商標取消審判
2023-300344
スライム
- 審判番号
- 2023-300344
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1995-066236
- 登録番号
- 4035302
- 請求日
- 2023年05月26日
- 審決日
- 2024年06月17日
- 公報発行日
- 2024年09月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】植村 貴昭
- 【被請求人】株式会社 ナボカルコスメティックス
- 【被請求人代理人】涌井 謙一
- 【被請求人代理人】山本 典弘
- 【被請求人代理人】鈴木 一永
- 【被請求人代理人】工藤 貴宏
- 【被請求人代理人】三井 直人
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 分類
- T131 .1 -Y (003)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第1号、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4035302号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第4035302号商標(以下「本件商標」という。)は、「SLIME」の文字を横書きしてなり、平成7年6月30日に登録出願、「化粧品」を含む第3類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同9年8月1日に設定登録され、その後、指定商品については、商標登録の取消審判(取消2010-300836号)により、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用漂白剤」について取り消すべき旨の審決がされ、平成23年1月14日にその確定審決の登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和5年6月21日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、令和2(2020)年6月21日から令和5(2023)年6月20日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである旨主張した。
なお、請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら意見を述べていない。
3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第19号証を提出した。
(1)被請求人及び被請求人の業務について
被請求人は、昭和49年(1974年)9月に「自然物美容研究所」として創業し、その後、昭和55年(1980年)2月より、株式会社ナボカルコスメティックスの名称となり、現在に至るまで営業を継続しており(乙3)、「化粧品・シャンプー・健康食品」といった各種商品を取り扱っている(乙4)。
被請求人の取扱商品は、美容サロンなどのサロン向けの業務用商品及びサロンで販売される商品が主である(乙5、6)。
(2)本件商標及びその使用態様
本件商標は、欧文字「SLIME」を横書きしてなり、「スライム」の称呼を生じ、「ねばねばするもの」「粘液」等の観念を生ずる語と認められる。
今回提出する各証拠には、本件商標が指定商品中の「化粧品」に使用されている事実が示されている。
商品「SLIME」の「PERSPI GEL」及び「ROLLING FRESH」の商品及び包装箱を撮影した画像の写しにおいて、商品及び商品の包装箱の正面上部に、いずれも大きく商標「SLIME」が付されており、それらの背面部分には「SLIME」の文字に相応する「スライム」の文字が付され、販売元として被請求人の名称が、製造販売元として「株式会社サリエンス」(以下「サリエンス社」という。)の名称が付されている(乙7、8)。
また、当該商品の包装箱の背面に「ホットな感触で肌を温めながらフェイスラインを整えハリを与えるジェルパックです。」(乙7)、「ひんやりとクールな感触で肌にハリを与えるジェル状パックです。」(乙8)とあることから、これらが「化粧品」に属する商品であることは明らかである。
なお、サリエンス社は、1986年7月に設立された企業であり、被請求人が化粧品の製造を委託している企業である(乙3)。
次に、例えば、納品書(控)及び請求書の写しの品名の欄には、乙第7号証及び乙第8号証の商品と一致する商品名が記載され「スライム」の語が使用されていることが把握できる(乙9~14)。
上記各証拠に付されている「SLIME」や、「SLIME」を片仮名書きにし、これと観念も共通する「スライム」は、本件商標と同一又は本件商標と社会通念上同一の商標であることが明らかである。
なお、取引書類の記載上は「スライム パースピジェル」や「スライム ローリングフレッシュ」のような記載にはなっているものの、商品及び商品の包装箱を撮影した画像の写しにおいて、その商品正面部分を見れば「SLIME」と「PERSPI GEL」及び「ROLLING FRESH」の語は離れた場所に異なる大きさの文字で表示され、商品背面についても「スライム」と「パースピジェル」及び「ローリングフレッシュ」が二段書きで表示されている。これらのことから、「SLIME(スライム)」という商品シリーズの「パースピジェル」又は「ローリングフレッシュ」を指すものであることは容易に理解でき、このような記載が「SLIME」の商標が使用に該当しないとの理由にはならない。
以上のとおり、被請求人は商標「SLIME」及びその片仮名書きである「スライム」を商品に付し、また付した商品を譲渡等し、取引書類である「納品書(控)」や「請求書」にも記載しており、これらは、少なくとも商標法第2条第3項第1号、同項第2号及び同項第8号の使用に該当する行為である。
(3)本件商標の使用者
本件商標は、商標権者である被請求人がその商品について使用している。
(4)商標の使用の事実及び時期等について
第一に、前記(2)のとおり、商品に「SLIME」またはその片仮名書き「スライム」が付されていることを確認でき、当該商品が「化粧品」に属する商品であることもわかる(乙7、8)。
第二に、「スライム パースピジェル」及び「スライム ローリングフレッシュ」について、既に平成21年には、被請求人が当該商品の製造を依頼しているサリエンス社の名において、「化粧品製造販売届書」に係る申請を行っていることを確認することができ、当該商品が古くから存在していたものであることが推認できる(乙16、17)。
第三として、本件商標が付された商品が要証期間において実際に取引されていたことを立証する。
顧客の一つである「スペースベル」に対する、令和2年(2020年)12月7日付け及び令和3年(2021年)7月8日付けの納品書(控)の写し及び当該納品実績に基づいた請求書の写しには、乙第7号証等と一致する「スライム パースピジェル」の記載があり、数量、伝票番号も一致している(乙9~12)。
また、顧客の一つである「ジャパンエステティック」に対する納品書(控)の写し及び当該納品実績に基づいた請求書の写しからも、要証期間である令和3年(2021年)4月に、本件商標が使用された「スライム ローリングフレッシュ」の取引があったことがわかる(乙13、14)。
上記取引のいくつかについて、顧客から取引に係る入金があったことを示すために、被請求人の銀行の通帳の写しを提出する(乙18、19)。通帳の表紙と令和3年(2021年)の1月及び同年8月の明細の頁の写しにより、顧客である「スペースベル」より入金があったことを確認でき、振込手数料の負担分を差し引けば、請求額と入金額が一致していることが確認できる。
上記から、要証期間において、顧客から本件商標を使用した「化粧品」の注文があり、これを納品・請求したうえで、顧客から請求金額に対する入金があること、すなわち、本件商標を使用した商品の取引が実際に行われていることを容易に理解できる。
(5)まとめ
以上の点を総合して考慮すれば、被請求人が、本件商標及びこれと社会通念上同一の商標を使用した「化粧品」に属する商品を取り扱っており、要証期間内に、「商品又は商品の包装に標章を付する行為」「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡等する行為」「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」をしていることが把握できる。したがって、商標法第2条第3項第1号、同項第2号及び同項第8号に該当する行為を行っており、本件商標が要証期間において、商標権者である被請求人により使用されていることは明らかである。
4 当審の判断
(1)事実認定
被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
ア 被請求人は、昭和49年(1974年)9月に創業、昭和55年(1980年)2月より、その名称を現在の名称である「株式会社ナボカルコスメティックス」とし、昭和61年(1986年)7月には化粧品等を製造するサリエンス社を設立、化粧品、シャンプー等の各種商品を取り扱っている(乙3、4)。
イ 商品の容器及び包装箱の正面上部に「SLIME」の文字、正面下部に「PERSPI GEL」の文字、同背面上部に「スライム パースピジェル 〈パック〉 NET 130g」の文字、背面下部に発売元として被請求人(本件商標権者)、製造販売元としてサリエンス社の記載があり、また、上記包装箱の背面中程には、「ホットな感触で肌を温めながらフェイスラインを整えハリを与えるジェルパックです。」の記載がある(乙7)。
ウ(ア)2020年12月7日の被請求人から「リンパセラピー・サロン スペースベル」に宛てた納品書には、「No.51347」の記載があるほか、品名として「スライム パースピジェル (発汗パック) 130g」、数量及び単位として「3個」、お客様コード、「摘要:12/8 16~18時着希望」の記載、並びに請求額の記載がある(乙9)。
(イ)2020年12月31日締切分の被請求人から「リンパセラピー・サロン スペースベル」に宛てた請求書には、伝票日付、伝票番号、品名、数量、お客様コード、到着希望日時及び請求額の記載があり、それらは上記(ア)の納品書に記載された内容と一致しており、振込先の銀行口座が指定されている(乙10)。
(ウ)被請求人の預金通帳の写しには、2021年1月15日付けで「スペースベル」からの入金が記録されており、当該入金額は、上記(ア)及び(イ)における請求額から振込手数料相当額を差し引いた額と一致する(乙18)。
(2)判断
前記(1)で認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
ア 使用商標
本件商標は、「SLIME」の文字をセリフ体の書体で表してなる商標である。
これに対し、使用に係る商標は、「SLIME」の文字をセリフ体の書体で表してなる商標(以下「使用商標」という。)であると認められる。
本件商標と使用商標とは、字間の幅及び子細にみれば「M」の垂直の直線部の角度がやや異なるという相違があるが、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標というのが相当であり、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。
イ 使用商品
使用に係る商品は、前記(1)イの認定事実からすれば、「美顔用パック」(以下「使用商品」という。)と認められ、これは、本件審判の請求に係る指定商品中の「化粧品」に含まれるものである。
ウ 使用時期、使用行為及び使用者
前記(1)ウの認定事実からすれば、使用商品が、少なくとも2020年(令和2年)12月8日に東京都所在の商標権者から国内所在の顧客に対して納品(譲渡)されたものと認められ、前記(1)イの認定事実によれば、この譲渡にあたり、使用商品の包装(容器、包装箱)に使用商標が付されていたものとみるのが相当である。
そして、当該日は、要証期間内である。
エ 小括
本件商標の商標権者は、要証期間内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を、本件審判の請求に係る指定商品中の「化粧品」に含まれる商品について使用したと認められる。
そして、この行為は、商標法第2条第3項第2号にいう「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為」に該当する。
(3)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者が、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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