特許異議申立
2020-700124
洗浄剤組成物
- 審判番号
- 2020-700124
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-130956
- 登録番号
- 特許第6567808号(P6567808)
- 請求日
- 2020年02月28日
- 審決日
- 2021年06月21日
- 公報発行日
- 2021年12月24日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】ロート製薬株式会社
- 【権利者代理人】長谷川 芳樹
- 【権利者代理人】清水 義憲
- 【権利者代理人】坂西 俊明
- 【権利者代理人】吉川 絵美
- 【異議申立人】山下 桂
- 審判長/審判官
- 審判長 岡崎 美穂
- 審判官 大久保 元浩
- 審判官 佐々木 秀次
- 分類
- P1651.113-ZDA(A61K) / P1651.121-ZDA(A61K) / P1651.537-ZDA(A61K) / P1651.536-ZDA(A61K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条2号特許法36条4項1号特許法36条6項1号特許法113条4号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第113条第4号、特許法第120条の5第2項、特許法第113条第2号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6567808号発明「洗浄剤組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6567808号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕、7、8について訂正することを認める。
特許第6567808号の請求項8に係る特許を取り消す。
同請求項1ないし7に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
【第1】手続の経緯
特許第6567808号の請求項1~8に係る特許についての出願は、平成26年6月26日に出願され、令和1年8月9日にその特許権の設定登録がなされ、同年8月28日に特許掲載公報が発行された。
その後の手続は以下のとおりである。
・令和2年 2月28日 特許異議申立人 山下桂(以下「申立人」
ということがある)による請求項1~8に
係る特許に対する特許異議の申立て
併せて、甲第1号証~甲第7号証の提出
・ 同 年 6月11日付け 取消理由の通知(以下、この取消理由の通
知書を「取消理由通知書1」ということが
ある)
・ 同 年 8月12日付け 特許権者による意見書(以下、「特許権者
意見書」ということがある)の提出及び訂
正の請求
併せて、乙第1号証~乙第2号証の提出
・ 同 年 9月28日付け 特許権者による上申書の提出
(乙第1号証の表紙及び奥付頁の写しを添
付)
・ 同 年11月24日付け 申立人による意見書(以下、「申立人意見
書」ということがある)の提出
併せて、甲第8号証~甲第11号証の提出
・令和3年 1月18日付け 取消理由の通知(決定の予告。以下、この
取消理由の通知書を「取消理由通知書2」
ということがある)
なお、特許権者に取消理由通知書2に対する意見書提出の機会を与えたが、応答がなかった。
【第2】訂正請求について
1.訂正の内容
本件訂正請求による訂正事項は、次の(1)~(3)のとおりである。
(1)訂正事項1
訂正前の請求項1~6からなる一群の請求項において、請求項1の
「 前記陰イオン性界面活性剤が、ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上であり、」
との記載を
「 前記陰イオン性界面活性剤が、ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上であり、」
と訂正する。
(2)訂正事項2
訂正前の請求項7において、次のア~エのとおりに訂正する。
ア.訂正前の
「 陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、」
との記載を
「 陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、
前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、前記両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有し、」
と訂正する。
イ.訂正前の
「 前記陰イオン性界面活性剤は、アミノ酸系陰イオン性界面活性剤を含み、」
との記載を
「 前記陰イオン性界面活性剤は、アミノ酸系陰イオン性界面活性剤を含み、
前記陰イオン性界面活性剤が、ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上であり、」
と訂正する。
ウ.訂正前の
「 下記方法により測定される蛍光色素内包リポソームからの蛍光色素の漏出率が30%以下である選択的洗浄剤組成物」
との記載を
「 下記方法により測定されるカルセイン内包リポソームからのカルセインの漏出率が30%以下である選択的洗浄剤組成物」
と訂正する。
エ.訂正前の
「・・・下記式によりリポソームからのカルセインの漏出率を算出する。
漏出率(%)=100×・・・」
との記載を
「・・・下記式によりリポソームからのカルセインの漏出率を算出する。ここで、蛍光色素としてカルセインを内包するとともに細胞間脂質モデルを有するリポソームとは、前記カルセイン内包リポソームである。
漏出率(%)=100×・・・」
と訂正する。
(3)訂正事項3
訂正前の請求項8において、次のア~ウのとおりに訂正する。
ア.訂正前の
「 陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、」
との記載を
「 陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、
前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、前記両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有し、」
と訂正する。
イ.訂正前の
「 前記陰イオン性界面活性剤は、アミノ酸系陰イオン性界面活性剤を含み、」
との記載を
「 前記陰イオン性界面活性剤は、アミノ酸系陰イオン性界面活性剤を含み、
前記陰イオン性界面活性剤が、ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上であり、」
と訂正する。
ウ.訂正前の
「 前記両性界面活性剤は、ベタイン系両性界面活性剤を含む、
細胞間脂質の溶出を抑制する洗浄剤組成物」
との記載を
「 前記両性界面活性剤は、ベタイン系両性界面活性剤を含み、
前記洗浄剤組成物を皮膚に適用した際に適用部位から溶出するスクワレンの溶出量とコレステロールの溶出量との比が質量基準で2以上である、細胞間基質の溶出を抑制する洗浄剤組成物」
と訂正する。
(4) これら訂正事項1~3に係る本件訂正請求は、一群の請求項〔1~6〕、7、8に対して請求されたものである。
2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「陰イオン性界面活性剤」の選択肢を構成する「ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、・・・、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム」のうち、最後の「ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム」を削除するものであって、「陰イオン性界面活性剤」の選択肢の範囲を更に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
そして、当該訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定にも適合する。
(2)訂正事項2ア~2エについて
訂正事項2アは、訂正前の請求項7に係る洗浄剤組成物における「陰イオン性界面活性剤」、「非イオン性界面活性剤」及び「両性界面活性剤」の質量比を、特許明細書の【0008】や【0026】~【0027】の記載に基づいて「前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、前記両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有し、」と更に限定するものであり;
訂正事項2イは、訂正前の請求項7に記載された「陰イオン性界面活性剤」について、特許明細書の【0020】の記載に基づき、その具体的な選択肢の範囲を、訂正発明1の「陰イオン性界面活性剤」と同様の「ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、・・・、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上」に更に限定するものである;
から、これら訂正事項2ア及び2イはいずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
また、訂正事項2ウ及び2エは、訂正前の請求項7に記載された「蛍光色素内包リポソーム」における「蛍光色素」を、特許明細書の【0033】や【0052】等の記載に基づいて「カルセイン」(「CL」)に限定すると共に、当該「カルセイン」の漏出率の測定対象である「リポソーム」が当該「カルセイン内包リポソーム」であることを明記するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び同条同項ただし書第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正である。
そして、これら訂正事項2ア~2エの訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定にも適合する。
(3)訂正事項3ア~3ウについて
訂正事項3アは、訂正前の請求項8に係る洗浄剤組成物における「陰イオン性界面活性剤」、「非イオン性界面活性剤」及び「両性界面活性剤」の質量比を、特許明細書の【0008】や【0026】~【0027】の記載に基づいて「前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、前記両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有し、」と更に限定するものであり;
訂正事項3イは、訂正前の請求項8に記載された「陰イオン性界面活性剤」について、特許明細書の【0020】の記載に基づき、その具体的な選択肢の範囲を、訂正発明1の「陰イオン性界面活性剤」と同様の「ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、・・・、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上」に更に限定するものである;
から、これら訂正事項3ア及び3イはいずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
また、訂正事項3ウは、訂正前の請求項8に係る洗浄剤組成物について記載された「細胞間脂質の溶出を抑制する」に関し、特許明細書【0036】の記載に基づき、
・当該「細胞間脂質の溶出」が生じる箇所を、(上記洗浄剤組成物を)「皮膚に適用した際」の「適用部位」に特定し;
・「細胞間脂質」の指標であるコレステロール(コレステロールが「細胞間脂質」の主要な構成成分の一であることは特許明細書の【0005】等の記載から明らかである)の溶出量に対する、「皮脂腺由来脂質」(特許明細書【0036】等)であって「皮膚に不必要な汚れ」(同【0009】)の指標であるスクワレンの溶出量の比、が「質量基準で2以上である」とすることで、「溶出を抑制する」際の比較対照、比較条件及び「抑制」の程度を限定するものである;
から、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び同条同項ただし書第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正である。
そして、これら訂正事項3ア~3ウの訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定にも適合する。
3.小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、これを認める。
【第3】訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~8に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「 【請求項1】
陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、
前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、
前記両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有し、
前記陰イオン性界面活性剤の含有量が、洗浄剤組成物全量中2~25質量%であり、前記非イオン性界面活性剤の含有量が、洗浄剤組成物全量中1~20質量%であり、前記両性界面活性剤の含有量が、洗浄剤組成物全量中0.01~10質量%であり、
前記陰イオン性界面活性剤が、ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上であり、
前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステルからなる群から選ばれる1つ以上を含む、洗浄剤組成物
(ただし、
成分(A)N-アシル酸性アミノ酸又はその塩 2.5~15質量%、
成分(B)下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩 0.3~8質量%、
R1-O-(CH2CH2O)n-CH2-COOM (1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数4~22のアルキル基を示し、nは0~20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムを示す。)
成分(C)炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタイン及び炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルヒドロキシスルホベタインからなる群から選ばれる1種又は2種以上の両性界面活性剤 0.2~5質量%、並びに
成分(D)水
を含む液体洗浄剤組成物であって、前記成分(A)に対する前記成分(B)及び前記成分(C)の合計量[(B)+(C)]の割合が、質量比で、[(B)+(C)]/(A)×100=15~120であり、前記成分(A)に対する前記成分(C)の割合が、質量比で、(C)/(A)×100=5~70である液体洗浄剤組成物を除く。)。
【請求項2】
前記陰イオン性界面活性剤は、ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、カプロイルメチルタウリンナトリウム及びN-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウムからなる群から選択される1つ以上を含む、請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記非イオン性界面活性剤は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10~100であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステルを含む、請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記両性界面活性剤は、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン及びヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインからなる群から選択される1つ以上を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
更に、pH調整剤、多価アルコール、保湿剤、コレステロール類、フィトステロール類、セラミド類及びカチオン性ポリマーからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
前記陰イオン性界面活性剤、前記非イオン性界面活性剤及び前記両性界面活性剤の合計含有量が、洗浄剤組成物全量中1~50質量%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項7】
陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、
前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、前記両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有し、
前記陰イオン性界面活性剤は、アミノ酸系陰イオン性界面活性剤を含み、
前記陰イオン性界面活性剤が、ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上であり、
前記非イオン性界面活性剤は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10~100であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステルを含み、
前記両性界面活性剤は、ベタイン系両性界面活性剤を含み、
前記陰イオン性界面活性剤の含有量が、洗浄剤組成物全量中2~25質量%であり、
下記方法により測定されるカルセイン内包リポソームからのカルセインの漏出率が30%以下である選択的洗浄剤組成物
(ただし、
成分(A)N-アシル酸性アミノ酸又はその塩 2.5~15質量%、
成分(B)下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩 0.3~8質量%、
R1-O-(CH2CH2O)n-CH2-COOM (1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数4~22のアルキル基を示し、nは0~20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムを示す。)
成分(C)炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタイン及び炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルヒドロキシスルホベタインからなる群から選ばれる1種又は2種以上の両性界面活性剤 0.2~5質量%、並びに
成分(D)水
を含む液体洗浄剤組成物であって、前記成分(A)に対する前記成分(B)及び前記成分(C)の合計量[(B)+(C)]の割合が、質量比で、[(B)+(C)]/(A)×100=15~120であり、前記成分(A)に対する前記成分(C)の割合が、質量比で、(C)/(A)×100=5~70である液体洗浄剤組成物を除く。)。
蛍光色素漏出率測定方法:蛍光色素としてカルセインを内包するとともに細胞間脂質モデルを有するリポソームと、洗浄剤組成物とを反応させ、蛍光プレートリーダーにて蛍光強度Ff(Ex/Em:494/520nm)を測定する。コントロールとして界面活性剤を含まないものについて同様に測定し、下記式によりリポソームからのカルセインの漏出率を算出する。ここで、蛍光色素としてカルセインを内包するとともに細胞間脂質モデルを有するリポソームとは、前記カルセイン内包リポソームである。
漏出率(%)=100×{(コントロール処置群のFf-Fs)-(各サンプル処置群のFf-Fs)}/(コントロール処置群のFf-Fs)
【請求項8】
陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、
前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、前記両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有し、
前記陰イオン性界面活性剤は、アミノ酸系陰イオン性界面活性剤を含み、
前記陰イオン性界面活性剤が、ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上であり、
前記非イオン性界面活性剤は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10~100であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステルを含み、
前記両性界面活性剤は、ベタイン系両性界面活性剤を含み、
前記洗浄剤組成物を皮膚に適用した際に適用部位から溶出するスクワレンの溶出量とコレステロールの溶出量との比が質量基準で2以上である、細胞間基質の溶出を抑制する洗浄剤組成物
(ただし、泡沫状エアゾール組成物であるものと、
成分(A)N-アシル酸性アミノ酸又はその塩 2.5~15質量%、
成分(B)下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩 0.3~8質量%、
R1-O-(CH2CH2O)n-CH2-COOM (1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数4~22のアルキル基を示し、nは0~20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムを示す。)
成分(C)炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタイン及び炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルヒドロキシスルホベタインからなる群から選ばれる1種又は2種以上の両性界面活性剤 0.2~5質量%、並びに
成分(D)水
を含む液体洗浄剤組成物であって、前記成分(A)に対する前記成分(B)及び前記成分(C)の合計量[(B)+(C)]の割合が、質量比で、[(B)+(C)]/(A)×100=15~120であり、前記成分(A)に対する前記成分(C)の割合が、質量比で、(C)/(A)×100=5~70である液体洗浄剤組成物と、
(a)エチレンオキシドの平均付加モル数が60~100モルであるポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル
(b)式(I)で示される非イオン性界面活性剤
RCOX(I)
(式中、RCOは炭素数8~16のアシル基、Xはジエタノールアミン及び/又はN-メチルエタノールアミンから選ばれる1種類以上のアミン化合物の窒素原子に結合した水素原子を1つ除いた残基、又は二糖類の1つの水酸基から水素原子を除いた残基である。)
(c)アシル基の炭素数が8~14であるアシルアミノ酸型陰イオン性界面活性
剤、及び
(d)水
を含有する液体洗浄剤組成物とを除く。)。 」
[ ※当審注:
・以下、上記訂正後の請求項1~請求項8を「訂正請求項1」~「訂正請求項8」、「訂正発明1」~「訂正発明8」等ということがあり、それら訂正後の請求項1~請求項8に係る発明をまとめて単に「訂正発明」ということがある。( なお、請求項2~6については訂正前後で文言上の記載の変更はないが、訂正後の請求項1、7、8と同様に「訂正発明2」~「訂正発明6」ということがある。)
・また、以下、上記訂正前の請求項1~請求項8を「特許請求項1」~「特許請求項8」、「特許発明1」~「特許発明8」等ということがあり、それら訂正前の請求項1~請求項8に係る発明をまとめて単に「特許発明」ということがある。 ]
【第4】特許異議申立書の異議申立理由、並びに、取消理由通知書1及び取消理由通知書2の各取消理由について
1.特許異議申立書の異議申立理由の概要
(1)申立理由1(新規性)
(1.1) 特許発明1、3、5、6は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(1.2) 特許発明1、2、4、5、6は、甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(2)申立理由2(進歩性)
(2.1) 特許発明1、3、5、6は、甲第1号証に記載された発明、甲第1号証の記載及び本件特許出願時の周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、特許発明2は、甲第1号証に記載された発明、甲第1、2及び7号証並びに本件特許出願時の周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、いずれも特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(2.2) 特許発明1、2、4、5、6は、甲第2号証に記載された発明、甲第2号証の記載及び本件特許出願時の周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、特許発明3、7、8は、甲第2号証に記載された発明、甲第1、2及び7号証並びに本件特許出願時の周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、いずれも特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(3)申立理由3(明確性要件)
(3.1) 請求項7の「蛍光色素漏出率測定方法」について、「蛍光色素としてカルセインを内包するとともに細胞間脂質モデルを有するリポソーム」におけるカルセインの濃度及び量や、いかなるリポソームが「細胞間脂質モデルを有する」ものに該当するのかが不明であることから、蛍光色素漏出率の測定に必須であるリポソームの定義が不明確であって、蛍光色素漏出率の定義が明確でなく、その結果、「蛍光色素内包リポソームからの蛍光色素の漏出率が30%以下である」ものとそうでないものとをどのように区別し、請求項7の範囲を決定すべきであるのかが明らかでない。
よって、請求項7に係る本件特許は、請求項の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
(3.2) 請求項8の「細胞間脂質の溶出を抑制する洗浄剤組成物」について、「細胞間脂質の溶出を抑制する」ものとそうでないものとをどのように区別し、請求項8の範囲を決定すべきであるのかが明らかでない。
よって、請求項8に係る本件特許は、請求項の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
2.取消理由通知書1の取消理由の概要
(1)取消理由1(新規性)
特許発明1、2、4~6は、甲第3号証~甲第6号証、文献A及び文献Bに記載された本件特許出願前の技術常識を踏まえると、甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(2)取消理由2(進歩性)
特許発明1~8はいずれも、甲第3号証~甲第6号証、文献A及び文献Bに記載された本件特許出願前の技術常識を踏まえると、甲第2号証に記載された発明と甲第2号証の記載との組合せに基づいて、若しくは、甲第2号証に記載された発明と甲第2号証の記載及び甲第1号証、甲第7号証の記載との組合せに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(3)取消理由3(実施可能要件)
(3.1) 仮に、請求項7に規定される「蛍光色素漏出測定方法」が特許明細書【0052】に記載される測定方法であるとしても、特許明細書の発明の詳細な説明には、請求項7に係る洗浄剤組成物のうち、実施例1~8に代表されるような請求項1の規定を満たす特定の界面活性剤組成のもの、即ち
「陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、上記陰イオン性界面活性剤と上記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、上記両性界面活性剤を上記陰イオン性界面活性剤と上記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有する洗浄剤組成物」(特許明細書【0008】)
の範囲内のもの以外の任意の成分組成のものについては、当業者が実施することができるといえる程度の明確かつ十分な記載がなされているとはいえない。
よって、請求項7に係る本件特許は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
(3.2) 仮に、請求項8に規定される「細胞間脂質の溶出を抑制する」という所望の性質(又は機能)が特許明細書【0052】に記載される方法により測定される指標であるとしても、特許明細書の発明の詳細な説明には、請求項8に係る洗浄剤組成物のうち、実施例1~8に代表されるような請求項1の規定を満たす特定の界面活性剤組成のもの、即ち
「陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、上記陰イオン性界面活性剤と上記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、上記両性界面活性剤を上記陰イオン性界面活性剤と上記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有する洗浄剤組成物」(特許明細書【0008】)
の範囲内のもの以外の任意の成分組成のものについては、当業者が実施することができるといえる程度の明確かつ十分な記載がなされているとはいえない。
よって、請求項8に係る本件特許は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
(4)取消理由4(サポート要件)
(4.1) 仮に、請求項7に規定される「蛍光色素漏出測定方法」が特許明細書【0052】に記載される測定方法であるとしても、請求項7に係る洗浄剤組成物のうち、実施例1~8に代表されるような請求項1の規定を満たす特定の界面活性剤組成のもの、即ち
「陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、上記陰イオン性界面活性剤と上記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、上記両性界面活性剤を上記陰イオン性界面活性剤と上記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有する洗浄剤組成物」(特許明細書【0008】)
の範囲内のもの以外の任意の成分組成のものは、請求項7の蛍光色素の漏出率に係る規定を満たす「選択的」な洗浄剤組成物として発明の詳細な説明に記載された範囲内のものではない。
よって、請求項7に係る本件特許は、請求項の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
(4.2) 仮に、請求項8に規定される「細胞間脂質の溶出を抑制する」という所望の性質(又は機能)が特許明細書【0052】に記載される方法により測定される指標であるとしても、請求項8に係る洗浄剤組成物のうち、実施例1~8に代表されるような請求項1の規定を満たす特定の界面活性剤組成のもの、即ち
「陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、上記陰イオン性界面活性剤と上記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、上記両性界面活性剤を上記陰イオン性界面活性剤と上記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有する洗浄剤組成物」(特許明細書【0008】)
の範囲内のもの以外の任意の成分組成のものは、請求項8の上記所望の性質(又は機能)を有する洗浄剤組成物として発明の詳細な説明に記載された範囲内のものではない。
よって、請求項8に係る本件特許は、請求項の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
(5)取消理由5(明確性要件)
(5.1) 請求項7の「下記方法により測定される蛍光色素内包リポソームからの蛍光色素の漏出率が30%以下である選択的」については、以下の(i)及び(ii)の点で請求項7から明確に把握し得るとはいえず、また、そのような所望の性質を具備する洗浄剤組成物の範囲を請求項7の記載から明確に把握することはできない。
(i) 「下記方法」、即ち、請求項後段の「蛍光色素漏出率測定方法:・・・漏出率(%)=・・・Ff-Fs)」により測定される「漏出率(%)」は、実際に測定する際の、次の1)や2):
1)「細胞間脂質モデルを有するリポソーム」とは、如何なる脂質成分で構成されるリポソームであるのか
2)当該「リポソーム」液と(被験対象である)洗浄剤組成物とを反応させる際の、両者の混合割合、及び反応される時間
といった条件が変わればそれに応じて変わり得るものと推測されるところ、請求項7中ではそれら1)及び2)の条件が明確に規定されておらず、当該「蛍光色素漏出率測定方法」が上記1)及び2)の条件を含めて当業者にとり技術常識として知られていたものとも認められないから、当該「蛍光色素漏出率測定方法」を以ては、(被験対象である)洗浄剤組成物が「蛍光色素内包リポソームからの蛍光色素の漏出率が30%以下である」ものであるのか否か、が明確に定まるものとは理解できない。また、「漏出率(%)」を求める式中の「Fs]が如何なる値を意味するのか、「Ff」との異同等の関係も含め、請求項中で明確にされていない。
(ii) 「選択的」なる性質については、そもそも何が如何なる指標に基づき如何なる程度に「選択」されることを意味しているのか、請求項の規定から明確に把握することはできないし、「的」なる規定は、請求項7中の「選択」が意味する範囲の把握をより困難にしている。
よって、請求項7に係る本件特許は、請求項の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
(5.2) 請求項8の「細胞間脂質の溶出を抑制する洗浄剤組成物」においては、
・「細胞間脂質」に該当する脂質が明確に特定されておらず;
・「溶出を抑制する」という性質の比較対照(基準)や比較条件が特定されておらず、如何なる対照物(対照洗浄剤組成物)に比して、何処からの(上記「細胞間脂質物」の)「溶出」が「抑制」されることを意味しているのか、も明確に規定されていない;
ことから、「細胞間脂質の溶出を抑制する」で表される所望の性質(又は機能)の範囲を請求項8から明確に把握することができない。また、そのような「細胞間脂質の溶出を抑制する」という所望の性質を具備する洗浄剤組成物の範囲を、請求項8の記載から明確に把握することはできない。
よって、請求項8に係る本件特許は、請求項の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
3.取消理由通知書2の取消理由の概要
(1)取消理由3(実施可能要件)
訂正請求項8については、下記の【5-4】2(1)の点で、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、訂正発明8に係る特許は特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
(2)取消理由4(サポート要件)
訂正請求項8は、下記の【5-4】2(1)の点で、請求項の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、訂正発明8に係る特許は特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
(3)取消理由5(明確性要件)
訂正請求項8は、下記の【5-4】2(1)の点で、請求項の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、訂正発明8に係る特許は特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
[申立人が特許異議申立書に添付して提出した証拠]
・甲第1号証:特開平6-256164号公報
・甲第2号証:特開2014-005230号公報
・甲第3号証:国際公開第2014/073473号
・甲第4号証:特開2007-297320号広報
・甲第5号証:特開2006-213652号公報
・甲第6号証:永尾聖司「オクトキシグリセリン(Ethylhexylglycerin)の抗菌力と特性」 フレグランスジャーナル (2006年4月号)(2006年4月15日発行(Vol.34,No.4)) 39~46頁
・甲第7号証:特開2013-95898号公報
[申立人が申立人意見書に添付して提出した証拠]
・甲第8号証:今堀・山川監修「生化学辞典」第3版 (1998)(2005年7月1日 第6刷発行) (株)東京化学同人 987頁
・甲第9号証:日本化粧品工業連合会編「法定色素ハンドブック」改訂版 (2004年9月21日 第1刷発行) (株)薬事日報社 432~446頁
・甲第10号証:日本化粧品工業連合会編「日本化粧品成分表示名称事典」第3版 (2013年4月15日 第1刷発行) (株)薬事日報社 1021~1022頁
・甲第11号証:「アミンオキシドのヒト健康影響と環境影響に関するリスク評価結果について」 (2010年5月発行) 日本石鹸洗剤工業会 環境・安全専門委員会 1~2頁
[当審が取消理由通知書1で引用した証拠]
・文献A:特開2012-121813号公報
・文献B:国際公開第2012/150709号
[ ※当審注:
・以下、「甲第1号証」~「甲第11号証」を「甲1」~「甲11」等と略記することがある。 ]
【第5】当審の判断
当審は、【第4】1.~3.の申立理由及び取消理由について、概要以下の<1>~<3>のように判断する。
<1> 訂正発明1~8に係る発明について、新規性、進歩性に係る
・特許異議申立書の申立理由1、申立理由2
(【第4】1(1)、1(2))、
・取消理由通知書1の取消理由1、取消理由2
(【第4】2(1)、【第4】2(2))、
のいずれについても理由がない。
<2> 訂正発明7について、記載要件に係る
・申立理由3
(【第4】1(3)(3.1))、
・取消理由通知書1の取消理由3~5
(【第4】2(3)(3.1)、(4)(4.1)、(5)(5.1))、
のいずれについても理由がない。
<3> 訂正発明8について、記載要件に係る
・取消理由通知書2の取消理由3~5
(【第4】3(1)~(3))
のそれぞれについて理由がある。
以下、上記<1>~<3>に関して、以下の順に記載することとする。
・【5-1】 申立人が提出した甲号証、並びに、取消理由通知書で引用した文献A、Bの各記載事項
・【5-2】 <1>で甲1発明を主引例とする場合について
・【5-3】 <1>で甲2発明を主引例とする場合について
・【5-4】1 <2>について
・【5-4】2 <3>について
【5-1】甲号証、並びに文献A,Bの記載事項
下線は当審による。
(1)甲1
・甲1-1)特許請求の範囲
「 【請求項1】 (A)アニオン性界面活性剤、(B)ラウリルジメチルアミンオキシドおよび(C)HLBが8以上の非イオン性界面活性剤を配合することを特徴とする身体用洗浄剤組成物
【請求項2】 アニオン性界面活性剤がアシルサルコシン塩またはアシルメチルタウリン塩である請求項1記載の身体用洗浄剤組成物
【請求項3】 (B)および(C)の配合量が(A)の配合量に対して0.5/10~5/10(重量比)である特許請求項1記載の身体用洗浄剤組成物 」
・甲1-2)
「 【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、使用感に優れた身体用洗浄剤組成物に関するものであり、更に詳しくは、洗浄後の乾燥間際の不快なつっぱり感がなく、且つ皮膚に温和な身体用洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】アニオン性界面活性剤であるアルキルサルフェート塩やポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート塩は一般に広く洗浄剤基剤としてシャンプー、バブルバス、ボディシャンプー等に用いられているが、洗浄後の乾燥間際に強いつっぱり感を生じる。この強いつっぱり感は界面活性剤による皮脂の除去と皮膚へのアニオン性界面活性剤の残留性によるものであるとされる(J.Soc.Cosmet.Chem.,35,147,1984)。それゆえ、このつっぱり感は、消費者に強い不快感を与え、改善が望まれているが、未だ満足できていないのが現状である。
【0003】
【解決しようとする課題】このような事情を鑑み、本発明ではアニオン性界面活性剤を基剤として用いた身体用洗浄剤組成物にあって、洗浄後の乾燥間際に、不快なつっぱり感のない優れた使用感を有し、且つ皮膚に温和な身体用洗浄剤組成物の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討した結果、アニオン性界面活性剤とラウリルジメチルアミンオキシドおよびHLBが8以上の非イオン性界面活性剤を組み合わせることによって、アニオン性界面活性剤の皮膚への残留を低減することを見出し、洗浄後の乾燥間際の不快なつっぱり感を解消し、優れた使用感を有した身体用洗浄剤を得、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明はアニオン性界面活性剤とラウリルジメチルアミンオキシドおよびHLB8以上の非イオン性界面活性剤を配合し、洗浄後間際の不快なつっぱり感を改善した、皮膚に温和な身体用洗浄剤組成物に関する。 」
・甲1-3)【0006】~【0012】
「 【0006】本発明の組成物において基剤として用いることのできるアニオン性界面活性剤は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヤシ油脂肪酸など高級脂肪酸のアルカリ金属塩およびアルカノールアミン塩などの高級脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ヤシ油アルキル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレン(2)ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12~14)硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレン(7)アルキル(炭素数12~14)スルホコハク酸ジナトリウム、ポリオキシエチレン(3)ラウリルスルホコハク酸ジナトリウムなどのポリオキシエチレンモノアルキルスルホコハク酸塩;ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)トリデシルエーテルカルボン酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩。
【0007】さらには、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、ラウロイルサルコシンナトリウムなどのアシルサルコシン塩;ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウムなどのアシルメチルタウリン塩;ラウロイルメチルーβーアラニンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルーβーアラニンナトリウムなどのアシル-β-アラニン塩等があげられ、なかでもアシルサルコシン塩、アシルメチルタウリン塩が好ましい。
【0008】これらアニオン性界面活性剤は一種以上を組合せて配合してもよく、全組成物に対して1.0~30重量%、特に5.0~20重量%配合することが好ましい。1.0重量%に満たないと洗浄剤として機能せず、30重量%をこえると皮膚刺激が強くなり、好ましくない。
【0009】また、ラウリルジメチルアミンオキシドは、ユニセーフA-LM(日本油脂製)、ゲナミノックスKー12(ヘキスト製)、ワンダミンOX(新日本理化製)などとして商業的に入手でき、アニオン性界面活性剤の量に対して0.5/10~5/10の範囲で配合され、好ましくは1/10~3/10の範囲である。アニオン性界面活性剤に対するラウリルジメチルアミンオキシドの配合量が少ないと所望する効果が発現せず、また多すぎると使用感を損なう。
【0010】本発明の組成物に配合されるHLB8以上の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン(10)還元ラノリン、ポリオキシエチレン(10)ラノリンアルコール、ポリオキシエチレン(2)ラウリルアルコールエーテル、ポリオキシエチレン(7)セチルアルコールエーテル、ポリオキシエチレン(30)ベヘニルアルコールエーテルなどのポリオキシエチレン高級アルコールエーテル(平均POE付加モル数2モル以上);ポリオキシエチレン(10)モノラウレート、ポリオキシエチレン(40)モノステアレートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル(平均付加モル数10モル以上)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(6)モノオレエートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(平均付加モル数6モル以上)。
【0011】さらに、例えばポリオキシエチレン(5)ヤシ油脂肪酸グリセリンエステル、ポリオキシエチレン(15)モノオレイン酸グリセリンエステルなどのポリオキシエチレングリセリンモノ脂肪酸エステル(平均付加モル数5モル以上);ヘキサグリンモノラウレート、デカグリンモノラウレート、デカグリンモノステアレートなどのポリグリセリン脂肪酸エステル(グリセリン重合度6以上);ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミドなどの脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。中でも、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、脂肪酸アルカノールアミドが好ましい。これら非イオン性界面活性剤のHLBは10以上であればよく、中でも、HLB10~18の非イオン性界面活性剤が好適に用いられる。
【0012】これらの非イオン性界面活性剤はアニオン性界面活性剤に対して0.5/10~5/10の範囲で配合され、好ましくは1/10~3/10の範囲である。アニオン性界面活性剤に対する非イオン性界面活性剤の配合量が少ないと所望する効果が発現せず、また多すぎると使用感を損なう。これらの非イオン性界面活性剤は一種または二種以上を組合せて配合しても差し支えない。 」
・甲1-4)【0014】~【0019】
「 【0014】
【実施例】・・・実施例中の[%]は、特に断わらないかぎり重量%を表す。なお、本発明の評価方法は以下の通りである。
【0015】(評価方法)
1.アニオン性界面活性剤の残留
アニオン性界面活性剤が皮膚に吸着すると酸性染料であるインジゴカルミンが染色阻害を生じることを利用し、その染色度合を色差計で測定することによりアニオン性界面活性剤の残留を間接的に評価する方法を用いた。従って、青く染まるとアニオン性界面活性剤が残留していないこと、染まらないと残留していることを意味する(J.Soc.Cosmet.Chem.,35,147,1984)。
(1)試験法
エーテル/アセトン(1:1)で前腕内側を拭き取り皮脂等を除去した後、色差計(ミノルタ製CR-200)にて測定し、対照とする。次に実施例および比較例の10%水溶液5mlをカップ振とう法にて5分間適用し、その後、35~37゜の温水12mlで8回すすぎ、タオルドライする。次に、1%インジゴカルミン水溶液5mlをカップ振とう法にて1分間適用する。次いで、12mlの温水8回ですすぎタオルドライした後、染色された皮膚を測定し色差△Eをもとめた。△Eが15以上であれば洗浄後、アニオン性界面活性剤の皮膚への残留が少ない。
【0016】2.つっぱり感の評価
(1)試験方法
専門パネラー10名にて、本発明品および比較品の10%水溶液を調製し、その約5mlを頬にコットンで塗布し、塗布後直ちに35~37℃の温水約100mlですすぐ。その後、軽くタオルドライして、乾燥間際のつっぱり感を評価した。
(2)評価基準
◎;全くつっぱり感がない
○;わずかにつっぱり感がある
△;つっぱり感がある
×;非常につっぱり感がある
パネラーの平均評価の結果を表1、2に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】表1、表2に示すように、本発明品1~14は比較品1~4に比べて、アニオン性界面活性剤の皮膚への残留が少なく、洗浄後の乾燥間際のつっぱり感が改善されていることを示す。 」
・甲1-5)【0020】~【0023】
「 【0020】以下の実施例15~18は、常法により製造することができる。
実施例15 <ボディシャンプー>
・・・
【0021】
実施例16 <液状洗顔剤>
(%)
ラウリン酸 3.00
ミリスチン酸 4.00
パルミチン酸 0.50
トリエタノールアミン 10.00
ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム(30%) 20.00
ラウリルジメチルアミンオキシド(32%) 5.00
POE(20)
モノラウリン酸ソルビタン(HLB=17) 3.00
アロエエキス 1.00
ハマメリスエキス 1.00
パラベン 0.10
グリセリン 10.00
オキシベンゾン 0.05
精製水 残部
合計 100.00
【0022】
実施例17 <ハンドソープ>
・・・
【0023】
実施例18 <洗顔クリーム>
・・・ 」
(2)甲2
・甲2-1)請求項1、2、6
「【請求項1】 次の成分(A)及び(B):
(A)炭素数8~18のアシル基を有するN-アシルグルタミン酸又はその塩、及び
(B)炭素数8~18のアシル基を有するN-アシルアスパラギン酸又はその塩を含有し、成分(A)と成分(B)の含有量の合計が2質量%以上18質量%以下であり、
成分(A)と成分(B)の含有量の合計に占める、N-ステアロイルグルタミン酸又はその塩及びN-ステアロイルアスパラギン酸又はその塩の含有量の合計(S)の割合が質量比((S)/{(A)+(B)})で0.1以下であり、かつ
成分(A)と成分(B)の含有量の合計に対する成分(B)の含有量の質量比((B)/{(A)+(B)})が0.3以上0.6以下である液体洗浄剤組成物。
【請求項2】 次の成分(A)及び(B):
(A)炭素数8~16のアシル基を有するN-アシルグタミン酸又はその塩、及び
(B)炭素数8~16のアシル基を有するN-アシルアスパラギン酸又はその塩
を含有し、成分(A)と成分(B)の含有量の合計が2質量%以上18質量%以下であり、
成分(A)と成分(B)の含有量の合計に対する成分(B)の含有量の質量比((B)/{(A)+(B)})が0.3以上0.6以下である液体洗浄剤組成物。
・・・
【請求項6】 さらに(C)両性界面活性剤を0.5質量%以上7質量%以下含有する請求項1~5のいずれか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
・・・」
・甲2-2)【0002】~【0009】
「【背景技術】
【0002】 身体洗浄料等の皮膚の洗浄に用いる洗浄剤組成物は、近年、皮膚に対する刺激性が低くかつ、良好な泡質、使用感等が求められている。N-アシルアミノ酸塩は、皮膚刺激性が低いアニオン性界面活性剤であるが、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩又はポリオキシエチレンアルキル硫酸塩等のその他のアニオン性界面活性剤に比べて泡質や使用感に改善の余地があり、・・・
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0006】 ・・・
【0008】 したがって、本発明の課題は、きめが細かく、泡の肌への密着性がよいにもかかわらず泡の肌への伸びの良さが両立した良好な泡質を実現し、洗浄時において皮膚のすみずみまで泡を行きわたらせることを可能にするとともに、洗い上がりの皮膚が柔和である良好な使用感をもたらす液体洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】 そこで本発明者らは、皮膚への刺激性を低減する観点から、N-アシルアミノ酸又はその塩を含有しつつ、優れた泡質と良好な使用感とを兼ね備えた洗浄剤組成物を開発すべく種々検討したところ、特定の2種のN-アシルアミノ酸又はその塩を特定の量及び特定の比率で含有することにより、泡のきめが細かく、肌への密着感がありつつ伸びが良好な泡質をもたらすとともに、洗い上がりの皮膚が柔和である良好な使用感にできる液体洗浄剤組成物が得られることを見出した。」
・甲2-3)【0012】
「【0012】 ・・・
本発明の液体洗浄剤組成物は、炭素数8~18のアシル基を有するN-アシルグルタミン酸又はその塩(A)を含有する。・・・。成分(A)における炭素数8~18のアシル基は、良好な泡立ちと高い泡質とを実現する観点から、好ましくは炭素数8~16であり、より好ましくは12~16であって、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖を有する脂肪酸又は混合脂肪酸を由来としたものが好ましい。このような脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸やヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸などの混合脂肪酸等が挙げられる。これら脂肪酸のなかでも、起泡性、泡質や保存安定性の点から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸が好ましく、ラウリン酸、ミリスチン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸がより好ましく、さらにヤシ油脂肪酸が好ましい。上記N-アシルグルタミン酸又はその塩(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。」
・甲2-4)【0014】~【0015】
「【0014】 本発明の液体洗浄剤組成物は、炭素数8~18のアシル基を有するN-アシルアスパラギン酸又はその塩(B)を含有する。・・・
【0015】 成分(B)における炭素数8~18のアシル基は、良好な泡立ちと高い泡質とを実現する観点から、好ましくは炭素数8~16のアシル基であり、より好ましくは炭素数12~16のアシル基であり、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖を有する脂肪酸又は混合脂肪酸を由来としたものが好ましく、直鎖飽和脂肪酸を由来としたものがより好ましい。このような脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸やヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸などの混合脂肪酸等が挙げられる。これら脂肪酸のなかでも、起泡性、泡質や保存安定性の点から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸が好ましく、ラウリン酸、ミリスチン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸がより好ましく、とりわけラウリン酸が好ましい。上記N-アシルアスパラギン酸又はその塩(B)は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。」
・甲2-5)【0020】~【0022】
「【0020】 本発明の液体洗浄剤組成物は、より泡質を向上させ、泡の肌へのすべりを高める観点から、さらに両性界面活性剤(C)を含有するのが好ましい。・・・
【0021】 かかる両性界面活性剤(C)としては、具体的には、例えば、アルキルカルボベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドアミン型ベタイン、アルキルイミダゾリン型ベタイン等が挙げられる。両性界面活性剤(C)としては、泡質と洗い上がりの使用感の点から、炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタインが好ましく、アルキルヒドロキシスルホベタインがさらに好ましく、なかでも、ヤシ油脂肪酸ヒドロキシスルホベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ミリスチルヒドロキシスルホベタインが好ましく、ラウリルヒドロキシスルホベタインがさらに好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わ
せて用いてもよい。
【0022】 両性界面活性剤(C)を含有する場合の含有量は、泡質と使用感を高め、すすぎ時のヌルツキを抑制する観点から、本発明の液体洗浄剤組成物中に、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは0.8質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上であり、好ましくは7質量%以下であり、より好ましくは5質量%であり、さらに好ましくは2.5質量%以下である。」
・甲2-6)【0026】~【0027】
「【0026】 本発明の液体洗浄剤組成物のpHは、良好な泡立ちを得る観点と皮膚への刺激性を低減する観点から、pH5~8の範囲であるのが好ましく、pH5.3~7.5がより好ましくpH5.6~6.5が特に好ましい。このような弱酸性~弱アルカリ性或いは弱酸性~中性の領域であっても、優れた泡質と良好な使用感を充分に発揮することができる。なお、pHを所望の値に調製するために、必要に応じて追加的に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、アンモニア等の一般的な各種塩基や、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、コハク酸等の一般的な各種酸を用いてもよい。かかるpHとは、原則として25℃の恒温槽に液体洗浄剤組成物を保管し、希釈していない液体洗浄剤組成物にpH測定用の電極を3分間浸して測定して得られる値を意味する。
【0027】 さらに、本発明の液体洗浄剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で上記成分のほか、通常の液体洗浄剤組成物に用いられる成分、例えば、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコールやポリオール;グアーガム等の植物由来の多糖類、キサンタンガム等の微生物由来の多糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、分子内にポリオキシエチレン鎖を有するエステル或いはエーテル系化合物、アクリル酸重合体或いはアクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体等のカルボキシビニポリマー類等の増粘剤、アルキルポリグリコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤;アルキル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩等の成分(A)及び成分(B)以外のアニオン性界活性剤;染料等の着色剤;無機塩類;植物エキス類;防腐剤;キレート剤;ビミン剤;抗炎症剤;香料;紫外線吸収剤;酸化防止剤、殺菌剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で含有させることができる。」
・甲2-7)【0042】~【0043】
「【実施例】
【0042】 以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
【0043】 [実施例1~12、比較例1~6]
表1~5に示す組成に従い、各液体洗浄剤組成物を常法により製造し、下記の方法に従って泡粘度及びpHを測定するとともに各評価を行った。結果を表1~5に示す。
なお、各液体洗浄剤を製造する際には下記の原料を用いた。
・ココイルグルタミン酸Na:商品名「アミソフトCS-11(F)、分子量359」、味の素株式会社
・・・
・モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン:20EO付加モル、商品名「レオドールTW-S120V」、花王株式会社
・・・
・ラウリルヒドロキシスルホベタイン液(30%):商品名「アンヒトール20HD」、花王株式会社
・・・ 」
・甲2-8)【0053】 [※当審注:罫線省略]
「【0053】
【表3】
実施例9 実施例10
(A)ココイルグルタミン酸Na *1 2.28 1.75
(B)ラウロイルアスパラギン酸
Na液(25%) 4.9 7.0
(C)ラウロイルヒドロキシスルタイン液
(30%) 3.3 3.3
モノステアリン酸ポリオキシエチレン
ソルビタン 1.5 1.5
グリセリン 18.9 18.9
ポリエチレングリコール6000 4.5 4.5
プロピレングリコール 2 2
ジプロピレングリコール 2 2
2-エチルヘキシルグリセリルエーテル 0.45 0.45
水酸化ナトリウム液(約48%) 0 0
コハク酸 0 0.05
水 60.12 58.50
計 100 100
・・・
*1 ステアロイルグルタミン酸ナトリウムの含有量:2.5% 」
(3)甲3
・甲3-1)請求の範囲
「 [請求項1] 次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有する洗浄剤組成物であって、
(A)炭素数12~22の脂肪酸又はその塩、
(B)成分(A)を除く、親水基にカルボン酸又はその塩を有するアニオン性界面活性剤、
(C)両性界面活性剤、
(D)IOB値が0.8~4の多価アルコール、又は、IOB値が0.8~4の多価アルコールと炭素数3以下のモノアルコールとの混合物、
(E)水;
酸としての換算質量で、成分(A)と成分(B)の含有量の合計(A)+(B)が35質量%以上60質量%以下であり、
成分(B)の含有量と、成分(A)と成分(B)の含有量の合計との質量比(B)/〔(A)+(B)〕が0.06以上0.65以下であり、
成分(C)の含有量が1.5質量%以上15質量%以下であり、
成分(D)の含有量が6質量%以上18質量%以下である、
洗浄剤組成物。
・・・
[請求項13]
更に、ノニオン性界面活性剤を0.1質量%以上10質量%以下含有する、請求項1~12の何れか1項に記載の洗浄剤組成物。
[請求項14]
前記ノニオン性界面活性剤が、分岐アルキルグリセリルエーテル、分岐アルキルポリオキシエチレンエーテルから選ばれる1種又は2種以上のものである、請求項13に記載の洗浄剤組成物。
[請求項15]
前記ノニオン性界面活性剤が、グリセリンモノ2-エチルヘキシルエーテル、イソデシルグリセリルエーテル、及びこれらの混合物から選ばれる1種又は2種以上のものである、請求項13又は14に記載の洗浄剤組成物。
・・・ 」
・甲3-2)[0002]~[0011]
「 背景技術
[0002] 高級脂肪酸塩は、優れた起泡性、使用感などから洗浄剤として広く用いられている。
・・・
[0005] 特許文献1:特開2005-23069号公報
特許文献2:特開2011-79743号公報
・・・
[0007] ・・・、特許文献1では、高濃度界面活性剤系の低温での低粘度を維持することを意図したものではないため、組成物の粘度上昇やその抑制に関する課題がある。特許文献2では、界面活性剤濃度が低い条件で、低温や高温での優れた保存安定性を示すものであり、高濃度界面活性剤系における低温での粘度上昇の問題を解決するものではなかった。
[0008] 近年、環境保護、および消費者の携帯しやすさ、使いやすさなどのニーズから、界面活性剤を高濃度に含有する洗浄剤組成物の開発が望まれているが、このように、高級脂肪酸塩を用いた、高濃度の界面活性剤を含有する洗浄剤組成物には、事例がなく、まだ十分なものが得られていないのが現状である。これは、高級脂肪酸塩の濃度が高くなるとヘキサゴナル構造と呼ばれる非常に粘度が高い相構造をとってしまい、実用上使用が困難になることが原因の一つであると考えられる。また、更に活性剤濃度を高くすると、ラメラ液晶と呼ばれる相構造をとることが学術的な研究等により知られているが、温度低下により著しい粘度の上昇が起こり、実用上の使用に大きな課題がある。従って、安定性、安全性、泡立ち性、使用感などが良好で、適度な粘度を有し、低温での粘度上昇の問題を解決できる高濃度洗浄剤組成物の開発が強く望まれていた。
[0009] 以上のことから、本発明の目的は、高濃度の界面活性剤を含有する洗浄剤組成物において、適度な粘度を有するラメラ構造を形成し、低温での粘度の著しい上昇が抑制され、且つ泡立ち性等の使用性能が優れた洗浄剤組成物を提供することにある。
[0010] 本発明者らは、上記課題を解決するために検討した結果、特定の脂肪酸又はその塩に、特定のカルボン酸型アニオン性界面活性剤と特定の両性界面活性剤、及びIOB値が0.8~4の多価アルコール又はIOB値が0.8~4の多価アルコールと炭素数3以下のモノアルコールとの混合物を特定の含有量で組み合わせることにより、ラメラ液晶構造を形成しながら、高濃度の界面活性剤の含有による粘度の上昇や結晶化を抑制することができ、低温での低粘度を確保することができることを見出した。
[0011] 本発明によれば、界面活性剤の高濃度化により課題であった低温での粘度の著しい上昇を抑制することに成功した。具体的には、洗浄成分である界面活性剤を高濃度含有して、ラメラ液晶構造を形成するにもかかわらず、低温で低粘度を保ち、更には泡立ち性などの使用性能にも優れた、寒い季節でも使いやすい洗浄剤組成物を提供することが可能になる。 」
・甲3-3)[0020]~[0022]
「 [0020] ・・・。成分(A)と成分(B)を組み合わせることにより、高濃度の界面活性剤の含有による粘度の上昇や結晶化が抑制される。当該観点から、成分(A)と成分(B)の含有量の合計は、35質量%以上であり、40質量%以上が好ましく、また、60質量%以下であり、55質量%以下が好ましい。
また、配合処方中の成分(A)と成分(B)の中和率は低温における粘度の上昇や結晶化を抑制する観点から85~110%が好ましく、95~105%がより好ましい。
[0021] また、成分(A)と成分(B)は、低温での粘度上昇を抑える観点から、成分(B)の含有量と、成分(A)と成分(B)の含有量の合計との質量比(B)/〔(A)+(B)〕は、0.06以上であり、0.1以上が好ましく、さらに低温での流動性も維持できる観点から0.27以上がより好ましく、また、0.65以下であり、さらに低温での流動性も維持できる観点から0.45以下が好ましい。なお、成分(A)、成分(B)の含有量は、酸としての換算質量により示される。また、流動性とはガラス瓶に入れて保存したサンプルを傾けたとき、または軽く叩くとき内容物が流動する性質を指す。
[0022] 本発明の洗浄剤組成物で用いる成分(B)の親水基にカルボン酸又はその塩を有するアニオン性界面活性剤は、疎水部としてアルキル基を有し、親水部としてカルボン酸を有する。このため、成分(A)の脂肪酸と構造が類似しており、成分(A)と成分(B)が分子の運動性が低下する低温条件でも均質に混ざりやすいと考える。しかし、成分(B)は、アルキル基とカルボニル基との間に、接続基(アルキレンオキサイドなど)を有するために運動性が高く、成分(A)の炭素数12~22の脂肪酸と成分(B)とを組み合わせて用いる場合、成分(A)が結晶化しにくくなる。結果として、低温で粘度の著しい増加が起こらず、特に優れたものは透明性や流動性を保つことができると考えられる。一方、リン酸型、硫酸型、スルホン酸型などのアニオン性界面活性剤は、分子の運動性が低下する低温条件では成分(A)と均質に混ざりにくいと考えられ、結晶化を十分に抑制することができず、低温で粘度の著しい増加が起こると考える。 」
・甲3-4)[0024]
「 [0024] 成分(C)の化合物は、上記から選ばれる1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。成分(C)の含有量は、本発明の洗浄剤組成物中に1.5質量%以上であり、3質量%以上がより好ましい。また、15質量%以下であり、10質量%以下がより好ましい。これらの範囲であれば、ラメラ構造を安定に形成でき、低温における粘度の上昇や結晶化が抑制されるので好ましい。 」
・甲3-5)[0025]~[0032]
「 [0025]<成分(D)> ・・・
[0026] ここで、IOB値とは、有機概念図(藤田穆、有機化合物の予測と有機概念図、化学の領域 Vol.11,No.10(1957)719-725)に基づいて求められる無機性値及び有機性値の比(Inorganic Organic Balance)を表わすもので、次式により求められる。
・・・
[0032] また、成分(A)と成分(B)と成分(D)の含有量の合計は、45質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、また、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましい。これらの範囲であれば、ラメラ構造を安定に形成でき、低温における粘度の上昇や結晶化が抑制されることができるので好ましい。 」
・甲3-6)[0036]~[0039]
「 [0036] また、本発明の洗浄剤組成物には、更にノニオン性界面活性剤を含有させることができる。具体的には、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。この中、ノニオン性界面活性剤を構成するアルキル基は、長鎖アルコール又は長鎖脂肪酸の炭素数はC8~22であるアルキル基が挙げられ、具体的には、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ベヘニロイル基が挙げられる。
[0037] これらの中で、ノニオン性界面活性剤を構成するアルキル基のうち、少なくとも1つが分岐アルキル基であるものが好ましい。具体的には、(2-)エチルヘキシル基、・・・が好適に例示できる。・・・
[0038] 具体的には、・・・が挙げられる。これらの中で、分岐アルキルグリセリルエーテル、分岐アルキルポリオキシエチレンエーテルが好ましく、炭素数8~22である分岐アルキルグリセリルエーテルがより好ましく、グリセリンモノ2-エチルヘキシルエーテル、イソデシルグリセリルエーテルがさらにより好ましい。
分岐鎖を有するノニオン性界面活性剤は、成分(A)、(B)と共に混合される際、分岐鎖を有するため、成分(A)、(B)のアルキル鎖の間隔を広げることができ、低温での粘度上昇を抑制することを助ける働きがあると考えられる。
[0039] これらのノニオン性界面活性剤は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらのノニオン性界面活性剤の含有量は、本発明の洗浄剤組成物中に0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは1質量%以上である。また、10質量%以下が好ましく、より好ましくは4質量%以下である。これらの範囲であれば、ラメラ構造を安定に形成でき、低温における粘度の上昇や結晶化が抑制されるので好ましい。 」
(4)甲4
・甲4-1)特許請求の範囲
「 【請求項1】
下記一般式(1)で表されるグリセリルエーテル、及び不純物として該グリセリルエーテルと沸点の異なる高沸点成分と低沸点成分が含まれている粗グリセリルエーテルを、第1蒸留で、該グリセリルエーテル及び低沸点成分を含む留分(a)と高沸点成分(b)とに分離し、該グリセリルエーテル及び低沸点成分を含む留分(a)を、更に第2蒸留で精製グリセリルエーテルと低沸点成分とに分離する、グリセリルエーテルの精製方法。
【化1】
(式中、Rは置換又は無置換の飽和又は不飽和の炭素数1~20の炭化水素基を示し、OAは炭素数2~4のオキシアルカンジイル基を示し、pは平均付加モル数を示し0~20の数であり、pが2以上のときOAは同一でも異なっていてもよい。)
【請求項2】
粗グリセリルエーテルが、下記一般式(2)で表されるグリシジルエーテルを加水分解して得られるものである、請求項1に記載のグリセリルエーテルの精製方法。
(式中、R、OA、及びpは、前記と同じである。)
・・・ 」
・甲4-2)【0001】~【0002】
「 【技術分野】
【0001】
本発明はグリセリルエーテルの精製方法に関し、詳しくは、粗グリセリルエーテルから、充分に脱臭された精製グリセリルエーテルを効率的に得ることができる精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グリセリルエーテルは、化粧品、香粧品、化成品、農薬、医薬品等の分野で有用な化合物である。グリセリルエーテルは、特にW/O型乳化特性を有する非イオン界面活性剤として極めて優れた性能を有しており、乳化剤、可溶化剤、潤滑剤等として化粧品基材等への幅広い応用がなされている。
・・・ 」
・甲4-3)表2 [※当審注:罫線省略]
「 表2
・・・ 実施例2 ・・・
グリセリルエーテル 2-エチルヘキシル ・・・
グリセリルエーテル
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 」
(5)甲5
・甲5-1)特許請求の範囲
「 【請求項1】
次の成分(A)、(B):
(A)アニオン界面活性剤 3~50質量%、
(B)スフィンゴシン類又はその塩 0.01~3質量%、
及び(C)水を含有する皮膚洗浄剤組成物。
【請求項2】
更に、成分(D)非イオン界面活性剤、高級脂肪酸及び高級アルコールから選ばれる1種以上 0.5~30質量%を含有する請求項1記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項3】
ゲル又は液晶状態を呈する請求項2記載の皮膚洗浄剤組成物。 」
・甲5-2)【0001】~【0008】
「 【技術分野】
【0001】
本発明は、泡量、泡質及び使用感に優れた皮膚洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄剤組成物においては、種々の界面活性剤を増泡剤として組合わせて用いたり、高分子化合物を増粘剤として用いることによって、洗浄剤組成物の泡量増大、泡質向上、増粘など、泡性能や使用感を向上させることが数多く検討されている。
【0003】
一方、スフィンゴシン類は、角質細胞間脂質に存在する脂質の一つであり、化粧料、皮膚外用剤等に多く使用されている。例えば、特許文献1には、スフィンゴ脂質を含有し、スキンローション、クリーム、石けん、ボディークレンザー、軟膏に用いられる、ニキビの予防及び治療を目的としたスフィンゴ脂質組成物が記載されているが、洗浄性能や使用感の向上を意図したものではない。
【0004】
また、特許文献2には、イオン性界面活性剤を用いたマイクロエマルションに、常温で固体又はペースト状の化合物(スフィンゴシン類等)を存在させることが開示されているが、洗浄剤としての用途は記載されていない。
【特許文献1】 特開2002-212100号公報
【特許文献2】 特開2001-157835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、泡量、泡質及び使用感に優れた皮膚洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、アニオン界面活性剤と、従来増泡剤や増粘剤としては用いられていなかったスフィンゴシン類とを組み合わせて用いることにより、意外にも、泡量、泡質及び使用感に優れた皮膚洗浄剤組成物が得られることを見出した。
・・・
【発明の効果】
【0008】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、泡量、泡質及び使用感に優れたものである。また、成分
(D)として、非イオン界面活性剤、高級脂肪酸及び高級アルコールから選ばれる成分を更に用いることにより、少なくとも一部がゲル又は液晶状態を呈し、マッサージ感等の使用感がより向上し、外観の美しい組成物とすることができる。 」
・甲5-3)【0041】~【0042】
「 【0041】 ・・本発明の・・組成物は、更に成分(D)として、非イオン界面活性剤、高級脂肪酸及び高級アルコールから選ばれる1種以上を含有することができる。・・・
【0042】 非イオン界面活性剤としては、・・・、グリセリンアルキルエーテル、・・・。その具体例としては、・・・グリセリンモノ-2-エチルヘキシルエーテル、・・・」
(6)甲6
・甲6-1)39頁 標題
「 特集 防腐・殺菌剤の有用性と安全性を考える
オクトキシグリセリン(Ethylhexylglycerin)の抗菌力と特性 」
・甲6-2)表1 [※当審注:罫線省略]
「 表1 オクトキシグリセリンの登録状況
日本 ・既存化学物質 ・・・
・薬事情報
成分名:グリセリンモノ-2-エチルヘキシルエーテル
表示名称:オクトキシグリセリン(もしくはエチルヘキシルグリセリン)
・・・
INCI名 ・Ethylhexylglycerin
CAS ・登録名:3-[(2-Ethylhexyl)oxy]-1,2-propanediol
・CAS番号:704455-33-9
・・・ 」
・甲6-3)44頁右欄6~13行
「3-2-2.オクトキシグリセリンの界面活性作用
・・・オクトキシグリセリンを添加した場合,水滴の表面張力を顕著に低下することが確認され,さらにこの作用はフェノキシエタノールとの混合添加においても確認できる。」
(7)甲7
・甲7-1)特許請求の範囲
「【請求項1】 下記成分(a)、(b)、(c)、及び(d)を含有する液体洗浄剤組成物であって、液体洗浄剤組成物全量に対する成分(a)の含有量が0.5~20質量%、成分(b)の含有量が0.3~8質量%、成分(c)の含有量が0.2~4質量%であり、成分(a)、(b)、及び(c)の含有量の和[a+b+c]が1~30質量%で、成分(a)と(c)の質量比[a/c]が1/8~40/1である、液体洗浄剤組成物。
(a)エチレンオキシドの平均付加モル数が60~100モルであるポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル
(b)式(I)で示される非イオン性界面活性剤
RCOX (I)
(式中、RCOは炭素数8~16のアシル基、Xはジエタノールアミン及び/又はN-メチルエタノールアミンから選ばれる1種類以上のアミン化合物の窒素原子に結合した水素原子を1つ除いた残基、又は二糖類の1つの水酸基から水素原子を除いた残基である。)
(c)アシル基の炭素数が8~14であるアシルアミノ酸型陰イオン性界面活性剤
(d)水 」
・甲7-2)【0001】~【0007】
「 【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤組成物に関し、詳しくはフォーマー容器に充填して使用するのに好適な液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
・・・
【0003】
・・・近年、化粧落としの簡素化が目指されており、ポンプフォーマータイプ洗浄料においても、クレンジング機能と洗顔機能を併せ持つ洗浄料が開発されている。・・・。しかしながら、・・・メイク汚れの存在下で洗浄を行うと泡が破泡してしまい、泡の持続性の点で不十分であった。
これまでに泡質及び泡の持続性を高める試みとして、洗浄剤分野以外でも様々な検討が行われている。・・・。しかしながら、・・・ポンプフォーマーに充填した場合は良好な泡質を得ることができなかった。・・・
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、キメ細かい泡が洗浄時も持続し、クレンジング力及び洗浄後のうるおい感が良好で、さらに低温安定性にも優れる液体洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明者が鋭意検討した結果、本願発明の構成とすることで、キメ細かい泡が洗浄時も持続し、クレンジング力及び洗浄後のうるおい感が良好で、さらに低温安定性にも優れる液体洗浄剤組成物を得るに至った。
・・・
【発明の効果】
【0007】
本発明の液体洗浄剤組成物は、とくにフォーマー容器用の洗浄剤として適し、フォーマー容器から吐出される泡はキメが細かく良質で、手や顔面の汚れ落とし中も、質の良い泡が保持される。また、クレンジング効果にも優れ、別途メイク落とし用の製剤を使わなくても、本発明の液体洗浄剤組成物のみで、メイク落としと洗浄を同時に行うことができる。洗浄後のうるおい感も良好で、低温安定性にも優れる。 」
・甲7-3)【0008】~【0015】
「 【0008】
・・・
本発明のa成分である、エチレンオキシドの平均付加モル数が60~100モルであるポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステルは、・・・a成分の出発原料として使用されるソルビタン脂肪酸エステルは、モノエステル体を主成分(50質量%以上)とすることが好ましい。・・・
・・・
【0009】
a成分における脂肪酸は、特に限定されるものではないが、炭素数が8~22の飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖の脂肪酸を使用できる。例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸が挙げられ、好ましくはカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸であり、最も好ましくはラウリン酸である。・・・
【0010】
b成分は、・・・
【0011】
・・・
b成分は、好ましくは、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸N-メチルエタノールアミド、スクロース(ショ糖)モノ脂肪酸エステル、トレハロースモノ脂肪酸エステルであり、より好ましくは脂肪酸ジエタノールアミド、スクロース(ショ糖)モノ脂肪酸エステルである。
【0012】
c成分は、・・・
【0013】
上記アミノ酸のアシル化物であるアシルアミノ酸型陰イオン性界面活性剤の種類としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アシルメチルタウリン塩、アシルタウリン塩、アシルメチル-β-アラニン又はその塩、アシル-β-アラニン又はその塩、アシルグルタミン酸又はその塩、アシルグリシン又はその塩、アシルアスパラギン酸又はその塩、アシルザルコシン又はその塩などが挙げられる。その中で、洗浄時の泡の持続性及び洗浄後のしっとり感が得られる点で、アシルメチルタウリン塩、アシルメチル-β-アラニン又はその塩が好ましい。
前記塩としては、・・・アルカリ金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられ、・・・。泡の持続性をより高めるためには、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩が最も好ましい。
・・・
【0014】
a成分の含有量は、液体洗浄剤組成物全量に対し0.5~20質量%であり、好ましくは1.0~18質量%、より好ましくは2~16質量%である。a成分の含有量が20質量%を超えると、洗浄液の粘度が上昇し、ポンプフォーマーからの吐出性が悪くなる。0.5未満では、泡の持続性が不十分である。
b成分の含有量は、液体洗浄剤組成物全量に対し0.3~8質量%であり、好ましくは0.4~6質量%、より好ましくは0.6~4質量%である。b成分の含有量が8質量%を超えると、低温安定性及び洗浄液の増粘による吐出性の悪化が懸念され、含有量が0.3未満ではクレンジング力が低下する。
c成分の含有量は、液体洗浄剤組成物全量に対し0.2~4質量%であり、好ましくは0.3~3質量%、より好ましくは0.4~2質量%である。含有量が4質量%を超えると皮膚への刺激性が懸念され、含有率が0.2質量%未満では、泡の持続性が悪化する。
【0015】
a成分、b成分、及びc成分の和[a+b+c]は、液体洗浄剤組成物全量に対し1~30質量%であり、好ましくは2~25質量%、より好ましくは4~20質量%である。[a+b+c]が30質量%を超えると、コスト的に不利であるばかりでなく、洗浄液の粘度が上昇し吐出性が悪化する懸念がある。また、[a+b+c]が1質量%未満の場合、洗浄時の泡の持続性及びクレンジング力において不十分である。
a成分とc成分の質量比[a/c]は、1/8~40/1であり、好ましくは1/1~20/1、より好ましくは4/1~16/1である。[ a/c]が40/1を超えると、洗浄時の泡の持続性及びクレンジング力が不十分である。一方、[a/c]が1/8未満では、洗浄時の泡の持続性及び洗浄後のうるおい感が不十分である。
a成分は、親水性部位であるポリエチレングリコール鎖の分子量が大きいため、泡膜中の水の粘度を高め、破泡の原因となる排液を抑制する特性を有し、c成分は、動的表面張力、つまり新しく形成された気-液界面に素早く吸着する能力に優れる。よって、a成分、b成分、及びc成分を、上記比率で組み合わせることで、洗浄時の泡の持続性を相乗的に高め、良好なクレンジング効果を発揮し、洗浄後のうるおい感を付与することができる。 」
・甲7-4)【0018】~【0022】【表1】
「 【実施例】
【0018】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
<泡状クレンジング料の調製>
表1及び表2に示した実施例1~5及び比較例1~14の各原料をビーカーに全て投入し、60℃のウォーターバスで加温しながら、プロペラを使って1時間攪拌した。溶解確認後、40℃以下に冷却してクレンジング料を得た。調製したクレンジング料をポンプフォーマー容器に充填し、下記の評価に用いた。
表1及び表2中の数字は、質量%を示す。
・・・
結果を表1及び表2に示す。
実施例のクレンジング料は、全ての評価項目において、良い評価であったのに対し、比較例のクレンジング料は、少なくとも1項目以上で評価が劣るものであった。
【0022】
【表1】
」
(8)甲8
・甲8-1)987頁左欄~右欄「トリトン系界面活性剤」項
「 トリトン系界面活性剤[Triton series surfactant]非イオン性界面活性剤*の一種.ポリオキシエチレンp-t-オクチルフェニルエーテル(polyoxyethylene p-t-octylphenyl ether)類の商品名を主として指す.NP-40(Nonidet P-40)なども構造的には同類に属する.このシリーズのうちTriton X-100は膜可溶化能に優れ,タンパク質の失活が少ないところから多く利用されている.バイオビーズSM-2(Bio-Beads SM-2)などによって除去が可能であり,再構成膜調製にも利用される.疎水性カラムクロマトグラフィーの溶出溶媒としても使用される.Triton X-100の臨界ミセル濃度CMC 0.24mM,ミセル会合数140,ミセル分子量9×104.
」
(9)甲9
[ ※当審注:各表の罫線は省略して記す。]
・甲9-1)435~442頁 法定色素規格一覧表・別表第二部
「 ●別表第二部
規 格
色素名 吸収極大波長 色素純度(%) ・・・
(nm) 吸光係数
・・・ ・・・ ・・・ ・・・
赤色204号 482~486 ・・・ ・・・
赤色205号 491~497 ・・・ ・・・
赤色206号 491~497 ・・・ ・・・
赤色207号 491~497 ・・・ ・・・
赤色208号 491~497 ・・・ ・・・
・・・ ・・・ ・・・ ・・・
黄色202号の(1) 487~491 ・・・ ・・・
質量法
黄色202号の(2) 487~491 ・・・ ・・・
質量法
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 」
・甲9-2)442~446頁 法定色素規格一覧表・別表第三部
「 ●別表第三部
規 格
色素名 吸収極大波長 色素純度(%) ・・・
(nm) 吸光係数
・・・ ・・・ ・・・ ・・・
赤色404号 493~497 ・・・ ・・・
・・・ ・・・ ・・・ ・・・
赤色505号 496~500 ・・・ ・・・
・・・ ・・・ ・・・ ・・・
だいだい色403号 488~494 ・・・ ・・・
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 」
(10)甲10
・甲10-1)1021頁右欄~1022頁左欄「ラウラミンオキシド」項
「 ラウラミンオキシド (552496)
INCI名:LAURAMINE OXIDE
CAS No. EINECS/ELINCS
1643-20-5 216-700-6(1)
定義:本品は、次の化学式で表される第三アミンのオキシドである。
配合目的:起泡剤、界面活性助剤、香料、洗浄剤、ヘアコンディショニング剤
Chem/Other Name:N,N-Dimethyl-1-Dodecanamine-N-Oxide、1-Dodecanamine, N,N-DImethyl-, N-Oxide、 Dodecyldimethylamine oxide、Dodecyldimethylamine oxide (RIFM)、Laurylamine Oxide Solution
商品名:ブラウノンLAX-35(青木油脂工業)
Genaminox K-12 (クラリアントジャパン)
ユニセーフA-LM、ユニセーフ A-LMR (日油 油化事業部)
Schercamox DML Amine Oxide (日本ルーブリゾール)
アロモックスDM12DW(C) (ライオン・アクゾ)
混合物商品名:アンヒトール20N (花王)
ワンダミンOX-300 (新日本理化)
ソフタミンL (東邦化学工業)
取扱業者:岩瀬コスファ、大阪佐々木化学、化成品商事、カネダ、久木田薬品工業、ケーアイケミカル、交洋ファインケミカル、壽商会、佐々木化学、三陽商会、シバハシケミファ、島貿易、昭栄薬品、東振化学、マツモト交商、ライオン 」
(11)甲11
・甲11-1)1~2頁 [※当審注:表1は罫線省略]
「 要約
N,N-ジメチルアルキルアミン=N-オキシド(略称:アミンオキシド、AO)は両性界面活性剤であり、主に起泡力や洗浄性を高める目的で台所用洗剤やシャンプー等に配合されています。・・・
・・・
1.化学物質の同定
アミンオキシド(AO)は、・・・。特に長鎖アルキル基を持つAOは両性界面活性剤とされ、気泡力や洗浄性を高めるために、台所用洗剤等の液体洗剤に配合されています。
1.1 物質名およびCAS登録番号
AOのCAS登録番号を表1に示します。 ・・・
・・・
表1.アミンオキシドのCAS登録番号
物質 CAS登録番号 名称
・・・ ・・・ ・・・
C12AO 1643-20-5 N,N-ジメチルドデシルアミン=N-オキシド
・・・ ・・・ ・・・
」
(12)文献A
・A-1)【0040】【表1】~【0041】 [※当審注:【表1】の罫線は省略して記す。]
「 【表1】
成分名 ・・・
(A)N-ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウム※1 ・・・
N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム※2 ・・・
・・ ・・・ ・・・
【0041】
※1:アミソフト LS-11(F)、平均分子量355、味の素(株)製
※2:アミソフト CS-11(F)、平均分子量359、味の素(株)製
・・・ 」
(13)文献B
・B-1)実施例32~35
「 実施例32~35
以下に示す組成の水性毛髪洗浄剤を、常法により調製し評価した。なお、pHは各組成物を水で20重量倍希釈し、25℃で測定した値である。
実施例32(シャンプー:pH3.9)
(成分)
・・・ ・・・(重量%)
・・・ ・・・
ラウリルヒドロキシスルタイン
(花王社製:アンヒトール20HD) 1.7
・・・ ・・・
実施例33(シャンプー:pH3.9)
・・・ ・・・
ラウリルヒドロキシスルタイン
(花王社製:アンヒトール20HD) 1.0
・・・ ・・・
実施例34(シャンプー:pH5.0)
・・・ ・・・
ラウリルヒドロキシスルタイン
(花王社製:アンヒトール20HD) 1.7
・・・ ・・・
実施例35(シャンプー)
・・・ ・・・
ラウリルヒドロキシスルタイン
(花王社製:アンヒトール20HD) 1.7
・・・ ・・・ 」
【5-2】訂正発明1~8の新規性、進歩性について・その1(甲1を主引例とする場合)
1.甲1に記載された発明
甲1-5【0021】の「実施例16」の「液状洗顔剤」において、各成分の「(%)」が重量%を意味すること(甲1-4【0014】)を踏まえると、甲1には、次の発明(以下、単に「甲1発明」という)が記載されているものと認められる。
「 次の成分組成:
(重量%)
ラウリン酸 3.00
ミリスチン酸 4.00
パルミチン酸 0.50
トリエタノールアミン 10.00
ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム(30%) 20.00
ラウリルジメチルアミンオキシド(32%) 5.00
POE(20)
モノラウリン酸ソルビタン(HLB=17) 3.00
アロエエキス 1.00
ハマメリスエキス 1.00
パラベン 0.10
グリセリン 10.00
オキシベンゾン 0.05
精製水 残部
合計 100.00
からなる、液状洗顔剤 」
2.対比・判断
(1)訂正発明1について
(1-1)新規性について
訂正発明1と甲1発明を対比する。
ア.甲1発明の「身体用洗浄剤組成物」である「液状洗顔剤」は、訂正発明1の「洗浄剤組成物」に相当する。
イ.甲1発明の「重量%」は、訂正発明1の「質量%」に相当する。
ウ.甲1発明の「アニオン性界面活性剤」に関し、甲1発明では、「ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム(30%) 20.00重量%」が配合されており、ここでいう「ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリム」(甲1-3【0007】)はアミノ酸系のアニオン性界面活性剤であって、訂正発明1の「陰イオン性界面活性剤」中の「ココイルメチルタウリンナトリウム」に相当する。
ところで、甲1発明には、当該「ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム」以外にも、
「ラウリン酸 3.00重量%」
「ミリスチン酸 4.00重量%」
「パルミチン酸 0.50重量%」
及び
「トリエタノールアミン 10.00 重量%」
が併せ含まれている。
ここで、甲1発明は、「精製水」がその成分の大部分を占める液状洗顔剤であって、水溶液状の組成物と認められるものであることから、これら4成分はいずれも甲1発明中でイオン化して共存しているものと推認されるところ、これら
ラウリン酸:ミリスチン酸:パルミチン酸:トリエタノールアミン
のモル比は、ラウリン酸の分子量を200、ミリスチン酸の分子量を228、パルミチン酸の分子量を256、トリエタノールアミンの分子量149とすると、およそ
3.00/200:4.00/228:0.50/256:10.00/149
= 1.50:1.75:0.19:6.71
であることから、甲1発明におけるトリエタノールアミンは、これら「ラウリン酸」、「ミリスチン酸」及び「パルミチン酸」の中和に必要な塩基のモル当量(1.50+1.75+0.19=3.44)を大きく超える量で含まれているものである。
即ち、これら3種の高級脂肪酸はいずれも、それぞれトリエタノールアミン塩として配合されたものが解離し、それぞれラウリン酸イオン、ミリスチン酸イオン、パルミチン酸イオンとして甲1発明中でトリエタノールアミンイオンと共存してなるものとおおよそ等価といえるところ、それらラウリン酸トリエタノールアミン塩、ミリスチン酸トリエタノールアミン塩、パルミチン酸トリエタノールアミン塩は、いずれも甲1-3【0006】にいう「高級脂肪酸のアルカリ金属塩およびアルカノールアミン塩などの高級脂肪酸塩」であって、上記「ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム(30%)」に含まれる「ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム」と共に、いずれも甲1発明の「アニオン性界面活性剤」であって、訂正発明1の「陰イオン性界面活性剤」に相当するものである。
そして、甲1発明中に含まれる上記「ラウリン酸 3.00重量%」、「ミリスチン酸 4.00重量%」、「パルミチン酸 0.50重量%」は、トリエタノールアミン塩としてあらためて換算すると(ラウリン酸トリエタノールアミン塩の分子量を349、ミリスチン酸トリエタノールアミン塩の分子量を377、パルミチン酸トリエタノールアミン塩の分子量を405とする)、順に
3.00 × 349/200 = 約 5.24重量%
4.00 × 377/228 = 約 6.61重量%
0.50 × 405/256 = 約 0.791重量%
の割合で配合されてなるものとおおよそ等価といえるところ、これら3種の高級脂肪酸トリエタノールアミン塩相当分と上記「ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム(30%) 20.00重量%」に含まれる「ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム」の和、即ち、甲1発明中の「陰イオン性界面活性剤」相当分の総含有割合は、「ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム」の含有割合が
20.00 × 0.3 = 6.00重量%
であることから、およそ
5.24+6.61+0.791+6.00 = 18.841重量%
であって、訂正発明1の「洗浄剤組成物全量中2~25質量%」に相当する。
エ.甲1発明の「POE(20)モノラウリン酸ソルビタン(HLB=17)」、即ち「ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート」(甲1-3【0010】)は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が20のポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステルであって、訂正発明1の「非イオン性界面活性剤」である「ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル」に相当し、その甲1発明中の含有割合「3.00重量%」は、訂正発明1の「洗浄剤組成物全量中の1~20質量%}に相当する。
オ.甲1発明の「ラウリルジメチルアミンオキシド(32%) 5.00重量%」における「ラウリルジメチルアミンオキシド」(甲1-3【0009】)は、訂正発明1の「両性界面活性剤」に相当し、その甲1発明中の当該「ラウリルジメチルアミンオキシド」の含有割合は
5.00 × 32/100 = 1.6重量%
であって、訂正発明1の「0.01~10質量%」に相当する。
カ.上のウ~オに基づき、甲1発明において、
・陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との重量比は
18.841/3.00 = 約6.28 (>訂正発明1の「2/1~1/3」)
であり;
・両性界面活性剤の、陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対する重量比は
1.6/(18.841+3.00) = 約0.073
である。
キ.甲1発明は、少なくとも、
「成分(B)下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩 0.3~8質量%、
R1-O-(CH2CH2O)n-CH2-COOM (1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数4~22のアルキル基を示し、nは0~20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムを示す。)」
を含むものではない点において、訂正発明1において除かれている
「 成分(A)N-アシル酸性アミノ酸又はその塩 2.5~15質量%、
成分(B)下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩 0.3~8質量%、
R1-O-(CH2CH2O)n-CH2-COOM (1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数4~22のアルキル基を示し、nは0~20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムを示す。)
成分(C)炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタイン及び炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルヒドロキシスルホベタインからなる群から選ばれる1種又は2種以上の両性界面活性剤 0.2~5質量%、並びに
成分(D)水
を含む液体洗浄剤組成物であって、前記成分(A)に対する前記成分(B)及び前記成分(C)の合計量[(B)+(C)]の割合が、質量比で、[(B)+(C)]/(A)×100=15~120であり、前記成分(A)に対する前記成分(C)の割合が、質量比で、(C)/(A)×100=5~70である液体洗浄剤組成物 」
に該当しないことは、明らかである。
ク.甲1発明は、アロエエキス、ハマメリスエキス等の界面活性剤以外の成分を含むものであるが、訂正発明1はこれら界面活性剤以外の成分を併せ含む洗浄剤組成物の態様を特段除外するものではないから、これら界面活性剤以外の成分に係る規定は実質的な相違点とはならない。
以上のア~クを併せ踏まえると、両者は
「 陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって
前記陰イオン性界面活性剤の含有量が、洗浄剤組成物全量中2~25質量%であり、前記非イオン性界面活性剤の含有量が、洗浄剤組成物全量中1~20質量%であり、前記両性界面活性剤の含有量が、洗浄剤組成物全量中0.01~10質量%であり、
前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステルからなる群から選ばれる1つ以上を含む、
洗浄剤組成物
(ただし、
成分(A)N-アシル酸性アミノ酸又はその塩 2.5~15質量%、
成分(B)下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩 0.3~8質量%、
R1-O-(CH2CH2O)n-CH2-COOM (1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数4~22のアルキル基を示し、nは0~20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムを示す。)
成分(C)炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタイン及び炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルヒドロキシスルホベタインからなる群から選ばれる1種又は2種以上の両性界面活性剤 0.2~5質量%、並びに
成分(D)水
を含む液体洗浄剤組成物であって、前記成分(A)に対する前記成分(B)及び前記成分(C)の合計量[(B)+(C)]の割合が、質量比で、[(B)+(C)]/(A)×100=15~120であり、前記成分(A)に対する前記成分(C)の割合が、質量比で、(C)/(A)×100=5~70である液体洗浄剤組成物を除く。) 」
の点で一致するが、次の相違点1において、相違する。
[相違点1]
訂正発明1が、次の要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2):
(i)「陰イオン性界面活性剤」が
「ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上」であること
(ii)(ii-1)「前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有」し、且つ
(ii-2)「前記両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有」すること
を共に満たすのに対し、
甲1発明では、
・「陰イオン性界面活性剤」が
ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、並びに、ラウリン酸トリエタノールアミン塩、ミリスチン酸トリエタノールアミン塩及びパルミチン酸トリエタノールアミン塩
であり;
且つ、
・「陰イオン性界面活性剤」と「非イオン性界面活性剤」との質量比が約6.28(2/1超) であり、且つ
「両性界面活性剤」と「陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量」との質量比が 約0.073 である;
点
即ち、甲1発明は、上記相違点1に係る要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2)を併せ満たしているとはいえない。
そうすると、訂正発明1は甲1発明ではなく、訂正発明1は甲1に記載された発明とはいえない。
(1-2)進歩性について
上記相違点1について、以下に検討する。
ア.(ア) 甲1には、甲1発明における陰イオン性界面活性剤(アニオン性界面活性剤)として、3種の高級脂肪酸アミン塩相当成分に代えて、相違点1の上記(i)に係る
ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上
から選択される陰イオン性界面活性剤成分のいずれかを用いることを動機付けるような、特段の記載乃至示唆を認めることはできない。
また、甲1-3【0006】~【0007】や本件特許出願時の技術常識に基づけば、3種の高級脂肪酸アミン塩相当成分に代えて、陰イオン界面活性剤として周知の上記要件(i)に係るいずれかの陰イオン性界面活性剤を用いること自体に格別の困難性はないとしても、それら陰イオン性界面活性剤相当成分とPOE(20)モノラウリン酸ソルビタン(HLB=17)(非イオン性界面活性剤相当成分)との質量比を約6.28より更に低い、2/1~1/3の質量比とすること、且つ、そのようにした上で更に、ラウリルジメチルアミンオキシド(両性界面活性剤相当成分)と上記陰イオン性界面活性剤相当成分及び非イオン性界面活性剤の合計量との質量比を1/4以下とすること、についてまでは、甲1中には何ら具体的に記載乃至示唆されていない。
(イ) そして、甲1発明は、陰イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキシド、及びHLBが8以上の非イオン性界面活性剤を、好ましくは当該ラウリルジメチルアミンオキシド、非イオン性界面活性剤を陰イオン性界面活性剤に対して0.5/10~5/10(重量比)の割合で配合されてなる身体用洗浄剤組成物とすることで、陰イオン性界面活性剤の皮膚への残留を低減させて洗浄後の乾燥間際の不快なつっぱり感を解消し、優れた使用感を有した身体用洗浄剤を得ることを企図するものであって(甲1-1、甲1-2)、甲1発明において、十分な起泡性を有しつつも角質のバリア機能にとって必要な細胞間脂質(コレステロール、セラミド等)の溶出は抑制する、といった選択的洗浄性を付与することについては、甲1中には何ら具体的な記載乃至示唆を認めることはできない。
(ウ) そうすると、甲1発明において、十分な起泡性を有しつつも角質のバリア機能にとって必要な細胞間脂質の溶出は抑制する、といった選択的洗浄性が付与された洗浄剤組成物とすることを企図して、上記相違点1に係る(i)、(ii)(ii-1)及び(ii)(ii-2)の要件、即ち
・「陰イオン性界面活性剤」が
ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上
であること;
・陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、且つ
両性界面活性剤を陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有すること;
を併せ満たす界面活性剤組成の洗浄剤組成物とすることは、当業者といえども甲1の記載に基づいて容易に想到し得たとはいえない。
イ.また、
(ア) 甲2には、次の成分(A)及び(B):
(A)炭素数8~18のアシル基を有するN-アシルグルタミン酸又はその塩、及び
(B)炭素数8~18のアシル基を有するN-アシルアスパラギン酸又はその塩
を含有し、成分(A)と成分(B)の含有量の合計が2質量%以上18質量%以下であり、
成分(A)と成分(B)の含有量の合計に占める、N-ステアロイルグルタミン酸又はその塩及びN-ステアロイルアスパラギン酸又はその塩の含有量の合計(S)の割合が質量比((S)/{(A)+(B)})で0.1以下であり、かつ
成分(A)と成分(B)の含有量の合計に対する成分(B)の含有量の質量比((B)/{(A)+(B)})が0.3以上0.6以下である液体洗浄剤組成物(甲2-1【請求項1】)や、次の成分(A)及び(B):
(A)炭素数8~16のアシル基を有するN-アシルグタミン酸又はその塩、及び
(B)炭素数8~16のアシル基を有するN-アシルアスパラギン酸又はその塩
を含有し、成分(A)と成分(B)の含有量の合計が2質量%以上18質量%以下であり、
成分(A)と成分(B)の含有量の合計に対する成分(B)の含有量の質量比((B)/{(A)+(B)})が0.3以上0.6以下である液体洗浄剤組成物(甲2-1【請求項2】);
並びに、
それらの液体洗浄剤組成物に対し、更に(C)両性界面活性剤を0.5質量%以上7質量%以下」含有せしめてなる液体洗浄剤組成物(甲2-1【請求項6】);
について記載されており、アニオン性界面活性剤(陰イオン性界面活性剤)である特定の2種のN-アシルアミノ酸又はその塩(上記(A)及び(B))を所定の質量比で組み合わせることにより、泡のきめが細かく、肌への密着感がありつつ伸びが良好な泡質をもたらすとともに、洗い上がりの皮膚が柔和で使用感が良好な液体洗浄剤組成物とすることができること(甲2-2~甲2-4)、並びに、その際、より泡質を向上させ、泡の肌へのすべりを高める観点から、更に両性界面活性剤を含有するのが好ましいこと(甲2-5)が、それら(A)~(C)と共に非イオン性界面活性剤(甲2-6【0027】)である2-エチルヘキシルグリセリルエーテルを併せ含む洗浄剤組成物の実施例9、10(甲2-8)等と共に記載されている。
しかしながら、甲2には、
・陰イオン性界面活性剤として、上記「(B)炭素数8~16のアシル基を有するN-アシルアスパラギン酸又はその塩」を選択肢中に含まない、上記相違点1の(i)に係る
ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上
を用いること; 更に、そのような陰イオン性界面活性剤を、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤と共に、上記相違点1の(ii)(ii-1)且つ(ii-2)、即ち
・陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比とし、且つ
両性界面活性剤を陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比とすること;
を併せ満たす界面活性剤組成とすることについて、何ら具体的な記載乃至示唆はみられない。ましてや、そのような陰イオン性界面活性剤を非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤と共に上記配合割合下に配合することで、十分な起泡性を有しつつもコレステロール、セラミド等の細胞間脂質の溶出は抑制する、といった選択的洗浄性が付与された洗浄剤組成物とすることも、甲2には何ら記載乃至示唆されていない。
(イ) 甲3には、陰イオン性界面活性剤である次の成分(A)及び(B):
(A)炭素数12~22の脂肪酸又はその塩、
(B)成分(A)を除く、親水基にカルボン酸又はその塩を有するアニオン性界面活性剤、
を、酸としての換算質量で、成分(A)と成分(B)の含有量の合計(A)+(B)が35質量%以上60質量%以下であり、且つ、成分(B)の含有量と、成分(A)と成分(B)の含有量の合計との質量比(B)/〔(A)+(B)〕が0.06以上0.65以下であるように含み、更に次の成分(C)~(E):
(C)1.5質量%以上15質量%以下の、両性界面活性剤、
(D)6質量%以上18質量%以下の、IOB値が0.8~4の多価アルコール、又は、IOB値が0.8~4の多価アルコールと炭素数3以下のモノアルコールとの混合物、
(E)水;
を併せ含む、洗浄剤組成物(甲3-1) 酸としての換算質量で、成分(A)と成分(B)の含有量の合計(A)+(B)が35質量%以上60質量%以下であり、
成分(B)の含有量と、成分(A)と成分(B)の含有量の合計との質量比(B)/〔(A)+(B)〕が0.06以上0.65以下であり、
成分(C)の含有量が1.5質量%以上15質量%以下であり、
成分(D)の含有量が6質量%以上18質量%以下である、
洗浄剤組成物(甲3-1[請求項1])、及び、更にグリセリンモノ2-エチルヘキシルエーテル等のノニオン性(非イオン性)界面活性剤を0.1質量%以上10質量%以下含有する洗浄剤組成物(甲3-1[請求項13]~[請求項15]、甲3-6)について記載されており、アニオン性界面活性剤(陰イオン性界面活性剤)である特定の成分(A)及び(B))を上記の所定の質量比で配合せしめ、更に上記成分(C)~(E)を配合することにより、高級脂肪酸塩を用いた高濃度含有して、ラメラ液晶構造を形成するにもかかわらず、低温で低粘度を保ち、更には泡立ち性などの使用性能にも優れた洗浄剤組成物が得られること(甲3-2~甲2-5)が記載されている。
しかしながら、甲3には、
・陰イオン性界面活性剤として、上記「(A)炭素数12~22の脂肪酸又はその塩」を選択肢中に含まない、上記相違点1の(i)に係る
ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上
を用いること; 更に、そのような陰イオン性界面活性剤を、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤と共に、上記相違点1の(ii)(ii-1)且つ(ii-2)、即ち
・陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比とし、且つ
両性界面活性剤を陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比とすること;
を併せ満たす界面活性剤組成とすることについて、何ら具体的な記載乃至示唆はみられない。ましてや、そのような陰イオン性界面活性剤を非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤と共に上記配合割合下に配合することで、十分な起泡性を有しつつもコレステロール、セラミド等の細胞間脂質の溶出は抑制する、といった選択的洗浄性が付与された洗浄剤組成物とすることも、甲3には何ら記載乃至示唆されていない。
(ウ) 甲5には、次の成分(A)、(B):
(A)アニオン界面活性剤 3~50質量%、
(B)スフィンゴシン類又はその塩 0.01~3質量%、
及び(C)水を含有する皮膚洗浄剤組成物(甲5-1【請求項1】)、及び、更に成分(D)非イオン界面活性剤、高級脂肪酸及び高級アルコールから選ばれる1種以上 0.5~30質量%を含有する皮膚洗浄剤組成物(甲5-1【請求項2】)について記載されており、角質細胞間脂質に存在することが知られた上記(B)のスフィンゴシン類を(A)のアニオン性界面活性剤(陰イオン性界面活性剤)と所定の割合で組み合わせて配合することにより、泡量、泡質及び使用感に優れた皮膚洗浄剤組成物が得られること(甲5-2)と共に、上記(D)の非イオン性界面活性剤としてグリセリンモノ-2-エチルヘキシルエーテル等が挙げられること(甲5-3)も併せて記載されている。
しかしながら、甲5には、
・陰イオン性界面活性剤として、上記相違点1の(i)に係る
ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上
を用いること; 更に、そのような陰イオン性界面活性剤を、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤と共に、上記相違点1の(ii)(ii-1)且つ(ii-2)、即ち
・陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比とし、且つ
両性界面活性剤を陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比とすること;
を併せ満たす界面活性剤組成とすることについて、何ら具体的な記載乃至示唆はみられない。ましてや、そのような陰イオン性界面活性剤を非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤と共に上記配合割合下に配合することで、十分な起泡性を有しつつもコレステロール、セラミド等の細胞間脂質の溶出は抑制する、といった選択的洗浄性が付与された洗浄剤組成物とすることも、甲5には何ら記載乃至示唆されていない。
(エ) 甲7には、下記成分(a)、(b)、(c)、及び(d):
(a)エチレンオキシドの平均付加モル数が60~100モルであるポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル
(b)式(I)で示される非イオン性界面活性剤
RCOX (I)
(式中、RCOは炭素数8~16のアシル基、Xはジエタノールアミン及び/又はN-メチルエタノールアミンから選ばれる1種類以上のアミン化合物の窒素原子に結合した水素原子を1つ除いた残基、又は二糖類の1つの水酸基から水素原子を除いた残基である。)
(c)アシル基の炭素数が8~14であるアシルアミノ酸型陰イオン性界面活性剤
(d)水
を含有する液体洗浄剤組成物であって、液体洗浄剤組成物全量に対する成分(a)の含有量が0.5~20質量%、成分(b)の含有量が0.3~8質量%、成分(c)の含有量が0.2~4質量%であり、成分(a)、(b)、及び(c)の含有量の和[a+b+c]が1~30質量%で、成分(a)と(c)の質量比[a/c]が1/8~40/1である、液体洗浄剤組成物(甲6-1) について記載されており、成分(a)~(c)を上記の所定の割合・質量比条件下で組み合わせて配合することにより、特にフォーマー容器用の洗浄剤として適し、吐出される泡がキメが細かく良質であり、洗浄後のうるおい感も良好で低温安定性にも優れる液体洗浄剤組成物が得られること(甲7-2~甲7-3)と共に、そのような組成物の例として、非イオン性界面活性剤である成分(a)としてモノラウリン酸POE(80)ソルビタン、同成分(b)としてヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸メチルモノエタノールアミド、モノラウリン酸スクロースのうちいずれか1種又は2種、陰イオン性界面活性剤である成分(c)としてカプロイルメチルタウリンNa及び/又はココイルグリシンKを、両性界面活性剤であるココイルアミドプロピルベタインと共に含むクレンジング料(甲7-5【0022】【表1】の実施例1~5)が洗浄時の泡の持続性、クレンジング力、洗浄後のうるおい感及び低温安定性において優れることを示す試験結果(甲7-5【表1】)と共に記載されている。
しかしながら、例えば甲7-5の実施例1~5のクレンジング料組成物における、陰イオン界面活性剤(成分(c))と非イオン性界面活性剤(成分(a)+(b))との質量比は、実施例1~5の順に1.0/(8.0+3.0)、1.0/(10.0+2.0)、1.0/(12.0+2.0+2.0)、(0.2+0.1)/(4.0+0.3+0.3)、(1.0+1.0)/(16.0+1.0+1.0)であって、いずれも1/3を下回っている。また、それ以外の摘記事項を含む甲7のどこにも、陰イオン性界面活性剤を、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤と共に、上記相違点1の(ii)(ii-1)且つ(ii-2)、即ち
・陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比とし、且つ
両性界面活性剤を陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比とすること;
を併せ満たす界面活性剤組成とすることについて、特段の記載乃至示唆は見出せないし、ましてや、そのような陰イオン性界面活性剤を非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤と共に上記配合割合下に配合することで、十分な起泡性を有しつつもコレステロール、セラミド等の細胞間脂質の溶出は抑制する、といった選択的洗浄性が付与された洗浄剤組成物とすることも、甲7には何ら記載乃至示唆されていない。
(オ) さらに、
・甲4には、グリセリルエーテルの精製方法について記載され(甲4-1)、2-エチルヘキシルグリセリルエーテル等のグリセリルエーテルが非イオン性界面活性剤として有用であることも併せて記載されており(甲4-2、甲4-3);
・甲6には、防腐・殺菌剤であって界面活性作用を有するオクトキシグリセリン(エチルヘキシルグリセリン)の成分がグリセリンモノ-2-エチルヘキシルエーテルであることが記載されており(甲6-1~甲6-3);
・甲8には、Triton X-100が非イオン性界面活性剤であるトリトン系界面活性剤の一種であって、膜可溶化能に優れることが記載されており(甲8-1);
・甲9には、化粧品等に配合可能な色素であって、訂正発明中に配合され得る着色剤(特許明細書【0045】)に相当する色素のうち、赤色204~208号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、赤色404号、赤色505号、だいだい色403号は、それぞれ吸収波長が特許明細書【0052】のCL(カルセイン)漏出測定に用いる494nm付近に存在することが記載されており(甲9-1~甲9-2);
・甲10、甲11には、甲1に記載されたユニセーフA-LM(日本油脂製)、ゲナミノックスKー12(ヘキスト製)等のラウリルジメチルアミンオキシド(甲1-3【0009】、甲1-5)が両性界面活性剤であることが記載されており(甲10-1、甲11-1);
・文献Aには、甲2-7の「ココイルグルタミン酸Na」である「アミソフトCS-11(F)」(商品名、味の素株式会社)(甲2-7)が、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウムであることが記載されており(A-1);
・文献Bには、甲2-7の「商品名「アンヒトール20HD」、花王株式会社」の主成分の一般名称が「ラウリルヒドロキシスルタイン」であることが記載されている(B-1)。
しかしながら、これら甲4、甲6、甲8~甲11,文献A、文献Bのいずれにも、陰イオン性界面活性剤を非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤と共に含む洗浄剤組成物において、上記相違点1に係る要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2)、即ち
・陰イオン性界面活性剤として
ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上
を用いること; 更に
・陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有せしめ、且つ
両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有せしめること;
を併せ満たす界面活性剤組成とすることについて、何ら具体的な記載乃至示唆はみられない。ましてや、そのような陰イオン性界面活性剤を非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤と共に上記配合割合下に配合することで、十分な起泡性を有しつつもコレステロール、セラミド等の細胞間脂質の溶出は抑制する、といった選択的洗浄性が付与された洗浄剤組成物とすることも、これら甲4、甲6、甲8~甲11,文献A、文献Bには何ら記載乃至示唆されていない。
ウ.そうすると、甲1と併せ甲2~甲11、文献A及び文献Bの記載を併せ考慮しても、甲1発明において、上記相違点1に係る(i)、(ii)(ii-1)及び(ii)(ii-2)の要件、即ち
・陰イオン性界面活性剤として
ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上
を用いること;
・陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有せしめ、且つ
両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有せしめること;
を併せ満たす界面活性剤組成の洗浄剤組成物とすることが、当業者にとり動機付けられていたとはいえない。
してみれば、訂正発明1は、甲1発明及び甲1の記載に基づいて、若しくは、甲1発明と甲1の記載、及び甲2~甲11、文献A、文献Bのいずれか一以上の記載との組合せに基づいて、当業者が容易に想到し得た発明であるということはできない。
エ.そして、訂正発明の奏する効果に関し、特許明細書の試験例4(【0060】~【0065】)には、訂正発明の「実施例」としての各種洗浄剤組成物における、特許明細書【0052】記載の細胞間脂質モデルを有するCL(=カルセイン。蛍光色素)内包リポソームを用いた漏出率測定方法により得られたCL漏出率及び起泡性に関する試験結果(表3)が、「比較例」としての各種洗浄剤組成物における同様のCL漏出率及び起泡性に関する試験結果(表4)と共に記載されているところ、それら試験結果をみるに、訂正発明1の上記相違点1に係る(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2)の要件を併せ満たす実施例の各種洗浄剤組成物(表3の実施例1~実施例8)は、同(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2)の要件を併せ満たさない比較例の各種洗浄剤組成物(表4の比較例1~比較例8)に比して、十分に高い起泡性を有しつつも(表3中の「起泡性(mL)」の評価がいずれも「○」(特許明細書【0061】の評価方法によるミキサー容器内の泡量が240ml以上))、CL漏出率が4~12%(比較例1~8では35~85%)であることが示されている。
即ち、特許明細書には、訂正発明1に係る洗浄剤組成物が、上記相違点1に係る(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2)の要件を併せ満たす界面活性剤組成であることにより、十分な起泡性を有しつつも、角質のバリア機能に必要なコレステロールやセラミド等の細胞間脂質の溶出を抑制するという、甲1~甲11や文献A、文献Bの記載のいずれからも予期し得ない優れた効果をもたらすものであることが、そのことを例証する試験結果と共に記載されている。
( なお、本件特許出願の審査係属時に特許権者が提出した平成31年1月7日付け意見書中における、「引用文献12」[※当審注:甲7と同一文献]に基づく新規性否定及び進歩性否定の拒絶理由(平成30年10月31日付け拒絶理由通知書)に対する反論(3.(7)~(9))中の特に3.(9)では、上の甲7-4中の実施例2、実施例5のクレンジング料を「引用文献12」(甲7)の記載どおりに再現して調製した上で、本願と同様の方法で蛍光色素内包リポソームからの蛍光色素の漏出率を測定したところ、それぞれ36質量%、77質量%という高い値であった(のに対し、特許明細書の実施例に記載の洗浄剤組成物は、蛍光色素漏出率が30質量%を下回り、いずれも選択洗浄性に優れる)、とされている。)
(1-3)訂正発明1についての小括
以上の検討のとおりであるから、訂正発明1は、甲1に記載された発明ではなく、また、甲1に記載された発明及び甲1の記載に基づいて、若しくは、甲1に記載された発明と甲1の記載、及び甲2~甲11、文献A、文献Bのいずれか一以上の記載との組合せに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)訂正発明2~6について
訂正発明2~6は、訂正発明1の洗浄剤組成物を直接又は間接的に引用する訂正発明1の従属発明であって、訂正発明1を更に技術的に限定してなる発明であるから、(1-1)及び(1-2)で訂正発明1について述べたのと同様の理由により、甲1に記載された発明ではなく、また、甲1に記載された発明及び甲1の記載に基づいて、若しくは、甲1に記載された発明と甲1の記載、及び甲2~甲11、文献A、文献Bのいずれか一以上の記載との組合せに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)訂正発明7について
(3-1)対比
(1)(1-1)のア~クの対比事項を踏まえつつ、訂正発明7と甲1発明とを対比するに、両者は
「 陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、
前記陰イオン性界面活性剤は、アミノ酸系陰イオン性界面活性剤を含み、
前記非イオン性界面活性剤は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10~100であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステルを含み、
前記陰イオン性界面活性剤の含有量が、洗浄剤組成物全量中2~25質量%である、
洗浄剤組成物
(ただし、
成分(A)N-アシル酸性アミノ酸又はその塩 2.5~15質量%、
成分(B)下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩 0.3~8質量%、
R1-O-(CH2CH2O)n-CH2-COOM (1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数4~22のアルキル基を示し、nは0~20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムを示す。)
成分(C)炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタイン及び炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルヒドロキシスルホベタインからなる群から選ばれる1種又は2種以上の両性界面活性剤 0.2~5質量%、並びに
成分(D)水
を含む液体洗浄剤組成物であって、前記成分(A)に対する前記成分(B)及び前記成分(C)の合計量[(B)+(C)]の割合が、質量比で、[(B)+(C)]/(A)×100=15~120であり、前記成分(A)に対する前記成分(C)の割合が、質量比で、(C)/(A)×100=5~70である液体洗浄剤組成物を除く。) 」
の点で一致するが、次の相違点2~相違点4において、相違する。
[相違点2]
訂正発明7が、次の要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2):
(i)「陰イオン性界面活性剤」が
「ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上」であること
(ii)(ii-1)「前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有」し、且つ
(ii-2)「前記両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有」すること
を共に満たすのに対し、
甲1発明では、
・「陰イオン性界面活性剤」が
ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、並びに、ラウリン酸トリエタノールアミン塩、ミリスチン酸トリエタノールアミン塩及びパルミチン酸トリエタノールアミン塩
であり、
・「陰イオン性界面活性剤」と「非イオン性界面活性剤」との質量比が約6.28(2/1超) であり、且つ
「両性界面活性剤」と「陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量」との質量比が 約0.073 である;
点
[相違点3]
「両性界面活性剤」が、訂正発明7では「ベタイン系両性界面活性剤を含」むのに対し、甲1発明では「ラウリルジメチルアミンオキシド」である点
[相違点4]
訂正発明7が、
「下記方法により測定されるカルセイン内包リポソームからのカルセインの漏出率が30%以下」であって、当該「方法」が
「蛍光色素漏出率測定方法:蛍光色素としてカルセインを内包するとともに細胞間脂質モデルを有するリポソームと、洗浄剤組成物とを反応させ、蛍光プレートリーダーにて蛍光強度Ff(Ex/Em:494/520nm)を測定する。コントロールとして界面活性剤を含まないものについて同様に測定し、下記式によりリポソームからのカルセインの漏出率を算出する。ここで、蛍光色素としてカルセインを内包するとともに細胞間脂質モデルを有するリポソームとは、前記カルセイン内包リポソームである。
漏出率(%)=100×{(コントロール処置群のFf-Fs)-(各サンプル処置群のFf-Fs)}/(コントロール処置群のFf-Fs)」
であるのに対し、甲1発明ではそのような規定はない点
(3-2)判断
以下、上記相違点について検討するに、上記相違点2に係る要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2)は、(1)(1-1)の相違点1に係る要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2)と同じである。
そうすると、(1)(1-2)ア~ウで検討したとおり、甲1発明において、当該相違点1に係る要件(i)、ii)(ii-1)及び(ii-2)(即ち、相違点2に係る要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2))を併せ満たす界面活性剤組成の洗浄剤組成物とすることは、当業者といえども容易に想到し得たとはいえないのであるから、相違点3及び相違点4について検討するまでもなく、訂正発明7もまた、(1)(1-2)ア~ウで訂正発明1について述べたのと同様の理由により、甲1発明及び甲1の記載に基づいて、若しくは、甲1発明と甲1の記載、及び甲2~甲11、文献A、文献Bのいずれか一以上の記載との組合せに基づいて、当業者が容易に想到し得た発明であるということはできない。
そして、訂正発明7は、(1)(1-2)エで述べたとおりの、特許明細書に記載された優れた効果を奏するものである。
(3-3)訂正発明7についての小括
以上(3-1)~(3-2)で述べたとおりであるから、訂正発明7は、甲1に記載された発明ではないし、また、甲1に記載された発明及び甲1の記載に基づいて、若しくは、甲1に記載された発明と甲1の記載、及び甲2~甲11、文献A、文献Bのいずれか一以上の記載との組合せに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)訂正発明8について
(4-1)対比
(1)(1-1)のア~クの対比事項、及び、次のケ、コ:
ケ.甲1発明は、泡沫状エアゾール形態のものとは認められない。
コ.甲1発明は、少なくとも、次の成分(b):
「(b)式(I)で示される非イオン性界面活性剤
RCOX(I)
(式中、RCOは炭素数8~16のアシル基、Xはジエタノールアミン及び/又はN-メチルエタノールアミンから選ばれる1種類以上のアミン化合物の窒素原子に結合した水素原子を1つ除いた残基、又は二糖類の1つの水酸基から水素原子を除いた残基である。)」
を含むものではない点において、訂正発明8において除かれている
「(a)エチレンオキシドの平均付加モル数が60~100モルであるポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル
(b)式(I)で示される非イオン性界面活性剤
RCOX(I)
(式中、RCOは炭素数8~16のアシル基、Xはジエタノールアミン及び/又はN-メチルエタノールアミンから選ばれる1種類以上のアミン化合物の窒素原子に結合した水素原子を1つ除いた残基、又は二糖類の1つの水酸基から水素原子を除いた残基である。)
(c)アシル基の炭素数が8~14であるアシルアミノ酸型陰イオン性界面活性剤、及び
(d)水
を含有する液体洗浄剤組成物」
にも該当しないことは、明らかである。
を併せ踏まえつつ、訂正発明8と甲1発明とを対比するに、両者は
「 陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、
前記陰イオン性界面活性剤は、アミノ酸系陰イオン性界面活性剤を含み、
前記非イオン性界面活性剤は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10~100であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステルを含む、洗浄剤組成物
(ただし、泡沫状エアゾール組成物であるものと、
成分(A)N-アシル酸性アミノ酸又はその塩 2.5~15質量%、
成分(B)下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩 0.3~8質量%、
R1-O-(CH2CH2O)n-CH2-COOM (1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数4~22のアルキル基を示し、nは0~20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムを示す。)
成分(C)炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタイン及び炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルヒドロキシスルホベタインからなる群から選ばれる1種又は2種以上の両性界面活性剤 0.2~5質量%、並びに
成分(D)水
を含む液体洗浄剤組成物であって、前記成分(A)に対する前記成分(B)及び前記成分(C)の合計量[(B)+(C)]の割合が、質量比で、[(B)+(C)]/(A)×100=15~120であり、前記成分(A)に対する前記成分(C)の割合が、質量比で、(C)/(A)×100=5~70である液体洗浄剤組成物と、
(a)エチレンオキシドの平均付加モル数が60~100モルであるポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル
(b)式(I)で示される非イオン性界面活性剤
RCOX(I)
(式中、RCOは炭素数8~16のアシル基、Xはジエタノールアミン及び/又はN-メチルエタノールアミンから選ばれる1種類以上のアミン化合物の窒素原子に結合した水素原子を1つ除いた残基、又は二糖類の1つの水酸基から水素原子を除いた残基である。)
(c)アシル基の炭素数が8~14であるアシルアミノ酸型陰イオン性界面活性剤、及び
(d)水
を含有する液体洗浄剤組成物とを除く。) 」
の点で一致するが、次の相違点5~相違点7において、相違する。
[相違点5]
訂正発明8が、次の要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2):
(i)「陰イオン性界面活性剤」が
「ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上」であること
(ii)(ii-1)「前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有」し、且つ
(ii-2)「前記両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有」すること
を共に満たすのに対し、
甲1発明では、
・「陰イオン性界面活性剤」が
ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、並びに、ラウリン酸トリエタノールアミン塩、ミリスチン酸トリエタノールアミン塩及びパルミチン酸トリエタノールアミン塩
であり、
・「陰イオン性界面活性剤」と「非イオン性界面活性剤」との質量比が約6.28(2/1超) であり、且つ
「両性界面活性剤」と「陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量」との質量比が 約0.073 である;
点
[相違点6]
「両性界面活性剤」が、訂正発明8では「ベタイン系両性界面活性剤を含」むのに対し、甲1発明では「ラウリルジメチルアミンオキシド」である点
[相違点7]
訂正発明8が、
「前記洗浄剤組成物を皮膚に適用した際に適用部位から溶出するスクワレンの溶出量とコレステロールの溶出量との比が質量基準で2以上である、細胞間基質の溶出を抑制する」ものであるのに対し、甲1発明ではそのような規定はない点
(4-2)判断
以下、上記相違点について検討するに、上記相違点5に係る要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2)は、(1)(1-1)の相違点1に係る要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2)と同じである。
そうすると、(1)(1-2)ア~ウで検討したとおり、甲1発明において、当該相違点1に係る要件(i)、ii)(ii-1)及び(ii-2)(即ち、相違点5に係る要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2))を併せ満たす界面活性剤組成の洗浄剤組成物とすることは、当業者といえども容易に想到し得たとはいえないのであるから、相違点6及び相違点7について検討するまでもなく、訂正発明8もまた、(1)(1-2)ア~ウで訂正発明1について述べたのと同様の理由により、甲1発明及び甲1の記載に基づいて、若しくは、甲1発明と甲1の記載、及び甲2~甲11、文献A、文献Bのいずれか一以上の記載との組合せに基づいて、当業者が容易に想到し得た発明であるということはできない。
(4-3)訂正発明8についての小括
以上(4-1)~(4-2)で述べたとおりであるから、訂正発明8は、甲1に記載された発明ではないし、また、甲1に記載された発明及び甲1の記載に基づいて、若しくは、甲1に記載された発明と甲1の記載、及び甲2~甲11、文献A、文献Bのいずれか一以上の記載との組合せに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3.特許異議申立書並びに申立人意見書における申立人の主張について
特許異議申立書、及び申立人意見書における、甲第1号証を主引例とする新規性否定及び進歩性否定に係る申立理由(【第4】1(1)(1.1)及び(2)(2.1))は、甲1発明が
「 陰イオン性界面活性剤が、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムであり、
非イオン性界面活性剤が、POE(20)モノラウリン酸ソルビタンであり、
両性界面活性剤がラウリルジメチルアミンオキシドであり、
更に、グリセリンおよびトリエタノールアミンを含有する、液状洗顔料 」
(特許異議申立書26頁26行~27頁1行。下線は当審による)
であって、
「 ここで、甲1発明における各界面活性剤の含有量および量比は以下のように算出した。
陰イオン性界面活性剤の含有量(重量%)=20.00×0.3=6.00
両性界面活性剤の含有量(重量%)=5.00×0.32=1.60
陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の合計含有量(重量%)=20.00×0.3+3.00+1.60=10.60
陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との質量比=(20.00×0.3)/3.00=2/1
陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との合計量に対する両性界面活性剤の質量比=1.60/(20.00×0.3+3.00)≒0.18 」
(特許異議申立書27頁2~11行。下線は当審による)
である、
との主張に基づくものである。
しかしながら、
・2(1)(1-1)ウ~カで述べたとおり、甲1発明は、陰イオン性界面活性剤として、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムのみならず、高級脂肪酸のアルカノールアミン塩であるラウリン酸トリエタノールアミン塩、ミリスチン酸トリエタノールアミン塩及びパルミチン酸トリエタノールアミン塩を併せ含んでなるものと等価のものといえ、それら陰イオン性界面活性剤の洗浄剤組成物(液状洗顔剤)全量中の含量はおよそ18.841重量%であって、陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との重量比は約6.28(>訂正発明1の「2/1~1/3」)であることから、甲1発明は2(1)(1-1)の相違点1に係る要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2)の要件を併せ満たすものではないこと;
・また、2(1)(1-2)で述べたとおり、甲1発明において上記相違点1に係る(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2)の要件を併せ満たすものとすることは、甲1~甲11や文献A、Bの記載を併せ考慮しても当業者にとり容易になし得なかったというほかはないこと;
から、上述の申立人の主張は、そもそも甲1に記載された発明の正確な認定に基づくものではなく、採用できない。
4.まとめ
以上のとおり、訂正発明1~8は、いずれも甲第1号証に記載された発明ではなく、また、甲第2~11号証や文献A,Bの記載を併せ考慮しても、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
よって、訂正発明1~8に係る発明について、甲第1号証を主引例とする新規性及び進歩性に係る申立理由(【第4】1(1)(1.1)及び(2)(2.1))は、いずれも理由がない。
【5-3】訂正発明1~8の新規性、進歩性について・その2(甲2を主引例とする場合)
1.甲2に記載された発明
甲2-8によれば、甲2には、「実施例9」及び「実施例10」として次の発明〔1〕、〔2〕(順に「甲2発明1」、「甲2発明2」といい、また、これらをまとめて「甲2発明」ということがある)が記載されているものと認められる。
〔1〕
「 次の組成の液体洗浄剤組成物:
[成分] [含有割合](質量%)
(A)ココイルグルタミン酸Na *1 2.28
(B)ラウロイルアスパラギン酸Na液(25%) 4.9
(C)ラウロイルヒドロキシスルタイン液(30%) 3.3
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1.5
グリセリン 18.9
ポリエチレングリコール6000 4.5
プロピレングリコール 2
ジプロピレングリコール 2
2-エチルヘキシルグリセリルエーテル 0.45
水酸化ナトリウム液(約48%) 0
コハク酸 0
水 60.12
計 100
*1 ステアロイルグルタミン酸ナトリウムの含有量:2.5% 」
〔2〕
「 次の組成の液体洗浄剤組成物:
[成分] [含有割合](質量%)
(A)ココイルグルタミン酸Na *1 1.75
(B)ラウロイルアスパラギン酸Na液(25%) 7.0
(C)ラウロイルヒドロキシスルタイン液(30%) 3.3
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1.5
グリセリン 18.9
ポリエチレングリコール6000 4.5
プロピレングリコール 2
ジプロピレングリコール 2
2-エチルヘキシルグリセリルエーテル 0.45
水酸化ナトリウム液(約48%) 0
コハク酸 0.05
水 58.50
計 100
*1 ステアロイルグルタミン酸ナトリウムの含有量:2.5% 」
2.対比・判断
(1)訂正発明1について
(1-1)新規性について
訂正発明1と甲2発明1を対比する。
ア.甲2発明におけるアミノ酸系陰イオン性界面活性剤である「(A)ココイルグルタミン酸Na」(ココイルグルタミン酸ナトリウム)及び「(B)ラウロイルアスパラギン酸Na液(25%)」中の「ラウロイルアスパラギン酸Na」(ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム)は、いずれも訂正発明1の「陰イオン性界面活性剤」に相当するところ、前者の「ココイルグルタミン酸Na」(「商品名「アミソフトCS-11(F)、分子量359」、味の素株式会社」)(甲2-7)が、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウムであることは、例えば文献A(A-1)の記載にみられるように、本件特許出願前に当業者にとり技術常識であったことから、当該「ココイルグルタミン酸Na」は訂正発明1における「陰イオン性界面活性剤」中の「N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム」に相当する。
そして、甲2発明における陰イオン性界面活性剤の組成物全量中の含有量は
・〔1〕甲2発明1では
2.28+4.9×25/100 = 約3.51 質量%
・〔2〕甲2発明2では
1.75+7.0×25/100 = 3.50 質量%
であって、いずれも訂正発明1の「洗浄剤組成物全量中2~25質量%」に相当する。
イ.甲2発明における「モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン」である「モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン:20EO付加モル(商品名「レオドールTW-S120V」、花王株式会社)(甲2-7)」は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が20の「ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル」(甲2-6【0027】)である非イオン性界面活性剤であって、訂正発明1における「非イオン性界面活性剤」中の「ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル」に相当する。
また、甲2発明における「2-エチルヘキシルグリセリルエーテル」が非イオン性界面活性剤であることは、甲3(甲3-1)や甲4(甲4-1~甲4-2)、甲5(甲5-1)、甲6(甲6-1~甲6-3)の各記載にみられるとおり、本件特許出願前に当業者にとり技術常識であったことから、当該「2-エチルヘキシルグリセリルエーテル」は特許発明1における「非イオン性界面活性剤」に相当する。
そして、甲2発明におけるこれらの非イオン性界面活性剤の組成物全量中の含有量は。〔1〕、〔2〕共に
1.5+0.45 = 1.95 質量%
であって、訂正発明1の「洗浄剤組成物全量中1~20質量%」に相当する。
ウ.甲2発明の「(C)ラウロイルヒドロキシスルタイン液(30%)」について、
・甲2-7では「ラウリルヒドロキシスルホベタイン液(30%):商品名「アンヒトール20HD」、花王株式会社」と記載されていること;
・例えば文献B(上記「アンヒトール20HD」の製造元である花王株式会社を出願人とする、甲2以外の特許出願の公開公報の一)のB-1の記載にみられるように、当該「アンヒトール20HD」の主成分の一般名称が「ラウリルヒドロキシスルタイン」と称されるものであることは本件特許出願前に当業者にとり技術常識であったこと;
から、甲2発明1の「(C)ラウロイルヒドロキシスルタイン液(30%)」は、通常「ラウリルヒドロキシスルタイン液(30%)」又は「ラウリルヒドロキシスルホベタイン液(30%)」と称される成分であるものと認められる。
そして、当該「(C)ラウリルヒドロキシスルタイン液(30%)」、即ち「ラウリルヒドロキシスルホベタイン液(30%)」、中に含まれる「ラウリルヒドロキシスルタイン」(「ラウリルヒドロキシスルホベタイン」)は、ベタイン系の両性界面活性剤であって(甲2-1【請求項6】、甲2-5)、訂正発明1における「両性界面活性剤」に相当し、その組成物全量中の含有量は。〔1〕、〔2〕共に
3.3 × 30/100 = 0.99 質量%
であって、訂正発明1の「洗浄剤組成物全量中0.01~10質量%」に相当する。
エ.上のウ~オに基づき、甲2発明において、
・陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との重量比は、
〔1〕甲2発明1では
約3.51/1.95 = 約1.80
〔2〕甲2発明2では
3.50/1.95 = 約1.79
であり;
・両性界面活性剤の、陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対する重量比は
〔1〕甲2発明1では
0.99/(約3.51+1.95) = 約0.181
〔2〕甲2発明2では
0.99/(3.50+1.95) = 約0.182
である。
オ.甲2発明は、少なくとも、
「成分(B)下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩 0.3~8質量%、
R1-O-(CH2CH2O)n-CH2-COOM (1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数4~22のアルキル基を示し、nは0~20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムを示す。)」
を含むものではない点において、訂正発明1において除かれている
「 成分(A)N-アシル酸性アミノ酸又はその塩 2.5~15質量%、
成分(B)下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩 0.3~8質量%、
R1-O-(CH2CH2O)n-CH2-COOM (1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数4~22のアルキル基を示し、nは0~20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムを示す。)
成分(C)炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタイン及び炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルヒドロキシスルホベタインからなる群から選ばれる1種又は2種以上の両性界面活性剤 0.2~5質量%、並びに
成分(D)水
を含む液体洗浄剤組成物であって、前記成分(A)に対する前記成分(B)及び前記成分(C)の合計量[(B)+(C)]の割合が、質量比で、[(B)+(C)]/(A)×100=15~120であり、前記成分(A)に対する前記成分(C)の割合が、質量比で、(C)/(A)×100=5~70である液体洗浄剤組成物 」
に該当しないことは、明らかである。
以上のア~オを併せ踏まえると、両者は
「 陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、
前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、
前記両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有し、
前記陰イオン性界面活性剤の含有量が、洗浄剤組成物全量中2~25質量%であり、前記非イオン性界面活性剤の含有量が、洗浄剤組成物全量中1~20質量%であり、前記両性界面活性剤の含有量が、洗浄剤組成物全量中0.01~10質量%であり、
前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステルからなる群から選ばれる1つ以上を含む、洗浄剤組成物
(ただし、
成分(A)N-アシル酸性アミノ酸又はその塩 2.5~15質量%、
成分(B)下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩 0.3~8質量%、
R1-O-(CH2CH2O)n-CH2-COOM (1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数4~22のアルキル基を示し、nは0~20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムを示す。)
成分(C)炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタイン及び炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルヒドロキシスルホベタインからなる群から選ばれる1種又は2種以上の両性界面活性剤 0.2~5質量%、並びに
成分(D)水
を含む液体洗浄剤組成物であって、前記成分(A)に対する前記成分(B)及び前記成分(C)の合計量[(B)+(C)]の割合が、質量比で、[(B)+(C)]/(A)×100=15~120であり、前記成分(A)に対する前記成分(C)の割合が、質量比で、(C)/(A)×100=5~70である液体洗浄剤組成物を除く。)。 」
の点で一致するが、次の相違点8:
[相違点8]
訂正発明1では、次の要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2):
(i)「陰イオン界面活性剤」が、
「ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上」
であること
(ii)(ii-1)「前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有」し、且つ
(ii-2)「前記両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有」すること
を共に満たすのに対し、
甲2発明では
・「陰イオン界面活性剤」が「N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム」及び「ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム」であり、
・陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比であり;
両性界面活性剤を陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比である;
を併せ満たす配合割合とすることの特段の規定はない、
点
即ち、相違点8に係る要件(i)に関し、甲2発明は、「陰イオン界面活性剤」として「ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム」を含む点において、当該「ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム」を「陰イオン性界面活性剤」の選択肢中に含まない訂正発明1と相違するから、甲1発明は、上記相違点8に係る要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2)を併せ満たしているとはいえない。
そうすると、訂正発明1は甲2発明ではなく、訂正発明1は甲2に記載された発明とはいえない。
(1-2)進歩性について
上記相違点8について検討する。
ア.甲2発明におけるラウロイルアスパラギン酸ナトリウム(「(B)ラウロイルアスパラギン酸Na」)は、ココイルグルタミン酸ナトリウム(「(A)ココイルグルタミン酸Na」)と組み合わせて配合されているものであり、当該組合せは、甲2-1【請求項1】又は【請求項2】の
「次の成分(A)及び(B):
(A)炭素数8~18のアシル基を有するN-アシルグルタミン酸又はその塩、及び
(B)炭素数8~18のアシル基を有するN-アシルアスパラギン酸又はその塩」の組合せ例である。
そして、甲2では、当該特定のN-アシルグルタミン酸又はその塩((A))、及び、特定のN-アシルアスパラギン酸又はその塩((B))を所定の割合で配合することを要件とする液体洗浄剤組成物に係るものであって(甲2-1【請求項1】又は【請求項2】)、そのような特定のN-アシルアミノ酸又はその塩(A)、(B)の界面活性剤組成を採用することにより、皮膚への刺激性が低減され優れた泡質と良好な使用感を兼ね備えた洗浄剤組成物を提供するものである(甲2-2)。
即ち、甲2の記載を以ては、甲2発明において、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム(「(B)ラウロイルアスパラギン酸Na」)に代えて、上記「(B)炭素数8~18のアシル基を有するN-アシルアスパラギン酸又はその塩」以外の任意の陰イオン界面活性剤、例えば、上記相違点8の要件(i)に係る
ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上
を用いることの動機付けを得ることはできない。
イ.また、上記相違点8に係る要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2)は、【5-2】1(1)(1-1)の相違点1に係る要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2)と同じであるところ、【5-2】1(1)(1-2)ア~イで検討したとおり、これら相違点1の要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2)に相当する次の要件:
・陰イオン性界面活性剤として
ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上
を用いること;
・陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比とし、且つ
両性界面活性剤を陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比とすること;
を併せ満たす界面活性剤組成とすることは、甲1~甲11、文献A、文献Bのいずれにも記載乃至示唆されていないし、ましてや、陰イオン性界面活性剤を非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤と共に上記配合割合下に配合することで、十分な起泡性を有しつつもコレステロール、セラミド等の細胞間脂質の溶出は抑制する、といった選択的洗浄性が付与された洗浄剤組成物とすることも、これら甲1~甲11,文献A、文献Bには何ら記載乃至示唆されていない。
ウ.そうすると、甲2と併せ甲1、甲3~甲11、文献A及び文献Bの記載を併せ考慮しても、甲2発明において、上記相違点8に係る(i)、(ii)(ii-1)及び(ii)(ii-2)の要件、即ち
・陰イオン性界面活性剤として
ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上
を用いること;
・陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有せしめ、且つ
両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有せしめること;
を併せ満たす界面活性剤組成の洗浄剤組成物とすることが、当業者にとり動機付けられていたとはいえない。
してみれば、訂正発明1は、甲2発明及び甲2の記載に基づいて、若しくは、甲2発明と甲2の記載、及び甲1、甲3~甲11、文献A、文献Bのいずれか一以上の記載との組合せに基づいて、当業者が容易に想到し得た発明であるということはできない。
エ.そして、訂正発明1は、
【5-2】1(1)(1-2)エで述べたとおりの、十分な起泡性を有しつつもコレステロール、セラミド等の細胞間脂質の溶出は抑制する、という、甲1~甲11、文献A、文献Bのいずれからも予期し得ない優れた効果をもたらすものである。
(1-3)訂正発明1についての小活
以上の検討のとおりであるから、訂正発明1は、甲2に記載された発明ではないし、また、甲2に記載された発明及び甲2の記載に基づいて、若しくは、甲2に記載された発明と甲2の記載、及び甲1、甲3~甲11、文献A、文献Bのいずれか一以上の記載との組合せに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)訂正発明2~6について
訂正発明2~6は、訂正発明1の洗浄剤組成物を直接又は間接的に引用する訂正発明1の従属発明であって、訂正発明1を更に技術的に限定してなる発明であるから、(1-1)及び(1-2)で訂正発明1について述べたのと同様の理由により、甲2に記載された発明であるとはいえないし、また、甲2に記載された発明及び甲2の記載に基づいて、若しくは、甲2に記載された発明と甲2の記載、及び甲1、甲3~甲11、文献A、文献Bのいずれか一以上の記載との組合せに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)訂正発明7について
(3-1)対比
(1)(1-1)のア~オの対比事項を踏まえつつ、訂正発明7と甲2発明とを対比するに、両者は
「 陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、
前記陰イオン性界面活性剤は、アミノ酸系陰イオン性界面活性剤を含み、
前記非イオン性界面活性剤は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10~100であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステルを含み、
前記陰イオン性界面活性剤の含有量が、洗浄剤組成物全量中2~25質量%である、
洗浄剤組成物
(ただし、
成分(A)N-アシル酸性アミノ酸又はその塩 2.5~15質量%、
成分(B)下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩 0.3~8質量%、
R1-O-(CH2CH2O)n-CH2-COOM (1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数4~22のアルキル基を示し、nは0~20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムを示す。)
成分(C)炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタイン及び炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルヒドロキシスルホベタインからなる群から選ばれる1種又は2種以上の両性界面活性剤 0.2~5質量%、並びに
成分(D)水
を含む液体洗浄剤組成物であって、前記成分(A)に対する前記成分(B)及び前記成分(C)の合計量[(B)+(C)]の割合が、質量比で、[(B)+(C)]/(A)×100=15~120であり、前記成分(A)に対する前記成分(C)の割合が、質量比で、(C)/(A)×100=5~70である液体洗浄剤組成物を除く。) 」
の点で一致するが、次の相違点9及び相違点10において、相違する。
[相違点9]
訂正発明7が、次の要件(i)、(ii)(ii-1):、
(i)「陰イオン性界面活性剤」が
「ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上」であること
(ii)(ii-1)「前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有」し、且つ
(ii-2)「前記両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有」すること
を共に満たすのに対し、
甲2発明では
・「陰イオン界面活性剤」が「N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム」及び「ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム」であり、
・陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比であり;
両性界面活性剤を陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比である;
を併せ満たす配合割合とすることの特段の規定はない
点
[相違点10]
訂正発明7が、
「下記方法により測定されるカルセイン内包リポソームからのカルセインの漏出率が30%以下」であって、当該「方法」が
「蛍光色素漏出率測定方法:蛍光色素としてカルセインを内包するとともに細胞間脂質モデルを有するリポソームと、洗浄剤組成物とを反応させ、蛍光プレートリーダーにて蛍光強度Ff(Ex/Em:494/520nm)を測定する。コントロールとして界面活性剤を含まないものについて同様に測定し、下記式によりリポソームからのカルセインの漏出率を算出する。ここで、蛍光色素としてカルセインを内包するとともに細胞間脂質モデルを有するリポソームとは、前記カルセイン内包リポソームである。
漏出率(%)=100×{(コントロール処置群のFf-Fs)-(各サンプル処置群のFf-Fs)}/(コントロール処置群のFf-Fs)」
であるのに対し、
甲2発明ではそのような規定はない
点
(3-2)判断
以下、上記相違点について検討するに、相違点9に係る要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2)は、(1)(1-1)の相違点8に係る要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2)(若しくは、【5-2】1(1)(1-1)の相違点1に係る要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2))と同じである。
そうすると、(1)(1-2)ア~ウで検討したとおり、甲2発明において、当該相違点8に係る要件(i)、ii)(ii-1)及び(ii-2)をを併せ満たす界面活性剤組成の洗浄剤組成物とすることは、当業者といえども容易に想到し得たとはいえないのであるから、相違点10について検討するまでもなく、訂正発明7もまた、(1)(1-2)ア~ウで訂正発明1について述べたのと同様の理由により、甲2発明及び甲2の記載に基づいて、若しくは、甲2発明と甲2の記載、及び甲1、甲3~甲11、文献A、文献Bのいずれか一以上の記載との組合せに基づいて、当業者が容易に想到し得た発明であるということはできない。
そして、訂正発明7は、(1)(1-2)エで述べたとおりの、特許明細書に記載された優れた効果を奏するものである。
(3-3)訂正発明7についての小活
以上(3-1)~(3-2)で述べたとおりであるから、訂正発明7は、甲2に記載された発明であるとはいえないし、また、甲2に記載された発明及び甲2の記載に基づいて、若しくは、甲2に記載された発明と甲2の記載、及び甲1、甲3~甲11、文献A、文献Bのいずれか一以上の記載との組合せに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)訂正発明8について
(4-1)対比
(1)(1-1)のア~オの対比事項、及び、次のカ、キ:
カ.甲2発明は、泡沫状エアゾール形態のものとは認められない。
キ.甲2発明は、少なくとも、次の成分(b):
「(b)式(I)で示される非イオン性界面活性剤
RCOX(I)
(式中、RCOは炭素数8~16のアシル基、Xはジエタノールアミン及び/又はN-メチルエタノールアミンから選ばれる1種類以上のアミン化合物の窒素原子に結合した水素原子を1つ除いた残基、又は二糖類の1つの水酸基から水素原子を除いた残基である。)」
を含むものではない点において、訂正発明8において除かれている
「(a)エチレンオキシドの平均付加モル数が60~100モルであるポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル
(b)式(I)で示される非イオン性界面活性剤
RCOX(I)
(式中、RCOは炭素数8~16のアシル基、Xはジエタノールアミン及び/又はN-メチルエタノールアミンから選ばれる1種類以上のアミン化合物の窒素原子に結合した水素原子を1つ除いた残基、又は二糖類の1つの水酸基から水素原子を除いた残基である。)
(c)アシル基の炭素数が8~14であるアシルアミノ酸型陰イオン性界面活性剤、及び
(d)水
を含有する液体洗浄剤組成物」
にも該当しないことは、明らかである。
を併せ踏まえつつ、訂正発明8と甲2発明とを対比するに、両者は
「 陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、
前記陰イオン性界面活性剤は、アミノ酸系陰イオン性界面活性剤を含み、
前記非イオン性界面活性剤は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10~100であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステルを含む、洗浄剤組成物
(ただし、泡沫状エアゾール組成物であるものと、
成分(A)N-アシル酸性アミノ酸又はその塩 2.5~15質量%、
成分(B)下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩 0.3~8質量%、
R1-O-(CH2CH2O)n-CH2-COOM (1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数4~22のアルキル基を示し、nは0~20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムを示す。)
成分(C)炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタイン及び炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルヒドロキシスルホベタインからなる群から選ばれる1種又は2種以上の両性界面活性剤 0.2~5質量%、並びに
成分(D)水
を含む液体洗浄剤組成物であって、前記成分(A)に対する前記成分(B)及び前記成分(C)の合計量[(B)+(C)]の割合が、質量比で、[(B)+(C)]/(A)×100=15~120であり、前記成分(A)に対する前記成分(C)の割合が、質量比で、(C)/(A)×100=5~70である液体洗浄剤組成物と、
(a)エチレンオキシドの平均付加モル数が60~100モルであるポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル
(b)式(I)で示される非イオン性界面活性剤
RCOX(I)
(式中、RCOは炭素数8~16のアシル基、Xはジエタノールアミン及び/又はN-メチルエタノールアミンから選ばれる1種類以上のアミン化合物の窒素原子に結合した水素原子を1つ除いた残基、又は二糖類の1つの水酸基から水素原子を除いた残基である。)
(c)アシル基の炭素数が8~14であるアシルアミノ酸型陰イオン性界面活性剤、及び
(d)水
を含有する液体洗浄剤組成物とを除く。) 」
の点で一致するが、次の相違点11及び相違点12において、相違する。
[相違点11]
訂正発明8が、次の要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2):
(i)「陰イオン性界面活性剤」が
「ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上」であること
(ii)(ii-1)「前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有」し、且つ
(ii-2)「前記両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有」すること
を共に満たすのに対し、
甲2発明では
・「陰イオン界面活性剤」が「N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム」及び「ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム」であり、
・陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比であり;
両性界面活性剤を陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比である;
を併せ満たす配合割合とすることの特段の規定はない
点
[相違点12]
訂正発明8が、
「前記洗浄剤組成物を皮膚に適用した際に適用部位から溶出するスクワレンの溶出量とコレステロールの溶出量との比が質量基準で2以上である、細胞間基質の溶出を抑制する」ものであるのに対し、甲2発明ではそのような規定はない点
(4-2)判断
以下、上記相違点について検討するに、相違点11に係る要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2)は、(1)(1-1)の相違点8に係る要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2)(若しくは、【5-2】1(1)(1-1)の相違点1に係る要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2))と同じである。
そうすると、(1)(1-2)ア~ウで検討したとおり、甲2発明において、当該相違点8に係る要件(i)、ii)(ii-1)及び(ii-2)をを併せ満たす界面活性剤組成の洗浄剤組成物とすることは、当業者といえども容易に想到し得たとはいえないのであるから、相違点12について検討するまでもなく、訂正発明8もまた、(1)(1-2)ア~ウで訂正発明1について述べたのと同様の理由により、甲2発明及び甲2の記載に基づいて、若しくは、甲2発明と甲2の記載、及び甲1、甲3~甲11、文献A、文献Bのいずれか一以上の記載との組合せに基づいて、当業者が容易に想到し得た発明であるということはできない。
(4-3)訂正発明8についての小活
以上(4-1)~(4-2)で述べたとおりであるから、訂正発明8は、甲2に記載された発明ではないし、また、甲2に記載された発明及び甲2の記載に基づいて、若しくは、甲2に記載された発明と甲2の記載、及び甲1、甲3~甲11、文献A、文献Bのいずれか一以上の記載との組合せに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3.特許異議申立書及び申立人意見書における申立人の主張、並びに、取消理由通知書1の取消理由について
(1) 特許異議申立書、及び取消理由通知書1における、甲2を主引例とする新規性否定及び進歩性否定に係る申立理由及び取消理由は、いずれも、訂正前の特許発明1~8において、「陰イオン性界面活性剤」の選択肢中に「ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム」が含まれており、この点において甲2発明中に含まれる「ラウロイルアスパラギン酸Na」と一致することを前提とするものである。
しかしながら、訂正後の訂正発明1~8においては、「陰イオン性界面活性剤」の選択肢中に「ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム」は含まれないこととなっている。
そして、2(1)~(4)で検討・説示したとおり、甲2発明において、
・ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム(「(B)ラウロイルアスパラギン酸Na」)に代えて、上記「(B)炭素数8~18のアシル基を有するN-アシルアスパラギン酸又はその塩」以外の任意の陰イオン界面活性剤、例えば、上記相違点8の要件(i)に係る
ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上
を用いることの動機付けを得ることはできず; ましてや、その上で、上記相違点8の要件(ii)(ii-1)及び(ii-2)に係る
陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比であり;
両性界面活性剤を陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比である;
を併せ満たす配合割合とすることについて、甲1~甲11、文献A、文献Bの記載を考慮しても、当業者が容易に想到し得たとはいえないこと;
・訂正発明1~8は、当該相違点8に係る要件(i)、(ii)(ii-1)及び(ii-2)を併せ満たす海面活性剤組成の洗浄剤組成物とすることで、特許明細書に記載された予想外の優れた効果をもたらすものであること;
から、甲2を主引例とする新規性否定及び進歩性否定に係る特許異議申立書、及び取消理由通知書1の申立理由及び取消理由は、もはやいずれも理由がないというほかはない。
(2) なお、申立人は、申立人上申書において、甲2発明において、成分(B)として炭素数8~18のアシル基を有するN-アシルアスパラギン酸(「N-アシルアスパラギン酸塩」ではなく)を用いて甲2発目英と同等の性質を具備する液体洗浄剤組成物を得ることは当業者において適宜なし得たことを主張するが、そもそも
炭素数8~18のアシル基を有するN-アシルアスパラギン酸
炭素数8~18のアシル基を有するN-アシルアスパラギン酸塩
のいずれも、訂正発明1~8の「陰イオン性界面活性剤」の選択肢中に含まれていないのだから、申立人のかかる主張は訂正請求項の記載に基づくものとはいえず、上述の2.(1)~(4)の当審の判断を何ら合理的に妨げるものではない。
4.まとめ
以上のとおり、訂正発明1~8は、いずれも甲第2号証に記載された発明ではなく、また、甲第1~11号証や文献A,Bの記載を併せ考慮しても、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
よって、訂正発明1~8に係る発明について、甲第2号証を主引例とする新規性及び進歩性に係る
・申立理由(【第4】1(1)(1.2)及び(2)(2.2))
・取消理由通知書1の取消理由1(【第4】2(1))及び取消理由2(【第4】2(2))
は、いずれも理由がない。
【5-4】訂正請求項7,8の記載要件違反に係る取消理由、申立理由について
1.訂正請求項7について
(1)取消理由通知書1の取消理由3~5について
(1-1)訂正請求項7に関する取消理由3、4,及び5の概要
【第4】2(3)(3.1)、(4)(4.1)及び(5)(5.1)に記載したとおり、訂正請求項7に関する取消理由3、4,及び5は、以下の指摘に基づくものである。
・取消理由3(実施可能要件)
仮に、請求項7に規定される「蛍光色素漏出測定方法」が特許明細書【0052】に記載される測定方法であるとしても、特許明細書の発明の詳細な説明には、請求項7に係る洗浄剤組成物のうち、実施例1~8に代表されるような請求項1の規定を満たす特定の界面活性剤組成のもの、即ち
「陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、上記陰イオン性界面活性剤と上記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、上記両性界面活性剤を上記陰イオン性界面活性剤と上記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有する洗浄剤組成物」(特許明細書【0008】)
の範囲内のもの以外の任意の成分組成のものについては、当業者が実施することができるといえる程度の明確かつ十分な記載がなされているとはいえない。
・取消理由4(サポート要件)
仮に、請求項7に規定される「蛍光色素漏出測定方法」が特許明細書【0052】に記載される測定方法であるとしても、請求項7に係る洗浄剤組成物のうち、実施例1~8に代表されるような請求項1の規定を満たす特定の界面活性剤組成のもの、即ち
「陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、上記陰イオン性界面活性剤と上記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、上記両性界面活性剤を上記陰イオン性界面活性剤と上記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有する洗浄剤組成物」(特許明細書【0008】)
の範囲内のもの以外の任意の成分組成のものは、請求項7の蛍光色素の漏出率に係る規定を満たす「選択的」な洗浄剤組成物として発明の詳細な説明に記載された範囲内のものではない。
・取消理由5(明確性要件)
請求項7の「下記方法により測定される蛍光色素内包リポソームからの蛍光色素の漏出率が30%以下である選択的」については、以下の(i)及び(ii)の点で請求項7から明確に把握し得るとはいえず、また、そのような所望の性質を具備する洗浄剤組成物の範囲を請求項7の記載から明確に把握することはできない。
(i) 「下記方法」、即ち、請求項後段の「蛍光色素漏出率測定方法:・・・漏出率(%)=・・・Ff-Fs)」により測定される「漏出率(%)」は、実際に測定する際の、次の1)や2):
1)「細胞間脂質モデルを有するリポソーム」とは、如何なる脂質成分で構成されるリポソームであるのか
2)当該「リポソーム」液と(被験対象である)洗浄剤組成物とを反応させる際の、両者の混合割合、及び反応される時間
といった条件が変わればそれに応じて変わり得るものと推測されるところ、請求項7中ではそれら1)及び2)の条件が明確に規定されておらず、当該「蛍光色素漏出率測定方法」が上記1)及び2)の条件を含めて当業者にとり技術常識として知られていたものとも認められないから、当該「蛍光色素漏出率測定方法」を以ては、(被験対象である)洗浄剤組成物が「蛍光色素内包リポソームからの蛍光色素の漏出率が30%以下である」ものであるのか否か、が明確に定まるものとは理解できない。また、「漏出率(%)」を求める式中の「Fs]が如何なる値を意味するのか、「Ff」との異同等の関係も含め、請求項中で明確にされていない。
(ii) 「選択的」なる性質については、そもそも何が如何なる指標に基づき如何なる程度に「選択」されることを意味しているのか、請求項の規定から明確に把握することはできないし、「的」なる規定は、請求項7中の「選択」が意味する範囲の把握をより困難にしている。
[※当審注: 以下、上記「取消理由5(明確性違反)」中の(i)、(ii)を「指摘(i)」、「指摘(ii)」ということがある。]
(1-2)訂正請求項7に係る訂正事項、及びそれに伴う特許権者の対応
ア.【第2】~【第3】のとおり、訂正前の特許請求項7:
「 陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、
前記陰イオン性界面活性剤は、アミノ酸系陰イオン性界面活性剤を含み、
前記非イオン性界面活性剤は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10~100であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステルを含み、
前記両性界面活性剤は、ベタイン系両性界面活性剤を含み、
前記陰イオン性界面活性剤の含有量が、洗浄剤組成物全量中2~25質量%であり、
下記方法により測定される蛍光色素内包リポソームからの蛍光色素の漏出率が30%以下である選択的洗浄剤組成物
(ただし、 ・・・を除く。)。
蛍光色素漏出率測定方法:蛍光色素としてカルセインを内包するとともに細胞間脂質モデルを有するリポソームと、洗浄剤組成物とを反応させ、蛍光プレートリーダーにて蛍光強度Ff(Ex/Em:494/520nm)を測定する。コントロールとして界面活性剤を含まないものについて同様に測定し、下記式によりリポソームからのカルセインの漏出率を算出する。
漏出率(%)=100×{(コントロール処置群のFf-Fs)-(各サンプル処置群のFf-Fs)}/(コントロール処置群のFf-Fs) 」
は、訂正請求により、次の訂正請求項7:
「 陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、
前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、前記両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有し、
前記陰イオン性界面活性剤は、アミノ酸系陰イオン性界面活性剤を含み、
前記陰イオン性界面活性剤が、ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上であり、
前記非イオン性界面活性剤は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10~100であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステルを含み、
前記両性界面活性剤は、ベタイン系両性界面活性剤を含み、
前記陰イオン性界面活性剤の含有量が、洗浄剤組成物全量中2~25質量%であり、
下記方法により測定されるカルセイン内包リポソームからのカルセインの漏出率が30%以下である選択的洗浄剤組成物
(ただし、 ・・・を除く。)。
蛍光色素漏出率測定方法:蛍光色素としてカルセインを内包するとともに細胞間脂質モデルを有するリポソームと、洗浄剤組成物とを反応させ、蛍光プレートリーダーにて蛍光強度Ff(Ex/Em:494/520nm)を測定する。コントロールとして界面活性剤を含まないものについて同様に測定し、下記式によりリポソームからのカルセインの漏出率を算出する。ここで、蛍光色素としてカルセインを内包するとともに細胞間脂質モデルを有するリポソームとは、前記カルセイン内包リポソームである。
漏出率(%)=100×{(コントロール処置群のFf-Fs)-(各サンプル処置群のFf-Fs)}/(コントロール処置群のFf-Fs) 」
のとおりに訂正された。
イ.(ア) また、かかる訂正に伴い、特許権者は特許権者意見書において、次の乙第1号証及び乙第2号証を提出し、(1)の取消理由がない旨反論している。
[特許権者が特許権者意見書に添付して提出した乙号証]
・乙第1号証: 正木仁監修「機能性化粧品素材開発のための実験プロトコール集」 (2010年6月30日 第1刷発行) (株)シーエムシー出版 10~11頁
・乙第2号証:新村出編「広辞苑 第六版」 (2008年1月11日 第六版第一刷発行) (株)岩波書店 1602頁、1914頁
[※当審注: 以下、「乙第1号証」、「乙第2号証」を「乙1」、「乙2」等と略記することがある。]
(イ)乙号証の記載事項
下線は当審による。また、丸数字の部分は「(丸数字n)」のように記す。
・乙1
・乙1-1)10頁標題、「1 試験の原理」
「 試験1.1.4 リポソームからの蛍光物質漏出を指標とした
ラメラ構造安定性評価
井筒ゆき子■
■1 試験の原理 ■
セラミド、コレステロール、脂肪酸、コレステロールサルフェートから構成される細胞間脂質ラメラ液晶構造1)は、角層のバリア機能を発揮し、皮膚の水分保持に重要な役割を果たしていることはよく知られている。そのため、細胞間脂質からなるラメラ構造の安定化は、バリア機能の改善による皮膚保湿作用を示すことが期待される。本稿では、細胞間脂質成分で作成したリポソーム膜に蛍光物質であるカルセインを内包させ、その漏出率によりラメラ構造の安定性を定量的に評価する方法について述べる。一般的に蛍光性物質は、高濃度の状態では自己消光して蛍光を発せず、漏出後に希釈されることによって蛍光性を示すことを利用した方法である。 」
・乙1-2)10頁「2 試薬調製」
「 ■2 試薬調製 ■
(丸数字1) 63mMカルセイン(CL)溶液:392mgのカルセイン(CL)を5mLの精製水に分散させ、10MのNaOHを滴下しpH7.5に調整する。これに精製水を加え、総量10mLにする。
(丸数字2) 細胞間脂質構成脂質混合物薄膜:222mgのノンヒドロキシセラミド、38.9mgのパルミチン酸、38.9mgのコレステロールを秤量し(全100mg)、5mLのクロロホルム:メタノール混液(2:1(v/v))に溶解する。これを1mL採取し、試験管に移す。溶媒を減圧下にて流去し薄膜を調製する。さらに真空ポンプにて減圧下1時間放置し、溶媒を完全に流去する。
(丸数字3) トリス塩酸緩衝液:10mMNaCl含有10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)を調製する。
(丸数字4) カルセイン〔アルカリ土類金属用〕:ナカライテスク(株)(京都、日本)
(丸数字5) Non- hydroxy fatty acid ceramide from bovine brain:シグマ(セントルイス、アメリカ)
(丸数字6) パルミチン酸:シグマ(セントルイス、アメリカ)
(丸数字7) コレステロール:シグマ(セントルイス、アメリカ)
(丸数字8) クロロホルム:国産科学(株)(東京、日本)
(丸数字9) メタノール:国産科学(株)(東京、日本)
(丸数字10) Triton X-100, reduced:シグマ(セントルイス、アメリカ)
(丸数字11) Sephadex G-50 Fine:GEヘルスケア(バッキンガムシャー、イギリス)
・乙1-3)11頁「3 試験操作」
「 ■3 試験操作 ■
3.1 CL内包リポソーム液の調製と精製
(丸数字1) 脂質混合物薄膜を作製した試験管に、2mLのCL水溶液(pH7.5)を添加する。
(丸数字2) 80℃に加熱しながら、ボルテックスミキサーにて薄膜を試験管表面から剥離させる。
(丸数字3) 80℃の加熱条件下にて、プローブタイプの超音波処理器を用い、超音波を20分間処理する。
(丸数字4) 暗所で、室温まで冷却する。
(丸数字5) トリス塩酸緩衝液(pH7.5)にて馴化させたSephadex G-50 Fineゲルカラム(1cm径)でろ過し、CL内包リポソーム画分を精製する。
3.2 Triton X-100による細胞間脂質リポソームからのCL漏出評価
(丸数字1) 蛍光マイクロプレートリーダー用の96穴プレートに下記を混合する。
CL内包リポソーム液 150μL
試験試料 20μL
(丸数字2) 室温にて5分間静置する。
(丸数字3) トリス塩酸緩衝液(pH7.5)にて10-4~10-1%のTriton X-100溶液を調製し、20μLずつ添加する。
(丸数字4) 蛍光プレートリーダーにて、蛍光強度Fs(Ex/Em:494/520nm)を測定する。
(丸数字5) 10%のTriton X-100を10μLずつ添加し、完全にCLを漏出させる。
(丸数字6) 蛍光プレートリーダーにて、蛍光強度Ff(Ex/Em:494/520nm)を測定する。
(丸数字7) CL漏出率を、次の式から求める。
CL漏出率(%)=Fs/Ff×100 」
・乙1-4)「文献」
「 ■文 献
1) Werts P.W., Downing D.T., “Physiology, Biochemistry, and Molecular Biology of the Skin, 2nd ed.”ed. by L.A., Goldsmith, Oxford University Press, pp.205-235 (1991) 」
・乙2
・乙2-1)1602頁第1段「せん-たく【選択】」の項
「 せん-たく【選択】(丸数字1)えらぶこと。適当なものをえらびだすこと。良いものをとり、悪いものをすてること。「好きなものを-する」「取捨-」 ・・・」
・乙2-2)1914頁第1段「てき【的】」の項
「 てき【的】(丸数字1)(中国語の「的」(助詞「の」にあたる)をそのまま音読した語)名詞や句に添えて、その性質を帯びる、その状態をなす意を表す。・・・」
(1-3)訂正請求項7に係る取消理由5、並びに3、4の各当否に関する当審の判断
以下、事案に鑑み、アで取消理由5について、次いでイで取消理由3、4について判断を示す。
ア.取消理由5について
(ア)指摘(i)について
a.(1-2)アで再掲したとおり、上述の指摘(i)の1)、2)に関する、特許請求項7後段の次の部分:
「 下記方法により測定される蛍光色素内包リポソームからの蛍光色素の漏出率が30%以下である選択的洗浄剤組成物
(ただし、 ・・・を除く。)。
蛍光色素漏出率測定方法:蛍光色素としてカルセインを内包するとともに細胞間脂質モデルを有するリポソームと、洗浄剤組成物とを反応させ、蛍光プレートリーダーにて蛍光強度Ff(Ex/Em:494/520nm)を測定する。コントロールとして界面活性剤を含まないものについて同様に測定し、下記式によりリポソームからのカルセインの漏出率を算出する。
漏出率(%)=100×{(コントロール処置群のFf-Fs)-(各サンプル処置群のFf-Fs)}/(コントロール処置群のFf-Fs) 」
は、
「 下記方法により測定されるカルセイン内包リポソームからのカルセインの漏出率が30%以下である選択的洗浄剤組成物
(ただし、 ・・・を除く。)。
蛍光色素漏出率測定方法:蛍光色素としてカルセインを内包するとともに細胞間脂質モデルを有するリポソームと、洗浄剤組成物とを反応させ、蛍光プレートリーダーにて蛍光強度Ff(Ex/Em:494/520nm)を測定する。コントロールとして界面活性剤を含まないものについて同様に測定し、下記式によりリポソームからのカルセインの漏出率を算出する。ここで、蛍光色素としてカルセインを内包するとともに細胞間脂質モデルを有するリポソームとは、前記カルセイン内包リポソームである。
漏出率(%)=100×{(コントロール処置群のFf-Fs)-(各サンプル処置群のFf-Fs)}/(コントロール処置群のFf-Fs)」
のとおりに訂正され、かかる訂正により、訂正前の「蛍光色素内包リポソーム」における「蛍光色素」が「カルセイン」(「CL」)に特定されると共に、当該「カルセイン」の漏出率の測定対象である「リポソーム」が当該「カルセイン内包リポソーム」であることが明らかとはなったものの、上述の指摘(i)の1)や2)の条件等が当該訂正請求項7中で明記されたわけではない。
b.(a) しかしながら、特許明細書中の【0052】には、訂正請求項7の「蛍光色素漏出率測定方法」に相当する方法であって、実施例1~8の各組成物によるCL漏出率の測定の際に用いたとされる(特許明細書【0061】)「試験例2」の測定方法として、次のような記載がある(下線は当審による)。
「 【0052】
(試験例2:疑似細胞間脂質モデルを用いたCL漏出率評価)
392mgのカルセインを5mLの精製水に分散し、5MNaOHを使ってpH7.5に調製した後、精製水を加えて総量10mLとし、63mMカルセイン(CL)溶液を調製した。これとは別に、22mgのセラミド(花王社製)、39mgのパルミチン酸(和光純薬社製)、39mgのコレステロール(和光純薬社製)を秤量後、これらを合わせて5mLのクロロホルム/メタノール=2/1(v/v)で溶解した。得られた溶液の2mLをナスフラスコに採取し、溶媒を減圧下にて除去し、薄膜を調製した。さらに、真空ポンプにて減圧下、1時間放置し、溶媒を完全に除去して細胞間脂質構成脂質混合物の薄膜を調製した。薄膜を調製したナスフラスコに2mLのCL溶液を添加後、80℃に加熱しながら、ボルテックスミキサーを用いて薄膜を剥離させた。続いて、80℃の加熱条件下にて、プローブタイプの超音波処理器を用い、CL溶液と薄膜の混合液を20分間超音波処理した後、暗所で室温まで冷却させた。混合液をトリス塩酸緩衝液(pH7.5)で馴化させたSephadex G-50 Fineゲルカラム(GEヘルスケア・ジャパン社製)でろ過することにより、CL内包リポソーム画分を得た。CL内包リポソーム画分を含む液を96ウェルマイクロタイタープレート(コーニング)の1ウェルあたりに対し150μLを入れ、表1に示す単独若しくは混合した界面活性剤又はコントロールとしてのトリス塩酸緩衝液(pH7.5)を20μL添加後、室温にて5分間静置し、蛍光プレートリーダーにて蛍光強度Fs(Ex/Em:494/520nm)を測定した。その後、10% Triton X-100を20μLずつ添加し、室温にて5分間静置後、蛍光プレートリーダーにて蛍光強度Ff(Ex/Em:494/520nm)を測定した。下記式を用いてCL漏出率を算出した。低刺激となる界面活性剤の組合せを検討した。
CL漏出率(%)=100×{(コントロール処置群のFf-Fs)-(各サンプル処置群のFf-Fs)}/(コントロール処置群のFf-Fs) 」
(b) 他方、乙1は、本件特許出願時において当該分野において当業者に広く知られていた専門書と認められる、「正木仁監修「機能性化粧品素材開発のための実験プロトコール集」(2010年6月30日 第1刷発行)(株)シーエムシー出版」中の一部(10~11頁)であるところ、当該乙1には、「CL内包リポソーム」(乙1-3■3の3.1)が、細胞間脂質で構成されバリア機の改善による皮膚保湿作用を示すことが期待される「ラメラ液晶構造」(乙1-1)のモデルであって、界面活性剤(乙1では「10-4~10-1%のTriton X-100溶液」(乙1-3■3の3.2(丸数字3))が例示されている)による当該リポソームからの内包CLの漏出率を測定することで、当該界面活性剤に対する上記ラメラ液晶構造の安定性を定量的に評価し得ることが記載されているものと認められる(乙1-1~乙1-4)。
(c) そして、これら特許明細書【0052】の記載と乙1の記載とを対比するに、特許明細書【0052】中で採用されている細胞間脂質構成脂質混合物の薄膜で構成されるCL(カルセイン)内包リポソームにおける指摘(i)1)や2)に関連する次の諸条件等:
・「CL内包リポソーム」を構成する「細胞間脂質構成脂質混合物の薄膜」に含まれる「細胞間脂質」及びその組成(「22mgのセラミド」、「39mgのパルミチン酸」、「39mgのコレステロール」)、並びに、当該リポソームに内包されるCL溶液中のCL濃度(「63mM」);
・測定時の、1ウェル当たりの「CL内包リポソーム」液と、測定対象(界面活性剤組成物)又はコントロール(「トリス塩酸緩衝液(pH7.5)」)との混合割合(前者「150μL」に対し、後者「20μL」)や、混合後のインキュベート条件(「室温で5分間静置」);
・「蛍光プレートリーダーにて」得られた蛍光強度Fs(「蛍光強度Fs(Ex/Em:494/520nm)」)、及び、その後「10% Triton X-100を20μLずつ添加し、室温にて5分間静置後、蛍光プレートリーダーにて蛍光強度Ff(Ex/Em:494/520nm)を測定し」て得られるFfを漏出率の算出に用いること;
は、乙1中の
・「CL内包リポソーム」を構成する「細胞間脂質構成脂質混合物薄膜」の細胞間脂質組成(「222mgのノンヒドロキシセラミド、38.9mgのパルミチン酸、38.9mgのコレステロール」(乙1-2■2(丸数字2))、並びに、当該リポソームに内包されるCL溶液中のCL濃度(「63mM」(乙1-2■2(丸数字1)));
・測定時の、1ウェル当たりの「CL内包リポソーム」液と、測定対象(界面活性剤組成物)又はコントロール(「トリス塩酸緩衝液(pH7.5)」)との混合割合(前者「150μL」に対し、後者「20μL」)(乙1-3■3の3.2(丸数字1))や、混合後のインキュベート条件(「室温にて5分間静置」)(乙1-3■3の3.2(丸数字));
・「蛍光プレートリーダーにて」得られた蛍光強度Fs(「蛍光強度Fs(Ex/Em:494/520nm)」、及び、その後「10%のTriton X-100を10μLずつ添加し、完全にCLを漏出させ」て「蛍光プレートリーダーにて、蛍光強度Ff(Ex/Em:494/520nm)を測定」して得られるFfを漏出率の算出に用いること(乙1-3■3の3.2(丸数字4)~(丸数字7));
等の記載事項と、ほぼ同等である。
(d) 即ち、訂正請求項7に規定されるような「蛍光色素漏出率測定方法」において、指摘(i)1)及び2)に係る「蛍光色素としてカルセインを内包するとともに細胞間脂質モデルを有するリポソーム」の製造条件や、当該「リポソーム」を用いた測定時の諸条件等は、当該方法に基づき得られる蛍光強度値Fs、Ffの意味を含め、乙1に示されるように、本件特許出願時には技術常識として当業者が把握し得た範囲内の事項であるということができる。いいかえれば、訂正請求項7に規定される「蛍光色素漏出率測定方法」として、特許明細書【0052】に記載された諸条件等の事項を採用することは、乙1の記載を踏まえれば、本件特許出願時の技術常識として当業者にとり知られていた範囲内の事項であったものとみられる。
(e) そうすると、上の指摘(i)の1)や2)等の点が訂正請求項7中で具体的に規定されていなくとも、訂正請求項7の「蛍光色素漏出率測定方法」における「細胞間脂質モデルを有するリポソーム」の脂質成分組成や当該「リポソーム」液と(被験対象である)界面活性剤含有洗浄剤組成物/コントロールとを反応させる際の諸条件等として、特許明細書【0052】で示されている事項が採用され得ることは、乙1の記載を併せ踏まえれば、当業者が把握し得た範囲内の事項であるということができる。また、そうであれば、当該「蛍光色素漏出率測定方法」により測定される「カルセイン内包リポソームからのカルセインの漏出散るが30%以下である」ものも、明確に定まると理解し得るといえる。
c.以上述べたとおりであるから、上の指摘(i)の1)や2)等が訂正請求項7中で具体的に規定されていなくとも、そのことを以て、訂正請求項7の「蛍光色素漏出率測定方法」及び当該方法により測定される「カルセイン内包リポソームからのカルセインの漏出率が30%以下」が当業者にとり明確に把握し得ない、ということはできない、
(イ)指摘(ii)について
(ア)で述べたとおり、訂正請求項7の「下記方法により測定されるカルセイン内包リポソームからのカルセインの漏出率が30%以下」における「下記方法」、即ち「蛍光色素漏出率測定方法」における「漏出率(%)」の測定条件は、訂正請求項7の記載から当業者であれば明確に把握し得るということができ、当該方法により測定される「・・・カルセイン内包リポソームからのカルセインの漏出率が30%以下」の範囲も、当業者にとり明確に把握し得る事項といえる。
そして、当該訂正請求項7の「選択的洗浄剤組成物」における「選択的」の意味するところについては、
・「下記方法により測定されるカルセイン内包リポソームからのカルセインの漏出率が30%以下である」ことの限定が、その直前に付されていること;
・一般に、「選択」とは「えらぶこと。適当なものをえらびだすこと。」(乙2-1)を意味し、「的」とは「その性質を帯びる、その状態をなす意」(乙2-2)を表すと解されること;
を併せ踏まえれば、ここでいう「選択的」とは、その直前の「下記方法により測定されるカルセイン内包リポソームからのカルセインの漏出率が30%以下である」ということを意味する、と解するのが相当である。
(ウ) 以上(ア)~(イ)で述べたとおり、訂正請求項7において、上記(1)(1-1)の指摘(i)及び(ii)に係る不備はもはや存在しないから、訂正請求項7について、取消理由通知書1の取消理由5は、理由がない。
イ.取消理由3、4について
ア(ア)での検討のとおり、訂正請求項7の「蛍光色素漏出率測定方法」における「細胞間脂質モデルを有するリポソーム」の脂質成分組成や当該「リポソーム」液と(被験対象である)洗浄剤組成物とを反応させる際の諸条件等として、特許明細書【0052】で具体的に示されている事項が採用され得ることは、乙1の記載を併せ踏まえれば本件特許出願時の技術常識として当業者が把握し得た範囲内の事項であるということができ、また、当該「蛍光色素漏出率測定方法」により測定される「カルセイン内包リポソームからのカルセインの漏出率が30%以下である」ものも、明確に定まると理解し得る。
そして、(1-2)アで再掲したとおり、訂正後の訂正請求項7は、
・「陰イオン性界面活性剤」の選択肢が、訂正前の特許請求項1の選択肢よりさらに限定された、訂正請求項1と同様の
「ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上」(訂正前の請求項1の「ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム」が選択肢から除外された)、
となっている); と共に、
・「陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、上記陰イオン性界面活性剤と上記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、上記両性界面活性剤を上記陰イオン性界面活性剤と上記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有する洗浄剤組成物」(特許明細書【0008】)
の要件を満たすものであることの限定が、併せてなされた;
ものと認められる。
してみると、訂正請求項7において、(1-1)の取消理由3、4の記載不備に係る指摘事項は、もはやいずれも存在しないというほかはないから、訂正請求項7について、取消理由通知書1の取消理由3、4は、いずれも理由がない。
(2)特許異議申立書の申立理由について
ア.特許異議申立書における、特許発明7に対する申立理由3の概要は、
特許請求項7の「蛍光色素漏出率測定方法」において、「蛍光色素としてカルセインを内包するとともに細胞間脂質モデルを有するリポソーム」におけるカルセインの濃度及び量や、いかなるリポソームが「細胞間脂質モデルを有する」ものに該当するのかが不明であることから、蛍光色素漏出率の測定に必須であるリポソームの定義が不明確であって、蛍光色素漏出率の定義が明確でなく、その結果、「蛍光色素内包リポソームからの蛍光色素の漏出率が30%以下である」ものとそうでないものとをどのように区別し、請求項7の範囲を決定すべきであるのかが明らかでない;
との指摘に基づくものである。
イ.しかしながら、(1)(1-3)ア(ア)bで述べたとおり、訂正請求項7に規定されるような「蛍光色素漏出率測定方法」において、指摘(i)1)及び2)に係る「蛍光色素としてカルセインを内包するとともに細胞間脂質モデルを有するリポソーム」の製造条件や、当該「リポソーム」を用いた測定時の諸条件等は、得られる蛍光強度値Fs、Ffをの意味を含め、乙1に示されるように、本件特許出願時の技術常識として当業者が把握し得る範囲内の事項であるということができる。(いいかえれば、訂正請求項7に規定される「蛍光色素漏出率測定方法」として、特許明細書【0052】に記載された諸条件等の事項を採用することは、乙1の記載を踏まえれば、本件特許出願時の技術常識として当業者にとり知られていた範囲内の事項であったものとみられる。)そして、そうであれば、上の指摘(i)の1)や2)等の点が訂正請求項7中で具体的に規定されていなくとも、訂正請求項7の「蛍光色素漏出率測定方法」における「細胞間脂質モデルを有するリポソーム」の脂質成分組成や当該「リポソーム」液と(被験対象である)洗浄剤組成物/コントロールとを反応させる際の諸条件等として、特許明細書【0052】で示されている事項が採用され得ることは、乙1の記載を併せ踏まえれば、当業者が把握し得た範囲内の事項であるということができるし、当該「蛍光色素漏出率測定方法」により測定される「カルセイン内包リポソームからのカルセインの漏出率が30%以下である」ものも、明確に定まると理解し得る。
よって、申立人による上記アの主張は当を得たものとはいえず、採用できない。
(3)申立人意見書の主張について
ア.また、申立人は、申立人意見書において、概要次のi)~viii)の点を述べ、これらに基づいて訂正発明7について取消理由通知書1の取消理由3~5が依然として存在することを主張している。
i) 訂正発明7の「蛍光色素漏出率測定方法」において、カルセインの溶出が細胞間脂質の溶出と相関するとのデータは特許明細書中に示されていないし、かかる相関をうかがわせるような記載もない。
ii) 特許明細書には、訂正発明7の「蛍光色素漏出率測定方法」が乙1に記載された実験方法であるとの記載はなく、同「蛍光色素漏出率測定方法」が乙1に記載の実験方法であるとの技術常識が本件特許出願時にあったわけでもない。
iii) 「蛍光色素漏出率測定方法」におけるカルセインほか試薬の濃度が不明であり、洗浄剤組成物との反応時間も規定されていない。
iv) 訂正発明7における「コントロールとして界面活性剤を含まないもの」とは具体的に如何なるものを示しているのか不明である。
v) 乙1の「プローブタイプの超音波処理器」とはどのような機械であるか不明瞭である。また、超音波処理機(ホモジナイザー)であるとすると、どの程度の周波数や出力で設定するのかが記載されていない。
vi) 特許明細書の試験例2【0052】には、カルセイン内包リポソームを「ゲルカラムでろ過することにより」精製するとされているが、カラムの流速、処理に必要なポリマーの量ないしカラムの高さ、処理時間等の記載がなく、精製の成否を判断する指標もない。
vii) 特許明細書の試験例2【0052】で使用されているセラミドは「セラミド(花王社製)」であるが、乙1で使用されているのは「Non- hydroxy fatty acid ceramide from bovine brain:シグマ」であるから、両者は実験方法が異なり別法である。
viii) 特許明細書には、組成物が着色剤を含んでもよいことの記載があるが(【0045】)、組成物が着色剤を含む場合、化粧品等に配合可能な色素のうち多くの色素で吸収波長がCL漏出率測定に指定する494nm付近に存在する(甲9)から、これらを含む組成物はCLの吸収帯と競合してしまい、CL漏出率の正しい算出はできない。
イ.しかしながら、訂正請求項7において、もはや(1)(1-1)の取消理由3~5の記載不備に係る指摘のいずれもあたらないことは、(1)(1-3)で説示したとおりである。また、以下の(ア)~(エ)で述べるとおり、上記アi)~viii)の指摘はいずれも失当である。
(ア)アi)に関して:
(1)(1-3)ア(ア)b(b)~(d)等で述べたとおり、訂正発明7の「蛍光色素漏出率測定方法」において用いられる「CL内包リポソーム」は、乙1に示されているような、細胞間脂質で構成されバリア機の改善による皮膚保湿作用を示すことが期待される「ラメラ液晶構造」のモデルと同等のものであって、界面活性剤による当該リポソームからの内包CLの漏出率を測定することで、当該界面活性剤に対する上記ラメラ液晶構造の安定性を定量的に評価し得るものである(乙1-1)のだから、当該細胞間脂質で構成されるCL内包リポソームからのCLの漏出率(の高低)が上記ラメラ液晶構造からの細胞間脂質の溶出率(の高低)と相関することは、当業者であれば理解し得る範囲の事項である。
(イ)アii)~iv)に関して:
(1)(1-3)(a)~(d)等で述べたとおり、訂正発明7の「蛍光色素漏出率測定方法」として特許明細書【0052】に記載されているCL漏出率の測定方法を採用することは、乙1の記載を踏まえれば当業者であれば本件特許出願時の技術常識として把握し得たことであるといえるし、その際用いられる「CL内包リポソーム」における内包CLの濃度や、測定対象である界面活性剤組成物及びその「コントロール」(対照)の各蛍光強度値(Ex/Em:494/520nm)の測定時の諸条件等もまた、それら特許明細書【0052】や乙1の記載から当業者が理解しかつ採用し得た範囲の事項である。
(ウ)アv)~vii)に関して:
例えばリポソームの調製に際し、乙1で採用されている「プローブタイプの超音波処理器」(乙1-3■3の3.1(丸数字2))に相当するものと認められる機器を用いることは、当業者にとり本件特許出願前周知の事項であったと認められる(要すれば、例えば次の文献Cや文献D:
文献C.膜(MEMBRANE),(1996) 21(5) P.326-333
(328頁左欄2.2.1中の「プローブ型超音波照射器(BRANSON社製)」)
文献D.耳鼻,(1987) 33 P.352-365
(355頁右欄10行「プローブ型ソニゲーター」)
を参照のこと)。また、訂正請求項7の「CL内包リポソーム」の製造に際し、そのような「超音波処理器」を使用することも、その際の適切な使用条件や、細胞間脂質成分として用いるセラミド製品、得られるリポソームの単離・回収の際に用いる「ゲルカラム」(乙1-3■3の3.1(丸数字5))の種類や使用時の条件等と共に、当業者が適宜検討し採用し得る範囲の事項である。
(エ)アviii)に関して
訂正請求項7に係る洗浄剤組成物では、「着色剤」(特許明細書【0045】)として申立人が摘示する甲9中の「吸収波長がCL漏出率測定に指定する494nm付近に存在する」色素を含むこと要件とされているわけではないから、アviii)の点はそもそも訂正請求項7の記載に基づくものではない。また、そのような「吸収波長がCL漏出率測定に指定する494nm付近に存在する」色素を含む態様の洗浄剤組成物であっても、必要に応じ当該色素によるバックグラウンド蛍光強度を適切に補正する等した上でCL漏出率を得ることもまた、当業者であれば格別な試行錯誤を要することなくなし得た範囲の事項である。
よって、上記アi)~viii)を含む申立人意見書の主張もまた、採用できない。
(4)小括
以上のとおりであるから、訂正発明7について、記載要件に係る
・取消理由通知書1の取消理由3~5
(【第4】2(3)(3.1)、(4)(4.1)、(5)(5.1))、
・申立理由3
(【第4】1(3)(3.1))、
は、いずれも理由がない。
2 訂正請求項8について
(1)取消理由通知書2について
以下、取消理由通知書2に記載した、当審の取消理由3~5についての指摘部分を、次の『 』内に抜粋して再掲する。
『 【第4】合議体の判断
【4-1】訂正発明8に対する取消理由
・取消理由3(実施可能要件違反)
訂正発明8については、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、訂正発明8に係る特許は特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
・取消理由4(サポート要件違反)
訂正発明8は、請求項の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、訂正発明8に係る特許は特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
・取消理由5(明確性違反)
訂正発明8は、請求項の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、訂正発明8に係る特許は特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
【4-2】取消理由3~5についての当審の判断
1.訂正発明8に関する明確性違反(取消理由5)、及び実施可能要件違反(取消理由3)について
(1)ア.明確性要件について
訂正発明8に係る洗浄剤組成物は、
「前記洗浄剤組成物を皮膚に適用した際に適用部位から溶出するスクワレンの溶出量とコレステロールの溶出量との比が質量基準で2以上である」
という、皮膚適用部位からのスクワレン溶出量/コレステロールの溶出量の比(以下、「スクワレン/コレステロール溶出比」又は単に「溶出比」等ということがある)についての要件を満たすものであるところ、訂正発明8においては、かかる溶出比の測定条件について特段の規定は認められない。
一方、特許明細書中で、そのような要件を満たす洗浄剤組成物の例として具体的に記載されているのは、試験例3(【0056】~【0060】)において示されている特定組成の「試験例3-2」の組成物(【0057】【表2】~【0058】、図1)においてのみであるところ(当該「試験例3-2」の組成物については後の2.であらためて検討する)、当該「試験例3-2」の組成物についてさえ、「ヒト前腕部(n=8、20代~30代男性の前腕内側)に口径20mmのカップを固定し、5mLの10質量%洗浄剤組成物をカップに入れてキャップし」て「カップを振とう速度:160rpm/minにて5分間振とうさせ」る(【0056】)という、特定の測定条件下で得られた結果が示されているに過ぎない。
そして、訂正発明8に規定される、皮膚に適用した際に適用部位から溶出するスクワレン/コレステロール溶出比は、同じ成分組成の組成物を測定に供した場合であっても、例えば
・被験者における皮膚の状態(例えば、一般に老人と言われるようなより高齢の被験者では、【0056】で採用されているような「30代男性」に比して、元々皮膚におけるコレステロール等の細胞間脂質等の保有割合はより少ないし、また、被験者が乾燥肌であるか否かによっても、元々皮膚における細胞間脂質の保有割合は異なると考えられる);
・適用皮膚の単位面積当たりの洗浄剤組成物の適用量;
・適用時の振とう等の物理的処理の有無、及び(有る場合には)その強度や処理時間;
等といった測定時の条件により必ずしも一様でないと考えられることから、例えば上記「試験例3-2」と同一組成の組成物を用いた場合であっても、上記【0056】の測定時の条件と異なる処理条件を用いれば(例えば、被験者として老人や乾燥肌の者を採用したり、適用する洗浄剤を5mLより多く又は少なくしたり、振とう処理を施さなかったり、処理時間を5分間より長く又は短くしたりすれば)、必ずしも図1で示されるのと同様の、「試験例3-2」の組成物が同要件を満たす結果が得られる、とは、およそ合理的に推測できない。
また、訂正発明8に規定される溶出比の測定条件として、上記【0056】で採用されているのと全く同様の測定条件を採用することが、訂正発明8中で具体的に規定されるまでもなく本件特許出願時当業者において技術常識であった、といったような特段の技術常識が存在していたことが確認できるわけでもない。
そうすると、本件特許出願時の技術常識を踏まえても、訂正発明8に規定される溶出比は、同一組成の組成物についてさえ、測定時の条件の差異によって異なり、場合によっては必ずしも「(質量基準で)2以上」とならない場合があり得るものと解される。
よって、訂正発明8における、「皮膚に適用した際に適用部位から溶出するスクワレンの溶出量とコレステロールの溶出量との比が質量基準で2以上である」との要件を満たす洗浄剤組成物の範囲は、当該溶出比の測定時の採用条件により多義的に解され得るものであるといわざるを得ず、この点において、訂正後の請求項8の記載は明確ではない。
イ.実施可能要件について
また、ア.で述べた検討事項を踏まえれば、訂正後の請求項8に係る「皮膚に適用した際に適用部位から溶出するスクワレンの溶出量とコレステロールの溶出量との比が質量基準で2以上である」との要件を満たす洗浄剤組成物のうち、特許明細書【0056】で具体的に採用されている諸条件の組合せ以外の任意の測定条件を適用する場合については、そのような溶出比をどのように特定して得ることができるのかについて、特許明細書中で当業者が合理的に理解し得るといえる程度の明確かつ十分な開示がなされているとはいえない。
したがって、特許明細書の発明の詳細な説明には、訂正後の請求項8に規定される溶出比の要件を満たす任意の洗浄剤組成物について当業者が実施することができるといえる程度の明確かつ十分な記載がなされているとはいえない。
(2) なお、訂正発明8において、次の2.の取消理由は、上述の(1)ア.及びイ.の取消理由の有無にかかわらず、存在する。
2.訂正発明8におけるサポート要件違反(取消理由4)について
(1) 特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件(サポート要件)に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らして当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
(2)ア.(ア) そこで、上の(1)の観点を踏まえつつ検討するに、特許明細書中には、訂正発明前の技術背景、同技術背景を踏まえた技術課題、同技術課題を解決する技術手段等について、次の(i)、(ii)の記載がある。(下線は当審による。)
(i) 「 【0004】
乾燥肌を有する人がその症状を悪化させないためには、角質の水分を維持する保湿剤等を用いて保湿を行うほか、洗浄時に角質中のコレステロール、セラミド等の細胞間脂質を更に減少させないことも必要である。・・・現在、市場には乾燥肌向けの洗顔料、ボディウォッシュ等の洗浄剤が数多くある。
【0005】
しかしながら、乾燥肌の症状には個人差があり、特に慢性的に乾燥肌の症状を有する人にとって満足できる洗浄剤は未だ市場に十分にあるとはいえない。慢性的乾燥肌にとって理想的な洗浄剤とは、皮膚に不必要な皮脂汚れ成分を除去しながらも、角質層のバリア機能にとって必要な細胞間脂質成分(コレステロール、セラミド等)を保持することができる、選択洗浄性を有するものであると考えられる。これまでにも選択洗浄性を有する洗浄剤はいくつか提案されている(例えば特許文献1~4等)。しかしながら、実用化された製品上で選択洗浄効果を謳う洗浄剤は少なく、その選択洗浄効果は満足できるものではない。
【0006】
本発明は、皮膚に不必要な皮脂汚れを効率的に除去し、かつ角質のバリア機能にとって必要な細胞間脂質の溶出を抑制することができる選択洗浄性を有する洗浄剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、陰イオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤を組み合わせて使用し、かつこれらの界面活性剤を特定の比率で配合することによって、高い選択洗浄性を有する洗浄剤が得られることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、上記陰イオン性界面活性剤と上記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、上記両性界面活性剤を上記陰イオン性界面活性剤と上記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有する洗浄剤組成物を提供する。
【0009】
上記洗浄剤組成物を用いて肌を洗浄することによって、皮膚に不必要な汚れであるスクワレン等の皮脂を効率的に除去し、かつ角質のバリア機能にとって重要な働きをするコレステロール、セラミド類等の細胞間脂質の溶出を抑制することができる。 」
(ii) 「 【0036】
上記洗浄剤組成物は、細胞間脂質の溶出を抑制することができる。上記洗浄剤組成物は、例えば、細胞間脂質の指標をコレステロール、皮脂腺由来脂質の指標をスクワレンとした場合、洗浄剤組成物を皮膚に適用した際に適用部位から溶出するスクワレンの溶出量とコレステロールの溶出量との比(コレステロール溶出量/スクワレン溶出量)が質量基準で2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、4以上であることが更に好ましい。 」
これら(i)及び(ii)の記載、特に【0006】の記載からみて、訂正発明8により解決されるべき課題は、
「皮膚に不必要な皮脂汚れを効率的に除去し、かつ角質のバリア機能にとって必要な細胞間脂質の溶出を抑制することができる選択洗浄性を有する洗浄剤」を提供すること
にあるといえる。
(イ) そして、かかる課題の解決し得る洗浄剤組成物として、訂正発明8に記載されるとおりの、次の要件(8-1)~(8-4):
・(8-1) 「陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、
前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、前記両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有し、」
・(8-2) 「前記陰イオン性界面活性剤は、アミノ酸系陰イオン性界面活性剤を含み、
前記陰イオン性界面活性剤が、ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンカリウム、ココイルメチルタウリンマグネシウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、カプロイルメチルタウリンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシントリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1つ以上であり、
前記非イオン性界面活性剤は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10~100であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステルを含み、前記両性界面活性剤は、ベタイン系両性界面活性剤を含み、」
・(8-3) 「前記洗浄剤組成物を皮膚に適用した際に適用部位から溶出するスクワレンの溶出量とコレステロールの溶出量との比が質量基準で2以上である、細胞間基質の溶出を抑制する」
・(8-4) 「(ただし、泡沫状エアゾール組成物であるものと、
成分(A)N-アシル酸性アミノ酸又はその塩 2.5~15質量%、
成分(B)下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩 0.3~8質量%、
R1-O-(CH2CH2O)n-CH2-COOM (1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数4~22のアルキル基を示し、nは0~20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムを示す。)
成分(C)炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタイン及び炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルヒドロキシスルホベタインからなる群から選ばれる1種又は2種以上の両性界面活性剤 0.2~5質量%、並びに
成分(D)水
を含む液体洗浄剤組成物であって、前記成分(A)に対する前記成分(B)及び前記成分(C)の合計量[(B)+(C)]の割合が、質量比で、[(B)+(C)]/(A)×100=15~120であり、前記成分(A)に対する前記成分(C)の割合が、質量比で、(C)/(A)×100=5~70である液体洗浄剤組成物と、
(a)エチレンオキシドの平均付加モル数が60~100モルであるポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル
(b)式(I)で示される非イオン性界面活性剤
RCOX(I)
(式中、RCOは炭素数8~16のアシル基、Xはジエタノールアミン及び/又はN-メチルエタノールアミンから選ばれる1種類以上のアミン化合物の窒素原子に結合した水素原子を1つ除いた残基、又は二糖類の1つの水酸基から水素原子を除いた残基である。)
(c)アシル基の炭素数が8~14であるアシルアミノ酸型陰イオン性界面活性剤、及び
(d)水
を含有する液体洗浄剤組成物とを除く。)」
を併せ満たす洗浄剤組成物が提示されているものである。
そして、ここで、当該訂正発明8においては、
・上記要件(8-1)中の
「陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、前記両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有し」
との規定は、上記(i)の【0007】~【0008】に記載された上記課題の解決手段としての「陰イオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤を組み合わせて使用し、かつこれらの界面活性剤を特定の比率で配合すること」(【0007】)に対応することから、上記課題の解決手段を構成する規定である;
と解される一方、
・上記要件(8-3)中の
「洗浄剤組成物を皮膚に適用した際に適用部位から溶出するスクワレンの溶出量とコレステロールの溶出量との比が質量基準で2以上である」
との規定は、【第2】2.(3)でも述べたとおり、「細胞間脂質」の指標であるコレステロール((i)【0005】等)の溶出量に対する、「皮脂腺由来脂質」((ii)【0036】)であって「皮膚に不必要な汚れ」((ii)【0009】)の指標であるスクワレンの溶出量の比、が「質量基準で2以上である」ことを規定したものであるから、上記課題である「皮膚に不必要な皮脂汚れを効率的に除去し、かつ角質のバリア機能にとって必要な細胞間脂質の溶出を抑制する」という所望の細胞間脂質の溶出の抑制性を、比較対照、比較条件や「抑制」の程度を以てより具体的に規定したものである;
と解される。
イ.(ア) 一方、特許明細書中で、訂正発明の「実施例」として記載されているのは、試験例4において採用されている洗浄剤組成物である実施例1~8の組成物(【表3】)のみであるところ、これら実施例1~8の組成物については、【表3】の成分組成及び剤型(液状と認められる)からみて、上記要件(8-1)、(8-2)及び(8-4)を併せ満たすものであるとは認められるものの、細胞間脂質の溶出性に関しては、【0052】(試験例2)に記載された特定の測定条件下で、(要件(8-1)を満たしていない点で比較対照例に相当する比較例1~8の各組成物(【表4】)に比して)「CL漏出率が低い」(30%以下)ことを示す試験結果が記載されている(【表3】)に過ぎず、各実施例1~8の組成物が要件(8-3)をも満たすものであること、即ち
「洗浄剤組成物を皮膚に適用した際に適用部位から溶出するスクワレンの溶出量とコレステロールの溶出量との比が質量基準で2以上である、細胞間基質の溶出を抑制する」
ものであることまでは、現実の具体的な測定条件の適用により測定され確認されているわけではない。
そうすると、これら実施例1~8の各組成物を以て、要件(8-1)、(8-2)及び(8-4)と共に要件(8-3)をも併せ満たす(即ち、細胞胞間脂質の溶出の抑制性に係る上記課題を解決し得る)洗浄剤組成物が特許明細書中で裏付けられている、とは直ちには認められない。
(イ) また、特許明細書には、これら実施例1~8や比較例1~8の各組成物以外にも、試験例2や試験例3において、「試験例2-1」、「試験例2-2」(試験例2の【表1】)、及び「試験例3-1」、「試験例3-2」(試験例3の【表2】)の各組成物が記載されている。そして、当該試験例2では、「試験例2-2」の組成物が、(少なくとも陰イオン性界面活性剤しか含んでいない点で比較対照例相当とされている)「試験例2-1」の組成物に比して、【0052】に記載された特定の測定条件((ア)で検討した試験例4で採用されているのと同一の測定条件)下で「CL漏出率」が低い(0%)ことを示す試験結果が記載されており(【表1】); 当該試験例3では、(「試験例2-1」と同じく、少なくとも陰イオン性界面活性剤しか含んでいない点で比較対照例相当とされている)「試験例3-1」の組成物に比して、「試験例3-2」の組成物が、【0056】に記載された特定の測定条件下でスクワラン/コレステロールの溶出比が高い(図1によれば、少なくとも2を超えている)ことを示す試験結果が記載されており(図1); これら試験例2及び試験例3の結果を併せ、「試験例2で評価した疑似細胞間脂質モデルからのCL漏出率と、上記ヒト皮膚溶出試験における皮脂選択洗浄性との間に相関性があることが分かった」(【0060】)と総括されることが記載されている。
しかしながら、そもそも、【表1】及び【表2】によれば、これら試験例2の「試験例2-2」、試験例3の「試験例3-2」の各組成物は、いずれも、少なくとも次のa及びbの点:
・a.採用されている非イオン性界面活性剤がモノイソステアリン酸ポリグリセリルのみであるから、要件(8-2)の「エチレンオキサイドの平均付加モル数が10~100であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル」を含んでいない;
・b.両性界面活性剤(2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチル-イミダゾリニウムベタイン)量と、陰イオン性界面活性剤(ラウロイルグルタミン酸ナトリウム)量+非イオン性界面活性剤(モノイソステアリン酸ポリグリセリル)量との比(両性界面活性剤/[陰イオン性界面活性剤+非イオン性界面活性剤])が
1.5質量%/[0.6質量%+0.9質量%] (【表1】)
= 5質量%/[2質量%+3質量%] (【表2】)
= 1
> 1/4
であるから、要件(8-1)の「前記両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有し」との規定を満たしていない;
において、訂正発明8に係る洗浄剤組成物ではない。そして、特にア.(イ)の後段でも述べたとおり、要件(8-1)中の
「陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、前記両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有し」
との規定は、上記課題の解決手段を構成する規定であると解されるところ、上のb.のとおり、上記「試験例2-2」、「試験例3-2」の組成物はいずれもこの規定を満たしていないことからみても、これらの組成物における試験例2、3の試験結果を以て、上記実施例1~8の各組成物(少なくとも要件(8-1)を満たしている)が、要件(8-3)の
「洗浄剤組成物を皮膚に適用した際に適用部位から溶出するスクワレンの溶出量とコレステロールの溶出量との比が質量基準で2以上である」
との所望の細胞間脂質の溶出の抑制性を示す(即ち、上記課題を解決し得るものである)ものとして提示されているものとは、到底合理的に推測できない。この点、特許明細書【0060】の試験例2及び3の試験結果の総括に係る記載を併せ踏まえても同様である(なお、「試験例2-1」(比較対照例)、「試験例2-2」(試験例2)、及び「試験例3-1」(比較対照例)、「試験例3-2」(試験例3)という、ごく限られた成分組成の組成物に係る試験結果の対比のみを以て、当業者が「試験例2で評価した疑似細胞間脂質モデルからのCL漏出率と、上記ヒト皮膚溶出試験における皮脂選択洗浄性との間に相関性がある」(【0060】)との総括事項を合理的に導き得るはずもない)。
さらに、訂正発明8の要件(8-1)、(8-2)及び(8-4)の要件を満たす任意の洗浄剤組成物において、特許明細書の【0052】に記載された特定の測定条件(試験例4で採用されているのと同一の測定条件)下でのCL漏出率と、同【0056】に記載された特定の測定条件下でのヒト皮膚溶出試験における皮脂選択洗浄性(即ち、要件(8-3)に係る所望の細胞間脂質の溶出の抑制性)との間に明確な相関性が存在することが、本件特許出願時当業者にとり技術常識として知られていた、といったような特段の技術事情も認められない。
ウ. 以上のア.~イ.での検討を踏まえれば、上記要件(8-1)、(8-2)及び(8-4)の要件を満たす任意の洗浄剤組成物であれば要件(8-3)をも併せ満足し得る、ということが、特許明細書の記載を以て十分具体的又は合理的に裏付けられているとはいえず、また、本件特許出願時の技術常識を参酌しても、訂正発明8に係る任意の洗浄剤組成物が上記ア.(ア)の課題を解決し得るものとして特許明細書中に記載されている、とは、当業者といえども認識することはできない。
(3) したがって、訂正発明8は、特許明細書の発明の詳細な説明に記載された発明であるとはいえず、訂正後の請求項8に係る発明はその記載がサポート要件を満たしているとはいえない。
3.特許権者の主張について
なお、訂正請求に伴い提出された令和2年8月12日付け意見書中の、訂正発明8に関する記載要件についての21~24頁エ.~カ.や28頁b.等における特許権者の主張は、上述の1.~2.の合議体の判断を何等合理的に妨げるものではない。
4.まとめ
以上の1.~3.の検討のとおりであるから、訂正後の請求項8の発明に係る特許は、【4-1】の取消理由3~5により、取り消されるべきものである。
<【第4】についての合議体の心証、及び対応方針に関する示唆>
<1> 少なくとも、【4-2】2.で詳述した取消理由4(サポート要件違反)に係る記載不備が解消したと判断されるためには、
・本件特許明細書中で訂正発明の「実施例」として記載されている実施例1~8の各組成物が、いずれも【0056】に記載された測定条件下で訂正発明8の
「皮膚に適用した際に適用部位から溶出するスクワレンの溶出量とコレステロールの溶出量との比が質量基準で2以上である」
という要件を満たすものであることを示す、現実の測定結果のデータを提示する;
と共に、
・「比較例」として記載されている比較例1~8の各組成物が、いずれも同測定条件下で当該要件を満たさないものであることを示す、現実の測定結果のデータを併せて提示する;
ことで、訂正発明8に係る成分組成の洗浄剤組成物について、特許明細書の【0060】にいうような、「CL漏出率」と「ヒト皮膚溶出試験における皮脂選択洗浄性」との間に「相関性がある」ことが、特許明細書の記載により一貫して裏付けられている(いた)ことを、意見書中で明確に説明することが必要である。
<2> ただし、【4-2】1.で詳述した取消理由5及び3(明確性違反及び実施可能要件違反)が解消されていることが前提となることは勿論である。 』
(2)当審の判断
ア.取消理由通知書2の取消理由について
【第1】でも述べたとおり、(1)の記載を含む取消理由通知書2を令和3年1月18日付けで通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは何らの応答もなかった。
そして、上記の取消理由は妥当なものと認められるので、訂正発明8に係る特許は、(1)の取消理由3~5によって取り消されるべきものである。
イ.特許異議申立書の申立理由3について
(ア) 【第4】1(3)(3.2)に記載したとおり、特許請求項8に関する申立理由3は、
請求項8の「細胞間脂質の溶出を抑制する洗浄剤組成物」について、「細胞間脂質の溶出を抑制する」ものとそうでないものとをどのように区別し、請求項8の範囲を決定すべきであるのかが明らかでない;
との指摘に基づくものであるところ、これは、上掲の取消理由通知書2の取消理由5((1)の抜粋部分中の【4-2】1(1)ア)における、
訂正請求項8の「皮膚に適用した際に適用部位から溶出するスクワレンの溶出量とコレステロールの溶出量との比が質量基準で2以上である」との要件を満たす「細胞間脂質の溶出を抑制する洗浄剤組成物」の範囲は、当該溶出比の測定時の採用条件により一義的に定まらない;
旨の指摘と、概要重複するものである。
そして、訂正請求項8に係る特許が、当該取消理由通知書2の取消理由5によって取り消されるべきものであることは、上の(1)及び本項(2)アで述べたとおりである。
ウ.取消理由通知書1の取消理由3~5について
訂正後の請求項8においては、「細胞間脂質」が「コレステロール」に、その「溶出を抑制する」という性質の比較対照が「スクワレン」にそれぞれ特定されると共に、「前記洗浄剤組成物を皮膚に適用した際に適用部位から溶出するスクワレンの溶出量とコレステロールの溶出量との比が質量基準で2以上である」との限定が付されたことから、これらの点において、特許請求項8についての取消理由通知書1の取消理由5(明確性要件)の指摘に係る不備は解消している。
また、訂正後の請求項8においては、「陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であって、前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤とを2/1~1/3の質量比で含有し、前記両性界面活性剤を前記陰イオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との合計量に対して1/4以下の質量比で含有する洗浄剤組成物」であること、即ち、特許明細書【0008】に規定される特定の界面活性剤組成の範囲内のものであることの限定がなされており、この点において、特許請求項8についての取消理由通知書1の取消理由3(実施可能要件)、取消理由4(サポート要件)の指摘に係る不備は解消している。
(3)小括
以上のとおりであるから、訂正発明8について、記載要件に係る
・取消理由通知書2の取消理由3~5
(【第4】3(1)~(3))
は、それぞれ理由がある。
【第6】むすび
【第5】【5-4】2で述べたとおり、訂正後の請求項8に係る特許は、特許明細書の発明の詳細な説明が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、また、請求項の記載が同条第6項第1号並びに同条同項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
そして、【第5】【5-1】~【5-4】1で述べたとおり、訂正後の請求項1~7に係る特許は、取消理由通知書に記載した取消理由、及び特許異議申立書に記載した申立理由のいずれによっても、取り消すことはできない。
また、他に、訂正後の請求項1~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2020-700124