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特許拒絶査定不服審判

2019-013908

電気化学エネルギー貯蔵装置および製造方法

審判番号
2019-013908
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-130346外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年10月18日
審決日
2020年09月24日
公報発行日
2021年03月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H01G) / P18 .575-Z (H01G)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項第4号、特許法第17条の2第5項第3号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-130346「電気化学エネルギー貯蔵装置および製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月 3日出願公開、特開2016- 29713〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 13項目
【理 由】

第1 手続の経緯

本願は、平成27年6月29日に出願したものであって(パリ条約による優先権主張平成26年6月30日米国、平成27年6月25日米国)、平成30年12月10日付け拒絶理由通知に対して平成31年3月18日に手続補正がなされたが、令和1年6月10日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、同年10月18日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされ、令和2年2月10日に上申書が提出されたものである。

第2 令和1年10月18日の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

令和1年10月18日の手続補正を却下する。

[理由]

1.本件補正について

令和1年10月18日の手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてするもので、

本件補正前の特許請求の範囲(平成31年3月18日付け手続補正により補正された特許請求の範囲)が、

「【請求項1】
電解質を有するそれぞれの内部電極の複数の対と、
各セパレータ層が前記それぞれの電極間のセパレータ層である、複数のセパレータ層と、
それぞれの集電体の複数の対と、
続きを表示(全125行)
前記内部電極、セパレータ層、及び集電体を囲み、前記集電体とそれぞれ接続された端子のそれぞれの対を有するケースと、を備え、
前記ケースは、0.5ミリメートルから5.0ミリメートルの厚さを有する、
極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項2】
前記ケースの中身は約10ppm以下の含水量を有する、
請求項1に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項3】
前記電解質は有機電解質を備える、
請求項1に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項4】
前記電解質は少なくとも部分的に炭酸プロピレンを備える、
請求項1に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項5】
前記ケースの中身は約10ppm以下の含水量を有し、
前記極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置は、電極面積について約1.5Ω・cm2以下の抵抗率、および-40°から70℃の温度動作上の範囲定格を有する、
請求項1に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項6】
複数の前記極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置が、並列の接続に構成された複数のスタック内に位置決めされた複数のセルとして配置される、
請求項1に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項7】
前記電解質は有機電解質を備え、
前記極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置は、活性電極の体積1ccあたり少なくとも約10ファラドの静電容量密度を有する、電気化学二重層(ECDL)コンデンサを備えた、
請求項1に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項8】
前記電解質は、200℃を超える沸点を有し、
前記ケースは、熱的に安定な密封材料をさらに含み、
前記ECDLコンデンサは、最大90℃の温度動作上の半電圧範囲定格を有する、
請求項7に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項9】
前記有機電解質は、炭酸プロピレンの少なくともいくつかを含み、
前記極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置は、最大約105℃の貯蔵温度で寸法安定性を維持すると同時に、最小約150mΩのきわめて低いESRを維持する、
請求項7に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項10】
極低ESRスーパーコンデンサであって、
有機電解質を有するそれぞれの内部電極の複数の対と、
各極薄のセパレータ層が前記それぞれの電極間にある、複数の極薄のセパレータ層と、
それぞれの多層集電体の複数の対と、
前記内部電極、極薄のセパレータ層、及び集電体を囲み、前記集電体とそれぞれ接続された端子のそれぞれの対を有するケースと、を備え、
前記ケースは、0.5ミリメートルから5.0ミリメートルの厚さ、および約10ppm以下の含水量を有し、
前記極低ESRスーパーコンデンサは、電極面積について約1.5Ω・cm2以下の抵抗率、活性電極の体積1ccあたり少なくとも約10ファラドの静電容量密度、および-40°から70℃の温度動作上の範囲定格を有する、
極低ESRスーパーコンデンサ。
【請求項11】
前記極低ESRスーパーコンデンサは、4.2ボルトの電圧定格、および-40°から90℃の温度動作上の半電圧範囲定格を有する炭素炭素二重層コンデンサを備える、
請求項10に記載の極低ESRスーパーコンデンサ。
【請求項12】
前記有機電解質は、炭酸プロピレンの少なくともいくつかを含む、
請求項10に記載の極低ESRスーパーコンデンサ。
【請求項13】
複数の前記極低ESRスーパーコンデンサは、複数のスタック内に位置決めされた複数のセルとして配置される、
請求項10に記載の極低ESRスーパーコンデンサ。
【請求項14】
複数のセルの前記スタックは、並列の接続で配置された、
請求項13に記載の極低ESRスーパーコンデンサ。
【請求項15】
前記電解質は、200℃を超える沸点を有し、
前記ケースは、熱的に安定な密封材料をさらに含み、
前記極低ESRスーパーコンデンサは、最大90℃の温度動作上の半電圧範囲定格を有する、
請求項10に記載の極低ESRスーパーコンデンサ。
【請求項16】
前記極低ESRスーパーコンデンサは、最大約105℃の貯蔵温度で寸法安定性を維持すると同時に、最小約150mΩのきわめて低いESRを維持する、
請求項12に記載の極低ESRスーパーコンデンサ。
【請求項17】
極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置を製造するための方法であって、   電解質を有するそれぞれの内部電極の複数の対を、それぞれのセパレータ層が前記電極間にある複数のセパレータ層と共に提供するステップと、
それぞれの集電体の複数の対を提供するステップと、
前記集電体とそれぞれ接続された端子のそれぞれの対を有するケースによって、前記内部電極、セパレータ層、及び集電体を囲むステップとを有し、 前記ケースは、0.5ミリメートルから5.0ミリメートル厚さを有する、前記方法。
【請求項18】
前記方法は、約10ppm以下の含水量を有する制御された環境で実施される、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記電解質は有機電解質を備える、
請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記電解質は少なくとも部分的に炭酸プロピレンを備える、
請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、約10ppm以下の含水量を有する制御された環境で実施され、
前記極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置は、電極面積について約1.5Ω・cm2以下の抵抗率、および-40°から70℃の温度動作上の範囲定格を有する、
請求項17に記載の方法。
【請求項22】
複数の前記極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置は、並列の接続に構成された複数のスタック内に位置決めされた複数のセルとして配置される、
請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記電解質は有機電解質を備え、
前記極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置は、活性電極の体積1ccあたり少なくとも約10ファラドの静電容量密度を有する、電気化学二重層(ECDL)コンデンサを備えた、
請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記電解質は、200℃を超える沸点を有し、
前記ケースは、熱的に安定な密封材料をさらに含み、
前記ECDLコンデンサは、最大90℃の温度動作上の半電圧範囲定格を有する、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記有機電解質は、炭酸プロピレンの少なくともいくつかを含み、
前記極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置は、最大約105℃の貯蔵温度で寸法安定性を維持すると同時に、最小約150mΩのきわめて低いESRを維持する、
請求項23に記載の方法。
【請求項26】
極薄の極低ESRスーパーコンデンサを作製するための方法であって、
有機電解質を有するそれぞれの内部電極の複数の対を、各極薄のセパレータ層が前記電極間にある複数の極薄のセパレータ層と共に提供するステップと、
それぞれの複層集電体の複数の対を提供するステップと、
前記内部電極、極薄のセパレータ層、及び集電体とそれぞれ接続された端子のそれぞれの対を有するケースによって、前記集電体を囲むステップと、を含み、
前記ケースは、0.5ミリメートルから5.0ミリメートルの厚さを有し、前記方法は、約10ppm以下の含水量を有する制御された環境で実施され、
前記極低ESRスーパーコンデンサは、電極面積について約1.5Ω・cm2以下の抵抗率、活性電極の体積1ccあたり少なくとも約10ファラドの静電容量密度、および-40°から70℃の温度動作上の範囲定格を有する、前記方法。
【請求項27】
前記極低ESRスーパーコンデンサは、4.2ボルトの電圧定格、および-40°から90℃の温度動作上の半電圧範囲定格を有する炭素炭素二重層コンデンサを備える、
請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記有機電解質は、炭酸プロピレンの少なくともいくつかを含む、
請求項26に記載の方法。
【請求項29】
複数の前記極低ESRスーパーコンデンサは、複数のスタック内に位置決めされた複数のセルとして配置される、
請求項26に記載の方法。
【請求項30】
複数のセルの前記スタックは、並列の接続に配置される、
請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記有機電解質は、200℃を超える沸点を有し、
前記ケースは、熱的に安定な密封材料をさらに含み、
前記極低ESRスーパーコンデンサは、最大90℃の温度動作上の半電圧範囲定格を有する、
請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記ケースは、およそ長さ50mm×幅40mm×厚さ0.5mmの寸法を有し、最大約105℃の貯蔵温度で寸法安定性を維持すると同時に、最小約150mΩのきわめて低いESRを維持する、
請求項28に記載の方法。」とあったところを、

本件補正により、

「【請求項1】
極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置であって、
電解質を有するそれぞれの内部電極の複数の対と、
各セパレータ層が前記それぞれの内部電極間のセパレータ層である、複数のセパレータ層と、
続きを表示(全129行)
それぞれの集電体の複数の対と、
前記内部電極、セパレータ層、及び集電体を囲み、前記集電体とそれぞれ接続された端子のそれぞれの対を有するケースと、を備え、
前記ケースは、0.5ミリメートルから5.0ミリメートルの厚さを有し、
前記電気化学エネルギー貯蔵装置は、電極面積について約1.5Ω・cm
2以下の抵抗率、および活性電極の体積1ccあたり約10ファラドの静電容量密度を有する、
極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項2】
前記ケースの中身は約10ppm以下の含水量を有する、
請求項1に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項3】
前記電解質は有機電解質を備える、
請求項1に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項4】
前記電解質は少なくとも部分的に炭酸プロピレンを備える、
請求項1に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項5】
前記ケースの中身は約10ppm以下の含水量を有し、
前記極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置は、-40°から70℃の温度動作上の範囲定格を有する、
請求項1に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項6】
複数の前記極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置が、並列の接続に構成された複数のスタック内に位置決めされた複数のセルとして配置される、
請求項1に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項7】
前記電解質は有機電解質を備え、
前記極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置は、活性電極の体積1ccあたり約10ファラドの静電容量密度を有する、電気化学二重層(ECDL)コンデンサを備えた、
請求項1に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項8】
前記電解質は、200℃を超える沸点を有し、
前記ケースは、熱的に安定な密封材料をさらに含み、
前記ECDLコンデンサは、最大90℃の温度動作上の半電圧範囲定格を有する、
請求項7に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項9】
前記有機電解質は、炭酸プロピレンの少なくともいくつかを含み、
前記極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置は、最大約105℃の貯蔵温度で寸法安定性を維持すると同時に、最小約150mΩのきわめて低いESRを維持する、
請求項7に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項10】
極低ESRスーパーコンデンサであって、
有機電解質を有するそれぞれの内部電極の複数の対と、
各極薄のセパレータ層が前記それぞれの電極間にある、複数の極薄のセパレータ層と、
それぞれの多層集電体の複数の対と、
前記内部電極、極薄のセパレータ層、及び集電体を囲み、前記集電体とそれぞれ接続された端子のそれぞれの対を有するケースと、を備え、
前記ケースは、0.5ミリメートルから5.0ミリメートルの厚さ、および約10ppm以下の含水量を有し、
前記極低ESRスーパーコンデンサは、電極面積について約1.5Ω・cm2以下の抵抗率、活性電極の体積1ccあたり約10ファラドの静電容量密度、および-40°から70℃の温度動作上の範囲定格を有する、
極低ESRスーパーコンデンサ。
【請求項11】
前記極低ESRスーパーコンデンサは、4.2ボルトの電圧定格、および-40°から90℃の温度動作上の半電圧範囲定格を有する炭素炭素二重層コンデンサを備える、
請求項10に記載の極低ESRスーパーコンデンサ。
【請求項12】
前記有機電解質は、炭酸プロピレンの少なくともいくつかを含む、
請求項10に記載の極低ESRスーパーコンデンサ。
【請求項13】
複数の前記極低ESRスーパーコンデンサは、複数のスタック内に位置決めされた複数のセルとして配置される、
請求項10に記載の極低ESRスーパーコンデンサ。
【請求項14】
複数のセルの前記スタックは、並列の接続で配置された、
請求項13に記載の極低ESRスーパーコンデンサ。
【請求項15】
前記有機電解質は、200℃を超える沸点を有し、
前記ケースは、熱的に安定な密封材料をさらに含み、
前記極低ESRスーパーコンデンサは、最大90℃の温度動作上の半電圧範囲定格を有する、
請求項10に記載の極低ESRスーパーコンデンサ。
【請求項16】
前記極低ESRスーパーコンデンサは、最大約105℃の貯蔵温度で寸法安定性を維持すると同時に、最小約150mΩのきわめて低いESRを維持する、
請求項12に記載の極低ESRスーパーコンデンサ。
【請求項17】
極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置を製造するための方法であって、
電解質を有するそれぞれの内部電極の複数の対を、それぞれのセパレータ層が前記内部電極間にある複数のセパレータ層と共に提供するステップと、 それぞれの集電体の複数の対を提供するステップと、
前記集電体とそれぞれ接続された端子のそれぞれの対を有するケースによって、前記内部電極、セパレータ層、及び集電体を囲むステップとを有し、 前記ケースは、0.5ミリメートルから5.0ミリメートル厚さを有し、
前記電気化学エネルギー貯蔵装置は、電極面積について約1.5Ω・cm2以下の抵抗率、および活性電極の体積1ccあたり約10ファラドの静電容量密度を有する、
前記方法。
【請求項18】
前記方法は、約10ppm以下の含水量を有する制御された環境で実施される、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記電解質は有機電解質を備える、
請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記電解質は少なくとも部分的に炭酸プロピレンを備える、
請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、約10ppm以下の含水量を有する制御された環境で実施され、
前記極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置は、-40°から70℃の温度動作上の範囲定格を有する、
請求項17に記載の方法。
【請求項22】
複数の前記極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置は、並列の接続に構成された複数のスタック内に位置決めされた複数のセルとして配置される、
請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記電解質は有機電解質を備え、
前記極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置は、活性電極の体積1ccあたり約10ファラドの静電容量密度を有する、電気化学二重層(ECDL)コンデンサを備えた、
請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記電解質は、200℃を超える沸点を有し、
前記ケースは、熱的に安定な密封材料をさらに含み、
前記ECDLコンデンサは、最大90℃の温度動作上の半電圧範囲定格を有する、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記有機電解質は、炭酸プロピレンの少なくともいくつかを含み、
前記極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置は、最大約105℃の貯蔵温度で寸法安定性を維持すると同時に、最小約150mΩのきわめて低いESRを維持する、
請求項23に記載の方法。
【請求項26】
極薄の極低ESRスーパーコンデンサを作製するための方法であって、  有機電解質を有するそれぞれの内部電極の複数の対を、各極薄のセパレータ層が前記内部電極間にある複数の極薄のセパレータ層と共に提供するステップと、
それぞれの複層集電体の複数の対を提供するステップと、
前記内部電極、極薄のセパレータ層、及び集電体とそれぞれ接続された端子のそれぞれの対を有するケースによって、前記集電体を囲むステップと、を含み、
前記ケースは、0.5ミリメートルから5.0ミリメートルの厚さを有し、前記方法は、約10ppm以下の含水量を有する制御された環境で実施され、
前記極低ESRスーパーコンデンサは、電極面積について約1.5Ω・cm2以下の抵抗率、活性電極の体積1ccあたり約10ファラドの静電容量密度、および-40°から70℃の温度動作上の範囲定格を有する、前記方法。
【請求項27】
前記極低ESRスーパーコンデンサは、4.2ボルトの電圧定格、および-40°から90℃の温度動作上の半電圧範囲定格を有する炭素炭素二重層コンデンサを備える、
請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記有機電解質は、炭酸プロピレンの少なくともいくつかを含む、
請求項26に記載の方法。
【請求項29】
複数の前記極低ESRスーパーコンデンサは、複数のスタック内に位置決めされた複数のセルとして配置される、
請求項26に記載の方法。
【請求項30】
複数のセルの前記スタックは、並列の接続に配置される、
請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記有機電解質は、200℃を超える沸点を有し、
前記ケースは、熱的に安定な密封材料をさらに含み、
前記極低ESRスーパーコンデンサは、最大90℃の温度動作上の半電圧範囲定格を有する、
請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記ケースは、およそ長さ50mm×幅40mm×厚さ0.5mmの寸法を有し、最大約105℃の貯蔵温度で寸法安定性を維持すると同時に、最小約150mΩのきわめて低いESRを維持する、
請求項28に記載の方法。」とするものである。なお、下線は補正箇所を示す。

上記の補正は、

ア 補正前の請求項1の冒頭に「極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置であって、」を追加し(本件補正後の請求項1)、

イ 補正前の請求項1の「前記それぞれの電極間」、請求項17及び26の「前記電極間」をそれぞれ「前記ぞれぞれの内部電極間」、「前記内部電極間」とし(本件補正後の請求項1、17及び26)、

ウ 補正前の請求項1及び17に「前記電気化学エネルギー貯蔵装置は、電極面積について約1.5Ω・cm2以下の抵抗率、および活性電極の体積1ccあたり約10ファラドの静電容量密度を有する」を付加し(本件補正後の請求項1及び17)

エ 補正前の請求項5及び21の「前記極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置は、電極面積について約1.5Ω・cm2以下の抵抗率、および-40°から70℃の温度動作上の範囲定格を有する」から「電極面積について約1.5Ω・cm2以下の抵抗率」を省いて、「前記極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置は、-40°から70℃の温度動作上の範囲定格を有する」とし(本件補正後の請求項5及び21)、

オ 補正前の請求項7、10、23及び26の「活性電極の体積1ccあたり少なくとも約10ファラドの静電容量密度」から「少なくとも」を省いて、「活性電極の体積1ccあたり約10ファラドの静電容量密度」とし(本件補正後の請求項7、10、23及び26)、

カ 補正前の請求項15の「前記電解質」を、「前記有機電解質」とする(本件補正後の請求項15)、

ものである。

上記補正事項アは、補正前の請求項1を、補正前の請求項10、17及び26の記載に揃えて、冒頭に「・・・であって」という記載を追加するものであって、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。

上記補正事項イは、「前記」が「内部電極」を示すことに対応して「前記それぞれの内部電極間」、「前記内部電極間」とそれぞれ訂正するものであって、特許法第17条の2第5項第3号に掲げる誤記の訂正を目的とするものに該当する。

上記補正事項ウは、電気化学エネルギー貯蔵装置について、補正前の請求項5及び21に記載の「電極面積について約1.5Ω・cm2以下の抵抗率」に限定し、さらに「活性電極の体積1ccあたり約10ファラドの静電容量密度」に限定するものであって、補正前後の請求項1及び17に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

上記補正事項エは、補正事項ウにより補正前の請求項5及び21の「電極面積について約1.5Ω・cm2以下の抵抗率」が補正後の請求項1及び17に付加されたことに伴い、重複する記載とならないように整理するものであって、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。

上記補正事項オは、「少なくとも約10ファラド」から「少なくとも」を省いて「約10ファラド」に限定するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

上記補正事項カは、補正前の請求項15が引用する請求項10の「有機電解質」に合わせて、「前記有機電解質」と訂正するものであって、特許法第17条の2第5項第3号に掲げる誤記の訂正を目的とするものに該当する。

よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮、第3号に掲げる誤記の訂正、及び第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。

また、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。

そこで、特許請求の範囲の減縮を目的とする本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)否かについて以下検討する。

2.引用文献

(1)引用文献1・引用発明

原査定の拒絶の理由に引用された特開2004-253562号公報には、電気化学キャパシタに関して、図面と共に以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。

ア.「【0026】

【発明の実施の形態】

以下、図面を参照しながら本発明による電気化学キャパシタを電気二重層キャパシタに適用した場合について、その好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。

【0027】

図1は本発明の電気化学キャパシタの好適な一実施形態を示す正面図である。また、図2は図1に示す電気化学キャパシタの内部をアノード10の表面の法線方向からみた場合の展開図である。更に、図3は図1に示す電気化学キャパシタを図1のX1-X1線に沿って切断した場合の模式断面図である。また、図4は図1に示す電気化学キャパシタを図1のX2-X2線に沿って切断した場合の要部を示す模式断面図である。

【0028】

図1~図5に示すように、電気二重層キャパシタ1は、主として、互いに対向する平板状のアノード10(第1の電極)及び平板状のカソード20(第2の電極)と、アノード10とカソード20との間に隣接して配置される平板状のセパレータ40と、電解質溶液30と、これらを密閉した状態で収容するケース50と、アノード10に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケース50の外部に突出されるアノード用リード12と、カソード20に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケース50の外部に突出されるカソード用リード22とから構成されている。ここで、「アノード」10及び「カソード」20は説明の便宜上、電気化学キャパシタ1の放電時の極性を基準に決定したものである。」

イ.「【0045】

図8に示すようにアノード10は、集電体16と、該集電体16上に形成された電子伝導性の多孔体からなる多孔体層18とからなる。また、図9に示すようにカソード20は、集電体26と、該集電体26上に形成された電子伝導性の多孔体からなる多孔体層28とからなる。」

ウ.「【0051】

また、カソード20の集電体26(当審注:「集電体28」は「集電体26」の誤記である。)は、例えばアルミニウムからなるカソード用リード22の一端に電気的に接続され、カソード用リード22の他端はケース50の外部に延びている。一方、アノード10の集電体16(当審注:「集電体18」は「集電体16」の誤記である。)も、例えば銅又はニッケルからなるアノード用リード導体12の一端に電気的に接続され、アノード用リード導体12の他端は封入袋14の外部に延びている。

【0052】

電解質溶液30はケース50の内部空間に充填され、その一部は、アノード10及びカソード20、及びセパレータ40の内部に含有されている。そして、ケース50の内部空間に充填される電解質溶液30の量は、先に述べた本発明の効果を得るために、以下の条件を満たすように調節されている。」

エ.「【0060】

また、携帯用の小型電子機器内の限られた狭い設置スペースにも設置可能とする観点から、電気二重層キャパシタ1は、その厚さ(電気二重層キャパシタ1全体の厚さ)が0.2~2.0mmであることが好ましく、0.2~1.0mmであることがより好ましい。

【0061】

更に、携帯用の小型電子機器内の限られた狭い設置スペースにも設置可能とする観点から、アノード10、セパレータ40及びカソード20からなる積層体(第1の電極、セパレータ及び第2の電極からなる積層体)の厚さ(素体60の厚さ)が、0.1~0.4mmであることが好ましく、0.1~0.3mmであることがより好ましい。」

・上記アによれば、電気化学キャパシタを適用した電気二重層キャパシタであって、電気二重層キャパシタ1は、互いに対向する平板状のアノード10(第1の電極)及び平板状のカソード20(第2の電極)と、アノード10とカソード20との間に隣接して配置される平板状のセパレータ40と、電解質溶液30と、これらを密閉した状態で収容するケース50と、ケース50の外部に突出されるアノード用リード12及びカソード用リード22とから構成されている。

・上記イによれば、アノード10は、集電体16と、該集電体16上に形成された電子伝導性の多孔体からなる多孔体層18とからなり、カソード20は、集電体26と、該集電体26上に形成された電子伝導性の多孔体からなる多孔体層28とからなる。

・上記アないしウによれば、アノード10の集電体16は、アノード用リード12に電気的に接続され、カソード20の集電体26は、カソード用リード22に電気的に接続されている。

・上記ウによれば、電解質溶液30はケース50の内部空間に充填され、その一部は、アノード10及びカソード20、及びセパレータ40の内部に含有されている。

・上記エによれば、携帯用の小型電子機器内の限られた狭い設置スペースにも設置可能とする観点から、電気二重層キャパシタ1は、その厚さ(電気二重層キャパシタ1全体の厚さ)が0.2~1.0mmであり、アノード10、セパレータ40及びカソード20からなる積層体の厚さ(素体60の厚さ)が、0.1~0.3mmである。

したがって、上記記載事項及び図面を勘案すると上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「電気化学キャパシタを適用した電気二重層キャパシタであって、
電気二重層キャパシタ1は、互いに対向する平板状のアノード10(第1の電極)及び平板状のカソード20(第2の電極)と、アノード10とカソード20との間に隣接して配置される平板状のセパレータ40と、電解質溶液30と、これらを密閉した状態で収容するケース50と、ケース50の外部に突出されるアノード用リード12及びカソード用リード22とから構成されており、
アノード10は、集電体16と、該集電体16上に形成された電子伝導性の多孔体からなる多孔体層18とからなり、カソード20は、集電体26と、該集電体26上に形成された電子伝導性の多孔体からなる多孔体層28とからなり、
アノード10の集電体16は、アノード用リード12に電気的に接続され、カソード20の集電体26は、カソード用リード22に電気的に接続されており、
電解質溶液30はケース50の内部空間に充填され、その一部は、アノード10及びカソード20、及びセパレータ40の内部に含有されており、
携帯用の小型電子機器内の限られた狭い設置スペースにも設置可能とする観点から、電気二重層キャパシタ1は、その厚さ(電気二重層キャパシタ1全体の厚さ)が0.2~1.0mmであり、アノード10、セパレータ40及びカソード20からなる積層体の厚さ(素体60の厚さ)が、0.1~0.3mmである、
電気二重層キャパシタ。」

(2)引用文献2及び3

ア 引用文献2

原査定において、周知技術を示す文献として引用された特開2012-69408号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の技術事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。

(ア)「【0022】
(実施形態1)
先ず、本発明の電気化学素子モジュールに用いる電気化学素子の実施形態について説明する。本発明で用いる電気化学素子には、一次電池、二次電池、電気二重層コンデンサ(キャパシタ)等が含まれるが、本実施形態では、電気化学素子として扁平型リチウムイオン二次電池(以下、単電池と言う場合がある。)を例に挙げて説明する。図1Aは本実施形態の単電池で用いる電極体を説明するための斜視図であり、図1Bは電極体を外装材に収納している状態を示す斜視図であり、図1Cは電極体を外装材に収納した状態の斜視図である。
【0023】
図1Aにおいて、電池要素(電気化学素子要素)に含まれる電極体10は、矩形状の正極11と矩形状の負極12とを、矩形状のセパレータ13を介して積層して作製される。正極11の一端には、正極リード端子11aが設けられ、負極12の一端には、負極リード端子12aが設けられている。
【0024】
図1Bにおいて、可撓性を有する矩形状の外装材14は、辺18で谷折りされて第1外装面14aと第2外装面14bとから構成されている。第1外装面14aには、深絞り成形により電極収納部15が形成されている。また、各正極リード端子11a(図1A)及び各負極リード端子12a(図1A)は、それぞれ重ね合わされて溶接されて、それぞれ正極リード端子部16a及び負極リード端子部16bを形成している。
【0025】
図1Cにおいて、電極体10は、電解液とともに谷折りされた第1外装面14aと第2外装面14bとが形成する空間部(電極収納部15)に収納される。また、外装材14の外周辺のうち、谷折りされた辺18以外の三辺が所定の幅をもって接合されて封止部17a、17b、17cを形成している。正極リード端子部16a及び負極リード端子部16bは、外装材14の谷折りされた辺18と対向する封止部17cから外部に引き出されている。このようにして、単電池20が作製される。」

(イ)図1を参照すると、シート状の正極11、セパレータ13、負極12を複数重ねて積層して単電池20が作製されている。

(ウ)「【0043】
図2は、本実施形態の単電池を3個積層して電池積層体を形成した状態を谷折りされた辺18(図1B、C)側から見た側面図である。図2において、単電池20は、粘着性を有する薄膜状のスペーサ21を介して積層されて電池積層体30を形成している。図2では、スペーサ21を隣接する単電池20の間に、単電池20の幅方向にそれぞれ2個配置しているが、これに限定されない。スペーサ21は、粘着性を有しているため、各単電池20を相互に固定できる。」
(エ)「【0050】
図4は、外装体を構成する板状体22a及び22bを電池積層体30の上下に配置した状態を示す側面図である。図4では、板状体22a及び22bと単電池20との間にもスペーサ21を配置した。これにより、電池積層体30と外装体とを強固に固定できる。
【0051】
図5は、更に外装体を構成する板状体22c、22d、22e及び22fを電池積層体30(図4)の側面に配置して、外装体40を形成して本実施形態の電池モジュールを完成した状態を示す透視斜視図である。図5では、外装体40の構成の理解の容易のため、内部に収納されている電池積層体の図示を省略している。」

イ 引用文献3

原査定において、周知技術を示す文献として引用された特開2012-230963号公報(以下、「引用文献3」という。)には、次の技術事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。

(オ)「【0024】
蓄電モジュール100は、蓄電セル10を、セパレータ20を介してZ軸方向に複数積層された構成を有することができる。蓄電セル10の数は、特に限定されず、蓄電モジュール100の用途に応じて適宜変更することができる。蓄電セル10の形態としては、リチウムイオンキャパシタ、二次電池、電気二重層キャパシタなどを例示することができる。」
(カ)「【0030】
なお、図示はしないが、外装体12内に収容される正極および負極は、セパレータを介してシート状の正極および負極を重ねて積層シートを形成し、該積層シートを捲回させてなる捲回型でもよいし、セパレータを介してシート状の正極および負極を複数重ねてなる積層型でもよい。」

ウ 上記の記載によれば、引用文献2及び3には、電気二重層キャパシタに関して、以下の技術事項が記載されている。

「外装体内にシート状の正極、セパレータ、負極を複数重ねて積層して構成すること」

(3)引用文献4

原査定において、周知技術を示す文献として引用された特表平10-509560号公報(以下、「引用文献4」という。)には、電気二重層キャパシタに関して、次の技術事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。

ア.「本発明は、活性炭素と電解質間の境界面に形成された電気二重層を有する高性能の二重層キャパシタである。」(第12頁第19-20行)

イ.「アルミニウム/炭素の複合電極42と44は、充分に多孔性であり、好ましくは、3.0ボルトセルに使用されたとき、各複合電極の等価直列抵抗は約1.5Ωcm2であり、各複合電極42と44の容量は約30F/cm3或いはそれより大きいように、活性炭素繊維内にアルミニウムを含浸する一様に分布した連続路を有している。」(第15頁第23-27行)

上記の記載によれば、引用文献4には、電気二重層キャパシタに関して、以下の技術事項が記載されている。

「等価直列抵抗が約1.5Ωcm2、容量が約30F/cm3であるアルミニウム/炭素の複合電極」

3.対比

本願補正発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「電気化学キャパシタ」を適用した「電気二重層キャパシタ1」は、本願補正発明の「電気化学エネルギー貯蔵装置」に相当する。

(2)引用発明の「互いに対向する平板状のアノード10(第1の電極)及び平板状のカソード20(第2の電極)」は、電解質溶液30が内部に含有されているから、本願補正発明の「電解質を有する」「内部電極」「の対」に相当する。

また、引用発明の「セパレータ40」は、本願補正発明の「セパレータ層」に相当し、引用発明のアノード10の「集電体16」とカソード20の「集電体26」は、互いに対向していることが明白であるから、本願補正発明の「集電体」「の対」に相当する。

(3)そうすると、本願補正発明と引用発明は「電解質を有する」「内部電極」「の対」と、「セパレータ層が」「内部電極間のセパレータ層である、」「セパレータ層」と、「集電体」「の対」を備える点で共通する。

ただし、本願補正発明は、内部電極の対、セパレータ層、及び集電体の対がそれぞれ「複数」存在し、「それぞれの内部電極の複数の対」、「各セパレータ層が前記それぞれの内部電極間のセパレータ層である、複数のセパレータ層」、「それぞれの集電体の複数の対」を備えるのに対して、引用発明は内部電極が一対であり、セパレータが1層であり、集電体が一対である点で相違する。

(4)引用発明の「アノード用リード12」及び「カソード用リード22」は、それぞれ集電体16及び集電体26に電気的に接続されているから、本願補正発明の「集電体とそれぞれ接続された端子」に相当する。

(5)引用発明のアノード10、カソード20、セパレータ40及び電解質溶液30を密封した状態で収容する「ケース50」は、アノード用リード12及びカソード用リード22をケース50の外部に突出させているから、本願補正発明の「前記内部電極、セパレータ層、及び集電体を囲み、前記集電体とそれぞれ接続された端子のそれぞれの対を有するケース」に相当する。

(6)引用発明の電気二重層キャパシタは、アノード10、カソード20、セパレータ40及び電解質溶液30を収容した状態で、全体の厚さが「0.2~1.0mm」であることが明白であるから、本願補正発明の「前記ケースは、0.5ミリメートルから5.0ミリメートルの厚さを有」する「極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置」に相当する。

(7)抵抗率及び静電容量密度に関して、本願補正発明は「前記電気化学エネルギー貯蔵装置は、電極面積について約1.5Ω・cm2以下の抵抗率、および活性電極の体積1ccあたり約10ファラドの静電容量密度を有する」のに対して、引用発明はその旨の特定がされていない点で相違する。

そうすると、本願補正発明と引用発明とは次の点で一致ないし相違している。

<一致点>

「極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置であって、
電解質を有する内部電極の対と、
セパレータ層が前記内部電極間のセパレータ層である、セパレータ層と、
集電体の対と、
前記内部電極、セパレータ層、及び集電体を囲み、前記集電体とそれぞれ接続された端子のそれぞれの対を有するケースと、を備え、
前記ケースは、0.5ミリメートルから5.0ミリメートルの厚さを有する、
極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。」

<相違点1>

本願補正発明は、内部電極の対、セパレータ層、及び集電体の対がそれぞれ「複数」存在し、「それぞれの内部電極の複数の対」、「各セパレータ層が前記それぞれの内部電極間のセパレータ層である、複数のセパレータ層」、「それぞれの集電体の複数の対」を備えるのに対して、引用発明は内部電極が一対であり、セパレータが1層であり、集電体が一対である点。

<相違点2>

抵抗率及び静電容量密度に関して、本願補正発明は「前記電気化学エネルギー貯蔵装置は、電極面積について約1.5Ω・cm2以下の抵抗率、および活性電極の体積1ccあたり約10ファラドの静電容量密度を有する」のに対して、引用発明はその旨の特定がされていない点。

4.判断

上記相違点について判断する。

<相違点1>について

引用文献2及び3に記載があるように、電気二重層キャパシタに関して、外装体内にシート状の正極、セパレータ、負極を「複数」重ねて積層することは周知の技術事項である(上記「2.(2)」参照。必要であれば他にも特表平10-509560号公報の第15頁第7-16行及び図3参照)。

引用発明の電気二重層キャパシタにおいて、アノード10、セパレータ40及びカソード20からなる積層体を複数重ねて積層する構成を採用することに阻害要因はないから、引用発明の厚さ0.1~0.3mmの積層体を、上記周知技術のように複数重ねて積層して、上記相違点1に係る構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

なお、引用発明のアノード10、セパレータ40及びカソード20からなる積層体は、厚さ0.1~0.3mmであるから、積層体を「複数」重ねて積層しても本願補正発明のケースの厚さの範囲である5.0ミリメートル以下に収容できることは明らかである。

<相違点2>について

電気化学キャパシタにおいて、炭素材料からなる電極に10F/cm3以上の容量密度を与えられることは周知の技術事項であり(国際公開第2014/038972号の第2頁第10-12行(対応する日本語公報の特表2015-531543号公報【0007】)、特表2012-532088号公報の【0209】等参照)、所望の容量密度を10F/cm3にすることは適宜決定し得る設計事項である。

また、引用文献4には、等価直列抵抗が約1.5Ωcm2、容量が約30F/cm3であるアルミニウム/炭素の複合電極が記載されており(上記「2.(3)」参照)、電極の容量密度を10F/cm3以上とすることに加えて、等価直列抵抗を約1.5Ωcm2とすることも普通に行われており、周知の技術事項である。

してみると、引用発明の電気化学キャパシタの電極に、周知の技術事項を適用して、等価直列抵抗を約1.5Ωcm2、容量密度を10F/cm3とし、上記相違点2に係る構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

また、本願補正発明の効果も、引用発明及び周知の技術事項から想到される構成から当業者が予想できる範囲のものである。

なお、請求人は審判請求書において、引用文献3(特表平10-509560号公報、当審注:本審決では引用文献4)では「各複合電極の等価直列抵抗は約1.5Ωcm2」且つ「容量は約30F/cm3或いはそれより大きい」という2つの条件を同時に満たすことであるのに対して、本願の請求項1の発明は「前記電気化学エネルギー貯蔵装置」が「電極面積について約1.5Ω・cm2以下の抵抗率」を有し、且つ「活性電極の体積1ccあたり約10ファラドの静電容量密度を有する」という2つの条件を満たせばよいものであり、引用文献3の条件とは異なる旨主張している。

しかしながら、上記<相違点2>について検討したとおり、電気化学キャパシタにおいて、所望の容量密度を10F/cm3にすることは適宜決定し得る設計事項であるから、本願補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

よって、請求人の主張を採用することはできない。

5.むすび

以上のとおり、本件補正の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1.本願発明

令和1年10月18日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし32に係る発明は、平成31年3月18日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし32に記載された事項により特定されたものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は上記「第2[理由]1.」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2.引用文献

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項、引用発明、及び周知の技術事項は、上記「第2[理由]2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断

本願発明は、上記「第2[理由]1.」で検討した本件補正発明から「前記電気化学エネルギー貯蔵装置は、電極面積について約1.5Ω・cm2以下の抵抗率、および活性電極の体積1ccあたり約10ファラドの静電容量密度を有する」という限定を省いたものに相当する。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2[理由]3.及び4.」に記載したとおり、引用発明及び周知の技術事項から当業者が容易になし得たものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知の技術事項から当業者が容易になし得たものである。

4.むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

第4 その他(補正案について)

請求人は、令和2年2月10日提出の上申書において、特許請求の範囲の補正案を添付するとともに、当該補正案のとおりに補正する機会を求めているから、一応検討しておく。

補正案によれば、請求項1に係る発明(以下、「本願発明’」という。)において「前記ケースは、熱的に安定な密封材料を含み、および、前記ケースは、約10ppm以下の含水量を有する」との限定を付加するものである。

しかしながら、上記の限定は平成30年12月10日付け拒絶理由通知で指摘した請求項2及び9に含まれる事項であり、「前記ケースは、熱的に安定な密封材料を含」むことは、原査定において周知技術を示す文献として引用された国際公開第2013/099680号([0050]、[0052])に電気二重層キャパシタ等の蓄電デバイスの動作温度範囲を-40℃~100℃とする点が記載されているとおり一般的な事項であり、また、「前記ケースは、約10ppm以下の含水量を有する」ことは、原査定において周知技術を示す文献として引用された国際公開第2012/133701号([0134])に記載があるように、製造工程での雰囲気の水分の含有量を2.5ppm以下とすることは周知であり、それぞれ当業者が適宜なし得る技術事項であるから、本願発明’は進歩性を有しない。

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2019-013908

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