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特許拒絶査定不服審判

2019-016823

静電荷像現像用トナー

審判番号
2019-016823
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-254458外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年12月12日
審決日
2020年09月29日
公報発行日
2020年11月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G03G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-254458「静電荷像現像用トナー」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 6月29日出願公開、特開2017-116846、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 事案の概要 1 手続等の経緯 特願2015-254458号(以下「本件出願」という。)は、2015年(平成27年)12月25日にされた特許出願であって、その後の手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。 令和元年 6月13日付け:拒絶理由通知書 令和元年 8月19日付け:意見書・手続補正書 令和元年 9月18日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 令和元年12月12日付け:審判請求書・手続補正書 2 原査定の概要 原査定の拒絶の理由は、概略、本件出願の請求項1~請求項5に係る発明(令和元年8月19日付け手続補正書による補正後のもの)は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、本件出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:特開2007-304494号公報 引用文献2:特開2015-143838号公報 引用文献3:特開2008-134400号公報 引用文献4:特開2014-2309号公報(周知技術を示す文献) 引用文献5:特開2015-210410号公報(周知技術を示す文献) 引用文献6:特開2007-78903号公報(周知技術を示す文献) 引用文献7:特開平2-881号公報(周知技術を示す文献) なお、主引用例は引用文献1~3であり、引用文献4~7は請求項1~5に対しての周知技術として、それぞれ引用されたものである。 3 本願発明 本件出願の請求項1~請求項2に係る発明は、令和元年12月12日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)後の特許請求の範囲の請求項1~請求項2に記載された事項によって特定されるとおりの、以下のものである。 「  【請求項1】 トナー母体粒子、および前記トナー母体粒子表面に付着している外添剤を有する静電荷像現像用トナーであって、 前記外添剤は、個数平均粒径が70~250nmであり、かつ疎水化処理剤A由来の疎水性基を表面に有するシリカ粒子Aと、前記疎水化処理剤Aとは異なる疎水化処理剤B由来の疎水性基を表面に有するシリカ粒子Bと、を含み、 前記疎水化処理剤Bは、ヘキサメチルジシラザン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン、およびポリジメチルシロキサンからなる群より選択される少なくとも1種であり、 前記シリカ粒子Aの添加量は、前記トナー母体粒子100質量部に対して、0.7~2.0質量部であり、 前記シリカ粒子Bの個数平均粒径は、5~50nmであり、 前記シリカ粒子Bの添加量は、前記トナー母体粒子100質量部に対して、0.4~3.0質量部であり、 前記トナー母体粒子は、結着樹脂としてビニル樹脂セグメントと非晶性ポリエステル樹脂セグメントとが化学的に結合したブロック共重合体構造を有する非晶性ビニル変性ポリエステル樹脂を含有し、 パウダーレオメーターで測定される、通気流量0mm/secの際の通気エネルギー量E(0)と、通気流量0.1mm/secの際の通気エネルギー量E(0.1)との比E(0)/E(0.1)が5以上15以下を満たす、静電荷像現像用トナー。 【請求項2】 前記シリカ粒子Bが有する前記疎水性基は、炭素数4~16のアルキル基である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。」 第2 当合議体の判断 1 引用文献の記載及び引用発明 (1)引用文献1について 原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用され、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である、特開2007-304494号(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、引用発明1の認定及び判断等に活用した箇所を示す。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、電子写真法、静電記録法等において、静電潜像の現像のために使用する静電潜像現像用トナーに関する。 【背景技術】 【0002】 ・・・中略・・・ 【0005】 従来、上記トナーの基礎特性である帯電制御、粉体特性改善、転写性付与の目的で、トナー表面への微粒子外添が行われてきた。特に無機微粒子の添加は、トナー流動性を改善させ、帯電レベルを上げたり転写特性を改善したりするために用いられてきた有効な手段である。 ・・・中略・・・ 【0011】 このように、トナーの帯電・流動特性、転写性を改善するために、種々の外添剤粒子の添加が検討されているが、今だこれらが実機での維持性も含めて両立できるものが確立されていないのが現状である。」 イ 「【発明が解決しようとする課題】 【0012】 本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。 すなわち、本発明は、トナーの粉体流動性、帯電性を高く維持し、経時による転写安定性、帯電の環境安定性の改善を図り、高画質な画像を安定して得ることができる静電潜像現像用トナーを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0013】 本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、トナー表面に外添される外添剤粒子の粒径とそれらの特性との関係を最適化することにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、 【0014】 <1> 結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母粒子と外添剤粒子とを有する静電潜像現像用トナーであって、 前記外添剤粒子が、粒径の異なる3種の外添剤粒子A、B、Cであり、各々の外添剤粒子の平均一次粒子径をRA、RB、RCとし、各々のメタノール疎水化度(%)をWA、WB、WCとしたとき、これらが下記式(1)及び式(2)の関係を満たす静電潜像現像用トナーである。 RA>RB>RC ・・・ 式(1) WA<WB<WC ・・・ 式(2) 【0015】 <2> 前記3種の外添剤粒子A、B、Cが異なる疎水化処理剤により疎水化処理されており、各々の疎水化処理剤の分子量をXA、XB、XCとしたとき、これらが下記式(3)の関係を満たす<1>に記載の静電潜像現像用トナーである。 XA<XB<XC ・・・ 式(3) ・・・中略・・・ 【発明の効果】 【0019】 本発明によれば、トナーの粉体流動性、帯電性を高く維持し、経時による転写安定性、帯電の環境安定性の改善を図り、高画質な画像を安定して得ることが可能な静電潜像現像用トナーを提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0020】 以下、本発明について詳述する。 本発明の静電潜像現像用ナーは、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母粒子と外添剤粒子とを有する静電潜像現像用トナーであって、 前記外添剤粒子が、粒径の異なる3種の外添剤粒子A、B、Cであり、各々の外添剤粒子の平均一次粒子径をRA、RB、RCとし、各々のメタノール疎水化度(%)をWA、WB、WCとしたとき、これらが下記式(1)及び式(2)の関係を満たすことを特徴とする。 RA>RB>RC ・・・ 式(1) WA<WB<WC ・・・ 式(2) 【0021】 前述のように、粒径の異なる3つの外添剤粒子を用いると、形態維持性、転写維持性改善に効果があることが知られている。この場合、小粒径粒子は流動性向上、中粒径粒子は小粒径粒子の埋没防止、大粒径粒子は研磨性に各々寄与しているが、帯電性向上のためこれらの外添剤粒子には疎水化処理を行う必要がある。しかし、この疎水化処理としては高湿下での帯電量低下を防止するため、疎水化処理剤の処理量や種類を選択して疎水性をある程度大きくする必要があり、このような処理により特に大粒径粒子への処理に基づく流動性低下が顕著となるという問題があった。 【0022】 本発明者等は、上記問題に対し特に大粒径粒子の前記疎水化処理による影響を少なくするという観点から鋭意検討を行った。その結果、粒径の異なる外添剤粒子ごとに疎水性を変化させる、具体的には前記式(1)、式(2)に示すように、小粒径粒子ほどメタノール疎水化度を大きく、大粒径粒子ほどメタノール疎水化度を小さくすることにより、トナーの経時的使用によっても粉体流動性の安定化、帯電安定化を両立させることができることを見出した。 ・・・中略・・・ 【0026】 本発明の静電潜像現像用トナー(以下、単に「トナー」という場合がある)は、少なくとも、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母粒子と外添剤粒子とを有し、更に必要に応じてその他の成分を有してなる。これらについては後述する。 【0027】 <トナー母粒子> まず、本発明におけるトナー母粒子について説明する。 本発明におけるトナー母粒子は、結着樹脂及び着色剤を含有してなり、必要に応じてその他の成分を含有する。 【0028】 (結着樹脂) 本発明における結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα-メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;等の単独重合体及び共重合体を例示することができる。 ・・・中略・・・ 【0044】 <外添剤粒子> 次に、本発明に用いられる外添剤粒子について述べる。 本発明におけるトナー母粒子は、その表面に粒径の異なる3つの外添剤粒子A、B、Cが分散されることにより、静電潜像現像用トナーとなる。本発明においては、外添剤粒子A、B、Cの平均一次粒子径をRA、RB、RCとし、各々のメタノール疎水化度(%)をWA、WB、WCとしたとき、これらが下記式(1)及び式(2)の関係を満たすことが必要である。 RA>RB>RC ・・・ 式(1) WA<WB<WC ・・・ 式(2) ・・・中略・・・ 【0050】 外添剤粒子としては特に制限されないが、無機微粒子を用いることが好ましい。無機微粒子の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、酸化セリウムなど通常トナー表面の外添剤として使うすべての無機微粒子を挙げることができる。 【0051】 本発明においては、外添剤粒子同士のメタノール疎水化度が前記式(2)の関係となるように、外添剤粒子は疎水化処理剤により疎水化処理されることが好ましい。 疎水化処理剤としては特に制限はないが、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シリコーンオイル等が挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でもシランカップリング剤が好適に挙げられる。 【0052】 前記シランカップリング剤としては、例えばクロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤のいずれかのタイプを使用することも可能である。ここで、表面処理に使用される疎水化処理剤としては次のようなものを例示することができる。 【0053】 すなわち、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O-(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N-ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert-ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシランを代表的なものとして例示することができる。」 ウ 「【実施例】 【0094】 以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、「部」「%」は総て「質量部」「質量%」を意味する。 各実施例、比較例で用いた静電潜像現像用トナー、キャリア及び静電潜像現像用現像剤の製造、並びに各測定は以下の方法で行った。 ・・・中略・・・ 【0098】 <トナー母粒子1の作製> -樹脂粒子分散液の調製- ・スチレン                         370部 ・n-ブチルアクリレート                   30部 ・アクリル酸                          8部 ・ドデカンチオール                      24部 ・四臭化炭素                          4部 以上の成分を混合して溶解したものを、非イオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)6部及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)製)10部をイオン交換水550部に溶解したフラスコ中で乳化重合させ、10分間ゆっくり混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4部を溶解したイオン交換水50部を投入した。窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、体積平均粒径150nmであり、Tg=52℃、重量平均分子量Mw=10500の樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液が得られた。この分散液の固形分濃度は40質量%であった。 【0099】 -着色剤分散液(1)の調製- ・カーボンブラック(モーガルL:キャボット製)        60部 ・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)  6部 ・イオン交換水                       240部 【0100】 以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して体積平均粒径が250nmである着色剤(カーボンブラック)粒子が分散された着色剤分散剤(1)を調製した。 【0101】 -着色剤分散液(2)の調製- ・Cyan顔料(C.I.Pigment Blue 15:3) 60部 ・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)  5部 ・イオン交換水                       240部 【0102】 以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して体積平均粒径が250nmである着色剤(Cyan顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(2)を調製した。 【0103】 -着色剤分散液(3)の調製- ・Magenta顔料(C.I.Pigment Red 122)                                  60部 ・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)  5部 ・イオン交換水                       240部 【0104】 以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して体積平均粒径が250nmである着色剤(Magenta顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(3)を調製した。 【0105】 -着色剤分散液(4)の調製- ・Yellow顔料(C.I.Pigment Yellow 180)                                90部 ・ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)  5部 ・イオン交換水                       240部 【0106】 以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して平均粒子径が250nmである着色剤(Yellow顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(4)を調製した。 【0107】 -離型剤分散液- ・パラフィンワックス(HNP0190:日本精蝋(株)製、融点85℃)                              100部 ・カチオン性界面活性剤(サニゾールB50:花王(株)製)    5部 ・イオン交換水                       240部 【0108】 以上の成分を、丸型ステンレス鋼製フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径が550nmである離型剤粒子が分散された離型剤分散液を調製した。 【0109】 (トナー母粒子K1) ・樹脂粒子分散液                      234部 ・着色剤分散液(1)                     30部 ・離型剤分散液                        50部 ・ポリ塩化アルミニウム(Paho2S、浅田化学社製)    0.5部 ・イオン交換水                       600部 【0110】 以上の成分を、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて混合し、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら40℃まで加熱した。40℃で30分保持した後、D50が4.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。更に加用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持し、D50は5.3μmとなった。その後、この凝集体粒子を含む分散液に26質量部の樹脂粒子分散液を追加した後、加熱用オイルバスの温度を50℃まで上げて30分間保持した。この凝集体粒子を含む分散液、1N水酸化ナトリウムを追加して、系のpHを7.0に調整した後ステンレス製フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら80℃まで加熱し、4時間保持した。冷却後、このトナー母粒子を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥してトナー母粒子K1を得た。トナー母粒子K1の粒径が5.9μm、体積平均粒径は5.9μm、形状係数SF1は132であった。 【0111】 (トナー母粒子C1) 着色剤分散液(1)の代わりに、着色剤分散液(2)を用いる以外は、上記トナー母粒子K1と同様にしてトナー母粒子C1を得た。このトナー母粒子C1の粒子径は5.8μm、体積平均粒径は5.8μm、形状係数SF1は131であった。 【0112】 (トナー母粒子M1) 着色剤分散液(1)の代わりに、着色剤分散液(3)を用いる以外は、上記トナー母粒子K1と同様にしてトナー母粒子M1を得た。このトナー母粒子M1の体積平均粒径は5.5μm、形状係数SF1は135であった。 【0113】 (トナー母粒子Y1) 着色剤分散液(1)の代わりに、着色剤分散液(4)を用いる以外は、上記トナー母粒子K1と同様にしてトナー母粒子Y1を得た。このトナー母粒子Y1の体積平均粒径は5.9μm、形状係数SF1は130であった。 【0114】 <トナー母粒子2の作製> -結晶性ポリエステル樹脂(1)の合成- 加熱乾燥した3口フラスコに、1,10-デカンジオール17.4部と、5-スルホイソフタル酸ナトリウムジメチル2.2部と、ジメチルスルホキシド10部と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.03部と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスに置き換えて不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で3時間攪拌を行った。減圧下、ジメチルスルホキシドを留去し、窒素気流下、ドデカンジオイック酸ジメチル26.5部を加え、180℃で1時間攪拌を行った。 【0115】 その後、減圧下にて220℃まで徐々に昇温を行い30分時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、結晶性ポリエステル樹脂(1)36部を合成した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られた結晶性ポリエステル樹脂(1)の重量平均分子量(MW)は9200であり、数平均分子量(Mn)は6000であった。 【0116】 また、結晶性ポリエステル樹脂(1)の融点(Tm)を、前述の測定方法により、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は79℃であった。樹脂のNMRスペクトルから測定計算した、共重合成分(5-スルホイソフタル酸成分)とドデカンジオイック酸成分との含有比は、7.5:92.5であった。 【0117】 (トナー母粒子C2) -樹脂粒子分散液(1)の調製- 得られた結晶性ポリエステル樹脂(1)150部を蒸留水850部中に入れ、85℃に加熱しながらホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラクス)にて混合攪拌して、樹脂粒子分散液(1)を得た。 【0118】 -着色剤分散液(5)の調製- フタロシアニン顔料(大日精化(株)製:PV FAST BLUE)250部と、アニオン界面活性剤20部(第一工業製薬(株)社製:ネオゲンRK)と、イオン交換水730部と、を混合し、溶解させた後、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラクス)を用いて分散し、着色剤(フタロシアニン顔料)を分散させてなる着色剤分散液(5)を調製した。 【0119】 -凝集粒子の調製- 樹脂粒子分散液(1)2400部と、着色剤分散液(5)100部と、離型剤分散液63部と、過酸化ラウロイル10部と、硫酸アルミニウム(和光純薬社製)5部と、イオン交換水100部と、を丸型ステンレス製フラスコ中に収容させ、pH2.0に調整し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散させた後、加熱用オイルバス中で72℃まで攪拌しながら加熱した。72℃で3時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、体積平均粒径が約5.0μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。更に1時間、72℃で加熱攪拌を保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、体積平均粒径が約5.5μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。 【0120】 -融合工程- この凝集粒子のpHは2.4であった。そこで炭酸ナトリウム(和光純薬社製)を0.5重量%に希釈した水溶液を穏やかに添加し、pHを5.0に調整した後、攪拌を継続しながら83℃まで加熱し、3時間保持した。 【0121】 その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させることによりトナー母粒子C2を得た。得られたトナー母粒子C2について、コールターカウンター[TA-II]型(アパーチャー径:50μm、コールター社製)を用いて体積平均粒子径を測定したところ、このトナー母粒子C2のD50は5.5μm、形状係数SF1は131であった。 【0122】 <キャリアの作製> トルエン14部、スチレン-メチルメタクリレート共重合体(成分比:80/20、重量平均分子量70000)2部、及びカーボンブラック(R330:キャボット社製)0.2部を混合し、10分間スターラーで撹拌させて、カーボンブラックが分散した被覆層形成用溶液を調製した。次に、この被覆液とフェライト粒子(体積平均粒径:38μm)100部とを真空脱気型ニーダーに入れて、60℃において30分撹拌した後、さらに加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリアを作製した。このキャリアは、800V/cmの電界印加時の体積固有抵抗値が1011Ωcmであった。 【0123】 <外添剤粒子の疎水化処理> 外添剤粒子の疎水化処理は、下記の通りにして行った。なお、処理剤としてはシラン及びシランカップリング剤を用いた。 反応容器に純水1000部に2-プロパノール100部を混ぜた混合溶剤中に外添剤コアを80部加えてスラリー状にする。次に、外添剤コア量100部に対し、下記表1に示した処理剤種を、同じく表1に示した処理剤量分をスラリー状になった反応容器へ投入した。反応容器内を乾燥窒素ガスで置換した後、昇温後0.1N-HClを30部滴下し、混合溶液を窒素ガス気流下攪拌しながら約80℃まで昇温した。 【0124】 その後、オイルバスで加熱・還流しながら3時間攪拌反応した。冷却後混合溶液を取出し遠心分離機で微粒子を分離し上澄みを除去した。濾過された微粒子をメタノール10%水溶液に混合攪拌し遠心分離する操作を3回繰り返した。更に、純水に混合攪拌し、遠心分離操作3回繰り返した後、微粒子湿品を凍結乾燥して水分を除去した。160℃で2時間真空乾燥した後、メノウ乳鉢で壊砕し、40μm篩分網にて篩分した。 以上のようにして、3種の外添剤粒子からなる外添剤I~VIを得た。 【0125】 【表1】 【0126】 <実施例1> 上記トナー母粒子K1、C1、M1、Y1のそれぞれ100部に対し、表1の外添剤Iの小径外添剤を0.5部、中径外添剤を1.0部、大径外添剤を1.0部各々添加し、5リットルヘンシェルミキサーを用い、周速30m/sで15分間ブレンドを行った後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナー1を作製した。 【0127】 <実施例2> 上記トナー母粒子K1、C1、M1、Y1のそれぞれ100部に対し、表1の外添剤IIの小径外添剤を0.5部、中径外添剤を1.0部、大径外添剤を1.0部各々添加し、5リットルヘンシェルミキサーを用い、周速30m/sで15分間ブレンドを行った後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナー2を作製した。 【0128】 <実施例3> 上記トナー母粒子K1、C1、M1、Y1のそれぞれ100部に対し、表1の外添剤IIIの小径外添剤を0.5部、中径外添剤を1.0部、大径外添剤を1.0部各々添加し、5リットルヘンシェルミキサーを用い、周速30m/sで15分間ブレンドを行った後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナー3を作製した。 【0129】 <実施例4> 上記トナー母粒子K1、C1、M1、Y1のそれぞれ100部に対し、表1の外添剤IVの小径外添剤を0.5部、中径外添剤を1.0部、大径外添剤を1.0部各々添加し、5リットルヘンシェルミキサーを用い、周速30m/sで15分間ブレンドを行った後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナー4を作製した。 【0130】 <実施例5> トナー母粒子C2の100部に対し、表1の外添剤Iの小径外添剤を0.5部、中径外添剤を1.0部、大径外添剤を1.0部各々添加し、5リットルヘンシェルミキサーを用い、周速30m/sで15分間ブレンドを行った後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナー5を作製した。 【0131】 <比較例1> トナー母粒子K1、C1、M1、Y1のそれぞれ100部に対し、表1の外添剤Vの小径外添剤を0.5部、中径外添剤を1.0部、大径外添剤を1.0部各々添加し、5リットルヘンシェルミキサーを用い、周速30m/sで15分間ブレンドを行った後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナー6を作製した。 【0132】 <比較例2> トナー母粒子K1、C1、M1、Y1のそれぞれ100部に対し、表1の外添剤VIの小径外添剤を0.5部、大径外添剤を1.0部各々添加し、5リットルヘンシェルミキサーを用い、周速30m/sで15分間ブレンドを行った後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナー7を作製した。 【0133】 <現像剤の作製> 得られたトナー1~7を各々10部と、前記キャリア100部とをV-ブレンダーにより40rpmで20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することによりカラー用電子写真用現像剤1~7を作製した。 【0134】 <評価> 各実施例及び比較例の現像剤について、以下に示す評価を行った。 上記それぞれの現像剤を用い、装置としてDocuCentreColor400(富士ゼロックス社製)を用いた。 ・・・中略・・・ 【0137】 (流動性評価) 流動性評価は、パウダーレオメーターを用いた。測定方法について説明する。 パウダーレオメーターは、充填した粒子中を回転翼が螺旋状に回転することによって得られる回転トルクと垂直荷重とを同時に測定して、流動性を直接的に求める流動性測定装置である。回転トルクと垂直荷重の両方を測定することで、粉体自身の特性や外部環境の影響を含めた流動性について、高感度に検出することができる。また、粒子の充填の状態を一定とした上で測定を行うため、再現性の良好なデータを得ることができる。 【0138】 本発明では、パウダーレオメーターとしてfreeman technology社製のFT4を用いて測定した。なお、測定前に温湿度の影響をなくすため、現像剤は、温度22℃、湿度50%RHの状態で、8時間以上放置したものを用いた。 【0139】 トナーを内径50mm、高さ140mmの200mL容器に入れ、通気量50ml/minで空気を流入させながら、容器内を底面からの高さ110mmから10mmまで、進入角度-5°で移動しながら回転翼の先端スピード100mm/sで回転するときの、回転トルクと垂直荷重を測定する。 【0140】 ここで、50ml/minで空気を流入しながら測定するのは、現像装置内でのトナーの流動状態に、より近似させるためである。50ml/minでのトナーは、攪拌部材によって攪拌された直後の流動状態を再現しているものと考える。なお、freeman technology社製のFT4では、通気量の流入状態は特定されている。 【0141】 底面からの高さHに対する回転トルク又は垂直荷重から、高さHに対してのエネルギー勾配(mJ/mm)を求め、エネルギー勾配を積分して得られた面積がトータルエネルギー量(mJ)となる。本発明では、底面からの高さ10mmから110mmの区間を積分してトータルエネルギー量を求めた。 また、本発明では、誤差による影響を少なくするため、このコンディショニングとエネルギー測定操作のサイクルを5回行って得られた平均値を、本発明におけるトータルエネルギー量(mJ)とする。 回転翼は、freeman technology社製の2枚翼プロペラ型のφ48mm径ブレードを用いた。 【0142】 上記条件下で測定したトータルエネルギー量(mJ)が、25mJ以下であるものを○、25mJを超えるものを×とした。 ・・・中略・・・ 【0145】 【表2】 【0146】 表2に示されるように、トナー母粒子に粒径の異なる3種の外添剤を用いる場合、実施例のように大径から小径の順にメタノール疎水化度を大きくすることにより、経時流動性の変化が無く高湿下での経時帯電変化も無い、ストレス変動に強い高転写効率のトナーを得ることができることがわかる。一方、比較例1のメタノール疎水化度が本願発明のような順になっていない場合では、帯電特性、流動性のいずれかに問題が生じた。また、中径外添剤を用いない比較例2では、転写維持性が悪化した。」 エ 上記ア~ウによれば、引用文献1には、実施例3として、「トナー母粒子K1」「100部に対し」、表1(【0125】)の「外添剤III」を添加して、作製した「トナー3」が記載されている。そして、引用文献1の【0109】~【0110】から、「トナー母粒子K1」は、「樹脂粒子分散液」、「着色剤分散液(1)」、「離型剤分散液」、「ポリ塩化アルミニウム」及び「イオン交換水」から得られるものと理解される。また、「樹脂粒子分散液」、「着色剤分散液(1)」及び「離型剤分散液」は、それぞれ引用文献1の【0098】、【0099】~【0100】及び【0107】~【0108】に記載されている。 くわえて、引用文献1の【0001】及び【0019】には、当該文献において「本発明」とされる発明の技術分野及び発明の効果について記載されるとともに、【0139】及び【0142】【表2】には、「トナー3」の流動性評価が示されている。 以上勘案すると、引用文献1には、次の「静電潜像現像用トナー」の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 (ア)引用発明1 「 電子写真法、静電記録法等において、静電潜像の現像のために使用する静電潜像現像用トナーであって、 トナーの粉体流動性、帯電性を高く維持し、経時による転写安定性、帯電の環境安定性の改善を図り、高画質な画像を安定して得ることが可能であり、 スチレン 370部、n-ブチルアクリレート 30部、アクリル酸 8部、ドデカンチオール 24部、四臭化炭素 4部を混合して溶解したものを、乳化重合させ、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液を得、 カーボンブラック 60部、ノニオン性界面活性剤 6部、イオン交換水 240部を混合して、着色剤粒子が分散された着色剤分散剤(1)を調製し、 パラフィンワックス 100部、カチオン性界面活性剤 5部、イオン交換水 240部を、分散処理し、離型剤粒子が分散された離型剤分散液を調製し、 樹脂粒子分散液 234部、着色剤分散液(1) 30部、離型剤分散液 50部、ポリ塩化アルミニウム 0.5部、イオン交換水 600部を、混合し、分散した後、加熱し、凝集粒子を生成し、26質量部の樹脂粒子分散液を追加した後、系のpHを7.0に調整しトナー母粒子を濾別し、洗浄した後、トナー母粒子K1を得、 トナー母粒子 100部に対し、下記の各外添剤を小径外添剤0.5部、中径外添剤1.0部、大径外添剤1.0部各々添加し、ヘンシェルミキサーを用い、ブレンドを行った後、粗大粒子を除去し、トナーを作製し、 作製したトナーを内径50mm、高さ140mmの200mL容器に入れ、通気量50ml/minで空気を流入させながら、容器内を底面からの高さ110mmから10mmまで、進入角度-5°で移動しながら回転翼の先端スピード100mm/sで回転するときの、回転トルクと垂直荷重をパウダーレオメーターを用いて測定し、トータルエネルギー量が25mJ以下である静電潜像現像用トナー。 記 小径外添剤:平均一次粒径15nmのチタニアに対し、ヘキシルシランで疎水化処理したもの 中径外添剤:平均一次粒径40nmシリカに対し、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したもの 大径外添剤:平均一次粒径120nmシリカに対し、ジメチルジクロロシランで疎水化処理したもの」 (2)引用文献2について 原査定の拒絶の理由で引用文献2として引用され、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である、特開2015-143838号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は電子写真法、静電記録法、磁気記録法などに用いられる磁性トナーに関する。」 イ 「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明の目的は、上記のような問題点を解決できる磁性トナーを提供することにある。具体的には、長期使用時に安定した画像濃度が得られる磁性トナーであり、低温低湿条件下での現像ゴーストの発生を抑制できる磁性トナーを提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明者らは、シリカ微粒子Aおよびシリカ微粒子Bによる磁性トナー粒子の表面の被覆状態を制御することにより、長期使用時に安定した画像濃度が得られ、低温低湿条件下での現像ゴーストの発生を抑制できることを見出し、本発明の完成に至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。 結着樹脂、磁性体および離型剤を含有する磁性トナー粒子と、 前記磁性トナー粒子の表面に存在するシリカ微粒子と、 を有する磁性トナーであって、 前記シリカ微粒子が、シリカ微粒子Aおよびシリカ微粒子Bを含み、 前記シリカ微粒子Aの一次粒子の数平均粒径(D1)が、5nm以上20nm以下であり、 前記シリカ微粒子Bが、ゾルゲル法により製造されたシリカ微粒子であり、 前記シリカ微粒子Bの一次粒子の数平均粒径(D1)が、40nm以上200nm以下であり、 前記シリカ微粒子Bの二次粒子の存在比率が、5個数%以上40個数%以下であり、 X線光電子分光装置(ESCA)により求めた、前記磁性トナー粒子の表面の前記シリカ微粒子による被覆率X1が、40.0面積%以上75.0面積%以下であることを特徴とする磁性トナー。 【発明の効果】 【0008】 本発明によれば、長期使用時に安定した画像濃度が得られ、低温低湿条件下での現像ゴーストの発生を抑制できる磁性トナーを提供することが可能である。」 ウ 「【実施例】 【0123】 以下、本発明を製造例および実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の配合における部数はすべて質量部である。 ・・・中略・・・ 【0135】 <磁性トナー粒子の製造> イオン交換水720部に0.1mol/L-Na3PO4水溶液450質量部を投入し温度60℃に加温した後、1.0mol/L-CaCl2水溶液67.7質量部を添加して分散安定剤を含む水系媒体を得た。 【0136】 ・スチレン                        78質量部 ・n-ブチルアクリレート                 22質量部 ・ジビニルベンゼン                   0.5質量部 ・ポリエステル樹脂                     3質量部 ・負荷電制御剤 T-77(保土ヶ谷化学製)         1質量部 ・磁性体                         70質量部 【0137】 上記処方をアトライター(日本コークス工業(株)(旧三井三池化工機(株)))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を温度60℃に加温し、そこに以下の材料を混合/溶解し、重合性単量体組成物とした。 ・離型剤(パラフィンワックス(HNP-9:日本精蝋(株)製))                                15質量部 ・重合開始剤(t-ブチルパーオキシピバレート(25%トルエン溶液))                             10質量部 前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度60℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで15分間攪拌し、造粒した。その後、パドル攪拌翼で攪拌し、反応温度70℃にて300分間重合反応行った。その後、懸濁液を毎分3℃で室温まで冷却し、塩酸を加えて分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥して磁性トナー粒子1を得た。磁性トナー粒子1の重量平均粒径(D4)は8.0μm、平均円形度は0.975であった。 【0138】 <シリカ微粒子Aの製造例1> 攪拌機付きオートクレーブに、シリカ原体(一次粒子の数平均粒径=10nmのヒュームドシリカ)を投入し、攪拌による流動化状態において、200℃に加熱した。 反応器内部を窒素ガスで置換して反応器を密閉し、シリカ原体100質量部に対し、25質量部のヘキサメチルジシラザンを内部に噴霧し、シリカの流動化状態でシラン化合物処理を行った。この反応を60分間継続した後、反応を終了した。反応終了後、オートクレーブを脱圧し、窒素ガス気流による洗浄を行い、疎水性シリカから過剰のヘキサメチルジシラザンおよび副生物を除去した。 さらに、反応槽内の疎水性シリカを攪拌しながら、シリカ原体100質量部に対し、10質量部のジメチルシリコーンオイル(粘度=100mm2/秒)を噴霧し、30分間攪拌を続けた。その後、攪拌しながら300℃まで昇温させてさらに2時間攪拌した。その後、取り出し解砕処理を実施し、シリカ微粒子A1を得た。シリカ微粒子A1の物性を表1に示す。 【0139】 <シリカ微粒子Aの製造例2~5> シリカ微粒子A1の製造例において、使用する未処理シリカの粒径を変更し、解砕処理強度を適宜調整した以外は同様にして、シリカ微粒子A2~5を得た。シリカ微粒子A2~5の物性を表1に示す。 【0140】 【表1】 【0141】 <シリカ微粒子Bの製造例1> 攪拌機、滴下ろうとおよび温度計を備えた3Lのガラス製反応器に、メタノール687.9g、純水42.0gおよび28質量%アンモニア水47.1gを入れて混合した。得られた溶液を35℃となるように調整し、攪拌しながらテトラメトキシシラン1100.0g(7.23mol)および5.4質量%アンモニア水395.2gを同時に添加し始めた。テトラメトキシシランは5時間かけて、アンモニア水は4時間かけて、それぞれを滴下した。 滴下が終了した後も、さらに0.2時間攪拌を継続して加水分解を行うことにより、親水性球状ゾルゲルシリカ微粒子のメタノール-水分散液を得た。次いで、ガラス製反応器にエステルアダプターと冷却管とを取り付け、前記分散液を65℃に加熱してメタノールを留去した。その後、留去したメタノールと同量の純水を添加した。この分散液を80℃、減圧下で十分乾燥させた。得られたシリカ粒子を、恒温槽にて400℃で10分間加熱した。上記工程を20回実施し、得られたシリカ微粒子を、パルベライザー(ホソカワミクロン(株)製)にて解砕処理を行った。 その後、シリカ粒子500gを内容積1000mLのポリテトラフルオロエチレン内筒式ステンレスオートクレーブに仕込んだ。オートクレーブ内を窒素ガスで置換した後、オートクレーブ付属の攪拌羽を400rpmで回転させながら、0.5gのHMDS(ヘキサメチルジシラザン)および0.1gの水を、二流体ノズルにて霧状にしてシリカ粉末に均一に吹き付けた。30分間攪拌した後、オートクレーブを密閉し、200℃で2時間加熱した。続いて、加熱したまま系中を減圧して脱アンモニアを行い、シリカ微粒子B1を得た。シリカ微粒子B1の各物性を表2に示す。 【0142】 <シリカ微粒子Bの製造例2~5> シリカ微粒子B1の製造例において、使用する未処理シリカの粒径を変更し、解砕処理強度を適宜調整した以外は同様にして、シリカ微粒子B2~5を得た。シリカ微粒子B2~5の物性を表2に示す。 【0143】 【表2】 【0144】 <磁性トナー1の製造例> 磁性トナー粒子に対して、図3に示す装置を用いて、外添混合処理を行った。 図3に示す装置の構成は、本体ケーシング31の内周部の径が130mmであり、処理空間39の容積が2.0×10-3m3の装置を用い、駆動部38の定格動力を5.5kWとし、攪拌部材33の形状を図4のものとした。そして、図4における攪拌部材33aと攪拌部材33bの重なり幅dを攪拌部材33の最大幅Dに対して0.25Dとし、攪拌部材33と本体ケーシング31内周とのクリアランスを3.0mmとした。 【0145】 上記構成とした図3に示す装置に、磁性トナー粒子100質量部と、シリカ微粒子B1を0.3質量部とを投入した。磁性トナー粒子とシリカ微粒子B1を投入後、磁性トナー粒子とシリカ微粒子B1を均一に混合するために、プレ混合を実施した。プレ混合の条件は、駆動部38の動力を0.10W/g(駆動部38の回転数150rpm)とし、処理時間を1分間とした。プレ混合終了後、外添混合処理を行った。外添混合処理条件は、駆動部38の動力を0.30W/g(駆動部38の回転数1300rpm)で一定となるように、攪拌部材33の最外端部周速を調整し、処理時間を5分間とした。 【0146】 その後さらにシリカ微粒子A1を0.90質量部添加し、シリカ微粒子A1を均一に混合するために、プレ混合を実施した。プレ混合の条件は、駆動部38の動力を0.10W/g(駆動部38の回転数150rpm)とし、処理時間を1分間とした。プレ混合終了後、外添混合処理を行った。外添混合処理条件は、駆動部38の動力を0.30W/g(駆動部38の回転数1250rpm)で一定となるように、攪拌部材33の最外端部周速を調整し、さらに処理を5分間実施した。 外添混合処理後、直径500mm、目開き75μmのスクリーンを設置した円形振動篩機で粗粒などを除去し、トナー1を得た。トナー1を走査型電子顕微鏡で拡大観察し、トナー粒子の表面のシリカ微粒子Bの一次粒子に対する二次粒子の存在比率を測定したところ、10個数%であった。トナー1の外添条件を表3に示す。物性を表4にそれぞれ示す。 【0147】 <磁性トナー2~27、および比較磁性トナー1~10の製造例> 磁性トナー1の製造例において、表3-1および表3-2に示す外添剤の種類および添加部数、磁性トナー粒子、外添装置、外添条件などへ変更した以外は同様にして、磁性トナー2~27、および比較用磁性トナー1~10を製造した。得られた磁性トナー2~27、および比較用磁性トナー1~10の外添条件を表3-1および表3-2に示す。得られた磁性トナーおよび比較用磁性トナーの物性を表4にそれぞれ示す。 ここで、外添装置としてヘンシェルミキサーを使用する場合、ヘンシェルミキサーFM10C(日本コークス工業(株)(旧三井三池化工機(株)))を用いた。また、一部の製造例においては、プレ混合工程を行わなかった。 【0148】 【表3-1】 外添装置:「図4」は「図4に示す装置」を意味し、「HM」は「ヘンシェルミキサー」を意味する。 【0149】 【表3-2】 外添装置:「図4」は「図4に示す装置」を意味し、「HM」は「ヘンシェルミキサー」を意味する。 【0150】 【表4】 【0151】 <実施例1> 上記磁性トナー1を用いて、以下の評価を行った。評価結果を表5に示す。 (画像形成装置) キヤノン(株)製プリンターLBP3100を改造して画像出力評価に用いた。改造点としては、図1に示すように現像剤担持体が静電潜像担持体を接触するように改造した。なお、現像剤担持体と静電潜像担持体の当接部が1.0mmとなるように当接圧を調整した。このように改造することで、トナー供給部材が無いことから現像剤担持体上のトナーをかき取ることができず、現像ゴーストに関しては非常に厳しい評価条件である。また、トナー供給部材が無いことで黒後ドラム上カブリに関しても厳しい評価条件である。 このように改造した現像装置に磁性トナー1を50g充填し、現像剤担持体51を用いて現像装置を作製した。作製した現像装置を用い、低温低湿環境(温度15℃/相対湿度10%RH)にて1500枚の画像出力を行った。なお、画像としては印字率が1%となるような横線を間欠モードにて画像出力試験を行った。 その結果、低温低湿環境下において現像ゴーストの無い良好な画像を得ることができた。評価結果を表5に示す。 【0152】 本発明の実施例および比較例で行った各評価の評価方法とその判断基準について以下に述べる。 <画像濃度> 画像濃度はべた画像部を形成し、このベタ画像の濃度をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定した。耐久初期(評価1)および4000枚印字後(評価2)における、べた画像の反射濃度の判断基準は以下のとおりである。 A:非常に良好(1.46以上) B:良好(1.41以上1.45以下) C:普通(1.36以上1.40以下) D:悪い(1.35以下) 【0153】 <現像ゴースト> 10mm×10mmのベタ画像複数個を転写紙の前半分に形成し、後ろ半分には2ドット3スペースのハーフトーン画像を形成した。ハーフトーン画像上に前記ベタ画像の痕跡がどの程度出るかを目視で判断する A:ゴースト未発生。 B:ゴーストがごく軽微に発生。 C:ゴーストが軽微に発生。 D:ゴーストが顕著に発生。 【0154】 <黒後ドラム上カブリ> カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODELTC-6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用いた。黒後ドラム上カブリはべた黒画像の転写前ドラム上をマイラーテープでテーピングし、紙上にマイラーテープを貼ったものの反射率から、未使用の紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度を差し引いて算出した。 カブリ(%)= 標準紙上の反射率(%)- サンプル非画像部の反射率(%) A:5%以下 B:6%以上10%以下 C:11%以上20%以下 D:21%以上 【0155】 <実施例2~27、および比較例1~10> 磁性トナーとして、磁性トナー2~27、および比較磁性トナー1~10を使用し、実施例1と同様の条件でトナー評価を行った。評価結果を表5に示す。 【0156】 【表5】 」 エ 上記ア~ウによれば、引用文献2には、実施例1として、「磁性トナー粒子」「100質量部と」、表2(【0143】)の「シリカ微粒子B1」「0.3質量部」及び表1(【0140】)の「シリカ微粒子A1」「0.90質量部」を添加して、作製した「磁性トナー」が記載されている。そして、引用文献2の【0137】から、「磁性トナー粒子」は、「水系媒体」、「重合性単量体組成物」、「離型剤」、「重合開始剤」から得られるものと理解される。また、「水系媒体」、「重合性単量体組成物」は、それぞれ引用文献2の【0135】、【0136】~【0137】に記載されたものである。 くわえて、引用文献1の【0001】及び【0008】には、当該文献において「本発明」とされる発明の技術分野及び発明の効果について記載されている。 以上勘案すれば、引用文献2には、次の「磁性トナー」の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 なお、引用発明2の認定にあたり、「磁性トナー粒子1」及び「磁性トナー粒子」は、後者に用語を統一した。 (ア)引用発明2 「 電子写真法、静電記録法、磁気記録法などに用いられる磁性トナーであって、 長期使用時に安定した画像濃度が得られ、低温低湿条件下での現像ゴーストの発生を抑制でき、 イオン交換水720部に0.1mol/L-Na3PO4水溶液450質量部を投入し温度60℃に加温した後、1.0mol/L-CaCl2水溶液67.7質量部を添加して分散安定剤を含む水系媒体を得、 スチレン 78質量部、n-ブチルアクリレート 22質量部、ジビニルベンゼン 0.5質量部、ポリエステル樹脂 3質量部、負荷電制御剤 1質量部、磁性体 70質量部を均一に分散混合し、加温し、離型剤 15質量部、重合開始剤 10質量部を混合/溶解し、重合性単量体組成物とし、前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、攪拌し、造粒し、塩酸を加えて分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥して磁性トナー粒子を得、 シリカ原体(一次粒子の数平均粒径=10nmのヒュームドシリカ)を加熱し、シリカ原体100質量部に対し、25質量部のヘキサメチルジシラザンを噴霧し、シリカの流動化状態でシラン化合物処理を行い、シリカ原体100質量部に対し、10質量部のジメチルシリコーンオイルを噴霧し、攪拌し、シリカ微粒子A1を得、 その後、シリカ粒子500gをステンレスオートクレーブに仕込み、0.5gのHMDS(ヘキサメチルジシラザン)および0.1gの水を、二流体ノズルにて霧状にしてシリカ粉末に均一に吹き付け、攪拌した後、加熱し、個数平均粒径100nmのシリカ微粒子B1を得、 磁性トナー粒子100質量部と、シリカ微粒子B1を0.3質量部とを投入し、外添混合処理を行い、さらにシリカ微粒子A1を0.90質量部添加し、外添混合処理を行い、得た磁性トナー。」 (3)引用文献3について 原査定の拒絶の理由で引用文献3として引用され、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である、特開2008-134400号公報(以下「引用文献3」という。)には、以下の記載がある。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法、トナージェット方式記録法に用いられるトナーに関する。 【背景技術】 【0002】 近年、プリンター装置などの電子写真装置は、高精細、高画質、高安定をこれまで以上に達成しつつ、高速印字が可能でかつ低ランニングコストのマシン開発が強く望まれている。それに伴って、トナーに要求される特性としても、ますます高くかつ多岐にわたってきており、さまざまな観点からの開発が行なわれている。 ・・・中略・・・ 【0004】 以上のように、トナーに求められる特性として、特に、トナーによって高解像度・高精細画像を達成しつつ、高速での現像の長期耐久安定性を図る要求を満たすには、これまで提案されてきた技術では不十分であり、まだまだ改善の余地がある。」 イ 「【実施例】 【0095】 以下に本発明を実施例をもって説明するが本発明は実施例によって制限されるものではない。なお、実施例中で使用する部はすべて質量部を示す。 【0096】 (ハイブリッド樹脂製造例) ビニル系共重合体ユニットを形成するモノマーとして、スチレン2.0mol、2-エチルヘキシルアクリレート0.21mol、フマル酸0.14mol、α-メチルスチレンの2量体0.03mol、ジクミルパーオキサイド0.05molを滴下ロートに入れる。また、ポリエステル樹脂ユニットを形成するモノマーとして、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン7.0mol、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン3.0mol、テレフタル酸3.0mol、無水トリメリット酸1.9mol、フマル酸5.0mol及び酸化ジブチル錫0.2gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、145℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートよりビニル系樹脂の単量体、架橋剤及び重合開始剤を4時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温を行い、4時間反応せしめてハイブリッド樹脂(Tm=110℃)を得た。GPCによる分子量測定の結果を表1に示す。 【0097】 (ポリエステル樹脂製造例) ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン3.6mol、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン1.6mol、テレフタル酸1.7mol、無水トリメリット酸0.1mol、フマル酸2.4mol及び酸化ジブチル錫0.12gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。窒素雰囲気下で、215℃で5時間反応させ、ポリエステル樹脂(Tm=95℃)を得た。GPCによる分子量測定の結果を表1に示す。 【0098】 【表1】 【0099】 <実施例1> 以下に示すように、トナー1を作製した。 ・上記ハイブリッド樹脂                  60質量部 ・シアン顔料(PigmentBlue15:3)      40質量部 上記の処方でニーダーミキサーにより溶融混練し、シアンマスターバッチを作製した。 ・上記ハイブリッド樹脂                  91質量部 ・精製ノルマルパラフィン(最大吸熱ピーク温度70℃、Mw=450、Mn=320) 5質量部 ・シアンマスターバッチ(着色量分40質量%)       15質量部 【0100】 上記の処方で十分にヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押出し混練機で混練物温度が150℃になるよう溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1~3mm程度に粗粉砕し、再度ハンマー形状を変更し、メッシュを細かくしたハンマーミルを用いて約0.3mm程度に粗粉砕物を作った。さらにターボ工業製のターボ・ミル(RSローター/SNBライナー)を用いて11μm程度に中粉砕物を作った。さらにターボ工業製のターボ・ミル(RSSローター/RSSライナー)を用いて6μm程度に中粉砕物を作った。再度ターボ・ミル(RSSローター/RSSライナー)を用いて5μm程度に微粉砕物を作った。次にハンマー形状などを改良したホソカワミクロン社製のファカルティを用いて、分級と同時に球形化を行うことでシアン粒子1(トナー粒子)を得た。 【0101】 上記シアン粒子1(トナー粒子)100質量部に対して、アナターゼ型酸化チタン微粉末(BET比表面積=100m2/g、イソブチルトリメトキシシラン12質量%処理)0.6質量部と、個数分布基準の最大ピーク粒径100nmの疎水化処理したシリカ1.5質量部をまずヘンシェルミキサーにより外添し、さらにオイル処理シリカ(BET比表面積200m2/g、シリコーンオイル18質量%処理)1.2質量部を追加投入して、ヘンシェルミキサーにより外添してトナー1とした。トナー1の重量平均径が5.5μmであり、表2に示すような物性を持つトナーであった。 【0102】 さらに、トナー1と、シリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(平均粒径38μm:Mn-Mgフェライト)とを、トナー濃度が8.0質量%になるように混合し、二成分系現像剤1とした。 【0103】 以上の条件で、単色モードで常温低湿環境下(23℃/5%)にて30%の印字比率の画像を1000枚間欠モード(すなわち、1000枚プリントアウトする毎に10秒間現像器を休止させ、評価紙を追加し、画像をチェックする。補給トナー量が多く長期使用でのトナー劣化を確認するモード)で100000枚までプリントアウトし、初期と100000時に以下の項目に関して評価した。耐久後でもカブリのないオリジナルを忠実に再現するシアン画像を形成した。また画像濃度も初期から耐久後でも安定して高い濃度を出力できた。また、HT画像のガサツキに関しても耐久前後でそのレベルは良好であった。評価結果を表3に示す。 【0104】 (1)カブリ測定 IRC-3200(キヤノン社製複写機)を用い、単色モードで常温低湿環境下(23℃/5%)で画像面積比率5%のオリジナル原稿を用いて1000枚の耐刷試験の評価を行う。耐久試験において、カブリの測定方法は以下のとおりである。まず、シアン画像の場合、画出し前の普通紙の平均反射率Dr(%)を、アンバーフィルターを搭載したリフレクトメーター(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER MODEL TC-6DS」)によって測定する。一方、普通紙上にベタ白画像を画出し、次いでベタ白画像の反射率Ds(%)を測定する。これらの測定値を用いてカブリ(Fog[%])を下記式(2)により求める。 Fog[%]=Dr[%]-Ds[%]    ・・・(2) (評価基準) A:0.7%未満で優秀 B:0.7%以上、1.2%未満で良好 C:1.2%以上、1.5%未満で実用上問題なし D:1.5%以上、2.0%未満で実用上問題あり E:2.0%以上で悪い 【0105】 (2)画像濃度 IRC-3200(キヤノン社製)を用い、通常の複写機用普通紙(75g/m2)の転写 材を用いて、画出し試験において耐久評価終了時にベタ画像を出力し、その濃度を測定することにより評価した。尚、画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。 (評価基準) A:非常に良好   1.40以上 B:良好      1.35以上、1.40未満 C:実用上問題なし 1.00以上、1.35未満 D:やや難あり   1.00未満 【0106】 (3)ハーフトーン画像のガサツキ トナーの流動性と帯電性のバランスを評価するために、ベタ画像を3枚印字した後に出力したハーフトーン画像の均一性を目視で判断した。 (評価基準) A:非常に良好   画像の均一性が非常に優れ、極めて鮮明な画像 B:良好      画像の均一性に優れ、良好な画像 C:実用上問題なし 実用的には問題の無い画質 D:やや難あり   画像の均一性が悪く、実用上好ましくない画像 【0107】 ・・・中略・・・ 【0112】 <実施例7> 実施例1において、個数分布基準の最大ピーク粒径100nmの疎水化処理したシリカを、個数分布基準の最大ピーク粒径82nmに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてトナー7を得た。実施例1と同様に各種評価したところ、表3に示すように実施例1と同様に良好な結果であった。 【0113】 <実施例8> 実施例1において、個数分布基準の最大ピーク粒径100nmの疎水化処理したシリカを、個数分布基準の最大ピーク粒径165nmに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてトナー8を得た。実施例1と同様に各種評価したところ、表3に示すように、カブリ、画像濃度が若干劣るものの、良好な結果であった。 ・・・中略・・・ 【0117】 【表2】 【0118】 【表3】 」 ウ 上記ア~イに基づけば、引用文献3には、実施例1として、「トナー粒子」「100質量部に対して」、「アナターゼ型酸化チタン微粉末」「0.6質量部と」、「疎水化処理したシリカ」「1.5質量部」、「オイル処理シリカ」「1.2質量部」を添加して、作製した「トナー1」が記載されている。そして、引用文献3の【0099】~【0100】から、「トナー粒子」は、「ハイブリッド樹脂」、「精製ノルマルパラフィン」及び「シアンマスターバッチ」から得られるものと理解される。また、「ハイブリッド樹脂」、「シアンマスターバッチ」及び「疎水化処理したシリカ」は、それぞれ引用文献3の【0096】、【0099】、【0117】(【表2】)に記載されている。 くわえて、引用文献1の【0001】には、当該文献において「本発明」とされる発明の技術分野について記載されている。 以上勘案すれば、引用文献3には、次の「トナー1」の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。 なお、「トナー1」及び「トナー」は、後者に用語を統一した。 (ア)引用発明3 「 電子写真法、静電記録法、静電印刷法、トナージェット方式記録法に用いられるトナーであって、 スチレン2.0mol、2-エチルヘキシルアクリレート0.21mol、フマル酸0.14mol、α-メチルスチレンの2量体0.03mol、ジクミルパーオキサイド0.05molを滴下ロートに入れ、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン7.0mol、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン3.0mol、テレフタル酸3.0mol、無水トリメリット酸1.9mol、フマル酸5.0mol及び酸化ジブチル錫0.2gをフラスコに入れ、撹拌しながら、先の滴下ロートよりビニル系樹脂の単量体、架橋剤及び重合開始剤を滴下し、反応せしめてハイブリッド樹脂を得、 ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン3.6mol、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン1.6mol、テレフタル酸1.7mol、無水トリメリット酸0.1mol、フマル酸2.4mol及び酸化ジブチル錫0.12gをフラスコに入れ、反応させ、ポリエステル樹脂を得、 ハイブリッド樹脂 60質量部、シアン顔料 40質量部を溶融混練し、シアンマスターバッチを作製し、ハイブリッド樹脂 91質量部、精製ノルマルパラフィン 5質量部、シアンマスターバッチ 15質量部を溶融混練し、粉砕し、トナー粒子を得、 トナー粒子100質量部に対して、アナターゼ型酸化チタン微粉末0.6質量部と、個数平均粒径100nmの疎水化処理したシリカ1.5質量部をヘンシェルミキサーにより外添し、さらにオイル処理シリカ(シリコーンオイル18質量%処理)1.2質量部を追加投入して、ヘンシェルミキサーにより外添したトナー。」 (4)引用文献4について 原査定の拒絶の理由で引用文献4として引用され、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である、特開2014-2309号公報(以下「引用文献4」という。)には、以下の記載がある。 ア 「【請求項1】 スチレン-アクリル共重合体からなる結着樹脂が含有されてなる母体粒子の表面に、スチレン-アクリル変性ポリエステル樹脂によるバンプが複数形成されたトナー粒子を有してなり、 前記バンプの平均高さが50~120nmであり、 前記バンプの平均直径が100~500nmであり、 前記母体粒子表面における前記バンプの平均分布密度が2~15個/μm2 であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。 【請求項2】 前記トナー粒子に対して、長鎖アルキルシランにより疎水化処理された、平均粒径が20~40nmであるシリカ微粒子よりなる外添剤が添加されてなることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。」 イ 「【技術分野】 【0001】 本発明は、電子写真方式による画像形成に用いられる静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)および二成分現像剤、並びに、この二成分現像剤を用いた画像形成方法に関する。」 ウ 「【0099】 〔外添剤〕 外添剤としては、帯電状態の安定性を確保する観点から、長鎖アルキルシランにより疎水化処理されたもの、また、耐久性を確保する観点から、母体粒子表面に形成されたバンプ間に入り込むことのできる大きさのものを添加することが好ましい。また、粒径が小径、中径および大径の外添剤を最適に組み合わせることにより、帯電性、流動性およびクリーニング性を長期間にわたって制御することができる。 【0100】 〔特定の疎水化シリカ微粒子〕 外添剤としては、具体的には、長鎖アルキルシランにより疎水化処理された、平均粒径が20~40nmである特定の疎水化シリカ微粒子を用いることが好ましい。 トナー粒子に対して特定の疎水化シリカ微粒子が添加されることにより、長鎖アルキルシランにより疎水化処理されているため、基本的に、帯電状態の安定性が確保されると共に、当該特定の疎水化シリカ微粒子が、母体粒子表面に形成されたバンプ間に入り込むことによって、当該特定の疎水化シリカ微粒子が、キャリア粒子とトナー粒子との衝突やトナー粒子同士の衝突により、衝撃力を直接的に受けることが抑制されるので、トナー粒子に対する特定の疎水化シリカ微粒子の埋没が抑制される。 【0101】 本発明において、特定の疎水化シリカ微粒子の平均粒径は、以下のようにして測定される。 走査型電子顕微鏡「JSM-7401F」(JEOL社製)を用い、30,000倍観察し、SEM画像データから画像処理を行って、10微粒子について直径の測定を行い、平均値を算出する。 【0102】 特定の疎水化シリカ微粒子に対する疎水化処理剤としての長鎖アルキルシランとしては、一般的なものを用いることができ、例えば、オクタデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシランなどが挙げられる。長鎖アルキルシランは、炭素数が6~16のものが好ましい。長鎖アルキルシランの炭素数が6未満である場合においては、高温高湿環境下において帯電状態の安定性が低下するおそれがある。一方、長鎖アルキルシランの炭素数が16を超える場合においては、現像性が低下する。 【0103】 特定の疎水化シリカ微粒子の添加割合は、トナー粒子100質量部に対して0.85~1.05質量部であることが好ましい。 特定の疎水化シリカ微粒子の添加割合が過小である場合においては、形成される画像においてカブリが発生するおそれがある。一方、特定の疎水化シリカ微粒子の添加割合が過大である場合においては、外添剤遊離による雨だれ状の画像欠陥が発生するおそれがある。」 (5)引用文献5について 原査定の拒絶の理由で引用文献5として引用され、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である、特開2015-210410号公報(以下「引用文献5」という。)には、以下の記載がある。 ア 「【0001】 本発明は、電子写真方式の画像形成に用いられる静電荷像現像用トナーに関する。」 イ 「【実施例】 【0094】 以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 ・・・中略・・・ 【0106】 <トナー母体粒子の製造例6> トナー母体粒子の製造例1の(3)トナー母体粒子の作製において、結着樹脂微粒子分散液〔1〕の代わりに、下記の通りに調製したビニル変性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔1〕を用いたことの他は同様にして、トナー母体粒子〔6〕を作製した。 【0107】 -ビニル変性ポリエステル樹脂微粒子の分散液の調製- (1)ビニル変性ポリエステル樹脂の合成 窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を装備した容量10リットルの四つ口フラスコに、 ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物  480質量部 テレフタル酸                    130質量部 フマル酸                       85質量部 エステル化触媒(オクチル酸スズ)            2質量部 を入れ、230℃で8時間縮重合反応させ、さらに、8kPaで1時間反応させ、160℃まで冷却した後、 アクリル酸                     8.6質量部 スチレン                      131質量部 ブチルアクリレート                  30質量部 重合開始剤(ジ-t-ブチルパーオキサイド)      10質量部 の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下し、滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を継続させた後、200℃に昇温し、10kPaで1時間保持した後、アクリル酸、スチレン、ブチルアクリレートを除去することにより、ビニル変性ポリエステル樹脂を得た。このビニル変性ポリエステル樹脂は、ガラス転移点(Tg)が60℃、数平均分子量が3,000、重量平均分子量が18,000であった。 (2)ポリエステル樹脂粒子分散液の調製 得られたビニル変性ポリエステル樹脂100質量部を、「ランデルミル 形式:RM」(徳寿工作所社製)で粉砕し、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US-150T」(日本精機製作所製)を用いてV-LEVEL、300μAで30分間超音波分散し、体積基準のメジアン径(D50)が170nmであるビニル変性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔1〕を調製した。」 (6)引用文献6について 原査定の拒絶の理由で引用文献6として引用され、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である、特開2007-78903号公報(以下「引用文献6」という。)には、以下の記載がある。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット方式記録法の如き画像形成方法において形成される静電画像の現像に用いるトナーに関する。」 イ 「【実施例】 【0111】 以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。尚、以下の配合における部数は全て質量部である。 【0112】 <変性ビニル系重合体1の製造> テレフタル酸                    12.0mol プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA      10.0mol 上記モノマーをエステル化触媒と共にオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置および拡販装置を装着して窒素雰囲気下、減圧しながら情報に従って200℃で10時間縮重合反応を行い、ポリエステルを得た。 【0113】 次に、キシレン105部に、上記ポリエステル40部を添加し、窒素雰囲気下、撹拌しながら75℃まで加熱した。続いて、 イソシアネートエチルメタクリレート(カレンズMOI)     5部 ラウリン酸ジブチル錫                0.0005部 を添加した後、約30分かけて141℃に加熱した。そこに、 スチレン                          50部 アクリル酸ブチル                      10部 tert-ブチルパーオキシベンゾエート            3部 あらかじめ混合しておいた上記モノマーと重合開始剤を、2時間かけて滴下した。その温度でさらに3時間保持してラジカル重合反応を終了した。さらに加熱しながら減圧して、脱溶剤することにより、ポリエステル変性ビニル系重合体1を得た。物性を表1に示す。 ・・・中略・・・ 【0118】 <トナー1の製造> イオン交換水720部に0.1M-Na3PO4水溶液450部を投入し60℃に加温した後、1.0M-CaCl2水溶液67.7部を添加して分散安定剤を含む水系媒体を得た。 【0119】 スチレン                          74部 n-ブチルアクリレート                   26部 ジビニルベンゼン                     0.5部 変性ビニル系重合体1                    15部 負荷電制御剤・T-77(保土ヶ谷化学製)           1部 疎水性磁性酸化鉄1                     95部 上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。 【0120】 この単量体組成物を60℃に加温し、そこにポリエチレンワックス(DSCにおける最大吸熱ピーク65℃、吸熱ピークの半値幅17℃)10部を添加混合溶解し、これに重合開始剤t-ブチル-オキシ2-エチルヘキサノエート4部を溶解して重合性単量体組成物とした。 【0121】 前期水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで15分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃で8時間反応させた。反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて分散剤を溶解し、分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥してトナー粒子1を得た。 【0122】 このトナー粒子100部と、一次粒径12nmのシリカにヘキサメチルジシラザンで処理をした後シリコーンオイルで処理し、処理後のBET値が120m2/gの疎水性シリカ微粉体1.0部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用い混合し、トナー1を調製した。トナー1の物性を表2に示す。」 (7)引用文献7について 原査定の拒絶の理由で引用文献7として引用され、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である、特開平2-881号公報(以下「引用文献7」という。)には、以下の記載がある。 ア 「【【特許請求の範囲】 1.水酸基価が30~60であり、かつ酸価が5以下であるポリエステル系樹脂(b)と、酸価が1~10であり、かつ分子量が5,000~500,000であるスチレン系樹脂(a)をエステル化させてなるブロック重合体を含有することを特徴とする電子写真トナー用バインダー。 2.(a)がスチレン系モノマー90~50重量%、(メタ)アクリル系モノマー10~50重量%、多官能モノマー3重量%以下、他のモノマー10重量%以下よりなるモノマーをカルボキシル基含有重合開始剤を用いて重合させて得たものである請求項1記載のバインダー。 3.低分子量ポリオレフィンをポリエステル系樹脂製造工程、スチレン系樹脂製造工程および/またはポリエステル系樹脂とスチレン系樹脂のエステル化工程に加える請求項1または2記載のバインダー。 4.(1)スチレン系樹脂(A)、(2)これと実質的に不相溶のポリエステル系樹脂(B)および(3)ポリスチレン系樹脂構造とポリエステル系樹脂構造を一つの分子中にもつ樹脂(C)を必須成分とする電子写真用トナーバインダー。」 2 対比及び判断 (1)対比 本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)と引用発明1を対比すると、以下のとおりとなる。 ア トナー母体粒子 引用発明1の「トナー母粒子」は、技術的にみて、本願発明の「トナー母体粒子」に相当する。 イ シリカ粒子A 引用発明1の「大径外添剤」は、「平均一次粒径120nmシリカに対し、ジメチルジクロロシランで疎水化処理したもの」であるから、本願発明の「シリカ粒子A」に相当し、本願発明の「シリカ粒子A」の「疎水化処理剤A由来の疎水性基を表面に有する」という要件を満たす。 ウ シリカ粒子Aの添加量 引用発明1の「静電潜像現像用トナー」は、「トナー母粒子 100部に対し、」「大径外添剤1.0部」「添加し」「作製」されるものである。そうすると、引用発明1の「大径外添剤」は、本願発明の「シリカ粒子A」の「トナー母体粒子100質量部に対して、0.7~2.0質量部」という要件を満たす。 エ シリカ粒子B 引用発明1の「中径外添剤」は、「平均一次粒径40nmシリカに対し、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したもの」であるから、本願発明の「シリカ粒子B」に相当し、本願発明の「シリカ粒子B」の「疎水化処理剤Bは、ヘキサメチルジシラザン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン、およびポリジメチルシロキサンからなる群より選択される少なくとも1種」という要件を満たす。 また、引用発明1の「大径外添剤」は「ジメチルジクロロシランで疎水化処理したもの」であり、「中径外添剤」は「ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したもの」であることから、引用発明1の「中径外添剤」は、本願発明の「シリカ粒子B」の「疎水化処理剤Aとは異なる疎水化処理剤B由来の疎水性基を表面に有する」という要件を満たす。 オ シリカ粒子Bの添加量 引用発明1の「静電潜像現像用トナー」は、「トナー母粒子 100部に対し、」「中径外添剤1.0部」「添加し」「作製」されるものである。そうすると、引用発明1の「中径外添剤」は、本願発明の「シリカ粒子B」の「トナー母体粒子100質量部に対して、0.7~2.0質量部」という要件を満たす。 カ 外添剤 引用発明1における「外添剤」は、その文言が意味するとおり、本願発明の「外添剤」に相当する。 そして、引用発明1の「静電潜像現像用トナー」は、「トナー母粒子 100部に対し、」「各外添剤を小径外添剤0.5部、中径外添剤1.0部、大径外添剤1.0部各々添加し、ヘンシェルミキサーを用い、ブレンドを行った後、粗大粒子を除去し、トナーを作製し」たものである。 上記イ~オの対比結果及び上記作製方法からみて、引用発明1の「外添剤」は、本願発明の「外添剤」における、「トナー母体粒子表面に付着している」及び「疎水化処理剤A由来の疎水性基を表面に有するシリカ粒子Aと、前記疎水化処理剤Aとは異なる疎水化処理剤B由来の疎水性基を表面に有するシリカ粒子Bと、を含み」との要件を満たす。 キ 静電荷像現像用トナー 引用発明1の「静電潜像現像用トナー」は、技術的にみて、本願発明の「静電荷像現像用トナー」に相当する。 また、上記カの作製方法からみて、引用発明1の「静電潜像現像用トナー」は、本願発明の「静電荷像現像用トナー」の「トナー母体粒子、および前記トナー母体粒子表面に付着している外添剤を有する」という要件を満たす。 (2) 一致点及び相違点 ア 一致点 本願発明と引用発明1は、次の構成で一致する。 「トナー母体粒子、および前記トナー母体粒子表面に付着している外添剤を有する静電荷像現像用トナーであって、 前記外添剤は、疎水化処理剤A由来の疎水性基を表面に有するシリカ粒子Aと、前記疎水化処理剤Aとは異なる疎水化処理剤B由来の疎水性基を表面に有するシリカ粒子Bと、を含み、 前記疎水化処理剤Bは、ヘキサメチルジシラザン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン、およびポリジメチルシロキサンからなる群より選択される少なくとも1種であり、 前記シリカ粒子Aの添加量は、前記トナー母体粒子100質量部に対して、0.7~2.0質量部であり、 前記シリカ粒子Bの添加量は、前記トナー母体粒子100質量部に対して、0.4~3.0質量部である静電荷像現像用トナー。」 イ 相違点 本願発明と引用発明1は、次の点で相違する。 (相違点1) 本願発明は、シリカ粒子Aが「個数平均粒径が70~250nmであ」るのに対し、引用発明1の「大径外添剤」は「平均一次粒径120nm」であって、粒径が「個数平均粒径」であるかどうかが明らかではない点。 (相違点2) 本願発明は、シリカ粒子Bが「個数平均粒径は、5~50nmであ」るのに対し、引用発明1の「中径外添剤」は「平均一次粒径40nm」であって、粒径が「個数平均粒径」であるかどうかが明らかではない点。 (相違点3) 本願発明は、「トナー母体粒子は、結着樹脂としてビニル樹脂セグメントと非晶性ポリエステル樹脂セグメントとが化学的に結合したブロック共重合体構造を有する非晶性ビニル変性ポリエステル樹脂を含有」するのに対し、引用発明1は、ビニル樹脂セグメントと非晶性ポリエステル樹脂セグメントとが化学的に結合したブロック共重合体構造を有する非晶性ビニル変性ポリエステル樹脂を含有していない点。 (相違点4) 本願発明は、「パウダーレオメーターで測定される、通気流量0mm/secの際の通気エネルギー量E(0)と、通気流量0.1mm/secの際の通気エネルギー量E(0.1)との比E(0)/E(0.1)が5以上15以下」であるのに対し、引用発明1は、パウダーレオメーターで測定される比E(0)/E(0.1)が明らかでない点。 (3)判断 事案に鑑みて、上記相違点3について検討する。 ア 本件出願の明細書の記載を参照(段落【0262】~【0269】)すると、本願発明は特定の外添剤A及び外添剤Bととともに、トナー母体粒子に結着樹脂としてビニル樹脂セグメントと非晶性ポリエステル樹脂セグメントとが化学的に結合したブロック共重合体構造を有する非晶性ビニル変性ポリエステル樹脂を含有することで、良好なトナーボトル排出性(トナーの流動性)、クリーニング性及び画像濃度が優れることが記載されている。一方、上記1(5)イに示した引用文献5の記載事項、上記1(6)イに示した引用文献6の記載事項及び上記1(7)アに示した引用文献7の記載事項のとおり、トナーの結着樹脂としてビニル樹脂セグメントと非晶性ポリエステル樹脂セグメントとが化学的に結合したブロック共重合体構造を有する非晶性ビニル変性ポリエステル樹脂を含有するものは、本願出願前における周知技術であるものの、引用文献5~7のいずれにも、結着樹脂として非晶性ビニル変性ポリエステル樹脂を含有することと、トナーボトル排出性(トナーの流動性)との関係をうかがわせるような記載はない。 そうすると、引用文献5~7のいずれにも、引用発明1において、当業者が、結着樹脂に非晶性ビニル変性ポリエステル樹脂を含有せしめることで、トナーボトル排出性(トナーの流動性)を向上させる動機づけとなり得る記載はないといえる。また、トナーの流動性に関して、トナー母体粒子に結着樹脂として非晶性ビニル変性ポリエステル樹脂を含有するが好ましいとの技術思想が、本件出願時における当業者の技術常識であったことを示す他の証拠もない。さらに、引用文献4には、結着樹脂として非晶性ビニル変性ポリエステル樹脂を含有することは記載されていない。 したがって、引用発明1の結着樹脂として、引用文献4~7に記載された非晶性ビニル変性ポリエステル樹脂を適用する動機付けはなく、本願出願前に当業者が相違点1に係る構成に容易に想到したとはいえない。 イ また、本願発明の効果として、本件出願の明細書の【0010】には、特定の外添剤2種と、特定の結着樹脂として非晶性ビニル変性ポリエステル樹脂とを用いることによって、高カバレッジ印刷時であっても安定したボトル排出性を有し、高画質な画像を安定して形成することができ、クリーニング性にも優れることが記載されている。そして、この効果は、本件出願の明細書の【0268】【表2】の、実施例1と実施例13~15とを比較すると、非晶性ビニル変性ポリエステル樹脂を含有しないトナーと比較して、トナーボトル排出性及び画像濃度が向上していることからも理解することができる。ここで、特定の外添剤2種と、特定の結着樹脂として非晶性ビニル変性ポリエステル樹脂とを用いるという技術思想がいずれの文献に記載されていないことは上記アのとおりであるから、上記効果は、引用発明1や引用文献4~7に記載された事項から当業者が予測し得る効果とはいえない。 ウ 以上ア~イのとおりであるから、上記相違点1、2、4について判断するまでもなく、本願発明は、当業者が引用発明1及び引用文献4~7に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 また、引用文献1に記載の他の実施例から、引用発明1を認定したとしても判断は同様である。 (4)請求項2に係る発明について 本件出願の請求項2に係る発明は、いずれも、本願発明に対してさらに他の発明特定事項を付加した発明であるから、本願発明における全ての発明特定事項を具備するものである。 そうしてみると、前記(3)で述べたのと同様であるから、これらの発明も、引用文献1に記載された発明及び引用文献4~7に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。 (5)引用文献2を主引用例とした場合 本願発明と引用発明2を対比すると、相違点は、以下に示す相違点5以外は、上記(2)に示した、相違点3~4と同様である。 (相違点5) 本願発明は、「疎水化処理剤A由来の疎水性基を有するシリカ粒子Aと、前記疎水化処理剤Aとは異なる疎水化処理剤B由来の疎水性基を表面に有するシリカ粒子Bと、を含」むのに対し、引用発明2は、疎水化処理剤が同一である点。 そして、相違点3についての判断は、上記(3)で述べたのと同様であるから、本願発明は、引用発明2及び引用文献4~7に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 また、引用文献2に記載の他の実施例から、引用発明2を認定したとしても判断は同様である。 そして、本件出願の請求項2に係る発明についても、上記(3)で述べたのと同様の理由により、引用発明2及び引用文献4~7に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。 (6)引用文献3を主引用例とした場合 本願発明と引用発明3を対比すると、相違点は、以下に示す相違点6~7以外は、上記(2)に示した、相違点3~4と同様である。 (相違点6) 本願発明は、「疎水化処理剤A」と「疎水化処理剤B」は異なるもので、「疎水化処理剤B」は、「ヘキサメチルジシラザン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン、およびポリジメチルシロキサンからなる群より選択される少なくとも1種」であるのに対し、引用発明3は、具体的な疎水化処理剤が明らかでない点。 (相違点7) 本願発明は、「シリカ粒子Bの個数平均粒径」が「5~50nm」であるのに対し、引用発明3は、オイル処理シリカの個数平均粒径が明らかでない点。 そして、相違点3についての判断は、上記(3)で述べたのと同様であるから、本願発明は、引用発明3及び引用文献4~7に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 また、引用文献3に記載の他の実施例から、引用発明3を認定したとしても判断は同様である。 そして、本件出願の請求項2に係る発明についても、上記(3)で述べたのと同様の理由により、引用発明3及び引用文献4~7に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。 第3 むすび 以上のとおり、本件出願の請求項1~2に係る発明は、引用文献1~3に記載された発明及び引用文献4~7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって、原査定の理由によっては、本件出願を拒絶することはできない。 また、他に本件出願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-016823

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