000005.jpg]」
(ク)「図2[図:0001384030000006.jpg]」
イ 引用文献1の上記記載事項及び図面より、次のことがいえる。
(ア)上記「ア(ア)」によれば、「パワーモジュール等に使用される回路基板」が記載されている。
(イ)上記「ア(ウ)」によれば、「回路基板」は、「セラミックス基板」と、「該セラミックス基板の片面に」「接合層を介して形成され」た「金属回路」を備える。
(ウ)上記「ア(イ)」によれば、基板上に「回路パターン」を形成し「金属回路」をなす。
(エ)上記「ア(エ)」によれば、「金属回路」の「材質」は「銅」である。
(オ)上記「ア(エ)」によれば、「金属回路」の「厚み」は「0.1~2.0mm」である。また、上記「ア(ウ)、(オ)」によれば、「接合層とセラミックス基板のなす接触角」が「90度以下」とされ、「接合層」は「金属回路」の「端部から金属回路の厚みの0.1倍以上1.0倍以下の長さはみ出している」ものである。
(カ)上記「ア(カ)」によれば、「接合層」は、「Cu」を含む「ろう材」に「Ti」「からなる活性金属成分」を添加した「ろう材ペースト」を用いて形成できることが開示されている。
(キ)「ア(キ)、(ク)」の図1及び図2によれば、「接合層」が「セラミック基板」と「金属回路」の間に介在していることが見てとれる。
ウ よって、上記アの(ア)ないし(ク)の記載事項及び図面を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「セラミックス基板と、該セラミックス基板の片面に接合層を介して形成され、回路パターンよりなる金属回路と、を備えたパワーモジュール等に使用される回路基板であって、金属回路は銅からなり、金属回路とセラミックス基板との間には、Cuを含むろう材にTiからなる活性金属成分を添加したろう材ペーストを用いて形成された接合層が介在しており、金属回路の厚みは0.1ないし2.0mmであり、回路基板断面において、接合層とセラミックス基板のなす接触角が90度以下とされ、接合層が金属回路の端部から金属回路の厚みの0.1倍以上1.0倍以下の長さはみ出している、パワーモジュール等に使用される回路基板。」
3 当審の判断
(1)本件発明1について
ア 対比
(ア)本件発明1と引用発明とを対比すると次のことがいえる。
a 引用発明の「セラミックス基板」、「回路パターンよりなる金属回路」及び「パワーモジュール等に使用される回路基板」は、本件発明1の「セラミックス基板」、「回路パターンを有する回路層」及び「パワーモジュール用基板」にそれぞれ相当する。
b 引用発明の「金属回路」が「銅からな」ることは、本件発明1の「前記回路層」が「Cu又はCu合金からな」ることに相当する。
c 引用発明の「金属回路の厚みは0.1ないし2.0mmであ」ることは、本件発明1の「前記回路層の厚さが0.1mm以上1.0mm以下の範囲内とされて」いることを含む。
しかし、本件発明1は「前記回路層の厚さ」の数値範囲が「0.1mm以上1.0mm以下」であるのに対し、引用発明は「金属回路の厚み」の数値範囲が「0.1ないし2.0mm」である点で、一応相違する。
d 本件発明1の「SnがCu中に固溶したCu-Sn層」と「Tiを含有するTi含有層」は、訂正された本件特許明細書の段落【0017】及び段落【0019】によれば、回路層とセラミックス基板を接合するものであるから、Cu-Sn層とTi含有層とを併せた構成は、回路層とセラミックス基板を接合する接合層といえる。
よって、引用発明の「金属回路とセラミックス基板との間には、Cuを含むろう材にTiからなる活性金属成分を添加したろう材ペーストを用いて形成された接合層が介在して」いることと本願発明1とは、「この回路層と前記セラミックス基板の界面には、接合層が介在して」いる点で共通する。
ただし、接合層が、本件発明1では「前記セラミックス基板側から順に、SnがCu中に固溶したCu-Sn層と、Tiを含有するTi含有層とが積層され」たものであるのに対し、引用発明ではそのような構造ではない点で相違する。
e 引用発明の「接触角が90度以下」であることは、本件発明1の「角度θが80°以上100°以下の範囲内」であることと一部数値範囲が重複する。
ただし、本件発明1では「前記セラミックス基板の表面と前記Cu-Sn層の端面がなす角度θが80°以上100°以下の範囲内」であるのに対して、引用発明では、「接合層とセラミックス基板のなす接触角が90°以下」である点で数値範囲が相違する。
f 本件発明1の「前記Cu-Sn層又は前記Ti含有層の前記回路層の端面からの最大突出長さLが2μm以上9.8μm以下の範囲内とされている」ことについて、引用発明にはその旨の特定がない点で相違する。
(イ)したがって、上記aないしfによれば、本件発明1と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
「セラミックス基板と、このセラミックス基板の一方の面に形成され、回路パターンを有する回路層と、を備えたパワーモジュール用基板であって、前記回路層は、Cu又はCu合金からなり、この回路層と前記セラミックス基板の界面には、接合層が介在しており、前記回路層の前記回路パターンの端部の断面形状において、前記セラミックス基板の表面と接合層の端面がなす角度が80°以上100°以下の範囲内とされるパワーモジュール用基板。」
(相違点1)
本件発明1は「前記回路層の厚さ」の数値範囲が「0.1mm以上1.0mm以下」であるのに対し、引用発明は「金属回路の厚み」の数値範囲が「0.1ないし2.0mm」である点で、一応相違する。
(相違点2)
接合層が、本件発明1では「前記セラミックス基板側から順に、SnがCu中に固溶したCu-Sn層と、Tiを含有するTi含有層とが積層され」たものであるのに対し、引用発明はそのような構造ではない点。
(相違点3)
本件発明1では「前記セラミックス基板の表面と前記Cu-Sn層の端面がなす角度θが80°以上100°以下の範囲」であるのに対して、引用発明では接合層と基板とのなす接触角が「90°以下」である点。
(相違点4)
本件発明1の「前記Cu-Sn層又は前記Ti含有層の前記回路層の端面からの最大突出長さLが2μm以上9.8μm以下の範囲内とされている」ことについて、引用発明にはその旨の特定がない点。
イ 判断
(ア)相違点2について
回路層とセラミックス基板とを接合層する接合層について、接合信頼性を高めることやクラックの発生を抑制することを目的として、セラミックス基板側から順に、SnがCu中に固溶したCu-Sn層と、Tiを含有するTi含有層とが積層された接合層を用いることは、例えば、引用文献2(段落【0006】、段落【0018】、段落【0021】、段落【0025】、段落【0052】及び【表1】の本発明例1-13ないし1-16、【表2】の本発明例2-4を参照。)、引用文献4(段落【0007】ないし段落【0010】)に記載されるように周知技術である。
してみると、引用発明においても、接合信頼性を高めることやクラックの発生を抑制するために上記周知技術を適用して、接合層を、セラミックス基板側から順に、SnがCu中に固溶したCu-Sn層と、Tiを含有するTi含有層とが積層されたものとして、相違点1に係る構成をなすことは当業者が容易になし得たことである。
(イ)相違点4について
上記(ア)において説示したとおり、引用発明の接合層に、上記周知技術に係るSnがCu中に固溶したCu-Sn層とTiを含有するTi含有層とが積層された接合層を適用することは、当業者が容易になし得たことである。
ここで、引用発明は「金属回路の厚みは0.1ないし2.0mmであり」、「回路基板断面において」、「接合層が金属回路の端部から金属回路の厚みの0.1倍以上、1.0倍以下の長さはみ出している」から、金属回路の厚みを下限の0.1mmとした場合、金属回路の端部から接合層がはみ出している部分の長さは、0.01mm(10μm)ないし0.1mm(100μm)となり、9.8μmにはならない。また、0.1mmを超えた厚みにしても、当然に9.8μm以下にはならない。
そして、引用文献1には段落【0011】に「ろう材が銅板の縁よりも少なくとも外にはみ出しているように接合する事により、クラックが大幅に減少することを見出し、本発明に到達した。」と記載され、段落【0018】に「金属回路の厚みをT、接合層のはみ出し幅をwとした場合に、w/Tが0.1~1.0であることである。また、w/Tを1.0より大きくしても残留応力低減の効果は得られない。」と記載されており、引用発明は、残留応力を低減させるために「ろう材」の「金属回路」からはみ出す長さを大きくするものである。これに対し、訂正された本件特許明細書には段落【0007】に「回路パターンの端面(エッチング端面)においては、Cu-Sn層及び金属間化合物層が残存してしまうことがあった。ここで、残存したCu-Sn層及び金属間化合物層の形状によっては、回路層の回路パターンの端部に局所的に電荷が集中し、部分放電特性及び耐電圧特性が悪化するおそれがあった。」と記載され、段落【0059】に「セラミックス基板としてAlNを用いた表1の結果において、セラミックス基板の表面とCu-Sn層の端面とがなす角度θが80°以上100°以下の範囲内であり、Cu-Sn層又はTi含有層の前記回路層の端面からの最大突出長さLが2μm以上9.8μm以下の範囲内であった本発明例では、部分放電開始電圧が高く、部分放電特性及び耐電圧特性のよいパワーモジュール用基板が得られることが分かった。」と記載され、段落【0039】に「エッチングによって最大突出長さLを2μm未満とすることは困難である。」と記載されており、本件発明1は「部分放電開始電圧が高く、部分放電特性及び耐電圧特性のよいパワーモジュール用基板」を得るために「最大突出長さL」の上限を規定するものである。
してみると、引用発明は残留応力を低減させるために「ろう材」の「金属回路」からはみ出す長さを大きくするものであるのに対して、本件発明1は「部分放電開始電圧が高く、部分放電特性及び耐電圧特性のよいパワーモジュール用基板」を得るために「最大突出長さL」の上限を規定するものであるから、数値範囲の技術的意義が異なり、その数値の設定の方向は反対のものである。よって、引用発明において「ろう材」を周知技術に係るSnがCu中に固溶したCu-Sn層とTiを含有するTi含有層とが積層された接合層とした場合に、その「金属回路」からはみ出す最大長さを、「0.01mm(10μm)」よりも小さくして本件発明の「9.8μm以下」とすることは、当業者であっても容易になし得たことではない。
ウ したがって、本件発明1は、相違点1及び3について検討するまでもなく、引用発明、引用文献2及び4に記載された周知技術に基づき当業者が容易に発明できたものではないから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
(2)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1にさらに限定を加えたものであるから、引用発明と、引用文献2ないし4に記載された周知技術とに基づき当業者が容易に発明できたものではなく、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
4 小括
以上のとおり、請求項1ないし2に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、請求項1ないし2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、請求項1ないし2に係る特許は、同法第113条第2号に該当しないから、取り消されるべきものではない。
第5 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立理由の概要
訂正前の請求項1ないし2に係る特許に対して、特許異議申立人が令和2年10月21日付け異議申立書において主張する申立理由の概要は、次のとおりである。
(1)特許法第29条第2項について
請求項1に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証ないし甲第6号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得た発明であり、また、請求項2に係る発明は、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得た発明であって、特許法第29条第2項の規定に該当するため、請求項1及び2に係る発明は、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
(2)特許法第36条第6項第2号について
請求項1ないし2に係る発明は、本件特許明細書において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載されたものではなく、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるため、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。
2 甲第1号証ないし第6号証の記載事項
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(1)甲第1号証について
ア 甲第1号証には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審が付与したものである。
「【0001】本発明はパワーモジュール等に使用されるセラミックス回路基板の製造方法に関する。
【0002】EV(ElectricCar)などに搭載するパワーモジュールで用いるために、良好な熱伝導を有するセラミックス基板にロウ材を介して銅板を接合したセラミックス回路基板の需要が増えててきている。このような回路基板は、高熱伝導率を有する窒化珪素、窒化アルミニウム等のセラミックス基板の表面に活性金属を含むロウ材を塗布して、銅、アルミニウム等の金属板を載せて、加熱して接合した後に、金属板上にレジストをいわゆる回路パターンの形に印刷し、レジストで被覆されていない不要部分の金属板をエッチングにより除去する方法により一般に製造されている。
【0003】前記活性金属を含むろう材により形成されるセラミックス基板と銅板との接合層は、例えば、特許第3629783号に記載されているように、Ag、Cu及び活性金属としてTiを含むろう材を使用して窒化珪素焼結体と銅板とを接合した場合、銅板側に形成されたCu-Agを主成分とする合金層と、窒化珪素焼結体と接する側に形成された窒化チタンを主成分とする反応層とからなると考えられている。
【0004】回路パターン間の不要なロウ材は、前記金属板をエッチングする際に、同時にある程度除去されるが、条件によってはロウ材の前記合金層(例えば、Cu-Agを主成分とする層)及び反応層(例えば、窒化チタンを主成分とする層)が完全に除去されずその一部が残る場合がある。ろう材の一部が残存すると、隣り合う回路パターン間の絶縁性が低下したり、ショートしたりするという問題が生じる。
「【0101】・・・(中略)・・・実施例1~10及び比較例1で作製したセラミックス回路基板について、配線間の絶縁抵抗を測定した。絶縁抵抗は、図5に示すように、銅板からなる金属板M1の任意の箇所及び金属板M2の任意の箇所に接するように、それぞれ絶縁抵抗試験用の球形電極A、Bを配置し、金属板M1と金属板M2との間に1000Vの直流電圧を印圧し、30秒後の抵抗値を絶縁抵抗値とした。金属板M1及び金属板M2間の距離は1mmとした。絶縁抵抗は、各実施例及び比較例ともに10枚のセラミックス回路基板について求めた抵抗値の最小値で評価した。その結果、合格品(ロウ材はみ出し部0.2mm以下)では端子間で500MΩ/mm以上の絶縁抵抗が確保できていたが、不合格品(ロウ材はみ出し部0.2mm超)では端子間で500MΩ/mm未満の絶縁抵抗となった。」
「【請求項1】セラミックス基板にロウ材を介して金属板を接合して接合体を得る接合工程と、前記接合した金属板をエッチングして回路パターンを形成するパターン形成工程とを有するセラミックス回路基板の製造方法であって、前記ロウ材がAgを含み、前記回路パターンを形成した基板を、さらにカルボン酸及び/又はカルボン酸塩、並びに過酸化水素を含む酸性の溶液でエッチングして不要なロウ材を除去する工程を有することを特徴とするセラミックス回路基板の製造方法。」
「【請求項12】請求項1~11のいずれかに記載のセラミックス回路基板の製造方法において、前記金属板が銅板であり、前記パターン形成工程において前記接合した金属板をエッチングためのエッチング液が、銅エッチング溶液であることを特徴とするセラミックス回路基板の製造方法。」
「【請求項13】請求項1~12のいずれかに記載のセラミックス回路基板の製造方法において、前記ロウ材が、Ag、Cu及び活性金属を含有することを特徴とするセラミックス回路基板の製造方法。」
イ 甲第1号証の上記記載事項より、次のことがいえる。
(ア)甲第1号証の段落【0001】には「本発明はパワーモジュール等に使用されるセラミック回路基板の製造方法に関する。」と記載され、甲第1号証の段落【0002】には「セラミックス基板にロウ材を介して銅板を接合したセラミックス回路基板」、及び、「このような回路基板は」「セラミックス基板の表面に活性金属を含むロウ材を塗布して、銅」「等の金属板を載せて、」「金属板上にレジストをいわゆる回路パターンの形に印刷し、レジストで被覆されていない不要部分の金属板をエッチングにより除去する方法により一般に製造されている」と記載されている。
よって、甲第1号証には、「セラミックス基板にロウ材を介して」「接合」された「銅板」を有する、「パワーモジュール等に使用されるセラミックス回路基板」が記載されている。
また、「セラミックス基板の表面に活性金属を含むロウ材を塗布して」載せた「銅」「の金属板」が「銅板」であることは明らかであり、「銅」「の金属板」上に「レジストを」「回路パターンの形に印刷し、被覆されていない不要部分の金属板をエッチングにより除去」したものが「回路パターンの形」を有することも明らかである。
よって、甲第1号証には、「銅板」が「回路パターンの形」を有することが記載されている。
(イ)甲第1号証の段落【0003】には「Ag、Cu及び活性金属としてTiを含むろう材を使用」することが記載されている。
ウ よって、上記イによれば、甲第1号証には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
「セラミックス基板にロウ材を介して接合された銅板を有する、パワーモジュール等に使用されるセラミックス回路基板であって、銅板は回路パターンの形を有し、ロウ材はAg、Cu及び活性金属としてTiを含む、ことを特徴とするセラミックス回路基板。」
(2)甲第2号証について
甲第2号証には、以下の事項が記載されている。
「【0001】この発明は、セラミックス部材とCu部材とを強固に接合した接合体の製造方法、およびこの接合体の製造方法を用いるパワーモジュール用基板の製造方法に関するものである。」
「【0018】・・・(中略)・・・接合体10は、図1に示すように、セラミックス部材11と、このセラミックス部材11の一方の面11a(図1において上面)側に配設され、ろう材を介して接合されたCu部材12と、からなる。」
「【0052】・・・(中略)・・・AlNからなるセラミックス基板(40mm×40mm×0.635mmt)の一方の面に、表1記載のろう材、活性金属材(厚さ6μmの箔)、無酸素銅からなるCu板(37mm×37mm×0.3mmt)を順に積層する。」
「【0055】【表1】[図:0001384030000007.jpg]」
「【0059】【表2】[図:0001384030000008.jpg]」
(3)甲第3号証について
(ア)甲第3号証には、以下の事項が記載されている。
「【0001】本発明は、回路基板およびそれを用いた電子装置に関するものである。」
「【0002】例えばIGBT(InsulatedGateBipolarTransistor)等の電子部品を有するパワーモジュールまたはスイッチングモジュール等の電子装置に用いられる回路基板として、例えばセラミックスからなる絶縁基板に銅またはアルミニウム等の金属回路板が接合された回路基板が用いられている。このような回路基板として、例えば下記特許文献1に示されているものがある。【0003】回路基板において、金属回路板は、ろう材層によって絶縁基板に接合されており、電子部品が電気的に接続されるかまたは電子部品が接合される。例えば複数の金属回路板を有する回路基板において、電子装置の小型化に伴って複数の金属回路板同士の間隔を低減させつつ規定電流を増大させるために、金属回路板の位置精度または寸法精度を向上させることが要求されている。金属回路板の位置精度または寸法精度を向上させるためには、絶縁基板に金属板をろう材層を介して接合した後、エッチング処理によって金属板の不要な部分を除去して金属回路板を形成する方法が好適である。」
「【0013】回路基板10は、絶縁基板1と、絶縁基板1の上面に設けられたろう材層2と、ろう材層2の上面に設けられた保護層3と、保護層3を介してろう材層2によって絶縁基板1の上面に接合された金属回路板4とを備えている。」
「【0017】例えば金属回路板4および放熱板6が銅から成る場合、ろう材層2を形成するためのろう材ペーストは、銀および銅粉末,銀-銅合金粉末,またはこれらの混合粉末から成る銀ろう材(例えば、銀:72質量%-銅:28質量%)粉末に、チタン,ハフニウム,ジルコニウムまたはその水素化物等の活性金属を銀ろう材に対して2~5質量%添加混合し、適当なバインダーと有機溶剤・溶媒とを添加混合し、混練することによって製作される。接合温度またはろう材の硬度を低下させる目的でインジウム(In)またはスズ(Sn)を1~10質量%程度添加しても良い。」
「【0019】保護層3の端は、平面視において金属回路板4の配置領域の外側にある。保護層3の端とは、平面視における保護層3の輪郭線のことをいい、例えば保護層3が平面視において長手方向を有する形状である場合でも長手方向における端に限られない。・・・(略)・・・」
「【0021】保護層3は、金属回路板4となる金属板にエッチングを施すときにエッチング液からろう材層2を保護するという機能を有している。保護層3は、例えば金属板として銅板を用いた場合には、銅用のエッチング液に侵されにくい金属であれば良く、例えばニッケル(Ni)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、金(Au)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、またはルテニウム(Ru)等が挙げられる。」
「【0024】金属回路板4および放熱板6は、銅またはアルミニウム等の金属から成り、例えば銅のインゴット(塊)に圧延加工法または打ち抜き加工法等の機械的加工、またはエッチング等の化学的加工のような金属加工法を施すことによって、例えば厚さが0.05~1mmの平板状で所定パターンに形成される。金属回路板4および放熱板6は、絶縁基板1と同程度の大きさおよび形状の金属板を絶縁基板1に接合した後にエッチングで所定パターン形状に加工すると、高精度で精細なパターンを形成できるようになる。」
「【0026】金属回路板4または放熱板6となる金属板を絶縁基板1にろう材2によって接合するには、金属板および絶縁基板1の少なくとも一方における接合面にスクリーン印刷等でろう材ペーストを例えば30~50μmの厚さで所定パターンに印刷塗布して、所定の構造となるように金属板によって絶縁基板1を挟んだ後、金属板に5~10kPaの荷重をかけながら真空中または非酸化性雰囲気中で780℃~900℃、10~120分間加熱し、ろう材ペーストの有機溶剤、溶媒、および分散剤を気体に変えて発散させるとともにろう材層2を溶融させることによって行なわれる。」
「【0029】・・・(中略)・・・保護層3の端31が金属回路板41の端41からずれていることによって、仮に金属回路板4用の金属板にエッチング処理を施す際にろう材層2において保護層3から露出されている部分に空隙21が生じたとしても、空隙21は金属回路板4の端41からずれた位置に生じる。【0030】・・・(中略)・・・保護層3の端31がろう材層2の端と同じ位置にあったとしても、保護層3の端31が金属回路板41の端41からずれていることによって、仮にろう材層2の側面に空隙21が生じたとしても、空隙21は金属回路板4の端41からずれた位置に生じる。」
(4)甲第4号証について
ア 甲第4号証には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審が付与したものである。
「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、高い信頼性、放熱性を要する電子部品のパワーモジュール等に使用される回路基板に関する。」
「【0006】(2)セラミックス基板の全面にろう材ペーストを塗布し、それを覆うように全面に金属板を接合し、回路面とする金属板上に回路パターンをエッチングレジストにより形成させた後、エッチング処理して不要回路、接合材を部分除去するフルエッチ法。」
「【0012】すなわち本発明は、セラミックス基板の片面に金属回路が、その反対面に金属放熱板が接合層を介して形成されてなる回路基板であって、接合層が金属部材の端部から金属部材の厚みの0.1倍以上、1.0倍以下の長さはみ出している回路基板である。」
「【0013】さらに、本発明は接合層とセラミックス基板のなす角が90度以下である上記の回路基板である。」
「【0017】本発明において、セラミックス基板に形成される金属回路もしくは金属回路と金属放熱板について説明すると、その材質は、銅、ニッケル、アルミニウム、モリブデン、タングステン等の純金属もしくは合金が用いられる。その金属回路又は金属放熱板の厚みは0.1~2.0mmが好ましい。【0018】本発明において重要なことは、図1に示す回路基板断面略図において、金属回路の厚みをT、接合層のはみ出し幅をwとした場合に、w/Tが0.1~1.0であることである。 また、w/Tを1.0より大きくしても残留応力低減の効果は得られない。また図2に示すように接合層と基板とのなす接触角を90度以下に好ましくは45度以下にすると、更に残留応力を低減する効果がありクラック防止に有効である。」
「【0020】本発明に係る接合層はろう材ペーストを用いて形成されたものである。ここで使用されるろう材ペーストは、例えば金属回路又は金属放熱板の材質がCuである場合、AgもしくはCuもしくはAgとCuを含むろう材である。また基板が窒化アルミニウム、又は窒化珪素である場合、適宜Ti、Zr等からなる活性金属成分をろう材に添加することが出来る。」
イ 上記記載より、甲第4号証には以下の技術的事項が記載されている。
(ア)段落【0017】によれば、「金属回路」の「厚み」は「0.1~2.0mm」である。
(イ)段落【0012】及び段落【0018】によれば、回路基板断面略図において「接合層とセラミックス基板のなす接触角」が「90度以下」とされ、「接合層」は「金属回路」の「端部から金属回路の厚みの0.1倍以上1.0倍以下の長さはみ出している」ものである。
(5)甲第5号証について
甲第5号証には、以下の事項が記載されている。
「【請求項2】活性金属を含む接合層を、金属回路の下端部から内側及び/又は外側にはみ出させて金属回路がセラミックス基板に接合されてなるものであって、金属回路同士間、接合層同士間及び金属回路と接合層との間の間隔のうち最短間隔が0.5~1.0mm、金属回路の下端部からのはみ出し接合層の長さが-50μm(内側に50μm)~+30μm(外側に30μm)、及び金属回路の下端部と上端部との寸法差が50~100μmであることを特徴とする回路基板。」
「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品のパワーモジュール等に使用される回路基板に関する。」
「【0010】本発明の回路基板の形状の一例を示す部分概略断面図を図1、図2に示す。図1は、接合層が金属回路の下端部から外側にはみ出た例であり、図2は接合層が外側と内側にはみ出た例である。図において、1は金属回路、2は接合層、3はセラミックス基板であり、またtは金属回路の厚み、aははみ出し接合層の長さ(+が外側、-が内側にはみ出ていることを示す)、bは金属回路の下端部と上端部との寸法差、cは金属回路同士間、接合層同士間及び金属回路と接合層との間の間隔のうちの最短間隔である。【0011】本発明の回路基板の前提条件は、金属回路とセラミックス基板とが活性金属を含む接合層により接合されていることであり、これは活性金属ろう付け法によって製造することができる。この場合、セラミックス基板の一方の面に金属回路、他方の面に金属放熱板を形成する方法としては、セラミックス基板と金属板との接合体をエッチングする方法、金属板から打ち抜かれた金属回路、放熱金属板のパターンをセラミックス基板に接合する方法等によって行うことがでる。」
「【0013】活性金属ろう付け法については、例えば特開昭60-177634号公報に記載されている。活性金属ろう付け法におけるろう材の金属成分は、銀と銅を主成分とし、溶融時のセラミックス基板との濡れ性を確保するために活性金属を副成分とする。活性金属成分は、セラミックス基板と反応して酸化物や窒化物を生成し、ろう材とセラミックス基板との結合を強固なものにする。活性金属の具体例をあげれば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、バナジウムやこれらの化合物である。【0014】次に、本発明の回路基板においては、金属回路の厚みtが0.3mm以上、特に0.3~0.5mmが好ましい。0.3mmよりも薄いと高電流密度の要求に対応することができない。金属放熱板を形成させる場合は、その厚みは0.2mm以上であることが好ましい。金属回路及び金属放熱板の材質としては、銅又は銅合金が一般的であるが、これに限定されることはない。」
「【0016】更に、本発明においては、上記最短間隔cにおける150℃の絶縁抵抗が1×1011Ω・cm以上である。絶縁抵抗がこれよりも小さいと5.0kV及び0.5mAの電流が流れたときに絶縁破壊を起こしてしまう。【0017】このような絶縁抵抗にするには、上記最短間隔cを0.5mm以上とすると共に、金属回路の下端部からのはみ出し接合層の長さaを-50μm(内側に50μmはみ出している意味)から+30μm(外側に30μmはみ出している意味)、好ましくは-20μm~+20μmとすることである。なお、-50μmよりも更に内側に接合層をはみ出させることによって絶縁抵抗を更に大きくすることができるが、この場合はセラミックス基板と金属回路との空隙に微少な異物が入り込み易くなり、実装時の加熱によってその異物が外に出て不具合を起こしたり、ヒートサイクルに対する耐久性が悪くなる。」
(6)甲第6号証について
甲第6号証には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
「【0001】本発明は、高耐電圧の回路基板及びその製造方法に関する。【0002】・・・(中略)・・・従来、パワーモジュール等に利用される回路基板は、セラミックス基板として、アルミナ、ベリリア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の材質を、熱伝導率、コスト、安全性等から選択し、それにCu、Al等の材質の金属回路や放熱板を厚付けして用いられてきた。この回路基板は、樹脂基板や樹脂層を絶縁材とする金属基板に対し、高い絶縁性が安定して得られる点が特長である。」
「【0004】高電圧に対する耐久性は、セラミックス基板厚みを厚くする、金属回路形状を変更する、などによって向上させることができる。しかし、高電圧を印可することによって生じる部分放電電荷量の増加や、金属回路表面からの放電防止はできない。部分放電電荷量が増大すると、その部分で局所的な材料劣化が起こり最終的には絶縁破壊に至る恐れがある。この問題は、沿面距離を広く取ることによって解決できるが、回路基板サイズが大きくなるので推奨できる方法ではない。そこで、回路基板の金属回路とセラミクス基板の材質ないしは形状等の観点からの検討が行われているが、良好な解決策が見いだされていないのが現状である。」
「【0011】本発明の回路基板は、セラミックス基板と金属回路とが接合層を介して接合された構造を基本としている。・・・(略)・・・」
「【0013】金属回路又は金属放熱板の材質としては、Al、Cu又はAl-Cu合金であることが好ましい。」
「【0017】接合層は、セラミックス基板に金属回路又は金属放熱板を活性金属ろう付け法によって接合したときに形成される。ろう材の金属成分は銀及び/又は銅を主成分とし、溶融時のセラミックス基板との濡れ性を確保するためにチタンを副成分とする。・・・(略)・・・」
「【0040】【表1】[図:0001384030000009.jpg]」
「図2[図:0001384030000010.jpg]」
3 当審の判断
(1)進歩性(特許法第29条第2項)の判断について
ア 本件発明1について
(ア)本件発明1と甲1発明とを対比する。
a 甲1発明の「セラミックス基板」及び「回路パターンの形を有」する「銅板」は、本件発明1の「セラミックス基板」及び「回路パターンを有する回路層」に相当する。
しかし、本件発明1が「前記回路層の厚さが0.1mm以上1.0mm以下の範囲内とされて」いるのに対し、甲1発明は「銅板」の厚さについて特定されていない点で相違する。
b 甲1発明の「セラミックス基板にロウ材を介して接合された銅板を有する、パワーモジュール等に使用されるセラミックス回路基板」は、「銅板は回路パターンを有」することを踏まえると、本件発明1の「セラミックス基板と、このセラミックス基板の一方の面に形成され、回路パターンを有する回路層と、を備えたパワーモジュール用基板」に相当する。
c 甲1発明の「銅板は回路パターンの形を有」することは、本件発明1の「前記回路層は、Cu又はCu合金からな」ることに相当する。
d 甲1発明の「ロウ材」は、「セラミックス基板」及び「銅板」との間に介在し、「活性金属としてTiを含む」ものであるから、本件発明1の「Tiを含有するTi含有層」に相当する。
しかし、本件発明1が「この回路層と前記セラミックス基板の界面には、前記セラミックス基板側から順に、SnがCu中に固溶したCu-Sn層と、Tiを含有するTi含有層とが積層されて」いるのに対し、甲1発明はそのような構成を有さない点で相違する。
また、本件発明1が「前記回路層の前記回路パターンの端部の断面形状において、前記セラミックス基板の表面と前記Cu-Sn層の端面がなす角度θが80°以上100°以下の範囲内とされ」るのに対し、甲1発明はそのような構成を有さない点で相違する。
更に、本件発明1が「前記Cu-Sn層又は前記Ti含有層の前記回路層の端面からの最大突出長さLが2μm以上9.8μm以下の範囲内とされている」のに対し、甲1発明はそのうような構成を有さない点で相違する。
(イ)上記aないしdによれば、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で一致ないし相違する。
(一致点)
「セラミックス基板と、このセラミックス基板の一方の面に形成され、回路パターンを有する回路層と、を備えたパワーモジュール用基板であって、前記回路層は、Cu又はCu合金からなりこの回路層と前記セラミックス基板の界面には、Tiを含有するTi含有層有する、パワーモジュール用基板。」
(相違点1)
本件発明1が「前記回路層の厚さが0.1mm以上1.0mm以下の範囲内とされて」いるのに対し、甲1発明は「銅板」の厚さについて特定されていない点。
(相違点2)
本件発明1が「この回路層と前記セラミックス基板の界面には、前記セラミックス基板側から順に、SnがCu中に固溶したCu-Sn層と、Tiを含有するTi含有層とが積層されて」いるのに対し、甲1発明はそのような構成を有さない点。
(相違点3)
本件発明1が「前記回路層の前記回路パターンの端部の断面形状において、前記セラミックス基板の表面と前記Cu-Sn層の端面がなす角度θが80°以上100°以下の範囲内とされ」るのに対し、甲1発明はそのような構成を有さない点。
(相違点4)
本件発明1が「前記Cu-Sn層又は前記Ti含有層の前記回路層の端面からの最大突出長さLが2μm以上9.8μm以下の範囲内とされている」のに対し、甲1発明はそのような構成を有さない点。
(ウ)上記相違点について検討する。
a 相違点2について
回路層とセラミックス基板とを接合層する接合層について、接合信頼性を高めることやクラックの発生を抑制することを目的として、セラミックス基板側から順に、SnがCu中に固溶したCu-Sn層と、Tiを含有するTi含有層とが積層された構成の接合層を用いることは、例えば、甲第2号証(段落【0018】、段落【0052】及び【表1】の本発明例1-13ないし1-16、【表2】の本発明例2-4を参照。)及び甲第3号証(段落【0013】、段落【0017】、段落【0019】及び段落【0021】)に記載されるように周知技術である。
してみると、甲1発明においても、接合信頼性を高めることやクラックの発生を抑制するために上記周知技術を適用して、ロウ材を、セラミックス基板側から順に、SnがCu中に固溶したCu-Sn層と、Tiを含有するTi含有層とが積層されたものとして、相違点2に係る構成をなすことは当業者が容易になし得たことである。
b 相違点4について
上記相違点2について説示したとおり、甲1発明のロウ材に周知技術に係るSnがCu中に固溶したCu-Sn層とTiを含有するTi含有層とが積層された接合層を適用することは、当業者が容易になし得たことである。
また、上記「第5 2 (4)イ」に記載されているように、甲第4号証には、金属回路の厚みは0.1~2.0mmであること、接合層は金属回路の端部から金属回路の厚みの0.1倍以上1.0倍以下の長さはみ出していることが記載されている。しかし、金属回路の厚みを下限の0.1mmとした場合、金属回路の端部から接合層がはみ出している部分の長さは、0.01mm(10μm)ないし0.1mm(100μm)となり、9.8μmにはならない。また、0.1mmを超えた厚みにしても、当然に9.8μm以下にはならない。
そして、甲第4号証には段落【0011】に「ろう材が銅板の縁よりも少なくとも外にはみ出しているように接合する事により、クラックが大幅に減少することを見出し、本発明に到達した。」と記載され、段落【0018】に「金属回路の厚みをT、接合層のはみ出し幅をwとした場合に、w/Tが0.1~1.0であることである。また、w/Tを1.0より大きくしても残留応力低減の効果は得られない。」と記載されており、甲第4号証には、残留応力を低減させるために「ろう材」の「金属回路」からはみ出す長さを大きくすることが記載されている。これに対し、訂正された本件特許明細書には段落【0007】に「回路パターンの端面(エッチング端面)においては、Cu-Sn層及び金属間化合物層が残存してしまうことがあった。ここで、残存したCu-Sn層及び金属間化合物層の形状によっては、回路層の回路パターンの端部に局所的に電荷が集中し、部分放電特性及び耐電圧特性が悪化するおそれがあった。」と記載され、段落【0059】に「セラミックス基板としてAlNを用いた表1の結果において、セラミックス基板の表面とCu-Sn層の端面とがなす角度θが80°以上100°以下の範囲内であり、Cu-Sn層又はTi含有層の前記回路層の端面からの最大突出長さLが2μm以上9.8μm以下の範囲内であった本発明例では、部分放電開始電圧が高く、部分放電特性及び耐電圧特性のよいパワーモジュール用基板が得られることが分かった。」と記載され、段落【0039】に「エッチングによって最大突出長さLを2μm未満とすることは困難である。」と記載されており、本件発明1は「部分放電特性及び耐電圧特性の悪化を抑制する」ために、「最大突出長さL 」の上限を規定するものである。
してみると、甲第4号証に記載された技術事項は残留応力を低減させるために「ろう材」の「金属回路」からはみ出す長さを大きくするものであるのに対して、本件発明1は「部分放電特性及び耐電圧特性の悪化を抑制する」ために「最大突出長さL」を小さくするものであるから、数値範囲の技術的意義が異なり、その数値の設定の方向は反対のものである。よって、甲1発明において「ロウ材」を周知技術に係るSnがCu中に固溶したCu-Sn層とTiを含有するTi含有層とが積層された接合層とした場合に、甲第4号証に記載された技術事項を適用し、「回路パターンの形を有」する「銅板」からはみ出す最大長さを、「0.01mm(10μm)」よりも小さくして本件発明の「9.8μm以下」とすることは、当業者であっても容易になし得たことではない。
また、甲第1号証には段落【0082】に「前記ロウ材はみ出し部Dの長さが0.2mm未満である試料、又は前記ロウ材はみ出し部Dが観察されない試料は金属板の間で絶縁性が確保されるので合格と判定し」と記載され、甲第5号証には段落【0017】に「このような絶縁抵抗にするには、金属回路の下端部からのはみ出し接合層の長さaを-50μm(内側に50μmはみ出している意味)から+30μm(外側に30μmはみ出している意味)、好ましくは-20μm~+20μmとすることである。」と記載され、甲第6号証には段落【0039】及び段落【0040】に「はみ出し長さ(a部)」を「14μm」とした「比較例」が記載されている。しかし、はみ出す長さを「2μm以上9.8μm以下」の範囲に制御することは、いずれの文献にも記載されておらず、周知技術とはいえない。
以上のとおりであるから、甲1発明において「ロウ材」を周知技術に係るSnがCu中に固溶したCu-Sn層とTiを含有するTi含有層とが積層された接合層とした場合に、その「金属回路」からはみ出す最大長さを「2μm以上9.8μm以下」とすることは、当業者であっても容易になし得たことではない。
したがって、本件発明1は、相違点1及び3について検討するまでもなく、甲1発明と甲第2号証、甲第4号証ないし甲第6号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。
イ 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の全ての構成を含み、さらに他の構成を付加したものであるから、上記と同様な理由により、甲1発明及び甲2号証ないし甲6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。
ウ 小括
請求項1ないし2に係る発明は、甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、請求項1ないし2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
以上から、特許異議申立人の主張を採用することはできない。
(2)明確性(特許法第36条第6項第1号)の判断について
ア 特許異議申立人は異議申立書において以下のとおり主張している。
まず、訂正された本件特許明細書の段落【0057】及び段落【0058】の【表1】及び【表2】には、本発明例3、本発明例5、本発明例13、本発明例16、本発明例18、本発明例26の「回路パターン端部の断面形状」の「形態」が「図3(c)」であって、「角度θ」がそれぞれ「85°」、「81°」、「87°」、「80°」、「88°」であることが記載されている。これに対し、訂正された本件特許明細書の段落【0025】には、図3(c)について角度θは90°を超えて100°以下の範囲と記載されており、上記記載と矛盾する。
次に、訂正された本件特許明細書段落の【0057】及び段落【0058】の【表1】及び【表2】には、比較例1、比較例4の「回路パターン端部の断面形状」の「形態」が図3(c)であって、「角度θ」がそれぞれ「87°」であり、「最大突出長さL」が30.μmであることが記載されている。これに対し、訂正された本件特許明細書の段落【0025】には、図3(c)について角度θは90°を超えて100°以下の範囲で、最大突出長さLが15μm以内と記載されており、上記記載は矛盾する。
また、訂正された本件特許明細書の段落【0057】及び段落【0058】の【表1】及び【表2】には、比較例2、比較例3、比較例5、比較例6の「回路パターン端部の断面形状」の「形態」が図3(c)であって、「角度θ」がそれぞれ「65°」、「112°」、「67°」、「115°」であることが記載されている。これに対し、訂正された本件特許明細書の段落【0025】には、「図3(c)」について角度θは90°を超えて100°以下の範囲と記載されており、上記記載と矛盾する。
さらに、訂正された本件特許明細書の段落【0057】及び段落【0058】の【表1】及び【表2】には、本発明例7-12、20-25の「回路パターン端部の断面形状」の「形態」が「図4(d)」ないし「図4(f)」のいずれかであることが記載されている。しかし、訂正された本件特許明細書には「図4(d)」ないし「図4(f)」については何ら図示されておらず、本発明例7-12、20-25の回路パターンの端部形状がどのような形態であるか不明である。
以上のとおりであるから、本件発明1及び本件発明2は、訂正された本件特許明細書において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲内のものではなく、発明の詳細な説明に記載されたものではないから、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
イ しかし、上記「第2 1 (3)及び(4)」のとおり、訂正された本件特許明細書の段落【0057】及び段落【0058】の【表1】及び【表2】において本発明例3、本発明例5、本発明例13、本発明例16、本発明例18、本発明例26、比較例1、比較例2、比較例3、比較例4、比較例5、比較例6の「回路パターン端部の断面形状」の「形態」が、「角度θ」が鋭角であることに対応しない「図3(c)」から「-」に訂正され、本発明例7、本発明例10、本発明例20、本発明例23の「回路パターン端部の断面形状」の「形態」が、図面にない「図4(d)」ないし「図4(f)」から「図4(a)」に訂正され、本発明例8、本発明例9、本発明例12、本発明例21、本発明例22、本発明例25の「回路パターン端部の断面形状」の「形態」が、図面にない「図4(d)」ないし「図4(f)」から「図4(b)」に訂正され、本発明例11、本発明例24の「回路パターン端部の断面形状」の「形態」が、図面にない「図4(e)」から「-」に訂正されたため、上記出願人主張する不明な点は解消された。
したがって、特許異議申立人の主張を採用することはできない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2020-700815