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特許異議申立

2019-700542

微細セルロース繊維複合体、微細セルロース繊維分散液及び複合材料

審判番号
2019-700542
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-239763外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年07月10日
審決日
2019年10月01日
公報発行日
2019年11月29日
結論
維持
当事者
審判長/審判官
分類
P1652.161-Y (C08B) / P1652.537-Y (C08B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第29条の2
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6453431号発明「微細セルロース繊維複合体、微細セルロース繊維分散液及び複合材料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】
特許第6453431号の請求項1~5、7~11に係る特許を維持する。

理由

目次 ▾ 9項目
【理 由】

第1 手続の経緯

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特許第6453431号の請求項1~12に係る発明についての出願は、平成22年12月2日(パリ条約による優先権主張2009年12月11日(JP)日本国)に出願された特願2010-269128号の一部を、平成28年5月25日に新たな特許出願である特願2016-104582号とし、更にその一部を平成29年12月14日に新たな出願としたもので、平成30年12月21日にその特許権の設定登録がされ、平成31年1月16日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1~5、7~11に対し、令和1年7月10日に特許異議申立人岡林 茂(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立がされたものである。

第2 本件発明

特許第6453431号の請求項1~5、7~11に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明5」、「本件発明7」~「本件発明11」といい、これらをまとめて「本件発明」ともいう。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~請求項5、請求項7~請求項11に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
カルボキシル基含有量0.1~3mmol/gの微細セルロース繊維に陽イオン界面活性剤が吸着してなり、
前記陽イオン界面活性剤は、前記微細セルロース繊維におけるセルロース構成単位のC6位のカルボキシル基に化学吸着しており、
前記陽イオン界面活性剤が、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、ドデシルアミン、ジドデシルアミン、トリドデシルアミン、ステアリルアミン及びジステアリルアミンからなる群から選択される1種以上の第1~3級アルキルアミン化合物である微細セルロース繊維複合体。
続きを表示(全23行)
【請求項2】
請求項1に記載の微細セルロース繊維複合体及び有機溶媒を含む微細セルロース繊維分散液。
【請求項3】
光線透過率が5~99.9%である請求項2に記載の微細セルロース繊維分散液。
【請求項4】
前記有機溶媒が極性溶媒である請求項2又は3に記載の微細セルロース繊維分散液。
【請求項5】
請求項2~4の何れか1項に記載の微細セルロース繊維分散液の製造方法であって、
前記微細セルロース繊維の水分散液に前記界面活性剤を添加した後、該水分散液を脱水・濃縮して該微細セルロース繊維を含む固形物を得、該固形物を、前記有機溶媒を含む溶媒中に分散させる工程を有する、微細セルロース繊維分散液の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の微細セルロース繊維複合体と成形可能な樹脂とが混合された複合材料。
【請求項8】
請求項2~4の何れか1項に記載の微細セルロース繊維分散液と成形可能な樹脂とが混合された複合材料。
【請求項9】
前記樹脂がバイオマス由来の高分子である請求項7又は8に記載の複合材料。
【請求項10】
請求項7又は9に記載の複合材料の製造方法であって、前記微細セルロース繊維複合体が有機溶媒中に分散した複合体分散液又は粉末状の前記微細セルロース繊維複合体と前記樹脂とを混合して均一混合物を得、該均一混合物を任意の形状に成形する工程を有する、複合材料の製造方法。
【請求項11】
請求項8又は9に記載の複合材料の製造方法であって、前記微細セルロース繊維分散液を粉末化した粉末状の微細セルロース繊維複合体と前記樹脂とを混合して均一混合物を得、該均一混合物を任意の形状に成形する工程を有する、複合材料の製造方法。」

第3 申立理由の概要及び証拠方法

1 申立理由の概要

特許異議申立人は、後記2の証拠を提出した上で、以下の申立理由を主張している。

(1)特許法第29条の2(以下、「理由1」という。)

本件発明1~5、7~11は、その出願の優先日前の先の出願(甲第1号証)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件発明1~5、7~11の発明者がその出願の優先日前の上記先の出願に係る上記の発明をしたものと同一ではなく、また本件発明1~5、7~11の出願の時において、その出願人が下記の出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。

(2)特許法第36条第6項第2号(以下、「理由2」という。)

本件発明1~5、7~11に係る発明は、明細書又は特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

記

(ア)本件発明1は、「微細セルロース繊維複合体」に関する発明であるが、微細セルロース繊維の微細の程度については何らの特定はされておらず、当該微細セルロース繊維がどのような微細さを有するものであるのか不明である。本件発明1を直接、間接に引用する本件発明2~5、7~11についても同様である。

(イ)本件発明3は、「光線透過率が5~99.9%である」が、光線透過率の測定条件について本件明細書【0052】に説明がされているだけであり、その一方で、光線透過率が透明性評価の指標であるならば、当該光線透過率の測定において、測定対象物の濃度を特定することは必要であり、当該特定のない測定値はその位置づけが不明確であって透明性評価の指標とはなり得ない。本件発明3を直接、間接に引用する本件発明4~5、8~11についても同様である。

2 証拠方法

甲第1号証:特願2009-197760号(特開2011-47084号公報)
甲第2号証:特開2009-242991号公報
甲第3号証:Tetrahedron 61(2005)10827-10852
甲第4号証:特開平3-221568号公報
甲第5号証:特開平5-179243号公報
甲第6号証:特開2009-263652号公報
甲第7号証:特開2009-57552号公報
甲第8号証:特開2007-204716号公報

第4 申立理由についての当審の判断

1 理由1について

(1-1)甲第1号証の記載

(1a)「【請求項1】

直径が4~1000nmであるセルロース繊維と、有機性カチオン化合物とからなることを特徴とする、有機化繊維。

【請求項2】

前記セルロース繊維が、化学処理及び/又は機械的処理により微細化し得られた繊維である、請求項1に記載の有機化繊維。

【請求項3】

前記セルロース繊維の水酸基の一部がアルデヒド基及び/又はカルボキシル基に酸化されている、請求項1又は2に記載の有機化繊維。

【請求項4】

前記セルロース繊維が天然セルロースを原料とし、水中においてN-オキシル化合物を酸化触媒とし、共酸化剤を作用させることにより前記天然セルロースを酸化して得られたセルロース繊維である請求項1~3のいずれかに記載の有機化繊維。

【請求項5】

前記有機性カチオン化合物が、含窒素化合物であるかもしくは含燐化合物である請求項1~4のいずれかに記載の有機化繊維。」

(1b)「【0004】

しかしながらセルロースミクロフィブリルは繊維表面に水酸基を多数有するため親水性が高く、通常は疎水性である樹脂材料に配合しても均一に分散しない。それゆえ複合材料として使用しようとしても透明化も強度向上も不十分であり、充分な性能を発現することが困難であった。

・・・

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

本発明の目的は、低線膨張係数、高透明性、低吸水膨張率、耐熱性、高強度/高弾性率を有する樹脂組成物を提供することにある。」

(1c)「【0019】

さらに、上述した精製工程にて得られる水を含浸した反応物繊維(水分散体)を溶媒中に分散させ分散処理を施すことにより、本発明の微細セルロース繊維の分散体として提供することができる。ここで、分散媒としての溶媒は通常は水が好ましい。水以外にも目的に応じて水に可溶する溶剤として、たとえばアルコール類、エーテル類、ケトン類やN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド等への分散は比較的良好であるが、最も分散性良好なものは水である。また疎水性の樹脂もしくは有機溶剤へはほとんど分散しない。」

(1d)「【0026】

さらに、ノニオン性の置換基であるアルデヒド基に対し、カルボキシル基が導入されることにより、電気的な反発力が生まれ、ミクロフィブリルが凝集を維持せずにばらばらになろうとする傾向が増大するため、ナノファイバーとしての安定性はより増大する。たとえば木材パルプや綿パルプの場合、微細なセルロース繊維に存在するカルボキシル基の量がセルロース繊維の重量に対し、0.2~2.2mmol/g、好ましくは0.4~2.2mmol/g、さらに好ましくは0.6~2.2mmol/gであるとナノファイバーとしての極めて安定性に優れた繊維として提供することができる。また、BCやホヤからの抽出セルロースのような比較的ミクロフィブリルの繊維径が太いセルロースの場合には、カルボキシル基の量は0.1~0.8mmol/g、好ましくは0.2~0.8mmol/gであるとナノファイバーとしての安定性に優れた繊維として提供できる」

(1e)「【0029】

・・・含窒素系の有機カチオンとしては、例えばヘキシルアンモニウムイオン、オクチルアンモニウムイオン、2-エチルヘキシルアンモニウムイオン、ドデシルアンモニウムイオン、ラウリルアンモニウムイオン、オクタデシルアンモニウムイオン、ステアリルアンモニウムイオン、ジオクチルジメチルアンモニウムイオン、トリオクチルアンモニウムイオン、ジステアリルジメチルアンモニウムイオン、トリメチルステアリルアンモニウムイオン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムイオン、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムイオン、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムイオンなどの第4級アンモニウムカチオンや、・・・」

(1f)「【0031】

次に、本発明の樹脂組成物について説明する。本発明の樹脂組成物は、以上に説明した本発明の有機化繊維と、疎水性の樹脂とを含むことを特徴とする。

本発明の樹脂組成物における必須成分として、疎水性の樹脂が必須である。本発明における疎水性の樹脂とは、室温において水への溶解性をほとんど持たず、溶解現象を見せない熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂のことを示す。

熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリグルタミン酸、ポリリジン等のポリアミド、ポリウレタン、木材の構成成分であるリグニンやヘミセルロース、ニカワ、カゼインをはじめとするたんぱく質等の天然高分子等を用いることが出来る。・・・」

(1g)「【0048】

次に、本発明の樹脂組成物の製造方法について説明する。

本発明の樹脂組成物は任意の方法により各成分を混合することにより得ることができる。例えば微細セルロース繊維と有機性カチオンと疎水性樹脂をそのまま混合する方法が挙げられる。あるいは各種溶剤を用いて均一分散液を得、後に脱溶媒する方法を用いると、セルロース繊維の分散性に優れた樹脂組成物を得ることができる。・・・」

(1h)「【0052】

[微細セルロース繊維の作製]

(作製例1)

乾燥重量で2g相当分の未乾燥のパルプ(主に1000nmを超える繊維径の繊維から成る)、0.025gのTEMPO(2,2,6,6‐テトラメチル-1-ピペリジン-N-オキシル)および0.25gの臭化ナトリウムを水150mlに分散させた後、13重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1gのパルプに対して次亜塩素酸ナトリウムの量が2.5mmolとなるように次亜塩素酸ナトリウムを加えて反応を開始した。反応中は自動滴定装置を用い、0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10.5に保った。pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なし、0.5Mの塩酸水溶液でpH7に中和し反応物をろ過した後、十分な量の水による水洗、ろ過を6回繰り返し、固形分量2重量%の水を含浸させた反応物繊維を得た。

【0053】

次に、該反応物繊維に水を加え0.2重量%とした。

この反応物繊維分散液を高圧ホモジナイザー(ノロ・ソビア社製、15-8TA)型)を用いて圧力20Mpaで10回処理し、透明なセルロースナノファイバ-分散水溶液を得た。

この分散体を親水処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャスト後、2重量%ウラニルアセテートでネガティブ染色しTEM観察した。最大繊維径が10nmかつ、数平均繊維径が5nmであった。また、乾燥させて得られた透明な膜状のセルロースの広角X線回折像から、セルロースI型結晶構造を有するセルロースから成ることが示され、また同じ膜状セルロースのATRスペクトルのパターンからカルボニル基の存在が確認され、上述した方法により評価したセルロース中のアルデヒド基の量およびカルボキシル基の量はそれぞれ0.31mol/g、および1.67mmol/gであった。」

(1i)「【0056】

(実施例3)

作製例1で得られた固形分濃度0.2重量%のセルロース繊維分散水溶液中にトリメチルステアリルアンモニウムクロリド(試薬グレード、分子量348)を添加して撹拌し、有機化繊維を得た。添加量はセルロース固形分100重量部に対して58.1重量部である。なおこれはカルボキシル基に置換しているナトリウムイオンを全量トリメチルステアリルアンモニウムイオンに置換することのできる量に相当する。トリメチルステアリルアンモニウムイオンをカウンターイオンとした微細セルロース繊維は水中で沈殿するので、塩化ナトリウムを含有する水層を捨て、沈殿部を得た後、純水で数度水洗した後に、フェノールノボラックA1082(住友ベークライト社製、水酸基当量105)とヘキサメチレンテトラミン(三菱ガス化学社製)の90対10重量配合物の粉末900重量部と混合し、脱気装置付の二軸混連機で脱水しつつ吐出温度90℃で加熱混練を行い、樹脂組成物を得た。

得られた黄色半透明の樹脂組成物をスペーサー枠のついたプレスで170℃で10分間プレスしたのちに170℃で4時間ポストキュアすることで厚み30μmの黄色の半透明の成形品を得た。

得られた成形品の全光線透過率は90%であり、熱膨張係数計測におけるTgは124℃、25℃~104℃の範囲における平均熱線膨張係数は10ppm/℃、動的粘弾性計測によるTgは145℃、動的粘弾性におけるTgより30℃上の温度での弾性率は3.5×109Pa、膨潤率は0.10倍であった。」

(1-2)甲第1号証に記載された発明の認定

甲第1号証には、上記(1a)に、直径が4~1000nmで、水酸基の一部がカルボキシル基に酸化されているセルロース繊維と有機性カチオン化合物とからなる有機化繊維が、(1d)に、木材パルプや綿パルプの場合、カルボキシル基の量が0.6~2.2mmol/gであるとナノファイバーとしての極めて安定性に優れた繊維が提供できることが記載されている。

具体的には、(1h)にパルプとTEMPO、臭化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウムの混合物を反応させて反応物繊維を得たこと、これに水を加えて得られたセルロースナノファイバー分散水溶液について、数平均繊維径は5nmであり、カルボキシル基の量は1.67mmol/gであったことが記載されている。

また(1i)には、当該セルロース繊維((1h)でセルロースナノファイバーと表記されたもの。)分散水溶液にトリメチルステアリルアンモニウムクロリドを添加して撹拌し、有機化繊維を得たことが記載されている。

そうすると、甲第1号証の当初明細書等には下記の発明が記載されている(以下、「甲1発明」という。)。

「カルボキシル基の量が1.67mmol/gで、数平均繊維径が5nmのセルロース繊維分散水溶液にトリメチルステアリルアンモニウムクロリドを添加して撹拌した有機化繊維。」

(2)甲第2号証の記載

(2a)「【請求項1】

平均繊維径が200nm以下で、カルボキシル基含有量が0.1~2.0mmol/gであるセルロース繊維を含有する繊維製品用張り付与剤組成物。」

(2b)「【0013】

工程(i):原料セルロース繊維からスラリーを得る工程

本工程では、原料となるセルロース繊維を含む成形体(絶対乾燥基準)に対して、約10~1000倍量(質量基準)の水を加え、ミキサー等で処理してからスラリーにする。ここでいう、絶対乾燥基準とは20℃、50%RHの環境下で自然乾燥したセルロース繊維の水分率をハロゲン水分計にて測定したものから絶対乾燥セルロース繊維量を算出するものである。

【0014】

原料となるセルロース繊維を含む成形体としては、木材パルプ、非木材パルプ、再生セルロース、バクテリアセルロース、コットン等を含むシートを挙げることができる。成形体の大きさや形状は特に制限されないが、厚さは、好ましくは0.01~10mm、より好ましくは0.03~3mm、さらに好ましくは0.05~1mmの範囲から選択することができ、シート状の成形体が好ましい。

【0015】

工程(ii):工程(i)で得られたスラリーを酸化処理する工程

本工程では、工程(i)で得られたスラリーを、N-オキシル化合物を含む酸化触媒液を用いて、酸化処理する。N-オキシル化合物を含む酸化触媒液としては、N-オキシル化合物、他の酸化剤及びハロゲン化物を含む溶液又は懸濁液を使用する。」

(2c)「【0026】

なお、懸濁液にするときは、水のみを使用したものでもよいし、水と他の有機溶媒(例えば、エタノール等のアルコール)や界面活性剤、酸、塩基等との混合溶媒を使用したものでもよい。このような酸化処理及び微細化処理により、セルロース構成単位のC6位が選択的にカルボキシル基に酸化され、前記カルボキシル基含有量が0.1~2.0mmol/gのセルロースからなる平均繊維径が200nm以下の微細化されたセルロース繊維を得ることができる。そして、酸化処理条件を調整することにより、前記のカルボキシル基含有量を所定範囲内にて増減させ、極性を変化させたり、該カルボキシル基の静電反発や前述の微細化処理により、セルロース繊維の平均繊維径や平均繊維長等を制御することができる。また、前記セルロース繊維は、上記カルボキシル基を有することから繊維間の静電反発力が強くなるため、セルロース繊維の水分散液の分散性は良好である。ここでの分散性が良好であるというのは、平均繊維径200nm以下の微細化されたセルロース繊維が分散液中で凝集、沈降を起こしにくいことをいう。分散性は、水分散液の目視観察によって確認される。」

(3)甲第3号証の記載(甲第3号証の記載は翻訳で示す。)

(3a)「酸とアミン又はアルコールの各々との間のアミド又はエステル結合形成は、一般に縮合である。通常のエステル化は平衡反応であるが、アミンとカルボン酸と混合すると、最初に酸-塩基反応が生じて安定な塩が形成される。換言すれば、アミド結合の形成は、スキーム1の平衡に示すように熱力学的に抗しなければならず、合成よりも加水分解側にある。」(第10828頁左欄第3段落)

(3b)「

」(第10828頁 スキーム1 エステル結合とアミド結合の形成)

(4)甲第4号証の記載

(4a)「一方、これらのアミン類と塩を形成する酸としては、例えばギ酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸などの有機カルボン酸、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸が挙げられるが、これらの中で有基カルボン酸が好ましい。」(第4頁右下欄最終行-第5頁左上欄第4行)

(4b)「比較製造例1 微小樹脂粒子の水性分散液の製造

製造例3において、製造例1で得た水分散性エポキシ樹脂18.5重量部の代りに、オクタドデシルアミン酢酸塩20重量部を用いた以外は、製造例3と同様にして、カチオン乳化剤で安定化された平均粒子径0.5μmの微小樹脂粒子を含有する固形分濃度18.5重量%の水性分散液を得た。」(第7頁左下欄第3行-第10行)

(5)甲第5号証の記載

(5a)「【0009】分散系がポリカルボン酸の塩を含む場合、該塩は部分的な又は完全な塩であってよい。特に好適なアルカリ塩はナトリウム塩である。アミン塩は第一、第二又は第三アミンであってよく、例えばブチルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、オクタデシルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ピペリジン、モルホリン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ジ-又はトリエタノールアミンの塩である。」

(6)甲第6号証の記載

(6a)「【0001】

本発明は、流動性が高く、かつ透明度が高いセルロースナノファイバーを製造する方法に関する。」

(6b)「【0051】

【表1】

」

(7)甲第7号証の記載

(7a)「【0001】

本発明は、酸素、水蒸気、二酸化炭素、窒素等の各種ガスの透過を抑制できる層又は前記層を有する成形体を得ることができるガスバリア用材料、前記材料を使用したガスバリア性成形体、前記材料を使用したガスバリア性複合成形体に関する。」

(7b)「【表1】

」

(7c)「【表2】

」

(8)甲第8号証の記載

(8a)「【0001】

本発明は、セルロース分散体及びセルロース分散体の製造方法に関する。」

(8b)「【表1】

」

(8c)「【表3】

」

(9)対比・判断

(9-1)本件発明1について

ア 対比

甲1発明の「カルボキシル基の量が1.67mmol/g」は、本件発明1の「カルボキシル基含有量0.1~3mmol/g」に相当し、甲1発明の「数平均繊維径が5nmのセルロース繊維」は、本件明細書【0018】の記載から、本件発明1の「微細セルロース繊維」に相当する。

したがって、本件発明1と甲1発明とは

「カルボキシル基含有量0.1~3mmol/gの微細セルロース繊維。」の点で一致し、以下の点で相違する。

(ア)本件発明1は陽イオン界面活性剤が微細セルロース繊維に吸着している微細セルロース繊維複合体であるのに対し、甲1発明は、トリメチルステアリルアンモニウムクロリドを添加して撹拌した有機化繊維である点。

(イ)陽イオン界面活性剤が化学吸着するセルロース構成単位のカルボキシル基の置換位置に関して、本件発明1は「C6位のカルボキシル基」に化学吸着しているのに対して、甲1発明は、どのカルボキシル基に吸着しているのか不明である点。

(ウ)陽イオン界面活性剤に関して、本件発明1は、「エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、ドデシルアミン、ジドデシルアミン、トリドデシルアミン、ステアリルアミン及びジステアリルアミンからなる群から選択される1種以上の第1~3級アルキルアミン化合物である」のに対して、甲1発明は、トリメチルステアリルアンモニウムクロリドである点。

イ 相違点の判断

以下、相違点について検討する。

(ア)について

甲1発明の「トリメチルステアリルアンモニウムクロリド」は、第4級アンモニウムカチオンであり(上記(1e))、界面活性剤とは記載されていない。また、甲第1号証には、これを添加して撹拌することしか示しておらず、トリメチルステアリルアンモニウムクロリドがセルロース繊維に吸着するとも記載されていない。

また、それらの点が甲第1号証に記載されているに等しい事項であるともいえないから上記相違点(ア)は実質的な相違点である。

(イ)について

甲第1号証には、(1h)のとおり、パルプに対して、TEMPO、臭化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウムを供して酸化反応を行っている。そして、甲第2号証の上記(2a)~(2c)の記載をみると、セルロース繊維の製造方法について、パルプに対して、N-オキシル化合物、他の酸化剤及びハロゲン化物を含む溶液又は懸濁液を使用する酸化処理等により、セルロース構成単位のC6位が選択的にカルボキシル基に酸化され、前記カルボキシル基含有量が0.1~2.0mmol/gのセルロースからなる平均繊維径が200nm以下の微細化されたセルロース繊維を得ることができることが記載されている。

しかし、甲第1号証に記載されたパルプが甲第2号証に記載されたパルプと同じとはいえず、よって、甲第2号証に記載された方法により得られたものについて、セルロース構成単位のC6位が選択的にカルボキシル基に酸化された記載があるからといって、それと同じような反応が起こり、甲1発明のセルロース繊維のC6位が選択的にカルボキシル化されるとはいえない。

また、それらの点が甲第1号証に記載されているに等しい事項であるともいえないから上記相違点(イ)は実質的な相違点である。

(ウ)について

甲1発明は、トリメチルステアリルアンモニウムクロリドが添加されているところ、甲第1号証には、上記(1a)のとおり、有機性カチオン化合物が用いられること、有機性カチオン化合物としては、含窒素化合物、含燐化合物が用いられることが記載されている。また、含窒素化合物の具体例としては、上記(1e)に種々のものが挙げられている。

しかし、甲第1号証には、本件発明1の第1~3級アルキルアミン化合物が記載されていないし、甲第3号証の(3a)、(3b)、甲第4号証の(4a)、(4b)、甲第5号証の(5a)の記載を参酌したとしても、甲第1号証に本件発明1の第1~3級アルキルアミン化合物が記載されているに等しいとはいえない。

特許異議申立人は、甲第3号証には、(3a)、(3b)のとおり、カルボン酸とアミンとを混合すると安定な塩が形成されることが記載され、甲第4号証には、(4a)に有機カルボン酸とアミン化合物が塩を形成する旨記載され、具体的には(4b)に、オクタドデシルアミン酢酸塩が記載され、甲第5号証には、(5a)のとおり、ポリカルボン酸とアミン化合物が塩を形成することが記載されている。そして、カルボキシル基に陽イオン界面活性剤であるアミン化合物が化学吸着した態様は、カルボン酸陰イオンとアミン化合物由来の陽イオンとがアミン塩を形成している態様と捉えることができ、そうであれば、微細セルロース繊維のカルボキシル基に窒素系の有機カチオンが導入された構成は本件発明1の特定の第1~3級アルキルアミン化合物が化学吸着した構成に相当する旨の主張をする。

確かに、上記甲第3号証~甲第5号証の記載から、アミン化合物と有機カルボン酸が塩を形成するということは、一般的な技術常識として理解はできるものの、甲第1号証には、トリメチルステアリルアンモニウムクロリドなどの第4級アンモニウムカチオン等の有機カチオンが記載されているのみで、有機カチオンと本件発明1の特定の第1~3級アミン化合物とは何ら関係ない物質であるから、本件発明1のアミン化合物と甲1発明の第4級アンモニウムカチオン等とが同一のものを示しているとはいえない。

また、それらの点が甲第1号証に記載されているに等しい事項であるともいえないから上記相違点(ウ)は実質的な相違点である。

上記のとおりであるから、技術常識を参酌したとしても、本件発明1は、甲1発明と同一であるということはできない。

(9-2)本件発明2について

本件発明2は、本件発明1の微細セルロース繊維複合体及び有機溶媒を含む微細セルロース繊維分散液である。

甲第1号証の上記(1h)、(1i)には、セルロース繊維の水分散液に関する記載がされているし、(1c)には、分散させる溶媒として水以外にも、水に可溶な溶媒としてアルコール類が記載されている。

しかし、上記(9-1)示したとおり、本件発明1は、甲1発明と同一又は実質的に同一ということはできず、本件発明1を引用する本件発明2も甲第1号証に記載された発明と同一とはいえない。

(9-3)本件発明3について

本件発明3は、本件発明2において、光透過率が5~99.9%である微細セルロース繊維分散液である。

甲第6号証の(6a)~(6b)、甲第7号証の(7a)~(7c)、甲第8号証の(8a)~(8c)の記載をみると、微細なセルロース繊維分散液の光透過率が記載されている。しかし、これらは、本件発明3の微細セルロース繊維分散液と化学的に異なる物質の光透過率であるから、本件発明3の光透過率が甲第6号証~甲第8号証に記載されたものであると認めることはできない。

仮に、甲1発明における微細セルロース繊維分散液の光透過率も甲第6号証~甲第8号証に記載されたものと同様の数値を示すと考えられたとしても、上記(9-1)、(9-2)示したとおり、本件発明1は、甲1発明と同一又は実質的に同一ということはできず、本件発明1を間接に引用する本件発明3も甲第1号証に記載された発明と同一とはいえない。

(9-4)本件発明4について

本件発明4は、本件発明2又は3において、有機溶媒を極性溶媒としたものである。

甲第1号証の上記(1h)、(1i)には、セルロース繊維の水分散液に関する記載がされているし、(1c)には、分散させる溶媒として水以外にも、水に可溶な溶媒としてアルコール類が記載されている。

しかし、上記(9-1)、(9-2)示したとおり、本件発明1は、甲1発明と同一又は実質的に同一ということはできず、本件発明1を間接に引用する本件発明4も甲第1号証に記載された発明と同一とはいえない。

(9-5)本件発明5について

本件発明5は、本件発明2~4の微細セルロース繊維分散液の製造方法である。

甲第1号証の上記(1h)、(1i)には、微細セルロースを得て、それにトリメチルステアリルアンモニウムクロリドを添加し、当該トリメチルステアリルアンモニウムクロリドをカウンターイオンとした微細セルロース繊維は、水中で沈殿するので、塩化ナトリウムを含有する水層を捨て、沈殿部を得た後、数度水洗することが記載されており、上記沈殿を得る工程は、本件発明5の脱水・濃縮工程に相当する。しかし、甲第1号証には、その後当該沈殿部を分散させる工程及びその際の分散媒が有機溶媒であることが記載されていない。

この点、甲第1号証には、上記(1c)のとおり、セルロース繊維をアルコール類に分散することも示唆されているが、このアルコール類については、得られた沈殿を分散する分散媒としては書かれていない。仮に上記(1c)を沈殿を得た後に分散させる工程でその際の分散媒がアルコール類であると理解するべきだとしても、上記(9-1)、(9-2)に示したとおり、本件発明1は、甲1発明と同一又は実質的に同一ということはできず、本件発明1を間接に引用する本件発明5も甲第1号証に記載された発明と同一とはいえない。

(9-6)本件発明7について

本件発明7は、本件発明1の微細セルロース繊維複合体と成形可能な樹脂とが混合された複合材料である。

甲第1号証の(1b)には、高透明性、高強度の樹脂組成物を提供することが目的であることが記載されているし、(1i)には、セルロース繊維分散水溶液を処理して有機化繊維を得て、純水で数度水洗した後に、フェノールノボラックとヘキサメチレンテトラミンの90対10重量配合物と混合して加熱混練を行い、樹脂組成物を得たことが記載されている。

しかし、上記(9-1)に示したとおり、本件発明1は、甲1発明と同一又は実質的に同一ということはできず、本件発明1を引用する本件発明7も甲第1号証に記載された発明と同一とはいえない。

(9-7)本件発明8について

本件発明8は、本件発明2~4の微細セルロース繊維分散液と成形可能な樹脂とが混合された複合材料である。

甲第1号証の上記(1h)、(1i)には、セルロース繊維の水分散液に関する記載がされているし、(1c)には、分散させる溶媒として水以外にも、水に可溶な溶媒としてアルコール類が記載されている。

また、甲第1号証の(1i)には、セルロース繊維分散水溶液を処理して有機化繊維を得て、純水で数度水洗した後に、フェノールノボラックとヘキサメチレンテトラミンの90対10重量配合物と混合して加熱混練を行い、樹脂組成物を得たことが記載されている。

しかし、上記(9-1)、(9-2)に示したとおり、本件発明1は、甲1発明と同一又は実質的に同一ということはできず、本件発明1を間接に引用する本件発明8も甲第1号証に記載された発明と同一とはいえない。

(9-8)本件発明9について

本件発明9は、本件発明7、8において樹脂をバイオマス由来の高分子とした複合材料である。

甲第1号証には、上記(1f)のとおり、樹脂としては種々のものが記載され、その中には天然高分子やバイオマス由来の高分子の一態様ともいえるポリ乳酸も挙げられている。

しかし、上記(9-1)、(9-2)、(9-6)、(9-7)に示したとおり、本件発明1は、甲1発明と同一又は実質的に同一ということはできず、本件発明1を間接に引用する本件発明9も甲第1号証に記載された発明と同一とはいえない。

(9-9)本件発明10及び11について

本件発明10及び11は、本件発明7~9に記載の複合材料の製造方法である。

甲第1号証の(1g)には、樹脂組成物の製造方法が記載されており、具体的に(1i)には、セルロース繊維分散水溶液を処理して有機化繊維を得て、純水で数度水洗した後に、フェノールノボラックとヘキサメチレンテトラミンの90対10重量配合物と混合して加熱混練を行い、樹脂組成物を得たことが記載されている。

しかし、上記(9-1)、(9-2)、(9-6)、(9-7)に示したとおり、本件発明1は、甲1発明と同一又は実質的に同一ということはできず、本件発明1を間接に引用する本件発明10及び11も甲第1号証に記載された発明と同一とはいえない。

2 理由2について

(1)明確性要件の判断の前提

請求項に係る発明が明確に把握されるためには、請求項に係る発明の範囲が明確であること、すなわち、ある具体的な物や方法が請求項に係る発明の範囲に入るか否かを当業者が理解できるように記載されていることが必要で、特許発明の技術的範囲が定められ第三者に不測の不利益を生じないことが必要である。

そして、その判断は、請求項に記載された発明特定事項に基いてなされるが、発明特定事項の意味内容や技術的意味の解釈にあたっては、請求項の記載のみではなく、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識をも考慮するべきである。

以下、上記前提に基いて判断する。

(2)判断

(ア)

特許異議申立人は、上記第3 1(2)(ア)で示したように、本件発明1は、「微細セルロース繊維複合体」に関する発明であるが、微細セルロース繊維の微細の程度について不明確である旨主張している。

しかしながら、本件発明1には、微細の程度についてどの程度の大きさであるか、どの程度の径を有するものであるかは数値としては特定されていないものの、本件明細書の【0018】には、「本発明で用いる微細セルロース繊維は、平均繊維径が200nm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは1~50nmである。平均繊維径が200nmを超えるセルロース繊維を複合材料に用いると、機械的強度の向上効果が十分に得られないおそれがある。平均繊維径は下記測定方法により測定される。」と記載されている。

そして、上記「平均繊維径が200nm以下であることが好ましい」という記載と併せて「微細」という用語の技術常識から考えれば、本件発明1の微細というのは200nm以下程度の微細であると理解でき、第三者に不測の不利益が生じるとは考えられない。

したがって、本件発明1及び本件発明1を直接、間接に引用する本件発明2~5、7~11についても不明確とはいえず、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。

(イ)

特許異議申立人は、上記第3 1(2)(イ)で示したように、本件発明3は、光線透過率を特定しているが、その際の測定対象物の濃度は特定されておらず、光線透過率の測定において測定対象物の濃度の特定のない測定値はその位置づけが不明確であって透明性評価の指標とはなり得ない旨主張する。

本件発明3には、光線透過率の数値範囲は特定されているが、その測定方法は特定されていないものの、本件明細書の【0052】には、「微細セルロース繊維分散液の透明性は、光線透過率で評価することができる。光線透過率の数値が大きいほど、当該分散液の透明性が高く、微細セルロース繊維が安定分散していると評価できる。本発明の微細セルロース繊維分散液の光線透過率は、好ましくは5~99.9%%、更に好ましくは30~99.9%、特に好ましくは50~99.5である。微細セルロース繊維分散液の光線透過率は、UV・可視分光分析装置(U-3310、日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、光路長1cm、660nmにおいて測定される。」と記載されていると記載されているから、上記のような方法により光線透過率の測定ができることが把握できる。

また、その際に、光線透過率を増減させる方法として、【0054】には「微細セルロース繊維分散液中における微細セルロース繊維複合体の分散性(微細セルロース繊維分散液の透明性及び粘度)は、該分散液中の各種成分の含有量を調整することで実施することができる。例えば、微細セルロース繊維分散液中における微細セルロース繊維複合体の含有量が増加すると、該分散液の透明性(光線透過率)は減少、粘度は増加し、該含有量が減少すると、該分散液の透明性(光線透過率)は増加し、粘度は減少する。」なる記載がされている。

これらの記載をみると、測定方法や、光線透過率の増減の調整方法が理解できるのであるから、測定対象物の濃度の特定がなされていないからといって、第三者に不測の不利益が生じる程に不明確であるとはいえない。

(ウ)

よって,上記特許異議申立人のいずれの主張も採用することはできない。

第5 むすび

したがって、特許異議の申立の理由及び証拠によっては、特許第6453431号の請求項1~5、7~11に係る特許は取消すことができない。  また、他に特許第6453431号の請求項1~5、7~11に係る特許を取消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。

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2019-700542

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