特許拒絶査定不服審判
2019-011745
レンズモジュール
- 審判番号
- 2019-011745
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-010726外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年09月06日
- 審決日
- 2021年05月07日
- 公報発行日
- 2021年11月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エーエーシー オプティックス ソリューションズ ピーティーイー リミテッド
- 【請求人代理人】西内 盛二
- 分類
- P18 .121-WZ (G02B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2017- 10726「レンズモジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 5月10日出願公開、特開2018- 72798〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成29年1月24日(パリ条約による優先権主張2016年10月25日、中国)の出願であって、平成29年12月21日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、平成30年3月26日に意見書及び手続補正書が提出され、平成30年8月23日付けで最後の拒絶理由が通知され、これに対して、平成30年11月20日に意見書及び手続補正書が提出され、その後、平成31年4月23日付けで拒絶査定及び補正の却下の決定がなされた。これに対して、令和元年9月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同日に手続補正書が提出され、その後、令和2年9月9日付けで当審から補正の却下の決定がなされ、同日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、令和3年2月9日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1~5に係る発明は、令和3年2月9日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】
鏡筒、及び前記鏡筒内に設けられて前記鏡筒に接続されるレンズ群を備え、前記鏡筒は、光通過孔が開設された第1の筒壁と、前記第1の筒壁から折り曲げて延伸する第2の筒壁と、前記第1の筒壁と第2の筒壁により形成された収容空間を有し、前記レンズ群は、物側から像側へ順次に前記収容空間内に共軸に積層され設けられ、前記レンズ群は、前記第1の筒壁に近い第1のレンズを備えるレンズモジュールであって、前記第1のレンズと前記鏡筒との間に更にシーリング部材が設けられ、前記第1のレンズと前記鏡筒との間には、前記シーリング部材によりシーリングされ、
前記第1のレンズは、前記第1の筒壁に対向して設けられた第1の表面を備え、前記第1の表面と前記第1の筒壁との間には、前記シーリング部材によりシーリングされ、
前記第1の表面は、前記第1の筒壁に当接し、前記第1の筒壁における前記収容空間に対向する面は、第1の内壁であり、前記第1の筒壁には、前記第1の内壁より前記第1のレンズから離れる方向へ凹む凹み部が設けられ、
前記シーリング部材は、前記凹み部内に設けられて前記第1のレンズと前記鏡筒の最も外側の接合箇所にてシーリングされ、
前記第1のレンズは、前記凹み部の外縁と同一の面にあり、
前記凹み部は、内環壁と外環壁とを備える環状構成であり、前記内環壁は、前記環状構成の内壁における光軸に近い部分であり、前記外環壁は、前記環状構成の内壁における前記内環壁に対向する部分であり、
前記第2の筒壁の前記収容空間に対向する部分は、第2の内壁であり、前記第2の内壁と前記外環壁が同一の面にあることにより、前記第2の内壁と前記凹み部が円滑に連結していることを特徴とするレンズモジュール。」
第3 引用文献1に記載された事項
1 当審からの拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された引用文献1である、特開2014-106387号公報(平成26年6月9日公開)には、図面とともに、次の記載がある。
(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、過酷な使用環境において高い環境性能を維持する光学ユニット、撮像装置、および移動体に関する。」
(2)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、屋外向けのカメラに用いられる光学ユニットにおいては、対環境性能を維持することも要求される。例えば、当該カメラは高圧の水流で洗浄されることがある。光学ユニットが高圧の水流に曝されると、表面のレンズが鏡筒内に押圧されることに起因して、鏡筒内への漏水が生じ得、要求される防水性の維持が困難となることがある。
【0006】
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、高圧の水流による洗浄などの過酷な使用環境においても高い環境性能を維持する光学ユニットを提供することにある。」
(3)「【0021】
光学ユニット10の構成について、図2を用いて説明する。図2は光学ユニット10の光軸に沿った断面図である。光学ユニット10は、鏡筒15、光学系16、スペーサ17および、封止部18を含んで構成される。
【0022】
鏡筒15は、図3に示すように、外壁部19および収容部20を有する。収容部20は、中心軸CXに関して回転対称に形成される。鏡筒15においては、中心軸CXに沿った一方の方向が物体側方向、他方の方向が結像側方向に定められる。
【0023】
収容部20は、内部に光学系16を収容する(図2参照)。収容部20の内面は、内径が一定である円筒内面状に形成される(図3参照)。収容部20の両方の開口端には、第1の固定部21および第2の固定部22が形成される。
【0024】
第1の固定部21は、結像側方向の開口端に形成される。第1の固定部21は、例えば収容部20の結像側方向の開口を、光学系16の収容後に内側に変形させたカシメである。または、光学系16の収容後に、収容部20の結像側方向の開口に螺合などの任意の結合方法により収容部20に結合し、スペーサ17を介して光学系16の結像側の面の一部と係合するリテーナである。第1の固定部21は、結像側方向から収容部20、すなわち鏡筒15内に、光学系16を固定する。
【0025】
第2の固定部22は、物体側方向の開口端に予め形成される。図4に示すように、第2の固定部22は、保持部23および係合部24を有する。保持部23は、収容部20の円筒内面から中心軸CX方向に延び、且つ結像側方向の面が中心軸CX方向に傾斜するように形成される。保持部23の、結像側方向の面は、後述する第2の封止領域25として機能する。保持部23は、後述するように、第1のレンズ26とともに、封止部18を介在させ、保持する。係合部24は保持部23の中心軸CX側の端部において、結像側方向に延びる環状の壁である。第2の固定部22は、物体側方向から収容部20、すなわち鏡筒15内に、光学系16を固定する。
【0026】
図2において、光学系16は、第1のレンズ26および複数の光学素子27によって構成される。光学素子27は、レンズおよび開口絞りなどの光学部材である。光学系16が、例えば焦点距離および被写界深度などの所望の光学特性を備えるように、第1のレンズ26および各光学素子27が形成され、組合される。
【0027】
第1のレンズ26は、光学系16の中で最も物体側に配置される。第1のレンズ26は本体28から径方向外側に延びる鍔部29を有する(図4参照)。鍔部29の物体側方向の面は、光軸に対して垂直且つ平坦であり、第1の封止領域30として機能する。したがって、第1のレンズ26は物体側の面の外周の周辺に第1の封止領域30を有する。本体28の外径は第2の固定部22の内径と実質的に同じ長さである。また、鍔部29の外径は第2の固定部22の内径より長く、収容部20(図3参照) の内径より短い。
【0028】
複数の光学素子27の最外縁の外径は、収容部20の内径と実質的に同じ長さである。
【0029】
図2において、スペーサ17は、中心の孔部の内径が、最も像側の光学素子27の光学的に機能する部位の外径よりも大きくなるように、リング状に形成された、金属製の部材である。また、スペーサ17の外径は、収容部20の内径と実質的に同じ長さである。
【0030】
封止部18は、第1の封止領域30および第2の封止領域25が画定する封止空間Sの間に介在し(図4参照)、第1の封止領域30および第2の封止領域25に密着する。封止部18は、第1の封止領域30および第2の封止領域25に密着することにより、鏡筒15内部への漏水を抑制する。封止部18は、硬化性を有する部材によって形成される。硬化性を有する部材とは、例えば接着剤、シーリング材、およびコーキング材である。硬化性を有する部材は、吸湿硬化性あるいは熱硬化性を有し且つ硬化後も弾性を有することが好適である。」
(4)図2は以下のとおりである。
(5)図3は以下のとおりである。
(6)図4は以下のとおりである。
(7)上記(3)の【0025】、【0030】の記載を参酌しつつ、図4から、封止空間Sは、係合部24の内壁と収容部20の内壁を備える環状の空間であることが看て取れる。
2 上記記載及び図面から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。(なお、引用発明の各構成の根拠箇所を参考として当審で付した。)
引用発明
「光学ユニット10は、鏡筒15、光学系16、スペーサ17および、封止部18を含んで構成され(【0021】)、
鏡筒15は、外壁部19および収容部20を有し(【0022】)、
収容部20は、内部に光学系16を収容し、収容部20の両方の開口端には、第1の固定部21および第2の固定部22が形成され(【0023】)、
第2の固定部22は、物体側方向の開口端に予め形成され、第2の固定部22は、保持部23および係合部24を有し、保持部23は、収容部20の円筒内面から中心軸CX方向に延び、且つ結像側方向の面が中心軸CX方向に傾斜するように形成され、保持部23の結像側方向の面は第2の封止領域25として機能し、保持部23は、第1のレンズ26とともに、封止部18を介在させ、保持し、係合部24は保持部23の中心軸CX側の端部において、結像側方向に延びる環状の壁であり(【0025】)、
光学系16は、第1のレンズ26および複数の光学素子27によって構成され、光学素子27は、レンズおよび開口絞りなどの光学部材であり、光学系16が、例えば焦点距離および被写界深度などの所望の光学特性を備えるように、第1のレンズ26および各光学素子27が形成され、組合され(【0026】)、
第1のレンズ26は、光学系16の中で最も物体側に配置され、第1のレンズ26は本体28から径方向外側に延びる鍔部29を有し、鍔部29の物体側方向の面は、光軸に対して垂直且つ平坦であり、第1の封止領域30として機能し(【0027】)、
封止部18は、第1の封止領域30および第2の封止領域25が画定する封止空間Sの間に介在し、第1の封止領域30および第2の封止領域25に密着し、封止部18は、第1の封止領域30および第2の封止領域25に密着することにより、鏡筒15内部への漏水を抑制し、封止部18は、硬化性を有する部材によって形成され、硬化性を有する部材とは、例えば接着剤、シーリング材、およびコーキング材であり、硬化性を有する部材は、吸湿硬化性あるいは熱硬化性を有し且つ硬化後も弾性を有することが好適であり(【0030】
)、
封止空間Sは、係合部24の内壁と収容部20の内壁を備える環状の空間である(上記(7))、
光学ユニット。」
第4 対比
本願発明と引用発明を対比する。
1 引用発明の「鏡筒」、「光学ユニット」は、それぞれ本願発明の「鏡筒」、「レンズモジュール」に相当する。
2 引用発明において「鏡筒」の「第2の固定部22は、物体側方向の開口端に予め形成され、第2の固定部22は、保持部23および係合部24を有し、保持部23は、収容部20の円筒内面から中心軸CX方向に延び」ているから、「収容部20の円筒」部分(の壁)は「第2の固定部22」から折り曲げて延伸しているといえる。
さらに、引用発明において「収容部20は、内部に光学系16を収容し」ているから、引用発明は、本願発明の「前記鏡筒は、光通過孔が開設された第1の筒壁と、前記第1の筒壁から折り曲げて延伸する第2の筒壁と、前記第1の筒壁と第2の筒壁により形成された収容空間を有し」との構成を有する。
3 引用発明において「光学系16は、第1のレンズ26および複数の光学素子27によって構成され、光学素子27は、レンズおよび開口絞りなどの光学部材であり、光学系16が、例えば焦点距離および被写界深度などの所望の光学特性を備えるように、第1のレンズ26および各光学素子27が形成され、組合され」ているから、引用発明の「光学系」、「第1のレンズ」は本願発明の「レンズ群」、「第1のレンズ」に相当し、引用発明は、本願発明の「前記レンズ群は、物側から像側へ順次に前記収容空間内に共軸に積層され設けられ」との構成を有する。
4 引用発明において「第1のレンズ26は、光学系16の中で最も物体側に配置され、第1のレンズ26は本体28から径方向外側に延びる鍔部29を有し、鍔部29の物体側方向の面は、光軸に対して垂直且つ平坦であり、第1の封止領域30として機能し」、「(第2の固定部22の)保持部23は、第1のレンズ26とともに、封止部18を介在させ」、「封止部18は、第1の封止領域30および第2の封止領域25が画定する封止空間Sの間に介在し、第1の封止領域30および第2の封止領域25に密着し、封止部18は、第1の封止領域30および第2の封止領域25に密着することにより、鏡筒15内部への漏水を抑制」することから、引用発明の「封止部」は、本願発明の「シーリング部材」に相当し、引用発明は、本願発明の「前記レンズ群は、前記第1の筒壁に近い第1のレンズを備えるレンズモジュールであって、前記第1のレンズと前記鏡筒との間に更にシーリング部材が設けられ、前記第1のレンズと前記鏡筒との間には、前記シーリング部材によりシーリングされ」との構成を有する。
また、引用発明の上記構成は、
本願発明の「前記第1のレンズは、前記第1の筒壁に対向して設けられた第1の表面を備え、前記第1の表面と前記第1の筒壁との間には、前記シーリング部材によりシーリングされ」との構成を有し、
本願発明の「前記第1の表面は、前記第1の筒壁に当接し、前記第1の筒壁における前記収容空間に対向する面は、第1の内壁であり、前記第1の筒壁には、前記第1の内壁より前記第1のレンズから離れる方向へ凹む凹み部が設けられ」と、「前記第1の筒壁における前記収容空間に対向する面は、第1の内壁であり、前記第1の筒壁には、前記第1の内壁より前記第1のレンズから離れる方向へ凹む凹み部が設けられ」の点で一致し、
本願発明の「前記シーリング部材は、前記凹み部内に設けられて前記第1のレンズと前記鏡筒の最も外側の接合箇所にてシーリングされ」と、「前記シーリング部材は、前記凹み部内に設けられてシーリングされ」の点で、
一致する。
5 引用発明において、「封止空間Sは、係合部24の内壁と収容部20の内壁を備える環状の空間である」から、「係合部24の内壁」、「収容部20の内壁」は、それぞれ本願発明の「内環壁」、「外環壁」に相当しており、引用発明は、本願発明の「凹み部は、内環壁と外環壁とを備える環状構成であり、前記内環壁は、前記環状構成の内壁における光軸に近い部分であり、前記外環壁は、前記環状構成の内壁における前記内環壁に対向する部分であり」との構成を有する。
6 引用発明の「収容部20」、「収容部20の内壁」は、それぞれ本願発明の「第2の筒壁」、「第2の内壁」に相当する。また、引用発明の「収容部20の内壁」は、封止空間Sの外環壁であると共に、収容部20本体としての内壁でもあるから、収容部20本体の内壁と封止空間Sの外環壁が同一の面であるということができる。
ここで、本願発明の「前記第2の内壁と前記凹み部が円滑に連結している」との構成は「第2の内壁と前記外環壁が同一の面にあることにより」結果として実現されていることであり、引用発明は、上記したように本願発明の「第2の内壁と前記外環壁が同一の面にある」との構成を有しているから、本願発明の「第2の筒壁の前記収容空間に対向する部分は、第2の内壁であり、前記第2の内壁と前記外環壁が同一の面にあることにより、前記第2の内壁と前記凹み部が円滑に連結している」との構成を有する。
7 上記1~6から、本願発明と引用発明は、 以下の一致点で一致し、以下の相違点1~3で相違する。
<一致点>
「鏡筒、及び前記鏡筒内に設けられて前記鏡筒に接続されるレンズ群を備え、前記鏡筒は、光通過孔が開設された第1の筒壁と、前記第1の筒壁から折り曲げて延伸する第2の筒壁と、前記第1の筒壁と第2の筒壁により形成された収容空間を有し、前記レンズ群は、物側から像側へ順次に前記収容空間内に共軸に積層され設けられ、前記レンズ群は、前記第1の筒壁に近い第1のレンズを備えるレンズモジュールであって、前記第1のレンズと前記鏡筒との間に更にシーリング部材が設けられ、前記第1のレンズと前記鏡筒との間には、前記シーリング部材によりシーリングされ、
前記第1のレンズは、前記第1の筒壁に対向して設けられた第1の表面を備え、前記第1の表面と前記第1の筒壁との間には、前記シーリング部材によりシーリングされ、
前記第1の筒壁における前記収容空間に対向する面は、第1の内壁であり、前記第1の筒壁には、前記第1の内壁より前記第1のレンズから離れる方向へ凹む凹み部が設けられ、
前記シーリング部材は、前記凹み部内に設けられてシーリングされ、
前記凹み部は、内環壁と外環壁とを備える環状構成であり、前記内環壁は、前記環状構成の内壁における光軸に近い部分であり、前記外環壁は、前記環状構成の内壁における前記内環壁に対向する部分であり、
前記第2の筒壁の前記収容空間に対向する部分は、第2の内壁であり、前記第2の内壁と前記外環壁が同一の面にあることにより、前記第2の内壁と前記凹み部が円滑に連結している、
レンズモジュール。」
<相違点1>
第1のレンズについて、本願発明は「第1の表面は、前記第1の筒壁に当接し」ているのに対し、引用発明はそのような特定がなされていない点。
<相違点2>
シーリング部材について、本願発明は「第1のレンズと前記鏡筒の最も外側の接合箇所にて」シーリングしているのに対し、引用発明はそのような特定がなされていない点。
<相違点3>
本願発明は「第1のレンズは、前記凹み部の外縁と同一の面にある」のに対し、引用発明はそのような特定がなされていない点。
第5 判断
1 相違点1について
上記相違点1につき検討するに、引用発明の課題は「過酷な使用環境においても高い環境性能を維持する光学ユニットを提供することにある」(【0006】)ので、機密性を高めるために、第1のレンズ26の表面が鏡筒15に当接している蓋然性がきわめて高いし、仮にそうでないとしても当接するようにすることは当業者が必要に応じて適宜設定しうる設計事項にすぎない。
よって、相違点1は実質的な相違点でないか、あるいは相違点1に係る本願発明のようにすることは、引用発明から当業者が容易に想到しうる程度のことにすぎない。
2 相違点2、3について
相違点2、3は併せて検討する。
一般的に、レンズと鏡筒をシーリングするに際して、シーリングの実効性等を勘案して、レンズと鏡筒の位置関係をどのように定めるかは当業者が適宜設定しうる事項にすぎない。
そして、相違点2、3に係る第1のレンズ、鏡筒、シーリング部材の位置関係については、引用文献1の図4の各部材の位置関係も概ね同様の位置関係になっており、引用文献1の図4を見ると、鍔部29と収容部20の内壁間には隙間が看て取れるが、図2において当該隙間は看て取れないことなどを考慮すれば、図4は概略図であると解されること、また、一般的に機密性を高めるためには部材間を密着させることが効果的であり、引用文献1において、当該箇所に隙間を設けることが明示されておらず、当該箇所を密着することが排除されていないと解されることから見ても、引用発明において、相違点2、3に係る第1のレンズ、鏡筒、シーリング部材の位置関係のようにすることは、当業者が適宜設定しうる程度の事項にすぎない。
よって、相違点2、3に係る本願発明のようにすることは、引用発明から当業者が容易に想到しうる程度のことにすぎない。
3 作用効果について
相違点1~3に係る本願発明の効果について、引用発明から、当業者が予測しうる程度のものにすぎない。
4 請求人の主張について
請求人は、令和3年2月9日付け意見書において、
「(2)補正の説明
出願人は、請求項1を拒絶査定が発行される直前の記載に戻したうえで、請求項1において、「前記凹み部は、内環壁と外環壁とを備える環状構成であり、前記内環壁は、前記環状構成の内壁における光軸に近い部分であり、前記外環壁は、前記環状構成の内壁における前記内環壁に対向する部分であり、前記第2の筒壁の前記収容空間に対向する部分は、第2の内壁であり、前記第2の内壁と前記外環壁が同一の面にあることにより、前記第2の内壁と前記凹み部が円滑に連結している」という構成要件を組み入れました。
・・・
本願補正後の請求項1の上記構成要件は、引用文献1に開示乃至示唆されていません。」(意見書2.(2))
と主張する。
しかしながら、上記主張については、上記第4の5、6で説示したとおりである。
したがって、請求人の主張は採用できない。
5 よって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2019-011745