2020-390067
情報利用状況把握方法およびその方法を利用した情報提供システム
- 審判番号
- 2020-390067
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願平8-94288外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年07月31日
- 審決日
- 2020年09月30日
- 公報発行日
- 2021年01月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社 野村総合研究所
- 【請求人代理人】特許業務法人平和国際特許事務所
- 【請求人代理人】平野 竜男
- 分類
- P141 .851-Y (G06F) / P141 .856-Y (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第3項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
本件特許第3437373号は,平成8年4月16日の出願である特願平8-94288号(以下,「本件特許出願」という。)の請求項1~5に係る発明について,平成15年6月6日に特許権の設定登録がされたものである。
本件訂正審判は,令和2年7月31日に請求されたものである(以下,本件訂正審判に係る訂正を「本件訂正」という。)。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は,「特許第3437373号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、3、5について訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。
第3 本件訂正の内容
本件訂正の内容は,次のとおりである。(下線部は訂正箇所を示す。)
1 訂正事項1
本件特許請求の範囲の請求項1に,
「前記情報受領コンピュータは、前記利用報告プログラムを実行することにより、前記利用報告プログラムに記載されたコンピュータへ、プログラムまたはデータの利用状況データを送信する」
と記載されているのを,
「前記情報受領コンピュータは、前記利用報告プログラムを実行することにより、前記利用報告プログラムに記載された情報提供者と情報受領者以外の利用状況取得者のコンピュータへ、プログラムまたはデータの利用状況データを送信する」
に訂正する。
2 訂正事項2
本件特許請求の範囲の請求項3に,
「前記情報受領コンピュータは、前記情報提供コンピュータから送られたデータを参照し又はそのプログラムを実行することにより、前記命令文に記載された所定のコンピュータから前記利用報告プログラムを呼び出して実行し、所定のプログラムまたはデータについての利用状況データを指定されたコンピュータへ送信する」
と記載されているのを,
「前記情報受領コンピュータは、前記情報提供コンピュータから送られたデータを参照し又はそのプログラムを実行することにより、前記命令文に記載された所定のコンピュータから前記利用報告プログラムを呼び出して実行し、所定のプログラムまたはデータについての利用状況データを指定された情報提供者と情報受領者以外の利用状況取得者のコンピュータへ送信する」
に訂正する。
また,請求項3の記載を引用する請求項5も,同様に訂正する。
第4 当審の判断
1 一群の請求項について
訂正事項1による訂正前の請求項1について,訂正前の請求項1を直接的に又は間接的に引用する請求項はない。
また,訂正事項2による訂正前の請求項3,5について,訂正前の請求項5は,訂正前の請求項3の記載を直接的に引用しているものであって,訂正事項2によって記載が訂正される請求項3に連動して訂正されるものである。よって,訂正前の請求項3,5に対応する訂正後の請求項3,5は,特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
したがって,本件訂正審判の請求は,特許法第126条第3項の規定に適合するものである。
2 訂正事項1について
(1)特許請求の範囲の減縮を目的とするものであること
訂正事項1は,訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「前記利用報告プログラムに記載されたコンピュータ」と記載されているのに対し,当該「コンピュータ」を「情報提供者と情報受領者以外の利用状況取得者のコンピュータ」に限定するものである。
したがって,訂正事項1による訂正は,特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
ア 訂正事項1による訂正後の請求項1には,「前記情報受領コンピュータは、前記利用報告プログラムを実行することにより、前記利用報告プログラムに記載された情報提供者と情報受領者以外の利用状況取得者のコンピュータへ、プログラムまたはデータの利用状況データを送信する」(下線部は,訂正に係る箇所である。)ことが記載されているが,当該事項が,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,「願書に添付した明細書等」という。)に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて検討する。
イ 願書に添付した明細書には,次の記載がある。(下線は,当審で付加した。)
「【0071】図3は、利用状況データを情報提供者と情報受領者以外の第三者に送るようにした情報提供システムの構成を示したものである。【0072】この情報提供システムは、情報提供者のコンピュータ20と、情報利用者のコンピュータ21と、利用状況取得者のコンピュータ22とによって構成されている。これらは図示しないオープンネットワークによって接続されている。【0073】情報提供者のコンピュータ20は、情報提供サーバー23を有し、その情報提供サーバー23に情報利用者に提供しようとする種々の情報24を格納している。情報24は、情報ページ25の情報単位に編集され、情報利用者に提供される。【0074】利用状況取得者のコンピュータ22は、情報利用状況集計サーバー26を有し、この情報利用状況集計サーバー26に情報の利用状況を集計するための利用状況集計アプリケーション27と、利用報告プログラム28と、利用状況集計データ29とを格納している。続きを表示(全11行)【0075】上記情報提供システムにおける情報の提供、処理は以下の通りである。最初に、情報利用者のコンピュータ21が情報提供者のコンピュータ20に対して、情報提供のための接続を要求する(ステップS200)。【0076】この情報提供の接続要求を受けた情報提供者のコンピュータ20は、情報ページ25の形で情報利用者のコンピュータ21に情報24を送る(ステップS210)。【0077】上記情報ページ25には、すでに説明したように、それぞれ利用報告プログラムを呼び出す命令文30が記載されている。なお、この情報提供システムでは、利用報告プログラムを呼び出すアドレスとして、情報利用状況集計サーバー26のアドレスが記載されている。【0078】次に、情報利用者のコンピュータ21は、提供された情報ページ25を参照・実行するが、この参照・実行により、情報ページ25に記載された利用報告プログラムを呼び出す命令文30が実行される(ステップS220)。これにより、情報利用者のコンピュータ21は、情報利用状況集計サーバー26から利用報告プログラム28をダウンロードし、これを実行する(ステップS230)。【0079】利用報告プログラム28を実行することにより、情報利用者のコンピュータ21は、詳細な情報利用状況のデータを情報利用状況集計サーバー26に送る(ステップS240)。【0080】利用状況取得者のコンピュータ22は、上述したように送られてきた情報利用状況データを、一定期間蓄積し、所定期間ごとに利用状況集計アプリケーション27を用いて集計、解析し、利用状況集計データ29を作成する(ステップ250)。【0081】利用状況取得者のコンピュータ22は、一定期間ごとに集計した利用状況集計データ29を情報提供者のコンピュータ20や情報利用者のコンピュータ21に送る(ステップS260,S270)。なお、利用状況集計データ29としては、たとえば、各情報利用者ごとの情報利用の実績データ等がある。」
上記の記載,特に,下線を付加した箇所の記載から,願書に添付した明細書には,「情報利用者のコンピュータ21は,利用報告プログラム28を実行することにより,詳細な情報利用状況のデータを,情報提供者と情報受領者以外の第三者である,情報利用状況集計サーバー26を有する利用状況取得者のコンピュータ22に送信する」ことが記載されていると認められる。
ウ また,願書に添付した明細書には,次の記載がある。(下線は,当審で付加した。)
「【0041】上記利用報告プログラムを呼び出す命令は、実行されると、その命令を実行したコンピュータに対し、指定された格納場所から利用報告プログラムをダウンロードし、かつ、続いてその利用報告プログラムを実行するように命令するものである。【0042】一方、上記利用報告プログラムは、実行されると、プログラムを実行したコンピュータに対し、所定の利用状況の情報、たとえば、情報利用者名、利用した情報の内容(コマンドの記録等)、利用時間等を、指定した場所(任意のサーバー、コンピュータ)へ送信するように命令するものである。【0043】なお、利用報告プログラムを呼び出す命令文、利用報告プログラムは、上述したように実行したコンピュータに命令するものであるため、インターネットに適用する場合にはインターネット上の共通の言語であるJAVAを利用して記述する。これにより、インターネットに接続された種々のコンピュータに共通して所定の動作を行わせることができる。【0044】上記ステップS120で情報提供コンピュータが送信するプログラムやデータは、通常、いくつかの情報単位に分けて格納されている。ここで、情報単位とは、たとえば、html形式で記述されたファイルであれば、その1単位であることもあれば、または1プログラムであることもある。そして、この情報単位ごとに、上記利用報告プログラムを呼び出す命令が記述されている。【0045】したがって、上記プログラムやデータを受領する情報受領コンピュータ側では、受信したプログラムまたはデータの実行または参照を開始すると(ステップS130)、利用報告プログラムを呼び出す命令が実行され(ステップS140)、指定された格納場所(図1では代表的な例として情報提供コンピュータ)から情報受領コンピュータへ利用報告プログラムが転送され(ステップS150)、転送された利用報告プログラムは直ちに実行される。【0046】情報受領コンピュータが、利用報告プログラムを実行することにより、情報受領コンピュータは、利用報告プログラムの命令に従って、情報利用者名、利用プログラム・データの内容、利用時間等の情報(利用状況データ)を、利用報告プログラムが指定するアドレス、すなわち特定のサーバーや特定の処理装置へ送信する(ステップS160)。【0047】上記情報受領コンピュータからの利用状況データを受信したサーバーあるいは処理装置は、データを集積し、必要に応じて集計等の課金のための処理、あるいはマーケットリサーチのための処理を行う(ステップS170)。」
上記の記載,特に,下線を付加した箇所の記載から,願書に添付した明細書には,「情報受領コンピュータは,利用報告プログラムを実行することにより,利用状況データを利用報告プログラムが指定する特定のサーバーや特定の処理装置へ送信する」ことが記載されていると認められる。
エ そして,上記イ及びウでの検討を総合すると,願書に添付した明細書には,「情報受領コンピュータ(情報利用者のコンピュータ21)は,利用報告プログラム(利用報告プログラム28を)実行することにより,利用報告プログラムが指定する特定のサーバーや特定の処理装置である,情報提供者と情報受領者以外の利用状況取得者のコンピュータ22へ,利用状況データ(詳細な情報利用状況のデータ)を送信する」ことが記載されていると認められる。
オ したがって,訂正事項1による訂正は,願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるから,願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり,特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでないこと
訂正事項1は,上記(1)で検討したとおり,訂正前の特許請求の範囲の請求項の記載を限定するものであり,また,発明のカテゴリーを変更するものでもない。
よって,訂正事項1による訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもなく,特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)訂正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであること
訂正事項1による請求項1の訂正は,上記(1)で検討したとおり,訂正前の請求項1に関し特許請求の範囲を減縮するものであるから,特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず,訂正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由も見いだせない。
したがって,訂正事項1による訂正は,特許法第126条第7項の規定に適合する。
3 訂正事項2について
(1)訂正の目的
訂正事項2は,訂正前の特許請求の範囲の請求項3に「所定のプログラムまたはデータについての利用状況データを指定されたコンピュータへ送信する」と記載されているのに対し,当該記載における「コンピュータ」を「情報提供者と情報受領者以外の利用状況取得者のコンピュータ」に限定するものである。
また,訂正事項2は,訂正前の請求項3を引用する訂正前の特許請求の範囲の請求項5に対し,訂正後の請求項5が,上記限定がなされた訂正後の請求項3を引用することを通じて,上記と同様の限定をなすものである。
したがって,訂正事項2による訂正は,特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内であること
訂正事項2による訂正後の請求項3には,「前記情報受領コンピュータは、」「所定のプログラムまたはデータについての利用状況データを指定された情報提供者と情報受領者以外の利用状況取得者のコンピュータへ送信する」(下線部は,訂正に係る箇所である。)ことが記載されているが,上記「2(2)」での検討から,当該事項は,願書に添付した明細書等に記載されていると認められる。
したがって,訂正事項2による訂正は,願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるから,願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり,特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでないこと
訂正事項2は,上記(1)で検討したとおり,訂正前の特許請求の範囲の請求項の記載を限定するものであり,また,発明のカテゴリーを変更するものでもない。
よって,訂正事項2による訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもなく,特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)訂正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであること
訂正事項2による請求項3の訂正は,上記(1)で検討したとおり,訂正前の請求項3に関し特許請求の範囲を減縮するものであるから,特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず,訂正後の請求項3に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由も見いだせない。
請求項3を引用する請求項5についても同様である。
したがって,訂正事項2による訂正は,特許法第126条第7項の規定に適合する。
第5 むすび
以上のとおりであるから,本件訂正は,特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし,かつ,同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって,結論のとおり審決する。
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