2020-016873
撮影システム、撮影方法及びプログラム
- 審判番号
- 2020-016873
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-097404外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年12月08日
- 審決日
- 2022年06月21日
- 公報発行日
- 2022年09月30日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (G03B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 15項目
第1 手続の経緯
折りたたみ中(クリックで表示)
本願は、平成25年6月25日に出願した特願2013-132324号の一部を平成29年9月1日に新たな特許出願とした特願2017-168238号の一部をさらに令和元年5月24日に新たな特許出願としたものであって、令和2年6月24日付けで拒絶理由が通知され、令和2年8月27日に手続補正がされ、令和2年9月3日付けで拒絶査定がされ、これを不服として、令和2年12月8日に本件審判請求がされ、同時に手続補正がされたものである。その後、当審により令和4年1月28日付けで拒絶理由が通知され、令和4年3月29日に手続補正がされた。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし7に係る発明は、令和4年3月29日の手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
なお、記号A~Eは、説明のために当審において付したものである。
[本願発明]
A カメラ部と表示部とを備える携帯端末を用いる撮影システムであって、
B 物体の表面にランダムに形成された模様と、前記物体に貼付又は刻印された製品のロゴと、を含む画像を取得する取得部と、
C 前記カメラ部によって照合対象物を撮影する際に、前記取得部によって取得された製品のロゴを含む画像の透過画像を、前記表示部に表示されるライブビュー画像に重畳表示する制御部と、
D 前記ライブビュー画像に含まれるロゴと前記透過画像に含まれるロゴとの位置と向きと大きさとが合うように調整された前記ライブビュー画像の状態で、前記カメラ部によって前記照合対象物を撮影処理する撮影処理部と
A を備える撮影システム。
第3 当審が通知した拒絶理由の概要
令和4年1月28日付けで当審が通知した拒絶理由の概要は、次のとおりである。
「本件出願の請求項1ないし7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。記引用文献1:国際公開第2013/018614号引用文献2:特開2006-67278号公報」
第4 引用文献の記載事項及び引用発明
折りたたみ中(クリックで表示)
1.引用文献1について
引用文献1(国際公開第2013/018614号)には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審により付したものである。
「[0001] 本発明は、照合・検索システム、照合・検索サーバ、画像特徴抽出装置、照合・検索方法及びプログラムに関する。」
「[0002] 近年、消費者や小売業者等は、製品に対するこだわり意識が高まっている。しかしながら、小売店の店頭におかれる製品は、本当に正規品なのか、又は、正規の代理店から出荷されたものであるのか、消費者や小売業者では、それを知る手段がなかった。」
「[0016] そこで、本発明は上記課題に鑑みて発明されたものであって、その目的はICタグなどの特別な装置が不要で、製品の個別の個体に関する情報の照合や検索ができる照合・検索システム、照合・検索サーバ、画像特徴抽出装置、照合・検索方法及びプログラムを提供することにある。」
「[0026] 図1は本発明の実施の形態のブロック図である。[0027] 本発明の実施の形態は、製品に共通して存在する基準部位と、基準部位を基準として相対的な位置にあらかじめ決定される製品の所定照合領域とを少なくとも含む画像を撮像する撮像部1と、撮像部1で撮像された画像から、基準部位を検出し、検出した基準部位を基準とした照合領域の画像特徴を抽出する製品特徴抽出部2と、抽出された製品の照合領域の画像特徴が記憶される記憶部3と、照合対象の製品の基準部位と、基準部位を基準とした製品の所定照合領域とを少なくとも含む画像を撮像する撮像部4と、撮像部4で撮像された画像から、照合対象の製品の基準部位を検出し、基準部位を基準とした照合領域の画像特徴を抽出する照合対象製品特徴抽出部5と、記憶部3に記憶されている画像特徴と、照合対象の製品の照合領域の画像特徴とを照合する照合・検索部6とを有する製品照合・検索システムである。[0028] 本発明は、製品の表面パターンが個体によって微妙に異なることを利用し、その製品の照合・検索を行うものである。尚、本発明が適用される製品は、製品の表面が各個体により異なるものであれば、特に限定されないが、製品の具体例としては、例えば、皮革製品、金属加工部品、鋳造された樹脂、陶器部分を持つ工業製品(例えば、半導体チップなど)などがある。また、製品の表面パターンには、例えば、皮革製品の表面紋様や、鋳造された樹脂、陶器部分の微小な凹凸等がある。[0029] また、生産者又は流通業者とは、生産に係る者(工業製品の生産会社等)や、流通過程において製品の流通、品質管理を行う者(卸売業者、小売店や代理店等)などを含む概念である。[0030] また、製品の基準部位とは、製品に貼付、印刷、刻印、焼印された製品の商標、ロゴ、製造者名、製造会社、ブランド名、製品名、製品番号等である。これらの基準部位は、同一製品であれば同一のパターンを共通に保有しており、外観上の特徴的な見え方をする。そして、これらの基準部位の位置姿勢を基準として定め、その特徴を製品特徴抽出部2及び照合対象製品特徴抽出部5が記憶しておく。尚、この基準部位は個体毎に変更する必要がないため、従来の個体毎に異なる識別子、例えば、管理用のタグ等を付与する手段と比べ、コストが安いという利点がある。[0031] また、照合領域とは、製品に対して照合を行うための、基準部位を基準として相対的な位置にあらかじめ決定される製品の表面の一部の領域をいう。照合領域の設定位置は、製品に貼付、印刷、刻印、焼印された製品の商標、ロゴ、製造者名、製造会社、ブランド名、製品名、製品番号(基準部位)を基準に相対的な位置に照合領域を設定する。例えば、製品が革製品の財布の場合、図2に示すように、財布に刻印されたロゴ10の文字「A」の頂部の頂点を基準としてその頂点から上方向30度の長さXcmの位置を照合領域11の右上頂点とし、この右上頂点から下方向30度の長さYcmの対角線で定まる矩形範囲を照合領域11とするように設定する。このように照合領域11を設定すれば、ロゴ10は、通常同一のものが使用されるので、ロゴ10を基準として相対的な位置にある照合領域11を確実に識別することができる。」
「[0036] 撮像部1は、生産に係る者(工業製品の生産会社等)や、流通過程において製品の流通や品質管理を行う者側に存在し、生産者等により、製品の基準部位及び照合領域を撮像するものである。撮像部1は、製品の照合領域を撮像する為の特別の装置を設けても良いが、CCDやCMOS等を備えたデジタルカメラや、携帯電話等でもかまわない。また、撮像された画像のファイル形式も問わず、JPEG等で良い。」
「[0039] 撮像部4及び照合対象製品特徴抽出部5は、小売店や流通管理者、消費者等の製品の照合を行う側に存在し、撮像部1及び製品特徴抽出部2と同様な構成である。」
以上の記載事項(特に、下線部)によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
なお、記号a~iは当審により付したものである。
[引用発明]
a 製品に共通して存在する基準部位と、基準部位を基準として相対的な位置にあらかじめ決定される製品の所定照合領域とを少なくとも含む画像を撮像する撮像部1と、撮像部1で撮像された画像から、基準部位を検出し、検出した基準部位を基準とした照合領域の画像特徴を抽出する製品特徴抽出部2と、抽出された製品の照合領域の画像特徴が記憶される記憶部3と、
b 照合対象の製品の基準部位と、基準部位を基準とした製品の所定照合領域とを少なくとも含む画像を撮像する撮像部4と、
c 撮像部4で撮像された画像から、照合対象の製品の基準部位を検出し、基準部位を基準とした照合領域の画像特徴を抽出する照合対象製品特徴抽出部5と、記憶部3に記憶されている画像特徴と、照合対象の製品の照合領域の画像特徴とを照合する照合・検索部6と
d を有する製品照合・検索システムであって、
e 製品の表面パターンが個体によって微妙に異なることを利用し、その製品の照合・検索を行うものであり、
f 製品の表面パターンには、例えば、皮革製品の表面紋様や、鋳造された樹脂、陶器部分の微小な凹凸等があり、
g 製品の基準部位とは、製品に貼付、印刷、刻印、焼印された製品の商標、ロゴ、製造者名、製造会社、ブランド名、製品名、製品番号等であり、
h 照合領域とは、製品に対して照合を行うための、基準部位を基準として相対的な位置にあらかじめ決定される製品の表面の一部の領域をいい、
i 撮像部1は、携帯電話であり、撮像部4は、撮像部1と同様な構成である、
d 製品照合・検索システム。
2.引用文献2について
引用文献2(特開2006-67278号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審により付したものである。
「【0001】本発明は、カメラと、表示画面を有する携帯電話や、PDA等の情報端末に関する。」
「【0002】カメラで被写体を撮影する場合、鮮明な撮影画像を得るためには、被写体までの距離に応じてレンズを駆動して合焦させる方法が一般的であるが、レンズを駆動する機構を搭載する必要があるため、装置が大型になり、重量も増加する。【0003】特に、情報端末に搭載するカメラは、小型化、軽量化のために、接写における焦点距離が固定されており、撮影者が被写体とカメラの距離を変化しなければならず、合焦が困難であった。」
「【0020】ここで、本実施の形態1の場合、被写体4としては、名刺や、従来の一次元バーコードや、2次元バーコード、さらには大きさ(ドット)の決まった文字等、予め規格等により大きさや形状が決まっているものが対象となる。これは、被写体4の大きさ、ズーム倍率、及び焦点距離が一定であれば、その被写体4を撮影して表示画面3に表示される画像6の大きさも一定となることから、予め大きさ等が規格化されていて一意に決まっている名刺やバーコード等の被写体4を撮影して合焦させた場合には、表示画面3に表示されるその被写体4の画像6の大きさも一意に決まるからである。」
「【0028】このため、本実施の形態1では、被写体4を撮影して合焦させた場合に表示画面3に表示されるその被写体4の画像6の大きさや形状を示す案内枠5を予め記憶しておき、画像6と共に表示画面3に表示させて、被写体4の画像6の大きさや形状をその案内枠5に一致させることにより、被写体4を焦点距離に導くことができる。すなわち、被写体4を撮影した画像6と、その被写体4を撮影して合焦させた場合に表示画面3に表示されるその被写体4の画像6の大きさや形状を示す案内枠5を合成して表示画面3に表示し、撮影者が被写体4を撮影した画像6の大きさと形状をその案内枠5に合わせることにより、焦点距離を測定することなく容易に合焦することが可能となる。【0029】そして、被写体4を撮影した画像6の大きさと形状をその案内枠5に合わせた状態で、シャッターボタン8を押すと、カメラ2が被写体4を撮影して取り込んだ画像は、保存用メモリ11に保存したり、画像認識回路10でバーコードや文字認識等が行われることとになる。【0030】このように、本実施の形態1によれば、予め大きさや形状が規格等により決まっている名刺やバーコード等の被写体4を撮影する場合、その被写体4をカメラ2で撮影して合焦した時に表示される被写体4の画像6の大きさと形状とを示す案内枠5を読み出して表示画面3に表示するようにしたので、撮影者は表示画面3にて被写体4の画像6の大きさを案内枠5に合わせることにより、焦点距離を測定することなく容易に合焦することができる。【0031】尚、上記実施の形態1の説明では、案内枠5を通常の線により示しているが、本発明では、これに限らず、被写体4の大きさと形状とを表示画面3上に表示できれば十分であり、点線や、破線、角だけを囲った線、さらには、被写体4の半透明画像等により被写体4の大きさと形状とを、表示画面3上に表示するようにしても勿論よい。このことは、次に説明する実施の形態2でも同様である。」
以上、下線部によれば、引用文献2には、以下の技術が記載されている。なお、【 】内は、対応する引用文献2の段落番号を示す。
「カメラと、表示画面を有する携帯電話等の情報端末に関し、カメラで被写体を撮影する場合、鮮明な撮影画像を得るためには、被写体までの距離に応じてレンズを駆動して合焦させる方法が一般的であるが、レンズを駆動する機構を搭載する必要があるため、装置が大型になり、重量も増加し、特に、情報端末に搭載するカメラは、小型化、軽量化のために、接写における焦点距離が固定されており、撮影者が被写体とカメラの距離を変化しなければならず、合焦が困難であったところ、(【0002】、【0003】)被写体4を撮影した画像6と、その被写体4を撮影して合焦させた場合に表示画面3に表示されるその被写体4の画像6の大きさや形状を示す案内枠5を合成して表示画面3に表示し、撮影者が被写体4を撮影した画像6の大きさと形状をその案内枠5に合わせ、(【0028】)合わせた状態で、シャッターボタン8を押すと、カメラ2が被写体4を撮影して取り込み、(【0029】)焦点距離を測定することなく容易に合焦することでき、(【0030】)被写体4としては、名刺や、従来の一次元バーコードや、2次元バーコード、さらには大きさ(ドット)の決まった文字等、予め規格等により大きさや形状が決まっているものが対象となり、(【0020】)上記説明では、案内枠5を通常の線により示しているが、これに限らず、被写体4の大きさと形状とを表示画面3上に表示できれば十分であり、点線や、破線、角だけを囲った線、さらには、被写体4の半透明画像等により被写体4の大きさと形状とを、表示画面3上に表示するようにしても勿論よい、(【0031】)技術。」
第5 本願発明と引用発明との対比
1.本願発明のAについて
引用発明は、「照合対象の製品の基準部位と、基準部位を基準とした製品の所定照合領域とを少なくとも含む画像を撮像する撮像部4・・を有する製品照合・検索システム」(b、d)である。
また、「撮像部1は、携帯電話であり、撮像部4は、撮像部1と同様な構成である」(i)から、引用発明の撮像部4は携帯電話である。
したがって、引用発明は、携帯電話で撮像するシステムであり、「携帯端末を用いる撮影システム」ともいえるものである。
また、該携帯電話(撮像部4)がカメラと表示部を備えることは当業者には明らかである。
よって、本願発明と引用発明は、「カメラ部と表示部とを備える携帯端末を用いる撮影システム」である点で一致する。
2.本願発明1のB、C、Dについて
本願発明は、
「物体の表面にランダムに形成された模様と、前記物体に貼付又は刻印された製品のロゴと、を含む画像を取得する取得部と、前記カメラ部によって照合対象物を撮影する際に、前記取得部によって取得された製品のロゴを含む画像の透過画像を、前記表示部に表示されるライブビュー画像に重畳表示する制御部と、前記ライブビュー画像に含まれるロゴと前記透過画像に含まれるロゴとの位置と向きと大きさとが合うように調整された前記ライブビュー画像の状態で、前記カメラ部によって前記照合対象物を撮影処理する撮影処理部と」
を備えるのに対し、引用発明は、そのような取得部、制御部、撮影処理部を備えていない点で両者は相違する。
3.一致点、相違点
以上によれば、本願発明と引用発明との間には次の一致点、相違点があるといえる。
[一致点]
カメラ部と表示部とを備える携帯端末を用いる撮影システム。
[相違点]
本願発明は、
「物体の表面にランダムに形成された模様と、前記物体に貼付又は刻印された製品のロゴと、を含む画像を取得する取得部と、前記カメラ部によって照合対象物を撮影する際に、前記取得部によって取得された製品のロゴを含む画像の透過画像を、前記表示部に表示されるライブビュー画像に重畳表示する制御部と、前記ライブビュー画像に含まれるロゴと前記透過画像に含まれるロゴとの位置と向きと大きさとが合うように調整された前記ライブビュー画像の状態で、前記カメラ部によって前記照合対象物を撮影処理する撮影処理部と」
を備えるのに対し、引用発明は、そのような取得部、制御部、撮影処理部を備えていない点。
第6 当審の判断
1.引用発明について
引用発明の製品照合・検索システムは、上記「第5 1.」で述べたように、カメラと表示部を備える携帯電話で撮像するシステムである。
また、引用発明は、bの「照合対象の製品の基準部位と、基準部位を基準とした製品の所定照合領域とを少なくとも含む画像を撮像する撮像部4」を有する。
ここで、gによれば、「製品の基準部位とは、製品に貼付、・・刻印・・された製品の・・ロゴ」を含み、e、f、hによれば、「照合領域とは、製品に対して照合を行うための、基準部位を基準として相対的な位置にあらかじめ決定される製品の表面の一部の領域」であって、「製品の表面パターンには、例えば、皮革製品の表面紋様や、鋳造された樹脂、陶器部分の微小な凹凸等があり」、「製品の表面パターンが個体によって微妙に異なることを利用し、その製品の照合・検索を行うもの」である。
したがって、引用発明は、照合対象の製品に貼付、刻印された製品のロゴを含む製品の基準部位と、製品に対して照合を行うための、基準部位を基準として相対的な位置にあらかじめ決定される製品の表面の一部の領域であって、製品の表面パターンには、例えば、皮革製品の表面紋様や、鋳造された樹脂、陶器部分の微小な凹凸等があり、製品の表面パターンが個体によって微妙に異なることを利用し、その製品の照合・検索を行う照合領域(以下、“製品のロゴと照合領域”という。)を少なくとも含む画像を撮像する撮像部を有するといえる。
2.引用文献2に記載された技術について
一方、上記「第4 2.」で述べた引用文献2に記載された技術は、段落【0031】の記載に基づいて「案内枠」を「被写体の半透明画像」とした場合について換言すれば、
「カメラと表示画面を有する携帯電話等の情報端末に関し、カメラで被写体を撮影する場合、鮮明な撮影画像を得るためには、被写体までの距離に応じてレンズを駆動して合焦させる方法が一般的であるが、レンズを駆動する機構を搭載する必要があるため、装置が大型になり、重量も増加し、特に、情報端末に搭載するカメラは、小型化、軽量化のために、接写における焦点距離が固定されており、撮影者が被写体とカメラの距離を変化しなければならず、合焦が困難であった」という課題を解決するために、
「被写体4を撮影した画像6と、その被写体4を撮影して合焦させた場合に表示画面3に表示されるその被写体4の画像6の大きさや形状を示す被写体4の半透明画像を合成して表示画面3に表示し、撮影者が被写体4を撮影した画像6の大きさと形状をその被写体4の半透明画像に合わせ、合わせた状態で、シャッターボタン8を押すと、カメラ2が被写体4を撮影して取り込」むという解決手段を採用して、
「焦点距離を測定することなく容易に合焦することができる」という効果を奏する技術であるといえる。
ここで、引用文献2に記載された技術は、被写体4として「文字等」を含むから、「撮影者が被写体4を撮影した画像6の大きさと形状をその被写体4の半透明画像に合わせ」るときの「形状を・・合わせ」ることには、向きを合わせることも含まれているといえる。
3.判断
引用発明は、上記1.で述べたように、カメラと表示部を備える携帯電話で撮像するシステムであるから、引用発明には、引用文献2に記載された、カメラと表示画面を有する携帯電話等の情報端末に関する上記課題と同じ課題があることは当業者が容易に理解できることである。
したがって、引用発明において、上記課題を解決するための解決手段として、引用文献2に記載された上記解決手段を採用する動機があり、また、それを妨げる要因は見当たらない。
よって、引用発明において、(引用文献2の「被写体4」に対応する)“製品のロゴと照合領域”を含む画像を撮像する撮像部に、上記動機にしたがって、引用文献2に記載された、上記解決手段を採用し、“製品のロゴと照合領域”を撮影した画像と、その“製品のロゴと照合領域”を撮影して合焦させた場合に表示部に表示されるその“製品のロゴと照合領域”の画像の大きさや形状を示す“製品のロゴと照合領域”の半透明画像を合成して表示部に表示し、撮影者が“製品のロゴと照合領域”を撮影した画像の大きさと形状をその“製品のロゴと照合領域”の半透明画像に合わせ、合わせた状態で、シャッターボタンを押すと、カメラが“製品のロゴと照合領域”を撮影して取り込むように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。
ここで、上記容易に想到し得る発明における「例えば、皮革製品の表面紋様や、鋳造された樹脂、陶器部分の微小な凹凸等」、「製品に貼付、・・刻印・・された製品の・・ロゴ」、「半透明画像」、「“製品のロゴと照合領域”を撮影した画像」は、それぞれ、本願発明の「物体の表面にランダムに形成された模様」、「物体に貼付又は刻印された製品のロゴ」、「透過画像」、「ライブビュー画像」に相当する。
また、上記容易に想到し得る発明における「その“製品のロゴと照合領域”を撮影して合焦させた場合に表示部に表示されるその“製品のロゴと照合領域”の画像の大きさや形状を示す“製品のロゴと照合領域”の半透明画像」は、「表示部に表示」するものであり、そのための制御をする手段などによりメモリなどから取得されるものであるのは明らかであるから、該取得を行う手段は、本願発明の「物体の表面にランダムに形成された模様と、前記物体に貼付又は刻印された製品のロゴと、を含む画像を取得する取得部」に相当する。
したがって、上記「“製品のロゴと照合領域”を撮影した画像と、その“製品のロゴと照合領域”を撮影して合焦させた場合に表示部に表示されるその“製品のロゴと照合領域”の画像の大きさや形状を示す“製品のロゴと照合領域”の半透明画像を合成して表示部に表示」するための構成は、本願発明の「物体の表面にランダムに形成された模様と、前記物体に貼付又は刻印された製品のロゴと、を含む画像を取得する取得部と、前記カメラ部によって照合対象物を撮影する際に、前記取得部によって取得された製品のロゴを含む画像の透過画像を、前記表示部に表示されるライブビュー画像に重畳表示する制御部」に相当する。
また、上記容易に想到し得る発明における「撮影者が“製品のロゴと照合領域”を撮影した画像の大きさと形状をその“製品のロゴと照合領域”の半透明画像に合わせ、合わせた状態で、シャッターボタンを押すと、カメラが“製品のロゴと照合領域”を撮影して取り込む」ことを実行する構成は、上記2.で述べたように、引用文献2に記載された技術が向きを合わせることも含まれているといえることから、本願発明の「前記ライブビュー画像に含まれるロゴと前記透過画像に含まれるロゴとの位置と向きと大きさとが合うように調整された前記ライブビュー画像の状態で、前記カメラ部によって前記照合対象物を撮影処理する撮影処理部」に相当する。
したがって、上述の当業者が容易に想到し得ることは、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項を備えるようにすることは当業者が容易に想到し得ることを意味している。
また、上記容易に想到し得る発明は、撮影者が常に合焦した同じ位置で撮像をすることになることから、本願発明の「携帯端末が備えるカメラを用いて、同一の特徴点を安定して抽出できる撮影画像を取得することができる」(本願明細書の段落【0012】を参照)との効果が得られることは、当業者が予測し得ることである。
よって、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2020-016873