2020-017012
遊技機
- 審判番号
- 2020-017012
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-046141外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年12月10日
- 審決日
- 2022年01月05日
- 公報発行日
- 2022年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社サンセイアールアンドディ
- 【請求人代理人】三林 大介
- 分類
- P18 .121-WZ (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 14項目
第1 手続の経緯
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本件に係る出願(以下、「本願」という。)は、平成30年3月14日の出願であって、令和2年3月4日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月27日に意見書及び手続補正書が提出され、同年9月8日付け(謄本送達日:同年同月15日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、当審において、令和3年9月8日付けで拒絶の理由が通知(以下、通知された拒絶の理由を「当審拒絶理由」という。)され、同年11月11日に意見書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の特許請求の範囲における請求項1ないし2のうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、令和2年12月10日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。なお、符号1A等は、分説するため当審で付与した。以下、分説された本願発明1の発明特定事項を、符号に基づき「発明特定事項1A」等という。
「1A 遊技盤に形成された遊技領域に向けて遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機において、1B 前記遊技球が所定の検知手段で検知されたことに基づいて識別情報を変動表示させ、遊技者の利益が異なる第1態様、第2態様、および第3態様の何れかで該識別情報を停止表示させる識別情報表示手段と、1C 前記識別情報の変動表示に伴って、当該識別情報の停止表示時の態様を示唆する示唆演出を実行可能な演出実行手段とを備え、1D 前記第1態様および前記第2態様は、遊技者に利益が付与される当り態様であると共に、該第1態様の方が該第2態様よりも遊技者に付与される利益が大きくなっているのに対し、前記第3態様は、遊技者に利益が付与されない外れ態様であり、1E 前記示唆演出を開始すると、該示唆演出の終了まで前記第1態様、前記第2態様、および前記第3態様の何れの可能性も残しておき、前記識別情報の停止表示時の態様を示唆することで当該示唆演出を終了し、1F 前記示唆演出の内容は、複数の対象がゴールへの着順を競い合うレースであり、前記複数の対象のうち遊技者と対応付けられた特定対象が1着になることで前記第1態様を示唆し、前記特定対象が2着になることで前記第2態様を示唆し、前記特定対象が3着以下になることで前記第3態様を示唆すると共に、1G 前記識別情報が前記第2態様で停止表示される場合の前記示唆演出では、前記レースで前記特定対象が3番手から前記ゴールの直前で2番手の前記対象を追い抜いて2着に入ることにより、前記第2態様を示唆することが可能である1H ことを特徴とする遊技機。」
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は、概略、次の理由を含むものである。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項1
・引用文献等
引用例1.特開2004-154240号公報
引用例2.特開2002-28315号公報(周知技術を示す文献)
引用例3.特開2005-168700号公報(周知技術を示す文献)
第4 引用例の記載、引用発明、周知技術
1 当審拒絶理由で引用例1として引用され、本願の出願前に頒布された特開2004-154240号公報(平成16年6月3日公開)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。以下同じ。
(1)「【0009】図1は、本実施例のパチンコ機Pの遊技盤の正面図である。パチンコ機Pの前面には前面枠2が配設されており、その略中央部分には略短形状の開口2aが穿設され、かかる開口2aの内周には金枠3が周設されている。この金枠3の内側の上方には、2枚のガラス板を装着可能なガラス扉枠4が開閉可能に配設されており、ガラス扉枠4の後方に遊技盤5が配置されている。【0010】遊技盤5の前面には略円弧状の外レール6が植立され、その外レール6の内側位置には円弧状の内レール7が植立されている。外レール6と内レール7とにより囲まれた遊技盤5の前面には、球が打ち込まれる遊技領域8が形成されており、その遊技領域8内には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の普通入賞口9が配設されている。続きを表示(全13行)【0011】遊技領域8の略中央部分には、複数種類の識別情報としての図柄などを変動表示する液晶ディスプレイ(Liquid Crystal DisPlay、以下「LCD」と略す)10を備えた可変表示装置11が配設されている。【0012】図2は、本実施例のLCD10の拡大図である。本実施例のLCD10の表示領域は、キャラクタ表示部10aと、図柄表示部10cと、ダート調教表示部10dと、芝調教表示部10eと、坂路調教表示部10fと、馬体状態表示部10gと、キモチ表示部10hとで構成されている。……【0014】キャラクタ表示部10aは、馬等の図柄を表示する表示領域である。このキャラクタ表示部10aでは、1の始動入賞が行われる毎に種々の演出が行われる。また、変動表示にハズレリーチを発生する場合、又は、大当たりが発生する場合に、後述する変動パターンカウンタ33mの値に応じて、後述する芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33g並びに馬体メモリ33hの値に応じてレースリーチ等の演出が行われるように構成されている。なお、図2のキャラクタ表示部10aに表示されている画面は、ハズレの変動表示終了後を表したものである。【0015】図柄表示部10cは、複数種類の識別情報としての数値図柄を表示するために縦方向に3分割されており、1の始動入賞が行われる毎に3分割された各表示領域において数値図柄の変動表示が行われる。なお、遊技者に大当たりが付与される場合には、この図柄表示部10cは、各表示領域に同一の数値図柄が表示されるように構成されている。」
(2)「【0032】単発乱数カウンタ33bは、大当たりの発生を決定するためのカウンタである。この単発乱数カウンタ33bの値は、後述するカウンタ更新処理(図7、S23参照)によって、「0」~「630」の範囲で2ms毎に1カウントずつ更新される。遊技領域8に打ち込まれた球が、図柄作動口12へ入賞して後述する第1種始動口スイッチ12aで検出され(始動入賞)、その検出に基づいて取得された単発乱数カウンタ33bの値が「7」又は「315」であった場合に大当たりが発生する。また、大当たりの確率が通常状態より発生し易い遊技状態である確率変動状態である場合、即ち、後述する確変フラグ33zがオンされている場合は、図柄作動口12の検出に基づいて取得された単発乱数カウンタ33bの値が「7」、「77」、「157」、「237」、「315」、「367」、「437」、「507」、「577」又は「607」であった場合に大当たりが発生するように構成されている。大当たりが発生すると、大当たりコマンドが主制御基板Cから後述する表示用制御基板Dへ送信され、表示用制御基板Dは、その大当たりコマンドに基づいたLCD10の変動表示を行う。」
(3)「【0062】ラウンドカウンタ33yは、大当たり時における大入賞口13aの開放回数を計数するためのカウンタである。このラウンドカウンタ33yの値は、大当たりが発生する場合に、芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gの値に応じて所定数が加算される(図13参照)。……」
(4)「【0088】次に、図10を参照して、図7の変動処理(S22)の中で実行される保留球カウンタ減算処理について説明する。この保留球カウンタ減算処理により、LCD10で行われる変動表示が終了した場合、又は、大当たり遊技が終了した場合に、演出実行1メモリ33rに記憶されている変動表示のデータが演出実行エリア33qに書き込まれる。また、大当たり時のリーチ又はハズレリーチが現出する毎に、それまでの変動表示の表示結果として現出したリーチ表示に応じて、レースリーチが実行されるか否かのレース実行抽選が行われる。……【0092】次に、演出実行エリア33qに記憶される単発乱数カウンタ33bの値は大当たりを発生する値か否か、即ち、単発乱数カウンタ33bの値が「7」か否かを確認する(S57)。確認の結果、演出実行エリア33qに記憶される単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生する値でなければ(S57:No)、ハズレの変動表示を設定するために図11に示す通常設定処理を行う(S58)。逆に、演出実行エリア33qに記憶される単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生する値であれば(S57:Yes)、大当たりの変動表示を設定するために図13に示す大当たり変動設定処理を行う(S59)。なお、通常設定処理(S58)及び大当たり変動設定処理(S59)の処理の後は、この保留球カウンタ減算処理を終了する。」
(5)「【0093】図11は、通常設定処理(S58)のフローチャートである。この通常設定処理では、ハズレの変動表示の停止図柄や変動パターン等のコマンドを設定して、その設定したコマンドを表示用制御基板Dへ送信するための処理である。本実施例の通常設定処理では、ハズレリーチが発生する場合に、モチベーションカウンタ33iの値に応じて、そのハズレリーチの現出記録を更新するように構成されている。また、この通常設定処理では、芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gの値に応じて遊技価値が付与されないことを示唆する6着外のレースリーチを実行するように構成されている。【0094】通常設定処理では、まず、演出実行エリア33qに記憶されるハズレリーチカウンタ33lの値はハズレリーチを発生する値、即ち、ハズレリーチカウンタ33lの値が「7」であるか否かを確認する(S61)。確認の結果、ハズレリーチカウンタ33lの値がハズレリーチを発生する値でなければ(S61:No)、演出実行エリア33qに記憶されるハズレ図柄カウンタ33nの値に応じた停止図柄コマンドを設定し(S81)、変動パターンカウンタ33mの値に応じたハズレの変動パターンコマンドを設定して(S82)、設定したコマンドを表示用制御基板Dへ送信し(S71)、この通常設定処理を終了する。【0095】一方、演出実行エリア33qに記憶されるハズレリーチカウンタ33lの値がハズレリーチを発生する値であれば(S61:Yes)、まず、カウンタ用バッファ33wの値に応じて停止図柄コマンドを設定し(S62)、このハズレリーチでレースリーチを実行するか否かを決定するハズレ時レース判定処理を行う(S63)。……【0102】図11に戻って説明すると、S64の処理では、前記したハズレ時レース判定処理(S63)においてレース実行抽選に当選したか否かを確認する(S64)。確認の結果、レース実行抽選に当選していれば(S64:Yes)、処理をS72へ移行する。S72の処理では、6着のレースリーチの変動パターンコマンドを設定して(S72)、処理をS71へ移行する。S71の処理では、設定したコマンドを表示用制御基板Dへ送信して(S71)、この通常設定処理を終了する。」
(6)「【0108】図13は、大当たり変動設定処理(S59)のフローチャートである。この大当たり変動設定処理では、大当たりの変動表示の停止図柄や変動パターン等のコマンドを設定して、その設定したコマンドを表示用制御基板Dへ送信するための処理である。本実施例の大当たり変動設定処理では、芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gの値に応じて、ラウンドカウンタ33y及び確変フラグ33zにセットされる値が変化するように構成されている。【0109】大当たり変動設定処理(S59)では、まず、確変フラグ33zをオフし(S111)、次に、芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gの値がそれぞれ「1」以上か否かを確認する(S112)。確認の結果、各メモリ33e~33gの値がそれぞれ「1」以上であれば(S112:Yes)、ラウンドカウンタ33yの値に「16」を加算し(S113)、大当たり終了後の遊技状態を大当たりが発生し易い確率変動状態にするために確変フラグ33zをオンして(S114)、1着になるレースリーチの変動パターンコマンドを設定し(S115)、処理をS128へ移行する。【0110】一方、S112の処理において、芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gの値がそれぞれ「1」以上でない場合、即ち、各メモリ33e~33gのいずれか1のメモリの値が「0」である場合には(S112:No)、次に、各メモリ33e~33gのいずれか2種のメモリの値が「1」以上か否かを確認する(S116)。確認の結果、各メモリ33e~33gのいずれか2種のメモリの値が「1」以上であれば(S116:Yes)、次に、坂路メモリ33gの値が「1」以上であるか否かを確認する(S117)。坂路メモリ33gの値が「1」以上である場合には(S117:Yes)、ラウンドカウンタ33yの値に「16」を加算して(S118)、2着になるレースリーチの変動パターンを設定し(S119)、処理をS128へ移行する。一方、S117の処理において、坂路メモリ33gの値が「1」以上でない場合、即ち、芝メモリ33e及びダートメモリ33fの値が「1」以上、且つ、坂路メモリ33gの値が「0」である場合には(S117:No)、ラウンドカウンタ33yの値に「8」を加算して(S120)、3着になるレースリーチの変動パターンコマンドを設定し(S121)、処理をS128へ移行する。【0111】S116の処理において、芝メモリ33e、ダートメモリ33f又は坂路メモリ33gのいずれか2種のメモリの値が「1」以上でない場合には(S116:No)、次に、各メモリ33e~33gのいずれか1種のメモリの値が「1」以上であるか否かを確認する(S122)。確認の結果、各メモリ33e~33gのいずれか1種のメモリが「1」以上であれば(S122:Yes)、坂路メモリ33gの値が「1」以上であるか否かを確認する(S123)。坂路メモリ33gの値が「1」以上であれば(S123:Yes)、ラウンドカウンタ33yの値に「2」を加算して(S124)、4着になるレースリーチの変動パターンコマンドを設定し(S125)、処理をS128へ移行する。【0112】一方、S122の処理において芝メモリ33e、ダートメモリ33f又は坂路メモリ33gのいずれか1種のメモリの値が「1」以上でない場合、即ち、各メモリ33e~33gの値がそれぞれ「0」である場合(S112:No)、又は、S123の処理において坂路メモリ33gの値が「1」以上でない場合には(S123:No)、ラウンドカウンタ33yの値に「1」を加算して(S126)、5着のレースリーチの変動パターンを設定し(S127)、処理をS128へ移行する。」
(7)「【0121】まず、図15を参照して、大当たり発生時において実行される1着のレースリーチについて説明する。図15(a)は、レースリーチが開始される直後のLCD10の表示画面を示した図である。この画面では、図柄表示部10cにおいて、図柄の変動表示が継続していることが示されている。なお、図15(a)において、ダート調教表示部10dにおいて星が2つ表示され、芝調教表示部10eにおいて星が2つ表示され、また、坂路調教表示部10fにおいて星が3つ表示されており、この変動表示の発生までにダートリーチの現出履歴は2回、芝リーチの現出履歴は2回、坂路リーチの現出履歴は3回であったことを示している。よって、各表示部10d~10fに表示されている星数の合計値は「8」であるので、馬体表示部10gに表示される矢印の向きが上向きに傾くように表示されている。更に、キモチ表示部10hの矢印の向きは、右横方向を示しているので、このことから、遊技者がタッチセンサ16aを積極的に操作していないことが伺える。この画面から図15(b)に示すレース開始演出へと発展する。【0122】図15(b)は、レース開始演出においてレースがスタートした直後の画面を示した図である。レース演出開始画面では、キャラクタ表示部10aにおいて表示されて今まで調教してきた自己のキャラクタ図柄が他のキャラクタ図柄と同様にゲートに収まり、そのゲートが開放されることによってスタートした演出が行われている。この画面から図15(c)に示すレース終了演出へと発展する。続きを表示(全11行)【0123】図15(c)は、レース終了演出においてキャラクタ図柄がゴールする直前の画面を示した図である。レース終了演出では、自己のキャラクタ図柄が他のキャラクタ図柄と競い合いながら、ゴールする演出が行われている。この画面から図15(d)に示す着順判定画面へと発展する。【0124】図15(d)は、レースリーチにおいて、1着をとってキャラクタ図柄(馬)と騎手(人)とが喜んでいる画面を示した図である。このレースリーチにおいて1着をとったことによって、この大当たりで付与される遊技価値は、16ラウンドの大当たり遊技と、以降の1の大当たりまで継続する確率変動状態の遊技が付与される。即ち、この変動表示において、単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生する値であったと共に、芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gの値がそれぞれ「1」以上であったので、ラウンドカウンタ33yの値に「16」が加算されると共に、確変フラグ33zがオンされる。なお、LCD10の図柄表示部10cには同一の3つの図柄が停止表示されている。【図15】[図:0001382816000001.jpg]」
(8)「【0125】次に、図16を参照して、大当たり発生時に実行される5着のレースリーチについて説明する。図16(a)は、レースリーチが開始される直後のLCD10の表示画面を示した図である。この画面では、図柄表示部10cにおいて、図柄の変動表示が継続していることが示されている。なお、図16(a)において、ダート調教表示部10dにおいて星が1つ表示され、芝調教表示部10e及び坂路調教表示部10fにおいて星が表示されておらず、この変動表示の発生までにダートリーチの現出履歴は1回、芝リーチの現出履歴は0回、坂路リーチの現出履歴は0回であったことを示している。よって、各表示部10d~10fに表示されている星数の合計値は「1」であるので、馬体表示部10gに表示される矢印の向きが下向きに傾くように表示されている。更に、キモチ表示部10hの矢印の向きは、右横方向を示しているので、このことから、遊技者がタッチセンサ16aを積極的に操作していないことが伺える。この画面から図16(b)に示すレース開始演出へと発展する。【0126】図16(b)は、レース開始演出においてレースがスタートした直後の画面を示した図である。レース演出開始画面では、キャラクタ表示部10aにおいて表示されて今まで調教してきた自己のキャラクタ図柄が他のキャラクタ図柄と同様にゲートに収まり、そのゲートが開放されることによってスタートした演出が行われている。この画面から図16(c)に示すレース終了演出へと発展する。続きを表示(全11行)【0127】図16(c)は、レース終了演出においてキャラクタ図柄がゴールする直前の画面を示した図である。レース終了演出では、自己のキャラクタ図柄が他のキャラクタ図柄と競い合いながら、ゴールする演出が行われている。この画面から図16(d)に示す着順判定画面へと発展する。【0128】図16(d)は、レースリーチにおいて、5着をとってキャラクタ図柄(馬)と騎手(人)とが喜んでいる画面を示した図である。このレースリーチにおいて5着をとったことによって、この大当たりで付与される遊技価値は、1ラウンドの大当たり遊技が付与される。即ち、この変動表示において、単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生する値であったと共に、ダートメモリ33fの値のみ「1」であったので、ラウンドカウンタ33yの値に「1」が加算される。なお、LCD10の図柄表示部10cには同一の3つの図柄が停止表示されている。【図16】[図:0001382816000002.jpg]」
(9)「【0129】次に、図17を参照して、ハズレの変動表示において、レースリーチの実行抽選に当選した場合に実行される6着のレースリーチについて説明する。図17(a)は、レースリーチが開始される直後のLCD10の表示画面を示した図である。この画面では、図柄表示部10cにおいて、図柄の変動表示が継続していることが示されている。なお、図17(a)において、ダート調教表示部10dにおいて星が2つ表示され、芝調教表示部10eにおいて星が2つ表示され、また、坂路調教表示部10fにおいて星が3つ表示されており、この変動表示の発生までにダートリーチの現出履歴は2回、芝リーチの現出履歴は2回、坂路リーチの現出履歴は3回であったことを示している。よって、各表示部10d~10fに表示されている星数の合計値は「8」であるので、馬体表示部10gに表示される矢印の向きが上向きに傾くように表示されている。更に、キモチ表示部10hの矢印の向きは、右横方向を示しているので、このことから、遊技者がタッチセンサ16aを積極的に操作していないことが伺える。この画面から図17(b)に示すレース開始演出へと発展する。【0130】図17(b)は、レース開始演出においてレースがスタートした直後の画面を示した図である。レース演出開始画面では、キャラクタ表示部10aにおいて表示されて今まで調教してきた自己のキャラクタ図柄が他のキャラクタ図柄と同様にゲートに収まり、そのゲートが開放されることによってスタートした演出が行われている。この画面から図17(c)に示すレース終了演出へと発展する。続きを表示(全11行)【0131】図17(c)は、レース終了演出においてキャラクタ図柄がゴールする直前の画面を示した図である。レース終了演出では、自己のキャラクタ図柄が他のキャラクタ図柄と競い合いながら、ゴールする演出が行われている。この画面から図17(d)に示す着順判定画面へと発展する。【0132】図17(d)は、レースリーチにおいて、6着をとってキャラクタ図柄(馬)と騎手(人)とが悲しんでいる画面を示した図である。このレースリーチにおいて6着をとったことによって、遊技価値が付与されない。即ち、この変動表示において、単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生する値でない共に、芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gの値がそれぞれ「1」以上であったので、ハズレリーチにおいて2%の確率のレースリーチの実行抽選に当選したことによって、ハズレのレース演出である6着のレースリーチが実行されたのである。なお、LCD10の図柄表示部10cには同一の3つの図柄が停止表示されている。【図17】[図:0001382816000003.jpg]」
(10)上記(1)ないし(9)からみて、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。なお、発明特定事項1A等に概ね対応させて符号a等を付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。
「a 遊技盤5の前面には、球が打ち込まれる遊技領域8が形成されている(【0010】)パチンコ機P(【0009】)において、b1 遊技領域8の略中央部分には、複数種類の識別情報としての図柄などを変動表示する液晶ディスプレイ(以下「LCD」と略す)10を備えた可変表示装置11が配設されており(【0011】)、LCD10の表示領域は、キャラクタ表示部10aと、図柄表示部10cと、ダート調教表示部10dと、芝調教表示部10eと、坂路調教表示部10fと、馬体状態表示部10gと、キモチ表示部10hとで構成されており(【0012】)、キャラクタ表示部10aは、馬等の図柄を表示する表示領域であり、変動表示にハズレリーチを発生する場合、又は、大当たりが発生する場合に、変動パターンカウンタ33mの値に応じて、芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33g並びに馬体メモリ33hの値に応じてレースリーチ等の演出が行われるように構成されており(【0014】)、図柄表示部10cは、複数種類の識別情報としての数値図柄を表示するために縦方向に3分割されており、1の始動入賞が行われる毎に3分割された各表示領域において数値図柄の変動表示が行われ(【0015】)、始動入賞では、遊技領域8に打ち込まれた球が図柄作動口12へ入賞して第1種始動口スイッチ12aで検出され、その検出に基づいて単発乱数カウンタ33bの値が取得され(【0032】)、ラウンドカウンタ33yは、大当たり時における大入賞口13aの開放回数を計数するためのカウンタであり、ラウンドカウンタ33yの値は、大当たりが発生する場合に、所定数が加算され(【0062】)、b2~g 保留球カウンタ減算処理により、大当たり時のリーチ又はハズレリーチが現出する毎に、それまでの変動表示の表示結果として現出したリーチ表示に応じて、レースリーチが実行されるか否かのレース実行抽選が行われ(【0088】)、演出実行エリア33qに記憶される単発乱数カウンタ33bの値は大当たりを発生する値か否かを確認し、確認の結果、演出実行エリア33qに記憶される単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生する値でなければ、ハズレの変動表示を設定するために通常設定処理を行い、逆に、演出実行エリア33qに記憶される単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生する値であれば、大当たりの変動表示を設定するために大当たり変動設定処理を行い(【0092】)、通常設定処理は、ハズレの変動表示の停止図柄や変動パターン等のコマンドを設定する処理であり(【0093】)、ハズレリーチでレースリーチを実行するか否かを決定するハズレ時レース判定処理を行い(【0095】)、ハズレ時レース判定処理においてレース実行抽選に当選したか否かを確認し、確認の結果、レース実行抽選に当選していれば、6着のレースリーチの変動パターンコマンドを設定し(【0102】)、大当たり変動設定処理は、大当たりの変動表示の停止図柄や変動パターン等のコマンドを設定する処理であり(【0108】)、芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gの値がそれぞれ「1」以上か否かを確認し、確認の結果、各メモリ33e~33gの値がそれぞれ「1」以上であれば、ラウンドカウンタ33yの値に「16」を加算し、大当たり終了後の遊技状態を大当たりが発生し易い確率変動状態にするために確変フラグ33zをオンして、1着になるレースリーチの変動パターンコマンドを設定し(【0109】)、一方、芝メモリ33e、ダートメモリ33f及び坂路メモリ33gの値がそれぞれ「1」以上でない場合には、次に、各メモリ33e~33gのいずれか2種のメモリの値が「1」以上か否かを確認し、確認の結果、各メモリ33e~33gのいずれか2種のメモリの値が「1」以上であれば、次に、坂路メモリ33gの値が「1」以上であるか否かを確認し、坂路メモリ33gの値が「1」以上である場合には、ラウンドカウンタ33yの値に「16」を加算して、2着になるレースリーチの変動パターンを設定し、一方、坂路メモリ33gの値が「1」以上でない場合には、ラウンドカウンタ33yの値に「8」を加算して、3着になるレースリーチの変動パターンコマンドを設定し(【0110】)、芝メモリ33e、ダートメモリ33f又は坂路メモリ33gのいずれか2種のメモリの値が「1」以上でない場合には、次に、各メモリ33e~33gのいずれか1種のメモリの値が「1」以上であるか否かを確認し、確認の結果、各メモリ33e~33gのいずれか1種のメモリが「1」以上であれば、坂路メモリ33gの値が「1」以上であるか否かを確認し、坂路メモリ33gの値が「1」以上であれば、ラウンドカウンタ33yの値に「2」を加算して、4着になるレースリーチの変動パターンコマンドを設定し(【0111】)、一方、芝メモリ33e、ダートメモリ33f又は坂路メモリ33gのいずれか1種のメモリの値が「1」以上でない場合、即ち、各メモリ33e~33gの値がそれぞれ「0」である場合、又は、各メモリ33e~33gのいずれか1種のメモリが「1」以上であって坂路メモリ33gの値が「1」以上でない場合には、ラウンドカウンタ33yの値に「1」を加算して、5着のレースリーチの変動パターンを設定し(【0112】)、レースリーチでは(【0121】、【0125】、【0129】)、レース開始演出においてレースがスタートした直後のレース演出開始画面では、キャラクタ表示部10aにおいて表示されて今まで調教してきた自己のキャラクタ図柄が他のキャラクタ図柄と同様にゲートに収まり、そのゲートが開放されることによってスタートした演出が行われ(【0122】、【0126】、【0130】)、レース終了演出では、自己のキャラクタ図柄が他のキャラクタ図柄と競い合いながら、ゴールする演出が行われる(【0123】、【0127】、【0131】)h パチンコ機P(【0009】)。」
2 当審拒絶理由で引用例2として引用され、本願の出願前に頒布された特開2002-28315号公報(平成14年1月29日公開)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。
(1)「【0026】次に、確率変動状態についてさらに詳細に説明する。可変表示装置8の可変表示部9で可変表示される特別図柄が所定の組合せで停止表示されたとき、大当りが発生するが、その大当り図柄が複数種類の大当り図柄のうちの予め定められた確変図柄(たとえば、この実施の形態では奇数図柄)である場合には、通常遊技状態に比べて大当りが発生する確率が高く変動した確率変動状態(高確率状態)となる。以下、確変図柄による大当りを確変大当りといい、確変図柄以外の大当り図柄(非確変図柄)による大当りを非確変大当りという。」
(2)「【0050】図7は、可変表示装置8の表示結果を決定する概略手順を示すフローチャートである。まず、0~293の範囲でカウントするランダムカウンタC_RND1のカウント数を抽出する。【0051】高確率時(確率変動状態)でない通常時(通常遊技状態)では、その抽出値が「7」のときには大当りを発生させることが事前決定される。なお、C_RND1の抽出値が「7」以外のときには、外れが事前決定され、C_RND_L、C_RND_C、C_RND_Rのカウント値からデータを抽出し、その抽出値に基づいて可変表示部9に表示される外れ図柄が決定される。ここで、この決定された外れ図柄が偶然ゾロ目の図柄であった場合には、C_RND_Cの抽出値に「1」を加算し、強制的に外れ図柄にして表示制御する。」
3 当審拒絶理由で引用例3として引用され、本願の出願前に頒布された特開2005-168700号公報(平成17年6月30日公開)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。
(1)「【0012】本実施形態に係る遊技機は、複数の識別情報を変動表示及び停止表示すると共に、停止表示されたときの複数の識別情報の組合せが予め定められた特定組合せとなった場合、遊技者に有利な特別遊技状態(大当たり遊技状態)に移行可能とした遊技機において、前記特定組合せを構成する各識別情報の色彩をそれぞれ変化させて、同識別情報の色彩変化により前記特別遊技状態(大当たり遊技状態)が単発で終了する通常大当たりであるか、それとも特別遊技状態(大当たり遊技状態)が終了した後、高確率で再度特別遊技状態(大当たり遊技状態)が発生する特別大当たり(確変大当たり)であるかを報知するようにした遊技機である。」
(2)「【0016】上記表示手段に表示される識別情報の組合せ結果は、遊技盤上に発射された遊技球が特定入球口に入球したことを受けて当選かはずれかを所定の抽選確率で抽選する抽選手段による抽選結果に基づくものとし、前記通常大当たり及び特別大当たりの他、はずれが存在し、このはずれに対応するはずれ組合せが存在する。」
4 上記2及び3からみて、以下の事項が周知であると認められる。
「所定の検知手段で遊技球が検知されたことに基づいて、識別情報を変動表示させた後、当り態様または外れ態様で停止させる遊技機において、識別情報を変動表示させた後、非確変図柄で停止させたときに、遊技者に利益が付与される通常大当りとなり、識別情報を変動表示させた後、確変図柄で停止させたときに、通常大当りよりも遊技者に付与される利益が大きい確変大当りとなり、識別情報を変動表示させた後、外れ図柄で停止させたときに、遊技者に利益が付与されない外れとなること」(以下、「周知技術」という。)
第5 対比
本願発明1と引用発明を対比する。
1 引用発明の発明特定事項aにおける「遊技盤5」、「遊技領域8」、「球」及び「パチンコ機P」は、それぞれ本願発明1の発明特定事項1Aにおける「遊技盤」、「遊技領域」、「遊技球」及び「遊技機」に相当する。
引用発明の「遊技領域8」は、「遊技盤5の前面に」「形成されている」から、本願発明1の「遊技領域」と同様に「遊技盤に形成された」ものであるといえる。
引用発明の「パチンコ機P」における「遊技領域8」は、「球が打ち込まれる」ものであることから、引用発明は、「球」を「遊技領域8に向けて発射する」ものであるといえる。また、引用発明の「パチンコ機P」において、「遊技領域8」に「球が打ち込まれる」ことは、「遊技を行う」ことであるといえる。そうすると、引用発明の「パチンコ機P」は、本願発明1の「遊技機」と同様に「遊技領域に向けて遊技球を発射することによって遊技を行う」ものであるといえる。
したがって、引用発明の発明特定事項aは、本願発明1の発明特定事項1Aに相当する構成を含む。
2(1)引用発明の発明特定事項b1における「第1種始動口スイッチ12a」、「数値図柄」及び「数値図柄の変動表示が行われ」ることは、それぞれ本願発明1の発明特定事項1Bにおける「所定の検知手段」、「識別情報」及び「識別情報を変動表示させ」ることに相当する。
(2)引用発明の発明特定事項b1における「図柄表示部10c」では、「1の始動入賞が行われる毎に3分割された各表示領域において数値図柄の変動表示が行われ」る(【0015】)。ここで、「始動入賞では、遊技領域8に打ち込まれた球が図柄作動口12へ入賞して第1種始動口スイッチ12aで検出され」るから(【0032】)、「数値図柄の変動表示」は、遊技領域8に打ち込まれた球が第1種始動口スイッチ12aで検出される毎に行われるといえる。そうすると、引用発明の発明特定事項b1は、本願発明1の発明特定事項1Bと同様に「前記遊技球が所定の検知手段で検知されたことに基づいて識別情報を変動表示させ」るといえる。
(3)引用発明の発明特定事項b2~gによれば、引用発明では、「演出実行エリア33qに記憶される単発乱数カウンタ33bの値は大当たりを発生する値か否かを確認し、」「演出実行エリア33qに記憶される単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生する値であれば」行う「大当たり変動設定処理」で(【0092】)、「大当たりの変動表示の停止図柄」が設定されるから(【0108】)、引用発明は、「大当たりを発生する」場合に、「大当たりの変動表示の停止図柄」で、変動表示が行われている「数値図柄」を停止表示させるといえる。また、引用発明では、「演出実行エリア33qに記憶される単発乱数カウンタ33bの値は大当たりを発生する値か否かを確認し、」「演出実行エリア33qに記憶される単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生する値でなければ」行う「通常設定処理」で(【0092】)、「ハズレの変動表示の停止図柄」が設定されるから(【0093】)、引用発明は、「大当たりを発生する」場合でなければ(「ハズレ」の場合に)「ハズレの変動表示の停止図柄」で変動表示が行われている「数値図柄」を停止表示させるといえる。これらのことから、引用発明は、「大当たりの変動表示の停止図柄」及び「ハズレの変動表示の停止図柄」の何れかで変動表示が行われている「数値図柄」を停止表示させるといえる。そして、引用発明の「ハズレの変動表示の停止図柄」は、本願発明1の「第3態様」に相当する。そうすると、引用発明における「大当たりの変動表示の停止図柄」及び「ハズレの変動表示の停止図柄」の何れかで変動表示が行われている「数値図柄」を停止表示させることと、本願発明1の発明特定事項1Bにおける「第1態様、第2態様、および第3態様の何れかで該識別情報を停止表示させる」こととは、「複数の態様の何れかで該識別情報を停止表示させる」点で共通するといえる。
ここで、引用発明の「大当たりの変動表示の停止図柄」は「大当たり」の場合に停止表示されるものであり、一方、「ハズレの変動表示の停止図柄」は「ハズレ」の場合に停止表示されるものであるところ、「大当たり」と「ハズレ」とで「遊技者の利益が異なる」ことは、技術常識から明らかである。
以上のことから、引用発明と本願発明1とは、「遊技者の利益が異なる複数の態様の何れかで該識別情報を停止表示させる」点で共通する。
(4)「数値図柄」を変動表示させ、かつ、変動表示していた「数値図柄」を停止表示させるために、引用発明がそれらを実現する手段を備えることは明らかである。そうすると、引用発明は、本願発明1と同様に「識別情報表示手段」を備えるといえる。
(5)したがって、引用発明の発明特定事項b1及びb2~gは、本願発明1の発明特定事項1Bと「前記遊技球が所定の検知手段で検知されたことに基づいて識別情報を変動表示させ、遊技者の利益が異なる複数の態様の何れかで該識別情報を停止表示させる識別情報表示手段」に相当する構成を含む点で共通する。
3 引用発明の発明特定事項b2~gによれば、引用発明は、「演出実行エリア33qに記憶される単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生する値でなければ」行う「通常設定処理」において(【0092】)、「6着のレースリーチの変動パターンコマンドを設定」するから(【0102】)、引用発明における「6着のレースリーチ」は、「大当たり」が発生しないことを示唆する演出であるといえる。ここで、上記2(3)で述べたように、引用発明は、「大当たりを発生する」場合でなければ「ハズレの変動表示の停止図柄」で変動表示が行われている「数値図柄」を停止表示させるから、引用発明における「6着のレースリーチ」は、「ハズレの変動表示の停止図柄」を示唆する演出であるともいえる。
また、引用発明の発明特定事項b2~gによれば、引用発明は、「演出実行エリア33qに記憶される単発乱数カウンタ33bの値が大当たりを発生する値であれば」行う「大当たり変動設定処理」において(【0092】)、「1着になるレースリーチの変動パターンコマンドを設定」するとき、「ラウンドカウンタ33yの値に「16」を加算し、大当たり終了後の遊技状態を大当たりが発生し易い確率変動状態にするために確変フラグ33zをオンし」(【0109】)、「2着になるレースリーチの変動パターンを設定」するとき、「ラウンドカウンタ33yの値に「16」を加算し」(【0110】)、「3着になるレースリーチの変動パターンコマンドを設定」するとき、「ラウンドカウンタ33yの値に「8」を加算し」(【0110】)、「4着になるレースリーチの変動パターンコマンドを設定」するとき、「ラウンドカウンタ33yの値に「2」を加算し」(【0111】)、「5着のレースリーチの変動パターンを設定」するとき、「ラウンドカウンタ33yの値に「1」を加算」する(【0112】)。ここで、引用発明の発明特定事項b2~gによれば、引用発明の「ラウンドカウンタ33y」は、「大当たり時における大入賞口13aの開放回数を計数するためのカウンタであり、ラウンドカウンタ33yの値は、大当たりが発生する場合に、所定数が加算され」るものであるから(【0062】)、引用発明における「1着になるレースリーチ」ないし「5着になるレースリーチ」は、「大当たり時における大入賞口13aの開放回数」又は「大当たり終了後の遊技状態」が異なる5種類の「大当たり」の何れかが発生することを示唆する演出であるといえる。そして、上記2(3)で述べたように、引用発明は、「大当たりを発生する」場合に「大当たりの変動表示の停止図柄」で変動表示が行われている「数値図柄」を停止表示させるから、引用発明における「1着になるレースリーチ」ないし「5着になるレースリーチ」は、「大当たりの変動表示の停止図柄」を示唆する演出であるともいえる。
以上のことから、引用発明の発明特定事項b2~gにおける「レースリーチ」は、本願発明1の発明特定事項1Cにおける「前記識別情報の変動表示に伴って、当該識別情報の停止表示時の態様を示唆する示唆演出」に相当する。
また、「レースリーチ」を実行するために、引用発明が「レースリーチ」を実行可能な手段を備えることは、明らかである。そうすると、引用発明は、本願発明1と同様に「演出実行手段」を備えるといえる。
したがって、引用発明の発明特定事項b2~gは、本願発明1の発明特定事項1Cに相当する構成を含む。
4 上記2(3)で述べたように、引用発明は、「大当たりを発生する」場合でなければ(「ハズレ」の場合に)、「ハズレの変動表示の停止図柄」で「数値図柄」を停止表示させるところ、引用発明において、「ハズレの変動表示の停止図柄」で「数値図柄」を停止表示させた場合には、遊技者に利益が付与されないことは、技術常識から明らかである。
したがって、引用発明の発明特定事項b2~gにおける「ハズレの変動表示の停止図柄」と、本願発明1の発明特定事項1Dにおける「前記第3態様」とは、「遊技者に利益が付与されない外れ態様であ」る点で共通する。
5 上記3で述べたように、引用発明の「レースリーチ」は、本願発明1の「示唆演出」に相当するものであり、引用発明における「1着になるレースリーチ」ないし「5着になるレースリーチ」は、「大当たりの変動表示の停止図柄」を示唆する演出であるといえ、引用発明における「6着のレースリーチ」は、「ハズレの変動表示の停止図柄」を示唆する演出であるといえる。ここで、引用発明の発明特定事項b2~gによれば、「レースリーチでは」(【0121】、【0125】、【0129】)、「レース終了演出では、自己のキャラクタ図柄が他のキャラクタ図柄と競い合いながら、ゴールする演出が行われる」(【0123】、【0127】、【0131】)から、引用発明の「レースリーチ」は、レースの終了まで「大当たりの変動表示の停止図柄」又は「ハズレの変動表示の停止図柄」の何れの可能性も残しておき、着順で「大当たりの変動表示の停止図柄」又は「ハズレの変動表示の停止図柄」を示唆することでレースを終了するものであるといえる。
したがって、引用発明の発明特定事項b2~gは、本願発明1の発明特定事項1Eと「前記示唆演出を開始すると、該示唆演出の終了まで複数の態様の何れの可能性も残しておき、前記識別情報の停止表示時の態様を示唆することで当該示唆演出を終了」する点で共通する。
6 引用発明の発明特定事項b~gにおける「自己のキャラクタ図柄」及び「他のキャラクタ図柄」は、本願発明1の「複数の対象」に相当する。このうち、引用発明の「自己のキャラクタ図柄」は、本願発明1の「前記複数の対象のうち遊技者と対応付けられた特定対象」にも相当する。また、上記3で述べたように、引用発明の「レースリーチ」は、本願発明1の「示唆演出」に相当する。
ここで、引用発明の発明特定事項b2~gによれば、引用発明は、「1着になるレースリーチの変動パターンコマンド」や(【0109】)、「2着になるレースリーチの変動パターン」(【0110】)、「3着になるレースリーチの変動パターンコマンド」(【0110】)、「4着になるレースリーチの変動パターンコマンド」(【0111】)、「5着のレースリーチの変動パターン」(【0112】)、「6着のレースリーチの変動パターンコマンド」(【0102】)を設定するものである。また、引用発明の発明特定事項b2~gによれば、引用発明は、「レースリーチでは」(【0121】、【0125】、【0129】)、「自己のキャラクタ図柄が他のキャラクタ図柄と同様にゲートに収まり、そのゲートが開放されることによってスタートした演出が行われ」(【0122】、【0126】、【0130】)、「レース終了演出では、自己のキャラクタ図柄が他のキャラクタ図柄と競い合いながら、ゴールする演出が行われる」(【0123】、【0127】、【0131】)ものである。そうすると、引用発明の「レースリーチ」の内容は、「自己のキャラクタ図柄」及び「他のキャラクタ図柄」がゴールへの着順を競い合い、「自己のキャラクタ図柄」が1着や2着、3着以下になるレースであるといえる。
したがって、引用発明の発明特定事項b2~gは、本願発明1の発明特定事項1Fと「前記示唆演出の内容は、複数の対象がゴールへの着順を競い合うレースであ」る点で共通する。
7 引用発明の発明特定事項hにおける「パチンコ機P」は、本願発明1の発明特定事項1Hにおける「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明の発明特定事項hは、本願発明1の発明特定事項1Hに相当する構成を含む。
8 上記1ないし7からみて、本願発明1と引用発明とは、
「1A 遊技盤に形成された遊技領域に向けて遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機において、1B’ 前記遊技球が所定の検知手段で検知されたことに基づいて識別情報を変動表示させ、遊技者の利益が異なる複数の態様の何れかで該識別情報を停止表示させる識別情報表示手段と、1C 前記識別情報の変動表示に伴って、当該識別情報の停止表示時の態様を示唆する示唆演出を実行可能な演出実行手段とを備え、1D’ 第3態様は、遊技者に利益が付与されない外れ態様であり、1E’ 前記示唆演出を開始すると、該示唆演出の終了まで複数の態様の何れの可能性も残しておき、前記識別情報の停止表示時の態様を示唆することで当該示唆演出を終了し、1F’ 前記示唆演出の内容は、複数の対象がゴールへの着順を競い合うレースである1H 遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-1(発明特定事項1B)>
本願発明1と引用発明とは、「前記遊技球が所定の検知手段で検知されたことに基づいて識別情報を変動表示させ、遊技者の利益が異なる複数の態様の何れかで該識別情報を停止表示させる識別情報表示手段」を備える点で共通するものの、
本願発明1では、停止表示された「識別情報」の「複数の態様」が「第1態様、第2態様、および第3態様の何れか」という3種類であるのに対し、
引用発明では、そのように構成されていない点。
<相違点1-2(発明特定事項1D)>
本願発明1と引用発明とは、「前記第3態様は、遊技者に利益が付与されない外れ態様であ」る点で共通するものの、
本願発明1では、「前記第1態様および前記第2態様は、遊技者に利益が付与される当り態様であると共に、該第1態様の方が該第2態様よりも遊技者に付与される利益が大きくなっている」ことが特定されているのに対して、
引用発明では、そのように構成されていない点。
<相違点1-3(発明特定事項1E)>
本願発明1と引用発明とは、「前記示唆演出を開始すると、該示唆演出の終了まで複数の態様の何れの可能性も残しておき、前記識別情報の停止表示時の態様を示唆することで当該示唆演出を終了」する点で共通するものの、
本願発明1では、「前記示唆演出」において「該示唆演出の終了まで」「可能性も残してお」く「複数の態様」が、「前記第1態様、前記第2態様、および前記第3態様」であることが特定されているのに対し、
引用発明では、そのように構成されていない点。
<相違点1-4(発明特定事項1F)>
本願発明1と引用発明とは、「前記示唆演出の内容は、複数の対象がゴールへの着順を競い合うレースであ」る点で共通するものの、
本願発明1では、「前記複数の対象のうち遊技者と対応付けられた特定対象が1着になることで前記第1態様を示唆し、前記特定対象が2着になることで前記第2態様を示唆し、前記特定対象が3着以下になることで前記第3態様を示唆する」ことが特定されているのに対し、
引用発明では、そのように構成されていない点。
<相違点1-5(発明特定事項1G)>
本願発明1では、「前記識別情報が前記第2態様で停止表示される場合の前記示唆演出では、前記レースで前記特定対象が3番手から前記ゴールの直前で2番手の前記対象を追い抜いて2着に入ることにより、前記第2態様を示唆することが可能である」のに対し、
引用発明では、「数値図柄」(「識別情報」に相当。)が停止表示されるものの、「数値図柄」に「第2態様」がないことから「数値図柄」が「第2態様」で停止表示される場合の「レースリーチ」(「示唆演出」に相当。)もなく、「レースリーチでは」「自己のキャラクタ図柄(「特定対象」に相当。)が他のキャラクタ図柄(「対象」に相当。)と競い合」うものの、「自己のキャラクタ図柄」が3番手からゴールの直前で2番手の「他のキャラクタ図柄」を追い抜いて2着に入ることがあるかどうかが不明である点。
第6 判断
1 相違点1-1ないし1-5について検討する。
(1)相違点1-1(発明特定事項1B)について
上記第5の2(3)で述べたように、引用発明は、「数値図柄」を変動表示させた後、「大当たりの変動表示の停止図柄」で停止表示させた場合には、「大当たり時における大入賞口13aの開放回数」又は「大当たり終了後の遊技状態」(これらは、本願発明1の「遊技者に付与される利益」に相当する。)が異なる5種類の「大当たり」の何れかが付与されるものである。また、上記第5の4で述べたように、引用発明は、「数値図柄」を変動表示させた後、「ハズレの変動表示の停止図柄」で停止表示させた場合には、遊技者に利益が付与されないものである。以上のことから、引用発明は、「数値図柄」を変動表示させた後、「大当たりの変動表示の停止図柄」で停止表示させた場合には、「遊技者に付与される利益」が異なる5種類の「大当たり」の何れかが付与され、「数値図柄」を変動表示させた後、「ハズレの変動表示の停止図柄」で停止表示させた場合には、遊技者に利益が付与されないものであるといえる。
ここで、所定の検知手段で遊技球が検知されたことに基づいて、識別情報を変動表示させた後、当り態様または外れ態様で停止させる遊技機において、識別情報を変動表示させた後、非確変図柄で停止させたときに、遊技者に利益が付与される通常大当りとなり、識別情報を変動表示させた後、確変図柄で停止させたときに、通常大当りよりも遊技者に付与される利益が大きい確変大当りとなり、識別情報を変動表示させた後、外れ図柄で停止させたときに、遊技者に利益が付与されない外れとなることは、上記第4の4で述べたように、周知技術である。
引用発明と周知技術は、いずれも、所定の検知手段で遊技球が検知されたことに基づいて、識別情報を変動表示させた後、当り態様または外れ態様で停止させる遊技機であり、大当りとなる場合に遊技者に利益が付与され、「遊技者に付与される利益」が異なる複数種類の「大当り」を有する点でも共通するから、引用発明において、「遊技者に付与される利益」が異なる5種類の「大当たり」及び「ハズレ」(合計6種類)、並びに、変動表示された後、停止表示される「大当たりの変動表示の停止図柄」及び「ハズレの変動表示の停止図柄」(合計2種類又は6種類)を、周知技術の「確変大当り」、「通常大当り」及び「外れ」(合計3種類)、並びに、「確変図柄」、「非確変図柄」及び「外れ図柄」(合計3種類)に転換することは、当業者が容易になし得たことである。ここで、周知技術の「確変図柄」、「非確変図柄」及び「外れ図柄」は、本願発明1の「第1態様」、「第2態様」及び「第3態様」に相当する。
したがって、引用発明において、相違点1-1に係る本願発明1の発明特定事項1Bをなすことは、当業者が周知技術に基づいて容易になし得たことである。
(2)相違点1-2(発明特定事項1D)について
上記(1)で述べたように、引用発明において、5種類の「大当たり」及び「ハズレ」、並びに、変動表示された後、停止表示される「大当たりの変動表示の停止図柄」及び「ハズレの変動表示の停止図柄」を、周知技術の「確変大当り」、「通常大当り」及び「外れ」、並びに、「確変図柄」、「非確変図柄」及び「外れ図柄」に転換することは、当業者が容易になし得たことである。
ここで、周知技術では、「非確変図柄」(本願発明1の「第2態様」に相当する。)で停止させたときに、遊技者に利益が付与される「通常大当り」となり、「確変図柄」(本願発明1の「第1態様」に相当する。)で停止させたときに、「通常大当り」よりも遊技者に付与される利益が大きい「確変大当り」となるから、周知技術は、本願発明1の発明特定事項1Dと同様に、「前記第1態様および前記第2態様は、遊技者に利益が付与される当り態様であると共に、該第1態様の方が該第2態様よりも遊技者に付与される利益が大きくなっている」といえる。さらに、周知技術では、「外れ図柄」で停止させたときに、遊技者に利益が付与されない「外れ」となるから、周知技術の「外れ図柄」は、本願発明1の発明特定事項1Dにおける「前記第3態様」と同様に、「遊技者に利益が付与されない外れ態様であ」るといえる。
したがって、引用発明において、相違点1-2に係る本願発明1の発明特定事項1Dをなすことは、当業者が周知技術に基づいて容易になし得たことである。
(3)相違点1-3(発明特定事項1E)について
上記第5の3で述べたように、引用発明における「1着になるレースリーチ」ないし「5着になるレースリーチ」は、「大当たり時における大入賞口13aの開放回数」又は「大当たり終了後の遊技状態」が異なる5種類の「大当たり」の何れかが発生することを示唆する演出であり、引用発明における「6着のレースリーチ」は、「大当たり」が発生しないことを示唆する演出である。すなわち、引用発明は、変動表示の結果、5種類の「大当たり」の何れかが付与されるか、又は「ハズレ」となるか、という6種類の結果の何れかを示唆するために、6種類のレースリーチを行うものであるといえる。
ここで、上記(1)で述べたように、引用発明において、変動表示の結果を、5種類の「大当たり」及び「ハズレ」で構成される6種類から、周知技術のように「確変大当り」、「通常大当り」及び「外れ」で構成される3種類に転換することは、当業者が容易になし得たことである。そして、このように転換した場合、「レースリーチ」で示唆することは「確変大当り」、「通常大当り」及び「外れ」になるところ、そのために「1着になるレースリーチ」で「確変大当り」を示唆し、「2着になるレースリーチ」で「通常大当り」を示唆し、「3着になるレースリーチ」(又は、3着以下になるレースリーチ)で「外れ」を示唆することは、当業者にとって自然な選択である(例えば、「3着になるレースリーチ」で「確変大当り」を示唆し、「1着になるレースリーチ」で「通常大当り」を示唆し、「2着になるレースリーチ」で「外れ」を示唆したら、レースの着順と遊技者に付与される利益の順序がかみ合わず、遊技者に違和感を与えることになる。)。すなわち、引用発明の「レースリーチ」において、「レースリーチ」の終了まで可能性も残しておく「複数の態様」を、「1着になるレースリーチ」、「2着になるレースリーチ」、及び、「3着になるレースリーチ」(又は、3着以下になるレースリーチ)とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
したがって、引用発明において、相違点1-3に係る本願発明1の発明特定事項1Eをなすことは、当業者が周知技術に基づいて容易になし得たことである。
(4)相違点1-4(発明特定事項1F)について
上記第5の3で述べたように、引用発明における「1着になるレースリーチ」ないし「5着になるレースリーチ」は、「大当たり時における大入賞口13aの開放回数」又は「大当たり終了後の遊技状態」が異なる5種類の「大当たり」の何れかが発生することを示唆する演出であり、引用発明における「6着のレースリーチ」は、「大当たり」が発生しないことを示唆する演出である。そうすると、引用発明は、「自己のキャラクタ図柄」及び「他のキャラクタ図柄」のうち遊技者と対応づけられた「自己のキャラクタ図柄」が1着ないし5着となることで、5種類の「大当たり」の何れかが発生することを示唆し、「自己のキャラクタ図柄」が6着となることで、「大当たり」が発生しないことを示唆するといえる。
ここで、上記(1)で述べたように、引用発明において、変動表示の結果を、5種類の「大当たり」及び「ハズレ」から、第4の4で示した周知技術の「確変大当り」、「通常大当り」及び「外れ」に転換することは、当業者が容易になし得たことである。また、上記(3)で述べたように、このように転換した場合、「レースリーチ」で「確変大当り」、「通常大当り」及び「外れ」の何れとなるかを示唆することになるところ、そのために「1着になるレースリーチ」で「確変大当り」を示唆し、「2着になるレースリーチ」で「通常大当り」を示唆し、「3着になるレースリーチ」(又は、3着以下になるレースリーチ)になるレースリーチで「外れ」を示唆することは、当業者にとって自然な選択である。ここで、「確変大当り」を示唆すること、「通常大当り」を示唆すること及び「外れ」を示唆することは、「確変図柄」、「非確変図柄」及び「外れ図柄」を示唆することであるともいえるから、本願発明1の「第1態様」、「第2態様」及び「第3態様」を示唆することに相当する。
したがって、引用発明において、相違点1-4に係る本願発明1の発明特定事項1Fをなすことは、当業者が周知技術に基づいて容易になし得たことである。
(5)相違点1-5(発明特定事項1G)について
引用発明の「レースリーチ」は(【0121】、【0125】、【0129】)、「レース開始演出においてレースがスタートし」(【0122】、【0126】、【0130】)、「レース終了演出では、自己のキャラクタ図柄が他のキャラクタ図柄と競い合いながら、ゴールする演出が行われる」(【0123】、【0127】、【0131】)ものである。
また、引用発明の「キャラクタ表示部10a」は、「馬等の図柄を表示する表示領域であ」るうえ(【0014】)、「変動表示にハズレリーチを発生する場合、又は、大当たりが発生する場合に、」「レースリーチ等の演出が行われる」ものであるから(【0014】)、引用発明における「変動表示にハズレリーチを発生する場合、又は、大当たりが発生する場合に、」「行われる」「レースリーチ」は、「馬」の「レース」、いわゆる、競馬である。
ここで、競馬において2頭の馬が「競い合いながら、ゴールする」とき、競い合った結果、一方の馬が他方の馬を追い抜くことがあり得るのは、競馬における常識である。したがって、引用発明の「レース開始演出においてレースがスタートし」「レース終了演出では、自己のキャラクタ図柄が他のキャラクタ図柄と競い合いながら、ゴールする演出が行われる」「レースリーチ」のうち「2着になるレースリーチ」において、「自己のキャラクタ図柄」が3番手から「他のキャラクタ図柄」を追い抜いて2着に入ることは、当業者が容易に想到できたことである。
また、上記(4)で述べたように、「2着になるレースリーチ」で「通常大当り」を示唆することも、当業者が容易に想到できたことである。
したがって、引用発明において、相違点1-5に係る本願発明1の発明特定事項1Gをなすことは、当業者が周知技術及び競馬における常識に基づいて容易になし得たことである。
2 本願発明1の効果について
本願発明1の効果について検討する。本願明細書の【発明が解決しようとする課題】の欄には、次のことが記載されている。
「【0006】しかし、特許文献1の遊技機では、識別情報が第2当り態様で停止表示される場合に、3つの演出図柄が同じ偶数の数字で揃っても、その後のバトル演出が終了するまで遊技者に第1当り態様での停止表示を期待させることが可能であるものの、バトル演出が行われた末に結局は遊技者側のキャラクタが敗北してしまうことに遊技者の落胆が大きく、せっかく第2当り態様の利益が付与されるのに遊技者に残念な印象を与えて、遊技興趣を十分に高めることができないという問題があった。【0007】本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、識別情報が遊技者にとって利益が小さい当り態様で停止表示される場合に、演出によって遊技興趣を高めることが可能な遊技機の提供を目的とする。」
そうすると、本願発明が解決しようとする従来技術の問題点は、3つの演出図柄が同じ数字で揃うことで大当り遊技が付与されることを報知した後に、その後のバトル演出で大当り遊技が利益の大きい第1当り態様か利益の小さい第2当り態様かを報知するという2回の報知を行う従来技術では、1回目の報知で大当り遊技が付与されることを遊技者に報知したにも拘わらず、2回目の報知で大当り遊技が遊技者に第1当り態様であることを期待させて結局は第2当り態様であることを報知すると、2回目の報知によって遊技者の落胆が大きくなり、遊技者に残念な印象を与えて、遊技興趣を十分に高めることができないことであると認められる。
これに対し、引用発明では、大当り遊技が付与されるか否かの報知と、大当り遊技がどのような利益の当り態様であるかの報知が、いずれもレースリーチという一つの演出によって同時に報知されるものであるから、本願発明が解決しようとする従来技術の問題点は解決されていると認められる。
したがって、本願発明1の奏する効果は、引用発明、周知技術及び競馬における常識から、予測することができた程度のものである。
3 請求人の主張について
ア 請求人は、令和3年11月11日提出の意見書において、以下のとおり主張する。
「3.本願発明が特許されるべき理由(1)拒絶理由通知では、「レースで競い合った結果、競争相手を追い抜くことや、競争相手の猛追を振り切ることがあり得るのは、レースにおいて常識である」として、本願の請求項1および請求項2に係る発明の進歩性が否定されました。(2)確かに、実際のレースでは、様々な展開が起こり得ることが常識であるものの、遊技機の演出としては、予め画像が用意された特定のレース展開しか起こり得ない(レース展開が限られている)のが前提です。そして、従来の遊技機では、予め画像を用意しておくレース展開として、「如何にしてゴール直前を盛り上げるか」に主眼が置かれており、遊技者に対応付けられた特定対象が2着になる場合、1着となる対象とのデッドヒートで競り負けるのが一般的です。すなわち、2番手の特定対象がゴール前でトップの対象を猛追するも僅かにおよばず2着に終わったり、トップだった特定対象がゴール前で2番手の対象にさされて2着に転落したりするようになっており、これでは1着(利益の大きい当り態様)を逃したことで遊技者に残念な印象を与えてしまうため、2着(利益の小さい当り態様)である場合の遊技者の気持ちに対する配慮に欠けていました。(3)これに対して、本願の遊技機は、「利益の小さい当り態様である場合の遊技者の気持ち」に配慮して、「利益の異なる当り態様のうち、一般に残念に思われがちな利益の小さい当り態様でも、外れ態様よりは良かったと遊技者に印象付けることで興趣を高める」という着想に特徴があります。続きを表示(全12行)この着想に基づき、利益の小さい当り態様である場合に、遊技者に対応付けられた特定対象を、利益が付与されない3着(外れ態様)となる対象とゴール直前で競い合わせ、特定対象を先にゴールさせることで、外れ態様よりは良かったと遊技者に印象付けることを可能としており、本願の請求項1では、「3番手の特定対象がゴール直前で2番手の対象を追い抜いて2着に入る」という特徴的な構成(以下、特徴的構成A)を有し、本願の請求項2では、「2番手の特定対象がゴール直前で3番手の対象の猛追を振り切って2着に入る」という特徴的な構成(以下、特徴的構成B)を有しています。(4)これをオリンピック競技に例えると、銀メダルの選手は、銅メダルよりも上であるにもかかわらず、金メダルを逃したことで悔しく思います。一方、銅メダルの選手は、銀メダルよりも下ですが、メダルを獲得できたことに喜びを感じます。(5)引用文献1では、「自己のキャラクタ図柄(馬)が他のキャラクタ図柄と競い合いながらゴールする」と記載されているものの、具体的にどのように競い合わせるかは不明であり、従来の慣行にならえば、自己のキャラクタ図柄を最終的な着順が上位になる他のキャラクタ図柄(自己のキャラクタ図柄が2着になる場合は、1着になる他のキャラクタ図柄)とゴール前で競い合わせるレース展開の画像が予め用意されているはずです。(6)また、引用文献1では、仮に「自己のキャラクタ図柄が2着になるレースリーチ」において、3番手から2番手を追い抜いて2着に入る場合、あるいは2番手から3番手の猛追を振り切って2着に入る場合があったとしても、利益の少ない3着にならなかったことよりも、1着になれなかったことで遊技者は残念に思います。このことは、拒絶理由通知で認定されたように、引用文献1における遊技者の利益が異なる5種類の「大当たり」および「ハズレ」を、引用文献2,3などに記載の周知技術に基づいて、「確変大当り」、「通常大当り」、および「外れ」に転換し得るとしても、直ちに「自己のキャラクタ図柄を、外れの着順となる他のキャラクタ図柄とゴール直前で競い合わせる」ことに結び付くものではありません。もしも引用文献1に、「自己のキャラクタ図柄が5着になるレースリーチで、6着(遊技価値が付与されない)となる他のキャラクタ図柄とゴール直前で競い合わせる」との記載があったならば、本願発明は容易と言えるかもしれませんが、そのようなレース展開は全く盛り上がらないので予め画像が用意されているはずがありません。(7)尚、引用文献2および引用文献3の何れにおいても、「利益の小さい当り態様(非確変大当り、通常大当たり)である場合の遊技者の気持ち」に対する配慮はなされていません。(8)以上のように本願の特徴的構成Aおよび特徴的構成Bは、「利益の小さい当り態様である場合の遊技者の気持ちに配慮する」という着想に基づくものであり、こうした配慮のない引用文献1~3から特徴的構成Aや特徴的構成Bを導き出すことは決して容易ではなく、当然ながら、特徴的構成Aや特徴的構成Bを備えることで実現される本願の上述した効果を引用文献1~3からは得ることができません。従って、たとえ当業者であっても、本願の請求項1および請求項2に係る発明は、引用文献1~3に基づいて容易に想到し得るとは言えないものと思料致します。」
イ しかしながら、上記2で述べたように、引用発明は本願発明が解決しようとする従来技術の問題点を解決するものであり、本願発明1の奏する効果は、引用発明、周知技術及び競馬における常識から、予測することができた程度のものである。
したがって、上記主張は採用できない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1は、当業者が引用発明、周知技術及び競馬における常識に基いて容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-017012