商標取消審判
2020-300810
モモカ
- 審判番号
- 2020-300810
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2017-038307
- 登録番号
- 5989165
- 請求日
- 2020年11月05日
- 審決日
- 2021年10月12日
- 公報発行日
- 2022年02月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】植村 貴昭
- 【被請求人】株式会社 シードリーフ
- 【被請求人代理人】渡辺 隆一
- 審判長/審判官
- 審判長 平澤 芳行
- 審判官 佐藤 松江
- 審判官 鈴木 雅也
- 分類
- T131 .1 -Y (W03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項第1号、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5989165号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は,成り立たない。
審判費用は,請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5989165号商標(以下「本件商標」という。)は,「MOMOCA」の文字を標準文字で表してなり,平成29年3月21日に登録出願,第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人工軽石,つや出し紙,つや出し用研磨布,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として,同年10月20日に設定登録され,その商標権は現に有効に存続しているものである。
また,本件審判の請求の登録は,令和2年11月20日にされたものである。
なお,本件審判において,商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは,平成29年(2017年)11月20日ないし令和2年(2020年)11月19日である(以下「要証期間」という場合がある。)。
第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を以下のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第3類「化粧品,せっけん類」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)MMCとMOMOCAの同一性
被請求人は「MMC」が「MOMOCA」の略だとしているが,「MMC」が「MOMOCA」の略であるということの証明がされておらず,むしろ違うものである(乙11~乙14)。
ア 薬品医療機器等法(以下「薬機法」)第61条では製造販売届出書で届け出た製品の名称をその容器に直接または容器が小さい場合には梱包材に記載されていなければならない(http://www.tokyo-eiken.go.jp/k_yakuji/i-kanshi/cosme/c_label/)。
イ となると,「MMC」の表記では,「MOMOCA」の表示にならないことになる。
ウ また,薬機法によると,化粧品を販売する場合には化粧品製造販売届書に記載された販売名を記載する義務がある。「包装用箱の外観写真」(乙5)によると当該商品の販売名は「モモカ カラージェル」と記載されており,化粧品製造販売届書(乙13)に記載された販売名である「MMC ベースジェル」との記載は一切ない。当該商品を製造している株式会社フランネル(以下「フランネル」という。)は大阪府より化粧品の製造販売許可を受けている企業であり,このような化粧品製造販売許可を受けている企業にとっては一般常識とまでいえるような表示義務に反する不備をすることはないと推測される。とすれば,乙第1号証ないし乙第5号証の証拠は,薬機法の表示義務に反する商品であり,正式に製造販売されている商品ではないと考えるべきである。すなわち万一,実際に商品に「MOMOCA」が使われているとしても,その使用は違法な使用であり,正当な使用とはいえない。
(2)「使用」についての直接証拠の不存在
乙各号証からは,使用を準備していたことまでは証明されるかもしれないが,実際に消費者に対して販売・広告等するという「使用」をしたことの証拠は一切ない。
ア 乙第1号証ないし乙第5号証
包装用瓶及び包装用箱の外観写真(乙1~乙5)は,2021年2月25日付けであって審判請求以降の写真であり,審判請求の前の使用(消費者に対しての販売・広告等)の証明にはならない。なお,万が一この写真が審判請求の前の写真であったとしても,実際に消費者に対して販売・広告等するという「使用」をしたことの証拠とはならない。
イ 乙第6号証ないし乙第9号証
履歴事項全部証明書及びフランネルの定款(乙6~乙9)は,実際に消費者に対して販売・広告等するという「使用」をしたことの証拠とはならない。
ウ 乙第10号証ないし乙第14号証
請求書及び化粧品製造販売届書(乙10~乙14)は,販売等の準備をしていたとはいえる可能性があるが,実際に消費者に対して販売・広告等するという「使用」をしたことの証拠とはならない。
エ 乙第15号証
商品パンフレット(乙15)は,いつ作られたのか分からず,審判請求前とは証明できない。万一,審判請求前に作られていたとしても,これらが消費者に広告として頒布された証拠は何もなく,実際に消費者に対して販売・広告等するという「使用」をしたことの証拠とはならない。
オ 乙第16号証
商標登録公報(乙16)は,実際に消費者に対して販売・広告等するという「使用」をしたことの証拠とはならない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第36号証を提出した。
1 商標の使用者
「モモカ ベースジェル」,「モモカ プロフェッショナルベースジェル」,「モモカ ノンワイプトップジェル」及び「モモカ カラージェル」の包装用瓶の外観写真(乙1~乙4)並びに「モモカ カラージェル」の包装用箱の外観写真(乙5)は,いずれも,「ジェルネイル(爪用化粧品)」の製造販売元として,「株式会社フランネル」の社名が明示されている(以下,フランネルが製造するジェルネイルをまとめて「本件商品」ということがある。)。
「株式会社シードリーフ」(以下「シードリーフ」という。)の履歴事項全部証明書(乙6)は,本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)であるシードリーフの代表取締役が北原千浪であると記載され,また,フランネルの定款(乙8)には,第6章 附則 第32条及び第33条に,設立に際して北原千浪が引き受ける株式の数等が記載されており,フランネルが北原千浪の100%出資会社であること(北原千浪がフランネルのオーナーであること)が明記されている。本件商標権者(シードリーフ)は,その代表取締役 北原千浪の100%出資会社であるフランネルに,本件商標の使用を黙示で許諾し使用を継続させていたものである(乙1~乙8)。
本件商品の製造は,シードリーフの指示に基づくものであり,フランネルは,通常実施権者であるとともに,会社設立の経緯や現在の関係等に鑑みても分かるように,シードリーフの一機関的に,本件商品を製造している。換言すると,通常実施権者でもあるフランネルは,シードリーフの製造部門である。製造設備を有するフランネルは,化粧品製造販売届書(乙11~乙13)を平成29年6月22日付けで大阪府に提出している。
2 使用に係る商品
(1)本件商品の外観写真(乙1~乙5)には,「モモカ ベースジェル(爪用化粧品)」,「モモカ プロフェッショナルベースジェル(爪用化粧品)」,「モモカ ノンワイプトップジェル(爪用化粧品)」,「モモカ カラージェル(爪用化粧品)」の商品名が明記されており,本件商標の指定商品のうち化粧品の一種である「ジェルネイル(爪用化粧品)」について使用していることは明らかである。
(2)「MOMOCA」商品のパンフレット(乙15)の作成年月日は記載されておらず不明であるが,商品名や包装用瓶(乙1~乙4)の外観が示されており,いずれも本件商品について使用していることを明瞭に表している。
3 使用に係る商標
本件商品の外観写真(乙1~乙5)には,「ジェルネイル(爪用化粧品)」の包装用瓶又は包装用箱に商標「MOMOCA」を付している。
4 使用時期
シードリーフから「株式会社J.THREE」(乙9:以下「J.THREE」という。)に対して平成30年4月25日付けで発行した請求書(乙10)中には,「モモカ ベースジェル」,「モモカ プロフェッショナルベースジェル」,「モモカ ノンワイプトップジェル」,及び「モモカ カラージェル」の費用を請求したことが明示されている。当該請求書中の商品名は,外観写真(乙1~乙5)と合致していて,当該請求書の存在は商取引が正常に成立したことを表しており,本件商標が少なくとも平成30年4月25日には使用されていたことが分かる。
5 要証期間内に本件商品に本件商標が付された事実を示す証拠について
(1)平成30年4月12日付け(要証期間内)で千田印刷株式会社からシードリーフに対して発行したシール等(ラベル等)の納品書(乙36)は,「momoca ジャータイプ小箱」を7000枚,「momoca 発売元シール」を2000枚納品した旨が記載され,「momoca ジャータイプ小箱」の木型代や,「momoca 発売元シール」の版代及び刃型代も合わせて記載されている。当該納品書は,商標「MOMOCA」の文字が明記されているから,本件商品に貼られたラベルは,本件商標権者が,要証期間内に日本国内において付したものであることが分かる。
(2)また,合同会社Amazonの商品販売ウェブページ(乙18)には,本件商品の外観写真(乙4)と同じ商品が示され,その登録情報の欄には,「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日:2019/4/8」,「メーカー:MASPIS」と示されているから,本件商品は,遅くとも2019年4月8日には「Amazon,co.jpでの取り扱い」が開始されており,要証期間内である2019年4月8日の時点でジェルネイル(乙4)に本件商標が付されていたことが分かる。
6 本件商品が譲渡又は引き渡された事実を示す証拠
シードリーフからJ.THREEに対して,平成30年4月19日付けで発行した納品書(乙19)は,「モモカ ベースジェル」を100個,「モモカ プロフェッショナルベースジェル」を100個,「モモカ ノンワイプトップジェル」を100個,及び「モモカ カラージェル」を4200個納品した旨が記載されている。また,備考欄の下に手書きで「4/19pmピックアップ済2人」と,納品状況の確認的な記載がある。
上記の「モモカ」に関する内容は,請求書(乙10)の「モモカ」に関する商品名だけでなく,数量等とも一致しているから,商取引が正常に成立したことを示している。つまり,本件商品を要証期間内に日本国内において,本件商標権者がJ.THREEに譲渡した事実は明らかである。
7 本件商標の使用行為について
(1)被請求人である本件商標権者は,ジェルネイル及びその包装に,本件商標を付したラベルを貼付していることから(乙1~乙5,乙36),その行為は,商標法第2条第3項第1号に該当する。
(2)また,本件商標権者は,本件商標を付したラベルが貼られたジェルネイルを,本件商標権者の代表取締役の北原千浪がオーナーであるフランネルに製造させ(乙7,乙8),それを要証期間内に日本国内において,第三者(卸売業者)であるJ.THREEに譲渡していることから(乙10,乙18,乙19),その行為は,商標法第2条第3項第2号に該当する。
8 流通システム(販売ルート)について
EY新日本有限責任監査法人のウェブページ「第1回:化粧品・トイレタリー業界の範囲と各種流通システムの解説」(乙17)に記載のとおり,化粧品・トイレタリー業界には特徴的に流通システム(販売ルート)が複数存在する。本件商標を付したジェルネイル(爪用化粧品)の流通システムは,「卸売業者を経由した流通システム」に該当するものであり,本件商品は実際に,メーカーに当たる本件商標権者から,卸売業者のJ.THREEを通じて,小売業者に当たる「株式会社MASPIS(以下「MASPIS」という。)」に販売されたものである。そしてその後,「MASPIS」から消費者(エンドユーザー)に販売されたものである。
9 追加する証拠について
(1)「MMC ポリッシュ ベース」及び「MMC ポリッシュ トップ」からなるジェルネイルセットの包装用瓶の正面側外観写真(乙20)には,包装用瓶のラベル正面に本件商標を付しており,当該ジェルネイルセットの包装用瓶の背面側外観写真(乙21)「MMC ポリッシュ ベース」及び「MMC ポリッシュ トップ」の商品名,製造販売元としてフランネルの社名,販売元として「有限会社アムズ」(以下「アムズ」という。)」の社名が記されている(乙20,乙21は,本件審判請求後(要証期間外)に撮影したもの。)。
包装用瓶の形態が以前の商品(乙1~乙4)のものと変わったのは,シードリーフの営業努力の結果,本件商品の販売元がアムズに変わり,その際に,アムズ側から包装用瓶の形態変更の要望があったためであり,上記8と同様に,上記ジェルネイルセットは実際に,メーカーに当たる本件商標権者から,小売業者に当たるアムズを通じて,消費者(エンドユーザー)に販売されたものである。
「MMC ポリッシュ ベース」の化粧品製造販売届書(乙22)及び「MMC ポリッシュ トップ」の化粧品製造販売届書(乙23)に示すように,フランネルは,要証期間内である令和2年1月14日にこれらの化粧品製造販売届書を大阪府に提出している。このため,本件商品の製造販売元として,フランネルの社名が明示されている。
(2)アムズからシードリーフに対する注文書(乙24)は,令和2年3月17日に,アムズからシードリーフに「MOMOCA ジェルネイルキット」1個を注文したことが記載されている。なお,「MOMOCAジェルネイルキット」とは,上記ジェルネイルセット(乙20,乙21)のことであるが,乙24以降の各号証では,「MOMOCAジェルネイルキット」,「MOMOCAジェルネイルセット」の用語が混用されて記載されている。
シードリーフからアムズに対する納品書(乙25)は,2020年3月19日に,シードリーフからアムズに「MOMOCAジェルネイルセット」を納品したことが記載されている。また,シードリーフからアムズに対する請求書(乙27)は,「MOMOCAジェルネイルセット」1個の費用を請求したことが記載されている。
アムズに注文を出した消費者ヘシードリーフから本件商品を直接発送した送り状(乙26)から分かるように,「MOMOCAジェルネイルセット」は,アムズに注文した消費者ヘシードリーフから直接発送されている。このため,納品書(乙25)及び請求書(乙27)には,「送料」についても記載されている。
上記書面のいずれにも,本件商標「MOMOCA」が明示されているとともに,注文書番号の「20-1」が記載されている。
したがって,納品された商品は,「MOMOCAジェルネイルセット」(乙20,乙21)であり,上記の商取引が正常に成立していたことは明らかである。
(3)アムズからシードリーフに対する注文書(乙28)は,令和2年6月10日に,アムズからシードリーフに「MOMOCA ジェルネイルキット」1個を注文したことが記載されている。
シードリーフからアムズに対する納品書(乙29)は,2020年6月18日に,シードリーフからアムズに「MOMOCAジェルネイルセット」を納品したことが記載されている。また,シードリーフからアムズに対する請求書(乙31)は,「MOMOCAジェルネイルセット」1個の費用を請求したことが記載されている。
納品書(乙29)及び請求書(乙31)には,アムズに注文した消費者ヘシードリーフから本件商品を直接発送したことによる「送料」についても記載されている。
上記書面のいずれにも,本件商標「MOMOCA」が明示されているとともに,「注文番号P166804687024429323」が記載されている。
したがって,この場合も納品された商品は,「MOMOCAジェルネイルセット」(乙20,乙21)であり,上記の商取引が正常に成立していたことは明らかである。
(4)アムズからシードリーフに対する注文書(乙32)は,令和2年10月19日にアムズからシードリーフに「MOMOCA ジェルネイルキット」1個を注文したことが記載されている。
シードリーフからアムズに対する納品書(乙33)は,2020年10月23日に,シードリーフからアムズに「MOMOCAジェルネイルセット」を納品したことが記載されている。また,シードリーフからアムズに対する請求書(乙35)は,「MOMOCAジェルネイルセット」1個の費用を請求したことが記載されている。
納品書(乙33)及び請求書(乙35)には,アムズに注文した消費者ヘシードリーフから本件商品を直接発送したことによる「送料」についても記載されている。
上記書面のいずれにも,本件商標「MOMOCA」が明示されているとともに,「注文番号P168059979384073432」が記載されている。
したがって,この場合も納品された商品は,「MOMOCAジェルネイルセット」(乙20,乙21)であり,上記の商取引が正常に成立していたことは明らかである。
(5)本件商標権者は,本件商標「MOMOCA」を付したラベルが貼られたジェルネイルを,フランネルに製造させ(乙7,乙8),それを要証期間内に日本国内において,販売元アムズを通じて消費者に譲渡していることから(乙20~乙35),その行為は,商標法第2条第3項第2号に該当する。
10 その他
「MMC ベースジェル」,「MMC トップジェル」及び「MMC カラージェル」の化粧品製造販売届書(乙11~乙13)並びに「MMC ポリッシュ ベース」の化粧品製造販売届書(乙22)及び「MMC ポリッシュ トップ」の化粧品製造販売届書(乙23)は,販売名として「MMC」の表記を使っているが,これは大阪府の化粧品製造販売届/届出事項変更届についてのホームページ(乙14)の(オ)の項目に「アルファベット,数字,記号等はできるだけ少なくすること。(アルファベット等は販売名の文字数の過半数を超えないこと。)」と記載されていることから,「MOMOCA」の表記を「MMC」と略した形で申請したものであり,これらの化粧品製造販売届書の存在は,本件商品が適法に販売されていることを証明するものである。
11 まとめ
以上のとおり,本件商標権者が,要証期間内に,日本国内においてその請求に係る指定商品のうち化粧品の一種であるジェルネイルについて,本件商標を使用している。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及びその提出に係る乙各号証によれば,以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者は,化粧品の製造・販売・輸入等を事業とする企業であり(乙6),フランネルは,化粧品の開発,製造,販売及び輸出入等を事業とする企業であって,本件商標権者の代表者はフランネルの定款において,フランネルの株式の100%を出資している(乙8)。
(2)商品外観の写真について
ア 被請求人が本件商標を使用したと主張する「モモカ ベースジェル」,「モモカ プロフェッショナルベースジェル」,「モモカ ノンワイプトップジェル」及び「モモカ カラージェル」の包装用瓶の外観写真並びに「モモカ カラージェル」の包装用箱の外観写真(いずれも撮影日は2021年2月25日)には,包装用瓶に貼付されたラベル又は包装用箱に「爪用化粧品」の記載があり,「製造発売元」として「株式会社フランネル」の記載がある(乙1~乙5)。
イ 被請求人が本件商標を使用したと主張する「ジェルネイルセット」の包装用瓶の背面側外観写真(撮影日は2021年6月16日)には,包装用瓶に貼付されたラベルに「MMC ポリッシュ トップ5g(爪用化粧品)」及び「MMC ポリッシュ ベース5g(爪用化粧品)」の記載があり,「製造発売元」として「株式会社フランネル」の記載がある(乙21)。
(3)シードリーフとアムズとの取引について
ア 令和2年(2020年)3月17日付けのアムズ作成に係るシードリーフ宛ての「注文書」には,アムズからシードリーフに「MOMOCA ジェルネイルキット」1個を注文する旨の記載があり,これに対して,同月19日付けのシードリーフ作成に係るアムズあて「納品書」には,シードリーフからアムズに品名「MOMOCAジェルネイルセット」等を納品した旨の記載があり,また,同日受付の送り状の記載により品名「MOMOCA ジェルネイルキット」がシードリーフから顧客に発送されたことがうかがえる。さらに,同月31日付けのシードリーフ作成に係るアムズ宛て「請求書」には,シードリーフからアムズに対し,品名「MOMOCAジェルネイルセット」1個の費用等を請求した旨の記載がある。そして,上記書類には,いずれも,「注文番号(No.)」として「20-1」の記載があり,「納品書」及び「請求書」には,「MOMOCAジェルネイルセット」の文字の記載,「北原」又は社印の押印がある(乙24~乙27)。
イ 令和2年(2020年)6月10日付けのアムズ作成に係るシードリーフ宛ての「注文書」には,アムズからシードリーフに「MOMOCA ジェルネイルキット」1個を注文する旨の記載があり,これに対して,同月18日付けのシードリーフ作成に係るアムズ宛て「納品書」には,シードリーフからアムズに品名「MOMOCAジェルネイルセット」等を納品した旨の記載があり,また,同月10日受付の送り状の記載により品名「MOMOCAジェルネイルキット」がシードリーフから顧客に発送されたことがうかがえる。さらに,同月30日付けのシードリーフ作成に係るアムズ宛て「請求書」には,シードリーフからアムズに対し,品名「MOMOCAジェルネイルセット」1個の費用等を請求した旨の記載がある。そして,上記書類には,いずれも「注文番号(No.)」として「P166804687024429323」の記載があり,「納品書」及び「請求書」には,「MOMOCAジェルネイルセット」の文字の記載,「北原」又は社印の押印がある(乙28~乙31)。
ウ 令和2年(2020年)10月19日付けのアムズ作成に係るシードリーフ宛ての「注文書」には,アムズからシードリーフに「MOMOCA ジェルネイルキット」1個を注文する旨の記載があり,これに対して,同月23日付けのシードリーフ作成に係るアムズ宛て「納品書」には,シードリーフからアムズに品名「MOMOCAジェルネイルセット」等を納品した旨の記載があり,また,同月19日受付の送り状の記載により品名「MOMOCAジェルネイルキット」がシードリーフから顧客に発送されたことがうかがえる。さらに,同月31日付けのシードリーフ作成に係るアムズ宛て「請求書」には,シードリーフからアムズに対し,品名「MOMOCAジェルネイルセット」1個の費用等を請求した旨の記載がある。そして,上記書類には,いずれも,「注文番号(No.)」として「P168059979384073432」の記載があり,「納品書」及び「請求書」には,「MOMOCAジェルネイルセット」の文字の記載,「北原」又は社印の押印がある(乙32~乙35)。
2 上記1において認定した事実によれば,以下のとおり判断できる。
(1)使用商品について
本件商標を使用したと主張する本件商品は,上記1(2)のとおり,包装用瓶に貼付されたラベル及び包装用箱の記載により「爪用化粧品」と認められるから,本件審判の請求に係る指定商品中「化粧品」に含まれる商品である(以下「本件使用商品」という。)。
(2)使用商標について
ア 本件商標権者とアムズの間には,上記1(3)のとおり,令和2年(2020年)3月17日から同年10月31日にかけて,3回にわたる取引に係る書類(「注文書」,「送り状」,「納品書」及び「請求書」)が存在するところ,いずれもその対象となる品名として「MOMOCAジェルネイルセット」ないし「MOMOCA ジェルネイルキット」の記載があり,被請求人の説明によれば「MOMOCAジェルネイルセット」と「MOMOCA ジェルネイルキット」は,同じ商品(「ポリッシュ トップ」及び「ポリッシュ ベース」からなる「ジェルネイルセット」:乙20,乙21)を指すものであるから,上記各書類は,本件使用商品(爪用化粧品)についての取引書類であると認められる。
イ 上記アの取引書類によれば,本件商標権者は,アムズから商品の「注文書」を受けて「送り状」により顧客に当該商品を発送するとともに,2020年3月19日付け及び同月31日付け(乙25,乙27),同年6月18日付け及び同月30日付け(乙29,乙31),同年10月23日付け及び同月31日付け(乙33,乙35)で,それぞれ代表者の氏の印又は社印が押印された当該商品の「納品書」及び「請求書」(以下「本件取引書類」という。)をアムズ宛てに発行しているから,本件商標権者は,アムズとの取引に際し,本件取引書類に「MOMOCAジェルネイルセット」の標章(以下「使用商標」という場合がある。)を付したものと認められる。
ウ 本件商標は,上記第1のとおり,「MOMOCA」の文字を標準文字で表してなるものである。
これに対し,使用商標は,「MOMOCAジェルネイルセット」の文字からなるところ,その構成は,「MOMOCA」の文字と「ジェルネイルセット」の文字を結合したものであるから,視覚上,「MOMOCA」と「ジェルネイルセット」とに分離して把握されるものと認められる。そして,その構成中の「ジェルネイルセット」の片仮名は,商品の普通名称を表す「ジェルネイル」の文字と,「一組。一式。」の意味を有し(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店),各種商品に当該意味合いで一般的に用いられる「セット」の文字を結合したもので,「一組のジェルネイル」という本件使用商品の品質等を表すにすぎない文字と認められるから,その余の「MOMOCA」の欧文字が自他商品の識別標識としての機能を有する部分として認識,理解されるというのが相当である。
そうすると,使用商標の構成中の「MOMOCA」の欧文字は,本件商標とその構成文字を同じくするものであるから,本件商標と使用商標とは,社会通念上同一の商標と認められるものである。
(3)使用者について
上記1(1)のとおり,本件商標権者の代表者はフランネルの定款において,フランネルの株式の100%を出資しているから,本件商品の製造は,シードリーフの指示に基づくものであるとの被請求人の主張に不自然な点はなく,上記(2)のとおり,本件商標権者は,アムズとの取引に際し,本件取引書類に使用商標を付して取引していることから,本件商標の使用者は,本件商標権者であると認められる。
(4)使用時期及び使用行為について
本件商標権者は,上記(2)のとおり,2020年3月19日付け及び同月31日付け,同年6月18日付け及び同月30日付け,同年10月23日付け及び同月31日付けで,本件商標と社会通念上と同一と認められる使用商標を付した本件取引書類をアムズ宛てに発行しているから,2020年3月19日から同年10月31日にかけて,本件使用商品に関する取引書類に,本件商標と社会通念上と同一と認められる使用商標を付してアムズに頒布したものと認められる。
(5)小括
上記(1)ないし(4)により,本件商標権者は,要証期間に含まれる令和2年(2020年)3月19日から同年10月31日にかけて,日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品に含まれる商品の取引書類に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して頒布したものと認められる。
本件商標権者による上記行為は,商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,要証期間に日本国内において,本件商標権者が,本件審判の請求に係る指定商品中の第3類「化粧品」に含まれる「爪用化粧品」について,本件商標の使用をしていたことを証明したというべきである。
したがって,本件商標の指定商品についての登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
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