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商標取消審判

2019-300876

リーダー

審判番号
2019-300876
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願1996-067085
登録番号
4129208
請求日
2019年11月28日
審決日
2021年10月29日
公報発行日
2022年10月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】フェダル エンタープライズ カンパニー リミテッド
  • 【請求人代理人】特許業務法人あい特許事務所
  • 【被請求人】株式会社 BROTURES
  • 【被請求人代理人】渡邉 穣
審判長/審判官
  • 審判長 榎本 政実
  • 審判官 小松 里美
  • 審判官 小俣 克巳
分類
T131 .1 -Y (012)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第50条、商標法第2条第3項第1号、商標法第2条第3項第2号、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第1項、商標法第38条第5項、商標法第50条第2項、商標法第2条第1項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第4129208号の2商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第4129208号の2商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成8年6月20日に登録出願、同10年3月27日に設定登録された登録第4129208号商標の商標権の分割に係るものであって、第12類「自転車並びにそれらの部品及び付属品」を指定商品として、平成30年12月27日を受付日とする商標権の分割移転の登録がされたものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和元年12月9日である。 なお、本件審判において商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成28年12月9日ないし令和元年12月8日である(以下「要証期間」という場合がある。)。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項により取り消されるべきものである。 2 令和2年5月7日付け審判事件弁駁書における主張 (1)本件商標の使用証明が不十分であることについて 乙第1号証ないし乙第7号証、乙第8号証の1ないし46及び72、乙第9号証の1ないし53及び91ないし93、並びに、乙第10号証ないし乙第13号証は、その中に表れた日付や被請求人提出の「証拠説明書」の記載から明らかに要証期間外のものと認められるものであり、これらの乙各号証によっては、本件商標が、要証期間に指定商品について使用されていたとはいえない。 乙第8号証の48ないし71、乙第9号証の54ないし90の請求書写しについては、一応、要証期間の日付が記載されているものの、その発行者はいずれも被請求人自身であり、他の客観的な裹付資料は提出されていないものである。 これらの請求書の写しには印鑑等が見あたらず、実際に納品先へ送付されたかも明らかでない。 このような書式の請求書は電子的に簡単に作成できることをも考えると、これらの請求書写しが、実際に本件商標が付された商品が販売されたことを充分に証明しているとはいえない。 また、そこに表された「LEADER」や「LEADER BIKES」等の文字は、後述するように本件商標と社会通念上同一の商標とは認められないものであり、これらの乙各号証によっては、本件商標が、要証期間に指定商品について使用されていたとはいえない。 乙第14号証については、その表紙と思しきページに「2016-17 GEARBOOK」なる表記がされているものの、この資料が実際に印刷されたことを証する資料は何ら提出されていない。 被請求人は、この乙第14号証により、本件商標の広告的使用がされたことを主張しているのかもしれないが、この資料が実際のところ誰にいつ配布されたかも不明である。 また、そこに表された「LEADER」、「LEADER BIKES」等の文字は、後述するように本件商標と社会通念上同一の商標とは認められないものであり、この書証によっても、本件商標が、要証期間に指定商品について使用されていたとはいえない。 このように、被請求人が答弁書とともに提出した乙各号証によっては、本件商標が、要証期間に指定商品について使用されたことは何ら証明されていない。 (2)乙各号証中の商標が本件商標と社会通念上同一の商標でないことについて ア 被請求人が答弁書とともに提出した書証には、「LEADER」、「LEADER BIKES」、「リーダーバイク」、「LEADER BIKE (リーダーバイク)」といった表記がされているとして、被請求人は、これが本件商標と社会通念上同一の商標であると主張している。 しかしながら、両者は同一の商標とは到底いえず、被請求人の主張はこの点においても全く失当である。 すなわち、本件商標は上段に「LEADER」なる通常のブロック書体の欧文字を表し、下段にその2倍以上の大きさで特殊な書体からなる「リーダー」という片仮名を顕著に表してなる。下段の片仮名は、各文字を構成する極太線の左上方の角に丸みを持たせ、それ以外の角は鋭く表し、全体として丸みと鋭角とを組み合わせた特殊な斜体文字を構成している。「ダ」の濁点はこの斜体の調和を乱さないよう、通常の打ち方とは全く異なる、右上から左下に伸びる方向に表されている。 また、「リ」の左縦線の下辺、2文字目の「ー」の下辺、「ダ」の左縦線及び横線の下辺、4文字目の「ー」の下辺は一直線上に配置され、2文字目「ダ」の横線及び4文字目が同じ太さで一体的に表されていることから、全体として1文字目の「リ」の左縦線の下方を起点とし「リ」の横から右へ水平にまっすぐに伸びる横棒が下段の片仮名部分の真ん中を横に貫いているかのごとき外観を呈しており、大きく表された下段の片仮名部分に特殊なレタリングが施されていることが一目瞭然である。 よって、本件商標は単純な欧文字と片仮名の2段で横書きしてなるものとはいえず、その特殊なレタリング、表示態様が自他商品識別性の上で重要な要素となっているものであり、この商標が使用されているというためには、少なくとも、下段の片仮名と外観上同視できるレタリング、表示態様で使用商標が表されている必要がある。 イ 本件商標は下段が上記のような特殊なレタリング、表示態様の商標であるところ、被請求人が使用していると主張する商標は通常書体の「LEADER」や本件商標とデザイン手法が全く異なる「LEADER」という商標である。 これらは、本件商標中の欧文字部分とつづりを同じくし、あるいは上段を使用すると理解し得るかもしれないが、本件商標のような特徴的な片仮名部分は伴っておらず、本件商標の識別性上の重要な要素は含まれていない。 また、書体やレタリングも本件商標の片仮名部分とは全く異なるものであり、全体として捉えたときにも、被請求人が使用していると主張する商標は、外観において本件商標と同視できるものとは到底いい得ないものであって、同一の商標ではない。 被請求人は、登録商標と使用商標とが社会通念上同一の商標として許容される「審判便覧(第18版)」において「登録商標の使用と認められる事例」として「平仮名及び片仮名とローマ字相互間の使用」の例を挙げているが、これらはあくまでも、いずれもが通常書体で表されている場合の例であり、特殊なレタリング、表示態様が施されている登録商標を通常書体や他のレタリングの商標で表した場合の例ではなく、本件商標のケースと同視することはできない。 また、審判便覧にある「その他社会通念上同一と認められる商標」の「登録商標が2段併記等の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部が観念を同一とするときに、その一方の使用」の例も、同様の理由から本件商標のケースには当てはまらない。 むしろ、本件商標の片仮名「リーダー」に通ずる英語は、「LEADER」(指導者等の意)の他にも「READER」(読者等の意)があるところであり(甲2)、片仮名「リーダー」は英語「LEADER」と一対一の関係にあるわけではなく、このような場合は、審判便覧において「登録商標の使用と認められない事例」とされている「同一の称呼を生ずる場合があって、平仮名及び片仮名とローマ字のいずれかに別異の観念が含まれるときの相互間の使用」に当たると解すべきである。 本件商標と被請求人が使用していると主張する商標とは、称呼、観念の点で共通し、外観の点で相紛らわしい類似の商標であることには、請求人も異論はないが、上記したように、その外観が大きく異なり、両者が社会通念上同一の商標とまではとてもいえないものである。 そのほか、被請求人が使用していると主張する商標「LEADER BIKES」、「リーダーバイク」、「LEADER BIKE (リーダーバイク)」については、「BIKES」、「バイク」、「BIKE」という文字が付加されることにより、商標全体として「(業界の)リーダー的存在のバイク」のごとき、単なる「LEADER」や「リーダー」から生ずる「指導者」の観念、イメージとは異なる観念、イメージを生じる一種の造語を構成するようになっており、これら商標の使用によっても、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されているとは到底いえないところである。 ウ 上記のような、両商標が同一とは認められないという請求人の主張は、登録商標「ICM」と使用商標「lCM」(通常書体)等とを社会通念上同一の商標とは認めなかった審決例(甲3 取消2005-30480号)の判旨とも合致し、是認されるべきである。 (3)被請求人による商標使用の正当性等について ア 被請求人は、今般の「答弁の理由」の冒頭において、自身がアメリカのLEADEREという自転車メーカーの日本における販売代理店であるかのような主張をし、過去から現在に至るまでそのような地位に立って誠実に本件商標の使用をしているかのように装い、本件審理に不当な影響を及ぼそうとしている。 しかしながら、被請求人はそのような地位にはないことを、請求人は以下のとおり付言する。 イ アメリカのLEADERという自転車メーカー(乙第10号証の最終頁に住所が記載され、乙第14号証にも言及がある「リーダーバイク社(正式には「Leader Bike,LLC」)」、以下「旧LEADERBIKE USA」という。)は、被請求人も自認するごとく、アメリカのカリフォルニアにおいて流行したピストバイクの人気メーカーであり、日本でもそのことを販売、イメージ戦略の基礎に据え販売がされてきたことから、アメリカのファッションや動向に敏感な日本の若者を中心とする需要者、そして取引者の間で広く知られていたものである。 その事業に係る保有資産、権利一切は2017年に請求人に譲受されたものであり、現在、アメリカに存在するリーダーバイク社(以下「現LEADERBIKES USA」という。)は、請求人の社長の子息が代表を務め、実質的に請求人の支配を受けているものである(甲4~甲6)。 「旧LEADERBIKE USA」は、2016年にアメリカ合衆国連邦破産法第7章による破産を連邦地方裁判所に申請している(甲4)。 また、その会社の実質的なオーナーであり社長であったA氏も同時に破産申請し、両者の破産事件は、利害関係等に共通する部分が多いことから、審理が併合して行われた(甲4)。 請求人は、当時の破産管財人と協議の上、A氏及び「旧LEADERBIKE USA」の事業に関する商標権やウェブサイトに係る権利等を含む一切の資産及び権利を譲り受け、米国については関連会社の「Firewheel USA,LLC」名義で、それ以外については請求人名義で保有、管理しているものである(甲4、甲5)。 「Firewheel USA, LLC」はその後に名称を「Leader Bikes LLC」と変更し(現LEADERBIKES USA)、代表者は請求人会社の社長の子息が勤めている(甲6)。 すなわち、「現LEADEBIKES USA」は、請求人の実質的な支配下にある。 上記の譲渡は、当然のことながら、連邦地方裁判所の許可を受け適法に行われたものであり、A氏及び「旧LEADERBIKE USA」の事業、資産及び権利の正当な承継人は、請求人及び「現LEADERBIKES USA」である(甲4~甲6)。 請求人は、この権利の承継を受け、日本の代理店候補として被請求人に接触をしたが、被請求人はその申出を断った。 そのため、請求人は日本において他のビジネスパートナーを得て、そのビジネスパートナーが「株式会社リーダーバイクジャパン」を設立し、日本における正規総輸入会社として事業活動をしている。 しかるに、被請求人は、もはや請求人と事業上の関係がなく何らの許諾も得ていないにも拘わらず、請求人以外の者が製造した自転車やその部品、附属品を輸入し日本で販売し続けているものである。 被請求人は、請求人からの再三の通告にも関わらず、それを無視し商品販売を継続している。 この関係で、請求人は、承継した日本の商標権(登録第5568215号)に基づいて輸入差止の申立を行っており、それが受理され現在も有効である(甲7)。 実際に、被請求人が輸入しようとした商品「自転車」とその部品「自転車用ハンドル」について、平成30年3月27日に侵害物品であるとの認定もされた経緯がある(甲8)。 他方、「LEADER」を要部とする商標については、「本田技研工業株式会社(東京都港区)」が本件商標と同一の商標につき登録第4129208号を第12類の商品「自動車並びにその部品及び附属品、二輪自動車・自転車並びにその部品及び附属品」について有していたことから、請求人は、その登録を得ることができていなかった。 そのため、同社と交渉して商標権の分割譲渡を受けることを社内で検討していたものである。 ところが、請求人がこの交渉を開始しておらず権利の分割譲渡を受けていなかったことを奇貨として、被請求人が「本田技研工業株式会社」に先にコンタクトしてしまい、商標権の分割譲渡を受けその登録を備えてしまったものである(本件商標の登録)。 このような行為は、過去の販売店が自己の地位を有利にしようとして真の商標の所有者(外国会社)に無断で行ったものであり、公正な取引秩序や国際信義の面から到底許されるものではない。 請求人は、今後、本件商標につき無効審判を請求することも辞さない構えであるが、本件商標は、明らかに同一の商標が使用されていないと認められる案件であったため、まずは本件の不使用取消審判を請求したものである。 3 令和3年7月9日付け審判事件弁駁書(第2回)における主張 (1)乙各号証中の商標が本件商標と社会通念上同一の商標でないことについて ア 被請求人が提出した書証やその掲載商品に、「LEADER」、「LEADER BIKES」、「リーダーバイク」、「LEADER BIKE(リーダーバイク)」といった表記がされているとして、被請求人は、これが本件商標と社会通念上同一の商標であると主張しているところ、これらは同一の商標と到底いえず、被請求人の主張が失当であることは、先の審判事件弁駁書においても請求人が述べたとおりである。 本件商標は、単純な欧文字と片仮名の2段横書きからなるものではなく、下段の片仮名部分が商標中の3分の2以上の面積を占め大きく強調された特異な構成をしており、その特殊なレタリング、表示態様とそれを通常書体の欧文字部分と組み合わせた特異な全体構成が自他商品識別性の面で重要な要素となっているものであり、この商標が使用されているというためには登録商標のような全体構成、あるいは、少なくとも、下段の片仮名と外観上同視できる特徴的なレタリング、表示態様で使用商標が表されている必要がある。 被請求人が使用していると主張する商標「LEADER」は、通常書体の「LEADER」や本件商標とデザイン手法が全く異なるものである。これらは、本件商標中の欧文字部分とつづりを同じくし、上段単独を見ればこれを使用するものと理解し得るかもしれないが、本件商標のような特徴的な片仮名部分は伴っておらず、本件商標の識別性の面で重要な役割を果たす要素は含まれていない。商標全体として捉えたときにも、被請求人が使用していると主張する商標は、外観において本件商標が発揮する識別性と同じ識別性を発揮するものとして需要者、取引者に受け留められるとは到底いえない。 「特許庁審判便覧(第18版)」(以下「審判便覧」という。)にある「その他社会通念上同一と認められる商標」の「登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部が観念を同一とするときに、その一方の使用」の例も、先の審判弁駁書において請求人が述べたように、本件商標のケースには当てはまらない。また、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」(商標法第38条第5項括弧書き、商標法第50条)についても、「書体」は主に常識的な書体間のことを指しているのであって、登録されている商標が、本件商標ほど特徴的なレタリング、表示態様である場合に、そのデザイン的特徴、すなわち、商標の識別性上の重要な要素を一切排除し使用するときまで、社会通念上同一と解すると定めているものではない。 被請求人は、回答書とともに乙第26号証及び乙第27号証の審決例を提出しているが、いずれもごく通常の書体の文字を2段または3段に配してなる商標に関するものであり、本件商標とは事案を全く異にする。本件は、通常書体の欧文字と仮名を2段や3段に配してなる商標を、通常書体の欧文字部分のみで使用したという事案ではなく、通常書体からなる欧文字とそれを遙かに上回る大きさの特徴的な片仮名を2段に配してなる登録商標を、その特徴的な片仮名部分のデザイン的特徴、すなわち、商標の識別性の面での重要な要素を一切踏襲することなく完全に排した形で欧文字部分のみを使用しているという事案である。 ここに改めて言及するところであるが、本件商標と被請求人が使用していると主張する商標とが、称呼、観念の点で共通し、外観の点で相紛らわしい類似の商標であることには、請求人も異論はない。しかしながら、上記したように、両商標はその外観的特徴、すなわち、商標の識別性上の重要な要素が大きく異なり、両者が社会通念上同一の商標とまでとてもいえないことは明らかである。 イ その他、被請求人が使用していると主張する商標「LEADER BIKES」、「リーダーバイク」、「LEADER BIKE(リーダーバイク)」は、「BIKES」、「バイク」、「BIKE」という文字が付加されることにより、商標全体として「(業界の)リーダー的存在のバイク」のごとき、単なる「LEADER」や「リーダー」から生ずる「指導者」の観念・イメージとは異なる観念・イメージを生ずる一種の造語を構成するようになっており、これら商標の使用によっても、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されているといえないことも、先の審判弁駁書において請求人が述べたところである。 「LEADER BIKES」、「リーダーバイク」、「LEADER BIKE(リーダーバイク)」が、本件商標と同一の商標でないことは、請求人によって商標「LEADERBIKES」が本件商標と非類似の商標として登録されていることからも明らかである(商標登録第6070405号、同第6305963号)。 (2)本件商標の使用証明が依然不十分であることについて ア 被請求人が、回答書に添付して追加提出した乙第15号証ないし乙第25号証は、いずれも信ぴょう性に欠けるものであるか、又は、裏付けがなくそれが真正なものであるか確認できないものであって、商品が実際に取引されたことを客観的に裏付ける資料といえるものではない。 乙第15号証は、移転登録後の要証期間の日付が付された乙第9号証の79ないし90に表れた「DINER」なる納品先の代表者による「商品の受領等証明書」であるとのことである(なお、いずれにも本件商標は表れていない)。 しかしながら、これは当事者たる被請求人から離れた客観的な立場にある者による証明書とはいえないものであり、その内容の信ぴょう性は低い。なぜならば、この「DINER」が被請求人と取引関係にあり、被請求人の販売する商品を仕入れユーザーに販売していたのであれば、それは令和2年5月7日付け審判事件弁駁書において指摘された経緯、事情からすれば、請求人から訴えを提起されうる行為をしていたということになり、この「DINER」は、被請求人と一蓮托生の立場にあって利害関係を共通にしているからである。また、この証明書の内容を見ても、他の者の発行にかかる乙第21号証と内容が共通しており、これは、被請求人あるいはその代理人が予め準備した文書に、依頼されるがまま署名、捺印をしたにすぎないと推認され、発行者がその内容や添付書類を充分確認、理解した上で署名、捺印をしたものとは認めがたい。乙第21号証も同様である。なお、乙第21号証においては会社名すら記載されておらず、署名、捺印者の注意力に疑問があり、その点からも証明力に疑義を拭えない。 また、移転登録後の要証期間の日付が付された乙第17号証の3ないし14は、いずれも、電子的に簡単に作成できるものであり、また、その日付や内容は、乙第19号証に徴しても乙第9号証と充分に整合しておらず、乙第9号証に表れた事項を客観的に証明したものとはいえない。被請求人は、乙第20号証も提出しているが、これも電子的に簡単に作成・加工できるものであってその印刷日も乙第20号証からは不明であり、また、この書証に表れたシステムがどのようなものか他の乙各号証を見ても裏付けがなく明らかではない。乙第16号証及び同第18号証についても上記と同様のことがいえ信ぴょう性に疑義がある。 さらに、移転登録後の要証期間の日付の入った乙第22号証の5ないし15についても、これらは電子的に簡単に作成できるものであって、これらが移転登録後の要証期間に存在したことを裏付ける客観的資料は何ら提出されていない。 乙第23号証については、「LEADER」なる表記がされているものの、このパンフレットなるものが実際に印刷されたことを証する資料は何ら提出されておらず、作成年月日も不明である。被請求人は、この乙第23号証により、本件商標の広告的使用がされたことを立証しようとしているのかもしれないが、この資料が実際のところ誰にいつ配布されたかも不明である。 さらに、本件商標が使用されたとされる商品がどのようなものであるかを立証しようとしているのかもしれないが、このパンフレットなるものが移転登録後の要証期間の書証と認められない以上、本件審判の審理において、この書証は考慮されるべきでない。また、そこに表された「LEADER」等の文字は、上述したように本件商標と社会通念上同一の商標とは認められないものであり、この書証によっても、本件商標が移転登録後の要証期間に指定商品について使用されていたとはいえない。 乙第24号証については、これらの書証がいつのものであるのかの記載が全くなく、本件審判の審理において、この書証は考慮されるべきでない。 乙第25号証においては、「LEADER BIKES/リーダーバイク」という記載が認められるものの、上述したように本件商標と社会通念上同一の商標とは認められないものであり、この書証によっても、本件商標が、移転登録後の要証期間に指定商品「第12類 自転車並びにそれらの部品及び附属品」について使用されていたとはいえないところである。 (3)被請求人による商標使用が適法でないことについて 先の審判弁駁書において請求人が指摘したとおり、請求人は、破産したA氏及び「旧LEADERBIKE USA」の事業に関する商標権やウェブサイトに係る権利等を含む一切の資産及び権利を譲り受けており、被請求人は、もはや請求人と事業上の関係がなく請求人から何らの許諾も得ていないにもかかわらず、請求人以外の者が製造した自転車やその部品、附属品を輸入し日本で販売し続けているものである。また、「LEADER」を要部とする商標について、「本田技研工業株式会社」との間で請求人が分割譲渡交渉を開始しておらず権利の分割譲渡を受けていなかったことを奇貨として、被請求人が事情を知らない同社から商標権の分割譲渡を受けその登録を外形的に備えてしまったものである。 このような被請求人の行為は、過去の販売店が自己の地位を有利にしようとし真の商標主たる外国会社(請求人)に無断で行ったものであり、その外国会社の商標に化体した信用、評判にただ乗りする意図によるものであって、公正な取引秩序や国際信義の面から到底許されるものではない。そのような不正な意図をもって分割譲渡を受けた商標権にかかる商標の使用を、商標法第50条の登録商標の使用と認めることは、違法な状態の下に信用の蓄積を認めることになり許されず、かかる違法な使用は、商標の公正、適法な使用によって菩積された商標の信用に保護を与える商標法の趣旨に反し、商標法第50条にいう登録商標の使用に当たらないと考えるべきである。本件登録の取消を免れるために被請求人が証明しなければならない登録商標の使用は、その使用自体が法的保護に値する正当な行為といえるものでなければならない。いわゆるピーターラビット事件(平成18年10月26日知的財産高等裁判所判決、平成18年(行ケ)第10185号ないし第10190号)の判旨に照らしても、このような請求人の考えは是認されるべきである。 (4)結語 以上に述べたとおり、被請求人の提出に係る証拠方法によっては、本件商標が、審判請求前3年以内に請求に係る指定商品について使用されたものとは認められない。 また、被請求人は、請求に係る指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第27号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 令和2年3月9日付け審判事件答弁書における主張 (1)総論 被請求人は、2010年頃から現在に至るまで、本件商標の英語表記である「LEADER」を商品名とする自転車(ピストバイクという種類の競技用自転車、以下「LEADER」という。)並びにその部品や付属品を商品として扱い、業者への仲卸し、並びにエンドユーザーへの小売業を営んできた。 本件商標の分割移転登録を申請したのは平成30年12月27日、登録が完了したのは平成31年1月16日である(甲1)が、その日から現在に至るまで、被請求人は本件商標をその指定商品について使用し続けている。 (2)被請求人におけるLEADERの販売方法等 LEADERは、元々はアメリカのカルフォニアにおいて流行したピストバイクという競技用自転車のブランドであって、被請求人は、LEADERの日本における販売代理店としての権利を取得し、2010年頃より、アメリカのLEADERメーカーから商品を輸入し、日本国内においてその販売を開始した(乙1)。 被請求人におけるLEADERの販売経路は以下のとおりである。 まず、渋谷区原宿、横浜、大阪、吉祥寺に直営店を構え、店頭にてエンドユーザー向けに小売り販売を行っている(乙2)。 また、自社で立ち上げたECサイトにおいてBROTURES ONLINE SHOPを運営するとともに、楽天にもBROTURES RAKUTENを出店してLEADERの販売を行っている(乙2~乙5)。被請求人は、アマゾンにもLEADERの部品や付属品等の関連商品を出品して販売している(乙6)。 さらに、被請求人は、日本におけるLEADERの販売代理店の立場で、日本国内でLEADERの販売を希望する小売店に対してLEADERの仲卸販売を行っている(乙7~乙9)。 (3)2010年頃から現在に至るまでLEADERを販売してきたこと 既述のとおり、元々LEADERはカリフォルニアのメーカーが製造、販売していた商品であり、被請求人は、アメリカのメーカーと交渉し、日本における販売権を取得して、日本国内における販売を開始したものである。 被請求人がLEADERの販売を開始したのは2010年頃である。当時LEADERを輸入した際、販促資料として2010年ないし2011年の商品を紹介するカタログが付いており、被請求人はこれを用いて販売を行った(乙10)。 また、被請求人は、LEADERの販促活動の一環として、自社のホームページ上で随時ブログを更新してきた経緯がある。 同ホームページのブログの頁で「LEADER722」(2012年~2013年頃に扱っていたLEADERの古いモデルの名称)というキーワードでブログを検索すると、2012年ないし2013年頃に掲載した過去のブログがヒットする(乙11)。その中で最も古いものは、2012年12月16日のブログであり、その内容は、当時被請求人が扱っていた型式のLEADERを紹介するものである(乙12)。これにより、このホームページが遅くとも2012年から運営されてきたこと、及び当時からLEADERの販売を行っていたことが分かる。 被請求人は、2015年にECサイトの構築とデザインのリニューアルを外部業者に委託して行っている(乙13)。この事実から、オンラインショップを2015年頃から開始したことが分かる。 また、被請求人は、2016年ないし2017年にLEADERのモデルを紹介するための販促資料としてカタログを作成している(乙14)。 さらに、被請求人は、ホームページの「ショップ検索」の頁(乙2)でも「Domestic Reseller」(日本国内の小売店)として20近くの店舗を紹介しているところ、これらの小売店を含む60以上の取引先にLEADERの仲卸販売を展開してきた。 全ての取引先に対する請求書を打ち出して提出すると膨大な量になるため、2012年から継続的にLEADERの取引を行っているKON’S CYCLE(乙7)及びDINERという2つの取引先に送付した請求書データを証拠として提出する(乙8、乙9)。これら請求書の「商品名」の欄に「725TR」、「721TR」、「735TR」と記載されているのはLEADERのモデル型式を示し、「COMPLETE」や「COMP」は完成した自転車を、「FRAME」はフレームの取引であることを示している。 よって、請求書の商品名の欄にLEADERの型式モデルの記載がある商品は全てLEADERの自転車か、又はその部品に関する取引であることを示している。 これにより、2012年ないし2020年に至るまで、被請求人が継続的にLEADERの販売活動を展開していたことが証される。 以上のとおり、被請求人は、2010年頃から現在に至るまでの間、指定商品の自転車又はその部品であるフレームに本件商標を標示したLEADERという商品名のピストパイク(競技用自転車)の販売を継続的に行ってきたのであり、本件商標を使用してきたことは明らかである。 (4)登録商標の使用に該当すること ア 被請求人が販売するLEADERのフレームには、「LEADER」という本件商標の英語表記が標示されている(乙4)。 また、被請求人の運営するホームページ上のオンラインショップでも、例えば「LEADER 721TR Limited Pink Complete Bike」というように商品名が標示されている(乙3)。この読み方は、「LEADER」が商品名を示しており、登録商標であることを示すRマークが付されている。「721TR」はモデルの管理番号、「Limited Pink」は色、「Complete Bike」は完成した自転車であることを示している。 被請求人が作成したカタログ(乙14)にも、例えば、「LEADER 735 COMPLETE」というように商品名が掲載されている。これも、「LEADER」が商品名、「735」はモデルの型式、「COMPLETE」は完成した自転車であることを示している。 なお、「LEADER」の後に自転車の複数形を示す「BIKES」をつけて使用することや、「LEADER BIKE (リーダーバイク)」などの表記が使われることもあるが、「BIKE」や「BIKES」はLEADERがピストバイクという自転車であることを示す一般名詞として使用されているものであり、「BIKE」や「BIKES」という表記は商品名を構成していない。商品であるピストバイクのフレームにも「LEADER」の標示のみであって「BIKE」の表記はない。 イ 本件商標は、「LEADER」という英語表記と「リーダー」という片仮名表記が2段併記で登録されているが、両者は社会通念上同一の商標であり、その一方である「LEADER」の利用により、本件商標を利用したものと評価される。 審判便覧の「登録商標の使用と認められる事例」として、「平仮名及び片仮名とローマ字相互間の使用」をするときと題し、使用例が列挙されている。 この場合、一方の利用により他方の商標についても社会通念上同一の商標として、その使用が認定されることが紹介されている。 本件商標において併記されている英語表記と片仮名表記も、上記使用例と同様、「片仮名とローマ字相互間の使用」に該当し、その一方である「LEADER」の利用により本件商標を利用したものと評価される。 2 令和2年11月21日付け回答書における主張 (1)本件商標の使用態様 被請求人は、要証期間において、本件商標の英語表記である「LEADER」という標章を商品の自転車に付し(商標法第2条第3項第1号)、これを店舗及びECサイトを通じて顧客に販売して譲渡し(商標法第2条第3項第2号)、かつ、当該標章を付した商品を自己のウェブサイト上で紹介することにより広告に使用した(商標法第2条第3項第8号)。 (2)商標法第2条第1項第1号及び同項第2号の使用に関する追加の主張、立証 ア 乙第8号証と乙第9号証の請求書記載商品の納品を裏付ける資料 被請求人は、DINERに対する請求書のデータ(乙9)、及びKON’S CYCLEに対する請求書のデータ(乙8)を証拠として提出した。 さらに、以下のとおり、DINERの代表の作成にかかる商品の受領等証明書(乙15)、及び浦和興産株式会社(以下「浦和興産」という。)の作成にかかる出庫予約受付報告のメール(乙16の1~13、乙17の1~16)を書証として追加提出する。 商品の受領等証明書(乙15)は、顧客であるDINERの代表の認識として、要証期間における被請求人作成にかかるDINER宛請求書(乙15添付の請求書)に記載の各商品について、被請求人からDINERに対する納品が完了しており、それに対する代金の支払いも完了したことが示されている。これにより、当該期間における請求書記載の各商品の譲渡取引が完結したことが裏付けられる(なお、請求書記載の各商品に「LEADER」という標章をどのように付しているのかに関する説明については後述する)。 また、被請求人は、店舗に収まりきらない商品在庫を浦和にある倉庫業者の浦和興産に寄託している。この浦和興産は商品の配送センターの役割を担っている。 すなわち、被請求人において商品の注文を受けた場合、店舗に在庫がある場合は店舗から直接顧客に納品するが、店舗にない場合は浦和興産に対し、「ORBIS VI WEB」というシステム上で所定のフォーマット(乙20)を用いて浦和興産に対して出庫依頼を行う。この依頼を受けた浦和興産は、被請求人に対して出庫予約を受け付けた旨を報告するメールを返信し、その後に配送業者に依頼して出庫依頼にかかる商品配送を行うという流れで納品が行われる。この報告メールと請求書データを付き合わせることにより、請求書記載商品について、浦和興産より顧客へ納品された事実が裏付けられる。 具体的には、2018年12月20日付けのKON’S CYCLE宛請求書に記載されている納品日「12月13日」、商品名「KAGERO FRAME SET」、カラー・サイズ「L」と記載のある商品は、浦和興産作成にかかる2018年12月13日10:46に作成された納品予約受付報告メール(乙16の1)において、出庫予定日「2018/12/13」、出庫先「Kons cycle蛸薬師店」、登録商品「LEADER BIKES KAGERO L METALIC 59」と記載がある商品と同一商品であり、この両者を付き合わせることにより、被請求人がKON’S CYCLEから注文を受けた商品について、浦和興産の倉庫から2018年12月13日に出庫予定であること、その後の同年12月20日付けにて被請求人がKON’S CYCLEに対して請求書を送付したことという一連の流れが裏付けられる。 これと同様に、報告メール(乙16、乙17)により各請求書(乙8、乙9)記載商品が納品されたことを裏付けられることの相関関係を示すために、メールと請求書に手書きの番号を付した書証を提出する(乙18、乙19)。請求書とメールに同じ番号を付した商品は、それぞれ同一の商品であるという対応関係を示している(請求書記載の納品日と出庫依頼受付報告メールの配送予定日が数日程度ずれている場合もあるが、個別事情により配送日が数日変更となったか、又は請求書作成時に納品日を誤記したことによるものであり、同一商品の対応関係を否定する事情ではない)。 これにより、KON’S CYCLEについては2018年12月13日ないし2019年12月9日までの期間、DINERに関しては2018年12月26日ないし2019年12月24日までの期間について、請求書記載商品(乙18、乙19)が納品された事実が裏付けられる。 なお、当該報告メールにより裏付けられる商品が請求書記載商品の一部にとどまるのは、浦和興産の倉庫からではなく、被請求人の直営店舗から直接発送した商品もあることや、大量の報告メールデータの中から2018年12月9日ないし2019年12月8日の期間に限定してピックアップしたこと、手作業でピックアップ作業をしたため漏れがある可能性もあること等の理由によるものであり、メールによる裏付けがなされていないものについても、店舗又は倉庫から納品された事に相違はない。 また、上記取引先以外にも多数の取引先に対して販売活動を行っており、請求書データや納品予約受付報告メール等の書証はそれらの取引先の数に対応する分を全て提出することも可能であるが、その量は膨大に上るため、その中から取引量の多い取引先に関する資料をピックアップして提出するものである。 イ 株式会社サンドバンク作成にかかる商品の受領等証明書(乙21) 上記に加え、被請求人の他の取引先である株式会社サンドバンク作成にかかる商品の受領等証明書(乙21)を追加提出する。 これにより、同証明書に添付されている2016年12月9日ないし2019年12月8日の期間に被請求人が作成した請求書に記載の各商品について、全て納品が完了し、その代金の支払いも完了した事実が裏付けられる。 ウ BROTURES RAKUTENにおける販売履歴 答弁書でも述べたように、被請求人は楽天にもBROTURES RAKUTENを出店してLEADER関連商品の販売を行っている(乙2~乙5)。楽天を通じて受注した場合は、楽天市場のシステムからGメールにて被請求人の元に報告が届くが、そのサンプルとして、2019年2月24日ないし2019年11月17日の期間中に受注報告を受けたメール6通を証拠として提出する(乙24の1~6)。 この受注報告メールにより、上記期間にLEADER721、725、CURE等の商品について被請求人が受注し、これを販売した事実が立証される。 エ Amazonにおける販売履歴 また、被請求人は、AmazonにもLEADERの部品や付属品等の関連商品を出品して販売している(乙6)。Amazonでは管理画面において受注状況を確認することができる。これも全ての画面を提出することは現実的ではないため、サンプル的に2019年6月30日ないし同年8月26日の期間における受注履歴の画面の写しを4通証拠提出する(乙25の1~4)。 これにより、上記期間にLEADER721、725、CURE等の商品について受注し、これを販売した事実が立証される。 (3)請求書記載商品に「LEADER」の標章を付して販売していること 冒頭で述べたように、被請求人は、「LEADER」という標章を商品の自転車に付し(商標法第2条第3項第1号)、これを顧客に販売して譲渡(商標法第2条第3項第2号)することによって本件商標を使用している。 被請求人が扱うLEADERという商品名のピストバイク(競技用自転車の意)には、フレームの形状とパーツのクオリティに応じて、概ね「LEADER721」、「LEADER722」、「LEADER725」、「LEADER735」及び「LEADER CURE」の5種類のラインナップがある。 上記5種類の商品には、三角形の形状をしたフレーム部分に「LEADER」と印字がされている。LEADER721(乙14の14頁)、LEADER725(乙14の12頁)、LEADER735(乙14の10頁)、LEADER CURE(乙14の16頁)の4種類については、被請求人において作成したカタログ(乙14)、やブログ(乙22)、パンフレット(乙23)にその商品の写真が掲載されている。 例えば、カタログ(乙14)の10頁を見ると、「735 COMPLETE」の記載と共に黒いピストバイクの写真が掲載されており、そのフレーム部分に右斜め上方向にアルファベットを並べて「LEADER」と印字されていることがわかる。この写真はLEADER735の完成車に関するものである。同様に、他の4つの商品も、そのフレーム部分に「LEADER」の標章が付されている。 被請求人が提出した請求書データ(乙8、乙9、乙21添付の請求書)や、楽天・Amazon等の受注履歴(乙24、乙25)に上記の「721」、「725」、「735」、「CURE」と記載のある商品は、カラー(BKはブラック、ORはオレンジ、GRはグリーン、WHはホワイトの意)やサイズが多少違ったり、年によって若干のモデルチェンジがされていることはあるが、基本的に上記5種類の商品のいずれかを示している。 具体的に指摘すれば、2019年1月20日付けのDINER宛の請求書(乙9の79)には、納品日「12月28日」、商品名「735TRCOMP」、カラー・サイズ「BK/M」と記載された商品が掲載されている。この商品は、黒色のLERDER735の完成車(Mサイズ)を意味しており、カタログ(乙14)の10頁に掲載されている商品である。この商品は浦和興産より出荷されている(乙17の1)。 また、同請求書(乙9の79)には、納品日「12月28日」、商品名「721TR COMP」、カラー・サイズ「OR/S」と記載された商品が掲載されている。この商品は、オレンジ色のLERDER721の完成車(Sサイズ)を意味しており、カタログ(乙14)の14頁に掲載されている商品である。この商品も浦和興産から出荷されている(乙17の1)。 このように、請求書(乙8、乙9、乙21添付の請求書)や楽天・Amazonの受注履歴(乙24、25)の商品名において「721」、「725」、「735」、「CURE」の記載のある商品はLEADERという商品名のピストバイクの種類を示しており、全てそのフレームに「LEADER」の標章が付された商品であることを意味している。 以上のとおり、被請求人は、要証期間において、「LEADER」という標章を商品であるピストバイクのフレームに付し(商標法第2条第3項第1号)、これを顧客に販売して譲渡(商標法第2条第3項第2号)することにより、本件商標を使用したものである。 (4)広告的使用について 被請求人は、自社ホームページにおいて、商品の宜伝をするためにブログを掲載しており、要証期間である2016年12月9日から2019年12月8日までの期間中も絶えずブログを更新してきた。このブログには上記5種類の商品の写真も使用されており、そのフレームには「LEADER」の標章が付されている(乙22)。 このように被請求人は、「LEADER」の標章を付した商品を自已のウェブサイト上で紹介することにより、本件商標を広告的にも使用してきた(商標法第2条第3項第8号)。 (5)令和2年5月7日付けの審判事件弁駁書に対する意見 ア 請求人は、本件商標のうち、「リーダー」という部分のみを抜き出し、特殊なレタリングを施しているとか、「Reader」(読者等の意味)という異なる観念が生じ得る等の指摘をしている。 しかし、被請求人が使用している商標は英語表記の「LEADER」であって片仮名表記の「リーダー」ではない。本件で対比される商標は、本件商標と被請求人が使用している商標「LEADER」であるにも関わらず、被請求人が使用していない「リーダー」という部分のみを抜き出して同一性がないなどと指摘することは対比の対象を取り違えた議論であり、反論として的を射ていない。 また、本件商標においては、請求人が指摘するように、確かに本件商標中「リーダー」の文字の濁点部分にレタリングが施されてはいるが、「リーダー」という片仮名を示していることは一見して明らかであり、些細な書体変更にすぎない。 イ そもそも商標は、商品又は役務の識別標識であって、1個の商標はいくつかの文字等が組み合わされたものである場合においても全体として識別標識として一体をなすものであり、商標の同一性の判断においてはこれらの部分を総合した全体が識別標識として取引者・需要者の心理にいかに反映し理解されるか、という見地からなされなければならない。 そうであるとすれば、本件商標は、その商標全体として「指導者」といった意味を有する一つの標識であると理解されるものであり、片仮名「リーダー」の文字部分は、その上部に配された欧文字「LEADER」の読み仮名を表したものであると理解するのが自然である。 本件商標の中に指導者を意味する「LEADER」の記載があるにもかかわらず、「リーダー」の片仮名文字部分のみを取り出して、「読者」を意味する「Reader」が認識されるというようなことはおよそ考え難い。 ウ 本件と同様に片仮名と欧文字が2段表記された登録商標「ジャム/GAM」と使用商標「GAM」とが社会通念上同一であると認められた審決例(乙26)や、平仮名も加えた3段表記の登録商標「SUNQ/さんきゅう/サンキュー」と使用商標「SUNQ」とが社会通念上同一であると認められた審決例(乙27)が存在するところ、これらの判断の背景には登録商標中の片仮名部分は欧文字部分の単なる読み仮名にすぎないとの価値判断が存在し、本件も同様の価値判断に基づいて判断すべき事案と解される。 また、請求人が弁駁書の中で引用する審判例の事案は、二重線のアルファベット表記のつなげ字により図式化された商標に関する事案であり、片仮名による読み仮名も付されていない点において本件とは事案が異なる。 エ 以上より、本件商標「LEADER/リーダー」と使用商標「LEADER」とは、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の呼称及び観念を生ずる商標」(商標法第38条第5項括弧書き、商標法第50条)に該当し、両者は社会通念上同一である。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人は、2010年ころから現在に至るまでの間、指定商品の自転車又はその部品であるフレームに本件商標を表示した「LEADER」という商品名のピストバイク(競技用自転車)又はその部品、附属品の販売を継続的に行ってきたのであり、本件商標を商標的に使用してきたことは明らかである。 第4 当審の判断 1 事実認定 (1)被請求人提出の証拠及びその主張によれば、以下の事実が認められる。 ア 乙第22号証は、被請求人(商標権者)が自身のウェブサイトに掲載している2016年(平成28年)9月から2019年(令和元年)11月までのブログ記事の写しである。 乙第22号証の12は、2019年(令和元年)8月24日付けの記事であり、「BROTURES」の表題の下、自転車のフレームに「721」及び「LEADER」の文字を表示した自転車の画像とともに、「LEADER(R) 721TR CUSTOM ¥100,000(+TAX)」(「(R)」は「R」を丸で囲んだ記号。)の記載がある。 イ 乙第23号証は、被請求人によれば、2019年(令和元年)5月頃に被請求人(商標権者)により作成されたパンフレットである。 表紙には「BROTURES」及び「LEADER」の表示、直営店とオンラインショップの名称及び住所とURLの記載がある。 また、2葉目には「725TR」、「735TR」、「721TR」、「CURE」及び「KAGERO」といった5種類の自転車が掲載され、いずれも画像とともに色、サイズ、価格及び商品説明が記載されている。そのうちの「721TR」の項には、フレームに「721」及び「LEADER」の文字を表示した自転車の画像とともに、色は黒、白、オレンジの3色で、価格は100,000円(税抜き価格)であることが記載されている。 ウ 乙第5号証は、被請求人(商標権者)が楽天市場の運営サイト上に出店している「PIST BIKE/BROTURES/RAKUTEN」のページの写しである。 当該ページは、商品「自転車」(ピストバイク)が80件、それぞれ商品の画像、説明及び価格とともに掲載されており、そのうちの商品の画像に「LEADER」と表示された商品(10台)には、「725TR」、「735TR」、「721TR」、「CURE」といった種類があり、「721TR」については、色が黒、白、オレンジの3台で、価格はいずれも110,000円である。 エ 乙第24号証は、2019年2月から同年11月までの楽天市場からのGメールの写しであり、楽天市場に出店している「PIST BIKE/BROTURES」に掲載された商品の受注内容が記載されている。 乙第24号証の5は、2019年(令和元年)9月2日に注文を受けた商品の内容であり、「ショップ名 ピストバイク BROTURES」の記載の下、「商品」の項に「ピスト 完成車」、「LEADER BIKES リーダーバイク 721TR WHITE COMPLETE」及び「価格 108,000(円)×1(個)=108,000(円)※8%税込」の記載がある。 乙第24号証の6は、2019年(令和元年)11月17日に注文を受けた商品の内容であり、「[ショップ名] ピストバイク BROTURES」の記載の下、「商品」の項に「ピスト 完成車」、「LEADER BIKES リーダーバイク 721TR BLACK」及び「価格 110,000(円)×1(個)=110,000(円)※10%税込」の記載がある。 (2)上記(1)によれば、商標権者は、2019年(令和元年)8月24日に、商標権者のウェブサイト(乙22)に「721」及び「LEADER」の文字(以下「使用標章」という。)を付した自転車(以下「使用商品」という。)を掲載し、広告したことが認められる。 なお、当該使用標章を付した使用商品と、2019年(令和元年)5月頃に商標権者により作成されたパンフレット(乙23)に掲載された商品、楽天市場内の商標権者のオンラインショップに出品された商品(乙5)及び当該オンラインショップから発注された商品(乙24の5・6)とは、いずれも「721」(又は「721TR」)の番号、「LEADER」の文字(使用標章)及び10万円(税抜き)という価格において共通することから、これらは同じ型式の商品であるといえ、商標権者のウェブサイト(乙22)において2019年(令和元年)8月24日付けの記事(乙22の12)が掲載された頃には、実際に商取引の対象として流通した商品であったことが推認できる。 2 以上の事実を総合すると、以下のとおり判断することができる。 (1)使用商品について 使用商品は「自転車」であるから、本件審判の請求に係る指定商品である「自転車並びにそれらの部品及び付属品」の範ちゅうに属する商品といえる。 (2)使用者、使用時期及び使用行為について 商標権者は、2019年(令和元年)8月24日に使用標章を付した自転車を、商標権者のウェブサイトにおいて使用商品に使用標章を付して電磁的方法により提供したといえる。 また、当該ウェブページは商標権者の運営に係るから、使用標章の使用者は商標権者であり、ウェブページに掲載し、広告した時期は要証期間である。 (3)使用標章について 使用標章は、「LEADER」の文字からなる標章であり、「LEADER」の文字は、「リーダー」の称呼を生じ、「指導者」の意味を有する平易な英語であるから、「指導者」の観念を生じる。 一方、本件商標は、別掲のとおり、「LEADER」と「リーダー」の文字を二段に書した構成からなり、下段の片仮名は上段の欧文字の表音を示すものといえるから、「リーダー」の称呼を生じ、「指導者」の観念を生じる。 そうすると、使用商標と本件商標とは、片仮名の有無について相違はあるものの、欧文字部分のつづりを共通にするものであって、両者の欧文字部分から生じる「リーダー」の称呼及び「指導者」の観念において相違はないものといえる。 したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標である。 (4)小括 上記(1)ないし(3)からすれば、商標権者は、要証期間に、日本国内において本件審判の請求に係る指定商品中の商品「自転車」を、インターネット上の広告において、本件商標と社会通念上同一の商標を付して電磁的方法により提供したといえる。 そして、商標権者による上記行為は、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標権者が、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を使用していたことを証明したということができる。 したがって、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-300876

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