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特許異議申立

2020-700700

湿潤剤を含む逆エマルションの形態の唇用組成物、及びそれを用いた処置方法

審判番号
2020-700700
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2016-542177
登録番号
6669654
請求日
2020年09月15日
審決日
2021年10月08日
公報発行日
2022年01月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ロレアル
  • 【権利者代理人】村山 靖彦
  • 【権利者代理人】実広 信哉
  • 【権利者代理人】堀江 健太郎
  • 【異議申立人】熊田 佳子
  • 【異議申立人】中嶋 美奈子
審判長/審判官
  • 審判長 岡崎 美穂
  • 審判官 原田 隆興
  • 審判官 冨永 みどり
分類
P1651.121-YAA(A61K) / P1651.537-YAA(A61K) / P1651.536-YAA(A61K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6669654号発明「湿潤剤を含む逆エマルションの形態の唇用組成物、及びそれを用いた処置方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6669654号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~18〕について訂正することを認める。 特許第6669654号の請求項1~4、6~9、11~16、18に係る特許を維持する。 特許第6669654号の請求項5、10、17についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6669654号の請求項1~18に係る特許についての出願は、平成26年12月22日に出願され、令和2年3月2日にその特許権の設定登録がされ、令和2年3月18日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和2年9月15日に特許異議申立人 熊田 佳子(以下、「申立人熊田」という。)、同年9月16日に特許異議申立人 中嶋 美奈子(以下、「申立人中嶋」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、令和2年12月17日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内に令和3年3月22日付け意見書及び訂正請求書を提出し、当審は、申立人熊田及び申立人中嶋に訂正請求があった旨を通知し(特許法第120条の5第5項)、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人熊田からは何ら応答はなく、申立人中嶋から令和3年5月21日付け意見書の提出があった。当審は、令和3年6月14日付けで取消理由(決定の予告)を通知し、特許権者は、その指定期間内に令和3年9月7日付け意見書及び訂正請求書を提出した(当該訂正請求書による訂正請求を「本件訂正請求」という。) なお、令和3年3月22日付けの訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げたものとみなす。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正請求は、一群の請求項〔1~18〕についてするものであり、その訂正の内容は、以下のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「油中水型エマルションタイプの化粧用組成物」 と記載されているのを、 「油中水型エマルションタイプの流体形態である唇用の化粧用組成物」 に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に 「炭化水素系又は無極性シリコーン油」 と記載されているのを、 「液体パラフィン又はそれらの誘導体、スクアラン、イソエイコサン、ナフタレン油、水添若しくは非水添ポリブテン、水添若しくは非水添ポリイソブテン、水添若しくは非水添ポリデセン;デセン/ブテンコポリマー、ポリブテン/ポリイソブテンコポリマー;又はそれらの混合物から選ばれる炭化水素系油又は非フェニルシリコーン油若しくはジメチコン断片を場合により含むフェニルシリコーン油から選ばれる無極性シリコーン油」 に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に 「極性又は無極性炭化水素系化合物、ワックス及びペースト状物質から選ばれる、融点が少なくとも30℃の少なくとも1種の固形化合物」 と記載されているのを、 「・マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、オゾケライト、ポリエチレンワックス、ポリメチレンワックス及びマイクロワックス、ワセリン、又はそれらの混合物を含む無極性炭化水素系化合物; ・エステルワックス、アルコールワックス、又はそれらの混合物を含む極性炭化水素系化合物 から選ばれる、融点が30℃から100℃の間の少なくとも1種の固形化合物」 に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項1に 「 - 式R1C00R2[式中、R1は、4~40個の炭素原子を含む、直鎖状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和の、又は芳香族の脂肪酸残基を表し、R2は、4~40個の炭素原子を含む、特に分枝状である炭化水素系鎖を表し、ただしR1及びR2の炭素原子の合計が、18個以上である]のモノエステル、 - 飽和である、脂肪酸トリグリセリド、例えば、ヘブタン酸トリグリセリド又はオクタン酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド及びそれらの混合物、トリへプタン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル又はC18~36酸トリグリセリド」 と記載されているのを、 「 - 式R1C00R2[式中、R1は、4~40個の炭素原子を含む、直鎖状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和の、又は芳香族の脂肪酸残基を表し、R2は、4~40個の炭素原子を含む、分枝状である炭化水素系鎖を表し、ただしR1及びR2の炭素原子の合計が、18個以上である]のモノエステル、 - ヘブタン酸トリグリセリド又はオクタン酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド及びそれらの混合物、トリへプタン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル又はC18~36酸トリグリセリドを含む飽和である、脂肪酸トリグリセリド」 に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項1に 「前記第1の油が、・・・から選ばれる、化粧用組成物」と記載されているのを、 「前記第1の油が、・・・から選ばれ、少なくとも炭化水素系植物油を含む、唇用の化粧用組成物」 に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項5を削除する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項6に「請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。」と記載されているのを、「請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。」に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項7に「請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。」と記載されているのを、「請求項1から4および6のいずれか一項に記載の組成物。」に訂正する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項8に「請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。」と記載されているのを、「請求項1から4、6および7のいずれか一項に記載の組成物。」に訂正する。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項9に「請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。」と記載されているのを、「請求項1から4および6から8のいずれか一項に記載の組成物。」に訂正する。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項10を削除する。 (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項11に「請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。」と記載されているのを、「請求項1から4および6から9のいずれか一項に記載の組成物。」に訂正する。 (13)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項12に「請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。」と記載されているのを、「請求項1から4、6から9および11のいずれか一項に記載の組成物。」に訂正する。 (14)訂正事項14 特許請求の範囲の請求項13に「請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。」と記載されているのを、「請求項1から4、6から9、11および12のいずれか一項に記載の組成物。」に訂正する。 (15)訂正事項15 特許請求の範囲の請求項14に「請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。」と記載されているのを、「請求項1から4、6から9および11から13のいずれか一項に記載の組成物。」に訂正する。 (16)訂正事項16 特許請求の範囲の請求項15に「請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。」と記載されているのを、「請求項1から4、6から9および11から14のいずれか一項に記載の組成物。」に訂正する。 (17)訂正事項17 特許請求の範囲の請求項16に「請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。」と記載されているのを、「請求項1から4、6から9および11から15のいずれか一項に記載の組成物。」に訂正する。 (18)訂正事項18 特許請求の範囲の請求項17を削除する。 (19)訂正事項19 特許請求の範囲の請求項18に「請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物」と記載されているのを、「請求項1から4、6から9および11から16のいずれか一項に記載の組成物」に訂正する。 2 訂正の適否について (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る「油中水型エマルションタイプの化粧用組成物」の発明を、「油中水型エマルションタイプの流体形態である唇用の化粧用組成物」に限定するものである。 これは「化粧用組成物」の用途を「唇用」に限定するもので、特許請求の範囲を減縮するものであるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アの理由から明らかなように、訂正事項1は、発明を特定する事項を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1は、願書に添付した請求項19及び20に基づいて導き出される構成である。 願書に添付した請求項19には「流体形態であることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。」、願書に添付した請求項20には「請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物を唇に塗布する、唇の処置方法。」と記載されており、「流体形態である」、「唇に塗布する」「組成物」、すなわち、「流体形態である唇用の組成物」が記載されているといえるから、訂正事項1は、願書に添付した請求項19及び20に記載された事項の範囲内のものである。 したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的について 訂正事項2は、訂正前の請求項1に記載されていた「炭化水素系又は無極性シリコーン油」との記載を、「液体パラフィン又はそれらの誘導体、スクアラン、イソエイコサン、ナフタレン油、水添若しくは非水添ポリブテン、水添若しくは非水添ポリイソブテン、水添若しくは非水添ポリデセン;デセン/プテンコポリマー、ポリブテン/ポリイソブテンコポリマー;又はそれらの混合物から選ばれる炭化水素系油又は非フェニルシリコーン油若しくはジメチコン断片を場合により含むフェニルシリコーン油から選ばれる無極性シリコーン油」に限定するものである。 これは「炭化水素系又は無極性シリコーン油」を特定の物質に限定するもので、特許請求の範囲を減縮するものであるから、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アの理由から明らかなように、訂正事項2は、発明を特定する事項を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に滴合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、願書に添付した請求項6に基づいて導き出される構成である。 願書に添付した請求項6には「前記不揮発性の炭化水素系又は無極性シリコーン油が、非フェニルシリコーン油;ジメチコン断片を場合により含むフェニルシリコーン油;炭化水素系油、例えば液体パラフィン又はそれらの誘導体、スクアラン、イソエイコサン、ナフタレン油、水添若しくは非水添ポリブテン、水添若しくは非水添ポリイソブテン、水添若しくは非水添ポリデセン;デセン/ブテンコポリマー、ポリブテン/ポリイソブテンコポリマー;又はそれらの混合物から選ばれることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。」と記載されており、訂正事項2は、願書に添付した請求項6に記載された事項の範囲内のものである。 したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に滴合するものである。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の請求項1に記載されていた「極性又は無極性炭化水素系化合物、ワックス及びペースト状物質から選ばれる、融点が少なくとも30℃の少なくとも1種の固形化合物」との記載を、「・マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、オゾケライト、ポリエチレンワックス、ポリメチレンワックス及びマイクロワックス、ワセリン、又はそれらの混合物を含む無極性炭化水素系化合物; ・エステルワックス、アルコールワックス、又はそれらの混合物を含む極性炭化水素系化合物 から選ばれる、融点が30℃から100℃の間の少なくとも1種の固形化合物」に限定するものである。 これは「固形化合物」を具体的な物質に限定するもので、特許請求の範囲を減縮するものであるから、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アの理由から明らかなように、訂正事項3は、発明を特定する事項を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は医面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、願書に添付した明細書の【0164】の「無極性ワックスは、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、オゾケライト、ポリエチレンワックス、ポリメチレンワックス及びマイクロワックス、並びにそれらの混合物から選ぶことができる」の記載、【0196】の「ペースト状化合物は、有利には、・・・ワセリン・・・から選ばれる」の記載、【0177】の「極性炭化水素系ワックスとして、エステルワックス及びアルコールワックスから選ばれるワックスが特に好ましい」の記載、及び【0150】の「固形化合物先に挙げている通り、本組成物の親油性相は、少なくとも1種の固形化合物を含み、融点は少なくとも30℃であり、好ましくは30℃から100℃の間であり、極性又は無極性炭化水素系化合物から選ばれる」の記載に基づいて導き出される事項である。 したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は固面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (4)訂正事項4 ア 訂正の目的について 訂正事項4は、「モノエステル」及び「飽和である、脂肪酸トリグリセリド」の具体的物質の記載において「特に」及び「例えば」の記載を削除し、「モノエステル」及び「飽和である、脂肪酸トリグリセリド」の具体的物質が選択肢であることを明確にするものであるから、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アの理由から明らかなように、訂正事項4は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、カテゴリーや対象、日的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項4は、具体的物質が選択肢であることを明確にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (5)訂正事項5 ア 訂正の目的について 訂正事項5は、「化粧用組成物」を「少なくとも炭化水素系植物油を含む、唇用の化粧用組成物」に限定するもので、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アの理由から明らかなように、訂正事項5は、発明を特定する事項を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるこ と 訂正事項5は、願書に添付した明細書の実施例において、「炭化水素系植物油を含む」組成物が実際に記載されていることから導き出される構成である。すなわち、実施例には、「第1の油」として「キョウニン油(アンズ核油; Desert Whale社製のキョウニン油)」という「炭化水素系植物油」を含む組成物が実際に記載されており、訂正事項5は、願書に添付した明細書の実施例に記載された技術的事項に請求項1を限定するものである。「唇用の」については、上記(1)訂正事項1と同様に判断される。 (6)訂正事項6、11、18 ア 訂正の目的について 訂正事項6、11、18は、それぞれ、訂正前の請求項5、10、17を削除するというものであるから、訂正事項6、11、18は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アに記載したとおり、訂正事項6、11、18は、訂正前の請求項5、10、17を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アの理由から明らかなように、訂正事項6、11、18は、訂正前の請求項5、10、17を削除するというものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (7)訂正事項7~10 ア 訂正の目的について 訂正事項7~10は、訂正前の請求項6~9の記載が訂正前の請求項5を引用する記載であったものを、訂正前の請求項5を削除したことに伴い、請求項5を引用しないように変更するものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アに記載したとおり、訂正事項7~10は、訂正前の請求項5を削除したことに伴い、請求項5を引用しないように変更するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アの理由から明らかなように、訂正事項7~10は、訂正前の請求項5を削除したことに伴い、請求項5を引用しないように変更するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (8)訂正事項12~17 ア 訂正の目的について 訂正事項12~17は、訂正前の請求項11~16の記載が訂正前の請求項5及び10を引用する記載であったものを、訂正前の請求項5及び10を削除したことに伴い、請求項5及び10を引用しないように変更するものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アに記載したとおり、訂正事項12~17は、訂正前の請求項5及び10を削除したことに伴い、請求項5及び10を引用しないように変更するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アの理由から明らかなように、訂正事項12~17は、訂正前の請求項5及び10を削除したことに伴い、請求項5及び10を引用しないように変更するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (9)訂正事項19 ア 訂正の目的について 訂正事項19は、訂正前の請求項18の記載が訂正前の請求項5、10及び17を引用する記載であったものを、訂正前の請求項5、10及び17を削除したことに伴い、請求項5、10及び17を引用しないように変更するものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アに記載したとおり、訂正事項19は、訂正前の請求項5、10及び17を削除したことに伴い、請求項5、10及び17を引用しないように変更するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記アの理由から明らかなように、訂正事項19は、訂正前の請求項5、10及び17を削除したことに伴い、請求項5、10及び17を引用しないように変更するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 3 まとめ 以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~18〕について訂正することを認める。 第3 本件各発明及び本件明細書の記載事項 1 本件各発明 本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1~18に記載の事項によって特定される発明を、本件発明1~18、まとめて、本件各発明ということがある。 【請求項1】 - 組成物の質量に対して15質量%~70質量%の、1種又は複数の保湿剤又は湿潤剤を含む水性相、 - 組成物の質量に対して30質量%~85質量%の親油性相 を含む油中水型エマルションタイプの流体形態である唇用の化粧用組成物であって、該親油性相は、 - 組成物の質量に対して1質量%~20質量%の、少なくとも1種の極性不揮発性炭化水素系の第1の油、 - 組成物の質量に対して5質量%~40質量%の、少なくとも1種の揮発性若しくは不揮発性の、液体パラフィン又はそれらの誘導体、スクアラン、イソエイコサン、ナフタレン油、水添若しくは非水添ポリブテン、水添若しくは非水添ポリイソブテン、水添若しくは非水添ポリデセン;デセン/ブテンコポリマー、ポリブテン/ポリイソブテンコポリマー;又はそれらの混合物から選ばれる炭化水素系油又は非フェニルシリコーン油若しくはジメチコン断片を場合により含むフェニルシリコーン油から選ばれる無極性シリコーン油であり、該組成物はジメチコン断片を場合によって有する少なくとも1種のフェニルシリコーン油を含む、シリコーン油、 - 組成物の質量に対して0.15質量%~20質量%の、 ・マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、オゾケライト、ポリエチレンワックス、ポリメチレンワックス及びマイクロワックス、ワセリン、又はそれらの混合物を含む無極性炭化水素系化合物; ・エステルワックス、アルコールワックス、又はそれらの混合物を含む極性炭化水素系化合物 から選ばれる、融点が30℃から100℃の間の少なくとも1種の固形化合物 を含み、 - ここで該組成物は、20質量%以下の合成起源の無極性炭化水素系化合物の親油性相を含み、 - 油中水型エマルションを得るための少なくとも1種の乳化界面活性剤系 を含み、 前記第1の油が、 - 式R1COOR2[式中、R1は、4~40個の炭素原子を含む、直鎖状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和の、又は芳香族の脂肪酸残基を表し、R2は、4~40個の炭素原子を含む、分枝状である炭化水素系鎖を表し、ただしR1及びR2の炭素原子の合計が、18個以上である]のモノエステル、 - ヘプタン酸トリグリセリド又はオクタン酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド及びそれらの混合物、トリヘプタン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル又はC18~36酸トリグリセリドを含む飽和である、脂肪酸トリグリセリド; - 炭化水素系植物油、および - これらの混合物 から選ばれ、少なくとも炭化水素系植物油を含む、唇用の化粧用組成物。 【請求項2】 多価アルコール、好ましくは2から6つのヒドロキシル基を含むC2~C8多価アルコール、糖、尿素及びそれらの誘導体、乳酸及びそれらの塩、ヒアルロン酸及びそれらの塩、AHA、BHA、ナトリウムピドレート、セリン、エクトイン及びそれらの誘導体、キトサン及びそれらの誘導体、コラーゲン、プランクトン、インペラタ・シリンドラ(Imperata cylindra)の抽出物、アクリル酸ホモポリマー、β-グルカン、トケイソウ油の混合物、アプリコット油、トウモロコシ油及びコメヌカ油、C-グリコシド誘導体、モスカータバラ油、亜鉛が豊富な微細藻類プロフィリジウム・クルエンタム(Prophyridium cruentum)の抽出物、アルギニン、又はそれらの混合物;特に多価アルコール、好ましくは、2から6つのヒドロキシル基を含むC2~C8の多価アルコール、ヒアルロン酸及びそれらの塩、並びにそれらの混合物から選ばれる、少なくとも1種の保湿剤又は湿潤剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。 【請求項3】 組成物の質量に対して10質量%以下の保湿剤又は湿潤剤、好ましくは組成物の質量に対して3質量%~10質量%の保湿剤又は湿潤剤を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。 【請求項4】 前記炭化水素系植物油が、ホホバ油、不飽和トリグリセリド、例えばヒマシ油、オリブ油、キシメニア油、ピラカキシ油、コリアンダー油、マカダミア油、トケイソウ油、アルガン油、ゴマ油、ブドウ種子油、アボカド油、キョウニン油(アンズ核油)、シア脂の液体画分又はカカオ脂の液体画分から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。 【請求項5】 (削除) 【請求項6】 前記揮発性の油が、シリコーン油、炭化水素系油、好ましくは無極性である炭化水素系油、又はフルオロ油、又はそれらの混合物から選ばれ、好ましくは揮発性のシリコーン油から選ばれることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項7】 前記揮発性若しくは不揮発性の、炭化水素系又は無極性シリコーン油の含有量が、組成物の質量に対して8質量%から30質量%の範囲であり;20質量%以下の合成起源の無極性炭化水素系化合物の親油性相を含むことを特徴とする、請求項1から4および6のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項8】 ジメチコン断片を有さない少なくとも1種のフェニルシリコーン油を含むことを特徴とする、請求項1から4、6および7のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項9】 1種又は複数の揮発性シリコーン油を含むことを特徴とする、請求項1から4および6から8のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項10】 (削除) 【請求項11】 ポリオールの脂肪酸エステル、例えば、モノ-、ジ-、トリ-若しくはセスキ-オレイン酸又はステアリン酸ソルビトール又はグリセリル、ラウリン酸グリセリル又はポリエチレングリコール; シリコーン界面活性剤、例えば、シリコーン主鎖のペンダント基であり又は末端にある、例えば6~22個の炭素原子を含むアルキル若しくはアルコキシ鎖を有するアルキル若しくはアルコキシジメチコンコポリオール; ポリオキシアルキレン化グリコール脂肪酸エステルタイプのポリマーから選ばれる、少なくとも1種の乳化界面活性剤系を含むことを特徴とする、請求項1から4および6から9のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項12】 前記乳化界面活性剤系が、ポリオールアルキルエステルから選ばれる、好ましくはグリセロール及び/又はソルビタンエステルから選ばれる、少なくとも1種の共界面活性剤も含むことを特徴とする、請求項1から4、6から9および11のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項13】 前記乳化界面活性剤系の含有量が、組成物の総質量に対して1質量%から6質量%、好ましくは、2質量%から6質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1から4、6から9、11および12のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項14】 前記水性相の含有量が、組成物の質量に対して15質量%から55質量%の範囲であることを特徴とする、請求項請求項1から4、6から9および11から13のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項15】 前記親油性相の含有量が、組成物の総質量に対して、40質量%から85質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1から4、6から9および11から14のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項16】 少なくとも1種の色素を含むことを特徴とする、請求項1から4、6から9および11から15のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項17】 (削除) 【請求項18】 請求項請求項1から4、6から9および11から16のいずれか一項に記載の組成物を唇に塗布する、唇の処置方法。 2 本件明細書の記載事項 (1)技術分野、背景技術 【0001】 本発明は、少なくとも1種の湿潤剤又は保湿剤と栄養付与油を含む親油性相とを含む、逆エマルションの形態である、唇を処置するための組成物に関する。 【0002】 本発明はまた、前記組成物を用いた唇の処置方法に関する。 【0003】 本発明は、より詳細には、唇に塗布されることを目的とした保湿性組成物、例えば、リップバーム又はリップセラムに関し、これらは、固体の形態でも流体の形態でもよい。これらの組成物の大部分は、無水であり、一般に、保湿剤/湿潤剤としてのグリセロール、及び比較的大きな含有量の無極性炭化水素系化合物、例えば、ポリブテン、ポリイソブテン(水素化されていても水素化されていなくてもよい)、パラフィン、液体ワセリンをも含み、供給形態に応じて、様々な含有量のワックス、特に無極性ワックス、又はペースト状化合物から選ばれる構造化剤を含む。 【0004】 組成物はまた、前述の成分の他に、より少量で水を含んで存在し、水中油型直接エマルションの形態である。 【0005】 これらの組成物が塗布される場合、これらの組成物は、唇の領域で水分を維持することに寄与する表面で閉塞性バリヤーを形成し、唇に潤いを与える。それによって、唇の外観及び柔らかさは改善される。 【0006】 しかしながら、保湿効果が持続せず、組成物の塗布を止めた後、その効果が程度の差はあれど速やかに低下することが判明している。 【0007】 更に、使用者が、これらの組成物の沈着物が唇に存在すると感じることを、外部の攻撃に対するバリヤー作用と関連付けることができたとしても、ある種の場合において、この沈着物はそれでもなお、重すぎ、べとべとしすぎているか、又は粘着性であると感じられる可能性があるままである。 【0008】 このため、効果が塗布を止めた後でも経時的により持続する及び沈着物が唇に対して軽く、わずかなべと付きしかないか又はべと付きがない、やや粘着性の唇用トリートメント組成物について調査が続いている。 (2)発明が解決しようとする課題 【0011】 したがって、本発明の目的は、前述の問題を克服すること及び塗布中唇の状態を改善するが、本組成物の塗布を止めてから数日後も、依然として感知できる組成物を提案することである。 (3)課題を解決するための手段 【0012】 これらのねらいは、本発明によって達成でき、その一対象は、 - 組成物の質量に対して8質量%~70質量%の、1種又は複数の保湿剤又は湿潤剤を含む水性相、 - 組成物の質量に対して30質量%から92質量%の親油性相 を含む油中水型エマルションタイプの化粧用組成物であって、該親油性相は、 - 組成物の質量に対して1質量%~20質量%の、少なくとも1種の極性不揮発性炭化水素系の第1の油 - 少なくとも1種の揮発性若しくは不揮発性の、炭化水素系又は無極性シリコーン油であり、該組成物は少なくとも1種のシリコーン油を含む、シリコーン油、 - 極性又は無極性炭化水素系化合物から選ばれる、融点が少なくとも30℃の少なくとも1種の固形化合物を含み、 - ここで該組成物は、20質量%を超える合成起源の無極性炭化水素系化合物の親油性相を含まず、 - 油中水型エマルションを得るための少なくとも1種の乳化界面活性剤系 を含む、化粧用組成物である。 【0013】 本発明の一対象はまた、前記組成物が唇に塗布される処置方法である。 【0014】 驚くべきことに、本組成物の塗布を止めてから数日後も、唇の柔軟性及び肌に潤いを与える感覚を改善する効果が依然として感知できるということが判明している。 【0015】 更に本発明による組成物は塗布が容易であり、べとつきがない輝きのある非粘着性の沈着物を残す。 (4)実施例 【0268】 次の組成物を調製する(別段示されない限り、含有量は、活物質の質量百分率として表される)。 【0269】 [図:0001380937000001.jpg] 【0270】 調製プロトコール 油性相の成分を、加熱パンに置き、全体を固体/ペースト状成分を融解する及び均質な混合物を得るために十分な温度にする。 【0271】 次いで、水性相の成分を、(Rayneriミキサーで)撹拌しながら加えて、逆エマルションを得る。 【0272】 唇における本組成物の沈着物は、速やかに乾燥する、均一で、薄く、軽く、べとつきがない及び粘着性がない沈着物を得る。 【0273】 唇の状態は、特に柔らかさが改善される。この効果は、処置を止めた後でも持続する。 (5)上記(1)~(4)の記載からみて、本件各発明の特徴は以下のとおりである。 ア 本発明は、少なくとも1種の湿潤剤又は保湿剤と栄養付与油を含む親油性相とを含む、逆エマルションの形態である、唇を処置するための組成物に関する。本発明はまた、前記組成物を用いた唇の処置方法に関する。(【0001】、【0002】) イ 唇に塗布されることを目的とした保湿性組成物は、保湿効果が持続せず、組成物の塗布を止めた後、その効果が程度の差はあれど速やかに低下することが判明している。 更に、使用者が、これらの組成物の沈着物が唇に存在すると感じることを、外部の攻撃に対するバリヤー作用と関連付けることができたとしても、ある種の場合において、この沈着物はそれでもなお、重すぎ、べとべとしすぎているか、又は粘着性であると感じられる可能性があるままである。 このため、効果が塗布を止めた後でも経時的により持続する及び沈着物が唇に対して軽く、わずかなべと付きしかないか又はべと付きがない、やや粘着性の唇用トリートメント組成物について調査が続いている。(【0006】~【0008】) ウ 本発明の目的は、前述の問題を克服すること及び塗布中唇の状態を改善するが、本組成物の塗布を止めてから数日後も、依然として感知できる組成物を提案することである。(【0011】) エ 本組成物の塗布を止めてから数日後も、唇の柔軟性及び肌に潤いを与える感覚を改善する効果が依然として感知できるということが判明している。更に本発明による組成物は塗布が容易であり、べとつきがない輝きのある非粘着性の沈着物を残す。(【0014】、【0015】) 唇における本組成物の沈着物は、速やかに乾燥する、均一で、薄く、軽く、べとつきがない及び粘着性がない沈着物を得る。唇の状態は、特に柔らかさが改善される。この効果は、処置を止めた後でも持続する。(【0272】、【0273】) 第4 取消理由、取消理由(決定の予告)の概要 <令和2年12月17日付け取消理由の概要> 取消理由1(新規性) 本件発明1~17は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1~5、9~12に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件発明1~17に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 取消理由2(進歩性) 本件発明1~18は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1~12に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1~18に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 <引用文献> 引用文献1:特開2013-103885号公報 (申立人熊田及び申立人中嶋の提出した甲1) 引用文献2:特開2012-41202号公報 (申立人熊田の提出した甲2) 引用文献3:特開2012-211114号公報 (申立人熊田の提出した甲3) 引用文献4:特開2002-47129号公報 (申立人熊田の提出した甲4) 引用文献5:特開2012-121835号公報 (申立人熊田の提出した甲5) 引用文献6:特表2013-542989号公報 (申立人熊田の提出した甲6) 引用文献7:特開2013-189478号公報 (申立人熊田の提出した甲7) 引用文献8:特開2003-63919号公報 (申立人中嶋の提出した甲2) 引用文献9:特開2009-19049号公報 (申立人中嶋の提出した甲3) 引用文献10:特開2000-44432号公報 (申立人中嶋の提出した甲4) 引用文献11:特開平11-228343号公報 (申立人中嶋の提出した甲5) 引用文献12:特開2007-291023号公報(申立人中嶋の提出した甲6) 引用文献13:化粧品原料製品カタログ、日清オイリオグループ株式会社、2008年11月、28,54頁(申立人中嶋の提出した甲7) 引用文献14:International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook, Twelfth Edition, 2008, Vol.2, p.2003,2004(申立人中嶋の提出した甲11) 引用文献15:化粧品原料辞典、日光ケミカルズ株式会社 外2名、平成3年11月29日、131頁、271頁、544頁(申立人中嶋の提出した甲8) 引用文献16:iKeda Buyer’s Guide、池田物産株式会社、2006年10月、52,53頁(申立人中嶋の提出した甲9) 引用文献17:化粧品ハンドブック、日光ケミカルズ株式会社 外2名、平成8年11月1日、16,17頁(申立人中嶋の提出した甲10) 参考文献A:カタログ「乳化・分散剤セレクションガイド ビューティーケア用シリコーン」、ダウ・東レ株式会社、令和2年9月7日(申立人熊田の提出した参考文献2) 参考文献B:カタログ「化粧品用シリコーン」、https://www.silicone.jp/catalog/pdf/pc_j.pdf、令和2年9月7日(申立人熊田の提出した参考文献1) 参考文献C:特開2000-86432号公報(申立人熊田の提出した参考文献3) 取消理由3(サポート要件) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 取消理由4(実施可能要件) 本件特許は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 取消理由5(明確性要件) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 <令和3年6月14日付け取消理由(決定の予告)の概要> 取消理由6(明確性要件) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 第5 引用文献の記載事項及び引用発明 1 引用文献1の記載事項及び引用発明1-1、1-2 (1) 【技術分野】 【0001】 本発明は、フェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物、皮膜形成性シリコーン樹脂、屈折率1.4~1.8の粉体を配合する凹凸補正化粧料に関し、更に詳細には本願の化粧料は、凹凸補正効果およびその持続性に優れ、化粧料の肌への収まりが良く化粧膜が柔らかい化粧料に関する。 【背景技術】 【0002】 従来より、肌を美しく見せるために、化粧料で肌表面を平滑にしたり、肌色を均一に整えたりしてきた。肌の表面は毛穴や皮溝により凹凸があり、化粧膜が時間とともに肌の凹部に集まり、化粧料が局在化することにより、毛穴やしわが目立ち、それにより肌色が不均一になり肌を美しく見せる効果が得られなくなることがあった。そこで、凹凸補正効果を目的とした化粧料の開発がなされてきた。 凹凸補正する方法として、低屈折率の粉体を用い光の拡散により毛穴や皮溝をぼかし目だなくする方法や、毛穴や皮溝に粉体を埋めて物理的に肌表面を平滑にする方法があった。 これらの方法は、塗布直後には効果を発揮するものの、表情の変化や、皮脂等により化粧膜が崩れてしまうことがあった。 そこで、特定の大きさのオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体と、揮発性シリコーンと、皮膜を形成するシリコーン樹脂を用いることや、特定の大きさの球状粒子と油剤を用いることにより、更に長時間毛穴等を目立たなくする方法が検討されてきた。(例えば、特許文献1、2参照) 【0003】 【特許文献1】特開平09-175940 【特許文献2】特開2005-281295 (2)【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、皮膜を形成するシリコーン樹脂は、化粧膜をしっかり形成するものの、硬い膜になり、皮膚の動きに追随できず、期待するほどの効果が得られない場合があった。また、球状粒子に加え、さらに効果を得るために部分架橋型のオルガノポリシロキサン重合物を用いた場合、化粧料の肌への密着が悪くズルズルして肌になじまず、化粧料の肌への収まりが悪く、化粧膜が均一にできないために凹凸補正効果を十分に発揮することができない場合があった。 【0005】 そこで、凹凸補正効果およびその持続性に優れ、化粧料の肌への収まりが良く、柔らかい化粧膜が得られる化粧料の開発が望まれていた。 (3) 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明者は、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った結果、低屈折率の粉体と部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を組合せることにより、凹凸補正効果を更に向上し、更に皮膜形成性シリコーン樹脂を配合することにより、化粧膜をしっかり形成させ、持続性を向上されることを考えた。これにより、化粧料がズルズルして肌になじまない点が減少し、化粧料の肌への収まりがある程度改善されたが、化粧膜の柔らかさを実現することはできなかった。そこで、フェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を用いたところ、化粧料の付着性が更に高まり、化粧料の肌への収まりが良くなること、化粧膜自体が柔らかくなり、低屈折率の粉体が均一に塗布され凹凸補正効果も向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。 【0007】 すなわち、本発明は、 次の成分(a)~(c); (a)フェニル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物 (b)皮膜形成性シリコーン樹脂 (c)屈折率1.4~1.8の粉体 を配合することを特徴とする凹凸補正化粧料を提供するものである。 (4) 【0013】 このようなフェニル基を含有する部分架橋型オルガノシロキサン重合物としては、例えば成分表示名称で(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマーが挙げられる。市販品としては、フェニル基を含有する部分架橋型オルガノシロキサン重合物に炭化水素油又はエステル油を配合したシリコーンゲルを挙げることができ、市販品として、例えば、KSG-18(15%ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン溶液)(信越化学工業社製)を具体的に挙げることができる。 【0014】 本発明で用いられる成分(a)の配合量は特に限定されないが、化粧料中0.05~10質量%(以下、単に「%」で示す。)が好ましく、更に好ましくは0.1~6%である。この範囲であれば、凹凸補正効果およびその持続性に優れ、化粧料の肌への収まりの良さ、化粧膜の柔らかさに優れた凹凸補正化粧料を得ることができる。 【0016】 トリメチルシロキシケイ酸としては、シロキサン構造を主骨格とした架橋構造を持つ化合物で、[(CH3)3SiO1/2]x[SiO2]yで表されるもの(Xは1~3、Yは0.5~8)等であり、シリコーン油で溶解した溶液も使用することができる。市販品としては、シリコンX-21-5250(50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、KF-7312T(60%メチルトリメチコン溶液)、KF-7312J(50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、KF-7312K(60%ジメチコン溶液)、KF-9021(50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)(何れも信越化学工業社製)、SR1000(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャッパン社製)等を使用することができる。 (5) 【0029】 本発明の凹凸補正化粧料は、上記成分(a)~(c)に加え、成分(d)フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサンを配合することにより、特に化粧料の肌への収まりが向上する。成分(d)フェニル基含有非架橋型オルガノポリシロキサンは、成分(a)とは異なり、架橋構造をもたず、フェニル基を含有するものであれば、いずれのものも使用することができるが、具体的には、成分表示名称で、例えば、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、フェニルトリメチコン、フェニルメチコン等を挙げることができ、その一種又は二種以上を用いることができる。 【0030】 本発明の凹凸補正化粧料における成分(d)の配合量は、特に限定されないが、0.05~20%が好ましく、0.1~10%が更に好ましい。成分(d)の含有量が、この範囲であると肌の凹凸を目立たなくする効果や化粧料の肌への収まりに優れた凹凸補正化粧料を得ることができる。 【0031】 本発明の凹凸補正化粧料は、上記成分(a)~(c)に加え、成分(e)の揮発性油剤を用いることにより、成分(b)の分散性や凹凸補正効果の持続をより向上することができる。成分(e)の揮発性油剤としては、1気圧、25℃において揮発性であり、具体的には、常圧における沸点が260℃以下のもので、軽質流動イソパラフィン、炭化水素、ヘキサメチルジシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルシクロペンタシロキサン、メチルトリメチコン、エチルトリシロキサン等の低分子鎖状ポリシロキサン、低重合度ジメチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の低分子環状のシリコーン油等を挙げることができる。市販品として、軽質流動イソパラフィンとしてはアイソパーH(エッソ化学社製)、イソドデカン(バイエル社製)、イソヘキサデカン(ユニケマ社製)、IPソルベント1620MU、IPソルベント2028MU、IPソルベント2835(以上、出光興産社製)、デカメチルシクロペンタシロキサンとしてはTFS405(東芝シリコーン社製)、SH245、DC345(東レ・ダウコーニング社製)、KF-995(信越化学工業社製)、メチルトリメチコンとしては、シリコーンTMF-1.5(信越化学工業社製)、メチルポリシロキサンとしてはKF-96L-2CS(信越化学工業社製)、デカメチルテトラシロキサンとしてはKF-96L-1.5CS(信越化学工業社製)、エチルトリシロキサンとしてはSILSOFTETS(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)などが挙げられる。 【0032】 成分(e)の揮発性油剤の配合量は特に限定されないが、0.5~40%が好ましく、更に好ましくは1~30%である。この範囲であれば、成分(b)の分散性を向上することができ凹凸補正効果の持続に優れた凹凸補正化粧料を得ることができる。 【0033】 本発明の凹凸補正化粧料は、上記成分(a)~(c)に加え、成分(f)のペースト油を用いることにより、肌への密着性をあげ化粧料の肌への収まりを向上することができる。成分(f)のペースト油としては、常温でペースト状を呈する油剤であり、ペースト状とは、30℃の粘度が5000~100000mPa・sのものを示す。本発明において、前記粘度は、試料を30℃で一日放置後、単一円筒型回転粘度計ビスメトロン型式VS-A1(芝浦システム社製)を用いて測定した。例えば、炭化水素、動物油、植物油、鉱物油、高級脂肪酸エステル、架橋型シリコーン油、フッ素系油等が使用できる。具体的には、ワセリン、パーム油の硬化油、ヤシ油の硬化油、モノステアリン酸硬化ヒマシ油、ラノリン、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型メチルフェニルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。市販品としては、ワセリンペンレコスノー(ペンレコ社製)、ポリブテン35R、ポリブテン100R、ポリブテン300R(何れも、出光石油化学社製)、サラコスHS、コスモール168シリーズ、ノムコートLAH(何れも、日清製油社製)等が挙げられる。 【0034】 成分(f)のペースト油の配合量は特に限定されないが、0.05~20%が好ましく、更に好ましくは0.1~15%である。この範囲であれば、肌への付着を向上させ化粧料の肌への収まりの良さに優れた凹凸補正化粧料を得ることができる。 【0035】 本発明の凹凸補正化粧料には、必要に応じて、通常の化粧料に配合可能な成分を適宜、配合することができる。例えば、成分(a)、(b)、(d)、(e)(f)以外の油剤、界面活性剤、アルコール類、水、成分(c)以外の粉体、紫外線吸収剤、ゲル化剤及び増粘剤、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、美容成分(美白剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤、ビタミン類、アミノ酸類等)等を配合することができる。 【0036】 油剤としては、固形油、液状油等が挙げられ、天然動植物油及び半合成油、炭化水素油、エステル油、グリセライド油、シリコーン油、高級アルコール、高級脂肪酸、有機溶剤等が例示される。固形油としてはカルナウバロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、セラックロウ、硬化油等の天然ロウ類、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の鉱物系ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エチレン・プロピレンコポリマー等の合成ワックス、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、コレステロール、フィトステロールなどの高級アルコール、ステアリン酸、ベヘン酸などの高級脂肪酸等を例示することができる。液状油で、天然動植物油及び半合成油としては、具体的にアボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カヤ油、肝油、キョウニン油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サザンカ油、サフラワー油、シナギリ油、シナモン油、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、綿実油、ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、落花生油、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。炭化水素油としては、スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、プリスタン等が挙げられる。エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、2-エチルヘキサン酸セチル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等が挙げられる。グリセライド油としては、アセトグリセライド、トリイソオクタン酸グリセライド、トリイソステアリン酸グリセライド、トリイソステアリン酸ジグリセライド、テトライソステアリン酸ジグリセライド、トリイソパルミチン酸グリセライド、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセライド、モノステアリン酸グリセライド、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、トリミリスチン酸グリセライド等が挙げられる。シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。高級アルコールとしてはオレイルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等が挙げられる。高級脂肪酸としてはオレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。 【0037】 界面活性剤としては、通常化粧料に使用されるものであれば特に制限はなく、何れのものも使用することができる。界面活性剤はアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が例示されるが、これらを必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。アニオン性界面活性剤として、具体的にはステアリン酸ナトリウムやパルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合等のカルボン酸塩、アルキルスルホン酸、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩とそのホルマリン縮合物のスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル及びアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステル硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アミドリン酸塩、N-アシルアミノ酸系活性剤等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、長鎖アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルエーテルジメチルアンモニウム塩、ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム塩等のアルキル4級アンモニウム塩や芳香族4級アンモニウム塩をはじめ、アルキルピリジニウム塩等のピリジニウム塩、アルキルジヒドロキシエチルイミダゾリン塩等のイミダゾリン塩、N-アシル塩基性アミノ酸低級アルキルエステル塩、そしてアルキルアミン塩、ポリアミン、アミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としてはソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ポリオキシエチレンメチルシロキサン・ポリオキシプロピレンオレイルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、ポリグリセリン変性オルガノポリシロキサンアルカノールアミド、糖エーテル、糖アミド等が挙げられる。両性界面活性剤としてはアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等のカルボベタイン型両性界面活性剤、アルキルスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤、N-脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩、N-脂肪酸アシル-N-カルボキシメトキシエチル-N-カルボキシメチルエチレンジアミン二塩等のアミドアミン型(イミダゾリン型)両性界面活性剤、N-[3-アルキルオキシ-2-ヒドロキシプロピル]アルギニン塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、アルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤等が挙げられる。 (6) 【0049】 本発明の凹凸補正化粧料の剤型としては、油中水型、油性型、水中油型、マルチプルエマルション、粉体型等が挙げられ、油中水型、油性型が好ましい。形態は、液状、半固形状、固形状等が挙げられ、半固形状から液状が好ましい。用途としては、凹凸補正用化粧料だけでなく、凹凸補正効果を期待するファンデーション、コンシーラー、頬紅、白粉、コントロールカラー、下地料、BBクリーム、アイカラー、口紅等のメーキャップ化粧料や乳液、クリーム、美容液、デイクリーム、日焼け止め等のスキンケア化粧料等に適用可能である。以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。 (7) 【0052】 (注1)KSG-18(信越化学工業社製) (注2)KSG-16(信越化学工業社製) (注3)KF-9021(信越化学工業社製) (注4)KP-545(信越化学工業社製) (注5)KSP-100(信越化学工業社製) (注6)KSP-300(信越化学工業社製) (注7)KF-56(信越化学工業社製) (注8)コスモール168ARNV(日清オイリオ社製) (注9)KF-9901(信越化学工業社製)にて3%表面処理 (注10)KF-6028P(信越化学工業社製) (注11)KF-6038(信越化学工業社製) (8) 【0057】 [実施例9] 油中水型ファンデーション (成分) (%) 1.(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー15% ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン溶液(注1) 3.0 2.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー15% シクロメチコン溶液(注12) 5.0 3.トリメチルシロキシケイ酸50%シクロメチコン溶液(注13)3.0 4.ポリアミド粉末(平均粒径14μ) 2.0 5.球状メタクリル酸メチルクロスポリマー粉末(平均粒径30μ)5.0 6.ジフェニルシロキシフェニルジメチコン(注7) 2.0 7.メチルトリメチコン 20.0 8.ヒドロキシステアリン酸コレステリル 5.0 9.ジメチコン処理酸化チタン(注9) 10.0 10.ジメチコン処理酸化鉄(注9) 2.5 11.マイカ 3.0 12.ジステアリルジモニウムヘクトライト 1.0 13.ポリシリコーン-13(注14) 1.5 14.ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(注11) 2.5 15.イソノナン酸イソトリデシル 3.0 16.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 2.0 17.メトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル 5.0 18.パラオキシ安息香酸メチル 0.2 19.1,3-ブチレングリコール 5.0 20.塩化ナトリウム 0.3 21.精製水 残量 22.香料 適量 (注12)KSG-15(信越化学工業社製) (注13)KF-7312J(信越化学工業社製) (注14)DOWCORNINGTORAYFZ-2233(東レ・ダウコーニング社製) 【0058】 (製造方法) (1)成分9~11、7の一部、14の一部を3本ローラーにて処理する。 (2)成分12を7の一部、14の一部にて膨潤させる。 (3)成分8、15を60℃にて加熱溶解し、(1)、(2)、成分1~6、7の残部、14の残部、16~17、22を添加し、均一に混合する。 (4)成分18~21を均一に混合溶解後、(3)に添加し乳化する。 (5)(4)を脱泡し、容器に充填して油中水型ファンデーションを得た。 【0059】 (結果) 実施例9の油中水型ファンデーションは、凹凸補正効果、凹凸補正効果の持続性、化粧料の肌への収まりの良さ、化粧膜の柔らかさに優れたものであった。 (9) 【0060】 [実施例10] 油中水型下地料 1.(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー15% -1ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン溶液(注1) 8.0 2.(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー30% トリエチルヘキサノイン溶液(注15) 3.0 3.トリメチルシロキシケイ酸50%シクロメチコン溶液(注3) 2.0 4.ラウロイルリシン 1.0 5.ポリアクリル酸アルキル粉末(平均粒径10μ) 5.0 6.ジフェニルジメチコン(注16) 2.0 7.球状ポリアミド粉末(平均粒径8μ) 5.0 8.デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0 9.ワセリン 2.0 10.ジメチコン処理酸化チタン(注9) 5.0 11.ジメチコン処理酸化鉄(注9) 1.0 12.合成金雲母 3.0 13.ジステアリルジモニウムヘクトライト 1.0 14.PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(注10)1.5 15.ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(注11) 2.5 16.イソノナン酸イソトリデシル 3.0 17.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 2.0 18.メトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル 5.0 19.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 1.0 20.パラオキシ安息香酸メチル 0.2 21.グリセリン 5.0 22.塩化ナトリウム 0.3 23.精製水 残量 24.香料 適量 (注15)KSG-43(信越化学工業社製) (注16)KF-54(信越化学工業社製) 【0061】 (製造方法) (1)成分10~12、8の一部、14の一部を3本ローラーにて処理する。 (2)成分9、16を60℃にて加熱溶解し、(1)、成分1~7、8の残部、13、14の残部、15、17~19、24を添加し、均一に混合する。 (3)成分20~23を均一に混合溶解後、(2)に添加し乳化する。 (4)(3)を脱泡し容器に充填して油中水型下地料を得た。 【0062】 (結果) 実施例10の油中水乳化型下地料は、凹凸補正効果、凹凸補正効果の持続性、化粧料の肌への収まりの良さ、化粧膜の柔らかさに優れたものであった。 (10)上記(1)~(9)の記載からみて、引用文献1には、以下の引用発明1-1、引用発明1-2が記載されている。 引用文献1の実施例9には、以下の組成の油中水型乳化ファンデーションに係る発明(引用発明1-1)が記載されている。 「油中水型ファンデーション (成分) (%) 1.(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー15% ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン溶液(注1) 3.0 2.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー15% シクロメチコン溶液(注12) 5.0 3.トリメチルシロキシケイ酸50%シクロメチコン溶液(注13)3.0 4.ポリアミド粉末(平均粒径14μ) 2.0 5.球状メタクリル酸メチルクロスポリマー粉末(平均粒径30μ)5.0 6.ジフェニルシロキシフェニルジメチコン(注7) 2.0 7.メチルトリメチコン 20.0 8.ヒドロキシステアリン酸コレステリル 5.0 9.ジメチコン処理酸化チタン(注9) 10.0 10.ジメチコン処理酸化鉄(注9) 2.5 11.マイカ 3.0 12.ジステアリルジモニウムヘクトライト 1.0 13.ポリシリコーン-13(注14) 1.5 14.ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(注11) 2.5 15.イソノナン酸イソトリデシル 3.0 16.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 2.0 17.メトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル 5.0 18.パラオキシ安息香酸メチル 0.2 19.1,3-ブチレングリコール 5.0 20.塩化ナトリウム 0.3 21.精製水 残量 22.香料 適量 (注12)KSG-15(信越化学工業社製) (注13)KF-7312J(信越化学工業社製) (注14)DOWCORNINGTORAYFZ-2233(東レ・ダウコーニング社製)」 引用文献1の実施例10には、以下の組成の油中水型下地料に係る発明(引用発明1-2)が記載されている。 「油中水型下地料 (成分) (%) 1.(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー15% -1ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン溶液(注1) 8.0 2.(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー30% トリエチルヘキサノイン溶液(注15) 3.0 3.トリメチルシロキシケイ酸50%シクロメチコン溶液(注3) 2.0 4.ラウロイルリシン 1.0 5.ポリアクリル酸アルキル粉末(平均粒径10μ) 5.0 6.ジフェニルジメチコン(注16) 2.0 7.球状ポリアミド粉末(平均粒径8μ) 5.0 8.デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0 9.ワセリン 2.0 10.ジメチコン処理酸化チタン(注9) 5.0 11.ジメチコン処理酸化鉄(注9) 1.0 12.合成金雲母 3.0 13.ジステアリルジモニウムヘクトライト 1.0 14.PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(注10)1.5 15.ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(注11) 2.5 16.イソノナン酸イソトリデシル 3.0 17.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 2.0 18.メトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル 5.0 19.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 1.0 20.パラオキシ安息香酸メチル 0.2 21.グリセリン 5.0 22.塩化ナトリウム 0.3 23.精製水 残量 24.香料 適量 (注15)KSG-43(信越化学工業社製) (注16)KF-54(信越化学工業社製)」 2 引用文献2の記載事項及び引用発明2 (1) 【技術分野】 【0001】 本発明は、板状酸化セリウム及びその集合体である花弁状酸化セリウム粉体、及び、その製造方法、被覆処理した板状酸化セリウム及びその集合体である花弁状酸化セリウム粉体、並びに、板状酸化セリウム及びその集合体である花弁状酸化セリウム粉体又は被覆処理した板状酸化セリウム及びその集合体である花弁状酸化セリウム粉体を配合した化粧料に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、日焼け止め化粧料などに用いられる紫外線遮蔽剤として、サリチル酸系化合物、ベンゾフェノン化合物といった有機系紫外線遮蔽剤や、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物微粒子などの無機系紫外線遮蔽剤が用いられている。このうち有機系紫外線遮蔽剤は、化粧料に配合したときに、無色で透明性を示す特徴があるため汎用されているが、低分子であるため、皮膚への吸収が懸念されている。 【0003】 一方、無機系紫外線遮蔽剤として良く用いられている酸化チタンは化学的に安定ではあるが、隠蔽力が大きい(屈折率が高い)ため透明性を必要とする製品には使用が制限されるといった問題点がある。また、酸化亜鉛はUVA領域の紫外線遮蔽能や可視光領域の透明性が高いという特徴を有しているが、元来、水などに微量に溶解する性質があり、汗などによって溶出された亜鉛イオンが皮膚へ浸透する恐れがあり、このことが、今後、皮膚組織に対する安全性をより求める場合に、懸念されるべき点である。 【0004】 このような理由で、無機系紫外線遮蔽剤の中でも、比較的に高い透明性を有しているセリウム化合物を用いた無機系紫外線遮蔽剤が検討されている。例えば特許文献1においては、平均一次粒子径が1nm~500nmの酸化セリウム粒子、又はセリウム含有複合酸化物粒子又は、これらの複合物の表面を不定形又は結晶性の無機化合物で被覆した紫外線遮蔽剤が提案されている。しかしながら、特許文献1に記載のような複合酸化セリウム粒子においては、紫外線遮蔽能は有しているものの、微粒子であるため凝集を起してしまい、使用感が良くないという問題点がある。 【0005】 一方、良好な使用感を有する無機系紫外線遮蔽剤として、板状粒子と酸化セリウム粉体との複合化が検討されており、例えば特許文献2においては、表面が酸化セリウムなどの金属酸化物で被覆した板状硫酸バリウムからなる紫外線吸収組成物が提案されている。しかしながら、特許文献2に記載のような酸化セリウム被覆板状硫酸バリウム粒子においては、板状硫酸バリウム粒子の紫外線遮蔽能が十分ではなく、複合板状粒子として満足できる紫外遮蔽能が得られないという問題点がある。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0006】 【特許文献1】特開2001-139926号公報 【特許文献2】特開平10-8028号公報 (2) 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明は、前述のような問題点に鑑みてなされたもので、平均粒子径が20μm未満の板状酸化セリウム及びその集合体である花弁状酸化セリウム粉体、及び、その粉体を製造する製造方法を提供することを目的とするものである。また、この板状酸化セリウム及びその集合体である花弁状酸化セリウム粉体を化粧料に配合することによって、紫外線遮蔽効果が高く、使用感の優れた化粧料を提供することを目的とするものである。 (3) 【課題を解決するための手段】 【0008】 前記課題を達成するために、本発明者らは鋭意研究努力を重ねた結果、硝酸セリウムもしくは塩化セリウムと、炭酸水素ナトリウムもしくは炭酸ナトリウムと、水との水溶液において、セリウムイオンと炭酸イオンのモル比が1:1.5~1:5の範囲内となるように調製して、水溶液から析出させて得られる板状炭酸セリウム又はその集合体である花弁状炭酸セリウム八水和物を焼成することにより、平均一次粒子径が20μm未満の板状酸化セリウム又はその集合体である花弁状の形態を有した酸化セリウム粉体を得ることを可能にしたものである。また、得られた板状酸化セリウム又はその集合体である花弁状酸化セリウム粉体の表面を、ポリシロキサン、アルキルシラン化合物、アルキルチタネート化合物、フッ素化合物などの化合物で被覆処理することにより、疎水性を有する粉体を得ることができ、これらを化粧料に配合することによって、紫外線遮蔽効果が高く、使用感の優れた化粧料を提供することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。 (4) 【0033】 次に、本発明に係る化粧料について説明する。本発明の化粧料は、上述した本発明の板状及びその集合体の花弁状酸化セリウム粉体を配合することによって、優れた紫外線遮蔽効果を有している。また、本発明の板状及びその集合体の花弁状酸化セリウム粉体は、平均一次粒子が20μm未満の酸化セリウムであるため、この粉体を配合した化粧料は、酸化セリウムを配合した従来の化粧料に比べて、肌へ塗布する時の感触が良く、使用感が良い。化粧料の剤型としては、乳液、化粧水等のスキンケア化粧料、ファンデーション、口紅等のメイクアップ化粧料、頭髪化粧料等に用いることができ、特に日焼け止め化粧料が好ましい。配合量は特に限定されないが、好ましくは0.1~70質量%である。 【0034】 本発明に係る化粧料においては、有機系の紫外線遮蔽剤及び微粒子の無機系紫外線遮蔽剤を組み合わせることで効果が顕著なものとなる。有機系の紫外線遮蔽剤としては、オキシベンゾン、メトキシ桂皮酸オクチル、4-tert-4'-メトキシベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。有機系の紫外線遮蔽剤の配合量は特に限定されないが、好ましくは0.1~40質量%である。微粒子の無機系紫外線遮蔽剤としては、酸化チタン及び/又は酸化亜鉛が好ましく、より好ましくは、平均粒子径が0.05μm以下の微粒子酸化チタン及び/又は酸化亜鉛である。微粒子の無機系の紫外線遮蔽剤の配合量は特に限定されないが、好ましくは0.1~50質量%である。 【0035】 さらに、本発明の化粧料には通常化粧料に用いられる成分、例えば、粉体、界面活性剤、油剤、ゲル化剤、高分子、美容成分、保湿剤、色素、防腐剤、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。 (5) 【0068】 (実施例6) 表4に示される処方と下記製造方法に従いW/O型リキッドファンデーションを製造した。なお、表中の配合量の単位は質量%である。 【0069】 [図:0001380937000002.jpg] 【0070】 製造方法:成分Bを、ミキサーを用いて良く混合した。一方、成分Aを80℃に加温し、均一になるように良く混合した。ここに成分Bを攪拌下に除々に添加し、50℃まで徐冷した。ついで、成分Cを80℃に加温し、均一に溶解させた後、50℃にまで徐冷した。成分Aに成分Cを攪拌下に加え、さらに良く攪拌し、室温まで冷却した。得られた溶液を容器に充填し、製品を得た。 【0071】 得られたリキッドファンデーションは、リキッドファンデーションを塗布した時の使用感、透明感、紫外線遮蔽効果の全てにおいて優れていた。 (6)上記(1)~(5)の記載からみて、 引用文献2の実施例6には、以下の組成のW/O型リキッドファンデーションに係る発明(引用発明2)が記載されている。 「W/O型リキッドファンデーション 成分A (質量%) ジメチコンコポリオール/デカメチルシクロペンタシロキサン溶液15.0 (BY22-008M) 合成ワックス 1.0 ベヘン酸アラキル 0.5 トリヒドロキシステアリン 0.4 ラウレスー7 0.5 フェニルトリメチコン 5.0 イソノナン酸イソトリデシル 5.5 プロピルパラベン 適量 シリコーンゲル(KSG-16) 3.2 成分B シリコン処理タルク 4.5 シリコン処理酸化チタン 8.5 シリコン処理鉄 1.5 シリコン処理板状セリウム 4.0 球状ポリウレタンパウダー 0.3 球状シリカ 0.6 成分C 精製水 約39.0 プロピレングリコール 8.0 塩化ナトリウム 2.0 デヒドロ酢酸ナトリウム 0.3 フェノキシエタノール 0.1 エデト酸ニナトリウム 0.1」 3 引用文献3の記載事項及び引用発明3 (1) 【技術分野】 【0001】 本発明は、疎水化処理無機粉体とシロキサン主鎖にオルガノポリシロキサン基と親水基がグラフトしたシリコーン系界面活性剤とシリコーン油とトリグリセライドとアスタキサンチンとを配合する油中水型乳化化粧料に関するものであり、更に詳しくは、粉体を配合した際にも使用性とアスタキサンチンの経時での安定性に優れる油中水型乳化化粧料に関するものである。 【背景技術】 【0002】 化粧料に配合されている素材には、カテキン等のポリフェノールや、アスタキサンチン等のカロテノイドのように、シワ、タルミの予防及び改善等の皮膚老化の防止、シミの予防・改善等の肌に有用な効果を本来は有することが知られていながら、その酸化安定性が低いため、製剤に安定に配合することが困難であるものが多い。 カロテノイドに関しては、光や熱により酸化され褪色が起こるため、遮光容器の利用や、抗酸化剤の配合等の褪色防止策が取られてきたが、十分なものではなかった。アスタキサンチンは赤色カロテノイドの一種であり、その抗酸化力は高いものであるが、アスタキサンチン類も熱、酸素、光などに対して不安定であるため、安定性を高める方法が検討されてきた。例えば、リン脂質を添加する方法(例えば、特許文献1参照)や、水中油型乳化化粧料においてリン脂質やトコフェロールを添加し、かつエマルションの粒径をコントロールする方法(例えば、特許文献2参照)等が挙げられる。 【0003】 しかしながら、最近は、化粧水やクリーム等のスキンケア化粧料のみならず、これらの薬効成を日焼け止め化粧料やファンデーション等の化粧料にも配合することが求められてきている。また、無機粉体等の粉体は、スキンケア化粧料メークアップ化粧料、毛髪化粧料の多くの化粧料に配合される原料である。特にファンデーションや下地化粧料等のメークアップ化粧料は、粉体を配合することにより、化粧効果を得ることが多いものであるため、薬効成分と粉体成分の相互作用は検討すべき課題であった。 粉体のアスタキサンチンへの作用は、粉体の固体触媒活性をアスタキサンチンなどのカロテノイド系色素の褪色により評価する方法(例えば、特許文献3参照)で示されているように、粉体の表面活性は、アスタキサンチンが熱、酸素、光などに対して不安定なものを更に悪化させる場合があった。 一方、油中水型乳化化粧料に、アスタキサンチンを配合すると、経時によりアスタキサンチンが油層から分離してしまい、化粧料中に安定に配合することが難しいものであった。 【0004】 【特許文献1】特開2007-254459号公報 【特許文献2】特開2007-326829号公報 【特許文献3】特開2009-222702号公報 (2) 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 リン脂質を添加したり、トコフェロールを添加する方法はアスタキサンチン単体の保存安定性には効果があるが、粉体との共存下での安定性という観点では効果が充分ではなく、エマルションの粒径をコントロ-ルする方法は水中油型乳化化粧料の技術であって、被乳化油としてアスタキサンチンを配合する際には有効でも、油相が外相である油中水型乳化化粧料に適用することは出来ないものである。 また、粉体の固体触媒活性を評価する方法では、粉体の表面処理によるアスタキサンチンの安定性への関連性については開示されているが、実際の化粧料としての安定性や使用性についてはなんら言及されておらず、ましてや油中水型乳化化粧料における安定性を教えるものではなかった。そこで、粉体を配合した際にも、伸び広がりが良く、化粧膜が均一に仕上がる等の使用性とアスタキサンチンの経時での安定性に優れ、かつ油中水型乳化化粧料においても安定である化粧料の開発が望まれていた。 (3) 【課題を解決するための手段】 【0006】 かかる実情に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、疎水化処理無機粉体とシロキサン主鎖にオルガノポリシロキサン基と親水基がグラフトしたシリコーン系界面活性剤とシリコーン油とトリグリセライドとアスタキサンチンとを配合することにより、上記課題を解決しえる油中水型乳化化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。表面活性の高い無機粉体を疎水化処理することでその表面活性を抑え、更にシロキサン主鎖にオルガノポリシロキサン基と親水基がグラフトしたシリコーン系界面活性剤を用いることで疎水化処理無機粉体のシリコーン油への分散性を向上させ、選択吸着によるアスタキサンチンと無機粉体との接触を妨げ、アスタキサンチンの安定性を向上させることが可能になった。更に、トリグリセライドの配合によりシリコーン油とアスタキサンチンの相溶性が適度に良くなり、安定性と化粧膜の均一性が向上することも見出された。 (4) 【0035】 本発明に用いられる成分(c)のシリコーン油は、特に限定されないが、25℃で液状のものが好ましく、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルトリメチコン、カプルリルトリメチコン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。 【0036】 本発明に用いられる成分(c)のシリコーン油の粘度は25℃において20mm2/s以下の粘度であることが好ましく、更に好ましくは10mm2/s以下である。 【0037】 本発明に用いられる成分(c)の配合量は1~50%が好ましく、更に好ましくは5~40%である。この範囲内であればアスタキサンチンの安定性や使用感に優れるため好ましい。 【0038】 本発明に用いられる成分(d)のトリグリセライドは特に限定されないが25℃で液状のものが好ましく、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリパーム油脂肪酸グリセリル、トリマカダミアナッツ油脂肪酸グリセリル等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。 【0039】 本発明に用いられる成分(d)の配合量は0.1~15%が好ましく、更に好ましくは0.5~10%である。この範囲内であればアスタキサンチンの安定性や使用感に優れるため好ましい。 (5) 【0043】 本発明の油中水型乳化化粧料における水の配合量は、成分(a)~(e)の配合量にも依存するが、概ね10~80%が好ましい (6) 【0046】 成分(b)以外の界面活性剤としては、分散剤、乳化助剤、感触調整剤等の目的で用いられるものであり、グリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン等の非イオン性界面活性剤類、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α-スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N-メチル-N-アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N-アシルアミノ酸塩、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩等の陰イオン性界面活性剤類、アルキルアミン塩、ポリアミンおよびアルカノイルアミン脂肪酸誘導体、アルキルアンモニウム塩、脂環式アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤類、レシチン、N,N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。 (7) 【0051】 本発明の油中水型乳化化粧料は、油剤が連続相として乳化物の外相を形成しているものであり、必要に応じて他の成分を併用して常法により調製することができる。液状、乳液状、クリーム状、固形状、ゲル状、ペースト状等、種々の形態にて実施することができる。また、本発明の油中水型乳化化粧料は、乳液及びクリーム、日焼け止め、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、頬紅、アイシャドウ、口紅等の製品にて実施することができ、特に乳液、クリーム、日焼け止め、化粧下地、ファンデーション等の全顔に使用するものが好ましい。 (8) 【0056】 *1:MT-500SA(テイカ社製)80部に対してKP-540(信越化学工業社製)20部をイソプロパノール中で混練し、チップ化処理したもの。 *2:ハイコールK-230(カネダ社製) *3:アスタキサンチン純分に換算して配合量を記載した。 *4:SH200CFLUID6CS(東レ・ダウコーニング社製) *5:KF-6028P(PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)(信越化学工業社製) *6:KF-6105(ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(信越化学工業社製) *7:KF6019(PEG-10ジメチコン)(信越化学工業社製) (9) 【0065】 実施例16:油中水型固形乳化ファンデーション (成分) (%) 1.ジメチルポリシロキサン処理(3%)酸化チタン 12 2.ジメチルポリシロキサン処理(3%)ベンガラ 1.2 3.ジメチルポリシロキサン処理(3%)黄酸化鉄 2.8 4.ジメチルポリシロキサン処理(3%)黒酸化鉄 0.7 5.メチルフェニルポリシロキサン *12 5 6.オルガノポリシロキサングラフトポリオキシアルキレン変性 シリコーン *6 2 7.デカメチルシクロペンタシロキサン 5 8.架橋型メチルポリシロキサン/ デカメチルシクロペンタシロキサン混合物 *13 10 9.アスタキサンチン *14 0.05 10.イソノナン酸イソトリデシル 5 11.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 10 12.パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル 3 13.ジイソステアリン酸ジグリセリル 2 14.セチル・ポリエーテル変性シリコーン *15 4 15.リン脂質 0.5 16.マイクロクリスタリンワックス 3 17.カルナウバワックス *16 2 18.ナイロンパウダー 3 19.シリコーン処理雲母チタン *17 2 20.メチルパラベン 0.2 21.1,3-ブチレングリコール 5 22.グリセリン 2 23.精製水 残量 *12:SH556(東レ・ダウコーニング社製) *13:KSG-15(信越化学工業社製) *14:アスタキサンチンとして5%を含有するアスタキサンチン液 *15:ABILEM-90(ゴールドシュミット社製) *16:精製カルナバワックス1号(日本ナチュラルプロダクツ社製) *17:SA-チミロンスーパーゴールド(三好化成工業社製) 【0066】 (製造方法) A:成分1~6をローラー処理して均一に混合する。 B:成分10~17を90℃に加熱溶解する。 C:BにAと成分7~9、18、19を混合する。 D:成分20~23を混合溶解する。 E:CにDを加え乳化する。 F:Eを80℃に溶解し、金皿に流し込んで充填し、油中水型固形ファンデーションを得た。 本発明の実施例16の油中水型乳化固形ファンデーションは、「伸び広がりの良さ」、「化粧膜の均一性」、「アスタキサンチンの安定性」の全ての項目に優れたものであった。 (10)上記(1)~(9)の記載からみて、引用文献3の実施例16には、以下の組成の油中水型固形乳化ファンデーションに係る発明(引用発明3)が記載されている。 「油中水型固形乳化ファンデーション (成分) (%) 1.ジメチルポリシロキサン処理(3%)酸化チタン 12 2.ジメチルポリシロキサン処理(3%)ベンガラ 1.2 3.ジメチルポリシロキサン処理(3%)黄酸化鉄 2.8 4.ジメチルポリシロキサン処理(3%)黒酸化鉄 0.7 5.メチルフェニルポリシロキサン *12 5 6.オルガノポリシロキサングラフトポリオキシアルキレン変性 シリコーン *6 2 7.デカメチルシクロペンタシロキサン 5 8.架橋型メチルポリシロキサン/ デカメチルシクロペンタシロキサン混合物 *13 10 9.アスタキサンチン *14 0.05 10.イソノナン酸イソトリデシル 5 11.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 10 12.パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル 3 13.ジイソステアリン酸ジグリセリル 2 14.セチル・ポリエーテル変性シリコーン *15 4 15.リン脂質 0.5 16.マイクロクリスタリンワックス 3 17.カルナウバワックス *16 2 18.ナイロンパウダー 3 19.シリコーン処理雲母チタン *17 2 20.メチルパラベン 0.2 21.1,3-ブチレングリコール 5 22.グリセリン 2 23.精製水 残量 *12:SH556(東レ・ダウコーニング社製) *13:KSG-15(信越化学工業社製) *14:アスタキサンチンとして5%を含有するアスタキサンチン液 *15:ABILEM-90(ゴールドシュミット社製) *16:精製カルナバワックス1号(日本ナチュラルプロダクツ社製) *17:SA-チミロンスーパーゴールド(三好化成工業社製)」 4 引用文献4の記載事項及び引用発明4 (1) 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物と炭素数12~30のアルキル(メタ)アクリレートを主体とするラジカル重合性モノマーとを共重合して得られるアクリル-シリコーン系グラフト共重合体、特定の粘度領域を有する炭化水素油、揮発性シリコーンを含有する乳化化粧料に関し、更に詳しくは、化粧持続性に優れ、自然なツヤ感、滑らかな伸び広がりを有し、経時安定性に優れた乳化化粧料に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、乳化化粧料の化粧持続性を向上させる為には、以下のような技術が検討されていた。(当審注:丸数字を表示できないため、「〇の中に1」の丸数字を「(○1)」のように表示する。) (○1)仕上がった化粧膜中に油分が多いと経時的に皮脂と混じり合い、油光(テカリ)や化粧崩れを生じるため、揮発性の油剤を用いて化粧膜中の油分を減らす方法(○2)肌への付着を強固にし、時間が経っても崩れない化粧膜とするため、油系中に密着性・粘着性の高い油剤、ワックスを多く配合し化粧膜を強固にする方法 (○3)トリメチルシロキシケイ酸やアクリル-シリコーン系グラフト共重合体等の被膜形成剤を配合し化粧膜の物理的強度を向上させる方法 (○4)撥油性の粉体を配合し、経時で分泌される皮脂を比表面積の大きい非撥油性の粉体に吸収させて、皮脂による崩れを抑制する方法一方、乳化化粧料の化粧膜にツヤ感を付与する為には、以下のような技術が検討されていた。 (○5)光輝性粉体(パール粉体)を配合する方法 (○6)ロジン酸やトリメチルシロキシケイ酸といった樹脂成分を配合し化粧塗膜の凹凸を減らし、塗膜に正反射面をつくる方法 (○7)炭化水素油やトリグリセライド等の不揮発性液状油を多く配合し、油分によるツヤを出す方法 (2) 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の乳化化粧料の化粧持続性を向上させる方法は、以下のような欠点を有していた。(○1)の方法では、揮発性の油剤が揮発した後に、肌が乾燥する場合があった。(○2)の方法では、伸び広がりが悪くなり、化粧膜が固くなり突っ張り感を感じる場合があった。(○3)の方法では、被膜による肌負担感を生じ、経時的に化粧膜が部分的に浮いてくる傾向があり、化粧持続性において満足できる水準に無かった。(○4)の方法では、撥油性の粉体が他の油剤と混ざり難い為、化粧料中に均一分散することが困難な場合があった。また、上記従来の乳化化粧料の化粧膜にツヤ感を付与する方法は、以下のような欠点を有していた。(○5)の方法では、ギラギラとした不自然なツヤ感になる場合があった。(○6)の方法では、被膜による肌負担感を生じ、化粧直しがし難い場合があった。(○7)の方法では、経時的に自然なツヤ感がテカリになり、化粧持続性が満足できる水準に無かった。このため、化粧持続性に優れ、自然なツヤ感、滑らかな伸び広がりを有し、経時安定性に優れた乳化化粧料の開発が望まれていた。 (3) 【0004】 【課題を解決するための手段】かかる実情において、本発明者らは、鋭意研究した結果、分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物と炭素数12~30のアルキル(メタ)アクリレートを主体とするラジカル重合性モノマーとを共重合して得られるアクリル-シリコーン系グラフト共重合体と、98.9℃におけるJIS-K-2283試験法による粘度が、60~5000mm2/sである炭化水素油及び揮発性シリコーンとを組み合わせて含有する乳化化粧料が上記課題を解決することを見出し本発明を完成させた。 (4) 【0010】本発明に用いられる成分(b)の98.9℃におけるJIS-K-2283試験法による粘度が、60~5000mm2/sである炭化水素油は、本発明の乳化化粧料において、肌への付着性の向上を向上させ、自然なツヤ感の付与するものである。具体的には、n-ブテンとイソブテンとを共重合して得られる液状ポリマー等であり、市販品として、ポリブテン35R(75mm2/s)、ポリブテン100R(290mm2/s)、ポリブテン300R(850mm2/s)、ポリブテン2000H(4600mm2/s)(何れも出光石油化学社製)、パールリーム18(80mm2/s)(日本油脂社製)等を用いることができる。また、成分(b)として、98.9℃におけるJIS-K-2283試験法による粘度が、70~900mm2/sである炭化水素油を用いると、滑らかな伸び広がりが特に優れるため好ましい。 【0011】本発明の乳化化粧料における成分(b)の含有量は、0.5~15%が好ましく、2~10%が特に好ましい。この範囲で用いると、滑らかな伸び広がりを損ねること無く優れた化粧持続性、自然なツヤ感を得ることができる。 【0012】本発明に用いられる成分(c)の揮発性シリコーンは、本発明の乳化化粧料において、塗布時に滑らかな伸び広がりを付与し、塗布後には油感を減じることができる成分である。具体的には、25℃での粘度が5mm2/s以下のジメチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。 【0013】本発明の乳化化粧料における成分(c)の含有量は、1~40%が好ましく、5~30%が特に好ましい。この範囲で用いると、滑らかな伸び広がりがより良好となる。 【0014】本発明の乳化化粧料には、上記成分の他に、自然なツヤ感を高め、また成分(a)~成分(c)の相溶性を高め経時安定性を向上させるために、成分(d)-1としてフェニル化シリコーンを含有することが好ましい。本発明に用いられる成分(d)のフェニル化シリコーンは、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルジフェニルポリシロキサン、メトキシフェニルポリシロキサン等が挙げられ、市販品として、ABIL AV8853(GOLDSCHMIDT社製)、シリコンKF-53、KF-54、KF-56(何れも信越化学工業社製)等が挙げられる。 【0015】本発明の乳化化粧料における成分(d)の含有量は、0.5~20%が好ましく、2~10%が特に好ましい。この範囲で用いると、自然なツヤ感、経時安定性がより良好となる。 【0016】また、本発明の乳化化粧料には、上記成分の他に、経時安定性を更に向上させるために、成分(e)として有機変性粘土鉱物を含有することが好ましい。本発明に用いられる成分(e)の有機変性粘土鉱物は、水膨潤性粘土鉱物をアルキル四級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤で有機変性して得られるもの等が挙げられる。成分(d)に用いられる水膨潤性粘土鉱物は、三層構造を有するコロイド性含水ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、例えば、下記一般式(2) (X,Y)23(Si,Al)4010(OH)2Z・nH2O・・・(2) 但し、X=Al,Fe,Mn,Cr、Y=Mg,Fe,Ni,Zn,Li、Z=K,Na,Caで表わされる化合物、より具体的には、モンモリロナイト、ラポナイト及びヘクトライト等の天然又は合成のモンモリロナイト類(この場合、上記一般式中の(OH)がフッ素で置換されたもの)、ナトリウムシリシックマイカ、ナトリウム又はリチウムテニオライト等の合成雲母等が挙げられる。前記水膨潤性粘土鉱物の中でも、特にモンモリロナイト、ヘクトライトが好ましい。本発明の乳化化粧料においては、ベンジルジメチルステアリル変性や、ジメチルジステアリル変性されたものが、経時安定性の観点より特に好ましい。このような成分(e)は、市販品として、ベントン27、ベントン38(NLインダストリー社製)等を用いることができる。 【0017】本発明の乳化化粧料における成分(e)の含有量は、0.01~5%が好ましく、0.1~3%が特に好ましい。この範囲で用いると、自然なツヤ感を損なわずに経時安定性がより良好となる。 【0018】本発明の乳化化粧料には、上記成分の他に、水を必須に含有する。本発明の乳化化粧料における、水の含有量は、10~90%が好ましい。 【0019】また、本発明の乳化化粧料には、乳化剤として、界面活性剤を含有することが好ましい。ここで用いられる界面活性剤としては、通常化粧料に用いられている界面活性剤であれば、何れでも良く、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。具体的には、非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン、ポリオキシアルキレン変性シリコーン等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。アニオン界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸の無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α-スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N-メチル-N-アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N-アシルアミノ酸塩、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩、ο-アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノールアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、人体に対して安全とされるものが使用できる。例えば、N-アルキル-N,N-ジメチル-N-カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、N,N-ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N-トリアルキル-N-スルフォアルキレンアンモニウムベタイン、N,N-ジアルキル-N,N-ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2-アルキル-1-ヒドロキシエチル-1-カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、レシチン等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。尚、本発明の乳化化粧料における、界面活性剤の含有量は、安定な乳化物が得られる量であり特に限定されないが、概ね0.05~10%である。 【0020】本発明の乳化化粧料には、上記成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、成分(a)~(d)以外の油剤、粉体、水性成分、水溶性高分子、紫外線吸収剤、タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン等の保湿剤、α-トコフェロール、アスコルビン酸等の酸化防止剤、ビタミン類、消炎剤、生薬等の美容成分、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等の防腐剤、トリメチルシロキシケイ酸、炭素数12以下のアクリル変性シリコーン等の被膜形成剤、香料等を配合することができる。 【0021】本発明の乳化化粧料において、成分(a)~(d)以外の油剤を含有することにより、エモリエント感を付与したり、塗布時の感触を調整することができる。ここで用いられる油剤としては、通常化粧料に用いられる油剤であれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等の起源及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、不揮発性シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等の油剤が挙げられる。具体的には、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル等のエステル類、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステアリル・2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)等のアミノ酸系油剤、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、12-ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン、トリフルオロプロピルメチルシクロテトラシロキサン、トリフルオロプロピルメチルシクロペンタシロキサン、トリフルオロプロピルメチルシクロテトラシロキサン、トリフルオロプロピルシクロペンタシロキサン、フッ素変性シリコーン、架橋型オルガノポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、12-ヒドロキシステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。本発明の乳化化粧料における、これら油剤の含有量は、概ね1~80%である。 【0022】本発明の乳化化粧料において、粉体を含有することにより、着色効果、紫外線遮断効果、メーキャップ効果等を付与でき、更に感触を調整することができる。ここで用いられる粉体としては、通常化粧用粉体として用いられている粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化硼素等の白色体質粉体、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N-アシルリジン等の有機低分子性粉体、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体、アルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。尚、これら粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の一種又は二種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。本発明の化粧料における、これら粉体の含有量は、粉体の配合目的等により異なるが、概ね0.1~50%である。 【0023】本発明の乳化化粧料において、水性成分を含有することにより、保湿効果、清涼感等を付与することができる。ここで用いられる水性成分は、通常化粧料に用いられている成分であり、エタノール等の低級アルコール類、グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。本発明の乳化化粧料における、これら水性成分の含有量は、概ね1~50%である。 【0026】本発明の乳化化粧料は、日焼止め料、乳液、クリーム、クレンジング、ファンデーション、下地化粧料、口紅、アイカラー、頬紅、マスカラ、白粉等が挙げられ、その形態は、液状、ペースト状、固形状等が挙げられる。この中でも、本発明の効果が発揮されやすい化粧料としては、ファンデーション、下地化粧料、口紅、アイカラー、頬紅、マスカラ等のメーキャップ化粧料及び日焼け止め料である。また、本発明の乳化化粧料の乳化形態は、油中水型、水中油型、油中水中油型、水中油中水型等が挙げられるが、本発明の効果が発揮されやすい乳化形態は、油中水型である。更に、本発明の乳化化粧料は、静置には油と水が分離しているが、使用時に振り混ぜることにより乳化する、いわゆる振とう分散型の乳化形態をも含むものである。 (5) 【0037】 実施例9:油中水型乳化保湿クリーム (処方) (質量%) 1.成分(a)のアクリル-シリコーン系グラフト共重合体(注13)5 2.成分(b)の炭化水素油(注2) 5 3.フェニルメトキシポリシロキサン(注14) 5 4.ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル 10 5.デカメチルシクロペンタシロキサン 20 6.コレステロール 1 7.長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性 オルガノポリシロキサン(注15) 3 8.有機変性粘土鉱物(注6) 1 9.精製水 残部 10.ジグリセリン 1 11.1,3-ブチレングリコール 8 12.キサンタンガム 0.5 注13:シリコンKP562(信越化学工業社製) 注14:ABILAV8853(GOLDSCHMIDT社製) 注15:シリコンKF6026(信越化学工業社製) 【0038】(製造方法) A:成分1~8をホモミキサーにて均一に分散する。 B:成分9~12を均一に混合する。 C:AにBを加え、乳化する。 D:Cを容器に充填して、油中水型乳化保湿クリームを得た。 実施例9の油中水型乳化保湿クリームは、「滑らかな伸び広がり」、「自然なツヤ感」、「化粧持続性」、「経時安定性」の全ての項目に優れていた。 (6)上記(1)~(5)の記載からみて、引用文献4の実施例9には、以下の組成の油中水型乳化保湿クリームに係る発明(引用発明4)が記載されている。 「油中水型乳化保湿クリーム (処方) (質量%) 1.成分(a)のアクリル-シリコーン系グラフト共重合体(注13)5 2.成分(b)の炭化水素油(注2) 5 3.フェニルメトキシポリシロキサン(注14) 5 4.ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル 10 5.デカメチルシクロペンタシロキサン 20 6.コレステロール 1 7.長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性 オルガノポリシロキサン(注15) 3 8.有機変性粘土鉱物(注6) 1 9.精製水 残部 10.ジグリセリン 1 11.1,3-ブチレングリコール 8 12.キサンタンガム 0.5 注13:シリコンKP562(信越化学工業社製) 注14:ABILAV8853(GOLDSCHMIDT社製) 注15:シリコンKF6026(信越化学工業社製)」 5 引用文献5の記載事項及び引用発明5 (1) 【技術分野】 【0001】 本発明は、さらさらとした使用感、洗浄性に優れた親油化表面処理微粒子粉体、及びその製造方法に関し、または該表面処理微粒子粉体を分散体化して配合することによってさらさらとした使用感、洗浄性に優れ、また化粧効果および化粧持続性に優れた化粧料に関する。 【背景技術】 【0002】 化粧料においては、太陽光の紫外線による肌への悪影響を防御するために、有機紫外線吸収剤や微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等の金属酸化物を配合しているものがある。 【0003】 地表に達する太陽光は、280nm~3000nmの波長の範囲にあり、紫外線、可視光線、赤外線が含まれている。紫外線には皮膚への黒化・老化促進をもたらすUVA320nm~380nm、皮膚の紅斑、即時型色素沈着・遅延型色素沈着をもたらし皮膚発ガン性のあるUVB290nm~320nm、並びにオゾン層にはばまれて地上に到達しないUVC200~290nmがあることが知られている。したがって、上記紫外線のうち皮膚に悪影響及ぼすUVAとUVBとを除去する必要がある。 【0004】 化粧料に配合される微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等の金属酸化物粉体は、光散乱に及ぼす粒子径と波長の関係を考慮して、理想的には、可視光散乱の最適粒子径約200nmから大きくはずれ紫外線光散乱の最適粒子径5~100nmに設定して、可視領域では透明性を示すが、紫外線は遮蔽するようにすることが好ましい。一方、粉体の一次粒子径が小さくなるほど、ぎしぎし感が強く使用感触は悪くなり、またその粒子同士の凝集力は強くなり、凝集した2次粒子をほぐすためには、より大きな分散力が必要となる。 【0005】 また、この微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛等の金属酸化物の表面は、親水性であるので、そのまま使用した場合は、肌への付着の悪さ、汗等で流れ落ちる問題点があり、これら粉体表面に疎水性を付与させるために、粒子表面に対して表面処理剤で親油化処理を施して使用している。しかしながら、その粒子表面を覆っている表面処理剤は、化粧料の塗布時の使用感、洗浄性、肌への密着性、化粧効果及び化粧持続性の性能に大きく影響する。化粧効果及び化粧持続性を向上させるために親油化表面処理した微粒子粉体は、その使用感は油感が強くなりべた付き感が生じ、洗浄性を悪くする傾向がある。 【0006】 また、親油化処理を施した粒子の凝集状態は、表面処理剤の種類、量及びその処理方法によって多大な影響を受け、凝集体粒子が大きく、また凝集粒子が硬く結合すると、紫外線防御効果を発揮する粒子径までに凝集粒子をほぐすことは容易にはできなくなる。これまでの親油化表面処理を施した微粒子酸化チタン、及び微粒子酸化亜鉛粉体では、これらの性能を充分に満足しているとは言えない。 【0007】 従来、親油化表面処理剤として多くが知られており、例えば、表面処理剤としてシリコーンオイル(例えば、メチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンあるいはアルキル部分の炭素数が10以下であるアルキルシラン)を溶剤に溶かし、粉体に添加混合して乾燥した後に、これを加熱することにより焼き付けて処理する方法(特許文献1)、粉体をオクチルトリエトキシシラン等の有機溶媒中にメディアグラインダーを用いて分散させながらオクチルトリエトキシシラン等の有機珪素化合物により表面処理する方法(特許文献2)、表面処理剤としてアシルアミノ酸またはその塩を用いてメイクアップ化粧料で用いられる無機粉体を水中で処理する方法(特許文献3)、粉体の分散性向上のために、表面処理剤としてA層及びB層の表面処理剤をジェット法で被覆処理する方法(特許文献4)、アクリル系誘導体またはアクリルアミド誘導体を構成モノマーとして含有し、リビングラジカル重合によって重合されたポリマーを表面処理剤として用いる方法(特許文献5)等の種々の表面処理方法が提案されている。 【0008】 しかしながら、特許文献1、特許文献2のような、表面処理剤であるシリコーンオイルやオクチルトリエトキシシラン等の有機珪素化合物では、塗布時の使用感は油感が強く、撥水性が高いために水での洗浄性が悪い。また表面処理時に微粒子粉体が造粒し、硬い凝集を形成して分散が容易ではない。また、さらに、特許文献3のような、表面処理剤にN-アシルアミノ酸またはその塩を用いた場合でも、その処理方法を考慮しないと、メイクアップ化粧料用顔料のような比表面積が小さい顔料を処理する場合には問題にはならないが、微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛のように比表面積の大きい顔料を処理する場合は、顔料表面を親油化するため処理量が多くなってしまい、使用感触が重く、また顔料粒子間の凝集力が非常に強くなり分散しにくくなる点の考慮がなされていない。また特許文献4においては、塗布時の使用感は油感が強く、撥水性が高いために洗浄性が悪くなる。特許文献5においては、洗浄性には優れるが、塗布時の使用感は油感が強く、肌への付着性は充分とは言えない。これら従来の方法では、微粒子粉体の表面処理剤による、塗布時のさらさらとした使用感、洗浄性、肌への付着性、化粧効果、化粧持続性のための方策に欠けている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0009】 【特許文献1】特開平8-104606 【特許文献2】特開2000-264824 【特許文献3】特公平1-50202 【特許文献4】特開2002-80748 【特許文献5】特開2007-210903 (2) 【発明が解決しようとする課題】 【0010】 本発明は、さらさらとした使用感、洗浄性に優れた親油化表面処理微粒子粉体、及びその製造方法に関し、また該表面処理微粒子粉体を分散体化して配合することによって、さらさらとした使用感、優れた洗浄性、化粧効果、化粧持続性に優れた化粧料を提供することを目的とする。 (3) 【課題を解決するための手段】 【0011】 本発明は、一次粒子径が5nm~150nmである微粒子酸化チタンまたは微粒子酸化亜鉛の無機粉体を、表面処理剤として、N-アシルアミノ酸又はその塩で、無機粉体100重量部に対して、0.5~30.0重量部で、表面処理した紫外線遮蔽効果を有する親油化表面処理微粒子粉体であって、N-アシルアミノ酸は炭素数12以上20以下である飽和脂肪酸とアスパラギン酸、グルタミン酸より選ばれるアミノ酸とのアシルアミノ酸化合物であり、該塩はFe、Zn、Ca、Mg、Al、Zr、Tiからなる群から選ばれる金属の塩であり、表面処理工程において、表面処理温度を60℃以上で水の沸点未満とし水中または含水状態で表面処理がされていることを特徴とする、さらさらとした使用感、洗浄性に優れた親油化表面処理微粒子粉体に関する。 本発明に係るさらさらとした使用感、洗浄性に優れた親油化表面処理微粒子粉体の好適な態様としては、以下のものを挙げることができる。それらの任意の組合せも特に矛盾がない限り、本発明の親油化表面処理微粒子粉体の好適な態様である。 (1)前記無機粉体100重量部に対して、1~12.0重量部のN-アシルアミノ酸又はその塩で表面処理をする。 (2)前記表面処理工程において、表面処理温度を60℃以上で95℃以下の水中もしくは含水状態で行う。 (3)前記表面処理工程において、予め60℃以上に加熱した前記N-アシルアミノ酸又はその塩を溶解した水溶液に対して、酸又はFe,Zn,Ca、Mg,Al,Zr,Tiからなる群から選ばれた金属の水可溶性塩の水溶液を添加・反応させることによって、表面処理剤である前記N-アシルアミノ酸又はその塩により表面処理をしている。 (4)前記酸または前記可溶性金属塩の添加量は、使用したN-アシルアミノ酸に含まれるカルボキシル基の当量の60~120%とする。 さらに、本発明は、上記の紫外線遮蔽効果を有する親油化表面処理微粒子粉体と分散媒として油剤とを少なくとも含有する分散体に関する。 本発明の分散体の好ましい態様としては、前記分散体が、前記表面処理微粒子粉体と分散媒として油剤と界面活性剤とを少なくとも含有する。 さらに、本発明は、前記表面処理微粒子粉体または表面処理微粒子粉体を含有する分散体を配合した化粧料に関する。 (4) 【0019】 (4)分散体 本発明の油性分散体で用いられる分散媒としては、化粧料に使用可能な油剤であれは良く、大別するとシリコーン系油剤、炭化水素系油剤、エステル系油剤あるいはこれらの混合油剤である。具体的には、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロテトラシロキサン、メチルトリメチコン、カプリリルメチコン等のシリコーン類、流動パラフィン、流動イソパラフィン、水添ポリイソブテン、スクワラン、スクワレン、ワセリン、パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、C18-C12アルカン、C13-C15アルカン等、またベジタブルハイドロカーボン、具体的にはBIOSYNTHIS社のVEGELIGHT1214、VEGELIGHT1214LC、VEGELIGHT12、VEGELIGHT14、VEGELIGHT16、VEGELIGHT18、VEGELIGHT22等の炭化水素類、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリカプリル酸グリセリル、カプリル・カプリン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸グリセリル、C12-15アルキルベンゾエート、等のエステル類が挙げられる。その他としては、サフラワー油、大豆油、月見草油、ブドウ種子油、ローズヒップ油、ククイナッツ油、アルモンド油、ゴマ油、コムギ胚芽油、トウモロコシ油、綿実油、アボガド油、オリーブ油、ツバキ油、パーシック油、ヒマシ油、ラッカセイ油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油、カカオ脂、シア脂、木ロウ、ヤシ油、パーム油、パーム核油、牛脂、馬脂、ミンク油、乳脂、卵黄油、タートル油等の油脂類、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油等のロウ類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、ウンデシレン酸、ヒドロキシステアリン酸、ラノリン脂肪酸等の脂肪酸、パーフルオロポリエーテルオイル、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル等のフッ素系油剤、油溶性紫外線吸収剤等が例示される。 【0020】 (5)界面活性剤 本発明の油性分散体は、できるだけ単純な組成で表面処理微粒子粉体の含有量が多い程より好ましいが、表面処理微粒子粉体をより含有量を高く、より分散性を高めるためには、第三成分として分散効果のある界面活性剤を含めたほうがより好ましい。使用する界面活性剤は、配合する化粧料で用いるのが好ましい。例えば、直鎖、分岐タイプまたアルキル変性したポリエーテル変性シリコーン、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POE・POPアルキルエーテル、硬化ひまし油脂肪酸エステル等を挙げることができる。 (5) 【0022】 (7)化粧料 本発明の親油化表面処理微粒子粉体を配合する化粧料としては、特に限定は無い。化粧料の剤型として、例えば、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状、及びスプレー状等の従来公知の剤型を選択することができる。具体的には、メイクアップ化粧料として、化粧下地、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、油性ファンデーション、スティックファンデーション、プレストパウダー、フェイスパウダー、白粉、口紅、口紅オーバーコート、リップグロス、コンシーラー、頬紅、アイシャドー、アイブロウ、アイライナー、マスカラ、水性ネイルエナメル、油性ネイルエナメル、乳化型ネイルエナメル、エナメルトップコート、エナメルベースコート等、スキンケア化粧料としてはエモリエントクリーム、コールドクリーム、美白クリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、カーマインローション、液状洗顔料、洗顔フォーム、洗顔クリーム、洗顔パウダー、メイククレンジング、ボディグロス、日焼け止め又は日焼け用クリーム等の紫外線防御化粧料やローション等、頭髪化粧料としては、ヘアーグロス、ヘアクリーム、ヘアーシャンプー、ヘアリンス、ヘアカラー、ヘアブラッシング剤等、制汗化粧料としてはクリームやローション、パウダー、スプレータイプのデオドラント製品を挙げることができる。 (6) 【0046】 製造例2:乳化型ファンデーションの製造 表3に示す組成のW/O型リキッドファンデーションを下記の方法により製造した。 【0047】 [図:0001380937000003.jpg] 【0048】 製法: 上記成分(7)~(11)を予め混合し粉砕した。70℃にて成分(1)~(6)を均一に溶解混合した油相に予め粉砕した成分(7)~(11)の混合物を加えホモディスパーで均一に分散した。成分(12)~(16)を70℃で均一に混合溶解した水相を前記油相に徐添し、ホモミキサーで均一分散後、冷却し成分(17)を加え乳化粒子を整えリキッドファンデーションを製造した。 【0049】 本発明の親油化表面処理微粒子粉体を配合した化粧料は、従来のものと比較して、さらさらとした使用感、洗浄性、化粧効果、化粧持続性に優れていた。 (7)上記(1)~(6)の記載からみて、引用文献5の製造例2には、以下の組成のW/O型リキッドファンデーションに係る発明(引用発明5)が記載されている。 「W/O型リキッドファンデーション (成分) (重量部) (1)デカメチルシクロペンタシロキサン 25.0 (2)デキストリン脂肪酸エステル 0.5 (3)メチルフェニルポリシロキサン 2.3 (4)スクワラン 4.2 (5)イソノナン酸イソトリデシル 4.5 (6)ポリエーテル変性ポリジメチコン(KF-6017) 3.0 (7)親油化処理赤酸化鉄 1.3 (8)親油化処理黄酸化鉄 2.4 (9)親油化処理黒酸化鉄 0.1 (10)微粒子酸化チタン 8.0 (11)新油化処理セリサイト 1.0 (12)エタノール 8.0 (13)1,3ブチレングリコール 5.0 (14)塩化ナトリウム 2.0 (15)精製水 (16)防腐剤 適量 (17)香料 適量」 6 引用文献6の記載事項及び引用発明6 (1) 【技術分野】 【0001】 本発明は、唇のトリートメントのための組成物および方法の分野に関する。 【背景技術】 【0002】 消費者からのよくある不満の1つは、着色された唇用の製品が時に唇上で乾燥することがあるということである。これは、唇用の製品に所望の色をもたらすための多量の顔料および粉末が含まれている場合によくあることである。これらのタイプの粒子は唇の上で乾燥し易い。水は究極の水和物質であると考えられている。しかしながら、逆説的ではあるが、水を含んで処方された唇用の製品は、無水の製品と比較して、唇上でよりいっそう乾燥し得る。その理由は、水が非常に速やかに乾燥する溶媒であるためである。水を含有する唇用の製品は、唇に適用した際に速やかに水和される感触をもたらす一方、水は急速に蒸発する。消費者は、製品の適用前よりもより乾燥した感触が唇に残ると報告している。 【0003】 化粧品処方作成者は、無水の標準品、そして唇のトリートメントの目的で一般に販売されている唇用の製品のような保湿効果のある含水の唇用製品を処方する方法を常に探索している。水ベースのリップスティックで唇上に保湿性の被膜を作るために、ある程度の耐水性および閉鎖性(occlusiveness)を有する含水リップスティックが最も有益である。すなわち、組成物中に存在する被膜形成成分は、水分を保持し、被膜表面からのその急速な蒸発を阻止する被膜を提供する必要がある。この場合、存在する水は唇に潤いを与えることができる。被膜が壊れ得る理由として、被膜の再乳化、機械的作用による除去、または活性成分(水)が被膜内に十分取り込まれていない場合が挙げられる。 【0004】 最も予想外のことには、非極性の油、両親媒性の油、および双方の型の界面活性剤(例えば油中水型および水中油型)を含む含水唇用製品が、多量の水分を含み、しかも特に唇の保湿のために販売されている製品と同等かそれよりも良好な保湿特性をもたらす優れた唇用製品を提供することが見出された。 (2) 【0007】 本発明の組成物は油中水型エマルジョンの形態である。本組成物は、約0.1-95%、好ましくは1-85%、より好ましくは約5-75%の水を含有し得る(本明細書中で言及するパーセンテージは全て、他に記載のない限り、重量%である)。本組成物は約0.1-99%の油、好ましくは約1-85%、より好ましくは約2-50%の油を含有する。 【0008】 非極性シリコーン油 本組成物は少なくとも1種の非極性シリコーン油を含有する。用語「油」とは、そのように呼ばれる成分が室温(例えば25℃)で注ぐことの可能な液体であることを意味する。シリコーン油は揮発性であっても非揮発性であっても良い。非極性シリコーン油は、約0.1-85%、好ましくは約1-75%、より好ましくは約2-65%の範囲で存在し得る。 【0009】 揮発性シリコーンの例としては、直鎖状、環状、または分岐鎖状の揮発性シリコーン、例えばシクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、メチルトリメチコン等が挙げられる。 【0010】 好適な非揮発性シリコーン油としては、ジメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、セチルジメチコン等が挙げられる。 【0011】 好ましいのは、非極性シリコーン油が少なくとも1種の揮発性シリコーンと少なくとも1種の非揮発性シリコーンとを含む場合である。より好ましいのは、非極性シリコーン油がメチルトリメチコン(約1.5センチストークス(cst)の粘度を有する)と約50-500cstの範囲の粘度を有するジメチコンとを含む場合である。 【0012】 非極性有機油 本発明の唇用製品は、室温で注ぐことの可能な少なくとも1種の非極性有機油を含有する。このような油は約0.1-80%、好ましくは約0.5-75%、より好ましくは約1-70%の範囲で存在し得る。非極性有機油の例としては、脂肪族または芳香族カルボン酸とアルコールとのモノ、ジ、またはトリエステルが挙げられる。こうしたエステルの例としては、例えば約2-40個の炭素原子を有する脂肪族もしくは芳香族アルコール、および脂肪族もしくは芳香族C2-40カルボン酸のエステルが挙げられ、例えばC12-20脂肪アルコール、例えばステアリル、ベヘニル、イソステアリル、セチルアルコール等のC1-10カルボン酸エステルである。より好ましいものは、室温で約10-400cstの範囲の粘度を有する非極性有機油である。 【0013】 更なる具体的な例としては、短鎖のカルボン酸と脂肪アルコールとのエステル、例えばヒドロキシル基で置換されていても良いC1-8カルボン酸とC10-22脂肪酸とのエステルである。C1-4カルボン酸の例としてはクエン酸、リンゴ酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、カプリル酸、カプロン酸等が挙げられる。脂肪アルコールとしてはステアリル、セテアリル、セチル、リノレイルアルコール等が挙げられる。このようなエステルの更なる具体的な例としては、限定するものではないが、クエン酸トリイソステアリル、トリカプリリン、リンゴ酸ジイソステアリル、オリーブ脂肪酸セテアリル(cetearyl olivate)等が挙げられる。 【0014】 両親媒性有機油 本組成物はまた、少なくとも1種の両親媒性有機油を含有する。用語「両親媒性」とは、その油が極性部分と非極性部分を有することを意味する。両親媒性の油は約0.1-70%、好ましくは約0.5-65%、より好ましくは約1-50%の範囲で存在する。 【0015】 両親媒性の油の例としては、1価、2価、もしくは多価アルコール、グリセロールもしくはポリグリコール、ペンタエリスリトール等で置換されたものが挙げられる。具体的な例としては、限定されるものではないが、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ポリアシルアジピン酸ビスジグリセリル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、トリ-ポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ベヘン酸/エイコサ二酸グリセリル、オレイン酸/リノール酸/リノレン酸ポリグリセリド、PEG-30ジポリヒドロキシステアレート等が挙げられる。 【0016】 油中水型界面活性剤 本組成物はまた、少なくとも1種の油中水型界面活性剤を含有する。好ましい範囲は約0.1-75%、好ましくは約0.5-70%、好ましくは約1-60%である。用語「油中水型界面活性剤」とは、好ましくは約4-6の範囲の親水性-親油性バランスを有する非イオン性界面活性剤を意味する。界面活性剤は有機のものであってもシリコーンベースのものであっても良い。好ましくは、好ましい実施形態において、油中水型界面活性剤はシリコーンベースのものである。より好ましいものは、一般にアルキルジメチコンコポリオールと呼ばれる油中水型シリコーン系界面活性剤である。具体的な例としては、アルキル置換ジメチコンコポリオール、例えばセチルジメチコンコポリオール、またはアルキル鎖が親油性をもたらす他のアルキル置換ジメチコンコポリオールが挙げられる。セチルジメチコンコポリオールはより具体的には反復EO(エチレンオキシド)またはPO(プロピレンオキシド)基の数を挙げて、例えばセチルPEG/PPG-10/1ジメチコン等と呼ばれる場合がある。好ましいものはまた、PEG-30ジポリヒドロキシステアレートである。 【0017】 水中油型界面活性剤 本組成物は少なくとも1種の水中油型界面活性剤を、好ましくは約0.01-80%、好ましくは約0.05-75%、より好ましくは約0.1-70%の範囲の量で含有する。こうした水中油型界面活性剤は好ましくは1種以上の非イオン性有機界面活性剤である。更なる例としてはソルビタン誘導体、例えばステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン、オリーブ脂肪酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、これらのPEG誘導体、例えばPEG2-300(2-300個のエチレングリコール反復単位)ソルビタン誘導体が挙げられる。 【0018】 他の成分ワックス 本組成物は好ましくは1種以上のワックスを含有する。用語「ワックス」とは、室温で固体または半固体であり、30-120℃の範囲の融点を有する成分を意味する。存在する場合、このようなワックスは、組成物の約0.001-70%、好ましくは約0.005-65%、より好ましくは約0.01-60%の範囲であり得る。このようなワックスとしては、脂肪アルコール、例えばベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、リノレイルアルコール等が挙げられる。好ましいものはまた動物性、植物性または鉱物性のワックスであり、ミツロウ、合成ワックス、植物由来ワックス、例えばアストロカリウム・ムルムルのシードバター(astrocaryum murumuru seed butter)、ヒマワリ種子ワックス、ベイベリー(bayberry)ワックス等が挙げられる。 【0019】 増粘剤 本組成物は1種以上の水性ベースの増粘剤を含有し得る。存在する場合、推奨される範囲は約0.01-40%、好ましくは約0.05-35%、より好ましくは約0.1-30%である。好適な水性ベースの増粘剤の例としては、キサンタンガム、アクリレートベースのポリマー、例えばカーボポール、ジメチルタウレートベースのアクリルポリマー等が挙げられる。 【0020】 顔料および粒子 所望により、唇用組成物は顔料を含んでいても良い。粒子類の推奨される範囲は約0.1-70%、好ましくは約0.5-65%、より好ましくは約1-50%であり得る。好適な顔料としては、有機および無機の顔料、例えばDCおよびFDC顔料、あるいは酸化鉄、例えば赤色、黄色、黒色酸化鉄が挙げられる。好ましいものはまた、白色または無色であり得る非顔料粒子、より一般的には粉末と呼ばれるものである。例としてはナイロン、PMMA、二酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。 【0021】 保湿剤 本組成物中に1種以上の保湿剤を含めることが望ましい場合がある。存在する場合、推奨される範囲は約0.01-20%、好ましくは約0.05-15%、より好ましくは約0.1-10%である。保湿剤の例としては、1価、2価、または多価アルコール、例えばグリセロール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタンジオール等が挙げられる。 (3) 【実施例1】 【0023】 本発明に従って水を含有する唇用の製品を以下のように作製した。 【表1】 [図:0001380937000004.jpg] 【0024】 キサンタンガム以外の水相成分を合わせて65℃に加熱した。次いでキサンタンガムを水相に添加し、溶解するまで約30分間混合した。水相混合物にグリセリンを添加した。油相成分を別個に容器中で合わせ、完全に融解するまで65℃に加熱した。この2つの相を高速プロペラ混合により合わせた。組成物を40℃に冷却した。スイープミキシングにより防腐剤を添加した。組成物を30℃に冷却し、容器に注ぎ入れた。 (4)上記(1)~(3)の記載からみて、引用文献6の実施例1には、以下の組成の油中水型エマルジョンの唇用トリートメント組成物に係る発明(引用発明6)が記載されている。 「油中水型エマルジョンの唇用トリートメント組成物 (成分) (重量%) 水 36 クエン酸トリイソステアリル 9.50 ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール 7.00 トリカプリリン 6.00 ミツロウ 5.50 ポリアシルアジピン酸ビスジグリセリル 4.80 ジメチコン 4.50 グリセリン 4.00 ヒマワリ種子ワックス 3.00 メチルトリメチコン 2.50 カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド/ステアリルアルコニウムヘクトライト/プロピレンカーボネート 2.00 リンゴ酸ジイソステアリル 2.00 トリーポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル 2.00 ベヘニルアルコール 1.75 セチルPEG/PPG-10/1 ジメチコン 1.75 ベヘン酸/エイコサ二酸グリセリル 1.50 オレイン酸/リノール酸/リノレン酸ポリグリセリド 1.50 PEG-30 ジポリヒドロキシステアレート 1.00 アストロカリウム・ムルムルシードバター 1.00 水/グルコース/ラミナリアディギタータ抽出物 0.70 オリーブ脂肪酸セテアリル/オリーブ脂肪酸ソルビタン 0.50 キサンタンガム 0.25 酢酸トコフェロール 0.20 ソルビン酸カリウム 0.05 水/グルコースオキシダーゼ/ラクトペルオキシダーゼ 0.04」 7 引用文献7の記載事項 (1) 【0002】 (発明の分野) 植物性抽出バターを含むスティックリップバームが提供される。 【背景技術】 【0003】 (発明の背景) 多くのリップバームが、スティック形状で市販されている。従来のスティックリップバームは、代表的に大量の蝋、例えば組成物の20%wt/wtを越える慣習的な蝋の量を含む。蝋は、組成物中に使用され、輸送および通常使用の条件下でスティック形状を維持するのに十分な構造を組成物に与える。石油由来の蝋、例えば、地蝋、パラフィン、および微晶質石油ベースの蝋は、それらが丈夫なスティック構造を提供し、比較的安価な材料であるため、通常使用される。 【0004】 唇が塗布領域であるため、多くの使用者は「天然の」製品の使用を好み、そして石油由来の蝋は、合成製品であると考える。したがって、「天然の」蝋、例えば蜜蝋または植物由来の蝋(例えば、キャンデリラまたはカルナウバ)の使用は、ある例においては、石油系蝋の代わりに、または部分的な代替物として使用されてきた。植物性由来のキャンデリラ蝋またはカルナウバ蝋のみの使用は、消費者に対して興味を起こさせ得る一方で、これら2種の蝋のみの別々のもしくは組み合わせての使用は、リップバームスティックを形成する場合に収縮問題を導き得、ある例においては、スティックが変形部分を有して生成され得る。 【0005】 蝋はスティックの構造に対して十分に寄与するだけでなく、蝋はまた唇に塗布される場合に保護層を形成するという利益を提供する。上述の従来の石油由来のベース蝋を使用して形成される従来のスティックリップバームは、保護性質を有する一方で、天然のリップ脂質ならびに天然由来の脂質を補充できず、したがって、天然の保湿バランスを維持できず、唇の乾燥、ひび、および割れを防止できない。 【0006】 天然の保湿リップバーム製品は市販されているが、十分な量の保湿成分を有する従来の市販の保湿製品は柔らかすぎて、かなりの形状の歪曲なしに、保存、輸送および/または唇への塗布に耐え得るスティックを形成できない。したがって、天然の保湿リップバーム組成物は、通常チューブまたはビンで販売され、そして塗布は、少なくとも一部分は使用者の指によって行われる。したがって、塗布は手が汚れ、そして手洗い施設がすぐに利用可能でない場合、特に不便である。 (2) 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 したがって、有効量の天然の保湿剤を有する天然のスティックリップバーム製品を有することが望まれる。 (3) 【0023】 組成物はさらに保湿油を含む。組成物への使用に適切な例示的な油としては、以下に限定されないが、ヒマワリ油、ココナツ油、ヒマシ油、植物油、コーン油、アロエベラ油、キャノーラ油、大豆油、ホホバ油、オリーブ油、ババス油、アボカド油、アプリコット油、メドウフォームシード油、マカダミアシード油、オートカーネル油、パームシード油、ベニバナ油、ビャクダン油、ごま油、アーモンド油、小麦胚芽油、クランベリー油およびこれらの組み合わせが挙げられる。消費者の好みを考慮すると、植物性供給源からの油を使用することが好ましい。油は、組成物中に約5%~約65%の量で含まれ得る。 8 引用文献8の記載事項及び引用発明8 (1) 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、固形状油中水系化粧料に関し、具体的には、アイシャドウ、頬紅、ファンデーション等の固形状油中水系化粧料に関する。特に本発明は、目元、頬等の皮膚に塗布したときにみずみずしい、さっぱりとした良好な使用感が得られ、なおかつ、塗布後の皮膚の乾燥、粉っぽい感触といった不快感がなく、さらに、化粧効果の持続性に優れ、保存安定性に優れる化粧料に関する。 【0002】 【従来の技術】油性固形化粧料は付着力、耐水性、被覆力に優れることから口紅、アイシャドウ、アイライナー、頬紅、ファンデーション等に広く使用されている。一般に油性固形化粧料は、液状、半固形、固形油からなる油性基剤、または、液状油をゲル化剤によって固化させた油性基剤に顔料が分散されてなる。 【0003】しかし、従来の油性基剤主体の油性固形化粧料は、べたつき感や油っぽさを感じる等の欠点があった。そこで、みずみずしい、さっぱりとした良好な使用感を得るために、水を配合した固形状油中水系化粧料が開発されている。(特許2996410号公報、特許2665473号公報等)しかしながら、べたつき感や油っぽさはなくなったものの、皮膚が乾燥し、粉っぽい使用感となるという問題があった。また、化粧効果の持続性が悪くなり、さらに、多量の水を配合すると安定性が悪くなるとい欠点があった。 (2) 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、目元、頬等の皮膚に塗布したときにみずみずしい良好な使用感が得られ、なおかつ、塗布後の皮膚の乾燥、粉っぽい感触といった不快感がなく、さらに、化粧効果の持続性に優れ、保存安定性に優れる固形状油中水系化粧料を提供することにある。 (3) 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定の液状油と、キャンデリラワックスと、水素添加ホホバエステルを含有することにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。 (4) 【0017】本発明においては、液状油分の全てがシリコーン油であっても構わないが、シリコーン油以外の液状油分を配合することができる。本発明におけるシリコーン油以外の液状油分としては、通常化粧料に用いられる液状油分であれば特に制限されない。液状油分の例を挙げれば、例えば、サフラワー油、大豆油、ブドウ種子油、ゴマ油、小麦胚芽油、アボガド油、オリーブ油、ヒマシ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油等の植物性油、ミンク油、タートル油、液状ラノリン等の動物性油、流動パラフィン、スクワラン、重質流動イソパラフィン、ポリブテン等の炭化水素類、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル等の低級アルコールの脂肪酸エステル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル等の高級アルコールの脂肪酸エステル、リンゴ酸ジイソステアリル、乳酸セチル等の高級アルコールのオキシ酸エステル、トリカプリル酸グリセリル、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール等の多価アルコールの脂肪酸エステル、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロカーボン等のフッ素油等が挙げられる。シリコーン油以外の液状油分は、1種または2種以上が任意に選択されて配合することができる。 (5) 【0028】本発明において用いられる界面活性剤は、通常化粧料に用いられるものであればよく、例えば、非イオン界面活性剤として、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ラノリンアルキレングリコール付加物、部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物等が挙げられる。界面活性剤は、一種又は二種以上を任意に選択して用いることができる。 (6) 【0040】本発明における界面活性剤の含有量は固形状油中水系化粧料全量中0.1~10質量%が好ましく、0.5~8質量%の範囲が特に好ましい。このうち、本発明に好ましく用いられる部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物は、界面活性剤中30質量%以上含有されることが好ましい。さらに好ましくは50質量%以上、さらには80質量%以上の含有が好ましい。界面活性剤中100質量%であっても構わない。 (7) 【0047】本発明の固形状油中水系化粧料の形態は、広く各種化粧品基剤として利用できる。例えば、フェースカラー、ファンデーション、頬紅、アイカラー、アイシャドウ等に特に適しているが、これに限定されるものではない。 (8) 【0080】 注1:KF-56(信越化学工業株式会社製) 注2:KF96A-1.5cs(信越化学工業株式会社製) 注3:NC1630(樹脂2質量%以下)(株式会社セラリカ野田製) 注4:精製キャンデリラワックスMD-21(樹脂10質量%以下、遊離脂肪酸10質量%以下、遊離アルコール10質量%以下)(横関油脂株式会社製) 注5:FLORAESTERS70(INTERNATIONALFLORATECHNOLOGIES製) 注6:KSG21(信越化学工業株式会社製) 【0081】 〔実施例18〕スティックファンデーション 成分 配合量(質量%) (1)ジメチルポリシロキサン(注1) 20.0 (2)メチルフェニルポリシロキサン(注2) 2.0 (3)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 4.0 (4)ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 5.5 (5)キャンデリラワックス(注3) 4.0 (6)キャンデリラワックス(注4) 2.0 (7)水素添加ホホバエステル(注5) 5.0 (8)ソルビタンセスキオレエート 3.5 (9)酸化鉄 1.7 (10)酸化チタン 8.0 (11)タルク 3.1 (12)マイカ 3.0 (13)ポリメチルシルセスキオキサン粉末 3.0 (14)精製水 残余 (15)クエン酸ナトリウム 0.3 (16)1,3-ブチレングリコール 5.0 (17)グリセリン 2.0 (18)紫外線吸収剤 3.0 (19)酸化防止剤 適量 (20)防腐剤 適量 (21)香料 適量 【0082】 注1:KF96A-10cs(信越化学工業株式会社製) 注2:KF50-100cs(信越化学工業株式会社製) 注3:NC1630(樹脂2質量%以下)(株式会社セラリカ野田製) 注4:精製キャンデリラワックスMD-21(樹脂10質量%以下、遊離脂肪酸10質量%以下、遊離アルコール10質量%以下)(横関油脂株式会社製) 注5:FLORAESTERS70(INTERNATIONALFLORATECHNOLOGIES製) (9)上記(1)~(8)の記載からみて、引用文献8の実施例18には、以下の組成のスティックファンデーションに係る発明(引用発明8)が記載されている。 「スティックファンデーション 成分 配合量(質量%) (1)ジメチルポリシロキサン(注1) 20.0 (2)メチルフェニルポリシロキサン(注2) 2.0 (3)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 4.0 (4)ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 5.5 (5)キャンデリラワックス(注3) 4.0 (6)キャンデリラワックス(注4) 2.0 (7)水素添加ホホバエステル(注5) 5.0 (8)ソルビタンセスキオレエート 3.5 (9)酸化鉄 1.7 (10)酸化チタン 8.0 (11)タルク 3.1 (12)マイカ 3.0 (13)ポリメチルシルセスキオキサン粉末 3.0 (14)精製水 残余 (15)クエン酸ナトリウム 0.3 (16)1,3-ブチレングリコール 5.0 (17)グリセリン 2.0 (18)紫外線吸収剤 3.0 (19)酸化防止剤 適量 (20)防腐剤 適量 (21)香料 適量 注1:KF96A-10cs(信越化学工業株式会社製) 注2:KF50-100cs(信越化学工業株式会社製) 注3:NC1630(樹脂2質量%以下)(株式会社セラリカ野田製) 注4:精製キャンデリラワックスMD-21(樹脂10質量%以下、遊離脂肪酸10質量%以下、遊離アルコール10質量%以下)(横関油脂株式会社製) 注5:FLORAESTERS70(INTERNATIONALFLORATECHNOLOGIES製)」 9 引用文献9の記載事項及び引用発明9 (1) 【技術分野】 【0001】 本発明は皮膚外用剤に関し、さらに詳しくは化粧品、医薬部外品、医薬品等として用いることができる、水分閉塞性、使用性(=使用感触)、安定性が格段に向上した油中水型乳化皮膚外用剤に関する。 【背景技術】 【0002】 クリームをはじめとするスキンケア化粧料の目的は皮膚に水分と油分を補って衰えた肌の調子を整えることにあり、その最も重要な機能は、皮膚に潤いと柔軟性を与えるための水分蒸散の抑制機能(以下水分閉塞性という)である。水分閉塞性とは、油分などが皮膚上で形成する薄膜が、皮膚から蒸散する水分を、外気中に放出させず、皮膚上に留める効果をさし、水分閉塞性が大きいほど、皮膚に潤いを与える効果が大きい。油分および水分を基本成分とする化粧料は、一般に油連続相中に水相の液滴が分散した油中水型乳化物と、水連続相の中に油相の液滴が分散した水中油型乳化物とに分けられ、油中水型乳化物の方が水中油型乳化物に比較して皮膚の保護や柔軟性の維持などの多くの点で優れていることが知られている。 【0003】 油剤の水分閉塞性はワセリン、流動パラフィンなどの非極性油が大きく、エステル油など極性が高くなるに従ってその力は小さくなることは既に報告されている。実際に肌荒れなどの皮膚トラブルは皮膚の乾燥が原因になっている事が多く、対処としてワセリンなどを塗付し、皮膚からの水分蒸散を効果的に抑制する事で、それらの皮膚トラブルが改善される事は知られている。そのため水分閉塞性の大きい化粧料または外用剤として、ワセリンが配合されたものが市販されている。 【0004】 しかしながら、ワセリンや流動パラフィンなどの非極性油は、一般に皮脂となじみにくいため、塗付後も皮膚上で上滑りし、非極性油が主成分のクリームなどを塗ったその手では、滑ってペンがうまく持てない、触れた服や紙などに油分が移ってしまうなどの問題が寄せられる事が少なくなかった。またそれらに粉体を配合したファンデーションなどの化粧料の場合には、塗付した肌が服に触れたときに、粉体が容易に服に移ってしまうという問題もあった。 【0005】 一方で、油中水型乳化物を利用した製品ではその乳化状態を長期間維持することが比較的困難である。この乳化安定性を向上させるため、従来より行われている方法として、連続相である油相にワックス類を多量に配合して該乳化物の粘稠性を高めることがあるが、これでもなお種々の温度変化に対して配合したワックス類の軟化や融解などの現象を生じ、乳化安定性は十分ではなかった。また使用感触の点においても、ワックス類に由来する、べたつき、油っぽい、のびが重いなどという問題が生じるという問題点があった。 【0006】 パルミチン酸イソオクチル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリルなどを初めとする、極性油としてのエステル油は一般的にワセリン、流動パラフィン、一部のワックス等の炭化水素系の油に比べて、皮脂との混和性に優れ、皮膚上で上すべりせず、なじみが良く、てかりにくいなどの利点があり、また通気性に優れ、油性感が少ないことから、油剤を使用する化粧料には常用されている。また肌なじみが良いため、ワセリン配合の化粧料のように、服などに油分が移るなどという問題もほとんど寄せられていない。 【0007】 しかしながらエステル油は通気性に富むため、水分閉塞性においてはワセリンに遠く及ばず、エステル油が主成分の油中水型乳化化粧料は油分の主たる目的である水分閉塞性を満足せず、肌荒れなどの改善効果は小さいものであった。さらに従来の油中水型乳化物にエステル油を配合すると相分離などを生じ、乳化安定性に難点があった。したがって、使用感触が優れているにも関わらず、エステル油の配合には制約が多く、実際に官能が改良されるほどの量が使用されることは少なかった。 【0008】 ところで近年、紫外線照射による皮膚への影響の懸念が増大しており、サンスクリーン用化粧料の需要が高まっている。市販のサンスクリーン用化粧料は一般的かつ代表的には油中水型乳化化粧料であり、これらにはSPF(Sun Protection Factor )値を上げるために必ずといってよいほど、紫外線吸収油剤が配合されており、例えばパラメトキシ桂皮酸エステルやN,N-ジメチルパラアミノ安息香酸エステルなどのエステル油としての紫外線吸収剤が汎用されている。ところが、これらの紫外線を吸収する機能のある官能基をもつエステル油は特に極性が高いため、これを乳化しその安定性を維持することが難しく、それにもかかわらず油中水型乳化組成物を調製するためにはワックス類を多量に配合する方法やワックス類の組み合わせで対応するしかなく、かかるエステル油の配合量の制限を余儀なくされることはしばしばであった。 【0009】 かかる事情により、エステル油の肌なじみ性を有しながら、ワセリン並みの水分閉塞性を実現し、さらに乳化安定性に優れた油中水型乳化皮膚外用剤が望まれていた。 なお、多価アルコールと、中鎖または長鎖脂肪酸と、中鎖二塩基酸とをエステル化してなる油性物質のある種のものは、粘着性が良く、水中油型の被乳化油剤として用いられ、その乳化安定性に寄与することから、口紅あるいは水中油型クリームに配合されることが知られている。 (2) 【発明が解決しようとする課題】 【0010】 本発明は、このような状況に鑑み、上記の諸問題を改善し、水分閉塞性に優れ、使用感触が良好で、さらには乳化安定性に優れた、油中水型の乳化皮膚外用剤を提供することを課題とする。 (3) 【課題を解決するための手段】 【0011】 本発明者等は上記事情に鑑み、水分閉塞性、安定性、使用性ともに良好な油中水型乳化皮膚外用剤を得るべく、鋭意研究した結果、油相中にエステル油と共に特定のエステル化合物を配合し、かつ水相中に水溶性無機塩を配合することで、上記課題を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。 (4) 【0025】 本発明の油中水型乳化皮膚外用剤の油相中に配合するエステル油としては、化粧品等に通常用い得るエステル油を用いることができる。かかるエステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸オクチルドデシル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリド、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、(アジピン酸・2-エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリンオリゴエステル、(2-ヘキシルデカン酸・セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、グレープシード油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、月見草油、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、酢酸エチル、酢酸ブチル、クエン酸トリエチルなどが挙げられる。 (5) 【0033】 親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α‘-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル類、モノイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、縮合リシノレイン酸ジグリセリル、縮合リシノレイン酸テトラグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。 (6) 【0037】 本発明の油中水型乳化皮膚外用剤の油相を構成するエステル油以外の油分は特に限定されず、通常化粧料又は外用剤に利用される各種の油分中、エステル油以外の油分を用いることができ、例えば、固体油脂、ロウ類、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン油などが挙げられる。以下にエステル油以外の油分の具体例を列挙する。 (7) 【0043】 シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサンなどの環状ポリシロキサン、ポリオキシエチレンポリアルキルシロキサン等が挙げられる。 (8) 【0072】 本発明の油中水型乳化皮膚外用剤の形態については、特に制限はないが、例えばクリーム、乳液、ファンデーション、メークアップ下地、頬紅、アイシャドー、アイライナー、アイブロー、マスカラ、マッサージ料、ハンドクリーム、軟膏、乳化タイプ含水リップ、ヘアクリームなど、皮膚に外用する全て油中水型の製品を包含する。 (9) 【0097】 実施例12W/O乳化ファンデーション ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル(商品名ノムコートHK-G、日清製油(株)製) 0.2 流動パラフィン 5 メチルフェニルポリシロキサン 5 トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル 5 ポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサン 4 セリサイト 5 カオリン 3 二酸化チタン 12 ベンガラ 0.5 黄酸化鉄 1 黒酸化鉄 0.1 3ブチレングリコール 5 硫酸ナトリウム 0.2 分散剤 適量 防腐剤 適量 香料 適量 イオン交換水残量 【0098】 実施例12で得られたW/O乳化ファンデーションは、実施例1~7で行った水分閉塞性、使用性及び安定性の評価において、水分閉塞性◎、使用性◎、安定性(5℃:○、室温:○、40℃:○)と良好なものであった。またこのW/O乳化ファンデーションは皮膚へのなじみが良好で、ファンデーションを塗付した肌が服に触れても粉体が移ることなく、使用感は非常に満足感の高いものであった。 (10)上記(1)~(9)の記載からみて、また、「3ブチレングリコール」は「1,3-ブチレングリコール」の誤記と認められるから、引用文献9の実施例12には、以下の組成のW/O乳化ファンデーションに係る発明(引用発明9)が記載されている。 「W/O乳化ファンデーション (成分) (質量%) ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル(商品名ノムコートHK-G、 日清製油(株)製) 0.2 流動パラフィン 5 メチルフェニルポリシロキサン 5 トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル 5 ポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサン 4 セリサイト 5 カオリン 3 二酸化チタン 12 ベンガラ 0.5 黄酸化鉄 1 黒酸化鉄 0.1 1,3-ブチレングリコール 5 硫酸ナトリウム 0.2 分散剤 適量 防腐剤 適量 香料 適量 イオン交換水 残量」 10 引用文献10の記載事項及び引用発明10 (1) 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、コンパクト容器や金皿、スティック容器や中皿等の容器に充填してなる固形状油中水型化粧料に関し、容器への充填成形時に粉体の分散性と経時安定性に優れ、更には、化粧塗布時の伸び広がり、塗布後の化粧持続性にも優れた固形状油中水型化粧料に関するものである。 【0002】 【従来の技術】固形状油中水型化粧料は、肌上で耐水性の化粧膜を形成させることができる有用な剤型である。しかし、この剤型は、配合される油分が多いため、塗布時のベタツキ感や油っぽさを感じることが欠点であった。この欠点を改良するために、特開平01-079104号公報に記載しているような、油分中にシリコン油を配合させて、塗布時のベタツキ感や油っぽさを低減し、特定のポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンを用いて、水性成分や粉体を安定化する技術があった。また、固形状油中水型化粧料中に粉体を均一に分散安定化するために、特開平02-088511号公報に記載しているような、親油性界面活性剤と疎水化処理粉体を組み合わせて用いる技術があった。 (2) 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンでは、化粧料を加熱し流動化させ容器に充填する際、粉体の凝集や沈降等を生じるため、化粧料表面の色ムラや、ベタツキを感じる等の欠点を有していた。また、粉体を疎水化処理して、親油性界面活性剤と組み合わせて、分散安定化させる技術でも、上記欠点を満足できる水準にはなっていなかった。そこで、充填成形時に粉体の分散性及び経時安定性に優れ、化粧塗布時の伸び広がり、塗布後の化粧持続性にも優れた固形状油中水型化粧料の開発が望まれていた。 (3) 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上記実情に鑑み、鋭意検討を行なった結果、長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンと固形油を含有する油分に水及び粉体を含有する固形状油中水型化粧料に、アクリル-シリコーン系グラフト共重合体併用することにより、特に粉体に処理を施すことなく、化粧料を加熱し流動化させ容器に充填する際、粉体の凝集や沈降を生じず、充填成形性と経時安定性に優れる固形状油中水型化粧料が得られることを見出した。また更に、この固形状油中水型化粧料は、化粧塗布時の伸び広がりが良好で、塗布後の化粧持続性も良好であるという優れた官能特性を持つことを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、次の成分(a)~(e): (a)長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン (b)アクリル-シリコーン系グラフト共重合体 (c)粉体 (d)固形油 (e)水性成分 を含有することを特徴とする固形状油中水型化粧料を提供するものである。 (4) 【0006】本発明に使用される成分(a)の長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンは、長鎖アルキル基を含有する基とポリオキシアルキレン基とで共変性されたオルガノポリシロキサンであれば、いずれのものも使用することができ、中でも固形油との相溶性の観点より、好ましくは、次の一般式(1)又は(2)で表されるものが挙げられる。 【0007】長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンが下記一般式(1) R1aR2bR3cSiO(4-a-b-c)/2 …(1) 〔式中、R1は同一又は異なってもよく、炭素数1~10のアルキル基、水素原子、アリール基、アラルキル基、フッ素置換アルキル基を示し、R2は-CmH2m-O-(C2H4O)d-(C3H6O)e-R4で示される基(式中、mは1~5の整数、d、eは0以上の整数、且つ、d+e≧1~200であり、R4は水素原子若しくは炭素数1~5の一価炭化水素基又はR5-(CO)-で示される有機基、R5は炭素数1~5の一価炭化水素基)であり、R3は炭素数10~30の一価炭化水素基であり、a、b、cはそれぞれ1.0≦a≦2.5、0.001≦b≦1.5、0.001≦c≦1.5である。〕で表されるシリコーン化合物。【0008】長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンが下記一般式(2) R1aR2bR6cSiO(4-a-b-c)2 …(2) 〔式中、R1は同一又は異なってもよく、炭素数1~10のアルキル基、水素原子、アリール基、アラルキル基、フッ素置換アルキル基を示し、R2は-CmH2m-O-(C2H4O)d-(C3H6O)e-R4で示される基(式中、mは1~5の整数、d、eは0以上の整数、且つ、d+e≧1~200であり、R4は水素原子若しくは炭素数1~5の一価炭化水素基又はR5-(CO)-で示される有機基、R5は炭素数1~5の一価炭化水素基)であり、R6は-CnH2n-O-(C2H4O)f-(C3H6O)g-R7(式中、nは1~5の整数、f、gは0以上の整数、且つ、f+g≧0~200であり、R7は炭素数10~30一価炭化水素基)であり、a、b、cはそれぞれ1.0≦a≦2.5、0.001≦b≦1.5、0.001≦c≦1.5である。〕で表されるシリコーン化合物。 【0009】本発明に使用される長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンは、例えば、一般式(1)で表されるアビルEM-90、アビルB9806(共にゴールドシュミット社製)等市販されているものや、一般式(2)のシリコーン化合物(特開平04-036324、特開平09-059386記載のもの)を挙げることができ、これらを必要に応じて一種又は二種以上用いることができる。 【0010】本発明の固形状油中水型化粧料における、成分(a)の長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの配合量は、ベタツキ感の低減や経時安定性の観点から、0.05~10重量%(以下単に「%」で示す。)が好ましく、0.1~5%が特に好ましい。 (5) 【0019】本発明に使用される成分(d)の固形油は、常温で固形状の油であり、通常化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、パラフィンワックス、セレシンワックス、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、モクロウ、モンタンワックス、フィッシュトロプスワックス、ポリエチレンワックス、12-ヒドロキシステアリン酸等の炭化水素類、カルナウバロウ、ミツロウ、ラノリンワックス、キャンデリラ等の天然物類、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル等のエステル類、ステアロキシジメチルポリシロキサン、ステアリルシロキサン等のアルキル変性シリコーン類、ステアリン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸類、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類をを挙げることができ、これらを必要に応じて一種又は二種以上用いることができる。 【0020】本発明の固形状油中水型化粧料における、成分(d)の固形油の配合量は、形状保持効果の観点より、3~20%が好ましく、5~15が特に好ましい。 【0021】本発明に使用される成分(e)の水性成分は、水及び水に可溶な成分であり、通常化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、水や、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液を挙げることができ、これらを必要に応じて一種又は二種以上用いることができる。 【0022】本発明の固形状油中水型化粧料における、成分(e)の水性成分の配合量は、清涼感等の使用感及び経時安定性の観点より、5~70%が好ましく、10~60%が特に好ましい。 【0023】本発明の固形状油中型化粧料には、上記必須成分の他に通常、化粧料に使用される成分、例えば、成分(a)以外の界面活性剤、成分(d)以外の油性成分、油ゲル化剤、紫外線吸収剤、トリメチルシロキシケイ酸等の油溶性被膜形成剤、エタノール等の溶剤、パラオキシ安息香酸誘導体、フェノキシエタノール等の防腐剤、ビタミン類、美容成分、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。 【0024】成分(a)以外の界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン系界面活性剤等の非イオン性界面活性剤類、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸及びそれらの無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸酸塩、アルキルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α-スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N-メチル-N-アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N-アシルアミノ酸塩、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩等の陰イオン性界面活性剤類、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノルアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤類、レシチン、N,N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシルメチルアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。 【0025】成分(d)以外の油としては、例えば、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状シリコーン類、25℃での粘度が5cs以下のジメチルポリシロキサンなどの揮発性シリコーン油、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、フッ素変性シリコーン等の不揮発性シリコーン油、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油等の油脂類、、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル等のエステル類、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、N-ラウロイルーL-グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のアミノ酸誘導体油類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。 (6) 【0028】本発明の固形状油中水型化粧料は、メーキャップ化粧料、スキンケア化粧料、挙げられるが、特に、ファンデーションや下地等のメーキャップ化粧料において効果が発揮されやすい。また、本発明の固形状油中水型化粧料は、通常公知の方法、例えば、成分(a)と(b)及び成分(d)を含む油性成分中に、成分(c)と成分(e)を分散させ、これを、加熱溶融して容器に充填し、冷却固化する方法、充填時に射出成形機等にて圧力を加えて密閉容器に充填する方法等により、調製可能である。 (7) 【0029】 【実施例】次に実施例を挙げ、本発明をさらに説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。 【0030】実施例1~5及び比較例1~3:コンパクトタイプ油中水型ファンデーション表1に示す組成のコンパクトタイプ油中水型ファンデーションを調製し、容器への充填成形性、経時安定性、及び、このファンデーションを使用した時の、「清涼感」、「伸び広がり」、「化粧持続性」の各官能評価項目について、以下に示す方法及び判定基準により評価し、結果を表1に併せて示した。 【0031】 【表1】 [図:0001380937000005.jpg] 【0032】注1:アビルEM-90(ゴールドシュミット社製) 注2:下記化学式(4)で示される長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン 【0033】 【化2】 [図:0001380937000006.jpg] 【0034】注3:シリコ-ンKF-6017(信越化学工業社製) 注4:下記化学式(5)で示される片末端メタクリレート置換ジメチルポリシロキサン40g、メチルメタクリレート40g、2-エチル-ヘキシルアクリレート10g、n-ブチルメタクリレート10g、トルエン100gを混合し、続いてアゾビスイソブチロニトリル1.5gを添加、溶解させた後、攪拌下に80~90℃の温度範囲内で5時間反応させ粘稠な溶液を得た。この溶液を2lのメタノール中に注ぎ込み、グラフトポリマーを沈殿析出せしめた。沈殿物を濾別し、乾燥させて得られれた重合体。 【0035】 【化3】 [図:0001380937000007.jpg] 【0036】(調製方法) A:成分8~16を加熱溶解する。 B:Aに成分1~7、成分17~27を混合分散する。 C:Bに成分28~32を加えて、分散し、油中水型ファンデーションバルクを得た。 【0037】(容器への充填方法及び、充填成形性の評価方法)上記調製方法により得られた、実施例1~5及び比較例1~3の油中水型ファンデーションバルクを、70℃に加熱した後、脱泡し、コンパクト容器に流し込み、室温まで冷却してコンパクトタイプ油中水型ファンデーションを得た。この時、充填成形性の評価として、加熱した時のバルク中での粉体の沈降、及び表面の色ムラを目視にて観察し、下記判断基準により評価した。 判断基準: ◎ :問題無し ○ :若干の問題があるが、全体として許容できる水準 △ :問題があり、全体として許容できないが成形性はあるという水準 × :問題がある 【0038】(経時安定性評価方法)前記調製方法により得られた、実施例1~5及び比較例1~3の油中水型ファンデーションバルクを、70℃に加熱して脱泡した後、密閉ガラス瓶に全容量の半量を流し込み、室温まで冷却し、これを5℃、40℃、50℃の各温度にて保管する。50℃保管品は一昼夜後、室温に戻し、ガラス瓶の空間部分及びバルク表面を観察し水分の結露具合を下記判断基準に従って評価する。また、5℃、40℃保管品については、1ヶ月まで外観状態の変化を下記判断基準に従って評価する。 判断基準: ◎:50℃品での水分の結露が全く無く、5℃、40℃品の変化が全く無い ○:50℃品で水分の結露が僅かに有るが、許容できる水準であり、5℃、40℃品の変化が無い △:50℃品で水分の結露が僅に有り、5℃、40℃品の変化も有り、許容できない水準である ×:50℃品で水分の結露及び、5℃、40℃品の変化において共に問題あり 【0039】(ファンデーションを使用した時の官能評価方法)実施例1~5及び比較例1~3のコンパクトタイプ油中水型ファンデーションを化粧品専門使用パネル40人に使用してもらい、「清涼感」、「伸び広がり」、「化粧持続性」の各官能評価項目について、良いと感じた人数により、以下の官能評価基準に従って評価した。 判断基準: 良いと感じた人数 31~40名:◎ 21~30名:○ 11~20名:△ 10名以下:× 【0040】表1から明らかなように、実施例1~5のコンパクトタイプ油中水型ファンデーションは比較例と比べ、容器への充填成形性と経時安定性が良好であり、且つ、このファンデーションを使用した時の、「清涼感」、「伸び広がり」、「化粧持続性」の総ての項目に優れたものであった。 (8) 【0043】 実施例7:スティック状口紅 (処方) (重量%) 1.長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン 変性オルガノポリシロキサン(注2) 3 2.アクリル-シリコーン系グラフト共重合体(注4) 5 3.オクタメチルシクロテトラシロキサン 20 4.流動パラフィン 27 5.セレシンワックス 7 6.カルナバウワックス 3 7.赤色226号 1 8.黄色4号 0.2 9.ベンガラ 0.2 10.雲母チタン 10 11.精製水 残量 12.1,3-ブチレングリコール 3 (9)上記(1)~(8)の記載からみて、引用文献10の実施例2には、以下の組成のコンパクトタイプ油中水型ファンデーションに係る発明(引用発明10)が記載されている。 「コンパクトタイプ油中水型ファンデーション (成分) (重量%) 長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン2.0 モノオレイン酸ソルビタン 0.3 アクリルーシリコーン系グラフト共重合体 3.0 デカメチルシクロペンタシロキサン 8.0 セレシンワックス 5.0 流動パラフィン 5.0 トリオクタン酸グリセリル 5.0 メチルフェニルポリシロキサン 5.0 レシチン 0.1 酸化チタン 10 ベンガラ 1.0 黄色酸化鉄 2.0 黒酸化鉄 0.3 タルク(平均粒径5μ) 5.0 多孔質球状無水ケイ酸(平均粒径3μ) 3.0 精製水 残量 プロピレングリコール 10.0 グリセリン 2.0 保湿剤(植物抽出液) 0.1 パラオキシ安息香酸メチル 0.1」 11 引用文献11の記載事項及び引用発明11 (1) 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、コンパクト容器や金皿、スティック容器や中皿等の容器に充填してなる固形状油中水型化粧料に関し、容器への充填成形性と経時安定性に優れ、更には、塗布時の清涼感と潤い感、塗布後の化粧持続性にも優れた固形状油中水型化粧料に関するものである。 【0002】 【従来の技術】油中水型化粧料は肌上で耐水性の化粧膜を形成させることができる有用な剤形であるが、油分量が多いため、塗布時のベタツキ感や油っぽさを感じることが欠点であった。この欠点を改良するため油分中に揮発性シリコーン油を配合させる技術があった。しかし、この揮発性シリコーン油を用いた油中水型化粧料は、経時安定性の確保が困難であった。また、従来の油中水型化粧料は、乳液状やクリーム状の形態が殆どであり、これら化粧料を充填する容器としては、ガラス製や樹脂製の瓶型容器又はチューブ容器が一般的に用いられていた。しかし、ガラス瓶は一般的に重いため携帯性が悪く、チューブ容器は携帯性は良いが、鞄の中等で他の荷物に押されてチューブが破裂し中身が漏れる心配があった。近年この様な市場の要求に対して、固形状油中水型化粧料が開発されてきている。例えば、特開平01-79104号公報に記載している様に、特定のポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンと固形油により固形状油中水型乳化化粧料を調製する技術がある。 【0003】 【本発明が解決しようとする課題】しかしながら、この特定のポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンは、固化するための必須成分である固形油との相溶性が悪く、化粧料を加熱し流動化させ容器に充填する際、加熱により油分が不均一化しやすく、これによる品質の劣化や経時安定性に問題を生じる場合があった。また同時に、化粧料を加熱し流動化させ容器に充填する際、加熱により内水相中の水が蒸発しやすく、これによる品質の劣化や経時安定性にも問題を生じる場合があった。そこで、充填成形性及び経時安定性に優れ、使用感にも優れる固形状油中水型化粧料の開発が望まれていた。 (2) 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上記実情に鑑み、鋭意検討を行なった結果、揮発性シリコーン油と固形油とを含有する油分中に水を含有する固形状油中水型化粧料に長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンを用いることにより、化粧料をコンパクト容器や金皿、スティック容器や中皿等に充填する際に、油分の不均一化や、水の蒸発が抑制され、充填成形性と経時安定性に優れる化粧料が得られ、更には、この固形状油中水型化粧料は、清涼感と潤い感が良好で、塗布後の化粧持続性も良好であるという優れた官能特性を有することを見出し本発明を完成させた。すなわち、本発明は、次の成分(a)~(d): (a)長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン (b)揮発性シリコーン油 (c)固形油 (d)水性成分 を含有することを特徴とする固形状油中水型化粧料を提供するものである。更には、(e)成分として、無機塩、水溶性高分子、有機酸又はその塩、アミノ酸又はその塩、ポリエチレングリコール、糖類から選ばれる以上の水分蒸発抑制剤を含有することにより、充填成形性と経時安定性が更に向上する固形状油中水型化粧料を提供するものである。 (3) 【0006】本発明に使用される(a)成分の長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンは、長鎖アルキル基を含有する基とポリオキシアルキレン基とで共変性されたオルガノポリシロキサンであれば、いずれのものも使用することができ、中でも固形油との相溶性の観点より、好ましくは、次の一般式(1)又は(3)で表されるものが挙げられる。 【0007】長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンが下記一般式(1) R1aR2bR3cSiO(4-a-b-c)/2 …(1) 〔式中、R1は同一又は異なってもよく、炭素数1~10のアルキル基、水素原子、アリール基、アラルキル基、フッ素置換アルキル基を示し、R2は-CmH2m-O-(C2H4O)d-(C3H6O)e-R4で示される基(式中、mは1~5の整数、d、eは0以上の整数、且つ、d+e≧1~200であり、R4は水素原子若しくは炭素数1~5の一価炭化水素基又はR5-(CO)-で示される有機基、R5は炭素数1~5の一価炭化水素基)であり、R3は炭素数10~30の一価炭化水素基であり、a、b、cはそれぞれ1.0≦a≦2.5、0.001≦b≦1.5、0.001≦c≦1.5である。〕で表されるシリコーン化合物。 【0007】長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンが下記一般式(2) R1aR2bR6cSiO(4-a-b-c)2 …(2) 〔式中、R1は同一又は異なってもよく、炭素数1~10のアルキル基、水素原子、アリール基、アラルキル基、フッ素置換アルキル基を示し、R2は-CmH2m-O-(C2H4O)d-(C3H6O)e-R4で示される基(式中、mは1~5の整数、d、eは0以上の整数、且つ、d+e≧1~200であり、R4は水素原子若しくは炭素数1~5の一価炭化水素基又はR5-(CO)-で示される有機基、R5は炭素数1~5の一価炭化水素基)であり、R6は-CnH2n-O-(C2H4O)f-(C3H6O)g-R7(式中、nは1~5の整数、f、gは0以上の整数、且つ、f+g≧0~200であり、R7は炭素数10~30一価炭化水素基)であり、a、b、cはそれぞれ1.0≦a≦2.5、0.001≦b≦1.5、0.001≦c≦1.5である。〕で表されるシリコーン化合物。 【0008】本発明で用いられる長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンは、例えば、一般式(1)で表されるアビルEM-90、アビルB9806(共にゴールドシュミット社製)等市販されているものや、一般式(3)のシリコーン化合物(特開平04-036324、特開平09-059386記載のもの)を挙げることができ、これらを必要に応じて一種又は二種以上を用いることができる。 【0009】本発明の固形状油中水型化粧料における(a)成分である長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンの配合量は、べたつき感や経時安定性の観点から、0.05~10重量%(以下単に「%」で示す。)が好ましく、0.1~5%が特に好ましい。 (4) 【0015】本発明に使用される(c)成分の固形油は常温で固形状の油であり、通常化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、パラフィンワックス、セレシンワックス、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、モクロウ、モンタンワックス、フィッシュトロプスワックス、ポリエチレンワックス、12-ヒドロキシステアリン酸等の炭化水素類、カルナウバロウ、ミツロウ、ラノリンワックス、キャンデリラ等の天然物類、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル等のエステル類、ステアロキシジメチルポリシロキサン、ステアリルシロキサン等のアルキル変性シリコーン類、ステアリン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸類、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類をを挙げることができ、これらを必要に応じて一種又は二種以上を用いることができる。 【0016】本発明の固形状油中水型化粧料における(c)成分である固形油の配合量は、形状保持効果の観点より、3~20%が好ましく、5~15が特に好ましい。また、全油分中に(c)成分である固形油は、使用性、肌上での伸び広がり等より、0.05~30%が更に好ましい。 【0017】本発明に使用される(d)成分の水性成分は水及び水に可溶な成分であり、通常化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、水や、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液を挙げることができ、これらを必要に応じて一種又は二種以上を用いることができる。 【0018】本発明の固形状油中水型化粧料における(d)成分の水性成分の配合量は、清涼感等の使用感及び経時安定性の観点より、5~70%が好ましく、10~60%が特に好ましい。 【0019】上記固形状油中水型化粧料に、更に(e)成分の水分蒸発抑制剤を加えることによって、充填成形性及び経時安定性が格段に向上する。本発明に使用される(e)成分の水分蒸発抑制剤は、油中水型化粧料の水相に配合することにより、高温での水の蒸発を抑制するものであれば何れでもよく、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸マグネシウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アルミニウム等の無機塩類、キサンタンガム、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子類、ヒドロキシ酢酸、乳酸、β-ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸又はこれらの塩類、グリシン、ヴァリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、イロリドンカルボン酸等のアミノ酸又はこれらの塩類、分子量200~450万のポリエチレングリコール類、グルコース、フルクトース、ガラクトース、キシロース、マルトース、シュークロース、ラクトース、デキストリン等の糖類を挙げることができ、これらを必要に応じて一種又は二種以上を用いることができる。 【0020】本発明に使用される(e)成分の水分蒸発抑制剤の配合量は固形状油中水型化粧料中に、0.01~5%であり、この範囲で用いると、充填成形性と経時安定性が格段に向上する。 (5) 【0023】(a)成分以外の界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン系界面活性剤等の非イオン性界面活性剤類、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸及びそれらの無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸酸塩、アルキルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α-スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N-メチル-N-アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N-アシルアミノ酸塩、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩等の陰イオン性界面活性剤類、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノルアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤類、レシチン、N,N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシルメチルアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。 【0024】(b)及び(c)成分以外の油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、フッ素変性シリコーン等の不揮発性シリコーン油、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油等の油脂類、、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル等のエステル類、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、N-ラウロイルーL-グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のアミノ酸誘導体油類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。 (6) 【0027】本発明の固形状油中水型化粧料は、例えば、メーキャップ化粧料、スキンケア化粧料、頭髪化粧料等が挙げられるが、特に、ファンデーションや下地等のメーキャップ化粧料、日焼け止め料等のスキンケア化粧料において効果が発揮されやすい。 (7) 【0028】 【実施例】次に実施例を挙げ、本発明をさらに説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。 【0029】実施例1~8及び比較例1~3 表1に示す組成のコンパクトタイプ油中水型ファンデーションを調製し、皿容器への充填成形性、経時安定性、及びこのファンデーションを使用した時の、塗布時の清涼感と潤い感、塗布後の化粧持続性の各官能評価項目について、下記方法及び判定基準により評価し、結果を表1に併せて示した。 【0030】 【表1】 [図:0001380937000008.jpg] 【0031】注1:アビルEM-90(ゴールドシュミット社製) 注2:一般式(3)で示されるシリコーン化合物 【0032】 【化1】 [図:0001380937000009.jpg] 【0033】但し、式中のR8は-C3H6O(C3H6O)3C18H35 R9は-C3H6O(C2H4O)9Hを示す。 注3:シリコーンKF6017(信越化学工業社製) 【0034】(調製方法) A:7~15を混合溶解する。 B:Aに1~6及び16~21を混合分散する。 C:22~32を混合する。 D:BにCを加えて混合分散し、油中水型ファンデーションバルクを得た。 【0035】(皿容器への充填方法及び充填成形性の評価方法)実施例1~8及び比較例1~3の上記調製方法により得られた油中水型ファンデーションバルクを、70℃に加熱した後、脱泡し、コンパクト容器に流し込み、室温まで冷却してコンパクトタイプ油中水型ファンデーションを得た。この時、充填成形性の評価として、加熱した時のバルクの流動性、容器内でのバルクの広がり性、冷却時の表面状態(亀裂や色ムラの有無)を目視にて観察し、下記判断基準により評価した。 判断基準: ◎:流動性、広がり性、表面状態の全ての項目が問題無し ○:流動性、広がり性、表面状態の何れか一つの項目で若干の問題があるが、全体として許容できる水準 △:流動性、広がり性、表面状態の何れか一つの項目での問題があり、全体として許容できない水準 ×:流動性、広がり性、表面状態で複数の項目で問題がある 【0036】(経時安定性評価方法)実施例1~8及び比較例1~3の上記調製方法により得られた油中水型ファンデーションバルクを、70℃に加熱して脱泡した後、密閉ガラス瓶に全容量の半量を流し込み、室温まで冷却し、これを5℃、40℃、50℃の各温度にて保管する。50℃保管品は一昼夜後、室温に戻し、ガラス瓶の空間部分及びバルク表面を観察し水分の結露具合を下記判断基準に従って評価する。また、5℃、40℃保管品については、1ヶ月まで外観状態の変化を下記判断基準に従って評価する。 判断基準: ◎:50℃品での水分の結露が全く無く、5℃、40℃品の変化が全く無い ○:50℃品で水分の結露が僅かに有るが、許容できる水準であり、5℃、40℃品の変化が無い △:50℃品で水分の結露が僅に有り、5℃、40℃品の変化も有り、許容できない水準である×:50℃品で水分の結露及び、5℃、40℃品の変化において共に問題あり 【0037】(ファンデーションを使用した時の官能評価方法)実施例1~8及び比較例1~3のコンパクトタイプ油中水型ファンデーションを化粧品専門使用パネル40人に使用してもらい、塗布時の清涼感と潤い感、塗布後の化粧持続性の各項目について、良いと感じた人数により、以下の官能評価基準に従って評価した。 判断基準: 良いと感じた人数 31~40名:◎ 21~30名:○ 11~20名:△ 10名以下:× 【0038】充填成形性の評価、経時安定性及びファンデーションを使用した時の官能評価の結果を併せて、表1に示した。 【0039】表1から明らかなように、実施例1~8のコンパクトタイプ油中水型ファンデーションは比較例と比べ、皿容器への充填成形性と経時安定性が良好であり、且つ、このファンデーションを使用した時の、塗布時の清涼感と潤い感、塗布後の化粧持続性の総ての項目に優れたものであった。 (8) 【0044】 実施例10:スティック状油中水型口紅 (成分) (重量%) 1.マイクロクリスタリンワックス 9 2.キャンデリラワックス 6 3.パラフィンワックス 5 4.トリイソステアリン酸ジグリセリル 10 5.N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジエステル(注6) 5 6.ヘキサグリントリステアレート 1 7.デカメチルシクロペンタシロキサン 20 8.オクタメチルシクロテトラシロキサン 10 9.トリメチルメトキシケイ酸溶液(注7) 5 10.長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン 変性オルガノポリシロキサン(注2) 5 11.パールフオロアルキルリン酸エステル処理酸化チタン 5 12.パーフルオロアルキルリン酸エステル処理赤色226号 2 13.パーフルオロアルキルリン酸エステル処理黄色4号 0.5 14.球状オルガノポリシロキサン エラストマーパウダー(平均粒子径2μ) 3 15.精製水 残量 16.ジプロピレングリコール 10 17.香料 適量 注6:エルデューCL301(味の素社製) 注7:シリコーンKF7312J(信越化学工業社製) (9)上記(1)~(8)の記載からみて、引用文献11の実施例5には、以下の組成のコンパクトタイプ油中水型乳化ファンデーションに係る発明(引用発明11)が記載されている。 「コンパクトタイプ油中水型乳化ファンデーション (成分) (重量%) 長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン5.0 デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0 オクタメチルシクロテトラシロキサン 5.0 セレシンワックス 5.0 ミツロウ 3.0 トリベヘン酸グリセリル 5.0 流動パラフィン 5.0 トリオクタン酸グリセリル 5.0 メチルフェニルボリシロキサン 3.0 レシチン 0.1 シリコーン処理酸化チタン 10.0 ベンガラ 0.8 黄色酸化鉄 1.5 黒酸化鉄 0.1 シリコーン処理タルク(平均粒径5μ) 3.0 多孔質球状無水ケイ酸(平均粒径3μ) 3.0 精製水 残量 1,3-ブチレングリコール 10.0 グリセリン 2.0 クエン酸ナトリウム 0.1 保湿剤(植物抽出液) 0.1 パラオキシ安息香酸メチル 0.1」 12 引用文献12の記載事項及び引用発明12 (1) 【技術分野】 【0001】 本発明は、両親媒性化合物を配合した、安定性が高く使用感の良好なエマルションタイプの皮膚外用剤に関する。 【背景技術】 【0002】 エマルションタイプのスキンケア化粧料は、皮膚などに適度な油分と水分を与えることができるため、従来から広く用いられている。しかしエマルション(乳化液)は熱力学的に不安定な系であり、クリーミング・凝集・合一などの過程を経て最終的には二相に分離してしまう。そのため、エマルションタイプの化粧料の製造工程には様々な安定化技術が用いられてきた。それらの安定化技術の中でも乳化技術は極めて重要である。 【0003】 エマルションの安定化に用いられる乳化技術の例としては、転相乳化法、HLB温度乳化法、D相乳化法などの界面化学的手法による調製法、凝集法による微細エマルションの調製法、高圧乳化機による微細エマルションの調製法、SPG膜乳化法、界面活性剤-高級アルコール会合体を用いたエマルションの調製法、液晶乳化法、アミノ酸を利用したW/O乳化法などがある(非特許文献1)。 【0004】 最近では、連続相としての油相による閉塞効果によって高い保湿効果が期待できる油中水型乳化組成物を用いたエマルション型化粧料が有望視されており、特に高いスキンケア効果が望まれる乳液や化粧クリームにしばしば応用されている。しかし、油中水型乳化化粧料は一般にべたつき感が強くなりやすい。そこで、べたつき感の少ないシリコーン油を油分として用い、乳化剤として架橋型ポリエーテル変性シリコーンを用いて高内水相とした化粧料が開発されている(特許文献1~3参照)。しかし、シリコーン油が多く配合された製品は、確かにべたつき感は少なくなるが、保湿効果(しっとり感)が足りないという問題を有している。十分な保湿効果(しっとり感)が得られ、かつべたつき感の少ない油中水型乳化化粧料を調製するためには、油分として炭化水素油を適当量配合し、かつ多量の水を安定に乳化させることが考えられる。しかし油分として炭化水素油を適当量配合した油中水型乳化物の場合、架橋型ポリエーテル変性シリコーンなどのシリコーン系両親媒性化合物を乳化剤として用いたのでは安定な乳化物を得ることができない。このような場合の乳化剤として、親油性の炭化水素系両親媒性化合物を乳化剤として利用することが考えられるが、親油基として長鎖の脂肪酸残基又は高級アルコール残基を有する炭化水素系両親媒性化合物は、一般的に高いクラフト点(TK;Krafft eutectic temperature)を有しているために、得られる乳化物の安定性が悪く、特に低温での安定性が悪いという問題点を有している。 【0005】 両親媒性化合物は、クラフト点以上の温度で、水中で様々な液晶構造(ヘキサゴナル液晶、逆ヘキサゴナル液晶、ラメラ液晶、キュービック液晶など)を形成する。この液晶形成能を利用して、種々の両親媒性化合物(界面活性剤)が、安定性の向上や保湿性の付与のために化粧料に配合されている(特許文献4及び5参照)。これらの液晶系を用いた従来の化粧料には、長期安定性や油分含量などの点で依然として問題が残っている。また、例えば、親油基として長鎖の脂肪酸残基又は高級アルコール残基を有する両親媒性化合物は、一般的に高いクラフト点を有するために低温では安定な液晶構造を形成できず、低温での保存には適さないことが多い。そこで本発明者らは以前に、クラフト点が比較的低い、イソプレノイド鎖を有する糖脂質を作製したが(特許文献6)、化粧料等での使用には、冷蔵温度よりも低いクラフト点を有する両親媒性化合物の使用が好ましいと思われる。 【0006】 【特許文献1】特開2001-2521号公報 【特許文献2】特開2001-139449号公報 【特許文献3】特開2004-307371号公 【特許文献4】特許第3073813号公報 【特許文献5】特許第2946145号公報 【特許文献6】特開2002-226497号公報 【非特許文献1】FragranceJournal編集部編、「香粧品製造学-技術と実際-」、フレグランスジャーナル社、2001年、p.1-16 (2) 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明は、安定性が高く使用感の良好な皮膚外用剤を提供することを課題とする。 (3) 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1)又は(2)で表される親油基をイソプレノイド鎖とするアルコール残基又は脂肪酸残基とOH基を3つ以上有する親水基とからなる両親媒性化合物と油分を含む各種乳化組成物(O/W型、W/O型、O/W/O型など)を作製したところ、そのような両親媒性化合物と油分を添加した水性媒体を乳化して得られる油中水型乳化組成物は、安定性が高く、皮膚に適用すると良好な使用感が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の皮膚外用剤において特に好適に使用されうるいくつかの両親媒性化合物の製造については、国際出願PCT/JP2005/019639号明細書にも開示されている。 【0009】 すなわち本発明は、以下を包含する。 [1] 下記一般式(1)又は(2)で表される少なくとも1種の両親媒性化合物及び油分を含む油中水型乳化組成物からなる皮膚外用剤であって、両親媒性化合物の前記組成物中の含量が0.1~20質量%である、皮膚外用剤。 【0010】 【化1】 [図:0001380937000010.jpg] (式中、n及びn’は0~4の整数を表し、m及びm’は0~3の整数を表し、R及びR’は水酸基を3つ以上有する親水基を表す) [2] 前記R及びR’が、エリスリトール、ペンタエリスリトール、キシロース、及びアスコルビン酸からなる群より選択されるいずれか1つから水酸基を1つ除いた残基である、上記[1]記載の皮膚外用剤。 [3] 前記両親媒性化合物が6℃未満のクラフト点を有するものである、[1]又は[2]の皮膚外用剤。 [4] 油分が、シリコーン油、エステル油、炭化水素油、油脂、及びロウ類からなる群より選択される1種以上であって、少なくとも炭化水素油を含む、上記[1]~[3]の皮膚外用剤。 [5] 生理活性物質をさらに含む、上記[1]~[4]の皮膚外用剤。 (4) 【0020】 本発明の皮膚外用剤に配合する油分は、通常は、化粧品分野で用いられる任意の油性原料であってよく、限定するものではないが、例えば、シリコーン油、エステル油、炭化水素油、油脂、ロウ類、高級脂肪酸、高級アルコールが挙げられる。本発明の皮膚外用剤に用いる油分としては、特に、シリコーン油、エステル油、炭化水素油、油脂、及びロウ類のうち1種以上を用いることがより好ましい。さらに、本発明の皮膚外用剤に用いる油分には、少なくとも炭化水素油を含むことが好ましい。本発明の皮膚外用剤においては、炭化水素油を主油分として含む油性原料混合物を油分として好適に使用することができる。本発明の皮膚外用剤は、このような油分を含有することにより、保湿効果やしっとり感をもたらすだけでなく、皮膚になめらかな感触を与えることができる。 【0021】 好適なシリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサンなどの環状ポリシロキサン、シリコーン樹脂およびシリコーンゴムなどが挙げられる。 【0022】 好適なエステル油としては、例えば、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、オクタン酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソパルミチン酸オクチル、オレイン酸イソデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、イソステアリン酸イソセチル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ-2-エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチルなどが挙げられる。 【0023】 好適な炭化水素油としては、例えば流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、パラフィン、イソパラフィン、プリスタン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。主油分としてより好ましい炭化水素油は、スクワラン及び/又は流動パラフィンである。 【0024】 好適な油脂としては、例えばアボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリンなどの液体油脂が挙げられる。あるいは、好適な油脂として、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油などの固体油脂も挙げられる。 【0025】 好適なロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、ホホバ油などが挙げられる。 (5) 【0030】 本発明の皮膚外用剤には、化粧品及び医薬部外品などに一般的に配合される、上記成分以外の界面活性剤又は乳化剤、希釈剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、中和剤、緩衝剤、分散剤、水溶性多価アルコール、pH調整剤、キレート剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、香料、顔料、染料などの他の成分を配合してもよい。それらの成分は、1種ずつ配合してもよいし、2種以上配合してもよい。 【0031】 油中水型乳化物である本発明の皮膚外用剤は、上記成分以外に水を含有する。本発明の皮膚外用剤における水の含有量は、油中水型乳化組成物の総量に対して一般的には30~90質量%、好ましくは40~85質量%、より好ましくは60~80質量%である。 (6) 【0033】 本発明の皮膚外用剤は、皮膚への適用が意図される任意の製品、例えば、化粧品、医薬品、医薬部外品、入浴剤、清拭剤などに含有させて使用することができる。本発明の皮膚外用剤を使用した製品としては、例えば、乳液、化粧クリーム、クレンジングクリーム、薬用クリーム、ファンデーション、アイライナー、マスカラ、アイシャドウなどの乳液状又はクリーム状の製品が特に好ましい。 (7) 【0102】 (実施例10:化粧クリームの製造-2) 実施例10の化粧クリームは、以下の処方に従って下記調製法のようにして製造した。 処方 質量% 油相 メチルフェニルポリシロキサン* 5.0 ステアリルアルコール* 2.0 ステアリン酸* 1.5 パルミチン酸* 1.0 トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル* 4.0 自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 1.0 オクチルメトキシシンナメート 6.0 ワセリン[炭化水素油]* 2.0 トラネキサム酸 2.0 スクワラン[炭化水素油]* 3.0 式(10)の両親媒性化合物[合成例8] 3.0 水相 グリセリン 5.0 ジプロピレングリコール 5.0 ソルビット液(70%) 5.0 水酸化カリウム 0.15 クエン酸ナトリウム 0.1 キサンタンガム 0.2 パラベン 適量 精製水 残余(54%程度) *:油分 【0103】 (調製法) 70℃で上記の油相成分を混合溶解し、その油相成分に、70℃で混合溶解した水相成分を添加しながらホモミキサー(特殊機化工業社製)にかけて乳化した。乳化後、撹拌しながら室温まで冷却して化粧クリームを得た。 【0104】 (安定性及び使用感の評価) 上記の通り調製した実施例7~8の乳液及び実施例9~10の化粧クリームについて、実施例1~6及び比較例1~6と同様の方法で、安定性及び使用感を評価した。その結果を表3に示す。 【0105】 【表3】 [図:0001380937000011.jpg] 【0106】 いずれの実施例の皮膚外用剤(乳液、化粧クリーム)も、高い安定性及び良好な使用感を有することが示された。 【0107】 以上の結果から、本発明の皮膚外用剤は、安定な乳化状態を長期にわたって保つことができ、かつ良好な使用感を有し、さっぱりとした感触をもたらすことが示された。 【産業上の利用可能性】 【0108】 本発明の皮膚外用剤は、安定性が高く使用感が良いため、化粧品、医薬品、医薬部外品、入浴剤、清拭剤などに好適に使用することができる。 (8)上記(1)~(7)の記載からみて、引用文献12の実施例10には、以下の組成の化粧クリームに係る発明(引用発明12)が記載されている。 「化粧クリーム 処方 質量% 油相 メチルフェニルポリシロキサン* 5.0 ステアリルアルコール* 2.0 ステアリン酸* 1.5 パルミチン酸* 1.0 トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル* 4.0 自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 1.0 オクチルメトキシシンナメート 6.0 ワセリン[炭化水素油]* 2.0 トラネキサム酸 2.0 スクワラン[炭化水素油]* 3.0 式(10)の両親媒性化合物[合成例8] 3.0 水相 グリセリン 5.0 ジプロピレングリコール 5.0 ソルビット液(70%) 5.0 水酸化カリウム 0.15 クエン酸ナトリウム 0.1 キサンタンガム 0.2 パラベン 適量 精製水 残余 *:油分」 第6 取消理由についての当審の判断 1 新規性、進歩性(取消理由1、2) なお、取消理由1、2は、申立人熊田、申立人中嶋の新規性、進歩性に関する申立理由と同趣旨である。 (1)引用発明1-1について ア 本件発明1との対比・判断 引用発明1-1において、水性相は、成分19~21であり、その含有量は、24.3質量%であり、本件発明1の含有量の範囲内にあり、「1,3-ブチレングリコール」は、本件発明1の「保湿剤又は湿潤剤」に相当する。 引用発明1-1において、油性相は、成分1~18であり、その含有量は、75.7質量%であり、本件発明1の含有量の範囲内にある。 引用発明1-1の「イソノナン酸イソトリデシル」は、本件発明1の「式R1COOR2のモノエステルである第1の油」、「トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル」は、本件発明1の「飽和である、脂肪酸トリグリセリド」に相当し、これらの含有量は、合計で5.0質量%であるから、本件発明1の第1の油の含有量の範囲内にある。 引用発明1-1の「ジフェニルシロキシフェニルジメチコン」及び「ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン」、「メチルトリメチコン」及び「シクロメチコン」は、それぞれ、本件発明1の「フェニルシリコーン油」、「無極性シリコーン油」に相当し、これらの合計含有量30.3質量%は、本件発明1のシリコーン油の含有量の範囲内にある。 引用発明1-1の「ヒドロキシステアリン酸コレステリル5.0質量%」は、引用文献13の28頁より、「融点40.0~55.0℃」であって、融点が少なくとも30℃の固形化合物であり、本件発明1の「融点が少なくとも30℃の固形化合物」に相当し、その含有量は本件発明1の範囲内にある。 引用発明1-1の「ポリシリコーン-13」、「ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン」は、乳化剤であり、本件発明1の「乳化界面活性剤系」に相当する。 そうすると、本件発明1と引用発明1-1は、少なくとも以下の点で相違する。 <相違点1-1-1> 本件発明1が合成起源の無極性炭化水素系化合物を含有するのに対して、引用発明1-1は合成起源の無極性炭化水素系化合物を含有しない点。 <相違点1-1-2> 本件発明1が「唇用の化粧用組成物」であるのに対して、引用発明1-1は「油中水型ファンデーション」である点。 <相違点1-1-3> 本件発明1が炭化水素系植物油を含有するのに対して、引用発明1-1は炭化水素系植物油を含有しない点。 事案に鑑み、相違点1-1-2について、検討すると、引用発明1-1の発明の課題は、凹凸補正効果およびその持続性に優れ、化粧料の肌への収まりが良く、柔らかい化粧膜が得られる化粧料を提供することであるから(段落【0001】~【0005】)、引用発明1-1の油中水型ファンデーションを、用途や用途に基づく課題も異なる、唇用の化粧用組成物に転用することは、当業者が容易に想到することではないし、転用可能であるとする技術常識も見当たらないから、引用発明1-1において、相違点1-1-2に係る本件発明1の発明を特定する事項とすることは、当業者にとって容易に想到することではない。 したがって、相違点1-1-1、1-1-3を検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明1-1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~4、6~9、11~16,18との対比・判断 本件発明1を引用する本件発明2~4、6~9、11~16,18は、上記アと同様の理由により、引用発明1-1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)引用発明1-2について ア 本件発明1との対比・判断 引用発明1-2の「21.グリセリン」は、本件発明1の「保湿剤又は湿潤剤」に相当する。 引用発明1-2の「2.の溶媒であるトリエチルヘキサノイン」と「16.イソノナン酸イソトリデシル」と「17.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル」は、それぞれ本件発明1の「極性不揮発性炭化水素系の第1の油(飽和である、脂肪酸トリグリセリド)」と「極性不揮発性炭化水素系の第1の油(モノエステル)」と「極性不揮発性炭化水素系の第1の油(飽和である、脂肪酸トリグリセリド)」に相当する。 引用発明1-2の「1.の溶媒であるジフェニルシロキシフェニルトリメチコン」と「3.の溶媒であるシクロメチコン(デカメチルシクロペンタシロキサン)」と「6.ジフェニルジメチコン」と「8.デカメチルシクロペンタシロキサン」は、それぞれ本件発明1の「無極性シリコーン油(ジメチコン断片を有さないフェニルシリコーン油)」と「無極性シリコーン油(揮発性シリコーン袖)」と「無極性シリコーン油(フェニルシリコーン油)」と「無極性シリコーン油(揮発性シリコーン油)」に相当する 引用発明1-2の「9.ワセリン」は、本件発明1の「固形化合物」に相当する。 引用発明1-2の「14.ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン」と「15.ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン」は、本件発明1の「乳化界面活性剤系(シリコーン界面活性剤)」に相当し、少なくとも成分20.~23.が水性相を構成する。 そうすると、本件発明1と引用発明1-2は、少なくとも以下の点で相違する。 <相違点1-2-1> 本件発明1が合成起源の無極性炭化水素系化合物を含有するのに対して、引用発明1-2は合成起源の無極性炭化水素系化合物を含有しない点。 <相違点1-2-2> 本件発明1が「唇用の化粧用組成物」であるのに対して、引用発明1-2は「油中水型下地料」である点。 <相違点1-2-3> 本件発明1が炭化水素系植物油を含有するのに対して、引用発明1-2は炭化水素系植物油を含有しない点。 事案に鑑みて、相違点1-2-2について、検討すると、引用発明1-2の発明の課題は、凹凸補正効果およびその持続性に優れ、化粧料の肌への収まりが良く、柔らかい化粧膜が得られる化粧料を提供することであるから(段落【0001】~【0005】)、引用発明1-2の油中水型下地料を、用途や用途に基づく課題も異なる、唇用の化粧用組成物に転用することは、当業者が容易に想到することではないし、転用可能であるとする技術常識も見当たらないから、引用発明1-2において、相違点1-2-1に係る本件発明1の発明を特定する事項とすることは、当業者にとって容易に想到することではない。 したがって、相違点1-2-1、1-2-3を検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明1-2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~4、6~9、11~16,18との対比・判断 本件発明1を引用する本件発明2~4、6~9、11~16,18は、上記アと同様の理由により、引用発明1-2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)引用発明2について ア 本件発明1との対比・判断 引用発明2の「プロピレングリコール」は、本件発明1の「保湿剤又は湿潤剤」に相当する。 引用発明2の「イソノナン酸イソトリデシル」は、本件発明1の「極性不揮発性炭化水素系の第1の油(モノエステル)」に相当する。 引用発明2の「(BYM22-008Mの溶媒である)デカメチルシクロペンタシロキサン」、「フェニルトリメチコン」、「(KSG-16の溶媒である)ジメチコン」は、それぞれ本件発明1の「無極性シリコーン油(揮発性シリコーン油)」、「無極性シリコーン油(ジメチコン断片を有さないフェニルシリコーン油)」、「無極性シリコーン油」に相当する。 引用発明2の「合成ワックス」は、本件発明1の「合成起源の無極性炭化水素系化合物」に相当する。 引用発明2の「(BY22-008Mが含む)ジメチコンコポリオール」と「ラウレス-7」は、本件発明の「乳化界面活性剤系(シリコーン界面活性剤)」と「乳化界面活性剤系(ポリオールアルキルエステル)」に相当する。 引用発明2の成分Cが水性相を構成する。 また、引用発明2のジメチコンコポリオールは、BY22-008Mに、有効成分として10%含まれている(参考文献A)から、引用発明2において、1.5%(=15.0%×10%)含まれている。 そうすると、本件発明1と引用発明2は、少なくとも以下の点で相違する。 <相違点2-1> 本件発明1が「唇用の化粧用組成物」であるのに対して、引用発明2は「W/O型リキッドファンデーション」である点。 <相違点2-2> 本件発明1が炭化水素系植物油を含有するのに対して、引用発明2は炭化水素系植物油を含有しない点。 まず、相違点2-1について、検討すると、引用発明2の発明の課題は、板状酸化セリウム及びその集合体である花弁状酸化セリウム粉体を化粧料に配合することによって、紫外線遮蔽効果が高く、使用感の優れた化粧料を提供することであるから(段落【0004】~【0007】)、引用発明2のW/O型リキッドファンデーションを、用途や用途に基づく課題も異なる、唇用の化粧用組成物に転用することは、当業者が容易に想到することではないし、転用可能であるとする技術常識も見当たらないから、引用発明2において、相違点2-1に係る本件発明1の発明を特定する事項とすることは、当業者にとって容易に想到することではない。 したがって、相違点2-2を検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~4、6~9、11~16、18との対比・判断 本件発明1を引用する本件発明2~4、6~9、11~16,18は、上記アと同様の理由により、引用発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)引用発明3について ア 本件発明1との対比・判断 引用発明3の「21.1,3-ブチレングリコール」と「22.グリセリン」は、本件発明1の「保湿剤又は湿潤剤」に相当する。 引用発明3の「10.イソノナン酸イソトリデシル」と「11.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル」は、本件発明1の「極性不揮発性炭化水素系の第1の油(モノエステル)」と「極性不揮発性炭化水素系の第1の油(飽和である、脂肪酸トリグリセリド)」に相当する。 引用発明3の「5.メチルフェニルポリシロキサン」と「7.デカメチルシクロペンタシロキサン」と「(8.の溶媒である)シクロペンタシロキサン(デカメチルシクロペンタシロキサン)」は、それぞれ本件発明1の「無極性シリコーン油(ジメチコン断片を有さないフェニルシリコーン油)」と「無極性シリコーン油(揮発性シリコーン油)」と「無極性シリコーン油(揮発性シリコーン油)」に相当する。 引用発明3の「16.マイクロクリスタリンワックス」は、本件発明1の「固形化合物」に相当し、「16.マイクロクリスタリンワックスは「合成起源の無極性炭化水素系化合物」にも相当する。 引用発明3の「6.オルガノポリシロキサングラフトポリオキシアルキレン変性シリコーン」と「13.ジイソステアリン酸ジグリセリル」と「14.セチル・ポリエーテル変性シリコーン」は、本件発明11の「乳化界面活性剤系(シリコーン界面活性剤)」と「乳化界面活性剤系(ポリオールアルキルエステル)」と「乳化界面活性剤系(シリコーン界面活性剤)」に相当する。 引用発明3の少なくとも成分20.~23.が水性相を構成する。 そうすると、本件発明1と引用発明3は、少なくとも以下の点で相違する。 <相違点3-1> 本件発明1が「唇用の化粧用組成物」であるのに対して、引用発明3は「油中水型固形乳化ファンデーション」である点。 <相違点3-2> 本件発明1が炭化水素系植物油を含有するのに対して、引用発明3は炭化水素系植物油を含有しない点。 まず、相違点3-1について、検討すると、引用発明3の発明の課題は、粉体を配合した際にも、伸び広がりが良く、化粧膜が均一に仕上がる等の使用性とアスタキサンチンの経時での安定性に優れ、かつ油中水型乳化化粧料においても安定である化粧料を提供することであるから(段落【0003】~【0005】)、引用発明3の油中水型固形乳化ファンデーションを、用途や用途に基づく課題も異なる、唇用の化粧用組成物に転用することは、当業者が容易に想到することではないし、転用可能であるとする技術常識も見当たらないから、引用発明3において、相違点3-1に係る本件発明1の発明を特定する事項とすることは、当業者にとって容易に想到することではない。 したがって、相違点3-2を検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~4、6~9、11~16,18との対比・判断 本件発明1を引用する本件発明2~4、6~9、11~16,18は、上記アと同様の理由により、引用発明3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)引用発明4について ア 本件発明1との対比・判断 引用発明4の「10.ジグリセリン」と「11.1,3-ブチレングリコール」は、本件発明1の「保湿剤又は湿潤剤」に相当する。 引用発明4の「4.ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル」は、本件発明1の「極性不揮発性炭化水素系の第1の油(モノエステル)」に相当する。 引用発明4の「3.フェニルメトキシポリシロキサン」は「3.ポリジメチルジフェニルシロキサン」の誤記(参考文献C【0046】)であって、「3.ポリジメチルジフェニルシロキサン」と「5.デカメチルシクロペンタシロキサン」は、本件発明1の「無極性シリコーン油(ジメチコン断片を有さないフェニルシリコーン油)」と「無極性シリコーン油(揮発性シリコーン油)」に相当する。 引用発明4の「2.炭化水素油(ポリブテン35R)」は、本件発明1の「炭化水素系油」と「合成起源の無極性炭化水素系化合物」に相当する。 引用発明4の「7.長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン(KF6026)」は、本件発明1の「乳化界面活性剤系(シリコーン界面活性剤)」に相当する。 引用発明4の少なくとも成分9.~12.が水性相を構成する。 そうすると、本件発明1と引用発明4は、少なくとも以下の点で相違する。 <相違点4-1> 本件発明1が「唇用の化粧用組成物」であるのに対して、引用発明4は「油中水型乳化保湿クリーム」である点。 <相違点4-2> 本件発明1が炭化水素系植物油を含有するのに対して、引用発明4は炭化水素系植物油を含有しない点。 まず、相違点4-1について、検討すると、引用発明4の発明の課題は、化粧持続性に優れ、自然なツヤ感、滑らかな伸び広がりを有し、経時安定性に優れた乳化化粧料の開発であるから(段落【0001】~【0003】)、引用発明4の油中水型乳化保湿クリームを、用途や用途に基づく課題も異なる、唇用の化粧用組成物に転用することは、当業者が容易に想到することではないし、転用可能であるとする技術常識も見当たらないから、引用発明4において、相違点4-1に係る本件発明1の発明を特定する事項とすることは、当業者にとって容易に想到することではない。 したがって、相違点4-2を検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明4に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~4、6~9、11~16,18との対比・判断 本件発明1を引用する本件発明2~4、6~9、11~16、18は、上記アと同様の理由により、引用発明4に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)引用発明5について ア 本件発明1との対比・判断 引用発明5の(6)ポリエーテル変性ポリジメチコン(KF-6017)は、PEG-10ジメチコンである(参考文献C)。 引用発明5の「(13)1,3ブチレングリコール」は、本件発明1の「保湿剤又は湿潤剤」に相当する。 引用発明5の「(5)イソノナン酸イソトリデシル」は、本件発明1の「極性不揮発性炭化水素系の第1の油(モノエステル)」に相当する。 引用発明5の「(1)デカメチルシクロペンタシロキサン」は、本件発明1の「無極性シリコーン油(揮発性シリコーン油)」に相当し、引用発明5の「(3)メチルフェニルポリシロキサン」は、本件発明1の「無極性シリコーン油(ジメチコン断片を有さないフェニルシリコーン油)」に相当する。 引用発明5の「(4)スクワラン」は、本件発明1の「炭化水素系油(合成起源の無極性炭化水素油)」に相当する。 引用発明5の「(2)デキストリン脂肪酸エステル」は、本件発明1の「固形化合物」に相当する。 引用発明5の「(6)ポリエーテル変性ポリジメチコン」は、本件発明1の「乳化界面活性剤(シリコーン界面活性剤)」に相当する。 引用発明5の少なくとも成分(12)~(15)が水性相を構成する。 そうすると、本件発明1と引用発明5は、少なくとも以下の点で相違する。 <相違点5-1> 本件発明1が「唇用の化粧用組成物」であるのに対して、引用発明5は「W/O型リキッドファンデーション」である点。 <相違点5-2> 本件発明1が炭化水素系植物油を含有するのに対して、引用発明5は炭化水素系植物油を含有しない点。 まず、相違点5-1について、検討すると、引用発明5の発明の課題は、さらさらとした使用感、優れた洗浄性、化粧効果、化粧持続性に優れた化粧料を提供することであるから(段落【0001】~【0010】)、引用発明5のW/O型リキッドファンデーションを、用途や用途に基づく課題も異なる、唇用の化粧用組成物に転用することは、当業者が容易に想到することではないし、転用可能であるとする技術常識も見当たらないから、引用発明5において、相違点5-1に係る本件発明1の発明を特定する事項とすることは、当業者にとって容易に想到することではない。 したがって、相違点5-2を検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明5に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~4、6~9、11~16,18との対比・判断 本件発明1を引用する本件発明2~4、6~9、11~16、18は、上記アと同様の理由により、引用発明5に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)引用発明6について ア 本件発明1との対比・判断 引用発明6の「グリセリン」は、本件発明1の「保湿剤又は湿潤剤」に相当する。 引用発明6の「トリカプリリン」は、本件発明1の「極性不揮発性炭化水素系の第1の油(飽和である、脂肪酸トリグリセリド)」に相当する。 引用発明6の「ジメチコン」と「メチルトリメチコン」は、本件発明1の「無極性シリコーン油」と「無極性シリコーン油(揮発性シリコーン油)」に相当する」。 引用発明6の「べヘニルアルコール」と「ベヘン酸/エイコサ二酸グリセリル」は、本件発明1の「固形化合物」に相当する。 引用発明6の「ヒマワリ種子ワックス」と「アストロカリウム・ムルムルシードバター」は、本件発明1の「炭化水素系植物油」に相当する。 引用発明6の「セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン」、「オレイン酸/リノール酸/リノレン酸ポリグリセリド」、「PEG-30ジポリヒドロキシステアレート」、「オリーブ脂肪酸ソルビタン」は、それぞれ本件発明1の「乳化界面活性剤系」に相当する。 引用発明6の少なくとも水、グリセリン、キサンタンガム、ソルビン酸カリウムが水性相を構成する。 引用発明6の「油中水型エマルジョンの唇用トリートメント組成物」は、本件発明1の「油中水型エマルジョンタイプの流体状態である唇用の化粧料組成物」に相当する。 そうすると、本件発明1と引用発明6は、少なくとも以下の点で相違する。 <相違点6-1> 本件発明1が、揮発性若しくは不揮発性の炭化水素系又は無極性シリコーン油中に、ジメチコン断片を場合によって有する少なくとも1種のフェニルシリコーン油を含むのに対し、引用発明6は、無極性シリコーン油を含むものの当該フェニルシリコーン油を含まない点。 <相違点6-2> 本件発明1が、20質量%以下の合成起源の無極性炭化水素系化合物の親油性相を含むのに対し、引用発明6は、合成起源の無極性炭化水素系化合物を含まない点。 で相違する。 まず、相違点6-1について検討すると、引用文献6の段落【0010】には、好適な非揮発性シリコーン油(本件発明1の「無極性シリコーン油」に相当)として、ジメチコンと並び、フェニルシリコーンであるフェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコンが挙げられているが、引用文献6には、組成物における添加目的、効果については記載されていない。 また、引用発明6において、非揮発性シリコーン油(本件発明1の「無極性シリコーン油」に相当)であるジメチコンに代えて、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン等のフェニルシリコーン油を採用する、または、ジメチコンと併用したとしても、本件発明1が「唇における本組成物の沈着物は、速やかに乾燥する、均一で、薄く、軽く、べとつきがない及び粘着性がない沈着物を得る。唇の状態は、特に柔らかさが改善される。この効果は処置を止めた後でも持続する。」(段落【0272】、【0273】)という効果を奏することを予測することはできない。 したがって、引用発明6において、相違点6-1に係る本件発明1の発明を特定する事項とすることは、当業者にとって容易に想到することではない。 相違点6-2についても、引用文献6の段落【0018】には、ワックスを組成物の約0.001-70%含有することができ、ワックスとして合成ワックスが挙げられるが、組成物における添加目的、効果については、引用文献6には記載されていない。 また、引用発明6において、ワックスとして合成ワックスを使用したとしても、本件発明1が「唇における本組成物の沈着物は、速やかに乾燥する、均一で、薄く、軽く、べとつきがない及び粘着性がない沈着物を得る。唇の状態は、特に柔らかさが改善される。この効果は処置を止めた後でも持続する。」(段落【0272】、【0273】)という効果を奏することを予測することはできない。 したがって、引用発明6において、相違点6-2に係る本件発明1の発明を特定する事項とすることも、当業者にとって容易に想到することではない。 したがって、本件発明1は、引用発明6に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~4、6~9、11~16,18との対比・判断 本件発明1を引用する本件発明2~4、6~9、11~16、18は、上記アと同様の理由により、引用発明6に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)引用発明8について ア 本件発明1との対比・判断 引用発明8において、水性相は、成分(14)~(17)であり、その含有量は、32.2質量%であり、本件発明1の範囲内にあり、「1,3-ブチレングリコール」、「グリセリン」は、本件発明1の保湿剤又は湿潤剤に相当する。 引用発明8において、油性相は、成分(1)~(13)、(18)であり、その含有量は、67.8質量%であり、本件発明1の範囲内にある。 引用発明8の「ジメチルポリシロキサン」、「メチルフェニルポリシロキサン」は本件発明1の「無極性シリコーン油」、「ジメチコン断片を場合によって有する少なくとも1種のフェニルシリコーン油」に相当し、これらの合計含有量22.0質量%は、本件発明1の範囲内にある。 引用発明8の「キャンデリラワックス」は、本件発明1の「炭化水素系植物油」に相当する。 引用発明8の「ソルビタンセスキオレート」は、乳化剤であり、本件発明1の「乳化界面活性剤系」に相当する。 引用発明8は、固形状油中水系化粧料で、「スティックファンデーション」であるから、本件発明1の「油中水型エマルションタイプの化粧用組成物」に相当する。 そうすると、本件発明1と引用発明8は、少なくとも以下の点で相違する。 <相違点8-1> 本件発明1が合成起源の無極性炭化水素系化合物を含有するのに対して、引用発明8は合成起源の無極性炭化水素系化合物を含有しない点。 <相違点8-2> 本件発明1が「唇用の化粧用組成物」であるのに対して、引用発明8は「スティックファンデーション」である点。 事案に鑑み、相違点8-2について、検討すると、引用発明8の発明の課題は、目元、頬等の皮膚に塗布したときにみずみずしい良好な使用感が得られ、なおかつ、塗布後の皮膚の乾燥、粉っぽい感触といった不快感がなく、さらに、化粧効果の持続性に優れ、保存安定性に優れる固形状油中水系化粧料を提供することであるから(段落【0001】~【0004】)、引用発明8のスティックファンデーションを、用途や用途に基づく課題も異なる、唇用の化粧用組成物に転用することは、当業者が容易に想到することではないし、転用可能であるとする技術常識も見当たらないから、引用発明8において、相違点8-2に係る本件発明1の発明を特定する事項とすることは、当業者にとって容易に想到することではない。 したがって、相違点8-1を検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明8に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~4、6~9、11~16,18との対比・判断 本件発明1を引用する本件発明2~4、6~9、11~16、18は、上記アと同様の理由により、引用発明8に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)引用発明9について ア 本件発明1との対比・判断 引用発明9において、水性相の含有量は、59.2質量%であり、「1,3-ブチレングリコール」は、本件発明1の「保湿剤又は湿潤剤」に相当する。 引用発明9において、油性相の含有量は、40.8質量%であり、本件発明1の範囲内にある。 引用発明9の「流動パラフィン」(本件発明1の「液体パラフィン」に相当)、「メチルフェニルポリシロキサン」(本件発明1の「フェニルシリコーン油」に相当)、これらの合計含有量10質量%は、本件発明1の「炭化系水素油」及び「シリコーン油」の含有量の範囲内にある。 引用発明9の「ベヘン酸エイコサンニ酸グリセリル(ノムコートHKG)0.2質量%」(本件発明1の「エステルワックス」に相当)は、引用文献13より、「融点が約67℃」であって、本件発明1の「融点が少なくとも30℃の固形化合物」に相当し、含有量は、本件発明1の範囲内にある。 引用発明9は、本件発明1の「合成起源の無極性炭化水素系化合物」に相当する「流動パラフィン」を含み、その含有量は「5質量%」であり、本件発明1の範囲内にある。 引用発明9の「ポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサン」は、本件発明1の「乳化界面活性剤系」に相当する。 そうすると、本件発明1と引用発明9は、少なくとも以下の点で相違する。 <相違点9-1> 本件発明1が「唇用の化粧用組成物」であるのに対して、引用発明9は「W/O乳化ファンデーション」である点。 <相違点9-2> 本件発明1が炭化水素系植物油を含有するのに対して、引用発明9は炭化水素系植物油を含有しない点。 まず、相違点9-1について、検討すると、引用発明9の発明の課題は、スキンケア化粧料の諸問題を改善し、水分閉塞性に優れ、使用感触が良好で、さらには乳化安定性に優れた、油中水型の乳化皮膚外用剤を提供することであるから(段落【0001】~【0010】)、引用発明9のW/O乳化ファンデーションを、用途や用途に基づく課題も異なる、唇用の化粧用組成物に転用することは、当業者が容易に想到することではないし、転用可能であるとする技術常識も見当たらないから、引用発明9において、相違点9-1に係る本件発明1の発明を特定する事項とすることは、当業者にとって容易に想到することではない。 したがって、相違点9-2を検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明9に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~4、6~9、11~16,18との対比・判断 本件発明1を引用する本件発明2~4、6~9、11~16,18は、上記アと同様の理由により、引用発明9に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (10)引用発明10について ア 本件発明1との対比・判断 引用発明10において、水性相の含有量は、45.3質量%であり、「プロピレングリコール」、「グリセリン」は、本件発明1の「保湿剤又は湿潤剤」に相当する。 引用発明10において、油性相の含有量は、54.7質量%であり、本件発明1の範囲内にある。 引用発明10の「トリオクタン酸グリセリル」は、本件発明1の「飽和である、脂肪酸トリグリセリド」に相当し、その含有量は、5.0質量%であり、本件発明1の範囲内にある。 引用発明10の「デカメチルシクロペンタシロキサン」及び「メチルフェニルポリシロキサン」、「流動パラフィン」は、本件発明1の「無極性シリコーン油」、「炭化水素系油」に相当し、これらの合計含有量18質量%は、本件発明1の含有量の範囲内にある。 引用発明10は、本件発明1の「合成起源の無極性炭化水素系化合物」に相当する「流動パラフィン」の含有量は「5.0質量%」であり、本件発明1の範囲内にある。 引用発明10の「長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン」、「モノオレイン酸ソルビタン」は、本件発明1の「乳化界面活性剤系」に相当する。 そうすると、本件発明1と引用発明10は、少なくとも以下の点で相違する。 <相違点10-1> 本件発明1が「唇用の化粧用組成物」であるのに対して、引用発明10は「コンパクトタイプ油中水型ファンデーション」である点。 <相違点10-2> 本件発明1が炭化水素系植物油を含有するのに対して、引用発明10は炭化水素系植物油を含有しない点。 まず、相違点10-1について、検討すると、引用発明10の発明の課題は、充填成形時に粉体の分散性及び経時安定性に優れ、化粧塗布時の伸び広がり、塗布後の化粧持続性にも優れた固形状油中水型化粧料を得ることであるから(段落【0001】~【0003】)、引用発明10のコンパクトタイプ油中水型ファンデーションを、用途や用途に基づく課題も異なる、唇用の化粧用組成物に転用することは、当業者が容易に想到することではないし、転用可能であるとする技術常識も見当たらないから、引用発明10において、相違点10-1に係る本件発明1の発明を特定する事項とすることは、当業者にとって容易に想到することではない。 したがって、相違点10-2を検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明10に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~4、6~9、11~16、18との対比・判断 本件発明1を引用する本件発明2~4、6~9、11~16、18は、上記アと同様の理由により、引用発明10に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (11)引用発明11について ア 本件発明1との対比・判断 引用発明11において、水性相の含有量は、35.5質量%であり、「1,3-ブチレングリコール」、「グリセリン」は、本件発明1の「保湿剤又は湿潤剤」に相当し、その含有量は、本件発明1の範囲内にある。 引用発明11において、油性相の含有量は、64.5質量%であり、本件発明1の範囲内にある。 引用発明11の「トリオクタン酸グリセリル」は、本件発明1の「飽和である、脂肪酸トリグリセリド」に相当し、これらの合計含有量は、10.0質量%であり、本件発明1の範囲内にある。 引用発明11の「デカメチルシクロペンタシロキサン」及び「オクタメチルシクロテトラシロキサン」及び「メチルフェニルポリシロキサン」、「流動パラフィン」は、本件発明1の「無極性シリコーン油」、「炭化水素系油」に相当し、これらの合計含有量23質量%は、本件発明1の含有量の範囲内にある。 引用発明11は、本件発明1の「合成起源の無極性炭化水素系化合物」に相当する「流動パラフィン」を含有し、その含有量は「5.0質量%」であり、本件発明1の範囲内にある。 引用発明11の「長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン」は、本件発明1の「乳化界面活性剤系」に相当する。 そうすると、本件発明1と引用発明11は、少なくとも以下の点で相違する。 <相違点11-1> 本件発明1が「唇用の化粧用組成物」であるのに対して、引用発明11は「コンパクトタイプ油中水型乳化ファンデーション」である点。 <相違点11-2> 本件発明1が炭化水素系植物油を含有するのに対して、引用発明11は炭化水素系植物油を含有しない点。 まず、相違点11-1について、検討すると、引用発明11の発明の課題は、充填成形性及び経時安定性に優れ、使用感にも優れる固形状油中水型化粧料を得ることであるから(段落【0001】~【0003】)、引用発明11のコンパクトタイプ油中水型乳化ファンデーションを、用途や用途に基づく課題も異なる、唇用の化粧用組成物に転用することは、当業者が容易に想到することではないし、転用可能であるとする技術常識も見当たらないから、引用発明11において、相違点11-1に係る本件発明1の発明を特定する事項とすることは、当業者にとって容易に想到することではない。 したがって、相違点11-2を検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明11に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~4、6~9、11~16、18との対比・判断 本件発明1を引用する本件発明2~4、6~9、11~16、18は、上記アと同様の理由により、引用発明11に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (12)引用発明12について ア 本件発明1との対比・判断 引用発明12において、水性相の含有量は、69.45質量%であり、「グリセリン」、「ジプロピレングリコール」、「ソルビット液」は、本件発明1の「保湿剤又は湿潤剤」に相当し、その含有量は、本件発明1の範囲内にある。 引用発明12において、油性相の含有量は、30.55質量%であり、本件発明1の範囲内にある。 引用発明12の「オクチルメトキシシンナメート」、「トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル」は、本件発明1の「式R1COOR2のモノエステル」、「飽和である、脂肪酸トリグリセリド」に相当し、これらの合計含有量は、10.0質量%であり、本件発明1の含有量の範囲内にある。 引用発明12の「メチルフェニルポリシロキサン」、「スクワラン」は、本件発明1の「無極性シリコーン油」、「炭化水素系油」に相当し、これらの合計含有量8.0質量%は、本件発明1の含有量の範囲内にある。 引用発明12の「ワセリン2.0質量%」は、引用文献15より、「融点38~60℃」であって、本件発明1の「融点が少なくとも30℃の固形化合物」に相当しであり、その含有量は、本件発明1の範囲内にある。 本件発明1の「合成起源の無極性炭化水素系化合物」に相当する、引用発明12の「スクワラン」の含有量は「3.0質量%」であり、本件発明1の含有量の範囲内にある。 引用発明12の「自己乳化型モノステアリン酸グリセリン」、「両親媒性化合物」は、本件発明1の「乳化界面活性剤系」に相当する。 そうすると、本件発明1と引用発明12は、少なくとも以下の点で相違する。 <相違点12-1> 本件発明1が「唇用の化粧用組成物」であるのに対して、引用発明12は「化粧クリーム」である点。 <相違点12-2> 本件発明1が炭化水素系植物油を含有するのに対して、引用発明12は炭化水素系植物油を含有しない点。 事案に鑑み、相違点12-1について、検討すると、引用発明12の発明の課題は、安定性が高く使用感の良好な皮膚外用剤を提供することであるから(段落【0001】~【0007】)、引用発明12の化粧クリームを、用途や用途に基づく課題も異なる、唇用の化粧用組成物に転用することは、当業者が容易に想到することではないし、転用可能であるとする技術常識も見当たらないから、引用発明12において、相違点12-1に係る本件発明1の発明を特定する事項とすることは、当業者にとって容易に想到することではない。 したがって、相違点12-2を検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明12に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2~4、6~9、11~16,18との対比・判断 本件発明1を引用する本件発明2~4、6~9、11~16,18は、上記アと同様の理由により、引用発明12に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 サポート要件(取消理由3) 取消理由3は、申立人熊田のサポート要件の理由1に関する申立理由と同趣旨であり、本件特許権の設定登録時の特許請求の範囲を対象とするものである。 (1)本件各発明の課題について 本件各発明の課題は、技術分野(段落【0001】、【0002】)背景技術(段落【0003】~【0010】)、発明が解決しようとする課題(段落【0011】)からみて、 「唇用トリートメント組成物において、 効果が塗布を止めた後でも経時的により持続する及び沈着物が唇に対して軽く、わずかなべと付きしかないか又はべと付きがない、やや粘着性であること、塗布中唇の状態を改善するが、本組成物の塗布を止めてから数日後も、依然として感知できる組成物を提案すること」と認められる。 (2)本件発明1~4、6~9、11~16について 本願明細書の発明の詳細な説明には、一貫して唇用組成物が記載されており、実施例において、上記の発明の課題を解決できることが確認されている組成物も唇用組成物(特に、段落【0272】、【0273】)であって、本件訂正請求によって訂正された本件発明1~4、6~9、11~16は、唇用の化粧用組成物であるから、当業者が上記の発明の課題を解決できると認識することができる。 したがって、本件発明1~4、6~9、11~16は、本願明細書の発明の詳細な説明に記載された発明である。 3 実施可能要件(取消理由4) 取消理由4は、本件明細書の発明の詳細な説明の記載を対象とし、本件特許権の設定登録時の特許請求の範囲の請求項に係る発明の実施することができるかに関するものである。 本願明細書の発明の詳細な説明には、一貫して唇用組成物が記載されており、実施例において、実施できることが確認されている組成物も唇用組成物(特に、段落【0272】、【0273】)であって、本件訂正請求によって訂正された本件発明1~4、6~9、11~16は、唇用の化粧用組成物であるから、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件発明1~4、6~9、11~16を実施することができるように記載されている。 4 明確性要件(取消理由5) 取消理由5は、申立人中嶋の明確性要件に関する申立理由と同趣旨であり、本件特許権の設定登録時の特許請求の範囲を対象とするものである。 本件訂正請求によって訂正された本件発明1の親油性相において、a「揮発性若しくは不揮発性の、炭化水素系油」、b「極性又は無極性炭化水素系化合物である、固形化合物」は、具体的物質の選択肢が規定されており、成分aとbに重複するものはない。 したがって、本件発明1~4、6~9、11~16,18は、明確である。 5 取消理由6の内容 取消理由6(2)~(4)は、申立人中嶋の令和3年5月21日付け意見書に記載した理由(5~7頁の(3-3))と同趣旨であり、取消理由6(1)~(4)は、令和3年3月22日付けの訂正請求書によって訂正された特許請求の範囲を対象とするものである。 (1)本件訂正請求によって訂正された本件発明1において、「例えば」の記載は削除されており明確である。 (2)本件訂正請求によって訂正された本件発明1において、固形化合物は、「・極性炭化水素系化合物・・・、・無極性炭化水素系化合物・・・、・極性炭化水素化合物・・・から選ばれる」と規定され、このうち、一番目の極性炭化水素系化合物と三番目の極性炭化水素系化合物は、それぞれ、具体的物質の選択肢が記載されており、重複しないので、明確である。 (3)本件訂正請求によって訂正された本件発明1において、極性炭化水素系化合物の「エステル及びポリエステル」の「脂肪酸トリグリセリド」は削除されており、「飽和である、脂肪酸トリグリセリド」とは重複しないので明確である。 (4)本件訂正請求によって訂正された本件発明1において、一番目の極性炭化水素系化合物の「エステル及びポリエステル」に、「フイトステロールエステルの全体的に又は部分的に水素化された植物油」が削除され、三番目の極性炭化水素系化合物の「炭化水素系植物油」とは重複しないので明確である。 (5)したがって、本件発明1~4、6~9、11~16、18は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。 第7 特許異議申立書に記載したその他の申立理由についての当審の判断 1 申立人熊田が主張するその他の申立理由 (1)申立人熊田が主張するその他の申立理由の内容は、概略、以下のとおりである。 ア (サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 申立人熊田は、サポート要件の申立理由として理由2,3を挙げている。(理由1は、上記第6の2 サポート要件(取消理由3)で検討したとおりである。) イ サポート要件の理由2の内容 本件明細書の発明の詳細な説明は、その実施例において、表1に示す組成物しか調製していない。 本願明細書の段落【0273】に、上記表1に記載の組成物は、唇の状態、特に柔らかさを改善し、この効果が処置を止めた後でも持続したことは記載されているが、この効果がどの程度、すなわち数日に亘って持続したのかは記載されていない。 よって、表1に示す組成物が、「塗布を止めてから数日後も、依然として感知できる組成物を提案する」との本願発明の課題が解決できたのか不明である。 本件各発明は、発明の詳細な説明に、当業者が発明の課題を解決できると認識できる程度に具体例を開示しておらず、本件出願時の当業者の技術常識を参酌しても、特許請求の範囲に記載された発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないにも関わらず、特許出願後に意見書において実験データを提出して発明の詳細な説明の記載内容を記載外で補足することによって、その内容を特許請求の範囲に記載された発明の範囲まで拡張ないし一般化し、明細書のサポート要件に適合させたものであるから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 ウ サポート要件の理由3の内容 本件発明2において、保湿剤又は湿潤剤として列挙されている化合物のうち、インペラタ・シリンドラ(lmperata cylindra)の抽出物、トケイソウ油の混合物、アプリコット油、トウモロコシ油及びコメヌカ油、モスカータバラ油、亜鉛が豊富な微細藻類プロフィリジウム・クルエンタム(Prophyridium cruentum)の抽出物については、本件明細書に一切記載されていない。 よって、本件発明2の記載は、発明の詳細な説明に記載されていない事項を含むから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 (2)上記イについて検討する。 上記第6の2のとおり、本件明細書の実施例において、表1の組成物が調製され、唇における本組成物の沈着物は、速やかに乾燥すること、均一で、薄く、軽く、べとつきがない及び粘着性がない沈着物を得、唇の状態は、特に柔らかさが改善されること、この効果は、処置を止めた後でも持続することが確認されているといえるし(【0268】~【0273】)、当業者であれば、効果がどの程度であることは示されていなくても、段落【0272】、【0273】の記載や、必要に応じて、追試を行うこと等によって、発明の課題を解決できることを認識することができるといえる。 (3)上記ウについて検討する。 本件発明2における保湿剤又は湿潤剤は、化粧料の保湿剤又は湿潤剤として周知慣用のものであり、本件明細書に実質的に記載されているに等しい事項であると認められる。 (4)したがって、本件発明1~4、6~9、11~16,18は、本願明細書の発明の詳細な説明に記載された発明である。 2 申立人中嶋が主張するその他の申立理由 (1)申立人中嶋が主張するその他の申立理由の内容は、概略、以下のとおりである。 ア (サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 イ (実施可能要件)本件特許は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 ウ サポート要件、実施可能要件の内容 本件各発明について、具体的実施例として作用効果が確認されているのは、本件明細書中では、実施例の表1の組成物1つのみであり、それ以外では令和2年1月22日付意見書において提出された追加実施例1~3の組成物のみである。これら4つの組成物を含め、本件明細書全体の記載及び本件出願時の技術常識に照らしても、本件各発明のすべての範囲において、本件各発明の作用効果が得られるとは認められない。 本件各発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また出願時の技術常識に照らしても、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるものとは言えない。また、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとは言えない。 (2)上記ウについて検討する。 本件明細書の記載(段落【0026】~【0222】)をみれば、実施例の表1の組成物の各成分(例えば、「グリセロール」)が、本件各発明のどの成分(例えば、「保湿剤又は湿潤剤」)に該当するのかを理解し、さらに、本件各発明の当該成分として同等に作用し得る、実施例の表1以外のその他の成分を理解することができるので、当業者は、本件発明1~4、6~9、11~16,18の発明の課題を解決できると認識することができるし、本件明細書の発明の詳細な説明の記載から、本件発明1~4、6~9、11~16,18を実施することができるといえる。 (3)したがって、本件発明1~4、6~9、11~16,18は、本願明細書の発明の詳細な説明に記載された発明であり、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件発明1~4、6~9、11~16、18を実施することができるように記載されている。 第8 まとめ 以上のとおり、取消理由1~6及び特許異議申立書に記載したその他の申立理由によっては、本件請求項1~4、6~9、11~16、18に係る特許を取り消すことはできない。 そして、他に本件請求項1~4、6~9、11~16、18に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 本件請求項5、10、17は、削除されたので、本件請求項5、10、17についての特許異議の申立てを却下する よって、結論のとおり決定する。

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2020-700700

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