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特許拒絶査定不服審判

2020-014284

認知機能向上のための植物抽出物

審判番号
2020-014284
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-514456外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年10月12日
審決日
2022年06月21日
公報発行日
2022年12月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A61K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-514456「認知機能向上のための植物抽出物」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月24日国際公開、WO2016/044299、平成29年 9月21日国内公表、特表2017-527591〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、2015年(平成27年)9月15日(パリ条約による優先権主張 2014年9月15日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特許出願であり、その主な手続の経緯は、次のとおりである。 平成30年 8月20日 手続補正書の提出 令和 1年 8月14日付け 拒絶理由通知書 令和 2年 1月17日 手続補正書及び意見書の提出 同年 1月20日 手続補足書の受付 同年 6月 8日付け 拒絶査定 同年10月12日 審判請求書の提出 同年11月20日 手続補正書(方式)の提出 令和 3年11月25日付け 拒絶理由通知書(当審) 令和 4年 3月28日 手続補正書及び意見書の提出 2 本願発明 本願の請求項1~8に係る発明は、令和4年3月28日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「【請求項1】 正常な加齢の認知変化を受けている哺乳動物の認知的健康及び/又は機能を向上、改善又は持続させるためのスペアミント抽出物組成物であって、主要な活性成分はロスマリン酸及び植物ポリフェノールであり、少なくとも8重量%のロスマリン酸を含み、0.01mg/kg/日~32mg/kg/日の量で少なくとも90日間にわたって投与される、組成物。」 3 拒絶の理由 令和3年11月25日付けで当審が通知した拒絶理由のうち、進歩性についての理由の要旨は、本願発明は、本願優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、引用文献1に記載された発明、引用文献8~11に記載された事項、周知技術及び技術常識に基づいて、本願優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 <引用文献等一覧> ・引用文献1:FASEB J.,2014年4月,Vol.28,No.1,Suppl.1,Abstract Number:LB402 ・引用文献8:米国特許出願公開第2010/0137433号明細書 ・引用文献9:Fitoterapia,2010年,Vol.81,p.644-648 ・引用文献10:特開2006-199666号公報 ・引用文献11:FARR SA ET AL: “Antioxidant extracts from rosemary and spearmint improve learning, memory and reduce oxidative stress in samp8 mice”, ABSTRACTS OF THE ANNUAL MEETING OF THE SOCIETY FOR NEUROSCI, SOCIETY FOR NEUROSCIENCE, US, 2013年, [2021年11月17日検索],インターネット <URL:https://www.abstractsonline.com/Plan/ViewAbstract.aspx?sKey=c2f065a0-271d-44dc-9008-2ac011a36180&cKey=a46cde5a-31d7-43bc-9da4-ab073b19bb91&mKey=%7b8D2A5BEC-4825-4CD6-9439-B42BB151D1CF%7d> ・参考文献A:“健常高齢者の認知機能の検討”,日本心理学会第75回大会要旨集,2011年,p.654,[2021年11月18日検索],インターネット<URL:https://doi.org/10.4992/pacjpa.75.0_1EV071> 4 引用文献1の記載事項及び引用発明 (1)引用文献1には、以下の事項が記載されている(当審による訳文で示す。当審による下線を付した箇所がある。)。 「自己申告による記憶障害のある男性と女性における独自のスペアミント抽出物の忍容性と認知機能に対する効果-パイロット研究(LB402)」(表題) 「概要 このパイロット試験は、スペアミント(Mentha spicata L.)の独自の抽出物の忍容性、及び、自己申告による記憶障害のある被験者の認知に対するその効果を調査するためのものである。被験者(N = 11)は、毎日900mgの抽出物を30日間摂取した。参加者は58.7歳の平均年齢及び27.4kg/m2のボディマスインデックスを有する、73%の女性及び27%の男性であった。耐性は、胃腸(GI)の耐性、有害事象、及び、ベースラインと治療終了時(EOT)での臨床検査によって、評価された。…主観的認知もEOTで評価した。抽出物を30日間摂取しても、消化管症状は有意に変化せず、主観的認知は改善した(3.5 vs.4.0; P = 0.063)。安全性パラメータに重篤な有害事象又は臨床的に関連する所見は観察されなかった。認知機能タスクスコアは、30日間の治療後にはベースラインから改善した、推論(24.7 vs.33.4ポイント; P = 0.023)、注意/集中(18.0 vs.40.5ポイント; P = 0.002)、及び計画(29.8 vs.44.1ポイント; P = 0.088)を示した。…これらの結果は、抽出物の忍容性が高く、認知機能の特定の側面を改善する可能性があることを示唆している。ランダム化比較試験での更なる調査が進行中である。」 (2)上記(1)の記載によれば、引用文献1には、自己申告による記憶障害のある平均年齢58.7歳の男性と女性、すなわち、ヒトに対して、スペアミント抽出物900mgを毎日30日間投与すると、認知機能タスクスコアが改善したことが記載されている。 そうすると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「自己申告による記憶障害のある平均年齢58.7歳のヒトの認知機能タスクスコアを向上させるためのスペアミント抽出物であって、該抽出物は毎日900mg、30日間投与されるものである、スペアミント抽出物。」 5 本願発明と引用発明との対比・判断 (1)対比 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「ヒトの認知機能タスクスコアを向上させるため」は、「認知機能タスクスコア」が認知機能を数値化したもので、当該スコアの向上は認知機能の向上を表すものであるから、本願発明の「哺乳動物の認知的健康及び/又は機能を向上、改善又は持続させるため」に相当する。 また、引用発明の「スペアミント抽出物」は、本願発明の「スペアミント抽出物組成物」に相当する。 そうすると、両発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「哺乳動物の認知的健康及び/又は機能を向上、改善又は持続させるためのスペアミント抽出物組成物。」 <相違点1> 哺乳動物が、本願発明においては、「正常な加齢の認知変化を受けている哺乳動物」であるのに対し、引用発明においては、「自己申告による記憶障害のある平均年齢58.7歳のヒト」である点。 <相違点2> スペアミント抽出組成物が、本願発明においては、「主要な活性成分はロスマリン酸及び植物ポリフェノールであり、少なくとも8重量%のロスマリン酸を含み、0.01mg/kg/日~32mg/kg/日の量で少なくとも90日間にわたって投与される」ものであるのに対して、引用発明においては、「900mgを毎日30日間投与される」ものである点。 (2)判断 ア 相違点1について 一般に、認知症や早期のアルツハイマー病とは診断されていない健常な高齢者における、認知機能の加齢変化の特徴の一つに記憶力の変化があり、認知機能の検討の際に、記憶力の自己評価が分析されることは、本願優先日当時の技術常識(以下「技術常識」という。)であった(要すれば、参考文献A:図1及び「考察」の項を参照。)。 そして、本願発明における「正常な加齢の認知変化を受けている哺乳動物」について、本願明細書には、「記憶障害は健康な高齢者で起こる老化の正常な結果と考えられている。Gallらは、高齢の被験者…(50歳超)の約20%に自己申告の記憶障害が発生することを報告している」(【0011】)と記載され、実施例2においては、59.4±0.6歳である「年齢関連記憶障害(…:AAMI)」を有する男性及び女性を対象として試験を行っていることからみて、本願発明における「正常な加齢の認知変化を受けている哺乳動物」は、年齢関連記憶障害を有する被験者、言い換えれば、老化の正常な結果として「自己申告の記憶障害が発生している高齢(50歳超)の被験者」を含むといえる。 また、引用発明における「自己申告による記憶障害のある平均年齢58.7歳のヒト」は、認知症や早期のアルツハイマー病と診断された患者ではないので、老化の正常な結果として「自己申告の記憶障害」のある高齢(50歳超)のヒトであるといえる。 そうすると、引用発明における「自己申告による記憶障害のある平均年齢58.7歳のヒト」は、本願発明の「正常な加齢の認知変化を受けている哺乳動物」に相当する。 したがって、相違点1は、実質的な相違点ではない。 イ 相違点2について (ア)相違点2のうち「主要な活性成分はロスマリン酸及び植物ポリフェノールであり、少なくとも8重量%のロスマリン酸を含」むことについて a スペアミント抽出物には、植物ポリフェノールの一種であるロスマリン酸が含まれており(引用文献8:[0080]、[0105]、引用文献11:Abstract)、さらに、ルテオリン 7-O-β-ルチノシド等のロスマリン酸以外の植物ポリフェノールが含まれていることは周知である(日本食生活学会誌,2011年,Vol.22,No.1,p.35~40:表1)。 したがって、引用発明のスペアミント抽出物にも、ロスマリン酸に加え、それ以外の「植物ポリフェノール」が含まれていると解されるから、相違点2のうち「主要な活性成分はロスマリン酸及び植物ポリフェノール」である点は、実質的な相違点ではない。 b ロスマリン酸と記憶や認知機能の改善について、引用文献8~11には、おおむね以下の事項が記載されている。 (i)引用文献8には、250ml当たり少なくとも約90mgのロスマリン酸を含有するスペアミント抽出物が開示され([0036])、当該抽出物は抗酸化活性を有していること([0036])、及び、ロスマリン酸を含む組成物を、神経保護剤としたり([0033])、対象に投与して記憶を改善させるという態様([0024]、請求項29)が記載されている。 (ii)引用文献9には、ロスマリン酸が、ICRマウス(25~30g)において、モリス水迷路試験における空間記憶を改善したことから、ロスマリン酸により認知機能が改善することが記載されている(Abstract、p.644~646の「2.1」、「3.2」の項)。 また、引用文献9には、ロスマリン酸は、アルツハイマー病に対して有効であることが知られていたことが記載されている(p.646左欄下から7~3行)。 さらに、引用文献9には、ロスマリン酸が認知機能を改善する作用に加えて、抗酸化作用があることを併せ考慮すると、ロスマリン酸の認知機能改善効果は、高齢者に対して有効であると記載されている(p.646の右欄末行~p.647の左欄3行)。 引用文献9の上記記載によれば、ロスマリン酸は、高齢者の認知機能改善効果があることが示唆されている。 (iii)引用文献10には、ロスマリン酸が、スコポラミン誘発健忘症モデルであるマウスにおいて、受動的回避反応試験の保持試行における潜時を延長したことを確認したことから(実施例4)、アルツハイマー型老年痴呆、アルツハイマー病、老年性痴呆又は脳血管性痴呆における健忘症の予防・治療剤として有効であることが記載されている(【0022】、【0023】)。 (iv)引用文献11には、スペアミントからの抗酸化性抽出物は、SAMP8マウスの学習、記憶を改善し、酸化ストレスを軽減することが開示され(表題)、加速老化の動物モデルであるSAMP8マウス(当審注:本願明細書の実施例1で使用したSAMP8と同じ。)に、5%のロスマリン酸が含まれるスペアミント抽出物を、16mg/kg、32mg/kgの用量で90日間投与すると、T迷路での獲得と保持、及び、物体認識を改善したことが記載されている(Abstract)。 引用文献11には、酸化的損傷は老化プロセスの一つと見なされており、老化に関連する認知障害において存在する神経機能障害は、主に酸化ストレスに起因すると記載されていることから(Abstractの第1~2文)、引用文献11における加速老化SAMP8マウスにおける学習、記憶の改善は、アルツハイマー病といった特定の病態に関連したもの以外の、一般的な、老化プロセスの一つである酸化的損傷による学習、記憶の改善を含むものと解される。 c 上記のとおり、引用文献8~11には、ロスマリン酸自体又はロスマリン酸を含むスペアミント抽出物により、記憶等の認知機能が改善することが記載されていることから、これらの文献の記載に接した当業者であれば、引用発明のスペアミント抽出物において認知機能タスクスコアを向上させた有効成分がロスマリン酸であることを、当然、認識することができたものといえる。 そして、引用文献11に、5%のロスマリン酸が含まれるスペアミント抽出物を用いることが記載されていることを考慮すると、引用発明のスペアミント抽出物において、有効成分であると認識されるロスマリン酸の濃度をなるべく高く設定し、「少なくとも8重量%のロスマリン酸を含」むものとすることは、当業者が必要に応じてなし得たことといえる。 (イ)相違点2のうち「0.01mg/kg/日~32mg/kg/日の量で少なくとも90日間にわたって投与される」ことについて 引用発明における「毎日900mg」は、ヒト体重60kgとして計算すると「15mg/kg/日」となり、本願発明の「0.01mg/kg/日~32mg/kg/日」の範囲内の数値であるから、スペアミント抽出物の投与量は、両発明において一致している。 また、引用発明における平均年齢58.7のヒトにおける「自己申告による記憶障害」は、加齢による記憶障害であると解されるから、更なる加齢による記憶障害の進行を防ぐために、30日を超えて継続的にスペアミント抽出物を投与することは、極めて自然なことといえる。 加えて、引用文献11では、SAMP8マウスに対して、スペアミント抽出物を16mg/kg又は32mg/kgを90日間投与して、学習、記憶を改善したことを確認していることを考慮すると、引用発明において、30日間を超えて、「少なくとも90日間にわたって」継続的にスペアミント抽出物を投与することに、特段の創意工夫は見いだせない。 (ウ)相違点2についてのまとめ 上記(ア)及び(イ)によれば、引用発明において、スペアミント抽出物を、植物ポリフェノールと「8重量%以上のロスマリン酸」を含むものとし、「0.01mg/kg/日から32mg/kg/日の量で少なくとも90日間にわたって投与」して、相違点2に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が容易に想到することができたものといえる。 ウ 本願発明の効果について (ア)本願明細書の実施例1において、ロスマリン酸を含有するスペアミント抽出物を、老化を加速させたSAMP8マウスに、90日間、16mg(活性成分)/kg(体重)又は32mg(活性成分)/kg(体重)となるように投与したところ、T迷路試験における獲得及び保持が向上し、更に対象認識が向上したことが記載され、当該用量は、ヒト当量用量では、91~180mgのロスマリン酸、即ち約15%の活性成分を含む600~1200mgのスペアミント抽出物に相当することが記載されている。 また、実施例2において、年齢関係記憶障害(AAMI)を有する男女(年齢=59.4歳±0.6歳)に、900mg又は600mgのスペアミント抽出物(当審注:ロスマリン酸の濃度は不明)を90日間投与し、総合的な認知能力治療効果を測定したところ、900mg/日を摂取した被験者において、作業記憶の質(図1)及び空間作業記憶(図2)が、600mg/日を摂取した被験者又はプラセボを摂取した被験者よりも、ベースラインから改善していたことが記載されている。 (イ)上記(ア)の実施例1及び2において示された効果は、引用発明において認知機能タスクスコアが向上したこと、及び、引用文献9~11の各種マウスにおける効果から、当業者が予測可能な範囲のものである。 また、実施例1及び2において、ロスマリン酸含有量の比較もされていないから、本願発明においてロスマリン酸を少なくとも8重量%以上としたことにより、当業者が予測し得ない格別優れた効果を奏するものともいえない。 さらに、実施例2において、600mg/日(当審注:体重60kgとすると10mg/kg/日)摂取した被験者は、プラセボを摂取した被験者と比べ有意な差があることは示されていないから(図1、2)、10mg/kg/日を含む「0.01mg/kg/日~32mg/kg/日」の数値範囲全体にわたって、当業者が予測し得ない格別優れた効果を奏するものともいえない。 なお、本願明細書の【0047】における、「91~180mgのロスマリン酸、即ち約15%の活性成分を含む600~1200mgのスペアミント抽出物に相当する。」という記載から、600~1200mgの約15%は約90~180mgであるので、本願明細書には、活性成分としては実質的にはロスマリン酸しか記載されておらず、ロスマリン酸以外のどのような植物ポリフェノールが活性成分であるのかは不明である。 (3)小括 以上によれば、本願発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献8~11に記載された事項、周知技術及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 6 令和4年3月28日提出の意見書における請求人の主張について (1)請求人は、引用文献1には、本願発明の投与量及び投与期間については何ら具体的に教示するものではないから、本願発明の90日間投与による顕著な認知機能改善効果を、引用文献1から予測することができない旨を主張する。 しかしながら、上記5(2)イに説示したとおり、引用発明のスペアミント抽出物を、本願発明の投与量及び投与期間を備えるものとすることは、当業者が容易に想到することができたものである。 そして、引用発明においては、本願明細書の実施例2と同様にスペアミント抽出物900mg/日を用いながら、本願発明よりも短い30日間の投与で、既に主観的認知が改善しており、それを継続して90日間以上投与し続けた場合には、ほぼ同程度かそれ以上の主観的認知の改善が期待できるといえるし、本願発明における投与量及び投与期間としたことによる効果が、引用発明から当業者が予測する効果よりも顕著なものであることは、具体的に示されているわけではない。 したがって、請求人の上記主張は採用できない。 (2)請求人は、引用文献1にはMentha spicata L.からの抽出物を使用したことは記載されているが、その具体的な態様については記載されていないから、当業者は実施可能な程度にその技術内容を理解できず、引用発明として不適当なものである旨を主張する。 請求人が主張する「具体的な態様」とは何を意味するのか明確ではないが、仮に、スペアミントからの抽出方法及び抽出物の組成が記載されていないから、引用文献1に記載のスペアミント抽出物を再現できないことを意味すると解しても、引用文献8及び引用文献11に記載されるように、記憶改善等の認知機能を向上させるために、スペアミント抽出物を用いることが周知であることを考慮すれば、引用文献1自体に抽出方法及び抽出物の組成が記載されていなくても、当業者であれば、スペアミント抽出物を製造でき、引用発明の技術内容を理解することができるといえる。 なお、本願明細書の実施例においても、「水性スペアミント抽出物」(【0066】)とあり、溶媒が「水性」であることは記載されているものの、具体的な抽出方法や抽出物の組成については記載されていない。 そして、引用文献1には、被験者、スペアミント抽出物の投与量・投与期間、及び、認知機能タスクスコアについて統計的処理を行った結果が記載され、スペアミント抽出物により自己申告による記憶障害のあるヒトの認知機能タスクスコアが向上したことも十分に理解でき、引用発明として不適当な点は見あたらない。 したがって、請求人の上記主張は採用できない。 7 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献8~11に記載された事項、周知技術及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2020-014284

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