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特許拒絶査定不服審判

2021-010741

1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132)と酸素とを気相で共存させる方法、並びにそれらを含む保存容器及び冷凍機

審判番号
2021-010741
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-106046外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年08月11日
審決日
2023年03月07日
公報発行日
2023年05月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (C09K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法49条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2020-106046「1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132)と酸素とを気相で共存させる方法、並びにそれらを含む保存容器及び冷凍機」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 1月 7日出願公開、特開2021- 1326〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年6月19日(優先権主張 令和元年6月19日 日本 令和元年6月21日 日本)の出願であって、令和2年8月24日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内である同年11月2日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年4月21日付けで拒絶査定がなされ(謄本送達は令和3年5月11日)、これに対して、同年8月11日に拒絶査定不服審判が請求され、令和4年9月6日付けで当審から拒絶理由が通知され、その指定期間内(延長1月)である同年12月12日に意見書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし9に係る発明は、令和2年11月2日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項8に係る発明(以下、単に「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「 【請求項8】 HFO-1132を含む冷媒と酸素とが気相で共存している、冷媒の保存容器であって、前記気相の、温度25℃における酸素の濃度が1000体積ppm以下である保存容器。」 第3 令和4年9月6日付けの当審拒絶理由の内容 当審において通知した拒絶理由は次の理由を含むものである。 (進歩性)本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2019-34972号公報(原査定における引用文献4) 引用文献2:特開2016-11423号公報(原査定における引用文献1) 引用文献3:国際公開第2015/186557号(原査定における引用文献2) 引用文献4:国際公開第2015/115252号(原査定における引用文献3) 第4 当審の判断 1 引用文献及びその記載事項 (1)引用文献 引用文献1:特開2019-34972号公報(原査定における引用文献4) 引用文献2:特開2016-11423号公報(原査定における引用文献1) 引用文献3:国際公開第2015/186557号(原査定における引用文献2) 引用文献4:国際公開第2015/115252号(原査定における引用文献3) (2)引用文献の記載事項 (1)引用文献1 本願優先日前に頒布された引用文献1には、次の記載がある。 (1a)「【請求項1】 テトラフルオロプロペンを密閉容器内で、気相と液相とを有する気液状態で保存する方法であって、 前記気相における酸素の濃度を、温度25℃で3体積ppm以上3000体積ppm未満にすることを特徴とするテトラフルオロプロペンの保存方法。 【請求項2】 前記気相における酸素の濃度を、温度25℃で5体積ppm以上1000体積ppm未満にする、請求項1に記載のテトラフルオロプロペンの保存方法。 ・・・ 【請求項4】 気相と液相とを有する気液状態のテトラフルオロプロペンが充填され密閉された保存容器であり、 前記気相における酸素の濃度が、温度25℃で3体積ppm以上3000体積ppm未満であることを特徴とするテトラフルオロプロペンの保存容器。」 (1b)「【0002】 テトラフルオロプロペンの異性体の一つである2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CF3CF=CH2で表される。以下、HFO-1234yfとも記す。)は、オゾン層を破壊する温室効果ガスであるクロロフルオロカーボン類(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン類(HCFC)、およびハイドロフルオロカーボン類(HFC)に代わる新しい冷媒として、近年使用が期待されている。 【0003】 このようなHFO-1234yfは、密閉容器に常温以下の温度で加圧充填され、あるいは冷却下に加圧液化充填されて、貯蔵や輸送がなされている。こうして密閉容器に充填されたHFO-1234yfは、気相と液相とを有する気液状態を呈している。そして、気液状態のHFO-1234yfは、冷媒としての品質の維持や、容器内での不純物(固体)の付着防止などのために、重合等の反応を生じさせることなく安定に保持することが求められている。 【0004】 フルオロオレフィンは、酸素が存在すると、酸素がラジカル源になって重合反応が生起することが知られている。フルオロオレフィンの中でもテトラフルオロエチレンは、1~数10ppmの微量の酸素存在下で重合し、場合によっては爆発的に重合反応が進行する。例えば、特許文献1には、テトラフルオロエチレンは1.4ppmの酸素濃度で重合が進行してポリテトラフルオロエチレンが生成することが記載されている。このため、フルオロオレフィンを保存する際は酸素を極限まで排除して取り扱うことが重要となる。 しかしながら、酸素を極限まで排除するためには、製造工程において酸素を極限まで除去する工程を新たに設ける等の措置が必要となるため、それに伴うコストが増加してしまう。また、酸素を極限まで除去する工程等を行うことで収率が低くなる場合もあり、製造コストが増加してしまう。 HFO-1234yf等のテトラフルオロプロペンが、酸素存在下で自己重合反応に対してどの程度安定であるかについては、不明な点が多い。冷媒としての品質を保持し、安価で、安全かつ安定的に貯蔵および輸送を行うために、HFO-1234yf等のテトラフルオロプロペンに重合反応を生じさせることなく保存する方法が求められている。」 (1c)「【0008】 本発明は、上記課題に対処してなされたものであり、貯蔵や輸送のために容器内に充填されたテトラフルオロプロペンにおいて、重合等の反応を生じさせることなく安価でかつ安定に保存する方法、およびテトラフルオロプロペンが安定に保存された容器を提供することを目的とする。」 (2)引用文献2 本願優先日前に頒布された引用文献2には、次の記載がある。 (2a)「【請求項1】 (Z)-1,2-ジフルオロエチレンと1,1,1,2-テトラフルオロエタンおよび/または2,3,3,3-テトラフルオロプロペンからなる共沸様組成物を含むことを特徴とする熱サイクル用作動媒体。 ・・・ 【請求項7】 請求項1~6のいずれか1項に記載の熱サイクル用作動媒体と、冷凍機油とを含む熱サイクルシステム用組成物。 【請求項8】 請求項7に記載の熱サイクルシステム用組成物を用いた、熱サイクルシステム。 【請求項9】 冷凍・冷蔵機器、空調機器、発電システム、熱輸送装置または二次冷却機である請求項8に記載の熱サイクルシステム。」 (2b)「【0024】 (HFO-1132(Z)とHFO-1234yfの共沸様組成物) また、HFO-1132(Z)とHFO-1234yfからなる組成物について、上記共沸組成を求める試験と同様に所定の組成における気相および液相の組成分析を行う試験を行い、両者の組成比から、上に説明した比揮発度を求める式により比揮発度を求めた。結果を表2に示す。 【0025】 【表2】 [図:0001396649000001.jpg] 」 (2c)「【0112】 (不凝縮性気体濃度) 熱サイクルシステム内に不凝縮性気体が混入すると、凝縮器や蒸発器における熱伝達の不良、作動圧力の上昇という悪影響をおよぼすため、極力混入を抑制する必要がある。特に、不凝縮性気体の一つである酸素は、熱サイクル用作動媒体や冷凍機油と反応し、分解を促進する。 不凝縮性気体濃度は、熱サイクル用作動媒体の気相部において、熱サイクル用作動媒体に対する容積割合で1.5体積%以下が好ましく、0.5体積%以下が特に好ましい。」 (3)引用文献3 本願優先日前に頒布された引用文献3には、次の記載がある。 (3a)「[請求項1] 飽和のヒドロフルオロカーボンおよび1,2-ジフルオロエチレン以外の炭素-炭素二重結合を有するヒドロフルオロカーボンから選ばれる少なくとも2種と、1,2-ジフルオロエチレンとを含むことを特徴とする熱サイクル用作動媒体。 ・・・ [請求項9] 前記炭素-炭素二重結合を有するヒドロフルオロカーボンが、1,3,3,3-テトラフルオロプロペンおよび2,3,3,3-テトラフルオロプロペンから選ばれる少なくとも1種である、請求項1~8のいずれか1項に記載の熱サイクル用作動媒体。 [請求項10] 請求項1~9のいずれか1項に記載の熱サイクル用作動媒体と、冷凍機油とを含む熱サイクルシステム用組成物。 [請求項11] 請求項10に記載の熱サイクルシステム用組成物を用いた、熱サイクルシステム。 [請求項12] 冷凍・冷蔵機器、空調機器、発電システム、熱輸送装置または二次冷却機である、請求項11に記載の熱サイクルシステム。」 (3b)「[0140] さらに、熱サイクルシステム内に不凝縮性気体が混入すると、凝縮器や蒸発器における熱伝達の不良、作動圧力の上昇という悪影響をおよぼすため、極力混入を抑制する必要がある。特に、不凝縮性気体の一つである酸素は、作動媒体や冷凍機油と反応し、分解を促進する。 [0141] 不凝縮性気体濃度は、作動媒体の気相部において、作動媒体に対する容積割合で1.5体積%以下が好ましく、0.5体積%以下が特に好ましい。」 (4)引用文献4 本願優先日前に頒布された引用文献4には、次の記載がある。 (4a)「[請求項1] 下記(A-1)~(E-1)の特性を備える熱サイクル用作動媒体。 (A-1)気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次報告による地球温暖化係数(100年)が300未満である。 (B-1)下記式(X)で算出される相対冷凍能力(RQR410A)と下記式(Y)で算出される相対成績係数(RCOPR410A)の積が0.820以上である。 [数1] [図:0001396649000002.jpg] (式(X)および式(Y)中、R410Aは、ジフルオロメタンとペンタフルオロエタンの質量比1:1の混合物を示し、検体は相対評価されるべき作動媒体を示す。検体およびR410Aの冷凍能力は、検体およびR410Aを用いて、下記温度条件(T)で基準冷凍サイクルを運転した際の出力(kW)である。検体およびR410Aの成績係数は、検体およびR410Aの前記出力(kW)を、それぞれ前記運転に要した消費動力(kW)で除した値である。 [温度条件(T)] 蒸発温度が0℃(ただし、非共沸混合物の場合は、蒸発開始温度と蒸発完了温度の平均温度)、凝縮温度が40℃(ただし、非共沸混合物の場合は、凝縮開始温度と凝縮完了温度の平均温度)、過冷却度(SC)が5℃、および過熱度(SH)が5℃である。 (C-1)下記式(Z)で算出される相対圧力(RDPR410A)が1.100以下である。 [数2] [図:0001396649000003.jpg] (式(Z)中、R410Aは、R410Aは、ジフルオロメタンとペンタフルオロエタンの質量比1:1の混合物を示し、検体は相対評価されるべき作動媒体を示す。検体およびR410Aの圧縮機吐出ガス圧力は、検体およびR410Aを用いて、前記温度条件(T)で基準冷凍サイクルを運転した際の圧縮機吐出ガス圧力である。 (D-1)高圧ガス保安法におけるA法に準拠して測定される燃焼範囲の下限が5体積%以上である。 (E-1)高圧ガス保安法における燃焼範囲測定のためのA法に準拠する設備による0.98MPaG、250℃の条件下での燃焼試験において、圧力が2.00MPaGを超えることがない。 ・・・ [請求項8] 請求項1~7のいずれか1項に記載の熱サイクル用作動媒体と、冷凍機油とを含む、熱サイクルシステム用組成物。 [請求項9] 請求項8に記載の熱サイクルシステム用組成物を用いた、熱サイクルシステム。 [請求項10] 前記熱サイクルシステムが冷凍・冷蔵機器、空調機器、発電システム、熱輸送装置または二次冷却機である、請求項9に記載の熱サイクルシステム。」 (4b)「[0143] さらに、熱サイクルシステム内に不凝縮性気体が混入すると、凝縮器や蒸発器における熱伝達の不良、作動圧力の上昇という悪影響をおよぼすため、極力混入を抑制する必要がある。特に、不凝縮性気体の一つである酸素は、作動媒体や冷凍機油と反応し、分解を促進する。 [0144] 不凝縮性気体濃度は、作動媒体の気相部において、作動媒体に対する容積割合で1.5体積%以下が好ましく、0.5体積%以下が特に好ましい。」 (4c)「[0152] [実施例23~26] 実施例23~26において、HFO-1132(Z)と、HFO-1234yfおよびHFC-32の少なくとも1種と、を表8、9に示す割合で混合した作動媒体を作製し、上記の方法で、(A)GWP、(B)相対サイクル性能(対R410A)、(C)相対圧力(RDPR410A)、(D)燃焼下限、(E)自己分解性を測定、算出、判定した。結果を表8、9に示す。 [0153] [表8] [図:0001396649000004.jpg] [0154] [表9] [図:0001396649000005.jpg] 」 2 引用文献1に記載された発明 引用文献1の請求項4を引用する請求項5に係る発明として「気相と液相とを有する気液状態のテトラフルオロプロペンが充填され密閉された保存容器であり、 前記気相における酸素の濃度が、温度25℃で5体積ppm以上1000体積ppm未満であることを特徴とするテトラフルオロプロペンの保存容器。」(以下、「引用発明」という。)が、記載されている。 3 対比・判断 (1)本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「テトラフルオロプロペン」は、冷媒であるから(摘記1b参照)、本願発明の「冷媒」に相当する。 引用発明の「前記気相における酸素の濃度を、温度25℃で5体積ppm以上1000体積ppm未満にして」は、本願発明の「前記気相の、温度25℃における酸素の濃度が1000体積ppm以下である」に相当する。 そうすると、本願発明と引用発明は「冷媒と酸素とが気相で共存している、冷媒の保存容器であって、前記気相の、温度25℃における酸素の濃度が1000体積ppm以下である保存容器。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点> 冷媒が、本願発明では1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132)を含むのに対し、引用発明ではテトラフルオロプロペンを含む点。 (2)相違点についての検討 引用文献1には、フルオロオレフィンは、酸素が存在すると、酸素がラジカル源になって重合反応が生起することが記載されており(摘記1b参照)、引用発明は、フルオロオレフィンであるテトラフルオロプロペンの重合等の反応を生じさせないための保存容器である(摘記1c参照)。 そして、引用文献2~4には、熱サイクル用作動媒体として、1,2-ジフルオロエチレンが記載されており(摘記2a、3a、4a)、熱サイクル用作動媒体は冷媒を含み、1,2-ジフルオロエチレンはフルオロオレフィンであるから、酸素が存在すると、酸素がラジカル源になって重合反応が生起する(摘記1bの段落【0004】)ものであるといえる。 そうすると、フルオロオレフィンであるテトラフルオロプロペンの重合等の反応を生じさせないための保存容器である引用発明において、冷媒として、テトラフルオロプロペンの全部に代えるか、またはテトラフルオロプロペンの一部に代えて(摘記2b、摘記3aの請求項9、摘記4c)、テトラフルオロプロペンと同じく、酸素が存在すると、酸素がラジカル源になって重合反応が生起するフルオロオレフィンである、1,2-ジフルオロエチレンを採用することは、当業者が容易に想到し得ることである。 (3)本願発明の効果について 本願発明は1,2-ジフルオロエチレンの重合反応を抑制するという効果を奏するものであるが、引用発明はフルオロオレフィンであるテトラフルオロプロペンの重合等の反応を生じさせないための保存容器であるから、フルオロオレフィンである1,2-ジフルオロエチレンでもその重合等の反応を生じさせないことは、予測可能であるから、本願発明の前記効果は当業者の予測を超える顕著なものであるとはいえない。 仮に、本願発明の前記効果が当業者の予測を超える顕著なものであるとしても、そのような効果は、1,2-ジフルオロエチレンの濃度が酸素により重合反応が生起するようなものである場合に限られ、一方、本願発明において1,2-ジフルオロエチレンの濃度は特定されておらず、本願発明は1,2-ジフルオロエチレンの濃度が極めて低いものも包含し、1,2-ジフルオロエチレンの濃度が極めて低い場合、酸素により重合反応が生起しないといえるから、本願発明の前記効果が奏されることはなく、本願発明の前記効果は当業者の予測を超える顕著なものであるとはいえない。 また、本願発明の1,2-ジフルオロエチレンの自己分解反応を抑制するという効果は、引用文献2~4には、酸素が1,2-ジフルオロエチレンは自己分解反応を促進することが記載されているから(摘記2b、3b、4b)、当業者の予測を超える顕著なものであるとはいえない。 (4)審判請求人の主張及び当審の判断について 審判請求人は、令和4年12月12日付けの意見書において「2.2 しかし、「フルオロオレフィンである、1,2-ジフルオロエチレンでもその重合等の反応を生じさせないことは、予測可能である」という拒絶理由通知書における認定には承服しかねます。これはむしろ出願時の技術常識に基づかない、根拠を欠く指摘であり、甚だ不当であると言わざるを得ません。実際、後述の試験性に示す通り、フルオロオレフィン、あるいはハロオレフィンの中には、自己重合反応を生じにくいものは多数あることが明らかであり、フルオロオレフィンであれば直ちに自己重合反応が生じやすいという技術常識は存在しません。 2.3 よって、本願発明1の効果が、「当業者の予測を超える顕著なものであるとはいえない」との拒絶理由通知書における指摘がその根拠を欠く不当なものであることは明らかであり、そのことを理由として導かれるところの、進歩性を欠くとの拒絶理由もまた取り消されるべきです。」と主張する。 確かに、前記意見書における試験例のフルオロオレフィンは自己重合反応が生じにくいものであるかもしれないが、程度の違いはあるとしても、前記引用文献1に記載のとおり、フルオロオレフィンは、酸素が存在すると、酸素がラジカル源になって重合反応が生起するものであるといえるから、1,2-ジフルオロエチレンもフルオロオレフィンである以上、同様に、酸素が存在すると、酸素がラジカル源になって重合反応が生起するものであると予測できるし、同じく引用文献1に記載のフルオロオレフィンと共存させる酸素の濃度で、1,2-ジフルオロエチレンの重合反応を抑制するという効果が奏されたのであるから、本願発明の前記効果は当業者の予測を超える顕著なものであるとはいえない。 (5)まとめ 上記のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2~4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本願の請求項8に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許をすることができないものである。 したがって、本願は、その他の請求項について検討するまでもなく、同法第49条の規定により、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-010741

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