特許訂正審判
2023-390143
画像表示方法および画像表示用プログラム
- 審判番号
- 2023-390143
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2012-257101
- 登録番号
- 5475856
- 請求日
- 2023年12月20日
- 審決日
- 2024年04月15日
- 公報発行日
- 2024年07月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】プラグインフリー・パテント・ホールディング 株式会社
- 【請求人代理人】木内 光春
- 【請求人代理人】山本 純平
- 【請求人代理人】木内 加奈子
- 【請求人代理人】西阪 裕
- 審判長/審判官
- 審判長 岩間 直純
- 審判官 山内 裕史
- 審判官 野崎 大進
- 分類
- P141 .841-Y (G06F) / P141 .851-Y (G06F) / P141 .857-Y (G06F) / P141 .854-Y (G06F) / P141 .855-Y (G06F) / P141 .856-Y (G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項4号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第126条第1項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第5475856号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第5475856号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2ないし4〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判に係る特許第5475856号(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成15年4月17日に出願した特願2003-112998号の一部を平成19年11月12日に特願2007-293603号とし、その一部を平成23年3月7日に新たな特許出願である特願2011-49096号とし、さらにその一部を平成24年11月26日に新たな特許出願とした特願2012-257101号であって、平成26年2月14日にその特許権の設定登録がされ、令和5年12月20日に本件訂正審判が請求されたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第5475856号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項2~4について訂正することを認める、との審決を求める」ものである。
請求人が求めている訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項2に
「前記ブロックがHTMLの文法で定義される<DIV>タグを使用して設定されている請求項1に記載の画像表示方法。」
と記載されているのを、
「Webブラウザの画像を表示する表示領域よりも大きい画像を分割し該Webブラウザの表示領域に少なくとも一部が入る分割画像をサーバから優先的にダウンロードして該Webブラウザの表示領域に表示する画像表示方法において、
該方法は、Webブラウザの表示領域に少なくとも一部が入る分割画像を含む、Webブラウザの表示領域に対し所定の位置関係にある、画像全体に対して限定された範囲の画像領域に含まれる分割画像を、個々に当てはめて表示する表示領域に相当する複数の枠要素の配列をWebブラウザに設定し、該各枠要素に、該当する位置の分割画像をそれぞれ当てはめて表示しまたは表示できる状態にし、かつ、Webブラウザの表示領域に対する画像の相対移動が指示された時に、Webブラウザの表示領域に対する枠要素の移動すべき位置を演算して該位置に枠要素を移動する方法であり、
該方法は、前記複数の枠要素全体でブロックを構成し、画像の相対移動が指示された時に、Webブラウザは、該Webブラウザの表示領域の原点に対する該ブロックの原点の移動すべき座標を演算し、該演算により求められたブロックの原点の座標に基づき、前記各枠要素の原点の移動すべき座標をそれぞれ演算し、該演算により求められた座標に各枠要素の原点をそれぞれ移動することにより、前記画像の相対移動を実現する方法であり、
該方法において、
閲覧者が前記Webブラウザから前記サーバに対して画像の閲覧指示をすると、前記Webブラウザは、前記サーバに対して前記閲覧指示に対応するHTMLを要求する指示を送信し、
前記サーバは、前記Webブラウザからの要求に従い、画像表示に必要な演算を実行するJavaScript(登録商標)を記述した前記HTMLを前記Webブラウザに送信し、
前記Webブラウザは、前記HTML及び前記HTMLに記述された前記JavaScriptを受信するより前の状態においては、前記Webブラウザの画像を表示する表示領域内に表示する前記分割画像を特定する演算を行うことがなく、
前記Webブラウザは、前記サーバから送信された前記HTML及び前記HTMLに記述された前記JavaScriptを受信した後の状態において、
前記サーバから送信された前記HTMLに記述された前記JavaScriptにより、
Webブラウザの表示領域の原点に対するブロックの原点の座標と、該ブロックの原点に対する各枠要素の原点の座標を演算して初期表示を行い、
該初期表示後に、Webブラウザの表示領域に対する画像の相対移動が指示された時に、WebブラウザはHTMLファイルに記述されているJavaScriptによりWebブラウザの表示領域の原点に対するブロックの原点の移動すべき座標を演算し、Webブラウザは該ブロックの原点の移動すべき座標と前記ブロックの原点に対する各枠要素の原点の座標とに基づき各枠要素の原点の移動すべき座標をそれぞれ演算し、該演算により求められた座標に各枠要素の原点をそれぞれ移動することにより、前記画像の相対移動を実現し、
前記画像の相対移動に伴い前記Webブラウザの表示領域から離れる前記分割画像に該当する位置から前記枠要素を削除し、前記Webブラウザの表示領域に近づく前記分割画像に該当する位置に前記枠要素を追加して画像に対する前記枠要素の配列の位置を変更し、追加する前記枠要素に、該当する位置の前記分割画像を当てはめて表示しまたは表示できる状態にし、
前記ブロックがHTMLの文法で定義される<DIV>タグを使用して設定されている画像表示方法。」
と訂正する(請求項2の記載を直接又は間接的に引用する請求項3及び4も同様に訂正する。)。
第3 当審の判断
1 訂正事項1の分説
訂正事項1を以下のように分説する。
(訂正事項1-1)
請求項2の請求項1との引用関係の解消、及び、それに伴う「WebブラウザはHTMLファイルに記述されているJavaScript(登録商標)により、」の削除。
(訂正事項1-2)
特許請求の範囲の請求項2に、
「Webブラウザの画像を表示する表示領域よりも大きい画像を分割し該Webブラウザの表示領域に少なくとも一部が入る分割画像を該Webブラウザの表示領域に表示する画像表示方法において、」
と記載されているのを、
「Webブラウザの画像を表示する表示領域よりも大きい画像を分割し該Webブラウザの表示領域に少なくとも一部が入る分割画像をサーバから優先的にダウンロードして該Webブラウザの表示領域に表示する画像表示方法において、」
と訂正する。
(訂正事項1-3)
特許請求の範囲の請求項2に、
「閲覧者が前記Webブラウザから前記サーバに対して画像の閲覧指示をすると、前記Webブラウザは、前記サーバに対して前記閲覧指示に対応するHTMLを要求する指示を送信し、
前記サーバは、前記Webブラウザからの要求に従い、画像表示に必要な演算を実行するJavaScript(登録商標)を記述した前記HTMLを前記Webブラウザに送信し、
前記Webブラウザは、前記HTML及び前記HTMLに記述された前記JavaScriptを受信するより前の状態においては、前記Webブラウザの画像を表示する表示領域内に表示する前記分割画像を特定する演算を行うことがなく、
前記Webブラウザは、前記サーバから送信された前記HTML及び前記HTMLに記述された前記JavaScriptを受信した後の状態において、
前記サーバから送信された前記HTMLに記述された前記JavaScriptにより、」
を追加する訂正をする。
(訂正事項1-4)
特許請求の範囲の請求項2に、
「前記画像の相対移動に伴い前記Webブラウザの表示領域から離れる前記分割画像に該当する位置から前記枠要素を削除し、前記Webブラウザの表示領域に近づく前記分割画像に該当する位置に前記枠要素を追加して画像に対する前記枠要素の配列の位置を変更し、追加する前記枠要素に、該当する位置の前記分割画像を当てはめて表示しまたは表示できる状態にし、」
を追加する訂正をする。
2 訂正事項1-1
(1) 訂正の目的
訂正事項1-1は、他の訂正事項に先立ち、請求項2の請求項1との引用関係を解消するものである。よって、訂正事項1-1は、特許法第126条第1項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
(2) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1-1では、請求項1に記載の「WebブラウザはHTMLファイルに記述されているJavaScript(登録商標)により、」を削除しているが、これは、訂正事項1-3において、「前記サーバから送信された前記HTMLに記述された前記JavaScriptにより、」を追加することにより、重複記載となるために削除したものであって、当該削除によって訂正後の請求項2に記載された発明の内容は実質的に変更されていないと認める。よって、訂正事項1-1は請求項2の請求項1との引用関係を解消するものであり、訂正の前後で発明の内容を変更するものではない。そのため、当該訂正により訂正前の請求項2に記載された発明のカテゴリーを変更するものではなく、かつ、訂正前の請求項2に記載された発明の対象や目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1-1の請求項2に係る点は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
訂正事項1-1の請求項3及び4に係る点は、訂正前の請求項2の記載を直接又は間接的に引用する訂正前の請求項3及び4の記載についても実質的に訂正するものであるが、訂正前の請求項2の請求項1との引用関係を解消したことに伴う変更である。よって、訂正事項1-1の訂正前の請求項3及び4に係る点は、請求項2に係る点と同様に、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1-1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
以上より、訂正事項1-1は、特許法第126条第6項に適合するものである。
(3) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(2)のとおり、訂正事項1-1は訂正前の請求項2~4を実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。そして、訂正前の請求項2~4は、願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内であることは明らかである。
したがって、訂正事項1-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合する。
3 訂正事項1-2
(1) 訂正の目的
訂正前の請求項2の発明は、Webブラウザの画像を表示する表示領域よりも大きい画像を分割し該Webブラウザの表示領域に少なくとも一部が入る分割画像を該Webブラウザの表示領域に表示することを特定している。
これに対して、訂正後の請求項2の発明は、「Webブラウザの画像を表示する表示領域よりも大きい画像を分割し該Webブラウザの表示領域に少なくとも一部が入る分割画像をサーバから優先的にダウンロードして該Webブラウザの表示領域に表示する」と訂正し、Webブラウザの表示領域に表示する分割画像をサーバから優先的にダウンロードすることを限定するものである。
したがって、訂正事項1-2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(2) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(1)のとおり、訂正事項1-2は、発明特定事項を限定するものであるから、当該訂正により訂正前の請求項2に記載された発明のカテゴリーを変更するものではなく、かつ、訂正前の請求項2に記載された発明の対象や目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1-2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第126条第6項に適合するものである。
同様に、訂正事項1-2は、訂正前の請求項2の記載を直接又は間接的に引用する訂正前の請求項3及び4の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記(1)のとおり、訂正前の請求項2の記載との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。また、訂正事項1-2は、訂正前の請求項2の記載についての訂正以外に、訂正前の請求項3及び4の記載について訂正するものではなく、請求項3及び4のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。したがって、訂正事項1-2は、訂正前の請求項3及び4との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
以上より、訂正事項1-2は、特許法第126条第6項に適合するものである。
(3) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1-2は、下記明細書の記載に基づいて導き出される構成である。具体的には、段落【0008】には下記の記載がある。
「【0008】
この発明の画像表示方法は例えば、ビューアの表示領域よりも大きい画像をサーバからダウンロードしてビューアに表示する方法と組み合わせることができる。この組み合わせの様々な態様を以下に示す。各態様によれば、画像とビューアの表示領域との相対位置に応じてビューアの表示領域に少なくとも一部が入る分割画像を判断し、サーバから該当する分割画像を優先的に送信するようにしたので、画像全体を送信して表示する場合に比べて、少ない待ち時間でビューアに表示することができる。
《態様1》ビューアの表示領域よりも大きい画像をサーバからダウンロードしてビューアに表示する方法であって、サーバから該画像を複数の領域に分割した画像ごとに送信可能にし、該画像とビューアの表示領域との相対位置に応じてビューアの表示領域に少なくとも一部が入る分割画像を判断し、サーバから該当する分割画像を優先的に送信し、ビューアに表示する画像表示方法。
・・・」
上記のとおり、段落【0008】には、ビューアの表示領域の入る分割画像をサーバから優先的にダウンロードすることが記載されている。
したがって、訂正事項1-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合する。
4 訂正事項1-3
(1) 訂正の目的
訂正事項1-3は、請求項2に記載の発明に
「閲覧者が前記Webブラウザから前記サーバに対して画像の閲覧指示をすると、前記Webブラウザは、前記サーバに対して前記閲覧指示に対応するHTMLを要求する指示を送信し、
前記サーバは、前記Webブラウザからの要求に従い、画像表示に必要な演算を実行するJavaScript(登録商標)を記述した前記HTMLを前記Webブラウザに送信し、
前記Webブラウザは、前記HTML及び前記HTMLに記述された前記JavaScriptを受信するより前の状態においては、前記Webブラウザの画像を表示する表示領域内に表示する前記分割画像を特定する演算を行うことがなく、
前記Webブラウザは、前記サーバから送信された前記HTML及び前記HTMLに記述された前記JavaScriptを受信した後の状態において、
前記サーバから送信された前記HTMLに記述された前記JavaScriptにより、」
を追加するものである。
当該追加は、まず、請求項2の「画像の相対移動を実現する方法」において、前記「閲覧者が前記Webブラウザから前記サーバに対して画像の閲覧指示をすると、前記Webブラウザは、前記サーバに対して前記閲覧指示に対応するHTMLを要求する指示を送信し」、「前記サーバは、前記Webブラウザからの要求に従い、画像表示に必要な演算を実行するJavaScript(登録商標)を記述した前記HTMLを前記Webブラウザに送信し、」とのステップを直列的に付加する。
次に、請求項2の「Webブラウザ」に関し、「前記Webブラウザは、前記HTML及び前記HTMLに記述された前記JavaScriptを受信するより前の状態においては、前記Webブラウザの画像を表示する表示領域内に表示する前記分割画像を特定する演算を行うことがなく」と限定する。
さらに、請求項2の「該方法において、WebブラウザはHTMLファイルに記述されているJavaScript(登録商標)により、Webブラウザの表示領域の原点に対するブロックの原点の座標と、該ブロックの原点に対する各枠要素の原点の座標を演算して初期表示を行い」に関し、「前記Webブラウザは、前記サーバから送信された前記HTML及び前記HTMLに記述された前記JavaScriptを受信した後の状態において」、「前記サーバから送信された前記HTMLに記述された前記JavaScriptにより、」Webブラウザの表示領域の原点に対するブロックの原点の座標と、該ブロックの原点に対する各枠要素の原点の座標を演算して初期表示を行い、と限定(及び
前記2で検討した「WebブラウザはHTMLファイルに記述されているJavaScript(登録商標)により、」の削除を)するものである。
してみれば、当該追加に係るいずれの事項も、発明特定事項の限定にあたるものである。
よって、訂正事項1-3は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(2) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(1)のとおり、訂正事項1-3は、発明特定事項を限定するものであるから、当該訂正により訂正前の請求項2に記載された発明のカテゴリーを変更するものではなく、かつ、訂正前の請求項2に記載された発明の対象や目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1-3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第126条第6項に適合するものである。
同様に、訂正事項1-3は、訂正前の請求項2の記載を直接又は間接的に引用する訂正前の請求項3及び4の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記(1)のとおり、訂正前の請求項2の記載との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。また、訂正事項1-3は、訂正前の請求項2の記載についての訂正以外に、訂正前の請求項3及び4の記載について訂正するものではなく、請求項3及び4のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。したがって、訂正事項1-3は、訂正前の請求項3及び4との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
以上より、訂正事項1-3は、特許法第126条第6項に適合するものである。
(3) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
ア 訂正事項1-3を以下のとおり分説する。
(訂正事項1-3-1)
閲覧者が前記Webブラウザから前記サーバに対して画像の閲覧指示をすると、前記Webブラウザは、前記サーバに対して前記閲覧指示に対応するHTMLを要求する指示を送信し、
(訂正事項1-3-2)
前記サーバは、前記Webブラウザからの要求に従い、画像表示に必要な演算を実行するJavaScript(登録商標)を記述した前記HTMLを前記Webブラウザに送信し、
(訂正事項1-3-3)
前記Webブラウザは、前記HTML及び前記HTMLに記述された前記JavaScriptを受信するより前の状態においては、前記Webブラウザの画像を表示する表示領域内に表示する前記分割画像を特定する演算を行うことがなく、
前記Webブラウザは、前記サーバから送信された前記HTML及び前記HTMLに記述された前記JavaScriptを受信した後の状態において、
前記サーバから送信された前記HTMLに記述された前記JavaScriptにより、
イ 訂正事項1-3-1の根拠
訂正事項1-3-1の内容は、以下のとおりである。
「閲覧者が前記Webブラウザから前記サーバに対して画像の閲覧指示をすると、前記Webブラウザは、前記サーバに対して前記閲覧指示に対応するHTMLを要求する指示を送信し、」
訂正事項1-3―1は、下記明細書及び図面の記載に基づいて導き出される構成である。具体的には、段落【0013】及び図3には下記の記載がある。
「【0013】
新聞紙面を閲覧する場合のWebブラウザ12とWebサーバ10との間の通信のやり取りを図3に示す。閲覧者がWebブラウザ12からWebサーバ10に○月○日付の○○新聞の○刊(朝刊または夕刊)を閲覧する旨の指示をすると、該当する内容のHTMLを要求する指示が出される(S1)。・・・」
「【図3】
[図:0001412231000001.jpg]
」
段落【0013】及び図3の「S1」には、閲覧者がWebブラウザから新聞紙面(画像)を閲覧する旨の指示を行うと、Webブラウザは、Webサーバに対して、閲覧指示に該当する内容のHTMLを要求することが記載されている。
よって、訂正事項1-3―1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 訂正事項1-3-2の根拠
訂正事項1-3-2の内容は、以下のとおりである。
「前記サーバは、前記Webブラウザからの要求に従い、画像表示に必要な演算を実行するJavaScript(登録商標)を記述した前記HTMLを前記Webブラウザに送信し、」
訂正事項1-3―2は、下記明細書の記載に基づいて導き出される構成である。具体的には、段落【0013】には下記の記載がある。
「【0013】
・・・Webサーバ10はこの要求を受けて、図4に示す、分割画像データを当てはめる6×6個のセルを設定する<DIV>タグ、および、どの分割画像をどのセルに当てはめてブラウザ上のどの位置に表示するかを算出するためのJavaScriptを含んだHTMLをWebブラウザに返す(S2)。・・・」
段落【0013】及び上記図3の「S2」には、Webブラウザからの要求を受けたWebサーバが、どの分割画像をどのセルに当てはめてブラウザ上のどの位置に表示するかを算出するためのJavaScriptを含んだHTMLをWebブラウザに送信することが記載されている。
よって、訂正事項1-3―2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合する。
エ 訂正事項1-3-3の根拠
訂正事項1-3-3の内容は、以下のとおりである。
「前記Webブラウザは、前記HTML及び前記HTMLに記述された前記JavaScriptを受信するより前の状態においては、前記Webブラウザの画像を表示する表示領域内に表示する前記分割画像を特定する演算を行うことがなく、
前記Webブラウザは、前記サーバから送信された前記HTML及び前記HTMLに記述された前記JavaScriptを受信した後の状態において、
前記サーバから送信された前記HTMLに記述された前記JavaScriptにより、」
訂正事項1-3―3は、下記明細書及び図面の記載に基づいて導き出される構成である。具体的には、段落【0011】、【0014】、【0023】及び図3、図4には下記の記載がある。
「【0011】
1つの倍率の1ページの画像は、図2に示すように、左上位置(画像の原点位置)から横方向(X軸方向)および縦方向(Y軸方向)にそれぞれ所定画素数ごとに格子状に分割されて、複数の矩形の分割画像の集合で構成されている。1つの分割画像を構成する画素数は、倍率の違いにかかわらず一定であり、例えば480×480ピクセルである(ただし、1ページ横方向全体の画素数が1つの分割画像について定められた横方向の画素数で割り切れない場合は、右端位置の分割画像の画素数は端数となる。同様に、1ページ縦方向全体の画素数が1つの分割画像について定められた縦方向の画素数で割り切れない場合は、下端位置の分割画像の画素数は端数となる。)。これに対し、1ページ分の紙面を構成する画素数は、倍率に応じて変化する{倍率(=長さ比)の二乗に比例する}ので、1ページ分の紙面を構成する分割画像数は、倍率が低い画像ほど少なく、倍率が高い画像ほど多くなる。各分割画像には、1ページの画像における各分割画像の位置(番地)を示す座標値(分割画像座標値)として、図2に示すように、横方向の座標をx、縦方向の座標をyとし、左上角の分割画像位置を原点[0,0]とし、右に行くに従い、また下に行くに従い1ずつ増加する分割画像座標値[x,y]に相当するファイル名がそれぞれ付与されて保存されている。1ページの画像における右端の分割画像の横方向の座標値をxl、下端の分割画像の縦方向の座標値をylとすると、右下角の最後の分割画像の座標値は[xl,yl]となる。特定の新聞の、特定のページの、特定の倍率の、特定の分割画像は、新聞名、日付、朝/夕刊別、ページ番号、倍率、分割画像座標値[x,y]の各情報を組み合わせた識別情報で特定(指定)される。新聞紙面を閲覧する場合は、Webブラウザ12から、閲覧者により指示される閲覧位置に応じた該識別情報が送信され、Webサーバ10は該識別情報を解析して、該当する分割画像を送信し、Webブラウザ12は該分割画像を受け取って、元の画像の並びに配列して表示する。上記のような識別情報を用いれば、Webサーバ10から最初にWebブラウザ12に送信するHTML(後述する図3のステップS2)に、分割画像ごとのファイル名{ファイル形式を指定する識別子(.jpg、.png、.gif等)が付加されたデータ}を組み込んでおく必要がない(すなわち、Webブラウザ12はファイル名やそのファイル形式を予め知らなくても、個々の分割画像を要求できる。)ので、該HTMLのデータ量は少なくて済む。」
「【0014】
Webブラウザ12は、HTMLを受け取ると、該HTMLに記述されているJavaScriptに基づき、各セルにどの分割画像を当てはめるかおよび各セルに当てはめられた分割画像をブラウザ12上のどの位置に表示するかを算出する。・・・」
「【0023】
Webサーバから送信されるHTML(図3のステップS2)には、以上の(式1)~(式22)に相当する演算を実行するJavaScriptが記述されており、Webブラウザは、該HTMLを受け取ると、該JavaScriptに基づき、ブロックを構成する6×6個のセルに当てはめる分割画像座標値と、各セルのブラウザ上における表示位置(各セルの原点位置を表示するピクセル座標位置)を算出する。そして、Webブラウザは、算出された分割画像座標値を識別情報としてWebサーバに該当する分割画像を要求する(Webサーバから既にダウンロードされてキャッシュメモリに保存されている分割画像についてはそれを使用する。)(図3のステップS3)。・・・」
「【図3】
[図:0001412231000002.jpg]
【図4】
[図:0001412231000003.jpg]
」
段落【0011】には、分割画像は分割画像座標値[x,y]の情報を含めた識別情報で特定(指定)されると記載されている。即ち、分割画像座標値が算出されないと特定されない。そして、段落【0014】、【0023】及び図3の「S3」には、HTMLに記述されているJavaScriptに基づき、セル(枠要素)のWebブラウザの表示位置や各セルにどの分割画像を割り当てるか、分割画像座標値をWebブラウザが算出していることが記載されている。換言すれば、Webブラウザは、サーバからJavaScriptが記述されているHTMLを受信する前の状態では、このような処理を行うことはできず、Webブラウザの表示領域内に表示する分割画像を特定する演算を実行することはできない。そして、Webブラウザは、この処理を行った後、該当する分割画像をサーバに要求している。そのため、Webブラウザは、サーバからJavaScriptが記述されているHTMLを受信する前の状態では、Webブラウザの画像を表示する表示領域内に表示する分割画像を特定していない。それは、JavaScriptの受信前において、図4に示す6×6個のセルに当てはめる分割画像を特定する情報が含まれていないことからもわかる。
そして、Webブラウザは、段落【0014】、【0023】及び図3に示すように、サーバからJavaScriptが記述されているHTMLを受信した後、JavaScriptによって枠要素の配列の演算を行っている。
よって、訂正事項1-3―3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合する。
オ 小括
以上のとおり、訂正事項1-3-1~1-3-3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。したがって、訂正事項3は、特許法第126条第5項に適合する。
5 訂正事項1-4
(1) 訂正の目的
訂正事項1-4は、請求項2に記載の発明に、
「前記画像の相対移動に伴い前記Webブラウザの表示領域から離れる前記分割画像に該当する位置から前記枠要素を削除し、前記Webブラウザの表示領域に近づく前記分割画像に該当する位置に前記枠要素を追加して画像に対する前記枠要素の配列の位置を変更し、追加する前記枠要素に、該当する位置の前記分割画像を当てはめて表示しまたは表示できる状態にし、」
を追加するものである。
よって、訂正事項1-4は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(2) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(1)のとおり、訂正事項1-4は、発明特定事項を限定するものであるから、当該訂正により訂正前の請求項2に記載された発明のカテゴリーを変更するものではなく、かつ、訂正前の請求項2に記載された発明の対象や目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1-4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第126条第6項に適合するものである。
同様に、訂正事項1-4は、訂正前の請求項2の記載を直接又は間接的に引用する訂正前の請求項3及び4の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記(1)のとおり、訂正前の請求項2の記載との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。また、訂正事項1-4は、訂正前の請求項2の記載についての訂正以外に、訂正前の請求項3及び4の記載について訂正するものではなく、請求項3及び4のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。したがって、訂正事項1-4は、訂正前の請求項3及び4との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
以上より、訂正事項1-4は、特許法第126条第6項に適合するものである。
(3) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1-4の内容は、以下のとおりである。
「前記画像の相対移動に伴い前記Webブラウザの表示領域から離れる前記分割画像に該当する位置から前記枠要素を削除し、前記Webブラウザの表示領域に近づく前記分割画像に該当する位置に前記枠要素を追加して画像に対する前記枠要素の配列の位置を変更し、追加する前記枠要素に、該当する位置の前記分割画像を当てはめて表示しまたは表示できる状態にし、」
訂正事項1-4は、下記明細書及び図面の記載に基づいて導かれる構成である。具体的には、段落【0032】、【0042】、【0055】及び図11には下記の記載がある。
「【0032】
スクロール制御
次に、以上のようにして初期表示がなされた後に、閲覧者のスクロール操作によりブラウザの表示画面上で画像を任意の位置に移動させる(つまり、閲覧位置を移動する)方法について説明する。図11は、スクロール操作による画像の移動動作を示す。図11では、画像18をX軸方向の右方向にXd(ピクセル値)、Y軸方向の下方向にYd(ピクセル値)移動させた場合(移動後の画像位置を符号18’で示す。)を示す。ブロック20は画像18と一体に移動するが、この移動によってブロック20はブラウザの表示領域16に対し相対移動し、何も手当をしなければ、ブロック20はいずれブラウザの表示領域16から外れてしまう。そこで、移動量に応じて画像18に対するブロック20の位置を変更し、これに伴い該ブロック20を構成する各セル22に対する分割画像の当てはめを更新する制御(ブロックの再設定)を併せて行う。このブロックの再設定により、ブロック20は常にブラウザの表示領域16全体を含む(ブラウザの表示領域16全体が常にブロック20内に含まれる)ように制御される。図11の例では、スクロール操作によりブロック20がブラウザの表示領域16に対し相対的に右方向に移動して、セルの境界線が1本ブラウザの原点を越えているので、ブロックの再設定により、右端の1列のセルが削除され、その分左端に1列のセルが追加されている。それらの間の5列のセルには変更はない。」
「【0042】
以上のようにして、再設定されたブロックを構成する6×6個のセルに当てはめるべき分割画像が求められる。6×6個のセルに当てはめるべき分割画像が求められたら、新たにブロックの領域に入ってきた分割画像について、未取得の場合はWebサーバに要求し、Webサーバから既にダウンロードされてキャッシュメモリに保存されている分割画像についてはそれを読み出して、それぞれ該当するセルに当てはめて表示する(図6、図7、図9、図11等から明らかなように、セルに当てはめられてもブラウザの表示領域から外れている分割画像はその時点では表示されないが、スクロール操作によりブラウザの表示領域に入ってくれば表示できる状態になっている)。なお、図9に示したように、各分割画像が当てはめられるセルのセル番号(各分割画像に割り当てられるセル番号)は、分割画像ごとに一意的に定まっている。前回のブロックの再設定からブロック内にとどまっている(スクロール操作によってもブロック内から出なかった)分割画像については、セル番号の変更はない。」
「【0055】
この出願には次の発明が記載されている。
《請求項1》
ビューアの画像を表示する表示領域よりも大きい画像を分割し該ビューアの表示領域に少なくとも一部が入る分割画像を該ビューアの表示領域に表示する画像表示方法において、
分割画像を個々に当てはめて表示する表示領域に相当する複数の枠要素の配列をビューアに設定し、該各枠要素に、該当する位置の分割画像をそれぞれ当てはめて表示しまたは表示できる状態にする画像表示方法。
《請求項2》
ビューアの画像を表示する表示領域よりも大きい画像を分割し該ビューアの表示領域に少なくとも一部が入る分割画像を該ビューアの表示領域に表示する画像表示方法において、
ビューアの表示領域に少なくとも一部が入る分割画像を含む、ビューアの表示領域に対し所定の位置関係にある、画像全体に対して限定された範囲の画像領域に含まれる分割画像を、個々に当てはめて表示する表示領域に相当する複数の枠要素の配列をビューアに設定し、該各枠要素に、該当する位置の分割画像をそれぞれ当てはめて表示しまたは表示できる状態にし、かつ、ビューアの表示領域に対する画像の相対移動が指示された時に、ビューアの表示領域に対する枠要素の移動すべき位置を演算して該位置に枠要素を移動し、該画像の相対移動に伴いビューアの表示領域から離れる分割画像に該当する位置から枠要素を削除し、ビューアの表示領域に近づく分割画像に該当する位置に枠要素を追加して画像に対する枠要素の配列の位置を変更し、該追加する枠要素に、該当する位置の分割画像を当てはめて表示しまたは表示できる状態にする画像表示方法。」
「【図11】
[図:0001412231000004.jpg]
」
段落【0032】、【0055】及び図11には、閲覧者のスクロール操作によって表示画面上の画像を移動させた場合、その移動量に応じてブロックの位置を変更すること、ブラウザ(ビューア)の表示領域から離れる分割画像に該当する位置からセル(枠要素)を削除し、ブラウザ(ビューア)の表示領域に近づく分割画像に該当する位置にセル(枠要素)を追加して画像に対するセル(枠要素)の配列の位置を変更していることが記載されている。
また、段落【0042】には、「セルに当てはめられてもブラウザの表示領域から外れている分割画像はその時点では表示されないが、スクロール操作によりブラウザの表示領域に入ってくれば表示できる状態になっている」との記載があり、該当するセル(枠要素)に当てはめられた分割画像は、表示されるものだけではなく、表示できる状態になっているものも含まれていることが記載されている。
したがって、訂正事項1-4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合する。
6 独立特許要件について
本件特許についての出願は、平成25年10月29日付け拒絶理由通知書において、拒絶理由を受けている。しかし、平成26年1月10日提出の手続補正書によって行った補正によって特許査定となっている。そして、訂正後の請求項2の発明は、特許査定となった請求項1の内容を構成要件に含んでおり、新規性及び進歩性を有する発明である。また、本件訂正に起因する記載不備も認められない。したがって、訂正後の請求項2の発明について、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせない。
また、訂正後の請求項2を引用する訂正後の請求項3、4に係る発明についても、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせない。
したがって、訂正後の請求項2-4の発明は、出願の際に独立して特許を受けることができるものであり、特許法第126条第7項に適合する。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-390143