特許拒絶査定不服審判
2019-006327
表示装置用支持フレームおよびこれを含む表示装置
- 審判番号
- 2019-006327
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-208255外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年05月15日
- 審決日
- 2020年04月22日
- 公報発行日
- 2020年10月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
- 【請求人代理人】園田・小林特許業務法人
- 分類
- P18 .121-WZ (G02F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2017-208255号「表示装置用支持フレームおよびこれを含む表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年5月10日出願公開、特開2018-72832号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)10月27日(パリ条約による優先権主張 2016年10月31日 韓国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
平成30年 8月23日付け:拒絶理由通知
平成30年11月27日付け:意見書及び手続補正書
平成30年12月28日付け:拒絶査定(謄本送達日平成31年1月15
日)
令和元年 5月15日付け:審判請求及び手続補正書
令和元年10月30日付け:上申書
令和元年12月19日付け:拒絶理由通知(以下「当審拒絶理由」とい
う。)
令和2年 3月24日付け:意見書及び手続補正書(以下、この手続補正
書による手続補正を「本件補正」という。)
第2 本願発明
本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである(なお、A~Iは、本願発明を分説するために当審で付したものである。)。
「A 表示パネルと、
B 前記表示パネルの上面を覆うカバーウィンドウと、
C 前記表示パネルの側面および背面を覆い、前記カバーウィンドウを支持する支持フレームであって、水平な底面と垂直な側面とを有し、前記側面は前記底面から突出している、支持フレームと、
D 前記支持フレームの少なくとも一部の前記側面の上面に配置された、形状記憶物質からなる熱形状変化部と、
E 前記支持フレームおよび前記熱形状変化部のそれぞれと、前記カバーウィンドウとの間に位置する接着剤と、
を備え、
F 前記熱形状変化部と前記接着剤との接触面積は、前記接着剤と前記支持フレームとの接触面積より小さく、
G 前記熱形状変化部の上面と前記支持フレームの前記側面の前記上面は、同一平面であり、
H 前記接着剤は、弾性レジンからなるか、またはアクリル系化合物、ウレタン系化合物、シリコン系化合物、およびエポキシ系化合物のうち、少なくともいずれか1つを含む、
I 表示装置。」
第3 拒絶の理由
当審拒絶理由のうちの理由3は、次のとおりのものである。
本願発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:米国特許出願公開第2013/141345号明細書
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献の記載及び引用発明
(1)引用文献には、以下の事項が記載されている(仮訳は当審が作成した。下線は当審で付した。以下同じ。)。
ア 「[0019] FIG. 1 is across-sectional diagram of a reworkable electronic apparatus 100 according to an embodiment of the invention. The reworkable electronic apparatus 100 includes a first component 110, a second component 120, and an adhesive 130. The first component 110 is adhered on the second component 120 with the adhesive 130. The reworkable electronic apparatus 100 includes at least one shape memory metal piece 140. The shape memory metal piece 140 is disposed between the first component 110 and the second component 120. The shape memory metal piece 140 has a characteristic of being deformed under a predetermined temperature, and such a characteristic is utilized in the present invention. The shape memory metal piece 140 having a flat surface under a room temperature is placed between the first component 110 and the second component 120. The shape memory metal piece 140 is deformed when the shape memory metal piece 140 is heated to a predetermined temperature, for example 60℃. The deformation of the shape memory metal piece 140 can lift the first component 110 away from the second component 120.」
(仮訳:[0019] 図1は、本発明の実施形態による再加工可能な電子装置100の断面図である。再加工可能な電子装置100は、第1部材110、第2部材120、及び接着剤130を含む。第1部材110は、第2部材120に接着剤130によって接着される。再加工可能な電子装置100は、少なくとも1つの形状記憶金属部材140を備えている。形状記憶金属部材140は第1部材110と第2部材120との間に配置されている。形状記憶金属部材140は、所定の温度で変形する特性を有しており、このような特性が本発明で利用される。室温では平坦な表面を有する形状記憶金属部材140は、第1部材110と第2部材120との間に配置される。形状記憶金属部材140を所定の温度、例えば60℃に加熱することで、形状記憶合金片140を変形させている。形状記憶金属部品140が変形することで、第1部材110を第2部材120から離れるように持ち上げることができる。)
イ 「[0020] FIG. 2A to FIG. 2C are top views of the reworkable electronic apparatuses according to different embodiments of the invention. The number of the at least one shape memory metal piece 140 (i.e. Shape Memory Alloys, SMA) can be single, as shown in FIG. 2A. The shape memory metal piece 140 can be disposed on the second component 120 (or the first component 110), in which the shape memory metal piece 140 is placed on an edge of the second component 120. The number of the at least one shape memory metal piece 140 can be plural, as shown in FIG. 2B and FIG. 2C. The shape memory metal pieces 140 can be evenly disposed on the second component 120 (or the first component 110), as shown in FIG. 2B. The shape memory metal pieces 140 can be disposed on one side of the second component 120 (or the first component 110), as shown in FIG. 2C. The shape memory metal piece 140 can be made of iron-based alloy, copper-based alloy, or nickel titanium alloy.」
(仮訳:[0020] 図2a~図2cは、本発明の異なる実施形態による再加工可能な電子機器の上面図である。少なくとも1つの形状記憶金属部材140(すなわち、形状記憶合金SMA)の数は、図2(a)に示すように、1つであってよい。形状記憶金属部材140は第2部材120(または第1部材110)上に配置することができるとともに、第2部材120の端部に配置することができる。少なくとも1つの形状記憶金属部材140の数は、図2(b)及び図2(c)に示すように、複数であってよい。形状記憶金属部材140は、図2(b)に示すように、第2部材120(または第1部材110)上に均等に配置することができる。形状記憶金属部材140は、図2(c)に示すように、第2部材120(または第1部材110)の一方の側の上に配置することができる。形状記憶金属部材140は、鉄系合金、銅系合金、またはニッケルチタン合金で作製される。
ウ 「[0021] The deformation temperature of the shape memory metal piece 140 can be adjusted by an alloy formula.」
(仮訳:[0021] 形状記憶金属部材140の変形温度は合金組成によって調整することができる。)
エ 「[0022] FIG. 3 is anassembly schematic diagram of the reworkable electronic apparatus according to another embodiment of the invention. The reworkable electronic apparatus 200 can be a mobile device, such as a tablet computer or a smart phone. The first component 110 can be a display module 210. The second component 120 can be a frame 220. The display module 210 can be a touch screen, which includes a touch panel 212 and a display panel 214. The display panel 214 is mounted on the touch panel 212. The reworkable electronic apparatus 200 includes an adhesive 230, and the adhesive 230 is disposed on the surface of the touch panel 212 corresponding to the frame 220. The adhesive 230 surrounds the display panel 214. Namely, the touch panel 212 includes a display area corresponding to the display panel 214, and a backing adhesive area surrounding the display area. The adhesive 230 is disposed at the backing adhesive area. The reworkable electronic apparatus 200 includes a plurality of shape memory metal pieces 240. The shape memory metal pieces 240 are disposed on the frame 220. The frame 220 can include a plurality of cavities 222 facing the backing adhesive area for receiving the shape memory metal pieces 240. The adhesive 230 may adhere display module 210 to the frame 220.」
(仮訳:[0022] 図3は、本発明の別の実施形態による再加工可能な電子装置の立体模式図である。再加工可能な電子装置200は、モバイルデバイス、タブレットコンピュータやスマートフォンなどである。第1部材110は、ディスプレイモジュール210とすることができる。第2部材120は、フレーム220とすることができる。表示モジュール210は、タッチスクリーン、タッチパネル212とディスプレイパネル214を含むことができる。表示パネル214は、タッチパネル212が装着されている。再加工可能な電子装置200は、接着剤230と、接着剤230がフレーム220に対応するタッチパネル212の表面上に配置されている。接着剤230は、ディスプレイパネル214を取り囲んでいる。すなわち、タッチパネル212は、表示パネル214に対応する表示領域と、表示領域を囲む裏打ち接着剤領域を備えている。接着剤230は、裏打ち接着剤領域に配置されている。再加工可能な電子装置200は、複数の形状記憶合金片240を備えている。形状記憶金属部材240は、フレーム220上に配置されている。フレーム220は、形状記憶金属部材240を受けるための裏打ち接着剤領域に対向する複数のキャビティ222を含むことができる。接着剤230は、ディスプレイモジュール210をフレーム220に接着することができる。)
オ Fig.2及びFig.3は次のとおりである。
カ 上記エの記載を踏まえて上記オのFig.3を見ると、下記各点が見てとれる。
(ア)タッチパネル212が、表示パネル214の上面に装着されること。
(イ)フレーム220が、表示パネル214の側面および背面を覆うとともに、タッチパネル212を支持し、底面と側面とを有すること。
(ウ)形状記憶金属部材240は、フレーム220の側面の上面に配置されていること。
また、上記イの記載及び上記オのFig.2を踏まえた上で、上記エの記載に基づいて上記オのFig.3を見ると、下記各点が見てとれる。
(エ)接着剤230は、フレーム220とタッチパネル212の間に位置するとともに、形状記憶金属部材240とタッチパネル212の間にも位置すること。
(2)引用発明
上記(1)によれば、引用文献には下記の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(aないしiは、構成AないしIに対応させて当審が付した。)。
「a 表示パネル214と([0022])、
b 前記表示パネル214の上面に装着されるタッチパネル212と(上記「(1)」「カ」「(ア)」)、
c 前記表示パネル214の側面および背面を覆うとともに、前記タッチパネル212を支持し、底面と側面とを有するフレーム220と(上記「(1)」「カ」「(イ)」)、
d 前記フレーム220の側面の上面に配置されている形状記憶金属部材240と(上記「(1)」「カ」「(ウ)」)、
e 前記フレーム220と前記タッチパネル212の間に位置するとともに、前記形状記憶金属部材240と前記タッチパネル212の間にも位置する接着剤230と(上記「(1)」「カ」「(エ)」)、
g フレーム220は、形状記憶金属部材240を受けるための裏打ち接着剤領域に対向する複数のキャビティ222を含む([0022])、
i 再加工可能な電子装置200。」
2 引用発明との対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比すると、
ア 引用発明の「表示パネル214」(構成a)は、本願発明の「表示パネル」(構成A)に相当する。
イ 引用発明の「前記表示パネル214の上面に装着されるタッチパネル212」(構成b)は、「タッチパネル212」自体が一つの部材(部材α)を構成するといえるから、本願発明の「前記表示パネルの上面を覆うカバーウィンドウ」(構成B)と、「前記表示パネルの上面に位置する部材α」(構成B´)の点で一致する。
ウ 引用発明の「前記表示パネル214の側面および背面を覆うとともに、前記タッチパネル212を支持し、底面と側面とを有するフレーム220」(構成c)は、本願発明の「前記表示パネルの側面および背面を覆い、前記カバーウィンドウを支持する支持フレームであって、水平な底面と垂直な側面とを有し、前記側面は前記底面から突出している、支持フレーム」(構成C)と、「前記表示パネルの側面および背面を覆い、前記部材αを支持する支持フレームであって、底面と側面とを有している、支持フレーム」(構成C´)の点で一致する。
エ 引用発明の「前記フレーム220の側面の上面に配置されている形状記憶金属部材240」(構成d)は、形状記憶金属部材240が形状記憶物質からなることは明らかであるから、本願発明の「前記支持フレームの少なくとも一部の前記側面の上面に配置された、形状記憶物質からなる熱形状変化部」(構成D)に相当する。
オ 引用発明の「前記フレーム220と前記タッチパネル212の間に位置するとともに、前記形状記憶金属部材240と前記タッチパネル212の間にも位置する接着剤230」(構成e)は、本願発明の「前記支持フレームおよび前記熱形状変化部のそれぞれと、前記カバーウィンドウとの間に位置する接着剤」(構成E)と、「前記支持フレームおよび前記熱形状変化部のそれぞれと、前記部材αとの間に位置する接着剤」(構成E´)の点で一致する。
キ 引用発明の「再加工可能な電子装置200」(構成i)は、本願発明の「表示装置」(構成I)に相当する。
ク 以上アないしキによれば、本願発明と引用発明は、
「A 表示パネルと、
B´ 前記表示パネルの上面に位置する部材αと、
C´ 前記表示パネルの側面および背面を覆い、前記部材αを支持する支持フレームであって、底面と側面とを有している、支持フレームと、
D 前記支持フレームの少なくとも一部の前記側面の上面に配置された、形状記憶物質からなる熱形状変化部と、
E´ 前記支持フレームおよび前記熱形状変化部のそれぞれと、前記部材αとの間に位置する接着剤と、
を備える、
I 表示装置。」
の点で一致するとともに、下記各点で相違すると認められる。
(相違点1)
表示パネルの上面を覆う部材αが、本願発明は「カバーウィンドウ」であるのに対して、引用発明は「タッチパネル212」である点。
(相違点2)
支持フレームが、本願発明は「水平な底面と垂直な側面とを有し、前記側面は前記底面から突出している」のに対して、引用発明は「底面と側面とを有している」と特定されるにとどまる点
(相違点3)
本願発明は「前記熱形状変化部と前記接着剤との接触面積は、前記接着剤と前記支持フレームとの接触面積より小さ」いと特定されるのに対して、引用発明はこのように特定されない点。
(相違点4)
本願発明は「前記熱形状変化部の上面と前記支持フレームの前記側面の前記上面は、同一平面であ」ると特定されるのに対して、引用発明はこのように特定されない点。
(相違点5)
「接着剤」が、本願発明は「弾性レジンからなるか、またはアクリル系化合物、ウレタン系化合物、シリコン系化合物、およびエポキシ系化合物のうち、少なくともいずれか1つを含む」のに対して、引用発明は接着剤が特定されない点。
(2)判断
ア 上記相違点1について検討する。
引用発明の「表示パネル214」は、その「上面に装着されるタッチパネル212」(構成b)を備える以外に格別の保護カバーを備えると特定されないところ、表示パネルを保護するために表示パネルの上面に保護カバーが必要であることは、本願優先日当時周知の課題である。
また、引用発明の「タッチパネル212」は具体的構成が特定されなところ、カバーウインドウと一体型のタッチパネルは後記周知文献1~3に見られる通り、本願優先日当時従来周知の技術事項にすぎない。
したがって、引用発明において、保護カバーを備えるとされない引用発明の「表示パネル214」を保護するために、上記従来周知のカバーウインドウと一体型のタッチパネルを適用して、本願請求項1に係る上記相違点1の構成となすことは当業者が容易に想到し得たことである。
イ 上記相違点2について検討する。
引用発明は、Fig.3(上記「1」「(1)」「オ」)に見られる通り、「フレーム220」が曲面で構成されているが、当該形状は、モバイルデバイス、タブレットコンピュータやスマートフォン([0022])としてのデザインにすぎない。
そして、平面を組み合わせた箱状である「水平な底面と垂直な側面とを有し、前記側面は前記底面から突出している」フレームを用いたモバイルデバイス、タブレットコンピュータやスマートフォンは本願優先日当時において従来周知のものである。
また、引用文献には、Fig.3のような曲面で構成されていることが格別の技術的意義を有するものであるとも記載されていない。
したがって、引用発明において、従来周知のモバイルデバイス、タブレットコンピュータやスマートフォンの形状を適用することにより、本願請求項1に係る上記相違点2の構成となすことは当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。
ウ 上記相違点3について検討する。
引用文献のFig.2(上記「1」「(1)」「オ」)には、「形状記憶金属部材140」([0019])を「第2部材120」([0019])の一部に配置する構成が記載されているところ、「第2部材120は、フレーム220とすることができる。」([0022])と記載されているから、引用文献には、引用発明の「形状記憶金属部材240」をFig.2のように離散的に配置してよいことが記載されていると認められる。
また、引用文献には、「接着剤230は、ディスプレイパネル214を取り囲んでいる。」([0022])とも記載されている。
そうすると、引用発明の「形状記憶金属部材240」をFig.2のように離散的に配置した場合は、「形状記憶金属部材240」と「接着剤230」との接触面積が、「接着剤230」と「フレーム220」との接触面積より小さくなることは明らかである。
したがって、引用発明に、引用文献に記載された、「形状記憶金属部材240」を離散的に配置する構成を適用することにより、本願請求項1に係る上記相違点1の構成となすことは当業者が容易に想到し得たことである。
エ 上記相違点4について検討する。
引用発明は、「形状記憶金属部材240」を「フレーム220の側面の上面に配置」(構成d)することに関して、「フレーム220は、形状記憶金属部材240を受けるための裏打ち接着剤領域に対向する複数のキャビティ222を含む」(構成g)とされるから、「形状記憶金属部材240」は「フレーム220の側面の上面」に設けられた「キャビティ222」内に配置されるといえる。
そして、引用文献のFig.3(上記「1」「(1)」「オ」)によれば、「キャビティ222」内の「形状記憶金属部材240」は当該「キャビティ222」の周囲の「フレーム220の側面の上面」と同一平面であるとされる。
なお、引用文献のFig.3の「フレーム220の側面」には、「形状記憶金属部材240」が配置される「キャビティ222」より外側にタッチパネル212の側面を覆う突起状の部材(以下「突起状の部材」という。)が見られるが、当該部材を除く、接着剤230を介してタッチパネル212と接触するフレーム220の側面の上面の範囲では、「形状記憶金属部材240」の上面と「フレーム220」の側面の上面は、同一平面であるいえる。
また、当該突起状の部材は、モバイルデバイス、タブレットコンピュータやスマートフォン([0022])としてのデザインにすぎず、当該突起状の部材を有しないモバイルデバイス、タブレットコンピュータやスマートフォンは本願優先日当時において従来周知のものである。
また、引用文献には、当該突起状の部材を備えることが格別の技術的意義を有するものであるとも記載されていない。
したがって、引用発明において、当該突起状の部材を有しない従来周知のモバイルデバイス、タブレットコンピュータやスマートフォンのフレームを適用することにより、本願請求項1に係る上記相違点4の構成となすことは当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。
オ 上記相違点5について検討する。
引用発明の「接着剤230」は、具体的な素材が特定されないが、引用発明のタッチパネル212と、フレーム220及び形状記憶金属部材240とを接着する接着剤として、アクリル系化合物、ウレタン系化合物、シリコン系化合物及びエポキシ系化合物は本願優先日当時従来周知の接着剤にすぎず、引用発明において、当該周知の接着剤を適用して、本願請求項1に係る上記相違点5の構成となすことは当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。
(3)周知文献
ア 周知文献1(特開2015-100979号公報)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化樹脂成形体を用いた積層体に関し、特に、光硬化樹脂成形体/粘着剤層/光硬化樹脂成形体の構成よりなる透明な積層体であって、光学特性、熱特性、機械特性、表面平滑性などに優れた積層体であり、とりわけ、軽量で安全性に優れるディスプレイ用の基板や保護板として有用な積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスプレイ用の基板としては、ガラスを基板とするものが多く使われてきた。例えば、保護板(カバーウィンドウ)、タッチパネル、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等では、厚さ0.2~2mm程度のガラス基板が汎用されている。ガラス基板は、透明性、低複屈折、耐熱性、低線膨張係数、表面硬度、ガスバリア性、耐溶剤・薬品性などの諸特性に優れ、高品質なディスプレイを製造するには、現時点で最良の基板と言える。しかし、重いことに加えて、衝撃や屈曲に対して割れやすいため、安全性に問題が残るものである。特に、割れた時に飛散する鋭利な破片は、失明や裂傷の危険性がある。」
「【0070】
かくして得られる積層体は、高強度、高精細、高信頼性のディスプレイを作製するのに非常に適している。特に、軽量かつ安全性に優れる基板や保護板(カバーウィンドウ)に好適であり、更に、積層体のいずれかの層間または表層に少なくとも一層、透明導電膜を形成して、タッチパネル、とりわけカバー一体型タッチパネルとすることができる。より好ましくは、光硬化樹脂成形体(B)の片面に透明導電膜を形成して透明導電シートとし、透明導電膜の逆面を、粘着剤を介して、光硬化樹脂成形体(A)に貼り合わせることが好ましい。」
イ 周知文献2(特開2015-158903号公報)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル、タッチパネルを備えた液晶表示装置、タッチパネル形成方法に関する。より詳しくは、本発明は、モアレ減少のためのオーバーコート層を備えたタッチパネル、タッチパネルを備えた液晶表示装置、タッチパネル形成方法に関する。」
「【0032】
タッチパネルの基板10は、電極層を形成するためのベースプレートである。したがって、タッチパネルが液晶表示装置と一体に形成されない場合は、電極層が形成されるためのフィルムまたはガラス基板であり、タッチパネルが液晶表示装置と一体に形成される場合には、電極層20の下部に位置する液晶表示装置の何らかのレイヤー(layer)でありうる。また、タッチパネルがカバーウインドウと一体に形成される場合には、基板が省略されることもできる。」
ウ 周知文献3(特開2016-21239号公報)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルに関する。さらに詳細には、1レイヤータイプで高解像度のタッチ電極を構成しながら、タッチ電極と重畳する拡散フィルムまたはTFTアレイとの干渉によるモアレ現象を防止するとともに、タッチ電極の視認性の問題を改善することができるタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、タッチスクリーンは、タッチパネル、コントローラーIC、ドライバーSWで構成され、そのうち、タッチパネルは、透明導電膜(ITO:Indium Tin Oxide)が蒸着されたフィルムまたは強化ガラス(Glass)で構成された積層構造で構成されている。
静電容量方式のタッチパネルは、ディスプレイ付着型方式で透明導電膜フィルムを2枚使用するGFF(1Glass-2Film-2layer)構造と、カバーウインドウ一体型方式で透明導電膜フィルムを1枚のみ使用するG1F(1Glass-1Film-2layer)、G2(2Glass-2layer)構造と、ディスプレイ一体型であるOn-Cell、In-Cell構造に区分される。」
(4)請求人の主張
ア 請求人は令和2年3月24日提出の意見書の「【意見の内容】」「3.拒絶理由の解消について」「(3)理由3(進歩性)について」において、
「審判請求書においても主張した通り、引用文献1については、引用文献1に開示されたケース(frame220)は、本願発明のように、『水平な底面と垂直な側面とを有し、前記側面は前記底面から突出して』いる構成ではありません。また、引用文献1においては、接着剤(adhesive230)は、frame220とtouch panel212との間に設けられております。このtouch panel212は、display panel214と一体となって、本願発明の『表示パネル』に相当する構成であるものと見受けられます。してみると、引用文献1には、本願発明の前提となる『カバーウィンドウ』に相当する構成は開示も示唆もされておらず、ゆえに、引用文献1に記載の当業者であっても、引用文献1に記載の発明から本願発明に容易に想到することは到底できないものと思料いたします。
さらに、本手続補正によって明らかにした通り、本願発明1はさらに、『前記熱形状変化部の上面と前記支持フレームの前記側面の前記上面は、同一平面であり、前記接着剤は、弾性レジンからなるか、またはアクリル系化合物、ウレタン系化合物、シリコン系化合物、及びエポキシ系化合物のうち、少なくともいずれか1つを含む』ことを明確にしております。上記当該特徴についても、引用文献1には何ら開示も示唆もされておらず、ゆえに、本願発明1及びこれを引用する発明は、この点においても進歩性を有するものと思料いたします。 このように以上の状況も鑑みれば、請求項1及びこれを引用する請求項に係る発明の進歩性は肯定されるべきであると、審判請求人は確信致します。」
と主張する。
イ しかしながら、上記主張の前半部分に関しては、上記「(2)」「ア」及び「イ」で検討したとおりであり、また、上記主張の後半部分に関しては、上記「(2)」「オ」で検討したとおりであるから採用できない。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2019-006327