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特許拒絶査定不服審判

2019-016142

現場での自動自己洗浄を有する磁気流量計

審判番号
2019-016142
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-567621
請求日
2019年11月29日
審決日
2020年11月20日
公報発行日
2021年06月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】マイクロ・モーション・インコーポレーテッド
  • 【請求人代理人】特許業務法人 津国
審判長/審判官
  • 審判長 中塚 直樹
  • 審判官 岡田 吉美
  • 審判官 岸 智史
分類
P18 .121-Z (G01F) / P18 .575-Z (G01F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第29条、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2017-567621「現場での自動自己洗浄を有する磁気流量計」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月 5日国際公開、WO2017/000214、平成30年 7月19日国内公表、特表2018-519520〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2015年(平成27年)6月30日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概要は次のとおりである。 平成30年 8月 6日付け:拒絶理由通知書 平成31年 2月 5日  :意見書、手続補正書の提出 令和 元年 7月26日付け:拒絶査定(同年7月30日送達) 令和 元年11月29日  :審判請求書、手続補正書の提出 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和元年11月29日に特許請求の範囲についてした補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 令和元年11月29日にした補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正をするものである。本件補正前(平成31年2月5日の手続補正後をいう。以下同じ。)及び本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。(下線は補正箇所を示す。) (1)本件補正前 「 【請求項1】 プロセス流体流れを受けるように構成された流管であって、プロセス流体に接触するように内径に近接して配置された複数の電極を有する、流管と、 前記流管内部に配置され、超音波エネルギを、少なくとも1つの電極に近接した前記プロセス流体に結合するように構成された、少なくとも1つの超音波トランスデューサと、 前記複数の電極と前記少なくとも1つの超音波トランスデューサとに結合された流量計電子機器であって、少なくとも一部の電極被覆またはビルドアップを検出し、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサを用いて、前記流管内部の洗浄サイクルを応答して発生させるように構成された、流量計電子機器と、を備え、 前記少なくとも1つの超音波トランスデューサが、複数の超音波トランスデューサを備え、各々の超音波トランスデューサが、それぞれの電極に近接して配置され、 前記少なくとも1つの超音波トランスデューサが、電極ごとに一対の超音波トランスデューサを含み、電極が一対の超音波トランスデューサの間に配置される、磁気流量計。」 (2)本件補正後 「 【請求項1】 プロセス流体流れを受けるように構成された流管であって、プロセス流体に接触するように内径に近接して配置された複数の電極を有する、流管と、 複数の電極のそれぞれの電極に近接して配置されている各超音波トランスデューサを有する前記流管内部に配置された複数の超音波トランスデューサであって、超音波エネルギを、それぞれの電極に近接した前記プロセス流体に結合するように構成された、複数の超音波トランスデューサと、 前記複数の電極と前記複数の超音波トランスデューサとに結合された流量計電子機器であって、少なくとも一部の電極被覆またはビルドアップを検出し、前記複数の超音波トランスデューサを用いて、前記流管内部の洗浄サイクルを応答して発生させるように構成された、流量計電子機器と、を備え、 前記複数の超音波トランスデューサが、電極ごとに一対の超音波トランスデューサを含み、電極が一対の超音波トランスデューサの間に配置され、 一対の超音波トランスデューサの各超音波トランスデューサが、電極から等間隔で置かれる、 磁気流量計。」 2 本件補正の目的 本件補正による特許請求の範囲の補正のうち、請求項1についての補正は、記述順序等の変更はあるものの、実質的には、補正前の請求項1に記載した事項である「複数の電極のそれぞれの電極に近接して配置されている」「複数」の「一対の超音波トランスデューサ」の配置について、「電極から等間隔で置かれる」と限定するものである。そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。 したがって、本件補正のうち、特許請求の範囲の請求項1についての補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むものである。 3 独立特許要件についての判断 本件補正による請求項1についての補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下検討を行う。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、前記1(2)の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。 (2)引用文献 次に示す刊行物の発行日は、いずれも本願の出願より前である。 1.特開昭54-143257号公報 2.実願昭51-022937号(実開昭52-114752号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献) 3.特公昭51-001142号公報(周知技術を示す文献) 4.特表2014-518392号公報(周知技術を示す文献) (3)引用文献に記載された発明等 ア 引用文献1(特開昭54-143257号公報) (ア)引用文献1には、以下の記載がある。下線は、当審が付した。 a 特許請求の範囲 「(1) 被測定流体の通路となる測定管と、この測定管の前記通路が発生磁束に鎖交するように磁界を印加する磁界印加手段と、前記測定管の前記通路に面し且つ前記印加磁界に基づいて流体中に誘起される電位差を検出する如く互いに対向して設けられた一対の検出電極と、前記測定管の通路に面し且つ互いに対向して設けられた一対の超音波振動子と、前記一対の検出電極出力に基いて前記測定管を通る被測定流体の流量を測定する流量測定系及び前記一対の超音波振動子を用いて前記通路内の流体を通して音波を送受し流体中通過による音波の減衰量に基づいて該流体の濃度を測定する濃度測定系を備えた測定制御回路とを具備してなる電磁流量計。 (2) 検出電極と超音波振動子とを一体化して一対の検出電極兼超音波振動子としたことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の電磁流量計。 (3) 測定制御回路は、一対の超音波振動子の少なくとも一方を適時駆動して洗浄用強力音波を発生させる洗浄制御系を含むことを特徴とする特許請求の範囲第1項または第2項記載の電磁流量計。 (4) 測定制御回路は、流量測定系による測定流量と濃度測定系による測定濃度とを組み合わせ演算して予定の値を算出する演算系を含むことを特徴とする特許請求の範囲第1項または第2項記載の電磁流量計。」 b 343頁右下欄13行~344頁左下欄7行 「3.発明の詳細な説明 本発明は、電磁流量計の改良に関するものである。 近年、「下水道施設」、[環境整備の一環としての排水施設」などの建設整備が急がれている。これに伴なって、下水、排水などの中に含まれている「固形物(分散質)の量の測定」、「下水流量の測定」、「分散媒(水)の量の測定」などを測定する計測器が必要となってきた。従来は、下水等の流量の測定には電磁流量計、下水中等の汚泥濃度の測定には超音波濃度計を用いるのが一般的であった。 よく知られているように、電磁流量計は、測定管により形成される被測定流体(導電性)の通路が発生磁束に鎖交するようにして磁界を印加し、この磁界と前記被測定流体の流速に基づいて前記被測定流体中に誘起される電位差を前記通路に面し且つ互いに対向して設けられた一対の電極により検出して、該検出信号に基づいて前記被測定流体の流速を測定し、流量(流速と通路寸法から求められる)を計測するものである。 そして、超音波濃度計は次のような原理構成によるものであることも知られている。 超音波濃度計は被測定流体の通路が形成された測定管の前記通路に面し且つ互いに対向して一対の超音波振動子が配設されており、前記一対の超音波振動子の一方すなわち送波器から放射された音波(超音波)は前記被測定流体中を伝播し、被測定流体に含まれる分散質(固形物)の粒子界面での散乱、粒子の粘性および内部摩擦などによって減衰して前記一対の超音波振動子の他方すなわち受波器に到達する。この場合、被測定流体中での音波の減衰量は該被測定流体に含まれる固形物成分の体積濃度と比例関係にある。そこで、受波器における受信信号から前記減衰量を検出すればそれに基づいて前記被測定流体に含まれる固形成分の濃度の計測が行なえる。 一方、上記被測定流体としての下水、排水などは計測器つまり上記測定管内を汚染するので、測定管内部の清掃等のメインテナンスが必要となる。従来は、下水、排水などに対して、上記電磁流量計および超音波濃度計をそれぞれ個別に設けていたため、その設置、メインテナンスなどが極めて煩雑でしかも二重に設置されるため下水道、排水路なども複雑化しその清掃も必要であった。 本発明は、この様な事情に基づいてなされたもので、下水、排水などに対する各種計測量を集中化し単一の装置で複数の計測量が得られる電磁流量計を提供することを目的としている。 すなわち、本発明の特徴とするところは電磁流量計と超音波濃度計を共通の測定管を用いて一体構成とすることにある。」 c 344頁左下欄8行~345頁左上欄14行 「 以下図面を参照して本発明の一実施例を説明する。 第1図において、1は被測定流体の通路を形成する測定管であり、この測定管1には例えば前記通路の軸線に直交する線を軸として前記通路に面し且つ互いに対向して一対の検出電極兼超音波振動子(以下「振動子電極」と称する)2および3が配設されている。この振動子電極2、3は超音波振動子の振動体が通常金属電極で構成されており、この金属電極に対する給電手段をもっていることを利用して電磁流量計の検出電極として兼用し得る様に構成したものである。但し、この場合必要に応じて音波送受と電位検出が相互に干渉しないよう対策を施こしておく。そして、前記測定管1には図示していないがコイル等の手段により例えば前記通路の軸線及び一対の振動子電極2、3の軸線の双方と直交する方向に磁界が印加されるようになっている。一方、4は前記振動子電極2、3を用いて得られる信号に基づいて各種の測定量を出力する測定制御回路である。この測定制御回路4において、41は濃度測定用音波および洗浄用強力音波をそれぞれ発生させるための電気信号を2つの出力端aおよびbから出力する駆動信号発生回路、42は駆動信号発生回路41の2つの出力端aおよびbからの出力の一方を切換選択してこの場合一方の振動子電極2に与えるための切換スイッチ、43は切換スイッチ42を予定時間毎に切換えて通常時は駆動信号発生回路41の出力端aからの濃度測定用音波発生用信号を振動子電極2に与え且つ間欠的に駆動信号発生回路41の出力端bからの洗浄用強力音波発生用信号を振動子電極2に与えるように駆動するタイマ、44はもう一方の振動子電極3から得た超音波受信信号に基づいて測定管1中の被測定流体濃度を計測しそれに対応する濃度値を出力する濃度測定回路、45は一対の振動子電極2、3間に生ずる電位差に基づいて被測定流体の流量を計測しそれに対応する流量値を出力する流量測定回路、46は濃度測定回路44で得た濃度値に流量測定回路45で得た流量値を乗算して〔(濃度)×(流量)=〕含有物(固形成分)流量値を算出する乗算回路、47は流量測定回路45で得た流量値から乗算回路46で得た含有物流量値を減算して 〔(流量)-(含有物流量)=〕分散媒の流量を算出する引算回路である。」 d 345頁左上欄15行~同頁左下欄6行 「以上のような構成における動作を説明する。 被測定流体が測定管1内を流れ、この測定管1の流体通路には磁界が印加されているため、振動子電極2、3間に電位差が発生し、流量測定回路45により前記被測定流体の流量が測定され流量値が出力される。一方、これと同時に、通常時は駆動信号発生回路41の出力端aからの信号により振動子電極2から濃度測定用音波が放射されこれが被測定流体を通過して振動子電極3で受波され、その受信信号により濃度測定回路44で被測定流体の濃度が測定され該濃度測定回路44から濃度値が出力される。そして、前記流量測定回路45の流量値出力及び前記濃度測定回路44の濃度値出力が乗算回路46に与えられこれらが掛け合わされて乗算回路46から含有物流量値が出力される。さらに、引算回路47では前記流量測定回路45の流量値出力から前記乗算回路46の含有物流量値出力が減算され分散媒流量値が出力される。また、タイマ43の動作により予定時間毎に切換スイッチ42が切換えられ洗浄用強力音波発生用信号が振動子電極2に与えられ、洗浄用強力音波が間欠的に放射されて振動子電極2、3表面及び測定管1内が洗浄される。(なお、洗浄時は振動子電極2、3双方を駆動してもよい。)この洗浄が行なわれているときは、測定管1内の被測定流体にキャビテーション(すなわち被測定流体中に溶解しているガスや流体成分の蒸気などにより流体中に沢山の気泡が発生する現象)が生じているため測定には不向きであるので、この間は測定は行なわない。そのため前記洗浄は予定時間毎に間欠的に行なう。」 e 345頁左下欄7行~同頁右下欄1行 「 このようにすることによって、同一の測定管1により流体の流量および濃度を同時に測定でき測定管1の設置、配管、メインテナンスなどが著しく容易になる。また、この場合前記流量および濃度のみならず、これらが乗算回路46、引算回路47で相互に演算されて、含有物流量、分散媒流量などの出力も得ることができ被測定流体の集中測定管理が可能となる。さらに、振動子電極2を用いて間欠的超音波洗浄を行なうようにしているので測定管1内が常に清浄に保たれ、メインテナンスにおける煩雑さが著しく緩和される。また、上述の構成では超音波振動子と検出電極を一体化して振動子電極2、3としているので、構成がより簡単であるという利点もある。」 f 345頁右下欄2行~16行 「なお、本発明は、上記し且つ図面に示す実施例にのみ限定されることなくその要旨を変更しない範囲内で種々変形して実施できるものである。 例えば、上記実施例においては、超音波振動子と検出電極とを一体構成としたが、第2図(a)、(b)に示すように一対の検出電極5、6と一対の超音波振動子7、8をそれぞれ別体とし各対ずつ異なる軸線上に設けるようにしてもよい。9、10は磁界を印加するための一対のコイルである。 以上述べたように本発明によれば、下水、排水などに対する各種計測量を集中化し単一の装置で複数の計測量が得られる電磁流量計を提供することができる。」 「第1図 」 「第2図 」 (イ)引用文献1の前記(ア)の記載をまとめると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 <引用発明> 「 被測定流体の通路となる測定管と、 この測定管の前記通路が発生磁束に鎖交するように磁界を印加する磁界印加手段と、 前記測定管の前記通路に面し且つ前記印加磁界に基づいて流体中に誘起される電位差を検出する如く互いに対向して設けられた一対の検出電極と、 前記測定管の通路に面し且つ互いに対向して設けられた一対の超音波振動子と、 前記一対の検出電極出力に基づいて前記測定管を通る被測定流体の流量を測定する流量測定系及び前記一対の超音波振動子を用いて前記通路内の流体を通して音波を送受し流体中通過による音波の減衰量に基づいて該流体の濃度を測定する濃度測定系を備えた測定制御回路を具備してなり(aの請求項1)、 測定制御回路は、一対の超音波振動子の少なくとも一方を適時駆動して洗浄用強力音波を発生させる洗浄制御系を含む電磁流量計であって(aの請求項2)、 タイマ43の動作により予定時間毎に切換スイッチ42が切換えられ洗浄用強力音波発生用信号が振動子電極2に与えられ、洗浄用強力音波が間欠的に放射されて振動子電極2、3表面及び測定管1内が洗浄されるものであり、かつ、この洗浄が行なわれているときは、測定管1内の被測定流体にキャビテーションが生じており、前記洗浄は予定時間毎に間欠的に行なうものであり(d)、 一対の検出電極5、6と一対の超音波振動子7、8をそれぞれ別体とし各対ずつ異なる軸線上に設けた(f)、 電磁流量計。」 イ 引用文献2(実願昭51-022937号(実開昭52-114752号)のマイクロフィルム) (ア)引用文献2には、以下の記載がある。下線は当審が付した。 a 1頁4行~11行 「2 実用新案登録請求の範囲 電極を超音波洗浄するように構成された電磁流量計に於て、上記電極の汚れを監視する回路と、その監視回略よりの検出された汚れが所定値以上になると超音波洗浄器を駆動すると共に電磁流量計の出力信号をその直前の値に超音波洗浄中保存する回路とが設けられてなる超音波洗浄器付電磁流量計。」 b 1頁12行~3頁20行 「3 考案の詳細な説明 この考案は電磁流量計においてその電極の汚れを洗浄するために超音波洗浄装置が電極に付けられた超音波洗浄器付電磁流量計に関する。 電磁流量計を用いて付着性混合吻を含む流体の流量を測定する際に、その付着性混合物が電磁流量計の電極に付着する事によって電極間のインビーダンスか増大して正しい測定が得られなくなる。このためその電極の汚れを超音波洗浄器によって洗浄する事か行なわれている。ところでこの超音波洗浄器を付けた電磁流量計においては洗浄の際に超音波振動子に高電圧の交流信号を印加する。一方電磁流量計の測定出力は10mV以下と非常に小さな値であるが、超音波洗浄装置の振動子に印加する高電圧が誘導による雑音して測定出力側に現れるものは100~300Vp-p程度もあり、そのため測定出力信号の増幅器が飽和してしまい、出力信号に誤差を生じる。 このような点より超音波洗浄を常時行なう事なく周期的に超音波洗浄を行ない、その超音波洗浄中はその直前の測定値を保持し、その電圧を出力とし、超音波洗浄が終了するとその保持を解除して新たな測定信号を出力することが考えられる。しかしながらその周期の設定が難かしい。即ち流量計を流れる被測定流体の汚れ度が一定していれば、これを何等かの手段で測定し、或いは経験的に適当な周期を選定する事ができる。しかし汚れ度は時間的に変化するのが一般であり、従って超音波洗浄周期をそのもっとも早く汚れる状態を想定して行なうと、汚れ度が比較的少ない場合においては無駄に洗浄を繰り返す事になり、それだけ電源の消費も多く、しかも振動子は消耗品であって超音波振動子の寿命が短くなる。一方この洗浄周期を長くすると、汚れ度が大さくなった場合に正しい測定が行なわれなくなる。被測定液の汚れ度を人間が監視しなから洗浄を行なうにしてもその汚れ度の監視を正しく測定する事は困難であり、又そのようなために人間がいちいち監視していては労力が無駄になる。 この考案に於ては電極の汚れ状態を視する回路を設け、その汚れが或る値以上になると超音波洗浄器を駆動すると共にその洗浄している間はその直前迄の電磁流量計の測定出力を保持する回路を設けて超音波洗浄が無駄に動作したり、或いは逆にその電極の汚れが著しくなったのに洗浄が遅れたりすることがなく、常に正しい測定出力が得られ、しかも超音波洗浄を有効に動作させる事かできる超音波洗浄器付電磁流量計を提案するものである。」 c 6頁1行~9頁5行 「この考案においては電極3及ひ4の汚れを監視する回路27を設ける。この汚れ監視回路27は例えば励磁交流電源7の周波数fcに対して分離可能な程度に高い周波数fdで発信する発振回路28より、電極3及び4に発信信号を印加する。この場合電極3、4間に誘起された測定出力信号が発振回路23側に消費されないように電極3、4から発信回路28を見た入力インピーダンスが十分高くなるように、例えばコンテンサを通じ必要に応じて昇圧トランスを通じて発振回路と接続される。電極3及び4間は導管2の内部を流れる流体によって汚れてない状態では電気的にはほとんど短絡に近く、これ等間のインピーダンス29は小さな値となっているか、電極3及び4が汚れるとこれ等間のインピーダンス29が高くなり、これが変換器11の入力インピーダンスに比較して無視できなくなると、上述したように正しい測定が行われなくなる。 発振回路28からの発信信号は電極3及び4間及び変換器11側に供給されるか電極3、4の汚れがほとんどない状態においては、これ等間のインピーダンス29が小さく、変換器11間に分流する発信信号は少ないが、電極が汚れてこれ等のインピーダンス29の値が増大するに従って変換器11側に分流する発信信号の成分が多くなる。電極3、4間のインピーダンス29の値をRdとし、変換器11の入力インピーダンスをRiとすると、Rd = 0.01 Ri程度よりもRdが大きくなると発信器1は正常な動作をしなくなる。 このようにRdの増加に従って変換器11側に分流する発信信号が増大するため、この発信信号レベルを検出することによって電極の汚れ具合を監視することができる。従って監視回路27に発振回路28の発信周波数fdの成分を検出する検出回路30を設け、この検出回路30に増幅器12の出力を分流して供給する。検出回路30の出力レベルを監視すれば電極3、4の汚れ具合を知る事ができる。 監視回路27によって電極3、4の汚れが所定値以上になったことを検出すると超音波発信器20を駆動して超音波洗浄器を動作させ、これと共にその超音波洗浄器を駆動する直前における電磁流量計の出力を超音波洗浄器の動作中保持する保持回路31が設けられる。例えば変換器11の出力は抵抗器32を通じて共通電位点に流され、この抵抗器32にて測定信号を電圧値に変換し、変換された電圧は常閉スイッチ33を通じて保持コンデンサ34の両側に印加される。コンデンサ34は高入力インピーダンスの増幅器35に供給され、この出力は電圧電流変換器36にて再び電流に変換されて出力端子37より例えば伝送路に供給される。監視回路27の発振信号検出回路30より送出された発信信号のレベルは比較回路38に供給され、これにて電源39からの基準電圧と比較される。この基準電圧をRdか0.01R1を超える時の検出回路30の出力レベルと対応して設定しておけば、検出回路30の出力がこの基準電圧を超えると、その出力によって超音波発信器20を駆動し、これと共にスイッチ33をオフに制御する。 このような構成の超音波洗浄器付電磁流量計において、電極3、4の汚れが或る値以上になると監視回路27の出力レベルが増大して比較回路38の出力より出力が生じ、超音波発信器20が駆動され、つまり超音波洗浄が開始される。」 」 (イ)引用文献2の前記(ア)の記載をまとめると、引用文献2には、以下の事項が記載されている。 「電極を超音波洗浄するように構成された超音波洗浄器付きの電磁流量計であって、前記電極の汚れを監視する回路と、その監視回略よりの検出された汚れが所定値以上になると超音波洗浄器を駆動する、超音波洗浄器付きの電磁流量計。」 ウ 引用文献3(特公昭51-001142号公報) (ア) 引用文献3には、以下の記載がある。下線は、当審が付した。 a 1頁左欄16行~同頁右欄13行 「<図面の簡単な説明> 第1図は本発明実施例を示す回路構成図、第2図は電極汚染の検出原理を示す電気回路図、第3図は汚染検出のための他の実施例を示す回路構成図である。 <発明の詳細な説明> 本発明は、電磁流量計発信器の検出電極が被測定流体により汚染された程度を知ることができる電極汚染検出回路を有する電磁流量計に関するものである。 電磁流量計を用いて付着性混合物を含む流体の流量を測定すると、この付着性混合物が電磁流量計発信器の検出電極に付着する。例えば、ラテックスの如き流体はゴム物質のまわりを親水性の液体で包んだ構造を有しているので、通常はその液体の電導率は高く、従ってラテックスを電磁流量計発信器に流したときの電極間インピーダンスは電磁流量計変換器の入力インピーダンスに比べて著しく低く無視し得る状態である。しかし長時間ラテックスを流していると、親水性の液体がとれたゴム状物質が発信器の管壁及び検出電極を覆うようになり電極が汚染される。検出電極が汚染されると流量計は大幅な零点変動を起し精度を維持することができなくなると共に、電極間インピーダンスが徐々に上昇し遂には変換器の入力インピーダンスに対して無視し得ない状態に達する。この状態になるともはや流量計として正常に作動しなくなる。このような状態になるのを避けるために、一案として検出電極に超音波振動を与えて電極表面のゴム状物質その他の付着物を消散させ、正常な電極間インピーダンスを維持させることが行なわれている。しかし、検出電極に超音波振動を与える振動子は寿命のあるものであるから、連続して作動させるとその寿命を縮め、実用面から不都合である。一方、従来は電極の汚染状況を知る手段がないから流量計指示の異状に気づいてからでないと超音波洗浄を行なうことができず、又電極の洗浄状況を知る手段がないから、いつ洗浄を止めてよいかもわからず、保守が面倒であるばかりでなく振動子の寿命を縮めるおそれもあった。 本発明は、このような欠点を除くために、電極間インピーダンスの変化により電極の汚染状況を知る電極汚染検出回路を電磁流量計に設けるようにしたものである。」 b 2頁右欄4行~24行 「 次に、第1図に示した電磁流量計に取り付けた電極洗浄用超音波洗浄装置により電極を自動洗浄する場合を説明する。51は電極に絶縁されて固定した洗浄装置の振動子で、超音波発振器52より超音波エネルギの供給を受けて振動し、電極13に付着した汚染物を洗浄する役目をする。6は電極汚染検出回路4の検出回路42よりの電圧入力信号VRを基準電圧と比較する電圧比較回路で、電圧入力信号VRが基準電圧より高くなったとき超音波発振器52に洗浄開始の又基準電圧より低くなったとき洗浄停止の信号Vaを発信する。このように構成しておけば、電極13がある程度汚染されると自動的に振動子51が働らき電極13の洗浄を開始し、電極13の洗浄が終ると自動的に洗浄を停止する。この基準電圧を任意の値に設定できるように可変にしておくと、電極13間の抵抗Rdの任意の値で洗浄開始及び停止をすることができる。又電圧比較回路6の後段に遅延回路を設けて頻繁に洗浄開始及停止の信号を出すことを避けて良好な電極13の表面状態を得るようにすることも可能である。」 c 2頁右欄44行~3頁右欄7行 「 以上詳述したことから明らかなように本発明による電磁流量計は、電極13の汚染状況を自動的に知ることができるので、その工業上の効果は大である。特に超音波電極洗浄装置を取り付けたときは次のような利点がありその効果は一層大である。 (a) 自動的に電極を洗浄することができるので、電磁流量計発信器の保守に手間がかからなくなる。 (b) 超音波電極洗浄装置を連続稼動させず、必要な時必要な時間だけ稼動させることができるので、振動子の寿命を延ばすことができる。 (c) 電圧比較回路に与える基準電圧を適当に選ぶことによって、電極表面の汚染の程度を適当に制御することができる。 (d) 電極汚染検出回路に用いている信号には、電極からの流量に関連する出力信号の周波数と識別できる周波数を採用しているので、流量信号には何等の影響を与えず、電極を洗浄しながら流量の連続測定ができる。」 d 3頁右欄8行~12行 「特許請求の範囲 1 励磁電圧とは識別可能な周波数の電流を検出電極間に加える発振回路と、前記検出電極間における前記周波数成分の電圧を検出する検出回路とを備えた電極汚染検出回路を有する電磁流量計。」 (イ)引用文献3の前記(ア)の記載をまとめると、引用文献3には、以下の事項が記載されている。 「励磁電圧とは識別可能な周波数の電流を検出電極間に加える発振回路と、前記検出電極間における前記周波数成分の電圧を検出する検出回路とを備えた電極汚染検出回路を有する電磁流量計であって、 電極13がある程度汚染されると自動的に振動子51が働き電極13の洗浄を開始し、電極13の洗浄が終ると自動的に洗浄を停止する、電磁流量計。」 エ 引用文献4(特表2014-518392号公報) 引用文献4には、次の記載があり、電磁流量計の用途として、プロセス流体の流量計測は自明であると認められる。 「【0002】 電磁流量計は、ファラデーの電磁誘導効果を用いて流量を計測するものである。この流量計では、コイルを励磁して管路部を横断する磁界を生成し、プロセス流体の流れを横断する方向に起電力(EMF)を誘起させる。こうして生じた電位差(即ち電圧) は、管路部の周壁を貫通してプロセス流体内に延設された1 対の電極を用いて、或いは静電結合を介して計測される。流速は誘起された起電力に比例し、体積流量は流速及び流路断面積に比例する。 【0003】 一般的に、電磁式の流量計測技術は、水を主成分とする流体、イオン溶液、及びその他の導電性流体に適用可能である。具体的には、有害で腐食性のあるプロセス流体を有するような、水処理施設、高純度薬品製造、衛生用飲食物製造、及び化学的処理への適用が含まれる。また、電磁流量計は、切削用及び腐食性スラリーを利用した液圧破砕技術を用いる炭化水素燃料産業や、その他の炭化水素採取処理においても使用される。」 (4)対比 ア 本件補正発明と引用発明の構成要件ごとの対比 本件補正発明と引用発明を対比する。 (ア)「電磁流量計」の発明である引用発明と「磁気流量計」の発明である本件補正発明は、「磁気流量計」である点で共通する。 (イ)引用発明における「被測定流体の通路となる測定管」は、本件補正発明における「流体流れを受けるように構成された流管」に相当する。また、引用発明における「一対の検出電極」は、「前記測定管の前記通路に面し且つ前記印加磁界に基づいて流体中に誘起される電位差を検出する如く互いに対向して設けられた」ものであるから、本件補正発明における、「流体に接触するように内径に」「配置された複数の電極」に相当する。したがって、本件補正発明と引用発明は「流体に接触するように内径に配置された複数の電極を有する、流管」を備える点で一致する。 (ウ)引用発明における「一対の超音波振動子7、8」は、本件補正発明における「複数の超音波トランスデューサ」に相当する。引用発明における「超音波振動子7、8」は、「前記測定管の通路に面し且つ互いに対向して設けられた」ものであり、かつ、「一対の検出電極5、6と一対の超音波振動子7、8をそれぞれ別体とし各対ずつ異なる軸線上に設けた」ものであるから、本件補正発明と引用発明は、「複数の電極とは別体として配置されている各超音波トランスデューサを有する前記流管内部に配置された複数の超音波トランスデューサ」を備える点で一致している。 また、引用発明においては、「洗浄用強力音波が間欠的に放射されて振動子電極2、3表面及び測定管1内が洗浄されるものであり、かつ、この洗浄が行なわれているときは、測定管1内の被測定流体にキャビテーションが生じて」いるのであるから、超音波エネルギーを被測定流体に結合するように構成されているということができる。したがって、本件補正発明と引用発明は、「超音波エネルギを、流体に結合するように構成された、複数の超音波トランスデューサ」を備える点で一致している。 以上をまとめると、本件補正発明と引用発明は、「複数の電極とは別体として配置されている各超音波トランスデューサを有する前記流管内部に配置された複数の超音波トランスデューサであって、超音波エネルギを、流体に結合するように構成された、複数の超音波トランスデューサ」を備える点で一致している。 (エ)引用発明における「前記一対の検出電極出力に基づいて前記測定管を通る被測定流体の流量を測定する流量測定系」「を備えた測定制御回路」は、本件補正発明における「前記複数の電極」「に結合された流量計電子機器」に相当する。また、引用発明における「一対の超音波振動子の少なくとも一方を適時駆動して洗浄用強力音波を発生させる洗浄制御系」を備えた「測定制御回路」は、本件補正発明における「超音波トランスデューサ」「に結合された流量計電子機器であって、」「前記複数の超音波トランスデューサを用いて、」「前記流管内部の洗浄サイクルを発生させるように構成された、流量計電子機器」に相当する。したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記複数の電極と前記複数の超音波トランスデューサとに結合された流量計電子機器であって、前記複数の超音波トランスデューサを用いて、前記流管内部の洗浄サイクルを発生させるように構成された、流量計電子機器」を備える点で一致する。 イ 本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点 前記アの対比の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。 (ア)一致点 「 流体流れを受けるように構成された流管であって、流体に接触するように内径に配置された複数の電極を有する、流管と、 複数の電極とは別体として配置されている各超音波トランスデューサを有する前記流管内部に配置された複数の超音波トランスデューサであって、超音波エネルギを、流体に結合するように構成された、複数の超音波トランスデューサと、 前記複数の電極と前記複数の超音波トランスデューサとに結合された流量計電子機器であって、前記複数の超音波トランスデューサを用いて、前記流管内部の洗浄サイクルを発生させるように構成された、流量計電子機器と、を備える、 磁気流量計。」 (イ)相違点 a 相違点1 流体が、本件補正発明では「プロセス流体」に限定されているのに対して、引用発明においては流体の限定はない点。 b 相違点2 前記複数の超音波トランスデューサを用いて、前記流管内部の洗浄サイクルを発生させる流量計電子機器について、本件補正発明は、「少なくとも一部の電極被覆またはビルドアップを検出」し、これに「応答して」洗浄サイクルを発生させるのに対して、引用発明は、このような検出を行っておらず、タイマ43の動作により予定時間毎に切換スイッチ42が切換えられる点。 c 相違点3 複数の超音波トランスデューサの設置の数及び配置位置について、本件補正発明においては、「各超音波トランスデューサが、複数の電極のそれぞれの電極に近接して配置され、超音波エネルギを、それぞれの電極に近接した前記プロセス流体に結合するように構成され」ており、「前記複数の超音波トランスデューサが、電極ごとに一対の超音波トランスデューサを含み、電極が一対の超音波トランスデューサの間に配置され、一対の超音波トランスデューサの各超音波トランスデューサが、電極から等間隔で置かれる」のに対して、引用発明においては、超音波トランスデューサの設置の数は2つであり、配置位置についての特定はない点。 (5)相違点についての判断 ア 相違点1について 流体を「プロセス流体」に限定しても磁気流量計としての技術的な特徴は認められない。また、前記第2の3(3)エで示したように、電磁流量計の用途として、プロセス流体の流量計測は自明である。以上より、流体を「プロセス流体」に限定した点は、実質的な相違点ではない。 イ 相違点2について 前記第2の3(3)のイ及びウで示したように、本件補正発明の出願前において、電磁流量計において、電極の汚れを監視し、汚れが一定以上になった場合に洗浄を開始することは周知の技術である。したがって、引用発明において当該技術を採用して、「少なくとも一部の電極被覆を検出」し、これに「応答して」洗浄サイクルを発生させるようにすることは、当業者が適宜なし得る設計変更にすぎず、当業者が容易に想到し得たものである。 ウ 相違点3について 複数の超音波トランスデューサの設置の数及び配置位置は、費用対効果や超音波エネルギの伝搬状態などを考慮して当業者が適宜設定すべき設計事項にすぎないから、「各超音波トランスデューサが、複数の電極のそれぞれの電極に近接して配置され、超音波エネルギを、それぞれの電極に近接した前記プロセス流体に結合するように構成され」ており、「前記複数の超音波トランスデューサが、電極ごとに一対の超音波トランスデューサを含み、電極が一対の超音波トランスデューサの間に配置され、一対の超音波トランスデューサの各超音波トランスデューサが、電極から等間隔で置かれる」ようにすることは、当業者が適宜選択すべき設計事項である。そして、このような限定を行ったことに起因する、当業者の予測を超える、格別顕著な効果は、認められない。 したがって、相違点3は格別なものではない。 エ 作用効果について 本件補正発明の奏する作用効果には、引用発明、引用文献2及び引用文献3に記載された技術事項並びに周知の事項から予測されるものを超える格別顕著なものは認められない。 オ 小括 以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明、引用文献2及び引用文献3に記載の技術事項並びに周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである (6)独立特許要件についての判断のまとめ 前記(5)において検討したとおり、本件補正発明は、引用発明、引用文献2及び引用文献3に記載の技術事項並びに周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4 補正の却下の決定の理由のむすび 以上検討のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願に係る発明 本件補正は、上記第2において示したとおり却下されたから、本願の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、前記第2の1(1)の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由の一つは、この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1~3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 記 1.特開昭54-143257号公報 2.実願昭51-022937号(実開昭52-114752号)のマイクロフィルム 3.特公昭51-001142号公報 3 引用文献に記載された発明等 上記各引用文献1から引用文献3に記載された発明又は技術事項は、前記第2の3(3)のアからウにおいて記載したとおりである。 4 対比・判断 (1) 本件発明と引用発明の相違点 本件発明は、前記第2の2で説示したとおり、本件補正発明における「複数の電極のそれぞれの電極に近接して配置されている」「複数」の「一対の超音波トランスデューサ」の配置について、「電極から等間隔で置かれる」との限定を省いたものである。したがって、本件発明と引用発明の相違点は、以下のとおりである。 <相違点> ア 相違点ア 流体が、本件発明では「プロセス流体」に限定されているのに対して、引用発明においては流体の限定はない点。 イ 相違点イ 前記複数の超音波トランスデューサを用いて、前記流管内部の洗浄サイクルを発生させる流量計電子機器について、本件発明は、「少なくとも一部の電極被覆またはビルドアップを検出」し、これに「応答して」洗浄サイクルを発生させるのに対して、引用発明は、このような検出を行っておらず、タイマ43の動作により予定時間毎に切換スイッチ42が切換えられる点。 ウ 相違点ウ 複数の超音波トランスデューサの設置の数及び配置位置について、本件発明においては、「各超音波トランスデューサが、複数の電極のそれぞれの電極に近接して配置され」、「超音波エネルギを」、それぞれの「電極に近接した前記プロセス流体に結合するように構成され」ており、前記「超音波トランスデューサが、電極ごとに一対の超音波トランスデューサを含み、電極が一対の超音波トランスデューサの間に配置される」のに対して、引用発明においては、超音波トランスデューサの設置の数は2つであり、配置位置についての特定はない点。 (2)相違点についての判断 ア 相違点アについて 相違点アは相違点1と同一であり、相違点1が実質的な相違点でないことは、前記第2の3(5)アで示したとおりである。したがって、相違点アは実質的な相違点ではない。 イ 相違点イについて 相違点イは相違点2と同一である。相違点2が、当業者が適宜なし得る設計変更にすぎず、当業者が容易に想到し得たものであることは、前記第2の3(5)イで示したとおりである。したがって、相違点イの構成を有するようにすることは、当業者が適宜なし得る設計上の事項にすぎず、当業者が容易に想到し得たものである。 ウ 相違点ウについて 相違点ウは、相違点3から「一対の超音波トランスデューサの各超音波トランスデューサが、電極から等間隔で置かれる」という構成を省いたものである。相違点ウの点を含み、さらに「一対の超音波トランスデューサの各超音波トランスデューサが、電極から等間隔で置かれる」という構成を加えた相違点3が、当業者が適宜選択すべき設計事項であり、このような限定により当業者の予測を超える格別顕著な効果を奏するとも認められないから、相違点3が格別のものでない点は、前記第2の3(5)ウで示したとおりである。したがって、相違点ウの構成を備えるようにすることは、格別なものではない。 エ 作用効果について 本件発明の奏する作用効果には、引用発明、引用文献2及び引用文献3に記載された技術事項並びに周知の事項から予測されるものを超える格別顕著なものは認められない。 第4 むすび 以上のとおり、本件発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-016142

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