商標取消審判
2019-300766
チホンシュギ
- 審判番号
- 2019-300766
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2009-001970
- 登録番号
- 5277120
- 請求日
- 2019年10月02日
- 審決日
- 2021年05月10日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】正林 真之
- 【請求人代理人】林 栄二
- 【請求人代理人】篠田 貴子
- 【被請求人】中松 義郎
- 審判長/審判官
- 審判長 冨澤 美加
- 審判官 中束 としえ
- 審判官 山村 浩
- 分類
- T131 .1 -Z (X16) / T131 .11 -Z (X16)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条第1項、商標法第2条第1項第1号、商標法第2条第3項第1号、商標法第2条第3項第8号、商標法第2条第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5277120号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第5277120号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5277120号商標(以下「本件商標」という。)は、「知本主義」の文字を標準文字で表してなり、平成21年1月15日に登録出願され、第16類「新聞,雑誌,書籍」を指定商品として、同年10月30日に設定登録、その後、令和元年9月17日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和元年10月18日になされたものであり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成28年(2016年)10月18日から令和元年(2019年)10月17日までの期間(以下「本件要証期間」という。)である。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第7号証(以下、証拠の表記に当たっては、「甲(乙)第○号証」を「甲(乙)○」のように、「第」及び「号証」を省略して記載する。)を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品(以下「本件指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
本件商標の使用の証明においては、被請求人が提出した乙1ないし23によっては、商標法第50条第2項に規定する商標の使用の証明がされたということはできない。
(1)商標的使用(商品の出所の識別標識としての使用)
不使用取消審判における登録商標の使用は、単に、登録商標を構成する標章が物理的に商品等に表示されていれば足りるわけではなく、保護すべき信用が発生するもの、すなわち、商品の出所の識別標識として使用されるものでなければならず、このような考え方は、本件指定商品である「書籍」等についての東京高裁平成2年3月27日判決(平成元年(行ケ)第178号:甲3)、東京高裁平成13年10月23日判決(平成13年(行ケ)第190号:甲4)及び取消2009-300181号審決(甲5)においても支持されてきたところである。
しかし、被請求人が提出した乙1、3、5、7、9、11、13、15、17及び19は、全て書籍の副題(サブタイトル)や、掲載文章の記述の中に、「知本主義」の文字が他の文字とともに記載されているにとどまるものであって、商品の出所を表示し自他商品を識別するために使用されているものではないから、商標法第50条の取消審判において必要となる商標としての使用ということはできない。
(2)商標法における「商標」の使用者並びに使用商品及び役務
本件指定商品は第16類「新聞,雑誌,書籍」であるから、本件指定商品について使用している商標というためには、商標法第2条第1項第1号によれば、「業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの」でなければならない。
しかし、被請求人が提出した乙1、3、5、7、9、11、13、15、17及び19の書籍の奥付によれば、本件商標の商標権者(以下「商標権者」という。)は、それら書籍の著者であって、発行者ではないから、「業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者」ではない。
また、そもそも、著者が行う書籍などの「文章の執筆」は、第41類の役務とされており(甲6)、本件指定商品に含まれるものではなく、その他、被請求人は、専用使用権者又は通常使用権者の存在を証明していないから、この点からも、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の行為は、本件指定商品についての商標の使用ということはできない。
(3)本件商標と使用商標との同一性
被請求人が提出した乙1、3、5、7、9、11、13、15、17及び19の書籍には、本件商標と社会通念上同一と認められる標章が記載されているということもできない。
すなわち、これらの書籍における記述は、外観上、「知本主義」の前後に他の文字を一連に伴い、他の文字とともに一緒になって特定の意味合いを表し、読まれるものであるから、社会通念上も、これら記述を「知本主義」の文字のみの本件商標と同一ということはできない。
(4)商標の使用時期
被請求人が写しを提出した書籍の発行日は、いずれも本件要証期間内ではないから、少なくとも、商標法第2条第3項第1号の「標章を付する」使用が本件要証期間内に行われたということはできない。
また、被請求人は、上述の書籍に関しては、乙2、4、6、8、10、12、14、16、18及び20のウェブサイトの写しを提出しているが、これらウェブサイトの写しには、本件商標は表示されていないから、商標法第2条第3項第8号の「広告」などの使用が本件要証期間内に行われたということはできない。
さらに、これらウェブサイトの写しでは、商標法第2条第3項第2号の標章を付したもの、すなわち、標章を付された商品又は標章を付された包装に包まれた商品を譲渡し、引き渡す使用や、譲渡若しくは引渡しのために輸出し、輸入する使用を本件要証期間内に行ったことを証する証拠にはならない。同じく、同号の譲渡若しくは引渡しのために展示する使用についても、これらウェブサイトには標章は掲載されておらず、ウェブサイトが標章を付された商品又は標章を付された包装に包まれた商品自体を需要者が確認できる状態で展示されている証拠にならないことも明らかである。
加えて、それらウェブサイトの写しで時期を特定できるのはプリントアウトした日付のみであるところ、当該日付は、いずれも本件要証期間内ではない。
したがって、被請求人が提出した各証拠は、本件要証期間内の商標の「使用」を証明したものということはできない。
(5)乙21ないし23
ア ファンクラブ「中義会の会報誌」に関する主張について
被請求人は、乙21が被請求人のファンクラブ「中義会」の会報誌(以下、「中義会」を「本件団体」といい、その会報誌を「本件会報」という。)であって、これを「雑誌」と主張しているが、出版元や価格さえ記載されていない態様や、ファンクラブ会員向けという特定の者に対する印刷物であるならば、不特定多数の者との独立した商取引の対象とされる商標法上の「商品」といえるのか極めて疑念があるといわざるを得ない。
そして、その書面に記載されている標章は「賢主主義と知本主義」であって、本件商標とは外観、称呼、観念のいずれにおいても、社会通念上同一ということはできないものである。
加えて、発行日とおぼしき日付も「令和元年12月23日」となっており、本件要証期間内の本件商標の雑誌についての「使用」を証明したものということはできない。
イ 東京都知事選挙公報に関する主張について
被請求人は、乙22が被請求人の東京都知事選挙に立候補した際の選挙公報であり、その作成者も、証拠説明書によれば、杉並区選挙管理委員会であるとしている。
そうすると、乙22は、商取引の対象とされる商標法上の「商品」としての「新聞,雑誌,書籍」のいずれでもないし、その広告や取引書類など、商標法第2条第3項の「使用」の定義に係るものに該当するということはできない。このため、その書面に記載されている標章も、商標ということができないし、表示されているのが「資本主義(拝金主義)から知本主義へ」の文字であって、本件商標とは、外観、称呼、観念のいずれにおいても、社会通念上同一ということはできないものである。
加えて、証拠説明書によれば、作成日が「平成11年8月」となっており、本件要証期間内でないことも明らかである。
ウ 社歌に関する主張について
被請求人は、乙23に掲載されているのが社歌であり、会社員が社内、社外、公共の場所で歌い続けてきたと主張している。
しかし、本件商標は、文字をもって構成されている商標であり、その文字を歌唱しても、商標法上、文字をもって構成されている商標の使用にはならない。
また、乙23の書面自体も、真っ黒の背景の中に白抜き文字で歌詞が記載されているだけのものであって、いかなる書面であるのか定かではないが、それが商標法上の「商品」としての「新聞,雑誌,書籍」のいずれかや、その広告や取引書類など、「使用」の定義に係るものに該当するものということはできない。
(6)まとめ
以上のとおりであるから、被請求人が提出した証拠のいずれをもってしても、商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明するに十分なものではなく、同項で定める登録商標の使用を証明したということはできないから、本件商標の登録は取り消されるべきである。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙1ないし35(枝番号を含む。)を提出している。
1 答弁の理由
被請求人は、本件要証期間内に、本件指定商品について本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、商標法第2条第3項第2号及び同第8号に規定されるように使用した。
(1)乙1ないし20について
ア 乙1の書籍及び乙2のウェブサイト
乙1の書籍(以下「乙1書籍」といい、他の乙号証の書籍についても同様に表記することがある。)の表紙に、大きな文字で「知本主義」と明記されている。そして、乙1書籍の173頁に、かぎ括弧内に「知本主義」と記載した特別な文字表記がされており、この表記により、出所が著者(被請求人)であることが明確である。
乙1書籍は、取次店により全国書店で流通販売されており、また、ウェブサイト及び中古本市場等において流通販売されている(乙2)。
イ 乙3、5、7、9、11、13、15、17及び19の各書籍並びに乙4、6、8、10、12、14、16、18及び20の各ウェブサイト
上記各書籍は、「知本主義」が、乙1書籍と同様にかぎ括弧内に表記されるなど、当該文字が被請求人が取得した商標であることを示す表記であり、出所が著者(被請求人)であることが明確である。
そして、当該各書籍は、全国書店で流通販売されており、また、当該各ウェブサイト及び中古本市場等において本件要証期間内に流通販売されている。
ウ 小括
以上の乙1ないし20により分かるように、被請求人は、商標「知本主義」を本件要証期間内に継続して使用している。その文言は、かぎ括弧内に表記された特別の文字表記で他と区別し、被請求人が出所と判別され、被請求人の商標であり、識別機能及び出所表示機能を有し、使用の主体適格性、指定商品該当性、商標同一性、商標的使用該当性及び使用時期が明確である。
(2)乙21について
乙21は、被請求人のファンクラブ中義会の会報誌である。タイトルは「知本主義」と太字にされており、被請求人の「知本主義」の雑誌であることが容易に判明できる。
発行は毎月行われる月刊誌であり、有償で全国的に配布されている。これは、第320号と記載されているとおり、320か月(26年以上)継続して有料販売されている。
乙21は、催事状況並びに被請求人の発明及び提案等を掲載する情報提供の雑誌であり、かつ、広く有償で購入可能なものである。
(3)乙22について
乙22は、被請求人が東京都知事選に立候補した時の、東京都知事選挙公報の被請求人の欄であり、「知本主義」を明記している。選挙活動、演説及びテレビで、被請求人の発案した「知本主義」を広く多くの人に訴え、結果として13万票を得たものであって、商標「知本主義」が使用された。
(4)乙23について
乙23は、被請求人が1957年に設立した株式会社ドクター中松創研(被請求人が代表取締役を務めている会社であり、以下「ドクター中松創研社」という。)の被請求人作の社歌である。「知本主義」が明記されており、当該社歌は、過去62年間、会社員により社内、社外、公共の場所で歌われ続けたものであって、「知本主義」が使用されている。
(5)総括
以上、乙1ないし23より、本件商標が、日本国内において、本件要証期間内に使用されたといえる。
2 審尋に対する回答書(令和2年12月7日付け)
合議体は、後記第4のとおりの内容を要旨とする合議体の暫定的見解等を示す審尋(令和2年10月30日付け)を被請求人に対して送付したところ、被請求人は要旨以下のように回答した。
(1)乙1ないし20について
ア 乙1書籍の表紙の帯に「知本主義」の文字が記載されているが、これは題号であって、書籍の副題の一部ではなく、商標「知本主義」として付されている。表紙の帯に記載された文字であっても、知財高裁平成29年6月28日判決(平成28年(行ケ)第10276号:乙35)では、商標であることが認められている。出所の識別機能としての使用とは、商標を付し「保護すべき信用が発生するもの」であるかどうかであるが、前記判決のように、題号とは異なる帯に表示した文字の一部が商標であり、使用していることにかんがみると、商標に保護すべき信用が発生している。
イ 被請求人は、乙1書籍の廣済堂出版に、商標「知本主義」の使用を許諾しているから、本件商標は、通常使用権者により使用されている。通常使用権者による使用によって、商標が需要者の目に留まる場所であって自他の書籍を識別可能であるように付されているので、商標の使用にあたる。
ウ 乙1書籍の発売日である1992年2月1日以降、取引者、需要者には、商標「知本主義」は被請求人が記載したものと広く認識されている。そして、乙24及び25によれば、本件要証期間内において、商標「知本主義」が、商品「書籍」の販売及び広告のためにウェブサイト等に表示されているといえる。
エ 被請求人の書籍内に記載された「知本主義」は、かぎ括弧でくくり、一般文書との分離が明確になっており、これは、東京都知的財産総合センター発行の「中小企業経営者のための商標マニュアル」33頁の「商標の適正使用とは」において、具体的な適正使用の方法としても記載されている。
また、被請求人についての2019年4月11日時点(審決注:回答書には「2017年11月17日」とあるが、証拠に照らして「2019年4月11日」の明らかな誤記と認められるので、誤記を正した上で表記した。)のウィキペディア(乙26)には、「知本主義」が商標登録されている旨記載されているから、これを閲覧した取引者、需要者は、そこに記載された題号「ドクター中松の0からの創造 知本主義の時代を生きろ」の書籍を、商標「知本主義」が記載された書籍であると容易に認識する。
需要者は、被請求人が著書の書籍において、「知本主義」を、書籍の副題の一部又は書籍の記載内容の一部としてではなく、商標「知本主義」を示しており、商標「知本主義」を有する書籍群であると認識する。
オ 乙13書籍及び乙15書籍は、発行社がシーピー株式会社(以下「シーピー社」という。)であるところ、同社の代表者が被請求人であり、発行者も被請求人であるから、被請求人が本件商標を使用している。被請求人の前記書籍に接する取引者、需要者は、これに記載されている「知本主義」を商標「知本主義」であると認識する。
また、乙13書籍は、東大での被請求人の講義の内容をそのまま記載したもので、単なる書籍とみるべきではない。「知本主義」を発明し、「知本主義」を提案すると講演した言葉を、書籍に使用したものであるので、被請求人の商標「知本主義」を不特定多数の聴講者に書籍を通じて示しているものである。
乙28は、乙13書籍の納品書及び受領書であり、本件要証期間内に、当該書籍の販売、流通があることを示しており、本件商標を付した書籍を被請求人の意を受けた者が業として取り扱っている。
カ 2017年7月23日時点のインターネットアーカイブに保存されたドクター中松創研社のウェブサイト(乙27)に示すように、被請求人は、当該ウェブサイトに、自身が著者で発行者である商標「知本主義」が記載された書籍を、販売及び広告のために掲載している。
乙32は、当該ウェブサイトの閲覧頻度データである。
キ 請求人は、乙1、3、5、7、9、11、13、15、17及び19の各書籍の「知本主義」の文字は、他の文字とともに一緒になって特定の意味合いを表すので、本件商標と同一とはいえない旨主張するが、当該「知本主義」の文字は、特別な意味を持たせていることを示すかぎ括弧内に表記された商標「知本主義」であって、乙26もかんがみると、需要者に広く、被請求人の商標「知本主義」の書籍群であることを認識させる。当該各書籍の「知本主義」と本件商標とは同一である。
(2)乙21について
ア 題号の前に文字を小さく書いているものは、一般的には副題として認識されることから、乙21の題号は、「知本主義」である。
すなわち、取消2007-300256号審決のように、指定商品「新聞」において、大きく記載された文字のみが商標であるとされる例もあるところ、乙21も、定期刊行物であり、かつ、題号の「知本主義」の文字は、太く、2倍以上大きく記載されている。構成文字全体が一体のものとして「知本主義」が商標でないとするのは不当であり、被請求人の会報誌の題号は「知本主義」であり、商標である。
イ 本件会報は、前記1(2)のとおり、長年にわたり継続的に発刊されている。
ウ 本件会報について、広く商取引がある。
すなわち、本件会報は、乙21に掲載された被請求人が主催する月例会案内のとおり、かぎ括弧で明確にした商標「知本主義」を表記しており、また、月例会は、「参加料金:一般 10,000円/会員 7,000円/ゴールド 無料」として、ウェブサイト、メール又はファクシミリ等により、一般に広く募集公開され、マスコミ関係者も出席し、広報されているものであって、単なる被請求人に賛同する会員のみの閉じた例会ではない。
また、本件団体の会員数は、正会員200人以上、準会員10,000人以上であって、本件会報の発行部数は、会員、準会員及び一般会員の配布も含めて月々640部以上であり、本件会報の価格は100円である。月例会は50人前後で実施され、一般参加の料金も設定されており会員以外に一般からの参加もある。本件会報は、その代金が月例会費用に含まれているため、一般の参加者を含めて配布されているが、本件会報単独も有償とし、希望者に100円で販売している。
エ 本件会報は、商品であり商取引の対象として流通に供されている。
本件会報は、4頁状のものであるが、被請求人が「知本主義」を実践する創造者であることは世界的に広く知られており、被請求人の独自の創造について記載された4頁状のものは、商品の雑誌又は新聞として、市場において独立して商取引の対象になる。
また、被請求人の独自の創造は当然に個人的色彩が強いものであるが、それを望んでいる不特定多数の者の存在がフェイスブックの動画「The Genuis Japanese Inventor」(乙33)の952万回の再生により証明されているので、被請求人の個人的色彩が強いものが商品でないと認定することはできない。
さらに、対価と引き換えに取引されなければ、商標法上の「商品」ではないということはできず、取引を全体として観察して、商品を対象にした取引が商取引といえるものであれば足りる(知財高裁平成19年9月27日判決(平成19年(行ケ)第10008号:乙34)。本件会報は、単独での販売と、月例会による収入での相殺による販売を行い、また、本件会報に商標「知本主義」を広告としても用いて、総合的に対価を得るビジネスモデルとしている。
(3)乙22及び23について
乙22及び23は、商標「知本主義」を多くの人に認識させる広告となっているので、本件要証期間内に本件商標は本件指定商品について使用されている。
(4)補足の証拠及び新たな証拠の提出
乙27は、2017年7月23日時点のドクター中松創研社の書籍販売のウェブサイトである。また、乙30は、乙27に掲載された書籍の1つである乙29書籍の広告が掲載された2019年4月22日時点のウェブサイトであって、「子供の頭を良くする環境・運動・食事」の見出しの下、紹介説明文が掲載されている。
本件要証期間内に、被請求人が代表取締役を務めるドクター中松創研社のウェブサイト上に書籍を掲載紹介しており、さらに、乙30の書籍販売ウェブサイトに示すように、乙29書籍は、「優秀な頭脳は、無限の可能性を与えてくれます。資本主義社会は『知本主義』へ、衆愚政治になる(後略)」と説明、紹介されている。このように、かぎ括弧内に表記されて商標と容易に認識することができる態様で説明文中に商標「知本主義」を付し、価格を記載し、紹介し、書籍を販売するための展示広告をしている。
さらに、乙29書籍には、本体表紙に当たる扉に乙30のウェブサイトの前記紹介に係る記載に類似した記載があり、前書きにも「知本主義」の記載があるため、需要者に商標「知本主義」の書籍群であると認識させる。
乙31(審決注:回答書には「乙30」とあるが、その文脈に照らして「乙31」の明らかな誤記と認められるので、誤記を正した上で表記した。)は、乙29書籍の2017年7月19日付けの納品書と受領書である。乙29書籍の奥付に記載されるように、被請求人が、出版社であるシーピー社の代表取締役及び発行者であり、本件要証期間内に、乙31のとおり、本件指定商品中、「書籍」に該当する乙29書籍の流通があることは明らかであって、被請求人が業として取り扱っているものであるから、本件商標を付して商取引を行い使用している。
第4 被請求人に対する審尋
当審において令和2年10月30日付けで送付した審尋において示した合議体の暫定的見解の要旨は、以下のとおりである。
1 乙1ないし20について
乙1ないし20に記載された「知本主義」の文字は、その使用態様からみると、取引者、需要者には、書籍の副題の一部又は書籍の記載内容の一部として認識されるといえ、また、本来、商品としての「書籍」の出所を表示するのは、出版社の商号やハウスマーク等であることから、当該「知本主義」の文字が、商品「書籍」の出所を表示するための商標とはいえない。
2 乙21について
(1)中義会(本件団体)の会報(本件会報)の題号が、「賢主主義と知本主義」であることが確認できるところ、「知本主義」の文字が大きく表されているとしても、題号であり、その構成文字全体が一体のものと認識されるというのが相当である。そして、「賢主主義と知本主義」の文字は、本件商標とは、その構成文字が明らかに異なることから、社会通念上同一であるとは認められない。
(2)乙21から確認される「令和元年12月23日」の日付は、本件要証期間内ではない。
(3)乙21の内容からすると、本件団体の目的は、被請求人の考えに賛同する者が集まり被請求人を支援することにあると認められ、また、本件団体の会員数、本件会報の発行部数、本件会報の価格、本件会報の印刷ないし出版社及び本件会報の配布ないし販売の事実等を裏付ける客観的な証拠の提出がないことから、本件会報が有償で配布されたことや一般人に販売されたことを認め難い。
(4)本件会報は、その体裁が4頁のパンフレット状のものにすぎず、また、前記(3)で説示したとおり、本件会報が、市場において独立して商取引の対象として流通に供された物とは認められない。
3 乙22及び23について
これらの証拠をもって、本件要証期間内に、本件商標を本件指定商品について使用したものと認めることはできない。
第5 当審の判断
1 認定事実
被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。以下、改行は「\」で表す。
(1)商標権者が著した各書籍について
ア 商標権者は、「ドクター中松の0からの創造」(「0」の内部に「ゼロ」の片仮名が表示されている。)と題する平成4年(1992年)2月15日を発行日とする書籍(乙1書籍)を著した(乙1)。
乙1書籍には、帯及び裏表紙の双方に「知本主義の時代を生きろ」、173頁に「私は資本主義ではなく『知本主義』の時代が到来すると思う。」の記載があり、また、奥付に「0からの創造」の記載の下、「著者 中松義郎」及び「発行所 廣済堂出版」の記載がある。
乙1書籍に関する情報は、2019年11月26日を印刷日とする楽天ブックスのウェブサイトに、「ドクター中松の0(ゼロ)からの創造 知本主義の時代を生きろ」の表題の下、「商品基本情報」の項の「著者/編集 : 中松義郎」及び「出版社 :廣済堂出版」の記載とともに掲載されている(乙2)。
さらに、乙1書籍に関する情報は、インターネットアーカイブに保存された2016年3月16日時点におけるAmazonのウェブサイトに、同様の表題の下、「中松 義郎 (著)」及び「登録情報」の項の「出版社:廣済堂出版(1992/1/1)」の記載とともに掲載され(乙24)、これと同じ情報が、2020年12月3日を印刷日とするAmazonのウェブサイトにも掲載されている(乙25)。
イ 商標権者は、乙1書籍以外にも、「知本主義」の文字(かぎ括弧内に表記された態様のものを含む。)を文章中及び前書き等に記載した複数の書籍を著した(乙3、5、7、9、11、13、15、17、19、29-1及び29-2)。
当該各書籍(乙1書籍と併せ、これらを総称して、以下「本件各書籍」という。)には、いずれも、発行所として出版社の名称が表示され、また、それらに関する情報は、2019年11月ないし12月に印刷した楽天ブックス、Amazon、ヨドバシ.com又は紀伊國屋書店ウェブストアのウェブサイトに、出版社の名称とともに掲載されている(乙4、6、8、10、12、14、16、18及び20)。
さらに、本件各書籍のうち、乙13書籍、乙15書籍並びに乙29-1及び29-2の書籍(以下、乙29-1及び29-2の書籍をまとめて「乙29書籍」という。)に関する情報は、インターネットアーカイブに保存された2017年7月23日時点又は2019年4月22日時点における「Dr.NAKAMATS」のウェブサイトに掲載されている(乙27及び30)。ただし、当該ウェブサイトには、出版社の名称は掲載されていない。
前記アで認定したウェブサイトも含め、以上で認定したウェブサイト(乙2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、27及び30)を総称して、以下「本件各ウェブサイト」という。
(2)乙21について
乙21は、商標権者のファンクラブ「中義会」(本件団体)の会報(本件会報)とされるものである。
本件会報のうち乙21に係る会報(以下「乙21会報」という。)は、4頁のパンフレット状のものであって、その表紙(「乙21会報」には、頁記載は無いが、以下、表紙を「1頁」、続く頁を「2頁」、「3頁」及び「4頁」と記載する。)には、「中義会 会報\賢主主義と知本主義」(「知本主義」の文字は「賢主主義と」の文字よりも大きく表されている。)の文字とその右側に「第320号 会報\令和元年12月23日」の文字が表示されており、これらの文字は、その全体が長方形の枠(以下「本件枠」という。)に表されている。
乙21会報の1頁には、本件枠の下部に「記者発表 学士会館\特許を取得しました\火も煙もシャットダウンする\新発明の防災装置\火煙防」(「防」の文字の右肩に小さく「T.M.」の文字が付されている。)の表示がある。また、2頁及び3頁には、「『火煙防』発明の背景」の記載の下、当該発明に関する説明が写真とともに紹介されている。
また、乙21会報の4頁には、「中義会のうた 作:ドクター・中松」の見出しの下、「(前略)(い)いっぱい 知本主義」と記載されている。
さらに、乙21会報の4頁には、「『知本主義』を実践する 中義会 12月例会」が、「楽しい忘年会(当会では覚年会と言っています)ディナーショー\ドクター・中松のお話と歌のディナーショー\世界でLiving Legendと言われるDr.NakaMatsがお話と歌をお届けします」の記載及び上記会が令和元年12月23日(月)19時に学士会館において開演され、参加料金は、一般が10,000円、会員が7,000円及びゴールドが無料であることが記載されている。
(3)乙22及び乙23について
ア 乙22は、「平成11年4月11日執行」の記載がある東京都知事選挙に立候補した商標権者に係る選挙公報であり、その中には、「●資本主義(拝金主義)から知本主義へ」の記載がある。
イ 乙23は、「ドクター中松創研社歌」とされるものであり、これには、「世界初(SINCE1957)\知本主義・知財企業\『ドクター中松創研 勤務心得の歌』」と題する歌の歌詞であって、「(前略)5 知本主義・知財経営\頭とからだを鍛え上げ(後略)」の記載があるが、その作成日又は印刷日の記載はない。
2 判断
前記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)本件各書籍及び本件各ウェブサイトについて
被請求人は、自らが著した本件各書籍及び本件各ウェブサイトに、「知本主義」の文字を用いており、このことが、本件指定商品についての本件商標の使用に該当する旨主張するので、以下検討する。
ア 前記1(1)アによれば、本件各書籍のうち、乙1書籍には、「知本主義」の文字が、帯、裏表紙及び文章中に記載されており、それらの中には、当該文字がかぎ括弧内に表記された態様のものも存在する。また、乙1書籍に関する乙2、24及び25の各ウェブサイトにも、当該文字を含むものが存在する。
しかしながら、一般に、商品「書籍」の出所を表示するのは、出版社の商号やハウスマーク等であって、乙1書籍及びこれに関する各ウェブサイトにおいては、「廣済堂出版」の文字がこれに該当する。
そして、乙1書籍及びこれに関する各ウェブサイトにおける「知本主義」の文字は、その前後の文字と組み合わされて著者の主張を表すものとして記載されており、当該文字は、これがかぎ括弧内に表記されるとしても、取引者、需要者は、当該書籍の副題、記載内容又は宣伝文句の一部としてこれを認識するにとどまるといえ、「知本主義」の文字部分が、商品「書籍」について出所を表示し、自他商品識別のための機能を果たすものと認識することはないとみるのが相当である。
よって、乙1書籍並びにこれに関する乙2、24及び25の各ウェブサイトに表示された「知本主義」の表示をもって、本件商標を商品「書籍」に使用したものと認めることはできない。
イ 前記1(1)イによれば、乙1書籍以外の本件各書籍には、「知本主義」の文字が、文章中及び前書き等に記載されており、それらの中にも、当該文字がかぎ括弧内に表記された態様のものが存在し、また、当該各書籍に関する各ウェブサイトにも、当該文字を含むものが存在する。
しかしながら、当該各書籍及びそれらの各ウェブサイトについても、上記アと同様に「知本主義」の表示をもって、本件商標を商品「書籍」に使用したものと認めることはできない。
ウ よって、本件各書籍及び本件各ウェブサイトに表示された「知本主義」の文字は、商品「書籍」について出所を表示し、自他商品識別のための機能を果たすものと認識されることはないものとみるのが相当であるから、本件商標を商品「書籍」に使用したものと認めることはできない。
(2)乙21会報及び本件会報について
被請求人は、本件会報は「知本主義」の表題の雑誌であって、これが本件要証期間内に広く有償で購入可能なものであった旨主張するので、以下検討する。
ア 使用商標と本件商標との社会通念上同一性について
前記1(2)によれば、乙21会報の1頁の本件枠内には、「賢主主義と知本主義」の文字が表されているところ、「知本主義」の文字が「賢主主義と」の文字よりも大きく表されているとしても、両者は特段の間隔を空けることなく配されており、しかも、両者を併せた文字が一体の日本語として特段の不自然さをもたないことから、乙21会報に接した取引者、需要者は、「賢主主義と知本主義」の文字(以下「使用商標」という。)をその題号として認識するというべきである。
そうすると、使用商標は、乙21会報の題号として、その構成文字全体が一体のものとして認識されるというのが相当である。
そして、「賢主主義と知本主義」の文字からなる使用商標と「知本主義」の文字からなる本件商標とは、その構成文字が明らかに異なるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることができない。
イ 使用者及び使用時期について
前記アによれば、乙21会報の1頁の本件枠内には、「中義会 会報」という本件団体の会報であることを示す文字が表示されているところ、当該会報の発行者が商標権者であることは確認できず、また、乙21会報の発行日を示すと思われる「令和元年12月23日」は、本件要証期間内ではない。
ウ 本件会報が広く有償で購入可能なものであったか否かについて
前記1(2)で認定した乙21会報の記載によれば、乙21会報の内容は、被請求人の発明の紹介や本件団体が主催する会合の告知等であり、その会合の目的も、もっぱら被請求人との交流を楽しむことにあるといえることからすると、本件団体の目的は、被請求人の考えに賛同する者が集まり被請求人を支援することにあると認められる。
そして、本件団体の会員数、本件会報の発行部数、本件会報の価格、本件会報の印刷ないし出版者及び本件会報の配布ないし販売の事実等を裏付ける客観的な証拠の提出はない。
そうすると、乙21会報以外に本件会報が存在するとしても、それが有償で購入可能であったことや一般人に販売されたことを被請求人の提出に係る証拠から把握することはできない。
エ 本件会報が商標法第50条の「商品」であるか否かについて
商標法第50条における「商品」といえるためには、市場において独立して商取引の対象として流通に供される物であることを要する。
しかしながら、乙21会報は、前記1(2)のとおり、その体裁が4頁のパンフレット状のものにすぎず、また、その内容も、前記ウのとおり、被請求人の発明の紹介や団体が主催する会合の告知等であって、被請求人の個人的色彩が極めて強いものであり、さらに、本件会報が有償で購入可能であったことや一般人に販売されたことを把握することはできない。
そうすると、本件会報が、市場において独立して商取引の対象として流通に供された物とは認められない。
オ 小括
したがって、乙21からは、本件要証期間内に、本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)が本件指定商品中のいずれかの商品について使用されたものと認めることはできない。
(3)乙22及び乙23について
乙22は、本件要証期間内に係るものではなく、また、乙23は、その作成日又は印刷日も明らかでないから、いずれも本件要証期間内のものと認めることはできない。
また、乙22及び23は、「知本主義」の文字が、その前後の文字と組み合わされて、著者の主張や歌のタイトル又は歌詞の一部を表すものとして記載されており、取引者、需要者は、当該文字をそのように認識するにとどまるといえる。よって、たとえ、乙22及び23が本件指定商品中のいずれかに該当する商品に係るものであるとしても、取引者、需要者は、「知本主義」の文字部分が、その商品について出所を表示し、自他商品識別のための機能を果たすものと認識することはないとみるのが相当である。
したがって、これらの証拠をもって、本件商標が本件要証期間内に本件指定商品について使用されたものと認めることはできない。
(4)小括
上記のとおり、本件要証期間内に、本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)が本件指定商品について使用されたものと認めることはできない。
その他、被請求人の提出に係る証拠をみても、本件要証期間内に、本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)が本件指定商品中のいずれかの商品について使用されたことを認めるに足る証拠は見いだせない。
3 被請求人の主張について
(1)本件各書籍について
ア 被請求人は、乙1書籍における「知本主義」の文字は、書籍の表紙である「帯」に記載されており、また、当該文字は、かぎ括弧でくくり、一般文書と明確に分離しているから、副題の一部ではなく、商標として使用されている旨主張する。
しかしながら、ある文字が「帯」に記載されていたり、かぎ括弧でくくられていたりしたことをもって、直ちに商品「書籍」の出所を表示するための商標として認識されるとの取引の実情を示す証拠はない。
そして、乙1書籍における「知本主義」の文字が、商品「書籍」について出所を表示し、自他商品識別のための機能を果たすものとは認識されないとみるべきものであることは、前記2(1)で説示したとおりである。
イ 被請求人は、乙1書籍につき、出版社である廣済堂出版に本件商標の使用を許諾したから、通常使用権者が乙1書籍をもって本件商標を商品「書籍」について使用した旨主張する。
しかしながら、前記2(1)で説示したとおり、本件各書籍に接した取引者、需要者がその書籍における「知本主義」の文字を商品「書籍」の出所を表示するものとして認識するのかが問題なのであり、被請求人が乙1書籍につき廣済堂出版に本件商標の使用を許諾していたとしても、そのことをもって、前記2(1)の認定判断が左右されることはない。
ウ その他、被請求人は、発行者の代表者が被請求人である書籍(乙13書籍、乙15書籍)をもって、本件商標を商品「書籍」について使用したこと、自身についての2019年4月11日時点のウィキペディアのウェブサイト(乙26)に、自身が「知本主義」の文字について商標登録し、「ドクター中松の0からの創造 知本主義の時代を生きろ」の題号の書籍を著した旨の記載があること及びドクター中松創研社の2019年4月22日時点のウェブサイト(乙30)において、かぎ括弧で商標と容易に認識できる態様で説明文中に商標「知本主義」を付して乙29書籍の広告をしていることなど、るる述べているが、本件各書籍中の「知本主義」の文字をもって、本件商標を商品「書籍」に使用したものと認めることはできないことは、前記2(1)で説示したとおりである。
(2)本件会報について
ア 被請求人は、題号の前に小さく書されている文字は一般的に副題として認識されるから、乙21会報の題号は、「賢主主義と知本主義」ではなく、「知本主義」である旨主張する。
しかしながら、乙21会報の題号は「賢主主義と知本主義」の文字からなるものと認識されることは、前記2(2)で説示したとおりである。
イ 被請求人は、本件会報の発行が毎月行われており、乙21会報に「第320号」と記載されていることから、320か月(26年以上)継続して発行されている旨主張する。
しかしながら、被請求人の主張を裏付ける客観的な証拠の提出はない。
ウ 被請求人は、乙21会報に掲載された月例会の案内中に、かぎ括弧内に表記された商標「知本主義」が表されている旨主張するが、前記1(2)によれば、この「知本主義」の文字は、その後の文字と組み合わさって本件団体の例会を告知する形態で記載されているといえるから、当該文字は、これがかぎ括弧内に表記されるとしても、取引者、需要者には、乙21会報の記載内容の一部として認識されるにとどまるというべきである。
エ 被請求人は、乙21会報に掲載された月例会が、「参加料金:一般 10,000円/会員 7,000円/ゴールド 無料」として、ウェブサイト、メール又はファクシミリ等により一般に広く募集公開されており、単なる被請求人に賛同する会員のみの閉じた例会ではない旨、本件団体の会員数は、正会員200人以上、準会員10,000人以上である旨、本件会報の価格は100円である旨、月例会は50人前後で実施されている旨、本件会報は希望者に100円で販売している旨を主張する。
しかしながら、乙21会報に、月例会につき一般の参加料金が設定されていることが掲載されているとしても、その条件において参加した一般の参加者がどの程度存在するのかは不明であり、また、その他の被請求人の主張を裏付ける客観的な証拠の提出もない。
オ 被請求人は、自身が「知本主義」を実践する創造者であることは世界的に広く知られているから、乙21会報が4頁状のものであっても、商品「雑誌」又は「新聞」として市場において独立して商取引の対象となる旨、自身の個人的色彩が強いものであっても、フェイスブックの動画(乙33)が952万回再生されていることから、それを望んでいる不特定多数の者が存在しているといえる旨、本件会報は、総合的に対価を得るビジネスモデルになっている旨を主張する。
しかしながら、乙33からは、その動画が952万回再生されていることは把握できないし、いずれにせよ、乙33の動画再生回数は、本件会報の入手希望者がどの程度いるかとは直接関係のないことである。また、本件会報が総合的に対価を得るビジネスモデルになっているとの被請求人の主張を裏付ける客観的な証拠の提出もない。
そして、本件会報が、市場において独立して商取引の対象として流通に供された物とは認められないことは、前記2(2)エで説示したとおりである。
(3)乙22及び23について
被請求人は、乙22及び23が商標「知本主義」を多くの人に認識させる広告となる旨、乙23に記載された社歌は、過去60年以上、社内、社会、公共の場所で歌われ続けている旨述べた上で、本件商標は、本件要証期間内に本件指定商品について使用されている旨主張するが、前記2(3)で説示したとおり、本件商標が本件要証期間内に本件指定商品について使用されたものと認めるに足りる証拠はない。
(4)小括
したがって、被請求人の主張はいずれも採用できない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人の提出に係る証拠によっては、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件指定商品のいずれかについての本件商標(本件商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを被請求人が証明したとはいえない。
また、被請求人は、当該使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしたともいえない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2019-300766