2019-700781
遊技機
- 審判番号
- 2019-700781
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-227365外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年10月01日
- 審決日
- 2020年03月30日
- 公報発行日
- 2020年07月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】重信 和男
- 【権利者代理人】溝渕 良一
- 【権利者代理人】石川 好文
- 【権利者代理人】堅田 多恵子
- 【権利者代理人】林 修身
- 【権利者代理人】大久保 岳彦
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許 株式会社
- 【異議申立人代理人】特許業務法人 武和国際特許事務所
- 分類
- P1651.55 -YAA(A63F) / P1651.537-YAA(A63F) / P1651.113-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第126条、特許法第17条の2第3項、特許法第29条第1項第3号、特許法第126条第6項、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 26項目
【目次】
第1 手続の経緯
第2 訂正請求について
1 訂正の内容
2 訂正の適否
3 まとめ
第3 本件訂正発明
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
2 甲号証について
3 当審における判断
(1)理由1(新規事項)について
(2)理由2(サポート要件)について
(3)理由3(新規性)について
4 特許異議申立人の意見について
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
第6 むすび
【本文】
第1 手続の経緯
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本件特許第6496526号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、平成26年11月7日の特許出願であって、平成31年3月15日にその特許権の設定登録がなされ、同年4月3日に特許掲載公報が発行され、令和1年10月1日にその特許に対し、特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社により特許異議の申立てがなされ、当審において同年11月20日付けで取消理由が通知され、特許権者である株式会社三共より令和2年1月17日付けで意見書及び訂正請求書が提出され、これに対して、特許異議申立人より同年3月3日付けで意見書が提出されたものである。
第2 訂正請求について
1 訂正の内容
令和2年1月17日付け訂正請求書による本件特許の訂正の内容は、次のとおりである。
(1)訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲の請求項1(以下「訂正前の請求項1」という。)の「遊技を行う遊技機であって、」の後に「複数のレジスタを用いてプログラムに基づく制御を実行するプログラム実行手段と、」を加える(下線は訂正箇所を示す。以下同様。)。
(2)訂正事項2
訂正前の請求項1に「第1制御に係る第1プログラムが記憶される第1プログラム記憶領域と、」と記載されているのを、
「遊技の進行に係わる遊技プログラムが記憶される遊技プログラム記憶領域と、」に訂正する。
(3)訂正事項3
訂正前の請求項1に「第2制御に係る第2プログラムが記憶される第2プログラム記憶領域と、」と記載されているのを、
「遊技の進行に係わらない非遊技プログラムが記憶される非遊技プログラム記憶領域と、」に訂正する。
(4)訂正事項4
訂正前の請求項1に「前記第1制御において更新及び参照され、前記第2制御において更新されない第1変動データが記憶される第1変動データ記憶領域と、」と記載されているのを、
「前記遊技プログラムに基づく制御において更新及び参照され、前記非遊技プログラムに基づく制御において更新されない遊技用変動データが記憶される遊技用変動データ記憶領域と、」に訂正する。
(5)訂正事項5
訂正前の請求項1に「前記第2制御において更新及び参照され、前記第1制御において更新されない第2変動データが記憶される第2変動データ記憶領域と、」と記載されているのを、
「前記非遊技プログラムに基づく制御において更新及び参照され、前記遊技プログラムに基づく制御において更新されない非遊技用変動データが記憶される非遊技用変動データ記憶領域と、」に訂正する。
(6)訂正事項6
訂正前の請求項1の「を備え、」の後に「前記プログラム実行手段は、
前記遊技プログラムに基づく制御を実行するとともに、前記遊技プログラムに基づく制御において前記非遊技プログラムを呼び出すことで、前記非遊技プログラムに基づく制御を実行可能であり、」を加える。
(7)訂正事項7
訂正前の請求項1の「遊技機の状態が特定状態である場合に、」の前に、「前記プログラム実行手段は、
・・・
前記遊技プログラムに基づく制御において前記非遊技プログラムを呼び出す場合に、前記レジスタの値を保護する保護処理を前記遊技プログラムにおいて実行した後、前記非遊技プログラムを呼び出して前記非遊技プログラムに基づく制御を実行し、前記非遊技プログラムに基づく制御を実行した後に、保護されていた前記レジスタの値を復帰させる復帰処理を前記遊技プログラムにおいて実行し、」を加える。
(8)訂正事項8
訂正前の請求項1に「遊技機の状態が特定状態である場合に、前記第1変動データ記憶領域に前記特定状態である旨を示す第1特定情報を記憶させるとともに、前記第2変動データ記憶領域にも前記特定状態である旨を示す第2特定情報を記憶させ、」と記載されているのを、
「遊技機の状態が特定状態である場合に、前記遊技用変動データ記憶領域に前記特定状態である旨を示す特定情報を記憶させるとともに、前記非遊技用変動データ記憶領域にも前記特定状態である旨を示す特定情報を記憶させ、」に訂正する。
(9)訂正事項9
訂正前の請求項1に「前記第1制御においては、前記第1変動データ記憶領域に記憶された前記第1特定情報に基づいて前記特定状態に応じた制御を実行し、前記第2制御においては、前記第2変動データ記憶領域に記憶された前記第2特定情報に基づいて前記特定状態に応じた制御を実行する、」と記載されているのを、
「前記遊技プログラムに基づく制御においては、前記遊技用変動データ記憶領域に記憶された前記特定状態である旨を示す特定情報に基づいて前記特定状態に応じた制御を実行し、前記非遊技プログラムに基づく制御においては、前記非遊技用変動データ記憶領域に記憶された前記特定状態である旨を示す特定情報に基づいて前記特定状態に応じた制御を実行する、」に訂正する。
(10)訂正事項10
本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)の段落【0006】に
「上記課題を解決するために、本発明の請求項1の遊技機は、遊技を行う遊技機であって、第1制御に係る第1プログラムが記憶される第1プログラム記憶領域と、第2制御に係る第2プログラムが記憶される第2プログラム記憶領域と、前記第1制御において更新及び参照され、前記第2制御において更新されない第1変動データが記憶される第1変動データ記憶領域と、前記第2制御において更新及び参照され、前記第1制御において更新されない第2変動データが記憶される第2変動データ記憶領域と、を備え、遊技機の状態が特定状態である場合に、前記第1変動データ記憶領域に前記特定状態である旨を示す第1特定情報を記憶させるとともに、前記第2変動データ記憶領域にも前記特定状態である旨を示す第2特定情報を記憶させ、前記第1制御においては、前記第1変動データ記憶領域に記憶された前記第1特定情報に基づいて前記特定状態に応じた制御を実行し、前記第2制御においては、前記第2変動データ記憶領域に記憶された前記第2特定情報に基づいて前記特定状態に応じた制御を実行することを特徴としている。・・・」
と記載されているのを、
「上記課題を解決するために、本発明の請求項1の遊技機は、遊技を行う遊技機であって、複数のレジスタを用いてプログラムに基づく制御を実行するプログラム実行手段と、遊技の進行に係わる遊技プログラムが記憶される遊技プログラム記憶領域と、続きを表示(全14行)遊技の進行に係わらない非遊技プログラムが記憶される非遊技プログラム記憶領域と、前記遊技プログラムに基づく制御において更新及び参照され、前記非遊技プログラムに基づく制御において更新されない遊技用変動データが記憶される遊技用変動データ記憶領域と、前記非遊技プログラムに基づく制御において更新及び参照され、前記遊技プログラムに基づく制御において更新されない非遊技用変動データが記憶される非遊技用変動データ記憶領域と、を備え、前記プログラム実行手段は、前記遊技プログラムに基づく制御を実行するとともに、前記遊技プログラムに基づく制御において前記非遊技プログラムを呼び出すことで、前記非遊技プログラムに基づく制御を実行可能であり、前記遊技プログラムに基づく制御において前記非遊技プログラムを呼び出す場合に、前記レジスタの値を保護する保護処理を前記遊技プログラムにおいて実行した後、前記非遊技プログラムを呼び出して前記非遊技プログラムに基づく制御を実行し、前記非遊技プログラムに基づく制御を実行した後に、保護されていた前記レジスタの値を復帰させる復帰処理を前記遊技プログラムにおいて実行し、遊技機の状態が特定状態である場合に、前記遊技用変動データ記憶領域に前記特定状態である旨を示す特定情報を記憶させるとともに、前記非遊技用変動データ記憶領域にも前記特定状態である旨を示す特定情報を記憶させ、前記遊技プログラムに基づく制御においては、前記遊技用変動データ記憶領域に記憶された前記特定状態である旨を示す特定情報に基づいて前記特定状態に応じた制御を実行し、前記非遊技プログラムに基づく制御においては、前記非遊技用変動データ記憶領域に記憶された前記特定状態である旨を示す特定情報に基づいて前記特定状態に応じた制御を実行することを特徴としている。・・・」
に訂正する。
2 訂正の適否
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1に「複数のレジスタを用いてプログラムに基づく制御を実行するプログラム実行手段と、」という発明特定事項を加えて「遊技機」を限定することで、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、構成要件の削除ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1は、本件特許明細書の段落【0006】の「前記遊技プログラム及び前記非遊技プログラムを実行するプログラム実行手段(CPU41a)と、」との記載、段落【0059】の「CPU41aは、ROM41bから読み出した制御コードに基づいてユーザプログラム(ゲーム制御用の遊技制御処理プログラム)を実行することにより、スロットマシン1における遊技制御を実行する制御用CPUである。」との記載、段落【0217】の「CPU41aは、図9に示すように、遊技プログラムに基づく処理から非遊技プログラムを呼び出した場合に、非遊技プログラムの最初に、CPU41aが演算に用いる演算用のレジスタ(A、F、BC、DE、HLレジスタ、以下では、演算用のレジスタを単にレジスタと称す)の値を全てスタック領域に退避し、遊技プログラムが使用していたデータを保護する。そして、非遊技プログラムに基づく処理が全て終了した後、スタック領域に退避していた値をレジスタに復帰し、その後、遊技プログラムに基づく処理に復帰するようになっている。」との記載等に基づくものである。
したがって、訂正事項1は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項1は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
本件特許の課題は、本件特許明細書の段落【0002】-【0005】の記載によれば、「一の記憶領域において遊技の進行に係わるプログラムと、遊技の進行とは直接係わらないプログラムと、が混在していると、どのプログラムが遊技の進行に係わるプログラムであるか、の判別が困難であること」と認められるところ、訂正事項2は、上記課題に対応しない技術事項も包含する訂正前の請求項1の「第1制御に係る第1プログラム」、「第1プログラム記憶領域」を、それぞれ、上記課題に対応する「遊技の進行に係わる遊技プログラム」、「遊技プログラム記憶領域」に限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、構成要件の削除ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、本件特許明細書の段落【0006】の「遊技の進行に係わる遊技プログラム(遊技プログラム)が記憶される遊技プログラム記憶領域(遊技プログラム領域)と、」との記載、段落【0197】の「さらにROM領域は、遊技の進行に係わる遊技プログラムが記憶される遊技プログラム領域と、・・・を含む。」との記載等に基づくものである。
したがって、訂正事項2は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項2は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、上記(2)で説示した課題に対応しない技術事項も包含する訂正前の請求項1の「第2制御に係る第2プログラム」、「第2プログラム記憶領域」を、それぞれ、上記(2)で説示した課題に対応する「遊技の進行に係わらない非遊技プログラム」、「非遊技プログラム記憶領域」に限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項3は、構成要件の削除ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3は、本件特許明細書の段落【0006】の「遊技の進行に係わらない非遊技プログラム(非遊技プログラム)が記憶される非遊技プログラム記憶領域(非遊技プログラム領域)と、」との記載、段落【0197】の「さらにROM領域は、・・・遊技の進行に係わらない非遊技プログラムが記憶される非遊技プログラム領域と、・・・を含む。」との記載等に基づくものである。
したがって、訂正事項3は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項3は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(4)訂正事項4
ア 訂正の目的について
訂正事項4は、上記(2)で説示した課題に対応しない技術事項も包含する訂正前の請求項1の「前記第1制御」、「前記第2制御」、「第1変動データ」及び「第1変動データ記憶領域」を、それぞれ、上記(2)で説示した課題に対応する「前記遊技プログラムに基づく制御」、「前記非遊技プログラムに基づく制御」、「遊技用変動データ」及び「遊技用変動データ記憶領域」に限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項4は、構成要件の削除ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4は、本件特許明細書の段落【0006】の「前記遊技プログラムが参照する遊技用変動データ(遊技プログラムのワークデータ)が読み出し及び書き込み可能に記憶される遊技用変動データ記憶領域(遊技RAM領域)と、」との記載、段落【0200】の「RAM領域は、遊技プログラムがワークとして用いる遊技RAM領域と、・・・非遊技プログラムがワークとして用いる非遊技RAM領域と、・・・を含む。」との記載、段落【0220】の「CPU41aは、原則として遊技プログラムに基づく処理を実行するにあたり、遊技データ領域の遊技データを参照して遊技プログラムに基づく処理を実行するとともに、遊技RAM領域をワークとして使用し、遊技RAM領域の内容を参照及び更新することが可能である。また、CPU41aは、原則として非遊技プログラムに基づく処理を実行するにあたり、非遊技データ領域の遊技データを参照して非遊技プログラムに基づく処理を実行するとともに、非遊技RAM領域をワークとして使用し、非遊技RAM領域の内容を参照及び更新することが可能である。」との記載、段落【0221】の「CPU41aは、遊技プログラムに基づく処理を実行するにあたり、非遊技データ領域を参照することはなく、非遊技RAM領域を更新することはないが、非遊技RAM領域を参照することは可能であり、非遊技プログラムに基づく処理を実行するにあたり、遊技データ領域を参照することはなく、遊技RAM領域を更新することはないが、遊技RAM領域を参照することは可能である。」との記載等に基づくものである。
したがって、訂正事項4は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項4は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(5)訂正事項5
ア 訂正の目的について
訂正事項5は、上記(2)で説示した課題に対応しない技術事項も包含する訂正前の請求項1の「前記第2制御」、「前記第1制御」、「第2変動データ」及び「第2変動データ記憶領域」を、それぞれ、上記(2)で説示した課題に対応する「前記非遊技プログラムに基づく制御」、「前記遊技プログラムに基づく制御」、「非遊技用変動データ」及び「非遊技用変動データ記憶領域」に限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項5は、構成要件の削除ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項5は、本件特許明細書の段落【0006】の「前記非遊技プログラムが参照する非遊技用変動データ(非遊技プログラムのワークデータ)が読み出し及び書き込み可能に記憶される非遊技用変動データ記憶領域(非遊技RAM領域)と、」との記載、段落【0200】の「RAM領域は、遊技プログラムがワークとして用いる遊技RAM領域と、・・・非遊技プログラムがワークとして用いる非遊技RAM領域と、・・・を含む。」との記載、段落【0220】の「CPU41aは、原則として遊技プログラムに基づく処理を実行するにあたり、遊技データ領域の遊技データを参照して遊技プログラムに基づく処理を実行するとともに、遊技RAM領域をワークとして使用し、遊技RAM領域の内容を参照及び更新することが可能である。また、CPU41aは、原則として非遊技プログラムに基づく処理を実行するにあたり、非遊技データ領域の遊技データを参照して非遊技プログラムに基づく処理を実行するとともに、非遊技RAM領域をワークとして使用し、非遊技RAM領域の内容を参照及び更新することが可能である。」との記載、段落【0221】の「CPU41aは、遊技プログラムに基づく処理を実行するにあたり、非遊技データ領域を参照することはなく、非遊技RAM領域を更新することはないが、非遊技RAM領域を参照することは可能であり、非遊技プログラムに基づく処理を実行するにあたり、遊技データ領域を参照することはなく、遊技RAM領域を更新することはないが、遊技RAM領域を参照することは可能である。」との記載等に基づくものである。
したがって、訂正事項5は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項5は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(6)訂正事項6
ア 訂正の目的について
訂正事項6は、特許請求の範囲の請求項1に「前記プログラム実行手段は、
前記遊技プログラムに基づく制御を実行するとともに、前記遊技プログラムに基づく制御において前記非遊技プログラムを呼び出すことで、前記非遊技プログラムに基づく制御を実行可能であり、」という発明特定事項を加えて「遊技機」を限定することで、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項6は、構成要件の削除ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6は、本件特許明細書の段落【0216】の「本実施例においてメイン制御部41のCPU41aは、図8に示すように、遊技プログラムに基づく処理において非遊技プログラムを呼び出して非遊技プログラムに基づく処理を実行し、非遊技プログラムに基づく処理の終了後、遊技プログラムに基づく処理に復帰する。」との記載、段落【0217】の「CPU41aは、図9に示すように、遊技プログラムに基づく処理から非遊技プログラムを呼び出した場合・・・」との記載等に基づくものである。
したがって、訂正事項6は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項6は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(7)訂正事項7
ア 訂正の目的について
訂正事項7は、訂正事項1により特許請求の範囲の請求項1に加えられた「プログラム実行手段」は、「前記遊技プログラムに基づく制御において前記非遊技プログラムを呼び出す場合に、前記レジスタの値を保護する保護処理を前記遊技プログラムにおいて実行した後、前記非遊技プログラムを呼び出して前記非遊技プログラムに基づく制御を実行し、前記非遊技プログラムに基づく制御を実行した後に、保護されていた前記レジスタの値を復帰させる復帰処理を前記遊技プログラムにおいて実行し、」という発明特定事項を加えて「遊技機」を限定することで、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項7は、構成要件の削除ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項7は、本件特許明細書の段落【0237】の「尚、遊技プログラムに基づく処理から非遊技プログラムを呼び出す直前に遊技プログラムが使用していたレジスタの値を保護し、非遊技プログラムに基づく処理が全て終了した後に、遊技プログラムに復帰した最初の段階で保護されているレジスタの値を復帰させる構成としても良く、このような構成とすることで、非遊技プログラムの呼び出し前にレジスタの保護処理が行われ、非遊技プログラムからの復帰後にレジスタの復旧処理が行われるため、非遊技プログラムによってレジスタに記憶されたデータが遊技プログラムに影響を及ぼすことがない。」との記載、段落【0274】の「CPU41aは、図13に示すように、遊技プログラムに基づく処理から非遊技プログラムを呼び出す場合に、まず、レジスタの値を全てスタック領域に退避し、遊技プログラムが使用していたデータを保護する。・・・非遊技プログラムに基づく処理が全て終了した後、遊技プログラムに基づく処理に復帰し、スタック領域に退避していた値をレジスタに復帰し、遊技プログラムに基づく処理を再開するようになっている。」との記載等に基づくものである。
したがって、訂正事項7は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項7は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(8)訂正事項8
ア 訂正の目的について
訂正事項8は、上記(2)で説示した課題に対応しない技術事項も包含する訂正前の請求項1の「前記第1変動データ記憶領域」、「前記第2変動データ記憶領域」を、それぞれ、上記(2)で説示した課題に対応する「前記遊技用変動データ記憶領域」、「前記非遊技用変動データ記憶領域」に限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであり、また、訂正前の請求項1の「第1特定情報」と「第2特定情報」の意味は、令和1年11月20日付け取消理由通知書の「第2 ●理由1(3)」で説示したとおり、(a)「第1特定情報」と「第2特定情報」の内容が異なるもの、(b)「第1特定情報」と「第2特定情報」の内容は同じであるが別個の記憶領域に記憶されるため、単に名称を変えて区別したもの、が存在すると解釈されるところ、訂正事項8は、訂正前の請求項1の「前記特定状態である旨を示す第1特定情報」と「前記特定状態である旨を示す第2特定情報」を、上記(b)の意味に対応するように、ともに、「前記特定状態である旨を示す特定情報」に限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項8は、構成要件の削除ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項8のうち、訂正前の請求項1の「前記第1変動データ記憶領域」、「前記第2変動データ記憶領域」を、それぞれ、「前記遊技用変動データ記憶領域」、「前記非遊技用変動データ記憶領域」に限定する訂正は、上記「(4)ウ、(5)ウ」にて説示したとおり、本件特許明細書の段落【0200】の「RAM領域は、遊技プログラムがワークとして用いる遊技RAM領域と、・・・非遊技プログラムがワークとして用いる非遊技RAM領域と、・・・を含む。」との記載、段落【0220】の「CPU41aは、原則として遊技プログラムに基づく処理を実行するにあたり、遊技データ領域の遊技データを参照して遊技プログラムに基づく処理を実行するとともに、遊技RAM領域をワークとして使用し、遊技RAM領域の内容を参照及び更新することが可能である。また、CPU41aは、原則として非遊技プログラムに基づく処理を実行するにあたり、非遊技データ領域の遊技データを参照して非遊技プログラムに基づく処理を実行するとともに、非遊技RAM領域をワークとして使用し、非遊技RAM領域の内容を参照及び更新することが可能である。」との記載、段落【0221】の「CPU41aは、遊技プログラムに基づく処理を実行するにあたり、非遊技データ領域を参照することはなく、非遊技RAM領域を更新することはないが、非遊技RAM領域を参照することは可能であり、非遊技プログラムに基づく処理を実行するにあたり、遊技データ領域を参照することはなく、遊技RAM領域を更新することはないが、遊技RAM領域を参照することは可能である。」との記載等に基づくものである。
また、訂正事項8のうち、訂正前の請求項1の「第1特定情報」と「第2特定情報」を、ともに、「前記特定状態である旨を示す特定情報」に限定する訂正は、本件特許明細書の段落【0006】の「遊技状態が特定状態である場合に、前記遊技用変動データ記憶領域(遊技RAM領域)に前記特定状態であることを示す情報(内部当選フラグの設定内容、遊技状態の種類、RTの種類等)を記憶させるとともに、前記非遊技用変動データ記憶領域(非遊技RAM領域)にも前記特定状態であることを示す情報(内部当選フラグの設定内容、遊技状態の種類、RTの種類等)を記憶させる」との記載、、段落【0278】の「また、遊技プログラムを実行する際に、非遊技RAM領域を参照せず、非遊技プログラムを実行する際に、遊技RAM領域を参照しない構成であっても、遊技状態が特定状態である場合に、遊技RAM領域に特定状態であることを示す情報(内部当選フラグの設定内容、遊技状態の種類、RTの種類等のデータ)を記憶させるとともに、非遊技RAM領域にも特定状態であることを示す情報(内部当選フラグの設定内容、遊技状態の種類、RTの種類等のデータ)を記憶させるようになっており、遊技プログラム及び非遊技プログラムの双方にて遊技状態が特定状態であることを特定し、それぞれ特定状態に応じた制御を行わせることができる。」との記載等に基づくものである。
したがって、訂正事項8は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項8は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(9)訂正事項9
ア 訂正の目的について
訂正事項9は、上記(2)で説示した課題に対応しない技術事項も包含する訂正前の請求項1の「前記第1制御」、「前記第1変動データ記憶領域」、「前記第2制御」及び「前記第2変動データ記憶領域」を、それぞれ、上記(2)で説示した課題に対応する「前記遊技プログラムに基づく制御」、「前記遊技用変動データ記憶領域」、「前記非遊技プログラムに基づく制御」及び「前記非遊技用変動データ記憶領域」に限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであり、また、訂正前の請求項1の「前記第1特定情報」と「前記第2特定情報」を、上記(8)アで説示した(b)の意味に対応するように、ともに、「前記特定状態である旨を示す特定情報」に限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項9は、構成要件の削除ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項9のうち、訂正前の請求項1の「前記第1制御」、「前記第1変動データ記憶領域」、「前記第2制御」及び「前記第2変動データ記憶領域」を、それぞれ、「前記遊技プログラムに基づく制御」、「前記遊技用変動データ記憶領域」、「前記非遊技プログラムに基づく制御」及び「前記非遊技用変動データ記憶領域」に限定する訂正は、上記「(4)ウ、(5)ウ」にて説示したとおり、上記「(4)ウ、(5)ウ」にて説示したとおり、本件特許明細書の段落【0200】の「RAM領域は、遊技プログラムがワークとして用いる遊技RAM領域と、・・・非遊技プログラムがワークとして用いる非遊技RAM領域と、・・・を含む。」との記載、段落【0220】の「CPU41aは、原則として遊技プログラムに基づく処理を実行するにあたり、遊技データ領域の遊技データを参照して遊技プログラムに基づく処理を実行するとともに、遊技RAM領域をワークとして使用し、遊技RAM領域の内容を参照及び更新することが可能である。また、CPU41aは、原則として非遊技プログラムに基づく処理を実行するにあたり、非遊技データ領域の遊技データを参照して非遊技プログラムに基づく処理を実行するとともに、非遊技RAM領域をワークとして使用し、非遊技RAM領域の内容を参照及び更新することが可能である。」との記載、段落【0221】の「CPU41aは、遊技プログラムに基づく処理を実行するにあたり、非遊技データ領域を参照することはなく、非遊技RAM領域を更新することはないが、非遊技RAM領域を参照することは可能であり、非遊技プログラムに基づく処理を実行するにあたり、遊技データ領域を参照することはなく、遊技RAM領域を更新することはないが、遊技RAM領域を参照することは可能である。」との記載等に基づくものである。
また、訂正事項9のうち、訂正前の請求項1の「第1特定情報」と「第2特定情報」を、ともに、「前記特定状態である旨を示す特定情報」に限定する訂正は、上記「(8)ウ」にて説示したとおり、本件特許明細書の段落【0006】の「遊技状態が特定状態である場合に、前記遊技用変動データ記憶領域(遊技RAM領域)に前記特定状態であることを示す情報(内部当選フラグの設定内容、遊技状態の種類、RTの種類等)を記憶させるとともに、前記非遊技用変動データ記憶領域(非遊技RAM領域)にも前記特定状態であることを示す情報(内部当選フラグの設定内容、遊技状態の種類、RTの種類等)を記憶させる」との記載、、段落【0278】の「また、遊技プログラムを実行する際に、非遊技RAM領域を参照せず、非遊技プログラムを実行する際に、遊技RAM領域を参照しない構成であっても、遊技状態が特定状態である場合に、遊技RAM領域に特定状態であることを示す情報(内部当選フラグの設定内容、遊技状態の種類、RTの種類等のデータ)を記憶させるとともに、非遊技RAM領域にも特定状態であることを示す情報(内部当選フラグの設定内容、遊技状態の種類、RTの種類等のデータ)を記憶させるようになっており、遊技プログラム及び非遊技プログラムの双方にて遊技状態が特定状態であることを特定し、それぞれ特定状態に応じた制御を行わせることができる。」との記載等に基づくものである。
したがって、訂正事項9は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項9は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(10)訂正事項10
ア 訂正の目的について
訂正事項10は、訂正事項1~9により、本件特許明細書の段落【0006】の記載が特許請求の範囲の記載と整合が取れなくなったことを是正するものであるから、訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アのとおり、訂正事項10は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、実施例の追加ではなく、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項10は、本件特許明細書の段落【0006】の記載を、特許請求の範囲の記載と整合を取るためのものであるから、訂正事項1~9それぞれのウで説明したとおり、訂正事項10は、本件特許明細書中の発明の詳細な説明に基づいて導き出される構成である。
よって、訂正事項10は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(11)小括
訂正事項1~9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5~6項の規定に適合するものである。
また、訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5~6項の規定に適合するものである。
3 まとめ
上記1、2において検討したとおりであるから、本件特許明細書及び特許請求の範囲についての訂正を認める。
第3 本件訂正発明
訂正前の請求項1に係る発明は、その請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(当審にて請求項1をA~Gに分説した)。
「【請求項1】A 遊技を行う遊技機であって、B 第1制御に係る第1プログラムが記憶される第1プログラム記憶領域と、C 第2制御に係る第2プログラムが記憶される第2プログラム記憶領域と、D 前記第1制御において更新及び参照され、前記第2制御において更新されない第1変動データが記憶される第1変動データ記憶領域と、E 前記第2制御において更新及び参照され、前記第1制御において更新されない第2変動データが記憶される第2変動データ記憶領域と、を備え、F 遊技機の状態が特定状態である場合に、前記第1変動データ記憶領域に前記特定状態である旨を示す第1特定情報を記憶させるとともに、前記第2変動データ記憶領域にも前記特定状態である旨を示す第2特定情報を記憶させ、G 前記第1制御においては、前記第1変動データ記憶領域に記憶された前記第1特定情報に基づいて前記特定状態に応じた制御を実行し、前記第2制御においては、前記第2変動データ記憶領域に記憶された前記第2特定情報に基づいて前記特定状態に応じた制御を実行する、遊技機。」
そして、本件特許の訂正後の請求項1に係る発明(以下「本件訂正発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(当審にて請求項1をA、H、B1~E1、I、F1、G1に分説した。なお、B1~G1は、訂正前の請求項1に係る発明の構成B~Gに対応し、構成H、Iは、本件訂正により付加されたものであり、下線は、訂正された箇所を示す)。
(本件訂正発明)
「【請求項1】A 遊技を行う遊技機であって、H 複数のレジスタを用いてプログラムに基づく制御を実行するプログラム実行手段と、B1 遊技の進行に係わる遊技プログラムが記憶される遊技プログラム記憶領域と、続きを表示(全13行)C1 遊技の進行に係わらない非遊技プログラムが記憶される非遊技プログラム記憶領域と、D1 前記遊技プログラムに基づく制御において更新及び参照され、前記非遊技プログラムに基づく制御において更新されない遊技用変動データが記憶される遊技用変動データ記憶領域と、E1 前記非遊技プログラムに基づく制御において更新及び参照され、前記遊技プログラムに基づく制御において更新されない非遊技用変動データが記憶される非遊技用変動データ記憶領域と、を備え、I 前記プログラム実行手段は、前記遊技プログラムに基づく制御を実行するとともに、前記遊技プログラムに基づく制御において前記非遊技プログラムを呼び出すことで、前記非遊技プログラムに基づく制御を実行可能であり、前記遊技プログラムに基づく制御において前記非遊技プログラムを呼び出す場合に、前記レジスタの値を保護する保護処理を前記遊技プログラムにおいて実行した後、前記非遊技プログラムを呼び出して前記非遊技プログラムに基づく制御を実行し、前記非遊技プログラムに基づく制御を実行した後に、保護されていた前記レジスタの値を復帰させる復帰処理を前記遊技プログラムにおいて実行し、F1 遊技機の状態が特定状態である場合に、前記遊技用変動データ記憶領域に前記特定状態である旨を示す特定情報を記憶させるとともに、前記非遊技用変動データ記憶領域にも前記特定状態である旨を示す特定情報を記憶させ、G1 前記遊技プログラムに基づく制御においては、前記遊技用変動データ記憶領域に記憶された前記特定状態である旨を示す特定情報に基づいて前記特定状態に応じた制御を実行し、前記非遊技プログラムに基づく制御においては、前記非遊技用変動データ記憶領域に記憶された前記特定状態である旨を示す特定情報に基づいて前記特定状態に応じた制御を実行する、遊技機。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
当審において令和1年11月20日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は次の(1)~(3)のとおりである。
(1)理由1.(新規事項)平成30年4月25日付け手続補正書でした補正、及び同年10月10日付け手続補正書でした補正が、訂正前の請求項1に係る発明の構成B~Gについて、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願についてされたものである。
(2)理由2.(サポート要件)訂正前の請求項1に係る発明構成B~Gは本件特許明細書に記載されておらず、本件特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願についてされたものである。
(3)理由3.(新規性)訂正前の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物(甲第1号証)に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
<証拠方法>
2 甲号証について
甲第1号証には、次の事項が記載されている(下線は当審にて付した)。
(1)「【0050】次に、パチスロ10の電気的構成を図3にしたがって説明する。パチスロ10の機裏側には、遊技機全体を制御する主制御基板40が装着されている。主制御基板40は、遊技機全体を制御するための各種処理を実行し、該処理結果に応じて各種の制御信号(制御コマンド)を演算処理し、該制御信号を出力する。また、機裏側には、遊技状態に応じた演出制御等を実行するサブ制御基板41が装着されている。サブ制御基板41は、主制御基板40が出力した各種の制御信号を入力し、該制御信号に基づき所定の制御を実行する。【0051】以下、主制御基板40について説明する。主制御基板40は、制御動作を所定の手順で実行する主制御用CPU40aと、主制御用CPU40aの制御プログラムを格納する主制御用ROM40bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる主制御用RAM40cが設けられている。そして、主制御用CPU40aには、ドラムユニット13を構成する各リール(左リール13L、中リール13C、及び右リール13R)、リールセンサSE1~SE3、メダルセンサSE4が接続されている。また、主制御用CPU40aには、各種情報表示部17が接続されている。また、主制御用CPU40aには、BETボタン19と、MAXBETボタン20と、精算スイッチ21と、スタートレバー22と、各ストップボタン23L,23C,23Rと、ホッパー26とが接続されている。」
(2)「【0055】次に、主制御用ROM40bに記憶される当選役決定テーブルT1,T2,T3について、図4に基づき説明する。主制御用ROM40bには、抽選対象となる当選役の種類と、抽選対象となる各当選役の当選確率(抽選対象となる各当選役に振分けられる乱数値(乱数の値の範囲に基づく個数))を遊技状態毎にテーブル化したものが記憶されている。そして、各当選役決定テーブルは、遊技状態に応じて主制御用CPU40aにより用いられる。一般遊技において、低確RT遊技に当選役決定テーブルT1が、高確RT遊技に当選役決定テーブルT2が、BN遊技に当選役決定テーブルT3がそれぞれ対応付けられている。」
(3)「【0065】以下、主制御用CPU40aがメイン制御プログラムに基づき実行する変動ゲームに係る処理について説明する。主制御用CPU40aは、各種操作信号を入力すると、各種操作信号に定める所定の制御を実行する。そして、主制御用CPU40aは、各種操作信号の入力や各種制御により、各種情報表示部17の表示制御をその都度実行する。また、主制御用CPU40aは、賞態様の入賞に基づいて賞メダルを払い出す場合、クレジット上限枚数(本実施形態では、「50(枚)」)を超えるとき、駆動信号をホッパー26に出力して、駆動信号を1回出力する毎に賞メダルを1枚払い出させるように制御する。なお、主制御用CPU40aは、クレジットの清算時、駆動信号をホッパー26に出力して、クレジット分のメダルを遊技者に払い出させるように制御する。」
(4)「【0067】続いて、主制御用CPU40aは、ゲーム開始可能な状態において、スタートレバー22の操作信号を入力すると、役抽選(内部抽選)を行う。そして、主制御用CPU40aは、主制御用RAM40cから当選役決定乱数の値を取得し、該値が主制御用ROM40bに記憶されている当選役決定テーブルの各当選役の値の範囲に属しているか否かを判定する役抽選を行う。役抽選において、主制御用CPU40aは、遊技状態に応じた当選役決定テーブルを用いて当選とする当選役を決定する。なお、主制御用CPU40aは、遊技状態を示す状態情報(フラグなど)を主制御用RAM40cに設定して遊技状態を把握している。本実施形態では、このようにして役抽選を行う主制御用CPU40aが当選役決定手段として機能する。」
(5)上記(1)~(4)の記載事項から、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。a、h、b1~e1、i、f1、g1は、本件訂正発明の分説(A、H、B1~E1、I、F1、G1)に対応させて、当審にて付与した。)が開示されていると認められる。
「a パチスロ10であって(【0050】)、h メイン制御プログラムに基づき処理を実行する主制御用CPU40aと(【0065】)、b1、c1 遊技機全体を制御する主制御基板40に設けられた主制御用CPU40aの制御プログラムを格納する主制御用ROM40b(【0050】、【0051】)、を備え、d1、e1 主制御用CPU40aは、遊技状態を示す状態情報(フラグなど)を主制御用RAM40cに設定して遊技状態を把握し(【0067】)、i 主制御用CPU40aは、メイン制御プログラムに基づき処理を実行し(【0065】)、f1 遊技状態には低確RT遊技と高確RT遊技とBN遊技とがあり(【0055】)、主制御用CPU40aは、遊技状態を示す状態情報(フラグなど)を主制御用RAM40cに設定し(【0067】)、g1 主制御用CPU40aは、主制御用RAM40cに設定した遊技状態を示す状態情報(フラグなど)により遊技状態を把握して遊技機全体を制御する(【0050】、【0067】)、パチスロ10。(【0050】)」
3 当審における判断
(1)理由1(新規事項)について
取消理由1は、本件特許の課題は、「一の記憶領域において遊技の進行に係わるプログラムと、遊技の進行とは直接係わらないプログラムと、が混在していると、どのプログラムが遊技の進行に係わるプログラムであるか、の判別が困難であること」と認められるところ、平成30年4月25日付け手続補正書でした補正により、補正前の「遊技の進行に係わるプログラム」、「遊技の進行に係わらない非遊技プログラム」が、それぞれ、訂正前の請求項1に係る発明の構成B、Cの発明特定事項である「第1制御に係る第1プログラム」、「第2制御に係る第2プログラム」に変更され、当該「第1制御に係る第1プログラム」及び「第2制御に係る第2プログラム」は、上記課題に対応しない任意のプログラムの組み合わせも包含されるようになったため、平成30年4月25日付け手続補正書でした、「遊技の進行に係わるプログラム」、「遊技の進行に係わらない非遊技プログラム」を、それぞれ、「第1制御に係る第1プログラム」、「第2制御に係る第2プログラム」に変更する補正、及び当該補正に関連して、「遊技プログラム記憶領域」を「第1プログラム記憶領域」に変更する補正、「非遊技プログラム記憶領域」を「第2プログラム記憶領域」に変更する補正、「遊技用変動データ記憶領域」を「第1変動データ記憶領域」に変更する補正、「非遊技用変動データ記憶領域」を「第2変動データ記憶領域」に変更する補正は、新規事項を追加するものであるというものであった。
また、平成30年10月10日付け手続補正書でした補正により、補正前の「第1変動データ記憶領域に」「記憶させる」「特定状態である旨を示す情報」、「第2変動データ記憶領域にも」「記憶させる」「特定状態である旨を示す情報」が、それぞれ、訂正前の請求項1に係る発明の構成F、Gの発明特定事項である「第1特定情報」、「第2特定情報」である旨の特定がなされ、当該「第1特定情報」及び「第2特定情報」の意味は、(a)「第1特定情報」と「第2特定情報」の内容が異なるもの、(b)「第1特定情報」と「第2特定情報」の内容は同じであるが別個の記憶領域に記憶されるため、単に名称を変えて区別したもの、が存在すると解釈されるが、当初明細書等の記載から、当該「第1特定情報」及び「第2特定情報」が意味するところは、上記(b)のみであると認められるから、上記(a)の解釈も包含する、「特定情報」を「第1特定情報」及び「第2特定情報」に特定する補正は、新規事項を追加するものであるというものであった。
しかしながら、上記「第2 1(2)~(5)」にて説示のとおり、訂正前の請求項1に係る発明の「第1制御に係る第1プログラム」、「第2制御に係る第2プログラム」、「第1プログラム記憶領域」、「第2プログラム記憶領域」、「第1変動データ記憶領域」及び「第2変動データ記憶領域」は、それぞれ、本件訂正発明の「遊技の進行に係わる遊技プログラム」、「遊技の進行に係わらない非遊技プログラム」、「遊技プログラム記憶領域」、「非遊技プログラム記憶領域」、「遊技用変動データ記憶領域」及び「非遊技用変動データ記憶領域」に訂正され、また、上記「第2 1(8)、(9)」にて説示のとおり、訂正前の請求項1に係る発明の「第1特定情報」及び「第2特定情報」は、ともに、本件訂正発明の「特定情報」に訂正され、上記「第2 2(2)ウ、(3)ウ、(4)ウ、(5)ウ、(8)ウ、(9)ウ」にて説示のとおり、本件訂正発明の当該構成は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されているものである。
そして、本件特許明細書における段落【0006】以外の各段落及び本件特許の願書に添付した図面の記載内容は、本件特許の願書に最初に添付した明細書の段落【0006】以外の各段落および願書に最初に添付した図面の記載内容と同じであり、また、本件特許明細書における段落【0006】において、訂正の根拠とした記載内容は、本件特許の願書に最初に添付した明細書における段落【0006】にも同様に記載されている。
そうすると、本件訂正発明は、本件特許の願書に最初に添付した明細書又は図面においても記載されたものといえる。
したがって、本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではない。
(2)理由2(サポート要件)について
取消理由2は、訂正前の請求項1に係る発明の構成B~Gにおける「第1制御に係る第1プログラム」及び「第2制御に係る第2プログラム」は、上記(1)で説示したとおり、本件特許の課題に対応しない任意のプログラムの組み合わせを包含するが、当該任意のプログラムの組み合わせ、及び当該プログラムに関連する「第1プログラム記憶領域」、「第2プログラム記憶領域」、「第1変動データ記憶領域」、「第2変動データ記憶領域」については、当初明細書等に記載も示唆もされていない上に、当初明細書等の記載から当業者にとって自明であるともいえないというもの、また、訂正前の請求項1に係る発明の構成F、Gにおける「第1特定情報」及び「第2特定情報」について、「第1特定情報」と「第2特定情報」の内容が異なるものについては、当初明細書等に記載も示唆もされていない上に、当初明細書等の記載から当業者にとって自明であるともいえないというものであった。
しかしながら、上記(1)で説示したとおり、訂正前の請求項1に係る発明の「第1制御に係る第1プログラム」、「第2制御に係る第2プログラム」、「第1プログラム記憶領域」、「第2プログラム記憶領域」、「第1変動データ記憶領域」及び「第2変動データ記憶領域」は、それぞれ、本件訂正発明の「遊技の進行に係わる遊技プログラム」、「遊技プログラム記憶領域」、「遊技用変動データ記憶領域」、「非遊技プログラム記憶領域」、「遊技用変動データ記憶領域」及び「非遊技用変動データ記憶領域」に訂正され、また、訂正前の請求項1に係る発明の「第1特定情報」、「第2特定情報」は、ともに、本件訂正発明の「特定情報」に訂正され、本件訂正発明の当該構成については、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものとなっているとともに、上記「第2 2(2)ウ、(3)ウ、(4)ウ、(5)ウ、(8)ウ、(9)ウ」で説示したとおり、本件特許明細書に記載した事項の範囲内のものである。
そうすると、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている。
したがって、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではない。
(3)理由3(新規性)について
取消理由3は、訂正前の請求項1に係る発明は、甲1発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当する、というものであった。
ア 対比
本件訂正発明と甲1発明とを対比する。なお、以下の見出し(a)、(h)、(b1)~(e1)、(i)、(f1)、(g1)は、本件訂正発明のA、H、B1~E1、I、F1、G1に対応させている。
(a)甲1発明の構成aにおける「パチスロ10」は、本件訂正発明の構成Aの「遊技機」に相当する。
してみると、甲1発明の構成aは、本件訂正発明の構成Aに相当する。
(h)甲1発明の構成hにおける「メイン制御プログラムに基づき処理を実行する」こと、「主制御用CPU40a」は、それぞれ、本件訂正発明の構成Hの「プログラムに基づく制御を実行する」こと、「プログラム実行手段」に相当する。
してみると、甲1発明の構成hは、本件訂正発明の構成Hと、「プログラムに基づく制御を実行するプログラム実行手段」である点で共通する。
(b1)、(c1)甲1発明の構成b1、c1において、「主制御基板40」は「遊技機全体を制御する」ということは、「主制御基板40」は遊技の進行に係わる制御、及び遊技の進行に係わらない制御を実行するものといえるから、甲1発明の構成b1、c1における「主制御基板40に設けられた主制御用CPU40aの制御プログラム」、「主制御用ROM40b」は、それぞれ、本件訂正発明の構成B1の「遊技の進行に係わる遊技プログラム」と本件訂正発明の構成C1の「遊技の進行に係わらない非遊技プログラム」、本件訂正発明の構成B1、C1の「プログラム記憶領域」に相当する。
してみると、甲1発明の構成b1、c1は、本件訂正発明の構成B1、C1と、「遊技の進行に係わる遊技プログラム」と「遊技の進行に係わらない非遊技プログラム」が「記憶される」「プログラム記憶領域」を備える点で共通する。
(d1)、(e1)甲1発明の構成d1、e1における「主制御用CPU40aは、遊技状態を示す状態情報(フラグなど)を主制御用RAM40cに設定」することは、本件訂正発明の構成D1の「前記遊技プログラムに基づく制御において更新」「され」る「変動データ」を「変動データ記憶領域」に「記憶」することと、本件訂正発明の構成E1の「前記非遊技プログラムに基づく制御において更新」「され」る「変動データ」を「変動データ記憶領域」に「記憶」することに相当する。
また、甲1発明の構成d1、e1において、「主制御用CPU40aは」「遊技状態を把握」するにあたり「遊技状態を示す状態情報(フラグなど)」を参照することは自明であるから、甲1発明の構成d1、e1は、本件訂正発明の構成D1における「前記遊技プログラムに基づく制御において」「変動データ」を「参照」する構成と、本件訂正発明の構成E1における「前記非遊技プログラムに基づく制御において」「変動データ」を「参照」する構成を備えるものといえる。
してみると、甲1発明の構成d1、e1は、本件訂正発明の構成D1、E1と、「前記遊技プログラムに基づく制御において更新及び参照され」る「変動データ」と、「前記非遊技プログラムに基づく制御において更新及び参照され」る「変動データが記憶される」「変動データ記憶領域」を備える点で共通する。
(i)甲1発明の構成iは、本件訂正発明の構成Iと、「前記プログラム実行手段は、前記遊技プログラムに基づく制御を実行するとともに、」「前記非遊技プログラムに基づく制御を実行可能であ」る点で共通する。
(f1)甲1発明の構成f1において、「低確RT遊技」、「高確RT遊技」、「BN遊技」のいずれかの遊技が行われていれば、そのときの遊技状態は「特定状態」であるといえるから、甲1発明の構成f1において、「低確RT遊技と高確RT遊技とBN遊技」のいずれかの遊技が行われているときに「遊技状態を示す状態情報(フラグなど)を主制御用RAM40cに設定」することは、本件訂正発明の構成F1における「遊技機の状態が特定状態である場合に、」「前記」「変動データ記憶領域に」「前記特定状態である旨を示す特定情報を記憶させ」ることに相当する。
してみると、甲1発明の構成f1は、本件訂正発明の構成F1と、「遊技機の状態が特定状態である場合に、」「前記」「変動データ記憶領域に」「前記特定状態である旨を示す特定情報を記憶させ」る点で共通する。
(g1)甲1発明の構成g1における「主制御用CPU40aは、主制御用RAM40cに設定した遊技状態を示す状態情報(フラグなど)により遊技状態を把握して遊技機全体を制御」することは、本件訂正発明の構成G1の「前記遊技プログラムに基づく制御においては、前記」「変動データ記憶領域に記憶された前記特定状態である旨を示す特定情報に基づいて前記特定状態に応じた制御を実行し、前記非遊技プログラムに基づく制御においては、前記」「変動データ記憶領域に記憶された前記特定状態である旨を示す特定情報に基づいて前記特定状態に応じた制御を実行する」ことに相当する。
してみると、甲1発明の構成g1は、本件訂正発明の構成G1と、「前記遊技プログラムに基づく制御においては、前記」「変動データ記憶領域に記憶された前記特定状態である旨を示す特定情報に基づいて前記特定状態に応じた制御を実行し、前記非遊技プログラムに基づく制御においては、前記」「変動データ記憶領域に記憶された前記特定状態である旨を示す特定情報に基づいて前記特定状態に応じた制御を実行する、遊技機」である点で共通する。
ゆえに、本件訂正発明と甲1発明とは、
「A 遊技を行う遊技機であって、H’ プログラムに基づく制御を実行するプログラム実行手段と、B1’、C1’ 遊技の進行に係わる遊技プログラムと遊技の進行に係わらない非遊技プログラムが記憶されるプログラム記憶領域と、D1’、E1’ 前記遊技プログラムに基づく制御において更新及び参照される変動データと、前記非遊技プログラムに基づく制御において更新及び参照される変動データが記憶される変動データ記憶領域と、を備え、I’ 前記プログラム実行手段は、前記遊技プログラムに基づく制御を実行するとともに、前記非遊技プログラムに基づく制御を実行可能であり、F1’ 遊技機の状態が特定状態である場合に、前記変動データ記憶領域に前記特定状態である旨を示す特定情報を記憶させ、G1’ 前記遊技プログラムに基づく制御においては、前記変動データ記憶領域に記憶された前記特定状態である旨を示す特定情報に基づいて前記特定状態に応じた制御を実行し、前記非遊技プログラムに基づく制御においては、前記変動データ記憶領域に記憶された前記特定状態である旨を示す特定情報に基づいて前記特定状態に応じた制御を実行する、遊技機。」の点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1](構成H)
「プログラム実行手段」が「プログラムに基づく制御を実行する」にあたり、本件訂正発明は、「複数のレジスタを用い」るのに対し、甲1発明は、レジスタを用いることについて明記されていない点。
[相違点2](構成B1、C1)
「プログラムが記憶される」「プログラム記憶領域」について、本件訂正発明は、プログラムが「遊技の進行に係わる遊技プログラム」と「遊技の進行に係わらない非遊技プログラム」に区別され、それぞれ、「遊技プログラム記憶領域」と「非遊技プログラム記憶領域」に記憶されるのに対し、甲1発明は、遊技機全体を制御する主制御基板40に設けられた主制御用CPU40aの制御プログラムが、遊技用、非遊技用に区別されているか否かが不明な点。
[相違点3](構成D1)
「前記遊技プログラムに基づく制御において更新及び参照され、」「変動データ記憶領域」に「記憶される」「変動データ」について、本件訂正発明は、「遊技用変動データ」として「遊技用変動データ記憶領域」に「記憶され」、「前記非遊技プログラムに基づく制御において更新されない」のに対し、甲1発明は、遊技機全体を制御する主制御基板40に設けられた主制御用CPU40aの制御プログラム、遊技状態を示す状態情報(フラグなど)、及び当該状態情報が設定される主制御用RAM40cが、遊技用、非遊技用に区別されているか否かが不明な点。
[相違点4](構成E1)
「前記非遊技プログラムに基づく制御において更新及び参照され、」「変動データ記憶領域」に「記憶される」「変動データ」について、本件訂正発明は、「非遊技用変動データ」として「非遊技用変動データ記憶領域」に「記憶され」、「前記遊技プログラムに基づく制御において更新されない」のに対し、甲1発明は、遊技機全体を制御する主制御基板40に設けられた主制御用CPU40aの制御プログラム、遊技状態を示す状態情報(フラグなど)、及び当該状態情報が設定される主制御用RAM40cが、遊技用、非遊技用に区別されているか否かが不明な点。
[相違点5](構成I)
「前記プログラム実行手段」が「前記遊技プログラムに基づく制御」及び「前記非遊技プログラムに基づく制御を実行」するにあたり、本件訂正発明は、「前記遊技プログラムに基づく制御において前記非遊技プログラムを呼び出すことで、前記非遊技プログラムに基づく制御を実行可能であり、前記遊技プログラムに基づく制御において前記非遊技プログラムを呼び出す場合に、前記レジスタの値を保護する保護処理を前記遊技プログラムにおいて実行した後、前記非遊技プログラムを呼び出して前記非遊技プログラムに基づく制御を実行し、前記非遊技プログラムに基づく制御を実行した後に、保護されていた前記レジスタの値を復帰させる復帰処理を前記遊技プログラムにおいて実行」するのに対し、甲1発明は、遊技機全体を制御する主制御基板40に設けられた主制御用CPU40aの制御プログラムが遊技用、非遊技用に区別されているか否かが不明であり、主制御用CPU40aがレジスタを用いることについて明記されていない点。
[相違点6](構成F1)
「遊技機の状態が特定状態である場合に、」「前記」「変動データ記憶領域に」「前記特定状態である旨を示す特定情報を記憶させ」るにあたり、本件訂正発明は、「前記遊技用変動データ記憶領域」と「前記非遊技用変動データ記憶領域」に「前記特定状態である旨を示す特定情報を記憶させ」るのに対し、甲1発明は、遊技状態を示す状態情報(フラグなど)を設定する主制御用RAM40cを遊技用と非遊技用に区別しているか否かが不明である点。
[相違点7](構成G1)
「前記」「変動データ記憶領域に記憶された前記特定状態である旨を示す特定情報に基づいて前記特定状態に応じた制御を実行する」にあたり、本件訂正発明は、「前記遊技プログラムに基づく制御においては、前記遊技用変動データ記憶領域に記憶された前記特定状態である旨を示す特定情報に基づいて前記特定状態に応じた制御を実行し、前記非遊技プログラムに基づく制御においては、前記非遊技用変動データ記憶領域に記憶された前記特定状態である旨を示す特定情報に基づいて前記特定状態に応じた制御を実行する」のに対し、甲1発明は、遊技機全体を制御する主制御基板40に設けられた主制御用CPU40aの制御プログラム、及び遊技状態を示す状態情報(フラグなど)を設定する主制御用RAM40cを、遊技用と非遊技用に区別しているか否かが不明である点。
イ 判断
上記相違点1~7は、プログラム実行手段がプログラムに基づく制御を実行する場合に互いに関連する、複数のレジスタ、遊技プログラム、遊技プログラム記憶領域、非遊技プログラム、非遊技プログラム記憶領域、遊技用変動データ、遊技用変動データ記憶領域、非遊技用変動データ、及び非遊技用変動データ記憶領域という技術事項に関するものであるため、まとめて検討する。
本件訂正発明は、構成H、B1~E1、I、F1、G1を備えることで、本件特許明細書の段落【0006】に記載の、「遊技プログラム、遊技用固定データ及び遊技用変動データと、非遊技プログラム、非遊技用固定データ及び非遊技用変動データと、を記憶領域の違いに応じて容易に特定することができる」という格別の効果、及び本件特許明細書の段落【0237】に記載の、「非遊技プログラムによってレジスタに記憶されたデータが遊技プログラムに影響を及ぼすことがない」という格別の効果を奏するものである。
これに対して、甲1発明は、遊技機全体を制御する主制御基板40に設けられた主制御用CPU40aの制御プログラムは、遊技用、非遊技用に区別されているか否かが不明であることに加え、プログラム記憶領域、変動データ、及び変動データ記憶領域についても遊技用、非遊技用に区別されているか否かが不明である。
また、甲1発明には、主制御用CPU40aが複数のレジスタを用いることについて明記されておらず、プログラム実行手段が2つのプログラムに基づく制御を実行するにあたり、一方のプログラムに基づく制御から他方のプログラムに基づく制御に切り換える場合、一方のプログラムに基づく制御においてレジスタに記憶したデータを退避して、他方のプログラムに基づく制御を実行し、他方のプログラムに基づく制御の終了後、退避したデータを復帰して一方のプログラムに基づく制御を実行することが技術常識であるとしても、甲1発明は、本件訂正発明の遊技プログラム、遊技プログラム記憶領域、非遊技プログラム、非遊技プログラム記憶領域、遊技用変動データ、遊技用変動データ記憶領域、非遊技用変動データ、及び非遊技用変動データ記憶領域を特定する構成H、B1~E1、I、F1、G1を備えるものではなく、甲第1号証には、本件訂正発明の、遊技プログラム、遊技プログラム記憶領域、非遊技プログラム、非遊技プログラム記憶領域、遊技用変動データ、遊技用変動データ記憶領域、非遊技用変動データ、及び非遊技用変動データ記憶領域を特定する構成H、B1~E1、I、F1、G1について記載も示唆もされていない。
よって、本件訂正発明と甲1発明には、上記相違点1~7があり、甲第1号証には上記相違点1~7に係る各構成について記載も示唆もなされていないのだから、本件訂正発明は、甲1発明と同一であるということはできない。
4 特許異議申立人の意見について
(1)特許異議申立人は、本件訂正発明は、「プログラム実行手段」を含む構成H、Iが追加されたため、訂正前の請求項1に係る発明の課題が、「遊技の進行に係わるプログラムと、遊技の進行と係わらないプログラムと、を容易に判別できる遊技機を提供すること」であったにもかかわらず、本件訂正発明の課題が、「遊技用変動データが非遊技プログラムによって更新されないことに加え、非遊技プログラムから遊技プログラムが使用するレジスタの値を書き換えることも不可能となり、非遊技プログラムが遊技プログラムの制御に影響しないことを担保すること」となり、発明の課題が実質的に変更され、また、訂正前の請求項1に係る発明の課題を解決するための手段が、「第1プログラム記憶領域」、「第2プログラム記憶領域」、「第1変動データ記憶領域」、「第2変動データ記憶領域」とを備えることであったにもかかわらず、本件訂正発明の課題を解決するための手段は、さらに「プログラム実行手段」を備え、当該「プログラム実行手段」が、遊技プログラム及び非遊技プログラムを呼び出し、それぞれに基づく制御を実行することに変更され、本件訂正により、課題を解決するための手段も実質的に変更され、特許請求の範囲を実質上、変更するものであるから、本件訂正は認められるべきではないと主張する。
しかしながら、訂正前の請求項1に係る発明は、特許異議申立人が主張する「遊技の進行に係わるプログラムと、遊技の進行と係わらないプログラムと、を容易に判別できる遊技機を提供すること」という課題に加え、本件特許明細書の段落【0006】に記載のとおり、「遊技プログラム及び非遊技プログラムの双方の設計も容易」とするという課題も前提としており、訂正前の請求項1に係る発明の課題は、遊技機において実行される制御、そのためのプログラム、プログラム記憶領域、変動データ、及び変動データ記憶領域を、それぞれ、「第1制御」と「第2制御」、「第1プログラム」と「第2プログラム」、「第1プログラム記憶領域」と「第2プログラム記憶領域」、「第1変動データ」と「第2変動データ」、及び「第1変動データ記憶領域」と「第2変動データ記憶領域」に区別した訂正前の請求項1に係る発明の構成B~Gにより解決されるものであり、上記「第2 1(2)~(5)、(8)、(9) 」で説示したとおり、訂正前の請求項1に係る発明の構成B~Gは、それぞれ、本件訂正発明の構成B1~G1に訂正され、これらの訂正は、上記「第2 2(2)ア、(3)ア、(4)ア、(5)ア、(8)ア、(9)ア 」で説示したとおり、訂正前の請求項1に係る発明の「第1制御に係る第1プログラム」、「第1プログラム記憶領域」、「第2制御に係る第2プログラム」、「第2プログラム記憶領域」、「前記第1制御」、「前記第2制御」、「第1変動データ」、「第1変動データ記憶領域」、「第2変動データ」、「第2変動データ記憶領域」、及び「前記特定状態である旨を示す第1特定情報」と「前記特定状態である旨を示す第2特定情報」を、それぞれ、「遊技の進行に係わる遊技プログラム」、「遊技プログラム記憶領域」、「遊技の進行に係わらない非遊技プログラム」、「非遊技プログラム記憶領域」、「前記遊技プログラムに基づく制御」、「前記非遊技プログラムに基づく制御」、「遊技用変動データ」、「遊技用変動データ記憶領域」、「非遊技用変動データ」、「非遊技用変動データ記憶領域」、及び「前記特定状態である旨を示す特定情報」に限定するもの、つまり、本件訂正発明の構成B1~G1は、訂正前の請求項1に係る発明の課題を解決するために必要不可欠の構成となっているから、訂正前の請求項1に係る発明の課題と本件訂正発明の課題が異なるものではない。
仮に、本件訂正発明の課題が、特許異議申立人が主張する、「遊技用変動データが非遊技プログラムによって更新されないことに加え、非遊技プログラムから遊技プログラムが使用するレジスタの値を書き換えることも不可能となり、非遊技プログラムが遊技プログラムの制御に影響しないことを担保すること」であると認定した場合について検討すると、本件訂正発明は、構成H、Iにより、レジスタの値の保護処理及び復帰処理を、「遊技プログラムに基づく制御」と「非遊技プログラムに基づく制御」に区別して実行するように構成されていることから、当該構成H、Iは、「遊技プログラム及び非遊技プログラムの双方の設計も容易」とするという訂正前の請求項1に係る発明の課題を解決できることは明らかであり、当該構成H、Iは、訂正前の請求項1に係る発明の課題を解決するための手段である本件訂正発明の構成B1~G1の延長線上の構成にすぎないから、訂正前の請求項1に係る発明の課題と特許異議申立人が主張する本件訂正発明の課題が異なるものではない。
してみると、本件訂正発明の課題は、訂正前の請求項1に係る発明の課題を変更したものとはいえず、本件訂正により特許請求の範囲を変更するものであるとはいえないから、上記主張は採用できない。
(2)特許異議申立人は、訂正前の請求項1に係る発明の構成F、Gにおける「第1特定情報」及び「第2特定情報」は、出願時は、いずれも「特定状態であることを示す情報」であったものを、審査過程で、敢えて、内容は同じであるが別個の記憶領域に記憶されるために、「第1特定情報」及び「第2特定情報」と限定し、区別したもの、すなわち、両者は、「(b)内容は同じであるが別個の記憶領域に記憶されるため、単に名称を変えて区別したもの」であることは明確であり、「(a)内容が異なるもの」が存在すると解釈されるとの特許権者による主張は、「第1特定情報」及び「第2特定情報」を「特定情報」に上位概念化することを、「限定」と糊塗することを意図した作為的なものであるから、「第1特定情報」及び「第2特定情報」をいずれも「特定情報」に訂正することは、不明瞭な記載の釈明には相当せず、上位概念化であり、単なる拡張であるから、本件訂正は認められるべきではないと主張する。
しかしながら、特許異議申立人は、令和1年10月1日付け特許異議申立書において、当初明細書等の段落【0278】には、遊技RAM領域、非遊技RAM領域の両領域に「特定状態であることを示す情報」が記憶され、遊技プログラムと非遊技プログラムが、遊技状態が特定状態であることを特定し、遊技状態に応じた制御を行うことは記載されているところ、訂正前の請求項1に係る発明の構成F、Gで特定した、両領域に記憶される情報が、それぞれ区別可能な「第1特定情報」及び「第2特定情報」であって、遊技プログラムと非遊技プログラムが、それぞれ、「第1特定情報」と「第2特定情報」に基づいて、特定状態に応じた制御を行う構成は、当初明細書等に記載されていないことを指摘しており、当審においても令和1年11月20日付け取消理由通知書で同様の趣旨の指摘をしたところである。
そうすると、「第1特定情報」及び「第2特定情報」をともに「特定情報」に訂正することは、訂正前の請求項1に係る発明において、「(a)内容が異なるもの」及び「(b)内容は同じであるが別個の記憶領域に記憶されるため、単に名称を変えて区別したもの」という意味に解釈されるものを、本件訂正により「内容は同じであるが別個の記憶領域に記憶される」という当初明細書等の記載内容に解釈されるように限定するものであって、上位概念化とは認められないから、上記主張は採用できない。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
特許異議申立人は、令和1年10月1日付け特許異議申立書において、申立ての理由2として、仮に訂正前の請求項1に係る発明と甲1発明とに相違点があったとしても、その相違点は、設計事項程度のものにすぎないから、訂正前の請求項1に係る発明は、甲1発明から、当業者が容易に想到し得たものであり、訂正前の請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである、と主張する。
しかしながら、上記「第4 3(3)」で説示したとおり、甲1発明は、上記相違点1~7に係る本件訂正発明の構成を備えておらず、甲第1号証に記載された事項を参酌しても、当該構成は、設計事項程度のものとはいえず、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
よって、本件訂正発明が、甲1発明に基いて当業者が容易に想到し得たものではない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、並びに、特許異議申立ての理由及び証拠方法によっては、訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に訂正後の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2019-700781