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特許拒絶査定不服審判

2020-011068

液晶媒体

審判番号
2020-011068
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-121607外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年08月07日
審決日
2022年01月18日
公報発行日
2022年08月26日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (C09K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法49条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2015-121607「液晶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 1月14日出願公開、特開2016- 6180〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2015年6月17日(パリ条約による優先権主張 2014年6月17日 (DE)ドイツ、2014年8月29日 (DE)ドイツ)の出願であって、令和元年6月18日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内(2月延長)である同年11月19日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年4月6日付けで拒絶査定がなされ(謄本送達は同月14日)、これに対して、同年8月7日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、令和3年5月12日付けで当審から拒絶理由が通知され、その指定期間内(2月延長)である同年10月15日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし29に係る発明は、令和3年10月15日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし29に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項4に係る発明(以下、単に「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「 【請求項4】 少なくとも1種類の式Iの化合物と、0.01~5重量%の範囲内の濃度で1種類以上の反応性メソゲン化合物と、式B-nO-Om、B-n-Om、B(S)-nO-OmまたはB(S)-n-Omの化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物とを含むことを特徴とする液晶媒体。 【化4】 [図:0001386523000001.jpg] (式中、 R1およびR1*は、それぞれ互いに独立に、1~15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH2基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、-C≡C-、-CF2O-、-CH=CH-、 【化5】 [図:0001386523000002.jpg] -O-、-CO-O-、-O-CO-で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子は、ハロゲンで置き換えられていてもよく、 Z1およびZ2は、それぞれ互いに独立に、単結合、-CH2CH2-、-CH=CH-、-CH2O-、-OCH2-、-CF2O-、-OCF2-、-COO-、-OCO-、-C2F4-、-C≡C-、-CF=CF-、-CH=CHCHO-を表し、 L1~3は、それぞれ互いに独立に、F、Cl、CF3、OCF3またはCHF2を表す。) 【化6】 [図:0001386523000003.jpg] (式中、 nおよびmは、それぞれ互いに独立に1、2、3、4、5または6を表す。)」 第3 令和3年5月12日付けの当審拒絶理由の内容 当審において通知した拒絶理由は次のとおりである。 (進歩性)本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された後記第4、1(1)の刊行物1、2に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第4 当審の判断 1 刊行物及びその記載事項 (1)引用刊行物 刊行物1:特開2003-327965号公報 刊行物2:特開2013-536271号公報 (2)刊行物の記載 ア 刊行物1の記載事項 本願優先日前に頒布された刊行物1には、以下の事項が記載されている。 (1a)「【請求項1】 ネマティック液晶媒体であって、 a)1種または2種以上の式Iで表わされる誘電的に負の化合物を包含する誘電的に負の液晶成分(成分A): 【化1】 [図:0001386523000004.jpg] (式中、 R11および R12は、それぞれ相互に独立し、炭素原子1~7個を有するアルキル基、炭素原子1~7個を有するアルコキシ基、もしくは炭素原子2~7個を有するアルコキシアルキル基、アルケニル基またはアルケニルオキシ基であり、 【化2】 [図:0001386523000005.jpg] であり、 Z11およびZ12は、それぞれ相互に独立し、-CH2-CH2-、-CH2-CF2-、-CF2-CH2-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-、-CF2O-または単結合であり、およびnは、0または1であり、 ただし、 【化3】 [図:0001386523000006.jpg] である場合、第三のフェニル環中に存在する1個または2個以上のH原子はF原子により置き換えられていてもよい);および b)成分Aとは相違しているもう1種の誘電的に負の液晶成分(成分B);および任意に、 c)誘電的にニュートラルの液晶成分(成分C);および任意に、 d)誘電的に正の液晶成分(成分D); を含有することを特徴とする、ネマティック液晶媒体。 【請求項2】 式IIおよび式III: 【化4】 [図:0001386523000007.jpg] (各式中、 R21、R22、R31およびR32は、それぞれ相互に独立し、炭素原子1~7個を有するアルキル基またはアルコキシ基、もしくは炭素原子2~7個を有するアルコキシアルキル基、アルケニル基またはアルケニルオキシ基であり、 Z21、Z22、Z31およびZ32は、それぞれ相互に独立し、-CH2-CH2-、-CH=CH-、-C≡C-、-COO-または単結合であり、 mは、0または1であり、および 【化5】 [図:0001386523000008.jpg] である)で表わされる化合物からなる群から選択される1種または2種以上の化合物を包含する成分Bを含有することを特徴とする液晶媒体。 ・・・ 【請求項7】 請求項1~6のいずれかに記載の液晶媒体を含有する電気光学ディスプレイ。 【請求項8】 アクティブマトリックスディスプレイであることを特徴とする、請求項7に記載のディスプレイ。 【請求項9】 ECBまたはIPSディスプレイであることを特徴とする、請求項7および8のいずれかに記載のディスプレイ。 【請求項10】 請求項1~7のいずれかに記載の液晶媒体の電気光学ディスプレイにおける使用。」 (1b)「【0100】本発明による液晶媒体は、必要に応じてまた、追加の添加剤およびカイラルドープ剤を慣用の量で含有することができる。これらの使用されるドープ剤の量は、総合して、全体としての混合物の量に基づき0%~10%、好ましくは0.1%~6%である。使用される各化合物の濃度は、好ましくは0.1~3%である。液晶媒体中の液晶化合物の濃度および濃度範囲を示す場合、これらのおよび類似の添加剤の濃度は考慮されていない。本発明による混合物に添加することができるドープ剤を以下に示す:」 (1c)「【0104】 【実施例】下記例は、本発明を例示するものであって、制限を示すものではない。これらの例において、液晶物質の融点T(C,N)、スメクティック相(S)からネマティック相(N)への転移T(S,N)および透明点T(N,I)は、摂氏度で示されている。別段の記載がないかぎり、本明細書全体に記載のパーセンテージは重量によるパーセントであり、また別段の記載がないかぎり、物理的性質は20℃における数値である。別段の特徴が記載されていないかぎり、本明細書全体に記載のパーセンテージは重量によるパーセントであり、また別段の記載がないかぎり、物理的性質は20℃における数値である。 【0105】別段の記載がないかぎり、本明細書中に温度にかかわり示されている数値は全部が、℃であり、また全部の温度差は相当して相違する度である。本明細書および下記例において、液晶化合物の構造は、頭文字により示されており、その化学式への変換は下記表AおよびBに従い達成される。全部の基CnH2n+1およびCmH2m+1は、n個またはm個の炭素原子をそれぞれ有する直鎖状アルキル基である。表Bのコードは、自明である。表Aには、骨格構造にかかわる頭文字のみが示されている。各場合、この骨格構造にかかわる頭文字の後に、ハイフンにより分離して、置換基R1、R2、L1およびL2に関するコードが示されている: 【0106】 【表1】 [図:0001386523000009.jpg] 【0107】表A 【化56】 [図:0001386523000010.jpg] 【0108】 【化57】 [図:0001386523000011.jpg] 【0109】 【化58】 [図:0001386523000012.jpg] 【0110】表B 【化59】 [図:0001386523000013.jpg] 【0111】 【化60】 [図:0001386523000014.jpg] 【0112】 【化61】 [図:0001386523000015.jpg] 【0113】 【化62】 [図:0001386523000016.jpg] 【0114】 【化63】 [図:0001386523000017.jpg] 【0115】 【化64】 [図:0001386523000018.jpg] 【0116】 【化65】 [図:0001386523000019.jpg] 【0117】 【化66】 [図:0001386523000020.jpg] 【0118】 【化67】 [図:0001386523000021.jpg] 【0119】 【化68】 [図:0001386523000022.jpg] 【0120】 【化69】 [図:0001386523000023.jpg] 【0121】本発明による液晶媒体は、好ましくは5種またはそれ以上、特に好ましくは6種またはそれ以上、また非常に特に好ましくは7種またはそれ以上の表AおよびBからの式から選択される化合物を含有する。本発明による液晶媒体は、好ましくは2種またはそれ以上、特に好ましくは3種またはそれ以上、また非常に特に好ましくは4種またはそれ以上の表Aからの式から選択される化合物を含有する。本発明による液晶媒体は、好ましくは3種またはそれ以上、特に好ましくは4種またはそれ以上、また非常に特に好ましくは5種またはそれ以上の表Bからの式から選択される化合物を含有する。これらの化合物は好ましくは、これらの表からの相違する式で表わされる化合物である。 【0122】例 下記例は、本発明を例示するものであり、制限を示すものではない。本明細書全体をとおし、パーセンテージは重量によるパーセントである。全部の温度は摂氏度で示されている。△nは光学異方性を表わし(589nm、20℃)、△εは誘電異方性を表わし(1kHz、20℃)、H.R.は電圧保持率を表わし(100℃、オーブン中で5分後、1V)、およびV0、しきい値電圧は20℃で測定した。 【0123】比較例1 ドイツ国特許第2300642号明細書(GE2300642)の例3の液晶混合物を調製した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【表2】 [図:0001386523000024.jpg] 【0124】この液晶媒体を、TFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、比較的高いアドレス電圧および匹敵して長い応答時間を有する。 例1 比較例1の組成と類似の組成を有する液晶混合物を製造した。この混合物は比較例の濃度とほぼ同一の濃度でほぼ同一の化合物を含有する。主要相違点は、比較例の末端極性置換基を有するラテラルフッ素化ターフェニル化合物の代わりに本発明による式Iで表わされるフッ素化ターフェニル化合物を使用する点にある。この例の混合物の透明点および複屈折率は、比較例の対応する数値に設定された。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0125】 【表3】 [図:0001386523000025.jpg] 【0126】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるディスプレイに導入した。このディスプレイは、比較例1の混合物を含有するディスプレイに比較し、特により低いアドレス電圧を必要とし、またより迅速に切換えられる点で際立っている。最後に記載されている3種の化合物の代わりに、PYG-n-m、PGIY-n-0mまたはPGIY-n-m型の類縁化合物またはその組合せをそれぞれ有利に使用することができる。 比較例2 GB2300642の例5の液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0127】 【表4】 [図:0001386523000026.jpg] 【0128】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるディスプレイに導入した。このディスプレイは、比較的高いアドレス電圧を必要とし、また比較的長い応答時間を有する。 例2 比較例1の組成と類似の組成を有する液晶混合物を製造した。この混合物は比較例の濃度と同一の濃度で同一の化合物を含有する。唯一の相違点は、比較混合物の末端極性置換基を有するラテラルフッ素化ターフェニル化合物の代わりに本発明による式Iで表わされるフッ素化ターフェニル化合物を使用する点にある。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0129】 【表5】 [図:0001386523000027.jpg] 【0130】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるディスプレイに導入した。このディスプレイは、比較例2の混合物を含有するディスプレイに比較し、より低いアドレス電圧を必要とし、またより迅速に切換えられる点で際立っている。 例3 比較例2と類似の透明点および類似の複屈折率を有する液晶混合物を製造した。例2と同様に、本発明による式Iで表わされるフッ素化ターフェニル化合物をまた使用したが、この場合、付属成分が完全に相違する。この混合組成物は、例2の組成物に比較して、本発明によれば好適組成物である。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0131】 【表6】 [図:0001386523000028.jpg] 【0132】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるディスプレイに導入した。このディスプレイは、例2の混合物を含有するディスプレイに比較し、低くさえあるアドレス電圧を必要とし、またさらに迅速に切換えられる点で際立っている。 比較例3 GB2300642の例6の液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0133】 【表7】 [図:0001386523000029.jpg] 【0134】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入する。 例4 比較例3の組成と類似の組成を有する液晶混合物を製造した。主要相違点は、比較混合物の末端極性置換基を有するラテラルフッ素化ターフェニル化合物の代わりに本発明による式Iで表わされるフッ素化ターフェニル化合物を使用する点からなる。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0135】 【表8】 [図:0001386523000030.jpg] 【0136】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に比較例3の混合物を含有するディスプレイに比較し、より低いアドレス電圧を必要とし、またより迅速に切換えられる点で際立っている。しかしながら、この混合物の複屈折率は本発明に従う最も好ましい範囲にはなく、格別に高く、従って特に薄い膜を有するセルの使用を必要とする。 比較例4 EP1146104の例10の液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0137】 【表9】 [図:0001386523000031.jpg] 【0138】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるディスプレイに導入した。このディスプレイは比較的長い応答時間を有する。 例5 比較例4の組成と類似の組成を有する液晶混合物を製造した。この混合物は比較例とほぼ同一成分をほぼ同一濃度含有する。主要相違点は、本発明による式Iで表わされるフッ素化ターフェニル化合物を使用する点にある。この混合物の透明点、複屈折率および誘電異方性は比較例4の対応する数値に設定した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0139】 【表10】 [図:0001386523000032.jpg] 【0140】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に比較例4の混合物を含有するディスプレイに比較し、同一のアドレス電圧において格別に迅速に切換えられる点で際立っている。 比較例5 EP1146104の例2の液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0141】 【表11】 [図:0001386523000033.jpg] 【0142】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるディスプレイに導入した。このディスプレイは高いアドレス電圧および比較的長い応答時間を有する。 例6 比較例5の組成と類似の組成を有する液晶混合物を製造した。この混合物は比較例とほぼ同一成分をほぼ同一濃度含有する。主要相違点は、本発明による式Iで表わされるフッ素化ターフェニル化合物を使用する点にある。この混合物の透明点、複屈折率および誘電異方性は比較例5の対応する数値に設定した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0143】 【表12】 [図:0001386523000034.jpg] 【0144】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に比較例5の混合物を含有するディスプレイに比較し、より迅速に切換えられる点で際立っている。 例7 本発明による液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0145】 【表13】 [図:0001386523000035.jpg] 【0146】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、より迅速に切換えられる点で際立っている。 例8 本発明に従う液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0147】 【表14】 [図:0001386523000036.jpg] 【0148】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に非常に迅速に切換えられる点で際立っている。 例9 本発明に従う液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0149】 【表15】 [図:0001386523000037.jpg] 【0150】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に迅速に切換えられる点で際立っている。 例10 本発明に従う液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0151】 【表16】 [図:0001386523000038.jpg] 【0152】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に比較的低いアドレス電圧を必要とし、また比較的迅速に切換えられる点で際立っている。 例11 本発明に従う液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0153】 【表17】 [図:0001386523000039.jpg] 【0154】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に比較的低いアドレス電圧を必要とし、また比較的迅速に切換えられる点で際立っている。 例12 本発明に従う液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0155】 【表18】 [図:0001386523000040.jpg] 【0156】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に比較的低いアドレス電圧を必要とし、また非常に迅速に切換えられる点で際立っている。 例13 本発明に従う液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0157】 【表19】 [図:0001386523000041.jpg] 【0158】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に比較的低いアドレス電圧を必要とし、また非常に迅速に切換えられる点で際立っている。 例14 本発明に従う液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0159】 【表20】 [図:0001386523000042.jpg] 【0160】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に比較的低いアドレス電圧を必要とし、また迅速に切換えられる点で際立っている。 例15 本発明に従う液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0161】 【表21】 [図:0001386523000043.jpg] 【0162】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に比較的低いアドレス電圧を必要とし、また非常に迅速に切換えられる点で際立っている。 例16 例15の組成と類似の組成を有する本発明に従う液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0163】 【表22】 [図:0001386523000044.jpg] 【0164】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に高温まで動作することができ、比較的低いアドレス電圧を必要とし、しかも比較的迅速に切換えられる点で際立っている。 例17 本発明に従う液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0165】 【表23】 [図:0001386523000045.jpg] 【0166】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に比較的低いアドレス電圧を必要とし、また比較的迅速に切換えられる点で際立っている。 例18 前記例(例17)の組成と類似の化合物および類似の組成を有する本発明に従う液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0167】 【表24】 [図:0001386523000046.jpg] 【0168】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に前記例(例17)に比較し、より低いアドレス電圧を必要とし、また同時に、これとほぼ同様に迅速に切換えられる点で際立っている。 例19 前記2つの例(例17および18)の組成と類似の化合物および類似の組成を有する本発明に従うもう一種の液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0169】 【表25】 [図:0001386523000047.jpg] 【0170】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に例17に比較し、幾分低いアドレス電圧を必要とし、また非常に高温まで動作することができ、同時に、依然として比較的迅速に切換えられる点で際立っている。 例20 前記3つの例(例17~19)の組成と類似の化合物および類似の組成を有する本発明に従うもう一種の液晶混合物を製造した。この混合物の透明点は、特に4種の6員環を有する化合物(CBC-33)の添加によってさらに高められた。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0171】 【表26】 [図:0001386523000048.jpg] 【0172】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に例17とほぼ同一のアドレス電圧を必要とし、前記例(例19)よりもさらに高い温度においてさえも動作することができ、同時に、依然として比較的迅速に切換えられる点で際立っている。 例21 本発明のさらに別の好適態様に従う液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0173】 【表27】 [図:0001386523000049.jpg] 【0174】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に比較的低いアドレス電圧を必要とし、また非常に迅速に切換えられる点で際立っている。 例22 本発明のもう一つの好適態様に従う液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0175】 【表28】 [図:0001386523000050.jpg] 【0176】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に非常に高温まで動作することができ、また比較的低いアドレス電圧を必要とし、しかも迅速に切換えられる点で際立っている。 例23 本発明のもう一つの好適態様に従う液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0177】 【表29】 [図:0001386523000051.jpg] 【0178】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に非常に高温まで動作することができ、また低いアドレス電圧を必要とし、しかも迅速に切換えられる点で際立っている。 例24 本発明のもう一つの好適態様に従う液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0179】 【表30】 [図:0001386523000052.jpg] 【0180】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に非常に高温まで動作することができ、また比較的低いアドレス電圧を必要とし、しかも迅速に切換えられる点で際立っている。 例25 本発明のもう一つの好適態様に従う液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0181】 【表31】 [図:0001386523000053.jpg] 【0182】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に非常に高温まで動作することができ、また比較的低いアドレス電圧を必要とし、しかも迅速に切換えられる点で際立っている。 例26 カイラルドープ剤S-4011をドープされる混合物の総重量に基づき、0.80重量%の量で、例25の液晶混合物に添加した。生成するカイラル混合物は、80.5℃の透明点および20℃において-12.1μmのコレステリックピッチを有する。比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に非常に高温まで動作することができ、また比較的低いアドレス電圧を必要とし、しかも迅速に切換えられる点で際立っている。 【0183】例27 カイラルドープ剤S-2011をドープされる混合物の総重量に基づき、0.85重量%の量で、例25の液晶混合物に添加した。生成するカイラル混合物は、80.5℃の透明点および20℃において-11.6μmのコレステリックピッチを有する。比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に非常に高温まで動作することができ、また比較的低いアドレス電圧を必要とし、しかも迅速に切換えられる点で際立っている。 例28 本発明のもう一つの好適態様に従う液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0184】 【表32】 [図:0001386523000054.jpg] 【0185】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に非常に高温まで動作することができ、また比較的低いアドレス電圧を必要とし、しかも迅速に切換えられる点で際立っている。 例29 本発明のもう一つの好適態様に従う液晶混合物を製造した。この混合物の組成および物理的性質を下表に示す。 【0186】 【表33】 [図:0001386523000055.jpg] 【0187】比較例1と同様に、この液晶媒体をTFTアドレス法によるVAディスプレイに導入した。このディスプレイは、特に非常に高温まで動作することができ、また比較的低いアドレス電圧を必要とし、しかも迅速に切換えられる点で際立っている。 例30 例28の混合物を例26と同様のカイラルドープ剤と混合し、VAディスプレイに使用する。 例31 例29の混合物を例26と同様のカイラルドープ剤と混合し、VAディスプレイに使用する。」 イ 刊行物2の記載事項 本願優先日前に頒布された刊行物2には、以下の事項が記載されている。 (2a)「【請求項1】 -1.5以下のΔε値で負の誘電異方性を有する低分子量液晶成分と、重合性または重合された成分と、少なくとも450ダルトンの質量を有する粒子を含む成分(N)とを含むLC媒体であって、粒子は1個以上の有機極性アンカー基を含有し、重合された成分は重合性成分を重合して得ることができるLC媒体。 ・・・ 【請求項12】 成分(N)は、1個以上の重合性基を含有する粒子を含むことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載のLC媒体。 【請求項13】 2枚の基板および2個の電極(ただし、少なくとも一方の基板は光に対して透明であり、少なくとも一方の基板は1個または2個の電極を有する。)と、基板間に配置された請求項1~12のいずれか1項に記載のLC媒体の層(ただし、重合された成分は、1種類以上の重合性化合物を、LCセルの基板間においてLC媒体中で重合することで得ることができ、ただし、成分(N)は、LC媒体の基板表面に対するホメオトロピック配向を生じさせるのに適している。)とを有するLCセルを含むLCディスプレイ。 【請求項14】 基板は、配向層を有していないことを特徴とする請求項13に記載のLCディスプレイ。 【請求項15】 LCセルの反対側に配置された電極を有するVAディスプレイであることを特徴とする請求項13または14に記載のLCディスプレイ。」 (2b)「【0019】 VAディスプレイの更なる開発は、所謂PS(polymer sustained:ポリマー維持)またはPSA(polymer sustained alignment:ポリマー維持配向)ディスプレイであり、これらに対しては、しばしば、用語「ポリマー安定化」(polymer stabilised)も使用される。これらのディスプレイにおいては、少量(例えば、0.3重量%、典型的には1重量%未満)の1種類以上の重合性化合物(1種類または多種類)をLC媒体に添加し、LCセルに導入後、電極間に電圧を印加するか印加せずに、通常UV光重合により、その場で重合または架橋する。反応性メソゲンまたは「RM」(reactive mesogen)としても知られる重合性メソゲンまたは液晶化合物をLC混合物に添加することが、特に適切であることが証明されている。 【0020】 他に示さない限り、下では、用語「PSA」をPSディスプレイおよびPSAディスプレイを代表するものとして使用する。 ・・・ 【0037】 本発明は、-1.5以下のΔε値で負の誘電異方性を有する低分子量液晶成分と、重合されたかまたは重合性の成分と、少なくとも450ダルトンの質量を有する粒子を含む成分(N)とを含むLC媒体であって、粒子は1個以上の有機極性アンカー基を含有し、重合された成分は重合性成分を重合して得ることができるLC媒体に関する。 【発明を実施するための形態】 【0038】 本発明は、更に、2枚の基板および2個の電極(ただし、少なくとも一方の基板は光に対して透明であり、少なくとも一方の基板は1個または2個の電極を有する。)と、基板間に配置された液晶媒体(LC媒体:liquid-crystal medium)の層(LC媒体は、-1.5以下のΔε値で負の誘電異方性を有する低分子量液晶成分と、重合されたかまたは重合性の成分と、上および下で定義される通りの成分(N)とを含み、成分(N)は、LC媒体の基板表面に対するホメオトロピック(垂直)配向を生じさせるのに適しており、ただし、重合された成分は、任意にセルの電極に電圧を印加して、1 種類以上の重合性化合物を、LCセルの基板間においてLC媒体中で重合することで得ることができる。)とを有する液晶セル(LCセル:liquid-crystal cell)を含む液晶ディスプレイ(LCディスプレイ:liquid-crystal display)に関する。 【0039】 本発明は、更に、2枚の基板および2個の電極(ただし、少なくとも一方の基板は光に対して透明であり、少なくとも一方の基板は1個または2個の電極を有する。)を有するLCセルを含み、好ましくは、PSA-VAタイプの、LCディスプレイを製造する方法であって、 ・上および下または特許請求の範囲に記載される通りで、重合性成分および成分(N)(成分(N)は、LC媒体の基板表面に対するホメオトロピック(垂直)配向を生じさせるのに適している。)とを含むLC媒体を含むLC媒体を、セルに充填する工程と、 ・任意にセルの電極に電圧を印加するか、または、電界の作用下において、重合性成分を重合する工程と を含む方法に関する。 (2c)「【0181】 p)以下の式の1種類以上のフッ素化されたフェナントレン類および/またはジベンゾフラン類を追加的に含むLC媒体: 【0182】 【化61】 [図:0001386523000056.jpg] 式中、R11およびR12は、それぞれ互いに独立に、式LYにおいてR1に上で示される意味を有し、bは0または1を表し、LはFを表し、rは、1、2または3を表す。 【0183】 式PHおよびBFの特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される: 【0184】 【化62】 [図:0001386523000057.jpg] 式中、RおよびR’は、それぞれ互いに独立に、1~7個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基を表す。」 (2d)「【0199】 表Dに、好ましくは、反応性化合物として、本発明によるLC媒体において使用できる例示化合物を示す。 【0200】 【表11】 [図:0001386523000058.jpg] 【0201】 【表12】 [図:0001386523000059.jpg] 【0202】 【表13】 [図:0001386523000060.jpg] 本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、表Dからの化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物を含む。」 (2e)「【実施例】 【0211】 用いられる化合物は、商業的に入手できない場合、標準的な実験室的手法によって合成する。LC媒体は、ドイツ国メルク社より得る。PSS-1([3-(2-アミノエチル)アミノ]プロピル-ヘプタイソブチル-置換PSS;CAS登録番号444315-16-6)はアルドリッチ社より購入する。PSS-1~PSS-9およびRM-1の構造は、前述において与えられる。 【0212】 <例1> 表1に従って、重合性化合物(RM-1、0.3重量%)およびジアミン化合物PSS-1(0.25重量%)をVAタイプ(Δε<0)のネマチックLC媒体に添加し、均質化する。 【0213】 【表14】 [図:0001386523000061.jpg] プレ配向層を有さない試験用セルにける使用: 結果として生じる混合物を、試験用セル(ポリイミド配向層なし、層厚dは約5.2μm、両側をITOコーティング、パッシベーション層なし)に導入する。LC媒体は、基板表面に対して、自発的なホメオトロピック(垂直)配向を有する。セルに電圧を印加せずに、6分間、強度100mW/cm2のUV光を照射する。これにより、モノマー化合物の重合が起こる。この配向は、70℃まで安定に保たれる。0および50Vの間の電圧を印加することによにより、温度安定範囲において、可逆的にセルをスイッチできる。電気光学的測定の結果を、表2において比較例1および2と比較する。 【0214】 <比較例1> 表1に従って、先に使用したジアミン化合物PSS-1(0.25重量%)のみを、VAタイプのネマチックLC媒体に添加し、均質化する。 【0215】 プレ配向層を有さない試験用セルにける使用: 結果として生じる混合物を、試験用セル(ポリイミド配向層なし、層厚dは約5.2μm、両側をITOコーティング、パッシベーション層なし)に導入する。LC媒体は、基板表面に対して、自発的なホメオトロピック(垂直)配向を有する。 【0216】 室温において観察されるホメオトロピックなプレ配向は、約45℃以上の温度より消失する。平面配向が観察される。電気光学的測定の結果を、表2において比較する。 【0217】 <比較例2> 表1に従って、先に使用した重合性化合物(RM-1、0.3重量%)のみを、VAタイプのネマチックLC媒体に添加し、均質化する。 【0218】 VAポリイミドを有する試験用セルにける使用: 結果として生じる混合物を、試験用セル(逆平行にラビングされたVAポリイミド配向層、層厚dは約4μm)に導入する。セルに電圧を印加せずに、6分間、強度100mW/cm2のUV光を照射する。これにより、モノマー化合物の重合が起こる。電気光学的測定の結果を、表2において比較する。 【0219】 【表15】 [図:0001386523000062.jpg] <例2> 表1に従って、重合性化合物(RM-1、0.3重量%)およびジオール化合物PSS-3(1.0重量%)をVAタイプ(Δε<0)のネマチックLC媒体に添加し、均質化する。自発的なホメオトロピック配向が約30℃まで安定で、40および60℃の間で平面配向に完全に転化する。例1に類似して、セル内で混合物を重合する。安定化された混合物は、50℃よりも高温までホメオトロピック配向を有する。 【0220】 <例3~8> 以下の化合物を成分(N)として用い、例2に類似してLC媒体を重合する(表3)。 【0221】 【表16】 [図:0001386523000063.jpg] 」 2 刊行物に記載された発明 刊行物1の請求項1には「ネマティック液晶媒体であって、 a)1種または2種以上の式Iで表わされる誘電的に負の化合物を包含する誘電的に負の液晶成分(成分A): 【化1】 [図:0001386523000064.jpg] (式中、 R11および R12は、それぞれ相互に独立し、炭素原子1~7個を有するアルキル基、炭素原子1~7個を有するアルコキシ基、もしくは炭素原子2~7個を有するアルコキシアルキル基、アルケニル基またはアルケニルオキシ基であり、 【化2】 [図:0001386523000065.jpg] であり、 Z11およびZ12は、それぞれ相互に独立し、-CH2-CH2-、-CH2-CF2-、-CF2-CH2-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-、-CF2O-または単結合であり、およびnは、0または1であり、 ただし、 【化3】 [図:0001386523000066.jpg] である場合、第三のフェニル環中に存在する1個または2個以上のH原子はF原子により置き換えられていてもよい);および b)成分Aとは相違しているもう1種の誘電的に負の液晶成分(成分B);および任意に、 c)誘電的にニュートラルの液晶成分(成分C);および任意に、 d)誘電的に正の液晶成分(成分D); を含有することを特徴とする、ネマティック液晶媒体。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる(摘記1a参照)。 3 対比・判断 (1)本願発明と引用発明を対比する。 引用発明の「a)1種または2種以上の式Iで表わされる誘電的に負の化合物を包含する誘電的に負の液晶成分(成分A): 【化1】 [図:0001386523000067.jpg] (式中、 R11および R12は、それぞれ相互に独立し、炭素原子1~7個を有するアルキル基、炭素原子1~7個を有するアルコキシ基、もしくは炭素原子2~7個を有するアルコキシアルキル基、アルケニル基またはアルケニルオキシ基であり、 【化2】 [図:0001386523000068.jpg] であり、 Z11およびZ12は、それぞれ相互に独立し、-CH2-CH2-、-CH2-CF2-、-CF2-CH2-、-OCH2-、-CH2O-、-OCF2-、-CF2O-または単結合であり、およびnは、0または1であり、 ただし、 【化3】 [図:0001386523000069.jpg] である場合、第三のフェニル環中に存在する1個または2個以上のH原子はF原子により置き換えられていてもよい)」は、本願発明の「少なくとも1種類の式Iの化合物」、「【化4】 [図:0001386523000070.jpg] (式中、 R1およびR1*は、それぞれ互いに独立に、1~15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH2基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、-C≡C-、-CF2O-、-CH=CH-、 【化5】 [図:0001386523000071.jpg] -O-、-CO-O-、-O-CO-で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子は、ハロゲンで置き換えられていてもよく、 Z1およびZ2は、それぞれ互いに独立に、単結合、-CH2CH2-、-CH=CH-、-CH2O-、-OCH2-、-CF2O-、-OCF2-、-COO-、-OCO-、-C2F4-、-C≡C-、-CF=CF-、-CH=CHCHO-を表し、 L1~3は、それぞれ互いに独立に、F、Cl、CF3、OCF3またはCHF2を表す。)」に相当する。 そうすると、本願発明と引用発明は、「少なくとも1種類の式Iの化合物を含む液晶媒体。 【化1】 [図:0001386523000072.jpg] (式中、 R1およびR1*は、それぞれ互いに独立に、1~15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH2基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、-C≡C-、-CF2O-、-CH=CH-、 【化2】 [図:0001386523000073.jpg] -O-、-CO-O-、-O-CO-で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子は、ハロゲンで置き換えられていてもよく、 Z1およびZ2は、それぞれ互いに独立に、単結合、-CH2CH2-、-CH=CH-、-CH2O-、-OCH2-、-CF2O-、-OCF2-、-COO-、-OCO-、-C2F4-、-C≡C-、-CF=CF-、-CH=CHCHO-を表し、 L1~3は、それぞれ互いに独立に、F、Cl、CF3、OCF3またはCHF2を表す。)」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> 本願発明は、0.01~5重量%の範囲内の濃度で1種類以上の反応性メソゲン化合物を含むのに対し、引用発明はそのような特定がない点。 <相違点2> 本願発明は、式B-nO-Om、B-n-Om、B(S)-nO-OmまたはB(S)-n-Omの化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物を含むのに対し、 [図:0001386523000074.jpg] (式中、 nおよびmは、それぞれ互いに独立に1、2、3、4、5または6を表す。) 引用発明はそのような特定がない点。 (2)相違点について検討する。 <相違点1>について 刊行物1には、引用発明はVAディスプレイ用に使用できる負の誘電率異方性を有する液晶媒体であり(摘記1a、1c参照)、必要に応じて追加の添加剤を含み得ることが、記載されている(摘記1b参照)。 そして、刊行物2には、VAディスプレイ用に使用できる負の誘電率異方性を有する液晶媒体が記載され(摘記2a参照)、反応性化合物を0.3重量%含む液晶媒体が記載され(摘記2d参照)、ここで、反応性化合物は反応性メソゲン化合物であり、液晶媒体においては添加物として用いられるものである。 そうすると、引用発明において、反応性メソゲン化合物である反応性化合物を含むものとし、その量を0.3重量%程度である0.01~5重量%の範囲内の濃度のものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 <相違点2>について 刊行物1には引用発明のLC媒体は追加的にBF1を含むことが記載されており(摘記2c参照)、BF1は本願発明の式B-nO-Om、B-n-Omの化合物に相当する。 そうすると、引用発明において本願発明の式B-nO-Om、B-n-Omの化合物に相当するBF1を含むものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 (3)本願発明の効果について 本願明細書の実施例の記載からみて、本願式B-nO-Om、B-n-Om、B(S)-nO-OmまたはB(S)-n-Omの1種類以上の化合物を含む混合物に反応性メソゲンを添加して重合した実施例である<例M29>~<例M33>、<例M92>、<例M93>、<例M103>~<例M105>、<例M109>および<例M114>も、本願式B-nO-Om、B-n-Om、B(S)-nO-OmまたはB(S)-n-Omの1種類以上の化合物を含まない<例M24>~<例M28>、<例M34>~<例M58>、<例M90>、<例M91>、<例M94>~<例M96>、<例M101>および<例M102>も、いずれも、PS-VA混合物を調製したのみであるから、本願発明により奏される効果に当業者の予測を超える顕著なものがあるとはいえない。 (4)請求人の主張について 請求人は、令和3年10月15日付けの意見書において、「ここで本願実施例には多数の混合物が記載されており、その組成も多様であるため断定的な意見主張は困難なものの、上記前者と上記後者とを比較すると、本願式B-nO-Om、B-n-Om、B(S)-nO-OmまたはB(S)-n-Omの1種類以上の化合物が採用されている上記前者の方が、これが採用されていない上記後者に比して比較的単純な構造の反応性メソゲンを使用することで所望のPS-VA混合物を実現できる傾向にあると言い得ると思料します。 ここで比較的単純な構造の反応性メソゲンを使用することで所望のPS-VA混合物を実現できることは、高品位のPS-VA混合物を実現するうえで重要な要因であることは言うまでもありません。 よって本願実施例においては本願式Iの化合物と組み合わせて特に本願式B-nO-Om、B-n-Om、B(S)-nO-OmおよびB(S)-n-Omの化合物を選択的に採用することで、高品位のPS-VA混合物が得られることが確認されていると言い得ると思料します。」と主張する。 しかし、刊行物1には、引用発明はVAディスプレイに使用できるものであることが記載されており(摘記1a、1c参照)、刊行物2には、VAディスプレイに使用できるものに反応性メソゲンまたは「RM」(reactive mesogen)としても知られる重合性メソゲンまたは液晶化合物をLC混合物に添加することでPS-VAディスプレイに使用できるものとなることが、記載されていることから(摘記2b参照)、引用発明において反応性メソゲン化合物である反応性化合物を含むものとした本願発明のものがPS-VA混合物であることは自明である。 そして、本願明細書実施例の記載からみて、本願式B-nO-Om、B-n-Om、B(S)-nO-OmまたはB(S)-n-Omの1種類以上の化合物が採用されている上記前者の方が、これが採用されていない上記後者に比して比較的単純な構造の反応性メソゲンを使用することで所望のPS-VA混合物を実現できる傾向にあることは、全く確認できない。 よって、請求人の上記主張は採用できない。 (5)まとめ 上記のとおり、本願発明は、刊行物1、2に記載された発明に基いて当業者が容易に想到し得るものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本願の請求項4に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許をすることができないものである。 したがって、本願は、その他の請求項について検討するまでもなく、同法第49条の規定により、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2020-011068

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