商標取消審判
2022-300935
クリスタルゲル、クリスタル、ゲル
- 審判番号
- 2022-300935
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2016-080887
- 登録番号
- 5938048
- 請求日
- 2022年10月20日
- 審決日
- 2025年07月29日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】アライアンスファーマ 株式会社
- 【請求人代理人】木村 満
- 【請求人代理人】弁理士法人宮田特許事務所
- 【被請求人】株式会社 タナック
- 【被請求人代理人】田中 信介
- 審判長/審判官
- 審判長 小林 正和
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T132 .1 -Z (W03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3号、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条、商標法第50条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5938048号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第5938048号商標の指定商品及び指定役務中、第3類「顔の美容用マスク」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5938048号商標(以下「本件商標」という。)は、「クリスタルゲル」の文字を標準文字で表してなり、平成28年7月28日に登録出願、第3類「顔の美容用マスク」並びに第5類、第9類、第10類、第17類、第18類、第20類、第25類、第28類及び第40類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同29年4月7日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和4年11月7日になされたものであり、この登録前3年以内の期間である同元年11月7日から同4年11月6日までを、以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和5年1月10日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年3月1日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証(枝番号を含む。以下、「甲第○号証」を「甲○」、「乙第○号証」を「乙○」のように簡略して表記する場合がある。)を提出した。
1 請求の理由
請求人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第3類「顔の美容用マスク」(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その商品についての登録は取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は、乙第1号証及び乙第2号証を提示し、本件審判請求に係る指定商品について本件商標を使用している旨を主張しているが、被請求人が提示した証拠(乙1、乙2)を見る限り、被請求人は今回の商品のフェイスマスク(顔の美容用マスク)について、「クリスタルゲル」という言葉を、自己の商品と他者の商品を区別するための自他商品識別のために使っていないことは明らかである。
すなわち、被請求人の使用している「クリスタルゲル」の言葉は、今回の商品「フェイスマスク」を構成する主要な材料を示すために使っており、乙第1号証中その材料クリスタルゲルは、「その素材特性として、優れて強度・伸張性を有し、皮膚のように肌への密着性を備え、素材特性として高い衝撃吸収性、弾力性、強度、伸長を有している」旨の記載から明白である。
換言すれば、乙第1号証で提示された商品名は「スペシャリフト繰り返し使える フェイスマスク! スーパーリバース マスクセット(目元用/口元用)」であって、その商品を構成する「医療用樹脂素材を手がける国内専門メーカーの独自開発素材」の材料の名称が「クリスタルゲル」であることを示すものである。
さらに付け加えれば、「厳選した鉱石のパウダーをブレンドしてクリスタルゲルに練り込み・・・」とクリスタルゲルに鉱石配合する旨の説明があり、クリスタルゲルはフェイスマスクを製造する際の正に主要な材料であることを示す証左である。
しかも、商品発注依頼書(乙2)には「クリスタルゲル」の記載が一切されていないので、商標法第2条第3号第8号に規定した本件商標の使用に該当するとはいえず、その表示が付された商品の出所を知り、あるいは確認するための「目印」と捉えることは到底できない。
したがって、被請求人の「クリスタルゲル」の使用は、市場において、自他商品識別機能を発揮する商標としての使用とはいえず、被請求人が提示した証拠(乙1、乙2)の表示の使用行為は、本件審判請求に係る指定商品の使用を表示するものではないので、商標法第2条第3号第8号に規定した本件商標の使用とはいえないものと判断できる。
以上より、被請求人の「クリスタルゲル」の言葉の使用は、自己商品の「フェイスマスク」と他社商品の「フェイスマスク」を区別するための商標的な使い方としての「クリスタルゲル」の使用ではなく、あくまでもフェイマスクを構成する材料の一部として「クリスタルゲル」を材料名で使用しているに過ぎないものと確信する。
よって、被請求人の提示したいずれの証拠からも、本件商標を、本件審判請求に係る指定商品について使用している事実を見出すことはできないため、本件審判の請求の趣旨どおり商標法第50条第1項の規定に基づき、その指定商品「顔の美容用マスク」についての登録は、取り消されるべきである。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、答弁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)乙第1号証は、ジュピターショップチャンネル株式会社(以下「ジュピターショップチャンネル社」という。)のウェブサイトの印刷物であって、商品「スーパーリバース マスクセット(目元用/口元用)」(以下、「使用商品」という。)をインターネット上で販売するためのウェブサイト(以下、「当該ウェブサイト」という。)のページを出力したものである。
(2)乙第2号証は、株式会社ジェーシーフレンド(以下「ジェーシーフレンド社」という。)が被請求人に対して、2021年5月7日付けで発行した商品発注書であって、被請求人が商品「スーパーリバースマスク目元用」及び「スーパーリバースマスクロ元用」をジュピターショップチャンネル社へ納品するためのものである。
(3)乙第1号証に示すように、使用商品の「クチコミ総合評価」の複数の投稿において、購入日及び公開日として2021年6月~同年7月(令和4年6月~同年7月(審決注「令和4年」は、「令和3年」の誤記と認める。))の日付が記載されており、当該ウェブサイトは、日本国内のウェブサイトであって、国内での販売を目的にしたものであり、ジュピターショップチャンネル社のウェブサイトである。
また、乙第2号証に示すように、当該ウェブサイトにて販売している使用商品は、被請求人が、2021年(令和3年)5月7日のジェーシーフレンド社からの注文に応じてジュピターショップチャンネル社に納品したものである。
(4)乙第1号証に示すように、使用商品に関する説明において、「医療用樹脂素材を手がける国内専門メーカーの独自開発素材“クリスタルゲル”で作られています。」と、記載されており、使用商品は、顔の美容用マスクであって、本件審判請求の請求に係る指定商品であり、上述の使用商品に関する説明において記載した「クリスタルゲル」は、本件商標と同一のものである。
そして、使用商品に関する内容である情報において「クリスタルゲル」を記載して当該ウェブサイトにより提供しているため、この行為は、商標法第2条第3項第8号に規定した本件商標の使用に該当する。
以上より、被請求人は、要証期間に、日本国内において、本件審判請求に係る指定商品について本件商標を使用しているため、本件審判請求は成り立たない。
第4 弁駁書に対する被請求人の対応
審判長は、被請求人に対し、相当の期間を指定して、弁駁書に対する意見を求めたところ、被請求人は、何ら意見を述べていない。
第5 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ 本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 被請求人の主張及び同人の提出に係る全証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、被請求人がジュピターショップチャンネル社のウェブサイトを印刷したものであって、商品「スーパーリバース マスクセット(目元用/口元用)」をインターネット上で販売するためのウェブサイトを出力したと主張するものであり、その2葉目に、「【スーパーリバースマスク】 ■厳選した特殊素材を使用: 医療用樹脂素材を手がける国内専門メーカーの独自開発素材“クリスタルゲル”で作られています。・・・クリスタルゲルは素材特性として高い衝撃吸収性、弾力性、強度、伸長性があります。」及び「■鉱石配合: 厳選した鉱石のパウダーをブレンドしてクリスタルゲルに練り込み、配合・成型。」の記載があり、また、その4葉目には、「クチコミ総合評価」の見出しの下、「smile さん|購入日:2021/07/06|公開日:2021/07/09」、「izutiyan さん|購入日:2021/06/22|公開日:2021/07/05」、「白いおさる さん|購入日:2021/06/21|公開日:2021/07/07」の記載があり、その5葉目には「ジュピターショップチャンネル株式会社」の記載があるが、これらの情報の掲載日は記載されておらず、被請求人の名称も記載されていない。
(2)乙第2号証は、「商品発注依頼書 兼 商品発注書」と題する書面の写しであり、本号証の最上部に表題があり、その右下に「発注日 2021/5/7」、「発注番号 Sp_20210507」の記載、その下に「株式会社ジェーシーフレンド」の名称及び郵便番号、住所、電話番号、担当者名の記載があり、左上に「株式会社タナック 御中」の記載、その下に「下記の通り発注致します。」の記載、それらの下部の表中「商品名」の下欄には「スペシャリフト」、「スーパーリバースマスク目元用」(当該項目の右側「数量」の欄には「2,030」の記載。)、「スーパーリバースマスク口元用」(当該項目の右側「数量」の欄には「2,030」の記載。)があり、本号証の左下部には、「希望納期」として、「インベントリー」の欄には「納品日 2021/5/21」、「納品先 ジュピターショップチャンネル(株)」、「数量 3セット」の記載、「本納品」の欄には「納品日 2021/6/8」、「納品先 ジュピターショップチャンネ物流センター C/O住商グローバルロジスティック(株)2F入荷担当宛」、「数量 2,000セット」の記載がある。
なお、当該商品発注依頼書兼商品発注書には、本件商標の記載は認められない。
2 判断
上記1によれば、以下のとおり判断できる。
ジュピターショップチャンネル社のウェブサイト(乙1)において、本件商標と構成文字が同一の「クリスタルゲル」の文字が記載されているといえるものの、これは、単に、商品「マスク」(本件審判請求に係る指定商品である「顔の美容用マスク」に該当すると認められる「スーパーリバースマスク」と表記する商品)の素材として使用されている材料のうちの1つの名称として記載されているにすぎないものであり、また、当該ウェブサイトには、ジュピターショップチャンネル社の名称は記載されているものの、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)の名称の記載がされていることは認められないとともに、本件商標権者とジュピターショップチャンネル社との関係を証明するべき証拠を提出していないことから、ジュピターショップチャンネル社が、本件商標の専用使用権者又は通常使用権者であるとは、認めることができない。
さらに、取引書類(乙2)には、乙1に記載された「スーパーリバースマスク」の文字及び本件商標権者の名称の記載は認められるものの、本件商標と構成文字が同一の文字の記載は認められない。
そうすると、上記ウェブサイトにおける「クリスタルゲル」の文字が、市場において独立して商取引の対象として流通に供される商品「顔の美容用マスク」の商標として使用されていること、さらに、当該文字が、本件商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかによって、本件審判請求に係る指定商品の商標として使用されていることを認めることはできない。
したがって、被請求人が提出した証拠によっては、本件審判請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の商標法第2条第3項各号にいう使用があったことを認めるに足る事実を見いだせない。
3 被請求人の主張について
被請求人は、乙第1号証における使用商品に関する説明において、「医療用樹脂素材を手がける国内専門メーカーの独自開発素材“クリスタルゲル”で作られています。」と記載されており、使用商品は、顔の美容用マスクであって本件審判請求の請求に係る指定商品であり、それに関する説明において記載した「クリスタルゲル」は、本件商標と同一のものであって、使用商品に関する内容である情報において本件商標を記載したウェブサイトを提供しているため、この行為は、商標法第2条第3項第8号に規定した本件商標の使用に該当する旨主張する。
しかしながら、上記2のとおり、商標権者が、要証期間に、本件審判請求に係る指定商品について、商標法第2条第3項各号に掲げる使用行為をしたとは認めることができず、その他、被請求人が提出した全証拠によっても、被請求人は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間に日本国内において本件審判請求に係る指定商品について、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用したことを証明していない。
したがって、被請求人の主張は採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人の提出に係る証拠によっては、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判請求に係る指定商品についての本件商標(本件商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを被請求人が証明したとはいえない。
また、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品及び指定役務中の「結論同旨の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-300935