特許異議申立
2019-700854
ビール用複合容器の製造方法、複合プリフォーム、ビール用複合容器、内側ラベル部材およびプラスチック製部材
- 審判番号
- 2019-700854
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-183578
- 登録番号
- 特許第6508561号(P6508561)
- 請求日
- 2019年10月28日
- 審決日
- 2021年03月23日
- 公報発行日
- 2021年09月24日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】大日本印刷株式会社
- 【権利者代理人】永井 浩之
- 【権利者代理人】中村 行孝
- 【権利者代理人】朝倉 悟
- 【権利者代理人】堀田 幸裕
- 【権利者代理人】村田 卓久
- 【権利者代理人】宮嶋 学
- 【権利者代理人】高田 泰彦
- 【異議申立人】▲高▼橋 真哉
- 審判長/審判官
- 審判長 須藤 康洋
- 審判官 大島 祥吾
- 審判官 植前 充司
- 分類
- P1651.121-ZDA(B29C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法113条2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第29条第2項、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6508561号発明「ビール用複合容器の製造方法、複合プリフォーム、ビール用複合容器、内側ラベル部材およびプラスチック製部材」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6508561号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕、〔5~7〕、〔9~11〕、12について訂正することを認める。
特許第6508561号の請求項1ないし3、5ないし7、9ないし11に係る特許を取り消す。
特許第6508561号の請求項4、8及び12に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 主な手続の経緯等
特許第6508561号(設定登録時の請求項の数は12。以下、「本件特許」という。)は、平成26年9月9日を出願日とする特願2014-183578号に係るものであって、平成31年4月12日にその特許権の設定登録がされ、特許掲載公報が令和1年5月8日に発行され、その後、その特許に対し、同年10月28日に特許異議申立人 高橋真哉(以下、「異議申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1ないし12)がされた。
当審において、令和2年1月31日付けで取消理由を通知したところ、特許権者は、同年3月26日に意見書及び訂正請求書を提出したので、当審から、同年4月7日付けで異議申立人に対して特許法第120条の5第5項に基づく通知をしたところ、異議申立人は、同年4月28日に意見書を提出した。
当審において、令和2年7月20日付けで取消理由<決定の予告>を通知したところ、特許権者は、同年9月28日に意見書と共に訂正請求書(以下、当該訂正請求書による訂正請求を「本件訂正請求」という。)を提出したので、当審から、同年10月30日付けで異議申立人に対して特許法第120条の5第5項に基づく通知をしたところ、異議申立人は、同年12月4日に意見書を提出した。
なお、令和2年3月26日提出の訂正請求書は取り下げられたものとみなされる。(特許法第120条の5第7項)
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下の訂正事項1ないし8のとおりである。ここで、訂正事項1及び2は、訂正前の請求項1~3の一群の請求項に係る訂正であり、訂正事項3及び4は、訂正前の請求項5~7の一群の請求項に係る訂正であり、訂正事項5及び6は、訂正前の請求項9~11の一群の請求項に係る訂正であり、訂正事項7及び8は、訂正前の請求項12についての訂正であるから、これらの訂正は一群の請求項ごとの訂正である。なお、下線は、訂正箇所に合議体が付したものである。
訂正事項1
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に、
「前記プリフォームの胴部の外側および底部の少なくとも一部の外側に、予め筒状に形成されたプラスチック製部材を接着することなく装着する工程と、」と記載されているのを、
「前記プリフォームの胴部の外側および底部の少なくとも一部の外側に、予め筒状に形成されたプラスチック製部材を接着することなく装着することにより、前記プラスチック製部材を前記プリフォームに対して移動又は回転せず、かつ自重で落下しない程度に密着させる工程と、」に訂正する。
請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2及び3についても同様に訂正する。
訂正事項2
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に、
「膨張された後の前記ビール用複合容器の前記プラスチック製部材は、波長400nm~500nmの光に対する透過率が20%以下であり、
前記ビール用複合容器の前記プラスチック製部材を前記容器本体から剥離除去し、前記容器本体をリサイクル可能となっていることを特徴とするビール用複合容器の製造方法。」と記載されていたのを、
「膨張された後の前記ビール用複合容器の前記プラスチック製部材は、波長400nm~500nmの光に対する透過率が20%以下であり、
前記プラスチック製部材は、水蒸気バリア性を有し、
前記プラスチック製部材は、遮光性樹脂が添加されることにより紫外線バリア性を有し、
前記容器本体の内面に蒸着膜が形成され、
容器本体の満注容量が100ml~2000mlであり、前記容器本体の底部は、ペタロイド底形状を有し、前記容器本体の胴部は、円筒形状を有し、
前記ビール用複合容器の前記プラスチック製部材に、前記プラスチック製部材を前記容器本体から分離除去するための切断線が設けられ、
前記ビール用複合容器の前記プラスチック製部材を前記容器本体から剥離除去し、前記容器本体をリサイクル可能となっていることを特徴とするビール用複合容器の製造方法。」に訂正する。
請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2及び3についても同様に訂正する。
訂正事項3
訂正前の特許請求の範囲の請求項5に、
「前記プラスチック製部材は、前記プリフォームの外側に接着されることなく剥離除去可能に密着されており、」と記載されているのを、
「前記プラスチック製部材は、前記プリフォームの外側に接着されることなく剥離除去可能に密着されており、
前記プラスチック製部材は、前記プリフォームに対して移動又は回転せず、かつ自重で落下しない程度に密着されており、」に訂正する。
請求項5を直接又は間接的に引用する請求項6及び7についても同様に訂正する。
訂正事項4
訂正前の特許請求の範囲の請求項5に、
「前記プラスチック製部材は、可視光色に着色されており、前記プリフォームは、無色透明であることを特徴とする複合プリフォーム。」と記載されていたのを、
「前記プラスチック製部材は、可視光色に着色されており、前記プリフォームは無色透明で有り、
前記プラスチック製部材は、水蒸気バリア性を有し、
前記プラスチック製部材は、遮光性樹脂が添加されることにより紫外線バリア性を有し、
前記プリフォームの重量は、10g~20gであることを特徴とする複合プリフォーム。」に訂正する。
請求項5を直接又は間接的に引用する請求項6及び7についても同様に訂正する。
訂正事項5
訂正前の特許請求の範囲の請求項9に、
「前記容器本体の口部以外の全域の外側に、接着されることなく剥離除去可能に密着して設けられたプラスチック製部材とを備え、」と記載されているのを、
「前記容器本体の口部以外の全域の外側に、接着されることなく剥離除去可能に密着して設けられた、周方向に貼り合わせ部を有しないプラスチック製部材とを備え、」に訂正する。
請求項9を直接又は間接的に引用する請求項10及び11についても同様に訂正する。
訂正事項6
訂正前の特許請求の範囲の請求項9に、
「前記プラスチック製部材は、波長400nm~500nmの光に対する透過率が20%以下であり、
前記プラスチック製部材を前記容器本体から剥離除去し、前記容器本体をリサイクル可能となっていることを特徴とするビール用複合容器。」と記載されているのを、
「前記プラスチック製部材は、波長400nm~500nmの光に対する透過率が20%以下であり、
前記プラスチック製部材は、水蒸気バリア性を有し、
前記プラスチック製部材は、遮光性樹脂が添加されることにより紫外線バリア性を有し、
前記プラスチック製部材の厚みが5μm~500μmであり、
前記容器本体の内面に蒸着膜が形成され、
容器本体の満注容量が100ml~2000mlであり、前記容器本体の底部は、ペタロイド底形状を有し、前記容器本体の胴部は、円筒形状を有し、
前記プラスチック製部材に、前記プラスチック製部材を前記容器本体から分離除去するための切断線が設けられ、
前記プラスチック製部材を前記容器本体から剥離除去し、前記容器本体をリサイクル可能となっていることを特徴とするビール用複合容器。」に訂正する。
請求項9を直接又は間接的に引用する請求項10及び11についても同様に訂正する。
訂正事項7
訂正前の特許請求の範囲の請求項12に、
「前記容器本体の外側を取り囲むように接着されることなく密着して設けられた内側ラベル部材と、」と記載されているのを、
「前記容器本体の周方向全域の外側を取り囲むように接着されることなく密着して設けられた内側ラベル部材と、」に訂正する。
訂正事項8
訂正前の特許請求の範囲の請求項12に、
「前記容器本体の口部以外の全域の外側であって前記内側ラベル部材の外側に、接着されることなく剥離除去可能に密着して設けられたプラスチック製部材とを備え、」と記載されているのを、
「前記容器本体の口部以外の全域の外側であって前記内側ラベル部材の外側に、接着されることなく剥離除去可能に密着して設けられたプラスチック製部材とを備え、
前記プラスチック製部材は、前記内側ラベル部材の外側に接着されることなく取付けられており、」に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1及び2について
ア 訂正事項1は、訂正前の請求項1において特定されていた、プリフォームとプラスチック製部材との装着の程度を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、訂正事項2は、訂正前の請求項1において特定されていた、容器本体の構成とプラスチック製部材の構成を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正事項1の訂正は、願書に添付した明細書の段落【0059】の記載からみて、また、訂正事項2の訂正は、同じく段落【0039】、【0040】、【0042】、【0045】、【0050】、【0067】及び【0068】の記載からみて、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、訂正事項1及び2ともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ よって、請求項1に係る訂正事項1及び2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
エ 請求項1に係る訂正事項1及び2の訂正により訂正される請求項2及び3についても同様である。
(2) 訂正事項3及び4について
ア 訂正事項3は、訂正前の請求項5において特定されていた、プリフォームとプラスチック製部材との装着の程度を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、訂正事項4は、訂正前の請求項5において特定されていた、プリフォームの構成とプラスチック製部材の構成を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正事項3は、願書に添付した明細書の段落【0059】の記載からみて、また、訂正事項4は、同じく段落【0041】、【0067】及び【0068】の記載からみて、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、訂正事項3及び4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ よって、請求項5に係る訂正事項3及び4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
エ 請求項5に係る訂正事項3及び4の訂正により訂正される請求項6及び7についても同様である。
(3) 訂正事項5及び6について
ア 訂正事項5は、訂正前の請求項9において特定されていたプラスチック製部材の構成を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、訂正事項6は、訂正前の請求項9において特定されていた、容器本体の構成とプラスチック製部材の構成を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正事項5は、願書に添付した明細書の段落【0075】~【0077】及び図3、図4の記載からみて、また、訂正事項6は、同じく【0039】、【0040】、【0042】、【0045】、【0050】、【0052】、【0067】及び【0068】の記載からみて、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、訂正事項5及び6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ よって、請求項9に係る訂正事項5及び6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
エ 請求項9に係る訂正事項5及び6の訂正により訂正される請求項10及び11についても同様である。
(4) 訂正事項7及び8について
ア 訂正事項7は、訂正前の請求項12において特定されていた内側ラベル部材の構成を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正事項7は、願書に添付した明細書の段落【0124】及び図11の記載からみて、訂正事項8は、同じく段落【0137】の記載からみて、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、訂正事項7及び8は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ よって、請求項12に係る訂正事項7及び8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
3 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1~3]、[5~7]、[9~11]、12について、訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり、本件訂正請求による訂正は認められるので、本件特許の請求項1ないし12に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明12」という。)は、令和2年9月28日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
ビール用複合容器の製造方法において、
ポリエチレンテレフタレート製のプリフォームを準備する工程と、
前記プリフォームの胴部の外側および底部の少なくとも一部の外側に、予め筒状に形成されたプラスチック製部材を接着することなく装着することにより、前記プラスチック製部材を前記プリフォームに対して移動又は回転せず、かつ自重で落下しない程度に密着させる工程と、
前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材に対してブロー成形を施すことにより、前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材を一体として膨張させ、容器本体と、前記容器本体の口部以外の全域の外側に剥離除去可能に設けられたプラスチック製部材とを有するビール用複合容器を得る工程とを備え、
前記プラスチック製部材は、可視光色に着色されており、前記プリフォームは、無色透明であり、
膨張された後の前記ビール用複合容器の前記プラスチック製部材は、波長400nm~500nmの光に対する透過率が20%以下であり、
前記プラスチック製部材は、水蒸気バリア性を有し、
前記プラスチック製部材は、遮光性樹脂が添加されることにより紫外線バリア性を有し、
前記容器本体の内面に蒸着膜が形成され、
容器本体の満注容量が100ml~2000mlであり、前記容器本体の底部は、ペタロイド底形状を有し、前記容器本体の胴部は、円筒形状を有し、
前記ビール用複合容器の前記プラスチック製部材に、前記プラスチック製部材を前記容器本体から分離除去するための切断線が設けられ、
前記ビール用複合容器の前記プラスチック製部材を前記容器本体から剥離除去し、前記容器本体をリサイクル可能となっていることを特徴とするビール用複合容器の製造方法。
【請求項2】
前記プラスチック製部材は、前記プリフォームに対して収縮する作用をもつ外側収縮部材であることを特徴とする請求項1記載のビール用複合容器の製造方法。
【請求項3】
前記外側収縮部材は、熱が加えられた際、前記プリフォームに対して収縮することを特徴とする請求項2記載のビール用複合容器の製造方法。
【請求項4】
ビール用複合容器の製造方法において、
ポリエチレンテレフタレート製のプリフォームを準備する工程と、
前記プリフォームの外側に、内側ラベル部材を接着することなく装着する工程と、
前記プリフォームの胴部の外側および底部の少なくとも一部の外側であって前記内側ラベル部材の外側に、予め筒状に形成されたプラスチック製部材を接着することなく装着する工程と、
前記プリフォーム、前記内側ラベル部材および前記プラスチック製部材に対してブロー成形を施すことにより、前記プリフォーム、前記内側ラベル部材および前記プラスチック製部材を一体として膨張させ、容器本体と、前記容器本体の外側を取り囲むように接着されることなく密着して設けられた内側ラベル部材と、前記容器本体の口部以外の全域の外側であって前記内側ラベル部材の外側に、剥離除去可能に設けられたプラスチック製部材とを有するビール用複合容器を得る工程とを備え、
前記プラスチック製部材は、可視光色に着色されており、前記プリフォームは、無色透明であり、
膨張された後の前記ビール用複合容器の前記プラスチック製部材は、波長400nm~500nmの光に対する透過率が20%以下であり、
前記ビール用複合容器の前記プラスチック製部材を前記容器本体から剥離除去し、前記容器本体をリサイクル可能となっていることを特徴とするビール用複合容器の製造方法。
【請求項5】
ビール用複合容器用の複合プリフォームにおいて、
ポリエチレンテレフタレート製のプリフォームと、
筒状に形成されるとともに、前記プリフォームの胴部の外側および底部の少なくとも一部の外側を取り囲むように装着されたプラスチック製部材とを備え、
前記プラスチック製部材は、前記プリフォームの外側に接着されることなく剥除去可能に密着されており、
前記プラスチック製部材は、前記プリフォームに対して移動又は回転せず、かつ自重で落下しない程度に密着されており、
前記プラスチック製部材は、可視光色に着色されており、前記プリフォームは無色透明で有り、
前記プラスチック製部材は、水蒸気バリア性を有し、
前記プラスチック製部材は、遮光性樹脂が添加されることにより紫外線バリア性を有し、
前記プリフォームの重量は、10g~20gであることを特徴とする複合プリフォーム。
【請求項6】
前記プラスチック製部材は、前記プリフォームに対して収縮する作用をもつ外側収縮部材であることを特徴とする請求項5記載の複合プリフォーム。
【請求項7】
前記外側収縮部材は、熱が加えられた際、前記プリフォームに対して収縮することを特徴とする請求項6記載の複合プリフォーム。
【請求項8】
ビール用複合容器用の複合プリフォームにおいて、
ポリエチレンテレフタレート製のプリフォームと、
前記プリフォームの外側を取り囲むように接着されることなく密着して設けられた内側ラベル部材と、
筒状に形成されるとともに、前記プリフォームの胴部および底部の少なくとも一部の外側であって前記内側ラベル部材の外側を取り囲むように装着されたプラスチック製部材とを備え、
前記プラスチック製部材は、前記プリフォームおよび前記内側ラベル部材の外側に接着されることなく剥離除去可能に密着されており、
前記プラスチック製部材は、可視光色に着色されており、前記プリフォームは、無色透明であることを特徴とする複合プリフォーム。
【請求項9】
ビール用複合容器において、
ポリエチレンテレフタレート製の容器本体と、
前記容器本体の口部以外の全域の外側に、接着されることなく剥離除去可能に密着して設けられた、周方向に貼り合わせ部を有しないプラスチック製部材とを備え、
前記容器本体および前記プラスチック製部材は、ブロー成形により一体として膨張されており、
前記プラスチック製部材は、可視光色に着色されており、前記容器本体は、無色透明であり、
前記プラスチック製部材は、波長400nm~500nmの光に対する透過率が20%以下であり、
前記プラスチック製部材は、水蒸気バリア性を有し、
前記プラスチック製部材は、遮光性樹脂が添加されることにより紫外線バリア性を有し、
前記プラスチック製部材の厚みが5μm~500μmであり、
前記容器本体の内面に蒸着膜が形成され、
容器本体の満注容量が100ml~2000mlであり、前記容器本体の底部は、ペタロイド底形状を有し、前記容器本体の胴部は、円筒形状を有し、
前記プラスチック製部材に、前記プラスチック製部材を前記容器本体から分離除去するための切断線が設けられ、
前記プラスチック製部材を前記容器本体から剥離除去し、前記容器本体をリサイクル可能となっていることを特徴とするビール用複合容器。
【請求項10】
前記プラスチック製部材は、収縮する作用をもつ外側収縮部材であることを特徴とする請求項9記載のビール用複合容器。
【請求項11】
前記外側収縮部材は、熱が加えられた際、収縮することを特徴とする請求項10記載のビール用複合容器。
【請求項12】
ビール用複合容器において、
ポリエチレンテレフタレート製の容器本体と、
前記容器本体の周方向全域の外側を取り囲むように接着されることなく密着して設けられた内側ラベル部材と、
前記容器本体の口部以外の全域の外側であって前記内側ラベル部材の外側に、接着されることなく剥離除去可能に密着して設けられたプラスチック製部材とを備え、
前記プラスチック製部材は、前記内側ラベル部材の外側に接着されることなく取付けられており、
前記容器本体、前記内側ラベル部材および前記プラスチック製部材は、ブロー成形により一体として膨張されており、
前記プラスチック製部材は、可視光色に着色されており、前記容器本体は、無色透明であり、
前記プラスチック製部材は、波長400nm~500nmの光に対する透過率が20%以下であり、
前記プラスチック製部材および前記内側ラベル部材を前記容器本体から剥離除去し、前記容器本体をリサイクル可能となっていることを特徴とするビール用複合容器。」
第3 特許異議申立書に記載した理由の概要
令和1年10月28日に異議申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に記載した理由の概要は次のとおりである。
1 申立理由(特許法第29条第2項:甲1に基づく進歩性)
本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、下記の甲第1号証に記載された発明、甲第2号証ないし甲第6号証に記載の周知技術及び甲第7号証の記載事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1ないし12に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
2 証拠方法
甲第1号証 : 特表2004-532147号公報
甲第2号証 : 指定PETボトルの自主設計ガイドライン、PETボトルリサイクル推進協議会、1992年10月制定、2018年1月4日改訂
甲第3号証 : 特開2004-352325号公報
甲第4号証 : 特開2003-146334号公報
甲第5号証 : 食品保存便覧、日本食品工業倶楽部、1992年6月15日、p.1011
甲第6号証 : 食品包装便覧、社団法人 日本包装技術協会、1988年3月1日、p.1655
甲第7号証 : 特開昭59-5035号公報
表記については、特許異議申立書の記載にしたがった。以下、甲第1号証から甲第7号証については、それぞれ「甲1」から「甲7」という。
第4 取消理由<決定の予告>の概要
本件訂正請求前の請求項1ないし3、5ないし7、9ないし12に係る特許に対して、当審が令和2年7月20日に特許権者に通知した取消理由<決定の予告>は、概ね次のとおりである。
1(進歩性)本件特許の請求項1ないし3、5ないし7、9ないし11に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の甲第1号証に記載された発明及び甲第2ないし6号証に記載の技術事項に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
2(進歩性)本件特許の請求項12に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の甲第3号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
第5 上記取消理由<決定の予告>についての判断
当合議体は、以下述べるように、上記取消理由<決定の予告>の理由1(甲1に基づく進歩性)には、理由があり、理由2(甲3に基づく進歩性)には理由がないと判断する。
1 各甲号証の記載事項等
(1) 甲1の記載事項
甲1には以下の記載がある。下線については、当審において付与している部分がある。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレフォームの外面の少なくとも一部の上にラベルスリーブを配置してスリーブ付きプレフォームを製造せしめ;
そして前記スリーブ付きプレフォームをブロー成形してラベル付き容器を製造することを含んでなる、ブロー成形プロセスを用いてラベル付き容器を製造する方法。
・・・
【請求項20】
請求項1に記載の方法に従って製造されたラベル付き容器。
・・・
【請求項22】
容器の製造のためにブロー成形法に有用なプレフォーム;及びプレフォームの外面の少なくとも一部の上にフィットしたラベルスリーブを含んでなる、ラベル付き容器の製造に使用できるスリーブ付きプレフォーム。」
イ 「【技術分野】
【0001】
本発明は一般的にはラベル付き容器の製造方法、更に詳しくはストレッチ(又は延伸)ブロー成形プロセス(stretch blow molding process)を用いてラベル付き容器を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの異なったラベリング法がボトル業界で見られる。特に炭酸飲料の業界で最もよく見られるものの1つは貼り付けラベル(glue-on label)である。これらは、ボトルの周囲に巻き付けて、一つの縁で貼り付けられた装飾/ラベル付きの平坦なフィルムである。」
ウ 「【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、ストレッチブロー成形プロセスを用いたラベル付き容器の製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、ストレッチブロー成形プロセスを用いて製造されたラベル付き容器を提供することにある。
【0010】
本発明の更に別の目的は、ストレッチブロー成形プロセスを用いてラベル付き容器を製造するのに有用なスリーブ付きプレフォームを提供することにある。
【0011】
本発明の別の目的は、ストレッチブロー成形プロセスを用いたラベル付き容器のより費用がかからず且つより簡便な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これら及びその他の目的は、ラベルスリーブをプレフォームの外面の少なくとも一部の上に配置してスリーブ付きプレフォームを形成し、前記スリーブ付きプレフォームをストレッチブロー成形してぴったりとフィットしたラベルを有するラベル付き容器を形成する、ストレッチブロー成形プロセスを用いたラベル付き容器の新規な製造方法を用いて達成される。この方法は、先行技術の方法によって必要とされる収縮トンネル及びフィルム配向工程を排除することによって、ブロー成形ラベル容器を製造するためのコストを削減し且つ方法の簡便性を増す。」
エ 「【0016】
更に別の側面において、本発明は、容器を製造するためにブロー成形法において使用できるプレフォーム及び前記プレフォームの外面の少なくとも一部の上にフィットしたラベルスリーブから製造されるスリーブ付きプレフォームを提供する。スリーブ付きプレフォームは、本発明の方法に従って製造されるラベル付き容器の製造に有用である。
【0017】
本発明において有用な好ましいラベルスリーブは、容器を製造するためのプレフォームのブロー成形前にプレフォームの上にフィットするように作られたゆがみ印刷ラベルスリーブである。このラベルスリーブは、インフレート用プレフォームと共に膨張する配向又は非配向(unoriented)ポリマーフィルム原料から製造する。スリーブは非配向フィルム素材から製造するのが好ましいが、これは得られるスリーブは、ブロー成形プロセスの間にプレフォームと共に延伸されることになるからである。ラベルスリーブに非配向ポリマーフィルム原料すると、フィルムの配向に必要な追加の幅出機又はダブル-バブル工程を排除することによって、フィルム原料製造プロセスが単純化される。また、配向工程は実施に費用がかかり、容器の収縮フィルムラベリングプロセスのコストを増す。別の実施態様においては、スリーブは二軸配向又は一軸配向フィルム素材から製造する。」
オ 「【0020】
この方法で使用するラベルスリーブには、当業者によく知られた方法を用いて所望のラベルデザインを印刷しなければならない。好ましくは、ブロー成形プロセスの間にフィルムが受けるであろう膨張を補正するゆがみ印刷を使用する。膨張は場所によって異なる、即ち、容器のネックは側壁よりも膨張が少ないので、ゆがみ印刷パターンはそれに応じて変化させなければならないであろう。印刷は通常、フラットフィルム上で行い、スリーブチューブを作るにはフラットフィルムの両縁をつなぎ合わせなければならない。しかし、インフレート法を用いてフィルムを形成する場合には、スリッチング(slitting)及び再接着プロセスを経ずに直接チューブに印刷することが可能である。特定用途のための最も望ましいラベルスリーブ印刷法は、所望のパターン及び容器の製造に使用できる装置の型によって異なるであろう。更に、インフレートフィルムは、印刷の必要はなく、機能添加剤が望ましい用途に適している。例えば、着色剤又は顔料をポリマーに添加して、着色ラベルスリーブを作成できる。同様に、UV遮断コンセントレート、バリヤー層又は他の機能添加剤を、ラベルスリーブの作成に使用するポリマーに取り入れることができる。同様に、顔料添加チューブをプレフォームの周囲にフィットさせて、容器の色全体を変化させ、次いで、顔料添加チューブの上部を覆うように従来の貼り付けラベルを適用することができる。」
カ 「【0023】
好ましい実施態様において、ラベルスリーブの直径はプレフォームの直径よりもわずかに大きい。好ましくは、プレフォームの上を容易にスライドできる程度に少しだけ大きい。直径が大きすぎると、スリーブを適切な場所に保持するのにある種の割送り又は位置あわせ装置を使用できるのでなければ、スリーブは一部の場所で延伸むらができる。
・・・
【0025】
ラベルスリーブは、プレフォームの上に配置させることができるように、少なくとも一端は開いていなければなならない。場合によっては、スリーブは一端で閉じてチューブを形成してもよいし、側壁となる部分の一部のようなプレフォームの小部分を被覆してもよいし、あるいはプレフォームベースのネジ山のすぐ下から底までプレフォーム全体をほとんど被覆してもよい。」
キ 「【0027】
本発明において使用するプレフォームは、ポリエステル、ポリオレフィン及びポリカーボネートのような従来の成形用ポリマーから形成する。ポリマーは単層又は多層であることができる。他のポリマーを使用して、多層容器の一部の層を形成することもできる。このようなポリマーは当業界で公知であり、リサイクルポリマー、例えばポリエステル、機能性ポリマー(performance polymers)、例えばEVOH及びポリアミド、全芳香族ポリエステル、ポリエーテル、ブレンド並びにそれらのコポリマーを含む。
【0028】
ポリエステルは、本発明において使用できる好ましいポリマーである。適当なポリエステルは、好ましくはテレフタル酸又はイソフタル酸、より好ましくは少なくとも約50モル%のテレフタル酸、一部の実施態様では、好ましくは少なくとも75モル%のテレフタル酸を含んでなるジカルボン酸成分並びにエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ブタンジオール及びそれらの混合物から選ばれた少なくとも1種のジオールを含んでなるジオール成分を含む。・・・」
ク 「【0033】
プレフォームは、当業界で公知の方法によって、例えば射出成形によって又はまれにはパイプ押出もしくはスエージングによって形成する。プレフォームはまず、Sidel(商標)型の機械のような赤外線ランプのバンクを用いて、所望のブロー温度(PETプレフォームの場合には通常は約100℃前後)に再加熱する。赤外線加熱後、次に熱プレフォームを直接、ブローホイールへと運搬し、ブローホイールにおいて金型中にインフレートする。しかし、本発明の場合には、別の工程を加えなければならない。ここで、プレフォームが成形ホイールに入る直前の任意の時点で、プレフォームスリーブをプレフォームを覆うようにスライドさせる。スリーブは、最終ボトル上に要求される輪郭ラベル被覆範囲の程度に応じて、適当な長さにカットしなければならない。これは、スリーブをプレフォーム上に配置するときに現位置で行ってもよいし、あるいはスリーブを個々の単位に予めカットしてもよい。いずれにせよ、スリーブをプレフォーム上に迅速に配置するには、適当なウェブ/フィルム取り扱い設備が必要である。当業界において通常の金型内ラベリングに一般に使用される設備を、このスリーブの取り扱いのために改良することができる。
【0034】
ブロー成形法においては、プレフォーム及びスリーブはブロー金型に入り、容器の最終形状にインフレートされる。プレフォームの余熱はスリーブの加熱に役立つので、スリーブは充分に柔軟になり延伸可能であろう。あるいは、プレフォーム及びスリーブの全体に熱風又は輻射熱を吹き込む/又は適用することもできる。スリーブ及びプレフォームは比較的高温においても粘着性であるので、プレフォームを逆さにする(一部のブロー成形機の場合にはそうである)ときにスリーブが滑り落ちる可能性は少ない。必要な場合には、スリーブをプレフォームに関して正しい位置に保持するために割送り又は位置あわせ装置を使用できる。プレフォームが空気圧及び延伸ロッドによって膨張するにつれて、ラベルスリーブも膨張する。ラベルは金型壁にぶつかるまで延伸するので、最終的にはラベルは製品の最終形状を取るであろう。従って、二軸延伸フィルム又は収縮トンネルを必要とせずに、タイトフィットする輪郭ラベルが作られる。」
ケ 「【0036】
ラベルは種々のポリマーから作ることができるので、現位置輪郭フィットラベルの使用はまた、他の機能的可能性を追加する。例えばラベルは容器の透過性の低下を促進するためにEVOH又はメタジレンジアミン(「MXD6」)のような高バリヤーポリマーから作ることができる(単層又は共押出により多層として)。ボトルとラベルとの密着度もまた、樹脂の選択によって左右され得る。PETボトルにPETラベルを用いた試験はかなりの密着を生じたが、ポリプロピレンラベルはPETボトルには貼り付こうとしなかった。密着が必要か否かは通常、リサイクルのための剥離が課題であるか否かによって決まる。」
コ 「【0039】
例1
PETスリーブを用いた2リットルボトル用輪郭ラベリング
インフレート法を用いて、わずかに配向されたPET 12822フィルムのスリーブを作った。これらのスリーブは、直径が1.44インチであり、呼称厚さが4milであった。ラベリングをシミュレートするために、マジックインキを用いて試験前のスリーブにグリッドパターンを描いた。使用したプレフォームは、外径1.15インチの2リットルボトル用プレフォームである。スリーブは、プレフォームよりもかなり大きかったが、これは試験時に使用できる唯一のスリーブ直径であった。
【0040】
実験室規模のRHBユニットを用いて、再加熱ブロー成形を行った。プレフォームはまず、赤外線石英型ヒーターのバンクを用いて約100℃の温度に加熱した。次に、プレフォームを速やかにブロー成形ステーションに移した。一方、金型を閉じる前に、スリーブはプレフォームを覆うように配置した。スリーブは、一端がネックリングに接触し且つ他端がほんのわずかにプレフォームの底面を越えるように、プレフォームの長さをカットした呼称(約5インチ)。25秒間の均熱処理時間を用いて、熱プレフォームの熱をフィルムに移した。次いで、軸方向延伸ロッド及と空気圧を併用して、プレフォームをブロー成形した。
【0041】
金型から取り出すと、ラベルフィルムはボトルをほとんど完全に包み且つ輪郭の全てにタイトフィットしているのがわかった。最初のスリーブに描いたグリッドパターンは、ボトル中の延伸量(即ち、ネック部では少なく、側壁部では多い)に比例して膨張したので、ゆがみ印刷の補正がどの程度必要かがわかった。延伸後のラベルフィルムは、延伸量に応じて名目上約1/2mil又はそれ以下であった。
【0042】
例2
ポロプロピレンスリーブを用いた2リットルボトル用輪郭ラベル
前記例1と同様な手法に従って、PETの代わりにポリプロピレンを用いてインフレート法によってスリーブを作った。ポリプロピレンは、低コスト及び低密度のために既にラベルに最適の材料とされているので望ましい。ポリプロピレンは、呼称厚さ3mil及び幅1.6インチとした。例1と同様にボトルをブロー成形後、フィルムはボトルの輪郭にぴったりとフィットしているのがわかった。しかし、PETラベルフィルムとは異なり、このフィルムはベースボトルに密着しなかったので、リサイクルの間に容易に剥がすことができる。」
サ 「【0043】
例3
IR加熱前にスリーブを加える、PETを用いた1.5リットルの詰め替え可能ボトル用輪郭ラベリング
例1に使用したPETスリーブを、呼称外径1.25インチの1.5リットル用プレフォームに適用した。しかし、このプレフォーム及び金型の組み合わせは異なる再加熱ブロー成形機に取り付けたので、方法は少し変更しなければならなかった。実験時には、加熱とブロー成形の間に、プレフォームスリーブを取り付けるのに充分な時間、機械を停止させる方法がなかった。従って、プレフォームスリーブは、赤外線加熱工程を始開始し且つスリーブが加熱及びブロー成形プロセス全体を経る前にプレフォームの上に配置した。スリーブにはまた、黒のマジックインキでグリットを描いた。加熱工程の間に、スリーブはプレフォームの周囲で下に向かってわずかに収縮し、それによってスリーブとプレフォームとの密着が増したことが観察された。ブロー成形工程の間に、スリーブはうまく延伸し、グリッドは均一にゆがみ、見栄えがする形態にフィットするラベルを形成した。しかし、ボトルへの密着は、スリーブを加熱後に加えた例1の場合よりも強かった。これは、ラベルとボトルとをより長い時間一緒にする追加の加熱によるものであったとするのが最も可能性が高い。」
シ 「【図2】
」
(2) 甲1に記載された発明
甲1の上記(1)アないしシの記載からみて、甲1には、上記(1)アの請求項1に記載されたラベル付き容器の製造方法の一態様として、次のとおりの発明(以下、「甲1発明A」という。)が記載されていると認める。
<甲1発明A>
「ラベル付き容器の製造方法において、
PET製のプレフォームを準備する工程と、
前記プレフォームの胴部の外側および底部の少なくとも一部の外側に、予め筒状に形成されたラベルスリーブを配置する工程と、
前記プレフォーム及び前記ラベルスリーブをブロー金型に入れ、前記プレフォームを空気圧及び延伸ロッドによって膨張させるにつれて前記ラベルスリーブも膨張させて、ラベル付き容器を得るブロー成形工程とを有する製造方法であって、
得られたラベル付き容器は、ラベルを容器から剥がすことで容器をリサイクル可能としてなり、
ラベルは容器をほとんど完全に包み且つ輪郭にぴったりとフィットしている、
ラベル付き容器の製造方法。」
また、甲1には、甲1発明Aに用いられるプレフォームとして、次のとおりの発明(以下、「甲1発明B」という。)が記載されていると認める。
<甲1発明B>
「ラベル付き容器をブロー成形により製造するためのラベルスリーブ付きプレフォームであって、
PET製のプレフォームと、前記プレフォームの胴部の外側および底部の少なくとも一部の外側に配置された、予め筒状に形成されたラベルスリーブとからなり、
ブロー成形してラベル付き容器としたときに、ラベルを容器から剥がすことで容器をリサイクル可能としてなる、
ラベルスリーブ付きプレフォーム。」
さらに、甲1発明Aの製造方法で製造されたラベル付き容器として、次のとおりの発明(以下、「甲1発明C」という。)が記載されていると認める。
<甲1発明C>
「ラベル付き容器であって、
該ラベル付き容器は、PET製のプレフォームの胴部の外側および底部の少なくとも一部の外側に、予め筒状に形成されたラベルスリーブを配置し、前記プレフォーム及び前記ラベルスリーブをブロー金型に入れ、前記プレフォームを空気圧及び延伸ロッドによって膨張させるにつれて前記ラベルスリーブも膨張させて得るものであり、
ラベルは容器をほとんど完全に包み且つ輪郭にぴったりとフィットしており、
ラベルを容器から剥がすことで容器をリサイクル可能としてなる、
ラベル付き容器。」
(3) 甲2の記載事項
甲2には以下の記載がある。
ア 「指定PETボトルの自主設計ガイドライン 2018年(平成30年)1月4日改訂
PETボトルリサイクル推進協議会」((5-1)頁)
イ 「
」((5-2)頁)
ウ 「
」((5-3)頁)
エ 「3.原則基準
指定PETボトル本体及び付属包材は、表1に示す原則基準に適合していることが必要です。・・・
」((5-4)頁~(5-5)頁)
(4) 甲3の記載事項
甲3には、以下の記載がある。なお、下線については、当審において付与している。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部(21)及び自立させるための接地部(221)が形成された底面(22)を有する光透過性容器(2)と、前記容器(2)の胴部(21)及び底面(22)を被覆可能な遮光性の熱収縮性筒状ラベル(3)とを備え、前記筒状ラベル(3)が、熱収縮により前記容器(2)の胴部(21)に装着され、且つ接地部(221)の形状に沿って装着されていると共に、前記筒状ラベル(3)の下方開口部(35)が前記容器(2)の底面(22)で閉塞されていることを特徴とする遮光容器。」
イ 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線などの光線透過をより確実に防止するため、容器の胴部及び底面が遮光性ラベルで被覆された遮光容器及び該遮光容器の製造方法に関する。」
ウ 「【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる公報記載の手段では、容器のリサイクル時に、筒状ラベルの除去に加えて、紫外線遮断インキを剥離しなければならず、簡単に容器をリサイクルすることができないという問題点がある。
また、搬送時などの擦れによって、底面に塗布された紫外線遮断インキ層が部分的に剥離する虞がある。また、上記公報記載の遮光容器を製造する際には、筒状ラベルの装着工程に加えて、容器の底面にインキを塗布しなければならず、特に、底面の形状が複雑な容器にインキを塗工することは困難である。
【0006】
そこで、本発明は、光透過性容器の胴部及び底面からの光透過を防止でき、リサイクル時には、この光遮断手段を簡易に除去することができる遮光容器を提供することを課題とする。
また、本発明は、容器の胴部及び底面を遮光性ラベルで被覆した遮光容器を簡易に製造することができる遮光容器の製造方法を提供することを課題とする。」
エ 「【0017】
具体的には、容器2は、例えば、ポリエチレンテレフタレート製容器(いわゆるPETボトル)などの合成樹脂製成形容器、ガラス製などの透明容器からなり、内部に液体などの充填物を収納する収納部23、この充填物を出入れするための取出し部24、胴部21及び自立させるための底面22を有する。取出し部24には、注出口241と外周壁に形成されたネジ部242とが形成されており、このネジ部242には、注出口241を開閉するための非透明樹脂成形品、金属製などのキャップ25が螺合されている。このネジ部242の下方には、外側に突出した鍔部26が形成されている。胴部21には、この鍔部26から次第に拡径する肩部211と実質的に筒状の胴本体部212とが形成されている。底面22には、この胴本体部212に連続するコーナー部27を介して、台上などの載置面に容器を自立させるため該載置面に接する接地部221とこの接地部221よりも内側であって中央部が内側(容器の収納部側)に凹んだ凹部222とが形成されている。この接地部221は、下端面が平坦な底面視リング状に形成されており、この接地部221に囲われるように、ドーム(底上げ)状の凹部222が形成されている。」
オ 「【0020】
容器2に装着する前(熱収縮前)の筒状ラベル3は、図3及び図4に示すように、容器2の胴部21に挿入脱可能な内径で、且つ熱収縮後に少なくとも容器2の胴部21及び底面22を被覆可能な長さのラベル基材5の両端部5a,5aを、センターシールし、且つこのセンターシール部4の近傍に易開裂手段としてミシン目6が形成された筒状体からなる。・・・」
カ 「【0026】
上記構成からなる遮光容器1は、底面22まで遮光性のラベル3で被覆されているので、紫外線などの光透過を防止することができる。さらに、上記ラベル3は、白色系フィルム7の裏面7aに黒色系印刷層8が設けられた基材5からなるので、意匠印刷層8の下地となる白色背景の利点を有しつつ、可視光線の透過も防止できる。可視光線の遮光性の目安は、例えば、内容物がビールやビタミン剤などの場合、波長400~600nmの最大透過率が20%以下、好ましくは10%以下である。
また、光遮断手段が、1つの筒状ラベル3によって容器2を被覆するものであるため、リサイクル時には、既知の胴部ラベル付き容器と同様に、消費者は、ミシン目6などを利用して、ラベル3を切り取りこれを簡単に除去することができる。・・・」
キ 「【0028】
次に、上記筒状ラベル3を容器2に装着する方法及び遮光容器1の製造方法について説明する。
まず、ラベル基材5が連続的に繋がったラベル基材連続体を引出しながら、両端部5aをセンターシールし、これを巻き取ることにより、筒状ラベルが連続的に繋がった筒状ラベル連続体を得る。
この筒状ラベル連続体を、ラベラーなどのシュリンク装着機にセットし、所定長さに切断して1つの筒状ラベル3とし、コンベアなどの搬送装置から送られてくる透明容器2に挿入する。」
ク 「【0034】
(ラベル基材の他の実施形態)
上記実施形態に於いて、ラベル基材5は、白色系フィルム7に黒色系印刷層8が設けられているので、上記の効果を奏するが、黒色系印刷層8が設けられていない白色系フィルム7を用いてラベル基材5を構成してもよい。また、ラベル基材5を構成するフィルムは、白色系フィルム7に限られず、例えば、特開20002-68202号の第4頁[0027]-[0030]に例示されているような、赤色、濃青などを呈する各種の着色剤や紫外線吸収剤などの紫外線遮断剤が適宜配合されて製膜された遮光性フィルムを用いてラベル基材5を構成してもよい。また、必要に応じて、かかる遮光性フィルムに、上記実施形態の如く、裏面及び/又は底面被覆領域34相当表面に適宜黒色系印刷層8を設けてラベル基材5を構成してもよい。
さらに、透明なフィルムの裏面及び/又は表面に、白色、黒色、濃青などを呈する着色剤や紫外線吸収剤などの紫外線や可視光線の遮断剤が配合された遮光印刷層が設けられた遮光性フィルムを用いてもよく、また、透明なフィルムと紫外線等遮断剤の配合されたフィルムとが積層された積層フィルムなどを用いてもよい。尚、紫外線のみを遮断する場合には、紫外線吸収剤などを含有した実質的に無色の透明フィルムでラベル基材5を構成してもよい。
また、上記実施形態では、フィルム7の表面7bに意匠印刷層9が設けられているが、意匠印刷層9を裏面7aに設けるなどしてもよい。」
ケ 「【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る遮光容器は、紫外線などの透過をより確実に防止でき、リサイクル時には、筒状ラベルを除去するだけで、光透過性容器を分離できる。また、遮光容器を支障なく自立させることができ、又、外観上も美麗である。・・・」
コ 「【図3】
」
(5) 甲3に記載された発明
上記(4)アないしオには、内容物がビールやビタミン剤である場合の遮光容器であって、その遮光性の熱収縮性筒状ラベルの他の実施形態として例示されている一態様として、次のとおりの発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認める。
<甲3発明>
「ビールやビタミン剤用の遮光容器において、
光透過性のポリエチレンテレフタレート製の容器と、
光透過性のポリエチレンテレフタレート製の容器の胴部及び底部が遮光性の熱収縮性筒状ラベルで被覆された遮光容器であって、
遮光性の熱収縮性筒状ラベルが、熱収縮により容器の胴部に装着されるものであり、
遮光性の熱収縮性筒状ラベルの可視光線の遮光性の目安が、波長400~600nmの最大透過率が20%以下であり、
遮光性の熱収縮性筒状ラベルが、熱収縮性筒状ラベルのフィルムの裏面側に意匠印刷層が設けられたものであって、リサイクル時には、遮光性の熱収縮性筒状ラベルを光透過性のポリエチレンテレフタレート製の容器から除去可能である、
遮光容器。」
(6) 甲4の記載事項
甲4には、以下の記載がある。なお、下線については、当審において付与している。
ア 「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビール、発泡酒等の発泡アルコール飲料用ポリエステル樹脂製容器に関するものである。」
イ 「【0002】
【従来の技術】従来、飲料、食品、エアゾール、化粧品容器等の分野では、ポリエチレンテレフタレート樹脂製容器(以下、PET容器と略記することがある)に代表されるポリエステル樹脂製容器が一般に用いられている。このようなPET容器は、取り扱いが容易であり、ファッション性にも優れていることから、ビール、発泡酒等の発泡アルコール飲料用容器として使用することが検討されている。ところが、前記PET容器は、金属容器やガラス容器に比べて酸素、炭酸ガス等の気体や光線を透過しやすいため、発泡アルコール飲料用容器として使用した場合に、炭酸ガスの透過により、ビール、発泡酒等に含まれるガスボリュームが低減したり、酸素、光線の透過によりアルコール飲料としての風味が変化する等の問題がある。
【0003】前記問題を解決するために、内面にアモルファス炭素等を含む被膜を形成したPET容器が提案されている。前記被膜は、例えば、中空の処理室に前記PET容器を配置し、該PET容器口部から該PET容器内部に原料ガス導入管を挿入して、該処理室及びPET容器内部を真空に排気した後、原料ガスを供給すると共に高周波またはマイクロ波電圧を印加することによってプラズマを発生させる方法により形成することができる。前記PET容器は、内面に前記被膜を形成することにより、酸素や炭酸ガス等に対するガスバリヤ性、遮光性が高くなり、前記発泡アルコール飲料に適した内容物保存性が得られるものと考えられる。」
ウ 「【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる不都合を解消して、優れたリサイクル性と、ビール、発泡酒等の発泡アルコール飲料に適した内容物保存性とを備える発泡アルコール飲料用ポリエステル樹脂製容器を提供することを目的とする。」
エ 「【0015】また、前記遮光フィルムは、波長320~400nmの紫外線と、波長400~500nmの可視光線との透過を80%以上、より好ましくは90%以上遮断することにより、前記被膜の着色と相俟って、ポリエステル樹脂製容器に前記発泡アルコール飲料に適した遮光性を付与することができる。」
オ 「【0040】遮光フィルム8は、前記波長範囲の紫外線と可視光線との透過を95%以上遮断するために、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニリデン等の公知の樹脂フィルムに、着色顔料等による印刷を施したもの、着色顔料または紫外線吸収剤等を配合したもの等を用いることができる。前記紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系等、それ自体公知の紫外線吸収剤を1種または2種以上ブレンドして用いることができる。
【0041】また、遮光フィルム8をポリエステル樹脂製容器1の外面に取着する方法としては、ポリエステル樹脂製容器1を前記樹脂フィルムで被覆した後、該樹脂フィルムを加熱収縮させるシュリンク包装による方法、接着またはインモールドによる方法等を採用することができる。しかし、ポリエステル樹脂製容器1をリサイクルに供する際に、遮光フィルム8の取り外しが容易であることから、前記シュリンク包装による方法が適している。」
カ 「【0050】
【実施例1】本実施例では、まず、内容積350mlのPETボトル(ポリエステル樹脂製容器)1を、図2示のプラズマCVD装置11の処理室4内に収納した。次に、処理室4及びPETボトル1の内部を減圧すると共に、PETボトル1内に原料ガスとして容器表面積当たり0.4sccm/cm2(160ml/分)のアセチレンガスを供給し、PETボトル1の内部を10Paの真空度に維持しつつ、2.45GHz、380Wのマイクロ波を、0.6秒間照射することにより、内面にアモルファス炭素被膜が形成されたPETボトル1を製造した。前記被膜の厚さは400オングストロームであった。
【0051】次に、前述の方法により、前記被膜が形成されたペットボトル1のΔb*値と、酸素や炭酸ガス等に対するガスバリヤ性の指標となる酸素透過率とを測定したところ、Δb*値は3、酸素透過率は0.003cc/日であった。前記酸素透過率は、前記被膜を形成していない従来のペットボトル(参考例)の0.03cc/日に比較して格段に低くなっていることが明らかである。結果を表1に示す。
【0052】次に、前記被膜が形成されたPETボトル1の外面に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む膜厚60μmのポリスチレンフィルムに着色顔料による印刷が施された遮光フィルム8を、シュリンク包装による方法を用いて取り付けた。前記被膜が形成されたPETボトル1は、遮光フィルム8の取付け前には380nmの紫外線の透過率が約45%であったが、遮光フィルム8の取付け後には前記透過率が5%未満になった。
【0053】次に、前記被膜が形成されたPETボトル1に、ビールと発泡酒とを充填し、口部3にキャップ9を螺着して密封した。キャップ9としては、ポリプロピレンからなり内面側にアスコルビン酸・亜硫酸系酸素吸収剤を含むガスバリヤ材10を備えている。
【0054】前記ビールと発泡酒とを充填したPETボトル1を室温で6か月間保存した後、内容物保存性について評価した。結果を表1に示す。
【0055】また、参考例として前記被膜を形成していない従来のPETボトル1について、本実施例と全く同一にして内容物保存性を評価した。結果を併せて表1に示す。
【0056】次に、前記被膜が形成されたPETボトル1から遮光フィルム8を取り外した後、該PETボトル1を粉砕し、押出機を用いてチップ状として、再生ポリエチレンテレフタレート樹脂を製造した。前記再生ポリエチレンテレフタレート樹脂のチップは着色が極めて淡く、実用上問題なくポリエチレンテレフタレート繊維の製造に用いることができ、前記被膜を形成していない従来の回収PETボトル1を粉砕し、押出機を用いてチップ状とした再生ポリエチレンテレフタレート樹脂と同等のリサイクル性を備えていることが確認された。」
キ 「
」(図1)
(7) 甲5の記載事項
甲5には、以下の記載がある。
「(2)日光臭
ビールが日光に晒されると,「日光臭」と称する特有の臭気が生じる。・・・
イ)由来
ビール日光臭の生成メカニズムは,ホップ苦味成分であるイソフムロン(Isohumulon)が日光により解裂し,それがタンパク質等の含硫成分の光変性により生じたSHラジカルと反応し,日光臭の原因物質である3-メチル,2-ブテン,1-チオール(3-methyl-2-buten-1-thiol)になることがわかっている。日光臭生成に関与する光の波長についても研究がなされ,400nm~500nmであることがわかっている。
ロ)防止策
日光臭の防止策は,400~500nmの光線を透過させないようにガラスビンを着色することである。」(1011頁左欄1行~26行)
(8) 甲6の記載事項
甲6には、以下の記載がある。
「3)光線による変質
瓶詰ビールを直射日光に曝したり,倉庫や店頭のショウケース内の蛍光灯に長時間曝すと,動物園のスカンクが発生する臭いを連想させる変性臭(日光臭)が発生する。ビール中のホップに由来する苦味成分は波長400~500nmの光線の作用により分解して,2-メチル-2-ブテニール基を生成する。これとビール中の蛋白質などの含硫成分が光変性して生成した硫化水素とが反応して,日光臭成分の2-メチル-2-ブテン-1-チオールを生成する。」(1655頁1行~11行)
2 取消理由1(甲1に基づく進歩性)について
(1) 本件発明1と甲1発明Aとの対比・判断
甲1発明Aの「PET製のプレフォーム」、「ラベルスリーブ」は、それぞれ、本件発明1の「ポリエチレンテレフタレート製のプリフォーム」、「プラスチック製部材」に相当する。
甲1発明Aの「ラベル付き容器」、「容器」は、それぞれ、本件発明1の「複合容器」、「容器本体」に相当する。
甲1発明Aの「容器」(容器本体)の胴部は、甲1の図2及び容器に関する技術常識からみて、本件発明1の「円筒形状」を有するとの特定事項を満たす。
甲1発明Aの「ラベルスリーブを配置する工程」は、上記1(1)クの記載からみて、本件発明1の「プリフォームの胴部の外側および底部の少なくとも一部の外側に、予め筒状に形成されたプラスチック製部材を接着することなく装着する工程」に相当する。
甲1発明Aの「ブロー成形工程」は、プリフォームとラベルスリーブを用いて、ラベル付き容器とする工程であるから、本件発明1の「複合容器を得る工程」との限りにおいて相当する。
甲1発明Aの製造方法においても、ラベルを容器から剥がすことで容器をリサイクル可能としてなるものであることから、甲1発明Aは、本件発明1の「容器の前記プラスチック製部材を前記容器本体から剥離除去し、前記容器本体をリサイクル可能となっている」との特定事項を満たす。
そこで、本件発明1と甲1発明Aとを対比すると、
「複合容器の製造方法において、
ポリエチレンテレフタレート製のプリフォームを準備する工程と、
前記プリフォームの胴部の外側および底部の少なくとも一部の外側に、予め筒状に形成されたプラスチック製部材を接着することなく装着する工程と、
前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材に対してブロー成形を施すことにより、前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材を一体として膨張させ、容器本体と、前記容器本体の口部以外の全域の外側に剥離除去可能に設けられたプラスチック製部材とを有する複合容器を得る工程とを備え、
容器本体の胴部は、円筒形状を有し、
前記複合容器の前記プラスチック製部材を前記容器本体から剥離除去し、前記容器本体をリサイクル可能となっている、複合容器の製造方法。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
<相違点1-1>
プリフォームに関し、本件発明1は、「無色透明であり」と特定するのに対し、甲1発明Aは、この点を特定しない点。
<相違点1-2>
複合容器の用途に関し、本件発明1は、「ビール用」と特定すると共に、プラスチック製部材に関し、「プラスチック製部材は可視光色に着色」されているとともに、「膨張された後の前記ビール用複合容器の前記プラスチック製部材は、波長400nm~500nmの光に対する透過率が20%以下であり」と特定するのに対し、甲1発明Aは、この点を特定しない点。
<相違点1-3>
プラスチック製部材をプリフォームへ接着することなく装着する工程に関し、本件発明1は、「前記プラスチック製部材を前記プリフォームに対して移動又は回転せず、かつ自重で落下しない程度に密着させる」と特定するのに対し、甲1発明Aは、この点を特定しない点。
<相違点1-4>
プラスチック製部材に関し、さらに、本件発明1は、「水蒸気バリア性を有し」、「遮光性樹脂が添加されることにより紫外線バリア性を有し」、「前記プラスチック製部材を前記容器本体から分離除去するための切断線が設けられ」と特定するのに対し、甲1発明Aは、これらの点を特定しない点。
<相違点1-5>
容器本体に関し、本件発明1は、「前記容器本体の内面に蒸着膜が形成され」、「容器本体の満注容量が100ml~2000mlであり」、「前記容器本体の底部は、ペタロイド底形状を有し」と特定するのに対し、甲1発明Aは、これらの点を特定しない点。
以下、相違点について検討する。
相違点1-1について
甲1発明Aで製造されたラベル付き容器の容器は、ラベルを容器から剥がすことでリサイクルされるものである。そして、甲2の記載によれば、リサイクルに利用されるPETボトル本体は着色しないとすることが出願時の技術常識であるから、容器のブロー成形前の材料である甲1発明Aのプリフォームも着色しないもの、すなわち、無色透明といえる。そうすると、相違点1-1は実質上の相違点ではない。
仮に、実質的な相違点であったとしても、リサイクルする容器を無色透明とすることは、甲2に記載の技術事項から当業者が容易に想到し得たことであるから、プリフォームを無色透明とすることもまた想到容易である。
相違点1-2について
甲1発明Aにより製造される容器は、甲1の段落【0002】の記載から、「炭酸飲料」に用いられるものであるところ、ビール用のペットボトル容器は出願時に知られていたことからすれば(要すれば、甲3及び甲4)、甲1発明Aの容器について、その用途として炭酸を含む飲料であるビールの用途を想到することは容易である。
また、「波長400nm~500nmの光がビールの日光臭の原因であること」を踏まえると(要すれば、甲5及び甲6を参照できる)、甲3及び甲4から、本件出願前に、ビール用PET容器において、その内容物であるビールの日光臭対策として、400~500nmの光に対する透過率が20%以下のラベルを利用することは周知(以下、「周知技術1」という。)であったといえる。
ここで、可視光線はおよそ380nm~780nmの域帯であるから、400~500nmの光に対する透過率が20%以下ということは、実質的に可視光色に着色されているといえる。
そうすると、甲1発明Aにより製造される容器の用途として、ビール用とすることは容易であって、ビール用とするにあたり、可視光色に着色されているとともに、膨張された後のラベルを波長400nm~500nmの光に対する透過率が20%以下であるものとすることもまた、格別困難であるとはいえない。
したがって、甲1発明Aにおいて、相違点1-2の発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
相違点1-3について
甲1発明Aの「プレフォーム・・・の外側に・・・ラベルスリーブを配置する工程」について、甲1には、ラベルスリーブが配置された後には、ラベルスリーブは適切な場所に保持される必要があること(上記1(1)カ)、ブロー成形される前に均熱処理時間を用いて、熱プレフォームの熱をフィルム(決定注:ラベルスリーブに相当)に移すこと(上記1(1)コ)、あるいは、ブロー金型に入れられる前の加熱時にラベルスリーブはプレフォームの周囲で収縮していることが記載されている(上記1(1)サ)。
そうすると、甲1発明Aの製造方法において、ラベルスリーブ(プラスチック製部材)をプレフォーム(プリフォーム)に対して適切な場所に保持させるべく、ラベルスリーブをプレフォームに対して移動又は回転せず、かつ自重で落下しない程度に密着させることは、当業者が容易に想到し得たことである。
相違点1-4について
甲1発明Aのラベルスリーブ(プラスチック製部材)として、水蒸気バリア性を有するものとすること、及び、UV遮断コンセントレートを配合して紫外線バリア性を有するようにすることは、甲1の「ラベルは種々のポリマーから作ることができるので、現位置輪郭フィットラベルの使用はまた、他の機能的可能性を追加する。例えばラベルは容器の透過性の低下を促進するためにEVOH又はメタジレンジアミン(「MXD6」)のような高バリヤーポリマーから作ることができる(単層又は共押出により多層として)。」(上記1(1)ケ)、「更に、インフレートフィルムは、印刷の必要はなく、機能添加剤が望ましい用途に適している。例えば、着色剤又は顔料をポリマーに添加して、着色ラベルスリーブを作成できる。同様に、UV遮断コンセントレート、バリヤー層又は他の機能添加剤を、ラベルスリーブの作成に使用するポリマーに取り入れることができる。」(上記1(1)オ)などの記載からみて、いずれも困難なことではない。
さらに、リサイクルのために容器本体から剥がされるプラスチック製部材に切断線を設けることは、周知(要すれば、上記1(3)エ及び上記1(4)カ参照のこと。以下、「周知技術2」という。)であるから、甲1発明Aのラベルスリーブ(プラスチック製部材)に容器本体から分離除去するための切断線が設けることは、当該周知技術2に基づき当業者が容易に想到し得たことである。
してみれば、甲1発明Aのラベルスリーブが、相違点1-4に係る発明特定事項を有するようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。
相違点1-5について
ガスバリア性の向上のために容器の内側に蒸着膜を形成することは、本件出願前に、当業者において周知の技術であった(要すれば、上記1(6)イ及びカを参照のこと。以下「周知技術3」という。)から、甲1発明Aの容器において、容器本体の内面に蒸着膜を形成することは、周知技術3に基づき当業者が容易に想到し得たことである。
また、容器本体の底部の形状としてペタロイド底形状は当業者において周知の技術であった(要すれば、1(6)キのほか特開2013-75669号公報の【0016】【0018】【0020】【0021】図1、2を参照のこと。以下「周知技術4」という。)から、甲1発明Aの容器において、容器本体の底部がペタロイド底形状を有するものとすることは、当業者が周知技術4に基づき容易に想到し得たことである。
そして、甲1には、容器本体の満注容量に関して、例1において「2リットルボトル用」、例3において「1.5リットル用」なる記載があることからすれば、甲1発明Aについても、これらの容量を包含するものと想定され、「容器本体の満注容量が100ml~2000mlであ」る点は、実質的な相違点でないし、仮に、実質的な相違点であったとしても、満注容量が100ml~2000mlの範囲にある容器本体は、例示するまでもなく一般的に知られているから、甲1発明Aの容器において、容器本体の満注容量が100ml~2000mlとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
してみれば、甲1発明Aにおいて、相違点1-5に係る発明特定事項を有するようにすることは、上記周知技術3及び4に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
よって、本件発明1は、甲1発明A、甲2に記載の技術事項及び周知技術1ないし4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2) 本件発明2及び3と甲1発明Aとの対比・判断
甲1には、「このラベルスリーブは、インフレート用プレフォームと共に膨張する配向又は非配向(unoriented)ポリマーフィルム原料から製造する。」(上記1(1)エ)との記載があるから、甲1発明Aのラベルスリーブは、配向又は非配向ポリマーフィルムから製造されているものである。そして、配向されたポリマーフィルム原料から製造されたラベルスリーブは熱により収縮するとの技術常識を踏まえれば、当業者は、甲1発明Aのラベルスリーブは、プリフォームに対して収縮する作用をもつ外側収縮部材であって、熱が加えられた際に、前記プリフォームに対して収縮するものと理解する。
そうすると、本件発明1からさらに本件発明2及び3で特定する事項は、甲1発明Aとの対比において新たな相違点とはならない。仮に、新たな相違点であったとしても、当業者が適宜選択し得る設計的事項にすぎない。
その余の点は、上記(1)での検討のとおりであるから、本件発明2及び3は、甲1発明A、甲2に記載の技術事項及び周知技術1ないし4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3) 本件発明5と甲1発明Bとの対比・判断
甲1発明Bの「ラベル付き容器」、「ラベルスリーブ付きプレフォーム」、「PET製のプレフォーム」は、それぞれ、本件発明5の「複合容器」、「複合プリフォーム」、「ポリエチレンテレフタレート製のプリフォーム」に相当する。
甲1発明Bの「ラベルスリーブ」は、「PET製のプレフォームと、前記プレフォームの胴部の外側および底部の少なくとも一部の外側に配置された、予め筒状に形成されたラベルスリーブ」であるから、本件発明5の「プラスチック部材」相当し、甲1発明Bにおいても「筒状に形成されるとともに、前記プリフォームの胴部の外側および底部の少なくとも一部の外側を取り囲むように装着された」プラスチック部材といえる。
甲1発明Bは、「ブロー成形してラベル付き容器としたときに、ラベルを容器から剥がすことで容器をリサイクル可能としてなる」ものであるから、甲1発明Bのラベルスリープ(プラスチック部材)は、「前記プリフォームの外側に接着されることなく剥離除去可能に密着されて」いるといえる。
そうすると、本件発明5と甲1発明Bとは、
「複合容器用の複合プリフォームにおいて、
ポリエチレンテレフタレート製のプリフォームと、
筒状に形成されるとともに、前記プリフォームの胴部の外側および底部の少なくとも一部の外側を取り囲むように装着されたプラスチック製部材とを備え、
前記プラスチック製部材は、前記プリフォームの外側に接着されることなく剥離除去可能に密着されている、
複合プリフォーム。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点5-1>
ポリエチレンテレフタレート製のプリフォームに関し、本件発明5は、「無色透明であり」と特定するのに対し、甲1発明Bは、この点を特定しない点。
<相違点5-2>
複合プリフォームの用途に関し、本件発明5は、「ビール用」と特定するとともに、プラスチック製部材に関し、「前記プラスチック製部材は、可視光色に着色されており」と特定するのに対し、甲1発明Bは、この点を特定しない点。
<相違点5-3>
プラスチック製部材とプリフォームとの装着の程度について、本件発明5は、「前記プラスチック製部材は、前記プリフォームに対して移動又は回転せず、かつ自重で落下しない程度に密着させており、」と特定するのに対し、甲1発明Bは、この点を特定していない点。
<相違点5-4>
プラスチック製部材に関し、さらに、本件発明5は、「水蒸気バリア性を有し」、「遮光性樹脂が添加されることにより紫外線バリア性を有し」と特定するのに対し、甲1発明Bは、この点を特定しない点。
<相違点5-5>
プリフォームに関し、本件発明5は、「プリフォームの重量は、10g~20gである」と特定するのに対し、甲1発明Bは、この点を特定しない点。
以下、相違点について検討する。
相違点5-1について
相違点5-1は上記(1)における相違点1-1と実質的に同じであるから、上記(1)の「相違点1-1について」で検討したとおりである。
相違点5-2について
甲1発明Bのプレフォームにより製造される容器は、甲1の段落【0002】の記載から、「炭酸飲料」に用いられるものであるところ、ビール用のペットボトル容器は出願時に知られていたことからすれば(要すれば、甲3及び甲4)、甲1発明Bのラベルスリーブ付きプレフォームについて、その用途として炭酸を含む飲料であるビールの用途を想到することは容易である。
そして、甲1発明Bのラベルスリーブ付きプレフォームにより製造される容器の用途をビール用とするにあたり、周知技術1を踏まえた当業者は、甲1発明Bのラベルスリーブについて、例えば、膨張された後のラベルを波長400nm~500nmの光に対する透過率が20%以下であるような可視光色に着色されたものとすることは、格別困難であるとはいえない。
したがって、甲1発明Bにおいて、相違点5-2の発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
相違点5-3について
甲1発明Bのラベルスリーブ付きプレフォームについて、ブロー成形される時には、ラベルスリーブが適切な場所に保持されている必要があること(上記1(1)カ)、ブロー成形される前に均熱処理時間を用いて、熱プレフォームの熱をフィルム(決定注:ラベルスリーブに相当)に移すこと(上記1(1)コ)、あるいは、ブロー金型に入れられる前の加熱時にラベルスリーブはプレフォームの周囲で収縮してことが記載されている(上記1(1)サ)。
してみれば、甲1発明Bのラベルスリーブ付きプレフォームにおいても、ラベルスリーブを適切な場所に保持されるべく、ラベルスリーブをプレフォームに対して移動又は回転せず、かつ自重で落下しない程度に密着させることは、当業者が容易に想到し得たことである。
相違点5-4について
相違点5-4は、上記(1)における相違点1-4において検討したのと同様に、甲1の記載から当業者が容易に想到し得たことである。
相違点5-5について
甲1発明Bのようなプリフォームは、通常10g~20g程度の重さを有するものであるから(要すれば、特開2013-75669号公報の段落【0016】の記載を参照のこと)、この点は実質的な相違点でない。仮に、実質的な相違点であったとしても、上記相違点に係る構成は、製造する容器の大きさに応じて当業者が適宜設定し得る設計的事項である。
よって、本件発明5は、甲1発明B、甲2に記載の技術事項及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4) 本件発明6及び7と甲1発明Bとの対比・判断
当業者は、甲1の「このラベルスリーブは、インフレート用プレフォームと共に膨張する配向又は非配向(unoriented)ポリマーフィルム原料から製造する。」(上記1(1)エ)との記載から、甲1発明Bのラベルスリーブは、プリフォームに対して収縮する作用をもつ外側収縮部材であって、熱が加えられた際に、前記プリフォームに対して収縮するものと理解する。
そうすると、本件発明5からさらに本件発明6及び7で特定する事項は、甲1発明Bとの対比において新たな相違点とはならない。仮に、新たな相違点であったとしても、当業者が適宜選択し得る設計的事項にすぎない。
その余の点は、上記(3)での検討のとおりであるから、本件発明6及び7は、甲1発明B、甲2に記載の技術事項及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5) 本件発明9と甲1発明Cとの対比・判断
甲1発明Cの「ラベル付き容器」、「PET製のプレフォーム」、「ラベルスリーブ」、「容器」は、それぞれ、本件発明9の「複合容器」、「ポリエチレンテレフタレート製のプリフォーム」、「プラスチック製部材」、「容器本体」に相当する。
甲1発明Cは「ラベルはボトルをほとんど完全に包み且つ輪郭にぴったりとフィットして」おり、「ラベルを容器から剥がすことで容器をリサイクル可能として」いるから、甲1発明Cのラベル付き容器においても、本件発明9と同様に「容器本体の口部以外の全域の外側に、接着されることなく剥離除去可能に密着して設けられたプラスチック製部材とを備え」、「プラスチック製部材を前記容器本体から剥離除去し、前記容器本体をリサイクル可能となっている」との発明特定事項を満たす。
甲1発明Cの「ラベル付き容器」(容器本体)の胴部は、甲1の図2及び容器に関する技術常識からみて、本件発明9の「円筒形状を有する」といえる。
そうすると、本件発明9と甲1発明Cとは、
「複合容器において、
ポリエチレンテレフタレート製の容器本体と、
前記容器本体の口部以外の全域の外側に、接着されることなく剥離除去可能に密着して設けられたプラスチック製部材とを備え、
前記容器本体および前記プラスチック製部材は、ブロー成形により一体として膨張されており、
容器本体の胴部は、円筒形状を有し、
前記プラスチック製部材を前記容器本体から剥離除去し、前記容器本体をリサイクル可能となっている、複合容器。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点9-1>
容器本体に関し、本件発明9は、「無色透明であり」と特定するのに対し、甲1発明Cは、この点を特定しない点。
<相違点9-2>
本件発明9は、複合容器の用途に関し、本件発明9は、「ビール用」と特定すると共に、プラスチック製部材に関し、「可視光色に着色されており」、「波長400nm~500nmの光に対する透過率が20%以下であり」と特定するのに対し、甲1発明Cは、この点を特定しない点。
<相違点9-3>
プラスチック製部材に関し、本件発明9は、「周方向に貼り合わせ部を有しない」と特定するのに対し、甲1発明Cは、この点を特定しない点。
<相違点9-4>
プラスチック製部材に関し、さらに、本件発明9は、「水蒸気バリア性を有し」、「遮光性樹脂が添加されることにより紫外線バリア性を有し」、「前記プラスチック製部材を前記容器本体から分離除去するための切断線が設けられ」と特定するのに対し、甲1発明Cは、これらの点を特定しない点。
<相違点9-5>
容器本体に関し、本件発明9は、「前記容器本体の内面に蒸着膜が形成され」、「容器本体の満注容量が100ml~2000mlであり」、「前記容器本体の底部は、ペタロイド底形状を有し」と特定するのに対し、甲1発明Cは、これらの点を特定しない点。
以下、相違点について検討する。
上記相違点9-1、相違点9-2、相違点9-4及び相違点9-5は、上記(1)における相違点1-1、相違点1-2、相違点1-4及び相違点1-5と実質的に同じであるから、上記(1)の「相違点1-1について」、「相違点1-2について」、「相違点1-4について」及び「相違点1-5について」で検討したとおりである。
相違点9-3について
甲1の段落【0020】には、ラベルスリーブを製造する方法として、インフレート法(貼り合わせ部を有しない製造方法)が記載されているから、甲1発明Cにおいて、相違点9-3の発明特定事項を有するものとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
よって、本件発明9は、甲1発明C、甲2に記載の技術事項及び周知技術1ないし4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(6) 本件発明10及び11と甲1発明Cとの対比・判断
当業者は、甲1の「このラベルスリーブは、インフレート用プレフォームと共に膨張する配向又は非配向(unoriented)ポリマーフィルム原料から製造する。」(上記1(1)エ)との記載から、甲1発明Cのラベルスリーブは、プリフォームに対して収縮する作用をもつ外側収縮部材であって、熱が加えられた際に、前記プリフォームに対して収縮するものと理解する。
そうすると、本件発明9からさらに本件発明10及び11で特定する事項は、甲1発明Cとの対比において新たな相違点とはならない。仮に、新たな相違点であったとしても、当業者が適宜選択し得る設計的事項にすぎない。
その余の点は、上記(5)での検討のとおりであるから、本件発明10及び11は、甲1発明C、甲2に記載の技術事項及び周知技術1ないし4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 取消理由2(甲3に基づく進歩性)について
(1) 本件発明12と甲3発明との対比・判断
甲3発明の「光透過性のポリエチレンテレフタレート製の容器」は、本件発明12の「ポリエチレンテレフタレート製の容器本体」に相当し、甲3発明は「リサイクル時には、遮光性の熱収縮性筒状ラベルを光透過性のポリエチレンテレフタレート製の容器から除去可能である」ものであり、「容器2は、例えば、ポリエチレンテレフタレート製容器(いわゆるPETボトル)などの合成樹脂製成形容器、ガラス製などの透明容器」(上記1(4)エ)であることから、本件発明12の「容器本体は、無色透明であり」を満足するといえる。そして、甲3発明の「ビールやビタミン剤用の遮光容器」は、光透過性のポリエチレンテレフタレート製の容器と遮光性の熱収縮性筒状ラベルからなっている容器であるから、本件発明12の「ビール用複合容器」に相当する。
甲3発明の「遮光性の熱収縮性筒状ラベル」は、リサイクル時には、遮光性の熱収縮性筒状ラベルを光透過性のポリエチレンテレフタレート製の容器から除去可能であって、その遮光性は、波長400~600nmの最大透過率が20%以下であるから、本件発明12の「プラスチック製部材」に相当し、本件発明12の「可視光色に着色されており」、「波長400nm~500nmの光に対する透過率が20%以下であり」を満足している。
なお、甲3発明の「熱収縮性筒状ラベル」には「意匠印刷層」が設けられているが、当該「意匠印刷層」は、フィルムの裏面側に印刷されている層であって、フィルムと当該「意匠印刷層」は一体不可分であるから、当該「印刷意匠層」を本件発明12の「内側ラベル部材」に相当するということはできない。
そうすると、本件発明12と甲3発明とは、
「ビール用複合容器において、
ポリエチレンテレフタレート製の容器本体と、
前記容器本体の口部以外の全域の外側に、接着されることなく剥離除去可能に密着して設けられたプラスチック製部材とを備え、
前記プラスチック製部材は、可視光色に着色されており、前記容器本体は、無色透明であり、
前記プラスチック製部材は、波長400nm~500nmの光に対する透過率が20%以下であり、
前記プラスチック製部材を前記容器本体から剥離除去し、前記容器本体をリサイクル可能となっている、ビール用複合容器。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点12-1>
本件発明12は、「前記容器本体、前記内側ラベル部材および前記プラスチック製部材は、ブロー成形により一体として膨張されており」と特定するのに対して、甲3発明は、そのような特定はなく、内側ラベル部材及びプラスチック製部材である「遮光性の熱収縮性筒状ラベル」が、「熱収縮により容器の胴部に装着されるものであ」る点。
<相違点12-2>
本件発明12は、「容器本体の周方向全域の外側を取り囲むように接着されることなく密着して設けられた内側ラベル部材」を有し、当該内側ラベル部材とプラスチック製部材との関係として、プラスチック製部材は、「内側ラベル部材の外側に、接着されることなく剥離除去可能に密着して設けられ」ているとともに「前記内側ラベル部材の外側に接着されることなく取付けられ」たとされていて、「前記内側ラベル部材を前記容器本体から剥離除去し、前記容器本体をリサイクル可能となっている」と特定されているのに対し、甲3発明は、そのような特定はない点。
以下、事案に鑑み、相違点12-2について検討する。
甲3には、相違点12-2に係る内側ラベル部材については記載も示唆もされていない。また、異議申立人の提示しているいずれの証拠にも,相違点12-2に係る内側ラベル部材についての記載はない。
よって、相違点12-2は、当業者においても容易に想到し得たものではない。
そうすると、相違点12-1について検討するまでもなく、本件発明12は、甲3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、取消理由3には理由がない。
第6 取消理由<決定の予告>において採用しなかった申立理由について
取消理由<決定の予告>において採用しなかった申立理由は、請求項4、8、12に対する甲1に基づく進歩性であるので、以下、検討する。
1 各甲号証の記載事項等
各甲号証の記載事項及び甲1に記載された発明は、上記第5 1(1)、(3)、(4)、(6)ないし(8)及び(2)に記載のとおりである。
2 本件発明4と甲1発明Aとの対比・判断
本件発明4と甲1発明Aとを対比すると、上記第5 2(1)の対比において述べたところを踏まえると、
「複合容器の製造方法において、
ポリエチレンテレフタレート製のプリフォームを準備する工程と、
前記プリフォームの胴部の外側および底部の少なくとも一部の外側であって予め筒状に形成されたプラスチック製部材を接着することなく装着する工程と、
前記プリフォーム、前記内側ラベル部材および前記プラスチック製部材に対してブロー成形を施すことにより、前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材を一体として膨張させ、容器本体と、前記容器本体の外側を取り囲むように接着されることなく密着して設けられ、
前記容器本体の口部以外の全域の外側に、剥離除去可能に設けられたプラスチック製部材とを有する複合容器を得る工程とを備え、
前記複合容器の前記プラスチック製部材を前記容器本体から剥離除去し、前記容器本体をリサイクル可能となっている複合容器の製造方法。」
で一致し、以下の点で相違する。
<相違点4-1>
プリフォームに関し、本件発明4は、「無色透明であり」と特定するのに対し、甲1発明Aは、この点を特定しない点。
<相違点4-2>
複合容器の用途に関し、本件発明4は、「ビール用」と特定すると共に、プラスチック製部材に関し、「プラスチック製部材は可視光色に着色されており、膨張された後の前記ビール用複合容器の前記プラスチック製部材は、波長400nm~500nmの光に対する透過率が20%以下であり」と特定するのに対し、甲1発明Aは、この点を特定しない点。
<相違点4-3>
本件発明4は、「前記プリフォームの外側に、内側ラベル部材を接着することなく装着する工程」を有し、当該内側ラベル部材を設けたことに伴い各工程において「プラスチック製部材」と「容器本体」との間に「内側ラベル部材」が存在するのに対し、甲1発明Aは、この点を特定しない点。
以下、事案に鑑み、相違点4-3について検討する。
甲1並びにいずれの証拠にも、相違点4-3に相当する内側ラベル部材について記載ないし示唆はなく、また、甲1発明Aにおいて、このような内側ラベル部材をラベルスリーブとプリフォームとの間に設ける動機もみあたらない。
なお、甲1における「更に、インフレートフィルムは、印刷の必要はなく、機能添加剤が望ましい用途に適している。例えば、着色剤又は顔料をポリマーに添加して、着色ラベルスリーブを作成できる。同様に、UV遮断コンセントレート、バリヤー層又は他の機能添加剤を、ラベルスリーブの作成に使用するポリマーに取り入れることができる。同様に、顔料添加チューブをプレフォームの周囲にフィットさせて、容器の色全体を変化させ、次いで、顔料添加チューブの上部を覆うように従来の貼り付けラベルを適用することができる。」(段落【0020】)の記載は、着色ラベルスリーブ(本件発明4の「プラスチック製部材」に相当)の上部を覆うように従来の貼り付けラベルを適用することについての記述であって、上記相違点4-3に係る内側ラベル部材に関する記載とはいえない。
してみれば、甲1発明Aにおいて、相違点4-3に係る発明特定事項を有するようにすることは、当業者といえども容易に想到し得たものとはいえない。
以上のことから、他の相違点4-1及び相違点4-2を検討するまでもなく、本件発明4は、甲1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 本件発明8と甲1発明Bとの対比・判断
本件発明8と甲1発明Bとを対比すると、上記第5 2(3)の対比において述べたところを踏まえると、
「複合容器用の複合プリフォームにおいて、
ポリエチレンテレフタレート製のプリフォームと、
筒状に形成されるとともに、前記プリフォームの胴部の外側および底部の少なくとも一部の外側を取り囲むように装着されたプラスチック製部材とを備え、
前記プラスチック製部材は、前記プリフォームの外側に接着されることなく剥離除去可能に密着されている、
複合プリフォーム。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点8-1>
ポリエチレンテレフタレート製のプリフォームに関し、本件発明8は、「無色透明であり」と特定するのに対し、甲1発明Bは、この点を特定しない点。
<相違点8-2>
複合プリフォームの用途に関し、本件発明8は、「ビール用」と特定するとともに「前記プラスチック製部材は、可視光色に着色されており」と特定するのに対し、甲1発明Bは、この点を特定しない点。
<相違点8-3>
本件発明8は、「前記プリフォームの外側を接着されることなく密着して設けられた内側ラベル部材」を有し、当該内側ラベル部材とプラスチック製部材との関係として、プラスチック製部材は、「内側ラベル部材の外側を取り囲むように装着された」及び「前記内側ラベル部材の外側に接着されることなく剥離除去可能に密着されており」と特定されているのに対し、甲1発明Bは、そのような特定はない点。
以下、事案に鑑み、相違点8-3について検討する。
相違点8-3は、上記2における相違点4-3と実質的に同じであるから、その判断は、上記2における「相違点4-3について」で示したとおりである。
以上のことから、他の相違点8-1及び相違点8-2を検討するまでもなく、本件発明8は、甲1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
4 本件発明12と甲1発明Cとの対比・判断
本件発明12と甲1発明Cとを対比すると、上記第5 2(5)の対比において述べたところを踏まえると、
「複合容器において、
ポリエチレンテレフタレート製の容器本体と、
前記容器本体の口部以外の全域の外側に、接着されることなく剥離除去可能に密着して設けられたプラスチック製部材とを備え、
前記容器本体および前記プラスチック製部材は、ブロー成形により一体として膨張されており、
前記プラスチック製部材を前記容器本体から剥離除去し、前記容器本体をリサイクル可能となっている、複合容器。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点12-3>
容器本体に関し、本件発明12は、「無色透明であり」と特定するのに対し、甲1発明Cは、この点を特定しない点。
<相違点12-4>
複合容器の用途に関し、本件発明12は、「ビール用」と特定すると共に、プラスチック製部材に関し、「可視光色に着色されており」、「波長400nm~500nmの光に対する透過率が20%以下であり」と特定するのに対し、甲1発明Cは、この点を特定しない点。
<相違点12-5>
本件発明12は、「容器本体の周方向全域の外側を取り囲むように接着されることなく密着して設けられた内側ラベル部材」を有し、当該内側ラベル部材とプラスチック製部材との関係として、プラスチック製部材は、「内側ラベル部材の外側に、接着されることなく剥離除去可能に密着して設けられた」及び「前記内側ラベル部材の外側に接着されることなく取付けられ」たとされていて、「前記内側ラベル部材を前記容器本体から剥離除去」できる旨特定されているのに対し、甲3発明は、そのような特定はない点。
以下、事案に鑑み、相違点12-5について検討する。
甲1には、相違点12-5に係る内側ラベル部材については記載も示唆もされていない。また、異議申立人の提示しているいずれの証拠にも,相違点12-5に係る内側ラベル部材についての記載はない。
よって、相違点12-5は、当業者においても容易に想到し得たものではない。
そうすると、他の相違点12-3及び相違点12-4について検討するまでもなく、本件発明12は、甲1発明Cに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
5 異議申立人の主張の検討
異議申立人は、令和2年12月4日提出の意見書において、本件発明4、8に対して、甲1の段落【0020】の記載の基づく発明からの進歩性欠如を主張するが(意見書の21頁~23頁)、請求項4及び8は、何ら訂正されていないものであって、当該主張は、異議申立書に記載されていなかった新たな取消理由に係る主張であるから採用できない。なお、進んで、当該主張についてみると、当該段落【0020】の記載に基づいても、プリフォームとプラスチック部材の間に設けられ「プリフォームの外側に」「接着することなく装着する」「内側ラベル部材」は認定できないから、結局のところ、請求人の当該主張は理由がないといえる。
本件発明12に対する主張も同様である。
第7 むすび
以上のとおりであるから、特許第6508561号の請求項1ないし3、5ないし7及び9ないし11に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、を取り消されるべきものである。
また、特許第6508561号の請求項4、8及び12に係る特許は、当審から通知した取消理由<決定の予告>及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできないし、他に本件特許の請求項4、8及び12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2019-700854