特許訂正審判
2019-390036
分散麻酔薬デバイス
- 審判番号
- 2019-390036
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2014-531306外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年03月05日
- 審決日
- 2019年04月15日
- 公報発行日
- 2019年07月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】ユニバーシティ カレッジ カーディフ コンサルタンツ リミテッド
- 【請求人代理人】内田 直人
- 分類
- P141 .851-Y (A61M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6081464号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6081464号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件特許第6081464号は、2012年(平成24年)9月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年9月21日、英国)を国際出願日として出願された特願2014-531306号の請求項1~20に係る発明について、平成29年1月27日に特許権の設定登録がされ、その後、平成31年3月5日に本件訂正審判が請求されたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第6081464号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付の訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであり、請求人が求めている訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。(審決注:下線部分は訂正箇所であり、請求人が訂正特許請求の範囲において示したとおりである。)
1 訂正事項1
以下のとおり、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1の記載を訂正後の請求項1の記載のとおり訂正する。
(訂正前)「【請求項1】
吸入または揮発麻酔薬を患者に送達するための吸入デバイスとともに使用するための麻酔薬カートリッジであって、
調節可能なスターラーまたは撹拌器と、
エマルジョンの形態の麻酔薬制御放出媒体および少なくとも1種の選択された吸入麻酔薬を含む製剤
を備え、前記麻酔薬に対する前記媒体の量は、前記調節可能なスターラーまたは撹拌器を使用した場合、選択された最小肺胞内濃度(MAC)で、0.25~4.0×最小肺胞内濃度(MAC)の範囲内の実質的に一定または制御可能な速度で麻酔薬が送達され、それによりi)麻酔の誘導および/もしくは維持、またはii)沈静が可能となるような量である、麻酔薬カートリッジ。」
(訂正後)「【請求項1】
吸入または揮発麻酔薬を患者に送達するための吸入デバイスとともに使用するための麻酔薬カートリッジであって、
調節可能なスターラーまたは撹拌器と、
不揮発性の非麻酔薬成分を含むエマルジョンの形態の麻酔薬制御放出媒体および少なくとも1種の選択された吸入麻酔薬を含む製剤を備え、前記麻酔薬に対する前記媒体の量は、前記調節可能なスターラーまたは撹拌器を使用した場合、選択された最小肺胞内濃度(MAC)で、0.25~4.0×最小肺胞内濃度(MAC)の範囲内の実質的に一定または制御可能な速度で麻酔薬のみが送達され、それによりi)麻酔の誘導および/もしくは維持、またはii)沈静が可能となるような量である、麻酔薬カートリッジ。」
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
3 訂正事項3
以下のとおり、願書に添付した特許請求の範囲の請求項4の記載を訂正後の請求項4の記載のとおり訂正する。
(訂正前)「【請求項4】
前記エマルジョンが、ハロゲン化非イオン性界面活性剤、エチレンオキシド系フルオロカーボン界面活性剤、プロピレンオキシドまたはエチレンオキシド系炭化水素界面活性剤、部分フッ素化スルホスクシネート界面活性剤および分岐状炭化水素スルホスクシネート界面活性剤を含む群から選択される1つまたは選択された組合せを含む、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤により提供される、請求項1から3のいずれか一項に記載の麻酔薬カートリッジ。」
(訂正後)「【請求項4】
前記エマルジョンが、ハロゲン化非イオン性界面活性剤、エチレンオキシド系フルオロカーボン界面活性剤、プロピレンオキシドまたはエチレンオキシド系炭化水素界面活性剤、部分フッ素化スルホスクシネート界面活性剤および分岐状炭化水素スルホスクシネート界面活性剤を含む群から選択される1つまたは選択された組合せを含む、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤により提供される、請求項1又は2に記載の麻酔薬カートリッジ。」
4 訂正事項4
以下のとおり、願書に添付した特許請求の範囲の請求項5の記載を訂正後の請求項5の記載のとおり訂正する。
(訂正前)「【請求項5】
前記エマルジョンが、Zonyl FSN-100、Capstone FS-3100、Chemguard S-550L-100、Polyfox 159、Brij O20、Tween、およびCapstone FS-63を含む群から選択される1つまたは選択された組合せを含む、少なくとも1種の界面活性剤により提供される、請求項1から3のいずれか一項に記載の麻酔薬カートリッジ。」
(訂正後)「【請求項5】
前記エマルジョンが、Zonyl FSN-100、Capstone FS-3100、Chemguard S-550L-100、Polyfox 159、Brij O20、Tween、およびCapstone FS-63を含む群から選択される1つまたは選択された組合せを含む、少なくとも1種の界面活性剤により提供される、請求項1又は2に記載の麻酔薬カートリッジ。」
5 訂正事項5
以下のとおり、願書に添付した特許請求の範囲の請求項6の記載を訂正後の請求項6の記載のとおり訂正する。
(訂正前)「【請求項6】
前記エマルジョンが、10~1000nmの液滴サイズを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の麻酔薬カートリッジ。」
(訂正後)「【請求項6】
前記エマルジョンが、10~1000nmの液滴サイズを有する、請求項1、2及び4のいずれか一項に記載の麻酔薬カートリッジ。」
6 訂正事項6
以下のとおり、願書に添付した特許請求の範囲の請求項7の記載を訂正後の請求項7の記載のとおり訂正する。
(訂正前)「【請求項7】
麻酔薬含量が、0.25~44体積%である、請求項1から6のいずれか一項に記載の麻酔薬カートリッジ。」
(訂正後)「【請求項7】
麻酔薬含量が、0.25~44体積%である、請求項1、2及び4から6のいずれか一項に記載の麻酔薬カートリッジ。」
7 訂正事項7
以下のとおり、願書に添付した特許請求の範囲の請求項8の記載を訂正後の請求項8の記載のとおり訂正する。
(訂正前)「【請求項8】
ゲル化剤をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の麻酔薬カートリッジ。」
(訂正後)「【請求項8】
ゲル化剤をさらに備える、請求項1、2及び4から7のいずれか一項に記載の麻酔薬カートリッジ。」
8 訂正事項8
以下のとおり、願書に添付した特許請求の範囲の請求項10の記載を訂正後の請求項10の記載のとおり訂正する。
(訂正前)「【請求項10】
前記麻酔薬制御放出媒体および前記麻酔薬が、前記カートリッジ内で互いに混合されると、カートリッジ内で10~60cm2の表面積を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の麻酔薬カートリッジ。」
(訂正後)「【請求項10】
前記麻酔薬制御放出媒体および前記麻酔薬が、前記カートリッジ内で互いに混合されると、カートリッジ内で10~60cm2の表面積を有する、請求項1、2及び4から9のいずれか一項に記載の麻酔薬カートリッジ。」
9 訂正事項9
以下のとおり、願書に添付した特許請求の範囲の請求項12の記載を訂正後の請求項12の記載のとおり訂正する。
(訂正前)「【請求項12】
前記少なくとも1種の麻酔薬、または麻酔薬の組合せが、デスフルラン、イソフルラン、ハロタン、エンフルラン、セボフルランおよびメトキシフルランを含む群から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の麻酔薬カートリッジ。」
(訂正後)「【請求項12】
前記少なくとも1種の麻酔薬、または麻酔薬の組合せが、デスフルラン、イソフルラン、ハロタン、エンフルラン、セボフルランおよびメトキシフルランを含む群から選択される、請求項1、2及び4から11のいずれか一項に記載の麻酔薬カートリッジ。」
10 訂正事項10
以下のとおり、願書に添付した特許請求の範囲の請求項13の記載を訂正後の請求項13の記載のとおり訂正する。
(訂正前)「【請求項13】
4℃から40℃の温度範囲にわたり機能する、請求項1から12のいずれか一項に記載の麻酔薬カートリッジ。」
(訂正後)「【請求項13】
4℃から40℃の温度範囲にわたり機能する、請求項1、2及び4から12のいずれか一項に記載の麻酔薬カートリッジ。」
11 訂正事項11
以下のとおり、願書に添付した特許請求の範囲の請求項15の記載を訂正後の請求項15の記載のとおり訂正する。
(訂正前)「【請求項15】
患者の顔の上に位置付けるためのマスクと、前記マスクと流体連通する呼吸可能ガスの供給部と、請求項1から14のいずれか一項に記載の少なくとも1つの放出可能麻酔薬カートリッジ用の少なくとも1つの結合ポートとを備える吸入デバイスを備え、さらに、前記カートリッジから放出された麻酔薬が、前記患者に送達される前に前記呼吸可能ガスと混合されるように適合または構成されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の麻酔薬カートリッジ。」
(訂正後)「【請求項15】
患者の顔の上に位置付けるためのマスクと、前記マスクと流体連通する呼吸可能ガスの供給部と、請求項1、2及び4から14のいずれか一項に記載の少なくとも1つの放出可能麻酔薬カートリッジ用の少なくとも1つの結合ポートとを備える吸入デバイスを備え、さらに、前記カートリッジから放出された麻酔薬が、前記患者に送達される前に前記呼吸可能ガスと混合されるように適合または構成されている、請求項1、2及び4から14のいずれか一項に記載の麻酔薬カートリッジ。」
12 訂正事項12
以下のとおり、願書に添付した特許請求の範囲の請求項20の記載を訂正後の請求項20の記載のとおり訂正する。
(訂正前)「【請求項20】
ヒトにおける使用または獣医学的使用に適合された、請求項1から19のいずれか一項に記載の麻酔薬カートリッジ。」
(訂正後)「【請求項20】
ヒトにおける使用または獣医学的使用に適合された、請求項1、2及び4から19のいずれか一項に記載の麻酔薬カートリッジ。」
第3 当審の判断
1 訂正の目的について
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、エマルジョンを「不揮発性の非麻酔薬成分を含む」ものに限定し、また、吸入デバイスで患者に麻酔薬を送達することに関して、麻酔薬としていたものを、麻酔薬「のみ」と限定するものである。
したがって、訂正事項1は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるといえるので、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものに該当する。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項3を削除するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当する。
(3)訂正事項3から12について
訂正事項3から12は、訂正前の請求項4から8、請求項10、請求項12、請求項13、請求項15及び請求項20を、請求項3を引用しないものに訂正するものであって、多数項を引用している請求項の引用請求項を減少するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
よって、訂正事項3から12は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当する。
2 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更について
(1)訂正事項1について
願書に添付した明細書の段落【0047】には「エマルジョンは、疎水性分子を水中に安定に分散させることができる。本発明において、我々は、麻酔薬分子を水中に分散させるためにエマルジョンを形成した。したがって、我々は、直鎖フルオロカーボン疎水性鎖を有するエチレンオキシド系界面活性剤等のハロゲン化非イオン性界面活性剤、およびプロピレンオキシドまたはエチレンオキシド炭化水素界面活性剤を含む市販の非イオン性界面活性剤を使用した。当業者には、図4に示されるように、本発明を実施するために使用され得る他の既知の界面活性剤または安定剤(ポリマー、粒子、界面活性剤または脂質を含むがこれらに限定されない)が認識される。理想的な界面活性剤は、不揮発性を有するものであり、これにより、呼吸可能ガスが前記麻酔薬制御放出媒体を通って、またはその上を通過した場合に、麻酔薬のみが前記麻酔薬制御放出媒体から放出される。」との記載がある。
すなわち、エマルジョンは、「不揮発性の非麻酔薬成分(界面活性剤)を含む」こと、及び麻酔薬「のみ」が麻酔薬制御放出媒体から放出されることが記載されている。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でした訂正である。
また、訂正事項1は、発明特定事項における直列的要素の削除若しくは択一的記載の要素の追加又は発明特定事項の上位概念への変更ではなく、発明のカテゴリーを変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項ないし第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、請求項の削除であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でした訂正である。
また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第5項ないし第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項3から12について
訂正事項3から12は、多数項を引用している請求項の引用請求項を減少するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でした訂正である。
また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項3から12は、特許法第126条第5項ないし第6項の規定に適合する。
3 独立特許要件について
(1)訂正事項1について
本件訂正後の請求項1に係る発明は、拒絶すべき理由を有しない特許発明を、減縮するものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明でないことは明らかである。また、本件訂正後の請求項2、4~20に係る発明は、本件訂正後の請求項1に係る発明をさらに限定するものであるから、同様に、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明でないことは明らかである。
(2)訂正事項2から12について
訂正事項2は、請求項3の削除であり、また、訂正事項3から12は、請求項3の削除に伴い、下位請求項における請求項3の引用を削除するものであって、これにより、上記(1)における訂正後の請求項1、2、4~20に係る発明の独立特許要件の判断が変わることはない。
(3)まとめ
したがって、訂正事項1から12は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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