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特許異議申立

2019-700437

遮蔽扉の気密維持機構

審判番号
2019-700437
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-115772
登録番号
特許第6430055号(P6430055)
請求日
2019年05月28日
審決日
2019年07月29日
公報発行日
2019年09月27日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社関東技研
  • 【異議申立人】青木 眞理
審判長/審判官
  • 審判長 秋田 将行
  • 審判官 有家 秀郎
  • 審判官 森次 顕
分類
P1651.121-Y (G21C) / P1651.537-Y (G21C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6430055号発明「遮蔽扉の気密維持機構」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6430055号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6430055号の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成30年6月19日に出願され、平成30年11月9日にその特許権の設定登録がされ、平成30年11月28日に特許掲載公報が発行された。その後、令和1年5月28日に特許異議申立人 青木眞理(以下「申立人」という。)より、請求項1~6に係る特許に対して特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件発明 特許第6430055号の請求項1~6の特許に係る発明(以下、「本件発明1」などといい、本件発明1~6をまとめて「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 1 本件発明1 「【請求項1】 建屋の開口部を塞いでいるブローアウトパネルと重ならない開位置に設けられ、前記ブローアウトパネルが開放された後に前記開口部を塞ぐように閉位置までスライド移動可能な遮蔽扉と、 前記遮蔽扉の上部を前後可動なアームで吊り下げると共に上レールで支持し、閉位置に来た前記遮蔽扉を押さえるための上押さえを有する上枠部と、 前記遮蔽扉の下部を下レールで支持し、閉位置に来た前記遮蔽扉を押さえるための下押さえを有する下枠部と、 前記遮蔽扉の側部を押さえ、閉位置に来た前記遮蔽扉を押さえるための側押さえを有する側枠部と、 前記開口部を囲むように取り付けられ、閉位置に来た前記遮蔽扉と前記開口部の隙間を密閉するためのシール材と、を備え、 前記遮蔽扉は、前記上レールを挟持するように上ガイドが設けられ、前記下レールを挟持するように下ガイドが設けられ、さらに閉位置に来たときに前記上下押さえ及び前記側押さえによって前記シール材に押されるように上下カム及び側カムが設けられ、 前記上下レールは、前記アームに吊下された前記遮蔽扉を前記シール材に押し付けたときに前記上下ガイドが抜けるように切欠きが設けられる、 ことを特徴とする遮蔽扉の気密維持機構。」 2 本件発明2 「【請求項2】 前記上枠部は、前記遮蔽扉を開位置から閉位置からスライド移動させるための駆動機構を備える、 ことを特徴とする請求項1に記載の遮蔽扉の気密維持機構。」 3 本件発明3 「【請求項3】 前記上下カム及び上下押さえは、前記開口部の左端から右端まで複数が間欠的に設けられ、前記側枠部に向かうにしたがって前記開口部に近付くように前後方向にずれて配置される、 ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遮蔽扉の気密維持機構。」 4 本件発明4 「【請求項4】 前記上下カム及び側カムは、前記側枠部よりも中央側が厚くなるように傾斜面を有しており、当該傾斜面が前記上下押さえ及び側押さえに載ることで、前記遮蔽扉が前記シール材に押し付けられる、 ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載の遮蔽扉の気密維持機構。」 5 本件発明5 「【請求項5】 前記シール材は、内部が中空で表面に複数の凹凸が並設された、 ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の遮蔽扉の気密維持機構。」 6 本件発明6 「【請求項6】 請求項1乃至5の何れか一に記載の気密維持機構を備える、 ことを特徴とする遮蔽扉。」 第3 申立理由の概要 申立人が申立書において主張する申立理由の概要は、次のとおりである。 1 本件発明1~4について 本件発明1ないし4は、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2号証ないし甲第3号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1ないし4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 2 本件発明5について 本件発明5は、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2号証ないし甲第3号証に記載された発明、並びに甲第5号証ないし甲第6号証に示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 3 本件発明6について 本件発明6は、明確でないから、本件発明6に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 なお、申立人は、甲第1号証の内容は、甲第1号証の1ないし3から、公知であった旨を主張している。 第4 証拠について 1 証拠一覧 (1)甲第1号証: 申立人が申立書に添えて提出 「東海第二発電所 ブローアウトパネルについて」、日本原子力発電株式会社、平成29年10月12日(第1頁の表示) (2)甲第1号証の1: 申立人が申立書に添えて提出 「東海第二発電所 ブローアウトパネル及び関連設備の必要機能と確認試験の方法について」、日本原子力発電株式会社、平成30年4月26日(第1頁の表示) (3)甲第1号証の2: 申立人が申立書に添えて提出 「原子力規制委員会規則第五号」、平成25年6月28日(第1頁の表示)、第1頁、第29頁、第53頁 (4)甲第1号証の3: 申立人が申立書に添えて提出 インターネットホームページ「電子政府の総合窓口 e-Gov」の印刷物、「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成二十五年原子力規制委員会規則第五号) 施行日:平成三十年六月八日 最終更新:平成三十年六月八日公布(平成三十年原子力規制委員会規則第六号)改正」のうち、第五十九条~第六十二条及び附則1~2の部分を表示した箇所 (5)甲第2号証: 申立人が申立書に添えて提出 実願昭59-111159号(実開昭61-26877号)のマイクロフィルム(昭和61年2月18日公開) (6)甲第3号証: 申立人が申立書に添えて提出 特開平6-146737号公報(平成6年5月27日公開) (7)甲第4号証: 申立人が申立書に添えて提出 特開2010-43433号公報(平成22年2月25日公開) (8)甲第5号証: 申立人が申立書に添えて提出 特開昭64-83792号公報(昭和64年3月29日公開) (9)甲第6号証: 申立人が申立書に添えて提出 特開2000-87662号公報(平成12年3月28日公開) (10)甲第7号証: 申立人が申立書に添えて提出 特開平8-193472号公報(平成8年7月30日公開) (11)甲第8号証: 申立人が申立書に添えて提出 特許第3379876号公報(平成15年2月24日発行) (12)参考資料: 当審が職権で探知 「東海第二発電所 ブローアウトパネルについて」、日本原子力発電株式会社、インターネットURL<http://www.nsr.go.jp/data/000206082.pdf>、最終更新日2017年10月12日(検索日:令和1年7月8日検索) 2 各証拠の記載 (1)甲第1号証 ア 甲第1号証の公知性 甲第1号証には、第1頁に「平成29年10月12日」と記載されているが、当該日付の意味は不明であり、甲第1号証が当該表示の日付で頒布された刊行物であること、あるいは甲第1号証が電気通信回線を用いて当該表示の日付で公衆に利用可能となったことが示されたと言うことはできない。 甲第1号証の公知性に関して、申立人は申立書において、後記(2)~(4)の甲第1号証の1ないし3に言及して、甲第1号証が公知であった旨を主張する(申立書第8頁第15行-第9頁第3行)が、甲第1号証自体については、その出典が刊行物であるのかインターネット掲載情報であるのか、及び甲第1号証の公知日並びに公知態様等について、何ら説明していない。 しかしながら、当審が職権で調査した後記(12)の参考資料には、甲第1号証と同じ内容が記載されており、かつ当該参考資料はインターネット上での最終更新日が2017年10月12日であることから、甲第1号証の記載内容は、本件特許の出願日より前である2017年10月12日には、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となっていたものと認める。 イ 甲第1号証の記載事項 甲第1号証には、次の記載がある(下線は、当審で付した。以下、同様)。 (ア)第2頁第2行-第7行 「◆東海第二発電所では、原子炉建屋原子炉棟の外壁に合計12枚のブローアウトパネル(大きさ約4m×4m,重さ約1.5t)が設置されている。 ・・・・(中略)・・・・ ◆ブローアウトパネルは、主蒸気配管破断を想定した場合の放出蒸気による圧力等から原子炉建屋や原子炉格納容器等を防護するため、放出蒸気を建屋外に放出することを目的に設置されている。」 (イ)第4頁第1行-第4行、及び同頁の表中の記載 第4頁には、第1行-第4行に、次の記載がある。 「3.ブローアウトパネルに対する要求事項 【要求事項】 ◆設計基準事故対処設備及び重大事故等対処設備として、ブローアウトパネルに関連し要求される事項と対応方針を以下に整理した。」 また、上記記載の下に掲載された表の「○3」(当審注;○の中に3)の箇所には、「要求事項」の欄に「開放状態で炉心損傷した場合には、速やかに閉止できること」と記載され、「具体的な検討内容」の欄に「開放した場合は、速やかに閉止(遠隔及び手動)できること」と記載されている。 (ウ)第7頁第1行-第5行 「5.ブローアウトパネル対応方針 まとめ ◆ブローアウトパネル毎に要求事項を満足させるための対応方針を以下にまとめる。 ・・・・(中略)・・・・ ○3(当審注;○の中に3)開放状態で炉心損傷した場合を想定し、速やかに閉止できる機能(遠隔及び手動)を設置する」 (エ)第10頁表題、右欄第1-19行、及び左欄の図示 第10頁の表題には、「7.要求事項を満足させるための設備対策方針」と記載されている。 また、同頁右欄の第1行-第19行には、次の記載がある。 「【設備設計方針】 (1)閉止機能付き扉 ◆気密性の高いJIS等級(A4等級※1)の建具を用いることで原子炉建屋の負圧を確保 ↓ パネル開口部へ当該扉・建具のセットを設置し、SGTS運転時に原子炉建屋の負圧が確保できることを計算にて確認 ・・・・(中略)・・・・ ◆遠隔及び手動による閉止機能を設置※2 ・遠隔閉鎖・・・・電動扉方式(SA電源負荷) ・手動閉鎖・・・・スライド扉にワイヤを取付、これをウィンチにて引くことで閉止を検討 ※1:A4等級:JIS A 1561に規定される気密性等級線に合致する気密性能を有するもので、パーフェクトエアタイトと呼ばれる性能を有するもの ※2:今後、詳細設計を実施」 また、同頁左の図には、原子炉建屋壁のブローアウトパネルが設置された位置の横のブローアウトパネルと重ならない位置にスライド扉が設けられ、スライド扉が扉牽引ワイヤによって引かれることで、ブローアウトパネルのパネル開口部を閉止する位置までスライド可能となる様子が、示されている。 ウ 甲第1号証に記載された発明 上記イの記載事項、及び、ブローアウトパネルが開放される前には当該ブローアウトパネルがパネル開口部を塞いでいることは明らかであることより、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「原子炉建屋の外壁のパネル開口部を塞いでいるブローアウトパネルが設置された位置の横の、ブローアウトパネルと重ならない位置に設けられ、ブローアウトパネルが開放した場合に、パネル開口部を閉止する位置まで扉牽引ワイヤによって引かれることでスライド可能なスライド扉と、パーフェクトエアタイトと呼ばれる気密性能を有する建具とのセットを設置し、ブローアウトパネル開放後のパネル開口部を気密に閉止する、スライド扉及び建具のセット。」 (2)甲第1号証の1 ア 申立人の立証趣旨 甲第1号証の1は、甲第1号証の内容が公知であったことを示す趣旨で、申立人が提出したものである。申立人は、甲第1号証の1の第46頁に、上記(1)イ(エ)で参照した甲第1号証の第7頁左側の図とほぼ同様の図が記載されていることに言及しつつ、甲第1号証の記載内容が既知であった旨を主張している(申立書第8頁第15行-第9頁第3行)。 イ 甲第1号証の1の記載 甲第1号証の1には、第1頁に「平成30年4月26日 日本原子力発電株式会社」と記載されている。また甲第1号証の1の第46頁には、上述したとおり、上記(1)イ(エ)で参照した甲第1号証の第7頁左側の図とほぼ同様の図が記載されている。 ウ 甲第1号証の公知性について 甲第1号証と甲第1号証の1とは、「日本原子力発電株式会社」という第1頁の表示が共通するものの、同第1頁に記載される日付も互いに異なる、各々独立した資料であるから、仮に甲第1号証の1が本件出願前に公知であれば、甲第1号証も本件出願前に公知となったと言えるような、一体不可分の関係にあるものではない。 また、甲第1号証の1自体についても、同資料の第1頁に「平成30年4月26日」と記載されているのみで、当該資料が頒布された刊行物として公知となったのかインターネットを介して公知となったのかを含め、公知日及び公知態様は不明であり、この点について申立人は何ら説得的な説明及び主張をしていない。 そのため、当該甲第1号証の1をもって、申立人が主張するように、上記(1)の甲第1号証が本件出願前に公知であったことが証明されるものではない。 ただし、当審が職権で探知した後記(12)の参考資料から、甲第1号証の内容が本件出願前に公知となっていたと認められることは、上記(1)アに示したとおりである。 (3)甲第1号証の2 ア 申立人の立証趣旨 甲第1号証の2も、甲第1号証の内容が公知であったことを示す趣旨で、申立人が提出したものである。申立人は、甲第1号証の2が示す第五十九条の規則から、ブローアウトパネルを閉止する必要があり、甲第1号証の内容が既知であった旨を主張している(申立書第9頁第8行-第10頁第3行)。 イ 甲第1号証の2の記載 甲第1号証の2には、その第1頁に「原子力規制委員会規則第五号 ・・・・(中略)・・・・ 平成二十五年六月二十八日」と記載されている。 また、第53頁には、「(原子炉制御室)第五十九条 第二十六条第一項の規定により設置される原子炉制御室には、重大事故が発生した場合においても運転員がとどまるために必要な設備を設けなければならない。」と記載されている。 ウ 甲第1号証の公知性 甲第1号証の2が示す規則第五十九条の条文は、「原子炉制御室」に「重大事故が発生した場合においても運転員がとどまるために必要な設備」を設けることに言及するのみであり、甲第1号証に直接言及するものではなく、また甲第1号証が示す「ブローアウトパネル」とその「閉止」のための「スライド扉」に言及するものでもない。 そのため、当該条文が平成25年に定められたことをもって、申立人が主張するように、甲第1号証が本件出願前に公知であったことが証明されるものではない。なお、申立人は「甲第1号証の2の内規・・・に解説がある。」とも主張しているが、甲第1号証の2及び申立書に添付して提出されたその他の証拠を検討しても、申立人が言及する「内規」やその「解説」は何ら記載されていない。 しかしながら、後記(12)の参考資料より、甲第1号証の内容が本件出願前に公知であったと認められることは、上記(1)アに示したとおりである。 (4)甲第1号証の3 ア 申立人の立証趣旨 甲第1号証の3も、甲第1号証の内容が公知であったことを示す趣旨で、申立人が提出したものである。申立人は、甲第1号証の3が示す第五十九条の規則から、ブローアウトパネルを閉止する必要があり、甲第1号証の内容が既知であった旨を主張している(申立書第9頁第8行-第10頁第3行)。 イ 甲第1号証の3の記載 甲第1号証の3には、「平成三十年六月八日公布」という表示とともに、「(運転員が原子炉制御室にとどまるための設備)第五十九条 発電用原子炉施設には、炉心の著しい損傷が発生した場合(重大事故等対策設備(特定重大事故等対処施設を構成するものを除く。)が有する原子炉格納容器の破損を防止するための機能が損なわれた場合を除く。)においても運転員が第二十六条第一項の規定により設置される原子炉制御室には、重大事故が発生した場合においても運転員がとどまるために必要な設備を設けなければならない。」と記載されている。 ウ 甲第1号証の公知性 甲第1号証の3が示す条文も、上記(3)の甲第1号証の2が示す条文と同様、甲第1号証に直接言及するものではなく、また甲第1号証が示す「ブローアウトパネル」とその「閉止」のための「スライド扉」に言及するものでもない。そのため、当該条文が平成30年6月8日に公布されたことをもって、甲第1号証が本件出願前に公知であったことが証明されるものではない。 しかしながら、後記(12)の参考資料より、甲第1号証の内容が本件出願前に公知であったと認められることは、上記(1)アに示したとおりである。 (5)甲第2号証 ア 記載事項 本件特許出願前に頒布された刊行物である、甲第2号証には、図面とともに次の記載がある。 (ア)明細書第2頁第16行-第3頁第2行 「[産業上の利用分野] この考案は気密、防塵を要する建造物や部屋の開口部に設置されるスライド式気密ドア装置に関するもので、特にドア閉鎖時に、ドアを建造物あるいは部屋の前壁に押圧し、ドアと前壁との間隙を完全になくし、気密、防塵を確実になしうるスライド式気密ドア装置に係る。」 (イ)明細書第4頁第14行-第6頁第17行 「[実施例] 以下この考案によるスライド式気密ドア装置の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。第1図はドア1を一部解放した状態、第2図乃至第3図は閉鎖した状態を示すもので、図中符号2は部屋開口部3の前壁4に設置したドアケース、5は開口部3を囲繞する状態で前壁4及び床面(G)の溝6壁に取り付けた弾性体より成る気密材である。ドア1はその上端を前記ドアケース2内上部に設置された一例としてモータとプーリ間に駆動ベルトを架け渡してなる駆動装置7に吊持され、左右に開開可能となっている。具体的には第6図に示すように、ドア1上端の取付ブラケット8に軸支された連動アーム9の先端を駆動ベルトに固定されたハンガー10の取付ブラケット11に軸支させ、開閉方向と直角に揺動自在となるように吊持され、一方ドア1下端部には、2個の揺れ止めを兼ねたガイドローラ12、12が取りつけられ、該ローラ12、12は床面(G)に設けられた溝6に敷設した断面U字形のレール13内に挿合されている。 またドア1の室外に面する部分の隅部4ケ所には、第4図に示すようにドア1の閉鎖方向に向って所定の傾斜面14を有する楔形の係合板15、15、15、15が設置され、一方ドアケース2のドア閉鎖時に前記係合板15、15、15、15に対応する位置には軸受16、16、16、16が設置され、押圧ローラ17、17、17、17が軸支されている。さらに出入口床面(G)に設けられた溝6内に敷設された断面コ字形のガイドレール13にはドア1が閉鎖した時、ドア下端部に固定された案内ローラ12、12と対応する位置に、開口部壁面側に向って凹部18が形成され、該凹部18にはドア閉鎖方向に向って傾斜面19が設けられている。 以上の構成において、駆動装置を用いてドア1を矢印方向に移動させ、ドア1が閉鎖位置までくると、ドア1に設けた楔形の係合板15、15、15、15と、ドアケース2の押圧ローラ17、17、17、17が係合し、ドアは係合板の傾斜面14に添って壁側に押圧される。この時ドア上端部の連動アーム9は第6図に鎖線で示すように壁面側に揺動し、かつドア下端の案内ローラは、ガイドレール13に設けた凹部18に嵌合され、ドア1は開口部壁面に貼着したパッキン等の気密材に圧接されて、出入口3壁面とドア間は完全に密閉封止される。」 (ウ) 第1図、第2図、第6図及び第7図には、それぞれ次の図示がある。 第1図、第2図、第6図及び第7図より、ドアケース2は、第6図において開口部3より下の溝6内に設けられた部分も含めて、全体として開口部3を囲む枠状であることが、看て取れる。 第6図より、床面(G)に設けられた溝6は、ドアケース2内下部に位置することが、看て取れる。 第1図及び第6図より、ドアケース2内の押圧ローラとして、開口部3より上のドアケース2内の上部に設けられた押圧ローラ17,17と、開口部3より下のドアケース2内の下部に設けられた押圧ローラ17,17とがあり、これら押圧ローラに対応して、ドア1に設けた楔形の係合板も、ドア1の上部に設けられた楔形の係合板15、15と、ドア1の下部に設けられた楔形の係合板15、15とがあることが、看て取れる。 イ 甲第2号証に記載された発明 上記アの記載事項より、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 「気密、防塵を要する建造物の開口部3に設置されるスライド式気密ドア装置であり、 開口部3を囲繞する状態で前壁4及び床面(G)の溝6の壁に取り付けた弾性体より成る気密材5と、 左右に開閉可能であり、閉鎖したとき、開口部3の壁面に設けられた気密材5に圧接されて、壁面との間を完全に密閉封止するドア1と、 開口部3の前壁4に設置した枠状のドアケース2と、 ドア1の上端を、ドアケース2内上部の駆動装置7から、ドア1の開閉方向と直角に揺動自在となるように吊持する、連動アーム9と、 ドア1の下端部に取りつけられたガイドローラ12,12を挿合する、ドアケース2内下部で床面(G)に設けられた溝6に敷設した断面U字形のレール13と、 ドアケース2内の上部で、ドア1が閉鎖位置までくると、ドア1に設けた楔形の係合板15、15を壁側に押圧する押圧ローラ17,17と、 ドアケース2内の下部で、ドア1が閉鎖位置までくると、ドア1に設けた楔形の係合板15、15を壁側に押圧する押圧ローラ17,17と、を備え、 ドア1には、下端部に、床面(G)に設けられた溝6に敷設した断面U字形のレール13内に挿合されるガイドローラ12,12が設けられ、さらに閉鎖位置までくるとドアケース2内の上部及び下部に設けられた押圧ローラ17,17,17,17と係合して壁側の気密材5に押圧されるように、ドア1の上部及び下部に楔形の係合板15、15、15、15が設けられ、 断面U字形のレール13には、ドア1が閉鎖した時の案内ローラ12,12と対応する位置に、壁側に押圧されるドア1下端の案内ローラ12,12が嵌合するように、開口部壁面側に向って凹部18が形成されている、 スライド式気密ドア装置。」 (6)甲第3号証 ア 記載事項 本件特許出願前に頒布された刊行物である、甲第3号証には、図面とともに次の記載がある。 (ア) 「【0001】 【産業上の利用分野】この発明は室内側の障子が内外し可能で、障子が引き違いに収納された防音サッシにおいて、障子を閉鎖位置から室内側へ引き寄せ、気密材との密着性を高める、内外し防音サッシにおける障子の引寄せ装置に関するものである。」 (イ) 「【0011】 【実施例】以下本発明を一実施例を示す図面に基づいて説明する。 【0012】この発明の引寄せ装置1は図1,図11及び図12に示すように開口枠7内に室内側の障子(以下内障子)8と室外側の障子(以下外障子)9が引き違い状態に収納され、閉鎖時に両障子8,9が開口枠7の室外側の面に敷設された気密材10~15に密着し、内障子8が室内側へ取り外し可能となった内外し防音サッシにおいて、閉鎖位置から内障子8や外障子9を室内側へ引き寄せ、気密材10~15との密着性を確保するものである。 【0013】引寄せ装置1は内障子8や外障子9の召合せ框81,91に固定される摺動ブロック2と、上枠71に固定され、摺動ブロック2に接触する引寄せ片3と、戸先框82,92に固定される摺動ブロック4と、縦枠73に突設され、摺動ブロック4に接触する引寄せ片5とから構成され、引寄せ片3,5がそれぞれ摺動ブロック2,4に接触してこれらを室内側へ押すことにより内障子8や外障子9を閉鎖位置から室内側へ引き寄せる。 【0014】摺動ブロック2は図1,図11に示すように召合せ框81,91の、上枠71や下枠72のレール711,721側に固定され、レール711,721の少なくとも室内側の面に接触し、開閉操作時の障子8,9の面外移動を規制する。摺動ブロック2はレール711,721の室内側にこれに接触する摺動片21を持ち、摺動片21の室外側の面、接触面23がレール711,721と引寄せ片3に接触する。図示する実施例中、外障子9の上枠71側に固定された摺動ブロック2のようにレール711の両面に接触する場合、摺動ブロック2はレール711の室内側と室外側にこれを挟み込む摺動片21,22を持つが、引寄せ片3には室内側の摺動片21の接触面23が接触する。摺動ブロック2は例えば召合せ框81,91の中空部内に差し込まれてこれに固定される。 【0015】引寄せ片3は内障子8や外障子9の閉鎖位置の召合せ框81,91に対応した位置の、レール711,721の室内側の面に固定される。引寄せ片3は例えば自身を貫通するビスによって、または図11,図14に示すようにそれに連続する取付片31を貫通するビスによって上枠71や下枠72に固定される。 【0016】摺動ブロック2の室内側の摺動片21と引寄せ片3の各接触面23,32の少なくともいずれか一方は内障子8や外障子9の開放位置から閉鎖位置へかけて室外側から室内側へ傾斜し、摺動片21と引寄せ片3は互いに円滑に接触を開始し、内障子8や外障子9が閉鎖側へ移動するに従って摺動ブロック2が引寄せ片3によって室内側へ押される平面形状をしている。 【0017】摺動ブロック2は引寄せ片3の、レール711,721からの室内側への突出量だけ接触によって室内側へ移動するが、外障子9の上枠71側に配置された摺動ブロック2のように室外側の摺動片22もレール711に接触する場合、レール711の、内障子8や外障子9の閉鎖時の摺動片22に対応した位置には図1,図14に示すように摺動ブロック2の室内側への移動時に摺動片22が入り込む切欠き712が形成される。 【0018】摺動ブロック4は図1に示すように戸先框82,92の縦枠73側に固定され、召合せ框81,91の摺動ブロック2と共に、または独立して内障子8や外障子9を室内側へ引き寄せる。摺動ブロック4は縦枠73側に摺動片41を持ち、摺動片41の室外側の面、接触面42が引寄せ片5に接触する。摺動ブロック4も摺動ブロック2と同様に戸先框82,92の中空部内に差し込まれてこれに固定される。 【0019】引寄せ片5は内障子8や外障子9の閉鎖時に戸先框82,92に対応した位置の、縦枠73の内障子8や外障子9側の面に突設され、内障子8や外障子9の閉鎖時に摺動ブロック4に接触する。 【0020】摺動ブロック4の摺動片41と引寄せ片5の各接触面42,51の少なくともいずれか一方も内障子8や外障子9の開放位置から閉鎖位置へかけて室外側から室内側へ傾斜し、摺動ブロック4は内障子8や外障子9が閉鎖側へ移動するに従って引寄せ片5によって室内側へ押される。摺動ブロック4は引寄せ片5の接触面51の見込み方向の距離だけ室内側へ移動する。 【0021】引寄せ装置1は内障子8の上框83や下框84、または外障子9の上框93や下框94に独立して設置されるが、内障子8の上框83と下框84、または外障子9の上框93と下框94でそれぞれ対となって内障子8や外障子9を引き寄せ、それぞれ気密材10,12,11,13に密着させる。」 (ウ) 図1及び図14には、次の図示がある。 図1及び図14には、上レール711において、閉鎖時に室内側に移動する摺動片22が入り込む切欠き712が、凹み状に形成された様子が、示されている。 イ 甲第3号証に記載された発明 上記アの記載事項より、甲第3号証には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。 「開口枠7内に室内側の障子(以下内障子)8と室外側の障子(以下外障子)9が引き違い状態に収納され、閉鎖時に閉鎖位置から内障子8や外障子9を室内側へ引き寄せ、開口枠7の室外側の面に敷設された気密材10~15との密着性を確保する、内障子8が室内側へ取り外し可能な防音サッシであって、 引寄せ装置1は、内障子8や外障子9の召合せ框81,91に固定される摺動ブロック2と、上枠71及び下枠72に固定され、摺動ブロック2に接触する引寄せ片3と、戸先框82,92に固定される摺動ブロック4と、縦枠73に突設され、摺動ブロック4に接触する引寄せ片5とから構成され、 引寄せ片3は、内障子8や外障子9の閉鎖時の召合せ框81,91に対応した位置の、上枠71や下枠72のレール711,721の室内側の面に固定され、 引寄せ片5は、内障子8や外障子9の閉鎖時の戸先框82,92に対応した位置の、縦枠73の内障子8や外障子9側の面に突設され、 摺動ブロック4は、内障子8や外障子9の戸先框82,92の縦枠73側に固定され、縦枠73側に摺動片41を持ち、摺動片41の室外側の面である接触面42が引寄せ片5に接触し、 摺動ブロック2は、内障子8や外障子9の召合せ框81,91に固定され、レール711,721の少なくとも室内側にこれに接触する摺動片21を持ち、摺動片21の室外側の面である接触面23がレール711,721と引寄せ片3に接触し、 外障子9の上枠71側に固定された摺動ブロック2がレール711の両面に接触する場合には、摺動ブロック2はレール711の室内側と室外側にこれを挟み込む摺動片21,22を持ち、引寄せ片3には室内側の摺動片21の接触面23が接触し、レール711の閉鎖時の摺動片22に対応した位置には、摺動ブロック2の室内側への移動時に摺動片22が入り込む切欠き712が凹み状に形成される、 防音サッシ。」 (7)甲第4号証 本件特許出願前に頒布された刊行物である、甲第4号証には、図面とともに次の記載がある。 ア 「【発明を実施するための最良の形態】 【0042】 以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る気密式引戸装置は、例えば、部屋と廊下のように建物内に形成されている2つの室内空間を仕切る位置において、防火等のために配置されていて、防煙のための遮煙性の機能や防音のための遮音性の機能を有しているものである。また、本実施形態に係る気密式引戸装置は、扉体の個数が1個となっていて、この扉体がガイド部材から吊り下げられた上吊り式の引戸装置である。 ・・・・(中略)・・・・ 【0050】 図4に示されているとおり、本実施形態におけるガイド部材となっているガイドレール20は、取付部材21に止着具22で結合された基部20Aと、この基部20Aの下端から扉体1側へ延びるアーム部20Bと、このアーム部20Bの先端部に上向きに形成された被係合部20Cとからなる。また、扉体1は、扉体本体23と、この扉体本体23の上面に結合されたローラ用ブラケット24とを有し、このローラ用ブラケット24に、本実施形態における係合部材となっているローラ25が回転自在に取り付けられている。このため、ローラ用ブラケット24は、本実施形態における係合部材用ブラケットとなっている。溝付きとなっているローラ25は、ガイドレール20の被係合部20Cに上から転動自在に係合し、これにより、扉体1はガイドレール20から吊り下げられた上吊り式の扉体となっているとともに、ローラ25の転動により、扉体1はガイドレール20に案内されて開閉移動する。 【0051】 ローラ用ブラケット24及びローラ25は、図2及び図3に示されているとおり、扉体1の開閉移動方向に2個24A,24B、25A,25B設けられている。 ・・・・・(中略)・・・・・ 【0069】 また、図6に示されているとおり、それぞれのローラ用ブラケット24A,24Bには、押圧部材70からの押圧力を受けるための被押圧部材78が結合されており、扉体1の厚さ方向に押圧部材70と対向しているこの被押圧部材78は板材の折り曲げ品である。また、被押圧部材78は、扉体1の厚さ方向に対して傾斜している傾斜面79を有するテーパー部材となっており、この傾斜面79は、扉体1の閉じ側へ延びるにしたがって押圧部材70の側とは反対側の扉体厚さ方向へ延びている面となっている。このような被押圧部材78も、それぞれのローラ用ブラケット24A,24Bごとに設けられているため、被押圧部材78は、扉体1に、この扉体1の開閉移動方向に2個78A,78B配置されている。 ・・・・・(中略)・・・・・ 【0080】 そして、扉体1が全閉位置に近づくと、扉体1のローラ用ブラケット24に設けられている被押圧部材78の傾斜面79が、不動部材となっている上枠部材4に、押圧部材用ブラケット71を介して取り付けられている押圧部材70に当接することになる。この当接状態を維持しながら扉体1がさらに閉じ移動を継続すると、扉体1のローラ25は、ガイドレール20の直線的に延びている前述の被係合部20Cに係合し続けているため、扉体1は、押圧部材70から被押圧部材78の傾斜面79に作用する押圧力と、図8及び図9で説明した中心軸60が構成部材となっている扉体遊動、復帰手段64の作用とにより、閉じ移動しながら、ローラ25に対し、扉体1の厚さ方向の片側となっている気密部材100が配置された側へ移動することになる。また、このときには、扉体遊動、復帰手段64の構成部材となっている前述のコイルばね62が圧縮され、これにより、コイルばね62に弾発力が蓄圧される。このときの状態が図8で示されている。 ・・・・・(中略)・・・・・ 【0093】 さらに、本実施形態では、前述したように、それぞれの押圧部材70は、不動部材となっている上枠部材4に押圧部材用ブラケット71を介して取り付けられており、ガイドレール20は、扉体1の厚さ方向の片側に配置された基部20Aを有するものとなっており、押圧部材用ブラケット71は、この基部20Aに結合されている第1部72と、この第1部72から扉体1の上方を越えてガイドレール20の基部20Aとは反対側の扉体1の厚さ方向の位置まで延びる第2部73と、この第2部73から下方へ延びる第3部74と、を有し、この第3部74における扉体1と対向する部分に押圧部材70が配置されており、図6で説明したように、2個の被押圧部材78のうち、閉じ側の被押圧部材78Aについての扉体1からの扉体厚さ方向突出寸法L1よりも、2個の押圧部材70のうち、開き側の押圧部材70Bについての扉体1からの扉体厚さ方向離間寸法L2が大きくなっている。 【0094】 このため、閉じ側の被押圧部材78Aについての扉体1の全開時の位置が、開き側の押圧部材70Bよりも扉体1の開き側の位置となっていても、寸法L1よりも寸法L2が大きくなっていることにより、扉体1が全閉位置と全開位置との間を移動したときに、閉じ側の被押圧部材78Aが開き側の押圧部材70Bと干渉することはなく、扉体1を所定どおりに全閉位置と全開位置との間を移動させることができる。」 イ 図6には、次の図示がある。 (8)甲第5号証 本件特許出願前に頒布された刊行物である、甲第5号証には、図面とともに次の記載がある。 ア 第1頁右欄第5行-第9行 「〔産業上の利用分野〕 本発明は電子機器等の筐体用の扉のシール用パッキンに関し、特に扉への取り付けを簡単にし、密閉効果を増加させた扉のシール用パッキンに関する。」 イ 第2図には、次の図示がある。 (9)甲第6号証 本件特許出願前に頒布された刊行物である、甲第6号証には、図面とともに次の記載がある。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はシ-ル材に係り、一の部材と他の部材の間に介在することで両部材間の隙間を塞ぐものである。好ましくは、本発明に係るシ-ル材は降下することで建物開口部を閉鎖する扉体の下端に設けられ、開口部全閉時において扉体下端と床面との間の隙間を塞いで風雨の侵入を防ぐウェザ-ストリップとして用いられる。」 イ 図3には次の図示がある。 (10)甲第7号証 本件特許出願前に頒布された刊行物である、甲第7号証には、図面とともに次の記載がある。 ア 「【請求項1】 前面にパッキンを付設する戸枠と、吊り戸車を介して前記戸枠の前面に沿って開閉する引戸と、閉鎖位置の前記引戸を前記戸枠に押し付ける押圧機構とを備えてなり、前記引戸は、前記吊り戸車との間に介装する摺動ベアリングを介し、前後に移動自在に吊下することを特徴とする電波暗室等の扉装置。 【請求項2】 前記戸枠は、前記引戸の下部のガイド部材に係合するガイドローラを有し、前記ガイド部材、ガイドローラは、閉鎖位置にある前記引戸の前後動を許容することを特徴とする請求項1記載の電波暗室等の扉装置。 ・・・・(中略)・・・・ 【請求項5】 前記押圧機構は、前記引戸の前面に沿って配設し、一斉に回転駆動する複数の偏心カムと、該偏心カムに対応する複数の摺動ピンとを備え、該摺動ピンは、閉鎖位置にある前記引戸を前記戸枠側に駆動することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか記載の電波暗室等の扉装置。」 イ 「【0016】 【実施例】以下、図面を以って実施例を説明する。 【0017】電波暗室等の扉装置は、戸枠10に対し、吊り戸式の引戸20を組み合わせてなる(図1)。 ・・・・(中略)・・・・ 【0027】引戸本体21の下部の構造材21aには、前面側の内面に長い板状のガイド部材25が装着されている(図3、図4)。一方、戸枠10の下部には、構造材21a内においてガイド部材25に係合するガイドローラ19が上向きに突設されている。ガイドローラ19は、軸19aを介して表面材11bの上面に突設されており(図2)、引戸20を閉鎖位置に移動するとき、引戸本体21の進行方向後端部に相当するように配置されている(図3)。また、ガイド部材25は、このときのガイドローラ19に対応する部分が切除されている。そこで、ガイド部材25、ガイドローラ19は、引戸20が閉鎖位置にあるとき、引戸20の前後動を許容する一方、引戸20が閉鎖位置以外にあるとき、引戸20を後退位置に案内することができる。ただし、ここで、引戸20の後退位置とは、引戸本体21が戸枠10の前面から離れ、左右に開閉移動可能な位置をいう(図2、図3)。」 ウ 図3には、次の図示がある。 (11)甲第8号証 本件特許出願前に頒布された刊行物である、甲第8号証には、図面とともに次の記載がある。 「【請求項1】 金庫室の出入口として形成された開口部の前面又は後面に、その開口部よりも少し大きい扉を、この扉の上方に配設した走行レールに横引きスライド走行可能に吊下した金庫扉において、前記開口部の扉との対向面の周囲にシール材を突出させて設けると共に、上面に前記レールにスライド自在に遊嵌されたスライダを具備しかつ下部に該レールに直交する向きの軸を具備するスライダブロックの当該軸に、前記扉を前記開口面に対して接,離可能に支持させて前記レールに吊下する一方、前記扉のスライド走行を案内するガイドレールを扉の上,下部の走行ラインに沿って金庫室側に設けると共に、このガイドレールに案内される転動部材を前記扉の上,下に設け、かつ、前記ガイドレールにおける閉扉終端部を、前記開口面側に近接するように形成して配置することにより、前記扉を閉扉終端において前記シール材に圧接させるようにし、更に走行する扉の下面が対向する金庫室の出入口の床に、前記扉を開けたとき床の高さに上昇し、扉を閉じるとき降下する昇降踏板を設けたことを特徴とする横引きスライド金庫扉における防水機構。」 (12)参考資料 参考資料「東海第二発電所 ブローアウトパネルについて」、日本原子力発電株式会社、インターネットURL<http://www.nsr.go.jp/data/000206082.pdf>、は、当審が職権で探知したものであるが、上記(1)の甲第1号証と同じ内容が記載されている。また、当該インターネットホームページの最終更新日は2017年10月12日(検索日:令和1年7月8日)であったことから、申立人が提出した上記(2)~(4)の甲第1号証の1~3に依拠することなく、上記(1)アに認定したとおり、甲第1号証の内容は本件出願前に公知であったと認めることができる。 第5 判断 1 本件発明1について 申立人は、本件発明1は、甲1発明に甲2発明及び甲3発明を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができた旨を主張しているので、以下に検討する。 (1)甲1発明との対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 甲1発明において、「スライド扉」は、「パネル開口部」の「気密」な「閉止」を行うための扉であるから、「パネル開口部」を遮蔽するものということができ、本件発明1における「遮蔽扉」に相当する。 甲1発明における「原子炉建屋」は、本件発明1における「建屋」に相当し、甲1発明における「パネル開口部」は、本件発明1における「開口部」に相当する。甲1発明において、「パネル開口部を閉止する位置」へと「スライド移動」する前の段階のスライド扉は、「閉止」を行わない「開」の位置にあると言えるから、甲1発明において「閉止」を行う前の「スライド扉」が「原子炉建屋の外壁のパネル開口部を塞いでいるブローアウトパネルが設置された位置の横の、ブローアウトパネルと重ならない位置に設けられ」ている構成は、本件発明1において「遮蔽扉」が「建屋の開口部を塞いでいるブローアウトパネルと重ならない開位置に設けられ」ている構成に相当する。 甲1発明における「スライド扉」が、「ブローアウトパネルが開放した場合に、パネル開口部を閉止する位置まで扉牽引ワイヤによって引かれることでスライド可能」である構成は、本件発明1における「遮蔽扉」が、「前記ブローアウトパネルが開放された後に前記開口部を塞ぐように閉位置までスライド移動可能」である構成に相当する。 甲1発明において、「スライド扉」と「パーフェクトエアタイトと呼ばれる気密性能を有する建具」とのセットは、当該気密性能をもって「パネル開口部を気密に閉止する」ものであるから、本件発明1における「遮蔽扉の気密維持機構」に相当する。 以上を整理すると、本件発明1と甲1発明とは、次の点で一致する。 「建屋の開口部を塞いでいるブローアウトパネルと重ならない開位置に設けられ、前記ブローアウトパネルが開放された後に前記開口部を塞ぐように閉位置までスライド移動可能な遮蔽扉を備える、 遮蔽扉の気密維持機構。」 そして、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で相違する。 <相違点1> 本件発明1では、「前記開口部を囲むように取り付けられ、閉位置に来た前記遮蔽扉と前記開口部の隙間を密閉するためのシール材」を備えると特定されているのに対し、 甲1発明では、「気密性能を有する建具」の具体的構成と配置とが特定されていない点。 <相違点2> 上枠部と下枠部、及びこれに対応する扉側の構成に関し、 本件発明1では、「遮蔽扉の上部を前後可動なアームで吊り下げると共に上レールで支持し、閉位置に来た前記遮蔽扉を押さえるための上押さえを有する上枠部と、前記遮蔽扉の下部を下レールで支持し、閉位置に来た前記遮蔽扉を押さえるための下押さえを有する下枠部」とを有し、「遮蔽扉」には「前記上レールを挟持するように上ガイドが設けられ、前記下レールを挟持するように下ガイドが設けられ、さらに閉位置に来たときに前記上下押さえ」によって「前記シール材に押されるように上下カム」が設けられ、また「前記上下レールは、前記アームに吊下された前記遮蔽扉を前記シール材に押し付けたときに前記上下ガイドが抜けるように切欠きが設けられる」のに対し、 甲1発明は、当該構成を有しない点。 <相違点3> 側枠部、及びこれに対応する扉側の構成に関し、 本件発明1では、「前記遮蔽扉の側部を押さえ、閉位置に来た前記遮蔽扉を押さえるための側押さえを有する側枠部」を備え、「遮蔽扉」には「閉位置に来たとき」に「前記側押さえ」によって前記シール材に押されるように「側カム」が設けられているのに対し、 甲1発明は、当該構成を有しない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑み、上記相違点2から判断する。 ア 甲2発明が有する構成 上記第4の2(5)イに認定した甲2発明は、「建造物の開口部3に設置されるスライド式気密ドア装置」において、「開口部3の前壁4に設置した枠状のドアケース2」を有し、「ドア1の上端を、ドアケース2内上部の駆動装置7から、ドア1の開閉方向と直角に揺動自在となるように吊持する、連動アーム9」及び「ドアケース2内の上部で、ドア1が閉鎖位置までくると、ドア1に設けた楔形の係合板15、15を壁側に押圧する押圧ローラ17,17」を設ける構成を備えており、当該構成における「ドアケース2」の「上部」は、相違点2に係る本件発明1の構成における「上枠部」に相当する。 また、甲2発明の上記構成における「ドア1の上端を、ドアケース2内上部の駆動装置7から、ドア1の開閉方向と直角に揺動自在となるように吊持する、連動アーム9」は、上記相違点2に係る本件発明1の構成における「前記遮蔽扉の上部」を「吊り下げる」「前後可動なアーム」に相当する。そして、甲2発明の上記構成における「ドアケース2内の上部で、ドア1が閉鎖位置までくると、ドア1に設けた楔形の係合板15、15を壁側に押圧する押圧ローラ17,17」は、上記相違点2に係る本件発明1の構成における「閉位置に来た前記遮蔽扉を押さえるための上押さえ」に相当する。 甲2発明において、「枠状」の「ドアケース2」の「下部」は、相違点2に係る本件発明1の構成における「下枠部」に相当する。 また甲2発明は、「ドアケース2内下部」に、「ドア1の下端部に取りつけられたガイドローラ12,12を挿合」する「床面(G)に設けられた溝6に敷設した断面U字形のレール13」を有しており、甲2発明における該「断面U字形のレール13」と、上記相違点2に係る本件発明1の構成における「下枠部」が有する「前記遮蔽扉の下部」を「支持」する「下レール」とは、「下枠部」が有する「遮蔽扉の下部」に位置する「下レール」という点で共通する。さらに、甲2発明は、「ドアケース2内の下部」で、「ドア1が閉鎖位置までくると、ドア1に設けた楔形の係合板15、15を壁側に押圧する押圧ローラ17,17」を備える構成を有しており、甲2発明における当該構成は、上記相違点2に係る本件発明1の構成において、「下枠部」が有する「閉位置に来た前記遮蔽扉を押さえるための下押さえ」に相当する。 甲2発明は、「ドア1」が「下端部に、床面(G)に設けられた溝6に敷設した断面U字形のレール13内に挿合されるガイドローラ12,12」を備える構成を有しており、甲2発明における当該構成と、上記相違点2に係る本件発明1の構成における「下レールを挟持するように」設けられた「下ガイド」とは、「下レール」に対応した「下ガイド」という点で共通する。また、甲2発明は、「ドア1」が「閉鎖位置までくるとドアケース2内の上部及び下部に設けられた押圧ローラ17,17,17,17と係合して壁側の気密材5に押圧されるように、ドア1の上部及び下部に楔形の係合板15、15、15、15」を備える構成を有しており、甲2発明における当該構成は、上記相違点2に係る本件発明1の構成のうち、「遮蔽扉」が「閉位置に来たとき」に「前記上下押さえ」によって「シール材に押されるように上下カム」を備える構成に相当する。 以上を整理すると、甲2発明は、上記相違点2に係る本件発明1の構成のうち、「遮蔽扉の上部を前後可動なアームで吊り下げると共に、閉位置に来た前記遮蔽扉を押さえるための上押さえを有する上枠部と、前記遮蔽扉の下部に位置する下レール、及び閉位置に来た前記遮蔽扉を押さえるための下押さえを有する下枠部」とを有し、「遮蔽扉」には「前記下レールに対応した下ガイドが設けられ、さらに閉位置に来たときに前記上下押さえによってシール材に押されるように上下カム」が設けられた構成を有している。 イ 甲2発明が有しない構成 しかしながら、甲2発明は、上記相違点2に係る本件発明1の構成のうち、「前記遮蔽扉の上部を前後可動なアームで吊り下げると共に上レールで支持」し、かつ「前記遮蔽扉の下部を下レールで支持」し、「遮蔽扉」には「上レールを挟持するように上ガイドが設けられ、前記下レールを挟持するように下ガイドが設けられ」、かつ「前記上下レールは、前記アームに吊下された前記遮蔽扉を前記シール材に押し付けたときに前記上下ガイドが抜けるように切欠きが設けられる」構成は、有していない。そのため、甲1発明に甲2発明を組み合わせたとしても、上記相違点2に係る本件発明1の構成に至るものではない。 ウ 甲3発明が有する構成 ここで、上記第4の2(6)イに認定した甲3発明は、「内障子8が室内側へ取り外し可能な防音サッシ」において、「上枠71」の「レール711」に接触する「摺動ブロック2」について、「レール711の室内側と室外側にこれを挟み込む摺動片21,22」を持たせる構成を有しており、甲3発明の当該構成は、「レール」を「挟持するように」「ガイド」を設けるという点では、上記相違点2に係る本件発明1の構成のうち甲2発明が有さない構成と共通する。 エ 組合せについての記載・示唆、及び動機付け しかしながら、甲3発明は「内障子8が室内側へ取り外し可能な防音サッシ」であり、甲2発明のように「ドア1の上端」を「連動アーム9」が「揺動自在となるように吊持」する構成を有していないから、甲2発明とは可動部材であるドアの取り付け構造及び支持構造がそもそも異なる。 そして、甲2発明において、「ドア1の上端」を「連動アーム9」が「揺動自在となるように吊持」する構成を維持したまま、「ドアケース2内の上部」にドアを「支持」する「上レール」を追加し、かつドア下部の「断面U字形のレール13」を「遮蔽扉の下部」を「支持」する「下レール」に変更し、さらに「上レール」と「下レール」に対応するガイドをいずれも「レールを挟持する」ものとしたうえで、「上下レール」に「アームに吊下された前記遮蔽扉を前記シール材に押し付けたとき」に「前記上下ガイドが抜ける」ように「切欠き」を設けることは、甲第2号証及び甲第3号証のいずれの箇所にも、記載も示唆もされていない。 また、前述のとおり甲2発明と甲3発明とは、可動部材であるドア又は障子の取り付け構造及び支持構造がそもそも異なっているから、甲2発明において、下部のレールを改変したり上部にレールを追加したうえで、上下のレールにおいて甲3発明の「摺動ブロック2」が「レール711」を「挟み込む」構成を採用する動機付けはなく、さらにそのうえで、甲2発明が有する下部のレールの「凹部」または甲3発明が有するレール711の「凹み状」の「切欠き712」を、「上下ガイドが抜ける」ものとする動機付けもない。 そして、甲1発明において甲2発明を適用する場合にも、さらに甲3発明を組み合わせたうえで上述の改変を重ねることは、甲第1号証ないし甲第3号証のいずれにも記載も示唆もされておらず、動機付けがあるということもできない。 オ 小括 したがって、甲1発明において、上記相違点2に係る本件発明1の構成を得ることは、甲2発明及び甲3発明に基いて、当業者が容易に想到できたももではない。 そして、相違点2に係る本件発明1の構成を得ることが想到容易でないから、本件発明1は、上記相違点1及び3について検討することを要さず、甲1発明ないし甲3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 よって、本件発明1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 (3)申立人の主張について ア 「ガイドが抜けるように」設けられた「切欠き」について 申立人は申立書において、甲第2号証には「遮蔽扉をシール材に押し付けたときに下ガイドが抜けるように設けられる下レールの切欠き(凹み部)の例」が記載されている旨主張しており(申立書第23頁第24行-第25行)、当該主張は、甲2発明における「断面U字形のレール13」が有する「ドア1下端の案内ローラ12,12が嵌合するように」形成された「凹部18」が、本件発明1における「下レール」に、「下ガイドが抜けるように」設けられた「切欠き」に相当する趣旨と解される。 しかしながら、本件発明1では、「下レール」に設けられる「切欠き」は、「下レールを挟持」する「下ガイドが抜けるように」設けられたものであるから、甲2発明において案内ローラ12が嵌合するように形成された断面U字形のレール13の凹部13が、当該構成に相当するものではない。 そして、甲1発明との相違点2に係る本件発明1の構成と、甲2発明が有する構成とのその余の対比については、上記(2)中で説示したとおりである。 イ 甲1発明、甲2発明及び甲3発明の組み合わせについて また、申立人は申立書において、甲1発明と甲2発明とは技術分野及び課題を共通にしており、甲3発明も甲1発明と技術分野及び課題を同じくしているので、甲1発明に甲2発明及び甲3発明を適用して、本件発明1を想到することは当業者であれば想到容易である旨を主張している(申立書第22頁第23行-第25頁第23行)。 しかしながら、甲2発明と甲3発明とは、可動部材であるドア又は障子の取り付け及び支持構造が大きく異なっており、上記(2)に説示したとおり、甲2発明に甲3発明を組み合わせたうえでさらに上下レールとガイド及び切欠きの構造について改変を重ね、あるいは甲1発明に甲2発明及び甲3発明を組み合わせたうえでさらに同様の改変を重ねることは、動機付けがなく、甲第1号証ないし甲第3号証にも記載も示唆もされていないので、これに反する申立人の主張は採用することができない。 ウ 付加的検討-甲第7号証及び甲第8号証に関して なお、申立人は申立書において、甲第7号証及び甲第8号証に関して、本件のいずれの請求項に係る発明について取消理由を構成する証拠であるのか明確な説明をしていないが、申立書の第22頁第4行-第6行には「さらに甲第7号証には、扉の気密を達成するために、前後に移動自在に吊り下げ、レールからガイドが抜ける構造になっていることも記載されており、また、カム押さえが複数個あることも知られている。」と記載され、また申立書の第2頁から掲載される横長の対応表中では、本件発明1に対応する欄に、甲第7号証からは段落【0027】の「・・・また、ガイド部材25は、このときのガイドローラ19に対応する部分が切除されている。・・・・」という記載等が抜き出され、また甲第8号証からは【請求項1】の「・・・ガイドレールにおける閉扉終端部を、前記開口面側に近接するように形成して配置することにより、前記扉を閉扉終端において前記シールに圧接させる・・・」という記載が抜き出されている。 そこで、甲第7号証や甲第8号証を参照すれば、上記(2)の判断が覆るかを、付加的に検討する。 甲第7号証の「ガイド部材25」は、上記第4の2(10)ウに摘記した図3に示されるとおり、ガイドローラ19がガイド部材25に対して片側で当接するものであるから、レールに該レールを挟持するガイドが抜ける切欠きを形成したものではないし、たとえ甲第7号証のその他の記載をあわせて参酌したとしても、甲1発明と本件発明1との相違点2について上記(2)の判断を覆すような記載や示唆は見いだすことができない。 甲第8号証において申立人が言及する請求項1の記載も、「ガイドレールにおける・・・終端部を、前記開口面側に近接するように形成」するというものであり、レールを近接させることを示すとしても、レールに該レールを挟持するガイドが抜けるような切欠きを設けることを示すものではなく、たとえ甲第8号証のその他の記載をあわせて参酌したとしても、甲1発明と本件発明1との相違点2について上記(2)の判断を覆すような記載や示唆は見いだすことができない。 エ 小括 よって、申立書における申立人の主張を検討しても、また甲第7号証及び甲第8号証の記載をあわせて考慮しても、上記(2)で判断したとおり、本件発明1は甲1発明ないし甲3発明及びその他申立人が提出した証拠に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。 2 本件発明2~5について 申立人は、本件発明2~4も、甲1発明ないし甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明5も、甲1発明ないし甲3発明並びに甲第5号証及び甲第6号証に示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明2~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであると主張する。 しかしながら、本件発明2~5は、いずれも本件発明1をさらに限定し、本件発明1が有する構成を全て有したものであり、上記1に判断したとおり本件発明1は甲1発明ないし甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 そして、申立人が提出したその余の証拠を検討しても、甲第4号証には上記第4の2(7)の摘記に示されるとおり、気密式引戸装置において押圧部材70からの押圧力を受けるための被押圧部材78の扉体厚さ方向突出寸法を、開き側の被押圧部材78Aと閉じ側の被押圧部材78Bとで異ならせることが記載され、また甲第5号証及び甲第6号証には、上記第4の2(8)及び(9)に摘記した図に示される形状の、シール部材が記載されているものの、本件発明1が有する構成について、上記1の判断を覆すような記載や示唆を見いだすことはできない。 したがって、本件発明2~5における付加的構成について検討することを要さず、本件発明2~5は、申立人が提出した証拠に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできず、本件発明2~5に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 3 本件発明6について 申立人は、本件発明6は「遮蔽扉」を構成する1つの構成要素として本件発明1ないし5の「気密維持機構」を備えるところ、本件発明1では気密維持機構を構成する1つの構成要素として遮蔽扉を備えているから、本件発明6と本件発明1とは遮蔽扉の取扱が矛盾しており、本件発明6は明確でない旨を主張している(申立書第28頁第7行-第14行)。 そこで、本件発明6が明確であるかを検討する。 本件発明1は、「遮蔽扉」を一つの構成要素として含む「遮蔽扉の気密維持機構」であり、本件発明2ないし5は、本件発明1に付加的特定を加えた「遮蔽扉の気密維持機構」である。そのうえで、本件発明6は、請求項6の記載により「請求項1乃至5の何れか一に記載の気密維持機構を備える、ことを特徴とする遮蔽扉。」と特定されている。 当該請求項6の記載より、本件発明6は、本件発明1の「遮蔽扉の気密維持機構。」が有する構成を全て備えた「遮蔽扉」として特定されており、本件発明1が「気密維持機構」中の1つの要素として備える「遮蔽扉」のみを取り出した単体物とは区別されることが、明らかである。 そして、この点に関して、第三者に不測の不利益を生じる程に、本件発明6が不明確になっているという事情もない。 したがって、本件発明6は、申立人が主張する点で不明確なものではなく、本件発明6に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由、証拠によっては、本件発明1~6に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2019-700437

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