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商標取消審判

2024-300561

エーケーエー、アカ、エイケイエイ

審判番号
2024-300561
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2016-122635
登録番号
5944234
請求日
2024年08月13日
審決日
2025年07月23日
公報発行日
2025年10月31日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【請求人】牛乳石鹸共進社 株式会社
  • 【請求人代理人】洲崎 竜弥
  • 【被請求人】オリエントインプレッション 株式会社
  • 【被請求人代理人】水野 浩司
  • 【被請求人代理人】松下 亮
  • 【被請求人代理人】納口 慶太
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 豊瀬 京太郎
  • 審判官 清川 恵子
分類
T131 .1 -Z (W03)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第2項、商標法第50条、商標法第50条第1項、商標法第38条第5項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第5944234号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 登録第5944234号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第5944234号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成28年11月4日に登録出願、第3類「愛玩動物用入浴剤(医療用のものを除く),愛玩動物用シャンプー」を指定商品として、同29年4月28日に設定登録がされ、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和6年8月28日である。 なお、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和3年(2021年)8月28日ないし同6年(2024年)8月27日である(以下「要証期間」という場合がある。)。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証(以下、証拠の表記にあたっては「甲(乙)第〇号証」を「甲(乙)〇」のように記載する。)を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品(以下「請求に係る商品」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)本件商標は、欧文字表記の「AKA」(以下「欧文字部分」という。)と片仮名表記の「エーケーエー」(以下「片仮名部分」という。)とを上下二段に横書きしてなるものであるところ、欧文字部分のみの使用をもって、本件商標と社会通念上同一の商標の使用が認められるとの主張は妥当ではない。 ア 登録商標と社会通念上同一の商標と認められる一態様として、商標法第38条第5項かっこ書において「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」が規定されており、被請求人が指摘する審判便覧53-01においては、「登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部が観念を同一とするときに、その一方の使用」が社会通念上同一の商標の使用と認められる旨が示されている。 しかし、本件商標は、その欧文字部分から「エーケーエー」の称呼のほか、「アカ」の称呼が生じるものである。そうすると、本件商標は、その欧文字部分より、特定の観念が生じないか、「赤(色)」又は「垢」ほどの観念が生じるものである。また、本件商標は、その片仮名部分より、「エーケーエー」の称呼が生じ、特定の観念が生じないものである。 そうすると、本件商標は、その欧文字部分及び片仮名部分より、同一の称呼及び観念が生じるものとはいえないため、欧文字部分のみの使用によっては、本件商標と社会通念上同一の商標の使用は認められないとみるのが相当である。 イ 被請求人が指摘する取消2016-300357号審決、及び平成29年(行ケ)第10118号判決では、欧文字表記の「PRTIMES」と片仮名表記の「ピーアールタイムズ」とを上下二段に横書きしてなる登録商標の使用について判断されているところ、当該登録商標は上段及び下段の文字から同一の称呼及び観念が生じるものであるとともに、商標権者より上段及び下段の文字の両方について使用証拠が提出されている事案であるため、本件とは無関係であり、上記審決及び上記判決に基づき、「一方の使用は、社会通念上同一と認められる」と主張することは妥当ではない。 ウ 被請求人は、「本件商標は、二段併記された商標の内、「AKA」というローマ字表記を、商標登録がされた平成29年4月28日以降、継続的に使用を行なっている」旨を主張しているが、欧文字部分のみの使用をもって、本件商標と社会通念上同一の商標の使用が認められるとの主張は妥当でなく、要証期間内には欧文字部分の使用も認められない。 (2)被請求人は、「納入された完成品を自社サイトにおいて販売及び輸出している」旨を主張しているが、当該完成品の販売及び輸出の事実を示す納品書、領収書又は請求書などの取引書類の提出がないため、本件商標の欧文字部分が付された商品が要証期間内に販売又は輸出されたのか不明である。 また、乙4の2(本件製品の裏面の写真。以下乙4の写真の「AKAペット用浴用料(錠剤)50錠」とする商品を「本件製品」という。)の右下部分には、「MADE IN JAPAN」の近傍に「2018.08.30」の記載があることから、本件製品は2018年8月30日に製造されたことが推察される。 上述のとおり、本件商標の欧文字部分が付された商品が要証期間内に販売又は輸出された事実を示す取引書類の提出がなく、要証期間の始期(2021年8月28日)より3年前に製造された商品が要証期間内に販売又は輸出されたことを示唆する又は推測させるような証拠の提出もないことから、要証期間内の使用を認めることはできない。また、上記(1)において述べたとおり、欧文字部分の使用によって、本件商標と社会通念上同一の商標の使用があったとみることは妥当ではない。 (3)被請求人は、「2020年及び2021年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、サイト運営及び本件製品の販売活動を充分に行うことができなかった」旨を主張しているが、当該主張のみによって、本件商標の使用をしていないことについての「正当な理由」(商標法第50条第2項ただし書)があると認められないことはいうまでもない。 また、被請求人は、要証期間内に「犬猫ペット用品専門店AKANE」なるサイトの制作をし、現在、本サイトを本件商標権者が運営・管理している旨を主張しているが、本件商標の使用については何ら記載されていないため、これらの事実によって、要証期間内に本件商標の使用があったことは認められない。 さらに、被請求人は、「パック詰めをしていない個包装の状態の製品については、上記したサイトと並行して、2024年5月より中国のインターネット通販サイト「taobao」においても販売している」旨を主張しているが、中国において上記個包装の状態の製品が販売されていることを示す証拠は何ら提出されておらず、仮に中国において当該製品が販売されていたとしても、要証期間内に日本国内において商品が販売又は(日本から中国に向けて)輸出されたことを示す証拠の提出もないことから、要証期間内に日本国内において本件商標の使用があったことは認められない。 (4)昨今、ECサイトを通じた商品の販売が活発に行われているところ、ECサイトに商品の掲載はあるものの、実際は在庫切れ、又は生産終了若しくは販売中止などの事情で商品の販売がなされていないケースも多い。このようなケースでは、商標の表示が外見上残っていたとしても、実質的には商標の使用が継続しているとは認められない。なぜなら、ECサイトに商品の掲載があることのみをもって、いわゆる商標の宣伝広告的な使用(商標法第2条第3項第8号)が認められるとすれば、商標法第50条の立法趣旨(特許庁編「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説[第22版]」(以下「逐条解説」という。)を没却させることになりかねないからである。 この点、逐条解説には、商標法第2条第3項第8号に規定するいわゆる商標の宣伝広告的な使用に関し、「不使用取消審判(第50条)について、「単に不使用取消しを免れるためだけの名目的な使用の行為があったとしても、使用とは認められない」(逐条解説1527頁)旨が記載されていることからも、商品の販売を伴わないECサイトへの商品の掲載(商標の表示)のみによっては、商標の「使用」があったと認めるべきでない。 そうすると、本件商標権者の運営する販売サイト(ECサイト)において本件商標の欧文字部分が表示されたページが閲覧可能な状態であったとしても、本事実のみをもって、本件商標についての要証期間内の「使用」は認められない、というのが相当である。 (5)被請求人が、その販売サイト(ECサイト)において要証期間内に本件製品を販売していたことを証明するのであれば、本件製品についての売買契約が成立し、本件製品の発送及び納品がなされたことを示す証拠が提出されるべきであるところ、被請求人から提出されている証拠は、商品の在庫切れにより注文がキャンセルされた案件のみである。このことから、要証期間内に本件製品が販売された事実はないことがうかがえる。 また、乙12の4行目に示されている「~@yahoo.co.jp」のメールアドレスは、請求人が雇用する従業員がプライベートで使用しているものであり、請求人は、令和6年(2024年)8月13日付けの審判請求書を提出する前に本件製品の販売の有無を確かめるべく、請求人が雇用する従業員に対し、上記販売サイト(ECサイト)からの本件製品の購入を依頼した。請求人が本件審判請求前に本件製品の販売の有無を確かめるべく、請求人が雇用する従業員によって本件製品の購入のための操作をしたことは、受注日及びキャンセル通知の日付が審判請求書に記載の日付の直前である「2024年8月2日」(乙11、乙12)となっていることからも明らかである。 そして、本件商標の欧文字部分が表示されたページが閲覧可能な状態であったとしても、その事実のみをもって本件商標についての要証期間内の「使用」が認められないことは、上記(4)で述べたとおりである。 そうすると、「販売サイトでの販売方法・実績(一部)」において主張する内容によって、要証期間内の使用を認めることはできない。 (6)乙13は、薬草研究所HERBS株式会社から本件商標権者に宛てた見積書とされているところ、当該見積書以外の発注書及び受注書などの提出はないため、本件商標権者が本件製品を新たに製造し販売する準備を進めていたかどうか疑わしい。 また、乙13の右上に表示されている「作成日」には、「2024/7/30」の表示があるところ、その背景には不自然なマスキングの痕跡が見受けられ、本見積書が真に2024年7月30日付けで作成されたものであるかも疑わしい。さらに、本見積書の「承認印」及び「作成印」の欄には同一の印鑑が表示されており、実際の商取引において「承認印」と「作成印」とが同一になるケースは極稀であることからも、本見積書が真に薬草研究所HERBS株式会社によって作成されたものであるかも疑わしい。 (7)乙14ないし乙16に示されている日付は要証期間内のものではないため、要証期間内の使用があったことは認められない。また、乙15及び乙16に本件商標の欧文字部分の記載が見受けられるものの、欧文字部分の使用によって、本件商標と社会通念上同一の商標の使用があったと認められないことは、上述したとおりである。 また、被請求人は、複数のウェブサイトを列挙しつつ、「被請求人は、上記した本件製品の製造以降、現在に至るまで、以下の海外代理店を通じて本件製品の販売を行っている」旨を主張しているが、海外代理店を通じて本件製品が販売された又は販売されていることを示す証拠は何ら提出されておらず、仮に海外において本件製品が販売されていたとしても、要証期間内に日本国内において本件製品が販売又は(日本から海外に向けて)輸出されたことを示す証拠の提出もないことから、要証期間内に日本国内において本件商標の使用があったことは認められない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)及び審尋に対する回答書で要旨次のように述べ、証拠方法として、乙1ないし乙17(枝番号を含む。)を提出した。 1 答弁書の主張 (1)本件商標の使用状況 被請求人(商標権者)であるオリエントインプレッション株式会社は、ペット用品・ペットフードの販売及び輸出入業務を事業とする企業であり、本件製品であるペット用入浴剤、シャンプー及びパッケージの製造を製造業者へ発注し、納入された完成品を自社サイトにおいて販売及び輸出している。 乙1及び乙2は、2016年7月に製造業者より提示された本件製品「AKAペット用浴用料タブレット」のタブレット(錠剤)個包装のパッケージデザイン(展開図)及び前記個包装を50錠パック詰めした本件製品のパッケージデザイン(展開図)を示す。 前記パッケージデザインに基づき製造された本件製品のタブレット(錠剤)個包装のパッケージ写真を乙3に、前記個包装を50錠パック詰めした本件製品のパッケージ写真の表面を乙4の1、裏面を乙4の2に、タブレット錠剤の個包装の写真を乙5に示す。いずれのパッケージにおいても、本件商標と社会通念上同一とされるローマ字表記の「AKA」を使用している。また、両パッケージにおける「ペット用浴用料(錠剤)」の表示のとおり、本件製品は第3類の「愛玩動物用入浴剤(医療用のものを除く)」に属する製品であり、乙2のパッケージ裏面に「洗浄力」や「洗浄作用」の表示があることから、第3類の「愛玩動物用シャンプー」に属する製品でもある。 よって、乙3及び乙4に示すパッケージにおける商標の使用は、本件商標の指定商品についての使用に当たるものである。 (2)これまでの経緯 本件商標権者は、2016年に包装に本件商標を付した「AKAペット用入浴剤タブレット」の製造を外部委託し、2018年より国内外において本件製品の販売を開始した。乙6は製造日である2018年8月30日の日付が刻印された本件製品のパッケージ写真である。この製品は、国内での販売と中国への輸出により、現在(2024年12月)の時点で在庫はなくなっている。また、これと並行して、2020年及び2021年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、サイト運営及び本件製品の販売活動を充分に行うことができなかった。 COVID-19の流行が落ち着き始めた2022年、本件製品の販売活動を本格的に再開すべく、GMOペパボ株式会社のECサイト構築サービス(カラーミーショップ)を利用して新たに自社サイト「犬猫ペット用品専門店AKANE」を作成し、2023年6月より同サイトの運営及び本件製品の販売を開始した。 乙7の「2022年2月14日付発注書」は、本件商標権者が2022年2月にGMOペパボ株式会社へECサイト制作を発注したことを示し、乙8の「2023年2月2日付納品書」は、2023年2月に前記ECサイトが納品され、要証期間内に運用可能の状態であったことを示している。 前記したサイト「犬猫ペット用品専門店AKANE」の特定商取引法に基づく標記のページには、販売業者の住所及び電話番号として本件商標権者の住所及び電話番号が記載され、同ページ上部に記載された銀行振込の口座名義として本件商標権者である「オリエントインプレッション(カ」の記載があること、また、本件商標権者が「AKANE」に係る登録商標(商標登録第6061026号)を有していること等から、本件商標権者が前記サイトの管理・運営していることは明らかである。 なお、パック詰めをしていない個包装の状態の製品については、前記したサイトと並行して、2024年5月より中国のインターネット通販サイト「taobao」においても販売している。 (3)本件商標権者の運営する販売サイトについて 乙9は、前記した経緯により作成された自社サイト「犬猫ペット用品専門店AKANE」の本件製品の販売ページ及びウェブブラウザ(Microsoft Edge)のデベロッパーツールを用いて表示した同ウェブページの通信ログ(乙9右図)を並べて表示した画面を示す画像である。前記通信ログの「Name」欄に表示された「113253977_th.jpeg・・・」は、前記販売ページに表示された本件製品の画像ファイル名(商品IDをファイル名としている)を示し、「応答ヘッダー」欄には前記画像が最終更新された日付として、「Last- Modified:Wed,14 Jun 2023」と表示されており、本件製品の画像が、要証期間内に当たる2023年6月14日以降、前記販売ページ上で閲覧可能な状態にあったことを示している。 販売ページ内には、乙3のタブレットを50錠収容した乙4の1、乙4の2のパッケージが表示されており、ここには、「AKAペット用浴用料(錠剤)」との文字が付され、ペット用浴用料の名称(商標)が「AKA」であることが表示されている。 (4)販売サイトでの販売方法・実績(一部) 乙10は、上記した本件製品の販売ページ(乙9)に設置された「カートに入れる」ボタンをクリックした際に表示される、ショッピングカートの内容を示す画像である。ショッピングカートには、前記販売ページの「AKAペット用化粧料(錠剤)50錠」が反映され、ショップ会員であれば5,390円でカート内の商品を購入可能であることが表示されている。 乙11の「2024年8月2日付受注伝票」は、要証期間内に当たる2024年8月2日に、ショップ会員である顧客が、前記した本件製品の販売ページの商品を注文した情報を示す受注伝票(売上ID:191574614)の写しである。受注伝票の商品ID「113253977」は、前記した販売ページの商品画像のファイル名と一致し、商品単価(税込)の「5,390円」は上記したショップ会員価格と一致する。 乙12は、「犬猫ペット用品専門店AKANE」の管理者である本件商標権者が、要証期間内に当たる2024年8月2日に前記受注伝票の注文者へ送信したメールの写しである。メールに記載された受注番号「191574614」は、受注伝票の売上IDと一致し、商品ID「113253977」は、受注伝票の商品IDと一致する。メールに記載のように、この受注は、商品の在庫切れによりキャンセルとなったものの、本件製品は要証期間内において購入可能な状態であったことが分かる。 (5)製品の追加発注について 乙13の「2024年7月30日付見積書」は薬草研究所HERBS株式会社による本件製品のタブレット型ペット用入浴剤である「AKAペット用浴用料タブレットタイプ」の製造に関する見積書の写しである。上述のように、タブレット50錠をパック詰めした本件製品が在庫切れとなったことから、本件商標権者が本件製品を新たに製造し販売する準備を、要証期間内である2024年7月30日に行ったことを示すものであり、不使用期間がなく、継続して商標を使用しようとすることを示す。 (6)本件製品の製造及び販売開始の経緯及び海外代理店による販売の状況 本件商標権者は、2016年6月に製造業者(ヴォイス株式会社)へペット用炭酸タブレット及びパッケージの製造を発注し、本件製品の製造を開始した。乙14の1は前記製造の見積書、乙14の2は注文書、乙14の3は請求明細書である。 乙15は、前記製造にあたり作成された本件製品の製品安全性データシート(2016年9月12日付)である。 乙16は、ヤマザキ学園大学動物看護学動物看護学科及びアニマテック・オオシマにより2017年3月に作成された、本件製品(AKA炭酸バブル-ペット入浴剤)の皮膚清浄効果に関する研究が行われたことを示す論文である。 また、本件商標権者は、上記した本件製品の製造以降、現在に至るまで、海外代理店「香港 樂高寵物 LEGO PET」、「PETAMO ペタモ」、「寵物網 Petsorder」、「Pet Food on Carousell」、「Taobao」を通じて本件製品の販売を行っている。 2 回答書の主張 (1)乙9のウェブサイトについて 乙9の右上欄の「カート」(商品の購入)をクリックすると、乙17の3頁のとおり、お支払い情報が表示され、そこには、振込先の企業名として、「オリエントインプレッション(カ」と表示されることから、乙9は、本件商標権利者が運営するウェブサイトであり、販売目的として、取り扱い製品(本件製品を含む)を掲載したものである。 また、乙9の上欄に記載のある、猫のイラストと共に表記された犬用ペット用品の専門店「AKANE」は、間接的な証拠を挙げるまでもなく、各種の会社概要の説明等から、各種のペット用品を扱う本件商標権者が運営していることは明らかである。 (2)使用商標について 本件商標の使用に際しては、称呼として、形式的には「アカ」が生じる以外に、二段書きされた商標の片仮名表記のとおり、「エーケーエー」が生じる。ただし、本件商標では、「エーケーエー」という文字が併記されていることから、ローマ字の「AKA」については、「アカ」という称呼よりは、むしろ「エーケーエー」が称呼されるものと考えられる。 また、本件商標の使用に際して、観念について論ずる場合、実際に使用されている指定商品との関係を考慮する必要がある。これは、商標登録の使用に際しては、商標と指定商品は相互に密接不可分の関係になっているからである。 本件商標の指定商品は、「愛玩動物用入浴剤(医療用のものを除く),愛玩動物用シャンプー」であり、実際に使用されている商標(以下本件製品に付された「AKA」の文字を「使用商標」という場合がある。)もそのような指定商品のパッケージに付されている。 このような指定商品を考慮すると、「垢」という観念は、ペットを綺麗にするための入浴剤やシャンプーの特性上、明らかに相反する観念であることから、当業者やユーザ間で、汚れ(垢)を認識するような観念が生じることはありえない。 また、「赤」という観念は、ペットの入浴剤やシャンプーに用いるにあたり、指定商品を考慮すると、色彩としてはきわめて不適切(使用に際して血を連想させたり、ペット側も赤い色彩に驚く可能性がある)であることから、当業者やユーザ間で、色としての観念が生じることはありえない。 すなわち、指定商品の使用を考慮した場合、「AKA」からは、「垢」や「赤」の観念は生じえないのである。これは、乙4の1に示されている指定商品である炭酸入浴剤のパッケージには、「fragrance-free;無香料」、及び、「color-free;無着色」と表記されていることからも明らかであり、このような標記を無視して、「垢」や「赤」の観念が生じることはない。 このように、使用商標が付された本件製品を購入しようとするユーザにとっても、無着色、無香料でペットを綺麗にする入浴剤については、「AKA」の標記から、「垢」や「赤」の観念は生じることはない(特定の観念は生じない)のであり、そのため、称呼についても、「アカ」ではなく、専ら本件商標に記載されている「エーケーエー」が生じるものと思われる。 なお、ローマ字の三文字が並んで表記されているケースとして、例えば、「NHK」「BMW」「NTT」「IBM」「NEC」「DHL」・・・のように、ローマ字の三文字は、そのままアルファベットで発音することが多く、使用商標においても、「エーケーエー」で発音される可能性が極めて高い。特に、使用商標では、「赤」や「垢」とする観念を想起させるような「アカ」は、前記のように無理があり、パッケージにおいても「赤」や「垢」を想起させるような表示態様もないことから、「エーケーエー」として発音するものと思われる。 以上のように、使用商標に関しては、「垢」「赤」の特定の観念や、「アカ」の称呼が生じることはない。 (3)結論 前記の事実に鑑み、使用商標及び本件商標から、「AKA」については、特定の観念が生じることはないのであり、外観、称呼についても異なる商標とはいい難いことから、両者は共に、社会通念上、同一性のある商標である。 すなわち、要証期間内において、その指定商品について、二段表記の上段のローマ字表記の使用は、本件商標と同一性のある商標の使用である。 第4 当審の判断 1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張並びに職権調査によれば、以下のとおりである。 (1)本件商標権者であるオリエントインプレッション株式会社は、ペット用品・ペットフード販売及び輸出入業務を事業とする企業である(被請求人主張)。 (2)ア 乙2は、2016年7月に製造業者から提示された50錠パック詰めした本件製品のパッケージデザイン(展開図)である(被請求人主張)。パッケージの表面には、青い犬とピンクの猫の図形、「AKA」の文字、「炭酸バブル-ペット入浴剤」の文字の記載があり、その下には水滴の青い図形が大きく表示され、図形の右横に「50錠/ペット用浴用料(錠剤)」の記載がある。裏面には「AKA」「ペット用浴用料(錠剤)」、販売元として「オリエントインプレッション株式会社」及び住所(東京都中央区日本橋人形町)の記載がある。 ィ 乙4は、本件製品のパッケージの表面と裏面の写真(令和6年12月18日撮影)であり、パッケージの表面には、青い犬とピンクの猫の図形、「AKA」の文字、「炭酸バブル-ペット入浴剤」の文字の記載があり、その下には水滴の青い図形が大きく表示され、図形の右横に「50錠/ペット用浴用料(錠剤)」の記載がある。裏面には「AKA」「ペット用浴用料(錠剤)」、販売元として「オリエントインプレッション株式会社」及び住所(東京都中央区日本橋人形町)の記載、「2018.08.30」の記載がある。「2018.08.30」は被請求人の主張によれば本件製品の製造日である。 ウ 乙14の2及び乙14の3は、製造業者(ヴォイス株式会社)と「オリエントインプレッション株式会社」との間での本件製品及びパッケージの製造の注文書(2016年6月14日)及び請求明細書(2016年7月31日締切分)であるところ、当該注文書及び請求明細書には、「オリエントインプレッション株式会社」及び住所(東京都中央区日本橋人形町)の記載がある。 (3)乙7の「発注書」は、2022年2月14日付けの本件商標権者(住所は東京都中央区日本橋浜町、甲2)からGMOペパボ株式会社宛ての、品名を「ECサイト制作費用」とする発注書であり、乙8の「納品書」は2023年2月2日付けのGMOペパボ株式会社から本件商標権者宛ての、品名を「ECサイト制作費用」とする納品書である。 (4)ア 乙9は、上記(3)の経緯により作成された本件商標権者のウェブサイト「犬猫ペット用品専門店AKANE」における本件製品の販売ページ及びウェブブラウザ(Microsoft Edge)のデベロッパーツールを用いて表示した同ウェブページの通信ログ(乙9右図)の画面であり、当該通信ログには、前記販売ページに表示された本件製品の画像ファイル名を示し、最終更新日は「Wed,14 Jun 2023」(2023年6月14日)と表示されている。 イ 乙9には、本件製品パッケージの表面の写真が掲載されており、青い犬とピンクの猫の図形、「AKA」の文字、「炭酸バブル-ペット入浴剤」の文字の記載があり、その下には水滴の青い図形が大きく表示され、図形の右横に「50錠/ペット用浴用料(錠剤)」の記載がある(以下「ペット用浴用料(錠剤)50錠」(本件製品)を「使用商品」という。)。 (5)乙10は、使用商品の販売ページ(乙9)に設置された「カート」ボタンをクリックした際に表示される、ショッピングカートの内容を示す画像であり、ショッピングカートには、販売ページの使用商品が反映されている。また、乙9の「カート」ボタンをクリックすると、お支払い情報が表示され、振込先の企業名として「オリエントインプレッション(カ」と表示され(乙17)、当該ウェブサイトの「特定商取引法に基づく表記」には、「販売業者 ORIENT IMPRESSION株式会社」「住所 東京都中央区日本橋浜町」の記載がある(職権調査)。 2 判断 被請求人は、本件商標権者が、要証期間に本件商標(社会通念上同一のものを含む、以下同じ。)を請求に係る商品に使用していた旨主張するので検討する。 (1)使用商品、使用者及び使用行為について 乙4の使用商品のパッケージの表面には「ペット入浴剤」「50錠/ペット用浴用料(錠剤)」の記載があり、裏面には「ペット用浴用料(錠剤)」、販売元として「オリエントインプレッション株式会社」及び住所の記載と被請求人が製造年月日と主張する「2018.08.30」の表示があるが、販売元のオリエントインプレッション株式会社の住所(東京都中央区日本橋人形町)は、本件商標権者の住所(東京都中央区日本橋浜町)の記載と相違している。 しかしながら、上記1(2)によれば、2016年7月の使用商品のパッケージデザインにおける販売元であるオリエントインプレッション株式会社の住所、使用商品の製造に係る注文書や請求明細書のオリエントインプレッション株式会社の住所は、東京都中央区日本橋人形町で同じであるから、2016年7月及び2018年8月には、オリエントインプレッション株式会社の住所は、東京都中央区日本橋人形町であったことが認められる。また、使用商品は「ペット用の入浴剤」と認められ、その製造年月日は要証期間ではないものの、使用商品は「2018.08.30」に存在していたことが推認される。そして、上記1(4)及び(5)によれば、本件商標権者が関わるウェブサイト「犬猫ペット用品専門店AKANE」において、乙4と同一視できるパッケージの商品が2023年6月14日に掲載されていることが認められる。 そうすると、販売元である東京都中央区日本橋人形町のオリエントインプレッション株式会社に係る乙4の使用商品が、本件商標権者の関わるウェブサイトに、本件商標権者の商品として、2023年6月14日に掲載されていたといえるから、乙4の使用商品の販売元として掲載されているオリエントインプレッション株式会社は、その住所が本件商標権者の住所と相違しているものの、実質的に本件商標権者と同一人と推認できるものである。 したがって、本件商標権者に係る使用商標が付された使用商品が、本件商標権者に関わるウェブサイトに2023年6月14日に掲載されていたといえる。 そして、使用商品は、請求に係る商品中の「愛玩動物用入浴剤(医療用のものを除く。)」の範ちゅうの商品と認められ、2023年6月14日は要証期間内である。 (2)使用商標について 本件商標は、別掲のとおり、「AKA」の欧文字とその下にその読みと認められる「エーケーエー」の片仮名を二段に書してなるものであるところ、その構成より「エーケーエー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものと認められる。 これに対し、使用商標を構成する「AKA」には読みと認められる片仮名等が付されておらず、また「AKA」の文字は、その欧文字を一文字ずつ読んで「エーケーエー」と称呼される場合もあるものの、ローマ文字読みすると「アカ」の称呼が生じるといえるものであり、「アカ」と称呼する語として「赤」、「垢」の漢字を容易に想起するものといえる。そうすると、「赤」の「七色の一つ。血のような色。」の観念や「垢」の「よごれ。」(いずれの意味合いも「広辞苑第七版」)などの観念が生じるものといえる。 したがって、本件商標と使用商標は称呼及び観念が相違するから、社会通念上同一の商標とは認められない。 (3)小括 上記(1)のとおり、使用商品は、請求に係る商品中の「愛玩動物用入浴剤」の範ちゅうと認められ、使用商標の使用者は本件商標権者であって、要証期間に本件商標権者のウェブサイトに使用商標を付した使用商品を掲載していたと認められる。 しかしながら、上記(2)のとおり、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標とはいえないから、被請求人は、本件商標権者が本件商標を請求に係る商品について、商標法第2条第3項第8号に該当する使用をしたことについて証明したとはいえない。 その他、被請求人の提出した証拠を参照しても、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が、要証期間に、日本国内において、本件商標を請求に係る商品について使用したことを認めるに足る証拠は見いだせない。 3 被請求人の主張について (1)被請求人は、使用商標に関し使用商品を考慮すると、ペットを綺麗にするための入浴剤やシャンプーの特性上、「垢」という観念は、明らかに相反する観念であり、「赤」という観念は、色彩としてはきわめて不適切(使用に際して血を連想させたり、ペット側も赤い色彩に驚く可能性がある)であることから、当業者やユーザ間で、汚れ(垢)や色としての観念が生じることはありえない旨主張する。 しかしながら、上記2(2)のとおり「AKA」の文字から「アカ」の称呼は生じるものといえ、「アカ」と称呼される語からは、親しまれた色の「赤」や汚れの「垢」の文字を想起するというのが相当であるから、「赤」や「垢」の漢字からそれぞれの観念を理解するといえる。そして、使用商品との関係で被請求人が主張するような事情があることを証明するような客観的な証拠もないから、被請求人の主張は採用できない。 (2)被請求人は、ローマ字の三文字が並んで表記されている、例えば、「NHK」「BMW」「NTT」「IBM」「NEC」「DHL」・・・のように、ローマ字の三文字は、そのままアルファベットで発音することが多い旨主張する。 しかしながら、被請求人が挙げる例は、ローマ字三文字であるものの、使用商標のような一つの単語として発音できるローマ字三文字ではなく、それぞれのアルファベットを一音ずつ発音する他に読むことができない三文字である上、アルファベットを一音ずつ発音する三文字としてよく知られている企業名等の例ばかりであるから、使用商標の称呼に関して参考となる事例とはいえない。 したがって、上記被請求人の主張も採用できない。 4 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標の使用をしていることを証明したものということはできない。 また、被請求人は、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-300561

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